JP2004244565A - 紙基材フェノール樹脂積層板の製造方法 - Google Patents

紙基材フェノール樹脂積層板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、打抜性、電気的特性等の諸特性を劣化させることなく耐熱性に優れた紙基材フェノール樹脂積層板の製造方法を提供することである。
【解決手段】本発明の紙基材フェノール樹脂積層板の製造方法は、フェノール樹脂組成物と希釈剤とで構成されるフェノール樹脂組成物を紙基材に含浸して得られるプリプレグの150℃での揮発成分量を3.0%以下とする第1の工程と、前記工程で得られたプリプレグに金属箔を重ねて加熱、加圧成形する前に、前記プリプレグの150℃での揮発成分量を4.0%以下とする第2の工程とを有することを特徴とするものである。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙基材フェノール樹脂積層板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器などに搭載される印刷回路用基板として、従来から紙基材フェノール樹脂積層板が多用されている。紙基材フェノール樹脂積層板は、フェノール樹脂ワニスを紙基材に含浸乾燥させ、該プリプレグを1枚以上積層し、用途に応じてこの片面または両面に接着剤付銅箔等を重ねた後、加熱加圧成形されて製造されている。このようにして得られた紙基材フェノール樹脂積層板は、リフロー及びフローソルダーでの部品実装時の高温条件下において積層板に含まれる揮発成分によって積層板のふくれ不具合が発生しやすいものとして位置付けられている。
【0003】
近年、電子機器の環境対応に伴い鉛フリー化に伴う積層板の耐熱性の確保は、重要な課題となっている。しかし、従来の紙基材フェノール樹脂積層板では、鉛フリー半田による実装においては耐熱性が不充分であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、打抜性、電気的特性等の諸特性を劣化させることなく耐熱性に優れた紙基材フェノール樹脂積層板の製造方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(5)に記載の本発明により達成される。
(1)フェノール樹脂組成物と希釈剤とで構成されるフェノール樹脂ワニスを紙基材に含浸して得られるプリプレグの150℃での揮発成分量を3.0%以下とする第1の工程と、前記工程で得られたプリプレグに金属箔を重ねて加熱、加圧成形する前に、前記プリプレグの150℃での揮発成分量を4.0%以下とする第2の工程を有することを特徴とする紙基材フェノール樹脂積層板の製造方法。
(2)前記希釈剤は、水またはアルコール類を含むものである上記(1)記載の紙基材フェノール樹脂積層板の製造方法。
(3)前記フェノール樹脂組成物は、油変性フェノール樹脂を含むものである上記(1)または(2)に記載の紙基材フェノール樹脂積層板の製造方法。
(4)前記フェノール樹脂組成物は、レゾール型フェノール樹脂ワニスと、ノボラック型フェノール樹脂ワニスとの混合物を含むものである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の積層板の製造方法。
(5)前記フェノール樹脂組成物が、更にエポキシ樹脂を含むものである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の紙基材フェノール樹脂積層板の製造方法。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の紙基材フェノール樹脂積層板の製造方法について詳細に説明する。
本発明の紙基材フェノール樹脂積層板の製造方法は、フェノール樹脂組成物と希釈剤とで構成されるフェノール樹脂組成物を紙基材に含浸して得られるプリプレグの150℃での揮発成分量を3.0%以下とする第1の工程と、前記工程で得られたプリプレグに金属箔を重ねて加熱、加圧成形する前に、前記プリプレグの150℃での揮発成分量を4.0%以下とする第2の工程とを有することを特徴とするものである。
【0007】
本発明の製造方法では、フェノール樹脂組成物と希釈剤とで構成されるフェノール樹脂ワニスを紙基材に含浸して得られるプリプレグの150℃での揮発成分量を3.0%以下とする第1の工程を有する。これにより、紙基材フェノール樹脂積層板の耐熱性を向上することができる。
前記第1の工程後におけるプリプレグの150℃での揮発成分量は、3.0%以下であり、特に1.0〜2.5%が好ましい。前記プリプレグ中の揮発成分が前記下限値未満であると熱硬化性樹脂の硬化が進み、プリプレグ間の密着性が低下して積層板の打抜性が低下する場合があり、前記上限値を超えると積層板中の揮発成分が増加し、耐熱性、電気特性が低下する場合がある。
前記揮発成分量を3.0%以下にする方法としては、例えば熱風による加熱、遠赤外による加熱等により乾燥する方法を挙げることができる。
【0008】
通常、加熱加圧成形前のプリプレグの揮発成分量は、生産性を考慮すれば4.0%以上が適当である。しかし、従来の紙基材フェノール樹脂積層板には製造工程中で使用する希釈剤またはプリプレグの吸湿により積層板中の揮発成分が多く含まれていた。それに対して、本発明では、プリプレグ中の揮発成分量を3.0%以下に抑えることで紙基材フェノール樹脂積層板の耐熱性を顕著に改善して安定した耐熱性を発現することが可能となったものである。
【0009】
前記紙基材としては、例えばクラフト紙、リンター紙などがあげられる。
前記フェノール樹脂組成物を構成する樹脂としては、例えば未変性のノボラック型フェノール樹脂、ビスフェノールA型ノボラック型フェノール樹脂、ビスフェノールF型ノボラック型フェノール樹脂、クレゾールノボラック型フェノール樹脂、アルキルフェノールノボラック型フェノール樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、未変性のレゾール型フェノール樹脂、桐油、アマニ油、クルミ油等の乾性油変性レゾール型フェノール樹脂、大豆油、綿実油、サフラワー油等の半乾性油変性レゾール型フェノール樹脂等の油変性レゾール型フェノール樹脂等のレゾール型フェノール樹脂が挙げられる。
これらの中でも前記フェノール樹脂組成物は、油変性フェノール樹脂(特に油変性レゾール型フェノール樹脂)を含むものであることが好ましい。これにより、打抜性を向上することができる。
【0010】
また、前記フェノール樹脂組成物は、レゾール型フェノール樹脂と、ノボラック型フェノール樹脂との混合物を含むことが好ましい。これにより、寸法特性を向上することができる。
前記レゾール型フェノール樹脂と、前記ノボラック型フェノール樹脂との混合比率は、特に限定されないが、重量比で9:1〜4:6が好ましく、特に:8:2〜6:4が好ましい。重量比が前記範囲内であると、特に寸法安定性を向上することができる。
前記ノボラック型フェノール樹脂の2核体の含有量は、特に限定されないが、該樹脂全体の15重量%以上であることが好ましく、特に20〜80重量%以上であることが好ましい。含有量が前記下限値未満であると、耐熱性と打ち抜き性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると硬化性が低下し、電気特性が低下する場合がある。
【0011】
上述のような2核体含有量を有するノボラック型フェノール樹脂を製造する方法としては、フェノール類とアルデヒド類とを、通常用いられるシュウ酸等の酸触媒で反応させた後、蒸留等する方法、およびフェノール類とアルデヒド類とを有機ホスホン酸を触媒として反応させる方法等が挙げられる。これらの中でも触媒と有機ホスホン酸を用いる方法が好ましい。これにより、蒸留等の後工程を省略でき、作業性を向上することができる。また、有機ホスホン酸を触媒として用いて得られるノボラック型フェノール樹脂は、未反応のフリーフェノール量が少ないため、有害な物質が少なく作業環境をも向上することができる。
【0012】
更には、前記フェノール樹脂組成物は、更にエポキシ樹脂を含むものことが好ましい。これにより、寸法特性を特に向上することができる。
前記エポキシ樹脂の含有量は、特に限定されないが、フェノール樹脂組成物全体の5〜30重量%が好ましく、特に10〜20重量%が好ましい。含有量が前記範囲内であると、特に寸法安定性を向上することができる。
【0013】
前記希釈剤としては、例えば水、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル等のエーテル類、メタノール、エタノールおよびプロパノール等のアルコール類が挙げられる。これらの中でも水またはアルコール類を含むものであることが好ましい。入手が容易であり、かつ揮発させるのが容易であるからである。
【0014】
前記フェノール樹脂ワニスの固形分は、特に限定されないが、20〜80重量%が好ましく、特に40〜60重量%が好ましい。固形分が前記範囲内であると、紙基材への含浸性に特に優れることができる。
【0015】
前記フェノール樹脂組成物は、特に限定されないが、リン化合物を含むことが好ましい。これにより、ノンハロゲンで難燃性を付与することができる。更に、打ち抜き性を向上することができる。リン化合物としては、例えばリン酸エステル、縮合リン酸エステル、ホスフィンオキサイド等を挙げることができる。たとえばリン酸エステルとしては、例えばトリエチルホスフェイト、トリブチルホスフェイト、トリフェニルホスフェイト、トリクレジルホスフェイト、クレジルジフェニルホスフェイト、レゾルシルジフェニルホスフェイト、トリイソプロピルフェニルホスフェイト等が挙げられ、これらは1種または2種以上の混合系として使用される。この中で、トリフェニルホスフェイト、トリクレジルホスフェイト、クレジルジフェニルホスフェイトの中から選ばれる一種以上のリン化合物が入手の容易性の点で好ましい。
【0016】
前記リン化合物の含有量は、特に限定されないが、フェノール樹脂組成物全体、5〜30重量%が好ましく、特に7〜20重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると難燃性が低下する場合があり、前記上限値を超えると電気絶縁性、耐熱性が低下する場合がある。
【0017】
また、ノンハロゲンでの難燃性が要求されない場合、ハロゲン化合物を添加することもできる。前記ハロゲン化合物としては、例えばテトラブロモビスフェノールA(TBBA)、TBBA−エポキシオリゴマー等が挙げられる。
前記ハロゲン化合物の含有量は、特に限定されないが、フェノール樹脂組成物全体の5〜50重量%が好ましく、特に10〜30重量%が好ましい。含有量が前記範囲内であると特に難燃性を向上することができることに加え、耐熱性と打ち抜き性を向上することができる。
【0018】
また、本発明のフェノール樹脂組成物では、本発明の目的に反しない範囲において、アミノ樹脂等の難燃性化合物、アミン類、イミダゾール化合物等の硬化促進剤を配合することができる。前記アミノ樹脂としては、例えばメラミン樹脂、グアナミン樹脂などであるが、難燃化の効果を高めるためにはメラミン樹脂が好ましい。アミノ樹脂は、メラミンやグアナミンなどのアミノ化合物とホルムアルデヒド等のアルデヒド類との初期反応物であり、それらのメチロール基の一部または全部をメタノール、ブタノール等の低級アルコールでエーテル化したものも含まれる。
【0019】
前記フェノール樹脂ワニスを紙基材に含浸する方法としては、例えば紙基材をフェノール樹脂ワニスに浸漬する方法、各種コーターによる塗布する方法、スプレーによる吹き付ける方法等が挙げられる。これらの中でも、紙基材をフェノール樹脂ワニスに浸漬する方法が好ましい。これにより、紙基材に対するフェノール樹脂組成物の含浸性を向上することができる。なお、紙基材をフェノール樹脂ワニスに浸漬する場合、通常の含浸塗布設備を使用することができる。
【0020】
本発明の製造方法では、上述のプリプレグに金属箔を重ねて加熱、加圧成形する前に、前記プリプレグの150℃での揮発成分量を4.0%以下とする第2の工程を有する。これにより、特に耐熱性に優れることができる。
前記第2の工程後におけるプリプレグの150℃での揮発成分量は、4.0%以下であり、特に1〜3%が好ましい。揮発成分量が前記範囲内であると、特に250℃での部品実装時の耐熱性要求に対応することができる。
【0021】
通常プリプレグを1枚以上積層し、金属箔を重ねた後、加熱加圧成形する製造工程において、プリプレグは吸湿する。したがって、加熱加圧成形前のプリプレグの150℃での揮発成分を4.0%以下にすることで積層板中の揮発成分を抑制することができる。このようにして加熱加圧成形前のプリプレグ中の揮発成分を抑えることにより、高い耐熱性を有する積層板を得ることができる。
前記揮発成分量を4.0%以下のする方法としては、例えば熱風による加熱、遠赤外による加熱等により乾燥する方法を挙げることができる。
【0022】
従来の紙基材フェノール樹脂積層板は、部品実装時の耐熱性の要求が230℃程度であったが、鉛フリーはんだ化に伴い、その要求が250℃になってきた。かかる耐熱性の要求の変化により、従来の紙基材フェノール樹脂積層板では、ふくれ等が発生し、鉛フリーはんだに対応することができなくなった。これに対して、本発明から得られる紙基材フェノール樹脂積層板は、前述の要求特性を充足することが可能となるものである。
【0023】
前記金属箔を構成する金属としては、例えば銅または銅系合金、アルミまたはアルミ系合金等が挙げられる。
【0024】
本発明のプリプレグは、特に限定されないが、前記フェノール樹脂ワニスを2層以上含浸してなることが好ましい。これにより、耐熱性と電気特性をより向上することができる。前記2層以上を含浸する場合、2層目のワニスで処理した後乾燥したプリプレグの揮発成分は上記の通り3.0%以下、特に1.0〜2.5%であることが好ましい。なお、加熱加圧成形前のプリプレグの揮発成分は、前記と同様の条件が好ましい。
【0025】
上述のプリプレグを一枚または複数枚と、金属箔とを重ね、加熱、加圧成形することにより最終的に紙基材フェノール樹脂積層板を得ることができる。
前記加熱温度は、特に限定されないが、140〜180℃が好ましい。また、前記加圧圧力は、特に限定されないが、30〜150(kg/cm)が好ましい。
【0026】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。説明中、「%」は「重量%」を示す。
【0027】
(実施例1)
[未変性レゾール型フェノール樹脂の製造]
フェノール1000g、37%ホルムアルデヒド水溶液980g、トリエチルアミン20gからなる混合物を60℃で2時間反応させ、次に減圧下で濃縮し、これをメタノールで希釈して樹脂分50%の未変性のレゾール型フェノール樹脂ワニスを得た。
【0028】
[油変性レゾール型フェノール樹脂の製造]
フェノール1600gと桐油1000gをパラトルエンスルホン酸の存在下、95℃で2時間反応させ、更にパラホルムアルデヒド650g、ヘキサメチレンテトラミン30g、トルエン2000gを加えて90℃で2時間反応後、減圧下で濃縮し、これをトルエンとメタノールの混合溶媒で希釈して樹脂分50%の油変性フェノール樹脂ワニス(油変性量30%)を得た。
【0029】
(紙基材含浸用の樹脂ワニスの調製)
上述の未変性レゾール型フェノール樹脂ワニス50重量部(10.2%)と、油変性レゾール型フェノール樹脂ワニス200重量部(40.8%)と、TBBA−エポキシオリゴマー(153 大日本インキ化学工業社製)30重量部(12.2%)と、トリフェニルホスフェイト(TPP、大八化学社製)20重量部(8.2%)と、メチロール化メラミン樹脂(フェノライトTD−2538、大日本インキ化学工業社製)20重量部(8.2%)を配合し、紙基材含浸用の樹脂ワニスを得た。
【0030】
(積層板の製造)
次に上述の紙基材含浸用の樹脂ワニスを樹脂含浸率55%(プリプレグ全体に対する割合)となるように紙基材(120g/mのクラフト紙)に含浸、150℃で、5分加熱して揮発成分が2.1%である第1の工程後のプリプレグを得た。
次に、前記プリプレグを20℃下で管理して揮発成分量が2.6%である第2の工程後のプリプレグ8枚を重ね、さらにその両外面に接着剤つき銅箔(FSM日本電解社製)を重ね合わせ、150℃、100kg/cm、10分加熱加圧成形して厚さ1.6mmの積層板を得た。
【0031】
(実施例2)
第2の工程を以下のようにした以外は、実施例1と同様にした。
第1の工程で得られたプリプレグが吸湿により揮発成分量が4.6%となったため、100℃で30分乾燥してプリプレグの揮発成分量を2.9%とした。
【0032】
(実施例3)
第1の工程を以下のようにした以外は、実施例2と同様にした。
実施例1と同様の紙基材含浸用の樹脂ワニスを樹脂含浸率55%(プリプレグ全体に対する割合)となるように紙基材(120g/mのクラフト紙)に含浸、100℃で、5分加熱して揮発成分が2.8%である第1の工程後のプリプレグを得た。
なお、第2の工程後におけるプリプレグの揮発成分量は、3.0%であった。
【0033】
(実施例4)
第2の工程を以下のようにした以外は、実施例2と同様にした。
第1の工程で得られたプリプレグが吸湿により揮発成分量が4.6%となったため、80℃で30分乾燥してプリプレグの揮発成分量を3.5%とした。
【0034】
(実施例5)
上述の2種のレゾール型フェノール樹脂に加えて以下のノボラック型フェノール樹脂を併用して紙基材フェノール樹脂ワニスを調製した以外は、実施例1と同様にした。
[ノボラック型フェノール樹脂の製造]
フェノール1000gとシュウ酸10gとを仕込み、100℃に昇温して、37%ホルムアルデヒド水溶液450gを60分間かけて逐次添加し、100℃で還流しながら1時間反応させた。その後、常圧蒸留を行い130℃まで昇温して、500Paの減圧下で減圧蒸留を行って190℃まで昇温して、フェノール樹脂を得た。これをメタノールで希釈して樹脂分50%のノボラック型フェノール樹脂ワニスを得た。(2核体量20%、未反応のフェノール量 1.5%)
[紙基材フェノール樹脂ワニスの調製]
リン酸エステルとしてレゾルシノールジフェニルホスフェート11.4重量%およびトリフェニルホスフェイト7.5重量%と、レゾール型フェノール樹脂として実施例1で得られた未変性レゾール型フェノール樹脂ワニス9.4重量%および油変性レゾール型フェノール樹脂ワニス37.7重量%と、ノボラック型フェノール樹脂として上述のノボラック型フェノール樹脂ワニス15.1重量%と、エポキシ樹脂としてTBBA−エポキシオリゴマー(153 大日本インキ化学工業社製)11.4重量%と、メチロール化メラミン樹脂(フェノライトTD−2538、大日本インキ化学工業社製)7.5重量%とを配合し、紙基材含浸用の樹脂ワニスを得た。
【0035】
(比較例1)
実施例1と同様にして揮発成分が5.1%のプリプレグを得た。加熱加圧成形前のプリプレグの揮発成分が5.2%になったプリプレグ8枚を重ね、更にその両外面に接着剤つき銅箔(FSM 日本電解社製)を重ね合わせ、150℃、100kg/cm、10分加熱加圧成形して厚さ1.6mmの積層板を得た。プリプレグの揮発成分をの通りにした以外は、実施例1と同様にした。
【0036】
(比較例2)
実施例1と同様にして揮発成分が2.1%のプリプレグを得た。含浸乾燥工程から加熱加圧成形工程中の滞留により吸湿して加熱加圧成形前のプリプレグの揮発成分が4.6%になったプリプレグ8枚を重ね、更にその両外面に接着剤つき銅箔(FSM 日本電解社製)を重ね合わせ、150℃、100kg/cm、10分加熱加圧成形して厚さ1.6mmの積層板を得た。
【0037】
上述の各実施例および比較例により得られた積層板の各特性を評価した。各特性は、以下の方法で評価した。得られた結果を表1に示す。
▲1▼ 気中耐熱性
10cm角の積層板を温度230および250℃の乾燥機中にそれぞれ入れ、10分間放置した。この試料の外観からみたふくれ不具合の発生の有無を目視で評価した。各符号は、以下の通りである。
◎:フクレ等無し
○:小さなフクレ等少し有り
△:大きなフクレ等少し有り
×:フクレ等有り
【0038】
▲2▼ 半田耐熱性
半田耐熱性は、JIS C 6481に準じて評価した。
【0039】
▲3▼ 打抜加工性
打ち抜き加工性は、ASTM D617−44に基づき評価した。各符号は、以下の通りである。
◎:積層板の端面で樹脂欠けおよび銅箔の剥離無く、かつ樹脂粉の発生も少ない。
○:積層板の端面で樹脂欠けおよび銅箔の剥離無いが、樹脂粉の発生は多い。
△:積層板の端面で樹脂欠けおよび銅箔の剥離有るが、樹脂粉の発生は少ない。
×:積層板の端面で樹脂欠けおよび銅箔の剥離有り、かつ、樹脂粉の発生も多い。
【0040】
▲4▼絶縁抵抗
絶縁抵抗は、JIS C 6481に準じて評価した。
【0041】
▲5▼難燃性
難燃性は、厚さ1.6mmのサンプルをUL規格に基づいて評価した。
【0042】
【表1】
Figure 2004244565
【0043】
表から明らかなように、実施例1、2は、打ち抜き性、絶縁抵抗および耐熱性に優れていた。また、実施例1、2は、250℃での耐熱性に特に優れており、鉛フリーはんだ化に十分対応できることが確認された。
【0044】
【発明の効果】
本発明によると、打抜性、電気的特性等の諸特性を劣化させることなく耐熱性に優れた紙基材フェノール樹脂積層板を安定的に得ることができる。

Claims (5)

  1. フェノール樹脂組成物と希釈剤とで構成されるフェノール樹脂ワニスを紙基材に含浸して得られるプリプレグの150℃での揮発成分量を3.0%以下とする第1の工程と、
    前記工程で得られたプリプレグに金属箔を重ねて加熱、加圧成形する前に、前記プリプレグの150℃での揮発成分量を4.0%以下とする第2の工程を有することを特徴とする紙基材フェノール樹脂積層板の製造方法。
  2. 前記希釈剤は、水またはアルコール類を含むものである請求項1に記載の紙基材フェノール樹脂積層板の製造方法。
  3. 前記フェノール樹脂組成物は、油変性フェノール樹脂を含むものである請求項1または2に記載の紙基材フェノール樹脂積層板の製造方法。
  4. 前記フェノール樹脂組成物は、レゾール型フェノール樹脂ワニスと、ノボラック型フェノール樹脂ワニスとの混合物を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の積層板の製造方法。
  5. 前記フェノール樹脂組成物が、更にエポキシ樹脂を含むものである請求項1ないし4のいずれかに記載の紙基材フェノール樹脂積層板の製造方法。
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