JP4175915B2 - 樹脂組成物、プリプレグおよびフェノール樹脂積層板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂組成物、プリプレグおよびフェノール樹脂積層板に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器等に搭載される印刷回路用基板として、従来から紙基材フェノール樹脂積層板が多用されている。紙基材フェノール樹脂積層板は、フェノール樹脂配合ワニスを紙基材に含浸乾燥させ、該含浸紙を複数枚積層し、用途に応じてこの片面または両面に接着剤付銅箔を重ねた後、加熱加圧成形されて製造されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、紙基材フェノール樹脂積層板は、リフロー実装時の高温条件下において積層板のふくれ不具合が発生しやすいものとして位置付けられている。更に、従来の紙基材フェノール樹脂積層板は、耐熱性が不充分であった。
【0004】
さらに近年の電子機器の環境対応により、半田の鉛フリー化が導入されている。従来の有鉛半田と比較して、無鉛半田では融点が20〜30℃上がるため、リフロー時の実装温度も必然的に従来よりも20〜30℃高くなる。
【0005】
これまでの有鉛半田での実装条件でさえフェノール樹脂積層板(特に紙基材フェノール樹脂積層板)の耐熱性の確保は重要な課題となっており、無鉛半田でのリフロー実装条件に適するフェノール樹脂積層板は無かった。
【0006】
【特許文献】
特開平5−487号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、フェノール樹脂積層板(特に紙基材フェノール樹脂積層板)にした際に、高融点の鉛フリー半田でのリフロー実装に対応した耐熱性に優れた樹脂組成物、プリプレグを提供することである。
また、本発明の目的は高融点の鉛フリー半田でのリフロー実装に対応した耐熱性に優れたフェノール樹脂積層板を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(7)記載の本発明により達成される。
(1)プリプレグを形成するために用いる樹脂組成物であって、(a)ポリリン酸アンモニウムまたはポリリン酸メラミンと、(b1)2核体含有量が15〜30%のノボラック型フェノール樹脂と、(c)エポキシ樹脂と、(b2)レゾール型フェノール樹脂とを含み、前記(b1)ノボラック型フェノール樹脂の含有量は、樹脂組成物全体の3〜30重量%であり、前記(b2)レゾール型フェノール樹脂の含有量は、樹脂組成物全体の10〜80重量%であり、前記(c)エポキシ樹脂の含有量は、樹脂組成物全体の3〜40重量%であることを特徴とする樹脂組成物。
(2)前記(b2)レゾール型フェノール樹脂は、油変性レゾール型フェノール樹脂を含むものである第(1)に記載の樹脂組成物。
(3)前記(a)ポリリン酸アンモニウムまたはポリリン酸メラミンの含有量は、樹脂組成物全体の3〜40重量%である第(1)または(2)に記載の樹脂組成物。
(4)第(1)ないし(3)のいずれかに記載の樹脂組成物を基材に含浸してなることを特徴とするプリプレグ。
(5)第(1)ないし(4)のいずれかに記載の樹脂組成物を基材に2層以上含浸してなることを特徴とするプリプレグ。
(6)前記基材は、紙基材である第(4)または(5)に記載のプリプレグ。
(7)第(4)ないし(6)のいずれかに記載のプリプレグ1枚以上を成形してなることを特徴とするフェノール樹脂積層板。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の樹脂組成物、プリプレグおよびフェノール樹脂積層板について詳細に説明する。
本発明の樹脂組成物は、例えば紙基材のような基材に含浸してシート状のプリプレグを形成するために用いる樹脂組成物であって、ポリリン酸アンモニウムまたはポリリン酸メラミンと、2核体含有量が10%以上のノボラック型フェノール樹脂と、エポキシ樹脂とを含むことを特徴とするものである。
また、本発明のプリプレグは、上記記載の樹脂組成物を基材に含浸してなることを特徴とするものである。
また、本発明のフェノール樹脂積層板は、上記記載のプリプレグ1枚以上を成形してなることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の樹脂組成物は、プリプレグを形成するために用いるものである。
本発明の樹脂組成物は、(a)ポリリン酸アンモニウムまたはポリリン酸メラミンを含む。これにより、難燃性および耐熱性を向上させることができる。ここで、耐熱性とは、乾燥機中での気中耐熱性を意味し、260〜265℃においても膨れ、剥がれ等の不具合が無いことを意味する。
従来の有鉛半田を使用する場合は、気中耐熱性においても240℃程度の耐熱性を有していれば十分であった。しかし、無鉛半田を使用する場合、更なる耐熱性が要求されることになる。
【0011】
ここで、本発明でポリリン酸アンモニウムまたはポリリン酸メラミンを用いる理由は、耐湿性に優れるからである。すなわち、通常のリン酸アンモニウムまたはリン酸メラミンは水に可溶であるが、ポリリン酸アンモニウム等は水に不溶であるため、耐湿性にも優れることができると考えられる。
また、通常のリン酸アンモニウムまたはリン酸メラミンと比較して熱時重量減少が抑えられるため、耐熱性にも優れることができる。
【0012】
前記(a)ポリリン酸アンモニウムまたはポリリン酸メラミンの含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の3〜40重量%が好ましく、特に3〜30重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると難燃性が低下する場合があり、前記上限値を超えると接着性が低下する為、耐熱性、打抜性が低下する場合がある。
【0013】
本発明の樹脂組成物は、(b1)2核体含有量が10%以上(ノボラック樹脂全体)のノボラック型フェノール樹脂を含む。これにより耐熱性と打抜性を向上させることができる。
前記(b1)ノボラック型フェノール樹脂の2核体含有量は、ノボラック樹脂全体の12%以上が好ましく、特に15〜30%が好ましい。2核体含有量が前記範囲内であると、特に打ち抜き時の粉落ち性を向上することができる。
【0014】
前記(b1)ノボラック型フェノール樹脂としては、例えばフェノールノボラック型樹脂、ビスフェノールA型ノボラック型フェノール樹脂、ビスフェノールF型ノボラック型フェノール樹脂、クレゾールノボラック型フェノール樹脂、アルキルフェノールノボラック型フェノール樹脂等が挙げられる。これらの中でも、フェノールノボラック型樹脂、ビスフェノールF型ノボラック型フェノール樹脂、クレゾールノボラック型フェノール樹脂が好ましい。
【0015】
前記(b1)ノボラック型フェノール樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の3〜30重量%が好ましく、特に5〜25重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると耐熱性、打ち抜き性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると前述のレゾール型フェノール樹脂との硬化が不充分となる場合がある。
【0016】
本発明の樹脂組成物では、特に限定されないが、さらに(b2)レゾール型フェノール樹脂を含むことが好ましい。これにより、耐熱性(特に気中耐熱性)を向上することができる。
前記(b2)レゾール型フェノール樹脂としては、例えば未変性のレゾール型フェノール樹脂、桐油、アマニ油、クルミ油等の乾性油変性レゾール型フェノール樹脂、大豆油、綿実油、サフラワー油等の半乾性油変性レゾール型フェノール樹脂等の油変性レゾール型フェノール樹脂が挙げられる。これらの中でも油変性レゾール型フェノール樹脂(特に桐油変性レゾール型フェノール樹脂)が好ましい。これにより、特に低温での打ち抜き性を向上することができる。
【0017】
前記(b2)レゾール型フェノール樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の10〜80重量%が好ましく、特に20〜70重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると耐熱性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると打抜性を向上する効果が低下する場合がある。
【0018】
また、前記(b2)レゾール型フェノール樹脂は、特に限定されないが、未変性のレゾール型フェノール樹脂および油変性レゾール型フェノール樹脂とを含むことが好ましい。これにより、耐熱性を維持した状態で打抜性を向上することができる。
【0019】
記未変性のレゾール型フェノール樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の2〜25重量%が好ましく、特に5〜20重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると電気絶縁性、耐熱性が低下する場合があり、前記上限値を超えると打ち抜き性を向上する効果が低下する場合がある。
【0020】
前記油変性レゾール型フェノール樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の20〜50重量%が好ましく、25〜45重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると打ち抜き性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると耐熱性が低下する場合がある。
【0021】
前記油変性レゾール型フェノール樹脂の油変性量は、特に限定されないが、該樹脂全体の5〜50重量%が好ましく、特に10〜30重量%が好ましい。変性量が前記下限値未満であると打ち抜き性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると耐熱性を向上する効果が低下する場合がある。
【0022】
本発明の樹脂組成物では、(c)エポキシ樹脂を含む。これにより、更に耐熱性を向上することができる。
前記(c)エポキシ樹脂としては、特に限定されないが、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、TBBA−エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でもビスフェノールA型エポキシ樹脂、TBBA−エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましく、特にハロゲンフリー用途にはビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。
【0023】
前記(c)エポキシ樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の3〜40重量%が好ましく、特に5〜30重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると耐熱性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると打ち抜き性を向上する効果が低下する場合がある。
【0024】
本発明の樹脂組成物では、特に限定されないが、(a)ポリリン酸アンモニウムまたはポリリン酸メラミン以外のリン化合物を含むことが好ましい。これにより、難燃性だけでなく打ち抜き性を更に向上することができる。
前記リン化合物としては、例えばリン酸エステル、縮合リン酸エステル、ホスフィンオキサイド等を挙げることができる。例えばリン酸エステルとしては、例えばトリエチルホスフェイト、トリブチルホスフェイト、トリフェニルホスフェイト、トリクレジルホスフェイト、クレジルジフェニルホスフェイト、レゾルシルジフェニルホスフェイト、トリイソプロピルフェニルホスフェイト等が挙げられ、これらは1種または2種以上の混合系として使用される。この中で、トリフェニルホスフェイト、トリクレジルホスフェイト、クレジルジフェニルホスフェイトの中から選ばれる一種以上のリン化合物が入手の容易性の点で好ましい。
【0025】
前記リン化合物(ポリリン酸アンモニウムまたはポリリン酸メラミン以外)の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体、3〜20重量%が好ましく、特に5〜18重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると打抜性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると電気絶縁性、耐熱性が低下する場合がある。
【0026】
また、本発明の樹脂組成物では、本発明の目的に反しない範囲において、アミノ樹脂等の難燃性化合物、アミン類、イミダゾール化合物等の硬化促進剤を配合することができる。前記アミノ樹脂としては、例えばメラミン樹脂、グアナミン樹脂などであるが、難燃化の効果を高めるためにはメラミン樹脂が好ましい。アミノ樹脂は、メラミンやグアナミンなどのアミノ化合物とホルムアルデヒド等のアルデヒド類との初期反応物であり、それらのメチロール基の一部または全部をメタノール、ブタノール等の低級アルコールでエーテル化したものも含まれる。
【0027】
次に、本発明のプリプレグについて説明する。
本発明のプリプレグは、上述の樹脂組成物を基材(特に紙基材)に含浸してなるものである。
前記紙基材としては、ガラス織布、ガラス不織布等のガラス繊維基材、ポリイミド繊維基材、ポリエステル繊維基材等の有機繊維基材、クラフト紙、リンター紙等の紙基材を挙げることができる。これらの中でも紙基材が好ましい。
【0028】
前記樹脂組成物を基材に含浸させる方法としては、例えば、基材を樹脂ワニスに含浸させる方法、各種コーターにより塗布する方法、スプレーによる吹き付け法等が挙げられる。
前記樹脂ワニスは、例えば前記樹脂組成物をメタノール、トルエン等の溶媒に溶解して得られる。樹脂ワニスの固形分は、特に限定されないが、20〜80重量%が好ましく、特に40〜60重量%が好ましい。
【0029】
また、本発明のプリプレグは、特に限定されないが、前記樹脂組成物を2層以上含浸してなることが好ましい。これにより、耐熱性と電気特性をより向上することができる。
基材に前記樹脂組成物を2層以上で含浸する場合、1層目と2層目とは、樹脂組成物が同じであっても良いが、異なることが好ましい。
例えば、前記1層目(コア層)の樹脂組成物は、前記ノボラック型フェノール樹脂とレゾール型フェノール樹脂で構成されることが好ましい。また、前記第2層目(表面層)の樹脂組成物は、油変性レゾール型フェノール樹脂、リン化合物およびエポキシ樹脂等で構成されることが好ましい。これにより、紙基材への含浸性をより向上することができる。また、2層目油変性レゾール型フェノール樹脂を用いることで接着性も向上することができる。
なお、含浸する方法は、前記含浸方法と同様の方法を用いることができる。
【0030】
次に、フェノール樹脂積層板について説明する。
本発明のフェノール樹脂積層板は、前記プリプレグを少なくとも1枚以上を成形してなるものである。
フェノール樹脂積層板は、前記プリプレグ1枚のときは、その片面または両面に金属箔を積層して得ることができる。
また、前記プリプレグ2枚以上のときは、プリプレグの最も外側の片面または両面に金属箔を積層して得ることができる。
前記金属箔を構成する金属としては、例えば銅または銅系合金、アルミまたはアルミ系合金等が挙げられる。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0032】
(実施例1)
[ノボラック型フェノール樹脂の製造]
フェノール1000gとシュウ酸10gとを仕込み、100℃に昇温して、37%ホルムアルデヒド水溶液450gを60分間かけて逐次添加し、100℃で還流しながら1時間反応させた。その後、常圧蒸留を行い130℃まで昇温して、500Paの減圧下で減圧蒸留を行って190℃まで昇温して、フェノール樹脂を得た。
これをメタノールで希釈して樹脂分50%の2核体含有量が25%、未反応フェノール類1重量%であるノボラック型フェノール樹脂ワニスを得た。
【0033】
[未変性レゾール型フェノール樹脂の製造]
フェノール1000g、37%ホルムアルデヒド水溶液980g、トリエチルアミン20gからなる混合物を60℃で2時間反応させ、次に減圧下で濃縮し、これをメタノールで希釈して樹脂分50%の未変性のレゾール型フェノール樹脂ワニスを得た。
【0034】
[油変性レゾール型フェノール樹脂の製造]
フェノール1600gと桐油1000gをパラトルエンスルホン酸の存在下、95℃で2時間反応させ、更にパラホルムアルデヒド650g、ヘキサメチレンテトラミン30g、トルエン2000gを加えて90℃で2時間反応後、減圧下で濃縮し、これをトルエンとメタノールの混合溶媒で希釈して樹脂分50%の油変性フェノール樹脂ワニス(油変性量30%)を得た。
【0035】
(紙基材含浸用の樹脂ワニスの調製)
上述のノボラック型フェノール樹脂ワニス80重量部(16.3%)と、未変性レゾール型フェノール樹脂ワニス50重量部(10.2%)と、油変性レゾール型フェノール樹脂ワニス200重量部(40.8%)と、ポリリン酸アンモニウム(TERRAJU C−70 チッソ社製)30重量部(12.2%)と、TBBA−エポキシオリゴマー(153 大日本インキ化学工業社製)30重量部(12.2%)と、トリフェニルホスフェイト(TPP、大八化学社製)20重量部(8.2%)を配合し、紙基材含浸用の樹脂ワニスを得た。
【0036】
(積層板の製造)
次に上述の紙基材含浸用の樹脂ワニスを樹脂含浸率55%(プリプレグ全体に対する割合)となるように紙基材(120g/m2のクラフト紙)に含浸させてプリプレグを得た。このプリプレグ8枚を重ね、更にその両外面に接着剤つき銅箔(FSM 日本電解社製)を重ね合わせ、150℃、100kg/cm2、10分加熱加圧成形して厚さ1.6mmの積層板を得た。
【0037】
(実施例2)
紙基材含浸用の樹脂ワニスにおいて、ノボラック型フェノール樹脂およびその配合量を以下の通りにした以外は、実施例1と同様にした。
蒸留条件を変え、2核体含有量20%、未反応フェノール類2重量%であるノボラック型フェノール樹脂を得た。このノボラック型フェノール樹脂を100重量部(18.9%)とし、他の配合量を未変性レゾール型フェノール樹脂ワニス50重量部(9.4%)と、油変性レゾール型フェノール樹脂ワニス200重量部(37.7%)と、ポリリン酸アンモニウム(TERRAJU C−60 チッソ社製)30重量部(11.3%)と、TBBA−エポキシオリゴマー(153 大日本インキ化学工業社製)30重量部(11.3%)と、トリフェニルホスフェイト(TPP、大八化学社製)20重量部(7.5%)と、メチロール化メラミン樹脂(フェノライトTD−2538、大日本インキ化学工業社製)20重量部(3.8%)を配合し、紙基材含浸用の樹脂ワニスを得た。
【0038】
(実施例3)
紙基材含浸用の樹脂ワニスにおいて、ノボラック型フェノール樹脂を以下の通りにした以外は、実施例1と同様にした。
蒸留条件を変え、2核体含有量11%、未反応フェノール類2重量%であるノボラック型フェノール樹脂を用いた。
【0039】
(実施例4)
紙基材含浸用の樹脂ワニスにおいて、ポリリン酸アンモニウムの配合量を変えて配合を以下の通りにした以外は、実施例1と同様にした。
ノボラック型フェノール樹脂ワニス80重量部(11.0%)と、未変性レゾール型フェノール樹脂ワニス50重量部(6.8%)と、油変性レゾール型フェノール樹脂ワニス200重量部(27.4%)と、ポリリン酸アンモニウム(TERRAJU C−70 チッソ社製)140重量部(38.4%)と、TBBA−エポキシオリゴマー(153 大日本インキ化学工業社製)30重量部(8.2%)と、トリフェニルホスフェイト(TPP、大八化学社製)20重量部(5.5%)と、メチロール化メラミン樹脂(フェノライトTD−2538、大日本インキ化学工業社製)20重量部(2.7%)を配合し、紙基材含浸用の樹脂ワニスを得た。
【0040】
(実施例5)
紙基材含浸用の樹脂ワニスにおいて、エポキシ樹脂の配合量を変えて配合を以下の通りにした以外は、実施例1と同様にした。
ノボラック型フェノール樹脂ワニス80重量部(17.2%)と、未変性レゾール型フェノール樹脂ワニス50重量部(10.7%)と、油変性レゾール型フェノール樹脂ワニス200重量部(42.9%)と、ポリリン酸アンモニウム(TERRAJU C−70 チッソ社製)30重量部(12.9%)と、TBBA−エポキシオリゴマー(153 大日本インキ化学工業社製)8重量部(3.4%)と、トリフェニルホスフェイト(TPP、大八化学社製)20重量部(8.6%)と、メチロール化メラミン樹脂(フェノライトTD−2538、大日本インキ化学工業社製)20重量部(4.3%)を配合し、紙基材含浸用の樹脂ワニスを得た。
【0041】
(実施例6)
紙基材含浸用の樹脂ワニスにおいて、エポキシ樹脂の配合量を変えて配合を以下の通りにした以外は、実施例1と同様にした。
ノボラック型フェノール樹脂ワニス80重量部(11.3%)と、未変性レゾール型フェノール樹脂ワニス50重量部(7.0%)と、油変性レゾール型フェノール樹脂ワニス200重量部(28.2%)と、ポリリン酸アンモニウム(TERRAJU C−70 チッソ社製)30重量部(8.5%)と、TBBA−エポキシオリゴマー(153 大日本インキ化学工業社製)130重量部(36.6%)と、トリフェニルホスフェイト(TPP、大八化学社製)20重量部(5.6%)と、メチロール化メラミン樹脂(フェノライトTD−2538、大日本インキ化学工業社製)20重量部(2.8%)を配合し、紙基材含浸用の樹脂ワニスを得た。
【0042】
(実施例7)
紙基材含浸用の樹脂ワニスにおいて、ポリリン酸アンモニウムをポリリン酸メラミンにした以外は、実施例1と同様にした。
ノボラック型フェノール樹脂ワニス80重量部(16.3%)と、未変性レゾール型フェノール樹脂ワニス50重量部(10.2%)と、油変性レゾール型フェノール樹脂ワニス200重量部(40.8%)と、ポリリン酸メラミン(MPP−A 三和ケミカル社製)30重量部(12.2%)と、TBBA−エポキシオリゴマー(153 大日本インキ化学工業社製)30重量部(12.2%)と、トリフェニルホスフェイト(TPP、大八化学社製)20重量部(8.2%)を配合し、紙基材含浸用の樹脂ワニスを得た。
【0043】
(実施例8)
プリプレグの含浸を以下のように2段とした以外は、実施例1と同様にした。未変性のレゾール型フェノール樹脂100重量部(30.3%)と、ノボラック型フェノール樹脂100重量部(30.3%)と、ポリリン酸アンモニウム(TERRAJU C−70 チッソ社製)15重量部(9.1%)と、メチロール化メラミン樹脂(フェノライトTD−2538、大日本インキ化学工業社製)100重量部(30.3%)とをメタノールで希釈して第1層目の樹脂ワニスを得た。
また、ノボラック型フェノール樹脂ワニス40重量部(6.3%)と、未変性レゾール型フェノール樹脂ワニス25重量部(3.9%)と、油変性レゾール型フェノール樹脂ワニス330重量部(52%)と、ポリリン酸アンモニウム(TERRAJU C−70 チッソ社製)40重量部(12.6%)と、TBBA−エポキシオリゴマー(153 大日本インキ化学工業社製)40重量部(12.6%)と、トリフェニルホスフェイト(TPP、大八化学社製)40重量部(12.6%)を配合し、第2層目のワニスとした。
第1層目のワニスを紙基材(120g/m2のクラフト紙)に含浸して、処理紙を得た。次に、前記処理紙に第2層目のワニスを含浸してプリプレグを得た。なお、第1層目の樹脂分と第2層目の樹脂分の割合は、50:50となるように含浸した。
【0044】
(比較例1)
紙基材含浸用の樹脂ワニスにおいて、ポリリン酸アンモニウムをリン酸アンモニウムにした以外は、実施例1と同様にした。
ノボラック型フェノール樹脂ワニス80重量部(16.3%)と、未変性レゾール型フェノール樹脂ワニス50重量部(10.2%)と、油変性レゾール型フェノール樹脂ワニス200重量部(40.8%)と、リン酸アンモニウム(試薬)30重量部(12.2%)と、TBBA−エポキシオリゴマー(153 大日本インキ化学工業社製)30重量部(12.2%)と、トリフェニルホスフェイト(TPP、大八化学社製)20重量部(8.2%)を配合し、紙基材含浸用の樹脂ワニスを得た。
【0045】
(比較例2)
紙基材含浸用の樹脂ワニスにおいて、ノボラック型フェノール樹脂を以下の通りにした以外は、実施例1と同様にした。
蒸留条件を変えて得られた2核体含有量5%であるノボラック型フェノール樹脂を得た。このノボラック型フェノール樹脂ワニス80重量部(16.3%)と、未変性レゾール型フェノール樹脂ワニス50重量部(10.2%)と、油変性レゾール型フェノール樹脂ワニス200重量部(40.8%)と、ポリリン酸アンモニウム(TERRAJU C−70 チッソ社製)30重量部(12.2%)と、TBBA−エポキシオリゴマー(153 大日本インキ化学工業社製)30重量部(12.2%)と、トリフェニルホスフェイト(TPP、大八化学社製)20重量部(8.2%)を配合し、紙基材含浸用の樹脂ワニスを得た。
【0046】
(比較例3)
紙基材含浸用の樹脂ワニスにおいて、エポキシ樹脂を用いずに実施例1と同様にした。
ノボラック型フェノール樹脂ワニス80重量部(18.6%)と、未変性レゾール型フェノール樹脂ワニス50重量部(11.6%)と、油変性レゾール型フェノール樹脂ワニス200重量部(46.5%)と、ポリリン酸アンモニウム(TERRAJU C−70 チッソ社製)30重量部(14.0%)と、トリフェニルホスフェイト(TPP、大八化学社製)20重量部(9.3%)を配合し、紙基材含浸用の樹脂ワニスを得た。
【0047】
上述の実施例および比較例により得られた積層板の各特性を評価した。各特性は、以下の方法で評価した。得られた結果を表1に示す。
▲1▼ 気中耐熱性
10cm角の積層板を温度230および250℃の乾燥機中にそれぞれ入れ、10分間放置した。この試料の外観からみたふくれ不具合の発生の有無を目視で評価した。各符号は、以下の通りである。
◎:フクレ等無し
○:小さなフクレ等少し有り
△:大きなフクレ等少し有り
×:フクレ等有り
【0048】
▲2▼ 半田耐熱性
半田耐熱性は、JIS C 6481に準じて評価した。
【0049】
▲3▼ 打抜加工性
打ち抜き加工性は、ASTM D617−44に基づき評価した。各符号は、以下の通りである。
◎:積層板の端面で樹脂欠けおよび銅箔の剥離無く、かつ樹脂粉の発生も少ない。
○:積層板の端面で樹脂欠けおよび銅箔の剥離無いが、樹脂粉の発生は多い。
△:積層板の端面で樹脂欠けおよび銅箔の剥離有るが、樹脂粉の発生は少ない。
×:積層板の端面で樹脂欠けおよび銅箔の剥離有り、かつ、樹脂粉の発生も多い。
【0050】
▲4▼絶縁抵抗
絶縁抵抗は、JIS C 6481に準じて評価した。
【0051】
▲5▼難燃性
難燃性は、厚さ1.6mmのサンプルをUL規格に基づいて評価した。
【0052】
【表1】
【0053】
表1から明らかなように、実施例1〜8は、耐熱性に優れていた。
また、特に実施例1〜4および6〜8は、250℃での気中耐熱性に優れており、鉛フリーでの半田耐熱性に優れていることが示された。
また、実施例1、2、5および7は、打ち抜き加工性にも優れていた。
【0054】
【発明の効果】
本発明のよれば、フェノール樹脂積層板(特に紙基材フェノール樹脂積層板)にした際に、高融点の鉛フリー半田でのリフロー実装に対応した耐熱性に優れた樹脂組成物、プリプレグを提供することができる。
また、本発明によれば、高融点の鉛フリー半田でのリフロー実装に対応した耐熱性に優れたフェノール樹脂積層板を提供することができる。
Claims (7)
- プリプレグを形成するために用いる樹脂組成物であって、
(a)ポリリン酸アンモニウムまたはポリリン酸メラミンと、(b1)2核体含有量が15〜30%のノボラック型フェノール樹脂と、(c)エポキシ樹脂と、(b2)レゾール型フェノール樹脂とを含み、前記(b1)ノボラック型フェノール樹脂の含有量は、樹脂組成物全体の3〜30重量%であり、前記(b2)レゾール型フェノール樹脂の含有量は、樹脂組成物全体の10〜80重量%であり、前記(c)エポキシ樹脂の含有量は、樹脂組成物全体の3〜40重量%であることを特徴とする樹脂組成物。 - 前記(b2)レゾール型フェノール樹脂は、油変性レゾール型フェノール樹脂を含むものである請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記(a)ポリリン酸アンモニウムまたはポリリン酸メラミンの含有量は、樹脂組成物全体の3〜40重量%である請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- 請求項1ないし3のいずれかに記載の樹脂組成物を基材に含浸してなることを特徴とするプリプレグ。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の樹脂組成物を基材に2層以上含浸してなることを特徴とするプリプレグ。
- 前記基材は、紙基材である請求項4または5に記載のプリプレグ。
- 請求項4ないし6のいずれかに記載のプリプレグ1枚以上を成形してなることを特徴とするフェノール樹脂積層板。
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