JP2004261944A - カラー取外工具 - Google Patents

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Hisashi Uneda
壽 畝田
Yasuro Morimoto
安郎 森本
Taichi Honda
太一 本田
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Abstract

【課題】カラーを円滑に取り外すことができるカラー取外工具の提供。
【解決手段】穴部18R,23Rに挿入された状態で穴部18R,23Rより大径のカラー24Lを取り外すカラー取外工具11であって、軸部40の先端側に軸部40の半径方向外側に拡開可能であって閉状態で穴部18R,23Rに挿入可能であり開状態でカラー24Lに当接可能な頭部43を設け、軸部40の基端側に頭部43を開閉させる操作部42を設けるとともに、穴部18Rに嵌合することで開状態の頭部43をカラー24Lに対し半径方向に位置決めするガイド部材44を軸部40に摺動自在に設けてなる。
【選択図】 図9

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラーを取り外す際に用いられるカラー取外工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ブッシュを取り外す際に用いられるブッシュ取外工具に関するものとして、軸部の先端側に、この軸部の半径方向外側に拡開可能であって閉状態でブッシュの穴部を通過可能であり開状態でブッシュに当接可能な頭部を設けたものがある。このブッシュ取付工具は、引抜治具に取り付けられて使用されるものであり、閉状態の頭部をブッシュの内周側に進入させた後、開状態とした頭部をブッシュに当接させてこの頭部を引抜治具で引き抜き方向に移動させることによってブッシュを引き抜くものとなっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−85636号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、自動二輪車等においてカラーを取り外すカラー取外工具として上記構成の頭部を用いることを考えた。つまり、閉状態の頭部を穴部に挿入し、その後、開状態とした頭部でカラーを押圧して取り外すのである。しかしながら、カラーの肉厚を厚くできれば問題ないものの、カラーの肉厚によっては、開状態の頭部が、カラーが圧入されていた圧入壁面に必要以上の力で接触してしまい、その結果、円滑にカラーを取り外すことができない可能性があった。
【0005】
したがって、本発明は、カラーを円滑に取り外すことができるカラー取外工具の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、穴部(例えば実施の形態におけるピボット軸挿通孔18L,18R)に挿入された状態で該穴部より大径のカラー(例えば実施の形態におけるカラー24L,24R)を取り外すカラー取外工具(例えば実施の形態におけるカラー取外工具11)であって、軸部(例えば実施の形態における軸部40)の先端側に、該軸部の半径方向外側に拡開可能であって閉状態で前記穴部に挿入可能であり開状態で前記カラーに当接可能な頭部(例えば実施の形態における頭部43)を設け、前記軸部の基端側に前記頭部を開閉させる操作部(例えば実施の形態における操作部42)を設けるとともに、前記穴部に嵌合することで開状態の前記頭部を前記カラーに対し半径方向に位置決めするガイド部材(例えば実施の形態におけるガイド部材44)を前記軸部に摺動自在に設けてなることを特徴としている。
【0007】
これにより、閉状態の頭部を穴部に挿入させた後、ガイド部材を軸部に対し摺動させて穴部に嵌合させるとともに、頭部を開状態とすると、開状態の頭部がカラーに対し半径方向に位置決めされることになる。よって、この状態で、ガイド部材に対し軸部を摺動させて頭部を移動させ、頭部でカラーを押圧して取り外すと、頭部はカラーに対し半径方向に位置決めされた状態で移動することになり、例えカラーが薄肉であっても、偏った力で押圧してカラーを傷めたり、カラーが圧入されていた圧入壁面に必要以上の力で接触することを防止できる。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記頭部には、前記ガイド部材が前記穴部に嵌合した状態で、前記カラーの端面(例えば実施の形態における端面24a)に当接可能な当接面(例えば実施の形態における当接面55f,57f)と該当接面の内側にあって前記カラーの内径側に進入可能な突出部(例えば実施の形態における突出部55g,57g)とが設けられていることを特徴としている。
【0009】
これにより、ガイド部材を穴部に嵌合させることで、頭部がカラーに対し半径方向に位置決めされると、頭部はカラーの端面に当接面で当接するとともに当接面の内側の突出部がカラーの内径側に進入する。よって、ガイド部材と頭部の突出部とで軸線方向における前後両側が支持された状態でカラーを押圧することになるため、カラーを傷めることおよび圧入壁面に必要以上の力で接触することをさらに確実に防止できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態のカラー取外工具を図面を参照して以下に説明する。
【0011】
まず、本実施形態のカラー取外工具11が使用される自動二輪車の要部について説明する。なお、説明中、前後および左右といった方向の記載は、車体を基準にしたものとする。
【0012】
図1は、上記要部であるエンジン12のクランクケース13の後端部分の分解図を示しており、このクランクケース13の後端部分の左右両側には、左右のピボットフレーム14L,14Rが配設されていて、クランクケース13と各ピボットフレーム14L,14Rとの間に後輪を支持するリヤスイングアーム15が回動可能に支持される構造となっている。
【0013】
左側のピボットフレーム14Lにはピボット支持孔17Lが左右方向に形成されており、このピボット支持孔17Lには、ピボット軸挿通孔18Lを有するアジャストボルト19Lが螺合されていて、このアジャストボルト19Lの外周にはアジャストボルト19Lを固定するロックナット20Lが螺合されている。
【0014】
同様に、右側のピボットフレーム14Rにはピボット支持孔17Rが左右方向に形成されており、このピボット支持孔17Rには、ピボット軸挿通孔18Rを有するアジャストボルト19Rが螺合されていて、このアジャストボルト19Rの外周にはアジャストボルト19Rを固定するロックナット20Rが螺合されている。
【0015】
なお、ピボットフレーム14L,14Rに螺合された状態で、アジャストボルト19L,19Rのピボット軸挿通孔18L,18Rは、同軸上に配置されている。
【0016】
一方、これらピボットフレーム14L,14Rの間に配置されるエンジン12のクランクケース13の後端部分には、左側にピボット支持孔22Lが形成されており、このピボット支持孔22Lには、ピボット軸挿通孔23Lを有する左側のカラー24Lが外側から圧入されている。
【0017】
同様に、エンジン12のクランクケース13の後端部分の右側にはピボット支持孔22Rが形成されており、このピボット支持孔22Rには、ピボット軸挿通孔23Rを有する右側のカラー24Rが外側から圧入されている。
【0018】
なお、エンジン12のクランクケース13に取り付けられた状態で、カラー24L,24Rのピボット軸挿通孔23L,23Rは同軸上に配置されており、しかも、これらピボット軸挿通孔23L,23Rは、ピボットフレーム14L,14Rに螺合されたアジャストボルト19L,19Rのピボット軸挿通孔18L,18Rに対しても同軸上に配置されている。また、クランクケース13には、左右のピボット支持孔22L,22Rの間に、これらピボット支持孔22L,22Rよりも大径の逃穴部25がこれらと同軸に形成されている。
【0019】
リヤスイングアーム15の左側のアーム部27Lの前端部には回転支持孔28Lが形成されており、右側のアーム部27Rの前端部にも回転支持孔28Rが形成されている。そして、左側のピボットフレーム14Lとエンジン12との間にリヤスイングアーム15の左側のアーム部27Lが配置されるとともに、右側のピボットフレーム14Rとエンジン12との間にリヤスイングアーム15の右側のアーム部27Rが配置される。
【0020】
そして、アジャストボルト19L,19R側のピボット軸挿通孔18L,18Rと、リヤスイングアーム15の回転支持孔28L,28Rと、カラー24L,24Rのピボット軸挿通孔23L,23Rとを同軸に配置した状態でこれらにピボット軸30が挿通され、このピボット軸30にナット31が螺合されることで、リヤスイングアーム15がエンジン12およびピボットフレーム14L,14Rに回動可能に支持される。
【0021】
ここで、左右のカラー24L,24Rは、ともに、円筒部33とその軸線方向一側から径方向外側に突出するフランジ部34とを有している。そして、左側のカラー24Lは円筒部33においてクランクケース13の左側のピボット支持孔22Lに圧入される。同様に、右側のカラー24Rも、円筒部33においてクランクケース13の右側のピボット支持孔22Rに圧入される。なお、カラー24L,24Rは、ともにフランジ部34をクランクケース13に当接させる位置まで圧入される。
【0022】
そして、本実施形態のカラー取外工具11は、カラー24L,24Rをクランクケース13から取り外す際に使用されるもので、使用者によって手持ち操作される。以下にこのカラー取外工具11について説明するが、以下の説明における基端側は使用者の手元側を示し、先端側は基端側に対し反対側を示す。
【0023】
カラー取外工具11は、図2〜図4に示すように、円筒状の軸部40と、この軸部40の内側に挿通される円柱状の操作軸41と、軸部40の基端側に設けられるとともに操作軸41が嵌合される円筒状の操作部42と、軸部40の先端側に設けられる頭部43と、軸部40に摺動自在に保持されたガイド部材44とを有している。
【0024】
軸部40は、軸線方向に長い円筒状をなしている。
操作軸41は、軸部40よりも軸線方向に長い円柱状をなしていて、軸部40に回転可能に嵌合される。
【0025】
操作部42は、軸部40と同径で軸線方向に長い円筒状をなしている。そして、操作部42は、軸部40に挿通された操作軸41の軸部40から基端側に突出する部分を嵌合させており、この状態で軸直交方向に嵌合されたピン46によって操作軸41と一体化されかつ軸部40と同軸をなしている。なお、ピン46は一部が操作部42から突出する状態とされてストッパ部47を構成している。
【0026】
頭部43は、図5および図6にも示すように、先端側の一部が切り欠かれた円柱状をなすとともに軸部40に対して半径方向一側に偏心した状態で一体的に設けられる軸部40より大径の頭部本体50を有している。この頭部本体50は、その軸線方向における基端側が、軸部40と同軸をなすよう頭部本体50に対し偏心して嵌合穴51が穿設された円柱状の基部52とされている。
【0027】
頭部本体50は、軸線方向における先端側が円弧状をなす円弧状部55を残して切り欠かれた形状をなしている。円弧状部55は、外周面55aが基部52の外周面52aと連続する円弧状をなしており、内周面55bが、基部52の外周面52aに対し偏心する軸部40の内周面40aと同軸の円弧状をなしている。その結果、円弧状部55は円周方向にそって徐々に肉厚が厚くなる形状をなしている。つまり、円弧状部55は、軸部40に対し偏心することで円周方向に沿って徐々に肉厚が変化する形状をなす基部52と同様に肉厚が変化する形状をなしている。なお、円弧状部55は円周方向に間隔をあけて配置される両側面55c,55dが軸部40の軸線を含む平面に沿っており、これら両側面55c,55dが互いに略135度の角度をなしている。
【0028】
また、頭部43は、頭部本体50の切り欠かれた部分に配置される円弧状の回動部57を有している。この回動部57は、頭部本体50の切欠部分に突出する操作軸41に溶接等で固定されており、その結果、軸部40の基端側の操作部42が回転操作されると操作軸41を介して操作軸41を中心に回動させられる。この回動部57は頭部本体50の切欠部分の範囲内で回動可能とされており、円弧状部55の厚肉側の側面55cに当接する状態と、薄肉側の側面55dに当接する状態との間で回動する。
【0029】
ここで、図5に示すように、円弧状部55の厚肉側の側面55cに当接した状態、つまり基部52の厚肉側に位置した状態で、回動部57は、外周面57aが基部52の外周面52aと連続する円弧状をなし、内周面57bが、基部52の外周面52aに対し偏心する操作軸41に同軸をなして固定される。その結果、回動部57は、円周方向にそって徐々に肉厚が厚くなる形状をなすことになり、円弧状部55の厚肉側の側面55cに当接した状態においては、基部52と同様に肉厚が変化する形状をなしている。
【0030】
しかも、回動部57は、円周方向に間隔をおいて配置される両側面57c,57dのうち、厚肉側の側面57cを円弧状部55の厚肉側の側面55cに当接可能に対向させ、薄肉側の側面57dを円弧状部55の薄肉側の側面55dに当接可能に対向させることになる。なお、両側面57c,57dは操作軸41の軸線を含む平面に沿っており、これら両側面57c,57dが互いに略135度の角度をなしている。ここで、円弧状部55および回動部57がそれぞれ略135度の角度をなすことで、回動部57は略90度、操作軸41を中心に回動可能となっている。
【0031】
以上のように、円弧状部55の厚肉側の側面55cに当接した状態において、回動部57は、半径方向において基部52から外側に突出することはない。このときの頭部43および回動部57の状態を閉状態と称す。この閉状態において頭部43は、ピボットフレーム14L,14R側のピボット軸挿通孔(穴部)18L,18Rおよびこれらと同径のカラー24のピボット軸挿通孔(穴部)23L,23Rを軸方向に通過可能な外径D1になる。
【0032】
一方、図6に示すように、回動し円弧状部55の薄肉側の側面55dに当接した状態、つまり基部52の薄肉側に位置した状態において、回動部57は、閉状態において基部52の厚肉側に配置されていた部分が基部52の薄肉側に移動することになり、その結果、その外周面57aが半径方向において基部52の外周面52aから外側に位置する。つまり、回動部57が基部52の半径方向外側に突出することになる。このときの頭部43および回動部57の状態を開状態と称す。この開状態において頭部43は、カラー24L,24Rのピボット軸挿通孔23L,23Rを軸方向に通過不可な大きさ、つまりカラー24R,24Lに当接してこれらを押し出す最大外径D2になる(D2>D1)。
【0033】
そして、円弧状部55には、その先端部の外周面55a側に軸方向に凹む段部55eが形成されており、その結果、外周面55a側の端部に軸直交方向に沿う当接面55fが形成され、当接面55fの内側に先端側に突出する突出部55gが形成されている。なお、突出部55gは操作軸41を中心とした円弧状をなすように形成されており、その結果、当接面55fは厚肉の側面55c側ほど面積が広くなる形状をなしている。
【0034】
同様に、回動部57にも、その先端部の外周面57a側に軸方向に凹む段部57eが形成されており、その結果、外周面57a側の端部に軸直交方向に沿う当接面57fが形成され、当接面57fの内側に先端側に突出する突出部57gが形成されている。なお、突出部57gも操作軸41を中心とした円弧状をなすように形成されており、その結果、当接面57fは厚肉の側面57c側ほど面積が広くなる形状をなしている。なお、回動部57つまり頭部43が開状態にあるとき、当接面55f,57fは、カラー24L,24Rのフランジ部34に対し反対側の端面24aに重なり合うことが可能な大きさとされており、突出部55g,57gはカラー24L,24Rの内径側をガタツキなく保持できる大きさとされている。
【0035】
以上の結果、カラー取外工具11は、軸部40の先端側にこの軸部40の半径方向外側に拡開可能であって閉状態でピボットフレーム14L,14R側のピボット軸挿通孔18L,18Rおよびカラー24L,24Rのピボット軸挿通孔23L,23Rに挿入可能であり、開状態でカラー24L,24Rに当接可能な頭部43が設けられている。
【0036】
ガイド部材44は、図4に示すように、頭部43からストッパ部47までの間で摺動可能となるように軸部40および操作部42を半径方向にガタツキがないように挿入させており、軸線方向における一側に小径円筒部60が形成され、軸線方向における逆側に小径円筒部60より大径の大径円筒部61が小径円筒部60と同軸に形成されている。ここで、小径円筒部60は、ピボットフレーム14L,14R側のピボット軸挿通孔18L,18Rに半径方向のガタツキがないように嵌合可能とされており、大径円筒部61はピボット軸挿通孔18L,18Rより大径とされている。なお、ガイド部材44は、小径円筒部60を頭部43側に大径円筒部61をストッパ部47側に向けている。
【0037】
ここで、ガイド部材44は、ピボットフレーム14L,14R側のピボット軸挿通孔18L,18Rに嵌合することで回動部57が開状態の頭部43をカラー24に対し半径方向に位置決めする。つまり、頭部43の円弧状部55および回動部57の当接面55f,57fをカラー24L,24Rの端面24aに当接可能とするとともに、当接面55f,57fの内側にある突出部55g,57gをカラー24L,24Rの内径側に進入可能とする。そして、この状態で頭部43、軸部40および操作部41の軸線方向の移動を案内する。
【0038】
以上のような構成の本実施形態のカラー取外工具11を用いてカラー24L,24Rを取り外す取り外し作業について説明する。
【0039】
エンジン12が車体フレームに搭載された状態において、まず、図1に示すように、ナット31の螺合を解除してピボット軸30をエンジン12およびピボットフレーム14L,14Rから引き抜き、リヤスイングアーム15を後方にずらす。この状態で、作業者は、回動部57つまり頭部43を閉状態としたカラー取外工具11を手で持ち、図7に示すように、その頭部43を先頭にして、左右方向一側、例えば右側から、右側のピボットフレーム14R側のピボット軸挿通孔18Rおよび右側のカラー24Rのピボット軸挿通孔23Rを通過させ、頭部43が逃穴部25に位置するまで挿入する。次に、図8に示すように、ガイド部材44を摺動させて右側のピボットフレーム14R側のピボット軸挿通孔18Rにその小径円筒部60を嵌合させる。そして、操作部42を軸部40に対し回転させることにより、回動部57つまり頭部43を開状態とする。この状態で、頭部43は円弧状部55の当接面55fおよび回動部57の当接面57fが左側のカラー24Lの内径よりも外側に位置することになる。そして、操作部42を押して頭部43を移動させ、その当接面55f,57fを左側のカラー24Lの端面24aに当接させるとともに突出部55g,57gを左側のカラー24Lの内径側に進入させる。この状態で、カラー取外工具11の基端側の操作部42をハンマー等で先端方向に叩くことで、図9から図10に示すように、左側のカラー24Lをクランクケース13のピボット支持孔22Lから押し出す。
【0040】
そして、回動部57つまり頭部43を閉状態として、逃穴部25まで移動させ、ガイド部材44をピボットフレーム14Rから外して、頭部43を右側カラー24Rのピボット軸挿通孔23Rおよび右側のピボットフレーム14R側のピボット軸挿通孔18Rを通過させるようにしてカラー取外工具11を抜く。
【0041】
次に、図示は略すが、回動部57つまり頭部43を閉状態としたカラー取外工具11を頭部43を先頭にして、左右方向逆側である左側から、左側のピボットフレーム14L側のピボット軸挿通孔18Lおよびクランクケース13の左側のピボット支持孔22Lを通過させて、頭部43が逃穴部25に位置するまで挿入する。次いで、上記と同様にして、ガイド部材44を摺動させて左側のピボットフレーム14L側のピボット軸挿通孔18Lに嵌合させ、操作部42を軸部40に対し回転させることにより、回動部57つまり頭部43を開状態として、右側のカラー24Rをクランクケース13のピボット支持孔22Rから押し出す。
【0042】
以上に述べた本実施形態のカラー取外工具11によれば、ガイド部材44を軸部40に対し摺動させてピボットフレーム14L,14R側のピボット軸挿通孔18L,18Rに嵌合させるとともに頭部43を開状態にすると、頭部43がカラー24L,24Rに対し半径方向に位置決めされることになる。よって、この状態で、ガイド部材44に対し軸部40を摺動させて頭部43を移動させ、頭部43でカラー24L,24Rを押圧して取り外すと、頭部43はカラー24L,24Rに対し半径方向に位置決めされた状態で移動することになり、例えカラー24L,24Rが薄肉であっても、偏った力で押圧してカラー24L,24Rを傷めたり、カラー24L,24Rが圧入されていた圧入壁面であるピボット支持孔22R,22Lの壁面に必要以上の力で接触することを防止できる。したがって、簡素な工具でカラー24L,24Rを傷めることなく円滑に取り外すことができる。
【0043】
また、本実施形態のカラー取外工具11によれば、ガイド部材44をピボットフレーム14L,14R側のピボット軸挿通孔18L,18Rに嵌合させることで、頭部43がカラー24に対し半径方向に位置決めされると、頭部43はカラー24L,24Rの端面24aに当接面55f,57fで当接するとともに当接面55f,57fの内側の突出部55g,57gがカラー24L,24Rの内径側に進入する。よって、ガイド部材44と頭部43の突出部55g,57gとで軸線方向における前後両側が支持された状態でカラー24を押圧することになるため、カラー24L,24Rを傷めることおよびピボット支持孔22R,22Lの壁面に必要以上の力で接触することをさらに確実に防止できる。したがって、カラー24L,24Rをさらに確実に、傷めることなく円滑に取り外すことができる。さらに、ガイド部材44が軸部40に対し摺動可能であるため、車種等が変わってピボットフレーム14L,14Rとカラー24L,24Rとの位置関係が変わっても、カラー24L,24Rを容易に精度良く取り外すことができる。
【0044】
ここで、上記したカラー取外工具11は、用途および使用部品に合わせて外径や長さ等が異なるものを複数用意することで、種々の用途および使用部品に対応できることになる。
【0045】
なお、以上においては、ピボットフレーム14L,14R側のピボット軸挿通孔18L,18Rにガイド部材44を嵌合させる場合を例にとり説明したが、例えばエンジン12のクランクケース13のみでリヤスイングアーム15を支持するピボットレスフレーム構造を採用した場合には、図11に示すように、カラー取外工具11で一方のカラー24Lを取り外す際にガイド部材44をクランクケース13の他方のカラー24Rに嵌合させるようにすれば良い。また、このようにして一方のカラー24Lを取り外して残りのカラー24Rを取り外す場合には、上記カラー取外工具11を用いずに、例えば、カラー24Lを抜いた後のクランクケース13のピボット支持孔22Lを通り、残りのカラー24Rに当接可能な軸部材で残りのカラー24Rを抜くことができる。
【0046】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1に係る発明によれば、閉状態の頭部を穴部に挿入させた後、ガイド部材を軸部に対し摺動させて穴部に嵌合させるとともに、頭部を開状態とすると、開状態の頭部がカラーに対し半径方向に位置決めされることになる。よって、この状態で、ガイド部材に対し軸部を摺動させて頭部を移動させ、頭部でカラーを押圧して取り外すと、頭部はカラーに対し半径方向に位置決めされた状態で移動することになり、例えカラーが薄肉であっても、偏った力で押圧してカラーを傷めたり、カラーが圧入されていた圧入壁面に必要以上の力で接触することを防止できる。したがって、カラーを傷めることなく円滑に取り外すことができる。
【0047】
請求項2に係る発明によれば、ガイド部材を穴部に嵌合させることで、頭部がカラーに対し半径方向に位置決めされると、頭部はカラーの端面に当接面で当接するとともに当接面の内側の突出部がカラーの内径側に進入する。よって、ガイド部材と頭部の突出部とで軸線方向における前後両側が支持された状態でカラーを押圧することになるため、カラーを傷めることおよび圧入壁面に必要以上の力で接触することをさらに確実に防止できる。したがって、カラーをさらに確実に、傷めることなく円滑に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のカラー取外工具が使用される自動二輪車の要部を示す分解断面図である。
【図2】本発明の一実施形態のカラー取外工具を示す斜視図であって頭部の閉状態を示すものである。
【図3】本発明の一実施形態のカラー取外工具を示す斜視図であって頭部の開状態を示すものである。
【図4】本発明の一実施形態のカラー取外工具を示す側面図(a)と断面図(b)とであって頭部の閉状態を示すものである。
【図5】本発明の一実施形態のカラー取外工具の頭部を示す正面図であって頭部の閉状態を示すものである。
【図6】本発明の一実施形態のカラー取外工具の頭部を示す正面図であって頭部の開状態を示すものである。
【図7】本発明の一実施形態のカラー取外工具の使用時の一状態を示す断面図である。
【図8】本発明の一実施形態のカラー取外工具の使用時の図7の後の状態を示す断面図である。
【図9】本発明の一実施形態のカラー取外工具の使用時の図8の後の状態を示す断面図である。
【図10】本発明の一実施形態のカラー取外工具の使用時の図9の後の状態を示す断面図である。
【図11】本発明の一実施形態のカラー取外工具の使用時の別の例を示す断面図である。
【符号の説明】
11 カラー取外工具
18L,18R,23L,23R ピボット軸挿通孔(穴部)
24L,24R カラー
24a 端面
40 軸部
42 操作部
43 頭部
44 ガイド部材
55f,57f 当接面
55g,57g 突出部
57 回動部

Claims (2)

  1. 穴部に挿入された状態で該穴部より大径のカラーを取り外すカラー取外工具であって、
    軸部の先端側に該軸部の半径方向外側に拡開可能であって閉状態で前記穴部に挿入可能であり開状態で前記カラーに当接可能な頭部を設け、前記軸部の基端側に前記頭部を開閉させる操作部を設けるとともに、前記穴部に嵌合することで開状態の前記頭部を前記カラーに対し半径方向に位置決めするガイド部材を前記軸部に摺動自在に設けてなることを特徴とするカラー取外工具。
  2. 前記頭部には、前記ガイド部材が前記穴部に嵌合した状態で、前記カラーの端面に当接可能な当接面と該当接面の内側にあって前記カラーの内径側に進入可能な突出部とが設けられていることを特徴とする請求項1記載のカラー取外工具。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN108858039A (zh) * 2018-08-21 2018-11-23 莱芜钢铁集团有限公司 一种薄壁套的拆卸装置及方法
JP2021014000A (ja) * 2019-07-16 2021-02-12 古河ロックドリル株式会社 油圧ブレーカ用分解装置

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