JPH11325097A - 軸とヨークの結合構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 作業者が片手だけで締結を行えるコンパクト
な軸とヨークの結合構造を提供する。 【解決手段】 この構造は、ヨーク１の嵌合部３に軸３
０が挿入されており、この軸３０に押え部材１６の押さ
え部２２が対向させられていて、ボルト用貫通穴１１に
挿通し、ボルト用ネジ孔１２に螺合したボルト３１を締
めることによって、一対の耳部８と１０,嵌着部７,押え
部材１６を弾性変形させて、押さえ部２２と嵌着部７が
軸３０を締め付けている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、自在継手に適用
される軸とヨークの結合構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の軸とヨークの結合構造と
しては、図３に示すものがある。この結合構造は、断面
略Ｕ字形状のヨーク１０１に外周断面略Ｕ字形状の軸１
０２を嵌合させて結合させる構造である。上記ヨーク１
０１は、軸１０２が嵌合する嵌合部１０３と、この嵌合
部１０３から径方向に延びている一対の耳部１０５,１
０６を有する。この耳部１０５,１０６には、径方向に
貫通する小径ボルト孔１０７,大径ボルト孔１０８が形
成されている。そして、この小径ボルト孔１０７からボ
ルト１１０が挿入され、このボルト１１０の先部に形成
された雄ねじ部１１１にナット部材１１２を螺合する。
このナット部材１１２は、雌ねじ部１１３およびこの雌
ねじ部１１３が埋め込まれている筒部材１１５で構成さ
れている。上記軸１０２を上記嵌合部１０３に密に嵌合
させた状態で、上記ナット部材１１２をボルト１１０に
螺合することで、筒部材１１５の周面１１５Ａが軸１０
２の端面１０２Ａに当接し、軸１０２の径方向移動を規
制するようになっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
軸とヨークの結合構造では、ボルト１１０とナット部材
１１２とを締め付けるのに、作業者が両手を使わなけれ
ばならないから、特にスペースの余裕が無い所への組み
付けが困難になるという問題がある。また、ボルト頭部
に加えて、ナットが径方向に突き出すから径方向寸法が
増大するという問題がある。

【０００４】そこで、この発明の目的は、作業者が片手
だけで締結を行えるコンパクトな軸とヨークの結合構造
を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項１の発明は、径方向片側が開口している断面
Ｕ字状の軸挿入部とピン受け部とを有するヨーク本体
と、上記軸挿入部に挿入された軸と、上記軸挿入部に回
転可能に取り付けられて、上記軸挿入部に挿入された軸
を押さえるコの字形状の押え金具と、上記軸挿入部の径
方向の開口部の一端部に螺合して、上記開口部を締め付
けるボルトとを備えたことを特徴としている。

【０００６】この請求項１の発明では、上記軸挿入部の
開口部に螺合したボルトで開口部を締めて、コの字形状
の押え金具を径方向から締め付けることで、押さえ金具
を下方に湾曲させて、軸を軸挿入部に押さえつけてい
る。

【０００７】このように、この請求項１の発明では、軸
挿入部に螺合したボルトで軸をヨークに結合させるか
ら、片手で締結作業を行える。また、上記押え金具で軸
を軸挿入部に押さえつけるから、軸の軸挿入部からの浮
き上がりが起こらない。また、ナットが不要であるか
ら、径方向寸法を小さくでき、コンパクト化できる。

【０００８】また、請求項２の発明は、請求項１に記載
の軸とヨークとの結合構造において、上記押え金具は、
上記ヨーク本体の開口部に設けられた略軸方向のガイド
に沿って略軸方向に移動自在に取り付けられていること
を特徴としている。

【０００９】この請求項２の発明では、押え金具を略軸
方向のガイドに沿って略軸方向に移動させて、軸方向位
置を調節できる。したがって、軸の嵌合代に応じた適切
な位置で、押え部材で軸を押さえることができる。

【００１０】また、請求項３の発明は、請求項１に記載
の軸とヨークとの結合構造において、上記押え部材は、
上記軸挿入部に径方向に挿入する軸に当接して、上記押
え部材を径方向中心軸回りに回転させる突起を有するこ
とを特徴としている。

【００１１】この請求項３の発明では、軸を軸挿入部へ
挿入することによって、押え部材を回転させて、押え部
材が軸を押さえる姿勢にできる。したがって、締結作業
を簡単化できる。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、この発明を図示の実施の形
態により詳細に説明する。

【００１３】図１に、この発明の軸とヨークの結合構造
の実施の形態を構成するヨークを示す。図１(Ａ)はヨー
ク１を径方向上方から下方に見た様子を示す平面図であ
り、図１(Ｂ)はヨーク１を軸方向前方から後方に見た様
子を示す正面図であり、図１(Ｃ)はヨーク１を側方から
見た様子を示す側面図であり、図１(Ｄ)は図１(Ｃ)のＸ
−Ｘ断面を示す図である。

【００１４】ヨーク１は、ピン受け部としてのフォーク
状の枢着部２と、この枢着部２から軸方向後方に延在す
る軸挿入部としての嵌合部３を備える。上記枢着部２は
一対の対向部２Ａ,２Ｂを有し、この対向部２Ａ,２Ｂに
形成された貫通穴５,６に十字ピン(図示せず)が嵌合す
るようになっている。

【００１５】また、上記嵌合部３は、図１(Ｄ)に示すよ
うに、断面略Ｕ字形状になっている嵌着部７と、この嵌
着部７の開口端から径方向に延在し、開口を挟んで対向
している一対の耳部８,１０とで構成されている。この
耳部８には、ボルト用貫通穴１１が形成され、耳部１０
には、ボルト用ネジ孔１２が形成されている。

【００１６】そして、図２(Ａ)に示すように、この耳部
８,１０の貫通穴１１,ネジ孔１２に隣接して軸方向ガイ
ドとしての凹溝１３,１５が形成されている。この凹溝
１３,１５は、貫通穴１１,ネジ孔１２の軸方向前方の近
傍から軸方向前方に向かって所定寸法だけ延びている。
そして、この凹溝１３,１５に、コの字形状の押え部材
１６の一対の腕１７,１８の先端近傍に外側に凸のプレ
ス形成された嵌合突起２０,２１（図２（Ｇ）参照）が
嵌合している。そして、上記一対の腕１７,１８のもう
一方の端は押さえ部２２で接続されている。上記押え部
材１６は、上記嵌合突起２０,２１を中心に回転でき、
かつ、凹溝１３,１５に沿って軸方向にスライドさせて
位置調節できる。また、図２（Ｇ）に示すように、上記
押え部材１６は、腕１７,１８の嵌合突起２０,２１より
も先に折り返し係合部２５,２６を有している。この折
り返し係合部２５,２６は、径方向内方に折り曲げて形
成されたもので、径方向内方かつ軸方向外方に延在して
いる。

【００１７】次に、図２を参照しながら、ヨーク１に軸
３０を結合させる手順を説明する。まず、図２(Ａ),
(Ｅ)に示すように、押え部材１６の嵌合突起２０,２１
を、ヨーク１の凹溝１３,１５に嵌合させる。このと
き、結合させる軸３０の嵌合代に応じて、凹溝１３,１
５における押え部材１６の軸方向位置を調節する。

【００１８】次に、図２(Ｂ),(Ｆ)および図２(Ｃ)に示
すように、軸３０を嵌合部３の開口の径方向外方から径
方向内方に向かってスイングさせて、断面略Ｕ字形状の
嵌着部７に外周断面略楕円形状の軸３０を嵌合させる。
このスイング時に、軸３０の先端は、押え部材１６の係
合部２５,２６に係合し、押え部材１６を嵌合突起２０,
２１を中心に回転させ、図２(Ｂ),(Ｆ)の直立位置にす
る。そしてさらに、この回転の勢いでもって、図２(Ｃ)
に示すように、上記押え部材１６を、軸３０に押さえ部
２２が当接する姿勢まで回転させる。

【００１９】次に、図２(Ｄ)に示すように、ヨーク１の
耳部８の貫通穴１１からボルト３１を挿通し、耳部１０
のネジ孔１２に螺合して、締め付ける。これにより、耳
部８,１０および嵌着部７および押え部材１６が弾性変
形して、嵌着部７と押さえ部２２とで軸３０を四方から
締め付けて、ヨーク１に軸３０を結合させることができ
る。

【００２０】このように、この実施形態によれば、ヨー
ク耳部１０に形成したネジ孔１２にボルト３１を螺合し
て締め付けることによって、ヨーク１の一対の耳部８と
１０,嵌着部７,押え部材１６でヨーク１を軸３０に結合
するから、嵌着部７から軸３０を位置ずれさせることな
く、作業者は、片手だけで締結作業を行える。また、ナ
ット不要であるから、径方向寸法を小さくでき、コンパ
クト化できる。

【００２１】また、この実施形態によれば、上記凹溝１
３,１５に沿って、押え部材１６を軸方向に移動させ
て、位置調節できる。したがって、軸３０の嵌合代に応
じた適切な位置で、押え部材１６が軸３０を押さえるよ
うにできる。

【００２２】また、この実施形態によれば、軸３０を、
径方向外方から内方に向かってヨーク１の開口端から嵌
合部３内に移動させるときに、この軸３０に押え部材１
６の上記係合部２５,２６が係合して、嵌合突起２０,２
１を中心に押え部材１６が回転して、押え部材１６の押
さえ部２２が軸３０に当接する。したがって、この実施
形態では、径方向外方から軸３０をヨーク１に嵌合させ
ることで、押え部材１６を軸３０に近接対向させること
ができるから、締結作業を簡単化できる。

【００２３】尚、上記実施の形態では、押え部材１６が
折り返し係合部２５,２６を備えたが、図２(Ｈ)に示す
ように、折り返し係合部２５,２６を有していなくても
良い。また、軸３０は、図２(Ｄ)に実線で示す断面小判
型形状に代えて、図２(Ｄ)に破線で示すような断面弾丸
形状であってもよい。この場合、軸３０の平坦部３０Ａ
を押え部材１６の押さえ部２２でしっかりと押さえるこ
とができる。

【００２４】

【発明の効果】以上より明らかなように、請求項１の発
明は、軸挿入部の開口部に螺合したボルトで開口部を締
めて、コの字形状の押え金具を径方向から締め付けるこ
とで、押さえ金具を下方に湾曲させて、軸を軸挿入部に
押さえつけている。

【００２５】この請求項１の発明では、軸挿入部に螺合
したボルトで軸をヨークに結合させるから、片手で締結
作業を行える。また、上記押さえ金具で軸を軸挿入部に
押さえつけるから、軸の軸挿入部からの浮き上がりが起
こらない。また、ナットが不要であるから、径方向寸法
を小さくでき、コンパクト化できる。

【００２６】また、請求項２の発明は、押え金具が、ヨ
ーク本体の開口部に設けられた略軸方向のガイドに沿っ
て軸方向に移動自在に取り付けられている。この請求項
２の発明では、押え金具を軸方向に移動させて、軸方向
位置を調節できる。したがって、軸の嵌合代に応じた適
切な位置で、押え部材で軸を押さえることができる。

【００２７】また、請求項３の発明は、押え部が軸挿入
部に径方向に挿入する軸に当接して、押え部材を径方向
中心軸回りに回転させる突起を有する。

【００２８】この請求項３の発明では、軸を軸挿入部へ
挿入することによって、押え部材を回転させて、押え部
材が軸を押さえる姿勢にできる。したがって、締結作業
を簡単化できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 図１(Ａ)はこの発明の軸とヨークの結合構造
の実施形態のヨーク１の平面図であり、図１(Ｂ)は上記
ヨークの正面図であり、図１(Ｃ)は上記ヨークの側面図
であり、図１(Ｄ)は図１(Ｃ)のＸ−Ｘ断面図である。

【図２】 図２(Ａ)は上記実施形態の軸締結前のヨーク
を示す斜視図であり、図２(Ｂ)は上記ヨークに軸を嵌合
させる様子を示す斜視図であり、図２(Ｃ)はヨークに軸
を嵌合させた様子を示す斜視図であり、図２(Ｄ)はボル
トによる締結後の構造を示す図であり、図２(Ｅ)は図２
(Ａ)の簡略模式図であり、図２(Ｆ)は図２(Ｂ)の簡略化
模式図であり、図２(Ｇ)はコの字形状押え部材の断面図
であり、図２(Ｈ)はコの字形状押え部材の変形例を示す
図である。

【図３】 従来の軸とヨークの結合構造を示す断面図で
ある。

【符号の説明】

１…ヨーク、２…枢着部、３…嵌合部、５,６…貫通
穴、７…嵌着部、８,１０…耳部、１１…ボルト用貫通
穴、１２…ボルト用ネジ孔、１３,１５…凹溝、１６…
押え部材、１７,１８…腕、２０,２１…嵌合突起、２
５,２６…係合部、３０…軸、３１…ボルト。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 径方向片側が開口している断面Ｕ字状の
   軸挿入部とピン受け部とを有するヨーク本体と、 上記軸挿入部に挿入された軸と、 上記軸挿入部に回転可能に取り付けられて、上記軸挿入
   部に挿入された軸を押さえるコの字形状の押え金具と、 上記軸挿入部の径方向の開口部の一端部に螺合して、上
   記開口部を締め付けるボルトとを備えたことを特徴とす
   る軸とヨークとの結合構造。
2. 【請求項２】 請求項１に記載の軸とヨークとの結合構
   造において、 上記押え金具は、上記ヨーク本体の開口部に設けられた
   略軸方向のガイドに沿って略軸方向に移動自在に取り付
   けられていることを特徴とする軸とヨークとの結合構
   造。
3. 【請求項３】 請求項１に記載の軸とヨークとの結合構
   造において、 上記押え部材は、上記軸挿入部に径方向に挿入する軸に
   当接して、上記押え部材を径方向中心軸回りに回転させ
   る突起を有することを特徴とする軸とヨークとの結合構
   造。