JP2004281147A - 高分子固体電解質 - Google Patents

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Abstract

【課題】安全性・経時安定性に優れ、室温付近でも10−3Scm−1以上の優れたイオン導電性を発揮し、かつ成形性にも優れた高分子固体電解質を提供する。
【解決手段】高分子固体電解質が、特定構造のポリマー及びイオン性化合物から構成されており、特定構造のポリマーが、アニオン性モノマー、カチオン性モノマー、及びこれらのイオン性モノマーと相溶性が良くイオン解離基を持たない1種類以上の重合性モノマーとからなる、高分子共重合体若しくは高分子混合物。アニオン性モノマー及びカチオン性モノマーとしては、それらが混合された後、常温溶融塩若しくは常温溶融塩としての特性を示す領域を形成し得るものが好ましい。またイオン性化合物としてはアルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩を、単独若しくは2種以上を混合したものが好ましい。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高分子固体電解質に関するものである。更に詳しくは、二次電池に用いられる高分子固体電解質に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話や携帯情報機器PDA,ノートパソコンに代表される情報携帯機器、屋外における使用頻度の高いMDプレーヤー,MP3プレーヤー,デジタルカメラ等の携帯機器、あるいは携帯用医療器具やPHSタイプ福祉機器類などの普及に伴い、より軽量、小容積、安価で、また、安定して使用可能で、高出力な二次電池に対する需要が高まってきている。そして、それらの要求を満たす電源用二次電池材料として、高分子固体電解質が注目されてきている。
【0003】
従来、二次電池用電解質としては、一般に、電気化学的に比較的安定な有機溶媒に、イオン性化合物を溶解させた液体電解質が用いられてきた。しかし、この場合、電池内部に流動性のある液体を含有するため、長期間使用した場合や電池自身が何らかの理由により外部から加熱された場合、あるいは機器の故障により過充電されたり物理的に損壊した場合に、電解液が、電池内部から外部に漏出する可能性があることが指摘されていた。
【0004】
これまで検討された電解液の漏出防止策としては、電解液に高分子化合物を含有若しくは含浸させ、電解液全体をゲル状物とすることによる方法が、その一つとして挙げられる。ゲル化方法には、ポリマー同士の相互作用により物理的にゲル化させる方法と、架橋剤を用いて共有結合により直接的にポリマー同士を連結する方法とがある。ゲル状物は、柔軟であるため成型が容易であり、また比較的軽量なものが多く、これらの点が、小型機器類における二次電池には、設計上の大きなメリットとなっている。しかし、比較的多くの有機溶媒を含み、場合によっては電解質総重量の9割近くを溶媒若しくは可塑剤が占めるため、高温域における形態安定性が不十分となる場合がある。
【0005】
その一方で、有機溶媒を全く含まない全固体型電解質の開発も、これまで活発に行われてきた。各種リチウム塩とポリエチレンオキサイド(PEO)の混合物からなるものが、その一例として挙げられる(例えば、特許文献1参照。)。この場合、上記のような漏液はほぼ克服されているが、液状部分が存在しないが故に低温領域での電池特性が悪く、比較的高温でなければ所定の電導度を発現できない系が多い。しかし、比較的容積が大きくとも構わない定置型二次電池用途やトラックやバス等、大型の車両に搭載する目的ならば、諸条件を満たす場合もある(例えば、特許文献2参照。)。最近の研究では、例えば多分岐型PEO(Hyper−Branched PEO)の採用により、かなり低温に於けるイオン伝導度は改良されてきてはいる(例えば、非特許文献1参照。)が、それでも0.1mS/cmのオーダーに留まっており、これは比較的大電流を要求され、且つ比較的低温条件で使用される各種携帯機器にとっては、致命的な欠点と言える。
【0006】
一方で、ゲル型電解質及び全固体型電解質にみられる欠点を克服するため、常温で流動性を有するイオン性化合物(常温溶融塩)と高分子化合物と組み合わせて、電解質として用いる試みも為されている。しかし、これらの電解質系は、ハロゲン化アルミニウム化合物等を利用したものが多く、これらは、一旦パッケージ外部に漏洩し外気と接触した場合にハロゲン化水素系化合物を主体とするガスを発生する可能性がある。また、従来検討されてきたイミダゾリウム型化合物は、電位窓を広く確保することが難しいため、高容量化を目的としてリチウム電池等に適用する際には、困難を伴うことが多いという欠点を有する。
【0007】
また、無機化合物をベースポリマーとした固体電解質においては、室温付近で比較的高い電導度を示しうる例も報告されている。しかしいずれも、可撓性に乏しいため成型が困難であるという欠点を克服しきれていない。
【0008】
【特許文献1】
米国特許第4303748号明細書
【特許文献2】
特開平7−206936号公報
【非特許文献1】
M.Watanabe et.al.,Macromolecules(1999)1541
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
以上に述べたように、二次電池用途の固体電解質としては、様々な系がこれまで提案されてきているが、その中でも比較的成型性に優れ、電導度も高い点などを理由に、ゲル状電解質に関する研究が、これまで活発に行われてきている。しかし、ゲル状電解質は、有機溶媒を多量に含んでいるので安定性の面での不安があり、電導度や可とう性の問題さえ解決できれば、より経時安定性、熱安定性などが、良好な全固体型電解質の方が望ましいと考えられる。特に、電荷キャリアに対して、非常に配位力の強いエーテル酸素をできるだけ含まず、その代わり、常温溶融塩のような、それ自身がイオン性で、且つ、電荷キャリアの移動を妨げないものが望ましいと考えられる。
【0010】
本発明は、室温付近でも10−3S/cm以上の、高いイオン導電性を発現し、且つ可とう性、機械強度、柔軟性、経時安定性に優れた高分子固体電解質を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、常温溶融塩型のモノマーを用いて全固体高分子電解質を調製する代わりに、その前駆体として位置付けられるアニオン性モノマー及びカチオン性モノマーを用意し、これを高分子固体電解質の硬化前の原液中にて、in situで、常温溶融塩型モノマーに転換するという手法を採用することにより、非常に高いイオン伝導性を発現し、且つ漏液等が無いため安定性、成形性に優れた高分子固体電解質が容易に得られることを見出し、さらに検討を進めて本発明を完成させるに至った。
【0012】
即ち本発明は、
(1) アニオン性モノマー、カチオン性モノマーを必須成分として含む組成物を、加熱処理により固化して得られる高分子固体電解質、
(2) アニオン性モノマー、カチオン性モノマー及びこれらのイオン性モノマーと相溶性を有する非イオン解離性重合性モノマーと、イオン性化合物とを含む組成物を、加熱処理により固化して得られる高分子固体電解質、
(3) アニオン性モノマーが、重合性官能基を有し、且つアルカリ金属イオンからなる対カチオンを有するものである、第1項または第2項に記載の高分子固体電解質、
(4) カチオン性モノマーが、重合性官能基を有し、且つ含ハロゲンアニオン、鉱酸アニオンおよび有機酸アニオンの中から選ばれる対アニオンを有するものである第1項〜第3項のいずれかに記載の高分子固体電解質、
(5) 含ハロゲンアニオンおよび鉱酸アニオンが、PF ,ClO ,CFSO ,CSO ,BF ,(CFSO,(CSO,(CFSO,AsF ,SO 2−及びNO の中から選ばれるものである第4項記載の高分子固体電解質、
(6) 有機酸アニオンが、RSO およびRCO [Rはアルキル基、アリル基、アルケニル基、アラルキル基、アラルケニル基、アルコキシアルキル基、アシルオキシアルキル基、スルホアルキル基、アリール基または芳香族複素環残基を示す]の中から選ばれるものである第4項記載の高分子固体電解質、
(7) アニオン性モノマーが、カルボキシル基、スルホキシル基、ホスフォキシル基、ビスアルキルスルホンイミド基のいずれか若しくは複数種から選ばれるアニオン性官能基を有するものである、第1項〜第6項のいずれかに記載の高分子固体電解質、
(8) カチオン性モノマーが、アンモニウム基、オキソニウム基、スルホニウム基、ホスフォニウム基のいずれか若しくは複数種から選ばれるカチオン性官能基を有するものである、第1項〜第7項のいずれかに記載の高分子固体電解質、
(9) アニオン性モノマーのアニオン性官能基がスルホキシル基であり、且つカチオン性モノマーのカチオン性官能基がアンモニウム基であることを特徴とする、第1項〜第8項のいずれかに記載の高分子固体電解質、
(10) イオン性化合物が、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩からなるものである第2項〜第9項のいずれかに記載の高分子固体電解質、
(11) カチオン性モノマーの対アニオンが、PF ,ClO ,CFSO ,CSO ,BF ,(CFSOおよび(CSOの中から選ばれ、且つアニオン性モノマーの対カチオンがLi,NaおよびKの中から選ばれるものである、第1項〜第10項のいずれかに記載の高分子固体電解質、
である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の高分子固体電解質は、アニオン性モノマー、カチオン性モノマー、及びこれらのイオン性モノマーと相溶性を有する非イオン解離性の重合性モノマーと、イオン性化合物、及び必要に応じて、それらと相溶性を有する添加剤からなる組成物より得られるものである。そしてこの高分子固体電解質マトリックス中に、アニオン性モノマー及びカチオン性モノマーから成る極めて微細な常温溶融塩ドメインが均一に分散し、且つ互いに接続面を保持した状態のまま固定化することにより、この連続ドメインがキャリア・パスとして機能するために優れたイオン導電性を発現すると共に、沸点の低い低分子化合物を事実上含まないために、漏液等が無く安定性、成形性に優れた高分子固体電解質を得ることが可能となるものである。この相分離構造は組成の異なる二相がいわゆる海島構造的な明確な構造をとるものではなく、二相界面近傍で連続的に組成が変化した不明瞭な界面構造をとるものと推測される。この界面構造の不明瞭さは電解質内部の相分離構造の発達とポリマー骨格の形成が同時並行的に進行するためによるものと推察される。
【0014】
本発明に用いられるアニオン性モノマーは、カルボキシル基、スルホン基、スルホキシル基、ホスフォキシル基、ビスアルキルスルホンイミド基等の負電荷部位と、その負電荷部位に共有結合で結合した重合性官能基を有するものであれば、限定されない。前記負電荷部位となるアニオン性官能基としては、カルボキシル基、スルホキシル基、ホスフォキシル基、ビスアルキルスルホンイミド基が好ましく、スルホキシル基が、より好ましい。前記重合性官能基としては、炭素−炭素二重結合を有するアクリル、メタクリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニル、スチリル等が挙げられるが,特にこれらに限定されない。また高分子固体電解質に、十分な可とう性を付与する等の目的で、アルキル基等から成るスペーサーが、アニオン性モノマーの負電荷部位と重合性官能基の間に挿入されていても構わない。
また、負電荷部位の対カチオン種としては、アルカリ金属イオンからなるものが好ましく、これらの内、Li,Na,Kが、より好ましい。
【0015】
このようなアニオン性モノマーとしては、高分子固体電解質のマトリックスに導入された場合の分極の大きさや、モノマーの状態での取り扱いの容易さ、またモノマーのコストの面から、二重結合を有するカルボン酸、スルホン酸、リン酸、ビスアルキルスルホンイミド等が好ましい。これらの具体例を挙げると、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルスルホン酸、2−ビニルベンゼンスルホン酸、3−ビニルベンゼンスルホン酸、4−ビニルベンゼンスルホン酸、2−メチル−1−ペンテン−1−スルホン酸、1−オクテン−1−スルホン酸、4−ビニルベンゼンメタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、2−[(2−プロペニロキシ)メトキシ]エテンスルホン酸、3−(2−プロペニロキシ)−1−プロペン−1−スルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンリン酸、ビスアリルスルホンイミドのような各種アニオン性モノマーのアルカリ金属塩を用いることが可能である。特にこれらの化合物のリチウム塩は、本発明の目的には好適である。
【0016】
本発明に用いられるカチオン性モノマーは、アルキル4級アンモニウムカチオン、含窒素複素環式カチオン、含酸素カチオン、含硫黄カチオン、含リンカチオン等の正電荷部位と、その正電荷部位に共有結合で結合した重合性官能基を有するものであれば、限定されない。前記正電荷部位となるカチオン性官能基としては、アンモニウム基、オキソニウム基、スルホニウム基およびホスホニウム基が好ましく、アンモニウム基が、より好ましい。重合性官能基としては、炭素−炭素二重結合を有するアクリル、メタクリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニル、スチリル等が挙げられるが,特にこれらに限定されない。高分子固体電解質に十分な可とう性を付与する等の目的で、アルキル基等から成るスペーサーが正電荷部位と重合性官能基の間に挿入されていても構わない。
なお、アルキル4級アンモニウムカチオンの場合、窒素原子に共有結合で連結したアルキル基の末端もしくは主鎖に、アリール基、アリル基等に由来する不飽和結合を含む骨格や、酸素、窒素、硫黄等のヘテロ原子が挿入されていても構わない。含窒素複素環式カチオン、含酸素カチオン、含硫黄カチオン、含リンカチオンの場合も、電解液への溶解性調節及び合成の都合上等の理由で、アリール基、アリル基等に由来する不飽和結合を含む骨格や、酸素、窒素、硫黄等のヘテロ原子が挿入されていても構わない。
【0017】
また正電荷部位の対アニオン種としては、含ハロゲンアニオン、鉱酸アニオン、有機酸アニオン等が好ましい。含ハロゲンアニオンもしくは鉱酸アニオンとして、具体的にはPF ,ClO ,CFSO ,CSO ,BF ,(CFSO,(CSO,(CFSO,AsF ,SO 2−及びNO が好ましく、これらの内、PF ,ClO ,CFSO ,CSO ,BF ,(CFSO,(CSOが、より好ましく、これらのいずれか1種類以上が使用できる。特に(CFSO,(CSO等のスルホンイミド系アニオンは、本発明の目的には好適である。また有機酸アニオンとしては、RSO ,RCO [Rはアルキル基、アリル基、アルケニル基、アラルキル基、アラルケニル基、アルコキシアルキル基、アシルオキシアルキル基、スルホアルキル基、アリール基、あるいはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環などの芳香族複素環残基等であり、複数の環状構造もしくは分岐構造を含んでいても構わない]等が好ましい。
【0018】
このようなカチオン性モノマーの例としては、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、メタクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウム、メタクリロイルオキシエチルトリ−n−プロピルアンモニウム、メタクリロイルオキシエチルトリ−iso−プロピルアンモニウム、メタクリロイルオキシエチルトリ−n−ブチルアンモニウム、メタクリロイルオキシエチルトリ−iso−ブチルアンモニウム、メタクリロイルオキシエチルトリ−tert−ブチルアンモニウム、メタクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウム、メタクリロイルオキシエチルジエチル−n−ヘキシルアンモニウム、メタクリロイルオキシエチルトリデシルアンモニウム、メタクリロイルオキシエチルトリオクチルアンモニウム、メタクリロイルオキシエチルドデシルジメチルアンモニウム、メタクリロイルオキシエチルドデシルヘキシルメチルアンモニウム、ジアリルジメチルアンモニウム等のカチオンからなる重合性官能基を有する正電荷部位と、上述の含ハロゲンアニオン、鉱酸アニオン、もしくは有機酸アニオン等の対アニオンとからなるモノマーが利用できる。
【0019】
重合性官能基による重合反応としては、ラジカル重合、イオン重合、配位重合、縮重合、付加重合等、種々の既知の重合方法が可能であり、重合操作の簡便さ故にラジカル重合、配位重合、縮重合、付加重合が望ましいが、特にこれらに限定されない。
【0020】
本発明に用いられるアニオン性モノマーとカチオン性モノマーと相溶性を有する非イオン解離性重合性モノマーは、高分子固体電解質の可塑性、成形性、熱安定性の調整の他、高分子固体電解質の未硬化電解質組成物の粘度調整に添加するものである。重合性モノマーとしては、上記アニオン性モノマーとカチオン性モノマーとラジカル共重合させる場合は、炭素−炭素二重結合を有するカルボン酸エステル、スルホン酸エステル若しくは芳香族化合物であることが好ましく、さらにはアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スルホン酸エステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、スルホンアミド、若しくは置換基を備えたスチレン誘導体等に代表されるアリール化合物が望ましいが、前記アニオン性モノマーとカチオン性モノマーと重合可能な化学種であれば特に限定されない。この非イオン解離性重合性モノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−アセトキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−アセトキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ビニル、(メタ)アクリル酸アリル、メチル(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミド、n−ブチル(メタ)アクリルアミド、iso−ブチル(メタ)アクリルアミド、sec−ブチル(メタ)アクリルアミド、n−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、2−エチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、デシル(メタ)アクリルアミド、イソデシル(メタ)アクリルアミド、トリデシル(メタ)アクリルアミド、オクタデシル(メタ)アクリルアミド、ラウリル(メタ)アクリルアミド、ステアリル(メタ)アクリルアミド、イソボルニル(メタ)アクリルアミド、ベンジル(メタ)アクリルアミド、フェニル(メタ)アクリルアミド、フェノキシエチル(メタ)アクリルアミド、2−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、2−アセトキシエチル(メタ)アクリルアミド、2−アセトキシエトキシエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、メタクリロイルモルホリン、酢酸ビニル、クロトン酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、4−エチルスチレン、3−クロロメチルスチレン、4−クロロメチルスチレン、4−ジエチルアミノメチルスチレン、4−ジエチルアミノメチルスチレン、4−エトキシメチルスチレン、4−アセトキシメチルスチレン、メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルメチルアミン、ジアリルエチルアミン等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
【0021】
前記アニオン性モノマーとカチオン性モノマーと重合性モノマーの相溶性は、前記アニオン性モノマーとカチオン性モノマー、重合性モノマー、及びその他の成分を混合した直後の、未硬化の状態で、透明均一な溶液若しくはペーストの形態をとるものが最も好ましい。但し、実際に高分子固体電解質を製造する際に、必然的に必要とされる有限な時間の範囲で、乳化、エマルジョン、コロイド、コアセルベートなどの状態で、十分安定に形態維持可能であれば、透明均一な溶液となり得る重合性モノマーに限らず、種々の重合性モノマーが適用可能である。
【0022】
本発明に用いられるイオン性化合物としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が好適であり、アルカリ金属塩としては、LiPF、LiClO、LiCFSO、LiCSO、LiAsF、LiBF、LiN(CFSO、LiN(CSO、CSOLi、LiC(CFSO、LiF等が挙げられ、アルカリ土類金属塩としては、Mg(PF、Mg(ClO、Mg(BF等が挙げられる。これらを単独若しくは2種以上を混合して用いても構わない。
【0023】
本発明の高分子固体電解質は、上記種々の成分を均一に混合し重合させて得られるが、重合の際、上記成分の他に、重合開始剤などを添加して重合させることができる。重合開始剤としては、過酸化ジベンゾイル、過酸化ラウロイル、クミルパーオキサイド、過硫酸カリウム、過酸化水素などの過酸化物、アゾビス(イソブチロニトリル)、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物など公知な熱ラジカル重合開始剤の他、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロホスフェートなどの光重合開始剤を使用することができる。また開始温度の調整目的など必要に応じて、それらの開始剤を複数種混合して用いることも可能である。
【0024】
本発明の高分子固体電解質は、上記のアニオン性モノマー、カチオン性モノマー、非イオン解離性重合性モノマー及びイオン性化合物を種々の割合で混合し所定の組成物とすることが出来る。各成分の混合比率の例としては、アニオン性モノマーが5〜95wt% 程度、カチオン性モノマーが5〜95wt% 程度、非イオン解離性重合性モノマーが5〜95wt% 程度、イオン性化合物が5〜50wt% 程度であるが、好ましくはアニオン性モノマーが20〜40wt%程度、カチオン性モノマーが20〜40wt% 程度、非イオン解離性重合性モノマーが5〜25wt% 程度、イオン性化合物が5〜25wt% 程度である。なお、電解質組成物中に含まれるイオン性化合物の濃度は、最終的に0.1〜2mol/Lの範囲にあることが望ましい。また重合開始剤は、アニオン性モノマー、カチオン性モノマー及び非イオン解離性重合性モノマーに含まれる全ての重合性官能基のモル数に対して、0.1〜30mol% 程度であることが好ましいが、さらに好ましくは0.5〜20mol%である。
【0025】
本発明の高分子固体電解質を得る方法の例としては、アニオン性モノマー、カチオン性モノマー、非イオン解離性重合性モノマー及びイオン性化合物を含む電解質組成物を、室温、好ましくは室温以下の温度で攪拌し、均一溶液もしくはペースト状組成物とする。この均一溶液もしくはペースト状組成物に、さらにアゾビスイソブチロニトリル、過酸化ジベンゾイルなどの重合開始剤を溶解させる。得られた混合物を15分間乃至90分間程度、50℃乃至80℃の電気式加熱炉に入れて加熱処理することにより、所定の高分子固体電解質が得られる。
【0026】
本発明の高分子固体電解質は、一次及び二次電池、電気二重層キャパシター、燃料電池MEA用電解質、二次電池電極用結着剤、色素増感型太陽電池電解質、ゲルアクチュエーター、電気刺激伝達用人工神経軸索充填剤及びその他の電気化学デバイス等の材料として有用である。
【0027】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
【0028】
[実施例1]
[カチオン性モノマー≪C1≫の調製]
ジアリルジメチルアンモニウムクロリド8.08g(50mmol)を蒸留水14mLに溶解する。またこれとは別にビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド・リチウム塩14.36g(50mmol)を蒸留水20mLに溶解する。この2液を室温で滴下混合し、そのまま3時間攪拌後、静置すると2層に分離。この水相を抜き取り、新たに蒸留水を加えて洗浄した。溶融塩相は五酸化二リンの存在下、デシケータ中で一晩減圧乾燥し、最終的に粘凋なオイル状のカチオン性モノマー≪C1:ジアリルジメチルアンモニウム・ビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド≫を回収した。得られたカチオン性モノマー≪C1≫は示差走査熱分析(DSC)、熱重量分析(TG)、及びプロトン核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)により組成確認及び純度確認を実施した。
【0029】
[アニオン性モノマー≪A1≫の調製]
アニオン製モノマー≪A1≫は東ソー(株)より購入したp−スチレンスルホン酸リチウム塩を適当な溶媒中で再結晶したものをそのまま使用した。
【0030】
[高分子固体電解質≪PE1≫の調製]
上記カチオン性モノマー≪C1≫を0.4064g、アニオン性モノマー≪A1≫を0.1902g、N,N−ジメチルアクリルアミド0.1982g、エチレングリコールジメタクリレート0.0911g、および六フッ化リン酸リチウム0.1519gを室温で混合し、終日攪拌して均一に溶解させた。得られた粘凋な溶液を十分に脱気したのち、ベンゾイルパーオキサイド0.006gを加えて終日攪拌し、均一に溶解させた。攪拌後、この溶液を80℃で40分加熱し、高分子固体電解質≪PE1≫を得た。
【0031】
[高分子固体電解質≪PE1≫の電導度評価]
上記で得られた高分子固体電解質≪PE1≫について、交流インピーダンス法により電導度を測定した。測定の際の周波数範囲は50Hz〜30MHz、電圧は0.5Vとした。測定の結果、室温(20℃)に於ける電導度は1.27×10−3S/cmであった。この白色固体は2ヶ月経過後も変色/分解等は観察されなかった。
【0032】
[実施例2]
[カチオン性モノマー≪C2≫の調製]
ジアリルジメチルアンモニウムクロリド及びトリフルオロメタンスルホン酸銀塩を無水メタノール中で等モル量づつ室温下で3時間攪拌混合し、ジアリルジメチルアンモニウム・トリフルオロメタンスルホン酸塩を合成した。合成物は回収後、五酸化二リンの存在下、デシケータ中で一晩減圧乾燥し、最終的に粉末状のカチオン性モノマー≪C2≫を回収した。得られたカチオン性モノマー≪C2≫は示差走査熱分析(DSC)、熱重量分析(TG)、及びプロトン核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)により組成確認及び純度確認を実施した。
【0033】
[アニオン性モノマー≪A2≫の調製]
2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸10.36g(50mmol)を、無水メタノール500mlに溶解し、これに水酸化リチウム1.32g(55mmol)を添加して、室温下で穏やかに24時間連続攪拌し、濾過後、無色透明の溶液を得た。この濾過液をモレキュラシーブなど適当な脱水剤で脱水処理後、エバポレーターで減圧濃縮して濃縮液とし、さらに適切な条件で再結晶することにより、微粉末状のアニオン製モノマー≪A2≫を得た。得られたアニオン製モノマー≪A2≫は示差走査熱分析(DSC)、熱重量分析(TG)、及びプロトン核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)により組成確認を実施した。
【0034】
[高分子固体電解質≪PE2≫の調製]
上記カチオン性モノマー≪C2≫を0.3885g、アニオン性モノマー≪A2≫を0.2103g、N,N−ジメチルアクリルアミド0.1982g、エチレングリコールジメタクリレート0.0911g、および六フッ化リン酸リチウム0.1519gを室温で混合し、終日攪拌して均一に溶解させた。得られた粘凋な溶液を十分に脱気したのち、ベンゾイルパーオキサイド0.006gを加えて終日攪拌し、均一に溶解させた。攪拌後、この溶液を80℃で40分加熱し、高分子固体電解質≪PE2≫を得た。
【0035】
[高分子固体電解質≪PE2≫の電導度評価]
上記で得られた高分子固体電解質≪PE2≫について、交流インピーダンス法により電導度を測定した。測定の際の周波数範囲は50Hz〜30MHz、電圧は0.5Vとした。測定の結果、室温(20℃)に於ける電導度は1.08×10−3S/cmであった。この白色固体は2ヶ月経過後も変色/分解等は観察されなかった。
【0036】
[実施例3]
[カチオン性モノマー≪C3≫の調製]
ジアリルジメチルアンモニウムクロリド及びトリフルオロ酢酸銀塩を無水メタノール中で等モル量づつ室温下で3時間攪拌混合し、ジアリルジメチルアンモニウム・トリフルオロ酢酸塩を合成した。合成物は回収後、五酸化二リンの存在下、デシケータ中で一晩減圧乾燥し、最終的に粉末状のカチオン性モノマー≪C3≫を回収した。得られたカチオン性モノマー≪C3≫は示差走査熱分析(DSC)、熱重量分析(TG)、及びプロトン核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)により組成確認及び純度確認を実施した。
【0037】
[アニオン性モノマー≪A3≫の調製]
メタクリル酸4.30g(50mmol)を、無水メタノール500mlに溶解し、これに水酸化リチウム1.32g(55mmol)を添加して、室温下で穏やかに24時間連続攪拌し、濾過後、無色透明の溶液を得た。この濾過液をモレキュラシーブなど適当な脱水剤で脱水処理後、エバポレーターで減圧濃縮して濃縮液とし、さらに適切な条件で再結晶することにより、微粉末状のアニオン製モノマー≪A3≫を得た。得られたアニオン製モノマー≪A3≫は示差走査熱分析(DSC)、熱重量分析(TG)、及びプロトン核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)により組成確認を実施した。
【0038】
[高分子固体電解質≪PE3≫の調製]
上記カチオン性モノマー≪C3≫を0.4223g、アニオン性モノマー≪A3≫を0.1783g、N,N−ジメチルアクリルアミド0.1982g、エチレングリコールジメタクリレート0.0911g、および六フッ化リン酸リチウム0.1519gを室温で混合し、終日攪拌して均一に溶解させた。得られた粘凋な溶液を十分に脱気したのち、ベンゾイルパーオキサイド0.006gを加えて終日攪拌し、均一に溶解させた。攪拌後、この溶液を80℃で40分加熱し、高分子固体電解質≪PE3≫を得た。
【0039】
[高分子固体電解質≪PE3≫の電導度評価]
上記で得られた高分子固体電解質≪PE3≫について、交流インピーダンス法により電導度を測定した。測定の際の周波数範囲は50Hz〜30MHz、電圧は0.5Vとした。測定の結果、室温(20℃)に於ける電導度は1.01×10−3S/cmであった。この白色固体は2ヶ月経過後も変色/分解等は観察されなかった。
【0040】
[実施例4]
[カチオン性モノマー≪C4≫の調製]
(2−メタクリロイルオキシ)エチルトリエチルアンモニウムクロリド及びヘキサフルオロリン酸銀塩を無水メタノール中で等モル量づつ室温下で3時間攪拌混合し、(2−メタクリロイルオキシ)エチルトリエチルアンモニウム・ヘキサフルオロリン酸塩を合成した。合成物は回収後、五酸化二リンの存在下、デシケータ中で一晩減圧乾燥し、最終的に粉末状のカチオン性モノマー≪C4≫を回収した。得られたカチオン性モノマー≪C4≫は示差走査熱分析(DSC)、熱重量分析(TG)、及びプロトン核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)により組成確認及び純度確認を実施した。
【0041】
[アニオン性モノマー≪A4≫の調製]
(2−アクリルアミノ)エチルリン酸モノエチルエステル10.36g(50mmol)を、無水メタノール500mlに溶解し、これに水酸化リチウム1.32g(55mmol)を添加して、室温下で穏やかに24時間連続攪拌し、濾過後、無色透明の溶液を得た。この濾過液をモレキュラシーブなど適当な脱水剤で脱水処理後、エバポレーターで減圧濃縮して濃縮液とし、さらに適切な条件で再結晶することにより、微粉末状のアニオン製モノマー≪A4≫を得た。得られたアニオン製モノマー≪A4≫は示差走査熱分析(DSC)、熱重量分析(TG)、及びプロトン核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)により組成確認を実施した。
【0042】
[高分子固体電解質≪PE4≫の調製]
上記カチオン性モノマー≪C4≫を0.3284g、アニオン性モノマー≪A4≫を0.2498g、N,N−ジメチルアクリルアミド0.1982g、エチレングリコールジメタクリレート0.0911g、および六フッ化リン酸リチウム0.1519gを室温で混合し、終日攪拌して均一に溶解させた。得られた粘凋な溶液を十分に脱気したのち、ベンゾイルパーオキサイド0.006gを加えて終日攪拌し、均一に溶解させた。攪拌後、この溶液を80℃で40分加熱し、高分子固体電解質≪PE4≫を得た。
【0043】
[高分子固体電解質≪PE4≫の電導度評価]
上記で得られた高分子固体電解質≪PE4≫について、交流インピーダンス法により電導度を測定した。測定の際の周波数範囲は50Hz〜30MHz、電圧は0.5Vとした。測定の結果、室温(20℃)に於ける電導度は1.13×10−3S/cmであった。この白色固体は2ヶ月経過後も変色/分解等は観察されなかった。
【0044】
[比較例1]
前記実施例1において、高分子固体電解質を調製する際に、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド及びp−スチレンスルホン酸銀塩から、直接ジアリルジメチルアンモニウム・p−スチレンスルホン酸塩を合成することを試みたが、これは常温常圧で溶融状態の塩であり、かつ吸水性・吸湿性が高いため、水分除去が著しく困難であった。しかし敢えて実施例1で用いたアニオン製モノマー≪A1≫及びカチオン性モノマー≪C1≫の代わりにこの塩とビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド・リチウム塩の等モル混合物を用い、所定の高分子電解質の調製を行ったところ、白色固形分を得ることは出来たが、これは含水量が約5000ppmであり多すぎるため、室温下で1ヶ月経過後、全体が茶褐色に変色し、一部溶液分が分離していた。
【0045】
[比較例2]
前記実施例2において、高分子固体電解質を調製する際に、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド及び2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸銀塩から、直接ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸塩を合成することを試みたが、これは常温常圧で溶融状態の塩であり、かつ吸水性・吸湿性が高いため、水分除去が著しく困難であった。しかし敢えて実施例2で用いたアニオン製モノマー≪A2≫及びカチオン性モノマー≪C2≫の代わりにこの塩とトリフルオロメタンスルホン酸リチウムの等モル混合物を用い、所定の高分子電解質の調製を行ったところ、白色固形分を得ることは出来たが、これは含水量が約10000ppmであり多すぎるため、室温下で1週間経過後、全体が茶褐色に変色し、且つゲル形状が崩壊していた。
【0046】
[比較例3]
前記実施例3において、高分子固体電解質を調製する際に、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド及びメタクリル酸銀塩を原料として直接無水メタノール中で攪拌混合し、4時間攪拌後、反応液を減圧濃縮して再結晶することにより、微結晶状のジアリルジメチルアンモニウム・メタクリル酸塩を合成した。次いで実施例3で用いたアニオン製モノマー≪A3≫及びカチオン性モノマー≪C3≫の代わりにこの塩とトリフルオロ酢酸リチウムの等モル混合物を用い、所定の高分子電解質の調製を行ったところ、白濁したガラス状固化物を得ることは出来た。しかし交流インピーダンス法により電導度を測定したところ、室温(20℃)に於ける電導度は1.35×10−7S/cmと、極めて低い値を示した。
【0047】
[比較例4]
前記実施例4において、高分子固体電解質を調製する際に、(2−メタクリロイルオキシ)エチルトリエチルアンモニウムクロリド及び(2−アクリルアミノ)エチルリン酸モノエチルエステルの銀塩から、直接(2−メタクリロイルオキシ)エチルトリエチルアンモニウム・(2−アクリルアミノ)エチルリン酸モノエチルエステルを合成することを試みたが、これは常温常圧で溶融状態の塩であり、かつ吸水性・吸湿性が高いため、水分除去が著しく困難であった。しかし敢えて実施例4で用いたアニオン製モノマー≪A4≫及びカチオン性モノマー≪C4≫の代わりにこの塩とヘキサフルオロリン酸リチウムの等モル混合物を用い、所定の高分子電解質の調製を行ったところ、白色固形分を得ることは出来たが、これは含水量が約7000ppmであり多すぎるため、室温下で1ヶ月経過後、全体が茶褐色に変色し、且つ全体が溶液化していた。
【0048】
【発明の効果】
本発明に拠れば、室温付近でも10−3S/cm以上の、高いイオン導電性を発現し、且つ可とう性、機械強度、柔軟性、経時安定性に優れ、尚且つ十分に安全な高分子固体電解質を簡便に得ることが可能となる。

Claims (11)

  1. アニオン性モノマー、カチオン性モノマーを必須成分として含む組成物を、加熱処理により固化して得られる高分子固体電解質。
  2. アニオン性モノマー、カチオン性モノマー及びこれらのイオン性モノマーと相溶性を有する非イオン解離性重合性モノマーと、イオン性化合物とを含む組成物を、加熱処理により固化して得られる高分子固体電解質。
  3. アニオン性モノマーが、重合性官能基を有し、且つアルカリ金属イオンからなる対カチオンを有するものである、請求項1または2記載の高分子固体電解質。
  4. カチオン性モノマーが、重合性官能基を有し、且つ含ハロゲンアニオン、鉱酸アニオンおよび有機酸アニオンの中から選ばれる対アニオンを有するものである請求項1〜3のいずれかに記載の高分子固体電解質。
  5. 含ハロゲンアニオンおよび鉱酸アニオンが、PF ,ClO ,CFSO ,CSO ,BF ,(CFSO,(CSO,(CFSO,AsF ,SO 2−及びNO の中から選ばれるものである請求項4記載の高分子固体電解質。
  6. 有機酸アニオンが、RSO およびRCO [Rはアルキル基、アリル基、アルケニル基、アラルキル基、アラルケニル基、アルコキシアルキル基、アシルオキシアルキル基、スルホアルキル基、アリール基または芳香族複素環残基を示す]の中から選ばれるものである請求項4記載の高分子固体電解質。
  7. アニオン性モノマーが、カルボキシル基、スルホキシル基、ホスフォキシル基、ビスアルキルスルホンイミド基のいずれか若しくは複数種から選ばれるアニオン性官能基を有するものである、請求項1〜6のいずれかに記載の高分子固体電解質。
  8. カチオン性モノマーが、アンモニウム基、オキソニウム基、スルホニウム基、ホスフォニウム基のいずれか若しくは複数種から選ばれるカチオン性官能基を有するものである、請求項1〜7のいずれかに記載の高分子固体電解質。
  9. アニオン性モノマーのアニオン性官能基がスルホキシル基であり、且つカチオン性モノマーのカチオン性官能基がアンモニウム基であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の高分子固体電解質。
  10. イオン性化合物が、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩からなるものである請求項2〜9のいずれかに記載の高分子固体電解質。
  11. カチオン性モノマーの対アニオンが、PF ,ClO ,CFSO ,CSO ,BF ,(CFSOおよび(CSOの中から選ばれ、且つアニオン性モノマーの対カチオンがLi,NaおよびKの中から選ばれるものである、請求項1〜10のいずれかに記載の高分子固体電解質。
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