JP2004245838A - インダイレクト秒機構を備えたウォッチ用定力装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 インダイレクト秒機構を備えたウォッチ用、特に、腕時計用定力装置を提供することにある。
【解決手段】 本発明は、ムーブメントの秒車(9)により駆動される中間秒ピニオン(14)およびインダイレクト秒車(15)を備えたインダイレクト秒機構を有するウォッチ、特に腕時計のムーブメント内への一体化に適した定力装置に関する。定力装置は、テンショニングモジュール(4、5、6、7、8)と、カム(2)と、レバー(11)と、ストップ車(13)とを有している。定力装置のストップ車(13)は、インダイレクト秒機構の中間秒ピニオン上に取付けられている。
【選択図】 図1c

Description

本発明は、インダイレクト秒機構(indirect-second mechanism)を備えたウォッチ用、特に、腕時計用の定力装置(constant-force device)に関する。
定力機構の原理は長い間知られておりかつこのような機構の多くの形態で実現されているが、一般に、このような機構は、任意の特定用途または所与のウォッチムーブメントの当初から絶えず設計変更される。このことは、同時に、これらの特定設計概念の観点から、これらの機構がこの特定目的にかなうに過ぎず、従ってこれらの機構の適応性が大幅に制限されることを意味している。この機構を含むウォッチムーブメントの概念的設計の変更は、殆どの場合、定力装置の対応変更が不可欠であり、技術的困難性だけでなく殆どの場合に大きい出費を伴うものである。
従って本発明の目指すところは、現在のシステムの欠点を解消すること、およびその設計概念から、新しいウォッチおよび特に既存のウォッチの両者のレバー脱進機(lever escapement)にも容易に一体化できる定力装置を提供することにある。これは、ウォッチムーブメントに存在する要素を考慮に入れかつ利用すると同時に定力装置のためのスペース条件を最小にしかつ定力装置を技術的に最適化させることにより実現すべきである。
従って本発明の目的は、インダイレクト秒機構を備えたウォッチ用、特に、腕時計用の定力装置であって、特許請求の範囲の請求項1に記載の特徴を有する定力装置を提供することにある。
他の長所は、特許請求の範囲の実施態様項に記載の特徴および添付図面を参照して以下に詳細に述べる本発明の説明から明らかになるであろう。
より詳しくは、その設計概念から、これらの特徴を有する定力装置は、インダイレクト秒機構を備えた新しいウォッチ、および特に既存のウォッチのレバー脱進機にも容易に一体化される。定力装置の構成部品を適当に配置することにより、全く変更することなくまたは僅かな変更を行なうだけで、既存のウォッチムーブメント内にまたは脱進機の直ぐ近傍内にこの一体化を実現できる。
特に、既存のウォッチムーブメント内に存在する構成部品を用いることにより、定力装置に必要な部品数を減少させることができ、従って定力装置に要求されるスペースを最小化できる。
本発明による定力装置の構成部品の有利な配置により、ウォッチの組立て中または販売後のサービス時に、バランススプリングの振幅の調整が容易に行なえる。
従ってこれらの構成により、フレキシビリティに富んだ使用ができ、取扱いが容易で、省スペースが可能で、比較的経済的で、特に、ポステリオリ(posteriori)と呼ばれている形式のウォッチにも一体化できる定力装置が実現化される。
添付図面は、本発明による定力装置の2つの実施例を示す。
以下、本発明の幾つかの実施例を示す添付図面を参照して本発明を詳細に説明する。
図1aは、一例として示す本発明による定力装置の第一実施例を含むウォッチムーブメントを示す平面図であり、脱進機部品、秒部品、ストッピング部品、および特に定力装置の構成部品の有利な構成を示すものである。以下の説明または添付図面に含まれていないウォッチムーブメントまたは車列の他の構成部品は慣用の構成部品であり、これらの説明は行なわない。
図1aのA−A線に沿う断面図として、同じ定力装置が図1cに示されている。最初に、インダイレクト秒機構の構成と同様な構成のウォッチムーブメントの通常の構成部品が示されている。かくして、がんぎ車1が通常の態様でがんぎ車軸3に取付けられており、同様に、秒車(second wheel)9が、関連する秒車ピニオン10に取付けられている。秒車9は中間秒ピニオン(intermediate second pinion)14を駆動し、該ピニオン14は、インダイレクト秒軸16に取付けられたインダイレクト秒車15と係合している。この基本構成を有する全てのウォッチムーブメントは、それが新しいムーブメントであるか既存のムーブメントであるかにかかわらず、本発明による定力装置に適合できる。
先ずこの時点では、慣用的にテンショニングアームピニオン4、テンショニングアーム5、スタッド6、コレット7およびヘリカルスプリング8からなる定力装置のテンショニングモジュールが、がんぎ車軸3に有利に取付けられることに留意すべきである。この場合には、テンショニングアームピニオン4は、例えば2つのルビー4a、4bを介してがんぎ車軸3上で回転可能に取付けられ、秒車9と係合している。テンショニングアームピニオン4に取付けられたテンショニングアーム5はスタッド6を支持しており、該スタッド6にはヘリカルスプリング8の外端部が固定されている。このスプリング8の内端部はコレット7に固定されており、該コレット7はがんぎ車軸3に取付けられている。このため、がんぎ車1と秒車9との相対回転により、従ってがんぎ車1とテンショニングアームピニオン4との相対回転により、ヘリカルスプリング8に張力が付与される。コレット7は、がんぎ車軸3の、ウォッチムーブメントのブリッジの方向を向いた側に取付けられるのが好ましく、これにより、コレット7へのアクセスが容易になりかつ車列を分解することなくバランススプリングの振幅の調節を容易に行なうことが可能になる。
通常、これらの構成部品はがんぎ車1の一方の側に配置される。一方、カム2(本例では5つの面を備えている)はがんぎ車1の反対側に取付けることができるが、がんぎ車1に関してテンショニングモジュールと同じ側に取付けることは任意である。
このカム2は定力装置のレバー11のフォークと協働し、これは、定力装置の主要構成部品の協働を示す図1bからより詳細に理解されよう。このレバー11は、図1cに示すように、例えばボールベアリング12を介して秒車9の秒車ピニオン10上で回転可能に取付けるのが有利である。このことは、例えば、インダイレクト秒機構を備えた既存のウォッチムーブメントの場合に、秒車9の既存のアーバをレバー11のアーバとして簡便に使用できることを意味し、付加アーバが不要となるので、定力装置を既存の(または新しい)ウォッチムーブメントに一体化するときのスペースが節約される。
もちろん、レバー11は異なる態様で取付けることもできる。例えば、レバー11は(別の)ブリッジ上で回転可能に配置でき、レバー11のアーバは秒車9のアーバに対して平行でかつ該アーバに隣接している。すなわち、レバー11のアーバは秒車9の輪郭内にあるが、秒車9に対して同心状ではない。以下の記載では、特に断らない限り、説明は同心状配置に関するものである。
レバーパレットは、定力装置のストップ車13と慣用的に協働する(図1b参照)。図1cによれば、このストップ車13は、一方では、がんぎ車1に対して非同心状に取付け、他方では、秒車ピニオン10上でのレバー11の非慣用的配置と同様に、特に上記中間秒ピニオン14上に取付けるのが好ましい。
がんぎ車1に対するストップ車13の非同心状配置により、一方ではテンショニングアームピニオン9と秒車9との間、および他方では秒車9とストップ車ピニオンとの間に異なるギヤ比を選択できる(後者は、中間秒ピニオン14を備えたこの例と同じである)。この場合には、ストップ車13の回転速度は、慣性モーメントを低減させることにより最適化できる。
また、ストップ車13を中間秒ピニオン14上に配置することにより、中間秒ピニオン14の既存のアーバを、既存のムーブメントおよびインダイレクト秒機構を備えた新しく設計されたムーブメントの両者のストップ車13用アーバとして直ちに使用できる。従って、ストップ車13は、中間秒ピニオン14を介して秒車9と係合され、また付加アーバの省略によりスペースが節約されかつウォッチムーブメント内への定力装置の一体化が簡単化される。
また、この場合には、ストップ車13は秒車9のトルクを受け、定力装置のレバー11のパレットの1つに当接して押される。これによりストップ車13の軸線方向の遊びが小さくなり、このためインダイレクト秒車15の遊びがかなり小さくなる。従って、ストップ車13をこのように構成すると、一般にこの車の遊びにより生じる結果を回避すべくインダイレクト秒車15に組込まれる摩擦スプリングを省略でき、これにより、高いギヤ伝達効率およびウォッチムーブメントの簡単化が達成される。
従って、一方では中間秒ピニオン14上のストップ車13の特定構成、および他方では秒車9と同心の秒車ピニオン10上のレバー11の特定構成が、スペースの有効使用、定力装置の目的のためのムーブメントの既存の構成部品の使用および得られるムーブメントの簡単化に関して、インダイレクト秒機構を有するウォッチムーブメント内への定力装置の一体化を最適化する機能を有する。
このようにしてインダイレクト秒機構を備えたムーブメント内に一体化された定力装置の機能は、慣用装置の機能と基本的に同じであり、以下の記載では、図示のウォッチムーブメントの場合に概要のみを説明する。
脱進部品に配置された前述のヘリカルスプリング8の張力は、ムーブメントの調整機構(regulating organ)の振動が維持されることを保証する。調整機構(図示せず)が各1/2振動する間に、がんぎ車1はそのアーバの回りで特定角度(この実施例では9°)に亘って回転する。バランス車(balance wheel)が所要回数の1/2振動を行なった後(この実施例では4回の1/2振動を行なった後)、すなわち、がんぎ車1がそのアーバの回りで36°の回転を行なったとき、がんぎ車1は、がんぎ車軸3に取付けられたカム2を介して、およびボールベアリング12により秒車ピニオン10上で回転可能に取付けられた定力装置のレバー11を介してストップ車13を解放する。ストップ車13の解放後に、ストップ車13は、レバー11の出口パレットに向かって、レバーパレットにより定められた角度(この角度は、レバー11の入口パレット上に載っているストップ車13の歯の移動に対応する角度であり、この実施例では22.5°である)に亘ってそのアーバの回りで回転する。ストップ車13は同時に、ストップ車ピニオン(すなわち、この実施例では中間秒ピニオン14)を介して、秒車9並びにインダイレクト秒車15(該インダイレクト秒車は、例えば文字盤の中心に配置できる)を駆動する。所与の構成では、秒車9は、調整機構の4Hzの周波数で、1/2秒毎にジャンプを行なう。秒車9はまた、がんぎ車軸3上に回転可能に取付けられかつテンショニングアームを保持するテンショニングアームピニオン4を介してテンショニングアーム5を駆動し、これにより、定力装置のヘリカルスプリング8のリテンショニング(再張力付与)が保証される。
がんぎ車軸3およびストップ車ピニオン(すなわち、この実施例では中間秒ピニオン14)の歯の数は、1/2振動の所与の回数(この実施例では4)の間のヘリカルスプリングのリテンショニング角度ががんぎ車1の回転角度(この実施例では36°)に等しくなるように選択される。これらの角度の値は単なる例示に過ぎず、種々の値を選択できる。
一般に、調整機構の上記周波数または種々の車の歯の数および図面に見ることができるカム2の辺の数は一定ではなく、他の数を選択できる。調整機構の選択された周波数に基いて、通常、実際に関心があるのは種々の車の歯の数並びにカム2の辺の数についての特定の構成であり、この構成を使用できる。
図2a〜図2dには、本発明による定力装置の第二実施例が示されている。
この実施例では、本発明による定力装置はクロノグラフ機構内に一体化されている。図2a〜図2cは図1a〜図1cに対応し、定力装置およびムーブメントの構造および機能に関するそれぞれ対応する説明は、この実施例でも有効である。
しかしながら、この実施例では、中間秒ピニオン14(この実施例ではクロノグラフ中間ピニオンとも呼ばれる)は、傾斜ピニオンとして実現されている。図2cから、第一位置I(通常垂直であり、第一実施例の位置と同じ位置である)にあるこのピニオン14は、インダイレクト秒ホイール15(この実施例ではクロノグラフ車とも呼ばれる)を駆動する。第二位置II(傾斜されており、これは、例えばクロノグラフの既知のプッシャ機構(図示せず)により達成される)では、クロノグラフ車15は、前とは逆に離脱され、従って、もはや秒車9によりクロノグラフ中間ピニオン14を介して駆動されることはない。
第一実施例の説明で述べた長所とは別に、この実施例では、定力装置がクロノグラフ機構と組合されて使用されるときに、クロノグラフ機構の係合により引起こされる調整機構の振幅の突然的減少を防止できるという他の長所が得られる。なぜならば、秒車9のトルクが、定力装置のヘリカルスプリング8の再張力付与に要するトルクより大きい限り、定力装置が調整機構に一定トルクを付与し、これにより、調整機構の改善された等時性が得られる。
図2dには、この実施例に好ましいストップ車13の一実施形態の歯の断面が示されている。ストップ車13の歯は、図示のように僅かに丸められた断面を有し、クロノグラフ機構から離脱するときにストップ車の傾動に従うことができるように、クロノグラフピニオン14の傾動と調和している。
上記本発明の実施例では、インダイレクト秒機構を備えたウォッチムーブメント内への定力装置の一体化は、一方では、中間秒ピニオン14上にストップ車13を設けた特別構造により(すなわち、ストップ車13および中間秒ピニオン14が同じアーバを有しているという事実により)、他方では、秒車ピニオン10上の秒車9に対して同心状にレバー11を設けた特別構造により(すなわち、秒車9およびレバー11が同じアーバを有しているという事実により)最適化される。これは、スペースの有効使用、定力装置を目的とするムーブメントの既存構成部品の使用、および全ウォッチムーブメントの簡単化に関して特に言えることである。
インダイレクト秒機構を備えたウォッチムーブメント内に一体化された本発明による定力装置の第一実施例を示す平面図である。 図1aの定力装置の詳細図であり、定力装置の構成部品が如何に協働するかを説明するものである。 図1aのA−A線に沿う断面図である。 インダイレクト秒機構を備えたウォッチムーブメント内に一体化された本発明による定力装置の第二実施例を示す平面図である。 図2aの定力装置の詳細図であり、定力装置の構成部品が如何に協働するかを説明するものである。 図2aのB−B線に沿う断面図である。 図2bのC−C線に沿う断面図である。
符号の説明
1 がんぎ車
2 カム
5 テンショニングアーム
8 ヘリカルスプリング
9 秒車
10 秒車ピニオン
11 レバー
13 ストップ車
15 インダイレクト秒車

Claims (11)

  1. ムーブメントの秒車(9)により駆動される中間秒ピニオン(14)およびインダイレクト秒車(15)を備えたインダイレクト秒機構を有するウォッチ、特に腕時計のムーブメント内への一体化に適した定力装置であって、テンショニングモジュール(4、5、6、7、8)と、カム(2)と、レバー(11)と、ストップ車(13)とを有する定力装置において、定力装置のストップ車(13)が、インダイレクト秒機構の中間秒ピニオン上に配置されていることを特徴とする定力装置。
  2. 定力装置のレバー(11)のアーバは、ウォッチムーブメントの秒車(9)のアーバと同じであることを特徴とする請求項1記載の定力装置。
  3. 前記レバー(11)は、ボールベアリング(12)を介して、秒車(9)を支持する秒車ピニオン(10)上に回転可能に取付けられていることを特徴とする請求項1または2記載の定力装置。
  4. 定力装置のレバー(11)のアーバは、ウォッチムーブメントの秒車(9)のアーバに隣接してかつ該アーバに対して平行に配置されていることを特徴とする請求項1記載の定力装置。
  5. 前記ストップ車(13)の歯は、中間秒ピニオン(14)およびストップ車(13)の傾動に対応して丸められた断面を有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の定力装置。
  6. 前記テンショニングモジュールは、テンショニングアームピニオン(4)と、テンショニングアーム(5)と、スタッド(6)と、ヘリカルスプリング(8)とを有し、かつがんぎ車(1)を支持するウォッチムーブメントのがんぎ車軸(3)上に取付けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の定力装置。
  7. 前記がんぎ車軸(3)の回りに回転可能に取付けられたテンショニングモジュールのテンショニングアームピニオン(4)はムーブメントの秒車(9)と係合し、前記コレット(7)はがんぎ車軸(3)に取付けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の定力装置。
  8. 前記レバー(11)と協働するカム(2)はがんぎ車(1)を支持するムーブメントのがんぎ車軸(3)上に取付けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の定力装置。
  9. ムーブメントの秒車(9)により駆動される中間秒ピニオン(14)を備えたおよびインダイレクト秒車(15)を備えたインダイレクト秒機構を有するウォッチ、特に腕時計のムーブメントにおいて、請求項1〜8のいずれか1項記載の定力装置を有することを特徴とするムーブメント。
  10. 前記中間秒ピニオン(14)は、クロノグラフ機構を実現すべく傾動可能であることを特徴とする請求項9記載のムーブメント。
  11. 前記中間秒ピニオン(14)の第一位置(I)では、インダイレクト秒車(15)が中間秒ピニオン(14)と係合され、一方、中間秒ピニオン(14)の第二傾斜位置(II)では、インダイレクト秒車(15)が中間秒ピニオン(14)から離脱されることを特徴とする請求項9または10記載のムーブメント。
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