JP2004276673A - 車両用バンパ構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】造形的自由度が損なわれずに、車両が障害物に衝突した際の衝突荷重を効率的に分担することができる車両用バンパ構造を提供する。
【解決手段】衝突荷重Fがエネルギー吸収部材4に加わると、下面部10がヒンジ9を中心に回転して、エアガイド5が前方へ振られるため、エプロン部6が前方へ突出する。そのため、衝突荷重Fを効率良く分担することができる。エプロン部材6の前端の位置を特にエネルギー吸収部材4に一致させておく必要がないため、バンパ1の造形的自由度も向上する。
【選択図】 図3
【解決手段】衝突荷重Fがエネルギー吸収部材4に加わると、下面部10がヒンジ9を中心に回転して、エアガイド5が前方へ振られるため、エプロン部6が前方へ突出する。そのため、衝突荷重Fを効率良く分担することができる。エプロン部材6の前端の位置を特にエネルギー吸収部材4に一致させておく必要がないため、バンパ1の造形的自由度も向上する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、造形的自由度が損なわれずに、車両が障害物に衝突した際の衝突荷重を効率的に吸収することができる車両用バンパ構造を提供する。
【0002】
【従来の技術】
従来の自動車用バンパ構造としては、外装部材としてのバンパフェイシアの後側に、強度部材としてバンパレインフォースを設け、該バンパレインフォースと、その後方にある車体前部とを、前後方向に沿うバンパステーにより結合している。また、バンパフェイシアとバンパレインフォースとの間には、車両衝突時の衝突荷重を吸収するためのエネルギー吸収部材が設けられている。
【0003】
また、バンパレインフォースの下方には、車体前部に別のステーにより結合されたエプロン部材が設けられている。このエプロン部材は、車両の衝突時に上方のエネルギー吸収部材と同時に障害物へ当たることにより、障害物の回転をコントロールしながら衝突荷重の吸収を分担し、バンパ全体の衝突荷重吸収性能を高める役目をしている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−1848号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の技術にあっては、下方のエプロン部材と、上方のエネルギー吸収部材とを、障害物に対して同じタイミングで当てるべく、エプロン部材とエネルギー吸収部材の前端位置とを前後方向で一致させる必要があるため、どうしてもバンパの前面が垂直面となり、バンパ全体の造形的な自由度が損なわれていた。
【0006】
そこで、バンパの造形的自由度を高めるために、バンパとは別に設けたガードバーとエプロン部材とを連動させ、ガードバーに障害物が当たった時だけ、エプロン部材を前方へ突出させる構造(前記特許文献1参照)にすることもできる。この構造によれば、最初からエプロン部材の前端をエネルギー吸収部材の前端と一致させておく必要がないため、造形的自由度は高まる。但し、バンパとは別のガードバーとエプロン部材とを連動させる構造のため、ガードバーに加わる衝突荷重の程度によって、エプロン部材の突出量が左右されてしまい、エネルギー吸収部材とエプロン部材とで衝突荷重を効率良く分担できない場合があり得る。
【0007】
この発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、造形的自由度が損なわれずに、車両が障害物に衝突した際の衝突荷重を効率的に分担することができる車両用バンパ構造を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、上方には車体に固定されたバンパレインフォースが、下方にはエプロン部材が、それぞれ車幅方向に沿った状態で設けられていると共に、バンパレインフォースの前側にはエネルギー吸収部材が取付けられている車両用バンパ構造であって、前記エプロン部材は、車体に固定せずに、連結部材を介してエネルギー吸収部材に取付けられ、エネルギー吸収部材は、少なくとも連結部材を取付けた部分が、前側からの衝突荷重を受けた際に、ヒンジを中心にして連結部材を前方へ振る方向へ回転する構造になっていることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、エネルギー吸収部材、連結部材、エプロン部材が合成樹脂による一体成形品であることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、連結部材がエアガイドであることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、エネルギー吸収部材が、バンパレインフォースの前面に取付けられる後面部と、後面部からヒンジを介して連続され且つ連結部材が形成された下面部と、下面部から連続形成され且つ衝突荷重が入力される前面部と、前面部から連続形成され且つ後端からバンパレインフォースの上面部に後方スライド可能な状態で締結されるスライド片が形成された上面部と、内部に形成された反力発生材と、から構成された合成樹脂成形品であることを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、スライド片には、スライド片の後方スライド時にバンパレインフォースの上面部に締結された締結部品が相対的に前方又は斜め前方へ移動するスライド孔が形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の発明は、全体が車体に固定されたバンパフェイシアにより外装され、エプロン部材がバンパフェイシアの下端部に対して前方スライド可能な状態で締結されることを特徴とする。
【0014】
請求項7記載の発明は、締結部品はバンパレインフォースの上面部に上下動自在な貫通状態で締結され、該締結部品の上端にはスライド片に上側から係合する頭部が形成され、下端にはバンパレインフォースの上面部に下側から係合する係止部が形成されていると共に、スライド片は後側から前側に向けて板厚が増加し、締結部品がスライド孔内を相対的に前方移動した際に、スライド片がバンパレインフォースの上面部と締結部品の頭部との間に圧入されることを特徴とする。
【0015】
請求項8記載の発明は、スライド孔に、相対的に前方移動した締結部品の後方への戻りを規制する戻り防止手段が設けられてることを特徴とする。
【0016】
請求項9記載の発明は、戻り防止手段が、スライド孔の左右両縁側から互いに先端を突き合わせた状態で斜め前方へ突出した一対の突片から形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項10記載の発明は、戻り防止手段が、先端形状を互いに係合させて前後方向で位置ずれしない形状とした一対の突片から形成されていることを特徴とする。
【0018】
請求項11記載の発明は、戻り防止手段が、スライド孔の左右両縁側から互いに先端を突き合わせた状態で且つ前側方向のみに曲折可能な形状を有する一対の突片から形成されていることを特徴とする。
【0019】
請求項12記載の発明は、戻り防止手段が、スライド孔の左右両縁の一方側から形成され且つ先端が他方側に形成された突起に前側から係合する一つの突片から形成されていることを特徴とする。
【0020】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、衝突荷重がエネルギー吸収部材に加わると、少なくとも連結部材を取付けた部分がヒンジを中心に回転して、連結部材が前方へ振られるため、エプロン部が前方へ突出する。従って、エプロン部材の前端の位置を最初からエネルギー吸収部材に一致させておく必要がなく、バンパの造形的自由度が向上する。また、エネルギー吸収部材に加わる衝突荷重に応じて、エプロン部材の前方突出力が決まるため、衝突荷重を効率良く分担することができ、バンパ全体の衝突荷重吸収性能が高まる。
【0021】
請求項2記載の発明によれば、エネルギー吸収部材、連結部材、エプロン部材が合成樹脂による一体成形品であるため、バンパレインフォースとの組み付け作業が、各部品別個に行う場合に比べて容易である。
【0022】
請求項3記載の発明によれば、連結部材がエアガイドであるため、連結部材によりバンパを通過する空気の整流を行うことができる。
【0023】
請求項4記載の発明によれば、エネルギー吸収部材が4節リンクの一部を外したような開断面構造のため、前面部に衝突荷重が加わると上面部が後方へスライドして断面が変形し、下面部が後端のヒンジを中心に持ち上がるように回転して、連結部材を前方へ振ることができる。また、内部には反力発生材が設けられているため、エネルギー吸収部材が変形する際に衝突荷重を確実に吸収することができる。
【0024】
請求項5記載の発明によれば、スライド片に締結部品が相対的に前方又は斜め前方へ移動するスライド孔を形成したため、エネルギー吸収部材に衝突荷重が加わった場合に、エネルギー吸収部材の上面部を確実に後方へスライドさせることができる。
【0025】
請求項6記載の発明によれば、エプロン部材がバンパフェイシアの下端部に対して前方スライド可能な状態で締結されるため、エプロン部材の前方移動がバンパフェイシアとの締結により邪魔されない。
【0026】
請求項7記載の発明によれば、スライド片がバンパレインフォースの上面部と締結部品の頭部との間に圧入されて、スライド片のスライド状態が上下の摩擦力によりロックされるため、エプロン部材の前方突出状態が保持され、エプロン部材により衝突荷重を効率良く分担することができる。
【0027】
請求項8記載の発明によれば、戻り防止手段により、スライド孔内で相対的に前方移動した締結部品の戻りが規制されるため、エプロン部材の前方突出状態が保持され、エプロン部材により衝突荷重を効率良く分担することができる。
【0028】
請求項9記載の発明によれば、締結部品は一対の突片間を相対的な前方移動により開いて通過することはできるが、その逆方向への力は一対の突片を閉じる方向へ作用するため、締結部品は逆側へ戻れず、スライド位置が維持される。
【0029】
請求項10記載の発明によれば、突片の先端形状を互いに係合して前後方向で位置ずれしない形状にしたため、仮に締結部品が戻り方向で突片に当たっても、突片の先端同士の前後方向での位置ずれが防止される分、締結部品の戻りはより確実に防止されることとなる。
【0030】
請求項11記載の発明によれば、締結部品は一対の突片を相対的な前方移動により前側へ開くように曲折させて通過することはできるが、一対の突片はその逆側へは曲折不能なため、締結部品は逆側へ戻れず、スライド位置が維持される。
【0031】
請求項12記載の発明によれば、締結部品は、1つの突片を相対的な前方移動により前側へ曲折させて通過することはできるが、突片は、その逆側へは凸部と係合して曲折不能なため、締結部品は逆側へ戻れず、スライド位置が維持される。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において、共通する部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0033】
図1〜図6は、この発明の第1実施形態を示す図である。図1は、自動車のフロント側のバンパ1の内部構造を示すもので、外側は軟質合成樹脂製のバンパフェイシア2(図2参照)にて覆われる。バンパ1の上側には、矩形の閉断面構造をしたバンパレインフォース3が車幅方向に沿って設けられている。このバンパレインフォース3は、金属製の強度部材で、バンパ1の全体強度を担っており、図示せぬステーを介して車体前部に固定される。
【0034】
バンパレインフォース3の前方には、同様に車幅方向に沿うエネルギー吸収部材4が取付けられる。エネルギー吸収部材4には、「連結部材」としてのエアガイド5を介して車幅方向に沿うエプロン部材6が下方に形成されている。エネルギー吸収部材4とエアガイド5とエプロン部材6とは、合成樹脂により一つの部品として一体成形されている。従って、バンパレインフォース3との組み付け作業は1回で済み、各部品別個に行う場合に比べて容易である。
【0035】
エアガイド5は、バンパフェイシア2の空気取入口7(図2参照)に臨まされた状態で左右に一対形成され、この空気取入口7からラジエータ(図示せず)へ導入される空気を整流する。
【0036】
エネルギー吸収部材4は、バンパレインフォース3の前面に取付けられる後面部8と、後面部8からヒンジ9を介して連続され且つエアガイド5が下方へ延びる下面部10と、下面部10から連続形成される前面部11と、前面部11からヒンジ12を介して連続形成され且つ後端に3本のスライド片13が形成された上面部14とから基本的に形成されている。
【0037】
そして、このエネルギー吸収部材4の内部には、両端も含めて合計5枚のリブ15が「反力発生材」として下面部10及び前面部11に結合された状態で設けられている。尚、このリブ15の代わりに、エネルギー吸収部材4の内部に発泡材等を充填しても良い。前面部11が若干前傾のため、内部のリブ15も前傾しており、リブ5とバンパレインフォース3との間には、隙間S(図2)が設けられている。
【0038】
後面部8及びバンパレインフォース3の前面には、それぞれ対応する取付孔16、17が形成され、この取付孔16、17同士がボルト・ナット手段18により締結されている。
【0039】
上面部14の後端から後方へ延びている3本のスライド片13には、スライド孔19が形成され、バンパレインフォース3の上面部には、対応する3つの取付孔20が形成されている。スライド片13の上面は、後方へ向けて下り傾斜しているため、先端が最も板厚が薄く、前側へ向けて次第に厚くなっている。
【0040】
バンパレインフォース3の取付孔20は円形で、ここに締結部品21が上下貫通状態で取付けられる。締結部品21は、上端に大径の頭部21aが形成され、下端にヤジリ状の係止部21bが形成されている。この締結部品21の頭部21aと係止部21bとの間に寸法は、バンパレインフォース3の上面部と、エネルギー吸収部材4の上面部14の厚さを足した寸法よりも若干小さく設定されている。
【0041】
バンパレインフォース3の取付孔20は、前述のように円形だが、スライド片13のスライド孔19は、複雑な形状をしている。スライド孔19は、基本的に途中が左右方向でクランクした長方形を基準としており、全体として前後方向に長い形状となっている。そして、この基本形状の中に、前端には、締結部品21の軸部に対応する半円部22を形成し、左右両縁からは、互いに先端を突き合わせた状態で斜め前方へ突出した一対の突片(戻り防止手段)23を形成し、前側には、左右一対の湾曲突起24を形成している。
【0042】
スライド孔19が途中でクランクしているのは、スライド孔19内を締結部品21が相対的に斜め前方へ移動するからでる。締結部品21が斜め前方へ移動する理由は、エネルギー吸収部材4全体が若干前側へ向けて突出したように湾曲しており、その湾曲したエネルギー吸収部材4が押されて直線状になる時に、スライド片13が斜め外側へスライドするためである。尚、後述するように、エネルギー吸収部材4の構造によっては、スライド片13が後方へ向けてストレートにスライドするタイプもある。
【0043】
一方、エアガイド5の下端に結合されたエプロン部材6は、上側が開口した容器形状で、このエプロン部材6の内部にも複数のリブ25が形成されている。このエプロン部材6は、車体には連結されておらず、バンパフェイシア2の下端部に別の締結部品26を介して取付けられている。バンパフェイシア2の下端部には、単純な長孔状のスライド孔27が前後方向に形成され、このスライド孔27とエプロン部材6の底面部とが、締結部品26により締結されている。従って、エネルギー吸収部材4は、バンパフェイシア2の下端部に対して前方へスライドすることができる。
【0044】
以上のような構造のバンパ1に対して、車両走行時に障害物Gが当たると、その障害物Gによる衝突荷重Fがエネルギー吸収部材4の前面部11に加わる。エネルギー吸収部材4は、4節リンクの一部を外したような開断面構造をしているため、前面部11が衝突荷重Fにより押されると、上面部14のスライド片13が後方へスライドして断面が変形し、下面部10が後端のヒンジ9を中心に持ち上がるように回転して、エアガイド5が前方へ振られる。
【0045】
エネルギー吸収部材4のリブ15とバンパレインフォース3との間に隙間Sが設けられているため、この隙間Sの分だけすぐに回転し、隙間Sが終了した後は、エネルギー吸収部材4はリブ15により十分な反力を障害物Gに及ぼして、その障害物Gのエネルギーを確実に吸収することができる。
【0046】
エアガイド5が前方へ振られると、エプロン部材6がバンパフェイシア2の下端部に対して前方へ突出し、実質的にこのエプロン部材6が障害物Gに当たることとなる。従って、下方のエプロン部材6と、上方のエネルギー吸収部材4とで、衝突荷重Fを効率良く分担して吸収することができる。エプロン部材6がバンパフェイシア2の下端部に対して前方へスライド可能な状態で締結されるため、エプロン部材6とバンパフェイシア2の締結は、エプロン部材6の前方移動を邪魔しない。
【0047】
このように、この実施形態によれば、エプロン部材6の前端の位置をエネルギー吸収部材4に一致させておく必要がないため、バンパ1の造形的自由度が損なわれることはない。また、エネルギー吸収部材4に加わる衝突荷重Fに応じて、エプロン部材6の前方突出力が決まるため、エネルギー吸収部材4への分担荷重が増せば、エプロン部材6の分担荷重も増し、物衝突荷重Fの効率の良い分担が可能で、バンパ1全体の衝突荷重吸収性能が高まる。
【0048】
また、後方へスライドしたスライド片13は、締結部品21に対応する部分の厚さが増すため、バンパレインフォース3の上面部と締結部品21の頭部21aとの間に圧入された状態となり、スライド片13のスライド状態が上下の摩擦力によりロックされるため、エプロン部材6の前方突出状態が保持されて、エプロン部材6による衝突荷重Fの効率の良い分担がより確実なものとなる。
【0049】
更に、スライド片13のスライド孔19内を相対的に前方移動した締結部品21は、一対の湾曲突起24の間で保持されると共に、その保持が仮に外れたとしても、一対の突片23を越えて逆側へ戻ることができない。すなわち、締結部品21は、一対の突片23間を相対的な前方移動により開いて通過することはできるが、その逆方向への力は一対の突片23を閉じる方向へ作用するため、締結部品21は逆側へ戻れず、スライド位置が維持される。従って、エプロン部材6の前方突出状態が確実に保持され、エプロン部材6により衝突荷重Fを効率良く分担することができる。
【0050】
図7は、この発明の第2実施形態を示す図で、別のスライド孔28の構造を示す図である。このスライド孔28は、基本的にストレートな長孔形状で、その途中の左右両縁から、先の第1実施形態同様に、互いに先端を突き合わせた状態で斜め前方へ突出した一対の突片29が形成されているが、この突片29が先の第1実施形態と異なるのは、それぞれの先端に、互いに係合して前後方向で位置ずれしないギザギザ形状29aが付与されている点である。従って、仮に締結部品21が戻り方向で突片29に当たっても、突片29の先端同士の前後方向での位置ズレが防止される分、締結部品21の戻りはより確実に防止されることとなる。
【0051】
図8は、この発明の第3実施形態を示す図で、更に別のスライド孔30の構造を示す図である。この第3実施形態では、スライド孔30の途中の左右両縁から、互いに先端を突き合わせた一対の突片31を形成している。この一対の突片31自体は斜めではないが、概略三角形状で、斜辺を後側に向けている。従って、締結部品21が相対的に前方移動する際は、一対の突片31を前側へ開くように曲折させて通過することはできる。しかし、突片31の結合部31aの位置が前側にオフセットしているため、この突片31は前側へは曲折可能だが、逆側へは突片31の後端がスライド孔30の縁部に当たって曲折不能となる。そのため、締結部品21は逆側へ戻れない。
【0052】
図9は、この発明の第4実施形態を示す図で、更に別のスライド孔32の構造を示す図である。この第4実施形態では、スライド孔32の左右両縁の一方側から、先端が他方側に形成された凸部33に前側から係合する一つの突片34が形成されている。また、この突片34も結合部34aは前側にオフセットしている。従って、締結部品21が相対的に前方移動する際は、一つの突片34を前側へ開くように曲折させて通過することはできる。しかし、突片34はその逆側へは、凸部33と係合して曲折不能となる。そのため、締結部品21は、逆側へ戻れない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態に係るバンパの内部構造を示す斜視図。
【図2】図1のバンパの非衝突状態を示す断面図。
【図3】図1のバンパの衝突状態を示す断面図。
【図4】図1及び図2のエプロン部材の前方突出状態を示す断面図。
【図5】図1及び図2のスライド片の後方スライド状態を示す断面図。
【図6】図5のスライド孔の後方スライド状態を示す平面図。
【図7】この発明の第2実施形態に係るスライド孔を示す平面図。
【図8】この発明の第3実施形態に係るスライド孔を示す平面図。
【図9】この発明の第4実施形態に係るスライド孔を示す平面図。
【符号の説明】
1 バンパ
2 バンパフェイシア
3 バンパレインフォース
4 エネルギー吸収部材
5 エアガイド(連結部材)
6 エプロン部材
10 下面部(連結部材が形成された部分)
13 スライド片
15 リブ(反力発生材)
19、28、30、32 スライド孔
21 締結部品
23、29、31、34 突片(戻り防止手段)
33 凸部
S 隙間
G 障害物
F 衝突荷重
【発明の属する技術分野】
この発明は、造形的自由度が損なわれずに、車両が障害物に衝突した際の衝突荷重を効率的に吸収することができる車両用バンパ構造を提供する。
【0002】
【従来の技術】
従来の自動車用バンパ構造としては、外装部材としてのバンパフェイシアの後側に、強度部材としてバンパレインフォースを設け、該バンパレインフォースと、その後方にある車体前部とを、前後方向に沿うバンパステーにより結合している。また、バンパフェイシアとバンパレインフォースとの間には、車両衝突時の衝突荷重を吸収するためのエネルギー吸収部材が設けられている。
【0003】
また、バンパレインフォースの下方には、車体前部に別のステーにより結合されたエプロン部材が設けられている。このエプロン部材は、車両の衝突時に上方のエネルギー吸収部材と同時に障害物へ当たることにより、障害物の回転をコントロールしながら衝突荷重の吸収を分担し、バンパ全体の衝突荷重吸収性能を高める役目をしている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−1848号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の技術にあっては、下方のエプロン部材と、上方のエネルギー吸収部材とを、障害物に対して同じタイミングで当てるべく、エプロン部材とエネルギー吸収部材の前端位置とを前後方向で一致させる必要があるため、どうしてもバンパの前面が垂直面となり、バンパ全体の造形的な自由度が損なわれていた。
【0006】
そこで、バンパの造形的自由度を高めるために、バンパとは別に設けたガードバーとエプロン部材とを連動させ、ガードバーに障害物が当たった時だけ、エプロン部材を前方へ突出させる構造(前記特許文献1参照)にすることもできる。この構造によれば、最初からエプロン部材の前端をエネルギー吸収部材の前端と一致させておく必要がないため、造形的自由度は高まる。但し、バンパとは別のガードバーとエプロン部材とを連動させる構造のため、ガードバーに加わる衝突荷重の程度によって、エプロン部材の突出量が左右されてしまい、エネルギー吸収部材とエプロン部材とで衝突荷重を効率良く分担できない場合があり得る。
【0007】
この発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、造形的自由度が損なわれずに、車両が障害物に衝突した際の衝突荷重を効率的に分担することができる車両用バンパ構造を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、上方には車体に固定されたバンパレインフォースが、下方にはエプロン部材が、それぞれ車幅方向に沿った状態で設けられていると共に、バンパレインフォースの前側にはエネルギー吸収部材が取付けられている車両用バンパ構造であって、前記エプロン部材は、車体に固定せずに、連結部材を介してエネルギー吸収部材に取付けられ、エネルギー吸収部材は、少なくとも連結部材を取付けた部分が、前側からの衝突荷重を受けた際に、ヒンジを中心にして連結部材を前方へ振る方向へ回転する構造になっていることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、エネルギー吸収部材、連結部材、エプロン部材が合成樹脂による一体成形品であることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、連結部材がエアガイドであることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、エネルギー吸収部材が、バンパレインフォースの前面に取付けられる後面部と、後面部からヒンジを介して連続され且つ連結部材が形成された下面部と、下面部から連続形成され且つ衝突荷重が入力される前面部と、前面部から連続形成され且つ後端からバンパレインフォースの上面部に後方スライド可能な状態で締結されるスライド片が形成された上面部と、内部に形成された反力発生材と、から構成された合成樹脂成形品であることを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、スライド片には、スライド片の後方スライド時にバンパレインフォースの上面部に締結された締結部品が相対的に前方又は斜め前方へ移動するスライド孔が形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の発明は、全体が車体に固定されたバンパフェイシアにより外装され、エプロン部材がバンパフェイシアの下端部に対して前方スライド可能な状態で締結されることを特徴とする。
【0014】
請求項7記載の発明は、締結部品はバンパレインフォースの上面部に上下動自在な貫通状態で締結され、該締結部品の上端にはスライド片に上側から係合する頭部が形成され、下端にはバンパレインフォースの上面部に下側から係合する係止部が形成されていると共に、スライド片は後側から前側に向けて板厚が増加し、締結部品がスライド孔内を相対的に前方移動した際に、スライド片がバンパレインフォースの上面部と締結部品の頭部との間に圧入されることを特徴とする。
【0015】
請求項8記載の発明は、スライド孔に、相対的に前方移動した締結部品の後方への戻りを規制する戻り防止手段が設けられてることを特徴とする。
【0016】
請求項9記載の発明は、戻り防止手段が、スライド孔の左右両縁側から互いに先端を突き合わせた状態で斜め前方へ突出した一対の突片から形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項10記載の発明は、戻り防止手段が、先端形状を互いに係合させて前後方向で位置ずれしない形状とした一対の突片から形成されていることを特徴とする。
【0018】
請求項11記載の発明は、戻り防止手段が、スライド孔の左右両縁側から互いに先端を突き合わせた状態で且つ前側方向のみに曲折可能な形状を有する一対の突片から形成されていることを特徴とする。
【0019】
請求項12記載の発明は、戻り防止手段が、スライド孔の左右両縁の一方側から形成され且つ先端が他方側に形成された突起に前側から係合する一つの突片から形成されていることを特徴とする。
【0020】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、衝突荷重がエネルギー吸収部材に加わると、少なくとも連結部材を取付けた部分がヒンジを中心に回転して、連結部材が前方へ振られるため、エプロン部が前方へ突出する。従って、エプロン部材の前端の位置を最初からエネルギー吸収部材に一致させておく必要がなく、バンパの造形的自由度が向上する。また、エネルギー吸収部材に加わる衝突荷重に応じて、エプロン部材の前方突出力が決まるため、衝突荷重を効率良く分担することができ、バンパ全体の衝突荷重吸収性能が高まる。
【0021】
請求項2記載の発明によれば、エネルギー吸収部材、連結部材、エプロン部材が合成樹脂による一体成形品であるため、バンパレインフォースとの組み付け作業が、各部品別個に行う場合に比べて容易である。
【0022】
請求項3記載の発明によれば、連結部材がエアガイドであるため、連結部材によりバンパを通過する空気の整流を行うことができる。
【0023】
請求項4記載の発明によれば、エネルギー吸収部材が4節リンクの一部を外したような開断面構造のため、前面部に衝突荷重が加わると上面部が後方へスライドして断面が変形し、下面部が後端のヒンジを中心に持ち上がるように回転して、連結部材を前方へ振ることができる。また、内部には反力発生材が設けられているため、エネルギー吸収部材が変形する際に衝突荷重を確実に吸収することができる。
【0024】
請求項5記載の発明によれば、スライド片に締結部品が相対的に前方又は斜め前方へ移動するスライド孔を形成したため、エネルギー吸収部材に衝突荷重が加わった場合に、エネルギー吸収部材の上面部を確実に後方へスライドさせることができる。
【0025】
請求項6記載の発明によれば、エプロン部材がバンパフェイシアの下端部に対して前方スライド可能な状態で締結されるため、エプロン部材の前方移動がバンパフェイシアとの締結により邪魔されない。
【0026】
請求項7記載の発明によれば、スライド片がバンパレインフォースの上面部と締結部品の頭部との間に圧入されて、スライド片のスライド状態が上下の摩擦力によりロックされるため、エプロン部材の前方突出状態が保持され、エプロン部材により衝突荷重を効率良く分担することができる。
【0027】
請求項8記載の発明によれば、戻り防止手段により、スライド孔内で相対的に前方移動した締結部品の戻りが規制されるため、エプロン部材の前方突出状態が保持され、エプロン部材により衝突荷重を効率良く分担することができる。
【0028】
請求項9記載の発明によれば、締結部品は一対の突片間を相対的な前方移動により開いて通過することはできるが、その逆方向への力は一対の突片を閉じる方向へ作用するため、締結部品は逆側へ戻れず、スライド位置が維持される。
【0029】
請求項10記載の発明によれば、突片の先端形状を互いに係合して前後方向で位置ずれしない形状にしたため、仮に締結部品が戻り方向で突片に当たっても、突片の先端同士の前後方向での位置ずれが防止される分、締結部品の戻りはより確実に防止されることとなる。
【0030】
請求項11記載の発明によれば、締結部品は一対の突片を相対的な前方移動により前側へ開くように曲折させて通過することはできるが、一対の突片はその逆側へは曲折不能なため、締結部品は逆側へ戻れず、スライド位置が維持される。
【0031】
請求項12記載の発明によれば、締結部品は、1つの突片を相対的な前方移動により前側へ曲折させて通過することはできるが、突片は、その逆側へは凸部と係合して曲折不能なため、締結部品は逆側へ戻れず、スライド位置が維持される。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において、共通する部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0033】
図1〜図6は、この発明の第1実施形態を示す図である。図1は、自動車のフロント側のバンパ1の内部構造を示すもので、外側は軟質合成樹脂製のバンパフェイシア2(図2参照)にて覆われる。バンパ1の上側には、矩形の閉断面構造をしたバンパレインフォース3が車幅方向に沿って設けられている。このバンパレインフォース3は、金属製の強度部材で、バンパ1の全体強度を担っており、図示せぬステーを介して車体前部に固定される。
【0034】
バンパレインフォース3の前方には、同様に車幅方向に沿うエネルギー吸収部材4が取付けられる。エネルギー吸収部材4には、「連結部材」としてのエアガイド5を介して車幅方向に沿うエプロン部材6が下方に形成されている。エネルギー吸収部材4とエアガイド5とエプロン部材6とは、合成樹脂により一つの部品として一体成形されている。従って、バンパレインフォース3との組み付け作業は1回で済み、各部品別個に行う場合に比べて容易である。
【0035】
エアガイド5は、バンパフェイシア2の空気取入口7(図2参照)に臨まされた状態で左右に一対形成され、この空気取入口7からラジエータ(図示せず)へ導入される空気を整流する。
【0036】
エネルギー吸収部材4は、バンパレインフォース3の前面に取付けられる後面部8と、後面部8からヒンジ9を介して連続され且つエアガイド5が下方へ延びる下面部10と、下面部10から連続形成される前面部11と、前面部11からヒンジ12を介して連続形成され且つ後端に3本のスライド片13が形成された上面部14とから基本的に形成されている。
【0037】
そして、このエネルギー吸収部材4の内部には、両端も含めて合計5枚のリブ15が「反力発生材」として下面部10及び前面部11に結合された状態で設けられている。尚、このリブ15の代わりに、エネルギー吸収部材4の内部に発泡材等を充填しても良い。前面部11が若干前傾のため、内部のリブ15も前傾しており、リブ5とバンパレインフォース3との間には、隙間S(図2)が設けられている。
【0038】
後面部8及びバンパレインフォース3の前面には、それぞれ対応する取付孔16、17が形成され、この取付孔16、17同士がボルト・ナット手段18により締結されている。
【0039】
上面部14の後端から後方へ延びている3本のスライド片13には、スライド孔19が形成され、バンパレインフォース3の上面部には、対応する3つの取付孔20が形成されている。スライド片13の上面は、後方へ向けて下り傾斜しているため、先端が最も板厚が薄く、前側へ向けて次第に厚くなっている。
【0040】
バンパレインフォース3の取付孔20は円形で、ここに締結部品21が上下貫通状態で取付けられる。締結部品21は、上端に大径の頭部21aが形成され、下端にヤジリ状の係止部21bが形成されている。この締結部品21の頭部21aと係止部21bとの間に寸法は、バンパレインフォース3の上面部と、エネルギー吸収部材4の上面部14の厚さを足した寸法よりも若干小さく設定されている。
【0041】
バンパレインフォース3の取付孔20は、前述のように円形だが、スライド片13のスライド孔19は、複雑な形状をしている。スライド孔19は、基本的に途中が左右方向でクランクした長方形を基準としており、全体として前後方向に長い形状となっている。そして、この基本形状の中に、前端には、締結部品21の軸部に対応する半円部22を形成し、左右両縁からは、互いに先端を突き合わせた状態で斜め前方へ突出した一対の突片(戻り防止手段)23を形成し、前側には、左右一対の湾曲突起24を形成している。
【0042】
スライド孔19が途中でクランクしているのは、スライド孔19内を締結部品21が相対的に斜め前方へ移動するからでる。締結部品21が斜め前方へ移動する理由は、エネルギー吸収部材4全体が若干前側へ向けて突出したように湾曲しており、その湾曲したエネルギー吸収部材4が押されて直線状になる時に、スライド片13が斜め外側へスライドするためである。尚、後述するように、エネルギー吸収部材4の構造によっては、スライド片13が後方へ向けてストレートにスライドするタイプもある。
【0043】
一方、エアガイド5の下端に結合されたエプロン部材6は、上側が開口した容器形状で、このエプロン部材6の内部にも複数のリブ25が形成されている。このエプロン部材6は、車体には連結されておらず、バンパフェイシア2の下端部に別の締結部品26を介して取付けられている。バンパフェイシア2の下端部には、単純な長孔状のスライド孔27が前後方向に形成され、このスライド孔27とエプロン部材6の底面部とが、締結部品26により締結されている。従って、エネルギー吸収部材4は、バンパフェイシア2の下端部に対して前方へスライドすることができる。
【0044】
以上のような構造のバンパ1に対して、車両走行時に障害物Gが当たると、その障害物Gによる衝突荷重Fがエネルギー吸収部材4の前面部11に加わる。エネルギー吸収部材4は、4節リンクの一部を外したような開断面構造をしているため、前面部11が衝突荷重Fにより押されると、上面部14のスライド片13が後方へスライドして断面が変形し、下面部10が後端のヒンジ9を中心に持ち上がるように回転して、エアガイド5が前方へ振られる。
【0045】
エネルギー吸収部材4のリブ15とバンパレインフォース3との間に隙間Sが設けられているため、この隙間Sの分だけすぐに回転し、隙間Sが終了した後は、エネルギー吸収部材4はリブ15により十分な反力を障害物Gに及ぼして、その障害物Gのエネルギーを確実に吸収することができる。
【0046】
エアガイド5が前方へ振られると、エプロン部材6がバンパフェイシア2の下端部に対して前方へ突出し、実質的にこのエプロン部材6が障害物Gに当たることとなる。従って、下方のエプロン部材6と、上方のエネルギー吸収部材4とで、衝突荷重Fを効率良く分担して吸収することができる。エプロン部材6がバンパフェイシア2の下端部に対して前方へスライド可能な状態で締結されるため、エプロン部材6とバンパフェイシア2の締結は、エプロン部材6の前方移動を邪魔しない。
【0047】
このように、この実施形態によれば、エプロン部材6の前端の位置をエネルギー吸収部材4に一致させておく必要がないため、バンパ1の造形的自由度が損なわれることはない。また、エネルギー吸収部材4に加わる衝突荷重Fに応じて、エプロン部材6の前方突出力が決まるため、エネルギー吸収部材4への分担荷重が増せば、エプロン部材6の分担荷重も増し、物衝突荷重Fの効率の良い分担が可能で、バンパ1全体の衝突荷重吸収性能が高まる。
【0048】
また、後方へスライドしたスライド片13は、締結部品21に対応する部分の厚さが増すため、バンパレインフォース3の上面部と締結部品21の頭部21aとの間に圧入された状態となり、スライド片13のスライド状態が上下の摩擦力によりロックされるため、エプロン部材6の前方突出状態が保持されて、エプロン部材6による衝突荷重Fの効率の良い分担がより確実なものとなる。
【0049】
更に、スライド片13のスライド孔19内を相対的に前方移動した締結部品21は、一対の湾曲突起24の間で保持されると共に、その保持が仮に外れたとしても、一対の突片23を越えて逆側へ戻ることができない。すなわち、締結部品21は、一対の突片23間を相対的な前方移動により開いて通過することはできるが、その逆方向への力は一対の突片23を閉じる方向へ作用するため、締結部品21は逆側へ戻れず、スライド位置が維持される。従って、エプロン部材6の前方突出状態が確実に保持され、エプロン部材6により衝突荷重Fを効率良く分担することができる。
【0050】
図7は、この発明の第2実施形態を示す図で、別のスライド孔28の構造を示す図である。このスライド孔28は、基本的にストレートな長孔形状で、その途中の左右両縁から、先の第1実施形態同様に、互いに先端を突き合わせた状態で斜め前方へ突出した一対の突片29が形成されているが、この突片29が先の第1実施形態と異なるのは、それぞれの先端に、互いに係合して前後方向で位置ずれしないギザギザ形状29aが付与されている点である。従って、仮に締結部品21が戻り方向で突片29に当たっても、突片29の先端同士の前後方向での位置ズレが防止される分、締結部品21の戻りはより確実に防止されることとなる。
【0051】
図8は、この発明の第3実施形態を示す図で、更に別のスライド孔30の構造を示す図である。この第3実施形態では、スライド孔30の途中の左右両縁から、互いに先端を突き合わせた一対の突片31を形成している。この一対の突片31自体は斜めではないが、概略三角形状で、斜辺を後側に向けている。従って、締結部品21が相対的に前方移動する際は、一対の突片31を前側へ開くように曲折させて通過することはできる。しかし、突片31の結合部31aの位置が前側にオフセットしているため、この突片31は前側へは曲折可能だが、逆側へは突片31の後端がスライド孔30の縁部に当たって曲折不能となる。そのため、締結部品21は逆側へ戻れない。
【0052】
図9は、この発明の第4実施形態を示す図で、更に別のスライド孔32の構造を示す図である。この第4実施形態では、スライド孔32の左右両縁の一方側から、先端が他方側に形成された凸部33に前側から係合する一つの突片34が形成されている。また、この突片34も結合部34aは前側にオフセットしている。従って、締結部品21が相対的に前方移動する際は、一つの突片34を前側へ開くように曲折させて通過することはできる。しかし、突片34はその逆側へは、凸部33と係合して曲折不能となる。そのため、締結部品21は、逆側へ戻れない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態に係るバンパの内部構造を示す斜視図。
【図2】図1のバンパの非衝突状態を示す断面図。
【図3】図1のバンパの衝突状態を示す断面図。
【図4】図1及び図2のエプロン部材の前方突出状態を示す断面図。
【図5】図1及び図2のスライド片の後方スライド状態を示す断面図。
【図6】図5のスライド孔の後方スライド状態を示す平面図。
【図7】この発明の第2実施形態に係るスライド孔を示す平面図。
【図8】この発明の第3実施形態に係るスライド孔を示す平面図。
【図9】この発明の第4実施形態に係るスライド孔を示す平面図。
【符号の説明】
1 バンパ
2 バンパフェイシア
3 バンパレインフォース
4 エネルギー吸収部材
5 エアガイド(連結部材)
6 エプロン部材
10 下面部(連結部材が形成された部分)
13 スライド片
15 リブ(反力発生材)
19、28、30、32 スライド孔
21 締結部品
23、29、31、34 突片(戻り防止手段)
33 凸部
S 隙間
G 障害物
F 衝突荷重
Claims (12)
- 上方には車体に固定されたバンパレインフォースが、下方にはエプロン部材が、それぞれ車幅方向に沿った状態で設けられていると共に、バンパレインフォースの前側にはエネルギー吸収部材が取付けられている車両用バンパ構造であって、
前記エプロン部材は、車体に固定せずに、連結部材を介してエネルギー吸収部材に取付けられ、
エネルギー吸収部材は、少なくとも連結部材を取付けた部分が、前側からの衝突荷重を受けた際に、ヒンジを中心にして連結部材を前方へ振る方向へ回転する構造になっていることを特徴とする車両用バンパ構造。 - 請求項1記載の車両用バンパ構造であって、
前記エネルギー吸収部材、連結部材、エプロン部材が合成樹脂による一体成形品であることを特徴とする車両用バンパ構造。 - 請求項1又は請求項2記載の車両用バンパ構造であって、
前記連結部材が、エアガイドであることを特徴とする車両用バンパ構造。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用バンパ構造であって、
前記エネルギー吸収部材が、バンパレインフォースの前面に取付けられる後面部と、後面部からヒンジを介して連続され且つ連結部材が形成された下面部と、下面部から連続形成され且つ衝突荷重が入力される前面部と、前面部から連続形成され且つ後端からバンパレインフォースの上面部に後方スライド可能な状態で締結されるスライド片が形成された上面部と、内部に形成された反力発生材と、から構成された合成樹脂成形品であることを特徴とする車両用バンパ構造。 - 請求項4記載の車両用バンパ構造であって、
前記スライド片には、スライド片の後方スライド時にバンパレインフォースの上面部に締結された締結部品が相対的に前方又は斜め前方へ移動するスライド孔が形成されていることを特徴とする車両用バンパ構造。 - 請求項5記載の車両用バンパ構造であって、
全体が車体に固定されたバンパフェイシアにより外装され、エプロン部材がバンパフェイシアの下端部に対して前方スライド可能な状態で締結されることを特徴とする車両用バンパ構造。 - 請求項5記載の車両用バンパ構造であって、
前記締結部品は、バンパレインフォースの上面部に上下動自在な貫通状態で締結され、該締結部品の上端にはスライド片に上側から係合する頭部が形成され、下端にはバンパレインフォースの上面部に下側から係合する係止部が形成されていると共に、
スライド片は後側から前側に向けて板厚が増加し、締結部品がスライド孔内を相対的に前方移動した際に、スライド片がバンパレインフォースの上面部と締結部品の頭部との間に圧入されることを特徴とする車両用バンパ構造。 - 請求項5記載の車両用バンパ構造であって、
スライド孔に、相対的に前方移動した締結部品の後方への戻りを規制する戻り防止手段が設けられてることを特徴とする車両用バンパ構造。 - 請求項8記載の車両用バンパ構造であって、
戻り防止手段が、スライド孔の左右両縁側から互いに先端を突き合わせた状態で斜め前方へ突出した一対の突片から形成されていることを特徴とする車両用バンパ構造。 - 請求項9記載の車両用バンパ構造であって、
戻り防止手段が、先端形状を互いに係合させて前後方向で位置ずれしない形状とした一対の突片から形成されていることを特徴とする車両用バンパ構造。 - 請求項9記載の車両用バンパ構造であって、
戻り防止手段が、スライド孔の左右両縁側から互いに先端を突き合わせた状態で且つ前側方向のみに曲折可能な形状を有する一対の突片から形成されていることを特徴とする車両用バンパ構造。 - 請求項9記載の車両用バンパ構造であって、
戻り防止手段が、スライド孔の左右両縁の一方側から形成され且つ先端が他方側に形成された突起に前側から係合する一つの突片から形成されていることを特徴とする車両用バンパ構造。
Priority Applications (1)
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US7296833B2 (en) * | 2005-09-27 | 2007-11-20 | Sabic Innovative Plastics Ip Bv | Bumper system with integrated energy absorber underbar |
JP2008056011A (ja) * | 2006-08-30 | 2008-03-13 | Toyota Motor Corp | 車両前後方向端部構造 |
JP2008074264A (ja) * | 2006-09-21 | 2008-04-03 | Mazda Motor Corp | 車両の前部車体構造 |
JP2011057209A (ja) * | 2009-09-04 | 2011-03-24 | Toyota Motor Engineering & Manufacturing North America Inc | 車両用フロントエンド組立体 |
-
2003
- 2003-03-13 JP JP2003068273A patent/JP2004276673A/ja active Pending
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