JP2004155813A - 硬化性組成物、シーリング材及び接着剤 - Google Patents
硬化性組成物、シーリング材及び接着剤 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004155813A JP2004155813A JP2002320108A JP2002320108A JP2004155813A JP 2004155813 A JP2004155813 A JP 2004155813A JP 2002320108 A JP2002320108 A JP 2002320108A JP 2002320108 A JP2002320108 A JP 2002320108A JP 2004155813 A JP2004155813 A JP 2004155813A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- curable composition
- organic polymer
- polymer
- weight
- layered silicate
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Sealing Material Composition (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
- Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
Abstract
【課題】優れた耐候性を発現する硬化物を得ることができる硬化性組成物、並びに、その硬化性組成物を用いたシーリング材及び接着剤を提供する。
【解決手段】架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個含有する有機重合体と、少なくともジルコニウムを含有する処理剤で表面処理が施された酸化チタンとからなる硬化性組成物、有機重合体の主鎖が、本質的にポリエーテル系重合体及び/又はビニル系重合体からなる上記硬化性組成物、有機重合体100重量部に対し、少なくともジルコニウムを含有する処理剤で表面処理が施された酸化チタン5〜50重量部が配合されている上記硬化性組成物、有機重合体100重量部に対し、層状珪酸塩0.1〜100重量部が配合されている上記硬化性組成物、及び、有機重合体100重量部に対し、光安定剤0.1〜20重量部及び/又は紫外線吸収剤0.1〜20重量部が配合されている上記硬化性組成物、並びに、上記硬化性組成物からなるシーリング材及び接着剤。
【選択図】 なし
【解決手段】架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個含有する有機重合体と、少なくともジルコニウムを含有する処理剤で表面処理が施された酸化チタンとからなる硬化性組成物、有機重合体の主鎖が、本質的にポリエーテル系重合体及び/又はビニル系重合体からなる上記硬化性組成物、有機重合体100重量部に対し、少なくともジルコニウムを含有する処理剤で表面処理が施された酸化チタン5〜50重量部が配合されている上記硬化性組成物、有機重合体100重量部に対し、層状珪酸塩0.1〜100重量部が配合されている上記硬化性組成物、及び、有機重合体100重量部に対し、光安定剤0.1〜20重量部及び/又は紫外線吸収剤0.1〜20重量部が配合されている上記硬化性組成物、並びに、上記硬化性組成物からなるシーリング材及び接着剤。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気中の湿気と反応して常温で硬化する硬化性組成物、並びに、その硬化性組成物を用いたシーリング材及び接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
反応性シリル基を含有する有機重合体をベース(主成分)としてなり、耐候性に優れるシーリング材として好適な硬化性組成物として、例えば、下記の特許文献1には、反応性シリル基含有オキシアルキレン重合体、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びヒンダードフェノール系酸化防止剤を必須成分とする硬化性組成物が開示されている。
【0003】
しかし、上記硬化性組成物の硬化物は、耐候性が、サンシャインウエザオメーターで測定された値で2000時間程度が限界であり、必ずしも十分ではないという問題点がある。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−287186号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、優れた耐候性を発現する硬化物を得ることができる硬化性組成物、並びに、その硬化性組成物を用いたシーリング材及び接着剤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明(本発明)による硬化性組成物は、架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個含有する有機重合体と、少なくともジルコニウムを含有する処理剤で表面処理が施された酸化チタンとからなることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明による硬化性組成物は、上記請求項1に記載の硬化性組成物において、有機重合体の主鎖が、本質的にポリエーテル系重合体及び/又はビニル系重合体からなることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明による硬化性組成物は、上記請求項1又は請求項2に記載の硬化性組成物において、有機重合体100重量部に対し、少なくともジルコニウムを含有する処理剤で表面処理が施された酸化チタン5〜50重量部が配合されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明による硬化性組成物は、上記請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の硬化性組成物において、有機重合体100重量部に対し、層状珪酸塩0.1〜100重量部が配合されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明による硬化性組成物は、上記請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の硬化性組成物において、有機重合体100重量部に対し、光安定剤0.1〜20重量部及び/又は紫外線吸収剤0.1〜20重量部が配合されていることを特徴とする。
【0011】
又、請求項6に記載の発明(本発明)によるシーリング材は、上記請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の硬化性組成物からなることを特徴とする。
【0012】
更に、請求項7に記載の発明(本発明)による接着剤は、上記請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の硬化性組成物からなることを特徴とする。
【0013】
本発明の硬化性組成物は、架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個含有する有機重合体と、少なくともジルコニウムを含有する処理剤(以下、「ジルコニウム含有処理剤」と記す)で表面処理が施された酸化チタンとからなる。
【0014】
本発明の硬化性組成物に用いられる有機重合体は、シロキサン結合を形成することにより架橋し得る加水分解性シリル基を少なくとも1個含有し、このシロキサン結合は例えば、珪素原子に結合した水酸基もしくは加水分解性基により形成される。
【0015】上記珪素原子に結合した加水分解性基としては、特に限定されるものではないが、例えば、水素、ハロゲン原子、メトキシ基やエトキシ基などのアルコキシル基、アシルオキシド基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシド基等が挙げられる。これらの加水分解性基は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0016】
上記架橋可能な加水分解性シリル基としては、反応後に有害な副生成物を生成しないことから、特に限定されるものではないが、例えば、メトキシシリル基やエトキシシリル基などのアルコキシシリル基が好適に用いられる。これらの架橋可能な加水分解性シリル基は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0017】
上記シロキサン結合を形成することにより架橋し得る加水分解性シリル基を少なくとも1個含有する有機重合体の主鎖としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエーテル系重合体、ビニル系重合体、ポリエステル系重合体、ポリカーボネート系重合体、ポリオレフィン系重合体等が挙げられ、中でも、ポリエーテル系重合体及び/又はビニル系重合体が好適に用いられる。即ち、本発明で用いられる上記有機重合体の主鎖は、本質的にポリエーテル系重合体又はビニル系重合体のみからなるものでも良いし、ポリエーテル系重合体部分とビニル系重合体部分との双方を有しているものでも良い。又、主鎖が本質的にポリエーテル系重合体のみからなる有機重合体と主鎖が本質的にビニル系重合体のみからなる有機重合体とが併用されても良い。
【0018】
以下、主鎖が本質的にポリエーテル系重合体からなる有機重合体(a)及び主鎖が本質的にビニル系重合体からなる有機重合体(b)について説明する。
【0019】
〔主鎖が本質的にポリエーテル系重合体からなる有機重合体(a)〕
主鎖が本質的にポリエーテル系重合体からなり、架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個含有する有機重合体(a)の主鎖構造としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリオキシエチレン重合体、ポリオキシプロピレン重合体、ポリオキシブチレン重合体等が挙げられ、中でも、硬化性組成物の硬化物が耐水性に優れ、且つ、シーリング材や接着剤として用いた際に、より高いゴム弾性を確保することができることから、ポリオキシプロピレン重合体が好適に用いられる。
【0020】
上記有機重合体(a)は、硬化性組成物の作業性と硬化物の伸びとのバランスが優れたものとなることから、特に限定されるものではないが、数平均分子量が1万〜3万であって、分子量分布Mw/Mn(重量平均分子量/数平均分子量)が1.6以下であることが好ましい。
【0021】
有機重合体(a)の数平均分子量が1万未満であると、硬化性組成物の硬化物の伸びが不十分となって、シーリング材として用いた際に、例えば、目地面に対する追従性が低下することがあり、逆に有機重合体(a)の数平均分子量が3万を超えると、硬化性組成物の硬化前の粘度が高くなり過ぎて、各種配合剤(添加剤)を配合してシーリング材や接着剤を調製する配合工程の作業性が低下することがある。
【0022】
主鎖が本質的にポリエーテル系重合体からなる有機重合体(a)は、一般に変成シリコーンポリマーと呼ばれ、その具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、鐘淵化学工業社製の商品名「MSポリマーS−203」、「MSポリマーS−303」、同じく鐘淵化学工業社製の商品名「サイリルSAT−200」、「サイリルSAT−350」、「サイリルSAT−400」、旭硝子社製の商品名「エクセスターESS−2410」、「エクセスターESS−2420」、「エクセスターESS−3430」、「エクセスターESS−3620」等が挙げられる。これらの有機重合体(a)は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0023】
又、主鎖が本質的にポリエーテル系重合体とビニル系重合体とからなる有機重合体の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、鐘淵化学工業社製の商品名「MSポリマーMA−903」等が挙げられる。
【0024】
〔主鎖が本質的にビニル系重合体からなる有機重合体(b)〕
主鎖が本質的にビニル系重合体からなり、架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個含有する有機重合体(b)は、例えば、ビニル系モノマーと前記加水分解性シリル基を含有するモノマーとを共重合することにより得られるが、主鎖又は側鎖の一部として全体の50重量%以下の範囲でウレタン結合或いはシロキサン結合からなる単位を含んでいても良い。
【0025】
上記有機重合体(b)は、特に限定されるものではないが、例えば、以下のような方法により製造される。
(1)特開昭54−36395号公報に記載されているように、アリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体をVIII族遷移金属の存在下でヒドロシリコン化合物と反応させる方法。
(2)特開昭57−179210号公報に記載されているように、ビニル系モノマーをアルコキシシリル基を含有するアルキル(メタ)アクリレート及びメルカプト基を含有する連鎖移動剤の存在下で共重合させる方法。
(3)特開昭59−78222号公報に記載されているように、ビニル系モノマーを2官能ラジカル重合性化合物及び連鎖移動剤としてのアルコキシシリル基を含有するメルカプタンの存在下で共重合させる方法。
(4)特開昭60−23405号公報に記載されているように、ビニル系モノマーを重合開始剤としてアルコキシシリル基を含有するアゾビスニトリル化合物を使用して重合する方法。
(5)特開平11−130931号公報に記載されているように、リビングラジカル重合法によりビニル系重合体を製造する方法。
【0026】
有機重合体(b)の製造に用いられるビニル系モノマーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−3−メチルブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチル2−ヒドロキシエチルフタル酸、2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチル2−ヒドロキシプロピルフタル酸、メチルジメトキシプロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート類;スチレン、インデン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、ジビニルベンゼンなどのスチレン誘導体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、安息香酸ビニル、珪皮酸ビニルなどのビニルエステル基を有する化合物;n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、tert−アミルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル、安息香酸(4−ビニロキシ)ブチル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ブタン−1,4−ジオール−ジビニルエーテル、ヘキサン−1,6−ジオール−ジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−ジビニルエーテル、イソフタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、グルタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、コハク酸ジ(4−ビニロキシ)ブチルトリメチロールプロパントリビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−モノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、3−アミノプロピルビニルエーテル、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルビニルエーテル、ウレタンビニルエーテル、ポリエステルビニルエーテルなどのビニロキシ基を有する化合物;無水マレイン酸、N−ビニルピロリドン、N−ビニルモルフォリン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−ベンジルマレイミド等が挙げられる。尚、本発明で言う例えば(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0027】
上記ビニル系モノマーの具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、東亜合成化学工業社製のビニル系モノマーである商品名「アロニクスM−5700」、同じく東亜合成化学工業社製のビニル系マクロモノマーである商品名「AS−6」、「AN−6」、「AA−6」、「AB−6」、「AK−5」、ダイセル化学工業社製のビニル系モノマーである商品名「Placcel FA−1」、「Placcel FM−1」、「Placcel FM−4」等が挙げられる。これらのビニル系モノマー(ビニル系マクロモノマーも含む)は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0028】
主鎖が本質的にビニル系重合体からなり、架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個含有する有機重合体(b)の中でも、柔軟性に優れることから、アクリル酸とアルキル基の炭素数が1〜12のアルキル(メタ)アクリレートとからなる(メタ)アクリレート系共重合体を主鎖とする有機重合体(b)が好ましく、より好ましくはアクリル酸とアルキル基の炭素数が2〜8のアルキル(メタ)アクリレートとからなる(メタ)アクリレート系共重合体を主鎖とする有機重合体(b)である。
【0029】
又、架橋可能な加水分解性シリル基としては、反応後に有害な副生成物を生成しないことから、特に限定されるものではないが、例えば、メトキシシリル基やエトキシシリル基などのアルコキシシリル基が好適に用いられる。これらの架橋可能な加水分解性シリル基は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0030】
上記有機重合体(b)は、硬化性組成物の作業性と硬化物の伸びとのバランスが優れたものとなることから、特に限定されるものではないが、数平均分子量が5000〜20万、より好ましくは1万〜6万であって、分子量分布(Mw/Mn)が1.6以下であることが好ましい。
【0031】
有機重合体(b)の数平均分子量が5000未満であると、硬化性組成物の硬化物の伸びが不十分となって、シーリング材として用いた際に、例えば、目地面に対する追従性が低下することがあり、逆に有機重合体(b)の数平均分子量が20万を超えると、硬化性組成物の硬化前の粘度が高くなり過ぎて、各種配合剤(添加剤)を配合してシーリング材や接着剤を調製する配合工程の作業性が低下することがある。
【0032】
本発明の硬化性組成物においては、前記有機重合体(a)及び上記有機重合体(b)は、それぞれ単独で用いられても良いし、両者が併用されても良い。有機重合体(a)及び有機重合体(b)を併用することにより、硬化性組成物の硬化物の耐水性を高めたり、シーリング材や接着剤として用いた際のゴム弾性を高めることができる。
【0033】
有機重合体(a)及び有機重合体(b)を併用する場合、その配合割合は、有機重合体(b)100重量部に対し、有機重合体(a)0.1〜200重量部であることが好ましい。有機重合体(a)と有機重合体(b)とを上記配合割合で併用することによって、硬化性組成物の作業性と硬化性組成物の硬化物の耐候性とのバランスが優れたものとなる。
【0034】
主鎖が本質的にポリエーテル系重合体とアクリル系重合体とからなる有機重合体の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、鐘淵化学工業社製の商品名「MSポリマー」としての「MSX−908」、「MS−911」、「MS−943」等や、同じく鐘淵化学工業社製の商品名「サイリルポリマー」としての「サイリルMA−430」、「サイリルMAX−447」等が挙げられる。
【0035】
本発明の硬化性組成物は、上述した有機重合体にジルコニウム含有処理剤で表面処理が施された酸化チタン(以下、「ジルコニウム処理酸化チタン」と略記する)が配合されてなるので、硬化物の耐候性が著しく向上する。上記耐候性向上効果は、ジルコニウム含有処理剤を使用することにより、酸化チタンの表面処理効率が向上して、劣化要因である酸化チタンが硬化性組成物の硬化物表面に出てこなくなることによるものと考えられる。
【0036】
上記ジルコニウム含有処理剤は、少なくともジルコニウムを含有している処理剤であれば良く、ジルコニウムのみを含有している処理剤であっても良いし、ジルコニウムと例えばアルミニウムや珪素等とを含有している処理剤であっても良い。
【0037】
有機重合体に対するジルコニウム処理酸化チタンの配合量は、有機重合体100重量部に対し、ジルコニウム処理酸化チタン5〜50重量部であることが好ましい。
【0038】
有機重合体100重量部に対するジルコニウム処理酸化チタンの配合量が5重量部未満であると、硬化性組成物の硬化物の耐候性が十分に向上しないことがあり、逆に有機重合体100重量部に対するジルコニウム処理酸化チタンの配合量が50重量部を超えると、硬化性組成物の硬化物の耐候性はそれ程向上しないにもかかわらず、硬化性組成物の硬化物が白色化し、シーリング材や接着剤としての外観が損なわれることがある。
【0039】
ジルコニウム処理酸化チタンの具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、石原産業社製の商品名「タイペークCR−57」や「タイペークCR−97」等が挙げられる。これらのジルコニウム処理酸化チタンは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0040】
本発明の硬化性組成物は、前記有機重合体100重量部に対し、層状珪酸塩0.1〜100重量部が配合されていることが好ましく、より好ましくは0.5〜50重量部配合されていることであり、特に好ましくは1〜10重量部配合されていることである。有機重合体に対し層状珪酸塩を配合することにより、硬化性組成物の硬化物は更に優れた耐候性を発現するものとなると共に、優れた難燃性も付与される。
【0041】
有機重合体100重量部に対する層状珪酸塩の配合量が0.1重量部未満であると、硬化性組成物の硬化物の耐候性向上効果を十分に得られなくなったり、難燃性も付与されなくなることがあり、逆に有機重合体100重量部に対する層状珪酸塩の配合量が100重量部を超えると、硬化性組成物の粘度が高くなり過ぎて、作業性や生産性が低下することがある。
【0042】
本発明の硬化性組成物に好ましく配合される層状珪酸塩とは、結晶層間に交換性陽イオンを有する珪酸塩鉱物を意味する。
【0043】
上記層状珪酸塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイトなどのスメクタイト系粘土鉱物や、バーミキュライト、ハロイサイト、膨潤性マイカ等が挙げられ、中でも、モンモリロナイトや膨潤性マイカが好適に用いられる。これらの層状珪酸塩は、天然物であっても良いし、合成物であっても良い。又、これらの層状珪酸塩は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0044】
上記層状珪酸塩としては、下記関係式(1)により定義される形状異方性効果の大きいスメクタイト系粘土鉱物や膨潤性マイカを用いることが好ましい。形状異方性効果の大きい層状珪酸塩を用いることにより、本発明の硬化性組成物の硬化物は優れた機械的強度やガスバリヤ性を発現するものとなる。
形状異方性効果=結晶表面(A)の面積/結晶端面(B)の面積 (1)
尚、図1に層状珪酸塩の結晶表面(A)及び結晶端面(B)を模式的に示す。
【0045】
上記層状珪酸塩の形状は、特に限定されるものではないが、凝集構造を解砕した結晶薄片の平均長さが0.01〜3μm、厚みが0.001〜1μm、アスペクト比が20〜500であるものが好ましく、より好ましくは、平均長さが0.05〜2μm、厚みが0.01〜0.5μm、アスペクト比が50〜200のものである。
【0046】
上記層状珪酸塩の結晶層間に存在する交換性陽イオンとは、層状珪酸塩の結晶表面上に存在するナトリウムやカルシウムなどの金属のイオンのことであり、これらの金属のイオンは、陽イオン性物質とイオン交換性を有するので、陽イオン性を有する種々の物質を上記層状珪酸塩の結晶層間に挿入(インターカレート)もしくは捕捉することができる。
【0047】
上記層状珪酸塩の陽イオン交換容量は、特に限定されるものではないが、50〜200ミリ当量/100gであることが好ましい。層状珪酸塩の陽イオン交換容量が50ミリ当量/100g未満であると、イオン交換により層状珪酸塩の結晶層間に挿入もしくは捕捉される陽イオン性物質の量が少なくなるので、結晶層間が十分に非極性化(疎水化)されないことがあり、逆に層状珪酸塩の陽イオン交換容量が200ミリ当量/100gを超えると、層状珪酸塩の結晶層間の結合力が強固になり過ぎて、結晶薄片が剥離し難くなることがある。
【0048】
上記層状珪酸塩は、予め結晶層間を陽イオン性界面活性剤でイオン交換して、非極性化(疎水化)しておくことが好ましい。予め層状珪酸塩の結晶層間を非極性化(疎水化)しておくことにより、層状珪酸塩と前記有機重合体との親和性が高まり、層状珪酸塩を有機重合体中により均一に微分散させることができる。
【0049】
上記陽イオン性界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、4級アンモニウム塩や4級ホスホニウム塩等が挙げられ、中でも、層状珪酸塩の結晶層間を十分に非極性化(疎水化)し得ることから、炭素数6以上のアルキル基を1個以上含有する4級アンモニウム塩(炭素数6以上のアルキルアンモニウム塩)が好適に用いられる。これらの陽イオン性界面活性剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0050】
上記4級アンモニウム塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、トリオクチルメチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウム塩、ジ硬化牛脂ジメチルアンモニウム塩、ジステアリルジベンジルアンモニウム塩、N−ポリオキシエチレン−N−ラウリル−N,N−ジメチルアンモニウム塩等が挙げられる。これらの4級アンモニウム塩は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0051】
又、上記4級ホスホニウム塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、ドデシルトリフェニルホスホニウム塩、メチルトリフェニルホスホニウム塩、ラウリルトリメチルホスホニウム塩、ステアリルトリメチルホスホニウム塩、トリオクチルメチルホスホニウム塩、ジステアリルジメチルホスホニウム塩、ジステアリルジベンジルホスホニウム塩等が挙げられる。これらの4級ホスホニウム塩は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0052】
上記層状珪酸塩は、このような化学処理を施すことによって有機重合体中への分散性を向上させることができる。
【0053】
上記層状珪酸塩は、広角X線回折測定法により測定した(001)面の平均層間距離が3nm以上であり、且つ、一部又は全部が5層以下に分散していることが好ましく、より好ましくは、上記平均層間距離が6nm以上であり、且つ、一部又は全部が5層以下に分散していることである。尚、本発明で言う層状珪酸塩の平均層間距離とは、層状珪酸塩の微細薄片状結晶を層とした場合の平均の層間距離を意味し、X線回折ピーク及び透過型電子顕微鏡撮影により、即ち、広角X線回折測定法により、算出することができる。又、層状珪酸塩の分散状態は、透過型電子顕微鏡による5万倍から10万倍の倍率で観察して、一定面積中において観察できる層状珪酸塩の積層集合体の数(X)の内、5層以下に分散している積層集合体の数(Y)をカウントし、下記計算式(2)により算出することができる。
5層以下に分散している割合(%)=(Y/X)×100 (2)
【0054】
本来、数十層の積層体である層状珪酸塩の層状分子が剥離して分散すると、層状珪酸塩の結晶薄片層間における相互作用が殆ど無視できるほどに弱まり、結晶薄片は前記有機重合体中で一定の間隔を保って微分散状態となり安定化する。従って、このような層状珪酸塩を有機重合体中に配合し、分散させて得られる硬化性組成物の硬化物は、著しく優れた耐候性や優れた耐候性、機械的強度等の諸性能を発現するものとなる。又、層状珪酸塩の結晶薄片層間の平均層間距離が3nm以上、好ましくは6nm以上であると、層状珪酸塩の結晶薄片層が層ごとに分離し、層状珪酸塩の結晶薄片層間における相互作用が殆ど無視できるほどに弱まるので、層状珪酸塩を構成する結晶薄片の有機重合体中での分散状態が離砕安定化の方向に進行する利点がある。
【0055】
又、層状珪酸塩の一部又は全部が5層以下に分散しているということは、本来数十層の積層体である層状珪酸塩の層状分子の一部又は全部が剥離して広く分散していることを意味しており、これも層状珪酸塩の結晶薄片層間における相互作用が弱まっていることになり、上記と同様の効果を得ることができる。又、層状珪酸塩の一部又は全部が5層以下に分散しているということは、具体的には、層状珪酸塩の10%以上が5層以下に分散している状態にあることが好ましいことを意味し、より好ましくは層状珪酸塩の20%以上が5層以下に分散している状態である。
【0056】層状珪酸塩の積層数は、5層以下に分層していることが好ましく、より好ましくは3層以下に分層していることであり、更に好ましくは単層状に分層(薄片化)していることである。
【0057】
本発明の硬化性組成物において、層状珪酸塩の結晶薄片層間の平均層間距離が3nm以上であり、且つ、層状珪酸塩の一部又は全部が5層以下に分散している状態、即ち、有機重合体中に層状珪酸塩が高分散している状態であれば、有機重合体と層状珪酸塩との界面面積が増大し、層状珪酸塩の結晶薄片間の平均隣接距離が小さくなる。
【0058】
有機重合体と層状珪酸塩との界面面積が増大すると、層状珪酸塩の表面における有機重合体の拘束の度合いが高まり、硬化性組成物の硬化物は弾性率等の機械的強度が向上する。又、層状珪酸塩の邪魔板効果により、硬化性組成物中の例えば光安定剤や紫外線吸収剤等の配合剤(添加剤)等のブリードアウトが抑制されると共に、層状珪酸塩の紫外線遮蔽効果により、硬化性組成物の硬化物の耐候性が更に向上する。
【0059】
有機重合体に対する層状珪酸塩の分散(配合)には、各種攪拌機や混練機を用いることができるが、分散し難い場合には、例えば3本ロール等の高い剪断力がかかる混練機を用いることが好ましい。
【0060】
本発明の硬化性組成物は、前記有機重合体100重量部に対し、光安定剤0.1〜20重量部及び/又は紫外線吸収剤0.1〜20重量部が配合されていることが好ましく、より好ましくは光安定剤1〜10重量部及び/又は紫外線吸収剤1〜10重量部である。有機重合体に対し光安定剤及び/又は紫外線吸収剤を配合することにより、硬化性組成物の硬化物は著しく優れた耐候性を発現するものとなる。これは、上記層状珪酸塩と併用されることにより、光安定剤及び/又は紫外線吸収剤が硬化性組成物の硬化物からブリードアウト及び揮散し難くなって、硬化物中に長期間にわたって安定的に保持されるためである。
【0061】
有機重合体100重量部に対する光安定剤の配合量が0.1重量部未満であるか及び/又は紫外線吸収剤の配合量が0.1重量部未満であると、硬化性組成物の硬化物の耐候性向上効果が乏しくなることがあり、逆に有機重合体100重量部に対する光安定剤の配合量が20重量部を超えるか及び/又は紫外線吸収剤の配合量が20重量部を超えると、硬化性組成物が着色して、シーリング材や接着剤としての外観が損なわれることがある。
【0062】
上記光安定剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤等の公知の各種光安定剤が挙げられ、中でも、耐候性向上効果に優れることから、ヒンダードアミン系光安定剤が好適に用いられる。これらの光安定剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0063】上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)等が挙げられる。これらのヒンダードアミン系光安定剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0064】上記紫外線吸収剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤等の公知の各種紫外線吸収剤が挙げられ、中でも、耐候性向上効果に優れることから、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好適に用いられる。これらの紫外線吸収剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0065】
上記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等や、これらの誘導体等が挙げられる。これらのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0066】
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて、難燃性を更に向上させるために、例えば、金属水酸化物、金属酸化物、メラミン誘導体、ベンゾオキサジンなどの非ハロゲン系難燃剤や、例えば、カーボンブラック、フッ素樹脂、シリコーンオイル、シリコーン・アクリル複合ゴムなどの難燃助剤が配合されていても良い。これらの非ハロゲン系難燃剤及び/又は難燃助剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0067】
本発明の硬化性組成物は、その硬化物のASTM E 1354に準拠した燃焼試験において、50kW/m2 の輻射加熱条件下で30分間加熱し燃焼することにより得られた燃焼残渣を0.1cm/秒の速度で圧縮した時の降伏点応力が4.9kPa以上であることが好ましい。
【0068】
硬化性組成物の硬化物の上記降伏点応力が4.9kPa未満であると、火災発生時に形状保持力が得られないので、本発明の硬化性組成物からなる接着剤を例えばタイル等の被着体の接着に使用した場合に、被着体が落下し易くなることがある。
【0069】
次に、本発明のシーリング材及び接着剤は、上述した本発明の硬化性組成物を用いて調製される。
【0070】
本発明のシーリング材及び接着剤には、本発明の硬化性組成物に加えるに、必要に応じて、例えば、シラノール縮合触媒のような硬化触媒、可塑剤(軟化剤)、接着性向上剤、脱水剤、充填剤、タレ防止剤、酸化防止剤(老化防止剤)、着色剤、香料、有機溶媒等の各種配合剤(添加剤)の1種類もしくは2種類以上が配合されていても良い。
【0071】
硬化触媒としてのシラノール縮合触媒は、前記有機重合体を主成分としてなる本発明の硬化性組成物の湿気硬化反応を促進するために用いられるものであり、その具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫フタレート、ビス(ジブチル錫ラウリン酸)オキサイド、ジブチル錫ビスアセチルアセトナート、ジブチル錫ビス(モノエステルマレート)、オクチル酸錫、ジブチル錫オクトエート、ジオクチル錫オキサイドなどの錫化合物;テトラ−n−ブトキシチタネート、テトライソプロポキシチタネートなどのチタネート系化合物;ジブチルアミン−2−エチルヘキソエートなどのアミン塩;及び、他の酸性触媒や塩基性触媒等が挙げられる。これらのシラノール縮合触媒は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0072】
可塑剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ブチルベンジルフタレートなどのフタル酸エステル類;アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル、セバシン酸ジブチルなどの脂肪族二塩基酸エステル類;ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステルなどのグリコールエステル類;オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチルなどの脂肪族エステル類;リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニルなどのリン酸エステル類;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油などのエポキシ系可塑剤類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのグリコール類;塩素化パラフィン、ポリブタジエン、イソパラフィン等が挙げられ、中でも、安全性や耐ブリードアウト性等に優れることから、数平均分子量が500〜3万のポリプロピレングリコールが好適に用いられる。これらの可塑剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0073】
上記可塑剤の配合量は、特に限定されるものではないが、本発明の硬化性組成物を構成する前記有機重合体100重量部に対し、可塑剤100重量部以下であることが好ましい。有機重合体100重量部に対する可塑剤の配合量が100重量部を超えると、上記硬化性組成物よりなるシーリング材及び接着剤の硬化物の塗装性に問題が生じることがある。
【0074】
接着性向上剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、1分子中にアミノ基及びアルコキシシリル基を有する化合物やビスシリル化合物等が挙げられる。これらの接着性向上剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0075】
上記1分子中にアミノ基及びアルコキシシリル基を有する化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N’−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]ヘキサメチレンジアミン、N,N−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N−ビス−[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ヘキサメチレンジアミン、N,N−ビス−[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]ヘキサメチレンジアミン、N,N−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ヘキサメチレンジアミン、N,N−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、N,N−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]アミン、N,N−ビス−[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]アミン等が挙げられる。これらの1分子中にアミノ基及びアルコキシシリル基を有する化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0076】
又、上記ビスシリル化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、N,N’−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]ヘキサメレンジアミン、N,N−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N−ビス−[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ヘキサメチレンジアミン、N,N−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ヘキサメチレンジアミン、N,N−ビス−[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]ヘキサメチレンジアミン、N,N−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、N,N−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]アミン、N,N−ビス−[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]アミン等が挙げられる。これらのビスシリル化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0077】
脱水剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメチルシラン、ジフェニルジメトキシシランなどのシラン化合物類や、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチルなどの加水分解性エステル化合物類が挙げられる。これらの脱水剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0078】
充填剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、含水珪酸、無水珪酸、珪酸カルシウム、シリカ、クレー、タルク、カーボンブラック、ガラスバルーン等が挙げられる。これらの充填剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0079】
タレ防止剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、水添ひまし油、脂肪酸ビスアマイド、ヒュームドシリカ等が挙げられる。これらのタレ防止剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0080】
本発明のシーリング材や接着剤の製造方法は、例えば、万能ミキサー、ニーダー、2本ロール、3本ロール、押出機等の公知の攪拌機や混練機を単独で用いるか又は併用して、予め本発明の硬化性組成物を調製した後に、この硬化性組成物の所定量に、必要に応じて、シラノール縮合触媒のような硬化触媒、可塑剤、接着性向上剤、脱水剤、充填剤、タレ防止剤、酸化防止剤、着色剤、香料、有機溶媒等の各種配合剤の各所定量を配合し、均一に混練して、シーリング材や接着剤としても良いし、又、本発明の硬化性組成物及びシーリング材や接着剤を構成する各成分の各所定量を一括して配合し、均一に混練して、シーリング材や接着剤としても良い。尚、上記製造は、外部から湿気が入るのを防止するために、減圧下もしくは窒素ガスのような不活性ガス雰囲気下の密封系で行うことが好ましい。
【0081】
【作用】
本発明の硬化性組成物は、架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個含有する有機重合体に対し、ジルコニウム処理酸化チタンが配合されてなるので、その硬化物は、優れた耐候性を発現する。又、上記有機重合体として、主鎖が本質的にポリエーテル系重合体及び/又はビニル系重合体からなる有機重合体を用いることにより、硬化性組成物の硬化物は、優れたゴム弾性及び耐水性を発現するものとなる。
【0082】
又、上記有機重合体に対し、特定量の層状珪酸塩を配合することにより、硬化性組成物の硬化物は、更に優れた耐候性を発現するものとなる。更に、上記有機重合体に対し、特定量の光安定剤及び/又は紫外線吸収剤を配合することにより、硬化性組成物の硬化物は、著しく優れた耐候性を発現するものとなる。
【0083】
本発明のシーリング材及び接着剤は、上記本発明の硬化性組成物からなるので、その硬化物は、優れた耐候性、難燃性、ゴム弾性、耐水性等の諸性能を発現する。
【0084】
【発明の実施の形態】
本発明を更に詳しく説明するため以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0085】
本実施例及び比較例においては以下に示す原材料を用いた。尚、酸化チタン及び充填剤(炭酸カルシウム)は、予め110℃で加熱減圧脱水処理したものを用いた。
1.有機重合体(変成シリコーンポリマー)
(1)商品名「MSポリマーS−203」(2官能ポリマー:末端構造−Si(CH3 )(OCH3 )2 、数平均分子量:2万、鐘淵化学工業社製)
(2)商品名「MSポリマーS−303」(3官能ポリマー:末端構造−Si(OCH3 )3 、数平均分子量:2万、鐘淵化学工業社製)
2.酸化チタン
(1)ジルコニウム及びアルミニウムを含有する処理剤で表面処理が施された酸化チタン(商品名「タイペークCR−97」、石原産業社製)
(2)珪素及びアルミニウムを含有する処理剤で表面処理が施された酸化チタン(商品名「タイペークCR−90」、石原産業社製)
3.層状珪酸塩
ポリオキシプロピレンジエチル4級アンモニウム塩で有機化処理が施された層状珪酸塩(商品名「ソマシフMPE−100」、コープケミカル社製)
4.光安定剤
ヒンダードアミン系光安定剤(商品名「サノールLS770」、三共社製)
5.紫外線吸収剤
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(商品名「チヌビン327」、チバスペシャリティーケミカルズ社製)
6.その他の配合剤
(1)シラノール縮合触媒
ジブチル錫ジラウレート
(2)可塑剤
ポリプロピレングリコール(商品名「ジオール3000」、数平均分子量:3千、三井化学社製)
(3)接着性向上剤
N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名「KBM603」、信越化学工業社製)
(4)脱水剤
ビニルトリメトキシシラン
(5)充填剤
表面処理が施された軽質炭酸カルシウム(商品名「白艶華CCR」、白石工業社製)
【0086】
(実施例1〜実施例4)並びに(比較例1及び比較例2)
表1に示す配合組成(配合単位:重量部)の組成物を、外部から湿気が入らないように密封された攪拌混練機に供給し、減圧下で均一に混練して、シーリング材及び/又は接着剤として使用可能な常温湿気硬化性組成物を調製した。
【0087】
得られた常温湿気硬化性組成物の耐候性試験を以下の方法で行い、硬化物の耐候性を評価した。その結果は表1に示すとおりであった。
【0088】
〔耐候性試験方法〕
常温湿気硬化性組成物をステンレス板(幅:50mm、長さ:150mm、厚み:1mm)に厚みが0.5mmとなるように塗工し、20℃−60%RHの雰囲気下で7日間放置して養生硬化させた。次いで、硬化物に下記条件で150時間及び400時間光照射を行った後、硬化物の表面を目視で観察し、下記判定基準により硬化物の耐候性を評価した。
・光照射条件
試験装置:商品名「アイスパーUVテスター」(型式:SUV−F11型、岩崎電気社製)
UV強度:100mW/cm2
限定波長:295〜450nm
ブラックパネル温度:63℃
照射距離(光源と供試体間の距離):235mm
照射時間:150時間及び400時間
・判定基準
○‥‥硬化物の表面にクラック等の異状は認められなかった。
×‥‥硬化物の表面にクラック等の異状が認められた。
【0089】
【表1】
【0090】
表1から明らかなように、酸化チタンとしてジルコニウム処理酸化チタン「タイペークCR−97」を用いた本発明による実施例1及び実施例2の常温湿気硬化性組成物は、層状珪酸塩を配合していないにもかかわらず、いずれも光照射150時間後の硬化物表面に異状が認められず、耐候性が優れていた。これに対し、酸化チタンとして、ジルコニウム処理酸化チタン「タイペークCR−97」の代わりに、珪素及びアルミニウムを含有する処理剤で表面処理が施された酸化チタン「タイペークCR−90」を用い、且つ、層状珪酸塩を配合しなかった比較例1の常温湿気硬化性組成物は、光照射150時間後の硬化物表面に異状が認められ、耐候性が悪かった。
【0091】
又、同じく表1から明らかなように、酸化チタンとしてジルコニウム処理酸化チタン「タイペークCR−97」を用い、且つ、層状珪酸塩を配合した本発明による実施例3及び実施例4の常温湿気硬化性組成物は、いずれも光照射400時間後でも硬化物表面に異状が認められず、耐候性が著しく優れていた。これに対し、酸化チタンとして、ジルコニウム処理酸化チタン「タイペークCR−97」の代わりに、珪素及びアルミニウムを含有する処理剤で表面処理が施された酸化チタン「タイペークCR−90」を用い、且つ、層状珪酸塩を配合した比較例2の常温湿気硬化性組成物は、光照射400時間後では硬化物表面に異状が認められ、耐候性が劣っていた。
【0092】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の硬化性組成物は、常温で湿気硬化し、優れた耐候性を発現する硬化物を得ることができるので、シーリング材用や接着剤用として好適に用いられる。
【0093】
又、本発明のシーリング材及び接着剤は、上記本発明の硬化性組成物を用いて調製されるので、その硬化物は、優れた耐候性、難燃性、ゴム弾性、耐水性等の諸性能を発現するものであり、屋内用はもとより、屋外用のシーリング材や接着剤として各種用途に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】層状珪酸塩の結晶表面(A)及び結晶端面(B)を示す模式図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気中の湿気と反応して常温で硬化する硬化性組成物、並びに、その硬化性組成物を用いたシーリング材及び接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
反応性シリル基を含有する有機重合体をベース(主成分)としてなり、耐候性に優れるシーリング材として好適な硬化性組成物として、例えば、下記の特許文献1には、反応性シリル基含有オキシアルキレン重合体、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びヒンダードフェノール系酸化防止剤を必須成分とする硬化性組成物が開示されている。
【0003】
しかし、上記硬化性組成物の硬化物は、耐候性が、サンシャインウエザオメーターで測定された値で2000時間程度が限界であり、必ずしも十分ではないという問題点がある。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−287186号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、優れた耐候性を発現する硬化物を得ることができる硬化性組成物、並びに、その硬化性組成物を用いたシーリング材及び接着剤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明(本発明)による硬化性組成物は、架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個含有する有機重合体と、少なくともジルコニウムを含有する処理剤で表面処理が施された酸化チタンとからなることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明による硬化性組成物は、上記請求項1に記載の硬化性組成物において、有機重合体の主鎖が、本質的にポリエーテル系重合体及び/又はビニル系重合体からなることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明による硬化性組成物は、上記請求項1又は請求項2に記載の硬化性組成物において、有機重合体100重量部に対し、少なくともジルコニウムを含有する処理剤で表面処理が施された酸化チタン5〜50重量部が配合されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明による硬化性組成物は、上記請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の硬化性組成物において、有機重合体100重量部に対し、層状珪酸塩0.1〜100重量部が配合されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明による硬化性組成物は、上記請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の硬化性組成物において、有機重合体100重量部に対し、光安定剤0.1〜20重量部及び/又は紫外線吸収剤0.1〜20重量部が配合されていることを特徴とする。
【0011】
又、請求項6に記載の発明(本発明)によるシーリング材は、上記請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の硬化性組成物からなることを特徴とする。
【0012】
更に、請求項7に記載の発明(本発明)による接着剤は、上記請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の硬化性組成物からなることを特徴とする。
【0013】
本発明の硬化性組成物は、架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個含有する有機重合体と、少なくともジルコニウムを含有する処理剤(以下、「ジルコニウム含有処理剤」と記す)で表面処理が施された酸化チタンとからなる。
【0014】
本発明の硬化性組成物に用いられる有機重合体は、シロキサン結合を形成することにより架橋し得る加水分解性シリル基を少なくとも1個含有し、このシロキサン結合は例えば、珪素原子に結合した水酸基もしくは加水分解性基により形成される。
【0015】上記珪素原子に結合した加水分解性基としては、特に限定されるものではないが、例えば、水素、ハロゲン原子、メトキシ基やエトキシ基などのアルコキシル基、アシルオキシド基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシド基等が挙げられる。これらの加水分解性基は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0016】
上記架橋可能な加水分解性シリル基としては、反応後に有害な副生成物を生成しないことから、特に限定されるものではないが、例えば、メトキシシリル基やエトキシシリル基などのアルコキシシリル基が好適に用いられる。これらの架橋可能な加水分解性シリル基は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0017】
上記シロキサン結合を形成することにより架橋し得る加水分解性シリル基を少なくとも1個含有する有機重合体の主鎖としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエーテル系重合体、ビニル系重合体、ポリエステル系重合体、ポリカーボネート系重合体、ポリオレフィン系重合体等が挙げられ、中でも、ポリエーテル系重合体及び/又はビニル系重合体が好適に用いられる。即ち、本発明で用いられる上記有機重合体の主鎖は、本質的にポリエーテル系重合体又はビニル系重合体のみからなるものでも良いし、ポリエーテル系重合体部分とビニル系重合体部分との双方を有しているものでも良い。又、主鎖が本質的にポリエーテル系重合体のみからなる有機重合体と主鎖が本質的にビニル系重合体のみからなる有機重合体とが併用されても良い。
【0018】
以下、主鎖が本質的にポリエーテル系重合体からなる有機重合体(a)及び主鎖が本質的にビニル系重合体からなる有機重合体(b)について説明する。
【0019】
〔主鎖が本質的にポリエーテル系重合体からなる有機重合体(a)〕
主鎖が本質的にポリエーテル系重合体からなり、架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個含有する有機重合体(a)の主鎖構造としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリオキシエチレン重合体、ポリオキシプロピレン重合体、ポリオキシブチレン重合体等が挙げられ、中でも、硬化性組成物の硬化物が耐水性に優れ、且つ、シーリング材や接着剤として用いた際に、より高いゴム弾性を確保することができることから、ポリオキシプロピレン重合体が好適に用いられる。
【0020】
上記有機重合体(a)は、硬化性組成物の作業性と硬化物の伸びとのバランスが優れたものとなることから、特に限定されるものではないが、数平均分子量が1万〜3万であって、分子量分布Mw/Mn(重量平均分子量/数平均分子量)が1.6以下であることが好ましい。
【0021】
有機重合体(a)の数平均分子量が1万未満であると、硬化性組成物の硬化物の伸びが不十分となって、シーリング材として用いた際に、例えば、目地面に対する追従性が低下することがあり、逆に有機重合体(a)の数平均分子量が3万を超えると、硬化性組成物の硬化前の粘度が高くなり過ぎて、各種配合剤(添加剤)を配合してシーリング材や接着剤を調製する配合工程の作業性が低下することがある。
【0022】
主鎖が本質的にポリエーテル系重合体からなる有機重合体(a)は、一般に変成シリコーンポリマーと呼ばれ、その具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、鐘淵化学工業社製の商品名「MSポリマーS−203」、「MSポリマーS−303」、同じく鐘淵化学工業社製の商品名「サイリルSAT−200」、「サイリルSAT−350」、「サイリルSAT−400」、旭硝子社製の商品名「エクセスターESS−2410」、「エクセスターESS−2420」、「エクセスターESS−3430」、「エクセスターESS−3620」等が挙げられる。これらの有機重合体(a)は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0023】
又、主鎖が本質的にポリエーテル系重合体とビニル系重合体とからなる有機重合体の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、鐘淵化学工業社製の商品名「MSポリマーMA−903」等が挙げられる。
【0024】
〔主鎖が本質的にビニル系重合体からなる有機重合体(b)〕
主鎖が本質的にビニル系重合体からなり、架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個含有する有機重合体(b)は、例えば、ビニル系モノマーと前記加水分解性シリル基を含有するモノマーとを共重合することにより得られるが、主鎖又は側鎖の一部として全体の50重量%以下の範囲でウレタン結合或いはシロキサン結合からなる単位を含んでいても良い。
【0025】
上記有機重合体(b)は、特に限定されるものではないが、例えば、以下のような方法により製造される。
(1)特開昭54−36395号公報に記載されているように、アリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体をVIII族遷移金属の存在下でヒドロシリコン化合物と反応させる方法。
(2)特開昭57−179210号公報に記載されているように、ビニル系モノマーをアルコキシシリル基を含有するアルキル(メタ)アクリレート及びメルカプト基を含有する連鎖移動剤の存在下で共重合させる方法。
(3)特開昭59−78222号公報に記載されているように、ビニル系モノマーを2官能ラジカル重合性化合物及び連鎖移動剤としてのアルコキシシリル基を含有するメルカプタンの存在下で共重合させる方法。
(4)特開昭60−23405号公報に記載されているように、ビニル系モノマーを重合開始剤としてアルコキシシリル基を含有するアゾビスニトリル化合物を使用して重合する方法。
(5)特開平11−130931号公報に記載されているように、リビングラジカル重合法によりビニル系重合体を製造する方法。
【0026】
有機重合体(b)の製造に用いられるビニル系モノマーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−3−メチルブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチル2−ヒドロキシエチルフタル酸、2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチル2−ヒドロキシプロピルフタル酸、メチルジメトキシプロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート類;スチレン、インデン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、ジビニルベンゼンなどのスチレン誘導体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、安息香酸ビニル、珪皮酸ビニルなどのビニルエステル基を有する化合物;n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、tert−アミルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル、安息香酸(4−ビニロキシ)ブチル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ブタン−1,4−ジオール−ジビニルエーテル、ヘキサン−1,6−ジオール−ジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−ジビニルエーテル、イソフタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、グルタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、コハク酸ジ(4−ビニロキシ)ブチルトリメチロールプロパントリビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−モノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、3−アミノプロピルビニルエーテル、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルビニルエーテル、ウレタンビニルエーテル、ポリエステルビニルエーテルなどのビニロキシ基を有する化合物;無水マレイン酸、N−ビニルピロリドン、N−ビニルモルフォリン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−ベンジルマレイミド等が挙げられる。尚、本発明で言う例えば(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0027】
上記ビニル系モノマーの具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、東亜合成化学工業社製のビニル系モノマーである商品名「アロニクスM−5700」、同じく東亜合成化学工業社製のビニル系マクロモノマーである商品名「AS−6」、「AN−6」、「AA−6」、「AB−6」、「AK−5」、ダイセル化学工業社製のビニル系モノマーである商品名「Placcel FA−1」、「Placcel FM−1」、「Placcel FM−4」等が挙げられる。これらのビニル系モノマー(ビニル系マクロモノマーも含む)は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0028】
主鎖が本質的にビニル系重合体からなり、架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個含有する有機重合体(b)の中でも、柔軟性に優れることから、アクリル酸とアルキル基の炭素数が1〜12のアルキル(メタ)アクリレートとからなる(メタ)アクリレート系共重合体を主鎖とする有機重合体(b)が好ましく、より好ましくはアクリル酸とアルキル基の炭素数が2〜8のアルキル(メタ)アクリレートとからなる(メタ)アクリレート系共重合体を主鎖とする有機重合体(b)である。
【0029】
又、架橋可能な加水分解性シリル基としては、反応後に有害な副生成物を生成しないことから、特に限定されるものではないが、例えば、メトキシシリル基やエトキシシリル基などのアルコキシシリル基が好適に用いられる。これらの架橋可能な加水分解性シリル基は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0030】
上記有機重合体(b)は、硬化性組成物の作業性と硬化物の伸びとのバランスが優れたものとなることから、特に限定されるものではないが、数平均分子量が5000〜20万、より好ましくは1万〜6万であって、分子量分布(Mw/Mn)が1.6以下であることが好ましい。
【0031】
有機重合体(b)の数平均分子量が5000未満であると、硬化性組成物の硬化物の伸びが不十分となって、シーリング材として用いた際に、例えば、目地面に対する追従性が低下することがあり、逆に有機重合体(b)の数平均分子量が20万を超えると、硬化性組成物の硬化前の粘度が高くなり過ぎて、各種配合剤(添加剤)を配合してシーリング材や接着剤を調製する配合工程の作業性が低下することがある。
【0032】
本発明の硬化性組成物においては、前記有機重合体(a)及び上記有機重合体(b)は、それぞれ単独で用いられても良いし、両者が併用されても良い。有機重合体(a)及び有機重合体(b)を併用することにより、硬化性組成物の硬化物の耐水性を高めたり、シーリング材や接着剤として用いた際のゴム弾性を高めることができる。
【0033】
有機重合体(a)及び有機重合体(b)を併用する場合、その配合割合は、有機重合体(b)100重量部に対し、有機重合体(a)0.1〜200重量部であることが好ましい。有機重合体(a)と有機重合体(b)とを上記配合割合で併用することによって、硬化性組成物の作業性と硬化性組成物の硬化物の耐候性とのバランスが優れたものとなる。
【0034】
主鎖が本質的にポリエーテル系重合体とアクリル系重合体とからなる有機重合体の具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、鐘淵化学工業社製の商品名「MSポリマー」としての「MSX−908」、「MS−911」、「MS−943」等や、同じく鐘淵化学工業社製の商品名「サイリルポリマー」としての「サイリルMA−430」、「サイリルMAX−447」等が挙げられる。
【0035】
本発明の硬化性組成物は、上述した有機重合体にジルコニウム含有処理剤で表面処理が施された酸化チタン(以下、「ジルコニウム処理酸化チタン」と略記する)が配合されてなるので、硬化物の耐候性が著しく向上する。上記耐候性向上効果は、ジルコニウム含有処理剤を使用することにより、酸化チタンの表面処理効率が向上して、劣化要因である酸化チタンが硬化性組成物の硬化物表面に出てこなくなることによるものと考えられる。
【0036】
上記ジルコニウム含有処理剤は、少なくともジルコニウムを含有している処理剤であれば良く、ジルコニウムのみを含有している処理剤であっても良いし、ジルコニウムと例えばアルミニウムや珪素等とを含有している処理剤であっても良い。
【0037】
有機重合体に対するジルコニウム処理酸化チタンの配合量は、有機重合体100重量部に対し、ジルコニウム処理酸化チタン5〜50重量部であることが好ましい。
【0038】
有機重合体100重量部に対するジルコニウム処理酸化チタンの配合量が5重量部未満であると、硬化性組成物の硬化物の耐候性が十分に向上しないことがあり、逆に有機重合体100重量部に対するジルコニウム処理酸化チタンの配合量が50重量部を超えると、硬化性組成物の硬化物の耐候性はそれ程向上しないにもかかわらず、硬化性組成物の硬化物が白色化し、シーリング材や接着剤としての外観が損なわれることがある。
【0039】
ジルコニウム処理酸化チタンの具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、石原産業社製の商品名「タイペークCR−57」や「タイペークCR−97」等が挙げられる。これらのジルコニウム処理酸化チタンは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0040】
本発明の硬化性組成物は、前記有機重合体100重量部に対し、層状珪酸塩0.1〜100重量部が配合されていることが好ましく、より好ましくは0.5〜50重量部配合されていることであり、特に好ましくは1〜10重量部配合されていることである。有機重合体に対し層状珪酸塩を配合することにより、硬化性組成物の硬化物は更に優れた耐候性を発現するものとなると共に、優れた難燃性も付与される。
【0041】
有機重合体100重量部に対する層状珪酸塩の配合量が0.1重量部未満であると、硬化性組成物の硬化物の耐候性向上効果を十分に得られなくなったり、難燃性も付与されなくなることがあり、逆に有機重合体100重量部に対する層状珪酸塩の配合量が100重量部を超えると、硬化性組成物の粘度が高くなり過ぎて、作業性や生産性が低下することがある。
【0042】
本発明の硬化性組成物に好ましく配合される層状珪酸塩とは、結晶層間に交換性陽イオンを有する珪酸塩鉱物を意味する。
【0043】
上記層状珪酸塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイトなどのスメクタイト系粘土鉱物や、バーミキュライト、ハロイサイト、膨潤性マイカ等が挙げられ、中でも、モンモリロナイトや膨潤性マイカが好適に用いられる。これらの層状珪酸塩は、天然物であっても良いし、合成物であっても良い。又、これらの層状珪酸塩は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0044】
上記層状珪酸塩としては、下記関係式(1)により定義される形状異方性効果の大きいスメクタイト系粘土鉱物や膨潤性マイカを用いることが好ましい。形状異方性効果の大きい層状珪酸塩を用いることにより、本発明の硬化性組成物の硬化物は優れた機械的強度やガスバリヤ性を発現するものとなる。
形状異方性効果=結晶表面(A)の面積/結晶端面(B)の面積 (1)
尚、図1に層状珪酸塩の結晶表面(A)及び結晶端面(B)を模式的に示す。
【0045】
上記層状珪酸塩の形状は、特に限定されるものではないが、凝集構造を解砕した結晶薄片の平均長さが0.01〜3μm、厚みが0.001〜1μm、アスペクト比が20〜500であるものが好ましく、より好ましくは、平均長さが0.05〜2μm、厚みが0.01〜0.5μm、アスペクト比が50〜200のものである。
【0046】
上記層状珪酸塩の結晶層間に存在する交換性陽イオンとは、層状珪酸塩の結晶表面上に存在するナトリウムやカルシウムなどの金属のイオンのことであり、これらの金属のイオンは、陽イオン性物質とイオン交換性を有するので、陽イオン性を有する種々の物質を上記層状珪酸塩の結晶層間に挿入(インターカレート)もしくは捕捉することができる。
【0047】
上記層状珪酸塩の陽イオン交換容量は、特に限定されるものではないが、50〜200ミリ当量/100gであることが好ましい。層状珪酸塩の陽イオン交換容量が50ミリ当量/100g未満であると、イオン交換により層状珪酸塩の結晶層間に挿入もしくは捕捉される陽イオン性物質の量が少なくなるので、結晶層間が十分に非極性化(疎水化)されないことがあり、逆に層状珪酸塩の陽イオン交換容量が200ミリ当量/100gを超えると、層状珪酸塩の結晶層間の結合力が強固になり過ぎて、結晶薄片が剥離し難くなることがある。
【0048】
上記層状珪酸塩は、予め結晶層間を陽イオン性界面活性剤でイオン交換して、非極性化(疎水化)しておくことが好ましい。予め層状珪酸塩の結晶層間を非極性化(疎水化)しておくことにより、層状珪酸塩と前記有機重合体との親和性が高まり、層状珪酸塩を有機重合体中により均一に微分散させることができる。
【0049】
上記陽イオン性界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、4級アンモニウム塩や4級ホスホニウム塩等が挙げられ、中でも、層状珪酸塩の結晶層間を十分に非極性化(疎水化)し得ることから、炭素数6以上のアルキル基を1個以上含有する4級アンモニウム塩(炭素数6以上のアルキルアンモニウム塩)が好適に用いられる。これらの陽イオン性界面活性剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0050】
上記4級アンモニウム塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、トリオクチルメチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウム塩、ジ硬化牛脂ジメチルアンモニウム塩、ジステアリルジベンジルアンモニウム塩、N−ポリオキシエチレン−N−ラウリル−N,N−ジメチルアンモニウム塩等が挙げられる。これらの4級アンモニウム塩は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0051】
又、上記4級ホスホニウム塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、ドデシルトリフェニルホスホニウム塩、メチルトリフェニルホスホニウム塩、ラウリルトリメチルホスホニウム塩、ステアリルトリメチルホスホニウム塩、トリオクチルメチルホスホニウム塩、ジステアリルジメチルホスホニウム塩、ジステアリルジベンジルホスホニウム塩等が挙げられる。これらの4級ホスホニウム塩は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0052】
上記層状珪酸塩は、このような化学処理を施すことによって有機重合体中への分散性を向上させることができる。
【0053】
上記層状珪酸塩は、広角X線回折測定法により測定した(001)面の平均層間距離が3nm以上であり、且つ、一部又は全部が5層以下に分散していることが好ましく、より好ましくは、上記平均層間距離が6nm以上であり、且つ、一部又は全部が5層以下に分散していることである。尚、本発明で言う層状珪酸塩の平均層間距離とは、層状珪酸塩の微細薄片状結晶を層とした場合の平均の層間距離を意味し、X線回折ピーク及び透過型電子顕微鏡撮影により、即ち、広角X線回折測定法により、算出することができる。又、層状珪酸塩の分散状態は、透過型電子顕微鏡による5万倍から10万倍の倍率で観察して、一定面積中において観察できる層状珪酸塩の積層集合体の数(X)の内、5層以下に分散している積層集合体の数(Y)をカウントし、下記計算式(2)により算出することができる。
5層以下に分散している割合(%)=(Y/X)×100 (2)
【0054】
本来、数十層の積層体である層状珪酸塩の層状分子が剥離して分散すると、層状珪酸塩の結晶薄片層間における相互作用が殆ど無視できるほどに弱まり、結晶薄片は前記有機重合体中で一定の間隔を保って微分散状態となり安定化する。従って、このような層状珪酸塩を有機重合体中に配合し、分散させて得られる硬化性組成物の硬化物は、著しく優れた耐候性や優れた耐候性、機械的強度等の諸性能を発現するものとなる。又、層状珪酸塩の結晶薄片層間の平均層間距離が3nm以上、好ましくは6nm以上であると、層状珪酸塩の結晶薄片層が層ごとに分離し、層状珪酸塩の結晶薄片層間における相互作用が殆ど無視できるほどに弱まるので、層状珪酸塩を構成する結晶薄片の有機重合体中での分散状態が離砕安定化の方向に進行する利点がある。
【0055】
又、層状珪酸塩の一部又は全部が5層以下に分散しているということは、本来数十層の積層体である層状珪酸塩の層状分子の一部又は全部が剥離して広く分散していることを意味しており、これも層状珪酸塩の結晶薄片層間における相互作用が弱まっていることになり、上記と同様の効果を得ることができる。又、層状珪酸塩の一部又は全部が5層以下に分散しているということは、具体的には、層状珪酸塩の10%以上が5層以下に分散している状態にあることが好ましいことを意味し、より好ましくは層状珪酸塩の20%以上が5層以下に分散している状態である。
【0056】層状珪酸塩の積層数は、5層以下に分層していることが好ましく、より好ましくは3層以下に分層していることであり、更に好ましくは単層状に分層(薄片化)していることである。
【0057】
本発明の硬化性組成物において、層状珪酸塩の結晶薄片層間の平均層間距離が3nm以上であり、且つ、層状珪酸塩の一部又は全部が5層以下に分散している状態、即ち、有機重合体中に層状珪酸塩が高分散している状態であれば、有機重合体と層状珪酸塩との界面面積が増大し、層状珪酸塩の結晶薄片間の平均隣接距離が小さくなる。
【0058】
有機重合体と層状珪酸塩との界面面積が増大すると、層状珪酸塩の表面における有機重合体の拘束の度合いが高まり、硬化性組成物の硬化物は弾性率等の機械的強度が向上する。又、層状珪酸塩の邪魔板効果により、硬化性組成物中の例えば光安定剤や紫外線吸収剤等の配合剤(添加剤)等のブリードアウトが抑制されると共に、層状珪酸塩の紫外線遮蔽効果により、硬化性組成物の硬化物の耐候性が更に向上する。
【0059】
有機重合体に対する層状珪酸塩の分散(配合)には、各種攪拌機や混練機を用いることができるが、分散し難い場合には、例えば3本ロール等の高い剪断力がかかる混練機を用いることが好ましい。
【0060】
本発明の硬化性組成物は、前記有機重合体100重量部に対し、光安定剤0.1〜20重量部及び/又は紫外線吸収剤0.1〜20重量部が配合されていることが好ましく、より好ましくは光安定剤1〜10重量部及び/又は紫外線吸収剤1〜10重量部である。有機重合体に対し光安定剤及び/又は紫外線吸収剤を配合することにより、硬化性組成物の硬化物は著しく優れた耐候性を発現するものとなる。これは、上記層状珪酸塩と併用されることにより、光安定剤及び/又は紫外線吸収剤が硬化性組成物の硬化物からブリードアウト及び揮散し難くなって、硬化物中に長期間にわたって安定的に保持されるためである。
【0061】
有機重合体100重量部に対する光安定剤の配合量が0.1重量部未満であるか及び/又は紫外線吸収剤の配合量が0.1重量部未満であると、硬化性組成物の硬化物の耐候性向上効果が乏しくなることがあり、逆に有機重合体100重量部に対する光安定剤の配合量が20重量部を超えるか及び/又は紫外線吸収剤の配合量が20重量部を超えると、硬化性組成物が着色して、シーリング材や接着剤としての外観が損なわれることがある。
【0062】
上記光安定剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤等の公知の各種光安定剤が挙げられ、中でも、耐候性向上効果に優れることから、ヒンダードアミン系光安定剤が好適に用いられる。これらの光安定剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0063】上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)等が挙げられる。これらのヒンダードアミン系光安定剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0064】上記紫外線吸収剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤等の公知の各種紫外線吸収剤が挙げられ、中でも、耐候性向上効果に優れることから、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好適に用いられる。これらの紫外線吸収剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0065】
上記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等や、これらの誘導体等が挙げられる。これらのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0066】
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて、難燃性を更に向上させるために、例えば、金属水酸化物、金属酸化物、メラミン誘導体、ベンゾオキサジンなどの非ハロゲン系難燃剤や、例えば、カーボンブラック、フッ素樹脂、シリコーンオイル、シリコーン・アクリル複合ゴムなどの難燃助剤が配合されていても良い。これらの非ハロゲン系難燃剤及び/又は難燃助剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0067】
本発明の硬化性組成物は、その硬化物のASTM E 1354に準拠した燃焼試験において、50kW/m2 の輻射加熱条件下で30分間加熱し燃焼することにより得られた燃焼残渣を0.1cm/秒の速度で圧縮した時の降伏点応力が4.9kPa以上であることが好ましい。
【0068】
硬化性組成物の硬化物の上記降伏点応力が4.9kPa未満であると、火災発生時に形状保持力が得られないので、本発明の硬化性組成物からなる接着剤を例えばタイル等の被着体の接着に使用した場合に、被着体が落下し易くなることがある。
【0069】
次に、本発明のシーリング材及び接着剤は、上述した本発明の硬化性組成物を用いて調製される。
【0070】
本発明のシーリング材及び接着剤には、本発明の硬化性組成物に加えるに、必要に応じて、例えば、シラノール縮合触媒のような硬化触媒、可塑剤(軟化剤)、接着性向上剤、脱水剤、充填剤、タレ防止剤、酸化防止剤(老化防止剤)、着色剤、香料、有機溶媒等の各種配合剤(添加剤)の1種類もしくは2種類以上が配合されていても良い。
【0071】
硬化触媒としてのシラノール縮合触媒は、前記有機重合体を主成分としてなる本発明の硬化性組成物の湿気硬化反応を促進するために用いられるものであり、その具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫フタレート、ビス(ジブチル錫ラウリン酸)オキサイド、ジブチル錫ビスアセチルアセトナート、ジブチル錫ビス(モノエステルマレート)、オクチル酸錫、ジブチル錫オクトエート、ジオクチル錫オキサイドなどの錫化合物;テトラ−n−ブトキシチタネート、テトライソプロポキシチタネートなどのチタネート系化合物;ジブチルアミン−2−エチルヘキソエートなどのアミン塩;及び、他の酸性触媒や塩基性触媒等が挙げられる。これらのシラノール縮合触媒は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0072】
可塑剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ブチルベンジルフタレートなどのフタル酸エステル類;アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル、セバシン酸ジブチルなどの脂肪族二塩基酸エステル類;ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステルなどのグリコールエステル類;オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチルなどの脂肪族エステル類;リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニルなどのリン酸エステル類;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油などのエポキシ系可塑剤類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのグリコール類;塩素化パラフィン、ポリブタジエン、イソパラフィン等が挙げられ、中でも、安全性や耐ブリードアウト性等に優れることから、数平均分子量が500〜3万のポリプロピレングリコールが好適に用いられる。これらの可塑剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0073】
上記可塑剤の配合量は、特に限定されるものではないが、本発明の硬化性組成物を構成する前記有機重合体100重量部に対し、可塑剤100重量部以下であることが好ましい。有機重合体100重量部に対する可塑剤の配合量が100重量部を超えると、上記硬化性組成物よりなるシーリング材及び接着剤の硬化物の塗装性に問題が生じることがある。
【0074】
接着性向上剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、1分子中にアミノ基及びアルコキシシリル基を有する化合物やビスシリル化合物等が挙げられる。これらの接着性向上剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0075】
上記1分子中にアミノ基及びアルコキシシリル基を有する化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N’−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]ヘキサメチレンジアミン、N,N−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N−ビス−[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ヘキサメチレンジアミン、N,N−ビス−[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]ヘキサメチレンジアミン、N,N−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ヘキサメチレンジアミン、N,N−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、N,N−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]アミン、N,N−ビス−[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]アミン等が挙げられる。これらの1分子中にアミノ基及びアルコキシシリル基を有する化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0076】
又、上記ビスシリル化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、N,N’−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]ヘキサメレンジアミン、N,N−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N−ビス−[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ヘキサメチレンジアミン、N,N−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ヘキサメチレンジアミン、N,N−ビス−[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]ヘキサメチレンジアミン、N,N−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、N,N−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]アミン、N,N−ビス−[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]アミン等が挙げられる。これらのビスシリル化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0077】
脱水剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメチルシラン、ジフェニルジメトキシシランなどのシラン化合物類や、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチルなどの加水分解性エステル化合物類が挙げられる。これらの脱水剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0078】
充填剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、含水珪酸、無水珪酸、珪酸カルシウム、シリカ、クレー、タルク、カーボンブラック、ガラスバルーン等が挙げられる。これらの充填剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0079】
タレ防止剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、水添ひまし油、脂肪酸ビスアマイド、ヒュームドシリカ等が挙げられる。これらのタレ防止剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0080】
本発明のシーリング材や接着剤の製造方法は、例えば、万能ミキサー、ニーダー、2本ロール、3本ロール、押出機等の公知の攪拌機や混練機を単独で用いるか又は併用して、予め本発明の硬化性組成物を調製した後に、この硬化性組成物の所定量に、必要に応じて、シラノール縮合触媒のような硬化触媒、可塑剤、接着性向上剤、脱水剤、充填剤、タレ防止剤、酸化防止剤、着色剤、香料、有機溶媒等の各種配合剤の各所定量を配合し、均一に混練して、シーリング材や接着剤としても良いし、又、本発明の硬化性組成物及びシーリング材や接着剤を構成する各成分の各所定量を一括して配合し、均一に混練して、シーリング材や接着剤としても良い。尚、上記製造は、外部から湿気が入るのを防止するために、減圧下もしくは窒素ガスのような不活性ガス雰囲気下の密封系で行うことが好ましい。
【0081】
【作用】
本発明の硬化性組成物は、架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個含有する有機重合体に対し、ジルコニウム処理酸化チタンが配合されてなるので、その硬化物は、優れた耐候性を発現する。又、上記有機重合体として、主鎖が本質的にポリエーテル系重合体及び/又はビニル系重合体からなる有機重合体を用いることにより、硬化性組成物の硬化物は、優れたゴム弾性及び耐水性を発現するものとなる。
【0082】
又、上記有機重合体に対し、特定量の層状珪酸塩を配合することにより、硬化性組成物の硬化物は、更に優れた耐候性を発現するものとなる。更に、上記有機重合体に対し、特定量の光安定剤及び/又は紫外線吸収剤を配合することにより、硬化性組成物の硬化物は、著しく優れた耐候性を発現するものとなる。
【0083】
本発明のシーリング材及び接着剤は、上記本発明の硬化性組成物からなるので、その硬化物は、優れた耐候性、難燃性、ゴム弾性、耐水性等の諸性能を発現する。
【0084】
【発明の実施の形態】
本発明を更に詳しく説明するため以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0085】
本実施例及び比較例においては以下に示す原材料を用いた。尚、酸化チタン及び充填剤(炭酸カルシウム)は、予め110℃で加熱減圧脱水処理したものを用いた。
1.有機重合体(変成シリコーンポリマー)
(1)商品名「MSポリマーS−203」(2官能ポリマー:末端構造−Si(CH3 )(OCH3 )2 、数平均分子量:2万、鐘淵化学工業社製)
(2)商品名「MSポリマーS−303」(3官能ポリマー:末端構造−Si(OCH3 )3 、数平均分子量:2万、鐘淵化学工業社製)
2.酸化チタン
(1)ジルコニウム及びアルミニウムを含有する処理剤で表面処理が施された酸化チタン(商品名「タイペークCR−97」、石原産業社製)
(2)珪素及びアルミニウムを含有する処理剤で表面処理が施された酸化チタン(商品名「タイペークCR−90」、石原産業社製)
3.層状珪酸塩
ポリオキシプロピレンジエチル4級アンモニウム塩で有機化処理が施された層状珪酸塩(商品名「ソマシフMPE−100」、コープケミカル社製)
4.光安定剤
ヒンダードアミン系光安定剤(商品名「サノールLS770」、三共社製)
5.紫外線吸収剤
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(商品名「チヌビン327」、チバスペシャリティーケミカルズ社製)
6.その他の配合剤
(1)シラノール縮合触媒
ジブチル錫ジラウレート
(2)可塑剤
ポリプロピレングリコール(商品名「ジオール3000」、数平均分子量:3千、三井化学社製)
(3)接着性向上剤
N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名「KBM603」、信越化学工業社製)
(4)脱水剤
ビニルトリメトキシシラン
(5)充填剤
表面処理が施された軽質炭酸カルシウム(商品名「白艶華CCR」、白石工業社製)
【0086】
(実施例1〜実施例4)並びに(比較例1及び比較例2)
表1に示す配合組成(配合単位:重量部)の組成物を、外部から湿気が入らないように密封された攪拌混練機に供給し、減圧下で均一に混練して、シーリング材及び/又は接着剤として使用可能な常温湿気硬化性組成物を調製した。
【0087】
得られた常温湿気硬化性組成物の耐候性試験を以下の方法で行い、硬化物の耐候性を評価した。その結果は表1に示すとおりであった。
【0088】
〔耐候性試験方法〕
常温湿気硬化性組成物をステンレス板(幅:50mm、長さ:150mm、厚み:1mm)に厚みが0.5mmとなるように塗工し、20℃−60%RHの雰囲気下で7日間放置して養生硬化させた。次いで、硬化物に下記条件で150時間及び400時間光照射を行った後、硬化物の表面を目視で観察し、下記判定基準により硬化物の耐候性を評価した。
・光照射条件
試験装置:商品名「アイスパーUVテスター」(型式:SUV−F11型、岩崎電気社製)
UV強度:100mW/cm2
限定波長:295〜450nm
ブラックパネル温度:63℃
照射距離(光源と供試体間の距離):235mm
照射時間:150時間及び400時間
・判定基準
○‥‥硬化物の表面にクラック等の異状は認められなかった。
×‥‥硬化物の表面にクラック等の異状が認められた。
【0089】
【表1】
【0090】
表1から明らかなように、酸化チタンとしてジルコニウム処理酸化チタン「タイペークCR−97」を用いた本発明による実施例1及び実施例2の常温湿気硬化性組成物は、層状珪酸塩を配合していないにもかかわらず、いずれも光照射150時間後の硬化物表面に異状が認められず、耐候性が優れていた。これに対し、酸化チタンとして、ジルコニウム処理酸化チタン「タイペークCR−97」の代わりに、珪素及びアルミニウムを含有する処理剤で表面処理が施された酸化チタン「タイペークCR−90」を用い、且つ、層状珪酸塩を配合しなかった比較例1の常温湿気硬化性組成物は、光照射150時間後の硬化物表面に異状が認められ、耐候性が悪かった。
【0091】
又、同じく表1から明らかなように、酸化チタンとしてジルコニウム処理酸化チタン「タイペークCR−97」を用い、且つ、層状珪酸塩を配合した本発明による実施例3及び実施例4の常温湿気硬化性組成物は、いずれも光照射400時間後でも硬化物表面に異状が認められず、耐候性が著しく優れていた。これに対し、酸化チタンとして、ジルコニウム処理酸化チタン「タイペークCR−97」の代わりに、珪素及びアルミニウムを含有する処理剤で表面処理が施された酸化チタン「タイペークCR−90」を用い、且つ、層状珪酸塩を配合した比較例2の常温湿気硬化性組成物は、光照射400時間後では硬化物表面に異状が認められ、耐候性が劣っていた。
【0092】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の硬化性組成物は、常温で湿気硬化し、優れた耐候性を発現する硬化物を得ることができるので、シーリング材用や接着剤用として好適に用いられる。
【0093】
又、本発明のシーリング材及び接着剤は、上記本発明の硬化性組成物を用いて調製されるので、その硬化物は、優れた耐候性、難燃性、ゴム弾性、耐水性等の諸性能を発現するものであり、屋内用はもとより、屋外用のシーリング材や接着剤として各種用途に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】層状珪酸塩の結晶表面(A)及び結晶端面(B)を示す模式図である。
Claims (7)
- 架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個含有する有機重合体と、少なくともジルコニウムを含有する処理剤で表面処理が施された酸化チタンとからなることを特徴とする硬化性組成物。
- 有機重合体の主鎖が、本質的にポリエーテル系重合体及び/又はビニル系重合体からなることを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
- 有機重合体100重量部に対し、少なくともジルコニウムを含有する処理剤で表面処理が施された酸化チタン5〜50重量部が配合されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の硬化性組成物。
- 有機重合体100重量部に対し、層状珪酸塩0.1〜100重量部が配合されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 有機重合体100重量部に対し、光安定剤0.1〜20重量部及び/又は紫外線吸収剤0.1〜20重量部が配合されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の硬化性組成物からなることを特徴とするシーリング材。
- 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の硬化性組成物からなることを特徴とする接着剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002320108A JP2004155813A (ja) | 2002-11-01 | 2002-11-01 | 硬化性組成物、シーリング材及び接着剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002320108A JP2004155813A (ja) | 2002-11-01 | 2002-11-01 | 硬化性組成物、シーリング材及び接着剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004155813A true JP2004155813A (ja) | 2004-06-03 |
Family
ID=32801129
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002320108A Withdrawn JP2004155813A (ja) | 2002-11-01 | 2002-11-01 | 硬化性組成物、シーリング材及び接着剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004155813A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012007078A (ja) * | 2010-06-25 | 2012-01-12 | Konishi Co Ltd | シリコーン系シーリング材目地に適用するためのコーティング剤組成物 |
JP2012092192A (ja) * | 2010-10-26 | 2012-05-17 | Yokohama Rubber Co Ltd:The | 硬化性組成物 |
CN108865037A (zh) * | 2017-07-19 | 2018-11-23 | 上海东大化学有限公司 | 一种硅烷改性聚醚密封胶及其制备方法、应用 |
-
2002
- 2002-11-01 JP JP2002320108A patent/JP2004155813A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012007078A (ja) * | 2010-06-25 | 2012-01-12 | Konishi Co Ltd | シリコーン系シーリング材目地に適用するためのコーティング剤組成物 |
JP2012092192A (ja) * | 2010-10-26 | 2012-05-17 | Yokohama Rubber Co Ltd:The | 硬化性組成物 |
CN108865037A (zh) * | 2017-07-19 | 2018-11-23 | 上海东大化学有限公司 | 一种硅烷改性聚醚密封胶及其制备方法、应用 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4145112B2 (ja) | 硬化性組成物、シーリング材及び接着剤 | |
JP2004307836A (ja) | 硬化性組成物、シーリング材及び接着剤、並びに目地構造体 | |
JP2004156006A (ja) | 硬化性組成物 | |
JP2004292235A (ja) | 層状珪酸塩、硬化性組成物、シーリング材及び接着剤 | |
JP2004292621A (ja) | 硬化性組成物、シーリング材及び接着剤 | |
JP2005290269A (ja) | 硬化性組成物、シーリング材及び接着剤 | |
JP2004155813A (ja) | 硬化性組成物、シーリング材及び接着剤 | |
JP2004169020A (ja) | 硬化性組成物、シーリング材及び接着剤 | |
JP4224331B2 (ja) | (メタ)アクリル酸エステル系重合体、硬化性組成物、シーリング材及び接着剤 | |
JP4758601B2 (ja) | 硬化性組成物 | |
JP4189244B2 (ja) | 硬化性組成物、シーリング材及び接着剤 | |
JP2005126672A (ja) | 硬化性組成物、シーリング材及び接着剤 | |
JP2004292622A (ja) | 硬化性組成物、シーリング材及び接着剤 | |
JP4224420B2 (ja) | 硬化性組成物、シーリング材及び接着剤 | |
JP2005290275A (ja) | 硬化性組成物、シーリング材及び接着剤 | |
JP2004292617A (ja) | 硬化性組成物 | |
JP2004107398A (ja) | 硬化性組成物 | |
JP2004292611A (ja) | 硬化性組成物、シーリング材及び接着剤 | |
JP2004292606A (ja) | 硬化性組成物、シーリング材及び接着剤 | |
JP2004161831A (ja) | 硬化性組成物、シーリング材及び接着剤 | |
JP2004238537A (ja) | 硬化性組成物、シーリング材及び接着剤 | |
JP2004169019A (ja) | 硬化性組成物、シーリング材及び接着剤 | |
JP2004292619A (ja) | 硬化性組成物 | |
JP2005290266A (ja) | 硬化性組成物 | |
JP2004256638A (ja) | 硬化性組成物、シーリング材及び接着剤 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050818 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20071212 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20071219 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20080111 |