JP2011026400A - フェノール樹脂組成物、プリプレグおよび積層板 - Google Patents

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Masatoshi Hirai
正俊 平井
Masao Kamisaka
政夫 上坂
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Abstract

【課題】品質安定に優れ、かつ、電気絶縁性、耐トラッキング性に優れたフェノール樹脂組成物、プリプレグおよび積層板を提供することである。
【解決手段】紙基材フェノール樹脂積層板を製造するために用いるフェノール樹脂組成物であって、フェノール樹脂組成物全体の30〜80重量%が末端に極性基を有する液状ポリブタジエン変性レゾール型フェノール樹脂を含有し、末端に極性基を有する液状ポリブタジエン変性レゾール型フェノール樹脂の末端極性基が、水酸基、カルボキシル基、マレイン酸基から選択される少なくとも1種であることを特徴とするフェノール樹脂組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、フェノール樹脂組成物、プリプレグおよび積層板に関する。
電子機器などに搭載される印刷回路用基板として、紙基材フェノール樹脂積層板が多用されている。紙基材フェノール樹脂積層板を製造するために、紙基材に含浸されるフェノール樹脂としては、レゾール型フェノール樹脂が用いられており、特に打ち抜き加工性を重視される用途では可撓性付与のため乾性油変性レゾール型フェノールフェノール樹脂の配合比率を高めることが広範に行われている(例えば特許文献1および2)。
しかし、乾性油は天然産品であるため産地の気候や自然災害などの影響で価格変動や供給安定性に懸念があるとともに、近年、積層板の高機能化の要求がある。
特開平6−320697 特開平9−157414
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、品質安定に優れ、かつ、電気絶縁性、耐トラッキング性に優れたフェノール樹脂組成物、プリプレグおよび積層板を提供することにある。
本発明は、下記(1)〜(4)記載の本発明により達成される。
(1)紙基材フェノール樹脂積層板を製造するために用いるフェノール樹脂組成物であって、
フェノール樹脂組成物全体の30〜80重量%が末端に極性基を有する液状ポリブタジエン変性レゾール型フェノール樹脂を含有することを特徴とするフェノール樹脂組成物。
(2)末端に極性基を有する液状ポリブタジエン変性レゾール型フェノール樹脂の末端極性基が、水酸基、カルボキシル基、マレイン酸基から選択される少なくとも1種である上記(1)に記載のフェノール樹脂組成物。
(3)上記(1)または(2)に記載のフェノール樹脂組成物と溶剤とからなる塗布液。
(4)前記溶剤は、ケトン系溶剤と芳香族炭化水素系溶剤との混合系であり、前記ケトン系溶剤と芳香族炭化水素系溶剤との混合比率が1/2〜2/1である上記(3)に記載の塗布液。
(5)上記(3)または(4)に記載の塗布液を、基材に含浸乾燥してなるプリプレグ。
(6)上記(5)に記載のプリプレグを一枚以上重ね合わせ加熱加圧してなる積層板。
本発明によれば、品質安定に優れ、かつ、電気絶縁性、耐トラッキング性に優れたフェノール樹脂組成物、プリプレグおよび積層板を提供することができる。
以下、本発明のフェノール樹脂組成物、プリプレグおよび積層板について詳細に説明する。
本発明のフェノール樹脂組成物は、積層板を製造するために用いるフェノール樹脂組成物であって、フェノール樹脂組成物全体の30〜80重量%が末端に極性基を有する液状ポリブタジエン変性レゾール型フェノール樹脂を含有するものである。
また、本発明のプリプレグは、上述のフェノール樹脂組成物を紙基材に含浸してなるものである。
また、本発明の積層板は、上述のプリプレグを少なくとも1枚以上重ね合わせ加熱加圧してなるものである。
まず、本発明のフェノール樹脂組成物について説明する。
本発明のフェノール樹脂組成物は、紙基材フェノール樹脂積層板(積層板)の製造に用いるものである。
本発明のフェノール樹脂組成物には、末端に極性基を有する液状ポリブタジエン変性フェノール樹脂を含む。これらの液状ポリブタジエンを単独もしくは併用しフェノール類と変性反応しケトン系と芳香族炭化水素系の混合の希釈溶剤を適用することで相溶性・可撓性・耐湿性に優れた特性が得られる。
該当する極性基としては、特に限定はされないが、マレイン酸基、カルボキシル基、アミド基、水酸基などであり、特にマレイン酸基を有する液状ポリブタジエンが好ましい。希釈溶剤のケトン系ではアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等であり芳香族炭化水素系としてはトルエン、キシレン等が例示される。この液状ポリブタジエン変性フェノール樹脂を適用することにより、乾性油変性フェノール樹脂同様の打ち抜き加工性を得ることができる。
本発明で例示の液状ポリブタジエン変性レゾール型フェノール樹脂に併用するレゾール型フェノール樹脂は、特に限定されるものではなく、通常使用されているものを使用することができる。
特に低粘度の未変性レゾール型フェノール樹脂を含むことにより、紙への含浸性を高めるとともに適度な硬度や耐熱性を確保することが出来る。
また、紙基材フェノール樹脂積層板を低コスト化することができる。
本発明での液状ポリブタジエン変性レゾール型フェノール樹脂の含有量は、フェノール樹脂組成物全体の30〜80重量%が好ましく、更に好ましくは35〜65重量%である。液状ポリブタジエン変性レゾール型フェノール樹脂の含有量が前記下限値未満であると、可撓性・屈曲性に劣り打ち抜き加工性不充分となる。また、液状ポリブタジエン変性フェノール樹脂の含有量が前記上限値を超えると、可撓性が高すぎて耐熱性や硬化性が不足する場合がある。
また、本発明の目的に反しない範囲において、ハロゲン化合物、リン化合物、アミノ樹脂等の難燃性化合物を配合することができる。
前記難燃性化合物の含有量は、特に限定されないが、フェノール樹脂組成物全体の5〜40重量%が好ましく、より好ましくは10〜30重量%である。これにより、紙基材フェノール樹脂積層板の特性を損なうことなく難燃性を向上することができる。ハロゲン化合物は、例えばテトラブロモビスフェノールA(TBBA)、TBBA型難燃エポキシ樹脂等が挙げられる。
リン化合物としては、例えばリン酸エステル、縮合リン酸エステル、ホスフィンオキサイド等を挙げることができる。例えばリン酸エステルとしては、例えばトリエチルホスフェイト、トリブチルホスフェイト、トリフェニルホスフェイト、トリクレジルホスフェイト、クレジルジフェニルホスフェイト、レゾルシルジフェニルホスフェイト、トリイソプロピルフェニルホスフェイト等が挙げられ、これらは1種または2種以上の混合系として使用される。この中で、トリフェニルホスフェイト、トリクレジルホスフェイト、クレジルジフェニルホスフェイトの中から選ばれる一種以上のリン化合物が入手の容易性の点で好ましい。
アミノ樹脂は、例えばメラミン樹脂、グアナミン樹脂などであるが、難燃化の効果を高めるためにはメラミン樹脂が好ましい。アミノ樹脂は、メラミンやグアナミンなどのアミノ化合物とホルムアルデヒド等のアルデヒド類との初期反応物であり、それらのメチロール基の一部または全部をメタノール、ブタノール等の低級アルコールでエーテル化したものも含まれる。
次に、プリプレグについて説明する。
本発明のプリプレグは、上述のフェノール樹脂組成物を紙基材に含浸してなるものである。
前記紙基材は、例えばクラフト紙、リンター紙などがあげられる。また、紙基材として水溶性フェノール樹脂、メチロールメラミン樹脂等で前もって処理したものも本発明に含まれる。
フェノール樹脂組成物を紙基材に含浸させる方法は、通常使用されている方法を使用することができる。例えば、紙基材を樹脂ワニスに含浸させる方法、各種コーターにより塗布する方法、スプレーによる吹き付け法等が挙げられる。
次に、紙基材フェノール樹脂積層板について説明する。
本発明の紙基材フェノール樹脂積層板は、前記プリプレグを少なくとも1枚以上含むものである。
紙基材フェノール樹脂積層板は、前記プリプレグ1枚のときは、その片面または両面に金属箔を積層して得ることができる。
また、前記プリプレグ2枚以上のときは、プリプレグの最も外側の片面または両面に金属箔を積層して得ることができる。
前記金属箔を構成する金属としては、例えば銅または銅系合金、アルミまたはアルミ系合金等が挙げられる。これらのなかでも銅を金属箔として用いることが好ましい。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。説明中、「%」は「重量%」を示す。
(実施例1)
[未変性レゾール型フェノール樹脂の製造]
フェノール1000g、37%ホルムアルデヒド水溶液980g、トリエチルアミン20gからなる混合物を80℃で2時間反応させ、次に減圧下で濃縮し、これをメタノールで希釈して樹脂分50%のレゾール型フェノール樹脂ワニスを得た。
[液状ポリブタジエン変性レゾール型フェノール樹脂の製造]
フェノール1000gと末端マレイン基含有液状ポリブタジエン1000gをパラトルエンスルホン酸の存在下、95℃で2時間反応させ、更に、92%濃度パラホルムアルデヒド300g、トリエチルアミン25g、ヘキサメチレンテトラミン30g、トルエン300gを加えて90℃で2時間反応後、減圧下で脱水濃縮し、これをトルエンとアセトンの混合溶媒で希釈して樹脂分50%の液状ポリブタジエン変性フェノール樹脂ワニスを得た。
(紙基材含浸用の樹脂ワニスの調製)
溶剤を除いた固形分換算で、上述の未変性レゾール型フェノール樹脂ワニス75重量部(23%)と、液状ポリブタジエン変性レゾール型フェノール樹脂ワニス165重量部(50%)と、TBBA型難燃エポキシ樹脂(GX−153 大日本インキ化学工業社製)10重量部(6%)と、トリフェニルホスフェイト(TPP、大八化学社製)20重量部(12%)と、メチロール化メラミン樹脂(樹脂分50%)(フェノライトTD−2538、大日本インキ化学工業社製)30重量部(9%)を配合し、紙基材含浸用の樹脂ワニスを得た。
(積層板の製造)
次に上述の紙基材含浸用の樹脂ワニスを樹脂含浸率55%(プリプレグ全体に対する割合)となるように紙基材を含浸させてプリプレグを得た。このプリプレグ8枚とその表裏両面に接着剤つき銅箔(FSM 日本電解社製)を重ね合わせ、150℃、100kg/cm、10分加熱加圧成形して厚さ1.6mmの積層板を得た。
(実施例2)
紙基材含浸用の樹脂ワニスにおいて、主成分の液状ポリブタジエン変性レゾール型フェノール樹脂を末端マレイン酸基に替わり末端カルボン酸基タイプに変更して同条件にて反応製造した以外は、実施例1と同様にした。
(実施例3)
紙基材含浸用の樹脂ワニスにおいて、未変性レゾール型フェノール樹脂ワニス40部(12%)と、液状ポリブタジエン変性レゾール型フェノール樹脂ワニスの量を200(61%)重量部にした以外は、実施例1と同様にした。
(実施例4)
紙基材含浸用の樹脂ワニスにおいて、未変性レゾール型フェノール樹脂ワニス115部(35%)と、液状ポリブタジエン変性レゾール型フェノール樹脂ワニスの量を125部(38%)にした以外は、実施例1と同様にした。
(比較例1)
紙基材含浸用の樹脂ワニスにおいて、未変性レゾール型フェノール樹脂ワニス165部(50%)と、液状ポリブタジエン変性レゾール型フェノール樹脂ワニスの量を75部(23%)にした以外は液状ポリブタジエン変性レゾール型フェノール樹脂を用いなかった以外は、実施例1と同様にした。
(比較例2)
紙基材含浸用の樹脂ワニスにおいて、液状ポリブタジエン変性フェノール樹脂に替わり桐油変性フェノール樹脂を適用した以外は、実施例1と同様にした。
上述の実施例および比較例により得られた積層板の各特性を評価した。各特性は、以下の方法で評価した。得られた結果を表1に示す。
(1)難燃性
UL94法に従って評価した。
(2)耐湿絶縁性
85℃85%RH96時間吸湿処理前後の体積抵抗率JIS K5611 にて絶縁性を判定した
(3)打ち抜き加工性 ASTM D617−44に基づき測定した。各記号は、以下の通りである。
○:積層板の端面で樹脂欠けおよび銅箔の剥離無し。樹脂粉の発生も少ない。
△:積層板の端面で樹脂欠けおよび銅箔の剥離有るが、樹脂粉の発生は少ない。
×:積層板の端面で樹脂欠けおよび銅箔の剥離有り、且つ樹脂粉の発生も多い。
(4)耐トラッキング性 IEC112に準拠して測定した。
Figure 2011026400
実施例では難燃性、耐湿絶縁性、打ち抜き加工性、耐トラッキング性のいずれも良好なのに対して、比較例1の液状ポリブタジエン配合率が低いと打ち抜き加工性と耐トラッキング性が低かった。また、比較例2の桐油変性フェノール樹脂を適用した場合には、打ち抜き加工性は良好であるが、耐湿絶縁性及び耐トラッキング性が低かった。

Claims (6)

  1. 紙基材フェノール樹脂積層板を製造するために用いるフェノール樹脂組成物であって、
    フェノール樹脂組成物全体の30〜80重量%が末端に極性基を有する液状ポリブタジエン変性レゾール型フェノール樹脂を含有することを特徴とするフェノール樹脂組成物。
  2. 末端に極性基を有する液状ポリブタジエン変性レゾール型フェノール樹脂の末端極性基が、水酸基、カルボキシル基、マレイン酸基から選択される少なくとも1種である請求項1に記載のフェノール樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載のフェノール樹脂組成物と溶剤とからなる塗布液。
  4. 前記溶剤は、ケトン系溶剤と芳香族炭化水素系溶剤との混合系であり、前記ケトン系溶剤と芳香族炭化水素系溶剤との混合比率が1/2〜2/1である請求項3に記載の塗布液。
  5. 請求項3または4に記載の塗布液を、基材に含浸乾燥してなるプリプレグ。
  6. 請求項5に記載のプリプレグを一枚以上重ね合わせ加熱加圧してなる積層板。
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