JP2021014000A - 油圧ブレーカ用分解装置 - Google Patents
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Abstract
Description
3ピース構造のブレーカ本体を有する油圧ブレーカにおいて、フロントヘッド内にはチゼルが摺嵌され、シリンダ内にはピストンが摺嵌される。シリンダには、コントロールバルブおよびアキュムレータが装備される。シリンダ、フロントヘッドおよびバックヘッドは、長尺のスルーボルトで締結されている(いずれも図示略)。
図9に、2ピース構造のブレーカ本体を有する油圧ブレーカ100の縦断面図を示す。同図に示すように、この油圧ブレーカ100は、アウタボディ101およびバックヘッド102相互をボルト113で締結したブレーカ本体を有する。ブレーカ本体には、ピストン103とチゼル104が摺嵌される。アウタボディ101には、コントロールバルブ105およびアキュムレータ106が設けられる。
フロントヘッド部内径(前)114にはフロントブシュ107が設けられ、フロントヘッド部内径(後)115にはフロントホルダ108が設けられている。シリンダ部内径116には、前方から後方に向けて、ワッシャ109、シリンダライナ(前)110、シリンダライナ(後)111、およびシールリテーナ112が設けられている。
フロントブシュ107とフロントホルダ108は、チゼル104を摺動案内しつつ保持する。軸方向後方のフロントホルダ108に関しては、チゼル104後端のテーパ部をフロントホルダ108のテーパ部で当接して保持することで、チゼル104の後退ストロークエンドのストッパとしても作用する。シリンダライナ(前)110とシリンダライナ(後)111はピストン103を摺動案内する。
フロントブシュ107は、フロントヘッド部の軸方向前端の前側内径部114に圧入されて固定される。フロントホルダ108は、フロントヘッド部の後側内径部115に圧入されて固定される。フロントブシュ107とフロントホルダ108は、いずれも消耗部材であり、定期的な交換が必要となる。以下、これらフロントブシュ107およびフロントホルダ108を「チゼル用ブシュ」ともいう。
しかし、油圧ブレーカのメンテナンスを行なう大多数のサービス工場では、大型のプレス装置を設備することは困難である。そのため、簡易的な分解装置が求められる。なお、ワッシャ109、シリンダライナ(前)110、シリンダライナ(後)111、およびシールリテーナ112は、それぞれ中間嵌めでシリンダ部内径116に固定されており、チゼル用ブシュ107、108と同様、必要に応じて交換する場合があるものの、特段に困難な交換作業ではない。
このブシュ抜取り装置では、同図に示されるように、ブシュ201の内側端面に引掛け治具208を装着するとともに、引掛け治具208の内周にスペーサ209とロッド207を挿入する。さらに、ロッド207先端にナット211を螺着して、ロッド207、スペーサ209および引掛け治具208を一体化させる。
油圧ジャッキ203は、チューブ204と、ピストン205を軸方向中央に有する中空のピストンロッド206とを備え、チューブ204内にピストンロッド206が摺嵌されている。これにより、ピストン205の前後に油圧室204A、204Bを画成するとともに、ピストンロッド206を中空としてロッド207を挿通可能としている。
加えて、図10に示す分解装置における油圧ジャッキ203は、ヘッド室の無い、いわゆる中空シリンダであり、この形式の油圧シリンダで高推力を得るためには、油圧ジャッキをより大型化する必要がある。
一方で、油圧ブレーカのサービス工場は、一般的に、各種の油圧ブレーカを備えている。そこで、設備コストを抑えるために、油圧ジャッキに代えて小型の油圧ブレーカのような打撃装置を使用して、その打撃力によって対象となる油圧ブレーカのチゼル用ブシュを分解することが考えられる。
さらに、油圧ブレーカのサービス工場は、市街地の中に立地している場合がある。この場合、工場の操業に際しては、各種作業の騒音を低く抑える必要がある。そのため、小型油圧ブレーカを用いてチゼル用ブシュを分解する作業においても、騒音は極力低減しなければならないという問題がある。
そして、プッシュロッドが、軸線を立てた状態のアウタボディ後端からその軸方向に沿って挿入されて打撃装置の打撃力をチゼル用ブシュに伝達できるので、アウタボディの内部奥底に装着されているチゼル用ブシュに、打撃装置の打撃力を伝達させることができる。
また、ガイドカバーが、アウタボディの後端面に装着されて、プッシュロッドをチゼル用ブシュの軸心と同軸に且つ軸方向に沿ってスライド移動可能に案内し、さらに、スリーブが、打撃装置からその下方に向けて突出する打撃部とプッシュロッドの上端部との境界に装着されて打撃装置の打撃部をプッシュロッドの上端部との対向位置に保持する。
ここで、本発明の一態様に係る油圧ブレーカのチゼル用ブシュの分解装置において、プッシュロッドが木質材料であれば、フロントヘッドからのチゼル用ブシュの分解作業時に発生する騒音を低減する上で好適である。また、プッシュロッドに木質材料を採用することは、設備コストの低減に関しても有効である。
このような構成であれば、チゼル用ブシュを内側から冷却した上で、フロントヘッドからのチゼル用ブシュの分解作業を行なうことが可能となる。そのため、チゼル用ブシュが冷却されて収縮することにより、チゼル用ブシュとアウタボディとの嵌合部の摩擦抵抗を低下させることができるので、フロントヘッドからのチゼル用ブシュの分解作業をより容易とする上で好適である。
このような構成であれば、ガイドカバーの調心および固定を同時に行なうのに好適である。また、このボルトとして、通常は、アウタボディとバックヘッドとを相互に締結するボルトを流用しているので、設備コストを低減する上でより好適である。
このような構成であれば、アウタボディをその外側から加熱した上で、フロントヘッドからのチゼル用ブシュの分解作業を行なうことが可能となる。そのため、アウタボディが加熱されて膨張することにより、チゼル用ブシュとアウタボディとの嵌合部の摩擦抵抗を低下させることができる。よって、フロントヘッドからのチゼル用ブシュの分解作業をより容易とする上で好適である。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。
本実施形態の分解装置1は、図2に拡大図示するように、スタンド10、プッシュロッド20、プッシュヘッド30、ガイドカバー40、スリーブ50、パッド60、およびスペーサ70を備える。プッシュロッド20は、入手が容易な木質材料の角材である。
フレーム12の内壁の対向幅の寸法は、油圧ブレーカ100のアウタボディ101を収容可能に設定されている。サポート13の高さ方向の寸法(A−A線断面図の上下方向寸法)および対向幅寸法は、分解したフロントブシュ107が通過可能な空間を形成するように設定されている。
プッシュロッド装着部34は、角筒状のフレーム35から構成される。フレーム35上端部は、外方に折曲げられてガイド36が形成され、ガイド36には、吊りフック37が設けられている。ボディ32の軸心にはプラグ38が螺着されている。
ボディ32の外径は、アウタボディ101の最小内径部を通過し、かつ、フロントホルダ108の端部に当接して軸方向に推力を伝達可能な寸法に設定されている。ガイドピン33の外接円の直径は、フロントホルダ108の内径に案内されるよう設定されている。フレーム35の内壁の対向幅寸法は、プッシュロッド20を装着可能に設定されている。
フランジ41には、アウタボディ101のバックヘッド装着用のネジ穴に対向する箇所に、ボルト穴45が設けられている。また、フランジ41には、アウタボディ101の内部を視認するためののぞき穴46が設けられている。フレーム43の内壁対向幅寸法は、プッシュロッド20が摺動案内されるように設定されている。
シリンダ52の内径寸法は、チゼルCが挿通された状態において、チゼルCが多少揺動可能となるように設定されている。フレーム55の内壁対向幅寸法は、シリンダ52の内径よりも大きく、かつ、プッシュロッド20が装着可能に設定されている。
プラグ63は、鋼製の円盤状部材であり、その外径にはテーパ面64が形成されている。プラグ63の下面には、グリップ65が形成されている。両部材のテーパ面62、64は、それぞれ対応する傾斜角度を呈しており、リング61にプラグ63を装着させることでパッド60として機能するようになっている。
リング61の外径寸法は、チゼル用ブシュ(フロントホルダ108およびフロントブシュ107)の内径に摺嵌可能に設定され、プラグ63をリング61に押し込むと、リング61が弾性変形し、その外径が膨張してパッド60がチゼル用ブシュ107、108に固定されるようになっている。
まず、チゼル用ブシュ107、108をアウタボディ101のフロントヘッド部分から分解する準備として、油圧ブレーカ100の各構成部材を分解して、アウタボディ101にチゼル用ブシュ(フロントブシュ107、フロントホルダ108)だけが装着された状態とする。
そして、フロントホルダ108の先端部にパッド60を装着するとともに、引き続き、フロントブシュ107の先端部にもパッド60を装着する。
次いで、アウタボディ101を吊り上げて、フロントブシュ107側が下方となるように姿勢を変更し、アウタボディ101の軸線を立てた状態でスタンド10に装填する。
次いで、プッシュヘッド30の吊りフック37をワイヤロープ等で吊り、アウタボディ101のバックヘッド側から軸方向に沿って内部へと挿入し、ガイドピン33によって芯出しをしながら、プッシュヘッド30のボディ32をフロントホルダ108の上面に当接させる。
次いで、ガイドカバー40をアウタボディ101の上端面に設置する。
その際、ガイドカバー40の中心部の、プッシュロッドガイド部42にプッシュロッド20を挿通させて降下させ、プッシュヘッド30のプッシュロッド装着部34内にプッシュロッド20の下端を挿入して装着する。このとき、図5に示した、ガイドカバー40ののぞき穴46を活用して、アウタボディ101内部の位置関係を視認しながら作業を行う。
次いで、スペーサ70と、図5に示したガイドカバー40のフランジ41とを、バックヘッド102締結用のボルト113でアウタボディ101に螺着して固定する。次いで、スペーサ70のフランジ部72に、図2に示すように、ナイロンバンド73をかけ回してスペーサ70の安定化を図る。
小型油圧ブレーカBの打撃力と油圧ショベルSによって発生する推力は、チゼル用ブシュ107、108が静摩擦係数に抗してアウタボディから分離するのに十分な押圧力であり、容易に分離作業が行える。
フロントホルダ108がアウタボディ101から分離すると、図2(b)に示すように、フロントホルダ108の下面は、フロントブシュ107の上面に当接して停止する。引き続き、小型油圧ブレーカBを作動させて、小型油圧ブレーカBによる衝撃力をチゼルCからプッシュロッド20、プッシュヘッド30、およびフロントホルダ108へと伝達してフロントブシュ107をアウタボディ101から分離する。
前述した通り、チゼル用ブシュ107、108のアウタボディ101への固着状態が強固であると予想される場合に、チゼル用ブシュ107、108をその内周面側から冷却し、これによる収縮作用によって固着力を減殺する手法について説明したが、これに限らず、アウタボディ101が装着されている位置の外表面を加熱して膨張させることでも同様の効果が期待できる。
本実施形態の油圧ブレーカ用分解装置1によれば、長尺のアウタボディ101をベースプレート11で安定的に保持し、かつ、プッシュヘッド30とガイドカバー40によってプッシュロッド20が軸心に位置決めされているので、長尺なアウタボディ101の内部奥底に装着されているフロントホルダ108へと打撃力を軸線方向に沿って正確に伝達させることができる。
また、本実施形態の油圧ブレーカ用分解装置1によれば、プッシュロッド20が木質材料なので、チゼル用ブシュ107、108の分解作業時に発生する騒音を低減することが可能である。また、プッシュロッド20に木質材料を採用することは設備コストの低減に関しても有効である。
また、本実施形態の油圧ブレーカ用分解装置1においては、ガイドカバー40の上面に装着し、通常はアウタボディ101とバックヘッド102を締結するボルト113を用いて、このボルト113をスペーサ70の内部に挿通して螺着することで、ガイドカバー40をアウタボディ101に固定する。そのため、ガイドカバー40の調心および固定を同時に行なうのに好適である。また、ボルト113は、通常はアウタボディ101とバックヘッド102とを締結するボルト113を流用するので、設備コストを低減可能である。
なお、本発明に係る油圧ブレーカのチゼル用ブシュ107、108の分解装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能なことは勿論である。
また、例えば上記実施形態では、プッシュロッド20には、入手が容易な角材を使用しており、分解装置を構成する各部材の構造を、プッシュロッド20の角材の寸法に整合させて設定しているが、これに限らず、軸心が一直線になっていれば、プッシュロッドの材質や断面形状に制約はない。
但し、上述したように、プッシュロッドが木質材料であれば、フロントヘッドからのチゼル用ブシュの分解作業時に発生する騒音を低減する上で好適である。また、プッシュロッドに木質材料を採用することは、設備コストの低減に関しても有効である。
10 スタンド
11 ベースプレート
12 フレーム
13 サポート
14 作業窓
15 吊りフック
20 プッシュロッド
30 プッシュヘッド
31 ブシュ押圧部
32 ボディ
33 ガイドピン
34 プッシュロッド装着部
35 フレーム
36 ガイド
37 吊りフック
38 プラグ
40 ガイドカバー
41 フランジ
42 プッシュロッドガイド部
43 フレーム
44 四角穴
45 ボルト穴
46 のぞき穴
50 スリーブ
51 チゼル挿通部
52 シリンダ
53 ガイド
54 プッシュロッド装着部
55 フレーム
56 タップ穴
57 ボルト
60 パッド
61 リング
62 テーパ面
63 プラグ
64 テーパ面
65 グリップ
70 スペーサ
71 パイプ
72 フランジ部
73 ナイロンバンド
S 油圧ショベル
B 小型油圧ブレーカ(打撃装置)
C チゼル(打撃装置からその下方に向けて突出する打撃部)
100 油圧ブレーカ
101 アウタボディ
102 バックヘッド
103 ピストン
104 チゼル
105 コントロールバルブ
106 アキュムレータ
107 フロントブシュ(チゼル用ブシュ)
108 フロントホルダ(チゼル用ブシュ)
109 ワッシャ
110 シリンダライナ(前)
111 シリンダライナ(後)
112 シールリテーナ
113 (アウタボディとバックヘッドとを相互に締結する)ボルト
114 フロントヘッド部内径(前)
115 フロントヘッド部内径(後)
116 シリンダ部内径
CL 中心軸線
200 ボス部
201、202 ブシュ
203 油圧ジャッキ
204 チューブ
204A、204B 油圧室
205 ピストン
206 ピストンロッド
207 ロッド
208 引掛け治具
209 スペーサ
210、211 ナット
212 アダプタ
Claims (5)
- チゼルを摺動案内しつつ保持するチゼル用ブシュが装着されたフロントヘッドをもつアウタボディと、該アウタボディの後部に装着されるバックヘッドと、の2ピース構造を有するブレーカ本体を備える油圧ブレーカに用いられ、前記フロントヘッドに装着された前記チゼル用ブシュを、該油圧ブレーカとは別途に用意する打撃装置の打撃力で前記フロントヘッドから分解するための油圧ブレーカ用分解装置であって、
前記アウタボディの軸線を立てた状態で該アウタボディのフロントヘッド部分を保持するスタンドと、
前記軸線を立てた状態のアウタボディ後端からその軸方向に沿って挿入されて前記打撃装置の打撃力を前記チゼル用ブシュに伝達するプッシュロッドと、
前記チゼル用ブシュの内周面および上端面に当接するように配置されて、前記プッシュロッドの下端を軸方向下側から保持するとともに前記チゼル用ブシュと前記プッシュロッドとの軸心を一致させるプッシュヘッドと、
前記アウタボディの後端面に装着されて、前記プッシュロッドを前記チゼル用ブシュの軸心と同軸に且つ軸方向に沿ってスライド移動可能に案内するガイドカバーと、
前記打撃装置からその下方に向けて突出する打撃部と前記プッシュロッドの上端部との境界に装着されて前記打撃装置の打撃部を前記プッシュロッドの上端部との対向位置に保持するスリーブと、
を備えることを特徴とする油圧ブレーカ用分解装置。 - 前記プッシュロッドは、木質材料である請求項1に記載の油圧ブレーカ用分解装置。
- 前記チゼル用ブシュの下端に装着されて前記チゼル用ブシュの内径部に冷却手段を格納可能な閉空間を形成するパッドを更に備える請求項1または2に記載の油圧ブレーカ用分解装置。
- 前記ガイドカバーの上面に、前記アウタボディと前記バックヘッドとを相互に締結するボルトを用いて装着される中空筒状のスペーサを更に備え、
前記スペーサは、当該ボルトを前記スペーサの内部に挿通して前記アウタボディの後端面に螺着することで、前記ガイドカバーが前記アウタボディの後端面に固定されるように構成されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の油圧ブレーカ用分解装置。 - 前記スタンドのフレームは、前記アウタボディの側面を加熱するために開口する作業窓を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の油圧ブレーカ用分解装置。
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