JP2004314457A - 液滴吐出装置及びヘッド異常検出・判定方法 - Google Patents

液滴吐出装置及びヘッド異常検出・判定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】液滴吐出ヘッドの吐出異常を検出し、その原因に応じて適切な回復処理を実行することができる液滴吐出装置及びヘッド異常検出・判定方法を提供する。
【解決手段】本発明の液滴吐出装置は、振動板と、振動板を変位させるアクチュエータとを有する複数の液滴吐出ヘッドと、アクチュエータを駆動する駆動回路と、駆動回路によってアクチュエータが駆動された後、振動板の残留振動を検出する残留振動検出手段16と、基準パルスを発生させるパルス生成手段と、振動板の残留振動に基づいて、パルス生成手段によって発生された基準パルスの数を演算する演算処理手段17と、駆動回路によってアクチュエータが駆動されてからの経過時間を計測する計時手段と、演算処理手段17の演算結果と計時手段により計測された経過時間とに基づいて、液滴吐出ヘッドのヘッド異常を判定する判定手段20とを備えている。
【選択図】図24

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液滴吐出装置及びヘッド異常検出・判定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液滴吐出装置の一つであるインクジェットプリンタは、複数のノズルからインク滴(液滴)を吐出して所定の用紙上に画像形成を行っている。インクジェットプリンタの印刷ヘッド(インクジェットヘッド)には、多数のノズルが設けられているが、インクの粘度の増加や、気泡の混入、塵や紙粉の付着等の原因によって、いくつかのノズルが目詰まりしてインク滴を吐出できない場合がある。ノズルが目詰まりするとプリントされた画像内にドット抜けが生じ、画質を劣化させる原因となる。
【0003】
従来、このようなインク滴の吐出異常(以下、「ドット抜け」ともいう)を検出する方法として、インクジェットヘッドのノズルからインク滴が吐出されない状態(インク滴吐出異常状態)をインクジェットヘッドのノズル毎に光学的に検出する方法が考案されている(例えば、特許文献1など)。この方法により、ドット抜け(吐出異常)を発生しているノズルを特定することが可能となっている。
【0004】
しかしながら、上述の光学式のドット抜け(液滴吐出異常)検出方法では、光源及び光学センサを含む検出器が液滴吐出装置(例えば、インクジェットプリンタ)に取付けられている。この検出方法では、一般に、液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)のノズルから吐出する液滴が光源と光学センサの間を通過し、光源と光学センサの間の光を遮断するように、光源及び光学センサを精密な精度で(高精度に)設定(設置)しなければならないという問題がある。また、このような検出器は通常高価であり、インクジェットプリンタの製造コストが増大してしまうという問題もある。さらに、ノズルからのインクミストや印刷用紙等の紙粉によって、光源の出力部や光学センサの検出部が汚れてしまい、検出器の信頼性が問題となる可能性もある。
【0005】
また、上述の光学式のドット抜け検出方法では、ノズルのドット抜け、すなわち、インク滴の吐出異常(不吐出)を検出することはできるが、その検出結果に基づいてドット抜け(吐出異常)の原因を特定(判定)することができず、ドット抜けの原因に対応する適切な回復処理を選択し、実行することが不可能であるという問題もある。そのため、例えば、ワイピング処理で回復可能な状態であるにもかかわらず、インクジェットヘッドからインクをポンプ吸引などすることにより、排インク(無駄なインク)が増加することや、適切な回復処理が行われないために複数の回復処理を実施することによって、インクジェットプリンタ(液滴吐出装置)のスループットを低下あるいは悪化させてしまう。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−309963号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、液滴吐出ヘッドの吐出異常(ヘッド異常)を検出し、その原因に応じて適切な回復処理を実行することができる液滴吐出装置及びヘッド異常検出・判定方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の一実施形態において、本発明の液滴吐出装置は、
振動板と、前記振動板を変位させるアクチュエータと、内部に液体が充填され、前記振動板の変位により、該内部の圧力が増減されるキャビティと、前記キャビティに連通し、前記キャビティ内の圧力の増減により前記液体を液滴として吐出するノズルとを有する複数の液滴吐出ヘッドと、
前記アクチュエータを駆動する駆動回路と、
前記駆動回路によって前記アクチュエータが駆動された後、前記アクチュエータにより変位された前記振動板の残留振動を検出する残留振動検出手段と、
基準パルスを発生させるパルス生成手段と、
前記残留振動検出手段によって検出された前記振動板の残留振動に基づいて、前記パルス生成手段によって発生された基準パルスの数を演算する演算処理手段と、
前記駆動回路によって前記アクチュエータが駆動されてからの経過時間を計測する計時手段と、
前記演算処理手段の演算結果と、前記計時手段により計測された経過時間とに基づいて、前記液滴吐出ヘッドのヘッド異常を判定するヘッド異常判定手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の一実施形態における液滴吐出装置によれば、アクチュエータの駆動により、液体を液滴として吐出する動作(吐出しない程度のアクチュエータの駆動でもよい)を行った際に、所定の期間内に発生するパルスをカウントするとともに、前回のアクチュエータの駆動からの経過時間を計測し、このカウント値及び経過時間に基づいて、液滴が正常に吐出されたか、あるいは吐出されなかったか(吐出異常)を検出している。
【0010】
したがって、本発明の液滴吐出装置によって、従来のドット抜け検出方法を備える液滴吐出装置に比べ、他の部品(例えば、光学式検出装置など)を必要としないので、液滴吐出ヘッドのサイズを大きくすることなく液滴の吐出異常(ヘッド異常を含む、ヘッド異常については後述する)を検出することができるとともに、製造コストを低く抑えることができる。また、本発明の液滴吐出ヘッドでは、液滴吐出動作後の振動板の残留振動を用いて液滴の吐出異常を検出しているので、印字動作の途中でも液滴の吐出異常を検出することができる。
【0011】
また、本発明の別の実施形態における液滴吐出装置は、
液体が充填されるキャビティと、前記キャビティに連通するノズルと、前記キャビティ内に充填された液体の圧力を変動し、この圧力変動により液体を液滴として前記ノズルから吐出させるアクチュエータとを有する複数の液滴吐出ヘッドと、
前記アクチュエータを駆動する駆動回路と、
前記駆動回路によって前記アクチュエータが駆動された後、前記アクチュエータから発生する起電圧の残留振動を検出する残留振動検出手段と、
基準パルスを発生させるパルス生成手段と、
前記残留振動検出手段によって検出された前記残留振動に基づいて、前記パルス生成手段によって発生された基準パルスの数を演算する演算処理手段と、
前記駆動回路によって前記アクチュエータが駆動されてからの経過時間を計測する計時手段と、
前記演算処理手段の演算結果と、前記計時手段により計測された経過時間とに基づいて、前記液滴吐出ヘッドのヘッド異常を判定するヘッド異常判定手段と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の別の実施形態における液滴吐出装置によれば、上記振動板の残留振動の代わりに、アクチュエータから発生する起電圧の残留振動を検出することにより、上記実施形態における液滴吐出装置と同様の作用、効果を奏することができる。このように、本発明の液滴吐出装置は、圧電アクチュエータを利用して、その起電圧により、上述と同様の構成を採用することができる。
【0013】
ここで、前記振動板の残留振動とは、前記アクチュエータが前記駆動回路の駆動信号(電圧信号)により液滴吐出動作(吐出しない程度の動作を含む)を行った後、次の駆動信号が入力されて再び液滴吐出動作を実行するまでの間に、この液滴吐出動作により前記振動板が減衰しながら振動を続けている状態をいう。また、アクチュエータの起電圧の残留振動とは、駆動回路の駆動信号によりアクチュエータが吐出動作(吐出しない程度の動作を含む)を行った後、次の駆動信号が入力されて再び液滴吐出動作を実行するまでの間に、この液滴吐出動作により前記アクチュエータが発生する起電圧が減衰しながら振動を続けている状態をいう。
【0014】
好ましくは、前記演算処理手段は、前記残留振動に基づいて所定のタイミングを生成するタイミング生成手段と、前記パルス生成手段によって所定の期間内に発生された基準パルスの数をカウントするカウンタと、前記タイミング生成手段によって生成されたタイミングで前記カウンタのカウント値を保持する保持手段とを含む。また、好ましくは、前記カウンタは、前記所定の期間内に発生された基準パルスの数を所定の基準値から減算カウントしてもよい。そして、好ましくは、本発明の液滴吐出装置は、前記所定の基準値を格納するメモリを更に備えている。
【0015】
ここで、好ましくは、本発明の液滴吐出装置は、前記複数の液滴吐出ヘッドの周囲温度を計測する温度センサを更に備えている。この場合、前記所定の基準値は、前記温度センサによって計測された周囲温度に基づいて補正されるように構成されてもよい。これにより、液滴吐出ヘッドのヘッド異常をより精度よく検出することができる。
【0016】
また、前記所定の期間は、前記アクチュエータの駆動後、前記残留振動が発生するまでの期間であってもよく、前記残留振動の最初の半周期の期間であってもよく、あるいは、前記残留振動の最初の1周期の期間であってもよい。そして、好ましくは、前記ヘッド異常判定手段は、前記演算処理手段の演算結果と前記経過時間とに基づいて、前記液滴吐出ヘッドのヘッド異常の有無とともに、その原因を判定する。また、好ましくは、前記ヘッド異常判定手段は、前記保持手段に保持されたカウント値と前記経過時間とに基づいて、前記ヘッド異常の原因を判定する。
【0017】
ここで、好ましくは、前記ヘッド異常判定手段は、前記保持されたカウント値が第1のカウント閾値よりも大きい場合には、前記ヘッド異常の原因を前記キャビティ内への気泡混入と判定し、前記保持されたカウント値が第1のカウント閾値よりも小さい場合には、前記経過時間に応じて前記ヘッド異常の原因を判定し、前記経過時間が第1の時間閾値より小さいとき、前記保持されたカウント値が第3のカウント閾値よりも小さい場合には、前記ヘッド異常の原因を紙粉付着大と判定する。なお、本発明において、「紙粉」とは、単に記録用紙などから発生した紙粉のみに限らず、例えば、紙送りローラ(給紙ローラ)などのゴムの切れ端や、空気中に浮遊するごみなどを含むノズル付近に付着して液滴吐出の妨げとなるすべてのものをいう。
【0018】
また、好ましくは、前記ヘッド異常判定手段は、前記経過時間が第1の時間閾値より小さいとき、前記保持されたカウント値が第2のカウント閾値と第3のカウント閾値との間にある場合には、前記ヘッド異常の原因を紙粉付着小と判定し、前記経過時間が第1の時間閾値より小さいとき、前記保持されたカウント値が前記第1のカウント閾値と第2のカウント閾値との間にある場合には、前記ヘッド異常が発生していないと判定し、前記経過時間が第1の時間閾値と第2の時間閾値との間にあるとき、前記保持されたカウント値が第3のカウント閾値よりも小さい場合には、前記ヘッド異常の原因を紙粉付着大と判定し、前記経過時間が第1の時間閾値と第2の時間閾値との間にあるとき、前記保持されたカウント値が第2のカウント閾値と第3のカウント閾値との間にある場合には、前記ヘッド異常の原因を乾燥増粘小と判定し、前記経過時間が第1の時間閾値と第2の時間閾値との間にあるとき、前記保持されたカウント値が前記第1のカウント閾値と第2のカウント閾値との間にある場合には、前記ヘッド異常が発生していないと判定する。
【0019】
さらに、好ましくは、前記ヘッド異常判定手段は、前記経過時間が第2の時間閾値より大きいとき、前記保持されたカウント値が第3のカウント閾値よりも小さい場合には、前記ヘッド異常の原因を乾燥増粘大と判定し、前記経過時間が第2の時間閾値より大きいとき、前記保持されたカウント値が第2のカウント閾値と第3のカウント閾値との間にある場合には、前記ヘッド異常の原因を紙粉付着小と判定し、前記経過時間が第2の時間閾値より大きいとき、前記保持されたカウント値が前記第1のカウント閾値と第2のカウント閾値との間にある場合には、前記ヘッド異常が発生していないと判定する。
【0020】
ここで、好ましくは、本発明の液滴吐出装置は、記ヘッド異常判定手段によって判定されたヘッド異常の原因を解消する回復処理を実行する回復手段を更に備える。この場合において、前記回復手段は、好ましくは、前記複数の液滴吐出ヘッドのノズルが配列されるノズル面をワイパによりワイピング処理するワイピング手段と、前記アクチュエータを駆動して所定のノズルから前記液滴を予備的に吐出するフラッシング処理を実行するフラッシング手段と、前記複数の液滴吐出ヘッドのノズル面を覆うキャップに接続するポンプによりポンプ吸引処理をするポンピング手段とを含む。
【0021】
そして、好ましくは、前記回復手段は、前記ヘッド異常の原因が乾燥増粘小と判定された場合には、前記フラッシング処理又は前記ポンピング処理を実行し、前記ヘッド異常の原因が乾燥増粘大と判定された場合には、前記ポンピング処理を実行する。ここで、好ましくは、前記回復手段は、前記ヘッド異常の原因が乾燥増粘と判定された場合には、乾燥増粘の大小に応じて前記フラッシング処理の吐出回数又は前記ポンピング処理の前記ポンプの吸引時間を変更して該ポンプ吸引処理を実行する。また、好ましくは、前記回復手段は、前記ヘッド異常の原因が紙粉付着と判定された場合には、前記ワイピング処理を実行し、より好ましくは、前記ヘッド異常の原因が紙粉付着と判定された場合には、この紙粉付着の大小に応じて、前記ワイピング処理のワイピング回数を変更して該ワイピング処理を実行する。ここで、前記回復手段は、前記ヘッド異常の原因が乾燥増粘小と判定された場合において前記フラッシング処理を実行するとき、前記経過時間に応じて、前記フラッシング処理の吐出回数を変更して該フラッシング処理を実行してもよい。
【0022】
さらに、好ましくは、前記回復手段は、前記ヘッド異常の原因が気泡混入と判定された場合には、前記ポンピング処理を実行する。この場合において、前記回復手段は、前記ヘッド異常の原因が気泡混入と判定された場合には、前記演算処理結果に応じて、前記ポンプの吸引時間を変更して前記ポンピング処理を実行してもよい。
【0023】
また、好ましくは、前記回復手段は、前記ヘッド異常判定手段によって判定されたヘッド異常の原因が解消するまで前記回復処理を実行する。そして、本発明の液滴吐出装置は、前記回復手段によって回復処理を実行してもヘッド異常の原因が解消しない場合には、その旨を報知する報知手段を更に備えてもよい。この場合、本発明の液滴吐出装置は、前記複数の液滴吐出ヘッドのキャビティに供給する前記液体を貯蔵する液体貯蔵手段を更に備え、前記報知手段は、前記回復手段によって回復処理を実行してもヘッド異常の原因が解消しない場合には、前記液体貯蔵手段を交換するよう報知するよう構成されてもよい。また、本発明の液滴吐出装置は、前記回復手段によって回復処理を実行してもヘッド異常の原因が解消しない場合において印刷処理を実行しているときには、その印刷処理を停止するよう構成されてもよい。
【0024】
本発明の液滴吐出装置は、好ましくは、前記ヘッド異常判定手段によって判定された判定結果を、対象となる液滴吐出ヘッドと関連付けて記憶する記憶手段を更に備える。
また、本発明の液滴吐出装置は、好ましくは、前記アクチュエータの駆動による前記液滴の吐出動作後、前記アクチュエータを前記駆動回路から前記残留振動検出手段に切り替える切替手段を更に備える。この場合において、本発明の液滴吐出装置は、前記残留振動検出手段、前記演算処理手段、前記ヘッド異常判定手段及び前記切替手段をそれぞれ複数備え、前記アクチュエータの駆動動作を行った前記液滴吐出ヘッドに対応する前記切替手段が前記アクチュエータとの接続を前記駆動回路から対応する前記残留振動検出手段に切り替え、該切り替えられた前記残留振動検出手段に対応する前記ヘッド異常判定手段は、対応する前記液滴吐出ヘッドのヘッド異常を判定してもよい。
【0025】
それに代えて、本発明の液滴吐出装置は、前記複数の液滴吐出ヘッドにそれぞれ対応する複数の切替手段と、前記残留振動検出手段が前記複数の液滴吐出ヘッドのいずれのノズルに対して前記残留振動を検出するかを決定する検出決定手段とを更に備え、前記検出決定手段によって決定された前記液滴吐出ヘッドのノズルに対応する前記アクチュエータの駆動動作後、対応する前記切替手段は、前記アクチュエータとの接続を前記駆動回路から前記残留振動検出手段に切り替えるよう構成されてもよい。
【0026】
また、好ましくは、前記残留振動検出手段は、発振回路を備え、前記振動板の残留振動によって変化する前記アクチュエータの静電容量成分、あるいは、前記アクチュエータの起電圧成分に基づいて、該発振回路が発振する。この場合、前記発振回路は、前記アクチュエータの静電容量成分と、前記アクチュエータに接続される抵抗素子の抵抗成分とによるCR発振回路を構成してもよい。
【0027】
また、好ましくは、前記吐出異常検出手段は、前記発振回路の出力信号における発振周波数の変化に基づいて生成される所定の信号群により、前記振動板の残留振動の電圧波形を生成するF/V変換回路を含む。この場合、前記吐出異常検出手段は、前記F/V変換回路によって生成された前記振動板の残留振動の電圧波形を所定の波形に整形する波形整形回路を含んでもよい。そして、好ましくは、前記波形整形回路は、前記F/V変換回路によって生成された前記振動板の残留振動の電圧波形から直流成分を除去するDC成分除去手段と、このDC成分除去手段によって直流成分を除去された電圧波形と所定の電圧値とを比較する比較器とを含み、該比較器は、該電圧比較に基づいて、矩形波を生成して出力するよう構成される。
【0028】
なお、前記アクチュエータは、静電式アクチュエータであってもよく、圧電素子のピエゾ効果を利用した圧電アクチュエータであってもよい。本発明の液滴吐出装置は、上記のようなコンデンサからなる静電アクチュエータのみならず、圧電アクチュエータも用いることができるので、既存のほとんどの液滴吐出装置に本発明を適用することができる。そして、好ましくは、本発明の液滴吐出装置は、インクジェットプリンタを含む。
【0029】
また、本発明の別の態様において、本発明のヘッド異常検出・判定方法は、駆動回路によってアクチュエータが駆動された後、前記アクチュエータにより変位された振動板の残留振動を検出するとともに、基準パルスを発生させ、前記振動板の残留振動に基づいて、発生した基準パルスの数を演算し、前記駆動回路によって前記アクチュエータが駆動されてからの経過時間を計測し、この演算結果と経過時間とに基づいて、液滴吐出ヘッドのヘッド異常を判定することを特徴とする。
【0030】
また、本発明の別の実施形態では、本発明のヘッド異常検出・判定方法は、駆動回路によってアクチュエータが駆動された後、前記アクチュエータから発生する起電圧の残留振動を検出するとともに、基準パルスを発生させ、前記起電圧の残留振動に基づいて、発生した基準パルスの数を演算し、前記駆動回路によって前記アクチュエータが駆動されてからの経過時間を計測し、この演算結果と経過時間とに基づいて、液滴吐出ヘッドのヘッド異常を判定することを特徴とする。ここで、いずれの実施形態におけるヘッド異常検出・判定方法においても、好ましくは、前記判定されたヘッド異常の原因に基づいて、それを解消させる回復処理を実行する。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図56を参照して本発明の液滴吐出装置及びヘッド異常検出・判定方法の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態は例示として挙げるものであり、これにより本発明の内容を限定的に解釈すべきではない。なお、以下、本実施形態では、本発明の液滴吐出装置の一例として、インク(液状材料)を吐出して記録用紙に画像をプリントするインクジェットプリンタを用いて説明する。
【0032】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態における液滴吐出装置の一種であるインクジェットプリンタ1の構成を示す概略図である。なお、以下の説明では、図1中、上側を「上部」、下側を「下部」という。まず、このインクジェットプリンタ1の構成について説明する。
【0033】
図1に示すインクジェットプリンタ1は、装置本体2を備えており、上部後方に記録用紙Pを設置するトレイ21と、下部前方に記録用紙Pを排出する排紙口22と、上部面に操作パネル7とが設けられている。
操作パネル7は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDランプ等で構成され、エラーメッセージ等を表示する表示部(図示せず)と、各種スイッチ等で構成される操作部(図示せず)とを備えている。
【0034】
また、装置本体2の内部には、主に、往復動する印字手段(移動体)3を備える印刷装置(印刷手段)4と、記録用紙Pを1枚ずつ印刷装置4に送り込む給紙装置(給紙手段)5と、印刷装置4及び給紙装置5を制御する制御部(制御手段)6とを有している。この操作パネル7の表示部は、後述する吐出異常検出処理において吐出異常(ヘッド異常)が検出された際にその旨を報知する報知手段としても機能する。なお、本発明では、報知手段(報知の方法)としては、表示部への表示に限らず、例えば、音声、警報音、ランプの点灯によるもの、あるいは、IF9を経由してホストコンピュータ8などへ、または、ネットワークを経由してプリントサーバなどへそれぞれ吐出異常情報を伝達するものなど、いかなるものでもよい。
【0035】
この報知手段は、回復手段24による回復処理を実行してもヘッド異常の原因が解消しない場合には、その旨を報知してもよく、あるいは、複数のインクジェットヘッド100のキャビティ141に供給するインクを貯蔵するインクカートリッジ(液体貯蔵手段)31を交換するよう報知してもよい。この場合、本発明の液滴吐出装置(インクジェットプリンタ1)は、回復手段24によって回復処理を実行してもヘッド異常の原因が解消しない場合において印刷処理を実行しているときには、その印刷処理を停止するよう構成されてもよい。
【0036】
制御部6の制御により、給紙装置5は、記録用紙Pを一枚ずつ間欠送りする。この記録用紙Pは、印字手段3の下部近傍を通過する。このとき、印字手段3が記録用紙Pの送り方向とほぼ直交する方向に往復移動して、記録用紙Pへの印刷が行なわれる。すなわち、印字手段3の往復動と記録用紙Pの間欠送りとが、印刷における主走査及び副走査となって、インクジェット方式の印刷が行なわれる。
【0037】
印刷装置4は、印字手段3と、印字手段3を主走査方向に移動させる駆動源となるキャリッジモータ41と、キャリッジモータ41の回転を受けて、印字手段3を往復動させる往復動機構42とを備えている。
印字手段3は、その下部に、多数のノズル110を備えるインクの種類に対応した複数のヘッドユニット35と、各ヘッドユニット35にインクを供給する複数のインクカートリッジ(I/C)31と、各ヘッドユニット35及びインクカートリッジ31を搭載したキャリッジ32とを有している。
【0038】
また、ヘッドユニット35は、図3において後述するように、それぞれ一つの、ノズル110と、振動板121と、静電アクチュエータ120と、キャビティ141と、インク供給口142等で構成されたインクジェット式記録ヘッド(インクジェットヘッドあるいは液滴吐出ヘッド)100を多数備えている。なお、ヘッドユニット35は、図1ではインクカートリッジ31を含んだ構成を示しているが、このような構成に限定されない。例えば、インクカートリッジ31を別に固定し、チューブなどによってヘッドユニット35に供給されるようなものでもよい。したがって、以下において、印字手段3とは別に、それぞれ一つの、ノズル110と、振動板121と、静電アクチュエータ120と、キャビティ141と、インク供給口142等で構成されたインクジェットヘッド100を複数設けたものをヘッドユニット35と称するものとする。
【0039】
なお、インクカートリッジ31として、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック(黒)の4色のインクを充填したものを用いることにより、フルカラー印刷が可能となる。この場合、印字手段3には、各色にそれぞれ対応したヘッドユニット35が設けられることになる。ここで、図1では、4色のインクに対応した4つのインクカートリッジ31を示しているが、印字手段3は、その他の色、例えば、ライトシアン、ライトマゼンダ、ダークイエローなどのインクカートリッジ31をさらに備えるように構成されてもよい。
【0040】
往復動機構42は、その両端をフレーム(図示せず)に支持されたキャリッジガイド軸422と、キャリッジガイド軸422と平行に延在するタイミングベルト421とを有している。
キャリッジ32は、往復動機構42のキャリッジガイド軸422に往復動自在に支持されるとともに、タイミングベルト421の一部に固定されている。
【0041】
キャリッジモータ41の作動により、プーリを介してタイミングベルト421を正逆走行させると、キャリッジガイド軸422に案内されて、印字手段3が往復動する。そして、この往復動の際に、印刷されるイメージデータ(印刷データ)に対応して、ヘッドユニット35内の複数のインクジェットヘッド100のノズル110から適宜インクが吐出され、記録用紙Pへの印刷が行われる。
【0042】
給紙装置5は、その駆動源となる給紙モータ51と、給紙モータ51の作動により回転する給紙ローラ52とを有している。
給紙ローラ52は、記録用紙Pの送り経路(記録用紙P)を挟んで上下に対向する従動ローラ52aと駆動ローラ52bとで構成され、駆動ローラ52bは給紙モータ51に連結されている。これにより、給紙ローラ52は、トレイ21に設置した多数枚の記録用紙Pを、印刷装置4に向かって1枚ずつ送り込めるようになっている。なお、トレイ21に代えて、記録用紙Pを収容する給紙カセットを着脱自在に装着し得るような構成であってもよい。
【0043】
制御部6は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)やディジタルカメラ(DC)等のホストコンピュータ8から入力された印刷データに基づいて、印刷装置4や給紙装置5等を制御することにより記録用紙Pに印刷処理を行うものである。また、制御部6は、操作パネル7の表示部(報知手段)にエラーメッセージ等を表示させ、あるいはLEDランプ等を点灯/点滅させるとともに、操作部から入力された各種スイッチの押下信号に基づいて、対応する処理を各部に実行させるものである。
【0044】
図2は、本発明のインクジェットプリンタの主要部を概略的に示すブロック図である。この図2において、本発明のインクジェットプリンタ1は、ホストコンピュータ8から入力された印刷データなどを受け取るインターフェース部(IF:Interface)9と、制御部6と、キャリッジモータ41と、キャリッジモータ41を駆動制御するキャリッジモータドライバ43と、給紙モータ51と、給紙モータ51を駆動制御する給紙モータドライバ53と、ヘッドユニット35と、ヘッドユニット35を駆動制御するヘッドドライバ33と、吐出異常検出手段10と、操作パネル7と、回復手段24と、計時手段25と、温度センサ37とを備える。なお、吐出異常検出手段10及びヘッドドライバ33、並びに、回復手段25については、詳細を後述する。
【0045】
この図2において、制御部6は、印刷処理や吐出異常検出処理などの各種処理を実行するCPU(Central Processing Unit)61と、ホストコンピュータ8からIF9を介して入力される印刷データを図示しないデータ格納領域に格納する不揮発性半導体メモリの一種であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)(記憶手段)62と、後述する吐出異常検出処理などを実行する際に各種データを一時的に格納し、あるいは印刷処理などのアプリケーションプログラムを一時的に展開するRAM(Random Access Memory)63と、各部を制御する制御プログラム等を格納する不揮発性半導体メモリの一種であるPROM64とを備えている。なお、制御部6の各構成要素は、図示しないバスを介して電気的に接続されている。
【0046】
上述のように、印字手段3は、各色のインクに対応した複数のヘッドユニット35から構成され、この各ヘッドユニット35は、複数のノズル110と、これらの各ノズル110に対応する静電アクチュエータ120と(複数のインクジェットヘッド100)を備える。すなわち、ヘッドユニット35は、1組のノズル110及び静電アクチュエータ120を有してなるインクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)100を複数個備えた構成になっている。そして、ヘッドドライバ33は、各インクジェットヘッド100の静電アクチュエータ120を駆動して、インクの吐出タイミングを制御する駆動回路18と、切替手段23とから構成される(図16参照)。なお、インクジェットヘッド100及び静電アクチュエータ120の構成については後述する。
【0047】
また、制御部6には、図示しないが、例えば、インクカートリッジ31のインク残量、印字手段3の位置、温度、湿度等の印刷環境等を検出可能な各種センサが、それぞれ電気的に接続されている。
制御部6は、IF9を介して、ホストコンピュータ8から印刷データを入手すると、その印刷データをEEPROM62に格納する。そして、CPU61は、この印刷データに所定の処理を実行して、この処理データ及び各種センサからの入力データに基づいて、各ドライバ33、43、53に駆動信号を出力する。各ドライバ33、43、53を介してこれらの駆動信号が入力されると、ヘッドユニット35の複数のインクジェットヘッド100に対応する静電アクチュエータ120、印刷装置4のキャリッジモータ41及び給紙装置5がそれぞれ作動する。これにより、記録用紙Pに印刷処理が実行される。
【0048】
計時手段25は、インクジェットヘッド100の休止時間、すなわち、吐出動作を行ってからの経過時間を計測するためのものであり、例えば、タイマなどから構成される。計時手段25によって計測された経過時間(時間データ)は、制御部6に出力される。後述するように、ヘッド異常の検出・判定処理を実行する際には、判定手段(吐出異常判定手段)20(図24参照)は、この出力された時間データ(経過時間)及び演算処理手段17から出力される演算結果に基づいて、吐出異常の有無及びその原因を判定する。
【0049】
温度センサ37は、インクジェットヘッド100の周囲温度を計測するためのものであり、この温度センサ37の計測結果は、後述する演算処理において、温度データテーブルとともに、演算処理手段17の正常カウント値メモリ46に保存される正常カウント値(カウント値データ)を補正するために利用されるものである(図24参照)。
【0050】
次に、各ヘッドユニット35内の各インクジェットヘッド100の構造を説明する。図3は、図2に示すヘッドユニット35内の1つのインクジェットヘッド100の概略的な断面図(インクカートリッジ31などの共通部分を含む)であり、図4は、1色のインクに対応するヘッドユニット35の概略的な構成を示す分解斜視図であり、図5は、図3に示すインクジェットヘッド100を複数適用したヘッドユニット35のノズル面の一例を示す平面図である。なお、図3及び図4は、通常使用される状態とは上下逆に示されており、図5は、図3に示すインクジェットヘッド100を図中上方から見たときの平面図である。
【0051】
図3に示すように、ヘッドユニット35は、インク取り入れ口131、ダンパ室130及びインク供給チューブ311を介して、インクカートリッジ31に接続されている。ここで、ダンパ室130は、ゴムからなるダンパ132を備えている。このダンパ室130により、キャリッジ32が往復走行する際のインクの揺れ及びインク圧の変化を吸収することができ、これにより、ヘッドユニット35の各インクジェットヘッド100に所定量のインクを安定的に供給することができる。
【0052】
また、ヘッドユニット35は、シリコン基板140を挟んで、上側に同じくシリコン製のノズルプレート150と、下側にシリコンと熱膨張率が近いホウ珪酸ガラス基板(ガラス基板)160とがそれぞれ積層された3層構造をなしている。中央のシリコン基板140には、独立した複数のキャビティ(圧力室)141(図4では、7つのキャビティを示す)と、1つのリザーバ(共通インク室)143と、このリザーバ143を各キャビティ141に連通させるインク供給口(オリフィス)142としてそれぞれ機能する溝が形成されている。各溝は、例えば、シリコン基板140の表面からエッチング処理を施すことにより形成することができる。このノズルプレート150と、シリコン基板140と、ガラス基板160とがこの順序で接合され、各キャビティ141、リザーバ143、各インク供給口142が区画形成されている。
【0053】
これらのキャビティ141は、それぞれ短冊状(直方体状)に形成されており、後述する振動板121の振動(変位)によりその容積が可変であり、この容積変化によりノズル(インクノズル)110からインク(液状材料)を吐出するよう構成されている。ノズルプレート150には、各キャビティ141の先端側の部分に対応する位置に、ノズル110が形成されており、これらが各キャビティ141に連通している。また、リザーバ143が位置しているガラス基板160の部分には、リザーバ143に連通するインク取入れ口131が形成されている。インクは、インクカートリッジ31からインク供給チューブ311、ダンパ室130を経てインク取入れ口131を通り、リザーバ143に供給される。リザーバ143に供給されたインクは、各インク供給口142を通って、独立した各キャビティ141に供給される。なお、各キャビティ141は、ノズルプレート150と、側壁(隔壁)144と、底壁121とによって、区画形成されている。
【0054】
独立した各キャビティ141は、その底壁121が薄肉に形成されており、底壁121は、その面外方向(厚さ方向)、すなわち、図3において上下方向に弾性変形(弾性変位)可能な振動板(ダイヤフラム)として機能するように構成されている。したがって、この底壁121の部分を、以後の説明の都合上、振動板121と称して説明することもある(すなわち、以下、「底壁」と「振動板」のいずれにも符号121を用いる)。
【0055】
ガラス基板160のシリコン基板140側の表面には、シリコン基板140の各キャビティ141に対応した位置に、それぞれ、浅い凹部161が形成されている。したがって、各キャビティ141の底壁121は、凹部161が形成されたガラス基板160の対向壁162の表面に、所定の間隙を介して対峙している。すなわち、キャビティ141の底壁121と後述するセグメント電極122の間には、所定の厚さ(例えば、0.2ミクロン程度)の空隙が存在する。なお、前記凹部161は、例えば、エッチングなどで形成することができる。
【0056】
ここで、各キャビティ141の底壁(振動板)121は、ヘッドドライバ33から供給される駆動信号によってそれぞれ電荷を蓄えるための各キャビティ141側の共通電極124の一部を構成している。すなわち、各キャビティ141の振動板121は、それぞれ、後述する対応する静電アクチュエータ120の対向電極(コンデンサの対向電極)の一方を兼ねている。そして、ガラス基板160の凹部161の表面には、各キャビティ141の底壁121に対峙するように、それぞれ、共通電極124に対向する電極であるセグメント電極122が形成されている。また、図3に示すように、各キャビティ141の底壁121の表面は、シリコンの酸化膜(SiO)からなる絶縁層123により覆われている。このように、各キャビティ141の底壁121、すなわち、振動板121と、それに対応する各セグメント電極122とは、キャビティ141の底壁121の図3中下側の表面に形成された絶縁層123と凹部161内の空隙とを介し、対向電極(コンデンサの対向電極)を形成
(構成)している。したがって、振動板121と、セグメント電極122と、これらの間の絶縁層123及び空隙とにより、静電アクチュエータ120の主要部が構成される。
【0057】
図3に示すように、これらの対向電極の間に駆動電圧を印加するための駆動回路18を含むヘッドドライバ33は、制御部6から入力される印字信号(印字データ)に応じて、これらの対向電極間の充放電を行う。ヘッドドライバ(電圧印加手段)33の一方の出力端子は、個々のセグメント電極122に接続され、他方の出力端子は、シリコン基板140に形成された共通電極124の入力端子124aに接続されている。なお、シリコン基板140には不純物が注入されており、それ自体が導電性をもつために、この共通電極124の入力端子124aから底壁121の共通電極124に電圧を供給することができる。また、例えば、シリコン基板140の一方の面に金や銅などの導電性材料の薄膜を形成してもよい。これにより、低い電気抵抗で(効率良く)共通電極124に電圧(電荷)を供給することができる。この薄膜は、例えば、蒸着あるいはスパッタリング等によって形成すればよい。ここで、本実施形態では、例えば、シリコン基板140とガラス基板160とを陽極接合によって結合(接合)させるので、その陽極結合において電極として用いる導電膜をシリコン基板140の流路形成面側(図3に示すシリコン基板140の上部側)に形成している。そして、この導電膜をそのまま共通電極124の入力端子124aとして用いる。なお、本発明では、例えば、共通電極124の入力端子124aを省略してもよく、また、シリコン基板140とガラス基板160との接合方法は、陽極接合に限定されない。
【0058】
図4に示すように、ヘッドユニット35は、複数のインクジェットヘッド100に対応する複数のノズル110が形成されたノズルプレート150と、複数のキャビティ141、複数のインク供給口142、1つのリザーバ143が形成されたシリコン基板(インク室基板)140と、絶縁層123とを備え、これらがガラス基板160を含む基体170に収納されている。基体170は、例えば、各種樹脂材料、各種金属材料等で構成されており、この基体170にシリコン基板140が固定、支持されている。
【0059】
なお、ノズルプレート150に形成された複数のノズル110は、図4では簡潔に示すためにリザーバ143に対して略並行に直線的に配列されているが、ノズル110の配列パターンはこの構成に限らず、通常は、例えば、図5に示すノズル配置パターンのように、段をずらして配置される。また、このノズル110間のピッチは、印刷精度(dpi)に応じて適宜設定され得るものである。なお、図5では、4色のインク(インクカートリッジ31)を適用した場合におけるノズル110の配置パターンを示している。
【0060】
図6は、図3のIII−III断面の駆動信号入力時の各状態を示す。ヘッドドライバ33から対向電極間に駆動電圧が印加されると、対向電極間にクーロン力が発生し、底壁(振動板)121は、初期状態(図6(a))に対して、セグメント電極122側へ撓み、キャビティ141の容積が拡大する(図6(b))。この状態において、ヘッドドライバ33の制御により、対向電極間の電荷を急激に放電させると、振動板121は、その弾性復元力によって図中上方に復元し、初期状態における振動板121の位置を越えて上部に移動し、キャビティ141の容積が急激に収縮する(図6(c))。このときキャビティ141内に発生する圧縮圧力により、キャビティ141を満たすインク(液状材料)の一部が、このキャビティ141に連通しているインクノズル110からインク滴として吐出される。
【0061】
各キャビティ141の振動板121は、この一連の動作(ヘッドドライバ33の駆動信号によるインク吐出動作)により、次の駆動信号(駆動電圧)が入力されて再びインク滴を吐出するまでの間、減衰振動をしている。以下、この減衰振動を残留振動とも称する。振動板121の残留振動は、ノズル110やインク供給口142の形状、あるいはインク粘度等による音響抵抗rと、流路内のインク重量によるイナータンスmと、振動板121のコンプライアンスCmとによって決定される固有振動周波数を有するものと想定される。
【0062】
上記想定に基づく振動板121の残留振動の計算モデルについて説明する。図7は、振動板121の残留振動を想定した単振動の計算モデルを示す回路図である。このように、振動板121の残留振動の計算モデルは、音圧Pと、上述のイナータンスm、コンプライアンスCm及び音響抵抗rとで表せる。そして、図7の回路に音圧Pを与えた時のステップ応答を体積速度uについて計算すると、次式が得られる。
【0063】
【数1】
Figure 2004314457
【0064】
この式から得られた計算結果と、別途行ったインク吐出後の振動板121の残留振動の実験における実験結果とを比較する。図8は、振動板121の残留振動の実験値と計算値との関係を示すグラフである。この図8に示すグラフからも分かるように、実験値と計算値の2つの波形は、概ね一致している。
【0065】
さて、ヘッドユニット35の各インクジェットヘッド100では、前述したような吐出動作を行ったにもかかわらずノズル110からインク滴が正常に吐出されない現象、すなわち液滴の吐出異常が発生する場合がある。この吐出異常が発生する原因としては、後述するように、▲1▼キャビティ141内への気泡の混入、▲2▼ノズル110付近でのインクの乾燥・増粘(固着)、▲3▼ノズル110出口付近への紙粉付着、等が挙げられる。
【0066】
この吐出異常が発生すると、その結果としては、典型的にはノズル110から液滴が吐出されないこと、すなわち液滴の不吐出現象が現れ、その場合、記録用紙Pに印刷(描画)した画像における画素のドット抜けを生じる。また、吐出異常の場合には、ノズル110から液滴が吐出されたとしても、液滴の量が過少であったり、その液滴の飛行方向(弾道)がずれたりして適正に着弾しないので、やはり画素のドット抜けとなって現れる。このようなことから、以下の説明では、液滴の吐出異常のことを単に「ドット抜け」という場合もある。
【0067】
また、以下において、液滴吐出装置(インクジェットプリンタ1)のアクチュエータ(静電アクチュエータ120)が吐出駆動動作をしたにもかかわらずノズル110からインク滴が吐出しない状態を検出した場合、この異常を「吐出異常」といい、アクチュエータ(静電アクチュエータ120)が液滴を吐出しない程度の駆動をしたときに異常を検出した場合、上記「吐出異常」と合わせて、これらの異常を「ヘッド異常」というが、液滴を吐出しない程度の駆動によって検出した異常も単に「吐出異常」という場合もある。
【0068】
以下において、図8に示す比較結果に基づいて、インクジェットヘッド100のノズル110に発生する印刷処理時のドット抜け(吐出異常)現象(インク不吐出現象)の原因別に、振動板121の残留振動の計算値と実験値がマッチ(概ね一致)するように、音響抵抗r及び/又はイナータンスmの値を調整する。なお、ここでは、気泡混入、乾燥増粘及び紙粉付着の3種類について検討する。
【0069】
まず、ドット抜けの1つの原因であるキャビティ141内への気泡の混入について検討する。図9は、図3のキャビティ141内に気泡Bが混入した場合のノズル110付近の概念図である。この図9に示すように、発生した気泡Bは、キャビティ141の壁面に発生付着しているものと想定される(図9では、気泡Bの付着位置の一例として、気泡Bがノズル110付近に付着している場合を示す)。
【0070】
このように、キャビティ141内に気泡Bが混入した場合には、キャビティ141内を満たすインクの総重量が減り、イナータンスmが低下するものと考えられる。また、気泡Bは、キャビティ141の壁面に付着しているので、その径の大きさだけノズル110の径が大きくなったような状態となり、音響抵抗rが低下するものと考えられる。
【0071】
したがって、インクが正常に吐出された図8の場合に対して、音響抵抗r、イナータンスmを共に小さく設定して、気泡混入時の残留振動の実験値とマッチングすることにより、図10のような結果(グラフ)が得られた。図8及び図10のグラフから分かるように、キャビティ141内に気泡が混入した場合には、正常吐出時に比べて周波数が高くなる特徴的な残留振動波形が得られる。なお、音響抵抗rの低下などにより、残留振動の振幅の減衰率も小さくなり、残留振動は、その振幅をゆっくりと下げていることも確認することができる。
【0072】
次に、ドット抜けのもう1つの原因であるノズル110付近でのインクの乾燥(固着、増粘)について検討する。図11は、図3のノズル110付近のインクが乾燥により固着した場合のノズル110付近の概念図である。この図11に示すように、ノズル110付近のインクが乾燥して固着した場合、キャビティ141内のインクは、キャビティ141内に閉じこめられたような状況となる。このように、ノズル110付近のインクが乾燥、増粘した場合には、音響抵抗rが増加するものと考えられる。
【0073】
したがって、インクが正常に吐出された図8の場合に対して、音響抵抗rを大きく設定して、ノズル110付近のインク乾燥固着(増粘)時の残留振動の実験値とマッチングすることにより、図12のような結果(グラフ)が得られた。なお、図12に示す実験値は、数日間図示しないキャップを装着しない状態でヘッドユニット35を放置し、キャビティ141内のノズル110付近のインクが乾燥、増粘したことによりインクを吐出することができなくなった(インクが固着した)状態における振動板121の残留振動を測定したものである。図8及び図12のグラフから分かるように、ノズル110付近のインクが乾燥により固着した場合には、正常吐出時に比べて周波数が極めて低くなるとともに、残留振動が過減衰となる特徴的な残留振動波形が得られる。これは、インク滴を吐出するために振動板121が図3中下方に引き寄せられることによって、キャビティ141内にリザーバ143からインクが流入した後に、振動板121が図3中上方に移動するときに、キャビティ141内のインクの逃げ道がないために、振動板121が急激に振動できなくなるため(過減衰となるため)である。
【0074】
次に、ドット抜けのさらにもう1つの原因であるノズル110出口付近への紙粉付着について検討する。図13は、図3のノズル110出口付近に紙粉が付着した場合のノズル110付近の概念図である。この図13に示すように、ノズル110の出口付近に紙粉が付着した場合、キャビティ141内から紙粉を介してインクが染み出してしまうとともに、ノズル110からインクを吐出することができなくなる。このように、ノズル110の出口付近に紙粉が付着し、ノズル110からインクが染み出している場合には、振動板121からみてキャビティ141内及び染み出し分のインクが正常時よりも増えることにより、イナータンスmが増加するものと考えられる。また、ノズル110の出口付近に付着した紙粉の繊維によって音響抵抗rが増大するものと考えられる。
【0075】
したがって、インクが正常に吐出された図8の場合に対して、イナータンスm、音響抵抗rを共に大きく設定して、ノズル110の出口付近への紙粉付着時の残留振動の実験値とマッチングすることにより、図14のような結果(グラフ)が得られた。図8及び図14のグラフから分かるように、ノズル110の出口付近に紙粉が付着した場合には、正常吐出時に比べて周波数が低くなる特徴的な残留振動波形が得られる(ここで、紙粉付着の場合、インクの乾燥の場合よりは、残留振動の周波数が高いことも、図12及び図14のグラフから分かる。)。なお、図15は、この紙粉付着前後におけるノズル110の状態を示す写真である。ノズル110の出口付近に紙粉が付着すると、紙粉に沿ってインクがにじみ出している状態を、図15(b)から見出すことができる。
【0076】
ここで、ノズル110付近のインクが乾燥して増粘した場合と、ノズル110の出口付近に紙粉が付着した場合とでは、いずれも正常にインク滴が吐出された場合に比べて減衰振動の周波数が低くなっている。これら2つのドット抜け(インク不吐出:吐出異常)の原因を振動板121の残留振動の波形から特定するために、例えば、減衰振動の周波数や周期、位相において所定のしきい値を持って比較するか、あるいは、残留振動(減衰振動)の周期変化や振幅変化の減衰率から特定することができる。このようにして、各インクジェットヘッド100におけるノズル110からのインク滴が吐出されたときの振動板121の残留振動の変化、特に、その周波数の変化によって、各インクジェットヘッド100の吐出異常を検出することができる。また、その場合の残留振動の周波数を正常吐出時の残留振動の周波数と比較することにより、吐出異常の原因を特定することもできる。
【0077】
また、ヘッドドライバ33の駆動回路18によって、インク滴(液滴)を吐出しない程度の駆動信号(電圧信号)を入力した場合においても、振幅が小さくなるが、同様の振動板の残留振動波形が得られる。そのため、残留振動の振幅を示すグラフの縦軸方向を拡大することによって、それぞれの吐出異常の原因に対応する図10、図12及び図14のグラフと同様の計算値及び実験値が得られる。したがって、インク滴を吐出しない程度に静電アクチュエータ120を駆動して、そのときの振動板121の残留振動を検出することにより、インクジェットヘッド100の吐出異常を検出することもできる。以下、液滴を吐出せずに検出できるインクジェットヘッド100の異常であるので、このように検出した場合の異常を「ヘッド異常」と称する場合もある。
【0078】
次に、本発明の吐出異常検出手段10について説明する。図16は、図2に示す吐出異常検出手段10の概略的なブロック図である。この図16に示すように、本発明の吐出異常検出手段10は、発振回路11と、F/V変換回路12と、波形整形回路15とから構成される残留振動検出手段16と、この残留振動検出手段16によって検出された残留振動波形データから周期や振幅などを計測する演算処理手段17と、この演算処理手段17によって計測された周期、減算カウント値、計時手段25によって計測された経過時間(時間データ)などに基づいてインクジェットヘッド100の吐出異常を判定する判定手段(吐出異常判定手段)20とを備えている。吐出異常検出手段10では、残留振動検出手段16は、静電アクチュエータ120の振動板121の残留振動に基づいて、発振回路11が発振し、その発振周波数からF/V変換回路12及び波形整形回路15において振動波形を形成して、検出する。そして、演算処理手段17は、検出された振動波形に基づいて残留振動の周期などを計測するとともに、所定の期間に発生する基準パルスをカウントし、判定手段20は、計測された残留振動の周期、減算カウント値などに基づいて、ヘッドユニット35内のインクジェットヘッド100の吐出異常を検出、判定する。以下、吐出異常検出手段10の各構成要素について説明する。
【0079】
まず、静電アクチュエータ120の振動板121の残留振動の周波数(振動数)を検出するために、発振回路11を用いる方法を説明する。図17は、図3の静電アクチュエータ120を平行平板コンデンサとした場合の概念図であり、図18は、図3の静電アクチュエータ120から構成されるコンデンサを含む発振回路11の回路図である。なお、図18に示す発振回路11は、シュミットトリガのヒステリシス特性を利用するCR発振回路であるが、本発明はこのようなCR発振回路に限定されず、アクチュエータ(振動板を含む)の静電容量成分(コンデンサC)を用いる発振回路であればどのような発振回路でもよい。発振回路11は、例えば、LC発振回路を利用した構成としてもよい。また、本実施形態では、シュミットトリガインバータを用いた例を示して説明しているが、例えば、インバータを3段用いたCR発振回路を構成してもよい。
【0080】
図3に示すインクジェットヘッド100では、上述のように、振動板121と非常にわずかな間隔(空隙)を隔てたセグメント電極122とが対向電極を形成する静電アクチュエータ120を構成している。この静電アクチュエータ120は、図17に示すような平行平板コンデンサと考えることができる。このコンデンサの静電容量をC、振動板121及びセグメント電極122のそれぞれの表面積をS、2つの電極121、122の距離(ギャップ長)をg、両電極に挟まれた空間(空隙)の誘電率をε(真空の誘電率をε、空隙の比誘電率をεとすると、ε=ε・ε)とすると、図17に示すコンデンサ(静電アクチュエータ120)の静電容量C(x)は、次式で表される。
【0081】
【数2】
Figure 2004314457
なお、式(4)のxは、図17に示すように、振動板121の残留振動によって生じる振動板121の基準位置からの変位量を示している。
【0082】
この式(4)から分かるように、ギャップ長g(ギャップ長g−変位量x)が小さくなれば、静電容量C(x)は大きくなり、逆にギャップ長g(ギャップ長g−変位量x)が大きくなれば、静電容量C(x)は小さくなる。このように、静電容量C(x)は、(ギャップ長g−変位量x)(xが0の場合は、ギャップ長g)に反比例している。なお、図3に示す静電アクチュエータ120では、空隙は空気で満たされているので、比誘電率ε=1である。
【0083】
また、一般に、液滴吐出装置(本実施形態では、インクジェットプリンタ1)の解像度が高まるにつれて、吐出されるインク滴(インクドット)が微小化されるので、この静電アクチュエータ120は、高密度化、小型化される。それによって、インクジェットヘッド100の振動板121の表面積Sが小さくなり、小さな静電アクチュエータ120が構成される。さらに、インク滴吐出による残留振動によって変化する静電アクチュエータ120のギャップ長gは、初期ギャップgの1割程度となるため、式(4)から分かるように、静電アクチュエータ120の静電容量の変化量は非常に小さな値となる。
【0084】
この静電アクチュエータ120の静電容量の変化量(残留振動の振動パターンにより異なる)を検出するために、以下のような方法、すなわち、静電アクチュエータ120の静電容量に基づいた図18のような発振回路を構成し、発振された信号に基づいて残留振動の周波数(周期)を解析する方法を用いる。図18に示す発振回路11は、静電アクチュエータ120から構成されるコンデンサ(C)と、シュミットトリガインバータ111と、抵抗素子(R)112とから構成される。
【0085】
シュミットトリガインバータ111の出力信号がHighレベルの場合、抵抗素子112を介してコンデンサCを充電する。コンデンサCの充電電圧(振動板121とセグメント電極122との間の電位差)が、シュミットトリガインバータ111の入力スレッショルド電圧V+に達すると、シュミットトリガインバータ111の出力信号がLowレベルに反転する。そして、シュミットトリガインバータ111の出力信号がLowレベルとなると、抵抗素子112を介してコンデンサCに充電されていた電荷が放電される。この放電によりコンデンサCの電圧がシュミットトリガインバータ111の入力スレッショルド電圧V−に達すると、シュミットトリガインバータ111の出力信号が再びHighレベルに反転する。以降、この発振動作が繰り返される。
【0086】
ここで、上述のそれぞれの現象(気泡混入、乾燥、紙粉付着、及び正常吐出)におけるコンデンサCの静電容量の時間変化を検出するためには、この発振回路11による発振周波数は、残留振動の周波数が最も高い気泡混入時(図10参照)の周波数を検出することができる発振周波数に設定される必要がある。そのため、発振回路11の発振周波数は、例えば、検出する残留振動の周波数の数倍から数十倍以上、すなわち、気泡混入時の周波数よりおよそ1桁以上高い周波数となるようにしなければならない。この場合、好ましくは、気泡混入時の残留振動の周波数が正常吐出の場合と比較して高い周波数を示すため、気泡混入時の残留振動周波数が検知可能な発振周波数に設定するとよい。そうしなければ、吐出異常の現象に対して正確な残留振動の周波数を検出することができない。そのため、本実施形態では、発振周波数に応じて、発振回路11のCRの時定数を設定している。このように、発振回路11の発振周波数を高く設定することにより、この発振周波数の微小変化に基づいて、より正確な残留振動波形を検出することができる。
【0087】
なお、発振回路11から出力される発振信号の発振周波数の周期(パルス)毎に、測定用のカウントパルス(カウンタ)を用いてそのパルスをカウントし、初期ギャップgにおけるコンデンサCの静電容量で発振させた場合の発振周波数のパルスのカウント量を測定したカウント量から減算することにより、残留振動波形について発振周波数毎のデジタル情報が得られる。これらのデジタル情報に基づいて、デジタル/アナログ(D/A)変換を行うことにより、概略的な残留振動波形が生成され得る。このような方法を用いてもよいが、測定用のカウントパルス(カウンタ)には、発振周波数の微小変化を測定することができる高い周波数(高解像度)のものが必要となる。このようなカウントパルス(カウンタ)は、コストをアップさせるため、本発明の吐出異常検出手段10では、図19に示すF/V変換回路12を用いている。
【0088】
図19は、図16に示す吐出異常検出手段10のF/V変換回路12の回路図である。この図19に示すように、F/V変換回路12は、3つのスイッチSW1、SW2、SW3と、2つのコンデンサC1、C2と、抵抗素子R1と、定電流Isを出力する定電流源13と、バッファ14とから構成される。このF/V変換回路12の動作を図20のタイミングチャート及び図21のグラフを用いて説明する。
【0089】
まず、図20のタイミングチャートに示す充電信号、ホールド信号及びクリア信号の生成方法について説明する。充電信号は、発振回路11の発振パルスの立ち上がりエッジから固定時間trを設定し、その固定時間trの間Highレベルとなるようにして生成される。ホールド信号は、充電信号の立ち上がりエッジに同期して立ち上がり、所定の固定時間だけHighレベルに保持され、Lowレベルに立ち下がるようにして生成される。クリア信号は、ホールド信号の立ち下がりエッジに同期して立ち上がり、所定の固定時間だけHighレベルに保持され、Lowレベルに立ち下がるようにして生成される。なお、後述するように、コンデンサC1からコンデンサC2への電荷の移動及びコンデンサC1の放電は瞬時に行われるので、ホールド信号及びクリア信号のパルスは、発振回路11の出力信号の次の立ち上がりエッジまでにそれぞれ1つのパルスが含まれればよく、上記のような立ち上がりエッジ、立ち下がりエッジに限定されない。
【0090】
なお、図20のタイミングチャートにおける駆動信号には、液滴の吐出異常を検出するためのインク滴吐出動作時の駆動信号(破線)と、ヘッド異常を検出するためのインク滴を吐出しない程度の駆動信号(実線)とが示される。いずれの駆動信号が静電アクチュエータ120に入力されたとしても、同様のタイミングチャートとなるため、以下では、インク滴吐出動作時の駆動信号(破線)に基づいて説明する。なお、図20のタイミングチャート中1点鎖線は、静電アクチュエータ120の駆動限界を示す。この「駆動限界」とは、インク滴を吐出できなくなる限界の印加電圧値である。このように、駆動回路18は、駆動信号の出力をインク滴を吐出しない程度の低出力と吐出駆動のための高出力とに少なくとも設定することができる。
【0091】
ここで、液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド100)の種類や構造によっても異なるが、通常の液滴を吐出する駆動電圧を100%とすると、液滴を吐出しない程度の駆動電圧は、およそ10〜50%程度である。駆動電圧を小さくするとインクジェットヘッド100のヘッド異常を検出するための残留振動の信号も小さくなるので、液滴を吐出しない限界よりやや小さい程度が好ましい。液滴を吐出しない程度の駆動方法については、駆動電圧を通常より小さくする方法に限定されない。それ以外にも、膜沸騰を利用したサーマルジェット方式の液滴吐出ヘッドの場合には駆動電流を小さくする、などもあり駆動の方法を限定するものではない。
【0092】
きれいな残留振動の波形(電圧波形)を得るために、図21を参照して、固定時間tr及びt1の設定方法を説明する。固定時間trは、静電アクチュエータ120が初期ギャップ長gのときにおける静電容量Cで発振した発振パルスの周期から調整され、充電時間t1による充電電位がC1の充電範囲のおよそ1/2付近となるように設定される。また、ギャップ長gが最大(Max)の位置における充電時間t2から最小(Min)の位置における充電時間t3の間で、コンデンサC1の充電範囲を超えないように充電電位の傾きが設定される。すなわち、充電電位の傾きは、dV/dt=Is/C1によって決定されるため、定電流源13の出力定電流Isを適当な値に設定すればよい。この定電流源13の出力定電流Isをその範囲内でできるだけ高く設定することによって、静電アクチュエータ120によって構成されるコンデンサの微小な静電容量の変化を高感度で検出することができ、静電アクチュエータ120の振動板121の微小な変化を検出することが可能となる。
【0093】
次いで、図22を参照して、図16に示す波形整形回路15の構成を説明する。図22は、図16の波形整形回路15の回路構成を示す回路図である。この波形整形回路15は、残留振動波形を矩形波として判定手段20に出力するものである。この図22に示すように、波形整形回路15は、2つのコンデンサC3(DC成分除去手段)、C4と、2つの抵抗素子R2、R3と、2つの直流電圧源Vref1、Vref2と、増幅器(オペアンプ)151と、比較器(コンパレータ)152とから構成される。なお、残留振動波形の波形整形処理において、検出される波高値をそのまま出力して、残留振動波形の振幅を計測するように構成してもよい。
【0094】
F/V変換回路12のバッファ14の出力には、静電アクチュエータ120の初期ギャップgに基づくDC成分(直流成分)の静電容量成分が含まれている。この直流成分は各インクジェットヘッド100によりばらつきがあるため、コンデンサC3は、この静電容量の直流成分を除去するものである。そして、コンデンサC3は、バッファ14の出力信号におけるDC成分を除去し、残留振動のAC成分のみをオペアンプ151の反転入力端子に出力する。
【0095】
オペアンプ151は、直流成分が除去されたF/V変換回路12のバッファ14の出力信号を反転増幅するとともに、その出力信号の高域を除去するためのローパスフィルタを構成している。なお、このオペアンプ151は、単電源回路を想定している。オペアンプ151は、2つの抵抗素子R2、R3による反転増幅器を構成し、入力された残留振動(交流成分)は、−R3/R2倍に振幅される。
【0096】
また、オペアンプ151の単電源動作のために、その非反転入力端子に接続された直流電圧源Vref1によって設定された電位を中心に振動する、増幅された振動板121の残留振動波形が出力される。ここで、直流電圧源Vref1は、オペアンプ151が単電源で動作可能な電圧範囲の1/2程度に設定されている。さらに、このオペアンプ151は、2つのコンデンサC3、C4により、カットオフ周波数1/(2π×C4×R3)となるローパスフィルタを構成している。そして、直流成分を除去された後に増幅された振動板121の残留振動波形は、図20のタイミングチャートに示すように、次段の比較器(コンパレータ)152でもう一つの直流電圧源Vref2の電位と比較され、その比較結果が矩形波として波形整形回路15から出力される。なお、直流電圧源Vref2は、もう一つの直流電圧源Vref1を共用してもよい。
【0097】
次に、図20に示すタイミングチャートを参照して、図19のF/V変換回路12及び波形整形回路15の動作を説明する。上述のように生成された充電信号、クリア信号及びホールド信号に基づいて、図19に示すF/V変換回路12は動作する。図20のタイミングチャートにおいて、静電アクチュエータ120の駆動信号がヘッドドライバ33を介してヘッドユニット35のインクジェットヘッド100に入力されると、図6(b)に示すように、静電アクチュエータ120の振動板121がセグメント電極122側に引きつけられ、この駆動信号の立ち下がりエッジに同期して、図6中上方に向けて急激に収縮する(図6(c)参照)。
【0098】
この駆動信号の立ち下がりエッジに同期して、駆動回路18と吐出異常検出手段10とを切り替える駆動/検出切替信号がHighレベルとなる。この駆動/検出切替信号は、対応するインクジェットヘッド100の駆動休止期間中、Highレベルに保持され、次の駆動信号が入力される前に、Lowレベルになる。この駆動/検出切替信号がHighレベルの間、図18の発振回路11は、静電アクチュエータ120の振動板121の残留振動に対応して発振周波数を変えながら発振している。
【0099】
上述のように、駆動信号の立ち下がりエッジ、すなわち、発振回路11の出力信号の立ち上がりエッジから、残留振動の波形がコンデンサC1に充電可能な範囲を超えないように予め設定された固定時間trだけ経過するまで、充電信号は、Highレベルに保持される。なお、充電信号がHighレベルである間、スイッチSW1はオフの状態である。
【0100】
固定時間trが経過し、充電信号がLowレベルになると、その充電信号の立ち下がりエッジに同期して、スイッチSW1がオンされる(図19参照)。そして、定電流源13とコンデンサC1とが接続され、コンデンサC1は、上述のように、傾きIs/C1で充電される。充電信号がLowレベルである期間、すなわち、発振回路11の出力信号の次のパルスの立ち上がりエッジに同期してHighレベルになるまでの間、コンデンサC1は充電される。
【0101】
充電信号がHighレベルになると、スイッチSW1はオフ(オープン)となり、定電流源13とコンデンサC1は切り離される。このとき、コンデンサC1には、充電信号がLowレベルの期間t1の間に充電された電位(すなわち、理想的にはIs×t1/C1(V))が保存されている。この状態で、ホールド信号がHighレベルになると、スイッチSW2がオンされ(図19参照)、コンデンサC1とコンデンサC2が、抵抗素子R1を介して接続される。スイッチSW2の接続後、2つのコンデンサC1、C2の充電電位差によって互いに充放電が行われ、2つのコンデンサC1、C2の電位差が概ね等しくなるように、コンデンサC1からコンデンサC2に電荷が移動する。
【0102】
ここで、コンデンサC1の静電容量に対してコンデンサC2の静電容量は、約1/10以下程度に設定されている。そのため、2つのコンデンサC1、C2間の電位差によって生じる充放電で移動する(使用される)電荷量は、コンデンサC1に充電されている電荷の1/10以下となる。したがって、コンデンサC1からコンデンサC2へ電荷が移動した後においても、コンデンサC1の電位差は、それほど変化しない(それほど下がらない)。なお、図19のF/V変換回路12では、コンデンサC2に充電されるときF/V変換回路12の配線のインダクタンス等により充電電位が急激に跳ね上がらないようにするために、抵抗素子R1とコンデンサC2により一次のローパスフィルタを構成している。
【0103】
コンデンサC2にコンデンサC1の充電電位と概ね等しい充電電位が保持された後、ホールド信号がLowレベルとなり、コンデンサC1はコンデンサC2から切り離される。さらに、クリア信号がHighレベルとなり、スイッチSW3がオンすることにより、コンデンサC1がグラウンドGNDに接続され、コンデンサC1に充電されていた電荷が0となるように放電動作が行なわれる。コンデンサC1の放電後、クリア信号はLowレベルとなり、スイッチSW3がオフすることにより、コンデンサC1の図19中上部の電極がグラウンドGNDから切り離され、次の充電信号が入力されるまで、すなわち、充電信号がLowレベルになるまで待機している。
【0104】
コンデンサC2に保持されている電位は、充電信号の立ち上がりのタイミング毎、すなわち、コンデンサC2への充電完了のタイミング毎に更新され、バッファ14を介して振動板121の残留振動波形として図22の波形整形回路15に出力される。したがって、発振回路11の発振周波数が高くなるように静電アクチュエータ120の静電容量(この場合、残留振動による静電容量の変動幅も考慮しなければならない)と抵抗素子112の抵抗値を設定すれば、図20のタイミングチャートに示すコンデンサC2の電位(バッファ14の出力)の各ステップ(段差)がより詳細になるので、振動板121の残留振動による静電容量の時間的な変化をより詳細に検出することが可能となる。
【0105】
以下同様に、充電信号がLowレベル→Highレベル→Lowレベル・・・と繰り返し、上記所定のタイミングでコンデンサC2に保持されている電位がバッファ14を介して波形整形回路15に出力される。波形整形回路15では、バッファ14から入力された電圧信号(図20のタイミングチャートにおいて、コンデンサC2の電位)の直流成分がコンデンサC3によって除去され、抵抗素子R2を介してオペアンプ151の反転入力端子に入力される。入力された残留振動の交流(AC)成分は、このオペアンプ151によって反転増幅され、コンパレータ152の一方の入力端子に出力される。コンパレータ152は、予め直流電圧源Vref2によって設定されている電位(基準電圧)と、残留振動波形(交流成分)の電位とを比較し、矩形波を出力する(図20のタイミングチャートにおける比較回路の出力)。
【0106】
次に、インクジェットヘッド100のインク滴吐出動作(駆動)と吐出異常検出動作(駆動休止)との切り替えタイミングについて説明する。図23は、駆動回路18と吐出異常検出手段10との切替手段23の概略を示すブロック図である。なお、この図23では、図16に示すヘッドドライバ33内の駆動回路18をインクジェットヘッド100の駆動回路として説明する。図20のタイミングチャートでも示したように、本発明のヘッド異常検出・判定処理(吐出異常検出・判定処理)は、インクジェットヘッド100の駆動信号と駆動信号の間、すなわち、駆動休止期間に実行されている。
【0107】
図23において、静電アクチュエータ120を駆動するために、切替手段23は、最初は駆動回路18側に接続されている。上述のように、駆動回路18から駆動信号(電圧信号)が振動板121に入力されると、静電アクチュエータ120が駆動し、振動板121は、セグメント電極122側に引きつけられ、印加電圧が0になるとセグメント電極122から離れる方向に急激に変位して振動(残留振動)を開始する。このとき、インクジェットヘッド100のノズル110からインク滴が吐出される。
【0108】
駆動信号のパルスが立ち下がると、その立ち下がりエッジに同期して駆動/検出切替信号(図20のタイミングチャート参照)が切替手段23に入力され、切替手段23は、駆動回路18から吐出異常検出手段(検出回路)10側に切り替えられ、静電アクチュエータ120(発振回路11のコンデンサとして利用)は吐出異常検出手段10と接続される。
【0109】
そして、吐出異常検出手段10は、上述のような吐出異常(ドット抜け)の検出処理を実行し、波形整形回路15の比較器152から出力される振動板121の残留振動波形データ(矩形波データ)に基づいて、演算処理手段17のタイミング生成手段36によって所定の信号群を生成し、基準パルスをカウントする。本実施形態では、演算処理手段17は、残留振動波形データから特定の振動周期(半周期、1周期など)を測定(検出)し、上述の信号群に基づいてカウントしたカウント値を判定手段20に出力する。なお、演算処理手段17は、残留振動の周期だけでなく、残留振動波形の所定の期間、例えば、駆動信号の立ち下がり(あるいは駆動/検出切替信号の立ち上がり)から残留振動が発生するまでの期間、残留振動発生後の最初の半周期(あるいは、半周期毎)、残留振動発生後の最初の1周期(あるいは、1周期毎)などを計測してもよい。また、演算処理手段17は、最初の立ち上がりエッジから次の立ち下がりエッジまでの時間を計測し、その計測された時間(すなわち、半周期)の2倍の時間を残留振動の周期として判定手段20に出力してもよい。
【0110】
図24は、演算処理手段17の一例を示すブロック図である。演算処理手段17は、比較器152の出力信号の波形(矩形波)の最初の立ち上がりエッジまでの期間や最初の立ち上がりエッジから次の立ち上がりエッジまでの時間等(残留振動の周期)が正常吐出状態における周期であるかを判断するために、減算カウンタ45を用いて正常カウント値から基準パルスを減算カウントし、その減算結果から残留振動の状態を判断するための演算を行っている。この図24において、演算処理手段17は、論理積回路ANDと、減算カウンタ45と、保持手段48と、タイミング生成手段36とから構成される。なお、基準パルスは、図示しないパルス生成手段により生成される。このパルス生成手段は、演算処理手段17や制御部6等に構成してもよい。
【0111】
正常カウント値は、正常カウント値メモリ46から減算カウンタ45に入力される。保持手段48は、減算カウンタ45の減算結果を一時保持し、判定手段20と記憶手段62にその保持された減算結果(保持結果)を出力するものである。この保持結果は、例えば、1吐出毎に判定手段20及び記憶手段62に送られるように構成されてもよく、あるいは、任意の吐出数分の保持結果(減算データ)をまとめて保持して判定手段20及び記憶手段62に出力するように構成されてもよい。
【0112】
図24に示すように、論理積回路ANDは、駆動/検出切替信号と基準パルスとの論理積を減算カウンタ45に出力する。すなわち、駆動/検出切替信号がHighレベルであるとき、基準パルスが減算カウンタ45に出力される。減算カウンタ45は、正常カウント値メモリ46から所定のカウント値(正常カウント値)を入力されると、それを保持する。そして、基準パルスが入力されると、減算カウンタ45は、所定の時間(タイミング生成手段36により決められる)、その所定のカウント値から基準パルスのパルス数を減算する。なお、所定の時間とは、例えば、インクジェットヘッド100からインク吐出動作が行われた場合に振動板121の残留振動が発生するまでの時間、残留振動の半周期又は1周期などである。また、正常カウント値メモリ46に記憶されている所定のカウント値としては、正常吐出時における上述の所定の時間に基準パルスでカウントされたパルス数である。
【0113】
図25は、正常吐出時の検出状態のタイミングチャートである。このタイミングチャートでは、残留振動波形のTs期間(このTsは、静電アクチュエータ120の吐出動作が行われた後、振動板121が元の位置(初期位置)に戻るまでの期間、すなわち、吐出動作後残留振動が始まるまでの期間である。)について、正常カウント値から基準パルス数を減算カウントしている。
【0114】
なお、この基準パルスは、上述のように、駆動休止期間の間、制御部6から演算処理手段17に入力されるようになっている(図24参照)。しかしながら、基準パルスは、この状態にかかわらず連続して出力されてもよく、駆動/検出切替信号の立ち上がりエッジに同期して出力され、Ls信号の立下りエッジに同期して停止させるように構成されてもよい。CLR信号がLowにならなければ、減算カウンタ45が動作しないよう構成されているため、基準パルスの出力形態はこれらに限定されない。
【0115】
CLR信号は、駆動/検出切替信号の立ち上がりエッジに同期してLowレベルとなり、Ls信号の立下りのタイミングでHighレベルとなる。このLowレベルの期間において減算カウンタ45の動作が許可される。Load信号は、駆動/検出切替信号の立ち上がりエッジに同期して短い時間だけHighレベルになるパルスを出力する。減算カウンタ45は、Load信号のパルスの立ち下がりのタイミングで正常カウント値メモリ46から所定のカウント値(正常カウント値)を取得する。このように正常カウント値がLoadされる(減算カウンタ45が正常カウント値を取得する)と、減算カウンタ45は、CLR信号がLowレベルの期間(すなわち、ここでは、Ts期間)に入力される基準パルスのパルス数に応じて正常カウント値から減算カウントする。
【0116】
Ls信号は、比較器152の出力信号の波形(矩形波)の最初の立ち上がりエッジに同期して、短い時間Highレベルとなる信号である。減算カウンタ45は、その減算結果を随時保持手段48に出力し、保持手段48は、Ls信号がHighレベルとなる立ち上がりエッジのタイミングで、減算カウンタ45の出力(減算カウント値)を保持(保存)する。そして、Ls信号がLowレベルになる立ち下がりエッジに同期して、CLR信号がLowレベルからHighレベルとなり、減算カウンタ45のカウント値(減算カウント値)をクリアするとともに、減算カウンタ45の減算カウント動作(減算カウント処理)が禁止(停止)される。
【0117】
そして、減算カウント動作が禁止されたタイミングで、保持手段48の保持結果(減算カウント値)、時間データ、判定手段20の判定結果が記憶手段62に記憶される。なお、記憶手段62へのこれらのデータの記憶タイミングは、吐出異常判定処理が終了した時点である。このタイミングは、Ls信号の発生(保持手段48の書き換わり)と同時でもよく、あるいは、1回の残留振動周期から複数のデータを取得して判断する場合には、一旦、1吐出当りの複数の周期データ(Ts、1/2周期等のデータ)を保持手段48に保持させた後、吐出異常判定処理を行ってその処理が終了した時点でもよい。さらには、このタイミングは、駆動/検出切替信号が休止期間を終了する時点(駆動/検出切替信号の立ち下がりのタイミング)でもよい。
【0118】
タイミング生成手段36は、残留振動検出手段16から入力される残留振動波形(矩形波)と駆動/検出切替信号に基づいて、上述のLoad信号、CLR信号及びLs信号を生成し、Load信号及びCLR信号を減算カウンタ45に、Ls信号を保持手段48に出力する。
判定手段20は、減算カウンタ45の減算処理により得られた減算結果を比較基準値メモリ47から入力される所定のカウント基準値(N1、P1,N2)と比較するとともに、計時手段25によって計測された経過時間を所定の時間基準値(T1、T2)と比較する。そして、判定手段20の判定結果は、記憶手段62に出力される。なお、所定のカウント基準値としては、いくつかの基準値(閾値)が設けられ(図25のタイミングチャート参照)、減算カウンタ45の減算結果をこのいくつかのカウント基準値とそれぞれ比較するとともに、経過時間を所定の時間基準値とそれぞれ比較することにより、上述した吐出異常(気泡混入、紙粉付着及び乾燥増粘)を検出し、判定することができる。詳細については後述する。
【0119】
なお、正常カウントとメモリ46及び比較基準値メモリ47は、それぞれ別々のメモリとしてインクジェットプリンタ1に設けられてもよく、制御部6のEEPROM(記憶手段)62と共用されてもよい。また、このような減算カウント処理(演算処理)は、インクジェットプリンタ1の静電アクチュエータ120が駆動していない駆動休止期間に行われている。これにより、インクジェットプリンタ1のスループットを低下させることなく、吐出異常の検出を行うことができる。
【0120】
判定手段20は、上述のように、演算処理手段17によって演算された残留振動波形の特定の振動周期など(演算処理結果)及び計時手段25によって計測された経過時間に基づいて、インクジェットヘッド100のノズル110の吐出異常の有無、吐出異常の原因を判定し、その判定結果を制御部6に出力する。制御部6は、EEPROM(記憶手段)62の所定の格納領域にこの判定結果を保存する。
【0121】
そして、駆動回路18からの次の駆動信号が入力されるタイミングで、駆動/検出切替信号が切替手段23に再び入力され、駆動回路18と静電アクチュエータ120とを接続する。駆動回路18は、一旦駆動電圧を印加するとグラウンド(GND)レベルを維持するので、切替手段23によって上記のような切り替えを行っている(図20のタイミングチャート参照)。これにより、駆動回路18からの外乱などに影響されることなく、静電アクチュエータ120の振動板121の残留振動波形を正確に検出することができる。
【0122】
なお、本発明では、残留振動波形データは、比較器152により矩形波化したものに限定されない。上述の図24に示す構成のように、オペアンプ151から出力された残留振動振幅データは、比較器152により比較処理を行うことなく、A/D変換を行うように演算処理手段17を構成し、これによって随時数値化され、その数値化されたデータに基づいて、判定手段20により吐出異常の有無などを判定し、この判定結果を記憶手段62に記憶するように構成してもよい。
【0123】
また、ノズル110のメニスカス(ノズル110内インクが大気と接する面)は、振動板121の残留振動に同期して振動するため、インクジェットヘッド100は、インク滴の吐出動作後、このメニスカスの残留振動が音響抵抗rによって概ね決まった時間で減衰するのを待ってから(所定の時間待機して)、次の吐出動作を行っている。本発明では、この待機時間を有効に利用して振動板121の残留振動を検出しているので、インクジェットヘッド100の駆動に影響しない吐出異常検出を行うことができる。すなわち、インクジェットプリンタ1(液滴吐出装置)のスループットを低下させることなく、インクジェットヘッド100のノズル110の吐出異常検出処理を実行することができる。
【0124】
上述のように、インクジェットヘッド100のキャビティ141内に気泡が混入した場合には、正常吐出時の振動板121の残留振動波形に比べて、周波数が高くなるので、その周期は逆に正常吐出時の残留振動の周期よりも短くなる。また、ノズル110付近のインクが乾燥により増粘、固着した場合には、残留振動が過減衰となり、正常吐出時の残留振動波形に比べて、周波数が相当低くなるので、その周期は正常吐出時の残留振動の周期よりもかなり長くなる。また、ノズル110の出口付近に紙粉が付着した場合には、残留振動の周波数は、正常吐出時の残留振動の周波数よりも低く、しかし、インクの乾燥時の残留振動の周波数よりも高くなるので、その周期は、正常吐出時の残留振動の周期よりも長く、インク乾燥時の残留振動の周期よりも短くなる。
【0125】
したがって、正常吐出時の残留振動の周期として、所定の範囲Trを設け、また、ノズル110出口に紙粉が付着した場合における残留振動の周期と、ノズル110の出口付近でインクが乾燥した場合における残留振動の周期とを区別するために、所定のしきい値(所定の閾値)T1を設定することにより、このようなインクジェットヘッド100の吐出異常の原因を決定することができる。本発明では、判定手段20は、上記吐出異常検出処理によって検出された残留振動波形の所定の期間におけるカウント値に基づいて、吐出異常の原因を判定している。
【0126】
次に、図25のタイミングチャートを参照して、本発明の吐出異常検出手段10の動作について説明する。まず、図24及び図25に示すLoad信号、Ls信号及びCLR信号の生成方法について説明する。図25のタイミングチャートに示すように、Load信号は、駆動回路18から出力される駆動信号の立ち上がりエッジの直前に短時間だけHighレベルとなる信号であり、Ls信号は、切替手段23及び論理積回路ANDに入力される駆動/検出切替信号の立ち下がりエッジに同期して所定の時間(記憶手段62に判定結果を保存するのに十分な時間)Highレベルになる信号である。また、図25のタイミングチャートでは示していないが、CLR信号は、減算処理により減算カウンタ45に保持されている減算結果をクリアするための信号であり、Ls信号の出力後、Load信号が入力されるまでの間の所定のタイミングで減算カウンタ45に入力されるものである。これらの信号群は、残留振動検出手段16によって生成された矩形波に基づいて、タイミング生成手段36により生成される。
【0127】
このように生成された信号群に基づいて、吐出異常検出手段10の演算処理手段17は動作する。駆動回路18から出力される駆動信号の立ち上がりエッジの直前にLoad信号がタイミング生成手段36から減算カウンタ45に入力されると、そのタイミングで正常カウント値メモリ46から正常カウント値が減算カウンタ45に入力され、保持される。インクジェットヘッド100の吐出駆動動作(駆動期間)が終了すると、駆動信号の立ち下がりエッジに同期して、駆動/検出切替信号が切替手段23及び論理積回路ANDに入力される。そして、この駆動/検出切替信号により、切替手段23は、静電アクチュエータ120との接続を駆動回路18から発振回路11に切り替える(図23参照)。
【0128】
振動板121の残留振動により発振回路11の静電容量成分(C)が変化し、それに基づいて、発振回路11が発振を開始する。減算カウンタ45は、駆動/検出切替信号の立ち上がりに同期してゲートを開き(なお、論理積回路ANDにより駆動/検出切替信号がHighレベルのときでなければ基準パルスが減算カウンタ45には入力されないので、ゲートは開いたままでもよい)、駆動/検出切替信号がHighレベルの間(Tsの間)正常カウント値から基準パルスのパルス数を減算処理する。このTsは、吐出動作時の振動板121が残留振動を開始するまで(残留振動が発生するまで)の時間であり、インクジェットヘッド100がインク滴を吐出動作後、静電アクチュエータ120が駆動されていない状態における振動板121の位置に戻ってくるまでの時間である。
【0129】
この図25のタイミングチャートでは、駆動回路18と吐出異常検出手段10とを切り替えた後、振動板の残留振動が発生するまでの期間の正常カウント値に基づいて、吐出異常の有無及びその原因の判定を行っている。したがって、残留振動が発生するタイミング(振動板121が初期状態の位置に戻ったタイミング)で駆動/検出切替信号がLowレベルに立ち下がるとともに、Ls信号が発生し、減算カウンタ45の減算結果に基づいて、判定手段20が所定の判定を行った判定結果が記憶手段62に保持(保存)される。なお、この図25における基準値N1、N2及びP1は、所定の閾値(第1〜第3のカウント閾値)であり、これらの閾値と減算結果(減算カウント値)との大小、及び、計時手段25によって計測された経過時間と所定の時間基準値(第1及び第2の時間閾値)との大小に基づいて、吐出異常(ヘッド異常を含む)の原因が判定される。
【0130】
次に、本発明の液滴吐出装置(インクジェットプリンタ1)のヘッド異常検出・判定方法(ヘッド異常検出・判定処理及びヘッド異常回復処理)を説明する。図26は、本発明のヘッド異常検出・判定処理のフローチャートである。このヘッド異常検出・判定処理は、例えば、インクジェットプリンタ1の電源が投入されたときに開始される。
【0131】
例えば、インクジェットプリンタ1の電源が投入されると、計時手段25のタイマがスタートする(ステップS101)。ステップS102において、制御部6は、IF9を介してホストコンピュータ8から印刷指示が入力されたか否か判断し、印刷処理が入力されない場合には、タイマがタイムアップするまで待機する(ステップS103)。なお、タイムアップする時間(吐出動作が行われない時間、すなわち、経過時間)としては、ヘッド異常が起こる可能性のある所定のしきい値を設定すればよい。
【0132】
印刷指示が入力されずにタイマがタイムアップすると、ステップS104に移行して、吐出異常検出処理(図27)が実行される。なお、この場合、後述するポンプ吸引処理を実行可能な回復領域(キャップを装着できる領域)にインクジェットヘッド100が配置され、ノズル面にキャップを装着しているので、インク滴の吐出動作が可能であるが、無駄な排インクを出さないために、インク滴を吐出しない程度に静電アクチュエータ120を駆動するヘッド異常検出処理が実行されてもよい。
【0133】
ステップS105において、吐出異常又はヘッド異常があるか否か(発生しているか否か)が判断され、吐出異常又はヘッド異常が発生していない場合には、制御部6は、計時手段25のタイマをクリアして(ステップS107)、ステップS101に移行する。一方、吐出異常又はヘッド異常が発生している場合には、回復手段24により後述する回復処理(図49又は図50参照)を実行してから(ステップS106)、制御部6は、計時手段25のタイマをクリアして(ステップS107)、ステップS101に移行して同様の処理を繰り返す。
【0134】
ステップS102において、印刷指示が入力されたと判断された場合には、ステップS108に移行し、印刷処理中における吐出異常検出・判定処理(吐出異常検出処理)(図43又は図44参照)が実行される。ステップS109において、吐出異常のインクジェットヘッド100があるか否かが判断され、吐出異常のインクジェットヘッド100がある場合には、印刷を停止(中止)して、ヘッドユニット35を回復領域に移動し(ステップS110)、回復手段24により後述する回復処理を実行してから(ステップS106)、制御部6は、計時手段25のタイマをクリアして(ステップS107)、ステップS101に移行して同様の処理を繰り返す。
【0135】
一方、吐出異常のインクジェットヘッド100がないと判断された場合には、ステップS111において、制御部6は、ホストコンピュータ8から指示された印刷処理が終了したか否かを判断し、印刷処理が終了している場合には、制御部6は、計時手段25のタイマをクリアして(ステップS107)、ステップS101に移行して同様の処理を繰り返す。印刷処理が終了していないと判断された場合には、ステップS108に移行して同様の処理を繰り返す。このように、この処理は、インクジェットプリンタ1に電源が投入されている間、繰り返し処理される。これにより、印刷動作をしない間のインク増粘などのヘッド異常を検出するとともに、そのヘッド異常を回復することができる。
【0136】
次に、図26に示すフローチャートのステップS104及びステップS108(図43又は図44参照)で実行されるヘッド異常検出・判定処理を説明する。図27は、本発明のヘッド異常検出・判定処理を示すフローチャートである。なお、説明の都合上、この図27に示すフローチャートでは、1つのインクジェットヘッド100、すなわち、1つのノズル110の吐出動作に対応するヘッド異常検出・判定処理を示す。
【0137】
まず、印字データ(吐出データ)又は吐出しない程度の駆動に対応する駆動信号がヘッドドライバ33の駆動回路18から入力され、それにより、図20のタイミングチャートに示すような駆動信号のタイミングに基づいて、静電アクチュエータ120の両電極間に駆動信号(電圧信号)が印加される(ステップS201)。そして、制御部6は、駆動/検出切替信号に基づいて、吐出したインクジェットヘッド100が駆動休止期間であるか否かを判断する(ステップS202)。ここで、駆動/検出切替信号は、駆動信号の立ち下がりエッジに同期してHighレベルとなり(図20参照)、制御部6から切替手段23に入力される。
【0138】
駆動/検出切替信号が切替手段23に入力されると、切替手段23によって、静電アクチュエータ120、すなわち、発振回路11を構成するコンデンサは、駆動回路18から切り離され、吐出異常検出手段10(検出回路)側、すなわち、残留振動検出手段16の発振回路11に接続される(ステップS203)。そして、後述する残留振動検出処理を実行し(ステップS204)、演算処理手段17は、この残留振動検出処理において検出された残留振動波形データに基づいて、後述する演算処理を実行する(ステップS205)。
【0139】
次いで、判定手段20によって、演算処理手段17における演算結果に基づいて、後述する吐出異常判定処理が実行され(ステップS206)、その判定結果を制御部6のEEPROM(記憶手段)62の所定の格納領域に保存する(ステップS207)。そして、ステップS208において、インクジェットヘッド100が駆動期間であるか否かが判断される。すなわち、駆動休止期間が終了して、次の駆動信号が入力されたか否かが判断され、次の駆動信号が入力されるまで、このステップS208で待機している。
【0140】
次の駆動信号のパルスが入力されるタイミングで、駆動信号の立ち上がりエッジに同期して駆動/検出切替信号がLowレベルになると(ステップS208で「yes」)、切替手段23は、静電アクチュエータ120との接続を、吐出異常検出手段(検出回路)10から駆動回路18に切り替えて(ステップS209)、この吐出異常検出・判定処理を終了する。
【0141】
次に、図27に示すフローチャートのステップS204における残留振動検出処理(サブルーチン)について説明する。図28は、本発明の残留振動検出処理を示すフローチャートである。上述のように、切替手段23によって、静電アクチュエータ120と発振回路11とを接続すると(図27のステップS203)、発振回路11は、CR発振回路を構成し、静電アクチュエータ120の静電容量の変化(静電アクチュエータ120の振動板121の残留振動)に基づいて、発振する(ステップS301)。
【0142】
上述のタイミングチャートなどに示すように、発振回路11の出力信号(パルス信号)に基づいて、F/V変換回路12において、充電信号、ホールド信号及びクリア信号が生成され、これらの信号に基づいてF/V変換回路12によって発振回路11の出力信号の周波数から電圧に変換するF/V変換処理が行われ(ステップS302)、F/V変換回路12から振動板121の残留振動波形データが出力される。F/V変換回路12から出力された残留振動波形データは、波形整形回路15のコンデンサC3により、DC成分(直流成分)が除去され(ステップS303)、オペアンプ151により、DC成分が除去された残留振動波形(AC成分)が増幅される(ステップS304)。
【0143】
増幅後の残留振動波形データは、所定の処理により波形整形され、パルス化される(ステップS305)。すなわち、本実施形態では、比較器152において、直流電圧源Vref2によって設定された電圧値(所定の電圧値)とオペアンプ151の出力電圧とが比較される。比較器152は、この比較結果に基づいて、2値化された波形(矩形波)を出力する。この比較器152の出力信号は、残留振動検出手段16の出力信号であり、吐出異常判定処理を行うために、演算処理手段17に出力され、この残留振動検出処理が終了する。
【0144】
次に、図27に示すフローチャートのステップS205における演算処理(サブルーチン)について説明する。図29は、本発明の演算処理の一例を示すフローチャートである。図27に示すフローチャートのステップS204において残留振動検出処理がなされると、それと同時に、図25のタイミングチャートに示すように、パルス生成手段から基準パルスが出力される(ステップS401)。
【0145】
ステップS402において、検出出力信号の測定期間であるか否か、すなわち、駆動/検出切替信号の立ち上がりか否かが判断され、測定期間である場合には、タイミング生成手段36は、CLR信号をLowレベルにして、減算カウンタ45のカウント動作を許可し(ステップS403)、正常カウント値メモリ46から正常カウント値を減算カウンタ45にプリセットし(ステップS404)、減算カウンタ45は、正常カウント値から基準パルスの数量を減算カウントする(ステップS405)。
【0146】
ステップS406において、タイミング生成手段36は、検出出力信号に基づいて、測定期間が終了したか否かを判断し、測定期間が終了するまで減算カウンタ45に基準パルス数を減算カウントさせて待機する。検出出力信号の立ち上がりのタイミングにより、測定期間が終了したと判断されると、保持手段48へのLs信号の入力により、減算カウンタ45の減算結果(Nd値)が保持手段48に保存され(ステップS407)、減算カウンタ45のカウント値がクリアされて(ステップS408)、この演算処理を終了する。
【0147】
次に、温度センサ37により計測された周囲温度に基づく、図27に示すフローチャートのステップS205における演算処理(サブルーチン)について説明する。図30は、本発明の演算処理の一例を示すフローチャートである。図27に示すフローチャートのステップS204において残留振動検出処理がなされると、それと同時に、図25のタイミングチャートに示すように、パルス生成手段から基準パルスが出力される(ステップS501)。
【0148】
ステップS502において、検出出力信号の測定期間であるか否か、すなわち、駆動/検出切替信号の立ち上がりか否かが判断され、測定期間である場合には、タイミング生成手段36は、CLR信号をLowレベルにして、減算カウンタ45のカウント動作を許可する(ステップS503)。ここで、温度センサ37により計測されたインクジェットヘッド100の周囲温度に対応した正常カウント値を選択し(ステップS504)、その対応する正常カウント値を正常カウント値メモリ46から減算カウンタ45にプリセットする(ステップS505)。そして、減算カウンタ45は、この正常カウント値から基準パルス数を減算カウントする(ステップS506)。
【0149】
ステップS507において、タイミング生成手段36は、検出出力信号に基づいて、測定期間が終了したか否かを判断し、測定期間が終了するまで減算カウンタ45に基準パルス数を減算カウントさせて待機する。検出出力信号の立ち上がりのタイミングにより、測定期間が終了したと判断されると、記憶手段62へのLs信号の入力により、減算カウンタ45の減算結果(Nd値)が保持手段48に保存され(ステップS508)、減算カウンタ45のカウント値がクリアされて(ステップS509)、この演算処理を終了する。
【0150】
なお、インク粘度と温度との関係(グラフ)を図31に示す。このグラフから分かるように、インクジェットプリンタ1の使用環境では、温度(周囲温度)が上昇するとインク粘度が低下する。インク粘度が変化すると、図35(B)に示すように、残留振動の振動周波数が変化する。そのため、温度により補正を行う際には、温度に対する周期を正常カウント値として正常カウント値メモリ46に格納し、温度センサ37により計測された周囲温度に対応する適切な正常カウント値に補正するように構成される。
【0151】
次に、本発明の吐出異常判定処理を説明する。図32〜図34は、本発明の吐出異常(ヘッド異常)判定処理を示すフローチャートである。まず、判定手段20は、保持手段48から減算カウンタ45の減算結果Ndを読み出し(ステップS601)、その減算結果Ndが第1のカウント閾値P1よりも大きいか否かを判断する(ステップS602)。Nd>P1であると判断された場合には、判定手段20は、吐出異常が発生し、その原因がキャビティ141内への気泡混入であると判定し、その判定結果が減算結果Ndとともに記憶手段62に対応するインクジェットヘッド100のノズル110と関連付けられて記憶される(ステップS603、S207)。
【0152】
Nd<P1であると判断された場合には、判定手段20は、計時手段25により計測された経過時間Tが第1の時間閾値T1よりも小さいか否かを判断する(ステップS604)。T<T1の場合、続いて、判定手段20は、減算結果Ndが第3のカウント閾値N2よりも小さいか否かを判断する(ステップS605)。Nd<N2であると判断された場合には、判定手段20は、吐出異常が発生し、その原因がヘッドユニット35のノズル面への紙粉付着(大)、すなわち、ノズル面に相当多くの紙粉が付着したものであると判定し、その判定結果が記憶手段62に対応するインクジェットヘッド100のノズル110と関連付けられて記憶される(ステップS606、S207)。
【0153】
Nd>N2の場合には、続いて、判定手段20は、減算結果Ndが第2のカウント閾値N1よりも小さいか否かを判断する(ステップS607)。N2<Nd<N1であると判断された場合には、判定手段20は、吐出異常が発生し、その原因がヘッドユニット35のノズル面への紙粉付着(小)、すなわち、ノズル面にいくらか(わずかに)紙粉が付着したものであると判定し、その判定結果が記憶手段62に対応するインクジェットヘッド100のノズル110と関連付けられて記憶される(ステップS608、S207)。そして、Nd>N1であると判断された場合、すなわち、N1<Nd<P1の場合には、判定手段20は、吐出異常が発生していない、すなわち、正常であると判定し、その判定結果が記憶手段62に対応するインクジェットヘッド100のノズル110と関連付けられて記憶される(ステップS609、S207)。
【0154】
次いで、ステップS604において、経過時間TがT1よりも大きいと判断された場合には、ステップS610において、その経過時間が第2の時間閾値T2よりも小さいか否かが判断される。T1<T<T2であると判断された場合には、続いて、判定手段20は、減算結果Ndが第3のカウント閾値N2よりも小さいか否かを判断する(ステップS611)。Nd<N2であると判断された場合には、判定手段20は、吐出異常が発生し、その原因がヘッドユニット35のノズル面への紙粉付着(大)、すなわち、ノズル面に相当多くの紙粉が付着したものであると判定し、その判定結果が記憶手段62に対応するインクジェットヘッド100のノズル110と関連付けられて記憶される(ステップS612、S207)。
【0155】
Nd>N2の場合には、続いて、判定手段20は、減算結果Ndが第2のカウント閾値N1よりも小さいか否かを判断する(ステップS613)。N2<Nd<N1であると判断された場合には、判定手段20は、吐出異常が発生し、その原因がキャビティ141内のインクの乾燥による増粘(小)、すなわち、インクがいくらか(わずかに)増粘しているものであると判定し、その判定結果が減算結果Ndとともに記憶手段62に対応するインクジェットヘッド100のノズル110と関連付けられて記憶される(ステップS614、S207)。そして、Nd>N1であると判断された場合、すなわち、N1<Nd<P1の場合には、判定手段20は、吐出異常が発生していない、すなわち、正常であると判定し、その判定結果が記憶手段62に対応するインクジェットヘッド100のノズル110と関連付けられて記憶される(ステップS615、S207)。
【0156】
次いで、ステップS610において、経過時間Tが第2の時間閾値T2よりも大きいと判断された場合、続いて、判定手段20は、減算結果Ndが第3のカウント閾値N2よりも小さいか否かを判断する(ステップS616)。Nd<N2であると判断された場合には、判定手段20は、吐出異常が発生し、その原因がキャビティ141内のインクの乾燥による増粘(大)、すなわち、インクがかなり増粘していると判定し、その判定結果が経過時間(待機時間)Tとともに記憶手段62に対応するインクジェットヘッド100のノズル110と関連付けられて記憶される(ステップS617、S207)。
【0157】
Nd>N2の場合には、続いて、判定手段20は、減算結果Ndが第2のカウント閾値N1よりも小さいか否かを判断する(ステップS618)。N2<Nd<N1であると判断された場合には、判定手段20は、吐出異常が発生し、その原因がヘッドユニット35のノズル面への紙粉付着(小)、すなわち、ノズル面にいくらか(わずかに)紙粉が付着したものであると判定し、その判定結果が記憶手段62に対応するインクジェットヘッド100のノズル110と関連付けられて記憶される(ステップS619、S207)。そして、Nd>N1であると判断された場合、すなわち、N1<Nd<P1の場合には、判定手段20は、吐出異常が発生していない、すなわち、正常であると判定し、その判定結果が記憶手段62に対応するインクジェットヘッド100のノズル110と関連付けられて記憶される(ステップS620、S207)。
【0158】
次に、図33のフローチャートの代わりに、計時手段25によって計測された経過時間Tに基づいて補正された場合における吐出異常(ヘッド異常)判定処理を図34のフローチャートに基づいて説明する。ステップS604において、経過時間TがT1よりも大きいと判断された場合には、ステップS621において、その経過時間が第2の時間閾値T2よりも小さいか否かが判断される。T1<T<T2であると判断された場合には、続いて、判定手段20は、減算結果Ndが第2のカウント閾値N2よりも小さいか否かを判断する(ステップS622)。Nd<N2であると判断された場合には、判定手段20は、吐出異常が発生し、その原因がヘッドユニット35のノズル面への紙粉付着(大)、すなわち、ノズル面に相当多くの紙粉が付着したものであると判定し、その判定結果が記憶手段62に対応するインクジェットヘッド100のノズル110と関連付けられて記憶される(ステップS623、S207)。
【0159】
Nd>N2であると判断された場合には、続いて、判定手段20は、減算結果Ndが第2のカウント閾値N1よりも小さいか否かを判断する(ステップS624)。N2<Nd<N1であると判断された場合には、判定手段20は、比較基準値メモリ47から経過時間Tに基づいて計算されたNdc値とその値における誤差許容値αとを読み出し(ステップS625)、減算結果Ndが所定の範囲にあるか否か、すなわち、Ndc−α<Nd<Ndc+αであるか否かを判断する(ステップS626)。減算結果Ndが所定の範囲にあると判断された場合には、判定手段20は、吐出異常が発生し、その原因がキャビティ141内のインクの乾燥による増粘(小)、すなわち、インクがいくらか(わずかに)増粘しているものであると判定し、その判定結果が減算結果Ndとともに記憶手段62に対応するインクジェットヘッド100のノズル110と関連付けられて記憶される(ステップS627、S207)。減算結果Ndが所定の範囲内にないと判断された場合には、判定手段20は、吐出異常が発生し、その原因がヘッドユニット35のノズル面への紙粉付着(小)、すなわち、ノズル面にいくらか(わずかに)紙粉が付着したものであると判定し、その判定結果が記憶手段62に対応するインクジェットヘッド100のノズル110と関連付けられて記憶される(ステップS628、S207)。
【0160】
そして、ステップS624においてNd>N1と判断された場合、すなわち、N1<Nd<P1と判断された場合には、判定手段20は、吐出異常が発生していない、すなわち、正常であると判定し、その判定結果が記憶手段62に対応するインクジェットヘッド100のノズル110と関連付けられて記憶される(ステップS629、S207)。
【0161】
次いで、ステップS621において、経過時間Tが第2の時間閾値T2よりも大きいと判断された場合、続いて、判定手段20は、減算結果Ndが第3のカウント閾値N2よりも小さいか否かを判断する(ステップS630)。Nd<N2であると判断された場合には、判定手段20は、吐出異常が発生し、その原因がキャビティ141内のインクの乾燥による増粘(大)、すなわち、インクがかなり増粘していると判定し、その判定結果が経過時間(待機時間)Tとともに記憶手段62に対応するインクジェットヘッド100のノズル110と関連付けられて記憶される(ステップS631、S207)。
【0162】
Nd>N2であると判断された場合には、続いて、判定手段20は、減算結果Ndが第2のカウント閾値N1よりも小さいか否かを判断する(ステップS632)。N2<Nd<N1であると判断された場合には、判定手段20は、吐出異常が発生し、その原因がヘッドユニット35のノズル面への紙粉付着(小)、すなわち、ノズル面にいくらか(わずかに)紙粉が付着したものであると判定し、その判定結果が記憶手段62に対応するインクジェットヘッド100のノズル110と関連付けられて記憶される(ステップS633、S207)。そして、Nd>N1であると判断された場合、すなわち、N1<Nd<P1の場合には、判定手段20は、吐出異常が発生していない、すなわち、正常であると判定し、その判定結果が記憶手段62に対応するインクジェットヘッド100のノズル110と関連付けられて記憶される(ステップS634、S207)。このように、判定手段20が所定の判定結果を出力すると、この吐出異常判定処理が終了する。
【0163】
図35は、経過時間(待機時間)とインク粘度との関係及び残留振動の振動周波数とインク粘度との関係を示すグラフである。図35(A)に示すように、経過時間(待機時間)T1までの範囲では、インクジェットヘッド100は、ノズル110から正常にインク滴を吐出可能である。T1<T<T2の範囲では、通常、後述するフラッシング処理により回復可能な程度にインクが増粘し得る。また、T>T2の範囲では、通常、後述するポンプ吸引処理でないと回復しない程度にインクが増粘し得る。
【0164】
また、図35(B)に示すように、残留振動の振動周波数は、第1のカウント閾値P1と第2のカウント閾値N1の間に対応する振動周波数のとき、正常吐出範囲となり、第2のカウント閾値N1と第3のカウント閾値N2の間に対応する振動周波数のとき、正常吐出範囲のときよりも粘度が大きくなるので、フラッシング処理が必要な領域(周波数低下領域)となり、さらに、第3のカウント閾値N2に対応する振動周波数よりも低い周波数のとき、フラッシング処理が必要な領域よりのときよりも粘度が大きくなるので、ポンプ吸引処理が必要な領域(過減衰領域)となる。
【0165】
このように、2種類の変動数(経過時間とカウント値)のいくつかの閾値により隔てられた領域に区分することにより、残留振動の周波数のみのときよりもより正確に吐出異常(ヘッド異常)の原因を判定することができる。したがって、判定(特定)された吐出異常(ヘッド異常)の原因に応じて、後述する回復処理をより適切に選択することができる。なお、吐出異常の原因に関係なく、記憶手段62は、判定手段20によって吐出異常の有無及びその原因を判定された判定結果を記憶するとともに、減算カウンタ45の減算結果や計時手段25の時間データなどすべてのデータを取込んで保存してもよい。
【0166】
次に、複数のインクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)100、すなわち、複数のノズル110を有するヘッドユニット35を備えるインクジェットプリンタ1を想定し(本実施形態では、ヘッドユニット35は、5つのインクジェットヘッド100a〜100e(すなわち、5つのノズル110)を備えているが、印字手段3が備えるヘッドユニット35の数量や、各ヘッドユニット35が備えるインクジェットヘッド100(ノズル110)の数量は、これに限定されず、いくつであってもよい)、そのインクジェットプリンタ1における各色のインクに対応する複数の吐出選択手段(ノズルセレクタ)182と、各インクジェットヘッド100の吐出異常検出・判定のタイミングについて説明する。図36〜図39は、複数の吐出選択手段182を備えるインクジェットプリンタ1における吐出異常検出・判定タイミング(特に、図26に示すフローチャートのステップS108における印刷処理時の吐出異常検出・判定のタイミング)のいくつかの例を示すブロック図である。以下、各図の構成例を順次説明する。
【0167】
図36は、複数のインクジェットヘッド100の吐出異常検出のタイミングの一例(吐出異常検出手段10が1つの場合)である。この図36に示すように、複数のインクジェットヘッド100a〜100eを有するインクジェットプリンタ1は、駆動波形を生成する駆動波形生成手段181と、いずれのノズル110からインク滴を吐出するかを選択することができる吐出選択手段182と、この吐出選択手段182によって選択され、駆動波形生成手段181によって駆動される複数のインクジェットヘッド100a〜100eとを備えている。なお、図36の構成では、上記以外の構成は図2、図16及び図23に示したものと同様であるため、その説明を省略する。
【0168】
なお、本実施形態では、駆動波形生成手段181及び吐出選択手段182は、ヘッドドライバ33の駆動回路18に含まれるものとして説明するが(図36では、切替手段23を介して2つのブロックとして示しているが、一般的には、いずれもヘッドドライバ33内に構成される)、本発明はこの構成に限定されず、例えば、駆動波形生成手段181は、ヘッドドライバ33とは独立した構成としてもよい。
【0169】
この図36に示すように、吐出選択手段182は、シフトレジスタ182aと、ラッチ回路182bと、ドライバ182cとを備えている。シフトレジスタ182aには、図2に示すホストコンピュータ8から出力され、制御部6において所定の処理をされた印字データ(吐出データ)と、クロック信号(CLK)が順次入力される。この印字データは、クロック信号(CLK)の入力パルスに応じて(クロック信号の入力の度に)シフトレジスタ182aの初段から順次後段側にシフトして入力され、各インクジェットヘッド100a〜100eに対応する印字データとしてラッチ回路182bに出力される。なお、後述する吐出異常検出処理では、印字データではなくフラッシング(予備吐出)時の吐出データが入力されるが、この吐出データとは、すべてのインクジェットヘッド100a〜100eに対する印字データを意味している。なお、フラッシング時は、ラッチ回路182bのすべての出力が吐出となる値に設定されるようにハード的に処理をしてもよい。
【0170】
ラッチ回路182bは、ヘッドユニット35のノズル110の数、すなわち、インクジェットヘッド100の数に対応する印字データがシフトレジスタ182aに格納された後、入力されるラッチ信号によってシフトレジスタ182aの各出力信号をラッチする。ここで、CLEAR信号が入力された場合には、ラッチ状態が解除され、ラッチされていたシフトレジスタ182aの出力信号は0(ラッチの出力停止)となり、印字動作は停止される。CLEAR信号が入力されていない場合には、ラッチされたシフトレジスタ182aの印字データがドライバ182cに出力される。シフトレジスタ182aから出力される印字データがラッチ回路182bによってラッチされた後、次の印字データをシフトレジスタ182aに入力し、印字タイミングに合わせてラッチ回路182bのラッチ信号を順次更新している。
【0171】
ドライバ182cは、駆動波形生成手段181と各インクジェットヘッド100の静電アクチュエータ120とを接続するものであり、ラッチ回路182bから出力されるラッチ信号で指定(特定)された各静電アクチュエータ120(インクジェットヘッド100a〜100eのいずれかあるいはすべての静電アクチュエータ120)に駆動波形生成手段181の出力信号(駆動信号)を入力し、それによって、その駆動信号(電圧信号)が静電アクチュエータ120の両電極間に印加される。
【0172】
この図36に示すインクジェットプリンタ1は、複数のインクジェットヘッド100a〜100eを駆動する1つの駆動波形生成手段181と、各インクジェットヘッド100a〜100eのいずれかのインクジェットヘッド100に対して吐出異常(インク滴不吐出)を検出する吐出異常検出手段10と、この吐出異常検出手段10によって得られた吐出異常の原因などの判定結果を保存(格納)する記憶手段62と、駆動波形生成手段181と吐出異常検出手段10とを切り替える1つの切替手段23とを備えている。したがって、このインクジェットプリンタ1は、駆動波形生成手段181から入力される駆動信号に基づいて、ドライバ182cによって選択された1つ又は複数のインクジェットヘッド100を駆動し、駆動/検出切替信号が吐出駆動動作後に切替手段23に入力されることによって、切替手段23が駆動波形生成手段181から吐出異常検出手段10にインクジェットヘッド100の静電アクチュエータ120との接続を切り替えた後、振動板121の残留振動波形に基づいて、吐出異常検出手段10によって、そのインクジェットヘッド100のノズル110における吐出異常(インク滴不吐出)を検出し、吐出異常の場合にはその原因を判定するものである。
【0173】
そして、このインクジェットプリンタ1は、1つのインクジェットヘッド100のノズル110について吐出異常を検出・判定すると、次に駆動波形生成手段181から入力される駆動信号に基づいて、次に指定されたインクジェットヘッド100のノズル110について吐出異常を検出・判定し、以下同様に、駆動波形生成手段181の出力信号によって駆動されるインクジェットヘッド100のノズル110についての吐出異常を順次検出・判定する。そして、上述のように、残留振動検出手段16が振動板121の残留振動波形を検出すると、演算処理手段17がその波形データに基づいて残留振動波形の周期などを計測するとともに、所定の減算処理を実行し、判定手段20が、演算処理手段17の演算結果に基づいて、正常吐出か吐出異常か、及び、吐出異常(ヘッド異常)の場合には吐出異常の原因を判定して、記憶手段62にその判定結果を出力する。
【0174】
このように、この図36に示すインクジェットプリンタ1では、複数のインクジェットヘッド100a〜100eの各ノズル110についてインク滴吐出駆動動作の際に順次吐出異常を検出・判定する構成としているので、吐出異常検出手段10と切替手段23とを1つずつ備えるだけでよく、吐出異常を検出・判定可能なインクジェットプリンタ1の回路構成をスケールダウンできるとともに、その製造コストの増加を防止することができる。
【0175】
図37は、複数のインクジェットヘッド100の吐出異常検出のタイミングの一例(吐出異常検出手段10の数がインクジェットヘッド100の数と同じ場合)である。この図37に示すインクジェットプリンタ1は、1つの吐出選択手段182と、5つの吐出異常検出手段10a〜10eと、5つの切替手段23a〜23eと、5つのインクジェットヘッド100a〜100eに共通の1つの駆動波形生成手段181と、1つの記憶手段62とを備えている。なお、各構成要素は、図36の説明において既に上述しているので、その説明を省略し、これらの接続について説明する。
【0176】
図36に示す場合と同様に、吐出選択手段182は、ホストコンピュータ8から入力される印字データ(吐出データ)とクロック信号CLKに基づいて、各インクジェットヘッド100a〜100eに対応する印字データをラッチ回路182bにラッチし、駆動波形生成手段181からドライバ182cに入力される駆動信号(電圧信号)に応じて、印字データに対応するインクジェットヘッド100a〜100eの静電アクチュエータ120を駆動させる。駆動/検出切替信号は、すべてのインクジェットヘッド100a〜100eに対応する切替手段23a〜23eにそれぞれ入力され、切替手段23a〜23eは、対応する印字データ(吐出データ)の有無にかかわらず、駆動/検出切替信号に基づいて、インクジェットヘッド100の静電アクチュエータ120に駆動信号を入力後、駆動波形生成手段181から吐出異常検出手段10a〜10eにインクジェットヘッド100との接続を切り替える。
【0177】
すべての吐出異常検出手段10a〜10eにより、それぞれのインクジェットヘッド100a〜100eの吐出異常を検出・判定した後、その検出処理で得られたすべてのインクジェットヘッド100a〜100eの判定結果が、記憶手段62に出力され、記憶手段62は、各インクジェットヘッド100a〜100eの吐出異常の有無及び吐出異常の原因を所定の保存領域に格納する。
【0178】
このように、この図37に示すインクジェットプリンタ1では、複数のインクジェットヘッド100a〜100eの各ノズル110に対応して複数の吐出異常検出手段10a〜10eを設け、それらに対応する複数の切替手段23a〜23eによって切替動作を行って、吐出異常検出及びその原因判定を行っているので、一度にすべてのノズル110について短時間に吐出異常検出及びその原因判定を行うことができる。
【0179】
図38は、複数のインクジェットヘッド100の吐出異常検出のタイミングの一例(吐出異常検出手段10の数がインクジェットヘッド100の数と同じであり、印字データがあるときに吐出異常検出を行う場合)である。この図38に示すインクジェットプリンタ1は、図37に示すインクジェットプリンタ1の構成に、切替制御手段19を追加(付加)したものである。本実施形態では、この切替制御手段19は、複数のAND回路(論理積回路)ANDa〜ANDeから構成され、各インクジェットヘッド100a〜100eに入力される印字データと、駆動/検出切替信号とが入力されると、対応する切替手段23a〜23eにHighレベルの出力信号を出力するものである。なお、切替制御手段19はAND回路(論理積回路)に限定されず、駆動するインクジェットヘッド100が選択されるラッチ回路182bの出力に一致した切替手段23が選択されるように構成されればよい。
【0180】
各切替手段23a〜23eは、切替制御手段19のそれぞれ対応するAND回路ANDa〜ANDeの出力信号に基づいて、駆動波形生成手段181からそれぞれ対応する吐出異常検出手段10a〜10eへ、対応するインクジェットヘッド100a〜100eの静電アクチュエータ120との接続を切り替える。具体的には、対応するAND回路ANDa〜ANDeの出力信号がHighレベルであるとき、すなわち、駆動/検出切替信号がHighレベルの状態で対応するインクジェットヘッド100a〜100eに入力される印字データがラッチ回路182bからドライバ182cに出力されている場合には、そのAND回路に対応する切替手段23a〜23eは、対応するインクジェットヘッド100a〜100eへの接続を、駆動波形生成手段181から吐出異常検出手段10a〜10eに切り替える。
【0181】
印字データが入力されたインクジェットヘッド100に対応する吐出異常検出手段10a〜10eにより、インクジェットヘッド100の吐出異常の有無及び吐出異常の場合にはその原因を検出した後、その吐出異常検出手段10は、その検出処理で得られた判定結果を記憶手段62に出力する。記憶手段62は、このように入力された(得られた)1又は複数の判定結果を所定の保存領域に格納する。
【0182】
このように、この図38に示すインクジェットプリンタ1では、複数のインクジェットヘッド100a〜100eの各ノズル110に対応して複数の吐出異常検出手段10a〜10eを設け、それぞれのインクジェットヘッド100a〜100eに対応する印字データがホストコンピュータ8から制御部6を介して吐出選択手段182に入力されたときに、切替制御手段19によって指定された切替手段23a〜23eのみが所定の切替動作を行って、インクジェットヘッド100の吐出異常検出及びその原因判定を行っているので、吐出駆動動作をしていないインクジェットヘッド100についてはこの検出・判定処理を行わない。したがって、このインクジェットプリンタ1によって、無駄な検出及び判定処理を回避することができる。
【0183】
図39は、複数のインクジェットヘッド100の吐出異常検出のタイミングの一例(吐出異常検出手段10の数がインクジェットヘッド100の数と同じであり、各インクジェットヘッド100を巡回して吐出異常検出を行う場合)である。この図39に示すインクジェットプリンタ1は、図38に示すインクジェットプリンタ1の構成において吐出異常検出手段10を1つとし、駆動/検出切替信号を走査する(検出・判定処理を実行するインクジェットヘッド100を1つずつ特定する)切替選択手段19aを追加したものである。
【0184】
この切替選択手段19aは、図38に示す切替制御手段19に接続されるものであり、制御部6から入力される走査信号(選択信号)に基づいて、複数のインクジェットヘッド100a〜100eに対応するAND回路ANDa〜ANDeへの駆動/検出切替信号の入力を走査する(選択して切り替える)セレクタである。この切替選択手段19aの走査(選択)順は、シフトレジスタ182aに入力される印字データの順、すなわち、複数のインクジェットヘッド100の吐出順であってもよいが、単純に複数のインクジェットヘッド100a〜100eの順であってもよい。なお、図39に示す構成では、この切替選択手段19aと切替制御手段19とが、吐出異常検出手段10が複数のインクジェットヘッド100a〜100eのノズル110のいずれのノズル110に対して吐出異常を検出するかを決定する検出決定手段を構成する。
【0185】
走査順がシフトレジスタ182aに入力される印字データの順である場合、吐出選択手段182のシフトレジスタ182aに印字データが入力されると、その印字データはラッチ回路182bにラッチされ、ラッチ信号の入力によりドライバ182cに出力される。印字データのシフトレジスタ182aへの入力、あるいはラッチ信号のラッチ回路182bへの入力に同期して、印字データに対応するインクジェットヘッド100を特定するための走査信号が切替選択手段19aに入力され、対応するAND回路に駆動/検出切替信号が出力される。なお、切替選択手段19aの出力端子は、非選択時にはLowレベルを出力する。
【0186】
その対応するAND回路(切替制御手段19)は、ラッチ回路182bから入力された印字データと、切替選択手段19aから入力された駆動/検出切替信号とを論理積演算することにより、Highレベルの出力信号を対応する切替手段23に出力する。そして、切替制御手段19からHighレベルの出力信号が入力された切替手段23は、対応するインクジェットヘッド100の静電アクチュエータ120への接続を、駆動波形生成手段181から吐出異常検出手段10に切り替える。
吐出異常検出手段10は、印字データが入力されたインクジェットヘッド100の吐出異常を検出し、吐出異常がある場合にはその原因を判定した後、その判定結果を記憶手段62に出力する。そして、記憶手段62は、このように入力された(得られた)判定結果を所定の保存領域に格納する。
【0187】
また、走査順が単純なインクジェットヘッド100a〜100eの順である場合、吐出選択手段182のシフトレジスタ182aに印字データが入力されると、その印字データはラッチ回路182bにラッチされ、ラッチ信号の入力によりドライバ182cに出力される。印字データのシフトレジスタ182aへの入力、あるいはラッチ信号のラッチ回路182bへの入力に同期して、印字データに対応するインクジェットヘッド100を特定するための走査(選択)信号が切替選択手段19aに入力され、切替制御手段19の対応するAND回路に駆動/検出切替信号が出力される。
【0188】
ここで、切替選択手段19aに入力された走査信号により定められたインクジェットヘッド100に対する印字データがシフトレジスタ182aに入力されたときには、それに対応するAND回路(切替制御手段19)の出力信号がHighレベルとなり、切替手段23は、対応するインクジェットヘッド100への接続を、駆動波形生成手段181から吐出異常検出手段10に切り替える。しかしながら、上記印字データがシフトレジスタ182aに入力されないときには、AND回路の出力信号はLowレベルであり、対応する切替手段23は、所定の切替動作を実行しない。したがって、切替選択手段19aの選択結果と切替制御手段19によって指定された結果との論理積に基づいて、インクジェットヘッド100の吐出異常検出処理が行われる。
【0189】
切替手段23によって切替動作が行われた場合には、上記と同様に、吐出異常検出手段10は、印字データが入力されたインクジェットヘッド100の吐出異常を検出し、吐出異常がある場合にはその原因を判定した後、その判定結果を記憶手段62に出力する。そして、記憶手段62は、このように入力された(得られた)判定結果を所定の保存領域に格納する。
【0190】
なお、切替選択手段19aで特定されたインクジェットヘッド100に対する印字データがないときには、上述のように、対応する切替手段23が切替動作を実行しないので、吐出異常検出手段10による吐出異常検出処理を実行する必要はないが、そのような処理が実行されてもよい。切替動作が行われずに吐出異常検出処理が実行された場合、吐出異常検出手段10の判定手段20は、対応するインクジェットヘッド100のノズル110を未吐出ノズルであると判定し、その判定結果を記憶手段62の所定の保存領域に格納する。
【0191】
このように、この図39に示すインクジェットプリンタ1では、図37又は図38に示すインクジェットプリンタ1とは異なり、複数のインクジェットヘッド100a〜100eの各ノズル110に対して1つの吐出異常検出手段10のみを設け、それぞれのインクジェットヘッド100a〜100eに対応する印字データがホストコンピュータ8から制御部6を介して吐出選択手段182に入力され、それと同時に走査(選択)信号により特定されて、その印字データに応じて吐出駆動動作をするインクジェットヘッド100に対応する切替手段23のみが切替動作を行って、対応するインクジェットヘッド100の吐出異常検出及びその原因判定を行っているので、一度に大量の検出結果を処理することがなく制御部6のCPU61への負担を軽減することができる。また、吐出異常検出手段10が吐出動作とは別にノズルの状態を巡回しているため、駆動印字中でも1ノズル毎に吐出の異常を把握することができ、ヘッドユニット35全体のノズル110の状態を知ることができる。これにより、例えば、定期的に吐出異常の検出を行っているために、印刷停止中に1ノズル毎に吐出の異常を検出する工程を少なくすることができる。以上から、効率的にインクジェットヘッド100の吐出異常検出及びその原因判定を行うことができる。
【0192】
また、図37又は図38に示すインクジェットプリンタ1とは異なり、図39に示すインクジェットプリンタ1は、吐出異常検出手段10を1つのみ備えていればよいので、図37及び図38に示すインクジェットプリンタ1に比べ、インクジェットプリンタ1の回路構成をスケールダウンすることができるとともに、その製造コストの増加を防止することができる。
【0193】
次に、図36〜図39に示すプリンタ1の動作、すなわち、複数のインクジェットヘッド100を備えるインクジェットプリンタ1における吐出異常検出処理(主に、検出タイミング)について説明する。本発明のヘッド異常検出・判定処理(多ノズルにおける処理)は、各インクジェットヘッド100の静電アクチュエータ120がインク滴吐出動作を行ったときの振動板121の残留振動を検出し、その残留振動の周期に基づいて、該当するインクジェット100に対し吐出異常(ドット抜け、インク滴不吐出)が生じているか否か、ドット抜け(インク滴不吐出)が生じた場合には、その原因が何であるかを判定している。このように、本発明では、インクジェットヘッド100によるインク滴(液滴)の吐出動作が行われれば、これらの検出・判定処理を実行できるが、インクジェットヘッド100がインク滴を吐出するのは、実際に記録用紙Pに印刷(プリント)している場合だけでなく、フラッシング動作(予備吐出あるいは予備的吐出)をしている場合もある。以下、この2つの場合について、本発明のヘッド異常検出・判定処理(多ノズル)を説明する。
【0194】
ここで、フラッシング(予備吐出)処理とは、図1では図示していないキャップの装着時や、記録用紙P(メディア)にインク滴(液滴)がかからない場所において、ヘッドユニット35のすべてのあるいは対象となるインクジェットヘッド100のノズル110からインク滴を吐出するヘッドクリーニング動作である。このフラッシング処理(フラッシング動作)は、例えば、ノズル110内のインク粘度を適正範囲の値に保持するために、定期的にキャビティ141内のインクを排出する際に実施したり、あるいは、インク増粘時の回復動作としても実施したりされる。さらに、フラッシング処理は、インクカートリッジ31を印字手段3に装着した後に、インクを各キャビティ141に初期充填する場合にも実施される。
【0195】
また、ノズルプレート(ノズル面)150をクリーニングするためにワイピング処理(ヘッドユニット35のヘッド面に付着している付着物(紙粉やごみなど)を、図1では図示していないワイパで拭き取る処置)を行う場合があるが、このときノズル110内が負圧になって、他の色のインク(他の種類の液滴)を引込んでしまう可能性がある。そのため、ワイピング処理後に、ヘッドユニット35のすべてのノズル110から一定量のインク滴を吐出させるためにもフラッシング処理が実施される。さらに、フラッシング処理は、ノズル110のメニスカスの状態を正常に保持して良好な印字を確保するためにも適時に実施され得る。
【0196】
まず、図40〜図42に示すフローチャートを参照して、フラッシング処理時における吐出異常検出・判定処理について説明する。なお、これらのフローチャートは、図36〜図39のブロック図を参照しながら説明する(以下、印字動作時においても同様)。図40は、図36に示すインクジェットプリンタ1のフラッシング動作時における吐出異常検出のタイミングを示すフローチャートである。
【0197】
所定のタイミングにおいて、インクジェットプリンタ1のフラッシング処理が実行されるとき、この図40に示す吐出異常検出・判定処理が実行される。制御部6は、吐出選択手段182のシフトレジスタ182aに1ノズル分の吐出データを入力し(ステップS701)、ラッチ回路182bにラッチ信号が入力されて(ステップS702)、この吐出データがラッチされる。そのとき、切替手段23は、その吐出データの対象であるインクジェットヘッド100の静電アクチュエータ120と駆動波形生成手段181とを接続する(ステップS703)。
【0198】
そして、吐出異常検出手段10によって、インク吐出動作を行ったインクジェットヘッド100に対して、図24のフローチャートに示す吐出異常検出・判定処理が実行される(ステップS704)。ステップS705において、制御部6は、吐出選択手段182に出力した吐出データに基づいて、図36に示すインクジェットプリンタ1のすべてのインクジェットヘッド100a〜100eのノズル110について吐出異常検出・判定処理が終了したか否かを判断する。そして、すべてのノズル110についてこれらの処理が終わっていないと判断されるときには、制御部6は、シフトレジスタ182aに次のインクジェットヘッド100のノズル110に対応する吐出データを入力し(ステップS706)、ステップS702に移行して同様の処理を繰り返す。
【0199】
また、ステップS705において、すべてのノズル110について上述の吐出異常検出及び判定処理が終わったと判断される場合には、制御部6は、ラッチ回路182bにCLEAR信号を入力し、ラッチ回路182bのラッチ状態を解除して、図36に示すインクジェットプリンタ1における吐出異常検出・判定処理を終了する。
【0200】
上述のように、この図36に示すプリンタ1における吐出異常検出・判定処理では、1つの吐出異常検出手段10と1つの切替手段23とから検出回路が構成されているので、吐出異常検出処理及び判定処理は、インクジェットヘッド100の数だけ繰り返されるが、吐出異常検出手段10を構成する回路はそれほど大きくならないという効果を有する。
【0201】
次いで、図41は、図37及び図38に示すインクジェットプリンタ1のフラッシング動作時における吐出異常検出のタイミングを示すフローチャートである。図37に示すインクジェットプリンタ1と図38に示すインクジェットプリンタ1とは回路構成が若干異なるが、吐出異常検出手段10及び切替手段23の数が、インクジェットヘッド100の数に対応する(同じである)点で一致している。そのため、フラッシング動作時における吐出異常検出・判定処理は、同様のステップから構成される。
【0202】
所定のタイミングにおいて、インクジェットプリンタ1のフラッシング処理が実行されるとき、制御部6は、吐出選択手段182のシフトレジスタ182aに全ノズル分の吐出データを入力し(ステップS801)、ラッチ回路182bにラッチ信号が入力されて(ステップS802)、この吐出データがラッチされる。そのとき、切替手段23a〜23eは、すべてのインクジェットヘッド100a〜100eと駆動波形生成手段181とをそれぞれ接続する(ステップS803)。
【0203】
そして、それぞれのインクジェットヘッド100a〜100eに対応する吐出異常検出手段10a〜10eによって、インク吐出動作を行ったすべてのインクジェットヘッド100に対して、図27のフローチャートに示す吐出異常検出・判定処理が並列的に実行される(ステップS804)。この場合、すべてのインクジェットヘッド100a〜100eに対応する判定結果が、処理対象となるインクジェットヘッド100と関連付けられて、記憶手段62の所定の格納領域に保存される(図27のステップS207)。
【0204】
そして、吐出選択手段182のラッチ回路182bにラッチされている吐出データをクリアするために、制御部6は、CLEAR信号をラッチ回路182bに入力して(ステップS805)、ラッチ回路182bのラッチ状態を解除して、図37及び図38に示すインクジェットプリンタ1における吐出異常検出処理及び判定処理を終了する。
【0205】
上述のように、この図37及び図38に示すプリンタ1における処理では、インクジェットヘッド100a〜100eに対応する複数(この実施形態では5つ)の吐出異常検出手段10と複数の切替手段23とから検出及び判定回路が構成されているので、吐出異常検出・判定処理は、一度にすべてのノズル110について短時間に実行され得るという効果を有する。
【0206】
次いで、図42は、図39に示すインクジェットプリンタ1のフラッシング動作時における吐出異常検出のタイミングを示すフローチャートである。以下同様に、図39に示すインクジェットプリンタ1の回路構成を用いて、フラッシング動作時における吐出異常検出処理及び原因判定処理について説明する。
所定のタイミングにおいて、インクジェットプリンタ1のフラッシング処理が実行されるとき、まず、制御部6は、走査信号を切替選択手段(セレクタ)19aに出力し、この切替選択手段19a及び切替制御手段19により、最初の切替手段23a及びインクジェットヘッド100aを設定(特定)する(ステップS901)。そして、吐出選択手段182のシフトレジスタ182aに全ノズル分の吐出データを入力し(ステップS902)、ラッチ回路182bにラッチ信号が入力されて(ステップS903)、この吐出データがラッチされる。そのとき、切替手段23aは、インクジェットヘッド100aの静電アクチュエータ120と駆動波形生成手段181とを接続している(ステップS904)。
【0207】
そして、インク吐出動作を行ったインクジェットヘッド100aに対して、図24のフローチャートに示す吐出異常検出・判定処理が実行される(ステップS905)。この場合、図27のステップS203において、切替選択手段19aの出力信号である駆動/検出切替信号と、ラッチ回路182bから出力された吐出データとがAND回路ANDaに入力され、AND回路ANDaの出力信号がHighレベルとなることにより、切替手段23aは、インクジェットヘッド100aの静電アクチュエータ120と吐出異常検出手段10とを接続する。そして、図27のステップS206において実行される吐出異常判定処理の判定結果が、処理対象となるインクジェットヘッド100(ここでは、100a)と関連付けられて、記憶手段62の所定の格納領域に保存される(図27のステップS207)。
【0208】
ステップS906において、制御部6は、吐出異常検出・判定処理がすべてのノズルに対して終了したか否かを判断する。そして、まだすべてのノズル110について吐出異常検出・判定処理が終了していないと判断された場合には、制御部6は、走査信号を切替選択手段(セレクタ)19aに出力し、この切替選択手段19a及び切替制御手段19により、次の切替手段23b及びインクジェットヘッド100bを設定(特定)し(ステップS907)、ステップS903に移行して、同様の処理を繰り返す。以下、すべてのインクジェットヘッド100について吐出異常検出・判定処理が終了するまでこのループを繰り返す。
【0209】
また、ステップS906において、すべてのノズル110について吐出異常検出処理及び判定処理が終了したと判断される場合には、吐出選択手段182のラッチ回路182bにラッチされている吐出データをクリアするために、制御部6は、CLEAR信号をラッチ回路182bに入力して(ステップS909)、ラッチ回路182bのラッチ状態を解除して、図39に示すインクジェットプリンタ1における吐出異常検出処理及び判定処理を終了する。
【0210】
上述のように、図39に示すインクジェットプリンタ1における処理では、複数の切替手段23と1つの吐出異常検出手段10から検出回路が構成され、切替選択手段(セレクタ)19aの走査信号により特定され、吐出データに応じて吐出駆動をするインクジェットヘッド100に対応する切替手段23のみが切替動作を行って、対応するインクジェットヘッド100の吐出異常検出及び原因判定を行っているので、より効率的にインクジェットヘッド100の吐出異常検出及び原因判定を行うことができる。
【0211】
なお、このフローチャートのステップS902では、シフトレジスタ182aにすべてのノズル110に対応する吐出データを入力しているが、図40に示すフローチャートのように、切替選択手段19aによるインクジェットヘッド100の走査順に合わせて、シフトレジスタ182aに入力する吐出データを対応する1つのインクジェットヘッド100に入力し、1ノズル110ずつ吐出異常検出・判定処理を行ってもよい。
【0212】
次に、図43及び図44に示すフローチャートを参照して、印字動作時におけるインクジェットプリンタ1の吐出異常検出・判定処理について説明する。図36に示すインクジェットプリンタ1においては、主に、フラッシング動作時における吐出異常検出処理及び判定処理に適しているので、印字動作時のフローチャート及びその動作説明を省略するが、この図36に示すインクジェットプリンタ1においても印字動作時に吐出異常検出・判定処理が行われてもよい。
【0213】
図43は、図37及び図38に示すインクジェットプリンタ1の印字動作時における吐出異常検出のタイミングを示すフローチャートである。ホストコンピュータ8からの印刷(印字)指示により、このフローチャートの処理が実行(開始)される。制御部6を介してホストコンピュータ8から印字データが吐出選択手段182のシフトレジスタ182aに入力されると(ステップS1001)、ラッチ回路182bにラッチ信号が入力されて(ステップS1002)、その印字データがラッチされる。このとき、切替手段23a〜23eは、すべてのインクジェットヘッド100a〜100eと駆動波形生成手段181とを接続している(ステップS1003)。
【0214】
そして、インク吐出動作を行ったインクジェットヘッド100に対応する吐出異常検出手段10は、図24のフローチャートに示す吐出異常検出・判定処理を実行する(ステップS1004)。この場合、各インクジェットヘッド100に対応するそれぞれの判定結果が、処理対象となるインクジェットヘッド100と関連付けられて、記憶手段62の所定の格納領域に保存される。
【0215】
ここで、図37に示すインクジェットプリンタ1の場合には、切替手段23a〜23eは、制御部6から出力される駆動/検出切替信号に基づいて、インクジェットヘッド100a〜100eを吐出異常検出手段10a〜10eに接続する(図27のステップS203)。そのため、印字データの存在しないインクジェットヘッド100では、静電アクチュエータ120が駆動していないので、吐出異常検出手段10の残留振動検出手段16は、振動板121の残留振動波形を検出しない。一方、図38に示すインクジェットプリンタ1の場合には、切替手段23a〜23eは、制御部6から出力される駆動/検出切替信号と、ラッチ回路182bから出力される印字データとが入力されるAND回路の出力信号に基づいて、印字データの存在するインクジェットヘッド100を吐出異常検出手段10に接続する(図27のステップS203)。
【0216】
ステップS1005において、制御部6は、インクジェットプリンタ1の印字動作が終了したか否かを判断する。そして、印字動作が終わっていないと判断されるときには、制御部6は、ステップS1001に移行して、次の印字データをシフトレジスタ182aに入力し、同様の処理を繰り返す。また、印字動作が終了したと判断されるときには、吐出選択手段182のラッチ回路182bにラッチされている吐出データをクリアするために、制御部6は、CLEAR信号をラッチ回路182bに入力して(ステップS1006)、ラッチ回路182bのラッチ状態を解除して、図37及び図38に示すインクジェットプリンタ1における吐出異常検出処理及び判定処理を終了する。
【0217】
上述のように、図37及び図38に示すインクジェットプリンタ1は、複数の切替手段23a〜23eと、複数の吐出異常検出手段10a〜10eとを備え、一度にすべてのインクジェットヘッド100に対して吐出異常検出・判定処理を行っているので、これらの処理を短時間に行うことができる。また、図38に示すインクジェットプリンタ1は、切替制御手段19、すなわち、駆動/検出切替信号と印字データとを論理積演算するAND回路ANDa〜ANDeをさらに備え、印字動作を行うインクジェットヘッド100のみに対して切替手段23による切替動作を行っているので、無駄な検出を行うことなく、吐出異常検出処理及び判定処理を行うことができる。
【0218】
次いで、図44は、図39に示すインクジェットプリンタ1の印字動作時における吐出異常検出のタイミングを示すフローチャートである。ホストコンピュータ8からの印刷指示により、図39に示すインクジェットプリンタ1においてこのフローチャートの処理が実行される。まず、切替選択手段19aは、最初の切替手段23a及びインクジェットヘッド100aを予め設定(特定)しておく(ステップS1101)。
【0219】
制御部6を介してホストコンピュータ8から印字データが吐出選択手段182のシフトレジスタ182aに入力されると(ステップS1102)、ラッチ回路182bにラッチ信号が入力されて(ステップS1103)、その印字データがラッチされる。ここで、切替手段23a〜23eは、この段階では、すべてのインクジェットヘッド100a〜100eと駆動波形生成手段181(吐出選択手段182のドライバ182c)とを接続している(ステップS1104)。
【0220】
そして、制御部6は、インクジェットヘッド100aに印字データがある場合には、切替選択手段19aによって吐出動作後静電アクチュエータ120が吐出異常検出手段10に接続され(図27のステップS203)、図27(図32〜図34)のフローチャートに示す吐出異常検出・判定処理を実行する(ステップS1105)。そして、図27のステップS206において実行される吐出異常判定処理の判定結果が、処理対象となるインクジェットヘッド100(ここでは、100a)と関連付けられて、記憶手段62の所定の格納領域に保存される(図27のステップS207)。
【0221】
ステップS1106において、制御部6は、すべてのノズル110(すべてのインクジェットヘッド100)について上述の吐出異常検出・判定処理を終了したか否かを判断する。そして、すべてのノズル110について上記処理が終了したと判断される場合には、制御部6は、走査信号に基づいて、また最初のノズル110に対応する切替手段23aを設定し(ステップS1108)、すべてのノズル110について上記処理が終了していないと判断される場合には、次のノズル110に対応する切替手段23bを設定する(ステップS1107)。
【0222】
ステップS1109において、制御部6は、ホストコンピュータ8から指示された所定の印字動作が終了したか否かを判断する。そして、まだ印字動作が終了していないと判断された場合には、次の印字データがシフトレジスタ182aに入力され(ステップS1102)、同様の処理を繰り返す。印字動作が終了したと判断された場合には、吐出選択手段182のラッチ回路182bにラッチされている吐出データをクリアするために、制御部6は、CLEAR信号をラッチ回路182bに入力して(ステップS1111)、ラッチ回路182bのラッチ状態を解除して、図39に示すインクジェットプリンタ1における吐出異常検出・判定処理を終了する。
【0223】
以上のように、本発明の液滴吐出装置(インクジェットプリンタ1)は、振動板121と、振動板121を変位させる複数の静電アクチュエータ120と、内部に液体が充填され、振動板121の変位により、該内部の圧力が変化(増減)されるキャビティ141と、キャビティ141に連通し、キャビティ141内の圧力の変化(増減)により液体を液滴として吐出するノズル110とを有するインクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)100を複数個備え、これらの静電アクチュエータ120を駆動する駆動波形生成手段181と、複数のノズル110のうちいずれのノズル110から液滴を吐出するかを選択する吐出選択手段182と、振動板121の残留振動を検出し、この検出された振動板121の残留振動に基づいて、液滴の吐出の異常を検出する1つ又は複数の吐出異常検出手段10と、静電アクチュエータ120の駆動による液滴の吐出動作後、駆動/検出切替信号や印字データ、あるいは走査信号に基づいて、静電アクチュエータ120を駆動波形生成手段181から吐出異常検出手段10に切り替える1つ又は複数の切替手段23とを備え、一度(並列的)にあるいは順次に複数のノズル110の吐出異常を検出することとした。
【0224】
したがって、本発明の液滴吐出装置及びヘッド異常検出・判定方法によって、吐出異常検出及びその原因判定を短時間に行うことができるとともに、吐出異常検出手段10を含む検出回路の回路構成をスケールダウンすることができ、液滴吐出装置の製造コストの増加を防止することができる。また、静電アクチュエータ120の駆動後、吐出異常検出手段10に切り替えて吐出異常検出及び原因判定を行っているので、アクチュエータの駆動に影響を与えることがなく、それによって、本発明の液滴吐出装置のスループットを低下又は悪化させることがない。また、所定の構成要素を備えている既存の液滴吐出装置(インクジェットプリンタ)に、本発明の吐出異常検出手段10を装備することも可能である。
【0225】
また、本発明の液滴吐出装置は、上記構成と異なり、複数の切替手段23と、切替制御手段19と、1つあるいはノズル110の数量と対応する複数の吐出異常検出手段10とを備え、駆動/検出切替信号及び吐出データ(印字データ)、あるいは、走査信号、駆動/検出切替信号及び吐出データ(印字データ)に基づいて、対応する静電アクチュエータ120を駆動波形生成手段181又は吐出選択手段182から吐出異常検出手段10に切り替えて、吐出異常検出及び原因判定を行うこととした。
【0226】
したがって、本発明の液滴吐出装置によって、吐出データ(印字データ)が入力されていない、すなわち、吐出駆動動作をしていない静電アクチュエータ120に対応する切替手段は切替動作を行わないので、無駄な検出・判定処理を回避することができる。また、切替選択手段19aを利用する場合には、液滴吐出装置は、1つの吐出異常検出手段10のみを備えていればよいので、液滴吐出装置の回路構成をスケールダウンすることができるとともに、液滴吐出装置の製造コストの増加を防止することができる。
【0227】
なお、この第1実施形態では、吐出異常検出のタイミングを説明するための図36〜図39に示すインクジェットプリンタ1は、説明の便宜上、ヘッドユニット35に5つのインクジェットヘッド100(ノズル110)を備える構成を示すとともに、その構成について説明していたが、本発明の液滴吐出装置では、インクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)100の数量は5つに限らず、実際に搭載されている数量のノズル110を対象に吐出異常の検出・判定を行うことができる。
【0228】
次に、本発明の液滴吐出装置におけるインクジェットヘッド100のヘッド異常(吐出異常)の原因を解消させる回復処理を実行する構成(回復手段24)について説明する。図45は、図1に示すインクジェットプリンタ1の上部から見た概略的な構造(一部省略)を示す図である。この図45に示すインクジェットプリンタ1は、図1の斜視図で示した構成以外に、本発明のインク滴不吐出(ヘッド異常)の回復処理を実行するためのワイパ300とキャップ310とを備える。
【0229】
本発明の回復手段24が実行する回復処理としては、各インクジェットヘッド100のノズルから液滴を予備的に吐出するフラッシング処理と、後述するワイパ300(図46参照)によるワイピング処理と、後述するチューブポンプ320によるポンピング処理(ポンプ吸引処理)が含まれる。すなわち、回復手段24は、チューブポンプ320及びそれを駆動するパルスモータと、ワイパ300及びワイパ300の上下動駆動機構と、キャップ310の上下動駆動機構(図示せず)とを備え、フラッシング処理においてはヘッドドライバ33及びヘッドユニット35などが、また、ワイピング処理においてはキャリッジモータ41などが回復手段24の一部として機能する。フラッシング処理については上述しているので、以降、ワイピング処理及びポンピング処理について説明する。
【0230】
ここで、ワイピング処理とは、インクジェットヘッド100のノズルプレート150(ノズル面)に付着した紙粉などの異物をワイパ300により拭き取る処理のことをいう。また、ポンピング処理(ポンプ吸引処理)とは、後述するチューブポンプ320を駆動して、インクジェットヘッド100のノズル110から、キャビティ141内のインクを吸引して排出する処理をいう。このように、ワイピング処理は、上述のようなインクジェットヘッド100の液滴の吐出異常の原因の1つである紙粉付着の状態における回復処理として適切な処理である。また、ポンプ吸引処理は、前述のフラッシング処理では取り除けないキャビティ141内の気泡を除去し、あるいは、ノズル110付近のインクが乾燥により又はキャビティ141内のインクが経年劣化により増粘した場合に、増粘したインクを除去する回復処理として適切な処理である。なお、それほど増粘が進んでおらず粘度がそれほど大きくない場合には、上述のフラッシング処理による回復処理も行われ得る。この場合、排出するインク量が少ないので、スループットやランニングコストを低下させずに適切な回復処理を行うことができる。
【0231】
複数のインクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)100を備えるヘッドユニット35は、キャリッジ32に搭載され、2本のキャリッジガイド軸422にガイドされてキャリッジモータ41により、図中その上端に備えられた連結部34を介してタイミングベルト421に連結して移動する。キャリッジ32に搭載されたヘッドユニット35は、キャリッジモータ41の駆動により移動するタイミングベルト421を介して(タイミングベルト421に連動して)主走査方向に移動可能である。なお、キャリッジモータ41は、タイミングベルト421を連続的に回転させるためのプーリの役割を果たし、他端側にも同様にプーリ44が備えられている。
【0232】
また、キャップ310は、インクジェットヘッド100のノズルプレート150(図5参照)のキャッピングを行うためのものである。キャップ310には、その底部側面に孔が形成され、後述するように、チューブポンプ320の構成要素である可撓性のチューブ321が接続されている。なお、チューブポンプ320については、図48において後述する。
【0233】
記録(印字)動作時には、所定のインクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)100の静電アクチュエータ120を駆動しながら、記録用紙Pは副走査方向、すなわち、図45中下方に移動し、印字手段3は、主走査方向、すわなち、図45中左右に移動することにより、インクジェットプリンタ(液滴吐出装置)1は、ホストコンピュータ8から入力された印刷データ(印字データ)に基づいて所定の画像などを記録用紙Pに印刷(記録)する。
【0234】
図46は、図45に示すワイパ300とヘッドユニット35との位置関係を示す図である。この図46において、ヘッドユニット35とワイパ300は、図45に示すインクジェットプリンタ1の図中下側から上側を見た場合の側面図の一部として示される。ワイパ300は、図46(a)に示すように、ヘッドユニット35のノズル面、すなわち、インクジェットヘッド100のノズルプレート150と当接可能なように、上下移動可能に配置される。
【0235】
ここで、ワイパ300を利用する回復処理であるワイピング処理について説明する。ワイピング処理を行う際、図46(a)に示すように、ノズル面(ノズルプレート150)よりもワイパ300の先端が上側に位置するように図示しない駆動装置によってワイパ300は上方に移動される。この場合において、キャリッジモータ41を駆動して図中左方向(矢印の方向)にヘッドユニット35を移動させると、ワイピング部材301がノズルプレート150(ノズル面)に当接することになる。
【0236】
なお、ワイピング部材301は可撓性のゴム部材等から構成されるので、図46(b)に示すように、ワイピング部材301のノズルプレート150と当接する先端部分は撓み、その先端部によってノズルプレート150(ノズル面)の表面をクリーニング(拭き掃除)する。これにより、ノズルプレート150(ノズル面)に付着した紙粉などの異物(例えば、紙粉、空気中に浮遊するごみ、ゴムの切れ端など)を除去することができる。また、このような異物の付着状態に応じて(異物が多く付着している場合には)、ヘッドユニット35にワイパ300の上方を往復移動させることによって、ワイピング処理を複数回実施することもできる。
【0237】
図47は、ポンプ吸引処理時における、インクジェットヘッド100と、キャップ310及びポンプ320との関係を示す図である。チューブ321は、ポンピング処理(ポンプ吸引処理)におけるインク排出路を形成するものであり、その一端は、上述のように、キャップ310の底部に接続され、他端は、チューブポンプ320を介して排インクカートリッジ340に接続されている。
【0238】
キャップ310の内部底面には、インク吸収体330が配置されている。このインク吸収体330は、ポンプ吸引処理やフラッシング処理においてインクジェットヘッド100のノズル110から吐出されるインクを吸収して、一時貯蔵する。なお、インク吸収体330によって、キャップ310内へのフラッシング動作時に、吐出された液滴が跳ね返ってノズルプレート150を汚すことを防止することができる。
【0239】
図48は、図47に示すチューブポンプ320の構成を示す概略図である。この図48(B)に示すように、チューブポンプ320は、回転式ポンプであり、回転体322と、その回転体322の円周部に配置された4つのローラ323と、ガイド部材350とを備えている。なお、ローラ323は、回転体322により支持されており、ガイド部材350のガイド351に沿って円弧状に載置された可撓性のチューブ321を加圧するものである。
【0240】
このチューブポンプ320は、軸322aを中心にして回転体322を図48に示す矢印X方向に回転させることにより、チューブ321に当接している1つ又は2つのローラ323が、Y方向に回転しながら、ガイド部材350の円弧状のガイド351に載置されたチューブ321を順次加圧する。これにより、チューブ321が変形し、このチューブ321内に発生した負圧により、各インクジェットヘッド100のキャビティ141内のインク(液状材料)がキャップ310を介して吸引され、気泡が混入し、あるいは乾燥により増粘した不要なインクがノズル110を介して、インク吸収体330に排出され、このインク吸収体330に吸収された排インクがチューブポンプ320を介して排インクカートリッジ340(図47参照)に排出される。
【0241】
なお、このチューブポンプ320は、図示しないパルスモータなどのモータにより駆動される。パルスモータは、制御部6により制御される。チューブポンプ320の回転制御に対する駆動情報、例えば、回転速度、回転数が記述されたルックアップテーブル、シーケンス制御が記述された制御プログラムなどは、制御部6のPROM64などに格納されており、これらの駆動情報に基づいて、制御部6のCPU61によってチューブポンプ320の制御が行われている。
【0242】
次に、本発明の回復手段の動作(吐出異常回復処理)を説明する。図49は、本発明のインクジェットプリンタ1(液滴吐出装置)における吐出異常回復処理を示すフローチャートである。上述の吐出異常検出・判定処理(図26及び図27のフローチャート参照)において吐出異常のインクジェットヘッド100が検出され、その原因が判定されると、印刷動作(印字動作)などを行っていない所定のタイミングで、ヘッドユニット35が所定の待機領域(例えば、図45においてヘッドユニット35のノズルプレート150をキャップ310で覆う位置、あるいは、ワイパ300によるワイピング処理を実施可能な位置)まで移動されて、本発明の吐出異常回復処理が実行される。
【0243】
まず、制御部6は、報知手段(操作パネル7あるいはホストコンピュータ8など)に吐出異常が発生しているインクジェットヘッド100が検出されたことを表示させ(ステップS1201)、図27に示すフローチャートのステップS207において保存された判定結果を記憶手段62から読み出して、その吐出異常(ヘッド異常を含む)の原因を入手する(ステップS1202)。
【0244】
ステップS1203において、制御部6は、回復手段24による回復処理が終了し、吐出異常の原因が解消されたか否かを判断する。回復処理が終了したと判断された場合には、報知手段に表示させていた吐出異常の発生の表示を取り消して(ステップS1204)、この吐出異常回復処理を終了する。一方、回復処理が終了していないと判断された場合には、ステップS1205において、吐出異常の原因が紙粉付着であるか否かが判断される。紙粉付着であると判断された場合には、回復手段24は、ワイピング手段によるワイピング処理を実行し(ステップS1206)、ステップS1202に移行して同様の処理を繰り返す。
【0245】
吐出異常の原因が紙粉付着でないと判断された場合には、続いて、ステップS1207において、その原因が気泡混入又は乾燥増粘(大)であるか否かが判断される。気泡混入又は乾燥増粘(大)であると判断された場合には、回復手段24は、チューブポンプ320によるポンプ吸引処理を実行し(ステップS1208)、ステップS1202に移行して同様の処理を繰り返す。吐出異常の原因が気泡混入又は乾燥増粘(大)でないと判断された場合には、乾燥増粘(小)であるので、回復手段24は、フラッシング処理を実行し(ステップS1209)、ステップS1202に移行して同様の処理を繰り返す。なお、ステップS1203の判断ステップにおいてより実効性を増すためには、ステップS1202に移行する前に図27に示す吐出異常検出・判定処理を再度実行した方がよい。
【0246】
次に、上述の吐出異常判定処理(図32〜図34参照)において判定結果とともに保存されたカウント値(減算結果Nd)と経過時間(T)とを考慮した場合における吐出異常回復処理を説明する。図50は、カウント値と経過時間を考慮した場合における、本発明のインクジェットプリンタ1(液滴吐出装置)における吐出異常回復処理を示すフローチャートである。
【0247】
まず、制御部6は、報知手段(操作パネル7あるいはホストコンピュータ8など)に吐出異常が発生しているインクジェットヘッド100が検出されたことを表示させ(ステップS1301)、図27に示すフローチャートのステップS207において保存された判定結果を記憶手段62から読み出して、その吐出異常(ヘッド異常を含む)の原因を入手する(ステップS1302)。
【0248】
ステップS1303において、制御部6は、回復手段24による回復処理が終了し、吐出異常の原因が解消されたか否かを判断する。回復処理が終了したと判断された場合には、報知手段に表示させていた吐出異常の発生の表示を取り消して(ステップS1304)、この吐出異常回復処理を終了する。一方、回復処理が終了していないと判断された場合には、ステップS1305において、吐出異常の原因が紙粉付着であるか否かが判断される。紙粉付着である場合には、制御部6は、紙粉付着の大小に基づいてワイピング手段が実行するワイピング処理の回数を設定し(ステップS1306)、回復手段24は、制御部6に設定されたワイピング回数だけワイピング手段によるワイピング処理を実行し(ステップS1307)、ステップS1302に移行して同様の処理を繰り返す。
【0249】
吐出異常の原因が紙粉付着でないと判断された場合には、続いて、ステップS1308において、その原因が気泡混入であるか否かが判断される。気泡混入であると判断された場合には、制御部6は、記憶手段62に保存された減算結果Ndに基づいてチューブポンプ320の吸引時間Tb1を設定する(ステップS1309)。そして、続いて、ステップS1310において、乾燥増粘(大)であるか否かが判断される。乾燥増粘(大)であると判断された場合には、制御部6は、待機時間(経過時間)Tに基づいてチューブポンプ320の吸引時間Tb2を設定し(ステップS1311)、Tb1とTb2のいずれか長い吸引時間を選択して(ステップS1312)、回復手段24は、選択された吸引時間だけチューブポンプ320によるポンプ吸引処理を実行し(ステップS1313)、ステップS1302に移行して同様の処理を繰り返す。
【0250】
一方、ステップS1310において乾燥増粘(大)ではないと判断された場合には、回復手段24は、吸引時間Tb1だけチューブポンプ320によるポンプ吸引処理を実行し(ステップS1313)、ステップS1302に移行して同様の処理を繰り返す。
ステップS1308において気泡混入でないと判断された場合には、続いて、ステップS1314において、吐出異常の原因が乾燥増粘(大)であるか否かが判断される。乾燥増粘(大)であると判断された場合には、待機時間Tに基づいてチューブポンプ320の吸引時間Tb2を設定し(ステップS1311)、Tb1(この場合には、Tb1=0)とTb2のいずれか長い吸引時間を選択して(ステップS1312)、回復手段24は、選択された吸引時間だけチューブポンプ320によるポンプ吸引処理を実行し(ステップS1313)、ステップS1302に移行して同様の処理を繰り返す。
【0251】
ステップS1314において乾燥増粘(大)でないと判断された場合には、吐出異常の原因が乾燥増粘(小)であり、制御部6は、減算結果Ndに基づいてフラッシング処理による吐出回数を設定して(ステップS1315)、回復手段24は、その吐出回数だけフラッシング処理を実行し(ステップS1316)、ステップS1302に移行して同様の処理を繰り返す。なお、図49に示すフローチャートの場合と同様に、ステップS1303の判断ステップにおいてより実効性を増すためには、ステップS1302に移行する前に図27に示す吐出異常検出・判定処理を再度実行した方がよい。
【0252】
以上のように、本発明の液滴吐出装置(インクジェットプリンタ1)は、振動板121と、振動板121を変位させる静電アクチュエータ120と、内部に液体(インク)が充填され、振動板121の変位により、該内部の圧力が増減されるキャビティ141と、キャビティ141に連通し、キャビティ141内の圧力の増減により液体(インク)を液滴として吐出するノズル110とを有する複数の液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド100)と、静電アクチュエータ120を駆動する駆動回路18と、駆動回路18によって静電アクチュエータ120が駆動された後、静電アクチュエータ120により変位された振動板121の残留振動を検出する残留振動検出手段16と、基準パルスを発生させるパルス生成手段と、残留振動検出手段16によって検出された振動板121の残留振動に基づいて、パルス生成手段によって発生された基準パルスの数を演算する演算処理手段17(減算カウンタ45による減算処理)と、駆動回路18によって静電アクチュエータ120が駆動されてからの経過時間を計測する計時手段25と、演算処理手段17の演算結果Ndと、計時手段25により計測された経過時間Tとに基づいて、液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド100)のヘッド異常を判定するヘッド異常判定手段(判定手段20)とを備えることとした。
【0253】
したがって、本発明の液滴吐出装置及びヘッド異常検出・判定方法によって、従来のドット抜け検出方法(例えば、光学式検出方法など)を備える液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置に比べ、吐出異常を検出するために他の部品(例えば、光学式のドット抜け検出装置など)を必要としないので、液滴吐出ヘッドのサイズを大きくすることなく液滴の吐出異常を検出することができるとともに、吐出異常(ドット抜け)検出を行うことができる液滴吐出装置の製造コストを低く抑えることができる。また、本発明の液滴吐出装置では、液滴吐出動作後の振動板の残留振動を用いて液滴の吐出異常を検出しているので、印字動作の途中でも液滴の吐出異常を検出することができる。したがって、印字動作中に本発明のヘッド異常検出・判定方法を実行しても、液滴吐出装置のスループットを低下又は悪化させることはない。
【0254】
また、本発明の液滴吐出装置によって、光学式検出装置など従来のドット抜け検出を行うことができる装置では判定不可能である液滴の吐出異常の原因を判定することができ、それによって、必要に応じ、その原因に対し適切な回復処理を選択し、実行することができる。そのため、無駄な排インクを低減することができる。
【0255】
さらに、本発明の液滴吐出装置では、アクチュエータの駆動又は液滴吐出装置への電源投入からの経過時間と、吐出駆動動作後の振動板の残留振動の周期(減算カウンタのカウント値)とに基づいて、吐出異常の原因を検出、特定しているので、吐出異常の原因の特定(判定)をより精度良く行うことができる。
なお、比較基準値メモリ47に格納されている比較基準値(カウント閾値)の例としては、例えば、第1のカウント閾値は、周囲温度20℃における正常吐出動作時の振動板の残留振動の周期の+3%〜+7%(好ましくは、およそ+5%)に対応するカウント値であり、第2のカウント閾値は、周囲温度20℃における正常吐出動作時の振動板の残留振動の周期の−3%〜−7%(好ましくは、およそ−5%)に対応するカウント値である。また、第3のカウント閾値は、周囲温度20℃における正常吐出動作時の振動板の残留振動の周期の−8%〜−12%以上(好ましくは、およそ−10%以上)に対応するカウント値である。
【0256】
また、ポンプ吸引時間の一例としては、タイムアップする時間(待機時間T)が長い場合の吸引時間(例えば、1〜3秒)は、タイムアップする時間(待機時間T)が短い場合の吸引時間(例えば、0.3〜0.5秒)の数倍になるのが好ましい。フラッシングの吐出回数の一例としては、減算結果Ndに応じて、50〜500ショットで変更可能であるのが好ましい。また、ワイピング回数の一例としては、減算結果Ndが第2のカウント閾値と第3のカウント閾値との間の場合1回以上であり、第3のカウント閾値よりも小さい場合には2回以上であるのが好ましい。
【0257】
<第2実施形態>
次に、本発明におけるインクジェットヘッドの他の構成例について説明する。図51〜図54は、それぞれ、インクジェットヘッド100の他の構成例の概略を示す断面図である。以下、これらの図に基づいて説明するが、前述した実施形態と相違する点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0258】
図51に示すインクジェットヘッド100Aは、圧電素子200の駆動により振動板212が振動し、キャビティ208内のインク(液体)がノズル203から吐出するものである。ノズル(孔)203が形成されたステンレス鋼製のノズルプレート202には、ステンレス鋼製の金属プレート204が接着フィルム205を介して接合されており、さらにその上に同様のステンレス鋼製の金属プレート204が接着フィルム205を介して接合されている。そして、その上には、連通口形成プレート206及びキャビティプレート207が順次接合されている。
【0259】
ノズルプレート202、金属プレート204、接着フィルム205、連通口形成プレート206及びキャビティプレート207は、それぞれ所定の形状(凹部が形成されるような形状)に成形され、これらを重ねることにより、キャビティ208及びリザーバ209が形成される。キャビティ208とリザーバ209とは、インク供給口210を介して連通している。また、リザーバ209は、インク取り入れ口211に連通している。
【0260】
キャビティプレート207の上面開口部には、振動板212が設置され、この振動板212には、下部電極213を介して圧電素子(ピエゾ素子)200が接合されている。また、圧電素子200の下部電極213と反対側には、上部電極214が接合されている。ヘッドドライバ215は、駆動電圧波形を生成する駆動回路を備え、上部電極214と下部電極213との間に駆動電圧波形を印加(供給)することにより、圧電素子200が振動し、それに接合された振動板212が振動する。この振動板212の振動によりキャビティ208の容積(キャビティ内の圧力)が変化し、キャビティ208内に充填されたインク(液体)がノズル203より液滴として吐出する。
液滴の吐出によりキャビティ208内で減少した液量は、リザーバ209からインクが供給されて補給される。また、リザーバ209へは、インク取り入れ口211からインクが供給される。
【0261】
図52に示すインクジェットヘッド100Bも前記と同様に、圧電素子200の駆動によりキャビティ221内のインク(液体)がノズルから吐出するものである。このインクジェットヘッド100Bは、一対の対向する基板220を有し、両基板220間に、複数の圧電素子200が所定間隔をおいて間欠的に設置されている。
【0262】
隣接する圧電素子200同士の間には、キャビティ221が形成されている。キャビティ221の図52中前方にはプレート(図示せず)、後方にはノズルプレート222が設置され、ノズルプレート222の各キャビティ221に対応する位置には、ノズル(孔)223が形成されている。
各圧電素子200の一方の面及び他方の面には、それぞれ、一対の電極224が設置されている。すなわち、1つの圧電素子200に対し、4つの電極224が接合されている。これらの電極224のうち所定の電極間に所定の駆動電圧波形を印加することにより、圧電素子200がシェアモード変形して振動し(図52において矢印で示す)、この振動によりキャビティ221の容積(キャビティ内の圧力)が変化し、キャビティ221内に充填されたインク(液体)がノズル223より液滴として吐出する。すなわち、インクジェットヘッド100Bでは、圧電素子200自体が振動板として機能する。
【0263】
図53に示すインクジェットヘッド100Cも前記と同様に、圧電素子200の駆動によりキャビティ233内のインク(液体)がノズル231から吐出するものである。このインクジェットヘッド100Cは、ノズル231が形成されたノズルプレート230と、スペーサ232と、圧電素子200とを備えている。圧電素子200は、ノズルプレート230に対しスペーサ232を介して所定距離離間して設置されており、ノズルプレート230と圧電素子200とスペーサ232とで囲まれる空間にキャビティ233が形成されている。
【0264】
圧電素子200の図53中上面には、複数の電極が接合されている。すなわち、圧電素子200のほぼ中央部には、第1電極234が接合され、その両側部には、それぞれ第2電極235が接合されている。第1電極234と第2電極235との間に所定の駆動電圧波形を印加することにより、圧電素子200がシェアモード変形して振動し(図53において矢印で示す)、この振動によりキャビティ233の容積(キャビティ内の圧力)が変化し、キャビティ233内に充填されたインク(液体)がノズル231より液滴として吐出する。すなわち、インクジェットヘッド100Cでは、圧電素子200自体が振動板として機能する。
【0265】
図54に示すインクジェットヘッド100Dも前記と同様に、圧電素子200の駆動によりキャビティ245内のインク(液体)がノズル241から吐出するものである。このインクジェットヘッド100Dは、ノズル241が形成されたノズルプレート240と、キャビティプレート242と、振動板243と、複数の圧電素子200を積層してなる積層圧電素子201とを備えている。
【0266】
キャビティプレート242は、所定の形状(凹部が形成されるような形状)に成形され、これにより、キャビティ245及びリザーバ246が形成される。キャビティ245とリザーバ246とは、インク供給口247を介して連通している。また、リザーバ246は、インク供給チューブ311を介してインクカートリッジ31と連通している。
【0267】
積層圧電素子201の図54中下端は、中間層244を介して振動板243と接合されている。積層圧電素子201には、複数の外部電極248及び内部電極249が接合されている。すなわち、積層圧電素子201の外表面には、外部電極248が接合され、積層圧電素子201を構成する各圧電素子200同士の間(又は各圧電素子の内部)には、内部電極249が設置されている。この場合、外部電極248と内部電極249の一部が、交互に、圧電素子200の厚さ方向に重なるように配置される。
【0268】
そして、外部電極248と内部電極249との間にヘッドドライバ33より駆動電圧波形を印加することにより、積層圧電素子201が図54中の矢印で示すように変形して(図54中上下方向に伸縮して)振動し、この振動により振動板243が振動する。この振動板243の振動によりキャビティ245の容積(キャビティ内の圧力)が変化し、キャビティ245内に充填されたインク(液体)がノズル241より液滴として吐出する。
液滴の吐出によりキャビティ245内で減少した液量は、リザーバ246からインクが供給されて補給される。また、リザーバ246へは、インクカートリッジ31からインク供給チューブ311を介してインクが供給される。
【0269】
以上のような圧電素子200を備えるインクジェットヘッド100A〜100Dにおいても、前述した静電容量方式のインクジェットヘッド100と同様にして、振動板又は振動板として機能する圧電素子の残留振動に基づき、液滴吐出の異常を検出しあるいはその異常の原因を特定することができる。なお、インクジェットヘッド100B及び100Cにおいては、キャビティに面した位置にセンサとしての振動板(残留振動検出用の振動板)を設け、この振動板の残留振動を検出するような構成とすることもできる。
【0270】
図55は、圧電アクチュエータ(圧電素子200)を用いる場合の駆動回路18と検出回路16(ここでは、残留振動検出手段)との切替手段23の概略を示すブロック図である。このような構成にすることにより、圧電アクチュエータの圧電素子200の吐出駆動動作後の起電圧を、バッファ54を介して波形整形回路15に入力し、波形整形回路15によって矩形波を整形することができる。したがって、圧電素子200の起電圧を利用することによって、上記第1実施形態と同様の検出処理を実行することができる。
【0271】
なお、圧電アクチュエータ(圧電素子200)の起電圧の残留振動を検出して、上述のような吐出異常検出・判定処理を実行する場合には、図28に示すフローチャート(残留振動検出処理)の代わりに図56に示すフローチャートのような処理が実行される。図56は、本発明の他の実施形態における残留振動検出処理を示すフローチャートである。
【0272】
図27のステップS203において、切替手段23により、圧電アクチュエータ(圧電素子200)を駆動回路18から検出回路(吐出異常検出手段10)に切り替えて接続すると、吐出駆動後の圧電素子200から起電圧が発生する(ステップS1401)。波形整形回路15のコンデンサC3は、その起電圧(電圧信号)のDC成分(直流成分)を除去し(ステップS1402)、増幅器151は、そのDC成分を除去された起電圧のAC成分、すなわち、起電圧の残留振動波形の出力を増幅し(ステップS1403)、コンパレータ152は、その残留振動波形から残留振動のパルス波形に波形整形する(ステップS1404)。
図27のステップS205以降の処理は、このような圧電素子200(圧電アクチュエータ)の起電圧の残留振動を利用する場合も同様に実行される。また、図26に示す印刷動作中の吐出異常検出・判定処理も同様に実行され得る。
【0273】
以上のように、本発明の液滴吐出装置及びヘッド異常検出・判定方法は、静電アクチュエータ又は圧電アクチュエータの駆動により、液滴吐出ヘッドから液体を液滴として吐出する動作を行った際に、このアクチュエータによって変位させられた振動板の残留振動又は圧電素子の起電圧を検出し、その振動板の残留振動又は圧電素子の起電圧と、前回の吐出駆動又は液滴吐出装置の電源投入からの経過時間とに基づいて、液滴が正常に吐出されたか、あるいは吐出されなかったか(吐出異常)を検出することとした。
【0274】
また、本発明は、上記振動板の残留振動(起電圧の電圧パターンを含む)の振動パターン(例えば、残留振動波形の周期、減算カウンタの減算結果、経過時間など)に基づいて、このようにして得られた液滴の吐出異常の原因を判定することとした。
したがって、本発明によって、従来のドット抜け検出方法を備える液滴吐出装置に比べ、他の部品(例えば、光学式のドット抜け検出装置など)を必要としないので、液滴吐出ヘッドのサイズを大きくすることなく液滴の吐出異常を検出することができるとともに、製造コストを低く抑えることができる。また、本発明の液滴吐出装置では、液滴吐出動作後の振動板の残留振動又は起電圧の残留振動を用いて液滴の吐出異常を検出しているので、印字動作の途中でも液滴の吐出異常を検出することができる。
また、本発明によって、光学式検出装置など従来のドット抜け検出を行うことができる装置では判定不可能である液滴の吐出異常の原因を判定することができ、それによって、必要に応じ、その原因に対し適切な回復処理を選択し、実行することができる。したがって、排インクを低減することができる。
【0275】
以上、本発明の液滴吐出装置及びヘッド異常検出・判定方法を図示の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、液滴吐出ヘッドあるいは液滴吐出装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、本発明の液滴吐出ヘッドあるいは液滴吐出装置に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
【0276】
なお、本発明の液滴吐出装置の液滴吐出ヘッド(上述の実施形態では、インクジェットヘッド100)から吐出する吐出対象液(液滴)としては、特に限定されず、例えば以下のような各種の材料を含む液体(サスペンション、エマルション等の分散液を含む)とすることができる。すなわち、カラーフィルタのフィルタ材料を含むインク、有機EL(Electro Luminescence)装置におけるEL発光層を形成するための発光材料、電子放出装置における電極上に蛍光体を形成するための蛍光材料、PDP(Plasma Display Panel)装置における蛍光体を形成するための蛍光材料、電気泳動表示装置における泳動体を形成する泳動体材料、基板Wの表面にバンクを形成するためのバンク材料、各種コーティング材料、電極を形成するための液状電極材料、2枚の基板間に微小なセルギャップを構成するためのスペーサを構成する粒子材料、金属配線を形成するための液状金属材料、マイクロレンズを形成するためのレンズ材料、レジスト材料、光拡散体を形成するための光拡散材料などである。
また、本発明では、液滴を吐出する対象となる液滴受容物は、記録用紙のような紙に限らず、フィルム、織布、不織布等の他のメディアや、ガラス基板、シリコン基板等の各種基板のようなワークであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液滴吐出装置の一種であるインクジェットプリンタの構成を示す概略図である。
【図2】本発明のインクジェットプリンタの主要部を概略的に示すブロック図である。
【図3】図1に示すインクジェットヘッドの概略的な断面図である。
【図4】図1に示す1色のインクに対応するヘッドユニットの構成を示す分解斜視図である。
【図5】4色インクを用いるヘッドユニットのノズルプレートのノズル配置パターンの一例である。
【図6】図3のIII−III断面の駆動信号入力時の各状態を示す状態図である。
【図7】図3の振動板の残留振動を想定した単振動の計算モデルを示す回路図である。
【図8】図3の振動板の残留振動の実験値と計算値との関係を示すグラフである。
【図9】図3のキャビティ内に気泡が混入した場合のノズル付近の概念図である。
【図10】キャビティへの気泡混入によりインク滴が吐出しなくなった状態における残留振動の計算値及び実験値を示すグラフである。
【図11】図3のノズル付近のインクが乾燥により固着した場合のノズル付近の概念図である。
【図12】ノズル付近のインクの乾燥増粘状態における残留振動の計算値及び実験値を示すグラフである。
【図13】図3のノズル出口付近に紙粉が付着した場合のノズル付近の概念図である。
【図14】ノズル出口に紙粉が付着した状態における残留振動の計算値及び実験値を示すグラフである。
【図15】ノズル付近に紙粉が付着した前後におけるノズルの状態を示す写真である。
【図16】図3に示す吐出異常検出手段の概略的なブロック図である。
【図17】図3の静電アクチュエータを平行平板コンデンサとした場合の概念図である。
【図18】図3の静電アクチュエータから構成されるコンデンサを含む発振回路の回路図である。
【図19】図16に示す吐出異常検出手段のF/V変換回路の回路図である。
【図20】本発明の発振回路から出力する発振周波数に基づく各部の出力信号などのタイミングを示すタイミングチャートである。
【図21】固定時間tr及びt1の設定方法を説明するための図である。
【図22】図16の波形整形回路の回路構成を示す回路図である。
【図23】駆動回路と検出回路との切替手段の概略を示すブロック図である。
【図24】本発明の演算処理手段の一例を示すブロック図である。
【図25】図24に示す減算カウンタの減算処理のタイミングチャートである。
【図26】本発明のヘッド異常検出・判定処理のフローチャートである。
【図27】本発明の一実施形態における吐出異常検出処理を示すフローチャートである。
【図28】本発明の残留振動検出処理を示すフローチャートである。
【図29】本発明の演算処理の一例を示すフローチャートである。
【図30】本発明の演算処理の別の一例を示すフローチャートである。
【図31】インク粘度と周囲温度との関係を示すグラフである。
【図32】本発明の吐出異常(ヘッド異常)判定処理を示すフローチャート(一部)である。
【図33】本発明の吐出異常(ヘッド異常)判定処理を示すフローチャート(一部)である。
【図34】本発明の吐出異常(ヘッド異常)判定処理を示すフローチャート(一部)である。
【図35】経過時間(待機時間)とインク粘度との関係及び残留振動の振動周波数とインク粘度との関係を示すグラフである。
【図36】複数のインクジェットヘッドの吐出異常検出のタイミングの一例(吐出異常検出手段が1つの場合)である。
【図37】複数のインクジェットヘッドの吐出異常検出のタイミングの一例(吐出異常検出手段の数がインクジェットヘッドの数と同じ場合)である。
【図38】複数のインクジェットヘッドの吐出異常検出のタイミングの一例(吐出異常検出手段の数がインクジェットヘッドの数と同じであり、印字データがあるときに吐出異常検出を行う場合)である。
【図39】複数のインクジェットヘッドの吐出異常検出のタイミングの一例(吐出異常検出手段の数がインクジェットヘッドの数と同じであり、各インクジェットヘッドを巡回して吐出異常検出を行う場合)である。
【図40】図36に示すインクジェットプリンタのフラッシング動作時における吐出異常検出のタイミングを示すフローチャートである。
【図41】図37及び図38に示すインクジェットプリンタのフラッシング動作時における吐出異常検出のタイミングを示すフローチャートである。
【図42】図39に示すインクジェットプリンタのフラッシング動作時における吐出異常検出のタイミングを示すフローチャートである。
【図43】図37及び図38に示すインクジェットプリンタの印字動作時における吐出異常検出のタイミングを示すフローチャートである。
【図44】図39に示すインクジェットプリンタの印字動作時における吐出異常検出のタイミングを示すフローチャートである。
【図45】図1に示すインクジェットプリンタの上部から見た概略的な構造(一部省略)を示す図である。
【図46】図45に示すワイパとヘッドユニットとの位置関係を示す図である。
【図47】ポンプ吸引処理時における、インクジェットヘッドと、キャップ及びポンプとの関係を示す図である。
【図48】図47に示すチューブポンプの構成を示す概略図である。
【図49】本発明のインクジェットプリンタ(液滴吐出装置)における吐出異常回復処理を示すフローチャートである。
【図50】本発明のインクジェットプリンタ(液滴吐出装置)における吐出異常回復処理(カウント値と経過時間を考慮)を示すフローチャートである。
【図51】本発明におけるインクジェットヘッドの他の構成例の概略を示す断面図である。
【図52】本発明におけるインクジェットヘッドの他の構成例の概略を示す断面図である。
【図53】本発明におけるインクジェットヘッドの他の構成例の概略を示す断面図である。
【図54】本発明におけるインクジェットヘッドの他の構成例の概略を示す断面図である。
【図55】圧電アクチュエータを用いる場合の駆動回路と検出回路との切替手段の概略を示すブロック図である。
【図56】本発明の他の実施形態における残留振動検出処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1……インクジェットプリンタ 2……装置本体 21……トレイ 22……排紙口 3……印字手段 31……インクカートリッジ 311……インク供給チューブ 32……キャリッジ 33……ヘッドドライバ 35……ヘッドユニット 4……印刷装置 41……キャリッジモータ 42……往復動機構 421……タイミングベルト 422……キャリッジガイド軸 43……キャリッジモータドライバ 5……給紙装置 51……給紙モータ 52……給紙ローラ 52a……従動ローラ 52b……駆動ローラ 53……給紙モータドライバ 6……制御部 61……CPU 62……EEPROM(記憶手段) 63……RAM 64……PROM 7……操作パネル 8……ホストコンピュータ 9……IF 10……吐出異常検出手段 11……発振回路 111……シュミットトリガインバータ 112……抵抗素子 12……F/V変換回路 13……定電流源 14……バッファ 15……波形整形回路 151……増幅器(オペアンプ) 152……比較器(コンパレータ) 16……残留振動検出手段 17……演算処理手段 18……駆動回路 181……駆動波形生成手段 182……吐出選択手段 182a……シフトレジスタ 182b……ラッチ回路 182c……ドライバ 19……切替制御手段 19a……切替選択手段(セレクタ) 20……判定手段(吐出異常判定手段) 23……切替手段 24……回復手段 25……計時手段 34……連結部 36……タイミング生成手段 37……温度センサ 45……減算カウンタ 46……正常カウント値メモリ 47……比較基準値メモリ 48……保持手段 54……バッファ 100、100A〜100D……インクジェットヘッド 110……ノズル 120……静電アクチュエータ 121……振動板(底壁) 122……セグメント電極 123……絶縁層 124……共通電極 124a……入力端子 130……ダンパ室 131……インク取入れ口 132……ダンパ 140……シリコン基板 141……キャビティ 142……インク供給口 143……リザーバ 144……側壁 150……ノズルプレート 160……ガラス基板 161……凹部162……対向壁 170……基体 200……圧電素子 201……積層圧電素子 202、222、230、240……ノズルプレート 203、223、231、241……ノズル 204……金属プレート 205……接着フィルム 206……連通口形成プレート 207、242……キャビティプレート 208、221、233、245……キャビティ 209、246……リザーバ210、247……インク供給口 211……インク取り入れ口 212、243……振動板 213……下部電極 214……上部電極 215……ヘッドドライバ 220……基板 224……電極 232……スペーサ 234……第1電極 235……第2電極 248……外部電極 249……内部電極 300……ワイパ 301……ワイピング部材 310……キャップ 320……チューブポンプ(回転式ポンプ) 321……(可撓性)チューブ 322……回転体 322a……軸 323……ローラ 330……インク吸収体 340……排インクカートリッジ 350……ガイド部材 351……ガイド P……記録用紙 S101〜S111、S201〜S209、S301〜S305、S401〜S408、S501〜S509、S601〜S634、S701〜S707、S801〜S805、S901〜S908、S1001〜S1006、S1101〜S1110、S1201〜S1209、S1301〜S1316、S1401〜S1404……ステップ

Claims (52)

  1. 振動板と、前記振動板を変位させるアクチュエータと、内部に液体が充填され、前記振動板の変位により、該内部の圧力が増減されるキャビティと、前記キャビティに連通し、前記キャビティ内の圧力の増減により前記液体を液滴として吐出するノズルとを有する複数の液滴吐出ヘッドと、
    前記アクチュエータを駆動する駆動回路と、
    前記駆動回路によって前記アクチュエータが駆動された後、前記アクチュエータにより変位された前記振動板の残留振動を検出する残留振動検出手段と、
    基準パルスを発生させるパルス生成手段と、
    前記残留振動検出手段によって検出された前記振動板の残留振動に基づいて、前記パルス生成手段によって発生された基準パルスの数を演算する演算処理手段と、
    前記駆動回路によって前記アクチュエータが駆動されてからの経過時間を計測する計時手段と、
    前記演算処理手段の演算結果と、前記計時手段により計測された経過時間とに基づいて、前記液滴吐出ヘッドのヘッド異常を判定するヘッド異常判定手段と、
    を備えることを特徴とする液滴吐出装置。
  2. 液体が充填されるキャビティと、前記キャビティに連通するノズルと、前記キャビティ内に充填された液体の圧力を変動し、この圧力変動により液体を液滴として前記ノズルから吐出させるアクチュエータとを有する複数の液滴吐出ヘッドと、
    前記アクチュエータを駆動する駆動回路と、
    前記駆動回路によって前記アクチュエータが駆動された後、前記アクチュエータから発生する起電圧の残留振動を検出する残留振動検出手段と、
    基準パルスを発生させるパルス生成手段と、
    前記残留振動検出手段によって検出された前記残留振動に基づいて、前記パルス生成手段によって発生された基準パルスの数を演算する演算処理手段と、
    前記駆動回路によって前記アクチュエータが駆動されてからの経過時間を計測する計時手段と、
    前記演算処理手段の演算結果と、前記計時手段により計測された経過時間とに基づいて、前記液滴吐出ヘッドのヘッド異常を判定するヘッド異常判定手段と、
    を備えることを特徴とする液滴吐出装置。
  3. 前記演算処理手段は、前記残留振動に基づいて所定のタイミングを生成するタイミング生成手段と、前記パルス生成手段によって所定の期間内に発生された基準パルスの数をカウントするカウンタと、前記タイミング生成手段によって生成されたタイミングで前記カウンタのカウント値を保持する保持手段とを含む請求項1又は2に記載の液滴吐出装置。
  4. 前記カウンタは、前記所定の期間内に発生された基準パルスの数を所定の基準値から減算カウントする請求項3に記載の液滴吐出装置。
  5. 前記所定の基準値を格納するメモリを更に備える請求項4に記載の液滴吐出装置。
  6. 前記複数の液滴吐出ヘッドの周囲温度を計測する温度センサを更に備える請求項4又は5に記載の液滴吐出装置。
  7. 前記所定の基準値は、前記温度センサによって計測された周囲温度に基づいて補正される請求項6に記載の液滴吐出装置。
  8. 前記所定の期間は、前記アクチュエータの駆動後、前記残留振動が発生するまでの期間である請求項3乃至7のいずれかに記載の液滴吐出装置。
  9. 前記所定の期間は、前記残留振動の最初の半周期の期間である請求項3乃至7のいずれかに記載の液滴吐出装置。
  10. 前記所定の期間は、前記残留振動の最初の1周期の期間である請求項3乃至7のいずれかに記載の液滴吐出装置。
  11. 前記ヘッド異常判定手段は、前記演算処理手段の演算結果と前記経過時間とに基づいて、前記液滴吐出ヘッドのヘッド異常の有無とともに、その原因を判定する請求項1乃至10のいずれかに記載の液滴吐出装置。
  12. 前記ヘッド異常判定手段は、前記保持手段に保持されたカウント値と前記経過時間とに基づいて、前記ヘッド異常の原因を判定する請求項3乃至10のいずれかに記載の液滴吐出装置。
  13. 前記ヘッド異常判定手段は、前記保持されたカウント値が第1のカウント閾値よりも大きい場合には、前記ヘッド異常の原因を前記キャビティ内への気泡混入と判定する請求項12に記載の液滴吐出装置。
  14. 前記ヘッド異常判定手段は、前記保持されたカウント値が第1のカウント閾値よりも小さい場合には、前記経過時間に応じて前記ヘッド異常の原因を判定する請求項12に記載の液滴吐出装置。
  15. 前記ヘッド異常判定手段は、前記経過時間が第1の時間閾値より小さいとき、前記保持されたカウント値が第3のカウント閾値よりも小さい場合には、前記ヘッド異常の原因を紙粉付着大と判定する請求項14に記載の液滴吐出装置。
  16. 前記ヘッド異常判定手段は、前記経過時間が第1の時間閾値より小さいとき、前記保持されたカウント値が第2のカウント閾値と第3のカウント閾値との間にある場合には、前記ヘッド異常の原因を紙粉付着小と判定する請求項14に記載の液滴吐出装置。
  17. 前記ヘッド異常判定手段は、前記経過時間が第1の時間閾値より小さいとき、前記保持されたカウント値が前記第1のカウント閾値と第2のカウント閾値との間にある場合には、前記ヘッド異常が発生していないと判定する請求項14に記載の液滴吐出装置。
  18. 前記ヘッド異常判定手段は、前記経過時間が第1の時間閾値と第2の時間閾値との間にあるとき、前記保持されたカウント値が第3のカウント閾値よりも小さい場合には、前記ヘッド異常の原因を紙粉付着大と判定する請求項14に記載の液滴吐出装置。
  19. 前記ヘッド異常判定手段は、前記経過時間が第1の時間閾値と第2の時間閾値との間にあるとき、前記保持されたカウント値が第2のカウント閾値と第3のカウント閾値との間にある場合には、前記ヘッド異常の原因を乾燥増粘小と判定する請求項14に記載の液滴吐出装置。
  20. 前記ヘッド異常判定手段は、前記経過時間が第1の時間閾値と第2の時間閾値との間にあるとき、前記保持されたカウント値が前記第1のカウント閾値と第2のカウント閾値との間にある場合には、前記ヘッド異常が発生していないと判定する請求項14に記載の液滴吐出装置。
  21. 前記ヘッド異常判定手段は、前記経過時間が第2の時間閾値より大きいとき、前記保持されたカウント値が第3のカウント閾値よりも小さい場合には、前記ヘッド異常の原因を乾燥増粘大と判定する請求項14に記載の液滴吐出装置。
  22. 前記ヘッド異常判定手段は、前記経過時間が第2の時間閾値より大きいとき、前記保持されたカウント値が第2のカウント閾値と第3のカウント閾値との間にある場合には、前記ヘッド異常の原因を紙粉付着小と判定する請求項14に記載の液滴吐出装置。
  23. 前記ヘッド異常判定手段は、前記経過時間が第2の時間閾値より大きいとき、前記保持されたカウント値が前記第1のカウント閾値と第2のカウント閾値との間にある場合には、前記ヘッド異常が発生していないと判定する請求項14に記載の液滴吐出装置。
  24. 前記ヘッド異常判定手段によって判定されたヘッド異常の原因を解消する回復処理を実行する回復手段を更に備える請求項11乃至23のいずれかに記載の液滴吐出装置。
  25. 前記回復手段は、前記複数の液滴吐出ヘッドのノズルが配列されるノズル面をワイパによりワイピング処理するワイピング手段と、前記アクチュエータを駆動して所定のノズルから前記液滴を予備的に吐出するフラッシング処理を実行するフラッシング手段と、前記複数の液滴吐出ヘッドのノズル面を覆うキャップに接続するポンプによりポンプ吸引処理をするポンピング手段とを含む請求項24に記載の液滴吐出装置。
  26. 前記回復手段は、前記ヘッド異常の原因が乾燥増粘小と判定された場合には、前記フラッシング処理又は前記ポンピング処理を実行する請求項25に記載の液滴吐出装置。
  27. 前記回復手段は、前記ヘッド異常の原因が乾燥増粘大と判定された場合には、前記ポンピング処理を実行する請求項25に記載の液滴吐出装置。
  28. 前記回復手段は、前記ヘッド異常の原因が乾燥増粘と判定された場合には、乾燥増粘の大小に応じて前記フラッシング処理の吐出回数又は前記ポンピング処理の前記ポンプの吸引時間を変更して該ポンプ吸引処理を実行する請求項25に記載の液滴吐出装置。
  29. 前記回復手段は、前記ヘッド異常の原因が紙粉付着と判定された場合には、前記ワイピング処理を実行する請求項25に記載の液滴吐出装置。
  30. 前記回復手段は、前記ヘッド異常の原因が紙粉付着と判定された場合には、この紙粉付着の大小に応じて、前記ワイピング処理のワイピング回数を変更して該ワイピング処理を実行する請求項25に記載の液滴吐出装置。
  31. 前記回復手段は、前記ヘッド異常の原因が乾燥増粘小と判定された場合において前記フラッシング処理を実行するとき、前記経過時間に応じて、前記フラッシング処理の吐出回数を変更して該フラッシング処理を実行する請求項25に記載の液滴吐出装置。
  32. 前記回復手段は、前記ヘッド異常の原因が気泡混入と判定された場合には、前記ポンピング処理を実行する請求項25に記載の液滴吐出装置。
  33. 前記回復手段は、前記ヘッド異常の原因が気泡混入と判定された場合には、前記演算処理結果に応じて、前記ポンプの吸引時間を変更して前記ポンピング処理を実行する請求項25に記載の液滴吐出装置。
  34. 前記回復手段は、前記ヘッド異常判定手段によって判定されたヘッド異常の原因が解消するまで前記回復処理を実行する請求項24乃至33のいずれかに記載の液滴吐出装置。
  35. 前記回復手段によって回復処理を実行してもヘッド異常の原因が解消しない場合には、その旨を報知する報知手段を更に備える請求項24乃至34のいずれかに記載の液滴吐出装置。
  36. 前記複数の液滴吐出ヘッドのキャビティに供給する前記液体を貯蔵する液体貯蔵手段を更に備え、
    前記報知手段は、前記回復手段によって回復処理を実行してもヘッド異常の原因が解消しない場合には、前記液体貯蔵手段を交換するよう報知する請求項35に記載の液滴吐出装置。
  37. 前記回復手段によって回復処理を実行してもヘッド異常の原因が解消しない場合において印刷処理を実行しているときには、その印刷処理を停止するよう構成される請求項24乃至36のいずれかに記載の液滴吐出装置。
  38. 前記ヘッド異常判定手段によって判定された判定結果を、対象となる液滴吐出ヘッドと関連付けて記憶する記憶手段を更に備える請求項1乃至37のいずれかに記載の液滴吐出装置。
  39. 前記アクチュエータの駆動による前記液滴の吐出動作後、前記アクチュエータを前記駆動回路から前記残留振動検出手段に切り替える切替手段を更に備える請求項1乃至38のいずれかに記載の液滴吐出装置。
  40. 前記液滴吐出装置は、前記残留振動検出手段、前記演算処理手段、前記ヘッド異常判定手段及び前記切替手段をそれぞれ複数備え、
    前記アクチュエータの駆動動作を行った前記液滴吐出ヘッドに対応する前記切替手段が前記アクチュエータとの接続を前記駆動回路から対応する前記残留振動検出手段に切り替え、該切り替えられた前記残留振動検出手段に対応する前記ヘッド異常判定手段は、対応する前記液滴吐出ヘッドのヘッド異常を判定する請求項39に記載の液滴吐出装置。
  41. 前記複数の液滴吐出ヘッドにそれぞれ対応する複数の切替手段と、
    前記残留振動検出手段が前記複数の液滴吐出ヘッドのいずれのノズルに対して前記残留振動を検出するかを決定する検出決定手段とを更に備え、
    前記検出決定手段によって決定された前記液滴吐出ヘッドのノズルに対応する前記アクチュエータの駆動動作後、対応する前記切替手段は、前記アクチュエータとの接続を前記駆動回路から前記残留振動検出手段に切り替える請求項1乃至38のいずれかに記載の液滴吐出装置。
  42. 前記残留振動検出手段は、発振回路を備え、前記振動板の残留振動によって変化する前記アクチュエータの静電容量成分、あるいは、前記アクチュエータの起電圧成分に基づいて、該発振回路が発振する請求項1乃至41のいずれかに記載の液滴吐出装置。
  43. 前記発振回路は、前記アクチュエータの静電容量成分と、前記アクチュエータに接続される抵抗素子の抵抗成分とによるCR発振回路を構成する請求項42に記載の液滴吐出装置。
  44. 前記吐出異常検出手段は、前記発振回路の出力信号における発振周波数の変化に基づいて生成される所定の信号群により、前記振動板の残留振動の電圧波形を生成するF/V変換回路を含む請求項42又は43に記載の液滴吐出装置。
  45. 前記吐出異常検出手段は、前記F/V変換回路によって生成された前記振動板の残留振動の電圧波形を所定の波形に整形する波形整形回路を含む請求項44に記載の液滴吐出装置。
  46. 前記波形整形回路は、前記F/V変換回路によって生成された前記振動板の残留振動の電圧波形から直流成分を除去するDC成分除去手段と、このDC成分除去手段によって直流成分を除去された電圧波形と所定の電圧値とを比較する比較器とを含み、該比較器は、該電圧比較に基づいて、矩形波を生成して出力する請求項45に記載の液滴吐出装置。
  47. 前記アクチュエータは、静電式アクチュエータである請求項1乃至46のいずれかに記載の液滴吐出装置。
  48. 前記アクチュエータは、圧電素子のピエゾ効果を利用した圧電アクチュエータである請求項1乃至46のいずれかに記載の液滴吐出装置。
  49. 前記液滴吐出装置は、インクジェットプリンタを含む請求項1乃至48のいずれかに記載の液滴吐出装置。
  50. 駆動回路によってアクチュエータが駆動された後、前記アクチュエータにより変位された振動板の残留振動を検出するとともに、基準パルスを発生させ、前記振動板の残留振動に基づいて、発生した基準パルスの数を演算し、前記駆動回路によって前記アクチュエータが駆動されてからの経過時間を計測し、この演算結果と経過時間とに基づいて、液滴吐出ヘッドのヘッド異常を判定することを特徴とするヘッド異常検出・判定方法。
  51. 駆動回路によってアクチュエータが駆動された後、前記アクチュエータから発生する起電圧の残留振動を検出するとともに、基準パルスを発生させ、前記起電圧の残留振動に基づいて、発生した基準パルスの数を演算し、前記駆動回路によって前記アクチュエータが駆動されてからの経過時間を計測し、この演算結果と経過時間とに基づいて、液滴吐出ヘッドのヘッド異常を判定することを特徴とするヘッド異常検出・判定方法。
  52. 前記判定されたヘッド異常の原因に基づいて、それを解消させる回復処理を実行する請求項50又は51に記載のヘッド異常検出・判定方法。
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