JP2018087173A - 悪性脳腫瘍治療薬 - Google Patents

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Masahiro Sakaitani
政弘 堺谷
林 健人
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健人 林
直良 前田
Naoyoshi Maeda
直良 前田
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Katsumi Maenaka
勝実 前仲
聡 市川
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聡 市川
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Abstract

【課題】本発明は、悪性腫瘍、とくに悪性脳腫瘍に対して強い増殖阻害効果を有するが、正常細胞に対する毒性が低い新規な化合物、該化合物を含む医薬組成物等を提供することを目的とする。【解決手段】下記一般式(I)で表される化合物を提供することにより、上記課題が達成された。【選択図】なし

Description

本発明は、悪性腫瘍、とくに悪性脳腫瘍に対して強い増殖阻害効果を有するが、正常細胞に対する毒性が低い新規な化合物、当該化合物を含む医薬組成物、当該化合物を用いた悪性腫瘍の処置方法などに関する。
脳腫瘍は、脳組織の中に異常細胞が増殖する病気であり、脳組織自体から発生する原発性脳腫瘍と、肺がんなど他の臓器の癌が脳へ転移してきた転移性脳腫瘍がある。脳腫瘍の発生率は、1年間に人口10万人に対して約3.5人といわれており、その多くが悪性のものである。脳腫瘍は、頭蓋内に存在するあらゆる組織から生じ得るため、多種多様な性質を有するものが多く、その分類には世界保健機構による脳腫瘍組織分類が世界的に用いられている。
脳腫瘍の悪性度は浸潤性の高さによりグレード1(悪性度低い)からグレード4(悪性度高い)に分類され、その悪性度は発生する組織に大きく依存している。悪性度の低い脳腫瘍の治療は外科手術や放射線治療が中心で、それにより多くの場合回復するが、悪性度の高い膠芽腫や悪性星細胞腫などではグレードに関係なく外科療法、放射線治療、化学療法剤などの併用療法が用いられる。
脳腫瘍の化学療法は、経口投与、静脈注射、局所投与などの方法があるが、脳には脳血管関門(BBB)が存在するため、抗がん剤が効きにくいことが多々ある。現在、脳腫瘍に対する化学療法の第一選択薬はテモゾロミドであるが、これを用いても著効率はわずか9%と低く、数ヶ月の延命効果しか示せないため、悪性の脳腫瘍という診断がついた時点で積極的治療を断念することも多いのが現状である。
近年では、MRIなどの検査方法の向上、ガンマナイフなどの外科手術方法の発展、重原子治療などの放射線治療の発展などにより、全脳腫瘍患者の5年生存率が75%を超えるようになってきたが、依然として5年生存率が非常に低い神経膠芽腫(6%)および悪性星細胞腫(23%)に対する治療方法の開発が今後の課題となっている。
特許文献1には、下記構造式
Figure 2018087173
で表される化合物を製造したことが記載されており、同化合物の酸化ストレス誘導神経細胞死に対する抑制効果を検証したところ、効果を示さなかったことが記載されている。
非特許文献1には、下記構造式
Figure 2018087173
で表される7種の化合物を合成したことが記載されている。
国際公開第2016/148114号
Adachi et al., Heterocycles (2010), 82(1), 857-865
本発明は、悪性腫瘍、とくに悪性脳腫瘍に対して強い増殖阻害効果を有するが、正常細胞に対する毒性が低い新規な化合物を提供することを目的とする。
テモゾロミドは、DNAアルキル化剤として作用する低分子の経口剤であり、現在の悪性脳腫瘍の化学療法においては第一選択薬として用いられているが、血液脳関門の透過率が低いため脳腫瘍に到達しにくいという問題がある。またテモゾロミドの作用はDNAメチル化による腫瘍細胞死の誘導であるが、腫瘍細胞においてO−メチルグアニンメチルトランスフェラーゼ(MGMT)が発現している場合には耐性を有するという問題点を抱えている。また抗体医薬等のバイオ医薬品については高分子であることからこれらも血液脳関門の透過率が低く、従って必要な量を脳へ送達するのは一般に難しい。
そこで本発明者らは、次世代の悪性脳腫瘍治療薬の実用化を目指して研究を続ける中で、ベンゾオキサゾール誘導体が脳腫瘍細胞に対して増殖阻害活性を示し、正常組織由来細胞に対する細胞毒性が比較的低く安全域が広いことを新たに見出した。かかる知見に基づいて鋭意研究を続け、ベンゾオキサゾール誘導体から悪性の脳腫瘍細胞に対する増殖阻害効果が強く、正常細胞への毒性が低い化合物を新たに合成し、さらにそれらの化合物を、経口剤としてのドラッグライクネス(経口剤として好ましいとされる物理化学的特徴)を満たし、血液脳関門の透過率が高い化合物をスクリーニングし、さらに研究を続けた結果、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に下記に掲げるものに関する:
[1]下記式(I):
Figure 2018087173
式中、
、AおよびAは、それぞれ独立して、CまたはNを表し、
およびBは、それぞれ独立して、CまたはNを表し、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基から選択され、ここでA、A、A、BおよびBのいずれかがNである場合、対応するR、R、R、RおよびRは存在しない、
で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは誘導体あるいはそれらの溶媒和物、ただし3,4,5−トリメトキシ−N−[2−(4−アミノフェニル)−4−メチル−ベンゾキサゾイル]ベンズアミド、N−[4−(2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド、2−クロロ−5−メチル−N−[4−(6−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミドおよびN−[4−(5−クロロ−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]−2,4,6−トリメチルベンズアミドを除く。
[2]R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10が、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ基、メチル基またはメトキシ基から選択される、[1]の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは誘導体あるいはそれらの溶媒和物。
[3]R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10が、それぞれ独立して、水素、フッ素、シアノ基またはメチル基から選択される、[1]または[2]の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは誘導体あるいはそれらの溶媒和物。
[4]R、R、RおよびR10が、水素であり、Rが、存在しないかまたは水素である、[1]〜[3]の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは誘導体あるいはそれらの溶媒和物。
[5]R、R、R、RおよびRが、それぞれ独立して、水素、フッ素またはメチル基である、[1]〜[4]の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは誘導体あるいはそれらの溶媒和物。
[6]BおよびBが、Cである、[1]〜[5]の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは誘導体あるいはそれらの溶媒和物。
[7]AおよびAが、Cである、[1]〜[6]の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは誘導体あるいはそれらの溶媒和物。
[8]式(I)で表される化合物が、下記の化合物
Figure 2018087173
Figure 2018087173
Figure 2018087173
Figure 2018087173
からなる群から選択される、[1]〜[7]の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは誘導体あるいはそれらの溶媒和物。
[9]式(I)で表される化合物が、下記の化合物
Figure 2018087173
Figure 2018087173
Figure 2018087173
Figure 2018087173
からなる群から選択される、[1]〜[8]の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは誘導体あるいはそれらの溶媒和物。
[10][1]〜[9]の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは誘導体あるいはそれらの溶媒和物を含有する、医薬組成物。
[11] 下記式(I):
Figure 2018087173

式中、
、AおよびAは、それぞれ独立して、CまたはNを表し、
およびBは、それぞれ独立して、CまたはNを表し、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基から選択され、ここでA、A、A、BおよびBのいずれかがNである場合、対応するR、R、R、RおよびRは存在しない、
で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは誘導体あるいはそれらの溶媒和物を含有する医薬組成物であって、悪性腫瘍の予防または治療用である、前記医薬組成物。
[12]悪性腫瘍が、脳腫瘍である、[11]の医薬組成物。
本発明の化合物は、腫瘍細胞、とくに悪性脳腫瘍細胞に対して増殖阻害活性を示す一方、正常組織由来細胞に対しては毒性を示さない化合物であるため、非常に広い安全域が設定できているものである。したがって悪性脳腫瘍に限らず、広く抗腫瘍剤の有効成分として、腫瘍の処置に用いることができる。また、本発明の化合物はさらに血液脳関門を突破しやすい化合物でもあるため、特に悪性脳腫瘍の処置に好適に用いることができるものである。
また脳腫瘍治療薬として用いる際に経口投与ができるように、有効成分である化合物の構造を最適化していくことは非常に困難であると認識されている。したがって脳腫瘍治療薬としての物理化学的性質の制限とドラッグライクネスのクライテリアを達成することで動物モデルだけではなく、ヒトでの臨床試験にも対応できる薬剤として最適化する本発明のスクリーニング方法は独創的であるといえる。
図1−1〜1−5は、本発明の合成例において合成された化合物の、細胞増殖抑制能評価および細胞毒性評価試験の結果を表す表である。 図2−1〜2−2は、本発明の合成例において合成された化合物の、ADMET評価試験の結果を表す表である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書において別様に定義されない限り、本明細書で用いる全ての技術用語および科学用語は、当業者が通常理解しているものと同じ意味を有する。本明細書中で参照する全ての特許、出願、公開された出願および他の出版物は、その全体を参照により本明細書に援用する。また本明細書において参照された出版物と本明細書の記載に矛盾が生じた場合は、本明細書の記載が優先されるものとする。
<1>本発明の化合物
本発明は一側面において、以下の一般式(I)
Figure 2018087173
式中、
、AおよびAは、それぞれ独立して、炭素または窒素から選択され、
およびBは、それぞれ独立して、炭素または窒素から選択され、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ基、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、から選択される、
で表される化合物に関する。
本発明において「ハロゲン」とは、周期表の第17族に属する元素、またはそれらの原子が炭化水素、芳香族炭素環、芳香族ヘテロ環などの置換基となったものを意味する。本発明の「ハロゲン」としては、例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられる。本発明においてハロゲンが、芳香族炭素環、芳香族ヘテロ環などの置換基となる場合、好ましいハロゲンとして、フッ素、塩素および臭素が挙げられる。
「C−Cアルキル基」または「C1−6アルキル基」とは、炭素数1〜6の直鎖状および分枝鎖状の脂肪族炭化水素から任意の水素原子を1個除いて誘導される1価の基である。具体的にはメチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、2,3−ジメチルプロピル基、ヘキシル基などが挙げられる。好ましくはC−Cアルキル基であり、より好ましくはC−Cアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基である。
「C−Cアルコキシ基」または「C1−6アルコキシ基」とは、前述した「C−Cアルキル基」が酸素原子に結合して形成される1価の基である。具体的にはメトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、2,3−ジメチルプロピルオキシ基、ヘキシルオキシ基などが挙げられる。好ましくはC−Cアルコキシ基であり、より好ましくはC−Cアルコキシ基であり、さらに好ましくはメトキシ基である。
本発明において「置換されていてもよい」とは、任意の置換基で置換されてもよいことを示し、置換基としては、例えば上記R〜R10において示される置換基などが挙げられ、具体的にはC−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、C−Cアルケニル基、ハロゲンなどが挙げられる。
、A、およびAは、それぞれ独立して、CまたはNを表す。好ましい一態様において、A〜Aのいずれか1つのみがNである。さらに好ましい態様において、AがNである。別の好ましい一態様において、A〜AはいずれもCである。A〜AのいずれかがNである場合、それぞれの環員原子に対応する置換基であるR〜Rは存在しない。
およびBは、それぞれ独立して、CまたはNを表す。好ましい一態様において、BがCであり、BがNである。別の好ましい一態様において、BおよびBは両方ともCである。BまたはBがNである場合、それぞれの環員原子に対応する置換基であるRおよびRは存在しない。
、R、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基から選択される。R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、好ましくは水素、ハロゲン、シアノ基、メチル基またはメトキシ基であり、より好ましくは水素、フッ素、シアノ基またはメチル基である。
〜Rは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ基、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基およびC1−6アルコキシ基から選択される。R〜Rは、好ましくは水素、フッ素、塩素、シアノ基、メチル基またはメトキシ基である。RおよびRについては、さらに好ましくは水素、フッ素またはメチル基である。好ましい一態様において、R〜Rの少なくとも1つは存在しないか、または水素ではない。
は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ基、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基およびC1−6アルコキシ基から選択される。Rは、好ましくは水素またはメチル基である。
〜R10は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ基、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基およびC1−6アルコキシ基から選択される。R〜R10は、好ましくは水素、フッ素またはメチル基である。好ましい一態様において、R〜R10のいずれか1つが存在しないかまたは水素ではない。かかる態様において、より好ましくは、RもしくはR10がメチル基であるかまたはRがフッ素である。
本発明の一態様において、R、R、RおよびR10は水素であり、Rが、存在しないかまたは水素である。
本発明の一態様において、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、フッ素またはメチル基である。
したがって本発明の好ましい一態様において、R、R、R、RおよびR10は水素であり、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、フッ素またはメチル基である。
上記各置換基に係る好ましい態様をそれぞれ組み合わせることにより、本発明の化合物の特に好ましい態様とすることができる。
上記一般式に包含される化合物として、上記特許文献1には、3,4,5−トリメトキシ−N−[2−(4−アミノフェニル)−4−メチル−ベンゾキサゾイル]ベンズアミドが記載され、上記非特許文献1には、N−[4−(2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド、2−クロロ−5−メチル−N−[4−(6−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミドおよびN−[4−(5−クロロ−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]−2,4,6−トリメチルベンズアミドが記載されている。したがって本発明の一態様において、これらの化合物は本発明から除外される。
本発明の化合物は、一態様において、少なくとも1種の悪性腫瘍細胞、特に悪性脳腫瘍細胞に対して細胞増殖抑制活性を有する。本発明の化合物が、悪性腫瘍に対して強い細胞増殖抑制活性を発揮するメカニズムは現在のところ不明であるが、本発明者らの研究により、式(I)で表される構造およびそれに類似する構造を有するベンゾオキサゾール誘導体が、悪性脳腫瘍に対して好適な細胞増殖抑制活性を持つ候補化合物群としてスクリーニングされた。好ましい一態様において、本発明の化合物は、少なくとも1種の悪性腫瘍細胞、特に悪性脳腫瘍細胞に対して細胞増殖抑制活性を有するが、正常組織由来細胞に対しては毒性をほとんど有しない。
ある物質が細胞に対して細胞増殖抑制活性を有するか否かは、例えば当該物質の存在下および非存在下で細胞を培養し、所定の時間培養後に生存細胞数を比較するなど、当該技術分野において公知の方法により確認することができる。
別の一態様において、本発明の化合物は、血液脳関門を突破することができるものである。したがって好ましい一態様において、本発明の化合物は分子量が500未満である。さらに別の好ましい一態様において、本発明の化合物は、オクタノール/水分配係数LogPが5.0未満である。より好ましい一態様において、本発明の化合物は分子量が500未満であり、かつオクタノール/水分配係数LogPが5.0未満である。
本発明の化合物は、上述のとおり、抗腫瘍剤などの有効成分として用いることができるものである。したがって、式(I)で表される化合物の薬学的に許容可能な塩もしくは誘導体あるいはそれらの溶媒和物も本願発明に包含される。本明細書において、「本発明の化合物」という場合、別段の記載のない限り、式(I)で表される化合物のみならず、その薬学的に許容可能な塩もしくは誘導体あるいはそれらの溶媒和物も包含するものと解される。
式(I)で表される化合物の薬学的に許容可能な塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩などのスルホン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、サリチル酸塩などのカルボン酸塩、または、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアルキルアンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩などのアンモニウム塩などが含まれる。これらの塩は、例えば当該化合物と医薬品の製造に使用可能である酸または塩基とを接触させるなど、当該技術分野において公知の方法により製造することができる。
本発明において式(I)で表される化合物またはその塩は、無水物であってもよく、水和物などの溶媒和物を形成していてもよい。ここでいう「溶媒和」とは、溶液中で溶質分子あるいはイオンがそれに隣接している溶媒分子を強く引き付け、一つの分子集団をつくる現象をいい、例えば溶媒が水であれば水和という。溶媒和物は水和物、非水和物のいずれであってもよい。非水和物としては、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール)、ジメチルホルムアミドなどを使用することができる。
また本発明の化合物は、互変異性形態、例えばアミド結合のケトおよびエノール形態、ならびにそれらの混合物として存在することができる。したがって本発明の化合物には、全ての互変異性体が包含される。互変異性体は、溶液中で、互変異性セットの混合物として存在する。固体の形態では、通常、一方の互変異性体が優勢である。本発明の化合物の表記においては、一方の互変異性体の形態を、本発明の化合物を代表するものとして記載することがあるが、かかる表記においても、本発明の化合物には、全ての互変異性体を含むことが意図される。
本発明に係る化合物がフリー体として得られる場合、当該化合物の薬学的に許容可能な塩またはそれらの溶媒和物の状態に、常法に従って変換することができる。また逆に、本発明に係る化合物が、当該化合物の塩または溶媒和物として得られる場合、かかる塩または溶媒和物を化合物のフリー体に常法に従って変換することができる。
本発明の化合物には、式(I)で表される化合物の全ての同位体を含む。本発明において、「同位体」という語は、化合物を構成する原子のうち少なくとも1の原子が、原子番号(陽子数)が同じで,質量数(陽子と中性子の数の和)が異なる原子で置換されたものをいう。本発明の化合物に含まれる同位体原子の例としては、水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子、フッ素原子、塩素原子などがあり、それぞれ、H、H、13C、14C、15N、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl等が含まれる。
同位体のうち、Hや14Cのような、放射線を発して崩壊する同位体を特に「放射性同位体」という。放射性同位体は、医薬品あるいは化合物の体内組織分布試験等の際有用である。安定な同位体(すなわち放射性同位体以外の同位体)は、崩壊を起こさず、存在量がほとんど変わらず、放射能もないため、安全に使用することができる。本発明の化合物の同位体は、合成において用いる原材料や試薬を、対応する同位体を含む原材料や試薬に置き換えるなど、当該技術分野において知られた手法に従って製造することができる。
また、本発明の式(I)で表される化合物は、例えばプロドラッグなどの誘導体の形態であってもよい。本発明において「誘導体」という語は、化合物の分子内の一部分が変化してできる化合物を意味し、具体的には例えば保護基により一部官能基が保護された化合物、プロドラッグ、アミド結合のアミノ基がテトラヒドロフラニル化された化合物、オキサゾール環のアミノ基の4級アンモニウム塩化された化合物などが挙げられる。本発明において「プロドラッグ」という語は、生体に投与された後に、生理条件下(例えば生体内で)、酵素的または非酵素的分解よって、所望の化合物またはその薬学的に許容可能な塩に変換される誘導体を意味する。したがって式(I)で表される化合物のプロドラッグとは、酵素的または非酵素的分解により式(I)で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩に変換される誘導体を意味する。プロドラッグは、患者に投与されたときには不活性であってもよい。
プロドラッグは、例えば特定のpHになった時、あるいは酵素の作用によって所望の薬物形態に転化するものを含む。典型的には、プロドラッグは、生体内で遊離酸を生成する化合物であり、加水分解性のエステル残基を有する化合物である。そのような加水分解性のエステル残基の例としては、これらに限定されないが、遊離水素(例えば、式(I)中のアミドがN−カルボキシル基を有する場合は、そのカルボキシル基中の遊離水素)がC1−4アルキル基、C2−7アルカノイルオキシメチル基、4〜9個の炭素原子を有する1−(アルカノイルオキシ)エチル基、5〜10個の炭素原子を有する1−メチル−1−(アルカノイルオキシ)−エチル基、3〜6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニルオキシメチル基、4〜7個の炭素原子を有する1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル基、5〜8個の炭素原子を有する1−メチル−1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル基、3〜9個の炭素原子を有するN−(アルコキシカルボニル)アミノメチル、4〜10個の炭素原子を有する1−(N−(アルコキシカルボニル)アミノ)エチル基、3−フタリジル基、4−クロトノラクトニル基、γ−ブチロラクトン−4−イル基、ジ−N,N−(C1−2)アルキルアミノ(C2−3)アルキル基(例えばN,N−ジメチルアミノエチル基)、カルバモイル−(C1−2)アルキル基、N,N−ジ(C1−2)アルキルカルバモイル−(C1−2)アルキル基、ピペリジノ(C2−3)アルキル基、ピロリジノ(C2−3)アルキル基、又はモルホリノ(C2−3)アルキル基で置換されているカルボキシル部分を有する残基を含む。
下表に記載の化合物は、本発明者らにより、その腫瘍細胞増殖抑制活性が実際に示された化合物である。したがって、本発明の化合物のうち特に好ましい化合物として、下表に記載の化合物群が挙げられる。
Figure 2018087173
Figure 2018087173
Figure 2018087173
Figure 2018087173
上記化合物のうち、化合物番号4−27はCAS番号:433703−38−9として、化合物番号4−28はCAS番号:938422−97−0として、化合物番号4−16はCAS番号:1193029−41−2としてそれぞれ登録されている化合物ではあるが、その物性や製造方法については何ら記載されていないものであり、当該化合物が実際に製造された記録は全くなされていない。本発明の一態様において、本発明の化合物から、上記3種の化合物が除外される。
本発明のさらに好ましい化合物としては、下表に記載の化合物群が挙げられる。
Figure 2018087173
Figure 2018087173
Figure 2018087173
Figure 2018087173
代表的製造方法
本発明の式(I)で表される化合物は、例えば上記非特許文献1に記載の方法や下記の方法に従って製造することができるが、本発明の化合物の製造方法はこれらに限定されるものでない。また、必要に応じて置換基導入等の反応工程の順序を変えることができる。なお製造に際して用いる原料化合物としては市販されているものを用いても、または必要に応じて常法により製造しても良い。
以下の反応工程を表す式中、R〜R10は、式(I)において定義されたとおりである。
以下の反応式において使用するその他の略号は、当該技術分野の当業者が理解しうる通常の意味を有するものである。
また以下の一般的合成法および実施例において汎用される略号、化学式に対応する試薬や溶媒の名称を以下に記す。
EtOAc 酢酸エチル
MeI ヨウ化メチル
EtI ヨウ化エチル
i−PrI ヨウ化イソプロピル
MeOH メタノール
NaH 水素化ナトリウム
TEA トリエチルアミン
DMAP N,N−ジメチル−4−アミノピリジン
THF テトラヒドロフラン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
本発明の化合物を、例えば以下のスキームに従って製造することができる。
Figure 2018087173
[工程1]
アミド化工程である。
当工程は、4−ニトロベンゾイルクロリドaとo−アミノフェノール誘導体bを塩基存在下で反応させることで進行する。本工程は、例えば、Angewandte Chemie, International Edition,45(44),7398-7400; 2006に記載されている方法などを参考に実施および改変可能である。また比較的反応性が良いo−アミノフェノール誘導体b(例えば、B,BがCであり、R〜R10がHまたはMeであるものなど)を用いる場合、工程1を省いて下記工程2の条件下で反応を進めることにより、直接dを合成することが可能である。
反応は塩基非存在下でも進行するが、収率向上と反応速度向上のために1.5当量以上の塩基の使用が好ましい。塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等の無機塩基、あるいはt−BuOK、t−BuONa、ピリジン、TEA、DIPEA、LDA、LiHMDS、n−BuLi等の有機塩基が挙げられる、好ましくはTEAである。
溶媒としては例えばトルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、DMF、DMA、EtOAc、DMSO、ジクロロメタン、四塩化炭素、THF、ジオキサン、アセトニトリルなど、水、メタノール、エタノールなどおよびそれらの混合物を挙げることができ、好ましくはTHFである。
反応温度は室温から溶媒沸点、さらにはマイクロウェーブ合成装置を用いることで300℃までの反応温度を挙げることができ、好ましくは室温下で、反応時間は1.5時間である。
反応終了後、反応液に水を注ぎ、酢酸エチルで抽出し、有機層を1N塩酸水溶液、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させる。乾燥剤を濾去後、減圧濃縮して得られる残渣を酢酸エチル−n−ヘキサンから結晶化後、ろ過して集め、減圧下乾燥したアミドcを次の工程に用いる。
[工程2]
当工程は、工程1で生成したアミドcを酸存在下、マイクロウェーブ合成装置により加熱し、脱水環化することで、ベンゾオキサゾール、もしくはオキサゾロピリジン骨格dを構築する反応である。例えば、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 21(1), 558-561; 2011に記載されている方法などを参考に実施可および改変可能である。
反応は酸非存在下でも進行するが、収率向上と反応速度向上のために0.2当量以下の酸の使用が好ましい。酸としては、塩酸、硫酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸が挙げられる、好ましくはp−トルエンスルホン酸である。
溶媒としては例えばトルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、DMF、DMA、EtOAc、DMSO、ジクロロメタン、四塩化炭素、THF、ジオキサン、アセトニトリルなど、水、メタノール、エタノールなどおよびそれらの混合物を挙げることができ、好ましくはトルエンである。
反応温度は室温から溶媒沸点、さらにはマイクロウェーブ合成装置を用いることで300℃までの反応温度を挙げることができ、好ましくはマイクロウェーブ合成装置使用下で210℃、反応時間は30分である。
反応終了後、反応液に水を注ぎ、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。乾燥剤を濾去後、減圧濃縮して得られた残渣を酢酸エチル−n−ヘキサンから結晶化後、ろ過して集め、減圧下乾燥したアニリンIIdを次の工程に用いる。
[工程3]
ニトロ基のアミンへの接触還元反応である。一般的なニトロ基還元条件では、水素源として水素ガスを用いることが多いが、当工程では、水素源として1,4−シクロヘキサジエンを用いて反応させることで進行させることができ、例えばBioorganic & medicinal chemistry letters,12,22,3309-3312; 2002に記載の方法などを参考に実施および改変可能である。
反応はパラジウム炭素存在下、溶媒中室温から溶媒沸点、さらにはマイクロウェーブ合成装置を用いることで300℃までの反応条件で行われる。反応終了後、パラジウム炭素をろ過により除去した後、反応溶液を留去し、生じた沈殿物をろ過し集め乾燥後次の工程に用いる。
反応に用いるパラジウム炭素は例えば、5%パラジウム炭素または10%パラジウム炭素を使用することができ、好ましくは10%パラジウム炭素である。
水素源として用いる1,4−シクロヘキサジエンは過剰量が必要であり、好ましくは10等量である。
溶媒としては例えばメタノール、エタノールなどのアルコール系溶媒を挙げることができ、好ましくはメタノールである。
反応温度は室温から溶媒沸点、さらにはマイクロウェーブ合成装置を用いることで300℃までの反応条件を挙げることができ、好ましくはマイクロウェーブ合成装置使用下で120℃、反応時間は10分である。
精製は、反応終了後、パラジウム炭素をろ過により除去した後、反応溶液を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製する。減圧下乾燥したアニリンeを次の工程に用いる。
[工程4]
アミド化工程である。
当工程では、工程3で合成されたアニリン誘導体eとカルボン酸ハロゲン化物fを塩基存在下で反応させて行う。
反応は塩基非存在下でも進行するが、収率向上と反応速度向上のために1.5当量以上の塩基の使用が好ましい。塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等の無機塩基、あるいはt−BuOK、t−BuONa、ピリジン、TEA、DIPEA、LDA、LiHMDS、n−BuLi等の有機塩基が挙げられる、好ましくはTEAである。
溶媒としては例えばトルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、DMF、DMA、EtOAc、DMSO、ジクロロメタン、四塩化炭素、THF、ジオキサン、アセトニトリルなど、水、メタノール、エタノールなどおよびそれらの混合物を挙げることができ、好ましくはTHFである。
反応温度は室温から溶媒沸点、さらにはマイクロウェーブ合成装置を用いることで300℃までの反応温度を挙げることができ、好ましくは室温下で、反応時間は30分である。
反応終了後、反応液に水を注ぎ、酢酸エチルで抽出し、有機層を1N塩酸水溶液、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。乾燥剤を濾去後、減圧濃縮して得られた残渣を酢酸エチル−n−ヘキサンから結晶化後、ろ過して集め、減圧下乾燥したアミドIIgを次の工程に用いる。
[工程5]
アミドgのアミノ基へのアルキル化工程である。当工程は、アミドgを塩基存在下アルキル化剤と反応させることで進行させることができ、例えばBioorganic and Medicinal Chemistry Letters,18,20,5537-5540; 2008に記載の方法などを参考に実施および改変可能である。
アルキル化剤としては、MeI、EtI、i−PrIなどのアルキルハライド、ジメチル硫酸、メチルメタンスルホネート、メチルトシレート、メチルトリフルオロメタンスルホネートなどのスルホン酸エステルを挙げることができ、好ましくはMeIなどのアルキルハライドである。
塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等の無機塩基、あるいはt−BuOK、t−BuONa、ピリジン、TEA、DIPEA、LDA、LiHMDS、n−BuLi等の有機塩基が挙げられる、好ましくは水素化ナトリウムである。
溶媒としては例えばトルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、DMF、DMA、EtOAc、DMSO、ジクロロメタン、四塩化炭素、THF、ジオキサン、アセトニトリルなど、およびそれらの混合物を挙げることができ、好ましくはDMFである。
[原料化合物の合成]
本発明の化合物の原料化合物の一部は新規化合物であり、これらの化合物は公知の原料化合物と同様にして、あるいは公知の方法を用いて容易に合成できる。
以上、本発明の式(I)で表される化合物の製造方法の一例を示したが、上述の反応工程に示した目的化合物の単離・精製は、抽出、濃縮、留去、結晶化、濾過、再結晶、各種クロマトグラフィーなどの通常の化学操作を適用して行うことができる。
<2>本発明の医薬組成物
本発明は、一側面において、本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは誘導体あるいはそれらの溶媒和物を含む医薬組成物に関する。
本発明の化合物は、上述のとおり、悪性腫瘍細胞の増殖を抑制する活性を有するものである。また本発明の化合物は、一態様において、血液脳関門を突破しやすいという性質を有する。したがって、本発明の医薬組成物は、悪性腫瘍の予防および/または治療、特に悪性脳腫瘍の処置のために好適に用いることができる。
本発明において、「悪性腫瘍」という語は、遺伝子変異などによって自律的で制御されない増殖を行うようになった細胞集団(腫瘍)のうち、特に周囲の組織に浸潤し、または転移を起こすものをいう。また「悪性脳腫瘍」という語は、中枢神経系において生じた腫瘍(原発性および転移性を含む)のうち、特に悪性度の高い(例えばグレード2以上)のものをいう。
本発明の医薬組成物は、有効成分として少なくとも一種の本発明の化合物を含むものであるが、薬理効果に悪影響がなく、また使用による利益を超える悪影響が生じない限り、さらに他の本発明の化合物および/または公知の抗腫瘍性物質を含んでよい。また、例えば薬学的に許容される担体、界面活性剤などの、本発明の化合物の治療効果を効果的に達成するための成分や、賦形剤など、他の任意の成分を含んでもよい。これらの他の成分は当該技術分野において周知であり、当業者はその目的や使用方法に応じて、これらの成分を適宜選択することが可能である。
本明細書において、「薬学的に許容される担体」という用語は、一種以上の適合性の固体または液体の賦形希釈剤またはカプセル化材料であって、哺乳類への投与に適したものを意味する。本明細書において、「許容される」という用語は、通常の使用条件下で組成物の医薬的な有効性を実質的に減少させるような反応をお互いに起こすことがないような方法で、組成物中の成分と対象化合物とが混合されうることを意味する。薬学的に許容される担体は、当然、処置されようとする、好ましくは動物、より好ましくは哺乳類への投与に適するように、十分に高い純度と十分に低い毒性を有していなければならない。
薬学的に許容される担体として用いられうる材料の例としては、乳糖、ブドウ糖、ショ糖などの糖類;トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプンなどのデンプン類;セルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、メチルセルロースなどの誘導体;トラガカントガム粉末;麦芽;ゼラチン;タルク;ステアリン酸やステアリン酸マグネシウムなどの固形潤滑剤;硫酸カルシウム;ピーナッツ油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、植物油、カカオ油などの植物油;プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコールなどの多価アルコール;アルギン酸;TWEENのような乳化剤;レシチンのような湿潤剤;着色剤;香料;錠剤化剤(tableting agent);安定化剤;坑酸化剤;防腐剤;パイロジェンフリー水;等張塩水溶液;及びリン酸緩衝液などがあげられる。
本発明の医薬組成物を、悪性腫瘍の治療剤又は予防剤として使用する場合、その投与方法は、経口的、直腸的、非経口的(静脈内的、筋肉内的、皮下的)、槽内的、膣内的、腹腔内的、髄腔内的、脳実質内的、膀胱内的、経皮的(貼付剤、軟膏、ゲル剤またはクリーム剤など)、経粘膜的(口腔用パッチ、坐剤、舌下錠など)、局所的(動注、点滴、散剤など)投与および吸入(口腔内または鼻スプレーなど)などが挙げられる。本発明の医薬組成物の有効成分である本発明の化合物は、一態様において血液脳関門を突破しやすいという性質を有するため、特に悪性脳しゅようの処置において、全身的に投与することが可能である点に一つの特徴を有する。したがって好ましくは経口投与、静脈内投与などを含む全身投与に供されるものである。
その投与形態としては、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、丸剤、水性および非水性の経口用溶液および懸濁液、および個々の投与量に小分けするのに適応した容器に充填した非経口用溶液が挙げられる。また投与形態は、皮下移植のような調節された放出処方物を包含する種々の投与方法に適応させることもできる。
上記の製剤は、賦形剤、滑沢剤(コーティング剤)、結合剤、崩壊剤、安定剤、矯味矯臭剤、希釈剤などの添加剤を用いて周知の方法で製造される。
例えば、賦形剤としては、デンプン、バレイショデンプン、トウモロコシデンプン等のデンプン、乳糖、結晶セルロース、リン酸水素カルシウム等を挙げることができる。
コーティング剤としては、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セラック、タルク、カルナウバロウ、パラフィン等を挙げることができる。
結合剤としては、例えばポリビニルピロリドン、マクロゴール及び前記賦形剤と同様の化合物を挙げることができる。
崩壊剤としては、例えば前記賦形剤と同様の化合物及びクロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポリビニルピロリドンのような化学修飾されたデンプン・セルロース類を挙げることができる。
安定剤としては、例えばメチルパラベン、プロピルパラベンのようなパラオキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコールのようなアルコール類;塩化ベンザルコニウム;フェノール、クレゾールのようなフェノール類;チメロサール;デヒドロ酢酸;及びソルビン酸を挙げることができる。
矯味矯臭剤としては、例えば通常使用される、甘味料、酸味料、香料等を挙げることができる。
また、液剤を製造するための溶媒としては、エタノール、フェノール、クロロクレゾール、精製水、蒸留水等を使用することができる。
界面活性剤又は乳化剤としては、例えば、ポリソルベート80、ステアリン酸ポリオキシル40、ラウロマクロゴール等を挙げることができる。
本発明の医薬組成物中の本発明の化合物の含量としては、悪性腫瘍、特に悪性脳腫瘍の処置において有効な量であればよい。具体的な量としては、治療目的の疾患、症状、対象の年齢、体重、相対的健康状態、他の投薬の存在、投与方法等に依拠して適宜調整することができるが、例えば経口投与用組成物である場合、通常、一日につき体重1kg当たり0.001〜1000mg、さらに好ましくは体重1kg当たり0.01〜300mg程度の量が好ましい。
<3>本発明の悪性腫瘍の処置方法
本発明は一側面において、対象における悪性腫瘍を予防および/または治療する方法であって、1種または2種以上の本発明の化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む方法にも関する。本発明の医薬組成物を、悪性腫瘍の治療剤又は予防剤として使用する場合、本発明の化合物の使用量は、症状、年齢、体重、相対的健康状態、他の投薬の存在、投与方法等により異なり得る。例えば患者(温血動物、特に人間)に対して、一般に有効な量は、有効成分(式(I)で表される本発明の化合物)として、経口剤の場合、一日につき体重1kg当たり好ましくは0.001〜1000mg、さらに好ましくは体重1kg当たり0.01〜300mgであり、一日当たりの使用量は、例えば対象がヒトである場合、普通の体重の成人患者に対しては、好ましくは1〜800mgの範囲にある。非経口剤の場合、一日につき体重1kg当たり好ましくは0.001〜1000mg、さらに好ましくは体重1kg当たり0.01〜300mgである。これを1日1回又は数回に分けて、症状に応じて投与することが望ましい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが,本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
マイクロウェーブ反応はBiotage社製Initiatorを用い、スナップキャップ反応バイアルを用いて行われた。最大出力のセッティングはマイクロウェーブによる温度上昇を避けるための、反応容器の空気冷却を含む。
合成された化合物の精製にはBiotage社製Isolera Primeを用い,精製用カラムにはBiotage社製SNAPカートリッジを用いた。
質量スペクトルデータはWaters社製SQ Detector2を用いて得た。
NMR解析は、JEOL社製JNM-EC500(500MHz)同社製JNM-ECX400P(400MHz)、あるいはJNM-ECX400(400MHz)を用いて行ない、NMRデータは、ppm(parts per million)(δ)で示し、サンプル溶媒からのデューテリウムロック信号を参照した。
市販の試薬は更に精製することなく用いた。室温とは20〜25度程度の範囲をいう。
全ての非水性反応は窒素あるいはアルゴン雰囲気下で無水溶媒中実施した。減圧下濃縮あるいは溶媒留去は、ロータリーエバポレータを用いた。
化合物の調製において、好ましくない副反応が起こる可能性がある際は必要に応じ保護基により官能基を保護し、標的分子を調製した後、前記保護基は除去した。保護基の選択および脱着操作は、例えば、Greene and Wuts, “Protective Groups in Organic Sythesis”(第5版,JohnWiley & Sons 2014)に記載の方法により実施した。
合成例1.N−(2−ヒドロキシ−4−フルオロフェニル)−4−ニトロベンズアミド(化合物番号1−1)
Figure 2018087173
2−アミノ−5−フルオロフェノール(337mg、2.66mmol)を無水テトラヒドロフラン(3.5mL)に溶解させ、トリエチルアミン(557μL、3.99mmol)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(33mg,0.266mmol)を加え、室温にて5分間攪拌を行った後、無水テトラヒドロフラン(3.5mL)に溶解させた4−ニトロベンゾイルクロリド(529mg、3.19mmol)を氷上で滴下し、室温で1時間30分攪拌した。
反応後、水(10mL)を反応懸濁液に注ぎ、酢酸エチル(10mL)で振盪抽出を行った。さらに酢酸エチル層は、1N塩酸水溶液(10mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)にて洗い、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥、濾過した後、溶媒を留去した。析出した固体は酢酸エチル:ヘキサン=1:4溶液(5mL)に再懸濁させ濾取し、同溶媒(10mL)で洗い込んだ後、減圧乾固させることで、黄色結晶の標題化合物を544mg(1.97mmol、収率74%)得た。
H−NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:6.64(ddd,J=8.6Hz,8.6Hz,2.9Hz,1H),6.69(dd,J=10Hz,2.9Hz,1H),7.48(dd,J=8.0Hz,6.9Hz,1H),8.16(d,8.6Hz,2H),8.32(d,J=8.6Hz,2H),9.85(s,1H),10.7(s,1H).
LCMS:m/z 275.38[M−H]である。
合成例2.6−フルオロ−2−(4−ニトロフェニル)ベンゾオキサゾール(化合物番号2−1)
Figure 2018087173
N−(2−ヒドロキシ−4−フルオロフェニル)−4−ニトロベンズアミド(241mg、0.873mmol)、p−トルエンスルホン酸1水和物(33mg、0.175mmol)、トルエン(12mL)を20mLスナップキャップ反応バイアル(Biotage社製)に加え、マイクロウェーブ合成装置使用下で210℃、反応時間は30分で加熱、攪拌した。
室温まで冷却した後、水(10mL)を反応懸濁液に注ぎ、酢酸エチル(10mL)で振盪抽出を行った。さらに酢酸エチル層は、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)にて洗い、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥、濾過した後、溶媒を留去した。析出した固体は酢酸エチル:ヘキサン=1:4溶液(5mL)に再懸濁させ濾取し、同溶媒(10mL)で洗い込んだ後、減圧乾固させることで、黄色結晶の標題化合物を153mg(0.591mmol、収率68%)得た。
H−NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:7.33(ddd,J=9.9Hz,8.6Hz,2.3Hz,1H),7.86(dd,J=8.6Hz,2.3Hz,1H),7.90(dd,J=8.6Hz,5.2Hz,1H),8.39(d,J=9.2Hz,2H),8.42(d,J=9.2Hz,2H).
合成例3.6−フルオロ−2−(4−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(化合物番号3−1)
Figure 2018087173
6−フルオロ−2−(4−ニトロフェニル)ベンゾオキサゾール(370mg、1.43mmol)、1,4−シクロヘキサジエン(1.34mL,14.1mmol)、10%パラジウム炭素(37mg)を20mLスナップキャップ反応バイアル(Biotage社製)に加え、さらにメタノール(10mL)を室温にて加え懸濁し、マイクロウェーブ合成装置使用下で120℃、反応時間は10分で加熱、攪拌を行った。
室温まで冷却後、反応懸濁液をセライト濾過し、10%パラジウム炭素を除去した。溶媒を減圧下留去後、得られた残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し(25gシリカゲル、20%から30%酢酸エチル/ヘキサンで溶出)、溶媒を減圧下留去し、減圧乾固させることで、白色結晶の標題化合物を297mg(1.31mmol、収率91%)得た。
H−NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:5.97(brs,2H),6.65(d,J=8.6Hz,2H),7.16(ddd,J=10Hz,8.6Hz,2.3Hz,1H),7.62(d,J=8.6Hz,1H),7.63(dd,J=8.6Hz,1.7Hz,1H),7.79(d,J=9.2Hz,2H).
LCMS:m/z 229.21[M+H]である。
合成例4.2−フルオロ−N−[4−(6−フルオロ−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(化合物番号4−1)
Figure 2018087173
6−フルオロ−2−(4−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(11.5mg、0.0504mmol)を無水テトラヒドロフラン(2.0mL)に溶解させ、トリエチルアミン(11μL、0.0756mmol)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジンを触媒量加え、0℃にて5分間攪拌を行った後、2−フルオロベンゾイルクロリド(7.2μL、0.0605mmol)を滴下し、室温に昇温させて12時間攪拌した。
反応後、水(10mL)を反応懸濁液に注ぎ、酢酸エチル(10mL)で振盪抽出を行った。さらに酢酸エチル層は、1N塩酸水溶液(10mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)にて洗い、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥、濾過した後、溶媒を留去した。析出した固体は酢酸エチル:ヘキサン=1:4溶液(5mL)に再懸濁させ濾取し、同溶媒(10mL)で洗い込んだ後、減圧乾固させることで、白色結晶の標題化合物を12.2mg(0.0349mmol、収率69%)得た。
H−NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:7.25(ddd,J=10Hz,8.6Hz,2.3Hz,1H),7.33(dd,J=7.5Hz,7.5Hz,2H),7.35(dd,J=10Hz,9.0Hz,1H),7.56−7.60(m,1H),7.68(ddd,J=7.5Hz,7.5Hz,1.7Hz,1H),7.75(dd,J=8.3Hz,2.3Hz,1H),7.78(dd,J=8.6Hz,5.2Hz,1H),7.94(d,J=8.6Hz,2H),8.14(d,J=8.6Hz,2H),10.8(s,1H).
LCMS:m/z 351.16[M+H]である。
合成例5.3−フルオロ−N−[4−(6−フルオロ−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(化合物番号4−2)
Figure 2018087173
合成例4と同様の条件において、2−フルオロベンゾイルクロリドに代えて3−フルオロベンゾイルクロリド(8.2μL、0.0679mmol)を用いることにより、白色結晶の標題化合物を13.2mg(0.0377mmol、収率67%)得た。
H−NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:7.26(ddd,J=9.9Hz,8.6Hz,2.3Hz,1H),7.45(ddd,J=8.6Hz,8.6Hz,1.7Hz,1H),7.59(ddd,J=8.0Hz,8.0Hz,5.7Hz,1H),7.75(dd,J=8.6Hz,2.9Hz,1H),7.77(d,J=8.6Hz,1H),7.78(dd,J=8.6Hz,5.2Hz,1H),7.81(d,J=8.0Hz,1H),8.01(d,J=8.6Hz,2H),8.15(d,J=8.6Hz,2H),10.6(s,1H).
LCMS:m/z 351.26[M+H]である。
合成例6.4−フルオロ−N−[4−(6−フルオロ−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(化合物番号4−3)
Figure 2018087173
合成例4と同様の条件において、2−フルオロベンゾイルクロリドの代わりに4−フルオロベンゾイルクロリド(7.6μL、0.0626mmol)を用いることにより、白色結晶の標題化合物を13.9mg(0.0396mmol、収率76%)得た。
H−NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:7.25(ddd,J=9.9Hz,8.6Hz,2.3Hz,1H),7.37(dd,J=8.9Hz,8.6Hz,2H),7.75(dd,J=8.3Hz,2.3Hz,1H),7.78(dd,J=8.6Hz,5.2Hz,1H),8.01(d,J=8.6Hz,2H),8.04(dd,J=8.9Hz,5.2Hz,2H),8.14(d,J=9.2Hz,2H),10.6(s,1H).
LCMS:m/z 351.22[M+H]である。
合成例7.3,4−ジフルオロ−N−[4−(6−フルオロ−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(化合物番号4−4)
Figure 2018087173
6−フルオロ−2−(4−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(20.6mg、0.0904mmol)を無水テトラヒドロフラン(2.0mL)に溶解させ、トリエチルアミン(20μL、0.136mmol)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジンを触媒量加え、室温にて5分間攪拌を行った後、3,4−ジフルオロベンゾイルクロリド(13μL、0.108mmol)を氷上で滴下し、室温に昇温させて3時間攪拌した。その後、トリエチルアミン(20μL、0.136mmol)、3,4−ジフルオロベンゾイルクロリド(13μL、0.108mmol)を追加し、室温でさらに1時間攪拌した。
反応後、水(10mL)を反応懸濁液に注ぎ、酢酸エチル(10mL)で振盪抽出を行った。さらに酢酸エチル層は、1N塩酸水溶液(10mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)にて洗い、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥、濾過した後、溶媒を留去した。析出した固体は酢酸エチル:ヘキサン=1:4溶液(5mL)に再懸濁させ濾取し、同溶媒(10mL)で洗い込んだ後、減圧乾固させることで、白色結晶の標題化合物を21.2mg(0.0576mmol、収率64%)得た。
H−NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:7.25(ddd,J=10Hz,8.9Hz,2.3Hz,1H),7.62(td,J=9.3Hz,8.6Hz,1H),7.75(dd,J=8.9Hz,2.3Hz,1H),7.78(dd,J=8.6Hz,5.2Hz,1H),7.84−7.89(m,1H),7.99(d,J=8.6Hz,2H),8.04(ddd,J=11Hz,8.2Hz,2.3Hz,1H),8.15(d,J=9.2Hz,2H),10.6(s,1H).
LCMS:m/z 369.30[M+H]である。
合成例8.5−フルオロ−N−[4−(6−フルオロ−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミド(化合物番号4−5)
Figure 2018087173
6−フルオロ−2−(4−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(20.4mg、0.0895mmol)を無水テトラヒドロフラン(1.0mL)に溶解させ、トリエチルアミン(25μL、0.179mmol)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジンを触媒量加え、室温にて5分間攪拌を行った後、5−フルオロ−3−ピリジンカルボニルクロリド(12μL、0.0985mmol)を氷上で滴下し、室温に昇温させて1時間攪拌した。
反応後、水(10mL)を反応懸濁液に注ぎ、酢酸エチル(10mL)で振盪抽出を行った。さらに酢酸エチル層は、飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)にて洗い、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥、濾過した後、溶媒を留去した。析出した固体はエタノール(5mL)に再懸濁させ濾取し、同溶媒(10mL)、水(10mL)で洗い込んだ後、減圧乾固させることで、白色結晶の標題化合物を16.2mg(0.0462mmol、収率52%)得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ:7.26(ddd,J=10Hz,8.6Hz,2.3Hz,1H),7.76(dd,J=8.6Hz,2.3Hz,1H),7.79(dd,J=8.6Hz,5.0Hz,1H),8.00(d,J=9.1Hz,2H),8.17(d,J=8.6Hz,2H),8.23(ddd,J=9.5Hz,2.7Hz,1.8Hz,1H),8.80(d,J=2.7Hz,1H),8.98(dd,J=1.8Hz,1.8Hz,1H),10.8(s,1H).
LCMS:m/z 352.29[M+H]である。
合成例9.4−シアノ−N−[4−(6−フルオロ−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(化合物番号4−6)
Figure 2018087173
6−フルオロ−2−(4−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(13.8mg、0.0605mmol)を無水テトラヒドロフラン(2.0mL)に溶解させ、トリエチルアミン(12.7μL、0.0908mmol)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジンを触媒量加え、室温にて5分間攪拌を行った後、無水テトラヒドロフラン(1.0mL)に溶解させた4−シアノベンゾイルクロリド(12mg、0.0726mmol)を氷上で滴下し、室温に昇温させて4時間攪拌した。
反応後、水(10mL)を反応懸濁液に注ぎ、酢酸エチル(10mL)で振盪抽出を行った。さらに酢酸エチル層は、1N塩酸水溶液(10mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)にて洗い、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥、濾過した後、溶媒を留去した。析出した固体は酢酸エチル:ヘキサン=1:4溶液(5mL)に再懸濁させ濾取し、同溶媒(10mL)で洗い込んだ後、減圧乾固させることで、薄黄色結晶の標題化合物を14.5mg(0.0406mmol、収率67%)得た。
H−NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:7.26(ddd,J=9.9Hz,8.6Hz,2.3Hz,1H),7.76(dd,J=8.6Hz,2.3Hz,1H),7.78(dd,J=9.2Hz,5.2Hz,1H),8.01(d,J=8.6Hz,2H),8.03(d,J=8.0Hz,2H),8.10(d,J=8.6Hz,2H),8.16(d,J=8.6Hz,2H),10.8(s,1H).
LCMS:m/z 358.27[M+H]である。
合成例10.N−[4−(6−フルオロ−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミド(化合物番号4−7)
Figure 2018087173
6−フルオロ−2−(4−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(23.7mg、0.104mmol)を無水テトラヒドロフラン(2.0mL)に溶解させ、トリエチルアミン(15μL、0.104mmol)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジンを触媒量加え、室温にて5分間攪拌を行った後、ピリジン(1mL)に溶解させたニコチノイルクロリド1塩酸塩(28mg、0.156mmol)を氷上で滴下し、室温に昇温させて5時間攪拌した。その後、トリエチルアミン(15μL、0.104mmol)、ピリジン(1mL)に溶解させたニコチノイルクロリド1塩酸塩(28mg、0.156mmol)を追加し、室温でさらに1時間攪拌した。
反応後、水(10mL)を反応懸濁液に注ぎ、酢酸エチル(10mL)で振盪抽出を行った。さらに酢酸エチル層は、水(10mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)にて洗い、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥、濾過した後、溶媒を留去した。析出した固体は酢酸エチル:ヘキサン=1:4溶液(5mL)に再懸濁させ濾取し、同溶媒(10mL)で洗い込んだ後、減圧乾固させることで、薄黄色結晶の標題化合物を30.7mg(0.0922mmol、収率89%)得た。
合成例11.4−フルオロ−N−[4−(6−フルオロ−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミド(化合物番号4−8)
Figure 2018087173
6−フルオロ−2−(4−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(17.3mg、0.0758mmol)、6−フルオロニコチン酸(12mg、0.0835mmol)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(11.4mg,0.0835mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(500μL)に溶解させ、0℃にて5分間攪拌を行った後、N,N−ジメチルホルムアミド(500μL)に溶解させた1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(17.5mg、0.0910mmol)を氷上で滴下し、室温に昇温させて4時間攪拌した。その後、80℃に昇温させてさらに12時間反応させた。
反応後、水(10mL)を反応懸濁液に注ぎ、酢酸エチル(10mL)で振盪抽出を行った。さらに酢酸エチル層は、1N塩酸水溶液(10mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)、水(10mL)にて洗い、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥、濾過した後、溶媒を留去した。析出した固体は酢酸エチル:ヘキサン=1:4溶液(5mL)に再懸濁させ濾取し、同溶媒(10mL)、冷却したメタノール(5mL)で洗い込んだ後、減圧乾固させることで、白色結晶の標題化合物を10.9mg(0.0310mmol、収率37%)得た。
H−NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:7.26(ddd,J=9.9Hz,8.6Hz,2.3Hz,1H),7.37(dd,J=8.6Hz,2.3Hz,1H),7.75(dd,J=8.6Hz,2.3Hz,1H),7.78(dd,J=9.2Hz,5.2Hz,1H),7.99(d,J=8.6Hz,2H),8.16(d,J=9.2Hz,2H),8.50(td,J=8.6Hz,2.3Hz,1H),8.81(d,J=2.3Hz,1H),10.8(s,1H).
LCMS:m/z 352.24[M+H]である。
合成例12.3−フルオロ−N−[4−(6−フルオロ−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]−4−ピリジンカルボキサミド(化合物番号4−9)
Figure 2018087173
合成例11と同様の条件において、6−フルオロニコチン酸の代わりに2−フルオロイソニコチン酸(12mg、0.0835mmol)を用いることにより、白色結晶の標題化合物を13mg(0.0370mmol、収率44%)得た。
H−NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:7.26(ddd,J=9.9Hz,8.6Hz,2.3Hz,1H),7.67(s,1H),7.76(dd,J=8.6Hz,2.3Hz,1H),7.78(dd,J=9.1Hz,5.2Hz,1H),7.82(dt,J=5.2Hz,1.7Hz,2H),8.00(d,J=8.6Hz,2H),8.17(d,J=9.2Hz,2H),8.45(d,J=5.2Hz,1H),10.9(s,1H).
LCMS:m/z 352.24[M+H]である。
合成例13.3,4,5−トリフルオロ−N−[4−(6−フルオロ−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(化合物番号4−10)
Figure 2018087173
合成例11と同様の条件において、6−フルオロニコチン酸の代わりに3,4,5−トリフルオロ安息香酸(14.7mg、0.0835mmol)を用いることにより、白色結晶の標題化合物を9.0mg(0.0233mmol、収率28%)得た。
H−NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:7.26(ddd,J=9.9Hz,8.6Hz,2.3Hz,1H),7.75(dd,J=8.6Hz,2.3Hz,1H),7.78(dd,J=8.6Hz,5.2Hz,1H),7.94(dd,J=8.0Hz,6.9Hz,2H),7.98(d,J=8.6Hz,2H),8.16(d,J=9.2Hz,2H),10.7(s,1H).
LCMS:m/z 387.23[M+H]である。
合成例14.3−クロロ−N−[4−(6−フルオロ−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(化合物番号4−11)
Figure 2018087173
6−フルオロ−2−(4−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(18.7mg、0.0820mmol)を無水テトラヒドロフラン(2.0mL)に溶解させ、トリエチルアミン(34μL、0.246mmol)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジンを触媒量加え、室温にて5分間攪拌を行った後、3−クロロベンゾイルクロリド(12.6μL、0.0984mmol)を氷上で滴下し、室温に昇温させて5時間攪拌した。その後、3−クロロベンゾイルクロリド(2.1μL、0.0164mmol)を追加し、室温でさらに12時間攪拌した。
反応後、水(10mL)を反応懸濁液に注ぎ、酢酸エチル(10mL)で振盪抽出を行った。さらに酢酸エチル層は、1N塩酸水溶液(10mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)にて洗い、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥、濾過した後、溶媒を留去した。析出した固体は酢酸エチル:ヘキサン=1:4溶液(5mL)に再懸濁させ濾取し、同溶媒(10mL)で洗い込んだ後、減圧乾固させることで、白色結晶の標題化合物を16.5mg(0.0500mmol、収率55%)得た。
H−NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:7.25(ddd,J=9.9Hz,8.6Hz,2.3Hz,1H),7.57(dd,J=7.7Hz,7.5Hz,1H),7.67(ddd,J=8.0Hz,1.2Hz,1.2Hz,1H),7.75(dd,J=8.9Hz,2.3Hz,1H),7.78(dd,J=8.9Hz,5.2Hz,1H),7.91(dd,J=7.5Hz,1.2Hz,1H),8.01(d,J=8.6Hz,2H),8.01(dd,J=4.0Hz,2.3Hz,1H),8.15(d,J=8.6Hz,2H),10.7(s,1H).
LCMS:m/z 367.29[M+H]である。
合成例15.4−クロロ−N−[4−(6−フルオロ−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(化合物番号4−12)
Figure 2018087173
合成例14と同様の条件において、3−クロロベンゾイルクロリドの代わりに4−クロロベンゾイルクロリド(11.7μL、0.0916mmol)を用いることにより、白色結晶の標題化合物を17.8mg(0.0485mmol、収率64%)得た。
H−NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:7.25(ddd,J=10Hz,8.6Hz,2.3Hz,1H),7.61(d,J=8.0Hz,2H),7.75(ddd,J=8.6Hz,2.3Hz,1H),7.78(dd,J=8.9Hz,5.2Hz,1H),7.98(d,J=8.6Hz,2H),8.01(d,J=8.6Hz,2H),8.14(d,J=8.6Hz,2H),10.6(s,1H).
LCMS:m/z 367.30[M+H]である。
合成例16.2−メチル−N−[4−(6−フルオロ−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(化合物番号4−13)
Figure 2018087173
6−フルオロ−2−(4−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(11.8mg、0.0518mmol)を無水テトラヒドロフラン(2.0mL)に溶解させ、N,N−ジメチル−4−アミノピリジンを触媒量加え、0℃にて5分間攪拌を行った後、2−メチルベンゾイルクロリド(81μL、0.622mmol)を滴下し、室温に昇温させて1時間攪拌した。
反応後、水(10mL)を反応懸濁液に注ぎ、酢酸エチル(10mL)で振盪抽出を行った。さらに酢酸エチル層は、1N塩酸水溶液(10mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)にて洗い、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥、濾過した後、溶媒を留去した。析出した固体は酢酸エチル:ヘキサン=1:4溶液(5mL)に再懸濁させ濾取し、同溶媒(10mL)で洗い込んだ後、減圧乾固させることで、白色結晶の標題化合物を13.1mg(0.0379mmol、収率73%)得た。
H−NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:2.37(s,3H),7.25(ddd,J=10Hz,8.9Hz,2.9Hz,1H),7.30(d,J=8.0Hz,2H),7.39(td,J=7.5Hz,1.2Hz,1H),7.47(d,J=7.5Hz,1H),7.75(dd,J=8.9Hz,2.3Hz,1H),7.77(dd,J=8.6Hz,5.2Hz,1H),7.96(d,J=8.6Hz,2H),8.13(d,J=8.6Hz,2H),10.7(s,1H).
LCMS:m/z 347.26[M+H]である。
合成例17.4−メチル−N−[4−(6−フルオロ−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(化合物番号4−14)
Figure 2018087173
6−フルオロ−2−(4−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(6.8mg、0.0298mmol)を無水テトラヒドロフラン(1.0mL)に溶解させ、アルゴン雰囲気下60%水素化ナトリウム(4.6mg、0.149mmol)を加え、室温にて5分間攪拌を行った後、4−メチルベンゾイルクロリド(4.6μL、0.0342mmol)を加え、室温で12時間攪拌した。
TLCにて反応終結を確認後、飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL)を反応懸濁液に注ぎ、酢酸エチル(10×2mL)で振盪抽出を行った。さらに酢酸エチル層は、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)にて洗い、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥、濾過した後、溶媒を留去した。析出した固体は酢酸エチル:ヘキサン=1:4溶液(5mL)に再懸濁させ濾取し、同溶媒(10mL)、冷却したメタノール(3mL)で洗い込んだ後、減圧乾固させることで、白色結晶の標題化合物を6.8mg(0.0197mmol、収率66%)得た。
H−NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:2.37(s,3H),7.25(ddd,J=10Hz,8.6Hz,2.3Hz,1H),7.33(d,J=8.0Hz,2H),7.75(dd,J=8.6Hz,2.3Hz,1H),7.77(dd,J=8.6Hz,5.2Hz,1H),7.87(d,J=8.0Hz,2H),8.02(d,J=8.6Hz,2H),8.13(d,J=8.6Hz,2H),10.5(s,1H).
LCMS:m/z 347.28[M+H]である。
合成例18.3−フルオロ−N−[4−(4−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(化合物番号4−15)
Figure 2018087173
4−メチル−2−(4−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(50mg、0.223mmol)を無水テトラヒドロフラン(5mL)に溶解させ、アルゴン雰囲気下60%水素化ナトリウム(10.8mg、0.268mmol)を加え、室温にて10分間攪拌を行った後、3−フルオロベンゾイルクロリド(26.4μL、0.223mmol)を滴下し、室温で30分間攪拌した。
反応後、飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL)を反応懸濁液に注ぎ、酢酸エチル(5×2mL)で振盪抽出を行った。さらに酢酸エチル層は、水(10mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)にて洗い、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥、濾過した後、溶媒を留去した。析出した固体は酢酸エチル:ヘキサン=1:1溶液(5mL)に再懸濁させ濾取し、同溶媒(10mL)で洗い込んだ後、減圧乾固させることで、白色結晶の標題化合物を11.7mg(0.0329mmol、収率15%)得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:2.68(s,3H),7.15(d,J=7.2Hz,1H),7.23(d,J=7.6Hz,1H),7.27−7.32(m,1H),7.40(d,J=8.1Hz,1H),7.48−7.54(m,1H),7.61−7.67(m,2H),7.83(d,J=9.0Hz,2H),7.91(brs,1H),8.30(dd,J=7.0Hz,2.0Hz,2H).
LCMS:m/z 347[M+H]である。
合成例19.4−フルオロ−N−[4−(4−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(化合物番号4−16)
Figure 2018087173
合成例18と同様の条件において、3−フルオロベンゾイルクロリドの代わりに4−フルオロベンゾイルクロリド(26.4μL、0.223mmol)を用いることにより、白色結晶の標題化合物を28.8mg(0.0832mmol、収率38%)得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:2.69(s,3H),7.15−7.39(m,4H),7.41(d,J=8.1Hz,1H),7.84(dd,J=6.7Hz,1.8Hz,2H),7.91−7.95(m,2H),7.96(brs,1H),8.32(ddd,J=9.0Hz,2.1Hz,2.1Hz,2H).
LCMS:m/z 347[M+H]である。
合成例20.3,4−ジフルオロ−N−[4−(4−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(化合物番号4−17)
Figure 2018087173
合成例18と同様の条件において、3−フルオロベンゾイルクロリドの代わりに3,4−ジフルオロベンゾイルクロリド(25.7μL、0.223mmol)を用い、精製の際に酢酸エチル:ヘキサン=1:4溶液を使用することにより、白色結晶の標題化合物を52.7mg(0.145mmol、収率66%)得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:2.68(s,3H),7.15(d,J=7.3Hz,1H),7.23(d,J=8.2Hz,1H),7.28−7.35(m,1H),7.40(d,J=8.2Hz,1H),7.64−7.67(m,1H),7.75−7.78(m,1H),7.81(dd,J=6.8Hz,1.8Hz,2H),7.87(brs,1H),8.30(d,J=9.1Hz,2H).
LCMS:m/z 365[M+H]である。
合成例21.4−メトキシ−N−[4−(4−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(化合物番号4−18)
Figure 2018087173
合成例20と同様の条件において、3,4−ジフルオロベンゾイルクロリドの代わりに4−メトキシベンゾイルクロリド(37.5mg、0.223mmol)を用いることにより、淡黄色結晶の標題化合物を38.1mg(0.106mmol、収率48%)得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:2.68(s,3H),3.89(s,3H),7.00(ddd,J=9.3Hz,2.5Hz,2.5Hz,2H),7.14(d,J=7.2Hz,1H),7.23(dd,J=7.9Hz,7.9Hz,1H),7.40(d,J=8.1Hz,1H),7.81−7.90(m,5H),8.28(ddd,J=9.0Hz,2.1Hz,2.1Hz,2H).
LCMS:m/z 359[M+H]である。
合成例22.3−シアノ−N−[4−(4−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(化合物番号4−19)
Figure 2018087173
合成例20と同様の条件において、3,4−ジフルオロベンゾイルクロリドの代わりに3−シアノベンゾイルクロリド(36.4mg、0.223mmol)を用いることにより、白色結晶の標題化合物を59.5mg(0.168mmol、収率77%)得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:2.68(s,3H),7.15(d,J=7.6Hz,1H),7.24(d,J=8.1Hz,1H),7.41(d,J=8.1Hz,1H),7.68(dd,J=7.9Hz,7.9Hz,1H),7.84(d,J=8.5Hz,2H),7.88(ddd,J=7.6Hz,1.4Hz,1.4Hz,1H),7.94(brs,1H),8.15(dd,J=8.1Hz,1.4Hz,1H),8.21(s,1H),8.32(dd,J=7.2Hz,1.8Hz,2H).
LCMS:m/z 354[M+H]である。
合成例23.4−メチル−N−[4−(4−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(化合物番号4−20)
Figure 2018087173
合成例20と同様の条件において、3,4−ジフルオロベンゾイルクロリドの代わりにp−トルオイルクロリド(29.1μL、0.223mmol)を用いることにより、白色結晶の標題化合物を63.2mg(0.185mmol、収率84%)得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:2.44(s,3H),2.69(s,3H),7.15(d,J=7.3Hz,1H),7.23(d,J=7.7Hz,1H),7.32(d,J=8.2Hz,2H),7.41(d,J=7.7Hz,1H),7.80(dd,J=6.3Hz,1.8Hz,2H),7.85(ddd,J=8.6Hz,2.2Hz,2.0Hz,2H),7.97(s,1H),8.31(ddd,J=9.1Hz,2.3Hz,2.3Hz,2H).
LCMS:m/z 343[M+H]である。
合成例24.N−[4−(4−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミド(化合物番号4−21)
Figure 2018087173
合成例20と同様の条件において、3,4−ジフルオロベンゾイルクロリドの代わりに3−ピリジンカルボニルクロリド1塩酸塩(246mg、1.38mmol)を用いることにより、白色結晶の標題化合物を376mg(1.14mmol、収率83%)得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:2.68(s,3H),7.15(d,J=7.3Hz,1H),7.23(d,J=8.2Hz,1H),7.40(d,J=8.2Hz,1H),7.49(dd,J=7.9Hz,4.8Hz,1H),7.85(d,J=8.6Hz,2H),8.01(s,1H),8.25(ddd,J=8.2Hz,2.0Hz,2.0Hz,1H),8.31(d,J=8.6Hz,2H),8.82(d,J=3.6Hz,1H),9.14(d,J=1.8Hz,1H).
LCMS:m/z 330[M+H]である。
合成例25.3,5−ジメトキシ−N−[4−(4−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(化合物番号4−22)
Figure 2018087173
合成例20と同様の条件において、3,4−ジフルオロベンゾイルクロリドの代わりに3,5−ジメトキシベンゾイルクロリド(44.1mg、0.223mmol)を用いることにより、薄茶色結晶の標題化合物を42.5mg(0.109mmol、収率50%)得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:2.68(s,3H),3.87(s,6H),6.64(dd,J=2.3Hz,2.2Hz,1H),7.00(d,J=2.2Hz,2H),7.15(d,J=7.6Hz,1H),7.24(dd,J=7.9Hz,7.9Hz,1H),7.40(d,J=8.1Hz,1H),7.83(ddd,J=9.0Hz,2.1Hz,2.1Hz,2H),7.94(brs,1H),8.29(ddd,J=9.0Hz,2.2Hz,2.2Hz,2H).
LCMS:m/z 389[M+H]である。
合成例26.3−クロロ−N−[4−(4−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(化合物番号4−23)
Figure 2018087173
合成例20と同様の条件において、3,4−ジフルオロベンゾイルクロリドの代わりに3−クロロベンゾイルクロリド(28.1μL、0.223mmol)を用いることにより、白色結晶の標題化合物を65.1mg(0.179mmol、収率80%)得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:2.68(s,3H),7.15(d,J=7.7Hz,1H),7.23(d,J=7.7Hz,1H),7.40(d,J=7.7Hz,1H),7.47(dd,J=7.9Hz,7.9Hz,1H),7.56(dd,J=7.9Hz,0.9Hz,1H),7.77(ddd,J=7.7Hz,1.4Hz,1.4Hz,1H),7.83(d,J=9.1Hz,2H),7.89(dd,J=1.8Hz,1.8Hz,1H),7.91(brs,1H),8.30(ddd,J=8.6Hz,2.0Hz,2.0Hz,2H).
LCMS:m/z 363[M+H]である。
合成例27.7−メチル−2−(4−ニトロフェニル)ベンゾオキサゾール(化合物番号2−2)
Figure 2018087173
2−アミノ−6−メチルフェノール(111.2mg、0.903mmol)、4−ニトロベンゾイルクロリド(185mg、0.993mmol)、1,4−ジオキサン(2.5mL)を5mLスナップキャップ反応バイアル(Biotage社製)に加え、マイクロウェーブ合成装置使用下で210℃、反応時間は15分で加熱、攪拌した。
室温まで冷却した後、氷上で冷却された1N水酸化ナトリウム水溶液(5.0mL)に反応液を滴下し、生じた固体は減圧濾過によって濾取した。濾取した固体は酢酸エチル:ヘキサン=1:4溶液(10mL)、水(10mL)で洗い込み、減圧乾固させることで、赤褐色結晶の標題化合物を163.1mg(0.642mmol、収率71%)得た。
H−NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:2.56(s,3H),7.30(d,J=6.9Hz,1H),7.33(dd,J=8.0Hz,6.9Hz,1H),7.67(d,J=8.0Hz,1H),8.41(d,J=9.2Hz,2H),8.44(d,J=9.2Hz,2H).
LCMS:m/z 255.24[M+H]である。
合成例28.7−メチル−2−(4−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(化合物番号3−2)
Figure 2018087173
7−メチル−2−(4−ニトロフェニル)ベンゾオキサゾール(161.1mg、0.634mmol)、1,4−シクロヘキサジエン(593μL,6.24mmol)、10%パラジウム炭素(17mg)を20mLスナップキャップ反応バイアル(Biotage社製)に加え、さらにメタノール(10mL)を室温にて加え懸濁し、マイクロウェーブ合成装置使用下で120℃、反応時間は10分で加熱、攪拌を行った。
室温まで冷却後、反応懸濁液を濾過し、10%パラジウム炭素を除去した。溶媒を減圧下留去後、得られた残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し(25gシリカゲル、20%から30%酢酸エチル/ヘキサンで溶出)、溶媒を減圧下留去し、減圧乾固させることで、薄茶色結晶の標題化合物を113.1mg(0.505mmol、収率80%)得た。
H−NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:2.48(s,3H),5.93(brs,2H),6.66(d,J=8.6Hz,2H),7.08(d,J=7.5Hz,1H),7.17(dd,J=8.0Hz,7.5Hz,1H),7.42(d,J=8.0Hz,1H),7.83(d,J=8.6Hz,2H).
LCMS:m/z 225.21[M+H]である。
合成例29.3−シアノ−N−[4−(7−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(化合物番号4−24)
Figure 2018087173
7−メチル−2−(4−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(19.9mg、0.0888mmol)を無水テトラヒドロフラン(500μL)に溶解させ、アルゴン雰囲気下60%水素化ナトリウム(14.2mg、0.339mmol)を加え、室温にて5分間攪拌を行った後、3−シアノベンゾイルクロリド(14.7mg、0.0888mmol)を加え、室温で12時間攪拌した。
TLCにて反応終結を確認後、飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL)を反応懸濁液に注ぎ、酢酸エチル(10×2mL)で振盪抽出を行った。さらに酢酸エチル層は、水(10mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)にて洗い、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥、濾過した後、溶媒を留去した。析出した固体は酢酸エチル:ヘキサン=1:4溶液(5mL)に再懸濁させ濾取し、同溶媒(10mL)、水(10mL)で洗い込んだ後、減圧乾固させることで、白色結晶の標題化合物を23.9mg(0.0677mmol、収率76%)得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ:2.53(s,3H),7.19(d,J=7.6Hz,1H),7.25(dd,J=7.6Hz,7.6Hz,1H),7.55(d,J=7.6Hz,1H),7.74(dd,J=8.1Hz,1H),8.00(d,J=9.0Hz,2H),8.06(ddd,J=8.1Hz,1.4Hz,1.4Hz,1H),8.20(d,J=9.0Hz,2H),8.24(ddd,J=8.1Hz,1.4Hz,1.4Hz,1H),8.41(dd,J=1.4Hz,1.4Hz,1H),10.8(s,1H).
LCMS:m/z 354.12[M+H]である。
合成例30.N−[4−(7−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]−N−メチル−3−ピリジンカルボキサミド(化合物番号5−1)
Figure 2018087173
N−[4−(7−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミド(6.7mg、0.0204mmol)を無水テトラヒドロフラン(1mL)に溶解させ、アルゴン雰囲気下60%水素化ナトリウム(3.3mg、0.103mmol)を加え、室温にて10分間攪拌を行った後、ヨウ化メチルを過剰量加え、室温で30分間攪拌した。
TLCにて反応終結を確認後、飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL)を反応懸濁液に注ぎ、酢酸エチル(10×2mL)で振盪抽出を行った。さらに酢酸エチル層は、水(10mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)にて洗い、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥、濾過した後、溶媒を留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し(10gシリカゲル、0%から20%メタノール/クロロホルムで溶出)、溶媒を減圧下留去し、減圧乾固させることで、薄黄色のオイル状標題化合物を5.2mg(0.0151mmol、収率74%)得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:2.55(s,3H),3.57(s,3H),7.13−7.16(m,2H),7.19(d,J=8.6Hz,2H),7.24(dd,J=7.7Hz,7.7Hz,1H),7.56(d,J=8.2Hz,1H),7.64(ddd,J=7.7Hz,1.8Hz,1.8Hz,1H),8.15(d,J=8.6Hz,2H),8.48(dd,J=5.0Hz,1.8Hz,1H),8.56(d,J=1.8Hz,1H).
LCMS: m/z 344.36[M+H]である。
合成例31.3−フルオロ−N−[4−(7−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]−N−メチルベンズアミド(化合物番号5−2)
Figure 2018087173
3−フルオロ−N−[4−(7−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(11.1mg、0.0320mmol)を無水テトラヒドロフラン(1mL)に溶解させ、アルゴン雰囲気下60%水素化ナトリウム(5.1mg、0.128mmol)を加え、室温にて10分間攪拌を行った後、ヨウ化メチルを過剰量加え、室温で12時間攪拌した。
TLCにて反応終結を確認後、飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL)を反応懸濁液に注ぎ、酢酸エチル(10×2mL)で振盪抽出を行った。さらに酢酸エチル層は、水(10mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)にて洗い、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥、濾過した後、溶媒を留去した。得られた残渣を分取薄層クロマトグラフィーにより精製し(50%酢酸エチル/ヘキサンで展開)、溶媒を減圧下留去し、減圧乾固させることで、無色のオイル状標題化合物を8.0mg(0.0222mmol、収率69%)得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:2.56(s,3H),3.55(s,3H),6.96(tdd,J=8.4Hz,2.5Hz,0.9Hz,1H)7.04−7.15(m,4H),7.18(d,J=8.6Hz,2H),7.24(dd,J=7.7Hz,7.7Hz,1H),7.56(d,J=7.7Hz,1H),7.64(ddd,J=7.7Hz,1.8Hz,1.8Hz,1H),8.14(d,J=9.1Hz,2H).
LCMS:m/z 361.33[M+H]である。
合成例32.3−フルオロ−N−(4−オキサゾロ[4,5−c]ピリジン−2−イルフェニル)ベンズアミド(化合物番号4−25)
Figure 2018087173
4−オキサゾロ[4,5−c]ピリジン−2−イル−ベンゼンアミン(61.6mg、0.292mmol)を無水テトラヒドロフラン(5.0mL)に溶解させ、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(99μL、0.584mmol)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(37mg,0.292mmol)を加え、室温にて5分間攪拌を行った後、3−フルオロベンゾイルクロリド(72μL、0.584mmol)を滴下し、還流条件下で12時間攪拌した。
反応後、溶媒を減圧下留去し、得られた残渣は水(5mL)に再懸濁させた後、減圧濾過により濾取し、酢酸エチル:ヘキサン=1:4溶液(5mL)、冷却したメタノール(5mL)で洗い込んだ後、減圧乾固させることで、白色結晶の標題化合物を82.8mg(0.248mmol、収率85%)得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ:7.56(tdd,J=8.6Hz,2.7Hz,0.9Hz,1H),7.59(td,J=7.9Hz,5.9Hz,1H),7.78(ddd,J=10Hz,2.7Hz,1.4Hz,1H),7.81(d,J=7.7Hz,0.9Hz,1H),7.86(dd,J=5.4Hz,0.9Hz,1H),8.04(d,J=8.6Hz,2H),8.22(d,J=9.1Hz,2H),8.55(d,J=5.4Hz,1H),9.07(d,J=0.9Hz,1H),10.7(s,1H).
LCMS:m/z 334.28[M+H]である。
合成例33.3−フルオロ−N−[4−(7−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]−N−メチルベンズアミド(化合物番号5−3)
Figure 2018087173
3−フルオロ−N−(4−オキサゾロ[4,5−c]ピリジン−2−イルフェニル)ベンズアミド(7.8mg、0.0234mmol)を無水N,N−ジメチルホルムアミド(1mL)に溶解させ、アルゴン雰囲気下60%水素化ナトリウムを過剰量加え、室温にて10分間攪拌を行った後、ヨウ化メチルを過剰量加え、室温で5分間攪拌した。
TLCにて反応終結を確認後、飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL)を反応懸濁液に注ぎ、酢酸エチル(10×2mL)で振盪抽出を行った。さらに酢酸エチル層は、水(10mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)にて洗い、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥、濾過した後、溶媒を留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し(10gシリカゲル、40%から50%酢酸エチル/ヘキサンで溶出)、溶媒を減圧下留去し、減圧乾固させることで、無色のオイル状標題化合物を4.8mg(0.0138mmol、収率59%)得た。
H−NMR(500MHz,CDCl)δ:3.56(s,3H),6.98(tdd,J=8.6Hz,2.5Hz,1.2Hz,1H),7.06−7.10(m,2H),7.16(td,J=8.5Hz,5.7Hz,1H),7.21(d,J=8.6Hz,2H),7.53(dd,J=5.7Hz,1.5Hz,1H),8.15(d,J=8.6Hz,2H),8.58(d,J=5.7Hz,1H),9.09(s,1H).
LCMS:m/z 348.31[M+H]である。
合成例34.N−[4−(5−フルオロ−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミド(化合物番号4−26)
Figure 2018087173
4−(5−フルオロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニルアミン(7.8mg、0.0342mmol)を無水テトラヒドロフラン(680μL)に溶解させ、60%水素化ナトリウム(5.3mg、0.166mmol)を加え、室温にて10分間攪拌を行った後、さらにニコチノイルクロリド1塩酸塩(20mg、0.113mmol)を加え、室温で1時間反応させた。
TLCにて反応終結を確認後、飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL)を反応懸濁液に注ぎ、酢酸エチル(5mL×2)で振盪抽出を行った。さらに酢酸エチル層は、水(10mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)にて洗い、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥、濾過した後、溶媒を留去した。析出した固体は酢酸エチル:ヘキサン=1:4溶液(5mL)に再懸濁させ減圧濾過によって濾取し、同溶媒(10mL)で洗い込んだ後、減圧乾固させることで、白色結晶の標題化合物を4.7mg(0.0141mmol、収率41%)得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ:7.25(ddd,J=9.1Hz,9.1Hz,2.7Hz,1H),7.57(dd,J=7.7Hz,4.8Hz,1H),7.64(dd,J=8.8Hz,2.7Hz,1H),7.79(dd,J=9.1Hz,4.5Hz,1H),8.02(d,J=9.1Hz,2H),8.19(d,J=9.1Hz,2H),8.30(ddd,J=7.7Hz,1.8Hz,1.8Hz,1H),8.76(dd,J=4.8Hz,1.8Hz,1H),9.11(d,J=1.8Hz,1H),10.8(s,1H).
LCMS:m/z 334.39[M+H]である。
合成例35.N−(4−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イルフェニル)−3−ピリジンカルボキサミド(化合物番号4−27)
Figure 2018087173
4−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル−ベンゼンアミン(22.1mg、0.105mmol)、ニコチン酸(12.9mg、0.105mmol)を無水N,N−ジメチルホルムアミド(600μL)に溶解させ、室温にて10分間攪拌を行った後、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(40.3mg、0.210mmol)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(25.7mg,0.203mmol)を加え、室温で12時間攪拌した。
反応後、溶媒を減圧下留去し、得られた残渣は水(5mL)に再懸濁させた後、減圧濾過により濾取し、酢酸エチル:ヘキサン=1:4溶液(5mL)、水(5mL)、冷却したメタノール(5mL)、で洗い込んだ後、減圧乾固させることで、白色結晶の標題化合物を10.1mg(0.319mmol、収率30%)得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ:7.42(dd,J=8.2Hz,5.0Hz,1H),7.58(dd,J=7.7Hz,4.5Hz,1H),8.05(d,J=8.6Hz,2H),8.20(dd,J=8.2Hz,1.4Hz,1H),8.25(d,J=8.6Hz,2H),8.30(ddd,J=8.2Hz,1.8Hz,1.8Hz,1H),8.51(dd,J=5.0Hz,1.4Hz,1H),8.77(d,J=4.8Hz,1.8Hz,1H),9.11(d,J=1.8Hz,1H),10.8(s,1H).
LCMS:m/z 317.17[M+H]である。
合成例36.3−シアノ−N−[4−(2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(化合物番号4−28)
Figure 2018087173

2−(4−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(50mg、0.238mmol)を無水テトラヒドロフラン(5mL)に溶解させ、アルゴン雰囲気下60%水素化ナトリウム(19.2mg、0.476mmol)を加え、室温にて10分間攪拌を行った後、3−シアノベンゾイルクロリド(39.7mg、0.238mmol)を滴下し、室温で30分間攪拌した。
反応後、飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL)を反応懸濁液に注ぎ、酢酸エチル(5×2mL)で振盪抽出を行った。さらに酢酸エチル層は、水(10mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)にて洗い、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥、濾過した後、溶媒を留去した。析出した固体は酢酸エチル:ヘキサン=1:4溶液(5mL)に再懸濁させ濾取し、同溶媒(10mL)で洗い込んだ後、減圧乾固させることで、淡黄色結晶の標題化合物を63.1mg(0.186mmol、収率77%)得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:7.39−7.45(m,2H),7.77−7.81(m,3H),8.04(dd,J=7.0Hz,2.0Hz,2H),8.11(ddd,J=7.9Hz,1.4Hz,1.4Hz,1H),8.23(dd,J=7.0Hz,2.0Hz,2H),8.28(ddd,J=8.5Hz,1.5Hz,1.5Hz,1H),8.45(d,J=1.4Hz,1H),10.8(s,1H).
LCMS:m/z 340[M+H]である。
実施例1.脳腫瘍セルラインを用いた細胞増殖抑制能と細胞毒性の評価
(1)使用した培養細胞
ヒト悪性神経膠腫培養細胞として、SW1088(ヒト星細胞腫細胞)、U−251MG(ヒト神経膠芽腫細胞)を用い、上記で合成した各化合物の細胞増殖抑制能の評価に用いた。また正常細胞としてWI−38(胎児肺由来ヒト線維芽細胞)を設定し、細胞毒性の評価に用いた。
(2)評価方法
ATCCのプロトコルに従い、各種細胞を96ウェルプレートに播種し(細胞密度:1.0×10/ウェル)、一晩インキュベーションした。新鮮な培地に交換し、合成した誘導体を添加した(最終濃度10μM、1%DMSO、n=3)。さらに細胞を72時間培養した後、CellTiter 96(登録商標)AQueous One Solution(10μL/ウェル、プロメガ社製)を添加し、2時間後、プレートリーダーにより450nmの吸光度を測定し、生存細胞数の定量を行った。
またこの際、比較対照(ポジティブコントロール)として、悪性脳腫瘍の第一選択薬であるテモダール(登録商標)(最終濃度10μM、1%DMSO、n=3)を設定し、合成した誘導体の活性評価の指標とした。
結果を図1に示す。合成された化合物は、現在悪性脳腫瘍の第一選択薬として用いられているテモダール(登録商標)と比較して、少なくともいずれかの悪性脳腫瘍に対して同等かそれ以上の細胞増殖抑制効果を示した。
実施例2.ADMET評価試験
(1)代謝安定性試験
ヒト肝ミクロソーム(Mixed Gender, Pool of 50 livers)およびマウス肝ミクロソーム(CD1)はXenoTech, LLC から入手した。
試験はn=2にて実施した。
化合物は1mmol/L DMSO溶液を使用した。
化合物の1mmol/L DMSO溶液をアセトニトリルで10μmol/Lに希釈後、6.5mmol/L β−NADPH溶液で200nmol/Lにさらに希釈した。
この溶液50μLに0.2mgprotein/mL肝ミクロソーム溶液を50μLずつ添加後、37℃で35分間、振とうしながらインキュベーションした。インキュベーション後、メタノール400μLを添加し反応を停止させた。溶液を−20℃で約30分間静置した後、4℃、3,000rpmで約10分間遠心分離した。その後、上清をLC/MS/MSにて測定し、化合物の残存率を算出した。
(2)CYP阻害試験
ヒト肝ミクロソーム(Mixed Gender, Pool of 50 livers)はXenoTech, LLCから入手した。
試験はn=1にて実施した。
試験に用いた基質、阻害剤
各CYPの基質として
CYP1A2 フェナセチン
CYP2B6 ブプロピオン塩酸塩
CYP2C8 アモジアキン二塩酸塩二水和物
CYP2C9 ジクロフェナクナトリウム塩
CYP2C19 (S)−メフェニトイン
CYP2D6 ブフラロール
CYP3A4 ミダゾラム
を用いた。
また各CYPの阻害剤として
CYP1A2 α−ナフトフラボン
CYP2C8 ケルセチン二水和物
CYP2C9 スルファフェナゾール
CYP2C19 (S)−(+)−N−3−ベンジルニルバノール
CYP2D6 キニジン無水物
CYP3A4 ケトコナゾール
を用いた。
MBI測定用の阻害剤として
CYP1A2 フラフィリン
CYP2C9 スプロフェン
CYP2B6/2C19 チクロピジン塩酸塩
CYP2D6 パロキセチンマレイン酸塩
CYP3A4 エリスロマイシン
を用いた。
反応溶液は
ミクロソーム−バッファー混合液組成 液量
0.5mol/Lリン酸カリウム緩衝液(pH7.4) 12mL
165mmol/L塩化マグネシウム水溶液 1.2mL
水 34.65mL
20mgprotein/mLヒト肝ミクロソーム 150μL
(反応液中最終濃度0.05mgprotein/mL)
化合物あるいはDMSO(コントロール)、阻害剤混合液をDMSOにて1倍、5倍、25倍、125倍に段階希釈した後、それぞれの溶液5μLとミクロソーム−バッファー混合液295μLを混合した。
その溶液30μLとミクロソーム−バッファー混合液50μLを混合し、13mM β−NADPH水溶液10μL添加を添加した。プレインキュベーションが必要な場合には添加前に37℃で30分間インキュベーションした。
インキュベーション後、メタノール50μLを添加し、反応停止し、希釈後3000rpm、4℃で10分間遠心分離し、上清を採取し、LC/MS/MSへの注入サンプルとした。
(3)残存活性率算出およびMBI判定
各ウェルでの代謝生成物−面積比とコントロール群の代謝生成物−面積比から残存活性率を計算し,濃度プロットからIC50値を算出した。プレインキュベーションによるIC50値の変動が2倍以上の場合MBI(+)と判定した。またプレインキュベーションによるIC50値の変動が2倍以下の場合をMBI(+/−)と判定した。
MBIが出た化合物の場合は、その化合物の投与によって蓄積性のCYP阻害が現れることになり、その結果として併用薬の濃度上昇等により毒性が出る場合がある。
(4)PAMPA試験
人工膜はpION Inc.社製のGIT-0 Lipid (GIT : Gastrointestinal tract)を用いた。緩衝液はpION Inc.社製のASB-7.4 Acceptor Sink BufferまたはASB-5.0 Acceptor Sink Bufferを用いた。
人工膜透過性試験方法
希釈した化合物をDonor側に加え、室温で4時間インキュベートした後、AcceptorおよびDonorスペクトルを測定した。その結果からPAMPA解析ソフトを用いて膜透過係数(Pe値)を算出した。
(5)水溶性溶液沈殿法(DMSO法)
人工空腹時人工腸液(FaSSIF)はセレステより入手した。
100倍希釈した化合物溶液を96ウェルプレートに15μLずつ、4ウェルに分注した後、遠心エバポレーターに入れ、40℃、90分間蒸発乾固を行った。乾固を確認後、DMSO3μLを添加し、再溶解後、FaSSIFを300μL加え、25℃の恒温振盪機で90分間振盪後、同温度で16時間以上静置した。遠心分離後、上清90μLを96ウェルプレートに96チャンネルピペッターで分取した。別の96ウェルプレートに標準溶液を調製し、比較することで溶解度を算出した。
結果を図2に示す。合成された化合物において、ヒト用の医薬として用い得ると評価できる特性を示すものが見出された。
本発明は、悪性腫瘍、とくに悪性脳腫瘍に対して強い増殖阻害効果を有するが、正常細胞に対する毒性が低い新規な化合物、当該化合物を含む医薬組成物、当該化合物を用いた悪性腫瘍の処置方法などに関する。
脳腫瘍は、脳組織の中に異常細胞が増殖する病気であり、脳組織自体から発生する原発性脳腫瘍と、肺がんなど他の臓器の癌が脳へ転移してきた転移性脳腫瘍がある。脳腫瘍の発生率は、1年間に人口10万人に対して約3.5人といわれており、その多くが悪性のものである。脳腫瘍は、頭蓋内に存在するあらゆる組織から生じ得るため、多種多様な性質を有するものが多く、その分類には世界保健機構による脳腫瘍組織分類が世界的に用いられている。
脳腫瘍の悪性度は浸潤性の高さによりグレード1(悪性度低い)からグレード4(悪性度高い)に分類され、その悪性度は発生する組織に大きく依存している。悪性度の低い脳腫瘍の治療は外科手術や放射線治療が中心で、それにより多くの場合回復するが、悪性度の高い膠芽腫や悪性星細胞腫などではグレードに関係なく外科療法、放射線治療、化学療法剤などの併用療法が用いられる。
脳腫瘍の化学療法は、経口投与、静脈注射、局所投与などの方法があるが、脳には脳血管関門(BBB)が存在するため、抗がん剤が効きにくいことが多々ある。現在、脳腫瘍に対する化学療法の第一選択薬はテモゾロミドであるが、これを用いても著効率はわずか9%と低く、数ヶ月の延命効果しか示せないため、悪性の脳腫瘍という診断がついた時点で積極的治療を断念することも多いのが現状である。
近年では、MRIなどの検査方法の向上、ガンマナイフなどの外科手術方法の発展、重原子治療などの放射線治療の発展などにより、全脳腫瘍患者の5年生存率が75%を超えるようになってきたが、依然として5年生存率が非常に低い神経膠芽腫(6%)および悪性星細胞腫(23%)に対する治療方法の開発が今後の課題となっている。
特許文献1には、下記構造式
Figure 2018087173
で表される化合物を製造したことが記載されており、同化合物の酸化ストレス誘導神経細胞死に対する抑制効果を検証したところ、効果を示さなかったことが記載されている。
非特許文献1には、下記構造式
Figure 2018087173
で表される7種の化合物を合成したことが記載されている。
国際公開第2016/148114号
Adachi et al., Heterocycles (2010), 82(1), 857-865
本発明は、悪性腫瘍、とくに悪性脳腫瘍に対して強い増殖阻害効果を有するが、正常細胞に対する毒性が低い新規な化合物を提供することを目的とする。
テモゾロミドは、DNAアルキル化剤として作用する低分子の経口剤であり、現在の悪性脳腫瘍の化学療法においては第一選択薬として用いられているが、血液脳関門の透過率が低いため脳腫瘍に到達しにくいという問題がある。またテモゾロミドの作用はDNAメチル化による腫瘍細胞死の誘導であるが、腫瘍細胞においてO−メチルグアニンメチルトランスフェラーゼ(MGMT)が発現している場合には耐性を有するという問題点を抱えている。また抗体医薬等のバイオ医薬品については高分子であることからこれらも血液脳関門の透過率が低く、従って必要な量を脳へ送達するのは一般に難しい。
そこで本発明者らは、次世代の悪性脳腫瘍治療薬の実用化を目指して研究を続ける中で、ベンゾオキサゾール誘導体が脳腫瘍細胞に対して増殖阻害活性を示し、正常組織由来細胞に対する細胞毒性が比較的低く安全域が広いことを新たに見出した。かかる知見に基づいて鋭意研究を続け、ベンゾオキサゾール誘導体から悪性の脳腫瘍細胞に対する増殖阻害効果が強く、正常細胞への毒性が低い化合物を新たに合成し、さらにそれらの化合物を、経口剤としてのドラッグライクネス(経口剤として好ましいとされる物理化学的特徴)を満たし、血液脳関門の透過率が高い化合物をスクリーニングし、さらに研究を続けた結果、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に下記に掲げるものに関する:
[1]下記式(I):
Figure 2018087173
式中、
、AおよびAは、それぞれ独立して、CまたはNを表し、
およびBは、それぞれ独立して、CまたはNを表し、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基から選択され、ここでA、A、A、BおよびBのいずれかがNである場合、対応するR、R、R、RおよびRは存在しない、
で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは誘導体あるいはそれらの溶媒和物、ただし3,4,5−トリメトキシ−N−[2−(4−アミノフェニル)−4−メチル−ベンゾキサゾイル]ベンズアミド、N−[4−(2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド、2−クロロ−5−メチル−N−[4−(6−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミドおよびN−[4−(5−クロロ−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]−2,4,6−トリメチルベンズアミドを除く。
[2]R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10が、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ基、メチル基またはメトキシ基から選択される、[1]の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは誘導体あるいはそれらの溶媒和物。
[3]R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10が、それぞれ独立して、水素、フッ素、シアノ基またはメチル基から選択される、[1]または[2]の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは誘導体あるいはそれらの溶媒和物。
[4]R、R、RおよびR10が、水素であり、Rが、存在しないかまたは水素である、[1]〜[3]の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは誘導体あるいはそれらの溶媒和物。
[5]R、R、R、RおよびRが、それぞれ独立して、水素、フッ素またはメチル基である、[1]〜[4]の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは誘導体あるいはそれらの溶媒和物。
[6]BおよびBが、Cである、[1]〜[5]の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは誘導体あるいはそれらの溶媒和物。
[7]AおよびAが、Cである、[1]〜[6]の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは誘導体あるいはそれらの溶媒和物。
[8]式(I)で表される化合物が、下記の化合物
Figure 2018087173
Figure 2018087173
Figure 2018087173
Figure 2018087173
からなる群から選択される、[1]〜[7]の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは誘導体あるいはそれらの溶媒和物。
[9]式(I)で表される化合物が、下記の化合物
Figure 2018087173
Figure 2018087173
Figure 2018087173
Figure 2018087173
からなる群から選択される、[1]〜[8]の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは誘導体あるいはそれらの溶媒和物。
[10][1]〜[9]の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは誘導体あるいはそれらの溶媒和物を含有する、医薬組成物。
[11] 下記式(I):
Figure 2018087173

式中、
、AおよびAは、それぞれ独立して、CまたはNを表し、
およびBは、それぞれ独立して、CまたはNを表し、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基から選択され、ここでA、A、A、BおよびBのいずれかがNである場合、対応するR、R、R、RおよびRは存在しない、
で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは誘導体あるいはそれらの溶媒和物を含有する医薬組成物であって、悪性腫瘍の予防または治療用である、前記医薬組成物。
[12]悪性腫瘍が、脳腫瘍である、[11]の医薬組成物。
本発明の化合物は、腫瘍細胞、とくに悪性脳腫瘍細胞に対して増殖阻害活性を示す一方、正常組織由来細胞に対しては毒性を示さない化合物であるため、非常に広い安全域が設定できているものである。したがって悪性脳腫瘍に限らず、広く抗腫瘍剤の有効成分として、腫瘍の処置に用いることができる。また、本発明の化合物はさらに血液脳関門を突破しやすい化合物でもあるため、特に悪性脳腫瘍の処置に好適に用いることができるものである。
また脳腫瘍治療薬として用いる際に経口投与ができるように、有効成分である化合物の構造を最適化していくことは非常に困難であると認識されている。したがって脳腫瘍治療薬としての物理化学的性質の制限とドラッグライクネスのクライテリアを達成することで動物モデルだけではなく、ヒトでの臨床試験にも対応できる薬剤として最適化する本発明のスクリーニング方法は独創的であるといえる。
図1−1〜1−5は、本発明の合成例において合成された化合物の、細胞増殖抑制能評価および細胞毒性評価試験の結果を表す表である。 図2−1〜2−2は、本発明の合成例において合成された化合物の、ADMET評価試験の結果を表す表である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書において別様に定義されない限り、本明細書で用いる全ての技術用語および科学用語は、当業者が通常理解しているものと同じ意味を有する。本明細書中で参照する全ての特許、出願、公開された出願および他の出版物は、その全体を参照により本明細書に援用する。また本明細書において参照された出版物と本明細書の記載に矛盾が生じた場合は、本明細書の記載が優先されるものとする。
<1>本発明の化合物
本発明は一側面において、以下の一般式(I)
Figure 2018087173
式中、
、AおよびAは、それぞれ独立して、炭素または窒素から選択され、
およびBは、それぞれ独立して、炭素または窒素から選択され、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ基、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、から選択される、
で表される化合物に関する。
本発明において「ハロゲン」とは、周期表の第17族に属する元素、またはそれらの原子が炭化水素、芳香族炭素環、芳香族ヘテロ環などの置換基となったものを意味する。本発明の「ハロゲン」としては、例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられる。本発明においてハロゲンが、芳香族炭素環、芳香族ヘテロ環などの置換基となる場合、好ましいハロゲンとして、フッ素、塩素および臭素が挙げられる。
「C−Cアルキル基」または「C1−6アルキル基」とは、炭素数1〜6の直鎖状および分枝鎖状の脂肪族炭化水素から任意の水素原子を1個除いて誘導される1価の基である。具体的にはメチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、2,3−ジメチルプロピル基、ヘキシル基などが挙げられる。好ましくはC−Cアルキル基であり、より好ましくはC−Cアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基である。
「C−Cアルコキシ基」または「C1−6アルコキシ基」とは、前述した「C−Cアルキル基」が酸素原子に結合して形成される1価の基である。具体的にはメトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、2,3−ジメチルプロピルオキシ基、ヘキシルオキシ基などが挙げられる。好ましくはC−Cアルコキシ基であり、より好ましくはC−Cアルコキシ基であり、さらに好ましくはメトキシ基である。
本発明において「置換されていてもよい」とは、任意の置換基で置換されてもよいことを示し、置換基としては、例えば上記R〜R10において示される置換基などが挙げられ、具体的にはC−Cアルキル基、C−Cアルコキシ基、C−Cアルケニル基、ハロゲンなどが挙げられる。
、A、およびAは、それぞれ独立して、CまたはNを表す。好ましい一態様において、A〜Aのいずれか1つのみがNである。さらに好ましい態様において、AがNである。別の好ましい一態様において、A〜AはいずれもCである。A〜AのいずれかがNである場合、それぞれの環員原子に対応する置換基であるR〜Rは存在しない。
およびBは、それぞれ独立して、CまたはNを表す。好ましい一態様において、BがCであり、BがNである。別の好ましい一態様において、BおよびBは両方ともCである。BまたはBがNである場合、それぞれの環員原子に対応する置換基であるRおよびRは存在しない。
、R、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基から選択される。R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、好ましくは水素、ハロゲン、シアノ基、メチル基またはメトキシ基であり、より好ましくは水素、フッ素、シアノ基またはメチル基である。
〜Rは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ基、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基およびC1−6アルコキシ基から選択される。R〜Rは、好ましくは水素、フッ素、塩素、シアノ基、メチル基またはメトキシ基である。RおよびRについては、さらに好ましくは水素、フッ素またはメチル基である。好ましい一態様において、R〜Rの少なくとも1つは存在しないか、または水素ではない。
は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ基、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基およびC1−6アルコキシ基から選択される。Rは、好ましくは水素またはメチル基である。
〜R10は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ基、ハロゲンで置換されていてもよいC1−6アルキル基およびC1−6アルコキシ基から選択される。R〜R10は、好ましくは水素、フッ素またはメチル基である。好ましい一態様において、R〜R10のいずれか1つが存在しないかまたは水素ではない。かかる態様において、より好ましくは、RもしくはR10がメチル基であるかまたはRがフッ素である。
本発明の一態様において、R、R、RおよびR10は水素であり、Rが、存在しないかまたは水素である。
本発明の一態様において、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、フッ素またはメチル基である。
したがって本発明の好ましい一態様において、R、R、R、RおよびR10は水素であり、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、フッ素またはメチル基である。
上記各置換基に係る好ましい態様をそれぞれ組み合わせることにより、本発明の化合物の特に好ましい態様とすることができる。
上記一般式に包含される化合物として、上記特許文献1には、3,4,5−トリメトキシ−N−[2−(4−アミノフェニル)−4−メチル−ベンゾキサゾイル]ベンズアミドが記載され、上記非特許文献1には、N−[4−(2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド、2−クロロ−5−メチル−N−[4−(6−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミドおよびN−[4−(5−クロロ−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]−2,4,6−トリメチルベンズアミドが記載されている。したがって本発明の一態様において、これらの化合物は本発明から除外される。
本発明の化合物は、一態様において、少なくとも1種の悪性腫瘍細胞、特に悪性脳腫瘍細胞に対して細胞増殖抑制活性を有する。本発明の化合物が、悪性腫瘍に対して強い細胞増殖抑制活性を発揮するメカニズムは現在のところ不明であるが、本発明者らの研究により、式(I)で表される構造およびそれに類似する構造を有するベンゾオキサゾール誘導体が、悪性脳腫瘍に対して好適な細胞増殖抑制活性を持つ候補化合物群としてスクリーニングされた。好ましい一態様において、本発明の化合物は、少なくとも1種の悪性腫瘍細胞、特に悪性脳腫瘍細胞に対して細胞増殖抑制活性を有するが、正常組織由来細胞に対しては毒性をほとんど有しない。
ある物質が細胞に対して細胞増殖抑制活性を有するか否かは、例えば当該物質の存在下および非存在下で細胞を培養し、所定の時間培養後に生存細胞数を比較するなど、当該技術分野において公知の方法により確認することができる。
別の一態様において、本発明の化合物は、血液脳関門を突破することができるものである。したがって好ましい一態様において、本発明の化合物は分子量が500未満である。さらに別の好ましい一態様において、本発明の化合物は、オクタノール/水分配係数LogPが5.0未満である。より好ましい一態様において、本発明の化合物は分子量が500未満であり、かつオクタノール/水分配係数LogPが5.0未満である。
本発明の化合物は、上述のとおり、抗腫瘍剤などの有効成分として用いることができるものである。したがって、式(I)で表される化合物の薬学的に許容可能な塩もしくは誘導体あるいはそれらの溶媒和物も本願発明に包含される。本明細書において、「本発明の化合物」という場合、別段の記載のない限り、式(I)で表される化合物のみならず、その薬学的に許容可能な塩もしくは誘導体あるいはそれらの溶媒和物も包含するものと解される。
式(I)で表される化合物の薬学的に許容可能な塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩などのスルホン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、サリチル酸塩などのカルボン酸塩、または、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩、アルキルアンモニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアルキルアンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩などのアンモニウム塩などが含まれる。これらの塩は、例えば当該化合物と医薬品の製造に使用可能である酸または塩基とを接触させるなど、当該技術分野において公知の方法により製造することができる。
本発明において式(I)で表される化合物またはその塩は、無水物であってもよく、水和物などの溶媒和物を形成していてもよい。ここでいう「溶媒和」とは、溶液中で溶質分子あるいはイオンがそれに隣接している溶媒分子を強く引き付け、一つの分子集団をつくる現象をいい、例えば溶媒が水であれば水和という。溶媒和物は水和物、非水和物のいずれであってもよい。非水和物としては、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール)、ジメチルホルムアミドなどを使用することができる。
また本発明の化合物は、互変異性形態、例えばアミド結合のケトおよびエノール形態、ならびにそれらの混合物として存在することができる。したがって本発明の化合物には、全ての互変異性体が包含される。互変異性体は、溶液中で、互変異性セットの混合物として存在する。固体の形態では、通常、一方の互変異性体が優勢である。本発明の化合物の表記においては、一方の互変異性体の形態を、本発明の化合物を代表するものとして記載することがあるが、かかる表記においても、本発明の化合物には、全ての互変異性体を含むことが意図される。
本発明に係る化合物がフリー体として得られる場合、当該化合物の薬学的に許容可能な塩またはそれらの溶媒和物の状態に、常法に従って変換することができる。また逆に、本発明に係る化合物が、当該化合物の塩または溶媒和物として得られる場合、かかる塩または溶媒和物を化合物のフリー体に常法に従って変換することができる。
本発明の化合物には、式(I)で表される化合物の全ての同位体を含む。本発明において、「同位体」という語は、化合物を構成する原子のうち少なくとも1の原子が、原子番号(陽子数)が同じで,質量数(陽子と中性子の数の和)が異なる原子で置換されたものをいう。本発明の化合物に含まれる同位体原子の例としては、水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、リン原子、硫黄原子、フッ素原子、塩素原子などがあり、それぞれ、H、H、13C、14C、15N、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl等が含まれる。
同位体のうち、Hや14Cのような、放射線を発して崩壊する同位体を特に「放射性同位体」という。放射性同位体は、医薬品あるいは化合物の体内組織分布試験等の際有用である。安定な同位体(すなわち放射性同位体以外の同位体)は、崩壊を起こさず、存在量がほとんど変わらず、放射能もないため、安全に使用することができる。本発明の化合物の同位体は、合成において用いる原材料や試薬を、対応する同位体を含む原材料や試薬に置き換えるなど、当該技術分野において知られた手法に従って製造することができる。
また、本発明の式(I)で表される化合物は、例えばプロドラッグなどの誘導体の形態であってもよい。本発明において「誘導体」という語は、化合物の分子内の一部分が変化してできる化合物を意味し、具体的には例えば保護基により一部官能基が保護された化合物、プロドラッグ、アミド結合のアミノ基がテトラヒドロフラニル化された化合物、オキサゾール環のアミノ基の4級アンモニウム塩化された化合物などが挙げられる。本発明において「プロドラッグ」という語は、生体に投与された後に、生理条件下(例えば生体内で)、酵素的または非酵素的分解よって、所望の化合物またはその薬学的に許容可能な塩に変換される誘導体を意味する。したがって式(I)で表される化合物のプロドラッグとは、酵素的または非酵素的分解により式(I)で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩に変換される誘導体を意味する。プロドラッグは、患者に投与されたときには不活性であってもよい。
プロドラッグは、例えば特定のpHになった時、あるいは酵素の作用によって所望の薬物形態に転化するものを含む。典型的には、プロドラッグは、生体内で遊離酸を生成する化合物であり、加水分解性のエステル残基を有する化合物である。そのような加水分解性のエステル残基の例としては、これらに限定されないが、遊離水素(例えば、式(I)中のアミドがN−カルボキシル基を有する場合は、そのカルボキシル基中の遊離水素)がC1−4アルキル基、C2−7アルカノイルオキシメチル基、4〜9個の炭素原子を有する1−(アルカノイルオキシ)エチル基、5〜10個の炭素原子を有する1−メチル−1−(アルカノイルオキシ)−エチル基、3〜6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニルオキシメチル基、4〜7個の炭素原子を有する1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル基、5〜8個の炭素原子を有する1−メチル−1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル基、3〜9個の炭素原子を有するN−(アルコキシカルボニル)アミノメチル、4〜10個の炭素原子を有する1−(N−(アルコキシカルボニル)アミノ)エチル基、3−フタリジル基、4−クロトノラクトニル基、γ−ブチロラクトン−4−イル基、ジ−N,N−(C1−2)アルキルアミノ(C2−3)アルキル基(例えばN,N−ジメチルアミノエチル基)、カルバモイル−(C1−2)アルキル基、N,N−ジ(C1−2)アルキルカルバモイル−(C1−2)アルキル基、ピペリジノ(C2−3)アルキル基、ピロリジノ(C2−3)アルキル基、又はモルホリノ(C2−3)アルキル基で置換されているカルボキシル部分を有する残基を含む。
下表に記載の化合物は、本発明者らにより、その腫瘍細胞増殖抑制活性が実際に示された化合物である。したがって、本発明の化合物のうち特に好ましい化合物として、下表に記載の化合物群が挙げられる。
Figure 2018087173
Figure 2018087173
Figure 2018087173
Figure 2018087173
上記化合物のうち、化合物番号4−27はCAS番号:433703−38−9として、化合物番号4−28はCAS番号:938422−97−0として、化合物番号4−16はCAS番号:1193029−41−2としてそれぞれ登録されている化合物ではあるが、その物性や製造方法については何ら記載されていないものであり、当該化合物が実際に製造された記録は全くなされていない。本発明の一態様において、本発明の化合物から、上記3種の化合物が除外される。
本発明のさらに好ましい化合物としては、下表に記載の化合物群が挙げられる。
Figure 2018087173
Figure 2018087173
Figure 2018087173
Figure 2018087173
代表的製造方法
本発明の式(I)で表される化合物は、例えば上記非特許文献1に記載の方法や下記の方法に従って製造することができるが、本発明の化合物の製造方法はこれらに限定されるものでない。また、必要に応じて置換基導入等の反応工程の順序を変えることができる。なお製造に際して用いる原料化合物としては市販されているものを用いても、または必要に応じて常法により製造しても良い。
以下の反応工程を表す式中、R〜R10は、式(I)において定義されたとおりである。
以下の反応式において使用するその他の略号は、当該技術分野の当業者が理解しうる通常の意味を有するものである。
また以下の一般的合成法および実施例において汎用される略号、化学式に対応する試薬や溶媒の名称を以下に記す。
EtOAc 酢酸エチル
MeI ヨウ化メチル
EtI ヨウ化エチル
i−PrI ヨウ化イソプロピル
MeOH メタノール
NaH 水素化ナトリウム
TEA トリエチルアミン
DMAP N,N−ジメチル−4−アミノピリジン
THF テトラヒドロフラン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
本発明の化合物を、例えば以下のスキームに従って製造することができる。
Figure 2018087173
[工程1]
アミド化工程である。
当工程は、4−ニトロベンゾイルクロリドaとo−アミノフェノール誘導体bを塩基存在下で反応させることで進行する。本工程は、例えば、Angewandte Chemie, International Edition,45(44),7398-7400; 2006に記載されている方法などを参考に実施および改変可能である。また比較的反応性が良いo−アミノフェノール誘導体b(例えば、B,BがCであり、R〜R10がHまたはMeであるものなど)を用いる場合、工程1を省いて下記工程2の条件下で反応を進めることにより、直接dを合成することが可能である。
反応は塩基非存在下でも進行するが、収率向上と反応速度向上のために1.5当量以上の塩基の使用が好ましい。塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等の無機塩基、あるいはt−BuOK、t−BuONa、ピリジン、TEA、DIPEA、LDA、LiHMDS、n−BuLi等の有機塩基が挙げられる、好ましくはTEAである。
溶媒としては例えばトルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、DMF、DMA、EtOAc、DMSO、ジクロロメタン、四塩化炭素、THF、ジオキサン、アセトニトリルなど、水、メタノール、エタノールなどおよびそれらの混合物を挙げることができ、好ましくはTHFである。
反応温度は室温から溶媒沸点、さらにはマイクロウェーブ合成装置を用いることで300℃までの反応温度を挙げることができ、好ましくは室温下で、反応時間は1.5時間である。
反応終了後、反応液に水を注ぎ、酢酸エチルで抽出し、有機層を1N塩酸水溶液、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させる。乾燥剤を濾去後、減圧濃縮して得られる残渣を酢酸エチル−n−ヘキサンから結晶化後、ろ過して集め、減圧下乾燥したアミドcを次の工程に用いる。
[工程2]
当工程は、工程1で生成したアミドcを酸存在下、マイクロウェーブ合成装置により加熱し、脱水環化することで、ベンゾオキサゾール、もしくはオキサゾロピリジン骨格dを構築する反応である。例えば、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 21(1), 558-561; 2011に記載されている方法などを参考に実施可および改変可能である。
反応は酸非存在下でも進行するが、収率向上と反応速度向上のために0.2当量以下の酸の使用が好ましい。酸としては、塩酸、硫酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸が挙げられる、好ましくはp−トルエンスルホン酸である。
溶媒としては例えばトルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、DMF、DMA、EtOAc、DMSO、ジクロロメタン、四塩化炭素、THF、ジオキサン、アセトニトリルなど、水、メタノール、エタノールなどおよびそれらの混合物を挙げることができ、好ましくはトルエンである。
反応温度は室温から溶媒沸点、さらにはマイクロウェーブ合成装置を用いることで300℃までの反応温度を挙げることができ、好ましくはマイクロウェーブ合成装置使用下で210℃、反応時間は30分である。
反応終了後、反応液に水を注ぎ、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。乾燥剤を濾去後、減圧濃縮して得られた残渣を酢酸エチル−n−ヘキサンから結晶化後、ろ過して集め、減圧下乾燥したアニリンIIdを次の工程に用いる。
[工程3]
ニトロ基のアミンへの接触還元反応である。一般的なニトロ基還元条件では、水素源として水素ガスを用いることが多いが、当工程では、水素源として1,4−シクロヘキサジエンを用いて反応させることで進行させることができ、例えばBioorganic & medicinal chemistry letters,12,22,3309-3312; 2002に記載の方法などを参考に実施および改変可能である。
反応はパラジウム炭素存在下、溶媒中室温から溶媒沸点、さらにはマイクロウェーブ合成装置を用いることで300℃までの反応条件で行われる。反応終了後、パラジウム炭素をろ過により除去した後、反応溶液を留去し、生じた沈殿物をろ過し集め乾燥後次の工程に用いる。
反応に用いるパラジウム炭素は例えば、5%パラジウム炭素または10%パラジウム炭素を使用することができ、好ましくは10%パラジウム炭素である。
水素源として用いる1,4−シクロヘキサジエンは過剰量が必要であり、好ましくは10等量である。
溶媒としては例えばメタノール、エタノールなどのアルコール系溶媒を挙げることができ、好ましくはメタノールである。
反応温度は室温から溶媒沸点、さらにはマイクロウェーブ合成装置を用いることで300℃までの反応条件を挙げることができ、好ましくはマイクロウェーブ合成装置使用下で120℃、反応時間は10分である。
精製は、反応終了後、パラジウム炭素をろ過により除去した後、反応溶液を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製する。減圧下乾燥したアニリンeを次の工程に用いる。
[工程4]
アミド化工程である。
当工程では、工程3で合成されたアニリン誘導体eとカルボン酸ハロゲン化物fを塩基存在下で反応させて行う。
反応は塩基非存在下でも進行するが、収率向上と反応速度向上のために1.5当量以上の塩基の使用が好ましい。塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等の無機塩基、あるいはt−BuOK、t−BuONa、ピリジン、TEA、DIPEA、LDA、LiHMDS、n−BuLi等の有機塩基が挙げられる、好ましくはTEAである。
溶媒としては例えばトルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、DMF、DMA、EtOAc、DMSO、ジクロロメタン、四塩化炭素、THF、ジオキサン、アセトニトリルなど、水、メタノール、エタノールなどおよびそれらの混合物を挙げることができ、好ましくはTHFである。
反応温度は室温から溶媒沸点、さらにはマイクロウェーブ合成装置を用いることで300℃までの反応温度を挙げることができ、好ましくは室温下で、反応時間は30分である。
反応終了後、反応液に水を注ぎ、酢酸エチルで抽出し、有機層を1N塩酸水溶液、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。乾燥剤を濾去後、減圧濃縮して得られた残渣を酢酸エチル−n−ヘキサンから結晶化後、ろ過して集め、減圧下乾燥したアミドIIgを次の工程に用いる。
[工程5]
アミドgのアミノ基へのアルキル化工程である。当工程は、アミドgを塩基存在下アルキル化剤と反応させることで進行させることができ、例えばBioorganic and Medicinal Chemistry Letters,18,20,5537-5540; 2008に記載の方法などを参考に実施および改変可能である。
アルキル化剤としては、MeI、EtI、i−PrIなどのアルキルハライド、ジメチル硫酸、メチルメタンスルホネート、メチルトシレート、メチルトリフルオロメタンスルホネートなどのスルホン酸エステルを挙げることができ、好ましくはMeIなどのアルキルハライドである。
塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等の無機塩基、あるいはt−BuOK、t−BuONa、ピリジン、TEA、DIPEA、LDA、LiHMDS、n−BuLi等の有機塩基が挙げられる、好ましくは水素化ナトリウムである。
溶媒としては例えばトルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、DMF、DMA、EtOAc、DMSO、ジクロロメタン、四塩化炭素、THF、ジオキサン、アセトニトリルなど、およびそれらの混合物を挙げることができ、好ましくはDMFである。
[原料化合物の合成]
本発明の化合物の原料化合物の一部は新規化合物であり、これらの化合物は公知の原料化合物と同様にして、あるいは公知の方法を用いて容易に合成できる。
以上、本発明の式(I)で表される化合物の製造方法の一例を示したが、上述の反応工程に示した目的化合物の単離・精製は、抽出、濃縮、留去、結晶化、濾過、再結晶、各種クロマトグラフィーなどの通常の化学操作を適用して行うことができる。
<2>本発明の医薬組成物
本発明は、一側面において、本発明の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは誘導体あるいはそれらの溶媒和物を含む医薬組成物に関する。
本発明の化合物は、上述のとおり、悪性腫瘍細胞の増殖を抑制する活性を有するものである。また本発明の化合物は、一態様において、血液脳関門を突破しやすいという性質を有する。したがって、本発明の医薬組成物は、悪性腫瘍の予防および/または治療、特に悪性脳腫瘍の処置のために好適に用いることができる。
本発明において、「悪性腫瘍」という語は、遺伝子変異などによって自律的で制御されない増殖を行うようになった細胞集団(腫瘍)のうち、特に周囲の組織に浸潤し、または転移を起こすものをいう。また「悪性脳腫瘍」という語は、中枢神経系において生じた腫瘍(原発性および転移性を含む)のうち、特に悪性度の高い(例えばグレード2以上)のものをいう。
本発明の医薬組成物は、有効成分として少なくとも一種の本発明の化合物を含むものであるが、薬理効果に悪影響がなく、また使用による利益を超える悪影響が生じない限り、さらに他の本発明の化合物および/または公知の抗腫瘍性物質を含んでよい。また、例えば薬学的に許容される担体、界面活性剤などの、本発明の化合物の治療効果を効果的に達成するための成分や、賦形剤など、他の任意の成分を含んでもよい。これらの他の成分は当該技術分野において周知であり、当業者はその目的や使用方法に応じて、これらの成分を適宜選択することが可能である。
本明細書において、「薬学的に許容される担体」という用語は、一種以上の適合性の固体または液体の賦形希釈剤またはカプセル化材料であって、哺乳類への投与に適したものを意味する。本明細書において、「許容される」という用語は、通常の使用条件下で組成物の医薬的な有効性を実質的に減少させるような反応をお互いに起こすことがないような方法で、組成物中の成分と対象化合物とが混合されうることを意味する。薬学的に許容される担体は、当然、処置されようとする、好ましくは動物、より好ましくは哺乳類への投与に適するように、十分に高い純度と十分に低い毒性を有していなければならない。
薬学的に許容される担体として用いられうる材料の例としては、乳糖、ブドウ糖、ショ糖などの糖類;トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプンなどのデンプン類;セルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、メチルセルロースなどの誘導体;トラガカントガム粉末;麦芽;ゼラチン;タルク;ステアリン酸やステアリン酸マグネシウムなどの固形潤滑剤;硫酸カルシウム;ピーナッツ油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、植物油、カカオ油などの植物油;プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコールなどの多価アルコール;アルギン酸;TWEENのような乳化剤;レシチンのような湿潤剤;着色剤;香料;錠剤化剤(tableting agent);安定化剤;坑酸化剤;防腐剤;パイロジェンフリー水;等張塩水溶液;及びリン酸緩衝液などがあげられる。
本発明の医薬組成物を、悪性腫瘍の治療剤又は予防剤として使用する場合、その投与方法は、経口的、直腸的、非経口的(静脈内的、筋肉内的、皮下的)、槽内的、膣内的、腹腔内的、髄腔内的、脳実質内的、膀胱内的、経皮的(貼付剤、軟膏、ゲル剤またはクリーム剤など)、経粘膜的(口腔用パッチ、坐剤、舌下錠など)、局所的(動注、点滴、散剤など)投与および吸入(口腔内または鼻スプレーなど)などが挙げられる。本発明の医薬組成物の有効成分である本発明の化合物は、一態様において血液脳関門を突破しやすいという性質を有するため、特に悪性脳しゅようの処置において、全身的に投与することが可能である点に一つの特徴を有する。したがって好ましくは経口投与、静脈内投与などを含む全身投与に供されるものである。
その投与形態としては、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、丸剤、水性および非水性の経口用溶液および懸濁液、および個々の投与量に小分けするのに適応した容器に充填した非経口用溶液が挙げられる。また投与形態は、皮下移植のような調節された放出処方物を包含する種々の投与方法に適応させることもできる。
上記の製剤は、賦形剤、滑沢剤(コーティング剤)、結合剤、崩壊剤、安定剤、矯味矯臭剤、希釈剤などの添加剤を用いて周知の方法で製造される。
例えば、賦形剤としては、デンプン、バレイショデンプン、トウモロコシデンプン等のデンプン、乳糖、結晶セルロース、リン酸水素カルシウム等を挙げることができる。
コーティング剤としては、例えば、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セラック、タルク、カルナウバロウ、パラフィン等を挙げることができる。
結合剤としては、例えばポリビニルピロリドン、マクロゴール及び前記賦形剤と同様の化合物を挙げることができる。
崩壊剤としては、例えば前記賦形剤と同様の化合物及びクロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポリビニルピロリドンのような化学修飾されたデンプン・セルロース類を挙げることができる。
安定剤としては、例えばメチルパラベン、プロピルパラベンのようなパラオキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコールのようなアルコール類;塩化ベンザルコニウム;フェノール、クレゾールのようなフェノール類;チメロサール;デヒドロ酢酸;及びソルビン酸を挙げることができる。
矯味矯臭剤としては、例えば通常使用される、甘味料、酸味料、香料等を挙げることができる。
また、液剤を製造するための溶媒としては、エタノール、フェノール、クロロクレゾール、精製水、蒸留水等を使用することができる。
界面活性剤又は乳化剤としては、例えば、ポリソルベート80、ステアリン酸ポリオキシル40、ラウロマクロゴール等を挙げることができる。
本発明の医薬組成物中の本発明の化合物の含量としては、悪性腫瘍、特に悪性脳腫瘍の処置において有効な量であればよい。具体的な量としては、治療目的の疾患、症状、対象の年齢、体重、相対的健康状態、他の投薬の存在、投与方法等に依拠して適宜調整することができるが、例えば経口投与用組成物である場合、通常、一日につき体重1kg当たり0.001〜1000mg、さらに好ましくは体重1kg当たり0.01〜300mg程度の量が好ましい。
<3>本発明の悪性腫瘍の処置方法
本発明は一側面において、対象における悪性腫瘍を予防および/または治療する方法であって、1種または2種以上の本発明の化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む方法にも関する。本発明の医薬組成物を、悪性腫瘍の治療剤又は予防剤として使用する場合、本発明の化合物の使用量は、症状、年齢、体重、相対的健康状態、他の投薬の存在、投与方法等により異なり得る。例えば患者(温血動物、特に人間)に対して、一般に有効な量は、有効成分(式(I)で表される本発明の化合物)として、経口剤の場合、一日につき体重1kg当たり好ましくは0.001〜1000mg、さらに好ましくは体重1kg当たり0.01〜300mgであり、一日当たりの使用量は、例えば対象がヒトである場合、普通の体重の成人患者に対しては、好ましくは1〜800mgの範囲にある。非経口剤の場合、一日につき体重1kg当たり好ましくは0.001〜1000mg、さらに好ましくは体重1kg当たり0.01〜300mgである。これを1日1回又は数回に分けて、症状に応じて投与することが望ましい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが,本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
マイクロウェーブ反応はBiotage社製Initiatorを用い、スナップキャップ反応バイアルを用いて行われた。最大出力のセッティングはマイクロウェーブによる温度上昇を避けるための、反応容器の空気冷却を含む。
合成された化合物の精製にはBiotage社製Isolera Primeを用い,精製用カラムにはBiotage社製SNAPカートリッジを用いた。
質量スペクトルデータはWaters社製SQ Detector2を用いて得た。
NMR解析は、JEOL社製JNM-EC500(500MHz)同社製JNM-ECX400P(400MHz)、あるいはJNM-ECX400(400MHz)を用いて行ない、NMRデータは、ppm(parts per million)(δ)で示し、サンプル溶媒からのデューテリウムロック信号を参照した。
市販の試薬は更に精製することなく用いた。室温とは20〜25度程度の範囲をいう。
全ての非水性反応は窒素あるいはアルゴン雰囲気下で無水溶媒中実施した。減圧下濃縮あるいは溶媒留去は、ロータリーエバポレータを用いた。
化合物の調製において、好ましくない副反応が起こる可能性がある際は必要に応じ保護基により官能基を保護し、標的分子を調製した後、前記保護基は除去した。保護基の選択および脱着操作は、例えば、Greene and Wuts, “Protective Groups in Organic Sythesis”(第5版,JohnWiley & Sons 2014)に記載の方法により実施した。
合成例1.N−(2−ヒドロキシ−4−フルオロフェニル)−4−ニトロベンズアミド(化合物番号1−1)
Figure 2018087173
2−アミノ−5−フルオロフェノール(337mg、2.66mmol)を無水テトラヒドロフラン(3.5mL)に溶解させ、トリエチルアミン(557μL、3.99mmol)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(33mg,0.266mmol)を加え、室温にて5分間攪拌を行った後、無水テトラヒドロフラン(3.5mL)に溶解させた4−ニトロベンゾイルクロリド(529mg、3.19mmol)を氷上で滴下し、室温で1時間30分攪拌した。
反応後、水(10mL)を反応懸濁液に注ぎ、酢酸エチル(10mL)で振盪抽出を行った。さらに酢酸エチル層は、1N塩酸水溶液(10mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)にて洗い、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥、濾過した後、溶媒を留去した。析出した固体は酢酸エチル:ヘキサン=1:4溶液(5mL)に再懸濁させ濾取し、同溶媒(10mL)で洗い込んだ後、減圧乾固させることで、黄色結晶の標題化合物を544mg(1.97mmol、収率74%)得た。
H−NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:6.64(ddd,J=8.6Hz,8.6Hz,2.9Hz,1H),6.69(dd,J=10Hz,2.9Hz,1H),7.48(dd,J=8.0Hz,6.9Hz,1H),8.16(d,8.6Hz,2H),8.32(d,J=8.6Hz,2H),9.85(s,1H),10.7(s,1H).
LCMS:m/z 275.38[M−H]である。
合成例2.6−フルオロ−2−(4−ニトロフェニル)ベンゾオキサゾール(化合物番号2−1)
Figure 2018087173
N−(2−ヒドロキシ−4−フルオロフェニル)−4−ニトロベンズアミド(241mg、0.873mmol)、p−トルエンスルホン酸1水和物(33mg、0.175mmol)、トルエン(12mL)を20mLスナップキャップ反応バイアル(Biotage社製)に加え、マイクロウェーブ合成装置使用下で210℃、反応時間は30分で加熱、攪拌した。
室温まで冷却した後、水(10mL)を反応懸濁液に注ぎ、酢酸エチル(10mL)で振盪抽出を行った。さらに酢酸エチル層は、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)にて洗い、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥、濾過した後、溶媒を留去した。析出した固体は酢酸エチル:ヘキサン=1:4溶液(5mL)に再懸濁させ濾取し、同溶媒(10mL)で洗い込んだ後、減圧乾固させることで、黄色結晶の標題化合物を153mg(0.591mmol、収率68%)得た。
H−NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:7.33(ddd,J=9.9Hz,8.6Hz,2.3Hz,1H),7.86(dd,J=8.6Hz,2.3Hz,1H),7.90(dd,J=8.6Hz,5.2Hz,1H),8.39(d,J=9.2Hz,2H),8.42(d,J=9.2Hz,2H).
合成例3.6−フルオロ−2−(4−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(化合物番号3−1)
Figure 2018087173
6−フルオロ−2−(4−ニトロフェニル)ベンゾオキサゾール(370mg、1.43mmol)、1,4−シクロヘキサジエン(1.34mL,14.1mmol)、10%パラジウム炭素(37mg)を20mLスナップキャップ反応バイアル(Biotage社製)に加え、さらにメタノール(10mL)を室温にて加え懸濁し、マイクロウェーブ合成装置使用下で120℃、反応時間は10分で加熱、攪拌を行った。
室温まで冷却後、反応懸濁液をセライト濾過し、10%パラジウム炭素を除去した。溶媒を減圧下留去後、得られた残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し(25gシリカゲル、20%から30%酢酸エチル/ヘキサンで溶出)、溶媒を減圧下留去し、減圧乾固させることで、白色結晶の標題化合物を297mg(1.31mmol、収率91%)得た。
H−NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:5.97(brs,2H),6.65(d,J=8.6Hz,2H),7.16(ddd,J=10Hz,8.6Hz,2.3Hz,1H),7.62(d,J=8.6Hz,1H),7.63(dd,J=8.6Hz,1.7Hz,1H),7.79(d,J=9.2Hz,2H).
LCMS:m/z 229.21[M+H]である。
合成例4.2−フルオロ−N−[4−(6−フルオロ−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(化合物番号4−1)
Figure 2018087173
6−フルオロ−2−(4−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(11.5mg、0.0504mmol)を無水テトラヒドロフラン(2.0mL)に溶解させ、トリエチルアミン(11μL、0.0756mmol)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジンを触媒量加え、0℃にて5分間攪拌を行った後、2−フルオロベンゾイルクロリド(7.2μL、0.0605mmol)を滴下し、室温に昇温させて12時間攪拌した。
反応後、水(10mL)を反応懸濁液に注ぎ、酢酸エチル(10mL)で振盪抽出を行った。さらに酢酸エチル層は、1N塩酸水溶液(10mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)にて洗い、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥、濾過した後、溶媒を留去した。析出した固体は酢酸エチル:ヘキサン=1:4溶液(5mL)に再懸濁させ濾取し、同溶媒(10mL)で洗い込んだ後、減圧乾固させることで、白色結晶の標題化合物を12.2mg(0.0349mmol、収率69%)得た。
H−NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:7.25(ddd,J=10Hz,8.6Hz,2.3Hz,1H),7.33(dd,J=7.5Hz,7.5Hz,2H),7.35(dd,J=10Hz,9.0Hz,1H),7.56−7.60(m,1H),7.68(ddd,J=7.5Hz,7.5Hz,1.7Hz,1H),7.75(dd,J=8.3Hz,2.3Hz,1H),7.78(dd,J=8.6Hz,5.2Hz,1H),7.94(d,J=8.6Hz,2H),8.14(d,J=8.6Hz,2H),10.8(s,1H).
LCMS:m/z 351.16[M+H]である。
合成例5.3−フルオロ−N−[4−(6−フルオロ−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(化合物番号4−2)
Figure 2018087173
合成例4と同様の条件において、2−フルオロベンゾイルクロリドに代えて3−フルオロベンゾイルクロリド(8.2μL、0.0679mmol)を用いることにより、白色結晶の標題化合物を13.2mg(0.0377mmol、収率67%)得た。
H−NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:7.26(ddd,J=9.9Hz,8.6Hz,2.3Hz,1H),7.45(ddd,J=8.6Hz,8.6Hz,1.7Hz,1H),7.59(ddd,J=8.0Hz,8.0Hz,5.7Hz,1H),7.75(dd,J=8.6Hz,2.9Hz,1H),7.77(d,J=8.6Hz,1H),7.78(dd,J=8.6Hz,5.2Hz,1H),7.81(d,J=8.0Hz,1H),8.01(d,J=8.6Hz,2H),8.15(d,J=8.6Hz,2H),10.6(s,1H).
LCMS:m/z 351.26[M+H]である。
合成例6.4−フルオロ−N−[4−(6−フルオロ−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(化合物番号4−3)
Figure 2018087173
合成例4と同様の条件において、2−フルオロベンゾイルクロリドの代わりに4−フルオロベンゾイルクロリド(7.6μL、0.0626mmol)を用いることにより、白色結晶の標題化合物を13.9mg(0.0396mmol、収率76%)得た。
H−NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:7.25(ddd,J=9.9Hz,8.6Hz,2.3Hz,1H),7.37(dd,J=8.9Hz,8.6Hz,2H),7.75(dd,J=8.3Hz,2.3Hz,1H),7.78(dd,J=8.6Hz,5.2Hz,1H),8.01(d,J=8.6Hz,2H),8.04(dd,J=8.9Hz,5.2Hz,2H),8.14(d,J=9.2Hz,2H),10.6(s,1H).
LCMS:m/z 351.22[M+H]である。
合成例7.3,4−ジフルオロ−N−[4−(6−フルオロ−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(化合物番号4−4)
Figure 2018087173
6−フルオロ−2−(4−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(20.6mg、0.0904mmol)を無水テトラヒドロフラン(2.0mL)に溶解させ、トリエチルアミン(20μL、0.136mmol)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジンを触媒量加え、室温にて5分間攪拌を行った後、3,4−ジフルオロベンゾイルクロリド(13μL、0.108mmol)を氷上で滴下し、室温に昇温させて3時間攪拌した。その後、トリエチルアミン(20μL、0.136mmol)、3,4−ジフルオロベンゾイルクロリド(13μL、0.108mmol)を追加し、室温でさらに1時間攪拌した。
反応後、水(10mL)を反応懸濁液に注ぎ、酢酸エチル(10mL)で振盪抽出を行った。さらに酢酸エチル層は、1N塩酸水溶液(10mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)にて洗い、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥、濾過した後、溶媒を留去した。析出した固体は酢酸エチル:ヘキサン=1:4溶液(5mL)に再懸濁させ濾取し、同溶媒(10mL)で洗い込んだ後、減圧乾固させることで、白色結晶の標題化合物を21.2mg(0.0576mmol、収率64%)得た。
H−NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:7.25(ddd,J=10Hz,8.9Hz,2.3Hz,1H),7.62(td,J=9.3Hz,8.6Hz,1H),7.75(dd,J=8.9Hz,2.3Hz,1H),7.78(dd,J=8.6Hz,5.2Hz,1H),7.84−7.89(m,1H),7.99(d,J=8.6Hz,2H),8.04(ddd,J=11Hz,8.2Hz,2.3Hz,1H),8.15(d,J=9.2Hz,2H),10.6(s,1H).
LCMS:m/z 369.30[M+H]である。
合成例8.5−フルオロ−N−[4−(6−フルオロ−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミド(化合物番号4−5)
Figure 2018087173
6−フルオロ−2−(4−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(20.4mg、0.0895mmol)を無水テトラヒドロフラン(1.0mL)に溶解させ、トリエチルアミン(25μL、0.179mmol)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジンを触媒量加え、室温にて5分間攪拌を行った後、5−フルオロ−3−ピリジンカルボニルクロリド(12μL、0.0985mmol)を氷上で滴下し、室温に昇温させて1時間攪拌した。
反応後、水(10mL)を反応懸濁液に注ぎ、酢酸エチル(10mL)で振盪抽出を行った。さらに酢酸エチル層は、飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)にて洗い、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥、濾過した後、溶媒を留去した。析出した固体はエタノール(5mL)に再懸濁させ濾取し、同溶媒(10mL)、水(10mL)で洗い込んだ後、減圧乾固させることで、白色結晶の標題化合物を16.2mg(0.0462mmol、収率52%)得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ:7.26(ddd,J=10Hz,8.6Hz,2.3Hz,1H),7.76(dd,J=8.6Hz,2.3Hz,1H),7.79(dd,J=8.6Hz,5.0Hz,1H),8.00(d,J=9.1Hz,2H),8.17(d,J=8.6Hz,2H),8.23(ddd,J=9.5Hz,2.7Hz,1.8Hz,1H),8.80(d,J=2.7Hz,1H),8.98(dd,J=1.8Hz,1.8Hz,1H),10.8(s,1H).
LCMS:m/z 352.29[M+H]である。
合成例9.4−シアノ−N−[4−(6−フルオロ−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(化合物番号4−6)
Figure 2018087173
6−フルオロ−2−(4−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(13.8mg、0.0605mmol)を無水テトラヒドロフラン(2.0mL)に溶解させ、トリエチルアミン(12.7μL、0.0908mmol)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジンを触媒量加え、室温にて5分間攪拌を行った後、無水テトラヒドロフラン(1.0mL)に溶解させた4−シアノベンゾイルクロリド(12mg、0.0726mmol)を氷上で滴下し、室温に昇温させて4時間攪拌した。
反応後、水(10mL)を反応懸濁液に注ぎ、酢酸エチル(10mL)で振盪抽出を行った。さらに酢酸エチル層は、1N塩酸水溶液(10mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)にて洗い、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥、濾過した後、溶媒を留去した。析出した固体は酢酸エチル:ヘキサン=1:4溶液(5mL)に再懸濁させ濾取し、同溶媒(10mL)で洗い込んだ後、減圧乾固させることで、薄黄色結晶の標題化合物を14.5mg(0.0406mmol、収率67%)得た。
H−NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:7.26(ddd,J=9.9Hz,8.6Hz,2.3Hz,1H),7.76(dd,J=8.6Hz,2.3Hz,1H),7.78(dd,J=9.2Hz,5.2Hz,1H),8.01(d,J=8.6Hz,2H),8.03(d,J=8.0Hz,2H),8.10(d,J=8.6Hz,2H),8.16(d,J=8.6Hz,2H),10.8(s,1H).
LCMS:m/z 358.27[M+H]である。
合成例10.N−[4−(6−フルオロ−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミド(化合物番号4−7)
Figure 2018087173
6−フルオロ−2−(4−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(23.7mg、0.104mmol)を無水テトラヒドロフラン(2.0mL)に溶解させ、トリエチルアミン(15μL、0.104mmol)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジンを触媒量加え、室温にて5分間攪拌を行った後、ピリジン(1mL)に溶解させたニコチノイルクロリド1塩酸塩(28mg、0.156mmol)を氷上で滴下し、室温に昇温させて5時間攪拌した。その後、トリエチルアミン(15μL、0.104mmol)、ピリジン(1mL)に溶解させたニコチノイルクロリド1塩酸塩(28mg、0.156mmol)を追加し、室温でさらに1時間攪拌した。
反応後、水(10mL)を反応懸濁液に注ぎ、酢酸エチル(10mL)で振盪抽出を行った。さらに酢酸エチル層は、水(10mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)にて洗い、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥、濾過した後、溶媒を留去した。析出した固体は酢酸エチル:ヘキサン=1:4溶液(5mL)に再懸濁させ濾取し、同溶媒(10mL)で洗い込んだ後、減圧乾固させることで、薄黄色結晶の標題化合物を30.7mg(0.0922mmol、収率89%)得た。
合成例11.4−フルオロ−N−[4−(6−フルオロ−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミド(化合物番号4−8)
Figure 2018087173
6−フルオロ−2−(4−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(17.3mg、0.0758mmol)、6−フルオロニコチン酸(12mg、0.0835mmol)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(11.4mg,0.0835mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(500μL)に溶解させ、0℃にて5分間攪拌を行った後、N,N−ジメチルホルムアミド(500μL)に溶解させた1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(17.5mg、0.0910mmol)を氷上で滴下し、室温に昇温させて4時間攪拌した。その後、80℃に昇温させてさらに12時間反応させた。
反応後、水(10mL)を反応懸濁液に注ぎ、酢酸エチル(10mL)で振盪抽出を行った。さらに酢酸エチル層は、1N塩酸水溶液(10mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)、水(10mL)にて洗い、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥、濾過した後、溶媒を留去した。析出した固体は酢酸エチル:ヘキサン=1:4溶液(5mL)に再懸濁させ濾取し、同溶媒(10mL)、冷却したメタノール(5mL)で洗い込んだ後、減圧乾固させることで、白色結晶の標題化合物を10.9mg(0.0310mmol、収率37%)得た。
H−NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:7.26(ddd,J=9.9Hz,8.6Hz,2.3Hz,1H),7.37(dd,J=8.6Hz,2.3Hz,1H),7.75(dd,J=8.6Hz,2.3Hz,1H),7.78(dd,J=9.2Hz,5.2Hz,1H),7.99(d,J=8.6Hz,2H),8.16(d,J=9.2Hz,2H),8.50(td,J=8.6Hz,2.3Hz,1H),8.81(d,J=2.3Hz,1H),10.8(s,1H).
LCMS:m/z 352.24[M+H]である。
合成例12.3−フルオロ−N−[4−(6−フルオロ−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]−4−ピリジンカルボキサミド(化合物番号4−9)
Figure 2018087173
合成例11と同様の条件において、6−フルオロニコチン酸の代わりに2−フルオロイソニコチン酸(12mg、0.0835mmol)を用いることにより、白色結晶の標題化合物を13mg(0.0370mmol、収率44%)得た。
H−NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:7.26(ddd,J=9.9Hz,8.6Hz,2.3Hz,1H),7.67(s,1H),7.76(dd,J=8.6Hz,2.3Hz,1H),7.78(dd,J=9.1Hz,5.2Hz,1H),7.82(dt,J=5.2Hz,1.7Hz,2H),8.00(d,J=8.6Hz,2H),8.17(d,J=9.2Hz,2H),8.45(d,J=5.2Hz,1H),10.9(s,1H).
LCMS:m/z 352.24[M+H]である。
合成例13.3,4,5−トリフルオロ−N−[4−(6−フルオロ−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(化合物番号4−10)
Figure 2018087173
合成例11と同様の条件において、6−フルオロニコチン酸の代わりに3,4,5−トリフルオロ安息香酸(14.7mg、0.0835mmol)を用いることにより、白色結晶の標題化合物を9.0mg(0.0233mmol、収率28%)得た。
H−NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:7.26(ddd,J=9.9Hz,8.6Hz,2.3Hz,1H),7.75(dd,J=8.6Hz,2.3Hz,1H),7.78(dd,J=8.6Hz,5.2Hz,1H),7.94(dd,J=8.0Hz,6.9Hz,2H),7.98(d,J=8.6Hz,2H),8.16(d,J=9.2Hz,2H),10.7(s,1H).
LCMS:m/z 387.23[M+H]である。
合成例14.3−クロロ−N−[4−(6−フルオロ−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(化合物番号4−11)
Figure 2018087173
6−フルオロ−2−(4−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(18.7mg、0.0820mmol)を無水テトラヒドロフラン(2.0mL)に溶解させ、トリエチルアミン(34μL、0.246mmol)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジンを触媒量加え、室温にて5分間攪拌を行った後、3−クロロベンゾイルクロリド(12.6μL、0.0984mmol)を氷上で滴下し、室温に昇温させて5時間攪拌した。その後、3−クロロベンゾイルクロリド(2.1μL、0.0164mmol)を追加し、室温でさらに12時間攪拌した。
反応後、水(10mL)を反応懸濁液に注ぎ、酢酸エチル(10mL)で振盪抽出を行った。さらに酢酸エチル層は、1N塩酸水溶液(10mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)にて洗い、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥、濾過した後、溶媒を留去した。析出した固体は酢酸エチル:ヘキサン=1:4溶液(5mL)に再懸濁させ濾取し、同溶媒(10mL)で洗い込んだ後、減圧乾固させることで、白色結晶の標題化合物を16.5mg(0.0500mmol、収率55%)得た。
H−NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:7.25(ddd,J=9.9Hz,8.6Hz,2.3Hz,1H),7.57(dd,J=7.7Hz,7.5Hz,1H),7.67(ddd,J=8.0Hz,1.2Hz,1.2Hz,1H),7.75(dd,J=8.9Hz,2.3Hz,1H),7.78(dd,J=8.9Hz,5.2Hz,1H),7.91(dd,J=7.5Hz,1.2Hz,1H),8.01(d,J=8.6Hz,2H),8.01(dd,J=4.0Hz,2.3Hz,1H),8.15(d,J=8.6Hz,2H),10.7(s,1H).
LCMS:m/z 367.29[M+H]である。
合成例15.4−クロロ−N−[4−(6−フルオロ−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(化合物番号4−12)
Figure 2018087173
合成例14と同様の条件において、3−クロロベンゾイルクロリドの代わりに4−クロロベンゾイルクロリド(11.7μL、0.0916mmol)を用いることにより、白色結晶の標題化合物を17.8mg(0.0485mmol、収率64%)得た。
H−NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:7.25(ddd,J=10Hz,8.6Hz,2.3Hz,1H),7.61(d,J=8.0Hz,2H),7.75(ddd,J=8.6Hz,2.3Hz,1H),7.78(dd,J=8.9Hz,5.2Hz,1H),7.98(d,J=8.6Hz,2H),8.01(d,J=8.6Hz,2H),8.14(d,J=8.6Hz,2H),10.6(s,1H).
LCMS:m/z 367.30[M+H]である。
合成例16.2−メチル−N−[4−(6−フルオロ−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(化合物番号4−13)
Figure 2018087173
6−フルオロ−2−(4−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(11.8mg、0.0518mmol)を無水テトラヒドロフラン(2.0mL)に溶解させ、N,N−ジメチル−4−アミノピリジンを触媒量加え、0℃にて5分間攪拌を行った後、2−メチルベンゾイルクロリド(81μL、0.622mmol)を滴下し、室温に昇温させて1時間攪拌した。
反応後、水(10mL)を反応懸濁液に注ぎ、酢酸エチル(10mL)で振盪抽出を行った。さらに酢酸エチル層は、1N塩酸水溶液(10mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)にて洗い、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥、濾過した後、溶媒を留去した。析出した固体は酢酸エチル:ヘキサン=1:4溶液(5mL)に再懸濁させ濾取し、同溶媒(10mL)で洗い込んだ後、減圧乾固させることで、白色結晶の標題化合物を13.1mg(0.0379mmol、収率73%)得た。
H−NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:2.37(s,3H),7.25(ddd,J=10Hz,8.9Hz,2.9Hz,1H),7.30(d,J=8.0Hz,2H),7.39(td,J=7.5Hz,1.2Hz,1H),7.47(d,J=7.5Hz,1H),7.75(dd,J=8.9Hz,2.3Hz,1H),7.77(dd,J=8.6Hz,5.2Hz,1H),7.96(d,J=8.6Hz,2H),8.13(d,J=8.6Hz,2H),10.7(s,1H).
LCMS:m/z 347.26[M+H]である。
合成例17.4−メチル−N−[4−(6−フルオロ−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(化合物番号4−14)
Figure 2018087173

6−フルオロ−2−(4−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(6.8mg、0.0298mmol)を無水テトラヒドロフラン(1.0mL)に溶解させ、アルゴン雰囲気下60%水素化ナトリウム(4.6mg、0.149mmol)を加え、室温にて5分間攪拌を行った後、4−メチルベンゾイルクロリド(4.6μL、0.0342mmol)を加え、室温で12時間攪拌した。
TLCにて反応終結を確認後、飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL)を反応懸濁液に注ぎ、酢酸エチル(10×2mL)で振盪抽出を行った。さらに酢酸エチル層は、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)にて洗い、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥、濾過した後、溶媒を留去した。析出した固体は酢酸エチル:ヘキサン=1:4溶液(5mL)に再懸濁させ濾取し、同溶媒(10mL)、冷却したメタノール(3mL)で洗い込んだ後、減圧乾固させることで、白色結晶の標題化合物を6.8mg(0.0197mmol、収率66%)得た。
H−NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:2.37(s,3H),7.25(ddd,J=10Hz,8.6Hz,2.3Hz,1H),7.33(d,J=8.0Hz,2H),7.75(dd,J=8.6Hz,2.3Hz,1H),7.77(dd,J=8.6Hz,5.2Hz,1H),7.87(d,J=8.0Hz,2H),8.02(d,J=8.6Hz,2H),8.13(d,J=8.6Hz,2H),10.5(s,1H).
LCMS:m/z 347.28[M+H]である。
合成例18.3−フルオロ−N−[4−(4−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(化合物番号4−15)
Figure 2018087173
4−メチル−2−(4−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(50mg、0.223mmol)を無水テトラヒドロフラン(5mL)に溶解させ、アルゴン雰囲気下60%水素化ナトリウム(10.8mg、0.268mmol)を加え、室温にて10分間攪拌を行った後、3−フルオロベンゾイルクロリド(26.4μL、0.223mmol)を滴下し、室温で30分間攪拌した。
反応後、飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL)を反応懸濁液に注ぎ、酢酸エチル(5×2mL)で振盪抽出を行った。さらに酢酸エチル層は、水(10mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)にて洗い、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥、濾過した後、溶媒を留去した。析出した固体は酢酸エチル:ヘキサン=1:1溶液(5mL)に再懸濁させ濾取し、同溶媒(10mL)で洗い込んだ後、減圧乾固させることで、白色結晶の標題化合物を11.7mg(0.0329mmol、収率15%)得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:2.68(s,3H),7.15(d,J=7.2Hz,1H),7.23(d,J=7.6Hz,1H),7.27−7.32(m,1H),7.40(d,J=8.1Hz,1H),7.48−7.54(m,1H),7.61−7.67(m,2H),7.83(d,J=9.0Hz,2H),7.91(brs,1H),8.30(dd,J=7.0Hz,2.0Hz,2H).
LCMS:m/z 347[M+H]である。
合成例19.4−フルオロ−N−[4−(4−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(化合物番号4−16)
Figure 2018087173
合成例18と同様の条件において、3−フルオロベンゾイルクロリドの代わりに4−フルオロベンゾイルクロリド(26.4μL、0.223mmol)を用いることにより、白色結晶の標題化合物を28.8mg(0.0832mmol、収率38%)得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:2.69(s,3H),7.15−7.39(m,4H),7.41(d,J=8.1Hz,1H),7.84(dd,J=6.7Hz,1.8Hz,2H),7.91−7.95(m,2H),7.96(brs,1H),8.32(ddd,J=9.0Hz,2.1Hz,2.1Hz,2H).
LCMS:m/z 347[M+H]である。
合成例20.3,4−ジフルオロ−N−[4−(4−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(化合物番号4−17)
Figure 2018087173
合成例18と同様の条件において、3−フルオロベンゾイルクロリドの代わりに3,4−ジフルオロベンゾイルクロリド(25.7μL、0.223mmol)を用い、精製の際に酢酸エチル:ヘキサン=1:4溶液を使用することにより、白色結晶の標題化合物を52.7mg(0.145mmol、収率66%)得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:2.68(s,3H),7.15(d,J=7.3Hz,1H),7.23(d,J=8.2Hz,1H),7.28−7.35(m,1H),7.40(d,J=8.2Hz,1H),7.64−7.67(m,1H),7.75−7.78(m,1H),7.81(dd,J=6.8Hz,1.8Hz,2H),7.87(brs,1H),8.30(d,J=9.1Hz,2H).
LCMS:m/z 365[M+H]である。
合成例21.4−メトキシ−N−[4−(4−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(化合物番号4−18)
Figure 2018087173
合成例20と同様の条件において、3,4−ジフルオロベンゾイルクロリドの代わりに4−メトキシベンゾイルクロリド(37.5mg、0.223mmol)を用いることにより、淡黄色結晶の標題化合物を38.1mg(0.106mmol、収率48%)得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:2.68(s,3H),3.89(s,3H),7.00(ddd,J=9.3Hz,2.5Hz,2.5Hz,2H),7.14(d,J=7.2Hz,1H),7.23(dd,J=7.9Hz,7.9Hz,1H),7.40(d,J=8.1Hz,1H),7.81−7.90(m,5H),8.28(ddd,J=9.0Hz,2.1Hz,2.1Hz,2H).
LCMS:m/z 359[M+H]である。
合成例22.3−シアノ−N−[4−(4−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(化合物番号4−19)
Figure 2018087173
合成例20と同様の条件において、3,4−ジフルオロベンゾイルクロリドの代わりに3−シアノベンゾイルクロリド(36.4mg、0.223mmol)を用いることにより、白色結晶の標題化合物を59.5mg(0.168mmol、収率77%)得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:2.68(s,3H),7.15(d,J=7.6Hz,1H),7.24(d,J=8.1Hz,1H),7.41(d,J=8.1Hz,1H),7.68(dd,J=7.9Hz,7.9Hz,1H),7.84(d,J=8.5Hz,2H),7.88(ddd,J=7.6Hz,1.4Hz,1.4Hz,1H),7.94(brs,1H),8.15(dd,J=8.1Hz,1.4Hz,1H),8.21(s,1H),8.32(dd,J=7.2Hz,1.8Hz,2H).
LCMS:m/z 354[M+H]である。
合成例23.4−メチル−N−[4−(4−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(化合物番号4−20)
Figure 2018087173
合成例20と同様の条件において、3,4−ジフルオロベンゾイルクロリドの代わりにp−トルオイルクロリド(29.1μL、0.223mmol)を用いることにより、白色結晶の標題化合物を63.2mg(0.185mmol、収率84%)得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:2.44(s,3H),2.69(s,3H),7.15(d,J=7.3Hz,1H),7.23(d,J=7.7Hz,1H),7.32(d,J=8.2Hz,2H),7.41(d,J=7.7Hz,1H),7.80(dd,J=6.3Hz,1.8Hz,2H),7.85(ddd,J=8.6Hz,2.2Hz,2.0Hz,2H),7.97(s,1H),8.31(ddd,J=9.1Hz,2.3Hz,2.3Hz,2H).
LCMS:m/z 343[M+H]である。
合成例24.N−[4−(4−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミド(化合物番号4−21)
Figure 2018087173
合成例20と同様の条件において、3,4−ジフルオロベンゾイルクロリドの代わりに3−ピリジンカルボニルクロリド1塩酸塩(246mg、1.38mmol)を用いることにより、白色結晶の標題化合物を376mg(1.14mmol、収率83%)得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:2.68(s,3H),7.15(d,J=7.3Hz,1H),7.23(d,J=8.2Hz,1H),7.40(d,J=8.2Hz,1H),7.49(dd,J=7.9Hz,4.8Hz,1H),7.85(d,J=8.6Hz,2H),8.01(s,1H),8.25(ddd,J=8.2Hz,2.0Hz,2.0Hz,1H),8.31(d,J=8.6Hz,2H),8.82(d,J=3.6Hz,1H),9.14(d,J=1.8Hz,1H).
LCMS:m/z 330[M+H]である。
合成例25.3,5−ジメトキシ−N−[4−(4−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(化合物番号4−22)
Figure 2018087173
合成例20と同様の条件において、3,4−ジフルオロベンゾイルクロリドの代わりに3,5−ジメトキシベンゾイルクロリド(44.1mg、0.223mmol)を用いることにより、薄茶色結晶の標題化合物を42.5mg(0.109mmol、収率50%)得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:2.68(s,3H),3.87(s,6H),6.64(dd,J=2.3Hz,2.2Hz,1H),7.00(d,J=2.2Hz,2H),7.15(d,J=7.6Hz,1H),7.24(dd,J=7.9Hz,7.9Hz,1H),7.40(d,J=8.1Hz,1H),7.83(ddd,J=9.0Hz,2.1Hz,2.1Hz,2H),7.94(brs,1H),8.29(ddd,J=9.0Hz,2.2Hz,2.2Hz,2H).
LCMS:m/z 389[M+H]である。
合成例26.3−クロロ−N−[4−(4−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(化合物番号4−23)
Figure 2018087173
合成例20と同様の条件において、3,4−ジフルオロベンゾイルクロリドの代わりに3−クロロベンゾイルクロリド(28.1μL、0.223mmol)を用いることにより、白色結晶の標題化合物を65.1mg(0.179mmol、収率80%)得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:2.68(s,3H),7.15(d,J=7.7Hz,1H),7.23(d,J=7.7Hz,1H),7.40(d,J=7.7Hz,1H),7.47(dd,J=7.9Hz,7.9Hz,1H),7.56(dd,J=7.9Hz,0.9Hz,1H),7.77(ddd,J=7.7Hz,1.4Hz,1.4Hz,1H),7.83(d,J=9.1Hz,2H),7.89(dd,J=1.8Hz,1.8Hz,1H),7.91(brs,1H),8.30(ddd,J=8.6Hz,2.0Hz,2.0Hz,2H).
LCMS:m/z 363[M+H]である。
合成例27.7−メチル−2−(4−ニトロフェニル)ベンゾオキサゾール(化合物番号2−2)
Figure 2018087173
2−アミノ−6−メチルフェノール(111.2mg、0.903mmol)、4−ニトロベンゾイルクロリド(185mg、0.993mmol)、1,4−ジオキサン(2.5mL)を5mLスナップキャップ反応バイアル(Biotage社製)に加え、マイクロウェーブ合成装置使用下で210℃、反応時間は15分で加熱、攪拌した。
室温まで冷却した後、氷上で冷却された1N水酸化ナトリウム水溶液(5.0mL)に反応液を滴下し、生じた固体は減圧濾過によって濾取した。濾取した固体は酢酸エチル:ヘキサン=1:4溶液(10mL)、水(10mL)で洗い込み、減圧乾固させることで、赤褐色結晶の標題化合物を163.1mg(0.642mmol、収率71%)得た。
H−NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:2.56(s,3H),7.30(d,J=6.9Hz,1H),7.33(dd,J=8.0Hz,6.9Hz,1H),7.67(d,J=8.0Hz,1H),8.41(d,J=9.2Hz,2H),8.44(d,J=9.2Hz,2H).
LCMS:m/z 255.24[M+H]である。
合成例28.7−メチル−2−(4−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(化合物番号3−2)
Figure 2018087173
7−メチル−2−(4−ニトロフェニル)ベンゾオキサゾール(161.1mg、0.634mmol)、1,4−シクロヘキサジエン(593μL,6.24mmol)、10%パラジウム炭素(17mg)を20mLスナップキャップ反応バイアル(Biotage社製)に加え、さらにメタノール(10mL)を室温にて加え懸濁し、マイクロウェーブ合成装置使用下で120℃、反応時間は10分で加熱、攪拌を行った。
室温まで冷却後、反応懸濁液を濾過し、10%パラジウム炭素を除去した。溶媒を減圧下留去後、得られた残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し(25gシリカゲル、20%から30%酢酸エチル/ヘキサンで溶出)、溶媒を減圧下留去し、減圧乾固させることで、薄茶色結晶の標題化合物を113.1mg(0.505mmol、収率80%)得た。
H−NMR(500MHz,DMSO−d6)δ:2.48(s,3H),5.93(brs,2H),6.66(d,J=8.6Hz,2H),7.08(d,J=7.5Hz,1H),7.17(dd,J=8.0Hz,7.5Hz,1H),7.42(d,J=8.0Hz,1H),7.83(d,J=8.6Hz,2H).
LCMS:m/z 225.21[M+H]である。
合成例29.3−シアノ−N−[4−(7−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(化合物番号4−24)
Figure 2018087173
7−メチル−2−(4−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(19.9mg、0.0888mmol)を無水テトラヒドロフラン(500μL)に溶解させ、アルゴン雰囲気下60%水素化ナトリウム(14.2mg、0.339mmol)を加え、室温にて5分間攪拌を行った後、3−シアノベンゾイルクロリド(14.7mg、0.0888mmol)を加え、室温で12時間攪拌した。
TLCにて反応終結を確認後、飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL)を反応懸濁液に注ぎ、酢酸エチル(10×2mL)で振盪抽出を行った。さらに酢酸エチル層は、水(10mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)にて洗い、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥、濾過した後、溶媒を留去した。析出した固体は酢酸エチル:ヘキサン=1:4溶液(5mL)に再懸濁させ濾取し、同溶媒(10mL)、水(10mL)で洗い込んだ後、減圧乾固させることで、白色結晶の標題化合物を23.9mg(0.0677mmol、収率76%)得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ:2.53(s,3H),7.19(d,J=7.6Hz,1H),7.25(dd,J=7.6Hz,7.6Hz,1H),7.55(d,J=7.6Hz,1H),7.74(dd,J=8.1Hz,1H),8.00(d,J=9.0Hz,2H),8.06(ddd,J=8.1Hz,1.4Hz,1.4Hz,1H),8.20(d,J=9.0Hz,2H),8.24(ddd,J=8.1Hz,1.4Hz,1.4Hz,1H),8.41(dd,J=1.4Hz,1.4Hz,1H),10.8(s,1H).
LCMS:m/z 354.12[M+H]である。
合成例30.N−[4−(7−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]−N−メチル−3−ピリジンカルボキサミド(化合物番号5−1)
Figure 2018087173
N−[4−(7−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミド(6.7mg、0.0204mmol)を無水テトラヒドロフラン(1mL)に溶解させ、アルゴン雰囲気下60%水素化ナトリウム(3.3mg、0.103mmol)を加え、室温にて10分間攪拌を行った後、ヨウ化メチルを過剰量加え、室温で30分間攪拌した。
TLCにて反応終結を確認後、飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL)を反応懸濁液に注ぎ、酢酸エチル(10×2mL)で振盪抽出を行った。さらに酢酸エチル層は、水(10mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)にて洗い、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥、濾過した後、溶媒を留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し(10gシリカゲル、0%から20%メタノール/クロロホルムで溶出)、溶媒を減圧下留去し、減圧乾固させることで、薄黄色のオイル状標題化合物を5.2mg(0.0151mmol、収率74%)得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:2.55(s,3H),3.57(s,3H),7.13−7.16(m,2H),7.19(d,J=8.6Hz,2H),7.24(dd,J=7.7Hz,7.7Hz,1H),7.56(d,J=8.2Hz,1H),7.64(ddd,J=7.7Hz,1.8Hz,1.8Hz,1H),8.15(d,J=8.6Hz,2H),8.48(dd,J=5.0Hz,1.8Hz,1H),8.56(d,J=1.8Hz,1H).
LCMS: m/z 344.36[M+H]である。
合成例31.3−フルオロ−N−[4−(7−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]−N−メチルベンズアミド(化合物番号5−2)
Figure 2018087173
3−フルオロ−N−[4−(7−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(11.1mg、0.0320mmol)を無水テトラヒドロフラン(1mL)に溶解させ、アルゴン雰囲気下60%水素化ナトリウム(5.1mg、0.128mmol)を加え、室温にて10分間攪拌を行った後、ヨウ化メチルを過剰量加え、室温で12時間攪拌した。
TLCにて反応終結を確認後、飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL)を反応懸濁液に注ぎ、酢酸エチル(10×2mL)で振盪抽出を行った。さらに酢酸エチル層は、水(10mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)にて洗い、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥、濾過した後、溶媒を留去した。得られた残渣を分取薄層クロマトグラフィーにより精製し(50%酢酸エチル/ヘキサンで展開)、溶媒を減圧下留去し、減圧乾固させることで、無色のオイル状標題化合物を8.0mg(0.0222mmol、収率69%)得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:2.56(s,3H),3.55(s,3H),6.96(tdd,J=8.4Hz,2.5Hz,0.9Hz,1H)7.04−7.15(m,4H),7.18(d,J=8.6Hz,2H),7.24(dd,J=7.7Hz,7.7Hz,1H),7.56(d,J=7.7Hz,1H),7.64(ddd,J=7.7Hz,1.8Hz,1.8Hz,1H),8.14(d,J=9.1Hz,2H).
LCMS:m/z 361.33[M+H]である。
合成例32.3−フルオロ−N−(4−オキサゾロ[4,5−c]ピリジン−2−イルフェニル)ベンズアミド(化合物番号4−25)
Figure 2018087173
4−オキサゾロ[4,5−c]ピリジン−2−イル−ベンゼンアミン(61.6mg、0.292mmol)を無水テトラヒドロフラン(5.0mL)に溶解させ、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(99μL、0.584mmol)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(37mg,0.292mmol)を加え、室温にて5分間攪拌を行った後、3−フルオロベンゾイルクロリド(72μL、0.584mmol)を滴下し、還流条件下で12時間攪拌した。
反応後、溶媒を減圧下留去し、得られた残渣は水(5mL)に再懸濁させた後、減圧濾過により濾取し、酢酸エチル:ヘキサン=1:4溶液(5mL)、冷却したメタノール(5mL)で洗い込んだ後、減圧乾固させることで、白色結晶の標題化合物を82.8mg(0.248mmol、収率85%)得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ:7.56(tdd,J=8.6Hz,2.7Hz,0.9Hz,1H),7.59(td,J=7.9Hz,5.9Hz,1H),7.78(ddd,J=10Hz,2.7Hz,1.4Hz,1H),7.81(d,J=7.7Hz,0.9Hz,1H),7.86(dd,J=5.4Hz,0.9Hz,1H),8.04(d,J=8.6Hz,2H),8.22(d,J=9.1Hz,2H),8.55(d,J=5.4Hz,1H),9.07(d,J=0.9Hz,1H),10.7(s,1H).
LCMS:m/z 334.28[M+H]である。
合成例33.3−フルオロ−N−[4−(7−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]−N−メチルベンズアミド(化合物番号5−3)
Figure 2018087173
3−フルオロ−N−(4−オキサゾロ[4,5−c]ピリジン−2−イルフェニル)ベンズアミド(7.8mg、0.0234mmol)を無水N,N−ジメチルホルムアミド(1mL)に溶解させ、アルゴン雰囲気下60%水素化ナトリウムを過剰量加え、室温にて10分間攪拌を行った後、ヨウ化メチルを過剰量加え、室温で5分間攪拌した。
TLCにて反応終結を確認後、飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL)を反応懸濁液に注ぎ、酢酸エチル(10×2mL)で振盪抽出を行った。さらに酢酸エチル層は、水(10mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)にて洗い、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥、濾過した後、溶媒を留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し(10gシリカゲル、40%から50%酢酸エチル/ヘキサンで溶出)、溶媒を減圧下留去し、減圧乾固させることで、無色のオイル状標題化合物を4.8mg(0.0138mmol、収率59%)得た。
H−NMR(500MHz,CDCl)δ:3.56(s,3H),6.98(tdd,J=8.6Hz,2.5Hz,1.2Hz,1H),7.06−7.10(m,2H),7.16(td,J=8.5Hz,5.7Hz,1H),7.21(d,J=8.6Hz,2H),7.53(dd,J=5.7Hz,1.5Hz,1H),8.15(d,J=8.6Hz,2H),8.58(d,J=5.7Hz,1H),9.09(s,1H).
LCMS:m/z 348.31[M+H]である。
合成例34.N−[4−(5−フルオロ−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]−3−ピリジンカルボキサミド(化合物番号4−26)
Figure 2018087173
4−(5−フルオロ−1,3−ベンゾオキサゾール−2−イル)フェニルアミン(7.8mg、0.0342mmol)を無水テトラヒドロフラン(680μL)に溶解させ、60%水素化ナトリウム(5.3mg、0.166mmol)を加え、室温にて10分間攪拌を行った後、さらにニコチノイルクロリド1塩酸塩(20mg、0.113mmol)を加え、室温で1時間反応させた。
TLCにて反応終結を確認後、飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL)を反応懸濁液に注ぎ、酢酸エチル(5mL×2)で振盪抽出を行った。さらに酢酸エチル層は、水(10mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)にて洗い、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥、濾過した後、溶媒を留去した。析出した固体は酢酸エチル:ヘキサン=1:4溶液(5mL)に再懸濁させ減圧濾過によって濾取し、同溶媒(10mL)で洗い込んだ後、減圧乾固させることで、白色結晶の標題化合物を4.7mg(0.0141mmol、収率41%)得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ:7.25(ddd,J=9.1Hz,9.1Hz,2.7Hz,1H),7.57(dd,J=7.7Hz,4.8Hz,1H),7.64(dd,J=8.8Hz,2.7Hz,1H),7.79(dd,J=9.1Hz,4.5Hz,1H),8.02(d,J=9.1Hz,2H),8.19(d,J=9.1Hz,2H),8.30(ddd,J=7.7Hz,1.8Hz,1.8Hz,1H),8.76(dd,J=4.8Hz,1.8Hz,1H),9.11(d,J=1.8Hz,1H),10.8(s,1H).
LCMS:m/z 334.39[M+H]である。
合成例35.N−(4−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イルフェニル)−3−ピリジンカルボキサミド(化合物番号4−27)
Figure 2018087173
4−オキサゾロ[4,5−b]ピリジン−2−イル−ベンゼンアミン(22.1mg、0.105mmol)、ニコチン酸(12.9mg、0.105mmol)を無水N,N−ジメチルホルムアミド(600μL)に溶解させ、室温にて10分間攪拌を行った後、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(40.3mg、0.210mmol)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(25.7mg,0.203mmol)を加え、室温で12時間攪拌した。
反応後、溶媒を減圧下留去し、得られた残渣は水(5mL)に再懸濁させた後、減圧濾過により濾取し、酢酸エチル:ヘキサン=1:4溶液(5mL)、水(5mL)、冷却したメタノール(5mL)、で洗い込んだ後、減圧乾固させることで、白色結晶の標題化合物を10.1mg(0.319mmol、収率30%)得た。
H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ:7.42(dd,J=8.2Hz,5.0Hz,1H),7.58(dd,J=7.7Hz,4.5Hz,1H),8.05(d,J=8.6Hz,2H),8.20(dd,J=8.2Hz,1.4Hz,1H),8.25(d,J=8.6Hz,2H),8.30(ddd,J=8.2Hz,1.8Hz,1.8Hz,1H),8.51(dd,J=5.0Hz,1.4Hz,1H),8.77(d,J=4.8Hz,1.8Hz,1H),9.11(d,J=1.8Hz,1H),10.8(s,1H).
LCMS:m/z 317.17[M+H]である。
合成例36.3−シアノ−N−[4−(2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド(化合物番号4−28)
Figure 2018087173

2−(4−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(50mg、0.238mmol)を無水テトラヒドロフラン(5mL)に溶解させ、アルゴン雰囲気下60%水素化ナトリウム(19.2mg、0.476mmol)を加え、室温にて10分間攪拌を行った後、3−シアノベンゾイルクロリド(39.7mg、0.238mmol)を滴下し、室温で30分間攪拌した。
反応後、飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL)を反応懸濁液に注ぎ、酢酸エチル(5×2mL)で振盪抽出を行った。さらに酢酸エチル層は、水(10mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)にて洗い、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥、濾過した後、溶媒を留去した。析出した固体は酢酸エチル:ヘキサン=1:4溶液(5mL)に再懸濁させ濾取し、同溶媒(10mL)で洗い込んだ後、減圧乾固させることで、淡黄色結晶の標題化合物を63.1mg(0.186mmol、収率77%)得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:7.39−7.45(m,2H),7.77−7.81(m,3H),8.04(dd,J=7.0Hz,2.0Hz,2H),8.11(ddd,J=7.9Hz,1.4Hz,1.4Hz,1H),8.23(dd,J=7.0Hz,2.0Hz,2H),8.28(ddd,J=8.5Hz,1.5Hz,1.5Hz,1H),8.45(d,J=1.4Hz,1H),10.8(s,1H).
LCMS:m/z 340[M+H]である。
実施例1.脳腫瘍セルラインを用いた細胞増殖抑制能と細胞毒性の評価
(1)使用した培養細胞
ヒト悪性神経膠腫培養細胞として、SW1088(ヒト星細胞腫細胞)、U−251MG(ヒト神経膠芽腫細胞)を用い、上記で合成した各化合物の細胞増殖抑制能の評価に用いた。また正常細胞としてWI−38(胎児肺由来ヒト線維芽細胞)を設定し、細胞毒性の評価に用いた。
(2)評価方法
ATCCのプロトコルに従い、各種細胞を96ウェルプレートに播種し(細胞密度:1.0×10/ウェル)、一晩インキュベーションした。新鮮な培地に交換し、合成した誘導体を添加した(最終濃度10μM、1%DMSO、n=3)。さらに細胞を72時間培養した後、CellTiter 96(登録商標)AQueous One Solution(10μL/ウェル、プロメガ社製)を添加し、2時間後、プレートリーダーにより450nmの吸光度を測定し、生存細胞数の定量を行った。
またこの際、比較対照(ポジティブコントロール)として、悪性脳腫瘍の第一選択薬であるテモダール(登録商標)(最終濃度10μM、1%DMSO、n=3)を設定し、合成した誘導体の活性評価の指標とした。
結果を図1に示す。合成された化合物は、現在悪性脳腫瘍の第一選択薬として用いられているテモダール(登録商標)と比較して、少なくともいずれかの悪性脳腫瘍に対して同等かそれ以上の細胞増殖抑制効果を示した。
実施例2.ADMET評価試験
(1)代謝安定性試験
ヒト肝ミクロソーム(Mixed Gender, Pool of 50 livers)およびマウス肝ミクロソーム(CD1)はXenoTech, LLC から入手した。
試験はn=2にて実施した。
化合物は1mmol/L DMSO溶液を使用した。
化合物の1mmol/L DMSO溶液をアセトニトリルで10μmol/Lに希釈後、6.5mmol/L β−NADPH溶液で200nmol/Lにさらに希釈した。
この溶液50μLに0.2mgprotein/mL肝ミクロソーム溶液を50μLずつ添加後、37℃で35分間、振とうしながらインキュベーションした。インキュベーション後、メタノール400μLを添加し反応を停止させた。溶液を−20℃で約30分間静置した後、4℃、3,000rpmで約10分間遠心分離した。その後、上清をLC/MS/MSにて測定し、化合物の残存率を算出した。
(2)CYP阻害試験
ヒト肝ミクロソーム(Mixed Gender, Pool of 50 livers)はXenoTech, LLCから入手した。
試験はn=1にて実施した。
試験に用いた基質、阻害剤
各CYPの基質として
CYP1A2 フェナセチン
CYP2B6 ブプロピオン塩酸塩
CYP2C8 アモジアキン二塩酸塩二水和物
CYP2C9 ジクロフェナクナトリウム塩
CYP2C19 (S)−メフェニトイン
CYP2D6 ブフラロール
CYP3A4 ミダゾラム
を用いた。
また各CYPの阻害剤として
CYP1A2 α−ナフトフラボン
CYP2C8 ケルセチン二水和物
CYP2C9 スルファフェナゾール
CYP2C19 (S)−(+)−N−3−ベンジルニルバノール
CYP2D6 キニジン無水物
CYP3A4 ケトコナゾール
を用いた。
MBI測定用の阻害剤として
CYP1A2 フラフィリン
CYP2C9 スプロフェン
CYP2B6/2C19 チクロピジン塩酸塩
CYP2D6 パロキセチンマレイン酸塩
CYP3A4 エリスロマイシン
を用いた。
反応溶液は
ミクロソーム−バッファー混合液組成 液量
0.5mol/Lリン酸カリウム緩衝液(pH7.4) 12mL
165mmol/L塩化マグネシウム水溶液 1.2mL
水 34.65mL
20mgprotein/mLヒト肝ミクロソーム 150μL
(反応液中最終濃度0.05mgprotein/mL)
化合物あるいはDMSO(コントロール)、阻害剤混合液をDMSOにて1倍、5倍、25倍、125倍に段階希釈した後、それぞれの溶液5μLとミクロソーム−バッファー混合液295μLを混合した。
その溶液30μLとミクロソーム−バッファー混合液50μLを混合し、13mM β−NADPH水溶液10μL添加を添加した。プレインキュベーションが必要な場合には添加前に37℃で30分間インキュベーションした。
インキュベーション後、メタノール50μLを添加し、反応停止し、希釈後3000rpm、4℃で10分間遠心分離し、上清を採取し、LC/MS/MSへの注入サンプルとした。
(3)残存活性率算出およびMBI判定
各ウェルでの代謝生成物−面積比とコントロール群の代謝生成物−面積比から残存活性率を計算し,濃度プロットからIC50値を算出した。プレインキュベーションによるIC50値の変動が2倍以上の場合MBI(+)と判定した。またプレインキュベーションによるIC50値の変動が2倍以下の場合をMBI(+/−)と判定した。
MBIが出た化合物の場合は、その化合物の投与によって蓄積性のCYP阻害が現れることになり、その結果として併用薬の濃度上昇等により毒性が出る場合がある。
(4)PAMPA試験
人工膜はpION Inc.社製のGIT-0 Lipid (GIT : Gastrointestinal tract)を用いた。緩衝液はpION Inc.社製のASB-7.4 Acceptor Sink BufferまたはASB-5.0 Acceptor Sink Bufferを用いた。
人工膜透過性試験方法
希釈した化合物をDonor側に加え、室温で4時間インキュベートした後、AcceptorおよびDonorスペクトルを測定した。その結果からPAMPA解析ソフトを用いて膜透過係数(Pe値)を算出した。
(5)水溶性溶液沈殿法(DMSO法)
人工空腹時人工腸液(FaSSIF)はセレステより入手した。
100倍希釈した化合物溶液を96ウェルプレートに15μLずつ、4ウェルに分注した後、遠心エバポレーターに入れ、40℃、90分間蒸発乾固を行った。乾固を確認後、DMSO3μLを添加し、再溶解後、FaSSIFを300μL加え、25℃の恒温振盪機で90分間振盪後、同温度で16時間以上静置した。遠心分離後、上清90μLを96ウェルプレートに96チャンネルピペッターで分取した。別の96ウェルプレートに標準溶液を調製し、比較することで溶解度を算出した。
結果を図2に示す。合成された化合物において、ヒト用の医薬として用い得ると評価できる特性を示すものが見出された。

Claims (12)

  1. 下記式(I):
    Figure 2018087173
    式中、
    、AおよびAは、それぞれ独立して、CまたはNを表し、
    およびBは、それぞれ独立して、CまたはNを表し、
    、R、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基から選択され、ここでA、A、A、BおよびBのいずれかがNである場合、対応するR、R、R、RおよびRは存在しない、
    で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは誘導体あるいはそれらの溶媒和物、ただし3,4,5−トリメトキシ−N−[2−(4−アミノフェニル)−4−メチル−ベンゾキサゾイル]ベンズアミド、N−[4−(2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミド、2−クロロ−5−メチル−N−[4−(6−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ベンズアミドおよびN−[4−(5−クロロ−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]−2,4,6−トリメチルベンズアミドを除く。
  2. 、R、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10が、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ基、メチル基またはメトキシ基から選択される、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは誘導体あるいはそれらの溶媒和物。
  3. 、R、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10が、それぞれ独立して、水素、フッ素、シアノ基またはメチル基から選択される、請求項1または2に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは誘導体あるいはそれらの溶媒和物。
  4. 、R、RおよびR10が、水素であり、Rが、存在しないかまたは水素である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは誘導体あるいはそれらの溶媒和物。
  5. 、R、R、RおよびRが、それぞれ独立して、水素、フッ素またはメチル基である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは誘導体あるいはそれらの溶媒和物。
  6. およびBが、Cである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは誘導体あるいはそれらの溶媒和物。
  7. およびAが、Cである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは誘導体あるいはそれらの溶媒和物。
  8. 式(I)で表される化合物が、下記の化合物
    Figure 2018087173
    Figure 2018087173
    Figure 2018087173
    Figure 2018087173
    からなる群から選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは誘導体あるいはそれらの溶媒和物。
  9. 式(I)で表される化合物が、下記の化合物
    Figure 2018087173
    Figure 2018087173
    Figure 2018087173
    Figure 2018087173
    からなる群から選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは誘導体あるいはそれらの溶媒和物。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは誘導体あるいはそれらの溶媒和物を含有する、医薬組成物。
  11. 下記式(I):
    Figure 2018087173

    式中、
    、AおよびAは、それぞれ独立して、CまたはNを表し、
    およびBは、それぞれ独立して、CまたはNを表し、
    、R、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびR10は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基から選択され、ここでA、A、A、BおよびBのいずれかがNである場合、対応するR、R、R、RおよびRは存在しない、
    で表される化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくは誘導体あるいはそれらの溶媒和物を含有する医薬組成物であって、悪性腫瘍の予防または治療用である、前記医薬組成物。
  12. 悪性腫瘍が、脳腫瘍である、請求項11に記載の医薬組成物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110283137A (zh) * 2019-06-13 2019-09-27 爱斯特(成都)生物制药股份有限公司 一种2-(4-溴苯基)-1,3-苯并恶唑的制备方法
WO2022106589A1 (en) * 2020-11-20 2022-05-27 F. Hoffmann-La Roche Ag N-substituted 4-(1,3-aryloxazolo-2-yl)phenyl compounds for the treatment and prophylaxis of hepatitis b virus infection

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