JP2004238537A - 硬化性組成物、シーリング材及び接着剤 - Google Patents

硬化性組成物、シーリング材及び接着剤 Download PDF

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明彦 坂東
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Abstract

【課題】大気中の湿気等と反応して硬化する硬化性組成物はシーリング材、接着剤等に用いられる。屋外に露出する部分に用いられるためには硬化物の一層の耐候性の向上が求められている。耐候性に優れた硬化性組成物、並びにこの硬化性組成物からなるシーリング材及び接着剤を提供する。
【解決手段】架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体と、一般式(1)で表される官能基を有する化合物とを含む硬化性組成物。上記硬化性組成物を含むシーリング材。上記硬化性組成物を含む接着剤。
Figure 2004238537

【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、反応して硬化する硬化性組成物に関し、さらに詳細には、硬化後の硬化物が耐候性に優れた硬化性組成物、並びに該硬化性組成物を用いたシーリング材及び接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
反応性シリル基を有する有機重合体をベースとした耐候性に優れたシーリング材組成物が、下記の特許文献1に開示されている。この先行技術に記載のシーリング材組成物では、反応性シリル基を有する有機重合体100重量部に対し、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びヒンダードフェノール系酸化防止剤がそれぞれ、0.3〜3重量部の割合で配合されている。
【0003】
しかしながら、上記シーリング材組成物を硬化させることにより得られたシーリング材の耐候性は、開示された実施例によれば、サンシャインウエザロメーターによる促進暴露試験で2000時間程度が限界であった。従って、上記シーリング材を、屋根構造体や外壁構造体などの屋外に露出する部分に用いるには更に耐候性の改善が望まれるものであった。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−287186号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、耐候性に優れた硬化物を得ることを可能とする硬化性組成物、並びに該硬化性組成物を用いたシーリング材及び接着剤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明は、架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体と、一般式(1)で表される官能基を有する化合物とを含む硬化性組成物を提供する。
【0007】
【化2】
Figure 2004238537
式中、R、R及びRは、水素または炭化水素基を示す。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、上記有機重合体100重量部に対し、上記化合物を0.1〜20重量部含む硬化性組成物を提供する。
【0009】
請求項3記載の発明は、上記化合物の炭素原子の合計が60以下である請求項1または請求項2記載の硬化性組成物を提供する。
【0010】
請求項4記載の発明は、更に、上記有機重合体100重量部に対し、層状珪酸塩を0.1〜100重量部含む請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性組成物を提供する。
【0011】
請求項5記載の発明は、更に、上記有機重合体100重量部に対し、紫外線吸収剤0.1〜20重量部および/または光安定剤を0.1〜20重量部含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性組成物を提供する。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5記載の硬化性組成物を含むことを特徴とするシーリング材を提供する。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項1〜5記載の硬化性組成物を含むことを特徴とする接着剤を提供する。
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体とは、シロキサン結合を形成することにより架橋し得る加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体であって、このシロキサン結合は例えば、珪素原子に結合した水酸基もしくは加水分解性基により形成される。
【0015】
珪素原子に結合した加水分解性基とは、例えば、水素、ハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、メルカプト基、アミノオキシ基、アルケニルオキシド基などが挙げられる。
上記加水分解性シリル基としては、メトキシシリル基やエトキシシリル基などのアルコキシシリル基が、反応後に有害な副生成物を生成しない点で、好ましく用いられる。
【0016】
上記シロキサン結合を形成することにより架橋し得る珪素含有基、すなわち架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体の主鎖は特に限定されず、ポリエーテル系重合体、ビニル系重合体、ポリエステル系重合体、ポリカーボネート系重合体、ポリオレフィン系重合体などが挙げられる。好ましくは、ポリエーテル系重合体及び/またはビニル系重合体からなるものであり、主鎖がポリエーテル系重合体部分及びビニル系重合体部分の双方を有していてもよい。
【0017】
以下、主鎖が本質的にポリエーテル系重合体からなる有機重合体(a)及び主鎖が本質的にビニル系重合体からなる有機重合体(b)を説明する。
【0018】
(主鎖がポリエーテル系重合体からなる有機重合体(a))
主鎖が本質的にポリエーテル系重合体からなり、加水分解性シリル基を有する有機重合体(a)の主鎖構造としては、例えばポリオキシエチレン重合体、ポリオキシプロピレン重合体、ポリオキシブチレン重合体が挙げられる。
【0019】
中でも、硬化性組成物の硬化物の耐水性が良く、かつシーリング材として用いた際に、より高い弾性を確保し得るという点で、ポリオキシプロピレン重合体が好ましい。
【0020】
上記有機重合体(a)の分子量が小さすぎると、硬化物の伸びが十分でなくなり、シーリング材として用いた際に、例えば、目地面に対する追従性が低下することがある。逆に、分子量が大きすぎると、硬化前の粘度が高くなりすぎて、各種添加剤を配合してシーリング材を調製する配合工程の作業性が低下することがある。
【0021】
そのため、数平均分子量が好ましくは1万〜3万であって、分子量分布Mw/Mn(重量平均分子量/数平均分子量)が1.6以下の有機重合体(a)が、作業性と硬化物の伸びとのバランスに優れているため好ましい。
【0022】
上記有機重合体(a)は、一般に変成シリコーンポリマーと呼ばれ、例えば、商品名「MSポリマー」(鐘淵化学工業社製)として、MSポリマーS−203、S−303など、商品名「サイリルポリマー」(鐘淵化学工業社製)として、サイリルSAT−200、SAT−350、SAT−400や、商品名「エクセスター」(旭硝子社製)として、エクセスターESS−3620、ESS−3430、ESS−2420、ESS−2410などが市販されている。
【0023】
(主鎖がビニル系重合体からなる有機重合体(b))
主鎖が本質的にビニル系重合体からなり、加水分解性シリル基を有する上記有機重合体(b)は、例えば、ビニルモノマーと加水分解性シリル基含有モノマーとを共重合することにより得られるが、主鎖または 鎖の一部として全体の50%以下の範囲でウレタン結合あるいはシロキサン結合からなる単位を含んでいてもよい。
【0024】
本発明で用いられる有機重合体(b)は、例えば以下のような方法により得られる。
【0025】
(1)特開昭54−36395号公報に記載されているように、アリル基を有する(メタ)アクリル基エステル系共重合体をVIII族遷移金属の存在下で、下記の一般式(2)で表わされるヒドロシリコン化合物と反応させる方法。
【0026】
【化3】
Figure 2004238537
【0027】
式中、Rは1価の炭化水素基及びハロゲン化された1化の炭化水素基の中から選ばれた基、aは0、1または2をそれぞれ示し、Xは、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基及びケトキシメート基より選ばれた基または原子を示す。
【0028】
(2)特開昭57−179210号公報に記載されているように、ビニルモノマーを、アルコキシシリル基を含有するアルキル(メタ)アクリレート及びメルカプト基を含有する連鎖移動剤の存在下で共重合させる方法。
【0029】
(3)特開昭59−78222号公報に記載されているように、ビニルモノマーを、2官能ラジカル重合性化合物及び連鎖移動剤としてのアルコキシシリル基を含有するメルカプタンの存在下で共重合させる方法。
【0030】
(4)特開昭60−23405号公報に記載されているように、ビニルモノマーを、重合開始剤としてアルコキシシリル基を含有するアゾビスニトリル化合物を使用して重合する方法。
【0031】
(5)特開平11−130931号公報に記載されているように、リビングラジカル重合法により、ビニル系重合体を製造する方法。
【0032】
有機重合体(b)を製造する際に用いられるビニルモノマーとしては特に限定されないが、その具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−3−メチルブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチル2−ヒドロキシエチルフタル酸、2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチル2−ヒドロキシプロピルフタル酸、メチルジメトキシプロピル(メタ)アクリレート、
【0033】
Figure 2004238537
Figure 2004238537
Figure 2004238537
【0034】
スチレン、インデン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、ジビニルベンゼンなどのスチレン誘導体;無水マレイン酸、N−ビニルピロリドン、N−ビニルモルフォリン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、安息香酸ビニル、珪皮酸ビニルなどのビニルエステル基を持つ化合物;n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、tert−アミルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、トリチレングリコールメチルビニルエーテル、安息香酸(4−ビニロキシ)ブチル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ブタン−1,4−ジオール−ジビニルエーテル、ヘキサン−1,6−ジオール−ジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−ジビニルエーテル、イソフタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、グルタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、コハク酸ジ(4−ビニロキシ)ブチルトリメチロールプロパントリビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシル、ビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−モノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル3−アミノプロピルビニルエーテル、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルビニルエーテル、ウレタンビニルエーテル、ポリエステルビニルエーテルなどのビニロキシ基を持つ化合物を挙げることができる。
【0035】
具体的な商品としては、ビニルモノマーに含まれる東亜合成化学工業(株)製のアロニクスM−5700、東亜合成化学工業(株)のマクロモノマーであるAS−6、AN−6、AA−6、AB−6、AK−5、ダイセル化学工業(株)製のPlaccel FA−1、Placcel FM−1、Placcel FM−4などが挙げられる。
【0036】
これらの重合体の中でも、主鎖がアクリル酸とアルキル基の炭素数が1〜12のアルキル(メタ)アクリレートからなる(メタ)アクリレート系共重合体が、柔軟性の点から好ましく、さらに好ましくはアクリル酸とアルキル基の炭素数が2〜8のアルキル(メタ)アクリレートからなる共重合体である。また、架橋可能な加水分解性シリル基としては、メトキシシリル基及びエトキシシリル基などのアルコキシシリル基が反応後有害な副生成物を生成しないので好適である。
【0037】
有機重合体(b)の分子量は特に限定されないが、数平均分子量が好ましくは5000〜20万、さらに好ましくは1万〜6万であって、分子量分布Mw/Mnが1.6以下の有機重合体(b)が、作業性と硬化物の伸びとのバランスに優れているため好ましい。
【0038】
(有機重合体(a)及び有機重合体(b)の併用)
架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する、主鎖が本質的にポリエーテル系重合体からなる有機重合体(a)と、架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有し、主鎖が本質的にビニル系重合体からなる有機重合体(b)の双方を本発明において併用してもよい。有機重合体(a)及び(b)を併用することにより、硬化性組成物の硬化物の耐水性を高めたり、シーリング材を構成した場合のゴム弾性を高めることができる。
【0039】
有機重合体(a)及び(b)を併用する場合、その配合割合は、有機重合体(b)100重量部に対し、有機重合体(a)0.1〜200重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜100重量部である。
【0040】
有機重合体(a)の配合割合が0.1重量部未満では、接着性改善効果が小さくなることがあり、200重量部を越えると、耐候性が低くなることがあり、かつ接着性向上効果がそれ程高くならないからである。
【0041】
更に、上記主鎖がポリエーテル系とアクリル系からなる重合体の市販品としては、例えば鐘淵化学社製の商品名MSポリマーとしては、「MSX−908」、「MSX−911」、「MSX−943」等が挙げられ、同社製の商品名サイリルポリマーとしては、「サイリルMA−430」、「サイリルMA−447」等が挙げられる。
【0042】
本発明における一般式(1)で表される官能基を有する化合物としては、例えば、イソフタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、1,6−ヘキサメチレンビス(N,N−ジメチルセミカルバジド)、ヘキサメチレン−N,N−ジメチルセミカルバジドのオリゴマー(式3)、1,1,1’,1’−テトラメチル−4,4’−(メチレン−ジ−パラ−フェニレン)ジセミカルバジド(式4)、ヘキサデカメチレン−N,N−ジメチルセミカルバジドのオリゴマー(式5)等が上げられる。
これらは単独で用いても良いし、二種以上を併用しても良い。
【0043】
【化4】
Figure 2004238537
【0044】
【化5】
Figure 2004238537
【0045】
【化6】
Figure 2004238537
【0046】
中でもヘキサメチレン−N,N−ジメチルセミカルバジドのオリゴマー(日本ヒドラジン工業社製商品名「HN−300P」、上記一般式(1)で表される官能基を有する化合物中の炭素原子の合計が29)、1,1,1’,1’−テトラメチル−4,4’−(メチレン−ジ−パラ−フェニレン)ジセミカルバジド(日本ヒドラジン工業社製商品名「HN−150」、炭素原子の合計が19)、ヘキサデカメチレン−N,N−ジメチルセミカルバジドのオリゴマー(日本ヒドラジン工業社「X−1」、炭素原子の合計が29)が好ましく、特にヘキサメチレン−N,N−ジメチルセミカルバジドのオリゴマー、1,1,1’,1’−テトラメチル−4,4’−(メチレン−ジ−パラ−フェニレン)ジセミカルバジドが好ましい。
【0047】
上記一般式(1)で表される官能基を有する化合物を添加することによる効果は硬化物の耐候性の向上である。現時点では耐侯性の向上の機構の詳細は不明であるが以下に推測される。
【0048】
通常、架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体にはその硬化促進触媒として錫等の金属を用いたシラノール縮合触媒が用いられる。しかしながら錫触媒は硬化物の光劣化を誘引し硬化物の耐候性を低下させる問題がある。このため本発明者らはこの点に注目し鋭意検討した結果、錫触媒の硬化触媒作用を害しない範囲で劣化を抑制する化合物を見出したのである。すなわち一般式(1)の化合物と錫触媒とが錯体状物を形成することにより触媒の光劣化促進作用を抑制するものと考えられる。このような金属不活性化剤の中でも上記一般式(1)で表される官能基を有する化合物においては硬化促進触媒としての作用を低下させないものである。
【0049】
架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体100重量部に対し、一般式(1)で表される官能基を有する化合物の添加量は0.1から20重量部添加されることが好ましい。これらの化合物の添加量は、0.1部よりも少なすぎると耐候性向上効果が不十分になることがあり、20部よりも多すぎると有機重合体への相溶性が低下し最終製品の外観不良を起こすことがあるためである。
【0050】
更に一般式(1)で表される官能基を有する化合物は化合物中の炭素原子の合計が60以下であることが好ましい。一般式(1)中の炭素原子の合計が60より大きすぎると有機重合体への相溶性が低下しブルーミングの発生等の最終製品の外観不良を起こすことがあるため60以下が好ましい。更に好ましくは、炭素原子数は10以上30以下である。
【0051】
本発明の硬化性組成物は室温硬化性組成物として各種添加剤を加えて通常手段により調整され、シーリング材や接着剤として用いられる。
【0052】
本発明の硬化性組成物には、耐候性を向上させるために各種紫外線吸収剤や光安定剤を配合することが好ましい。更に層状珪酸塩と併用すれば、層状珪酸塩が各種紫外線吸収剤や光安定剤のブリードアウトを抑制するように作用するため、硬化物中にこれらが長期にわたって保持されるため好ましい。また珪酸塩には難燃化の効果も有する。
【0053】
本発明で用いられる層状珪酸塩とは、層間に交換性陽イオンを有する珪酸塩鉱物を意味する。本発明で用いられる層状珪酸塩としては特に限定されず、例えば、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイト等のスメクタイト系粘土鉱物、バーミキュライト、ハロイサイト、膨潤性マイカ等が挙げられる。なかでも、モンモリロナイト、膨潤性マイカが好ましい。上記層状珪酸塩は天然物または合成物のいずれであってもよく、これらの1種または2種以上を用い得る。
【0054】
上記層状珪酸塩としては、下記式により定義される形状異方性効果が大きいスメクタイト類や膨潤性マイカを用いることが、硬化性組成物の機械強度向上やガスバリヤ性向上の点からもより好ましい。なお層状珪酸塩の結晶表面(A)及び結晶端面(B)を図1に模式的に示す。
形状異方性効果=結晶表面(A)の面積/結晶端面(B)の面積
【0055】
上記層状珪酸塩の層間に存在する交換性陽イオンとは、結晶表面上のナトリウム、カルシウム等のイオンであり、これらのイオンは、カチオン性物質とイオン交換性を有するので、カチオン性を有する種々の物質を上記層状珪酸塩の層間に捕捉(インターカレート)することができる。
【0056】
上記層状珪酸塩の陽イオン交換容量としては特に限定されないが、50〜200ミリ当量/100gであるのが好ましい。50ミリ当量/100g未満であると、イオン交換により結晶層間に捕捉(インターカレート)できるカチオン性界面活性剤の量が少なくなるので、層間が十分に非極性化されないことがある。一方、200ミリ当量/100gを超えると、層状珪酸塩の層間の結合力が強固となり、結晶薄片が剥離し難くなることがある。
【0057】
層状珪酸塩は架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体100重量部に対し、0.1〜100重量部含まれていることが好ましい。
0.1重量部未満では硬化物の耐候性向上や難燃化などの作用が発現され難く、100重量部を越えると、硬化性組成物の粘度が高くなり作業性、生産性が低下することがある。さらに好ましくは、0.5〜50重量部である。
【0058】
上記層状珪酸塩は、広角X線回折測定法により測定した(001)面の平均層間距離が3nm以上であり、5層以下で存在しているものを含んで分散しているものが好ましい。平均層間距離が3nm以上であり、5層以下で分散していると、硬化性組成物の耐候性、難燃性の性能発現に有利となる。
【0059】
なお、本明細書において、層状珪酸塩の平均層間距離とは、微細薄片状結晶を層とした場合の平均の層間距離であり、X線回折ピーク及び透過型電子顕微鏡撮影により、すなわち、広角X線回折測定法により算出できるものである。3nm以上に層間が開裂し、5層以下で存在しているものを含んで分散している状態は、層状珪酸塩の積層体の一部または全てが分散していることを意味しており、層間の相互作用が弱まっていることによる。
【0060】
さらに、層状珪酸塩の平均層間距離が6nm以上であると、難燃性、機械物性、耐熱性等の機能発現に特に有利である。平均層間距離が6nm以上であると、層状珪酸塩の結晶薄片層が層毎に分離し、層状珪酸塩の相互作用がほとんど無視できるほどに弱まるので、層状珪酸塩を構成する結晶薄片の硬化性組成物中での分散状態が剥離安定化の方向に進行する。すなわち、層状珪酸塩が1枚づつ薄片状に乖離した状態で硬化性組成物中に安定化されて存在することとなる。
【0061】
層状珪酸塩の分散状態としては、上記有機重合体中で、層状珪酸塩の10重量%以上が5層以下で存在している状態に分散されていることが好ましく、より好ましくは、層状珪酸塩の20重量%以上が5層以下の状態で存在していることが望ましい。さらに、分散している薄片状結晶の積層数が5層以下であれば、層状珪酸塩の添加による効果が良好に得られるが、3層以下であればより好ましく、単層状に分散していることがさらに望ましい。
【0062】
本発明の層状珪酸塩としては、炭素数6以上のアルキル鎖またはポリオキシアルキレン鎖を有するアルキルアンモニウムイオンを含有する層状珪酸塩であることが、良好な分散性が得られることからより好ましい。
【0063】
層状珪酸塩の分散には各種攪拌機を用いることができるが、分散しにくい場合には3本ロール等の高剪断がかかる装置を用いて分散を行うと所望の分散状態を得やすい場合がある。
【0064】
先述したように本発明の硬化性組成物には、耐候性を向上させるために各種紫外線吸収剤や光安定剤が配合されていることが好ましい。層状珪酸塩と併用すれば各種紫外線吸収剤や光安定剤が硬化性組成物内に長期にわたって保持されるため一層有効である。
【0065】
上記紫外線吸収剤、光安定剤は、上記有機重合体100重量部に対して、0.1〜20重量部配合されるのが好ましい。0.1重量部よりも少ないと耐候性の向上効果が不充分になることがあり、20重量部を越えるとシーリング材として重要な外観を損なうことがある。
【0066】
上記紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系等が挙げられ、中でもベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が紫外線吸収性能が高いという点で好ましい。上記光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤があり一般に紫外線吸収剤と併用すると優れた効果があるという点で好ましい。
【0067】
上記ヒンダードアミン系光安定剤(以下HALSともいう)としては例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート、ポリ[{6−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)イミノ}]等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、2種以上併用されてもよい。
【0068】
層状珪酸塩との併用による耐候性効果は、HALSのブリード防止効果が主であると考えられる。即ち層状珪酸塩が組成物中でHALSと相互作用し、HALSが系から散逸するのを防いでいる為であると考えられる。
【0069】
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて他の添加剤が配合されてもよい。
他の添加剤としては、可塑剤、1分子中にアミノ基及びアルコキシシリル基を有する化合物、シラノール縮合触媒、脱水剤、充填剤及びタレ防止剤、アミン系触媒、エポキシ硬化剤などが挙げられ、さらに必要に応じて、老化防止剤、顔料、香料、溶剤等が配合され得る。
【0070】
上記可塑剤は、シーリング材等の硬化物の伸びを高めたり、低モジュラス化するため使用される。可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ブチルベンジルフタレートなどのフタル酸エステル類、アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル、セバシン酸ジブチルなどの脂肪族二塩基酸エステル類、ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステルなどのグリコールエステル類、オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチルなどの脂肪族エステル類、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニルなどのリン酸エステル類、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油などのエポキシ可塑剤類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類、塩素化パラフィン、ポリブタジエン、イソパラフィンなどが挙げられ、これらは単独で用いられても、2種以上が併用されても良い。特に、数平均分子量500〜3万のポリプロピレングリコールが、安全性や耐ブリードアウト等の安全性の点から好ましい。
【0071】
上記可塑剤の配合量としては、上記有機重合体100重量部に対して、80重量部以下が好ましい。80重量部より多いと、塗装性に問題を生じる場合があるからである。
【0072】
上記1分子中にアミノ基及びアルコキシシリル基を有する化合物は、特に上記有機重合体が配合される硬化性組成物に対して接着性付与剤として添加されるものであり、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N’−ビス−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(メチルジメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(メチルジメトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミン、N,N−ビス−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N−ビス−〔3−(メチルジメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N−ビス−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N−ビス−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミン、N,N−ビス−〔3−(メチルジメトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミン、N,N−ビス−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミン、N,N−ビス−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕アミン、N,N−ビス−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕アミン、N,N−ビス−〔3−(メチルジメトキシシリル)プロピル〕アミン等が挙げられる。これらは単独で用いられても、2種以上が併用されても良い。
【0073】
上記シラノール縮合触媒は、上記有機重合体が配合される硬化性組成物に対して湿気硬化反応を促進するために使用されるものであり、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫フタレート、ビス(ジブチル錫ラウリン酸)オキサイド、ジブチル錫ビスアセチルアセトナート、ジブチル錫ビス(モノエステルマレート)、オクチル酸錫、ジブチル錫オクトエート、ジオクチル錫オキサイド等の錫化合物;テトラ−n−ブトキシチタネート、テトライソプロポキシチタネート等のチタネート系化合物;ジブチルアミン−2−エチルヘキソエート等のアミン塩;及び、その他の酸性触媒や塩基性触媒が挙げられる。これらは単独で用いられても、2種以上が併用されても良い。
【0074】
また、硬化速度をさらに速めるためには、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどのジアリールジアルコキシシランを用いることができる。
【0075】
上記脱水剤は、上記有機重合体が配合される本発明の硬化性組成物の保存時における侵入水分を除去するために使用されるものであり、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメチルシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のシラン化合物類、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル等の加水分解性エステル化合物類が挙げられ、これらは単独で用いられても、2種以上が併用されても良い。
【0076】
上記充填剤は、硬化物の補強を目的として使用されるものであり、例えば、炭酸カルシウム、表面処理炭酸カルシウム、酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、含水ケイ酸、無水ケイ酸、微粉末シリカ、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、雲母粉末、クレー、タルク、カーボンブラック、有機及び無機バルーン、ゴム粉末、ウォラストナイト、炭素繊維、また、接着耐久性を付与するためのセメントなどが挙げられ、これらは単独で用いられても、2種以上が併用されても良い。
【0077】
上記タレ防止剤は、例えば、水添ひまし油、脂肪酸ビスアマイド、ヒュームドシリカ等が挙げられる。
【0078】
上記溶剤としては、引火点が40℃以上の合成イソパラフィン系溶剤等が挙げられる。
【0079】
本発明のシーリング剤は、本発明の硬化性組成物からなり、上述の如く一般式(1)で表される官能基を有する化合物の作用により耐候性に優れた硬化物を提供し得る。
従って、例えば、屋根構造体や外壁構造体などの屋外に露出する部分に用いるシーリング材として、目地部等に好適に使用され得る。
【0080】
本発明の接着剤は、本発明の硬化性組成物からなり、上述の如く一般式(1)で表される官能基を有する化合物の作用により耐候性に優れた硬化物を提供し得る。
従って、例えば、外壁下地材に複数の外壁化粧材を接着するとともに、外壁化粧材間に予め用意した弾性目地材等を充填することなく、外壁化粧材間に露出する部分をそのまま耐候性に優れた目地部として形成された外壁等を、高い生産性をもって提供することが可能であり、斯かる用途に好適に使用され得る。
【0081】
(作用)
本発明の硬化性組成物は、上記一般式(1)で表される官能基を有する化合物を含むことにより硬化物の耐候性が向上する。現時点では耐候性向上の機構の詳細は不明であるが以下に推測される。
通常、架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体にはその硬化促進触媒として錫等の金属を用いたシラノール縮合触媒が用いられる。しかし硬化後、触媒は硬化物の光劣化の原因となっていると考えられる。本発明において、一般式(1)の化合物は錫等の触媒中の金属と錯体状物を形成することにより、触媒による硬化物に対する劣化作用を抑制することができるものと考えられる。また、層状珪酸塩と併用すれば、層状珪酸塩自体が紫外線吸収能を有していることから耐候性向上の効果がある。
【0082】
また、この効果は紫外線吸収剤や光安定剤と併用することにより、それぞれを単独で配合するよりも顕著な効果を発揮することができる。これは、硬化物表面で経時的に起こる紫外線吸収剤および光安定剤のブリードアウト等による硬化物からの消費が、層状珪酸塩の結晶薄片の邪魔板効果または層状珪酸塩への吸着効果により遅延するためと考えられる。したがって本発明による硬化性組成物を用いたシーリング材、接着剤はより高い耐候性を有する。
【0083】
【発明の実施の形態】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、文中の「部」は特に断らない限り「重量部」を示す。
【0084】
〔硬化性組成物の調製〕
(実施例1)
シロキサン結合を形成することにより架橋し得る珪素含有基を少なくとも1個有する有機重合体として、変成シリコーンポリマー(鐘淵化学工業社製、数平均分子量2万「MSX−943」、一般式(1)の官能基を有する化合物として、「HN−300P」(日本ヒドラジン工業社製であって、上記一般式(1)で表される官能基を有する化合物中の炭素原子の合計が29)、充填剤として炭酸カルシウム(白石工業社製、「白艶華CC−R」)及び酸化チタン、可塑剤としてポリプロピレングリコール(三井化学社製、「ジオール3000」数平均分子量3000)、脱水剤としてビニルトリメトキシシラン(チッソ社製、「サイラエースS210」)、接着性付与剤としてN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、「KBM−603」)、シラノール縮合触媒としてジブチル錫ジラウレート、光安定剤としてビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート及びメチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケートの混合物(チバスペシャリティーケミカルズ社製、「チヌビン765」)、紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製、「チヌビン327」)、を表1に示す通り配合し、外部から湿気が入らないように密封された混合攪拌機で減圧下で均一に混合して硬化性組成物を得た。尚、炭酸カルシウム及び酸化チタンについては予め110℃で減圧したものを使用した。
【0085】
(実施例2〜6及び比較例1〜2)
実施例2〜6及び比較例1〜2についても、表1に記載した配合に基づき、実施例1と同様にして配合を行った。実施例3、4、6においては一般式(1)の官能基を有する化合物として、「HN−150」(日本ヒドラジン工業社製であって上記一般式(1)で表される官能基を有する化合物中の炭素原子の合計が19)を用いた。実施例5においては一般式(1)の官能基を有する化合物として、「X−1」(日本ヒドラジン工業社製であって上記一般式(1)で表される官能基を有する化合物中の炭素原子の合計が59)を用いた。実施例2,3及び比較例2においては層状珪酸塩としてコープケミカル社製、「ソマシフMEE−100」(ポリオキシプロピレンジエチル4級アンモニウム塩で有機処理した膨潤性フッ素雲母)を用いた。
【0086】
〔層状珪酸塩の平均層間距離の確認〕
得られた硬化性組成物における層状珪酸塩の平均層間距離を以下のようにして測定した。
X線回折測定装置(リガク社製、RINT1100)により、層状珪酸塩の積層面の回折により得られる回折ピークの2θを測定し、下記のブラックの回折式を用いて層状珪酸塩の(001)面間隔を算出した。以下のdを平均層間距離とする。
λ=2dsinθ(λ=0.154nm、d:層状珪酸塩の面間隔、θ:回折角)
平均層間距離が3nm以上の場合を○と判定した。
【0087】
〔層状珪酸塩の分散状態の確認〕
透過型電子顕微鏡(TEM 日本電子社製「JEM−1200EX II」)写真により、硬化物中の層状珪酸塩の分散状態を観察して、5層以下で存在しているものを○と判定した。
【0088】
〔評価〕
上記実施例1〜6及び比較例1〜2で得た硬化性組成物を以下の方法でシーリング材として評価し、その結果を表1に示した。
【0089】
(1)耐候性
各配合組成物を50mm×150mm(厚み1mm)のステンレス板に0.5mm厚みで塗布し、20℃×60%RHの雰囲気下で7日間(168時間)放置して養生硬化させた後、サンシャインウェザロメーターによる劣化促進試験よりも過酷な下記促進劣化条件下、1500時間及び2000時間光照射を行い、表面状態を目視で確認し、クラックの無いものを○と判定した。
【0090】
・光照射条件
試験装置:アイスーパーUVテスター(SUV−F11型)、岩崎電気(株)製
照射強度:100mW/cm 限定波長:295nm〜450nm
ブラックパネル温度:63℃ 照射距離:235mm(光源と試料間)
(尚、アイスーパーUVテスターによる光照射評価は材料や試験条件により変動するので一概には言えないが、通常、サンシャインウェザロメーターによる評価よりも十倍程度過酷な促進効果があるとされている。)
【0091】
【表1】
Figure 2004238537
【0092】
表1に示されるように、上記一般式(1)で表される官能基を有する化合物を含む硬化性組成物の硬化物は含まない系に対し、顕著に光劣化しにくい。
同様に上記実施例1〜6及び比較例1〜2で得た硬化性組成物を接着剤として評価した。シーリング材としての結果と同様、上記一般式(1)で表される官能基を有する化合物を含む硬化性組成物の硬化物は含まない系に対し、顕著に光劣化しにくいという特性を有していた。
【0093】
【発明の効果】
本発明の硬化性組成物は、上記有機重合体と上記一般式(1)を含むので硬化物が、高い耐候性を有する。
本発明の硬化性組成物は、上記有機重合体と上記一般式(1)を有する化合物が特定量含まれているので、硬化物が高い耐候性を有しまた上記有機重合体へのの相溶不良に伴う外観不良を生じにくい。
本発明の硬化性組成物は上記一般式(1)で表される官能基を有する化合物中の炭素原子の合計が60以下であるので硬化物がブルーミング等を生じることなく高い耐候性を有する。
本発明の硬化性組成物は上記有機重合体と上記一般式(1)で表される官能基を有する化合物が含まれており、更に層状珪酸塩を特定量含むので、硬化物が高い耐候性を有し、また難燃性を有する。
本発明の硬化性組成物は、上記有機重合体と上記一般式(1)で表される官能基を有する化合物と、更に紫外線吸収剤及び光安定剤を特定量含むので硬化物が高い耐候性を有する。更に層状珪酸塩を含有する場合には、一層の長期の耐候性を有する。
本発明のシーリング材は、本発明の硬化性組成物からなるので、硬化後高い耐候性を有し屋外に露出する部分に用いるシーリング材として、目地部等に好適に使用され得る。
本発明の接着剤は、本発明の硬化性組成物からなるため、耐候性に優れた硬化物を提供し得る。従って、例えば、外壁化粧材間に露出する部分をそのまま耐候性に優れた目地部として形成された外壁等を、高い生産性をもって提供することが可能であり、かかる用途に好適に使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】層状珪酸塩の薄片状結晶の結晶表面(A)及び結晶端面(B)を説明するための模式図。

Claims (7)

  1. 架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体と、一般式(1)で表される官能基を有する化合物とを含むことを特徴とする硬化性組成物。
    Figure 2004238537
    式中、R、R及びRは、水素または炭化水素基を示す。
  2. 前記有機重合体100重量部に対し、前記化合物を0.1〜20重量部含むことを特徴とする請求項1記載の硬化性組成物。
  3. 前記化合物の炭素原子の合計が60以下であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の硬化性組成物。
  4. 更に、前記有機重合体100重量部に対し、層状珪酸塩を0.1〜100重量部含むことを特徴とする請求項1〜3いずれか一項に記載の硬化性組成物。
  5. 更に、前記有機重合体100重量部に対し、紫外線吸収剤0.1〜20重量部および/または光安定剤を0.1〜20重量部含むことを特徴とする請求項1〜4いずれか一項に記載の硬化性組成物。
  6. 請求項1〜5いずれか一項に記載の硬化性組成物を含むことを特徴とするシーリング材。
  7. 請求項1〜5いずれか一項に記載の硬化性組成物を含むことを特徴とする接着剤。
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