JP2004242928A - X線撮影装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】この発明のX線撮影装置は、長尺フィルムカセッテを使わずにX線管首振り機構16とFPD直進機構17でX線管1とFPD2を間欠的に移動させながら撮影して得た複数のX線透過画像を画像合成部19で繋ぎ合わせて1枚の合成画像とするので、合成画像は、全X線透過画像の撮影角を合計した広い撮影角を有する広角X線透過画像となるうえ、X線管の首振り移動の前と後でX線ビームの視線方向が同じなので、繋ぎ目で画像が正確に合うと同時に、透過X線を検出するX線検出器がFPD2であるので画像歪みも十分抑えられる結果、画像歪みのない広角X線透過画像を1枚ものの形で容易に得ることができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、X線管による被検体へのX線ビームの照射に伴ってX線検出器から出力されるX線検出信号に基づきX線透過画像(ディジタルX線画像)の作成をおこなうように構成された所謂ディジタルX線撮影が可能なX線撮影装置に係り、特に画像歪みのない広角X線透過画像を1枚ものの形で得られる広角X線撮影を容易におこなえるようにするための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディジタルX線撮影の可能な従来のX線撮影装置は、被検体(患者)にX線ビームを照射するX線管と、被検体からの透過X線を受像面で検出してX線検出信号を出力するX線検出器としてのイメージインテンシファイア(I・I管)とを備え、X線管によるX線ビームの照射に伴ってI・I管から出力されるX線検出信号を収集し、さらにI・I管の後段で必要な信号処理を行ってX線透過画像(ディジタルX線画像)を作成する。
このX線撮影装置の場合、下肢や脊髄のような長大な箇所を撮影する時には、広角X線撮影がおこなわれる。ただ、I・I管の受像面は広角X線撮影ができるほど広くはないので、長尺フィルムカセッテに写真フィルムを何枚も連ね並べて装填してから装置に長尺フィルムカセッテをセットして広角X線撮影をおこなっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のX線撮影装置は、広角X線撮影をおこなうのが容易とは言い難いうえ、広角X線透過写真を1枚ものの写真の形では得られないという問題がある。
従来の広角X線撮影の場合、長尺フィルムカセッテに写真フィルムを何枚も連ね並べて装填してから装置にセットするのに結構な手間暇がかかり、容易ではないのである。それに何枚かの写真を組み合わせる広角X線透過写真の場合、写真フィルムを使ったX線透過写真は元々見え難く写真同士の区別がつき難いので、写真が混ざり合いがちで、読影器にかける時に並べる順序や上下の間違いが起こり易くて、オペレータや医師が混乱する心配もある。
【0004】
また、下肢や脊髄のような長大な箇所を何回かにわけて標準撮影角で分割撮影すると共に各分割撮影で得られたX線透過画像を繋ぎ合わせて1枚の広角X線透過画像に仕上げることも考えられはするが、X線検出器としてI・I管を用いたX線透過画像には画像周辺部にI・I管に特有の複雑かつ補正困難な画像歪みを伴うので、X線透過画像を繋ぎ合わせても画像の歪みが十分抑えられた(画像歪みのない)広角X線透過画像にはならない。
【0005】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、画像歪みのない広角X線透過画像が1枚もののかたちで得られる広角X線撮影を容易におこなうことができるX線撮影装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明のX線撮影装置は、被検体にX線ビームを照射するX線管と、被検体からの透過X線を受像面で検出してX線検出信号を出力するX線検出器とを備え、X線管によるX線ビームの照射に伴ってX線検出器から出力されるX線検出信号に基づきX線透過画像を作成するX線撮影装置において、(A)前記X線検出器としてフラットパネル型X線センサ(以下、「FPD」という)を備えると共に、(B)X線撮影角の拡がり方向へX線照射エリアの位置が変化するようにX線管をX線焦点を中心に首振り移動させるX線管首振り手段と、(C)X線撮影角の拡がり方向へ受像面の位置が変化するようにFPDを受像面の面方向へ直進移動させるFPD直進手段と、(D)X線管とFPDがそれぞれ間欠的に首振りないし直進をして次の撮影位置に移動するようにX線管首振り手段およびFPD直進手段を制御する間欠移動制御手段と、(E)間欠移動制御手段の制御によってX線撮影角の拡がり方向に沿って設定される各撮影位置でそれぞれ得られたX線透過画像をX線撮影角の拡がり方向側の端で繋ぎ合わせて1枚の合成画像を作成する画像合成手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0007】
(作用・効果)請求項1に記載の発明の装置では、次のようにX線撮影プロセスが進行する。間欠移動制御手段の制御にしたがってX線管首振り手段およびFPD直進手段が作動するのに伴い、X線管のX線照射エリアの位置およびFPDの受像面の位置がX線撮影角の拡がり方向へ変化するようにX線管およびFPDが間欠的に首振りないし直進をして次の撮影位置へ移動することにより、X線撮影角の拡がり方向に沿って複数の撮影位置が設定される。そして、撮影位置毎にX線透過画像を得るX線撮影がそれぞれおこなわれる。さらに、画像合成手段による画像合成処理によって、各撮影位置で得られたX線透過画像がX線撮影角の拡がり方向側の端で繋ぎ合わされて1枚の合成画像に仕上げられる。
【0008】
つまり、請求項1に記載の発明の装置の場合、長尺フィルムカセッテを使わずに、X線撮影角の拡がり方向に沿って分割撮影するかたちでX線撮影すると共に、撮影された複数のX線透過画像を画像合成処理で繋ぎ合わせて1枚の合成画像とするので、仕上げられた合成画像は、繋ぎ合わされたX線透過画像の撮影角を全て加え合わせた広い撮影角を有する。また、X線管をX線焦点を動かさずに首振り移動させる場合は画像の繋ぎ目の処でX線管の首振り移動の前と後のX線ビームの照射方向が同一で視線方向が変わらないので、繋ぎ目で画像が正確に合ううえに、透過X線を検出するX線検出器がイメージインテンシファイアではなくて複雑で補正困難な画像歪みを伴わないFPDであるので、画像の歪みも十分抑えられる。なお、X線管をX線焦点を動かして直進移動させる場合は移動の前と後で画像の繋ぎ目の位置でのX線ビームの照射方向が反対で視線方向が変わるので、繋ぎ目で画像が正確に合わない。
したがって、請求項1に記載の発明の装置によれば、画像歪みのない広角X線透過画像が1枚もので得られる広角X線撮影が容易におこなえる。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載のX線撮影装置において、間欠移動制御手段は、FPDの受像面の後端部がひとつ前の撮影位置におけるFPDの受像面の先端部と重なり合うようにX線管首振り手段およびFPD直進手段を制御すると共に、画像合成手段は、合成画像における受像面での重なり領域に対応する領域の各画素信号が、両受像面の重なり領域における各対応位置の二つのX線検出信号をそれぞれ受像面の端縁からの距離に正比例して重みの量が変化する重み付けをしてから加算した合成検出信号になるように画像合成処理をおこなう構成となっているものである。
【0010】
(作用・効果)請求項2に記載の発明によれば、間欠移動制御手段によるX線管首振り手段およびFPD直進手段の制御にしたがって、各撮影位置ではFPDの受像面の後端部がひとつ前の撮影位置にセットされたFPDの受像面の先端部と重なり合うと共に、画像合成手段による画像合成処理により、合成画像における受像面での重なり領域に対応する領域の各画素信号が、両受像面の重なり領域における各対応位置の二つのX線検出信号をそれぞれ受像面の端縁からの距離に正比例して重みの量が変化する重み付けをしてから加算した合成検出信号に相応するものものとなる。したがって、合成画像における受像面での重なり領域では、合成対象の両X線透過画像が互いに合成相手の画像へ徐々に移行するかたちになるので、X線透過画像の繋ぎ目が目立たない広角X線透過画像を得ることができる。
【0011】
また、この発明の有用な形態として、請求項1または2に記載のX線撮影装置において、各撮影位置でのX線透過画像を得るX線撮影が自動的に実行されると共に、ひとつの撮影位置でのX線撮影が済むとX線管およびFPDが自動的に次の撮影位置へ移動するように構成されているものが挙げられる。
(作用・効果)この形態であれば、広角X線撮影が、事実上、全自動撮影でおこなえるようになる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明のX線撮影装置の一実施例を説明する。図1は実施例に係るディジタルX線撮影可能な医療用X線撮影装置の構成を示すブロック図、図2は実施例で使われているFPDの受像面を示す平面図、図3は実施例で使われているX線管の焦点を示す模式図である。
図1のX線撮影装置は、被検体MにX線ビームXBを照射するX線管1と、被検体Mからの透過X線を受像面2Aで検出してX線検出信号を出力するFPD(フラットパネル型X線センサ)2とをX線管1とFPD2がX線ビームXBの中心FCを受像面2Aの中心DCに一致させた状態で対向配置となるようにして備えていて、X線管1によるX線ビームXBの照射に伴ってFPD2から出力されるX線検出信号に基づきFPD2の後段でX線透過画像(ディジタルX線画像)が作成されるように構成されている。
【0013】
実施例装置の場合、被検体Mを載置する天板3が天板駆動部4のコントロールを受けて被検体Mの体軸Z方向および体側Y方向にそれぞれ枠体5に対し移動するのに加え、枠体5は起倒動駆動部6のコントロールを受けて矢印RA,RBで示す向きに天板3ごと起倒動するようにして受台9に支持されている。またX線管1は、X線撮影中、X線照射制御部7のコントロールを受けて照射条件に合ったX線ビームXBを適時に照射するように構成されている。
【0014】
一方、X線管1は、枠体5に被検体Mの体軸Z方向に沿って直進移動可能に配備された支柱10の先端に取り付けられていて、支柱10が直進するのに伴ってX線管1も被検体Mの体軸Z方向へ随伴移動するように構成されている。他方、FPD2は天板3の下の枠体5の内に配置されていると共に、FPD2は被検体Mの体軸Z方向へ直進移動するように構成されている。さらに、X線管1とFPD2は、平行移動制御部8のコントロールを受けて対向配置状態を維持したまま被検体Mの体軸Z方向へ平行移動するように構成されている。
【0015】
また、FPD2の後段には、FPD2から出力されるX線検出信号に基づいてX線透過画像を作成する信号処理部11と、作成されたX線透過画像を記憶するX線透過画像メモリ12と、X線透過画像や操作画面を表示する表示モニタ13や、X線撮影に必要な指令やデータなどの入力操作をおこなう為の操作卓14が設けられているのに加え、操作卓14による入力操作や撮影の進行状況に応じて指令信号を必要なところへ適時送出するホストコンピュータ15などが設けられている。
【0016】
FPD2は、図2に示すように、平板状基板2Bの表側の受像面2Aに極めて多数のX線検出素子2aが縦横に例えば1024×1024というようなマトリックス配列で規則正しく並んでいる面状X線検出器である。実施例の場合、X線管1は、図3に示すように、管球内の回転陽極1aに電子ビーム1bが衝突してコーン状のX線ビームXBが放出される位置が管球のX線焦点1Aである。管球の焦点1Aから照射されるX線ビームXBが図示しないコリメータで断面正方形に成形されてFPD2の受像面2Aに当たってX線透過画像となる範囲の角度が標準撮影角αである。
したがって、1回の標準撮影角αのX線撮影では、通常、X線ビームXBの照射に伴ってFPD2の受像面2Aに投影されるX線透過像が信号処理部11により標準撮影角αのX線透過画像として作成されてX線透過画像メモリ12に記憶される。FPD2におけるX線検出素子2aの位置精度は極めて高く、マトリックス配列は正確であるので、標準撮影角αのX線透過画像には複雑かつ補正困難というような画像歪みは無い。
【0017】
そして、実施例のX線撮影装置は、以下に具体的に述べるように、広角X線撮影機構が備わっていることを顕著な特徴としている。即ち、実施例装置は、図1に示すように、被検体Mの体軸Z方向(X線撮影角の拡がり方向)へX線照射エリアの位置が変化するようにX線管1を管球の焦点1Aを中心に首が振れるかたちで移動(首振り移動)させるX線管首振り機構16と、被検体Mの体軸Z方向へ受像面2Aの位置が変化するようにFPD2を受像面2Aの面方向に直進させるかたちで移動(直進移動)させるFPD直進機構17と、X線管1とFPD2がそれぞれ標準撮影角αのX線透過画像1枚分に相応する距離ずつ間欠的に首振りないし直進をして次の撮影位置に移動するようにX線管首振り機構16およびFPD直進機構17を制御する間欠移動制御部18とを備えている。
【0018】
X線管首振り機構16は、図4に示すように、回転モータ16Aとエンコーダ16Bを備え、回転モータ16Aが正または逆に回転するのに応じて、図4(a)〜図4(c)に示すように、管球の焦点1Aが固定されたままの状態でX線管1が首を振るかたちで移動してX線照射エリアの位置が体軸Z方向へ正逆の向きに変化すると共に、X線照射エリアの位置に対応するX線管1の首振り角度がエンコーダ16Bで常時検出されるように構成されている。
【0019】
FPD直進機構17は、図5に示すように、枠体5の側に設置されたラック17AとFPD2の側に設置されたピニオン17Bおよび回転モータ17Cとエンコーダ17Dを備え、回転モータ17Cが正または逆に回転するのに応じてラック17と噛み合いながらラック17に沿って移動するピニオン17Bに随伴してFPD2が直進して受像面2Aの位置が体軸Z方向へ正逆の向きに変化すると共に、受像面2Aの位置に対応するFPD2の体軸Z方向の位置がエンコーダ17Dで常時検出されるように構成されている。
【0020】
これらX線管首振り機構16およびFPD直進機構17は、間欠移動制御部18による制御を受けてX線管1とFPD2が、それぞれ標準撮影角αのX線透過画像1枚分に相応する距離ずつ間欠的に首振りないし直進をして、図6に示すように、撮影位置PAから次の撮影位置PBへ移動し、さらに撮影位置PBから次の撮影位置PCへ移動するように構成されている。間欠移動制御部18は、エンコーダ16B,17Dから送出されるX線管1の首振り角度やFPD2の体軸Z方向の位置の検出結果に基づきX線管1の首振り角度やFPD2の体軸Z方向の位置を厳密にコントロールし、各撮影位置PA〜PCではX線ビームXBの中心FCを受像面2Aの中心DCに常時一致させた状態とする。こうして被検体Mの体軸Z方向に沿って設定される各撮影位置PA〜PCでは、それぞれ標準撮影角αでX線撮影がおこなわれる。
【0021】
さらに、実施例のX線撮影装置は、図1に示すように、被検体Mの体軸Z方向に沿って設定される各撮影位置PA〜PCでそれぞれ得られた全ての標準撮影角αのX線透過画像を体軸Z方向側の端で繋ぎ合わせて1枚の合成画像を作成する画像合成部19と、作成した合成画像を記憶する合成画像メモリ20を備えている。この場合、撮影された3枚全ての標準撮影角αのX線透過画像が画像合成処理で繋ぎ合わされて1枚の合成画像となるので、仕上げられた合成画像は3枚分の標準撮影角αを全て加え合わせた広い撮影角βを有する広角画像となり、したがって、実施例のX線撮影装置では広角X線撮影がおこなわれたことになる。
【0022】
また、実施例装置の場合、間欠移動制御部18は、図6に示すように、FPD2の受像面2Aの後端部がひとつ前の撮影位置におけるFPD2の受像面2Aの先端部と重なり合うようにX線管首振り機構16およびFPD直進機構17を制御すると共に、画像合成部19は、合成画像における受像面での重なり領域に対応する領域の各画素信号が、両受像面2A,2Aの重なり領域における各対応位置の二つのX線検出信号をそれぞれ各受像面2Aの端縁からの距離に正比例して重みの量が変化する重み付けをしてから加算した合成検出信号に相応するものとなるように画像合成処理をおこなう構成となっている。
【0023】
具体的には、図7に示すように、隣接する撮影位置間でみると、受像面2Aで距離Dだけの重なり領域があって、重なり領域の後の撮影位置(例えば撮影位置PB)側後端の位置をd=0とし、重なり領域の先の撮影位置(例えば撮影位置PA)側先端の位置をd=Dとして先の撮影位置側端からの距離dに応じて重み量が変化するように各X線検出信号に重み付けをして加算する。即ち、図8に示すように、先の撮影時のX線検出信号にはWa=1−(d/D)の重みを掛け、後の撮影時のX線検出信号にはWb=(d/D)の重みを掛けて加え合わせる。なお、距離dの全域の全ての位置で重み量の合計(Wa+Wb)は〔1−(d/D)+(d/D)〕=1となる。このように重み付けをおこなうことで、合成画像における受像面2Aでの重なり領域では合成対象の両X線透過画像が互いに合成相手の画像へ徐々に移行するかたちになるので、X線透過画像の繋ぎ目を目立たせずに済む。重み付けを行う信号は、X線検出信号でも画素信号でもよい。
なお、受像面2Aでの重なり領域がある分だけ、合成画像の撮影角は若干少なくなる。また、FPD直進機構17は平行移動制御部8のコントロールを受けた時もFPD2を直進させる。
【0024】
続いて、上述した実施例装置による広角X線撮影のプロセスを具体的に図面を参照しながら説明する。図9は実施例装置による広角X線撮影の進行状況を示すフローチャートである。なお、以下では、図10に示すように、便宜上、被検体Mを細長いX線非透過性金属板mであると仮定する。さらに、X線管1とFPD2が最初の撮影位置PAにセットされた段階から説明する。
【0025】
〔ステップS1〕標準撮影角αのX線撮影を実行し、標準撮影角αのX線透過画像を作成記憶する。具体的には、図11(a)に示すように、標準撮影角αのX線透過画像QAを作成記憶することになる。
【0026】
〔ステップS2〕標準撮影角αのX線撮影が全て終了か否かをチェックする。否(未了)であれば、次のステップS3へ進む。全て終了であればステップS4に飛ぶ。
【0027】
〔ステップS3〕X線管1とFPD2をそれぞれ標準撮影角αのX線透過画像1枚分に相応する距離ずつ間欠的に首振りないし直進させることにより次の撮影位置へ移動させてからステップS1へ戻る。
ここでは、ステップS1〜S3が後2回繰り返されて、次の撮影位置PBでは、11(b)に示す標準撮影角αのX線透過画像QBが作成記憶され、その次の撮影位置PCでは、11(c)に示す標準撮影角αのX線透過画像QCが作成記憶されて標準撮影角αのX線撮影が全て終了することになる。
【0028】
〔ステップS4〕画像合成部19が、撮影位置PA〜PCでそれぞれ得られた全ての標準撮影角αのX線透過画像QA〜QCを、図12に示すように、体軸Z方向側の端で繋ぎ合わせて、1枚の合成画像Qを作成する。合成画像Qは略撮影角3αを有する広角X線透過画像である。
【0029】
〔ステップS5〕合成画像Qを合成画像メモリ20に記憶する。必要に応じて表示モニタ13の画面に映し出したり、画像焼付器21で用紙に印刷して出力したりすれば、広角X線撮影は終了となる。
【0030】
以上に詳述したように、実施例の装置の場合、次のような効果を奏する。長尺フィルムカセッテを使わずに被検体Mの体軸Z方向に沿って標準撮影角αのX線透過画像1枚分ずつ分割撮影するかたちでX線撮影すると共に、撮影された全ての標準撮影角αのX線透過画像を画像合成処理により繋ぎ合わせて1枚の合成画像Qとするので、合成画像Qは、繋ぎ合わせたX線透過画像の撮影角を全て加え合わせた広い撮影角を有する。これに加えて、X線管1を管球の焦点1Aを動かさずに首振り移動させる場合は画像の繋ぎ目の処でX線管1の首振り移動の前と後のX線ビームXBの照射方向が同一で視線方向が変わらないので、繋ぎ目で画像が正確に合う。もし、平行移動制御部8によりX線管1を管球の焦点1Aを動かして直進移動させる平行移動の場合は移動の前と後で画像の繋ぎ目の位置でのX線ビームの照射方向が反対で視線方向が変わるので、繋ぎ目で画像が合わなくなる。さらに、透過X線を検出するX線検出器がイメージインテンシファイアではなくて複雑で補正困難な画像歪みを伴わないFPD2であるので、画像の歪みも十分抑えられる。
したがって、実施例装置によれば、画像歪みのない広角X線透過画像が1枚ものの形で得られる広角X線撮影が容易におこなえる。
【0031】
この発明は、上記の実施例に限られるものではなく、以下のように変形実施することも可能である。
(1)実施例では、被検体Mの体軸Z方向に設定される撮影位置が3ヶ所であったが、撮影位置は2ヶ所でもよいし、4ヶ所以上であってもよい。
【0032】
(2)実施例では、X線撮影角の拡がり方向が被検体Mの体軸Z方向であったが、X線撮影角の拡がり方向は、例えば被検体Mの体側Y方向であってもよい。この場合は、被検体Mの体側Y方向へX線照射エリアの位置が変化するようにX線管1を、図13に示すように、管球の焦点1Aを中心に体側Y方向に首が振れるかたちで移動させる。これに伴って、図14に示すように、撮影位置Pa,Pbは被検体Mの体側Y方向に沿って設定されることになる。
さらに、X線撮影角の拡がり方向を被検体Mの体軸Z方向と、被検体Mの体側Y方向のいずれでも選択できるように構成してもよい。
【0033】
(3)実施例において、各撮影位置での標準撮影角のX線透過画像を得るX線撮影が自動的に実行されると共に、ひとつの撮影位置でのX線撮影が済むとX線管およびFPDが自動的に次の撮影位置へ移動するように構成されている装置が、広角X線撮影を全自動でおこなえる別の実施例として挙げられる。
【0034】
(4)実施例では、FPD2の受像面2Aの後端部がひとつ前の撮影位置におけるFPD2の受像面2Aの先端部と重なり合う構成であったが、FPD2の受像面2Aの後端部がひとつ前の撮影位置におけるFPD2の受像面2Aの先端部と隙間無く接して事実上重ならないような構成でもよい。
【0035】
(5)実施例のX線撮影装置は医療用であったが、この発明の装置は医療用に限られるものではない。
【0036】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、この発明のX線撮影装置によれば、長尺フィルムカセッテを使わずに、X線撮影角の拡がり方向に沿って分割撮影するかたちでX線撮影すると共に、撮影された複数のX線透過画像を画像合成処理により繋ぎ合わせて1枚の合成画像とするので、仕上げられた合成画像は、繋ぎ合わされたX線透過画像の撮影角を全て加え合わせた広い撮影角を有するのに加えて、X線管をX線焦点を動かさずに首振り移動させる場合は画像の繋ぎ目の処でX線管の首振り移動の前と後のX線ビームの照射方向が同一で視線方向が変わらないので、繋ぎ目で画像が正確に合うと同時に、透過X線を検出するX線検出器がイメージインテンシファイアと違って複雑で補正困難な画像歪みを伴わないFPDであるので、画像の歪みも十分抑えられ、その結果として、歪みのない広角X線透過画像が1枚ものの形で得られる広角X線撮影を容易におこなうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例のX線撮影装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施例に使われているFPDの受像面を示す平面図である。
【図3】実施例に使われているX線管の焦点を示す模式図である。
【図4】実施例装置でのX線管の首振り移動を説明する模式図である。
【図5】実施例でのFPDの直進移動を説明する模式図である。
【図6】広角X線撮影の際の撮影位置の設定状況を示す模式図である。
【図7】撮影位置におけるFPDの受像面の重なり状況を示す模式図である。
【図8】FPDの受像面の重なりに伴う重み付けでの重み付け量の変化を示すグラ
フである。
【図9】実施例装置による広角X線撮影の進行状況を示すフローチャートである。
【図10】被検体として仮定した金属板を示す平面図である。
【図11】各撮影位置で得られる標準撮影角のX線透過画像例を示す模式図である。
【図12】実施例における合成画像例を示す模式図である。
【図13】変形例における体側方向へのX線管の首振り移動を説明する模式図である。
【図14】変形例による広角X線撮影の際の撮影位置の設定状況を示す模式図である。
【符号の説明】
1 … X線管
1A … 管球の焦点
2 … FPD
2A … 受像面
16 … X線管首振り機構(X線管首振り手段)
17 … FPD直進機構(FPD直進手段)
18 … 間欠移動制御部(間欠移動制御手段)
19 … 画像合成部(画像合成手段)
M … 被検体
PA〜PC… 撮影位置
Pa,Pb… 撮影位置
Q … 合成画像
QA〜QC… 標準撮影角のX線透過画像
XB … X線ビーム
α … 標準撮影角
Claims (2)
- 被検体にX線ビームを照射するX線管と、被検体からの透過X線を受像面で検出してX線検出信号を出力するX線検出器とを備え、X線管によるX線ビームの照射に伴ってX線検出器から出力されるX線検出信号に基づきX線透過画像を作成するX線撮影装置において、(A)前記X線検出器としてフラットパネル型X線センサ(以下、「FPD」という)を備えると共に、(B)X線撮影角の拡がり方向へX線照射エリアの位置が変化するようにX線管をX線焦点を中心に首振り移動させるX線管首振り手段と、(C)X線撮影角の拡がり方向へ受像面の位置が変化するようにFPDを受像面の面方向へ直進移動させるFPD直進手段と、(D)X線管とFPDがそれぞれ間欠的に首振りないし直進をして次の撮影位置に移動するようにX線管首振り手段およびFPD直進手段を制御する間欠移動制御手段と、(E)間欠移動制御手段の制御によってX線撮影角の拡がり方向に沿って設定される各撮影位置でそれぞれ得られたX線透過画像をX線撮影角の拡がり方向側の端で繋ぎ合わせて1枚の合成画像を作成する画像合成手段とを備えていることを特徴とするX線撮影装置。
- 請求項1に記載のX線撮影装置において、間欠移動制御手段は、FPDの受像面の後端部がひとつ前の撮影位置におけるFPDの受像面の先端部と重なり合うようにX線管首振り手段およびFPD直進手段を制御すると共に、画像合成手段は、合成画像における受像面での重なり領域に対応する領域の各画素信号が、両受像面の重なり領域における各対応位置の二つのX線検出信号をそれぞれ受像面の端縁からの距離に正比例して重みの量が変化する重み付けをしてから加算した合成検出信号になるように画像合成処理をおこなう構成となっているX線撮影装置。
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