JP2004123892A - 樹脂組成物、プリプレグおよび紙基材フェノール樹脂積層板 - Google Patents
樹脂組成物、プリプレグおよび紙基材フェノール樹脂積層板 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004123892A JP2004123892A JP2002289533A JP2002289533A JP2004123892A JP 2004123892 A JP2004123892 A JP 2004123892A JP 2002289533 A JP2002289533 A JP 2002289533A JP 2002289533 A JP2002289533 A JP 2002289533A JP 2004123892 A JP2004123892 A JP 2004123892A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- resin
- weight
- resin composition
- phenol resin
- parts
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Reinforced Plastic Materials (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Epoxy Resins (AREA)
Abstract
【課題】本発明の目的は、フェノール樹脂積層板(特に紙基材フェノール樹脂積層板)にした際に、高融点の鉛フリー半田でのリフロー実装に対応した耐熱性に優れた樹脂組成物、プリプレグを提供することである。
また、本発明の目的は高融点の鉛フリー半田でのリフロー実装に対応した耐熱性に優れた紙基材フェノール樹脂積層板を提供することである。
【解決手段】本発明の樹脂組成物は、例えば紙基材のような基材に含浸してシート状のプリプレグを形成するために用いる樹脂組成物であって、一般式(I)
【化1】
で示される第1のリン酸エステルと、フェノール樹脂と、エポキシ樹脂とを含むことを特徴とするものである。
また、本発明のプリプレグは、上記記載の樹脂組成物を紙基材に含浸してなることを特徴とするものである。
また、本発明の紙基材フェノール樹脂積層板は、上記記載のプリプレグ1枚以上を成形してなることを特徴とするものである。
また、本発明の目的は高融点の鉛フリー半田でのリフロー実装に対応した耐熱性に優れた紙基材フェノール樹脂積層板を提供することである。
【解決手段】本発明の樹脂組成物は、例えば紙基材のような基材に含浸してシート状のプリプレグを形成するために用いる樹脂組成物であって、一般式(I)
【化1】
で示される第1のリン酸エステルと、フェノール樹脂と、エポキシ樹脂とを含むことを特徴とするものである。
また、本発明のプリプレグは、上記記載の樹脂組成物を紙基材に含浸してなることを特徴とするものである。
また、本発明の紙基材フェノール樹脂積層板は、上記記載のプリプレグ1枚以上を成形してなることを特徴とするものである。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂組成物、プリプレグおよび紙基材フェノール樹脂積層板に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器などに搭載される印刷回路用基板として、従来から紙基材フェノール樹脂積層板が多用されている。紙基材フェノール樹脂積層板は、フェノール樹脂を配合したワニスを紙基材に含浸・乾燥させ、該含浸紙を複数枚積層し、用途に応じてこの片面または両面に接着剤付銅箔を重ねた後、加熱加圧成形されて製造される。
しかし、紙基材フェノール樹脂積層板は、リフロー実装時の高温条件下において積層板のふくれ不具合が発生しやすいものとして位置付けられている。更に、従来の紙基材フェノール樹脂積層板は、耐熱性が不充分であった。
【0003】
特に近年の電子機器の環境対応により、半田の鉛フリー化が導入されている。従来の有鉛半田に比べ、無鉛半田では融点が20〜30℃上がるため、リフロー時の実装温度も必然的に従来よりも20〜30℃高くなる。これまでの有鉛半田での実装条件でさえフェノール樹脂積層板(特に紙基材フェノール樹脂積層板)の耐熱性の確保は重要な課題となっており、無鉛半田でのリフロー実装条件に耐えうるフェノール樹脂積層板は無かった。
【特許文献】
特開平11−074970号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、フェノール樹脂積層板(特に紙基材フェノール樹脂積層板)にした際に、高融点の鉛フリー半田でのリフロー実装に対応した耐熱性に優れた樹脂組成物、プリプレグを提供することである。
また、本発明の目的は高融点の鉛フリー半田でのリフロー実装に対応した耐熱性に優れた紙基材フェノール樹脂積層板を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(10)記載の本発明により達成される。
(1)プリプレグを形成するために用いる樹脂組成物であって、一般式(I)
【化2】
で示される第1のリン酸エステルと、フェノール樹脂と、エポキシ樹脂とを含むことを特徴とする樹脂組成物。
(2)更に前記第1のリン酸エステルとは異なる第2のリン酸エステルを含むものである第(1)に記載の樹脂組成物。
(3)前記第1のリン酸エステルの含有量は、樹脂組成物全体の5〜40重量%である第(1)または(2)に記載の樹脂組成物。
(4)前記フェノール樹脂の含有量は、樹脂組成物全体の20〜80重量%である第(1)ないし(3)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(5)前記エポキシ樹脂の含有量は、樹脂組成物全体の3〜40重量%である第(1)ないし(4)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(6)前記フェノール樹脂は、レゾール型フェノール樹脂とノボラック型フェノール樹脂とを併用して含むものである第(1)ないし(5)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(7)前記フェノール樹脂は、油変性レゾール型フェノール樹脂を含むものである第(1)ないし(6)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(8)第(1)ないし(7)のいずれかに記載の樹脂組成物を紙基材に含浸してなることを特徴とするプリプレグ。
(9)第(1)ないし(7)のいずれかに記載の樹脂組成物を紙基材に2層以上含浸してなることを特徴とするプリプレグ。
(10)第(8)または(9)に記載のプリプレグ1枚以上を成形してなることを特徴とする紙基材フェノール樹脂積層板。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の樹脂組成物、プリプレグおよび紙基材フェノール樹脂積層板について詳細に説明する。
本発明の樹脂組成物は、例えば紙基材のような基材に含浸してシート状のプリプレグを形成するために用いる樹脂組成物であって、一般式(I)
【化3】
で示される第1のリン酸エステルと、フェノール樹脂と、エポキシ樹脂とを含むことを特徴とするものである。
また、本発明のプリプレグは、上記記載の樹脂組成物を紙基材に含浸してなることを特徴とするものである。
また、本発明の紙基材フェノール樹脂積層板は、上記記載のプリプレグ1枚以上を成形してなることを特徴とするものである。
【0007】
本発明の樹脂組成物は、プリプレグを形成するために用いるものである。
本発明の樹脂組成物は、式(I)で示される第1のリン酸エステルを含む。これにより、加熱時の揮発ガス量を抑えることができるため、耐熱性を向上させることができる。なお、耐熱性とは、乾燥機中での気中耐熱性を意味し、260〜265℃においても膨れ、剥がれ等の不具合が無いことを意味する。
従来の有鉛半田を使用する場合は、気中耐熱性においても240℃程度の耐熱性を有していれば十分であった。しかし、無鉛半田を使用する場合、更なる耐熱性が要求されることになる。
【0008】
前記第1のリン酸エステルの含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の5〜40重量%が好ましく、特に10〜30重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると、難燃性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると耐熱性を向上する効果が低下する場合がある。
上述のような第1のリン酸エステルは、オキシ3塩化リン、フェノール類、およびレゾルシノール類より作られる為、第1のリン酸エステル、無反応性リン酸エステルおよびこれらの縮合物を含むことがある。この場合、第1のリン酸エステル含有率は、特に限定されないが、リン酸エステル全体の60%以上であることが好ましい。
【0009】
本発明の樹脂組成物では、特に限定されないが、前記第1のリン酸エステルとは異なる第2のリン酸エステル含むことが好ましい。これにより、打ち抜き性を向上することができる。ここで、第2のリン酸エステルはフェノール樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂と反応しうる官能基を有さないものである。
紙基材フェノール樹脂積層板でリン酸エステルは、難燃剤の他に可塑剤としても作用する。
前記第1のリン酸エステルのみでは、可塑剤としての作用が低くなるため打ち抜き性を向上する効果が低下する場合がある。
【0010】
前記第2のリン酸エステルとしては、例えばトリエチルホスフェイト、トリブチルホスフェイト、トリフェニルホスフェイト、トリクレジルホスフェイト、クレジルジフェニルホスフェイト、トリイソプロピルフェニルホスフェイト等が挙げられ、これらは1種または2種以上の混合系として使用される。この中で、トリフェニルホスフェイト、トリクレジルホスフェイト、クレジルジフェニルホスフェイトの中から選ばれる一種以上のリン酸エステルが入手の容易性の点で好ましい。
【0011】
前記第2のリン酸エステルの含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の3〜20重量%が好ましく、特に5〜15重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると打抜性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると電気絶縁性、耐熱性を向上する効果が低下する場合がある。
【0012】
前記第1のリン酸エステルと第2のリン酸エステルとを併用することにより、耐熱性と打抜性を両立する事が出来る。前記第1のリン酸エステルと第2のリン酸エステルとの併用比率は、特に限定されないが、0.5:1〜6:1が好ましく、特に1:1〜4:1が好ましい。併用比率が前記範囲内であると、特に打抜性および耐熱性とに優れることができる。
【0013】
本発明の樹脂組成物は、フェノール樹脂を含む。
前記フェノール樹脂としては、レゾール型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂が挙げられる。
前記フェノール樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の20〜80重量%が好ましく、特に25〜75重量%が好ましい。含有量は前記範囲内であると特に耐熱性を向上することができる。
【0014】
前記レゾール型フェノール樹脂としては、例えば未変性のレゾール型フェノール樹脂、桐油、アマニ油、クルミ油等の乾性油変性レゾール型フェノール樹脂、大豆油、綿実油、サフラワー油等の半乾性油変性レゾール型フェノール樹脂等の油変性レゾール型フェノール樹脂が挙げられる。これらの中でも桐油変性レゾール型フェノール樹脂が好ましい。これにより、特に低温での打ち抜き性を向上することができる。
【0015】
前記未変性のレゾール型フェノール樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の2〜25重量%が好ましく、特に5〜20重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると電気絶縁性、耐熱性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると打ち抜き性を向上する効果が低下する場合がある。
【0016】
前記油変性レゾール型フェノール樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の20〜50重量%が好ましく、25〜45重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると打ち抜き性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると耐熱性を向上する効果が低下する場合がある。
【0017】
前記油変性レゾール型フェノール樹脂の油変性量は、特に限定されないが、該樹脂全体の5〜50重量%が好ましく、特に10〜30重量%が好ましい。変性量が前記下限値未満であると打ち抜き性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると耐熱性を向上する効果が低下する場合がある。
【0018】
前記レゾール型フェノール樹脂は、特に限定されないが、未反応のレゾール型フェノール樹脂と油変性レゾール型フェノール樹脂を併用することが好ましい。これにより、打抜性と耐熱性をバランスよく向上させることができる。
前記未反応のレゾール型フェノール樹脂と油変性レゾール型フェノール樹脂との併用比率は、特に限定されないが、1:24〜1:1が好ましく、特に1:19〜1:1.2が好ましい。併用比率が前記範囲内であると特に打抜性を向上することができる。
【0019】
前記ノボラック型フェノール樹脂としては、例えばフェノールノボラック型樹脂、ビスフェノールA型ノボラック型フェノール樹脂、ビスフェノールF型ノボラック型フェノール樹脂、クレゾールノボラック型フェノール樹脂、アルキルフェノールノボラック型フェノール樹脂等が挙げられる。これらの中でも、フェノールノボラック型樹脂、ビスフェノールF型ノボラック型フェノール樹脂、クレゾールノボラック型フェノール樹脂が好ましい。これにより、打抜性を向上することができる。
【0020】
前記ノボラック型フェノール樹脂の2核体の含有量は、該樹脂全体の15重量%以上であることが好ましく、特に20〜80重量%以上であることが好ましい。含有量が前記下限値未満であると、耐熱性と打ち抜き性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると硬化性が低下し、電気特性が低下する場合がある。
【0021】
上述のような2核体含有量を有するノボラック型フェノール樹脂を製造する方法としては、フェノール類とアルデヒド類とを、通常用いられるシュウ酸等の酸触媒で反応させた後、蒸留等する方法、およびフェノール類とアルデヒド類とを有機ホスホン酸を触媒として反応させる方法等が挙げられる。これらの中でも触媒と有機ホスホン酸を用いる方法が好ましい。これにより、蒸留等の後工程を省略でき、作業性を向上することができる。また、有機ホスホン酸を触媒として用いて得られるノボラック型フェノール樹脂は、未反応のフリーフェノール量が少ないため、有害な物質が少なく作業環境をも向上することができる。
【0022】
前記ノボラック型フェノール樹脂の未反応フェノール類量は、特に限定されないが、該樹脂中の5重量%以下が好ましく、特に3重量%以下が好ましく、最も2重量%以下が好ましい。含有量が前記範囲内で特に耐熱性を向上することができる。
【0023】
前記ノボラック型フェノール樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の5〜30重量%が好ましく、特に7〜25重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると耐熱性、打ち抜き性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると前述のレゾール型フェノール樹脂との硬化が不充分となる場合がある。
【0024】
前記フェノール樹脂は、特に限定されないが、レゾール型フェノール樹脂とノボラック型フェノール樹脂とを併用することが好ましい。これにより、耐熱性、打抜性を向上することができる。
前記未反応のレゾール型フェノール樹脂とノボラック型フェノール樹脂との併用比率は、特に限定されないが、24:1〜1:1が好ましく、特に19:1〜1.1:1が好ましい。併用比率が前記範囲内であると特に打抜性を向上することができる。
【0025】
本発明の樹脂組成物は、エポキシ樹脂を含む。これにより、特に耐熱性を向上することができる。
前記エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。これらの中でもビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂の中から選ばれる1種以上が好ましい。これにより、特に耐熱性を向上することができる。
【0026】
前記エポキシ樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の3〜35重量%が好ましく、特に5〜30重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると耐熱性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると打ち抜き性を向上する効果が低下する場合がある。
本発明では、特定のリン酸エステル、フェノール樹脂、エポキシ樹脂とを併用することで、鉛フリー化に伴って要求される積層板の高い耐熱性の要求にも対応することができるものである。すなわち、従来の積層板は、半田リフロー時の耐熱性の要求が230℃程度であったが、鉛フリー化に伴い、その要求が250℃になってきた。かかる耐熱性の要求の変化により、従来の紙基材フェノール樹脂積層板では、フクレ等が発生し、鉛フリーに対応することができなくなった。本発明の樹脂組成物から得られる積層板は、他の特性を低下することなく前述の要求特性を充足することが可能となるものである。
【0027】
また、本発明の樹脂組成物では、本発明の目的に反しない範囲において、アミノ樹脂等の難燃性化合物、アミン類、イミダゾール化合物等の硬化促進剤を配合することができる。前記アミノ樹脂としては、例えばメラミン樹脂、グアナミン樹脂などであるが、難燃化の効果を高めるためにはメラミン樹脂が好ましい。アミノ樹脂は、メラミンやグアナミンなどのアミノ化合物とホルムアルデヒド等のアルデヒド類との初期反応物であり、それらのメチロール基の一部または全部をメタノール、ブタノール等の低級アルコールでエーテル化したものも含まれる。
【0028】
次に、本発明のプリプレグについて説明する。
本発明のプリプレグは、上述の樹脂組成物を紙基材に含浸してなるものである。
前記紙基材としては、例えばクラフト紙、リンター紙等を挙げることができる。
前記樹脂組成物を紙基材に含浸させる方法としては、例えば、紙基材を樹脂ワニスに含浸させる方法、各種コーターにより塗布する方法、スプレーによる吹き付け法等が挙げられる。
前記樹脂ワニスは、例えば前記樹脂組成物をメタノール、トルエン等の溶媒に溶解して得られる。樹脂ワニスの固形分は、特に限定されないが、20〜80重量%が好ましく、特に40〜60重量%が好ましい。
【0029】
また、本発明のプリプレグは、特に限定されないが、前記樹脂組成物を2層以上含浸してなることが好ましい。これにより、耐熱性と電気特性をより向上することができる。
前記2層以上を含浸する場合、1層目と2層目とは、樹脂組成物が同じであっても良いが、異なることが好ましい。
例えば、前記1層目(コア層)の樹脂組成物は、前記ノボラック型フェノール樹脂とレゾール型フェノール樹脂で構成されることが好ましい。また、前記第2層目(表面層)の樹脂組成物は、油変性レゾール型フェノール樹脂、リン化合物(前記第1および第2のリン酸エステルを含む)およびエポキシ樹脂等で構成されることが好ましい。これにより、紙基材への含浸性をより向上することができる。また、2層目に油変性レゾール型フェノール樹脂を用いることで接着性も向上することができる。
なお、含浸する方法は、前記含浸方法と同様の方法を用いることができる。
【0030】
次に、紙基材フェノール樹脂積層板について説明する。
本発明の紙基材フェノール樹脂積層板は、前記プリプレグを少なくとも1枚以上を成形してなるものである。
紙基材フェノール樹脂積層板は、前記プリプレグ1枚のときは、その片面または両面に金属箔を積層して得ることができる。
また、前記プリプレグ2枚以上のときは、プリプレグの最も外側の片面または両面に金属箔を積層して得ることができる。
前記金属箔を構成する金属としては、例えば銅または銅系合金、アルミまたはアルミ系合金等が挙げられる。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。説明中、「%」は「重量%」を示す。
【0032】
(実施例1)
[未変性レゾール型フェノール樹脂の製造]
フェノール1000g、37%ホルムアルデヒド水溶液980g、トリエチルアミン20gからなる混合物を60℃で2時間反応させ、次に減圧下で濃縮し、これをメタノールで希釈して樹脂分50%の未変性のレゾール型フェノール樹脂ワニスを得た。
【0033】
[油変性レゾール型フェノール樹脂の製造]
フェノール1600gと桐油1000gをパラトルエンスルホン酸の存在下、95℃で2時間反応させ、更にパラホルムアルデヒド650g、ヘキサメチレンテトラミン30g、トルエン2000gを加えて90℃で2時間反応後、減圧下で濃縮し、これをトルエンとメタノールの混合溶媒で希釈して樹脂分50%の油変性フェノール樹脂ワニス(油変性量30%)を得た。
【0034】
[ノボラック型フェノール樹脂の製造]
フェノール1000gとシュウ酸10gとを仕込み、100℃に昇温して、37%ホルムアルデヒド水溶液450gを60分間かけて逐次添加し、100℃で還流しながら1時間反応させた。その後、常圧蒸留を行い130℃まで昇温して、500Paの減圧下で減圧蒸留を行って190℃まで昇温して、フェノール樹脂を得た。これをメタノールで希釈して樹脂分50%のノボラック型フェノール樹脂ワニスを得た。(2核体量20%、未反応のフェノール量 1.5%)
【0035】
(紙基材含浸用の樹脂ワニスの調製)
第1のリン酸エステルとしてレゾルシノールジフェニルホスフェート30重量部(11.4%)と、第2のリン酸エステルとしてトリフェニルホスフェイト、20重量部(7.5%)と、レゾール型フェノール樹脂として上述の未変性レゾール型フェノール樹脂ワニス50重量部(9.4%)および油変性レゾール型フェノール樹脂ワニス200重量部(37.7%)と、ノボラック型フェノール樹脂としてノボラック型フェノール樹脂ワニス80重量部(15.1%)と、エポキシ樹脂としてTBBA−エポキシオリゴマー(GX−153 大日本インキ化学工業社製)30重量部(11.4%)と、メチロール化メラミン樹脂(フェノライトTD−2538、大日本インキ化学工業社製)20重量部(7.5%)を配合し、紙基材含浸用の樹脂ワニスを得た。
【0036】
(積層板の製造)
次に上述の紙基材含浸用の樹脂ワニスを樹脂含浸率55%(プリプレグ全体に対する割合)となるように紙基材(120g/m2のクラフト紙)に含浸させてプリプレグを得た。このプリプレグ8枚を重ね、更にその両外面に接着剤つき銅箔(FSM 日本電解社製)を重ね合わせ、150℃、100kg/cm2、10分加熱加圧成形して厚さ1.6mmの積層板を得た。
【0037】
(実施例2)
紙基材含浸用の樹脂ワニスにおいて、配合量を以下の通りにした以外は、実施例1と同様にした。
第1のリン酸エステルとしてレゾルシノールジフェニルホスフェート30重量部(16.2%)と、第2のリン酸エステルとしてトリフェニルホスフェイト15重量部(8.1%)と、レゾール型フェノール樹脂として上述の未変性レゾール型フェノール樹脂ワニス60重量部(16.2%)および油変性レゾール型フェノール樹脂ワニス100重量部(27.0%)と、ノボラック型フェノール樹脂としてノボラック型フェノール樹脂ワニス40重量部(10.8%)と、エポキシ樹脂としてTBBA−エポキシオリゴマー(GX−153 大日本インキ化学工業社製)30重量部(16.2%)と、メチロール化メラミン樹脂(フェノライトTD−2538、大日本インキ化学工業社製)20重量部(7.5%)を配合し、紙基材含浸用の樹脂ワニスを得た。
【0038】
(実施例3)
紙基材含浸用の樹脂ワニスにおいて、配合量を以下の通りにした以外は、実施例1と同様にした。
第1のリン酸エステルとしてレゾルシノールジフェニルホスフェート20重量部(7.8%)と、第2のリン酸エステルとしてトリフェニルホスフェイト20重量部(7.8%)と、レゾール型フェノール樹脂として上述の未変性レゾール型フェノール樹脂ワニス50重量部(9.8%)および油変性レゾール型フェノール樹脂ワニス200重量部(39.2%)と、ノボラック型フェノール樹脂としてノボラック型フェノール樹脂ワニス80重量部(15.7%)と、エポキシ樹脂としてTBBA−エポキシオリゴマー(GX−153 大日本インキ化学工業社製)30重量部(11.8%)と、メチロール化メラミン樹脂(フェノライトTD−2538、大日本インキ化学工業社製)20重量部(7.8%)を配合し、紙基材含浸用の樹脂ワニスを得た。
【0039】
(実施例4)
紙基材含浸用の樹脂ワニスにおいて、配合量を以下の通りにした以外は、実施例1と同様にした。
第1のリン酸エステルとしてレゾルシノールジフェニルホスフェート125重量部(34.7%)と、第2のリン酸エステルとしてトリフェニルホスフェイト20重量部(5.6%)と、レゾール型フェノール樹脂として上述の未変性レゾール型フェノール樹脂ワニス50重量部(6.9%)および油変性レゾール型フェノール樹脂ワニス200重量部(27.8%)と、ノボラック型フェノール樹脂としてノボラック型フェノール樹脂ワニス80重量部(11.1%)と、エポキシ樹脂としてTBBA−エポキシオリゴマー(GX−153 大日本インキ化学工業社製)30重量部(8.3%)と、メチロール化メラミン樹脂(フェノライトTD−2538、大日本インキ化学工業社製)20重量部(5.6%)を配合し、紙基材含浸用の樹脂ワニスを得た。
【0040】
(実施例5)
紙基材含浸用の樹脂ワニスにおいて、配合量を以下の通りにした以外は、実施例1と同様にした。
第1のリン酸エステルとしてレゾルシノールジフェニルホスフェート30重量部(11.8%)と、第2のリン酸エステルとしてトリフェニルホスフェイト10重量部(3.9%)と、レゾール型フェノール樹脂として上述の未変性レゾール型フェノール樹脂ワニス50重量部(9.8%)および油変性レゾール型フェノール樹脂ワニス200重量部(39.2%)と、ノボラック型フェノール樹脂としてノボラック型フェノール樹脂ワニス80重量部(15.7%)と、エポキシ樹脂としてTBBA−エポキシオリゴマー(GX−153 大日本インキ化学工業社製)30重量部(11.8%)と、メチロール化メラミン樹脂(フェノライトTD−2538、大日本インキ化学工業社製)20重量部(7.8%)を配合し、紙基材含浸用の樹脂ワニスを得た。
【0041】
(実施例6)
紙基材含浸用の樹脂ワニスにおいて、配合量を以下の通りにした以外は、実施例1と同様にした。
第1のリン酸エステルとしてレゾルシノールジフェニルホスフェート30重量部(10.2%)と、第2のリン酸エステルとしてトリフェニルホスフェイト50重量部(16.9%)と、レゾール型フェノール樹脂として上述の未変性レゾール型フェノール樹脂ワニス50重量部(8.5%)および油変性レゾール型フェノール樹脂ワニス200重量部(33.9%)と、ノボラック型フェノール樹脂としてノボラック型フェノール樹脂ワニス80重量部(13.6%)と、エポキシ樹脂としてTBBA−エポキシオリゴマー(GX−153 大日本インキ化学工業社製)30重量部(10.2%)と、メチロール化メラミン樹脂(フェノライトTD−2538、大日本インキ化学工業社製)20重量部(6.8%)を配合し、紙基材含浸用の樹脂ワニスを得た。
【0042】
(実施例7)
紙基材含浸用の樹脂ワニスにおいて、配合量を以下の通りにした以外は、実施例1と同様にした。
第1のリン酸エステルとしてレゾルシノールジフェニルホスフェート30重量部(12.2%)と、第2のリン酸エステルとしてトリフェニルホスフェイト20重量部(8.2%)と、レゾール型フェノール樹脂として上述の未変性レゾール型フェノール樹脂ワニス50重量部(10.2.%)および油変性レゾール型フェノール樹脂ワニス200重量部(40.8%)と、ノボラック型フェノール樹脂としてノボラック型フェノール樹脂ワニス80重量部(16.3%)と、エポキシ樹脂としてTBBA−エポキシオリゴマー(GX−153 大日本インキ化学工業社製)10重量部(4.1%)と、メチロール化メラミン樹脂(フェノライトTD−2538、大日本インキ化学工業社製)20重量部(8.2%)を配合し、紙基材含浸用の樹脂ワニスを得た。
【0043】
(実施例8)
紙基材含浸用の樹脂ワニスにおいて、配合量を以下の通りにした以外は、実施例1と同様にした。
第1のリン酸エステルとしてレゾルシノールジフェニルホスフェート40重量部(11.0%)と、第2のリン酸エステルとしてトリフェニルホスフェイト20重量部(5.5%)と、レゾール型フェノール樹脂として上述の未変性レゾール型フェノール樹脂ワニス50重量部(6.8%)および油変性レゾール型フェノール樹脂ワニス200重量部(27.4%)と、ノボラック型フェノール樹脂としてノボラック型フェノール樹脂ワニス80重量部(11.0%)と、エポキシ樹脂としてTBBA−エポキシオリゴマー(GX−153 大日本インキ化学工業社製)120重量部(32.9%)と、メチロール化メラミン樹脂(フェノライトTD−2538、大日本インキ化学工業社製)20重量部(5.5%)を配合し、紙基材含浸用の樹脂ワニスを得た。
【0044】
(実施例9)
紙基材含浸用の樹脂ワニスにおいて、第1のリン酸エステルを以下の通りにした以外は、実施例1と同様にした。
第1のリン酸エステルとしてレゾルシノールジクレジルホスフェート30重量部(11.4%)と、第2のリン酸エステルとしてトリフェニルホスフェイト20重量部(7.5%)と、レゾール型フェノール樹脂として上述の未変性レゾール型フェノール樹脂ワニス50重量部(9.4%)および油変性レゾール型フェノール樹脂ワニス200重量部(37.7%)と、ノボラック型フェノール樹脂としてノボラック型フェノール樹脂ワニス80重量部(15.1%)と、エポキシ樹脂としてTBBA−エポキシオリゴマー(GX−153 大日本インキ化学工業社製)30重量部(11.4%)と、メチロール化メラミン樹脂(フェノライトTD−2538、大日本インキ化学工業社製)20重量部(7.5%)を配合し、紙基材含浸用の樹脂ワニスを得た。
【0045】
(比較例1)
紙基材含浸用の樹脂ワニスにおいて、配合量を以下の通りにした以外は、実施例1と同様にした。
第1のリン酸エステルを配合せず、第2のリン酸エステルとしてトリフェニルホスフェイト40重量部(15.7%)と、レゾール型フェノール樹脂として上述の未変性レゾール型フェノール樹脂ワニス50重量部(9.8%)および油変性レゾール型フェノール樹脂ワニス200重量部(39.2%)と、ノボラック型フェノール樹脂としてノボラック型フェノール樹脂ワニス80重量部(15.7%)と、エポキシ樹脂としてTBBA−エポキシオリゴマー(GX−153 大日本インキ化学工業社製)30重量部(11.8%)と、メチロール化メラミン樹脂(フェノライトTD−2538、大日本インキ化学工業社製)20重量部(7.8%)を配合し、紙基材含浸用の樹脂ワニスを得た。
上述の実施例および比較例により得られた積層板の各特性を評価した。各特性は、以下の方法で評価した。得られた結果を表1に示す。
【0046】
(比較例2)
紙基材含浸用の樹脂ワニスにおいて、配合量を以下の通りにした以外は、実施例1と同様にした。
第1のリン酸エステルとしてレゾルシノールジフェニルホスフェート30重量部(12.8%)と、第2のリン酸エステルとしてトリフェニルホスフェイト20重量部(8.5%)と、レゾール型フェノール樹脂として上述の未変性レゾール型フェノール樹脂ワニス50重量部(10.6%)および油変性レゾール型フェノール樹脂ワニス200重量部(42.6%)と、ノボラック型フェノール樹脂としてノボラック型フェノール樹脂ワニス80重量部(17.0%)と、エポキシ樹脂としてTBBA−エポキシオリゴマー(GX−153 大日本インキ化学工業社製)0重量部(0.0%)と、メチロール化メラミン樹脂(フェノライトTD−2538、大日本インキ化学工業社製)20重量部(8.5%)を配合し、紙基材含浸用の樹脂ワニスを得た。
上述の実施例および比較例により得られた積層板の各特性を評価した。各特性は、以下の方法で評価した。得られた結果を表1に示す。
【0047】
上述の実施例および比較例により得られた積層板の各特性を評価した。各特性は、以下の方法で評価した。得られた結果を表1に示す。
▲1▼ 気中耐熱性
10cm角の積層板を温度230および250℃の乾燥機中にそれぞれ入れ、10分間放置した。この試料の外観からみたふくれ不具合の発生の有無を目視で評価した。各符号は、以下の通りである。
◎:フクレ等無し
○:小さなフクレ等少し有り
△:大きなフクレ等少し有り
×:フクレ等有り
【0048】
▲2▼ 半田耐熱性
半田耐熱性は、JIS C 6481に準じて評価した。
【0049】
▲3▼ 打抜加工性
打ち抜き加工性は、ASTM D617−44に基づき評価した。各符号は、以下の通りである。
◎:積層板の端面で樹脂欠けおよび銅箔の剥離無く、かつ樹脂粉の発生も少ない。
○:積層板の端面で樹脂欠けおよび銅箔の剥離無いが、樹脂粉の発生は多い。
△:積層板の端面で樹脂欠けおよび銅箔の剥離有るが、樹脂粉の発生は少ない。
×:積層板の端面で樹脂欠けおよび銅箔の剥離有り、かつ、樹脂粉の発生も多い。
【0050】
▲4▼絶縁抵抗
絶縁抵抗は、JIS C 6481に準じて評価した。
【0051】
▲5▼難燃性
難燃性は、厚さ1.6mmのサンプルをUL規格に基づいて評価した。
【0052】
【表1】
【0053】
表1によれば、実施例1〜9は、気中耐熱性および難燃性に優れていた。
特に実施例1ないし3、5、8および9は、250℃での気中耐熱性にも優れ、高融点の鉛フリー半田でのリフロー実装に対応できるものであることが示された。
特に、実施例1ないし3、6、7および9は、打ち抜き加工性にも優れていた。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、フェノール樹脂積層板(特に紙基材フェノール樹脂積層板)にした際に、高融点の鉛フリー半田でのリフロー実装に対応した耐熱性に優れた樹脂組成物、プリプレグを得ることができる。
また、本発明によれば、高融点の鉛フリー半田でのリフロー実装に対応した耐熱性に優れた紙基材フェノール樹脂積層板を得ることができる。
また、2つの異なるリン化合物を併用する場合、打ち抜き加工性にも優れることができる。
また、エポキシ樹脂を併用する場合、特に耐熱性を向上することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂組成物、プリプレグおよび紙基材フェノール樹脂積層板に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器などに搭載される印刷回路用基板として、従来から紙基材フェノール樹脂積層板が多用されている。紙基材フェノール樹脂積層板は、フェノール樹脂を配合したワニスを紙基材に含浸・乾燥させ、該含浸紙を複数枚積層し、用途に応じてこの片面または両面に接着剤付銅箔を重ねた後、加熱加圧成形されて製造される。
しかし、紙基材フェノール樹脂積層板は、リフロー実装時の高温条件下において積層板のふくれ不具合が発生しやすいものとして位置付けられている。更に、従来の紙基材フェノール樹脂積層板は、耐熱性が不充分であった。
【0003】
特に近年の電子機器の環境対応により、半田の鉛フリー化が導入されている。従来の有鉛半田に比べ、無鉛半田では融点が20〜30℃上がるため、リフロー時の実装温度も必然的に従来よりも20〜30℃高くなる。これまでの有鉛半田での実装条件でさえフェノール樹脂積層板(特に紙基材フェノール樹脂積層板)の耐熱性の確保は重要な課題となっており、無鉛半田でのリフロー実装条件に耐えうるフェノール樹脂積層板は無かった。
【特許文献】
特開平11−074970号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、フェノール樹脂積層板(特に紙基材フェノール樹脂積層板)にした際に、高融点の鉛フリー半田でのリフロー実装に対応した耐熱性に優れた樹脂組成物、プリプレグを提供することである。
また、本発明の目的は高融点の鉛フリー半田でのリフロー実装に対応した耐熱性に優れた紙基材フェノール樹脂積層板を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(10)記載の本発明により達成される。
(1)プリプレグを形成するために用いる樹脂組成物であって、一般式(I)
【化2】
で示される第1のリン酸エステルと、フェノール樹脂と、エポキシ樹脂とを含むことを特徴とする樹脂組成物。
(2)更に前記第1のリン酸エステルとは異なる第2のリン酸エステルを含むものである第(1)に記載の樹脂組成物。
(3)前記第1のリン酸エステルの含有量は、樹脂組成物全体の5〜40重量%である第(1)または(2)に記載の樹脂組成物。
(4)前記フェノール樹脂の含有量は、樹脂組成物全体の20〜80重量%である第(1)ないし(3)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(5)前記エポキシ樹脂の含有量は、樹脂組成物全体の3〜40重量%である第(1)ないし(4)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(6)前記フェノール樹脂は、レゾール型フェノール樹脂とノボラック型フェノール樹脂とを併用して含むものである第(1)ないし(5)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(7)前記フェノール樹脂は、油変性レゾール型フェノール樹脂を含むものである第(1)ないし(6)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(8)第(1)ないし(7)のいずれかに記載の樹脂組成物を紙基材に含浸してなることを特徴とするプリプレグ。
(9)第(1)ないし(7)のいずれかに記載の樹脂組成物を紙基材に2層以上含浸してなることを特徴とするプリプレグ。
(10)第(8)または(9)に記載のプリプレグ1枚以上を成形してなることを特徴とする紙基材フェノール樹脂積層板。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の樹脂組成物、プリプレグおよび紙基材フェノール樹脂積層板について詳細に説明する。
本発明の樹脂組成物は、例えば紙基材のような基材に含浸してシート状のプリプレグを形成するために用いる樹脂組成物であって、一般式(I)
【化3】
で示される第1のリン酸エステルと、フェノール樹脂と、エポキシ樹脂とを含むことを特徴とするものである。
また、本発明のプリプレグは、上記記載の樹脂組成物を紙基材に含浸してなることを特徴とするものである。
また、本発明の紙基材フェノール樹脂積層板は、上記記載のプリプレグ1枚以上を成形してなることを特徴とするものである。
【0007】
本発明の樹脂組成物は、プリプレグを形成するために用いるものである。
本発明の樹脂組成物は、式(I)で示される第1のリン酸エステルを含む。これにより、加熱時の揮発ガス量を抑えることができるため、耐熱性を向上させることができる。なお、耐熱性とは、乾燥機中での気中耐熱性を意味し、260〜265℃においても膨れ、剥がれ等の不具合が無いことを意味する。
従来の有鉛半田を使用する場合は、気中耐熱性においても240℃程度の耐熱性を有していれば十分であった。しかし、無鉛半田を使用する場合、更なる耐熱性が要求されることになる。
【0008】
前記第1のリン酸エステルの含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の5〜40重量%が好ましく、特に10〜30重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると、難燃性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると耐熱性を向上する効果が低下する場合がある。
上述のような第1のリン酸エステルは、オキシ3塩化リン、フェノール類、およびレゾルシノール類より作られる為、第1のリン酸エステル、無反応性リン酸エステルおよびこれらの縮合物を含むことがある。この場合、第1のリン酸エステル含有率は、特に限定されないが、リン酸エステル全体の60%以上であることが好ましい。
【0009】
本発明の樹脂組成物では、特に限定されないが、前記第1のリン酸エステルとは異なる第2のリン酸エステル含むことが好ましい。これにより、打ち抜き性を向上することができる。ここで、第2のリン酸エステルはフェノール樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂と反応しうる官能基を有さないものである。
紙基材フェノール樹脂積層板でリン酸エステルは、難燃剤の他に可塑剤としても作用する。
前記第1のリン酸エステルのみでは、可塑剤としての作用が低くなるため打ち抜き性を向上する効果が低下する場合がある。
【0010】
前記第2のリン酸エステルとしては、例えばトリエチルホスフェイト、トリブチルホスフェイト、トリフェニルホスフェイト、トリクレジルホスフェイト、クレジルジフェニルホスフェイト、トリイソプロピルフェニルホスフェイト等が挙げられ、これらは1種または2種以上の混合系として使用される。この中で、トリフェニルホスフェイト、トリクレジルホスフェイト、クレジルジフェニルホスフェイトの中から選ばれる一種以上のリン酸エステルが入手の容易性の点で好ましい。
【0011】
前記第2のリン酸エステルの含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の3〜20重量%が好ましく、特に5〜15重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると打抜性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると電気絶縁性、耐熱性を向上する効果が低下する場合がある。
【0012】
前記第1のリン酸エステルと第2のリン酸エステルとを併用することにより、耐熱性と打抜性を両立する事が出来る。前記第1のリン酸エステルと第2のリン酸エステルとの併用比率は、特に限定されないが、0.5:1〜6:1が好ましく、特に1:1〜4:1が好ましい。併用比率が前記範囲内であると、特に打抜性および耐熱性とに優れることができる。
【0013】
本発明の樹脂組成物は、フェノール樹脂を含む。
前記フェノール樹脂としては、レゾール型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂が挙げられる。
前記フェノール樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の20〜80重量%が好ましく、特に25〜75重量%が好ましい。含有量は前記範囲内であると特に耐熱性を向上することができる。
【0014】
前記レゾール型フェノール樹脂としては、例えば未変性のレゾール型フェノール樹脂、桐油、アマニ油、クルミ油等の乾性油変性レゾール型フェノール樹脂、大豆油、綿実油、サフラワー油等の半乾性油変性レゾール型フェノール樹脂等の油変性レゾール型フェノール樹脂が挙げられる。これらの中でも桐油変性レゾール型フェノール樹脂が好ましい。これにより、特に低温での打ち抜き性を向上することができる。
【0015】
前記未変性のレゾール型フェノール樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の2〜25重量%が好ましく、特に5〜20重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると電気絶縁性、耐熱性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると打ち抜き性を向上する効果が低下する場合がある。
【0016】
前記油変性レゾール型フェノール樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の20〜50重量%が好ましく、25〜45重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると打ち抜き性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると耐熱性を向上する効果が低下する場合がある。
【0017】
前記油変性レゾール型フェノール樹脂の油変性量は、特に限定されないが、該樹脂全体の5〜50重量%が好ましく、特に10〜30重量%が好ましい。変性量が前記下限値未満であると打ち抜き性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると耐熱性を向上する効果が低下する場合がある。
【0018】
前記レゾール型フェノール樹脂は、特に限定されないが、未反応のレゾール型フェノール樹脂と油変性レゾール型フェノール樹脂を併用することが好ましい。これにより、打抜性と耐熱性をバランスよく向上させることができる。
前記未反応のレゾール型フェノール樹脂と油変性レゾール型フェノール樹脂との併用比率は、特に限定されないが、1:24〜1:1が好ましく、特に1:19〜1:1.2が好ましい。併用比率が前記範囲内であると特に打抜性を向上することができる。
【0019】
前記ノボラック型フェノール樹脂としては、例えばフェノールノボラック型樹脂、ビスフェノールA型ノボラック型フェノール樹脂、ビスフェノールF型ノボラック型フェノール樹脂、クレゾールノボラック型フェノール樹脂、アルキルフェノールノボラック型フェノール樹脂等が挙げられる。これらの中でも、フェノールノボラック型樹脂、ビスフェノールF型ノボラック型フェノール樹脂、クレゾールノボラック型フェノール樹脂が好ましい。これにより、打抜性を向上することができる。
【0020】
前記ノボラック型フェノール樹脂の2核体の含有量は、該樹脂全体の15重量%以上であることが好ましく、特に20〜80重量%以上であることが好ましい。含有量が前記下限値未満であると、耐熱性と打ち抜き性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると硬化性が低下し、電気特性が低下する場合がある。
【0021】
上述のような2核体含有量を有するノボラック型フェノール樹脂を製造する方法としては、フェノール類とアルデヒド類とを、通常用いられるシュウ酸等の酸触媒で反応させた後、蒸留等する方法、およびフェノール類とアルデヒド類とを有機ホスホン酸を触媒として反応させる方法等が挙げられる。これらの中でも触媒と有機ホスホン酸を用いる方法が好ましい。これにより、蒸留等の後工程を省略でき、作業性を向上することができる。また、有機ホスホン酸を触媒として用いて得られるノボラック型フェノール樹脂は、未反応のフリーフェノール量が少ないため、有害な物質が少なく作業環境をも向上することができる。
【0022】
前記ノボラック型フェノール樹脂の未反応フェノール類量は、特に限定されないが、該樹脂中の5重量%以下が好ましく、特に3重量%以下が好ましく、最も2重量%以下が好ましい。含有量が前記範囲内で特に耐熱性を向上することができる。
【0023】
前記ノボラック型フェノール樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の5〜30重量%が好ましく、特に7〜25重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると耐熱性、打ち抜き性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると前述のレゾール型フェノール樹脂との硬化が不充分となる場合がある。
【0024】
前記フェノール樹脂は、特に限定されないが、レゾール型フェノール樹脂とノボラック型フェノール樹脂とを併用することが好ましい。これにより、耐熱性、打抜性を向上することができる。
前記未反応のレゾール型フェノール樹脂とノボラック型フェノール樹脂との併用比率は、特に限定されないが、24:1〜1:1が好ましく、特に19:1〜1.1:1が好ましい。併用比率が前記範囲内であると特に打抜性を向上することができる。
【0025】
本発明の樹脂組成物は、エポキシ樹脂を含む。これにより、特に耐熱性を向上することができる。
前記エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。これらの中でもビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂の中から選ばれる1種以上が好ましい。これにより、特に耐熱性を向上することができる。
【0026】
前記エポキシ樹脂の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の3〜35重量%が好ましく、特に5〜30重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると耐熱性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると打ち抜き性を向上する効果が低下する場合がある。
本発明では、特定のリン酸エステル、フェノール樹脂、エポキシ樹脂とを併用することで、鉛フリー化に伴って要求される積層板の高い耐熱性の要求にも対応することができるものである。すなわち、従来の積層板は、半田リフロー時の耐熱性の要求が230℃程度であったが、鉛フリー化に伴い、その要求が250℃になってきた。かかる耐熱性の要求の変化により、従来の紙基材フェノール樹脂積層板では、フクレ等が発生し、鉛フリーに対応することができなくなった。本発明の樹脂組成物から得られる積層板は、他の特性を低下することなく前述の要求特性を充足することが可能となるものである。
【0027】
また、本発明の樹脂組成物では、本発明の目的に反しない範囲において、アミノ樹脂等の難燃性化合物、アミン類、イミダゾール化合物等の硬化促進剤を配合することができる。前記アミノ樹脂としては、例えばメラミン樹脂、グアナミン樹脂などであるが、難燃化の効果を高めるためにはメラミン樹脂が好ましい。アミノ樹脂は、メラミンやグアナミンなどのアミノ化合物とホルムアルデヒド等のアルデヒド類との初期反応物であり、それらのメチロール基の一部または全部をメタノール、ブタノール等の低級アルコールでエーテル化したものも含まれる。
【0028】
次に、本発明のプリプレグについて説明する。
本発明のプリプレグは、上述の樹脂組成物を紙基材に含浸してなるものである。
前記紙基材としては、例えばクラフト紙、リンター紙等を挙げることができる。
前記樹脂組成物を紙基材に含浸させる方法としては、例えば、紙基材を樹脂ワニスに含浸させる方法、各種コーターにより塗布する方法、スプレーによる吹き付け法等が挙げられる。
前記樹脂ワニスは、例えば前記樹脂組成物をメタノール、トルエン等の溶媒に溶解して得られる。樹脂ワニスの固形分は、特に限定されないが、20〜80重量%が好ましく、特に40〜60重量%が好ましい。
【0029】
また、本発明のプリプレグは、特に限定されないが、前記樹脂組成物を2層以上含浸してなることが好ましい。これにより、耐熱性と電気特性をより向上することができる。
前記2層以上を含浸する場合、1層目と2層目とは、樹脂組成物が同じであっても良いが、異なることが好ましい。
例えば、前記1層目(コア層)の樹脂組成物は、前記ノボラック型フェノール樹脂とレゾール型フェノール樹脂で構成されることが好ましい。また、前記第2層目(表面層)の樹脂組成物は、油変性レゾール型フェノール樹脂、リン化合物(前記第1および第2のリン酸エステルを含む)およびエポキシ樹脂等で構成されることが好ましい。これにより、紙基材への含浸性をより向上することができる。また、2層目に油変性レゾール型フェノール樹脂を用いることで接着性も向上することができる。
なお、含浸する方法は、前記含浸方法と同様の方法を用いることができる。
【0030】
次に、紙基材フェノール樹脂積層板について説明する。
本発明の紙基材フェノール樹脂積層板は、前記プリプレグを少なくとも1枚以上を成形してなるものである。
紙基材フェノール樹脂積層板は、前記プリプレグ1枚のときは、その片面または両面に金属箔を積層して得ることができる。
また、前記プリプレグ2枚以上のときは、プリプレグの最も外側の片面または両面に金属箔を積層して得ることができる。
前記金属箔を構成する金属としては、例えば銅または銅系合金、アルミまたはアルミ系合金等が挙げられる。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。説明中、「%」は「重量%」を示す。
【0032】
(実施例1)
[未変性レゾール型フェノール樹脂の製造]
フェノール1000g、37%ホルムアルデヒド水溶液980g、トリエチルアミン20gからなる混合物を60℃で2時間反応させ、次に減圧下で濃縮し、これをメタノールで希釈して樹脂分50%の未変性のレゾール型フェノール樹脂ワニスを得た。
【0033】
[油変性レゾール型フェノール樹脂の製造]
フェノール1600gと桐油1000gをパラトルエンスルホン酸の存在下、95℃で2時間反応させ、更にパラホルムアルデヒド650g、ヘキサメチレンテトラミン30g、トルエン2000gを加えて90℃で2時間反応後、減圧下で濃縮し、これをトルエンとメタノールの混合溶媒で希釈して樹脂分50%の油変性フェノール樹脂ワニス(油変性量30%)を得た。
【0034】
[ノボラック型フェノール樹脂の製造]
フェノール1000gとシュウ酸10gとを仕込み、100℃に昇温して、37%ホルムアルデヒド水溶液450gを60分間かけて逐次添加し、100℃で還流しながら1時間反応させた。その後、常圧蒸留を行い130℃まで昇温して、500Paの減圧下で減圧蒸留を行って190℃まで昇温して、フェノール樹脂を得た。これをメタノールで希釈して樹脂分50%のノボラック型フェノール樹脂ワニスを得た。(2核体量20%、未反応のフェノール量 1.5%)
【0035】
(紙基材含浸用の樹脂ワニスの調製)
第1のリン酸エステルとしてレゾルシノールジフェニルホスフェート30重量部(11.4%)と、第2のリン酸エステルとしてトリフェニルホスフェイト、20重量部(7.5%)と、レゾール型フェノール樹脂として上述の未変性レゾール型フェノール樹脂ワニス50重量部(9.4%)および油変性レゾール型フェノール樹脂ワニス200重量部(37.7%)と、ノボラック型フェノール樹脂としてノボラック型フェノール樹脂ワニス80重量部(15.1%)と、エポキシ樹脂としてTBBA−エポキシオリゴマー(GX−153 大日本インキ化学工業社製)30重量部(11.4%)と、メチロール化メラミン樹脂(フェノライトTD−2538、大日本インキ化学工業社製)20重量部(7.5%)を配合し、紙基材含浸用の樹脂ワニスを得た。
【0036】
(積層板の製造)
次に上述の紙基材含浸用の樹脂ワニスを樹脂含浸率55%(プリプレグ全体に対する割合)となるように紙基材(120g/m2のクラフト紙)に含浸させてプリプレグを得た。このプリプレグ8枚を重ね、更にその両外面に接着剤つき銅箔(FSM 日本電解社製)を重ね合わせ、150℃、100kg/cm2、10分加熱加圧成形して厚さ1.6mmの積層板を得た。
【0037】
(実施例2)
紙基材含浸用の樹脂ワニスにおいて、配合量を以下の通りにした以外は、実施例1と同様にした。
第1のリン酸エステルとしてレゾルシノールジフェニルホスフェート30重量部(16.2%)と、第2のリン酸エステルとしてトリフェニルホスフェイト15重量部(8.1%)と、レゾール型フェノール樹脂として上述の未変性レゾール型フェノール樹脂ワニス60重量部(16.2%)および油変性レゾール型フェノール樹脂ワニス100重量部(27.0%)と、ノボラック型フェノール樹脂としてノボラック型フェノール樹脂ワニス40重量部(10.8%)と、エポキシ樹脂としてTBBA−エポキシオリゴマー(GX−153 大日本インキ化学工業社製)30重量部(16.2%)と、メチロール化メラミン樹脂(フェノライトTD−2538、大日本インキ化学工業社製)20重量部(7.5%)を配合し、紙基材含浸用の樹脂ワニスを得た。
【0038】
(実施例3)
紙基材含浸用の樹脂ワニスにおいて、配合量を以下の通りにした以外は、実施例1と同様にした。
第1のリン酸エステルとしてレゾルシノールジフェニルホスフェート20重量部(7.8%)と、第2のリン酸エステルとしてトリフェニルホスフェイト20重量部(7.8%)と、レゾール型フェノール樹脂として上述の未変性レゾール型フェノール樹脂ワニス50重量部(9.8%)および油変性レゾール型フェノール樹脂ワニス200重量部(39.2%)と、ノボラック型フェノール樹脂としてノボラック型フェノール樹脂ワニス80重量部(15.7%)と、エポキシ樹脂としてTBBA−エポキシオリゴマー(GX−153 大日本インキ化学工業社製)30重量部(11.8%)と、メチロール化メラミン樹脂(フェノライトTD−2538、大日本インキ化学工業社製)20重量部(7.8%)を配合し、紙基材含浸用の樹脂ワニスを得た。
【0039】
(実施例4)
紙基材含浸用の樹脂ワニスにおいて、配合量を以下の通りにした以外は、実施例1と同様にした。
第1のリン酸エステルとしてレゾルシノールジフェニルホスフェート125重量部(34.7%)と、第2のリン酸エステルとしてトリフェニルホスフェイト20重量部(5.6%)と、レゾール型フェノール樹脂として上述の未変性レゾール型フェノール樹脂ワニス50重量部(6.9%)および油変性レゾール型フェノール樹脂ワニス200重量部(27.8%)と、ノボラック型フェノール樹脂としてノボラック型フェノール樹脂ワニス80重量部(11.1%)と、エポキシ樹脂としてTBBA−エポキシオリゴマー(GX−153 大日本インキ化学工業社製)30重量部(8.3%)と、メチロール化メラミン樹脂(フェノライトTD−2538、大日本インキ化学工業社製)20重量部(5.6%)を配合し、紙基材含浸用の樹脂ワニスを得た。
【0040】
(実施例5)
紙基材含浸用の樹脂ワニスにおいて、配合量を以下の通りにした以外は、実施例1と同様にした。
第1のリン酸エステルとしてレゾルシノールジフェニルホスフェート30重量部(11.8%)と、第2のリン酸エステルとしてトリフェニルホスフェイト10重量部(3.9%)と、レゾール型フェノール樹脂として上述の未変性レゾール型フェノール樹脂ワニス50重量部(9.8%)および油変性レゾール型フェノール樹脂ワニス200重量部(39.2%)と、ノボラック型フェノール樹脂としてノボラック型フェノール樹脂ワニス80重量部(15.7%)と、エポキシ樹脂としてTBBA−エポキシオリゴマー(GX−153 大日本インキ化学工業社製)30重量部(11.8%)と、メチロール化メラミン樹脂(フェノライトTD−2538、大日本インキ化学工業社製)20重量部(7.8%)を配合し、紙基材含浸用の樹脂ワニスを得た。
【0041】
(実施例6)
紙基材含浸用の樹脂ワニスにおいて、配合量を以下の通りにした以外は、実施例1と同様にした。
第1のリン酸エステルとしてレゾルシノールジフェニルホスフェート30重量部(10.2%)と、第2のリン酸エステルとしてトリフェニルホスフェイト50重量部(16.9%)と、レゾール型フェノール樹脂として上述の未変性レゾール型フェノール樹脂ワニス50重量部(8.5%)および油変性レゾール型フェノール樹脂ワニス200重量部(33.9%)と、ノボラック型フェノール樹脂としてノボラック型フェノール樹脂ワニス80重量部(13.6%)と、エポキシ樹脂としてTBBA−エポキシオリゴマー(GX−153 大日本インキ化学工業社製)30重量部(10.2%)と、メチロール化メラミン樹脂(フェノライトTD−2538、大日本インキ化学工業社製)20重量部(6.8%)を配合し、紙基材含浸用の樹脂ワニスを得た。
【0042】
(実施例7)
紙基材含浸用の樹脂ワニスにおいて、配合量を以下の通りにした以外は、実施例1と同様にした。
第1のリン酸エステルとしてレゾルシノールジフェニルホスフェート30重量部(12.2%)と、第2のリン酸エステルとしてトリフェニルホスフェイト20重量部(8.2%)と、レゾール型フェノール樹脂として上述の未変性レゾール型フェノール樹脂ワニス50重量部(10.2.%)および油変性レゾール型フェノール樹脂ワニス200重量部(40.8%)と、ノボラック型フェノール樹脂としてノボラック型フェノール樹脂ワニス80重量部(16.3%)と、エポキシ樹脂としてTBBA−エポキシオリゴマー(GX−153 大日本インキ化学工業社製)10重量部(4.1%)と、メチロール化メラミン樹脂(フェノライトTD−2538、大日本インキ化学工業社製)20重量部(8.2%)を配合し、紙基材含浸用の樹脂ワニスを得た。
【0043】
(実施例8)
紙基材含浸用の樹脂ワニスにおいて、配合量を以下の通りにした以外は、実施例1と同様にした。
第1のリン酸エステルとしてレゾルシノールジフェニルホスフェート40重量部(11.0%)と、第2のリン酸エステルとしてトリフェニルホスフェイト20重量部(5.5%)と、レゾール型フェノール樹脂として上述の未変性レゾール型フェノール樹脂ワニス50重量部(6.8%)および油変性レゾール型フェノール樹脂ワニス200重量部(27.4%)と、ノボラック型フェノール樹脂としてノボラック型フェノール樹脂ワニス80重量部(11.0%)と、エポキシ樹脂としてTBBA−エポキシオリゴマー(GX−153 大日本インキ化学工業社製)120重量部(32.9%)と、メチロール化メラミン樹脂(フェノライトTD−2538、大日本インキ化学工業社製)20重量部(5.5%)を配合し、紙基材含浸用の樹脂ワニスを得た。
【0044】
(実施例9)
紙基材含浸用の樹脂ワニスにおいて、第1のリン酸エステルを以下の通りにした以外は、実施例1と同様にした。
第1のリン酸エステルとしてレゾルシノールジクレジルホスフェート30重量部(11.4%)と、第2のリン酸エステルとしてトリフェニルホスフェイト20重量部(7.5%)と、レゾール型フェノール樹脂として上述の未変性レゾール型フェノール樹脂ワニス50重量部(9.4%)および油変性レゾール型フェノール樹脂ワニス200重量部(37.7%)と、ノボラック型フェノール樹脂としてノボラック型フェノール樹脂ワニス80重量部(15.1%)と、エポキシ樹脂としてTBBA−エポキシオリゴマー(GX−153 大日本インキ化学工業社製)30重量部(11.4%)と、メチロール化メラミン樹脂(フェノライトTD−2538、大日本インキ化学工業社製)20重量部(7.5%)を配合し、紙基材含浸用の樹脂ワニスを得た。
【0045】
(比較例1)
紙基材含浸用の樹脂ワニスにおいて、配合量を以下の通りにした以外は、実施例1と同様にした。
第1のリン酸エステルを配合せず、第2のリン酸エステルとしてトリフェニルホスフェイト40重量部(15.7%)と、レゾール型フェノール樹脂として上述の未変性レゾール型フェノール樹脂ワニス50重量部(9.8%)および油変性レゾール型フェノール樹脂ワニス200重量部(39.2%)と、ノボラック型フェノール樹脂としてノボラック型フェノール樹脂ワニス80重量部(15.7%)と、エポキシ樹脂としてTBBA−エポキシオリゴマー(GX−153 大日本インキ化学工業社製)30重量部(11.8%)と、メチロール化メラミン樹脂(フェノライトTD−2538、大日本インキ化学工業社製)20重量部(7.8%)を配合し、紙基材含浸用の樹脂ワニスを得た。
上述の実施例および比較例により得られた積層板の各特性を評価した。各特性は、以下の方法で評価した。得られた結果を表1に示す。
【0046】
(比較例2)
紙基材含浸用の樹脂ワニスにおいて、配合量を以下の通りにした以外は、実施例1と同様にした。
第1のリン酸エステルとしてレゾルシノールジフェニルホスフェート30重量部(12.8%)と、第2のリン酸エステルとしてトリフェニルホスフェイト20重量部(8.5%)と、レゾール型フェノール樹脂として上述の未変性レゾール型フェノール樹脂ワニス50重量部(10.6%)および油変性レゾール型フェノール樹脂ワニス200重量部(42.6%)と、ノボラック型フェノール樹脂としてノボラック型フェノール樹脂ワニス80重量部(17.0%)と、エポキシ樹脂としてTBBA−エポキシオリゴマー(GX−153 大日本インキ化学工業社製)0重量部(0.0%)と、メチロール化メラミン樹脂(フェノライトTD−2538、大日本インキ化学工業社製)20重量部(8.5%)を配合し、紙基材含浸用の樹脂ワニスを得た。
上述の実施例および比較例により得られた積層板の各特性を評価した。各特性は、以下の方法で評価した。得られた結果を表1に示す。
【0047】
上述の実施例および比較例により得られた積層板の各特性を評価した。各特性は、以下の方法で評価した。得られた結果を表1に示す。
▲1▼ 気中耐熱性
10cm角の積層板を温度230および250℃の乾燥機中にそれぞれ入れ、10分間放置した。この試料の外観からみたふくれ不具合の発生の有無を目視で評価した。各符号は、以下の通りである。
◎:フクレ等無し
○:小さなフクレ等少し有り
△:大きなフクレ等少し有り
×:フクレ等有り
【0048】
▲2▼ 半田耐熱性
半田耐熱性は、JIS C 6481に準じて評価した。
【0049】
▲3▼ 打抜加工性
打ち抜き加工性は、ASTM D617−44に基づき評価した。各符号は、以下の通りである。
◎:積層板の端面で樹脂欠けおよび銅箔の剥離無く、かつ樹脂粉の発生も少ない。
○:積層板の端面で樹脂欠けおよび銅箔の剥離無いが、樹脂粉の発生は多い。
△:積層板の端面で樹脂欠けおよび銅箔の剥離有るが、樹脂粉の発生は少ない。
×:積層板の端面で樹脂欠けおよび銅箔の剥離有り、かつ、樹脂粉の発生も多い。
【0050】
▲4▼絶縁抵抗
絶縁抵抗は、JIS C 6481に準じて評価した。
【0051】
▲5▼難燃性
難燃性は、厚さ1.6mmのサンプルをUL規格に基づいて評価した。
【0052】
【表1】
【0053】
表1によれば、実施例1〜9は、気中耐熱性および難燃性に優れていた。
特に実施例1ないし3、5、8および9は、250℃での気中耐熱性にも優れ、高融点の鉛フリー半田でのリフロー実装に対応できるものであることが示された。
特に、実施例1ないし3、6、7および9は、打ち抜き加工性にも優れていた。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、フェノール樹脂積層板(特に紙基材フェノール樹脂積層板)にした際に、高融点の鉛フリー半田でのリフロー実装に対応した耐熱性に優れた樹脂組成物、プリプレグを得ることができる。
また、本発明によれば、高融点の鉛フリー半田でのリフロー実装に対応した耐熱性に優れた紙基材フェノール樹脂積層板を得ることができる。
また、2つの異なるリン化合物を併用する場合、打ち抜き加工性にも優れることができる。
また、エポキシ樹脂を併用する場合、特に耐熱性を向上することができる。
Claims (10)
- 更に前記第1のリン酸エステルとは異なる第2のリン酸エステルを含むものである請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記第1のリン酸エステルの含有量は、樹脂組成物全体の5〜40重量%である請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- 前記フェノール樹脂の含有量は、樹脂組成物全体の20〜80重量%である請求項1ないし3のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記エポキシ樹脂の含有量は、樹脂組成物全体の3〜40重量%である請求項1ないし4のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記フェノール樹脂は、レゾール型フェノール樹脂とノボラック型フェノール樹脂とを併用して含むものである請求項1ないし5のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記フェノール樹脂は、油変性レゾール型フェノール樹脂を含むものである請求項1ないし6のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 請求項1ないし7のいずれかに記載の樹脂組成物を紙基材に含浸してなることを特徴とするプリプレグ。
- 請求項1ないし7のいずれかに記載の樹脂組成物を紙基材に2層以上含浸してなることを特徴とするプリプレグ。
- 請求項8または9に記載のプリプレグ1枚以上を成形してなることを特徴とする紙基材フェノール樹脂積層板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002289533A JP2004123892A (ja) | 2002-10-02 | 2002-10-02 | 樹脂組成物、プリプレグおよび紙基材フェノール樹脂積層板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002289533A JP2004123892A (ja) | 2002-10-02 | 2002-10-02 | 樹脂組成物、プリプレグおよび紙基材フェノール樹脂積層板 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004123892A true JP2004123892A (ja) | 2004-04-22 |
Family
ID=32281672
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002289533A Pending JP2004123892A (ja) | 2002-10-02 | 2002-10-02 | 樹脂組成物、プリプレグおよび紙基材フェノール樹脂積層板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004123892A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011074173A (ja) * | 2009-09-30 | 2011-04-14 | Sumitomo Bakelite Co Ltd | 熱硬化性樹脂成形材料 |
JP2013091783A (ja) * | 2011-10-06 | 2013-05-16 | Showa Denko Kk | 導電性樹脂組成物及びこれを用いた導電性塗料並びに導電性接着剤 |
-
2002
- 2002-10-02 JP JP2002289533A patent/JP2004123892A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011074173A (ja) * | 2009-09-30 | 2011-04-14 | Sumitomo Bakelite Co Ltd | 熱硬化性樹脂成形材料 |
JP2013091783A (ja) * | 2011-10-06 | 2013-05-16 | Showa Denko Kk | 導電性樹脂組成物及びこれを用いた導電性塗料並びに導電性接着剤 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4259031B2 (ja) | 樹脂組成物、プリプレグおよび紙基材フェノール樹脂積層板 | |
JP2007009169A (ja) | プリプレグおよびこれを用いた積層板とプリント配線板 | |
JPWO2010038703A1 (ja) | 金属張フェノール樹脂積層板 | |
JP4175915B2 (ja) | 樹脂組成物、プリプレグおよびフェノール樹脂積層板 | |
JP2004123892A (ja) | 樹脂組成物、プリプレグおよび紙基材フェノール樹脂積層板 | |
KR20060055379A (ko) | 프리프레그, 및 이를 사용한 적층판 및 프린트 배선판 | |
JP2005290144A (ja) | 樹脂組成物、プリプレグおよびフェノール樹脂積層板 | |
JP2005029674A (ja) | フェノール樹脂組成物およびフェノール樹脂銅張積層板 | |
JPH10279715A (ja) | 難燃性フェノール樹脂積層板 | |
JP3937732B2 (ja) | フェノール樹脂組成物、プリプレグ及びフェノール樹脂積層板 | |
JP2011122009A (ja) | 乾性油変性レゾール型フェノール樹脂、フェノール樹脂組成物、プリプレグおよび積層板 | |
JP4893185B2 (ja) | フェノール樹脂組成物、プリプレグ及びフェノール樹脂積層体 | |
JP2005290143A (ja) | 樹脂組成物、プリプレグおよびフェノール樹脂積層板 | |
JP2011026400A (ja) | フェノール樹脂組成物、プリプレグおよび積層板 | |
JP2004244565A (ja) | 紙基材フェノール樹脂積層板の製造方法 | |
JP2003176398A (ja) | フェノール樹脂組成物、プリプレグおよび紙基材フェノール樹脂積層板 | |
JP4141578B2 (ja) | フェノール樹脂積層板 | |
JPH10286925A (ja) | 難燃性フェノール樹脂積層板 | |
KR100625157B1 (ko) | 적층판 | |
JP2010162737A (ja) | 積層板 | |
JP2004224999A (ja) | フェノール樹脂積層板およびフェノール樹脂銅張積層板 | |
JP2002145975A (ja) | 積層板用フェノール樹脂組成物及び該フェノール樹脂組成物を用いたフェノール樹脂銅張積層板の製造方法 | |
JPH11279514A (ja) | 樹脂ワニス、レジンペーパー及び積層板 | |
JPH10279716A (ja) | 難燃性フェノール樹脂積層板 | |
JPH1044338A (ja) | 電気用積層板 |