JP2004292619A - 硬化性組成物 - Google Patents

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JP2004292619A
JP2004292619A JP2003086450A JP2003086450A JP2004292619A JP 2004292619 A JP2004292619 A JP 2004292619A JP 2003086450 A JP2003086450 A JP 2003086450A JP 2003086450 A JP2003086450 A JP 2003086450A JP 2004292619 A JP2004292619 A JP 2004292619A
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Koji Fukui
弘司 福井
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】雰囲気中の湿気により速やかに硬化し、耐久性及び弾力性に優れた硬化物を与え、施工不良によるボイドや収縮による隙間を抑制することができ、かつ硬化物皮膜の収縮による外観不良が生じ難い、硬化性組成物、並びに該硬化性組成物からなるシーリング材及び接着剤を提供する。
【解決手段】架橋可能な加水分解性シリル基を含有する有機重合体(a)と、エネルギーが与えられることにより気体を発生する気体発生剤(b)及び/またはエネルギーが与えられることにより気体を発生あるいは膨張する粒子状物質(c)とを含み、好ましくは層状珪酸塩がさらに含有されている硬化性組成物、並びに該硬化性組成物からなるシーリング材及び接着剤。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、雰囲気中の湿気により速やかに硬化し、弾力性に優れた硬化物を与える加水分解性シリル基含有ビニル系重合体を用いた硬化性組成物に関し、特に、エネルギーの付与により気体が発生されて、硬化収縮による歪みを補正するように膨張させることができ、あるいは被着体から容易に剥離することができる硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、雰囲気中の湿気により架橋し、耐久性、耐候性及び透明性、接着性に優れた硬化物を与えるアルコキシシリル基含有ビニル系重合体が知られている(例えば、下記の特許文献1〜3)。
【0003】
上記のような特性を有するため、アルコキシシリル基含有重合体を用いた硬化性組成物は、塗料、コーティング剤、接着剤、感圧接着剤、シーラント及びシーリング材などの広い用途で用いられている。
【0004】
【特許文献1】
特開昭57−179210号公報
【特許文献2】
特開平4−202585号公報
【特許文献3】
特開平11−43512号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記硬化性組成物をシーリング材や接着剤として用いた場合、施工不良によりシーリング部分や接着部分にボイドが生じたり、被着体や構造物の収縮により隙間が発生したりすることがあった。また、シーリング材として上記硬化性組成物を用いた場合、硬化物皮膜の収縮によりシーリング材表面に陥没やシワが発生、外観性が低下することもあった。さらに、狭い隙間に上記硬化性組成物を用いてシーリングを行った場合、ボイドが残存することもあった。また、上記硬化性組成物からなるシーリング材や接着剤を用いている接着構造体を解体して廃棄する際に、接着力が強かったり、ゴム状であったりするため、接着構造体を解体することが困難であった。
【0006】
本発明の目的は、従来技術の現状に鑑み、空気中の湿気により速やかに硬化し、耐久性及び耐候性に優れた硬化物を与える硬化性組成物であって、さらに接着剤やシーリング材などに用いられた場合に、適用部分におけるボイドの発生や隙間の発生を抑制することができ、かつ表面に陥没やシワ等が生じ難い外観性に優れた表面を与え得る硬化性組成物、該硬化性組成物を用いたシーリング材及び接着剤を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、上記接着構造体の解体を速やかに行ない、かつ廃棄物を分別廃棄し易くすることを可能とする硬化物を与える硬化性組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る硬化性組成物は、架橋可能な加水分解性シリル基を含有する有機重合体(a)と、エネルギーが与えられることにより気体を発生する気体発生剤(b)及び/またはエネルギーが与えられることにより気体を発生あるいは膨張する粒子状物質(c)とを含むことを特徴とする。
【0009】
本発明のある特定の局面では、上記気体発生剤(b)として、光または熱により気体を発生するアゾ化合物が用いられる。
本発明に係る硬化性組成物のより限定的な局面では、気体発生剤(b)が、硬化性組成物100重量部中に0.01〜30重量部の割合で配合されている。
【0010】
本発明に係る硬化性組成物のさらに別の特定の局面では、層状珪酸塩がさらに配合されている。
本発明の硬化性組成物のさらに他の特定の局面では、有機重合体の主鎖が、本質的にビニル系重合体(a1)及び/またはポリエーテル系重合体(a2)からなる。
【0011】
本発明に係る硬化性組成物のさらに他の特定の局面では、上記有機重合体(a)が、有機過酸化物を重合開始剤としてラジカル重合により得られた重合体である。
【0012】
本発明の別の広い局面によれば、エネルギーが与えられることにより気体を発生する気体発生剤(b)及び/またはエネルギーが与えられることにより発泡する粒子状物質(c)を含むプライマー組成物が提供される。
【0013】
本発明に係るシーリング材及び接着剤は、本発明の硬化性組成物より構成されていることを特徴とする。
本発明に係る接着構造体のある特定の局面では、少なくとも2つの被着体が、本発明に従って構成されたシーリング材または接着剤を介して貼り合わされている。
【0014】
また、本発明に係る接着構造体のさらに他の特定の局面では、少なくとも2つの被着体が貼り合わされるに際し、被着体の表面に本発明のプライマー組成物が塗布され、接着剤を介して貼り合わされている。
【0015】
本発明に係る接着構造体のさらに別特定の局面では、少なくとも2つの被着体が貼り合わされる際に、被着体の表面に本発明のプライマー組成物が塗布され、本発明に従って構成されたシーリング材及び/または本発明に従って構成された接着剤を介して貼り合わされている。
【0016】
本発明に係る接着構造体の剥離方法は、本発明の接着構造体にエネルギーを与えることにより、被着体間の接着力を低下させるようにして剥離が行われる。
以下、本発明の詳細を説明する。
【0017】
(有機重合体(a))
本発明で用いられる有機重合体は、シロキサン結合を形成することにより架橋し得る加水分解性シリル基を少なくとも1個有し、このシロキサン結合は例えば、珪素原子に結合した水酸基もしくは加水分解性基により形成される。
【0018】
珪素原子に結合した加水分解性基とは、例えば、水素、ハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、アシルオキシド基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシド基などが好ましい例として挙げられる。
【0019】
上記加水分解性シリル基としては、反応後に有害な副生成物を生成しないので、メトキシシリル基やエトキシシリル基などのアルコキシシリル基が好ましく用いられる。
【0020】
上記シロキサン結合を形成することにより架橋し得る珪素含有基、すなわち架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体の主鎖は特に限定されず、ビニル系重合体(a1)、ポリエーテル系重合体、ポリエステル系重合体、ポリカーボネート系重合体、ポリオレフィン系重合体などが挙げられ、好ましくは、ビニル系重合体及び/またはポリエーテル系重合体からなる。すなわち、主鎖がポリエーテル系重合体部分及びビニル系重合体部分の双方を有していてもよい。
【0021】
(ビニル系重合体(a1))
本発明で用いられる少なくとも架橋可能な加水分解性シリル基を有するビニル系重合体(a1)は、特に制限されるものではない。上記加水分解性シリル基は、珪素原子に1〜3個のシリル基が結合した官能基であり、シリル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基等を挙げることができる。アルコキシ基の結合したアルコキシシリル基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、トリフェノキシシリル基等のトリアルコキシシリル基;ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基等のジメトキシシリル基;メトキシジメトキシシリル基、エトキシジメチルシリル基等の単官能の加水分解性シリル基を挙げることができる。これらを複数個組み合わせて用いてもよし、異なる加水分解性シリル基を複数個組み合わせて用いてもよい。
【0022】
上記ビニル系重合体を構成しているビニル重合体部分としては、ビニルモノマーを重合して得られる重合体であれば良く、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルエーテル等を挙げることができる。また、これらビニル重合体部分を有する共重合体であっても良い。好適には、凝集力や接着性とのバランスの良い数平均分子量10000以上のポリ(メタ)アクリレートやその共重合体が良い。ここで、(メタ)アクリルとはメタクリルとアクリルをまとめて示した表現である。
【0023】
ポリ(メタ)アクリレートやその共重合体を得るためのモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2ーブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシー3ーメチルブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシー3ーフェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチル2−ヒドロキシエチルフタル酸、2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチル2−ヒドロキシプロピルフタル酸、
[化合物1]
CH=CH−C(O)O−CHCHO−[C(O)CHCHCHCHCHO]−H
(n=1〜10)
[化合物2]
CH=C(CH)−C(O)O−CHCHO−[C(O)CHCHCHCHCHO]−H
(n=1〜10)
[化合物3]
CH=CH−C(O)O−(CHCHO)−H
(n=1〜12)
[化合物4]
CH=C(CH)−C(O)O−(CHCHO)−H
(n=1〜12)
[化合物5]
CH=CH−C(O)O−[CHCH(CH)O]−H
(n=1〜12)
[化合物6]
CH=C(CH)−C(O)O−[CHCH(CH)O]−H
(n=1〜12)
[化合物7]
CH=C(CH)−C(O)O−(CHCHO)−[CHCH(CH)O]−H
(m,n=1〜12)
[化合物8]
CH=CH−C(O)O−(CHCHO)−[CHCH(CH)O]−H
(m,n=1〜12)
[化合物9]
CH=C(CH)−C(O)O−(CHCHO)−(CHCHCHCHO)
(m,n=1〜12)
[化合物10]
CH=CH−C(O)O−(CHCHO)−(CHCHCHCHO)
(m,n=1〜12)
[化合物11]
CH=CH−C(O)O−(CHCHO)−CH
(n=1〜10)
[化合物12]
CH=C(CH)−C(O)O−(CHCHO)−CH
(n=1〜30)
[化合物13]
CH=CH−C(O)O−[CHCH(CH)O]−CH
(n=1〜10)
[化合物14]
CH=C(CH)−C(O)O−[CHCH(CH)O]−CH
(n=1〜10)
[化合物15]
CH=C(CH)−C(O)O−(CHCHO)−[CHCH(CH)O]−H
(m,n=1〜10)
[化合物16]
CH=CH−C(O)O−(CHCHO)−[CHCH(CH)O]−H
(m,n=1〜10)
[化合物17]
CH=CH−C(O)O−[CHCH(CH)O]−C(O)−CH=CH
(n=1〜20)
[化合物18]
CH=C(CH)−C(O)O−[CHCH(CH)O]−C(O)−C(CH)=CH
(n=1〜20)
[化合物19]
CH=CH−C(O)O−(CHCHO)−C(O)−CH=CH
(n=1〜20)
[化合物20]
CH=C(CH)−C(O)O−(CHCHO)−C(O)−C(CH)=CH
(n=1〜20)
等を挙げることができる。
【0024】
その他のビニルモノマーとして、例えば、スチレン、インデン、αーメチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン誘導体;例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、安息香酸ビニル、珪皮酸ビニル等のビニルエステル基を持つ化合物;無水マレイン酸、N−ビニルピロリドン、N−ビニルモルフォリン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、tert−アミルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、トリチレングリコールメチルビニルエーテル、安息香酸(4−ビニロキシ)ブチル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ブタン−1,4−ジオール−ジビニルエーテル、ヘキサン−1,6−ジオール−ジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−ジビニルエーテル、イソフタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、グルタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、コハク酸ジ(4−ビニロキシ)ブチルトリメチロールプロパントリビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−モノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル3−アミノプロピルビニルエーテル、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルビニルエーテル、ウレタンビニルエーテル、ポリエステルビニルエーテル等のビニロキシ基を持つ化合物を挙げることができる。
【0025】
ビニル重合体の製法は、公知の方法を用いることができる。例えば、フリーラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法、UVラジカル重合法、リビングアニオン重合法、リビングカチオン重合法、リビングラジカル重合法等を用いることができ、かつモノマーの重合性反応に応じて適宜重合法を選択すればよい。
【0026】
また、架橋可能な加水分解性シリル基の導入法としては、架橋可能な加水分解性シリル基を持つ開始剤による重合を開始する方法、架橋可能な加水分解性シリル基を持つ連鎖移動剤を用いる方法、架橋可能な加水分解性シリル基を持つ共重合性モノマーを用いる方法による重合と同時にシリル基を導入する方法(例えば、特開昭54−123192号公報、特開昭57−179210号公報、特開昭59−78220号公報、特開昭60−23405号公報)や、アルケニル基の持ったビニル重合体を合成し、その後、ヒドロシリル化によってアルコキシシリル基を導入する方法(例えば、特開昭54−40893号公報、特開平11−80571号公報)がある。本発明を構成するビニル系重合体(a1)の製造方法は、ビニル系重合体(a1)が得られる限り何等問題なく、上述の様な公知の製造技術を用いることができる。
【0027】
架橋可能な加水分解性シリル基を導入する為の、連鎖移動剤や共重合性モノマーとしては、例えば、メルカプトメチルトリメチルシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、等の連鎖移動性の高い官能基を有するアルコキシシラン;N−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−アリルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロペニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビンルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルジメチルイソペンテニルオキシシラン、ビニルジメチル−2−((2−エトキシエトキシ)エトキシ)シラン、ビニルトリス(1−メチルビニルオキシ)シラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、フェニルビニルジエトキシシラン、ジフェニルビニルエトキシシラン、6−トリエトキシシリル−2−ノルボルネン、オクタ−7−エニルトリメトキシシラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、等の重合性不飽和基を有するアルコキシシラン等を挙げることができる。
【0028】
上記加水分解性シリル基を導入するための連鎖移動剤や共重合性モノマーの配合量は、ビニル系の重合性モノマー100重量部に対し、0.01〜20重量部であることが好ましく、さらに好ましくは、0.1〜5重量部である。
【0029】
(少なくとも架橋可能な加水分解性のシリル基を有するポリエーテル系重合体(a2))
本発明では、好ましくは、ポリエーテル系重合体(a2)を添加することにより、硬化物の耐水性を高めたり、シーリング材を構成した場合のゴム弾性を高めることができる。
【0030】
ビニル系重合体(a1)及びポリエーテル系重合体(a2)を併用する場合、その配合割合は、ビニル系重合体(a1)100重量部に対し、ポリエーテル系重合体(a2)0.1〜200重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜100重量部である。
【0031】
ポリエーテル系重合体(a2)の配合割合が0.1重量部未満では、接着性改善効果が小さくなることがあり、200重量部を越えると、耐候性が低くなることがあり、かつ接着性向上効果がそれ程高くならないからである。
【0032】
ポリエーテル系重合体(a2)とは、主鎖が本質的にポリエーテル系重合体であり、かつ末端に架橋可能な加水分解性シリル基を含有するポリエーテル系重合体(a2)であって、主鎖が本質的に、一般式〔−(R−O)−、式中のRは炭素数1〜4であるアルキレン基を示す。〕で表される化学的に結合された繰り返し単位を含み、かつ末端に架橋可能な加水分解性シリル基を含有する重合体をさす。またポリエーテル系重合体(a2)は、主鎖が本質的にポリエーテルと(メタ)アクリル酸エステルとからなる共重合体であってもよい。
【0033】
上記ポリエーテル系重合体(a2)は、例えば、末端にアリル基を有するポリアルキレンオキサイドをVIII族遷移金属の存在化で下記化学式(1)により表されるヒドロシラン化合物を反応させることによって合成される。
【0034】
【化1】
Figure 2004292619
【0035】
(式中Rは1価の炭化水素基及びハロゲン化された1価の炭化水素基から選択される基、aは0、1または2の整数、Xはハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基及びケトキシメート基より選択される原子または基を意味する。)
上記ポリエーテル系重合体(a2)の主鎖であるポリアルキレンオキサイドとしては、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド等が挙げられるが、室温硬化性組成物の硬化物が耐水性に優れ、かつシーリング材としての弾性を確保できるという点でポリプロピレンオキサイドが好ましい。
【0036】
上記架橋可能な加水分解性シリル基としては、反応後有害な副生成物を生成しない物が好ましく、例えば、メトキシシリル基、エトキシシリル基等のアルコキシシリル基が挙げられる。
【0037】
ポリエーテル系重合体(a2)の数平均分子量が小さくなると、硬化物の伸びが十分でなくなり、目地面に対する追従性が低下し、大きくなると硬化前の粘度が高くなり、配合工程の作業性が悪くなる。従って、好ましくは、数平均分子量は、4000〜30000であり、さらに好ましくは10000〜30000であり、かつ分子量分布は1.6以下が望ましい。
【0038】
上記ポリエーテル系重合体(a2)としては、例えば、商品名「MSポリマー」(鐘淵化学工業社製)として、MSポリマーS−203、S−303など、商品名「サイリルポリマー」(鐘淵化学工業社製)として、サイリルSAT−200、SAT−350、SAT−400や、商品名「エクセスター」(旭硝子社製)として、エクセスターESS−3620、ESS−3430、ESS−2420、ESS−2410などが市販されている。
【0039】
(気体発生剤(b))
本発明で用いられる上記気体発生剤(b)は、エネルギーが付与されることにより気体を発生する物質である限り特に限定されない。該気体発生剤(b)は、エネルギーが与えられることにより、気体を発生し、それによって硬化物を膨張するように作用する。あるいは、一部のガスが硬化物被着体の界面において硬化物を容易に剥離する作用を果たすようにも作用する。
【0040】
上記エネルギーとしては、熱、紫外線、若しくは電子線のような活性エネルギー線などが挙げられ、特に限定されるものではない。
上記エネルギー発生源としては、加熱オーブン、赤外線ヒーター、誘電加熱装置、誘導加熱装置、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、エキシマーレーザー、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ、ナトリウムランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、蛍光灯、太陽光、電子線照射装置、エックス線発生装置、超音波発生装置、衝撃波発生装置等を挙げることができる。
【0041】
上記気体発生剤(b)としては、例えば、アゾ化合物、ジアゾニウム塩、炭酸塩、高沸点アルコール、高沸点オイル、多価カルボン酸、水などを挙げることができる。気体発生剤(b)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上を併用されてもよい。
【0042】
また、気体発生剤(b)として、アゾ化合物のような分解型気体発生剤を用いた場合、気体発生助剤をさらに硬化性組成物に添加してもよい。気体発生助剤としては、ナフテン酸、シュウ酸またはクエン酸などのコバルト塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マンガン塩、鉛塩、カルシウム塩、亜鉛塩、銅塩、鉄塩、ジルコニウム塩もしくはアルミニウム塩などが用いられ得る。
【0043】
また、上記気体発生剤(b)が、光分解型の気体発生剤の場合には、感光性を高めるために、チオキサントン誘導体やアントラセン誘導体のようなエネルギー移動性増感剤をさらに添加することが好ましい。
【0044】
また、上記気体発生剤(b)には、発泡核剤を含有することにより、分散されている発泡核剤が気泡の発生を助長するために発泡核剤を配合してもよい。
上記発泡核剤としては特に限定されず、例えば、アエロジル、フュームドシリカ等のシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム等からなるフィラー等が挙げられる。
【0045】
上記発泡核剤の大きさとしては特に限定されないが、1μm以下が好ましい。1μmより大きいと、発泡核剤を微細かつ均一に分布させることができないためである。
【0046】
(粒子状物質(c))
本発明でいう粒子状物質(c)とは、エネルギーが与えられることにより気体を発生あるいは膨張する粒子状物質をいう。
【0047】
このようなものとしては、粒子状気体発生剤、熱膨張性マイクロカプセル等が挙げられる。
また、粒子状物質に与えられるエネルギーとしては、気体発生剤(b)に与えられるエネルギーと同様のものを粒子状物質(c)の種類に応じて用いることができ、かつ同様のエネルギー発生装置を用いることができる。
【0048】
上記粒子状気体発生剤としては、本発明の硬化性組成物に溶解しないものであれば特に限定されず、例えば、粘着剤としてアクリル系粘着剤を用いる場合には、アゾジカルボンアミド等のアゾ化合物、ヒドラゾジカルボンアミド等のヒドラジン化合物、N,N′−ニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物等が好適である。
【0049】
上記熱膨張性マイクロカプセルとしては、特に限定されず、熱を与えることにより膨張するものが挙げられ、中でもポリマーの軟化温度以下でガス状になる揮発性膨張剤を内包する熱膨張性マイクロカプセルが好ましい。
【0050】
また、上記粒子状気体発生剤の配合量としては特に限定されないが、本発明の接着性物質100重量部に対して好ましい下限は1重量部、好ましい上限は30重量部である。30重量部を越えると、本発明の硬化性物質が発泡体となってしまうことがある。
【0051】
気体発生剤(b)及び/または粒子状物質(c)は、硬化性組成物100重量部中に合計で0.01〜30重量部の割合で含有されていることが好ましい。0.01重量部未満の場合には、気体発生剤(b)及び/または粒子状物質(c)を含有させた効果が十分に得られず、硬化物が十分に膨張し難いことがある。30重量部を越えると、気体発生量が過剰となり、硬化被膜表面が破れ、硬化物の外観不良を生じることがある。また、気体発生剤の硬化物の物性への影響が著しくなり、十分な破断伸びやゴム弾性が得られないことがある。
【0052】
好ましくは、気体発生剤(b)及び/または粒子状物質(c)は、硬化性組成物100重量部中1〜20重量部、より好ましくは2〜15重量部の割合で配合されることが望ましい。
【0053】
(プライマー組成物)
本発明におけるプライマー組成物は、一般的にプライマー組成物に使用され得る樹脂に、上記気体発生剤(b)及び/または粒子状物質(c)を配合して調製することができる。
【0054】
上記プライマー組成物の形態は、特に限定されず、水系あるいは水分散液、有機溶剤あるいは有機溶剤分散液のいずれでもかまわないが、臭気等のないことから水及び/またはアルコール系が好ましい。
【0055】
上記樹脂としては、上記有機重合体(a)が好ましく、それ以外の樹脂としては、特に限定されず、ポリエーテル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリサルファイド系樹脂、(メタ)アクリル酸系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂、ゴム等が挙げられる。
【0056】
気体発生剤(b)及び/または粒子状物質(c)は、上記プライマー組成物100重量部中に、合計で0.01〜80重量部の割合で添加されることが好ましい。
【0057】
(層状珪酸塩)
本発明では、好ましくは、硬化性組成物中に層状珪酸塩を配合することにより、1)上記有機重合体(a)のガスバリア性を高めることができ、これによって、上記気体発生剤(b)や粒子状物質(c)から発生したガスを硬化性組成物からなる硬化被膜の外に逃がすことなく、硬化被膜と被着体の間に閉じ込めることが可能となり、効率よく硬化被膜と被着体とを剥離することができる、特にプライマーに上記気体発生剤(b)や粒子状物質(c)を用いた場合より効果が高い、2)後述する紫外線吸収剤及び光安定剤と併用することにより耐候性を長時間良好に保つことができる。
【0058】
本発明で好ましくは用いられる層状珪酸塩とは、層間に交換性陽イオンを有する珪酸塩鉱物を意味する。本発明で用いられる層状珪酸塩としては特に限定されず、例えば、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイト等のスメクタイト系粘土鉱物、バーミキュライト、ハロイサイト、膨潤性マイカ等が挙げられる。中でも、モンモリロナイト、膨潤性マイカが好ましい。上記層状珪酸塩は天然物または合成物のいずれであってもよく、これらの1種または2種以上を用い得る。
【0059】
上記層状珪酸塩としては、下記式により定義される形状異方性効果が大きいスメクタイト類や膨潤性マイカを用いることが、硬化性組成物の機械強度向上やガスバリヤ性向上の点からより好ましい。なお、層状珪酸塩の結晶表面(A)及び結晶端面(B)を図1に模式的に示す。
【0060】
形状異方性効果=結晶表面(A)の面積/結晶端面(B)の面積
【0061】
図2に示すように、上記層状珪酸塩の層間に存在する交換性陽イオンとは、結晶表面上のナトリウム、カルシウム等のイオンであり、これらのイオンは、カチオン性物質とイオン交換性を有するので、カチオン性を有する種々の物質を上記層状珪酸塩の層間に捕捉(インターカレート)することができる。
【0062】
上記層状珪酸塩の陽イオン交換容量としては特に限定されないが、50〜200ミリ等量/100gであるのが好ましい。50ミリ等量/100g未満であると、イオン交換により結晶層間に捕捉(インターカレート)できるカチオン性界面活性剤の量が少なくなるので、層間が十分に非極性化されないことがある。一方、200ミリ等量/100gを超えると、層状珪酸塩の層間の結合力が強固となり、層状珪酸塩の各層を構成している結晶薄片間の距離を増大し難くなることがある。
【0063】
上記層状珪酸塩は、有機重合体(a)100重量部に対して、0.1〜100重量部配合される。さらに好ましくは、0.5〜50重量部、特に好ましくは、1〜10重量部である。0.1重量部未満では硬化物の耐候性向上や難燃化などの作用が発現され難く、10重量部を越えると、硬化性組成物の粘度が高くなり作業性、生産性が低下することがある。
【0064】
なお、ベース樹脂とは、上記有機重合体(a)であり、上記層状珪酸塩は、広角X線回折測定法により測定した(001)面の平均層間距離が3nm以上であり、5層以下で存在しているものを含んで分散しているものが好ましい。平均層間距離が3nm以上であり、5層以下で分散していると、硬化性組成物の耐候性、難燃性の性能発現に有利となる。
【0065】
なお、本明細書において、層状珪酸塩の平均層間距離とは、微細薄片状結晶を層とした場合の平均の層間距離であり、X線回折ピーク及び透過型電子顕微鏡撮影により、すなわち、広角X線回折測定法により算出できるものである。3nm以上に層間が開裂し、5層以下で存在しているものを含んで分散している状態は、層状珪酸塩の積層体の一部または全てが分散していることを意味しており、層間の相互作用が弱まっていることによる。
【0066】
さらに、層状珪酸塩の平均層間距離が6nm以上であると、難燃性、機械物性、耐熱性等の機能発現に特に有利である。平均層間距離が6nm以上であると、層状珪酸塩の結晶薄片層が層毎に分離し、層状珪酸塩の相互作用がほとんど無視できるほどに弱まるので、層状珪酸塩を構成する結晶薄片の樹脂中での分散状態が剥離安定化の方向に進行する。すなわち、層状珪酸塩が1枚づつ薄片状に乖離した状態で硬化性組成物中に安定化されて存在することとなる。
【0067】
層状珪酸塩の分散状態としては、ベースとなる樹脂中において層状珪酸塩の薄片状結晶が高度に分散していることが好ましい。より具体的には、層状珪酸塩の10重量%以上が5層以下で存在している状態に分散されていることが好ましく、より好ましくは、層状珪酸塩の20重量%以上が5層以下の状態で存在していることが望ましい。さらに、分散している薄片状結晶の積層数が5層以下であれば、層状珪酸塩の添加による効果が良好に得られるが、3層以下であればより好ましく、単層状に分散していることがさらに望ましい。
【0068】
本発明の層状珪酸塩は、4級アンモニウム塩で処理されてなる層状珪酸塩であることが好ましい。4級アンモニウム塩で処理することにより、層状珪酸塩の上記ベース樹脂中への分散性を向上させることができるからである。また、4級アンモニウム塩は上記ビニル系重合体の架橋反応に対する触媒作用があることが知られており、層状珪酸塩と共に上記ベース樹脂中に分散することにより分散性の向上と共に硬化速度を促進させることも可能となる。
【0069】
上記4級アンモニウム塩としては、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、トリオクチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウム塩、ジ硬化牛脂ジメチルアンモニウム塩、ジステアリルジベンジルアンモニウム塩、N−ポリオキシエチレン−N−ラウリル−N,N−ジメチルアンモニウム塩等が挙げられ、これらの4級アンモニウム塩は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。上記の中でも、良好な分散性が得られることから、炭素数6以上のアルキル鎖またはポリオキシアルキレン鎖を有する4級アルキルアンモニウムイオン塩が好ましい。
【0070】
層状珪酸塩の分散には各種攪拌機を用いることができるが、分散しにくい場合には3本ロール等の高剪断がかかる装置を用いて分散を行うと所望の分散状態を得やすい場合がある。
【0071】
(紫外線吸収剤及び光安定剤)
本発明の硬化性組成物には、耐候性を向上させるために各種紫外線吸収剤や光安定剤を配合することが好ましい。層状珪酸塩との併用により、層状珪酸塩が各種紫外線吸収剤や光安定剤のブリードアウトを抑制するように作用するため、硬化物中にこれらが長期にわたって保持されるためである。
【0072】
上記紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系等の公知の紫外線吸収剤が挙げられ、中でもベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が紫外線吸収性能が高いので好ましい。上記紫外線吸収剤を配合する場合には、上述した有機重合体(a)100重量部に対して、0.1〜20重量部、より好ましくは、0.5〜10重量部配合されているのが好ましい。0.1重量部よりも少ないと耐候性の向上効果が不十分であることがあり、20重量部を越えると、呈色によりシーリング材としての外観を損なう等の問題を生じる。
【0073】
上記光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系光安定剤が用いられる。ヒンダードアミン系光安定剤は、一般に紫外線吸収剤と併用すると優れた効果を発揮する。上記ヒンダードアミン系光安定剤(以下、光安定剤)の中でも、下記一般式(A)で示される構造を有する基を分子中に有するものが、層状珪酸塩と併用すると特に著しい効果がある。このようヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート、ポリ[{6−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)イミノ}]等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、2種以上併用されてもよい。
【0074】
層状珪酸塩との併用による耐候性効果は、光安定剤のブリードアウト防止効果が主であると考えられる。すなわち層状珪酸塩が組成物中で光安定剤と相互作用し、光安定剤が系から散逸するのを防いでいる為であると考えられる。また、相互作用の中でも層状珪酸塩がブリードアウトを阻害する板のように作用することにより、光安定剤のブリードアウトが抑制されると考えられる。光安定剤の中でも下記一般式(A)で示される構造を有する基を分子中に有するものが特にその効果が著しいのは、N原子に結合したH原子が関与しているものと推察される。
【0075】
【化2】
Figure 2004292619
【0076】
上記光安定剤を配合する場合には、上記有機重合体(a)100重量部に対して、0.1〜20重量部、より好ましくは0.5〜10重量部配合されているのが好ましい。0.1重量部よりも少ないと、耐候性の向上効果が不十分であることがあり、20重量部を越えると着色の問題が生じ、シーリング材としての外観を損なうことがある。
【0077】
(その他の添加物)
本発明の硬化性組成物及びプライマー組成物には、本発明の目的より効果を阻害しない限り、ビニル系重合体(a1)の硬化促進剤、組成物の粘性特性を調整する粘度調整剤、チキソトロープ剤、引張特性などを改善する物性調整剤、増量剤、補強剤、可塑剤、着色剤、難燃剤、酸化防止剤、たれ防止剤、老化防止剤、溶剤、香料、顔料、染料、脱水剤などを添加してもよい。
【0078】
ビニル系重合体(a1)の硬化促進剤としては、例えば、有機金属化合部を用いることができる。好適に用いることの出来る有機金属化合物として、ゲルマニウム、錫、鉛、硼素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、チタニウム、ジルコニウム等の金属元素と有機基を置換してなる有機金属化合物を挙げることが出来る。例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫フタレート、ビス(ジブチル錫ラウリン酸)オキサイド、ジブチル錫ビスアセチルアセトナート、ジブチル錫ビス(モノエステルマレート)、オクチル酸錫、ジブチル錫オクトエート、ジオクチル錫オキサイド等の錫化合物、テトラ−n−ブトキシチタネート、テトライソプロポキシチタネート等のチタネート系化合物、これらは単独または2種以上を併用して使用することが出来る。
【0079】
粘度調整剤としては、例えば、ビニル系重合体(a1)との相溶性の良い高分子化合物から選ばれ、配合される化合物から適宜選択される。例えば、アクリル系高分子、メタクリル系高分子、ポリビニルアルコール誘導体、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン誘導体、ポリエステル類、ポリエーテル類、ポリイソブテン、ポリオレフィン類、ポリアルキレンオキシド類、ポリウレタン類、ポリアミド類、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、NBR、SBS、SIS、SEBS、水添NBR、水添SBS、水添SIS、水添SEBS等を挙げることができる。また、これら共重合体、官能基変成体を挙げることができし、これらを適宜組み合わせてもよい。
【0080】
チキソトロープ剤としては、組成物がチキソトロピー性を発現するような物質から適宜選ばれる。例えば、コロイダルシリカ、ポリビニルピロリドン、疎水化炭酸カルシウム、ガラスバルーン、ガラスビーズ等を挙げることができる。チキソトロープ剤の選択については、ビニル系重合体(a1)親和性の高い表面を有することが望ましい。
【0081】
引っ張り特性を改善する物性調整剤としては、各種シランカップリング剤として、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N’−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ヘキサエチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ヘキサエチレンジアミン等を挙げられ、これらは単独または2種以上併用してもかまわない。
【0082】
増量剤としては、本発明に係る組成物中に添加してチキソトロープ性を発現しないものが好適に利用でき、例えば、タルク、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水珪素、含水珪素、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、カーボンブラック等を挙げられ、これらは単独または2種以上併用してもかまわない。
【0083】
可塑剤としては、例えば、リン酸トリブチル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル類、フタル酸ジオクチル等のフタル酸エステル類、グリセリンモノオレイル酸エステル等の脂肪酸−塩基酸エステル類、アジピン酸ジオクチル等の脂肪酸二塩基酸エステル類、ポリプロピレングリコール類等を挙げられ、これらは単独または2種以上併用してもかまわない。
【0084】
(接着構造体及び剥離方法)
本発明に係る接着構造体は、上述した本発明に係る硬化性組成物からなるシーリング材及び/または接着剤を介して少なくとも2つの被着体が貼り合わされていることを特徴とし、この要件を満たす限り、特に限定されるものではない。
【0085】
好ましくは、少なくとも2つの被着体が貼り合わされる際に、被着体の表面に本発明に係るプライマー組成物が塗布された状態で、少なくとも2つの被着体が接着剤を介して貼り合わされて接着構造体が構成されている。
【0086】
また、好ましくは、少なくとも2つの被着体が貼り合わされる際に、被着体の表面に本発明に係るプライマー組成物が塗布され、本発明に従って構成されたシーリング材及び/または本発明に従って構成された接着剤を介して少なくとも2つの被着体が貼り合わされた接着構造体も好適に用いられる。
【0087】
本発明に係る接着構造体の剥離方法では、上述のようにして構成された接着構造体にエネルギーが付与され、それによって被着体間の接着力が低下される。従って、被着体同士を容易に剥離することができる。
【0088】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施例を説明することにより、本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0089】
(参考例1、ビニル系重合体(a1)の調製)
撹拌機、冷却器、温度計及び窒素ガス導入口を備えた2Lセパラブルフラスコに、n−ブチルアクリレート100g、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製、品番:KBM−503)0.5g、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製、品番:KBM−803)0.2g、ラウリルメルカプタン(和光純薬社製)0.1g及び酢酸エチル100gを投入して、混合した。モノマー混合溶液を窒素ガスを用いて20分間バブリングすることによって溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ系内を窒素ガスで置換し、撹拌しながら環流に達するまでに昇温した。環流した後、重合開始剤として1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.024gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液を、重合系に投入した。1時間後、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.036gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液を投入した。さらに、重合開始後、2、3及び4時間後に、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド0.048g,0.12g,及び0.36gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液をそれぞれ投入した。一回目の重合開始剤投入から7時間後、室温まで冷却し重合を終了させた。数平均分子量約5万(ゲルパーミエションクロマトグラフィーによる、分子量はポリスチレン換算)のアルコキシシリル基含有アクリル重合体の酢酸エチル溶液を得た。平均シリル基数は1.51であった。
【0090】
上記ビニル系重合体(a1)の酢酸エチル溶液100gに、ポリプロピレングリコール(和光純薬社製、分子量3000)50g、表面処理された炭酸カルシウム(白石カルシウム社製、商品名:ビスコライトU)30g、重質炭酸カルシウム(白石カルシウム社製、ホワイトンP30)70g、硬化促進剤(ジブチル錫ジラウリレート)2gとを加え、密封された攪拌機で均一になるまで混合し、しかる後、10分間減圧脱泡し、白色ペースト状の硬化性組成物を得た。
【0091】
得られた硬化性組成物を、ポリエチレン板上に、膜厚が2.5mmとなるように塗工し、しかる後、以下の要領でゴム物性を評価した。
【0092】
[ゴム物性]
20℃、相対湿度50%雰囲気下で7日間養生させた上記参考例1で得られたゴム状シートをJIS K 6301に準じて、3号ダンベル形状でクロスヘッドスピード500mm/分で引っ張り試験を行い、破断伸び(%)と破断応力(N/mm)を評価した。
【0093】
その結果、破断伸びは550%、破断応力は0.25N/mmであった。
(実施例1)
上記参考例で調製した白状ペースト100gに対し、アゾビスイソブチロニトリル(和光純薬社製、AIBN)5gとジエチルチオキサントン(日本化薬社製、DETX)1gとを酢酸エチル10gに溶解させた溶液を加え、均一に混合後、減圧下で酢酸エチルを除去して、実施例の硬化性組成物を得た。
【0094】
横巾10mm×縦30mm×深さ10mmの溝を持つモルタル板を用いて、溝に上記硬化性組成物を充填し、20℃及び相対湿度50%の環境下で14日間養生したところ、十分なゴム状硬化物が充填された溝となった。さらに、20℃及び相対湿度50%で30日間、ゴム状硬化物が充填されたモルタル板を養生した。僅かながら、硬化物の被膜が最大約0.1mm湾曲していた。この硬化物皮膜にスポット型紫外線照射装置(高圧水銀灯)を用いて、365nmの波長における照度が40mW/cmとなるように紫外線を120秒間照射したところ、硬化物の被膜は平坦になった。また、別に用意した充填サンプルについて、紫外線の替わりに、遠赤外線ヒーターを用いて、150℃、10分間加熱したところ、硬化物の被膜は平坦になった。
【0095】
(比較例)
上記参考例1で調製した白状ペースト100gを横巾10mm×縦30mm×深さ10mmの溝を持つモルタル板の溝に充填し、20℃及び相対湿度50%の環境下で14日間養生した。その結果、十分なゴム状硬化物が充填された溝となった。さらに、20℃及び相対湿度50%で30日間、ゴム状硬化物が充填されたモルタル板を養生した。僅かながら、硬化物の被膜が最大約0.1mm湾曲していた。この硬化皮膜にスポット型紫外線照射装置(高圧水銀灯)を用いて、365nmの波長における照度が40mW/cmとなるように紫外線を120秒間照射、若しくは、遠赤外線ヒーターを用いて、150℃、10分間加熱した。硬化物の被膜の湾曲加減に変化は見られなかった。
【0096】
(実施例2)
硬化性組成物調製の際に、層状珪酸塩ソマシフMPE−100(ポリオキシプロピレンジエチル4級アンモニウム塩で有機処理した膨潤性フッ素雲母、コープケミカル社製)10g、チヌビン770(ヒンダードアミン系光安定剤、チバスペシャリティーケミカルズ社製)5g、チヌビン327(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、チバスペシャリティーケミカルズ社製)5gを加えたこと以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物を得た。
【0097】
〔層状珪酸塩の平均層間距離の測定〕
実施例2で得られた硬化性組成物における層状珪酸塩の平均層間距離を以下のようにして測定した。
【0098】
X線回折測定装置(リガク社製、RINT1100)により、層状珪酸塩の積層面の回折により得られる回折ピークの2θを測定し、下記のブラックの回折式を用いて層状珪酸塩の(001)面間隔を算出した。以下のdを平均層間距離とし、平均層間距離が3nm以上と良好に分散していた。
【0099】
λ=2dsinθ
なお、式中において、λ(nm)=0.154、d(nm)は層状珪酸塩の面間隔、θ(度)は回折角である。
【0100】
〔層状珪酸塩の分散状態の確認〕
透過型電子顕微鏡(TEM、日本電子社製「JEM−1200EX II」)写真により、硬化物中の層状珪酸塩の分散状態を観察して、5層以下で存在していた。
【0101】
耐候性評価
〔評価〕
上記実施例1及び2で得られた硬化性組成物の下記方法で耐候性を評価した。各配合組成物を50mm×150mm(厚み1mm)のステンレス板に0.5mm厚みで塗布し、20℃×60%RHの雰囲気下で7日間(168時間)放置して養生硬化させた後、下記条件で150時間及び400時間光照射を行い、表面状態を目視で確認し、クラックの無いものを○と判定した。
【0102】
・光照射条件
試験装置:アイスーパーUVテスター(SUV−F11型)、岩崎電気(株)製
照射強度:100mW/cm
限定波長:295nm〜450nm
ブラックパネル温度:63℃
照射距離:235mm(光源と試料間)
なお、アイスーパーUVテスターによる光照射評価は、材料系や試験条件によっても変動するので一概には言えないが、通常サンシャインウエザオメーターによる評価よりも、10倍程度の過酷な促進効果があるとされている。結果を下記の表1に示す。
【0103】
【表1】
Figure 2004292619
【0104】
【発明の効果】
本発明に係る硬化性組成物では、架橋可能な加水分解性シリル基含有有機重合体(a)と、エネルギーの付与により気体を発生する気体発生剤(b)及び/または粒子状物質(c)とを含むため、雰囲気中の湿気により速やかに効果し、耐久性及び弾力性に優れた硬化物が得られる。しかも、硬化後に体積収縮を起こしたとしても、エネルギーを付与することにより、気体発生剤(b)及び/または粒子状物質(c)が気体を発生し、あるいは粒子状物質(c)が膨張し、硬化物の体積を膨張させる。従って、収縮による歪みを上記膨張により解消することができる。よって、シーリング材や接着剤の硬化収縮による外観不良を低減することができ、施工部分における外観性に優れたシーリング材及び接着剤を提供することができる。
【0105】
また、シーリング材や接着剤の充填が難しい部分では、充填後に隙間が生じたとしても、本発明に係る硬化性組成物を用いた場合には、エネルギーの付与により硬化物が膨張され、隙間を確実に埋めることができる。
【0106】
さらに、本発明に係る硬化性組成物では、エネルギーの付与により気体が発生されるが、この気体が硬化物と被着体との間の隙間に移動し、硬化物を被着体から容易に剥離させることもできる。すなわち、易剥離性の接着剤としても本発明に係る硬化性組成物を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】層状珪酸塩の薄片状結晶の結晶表面(A)及び結晶端面(B)を説明するための模式図。
【図2】層状珪酸塩の層間の交換性陽イオンを説明するための模式図。

Claims (13)

  1. 架橋可能な加水分解性シリル基を含有する有機重合体(a)と、エネルギーが与えられることにより気体を発生する気体発生剤(b)及び/またはエネルギーが与えられることにより気体を発生あるいは膨張する粒子状物質(c)とを含むことを特徴とする、硬化性組成物。
  2. 気体発生剤(b)が、光または熱により気体を発生するアゾ化合物である、請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 気体発生剤(b)が、硬化性組成物100重量部中に0.01〜30重量部の割合で含有されている、請求項1または2に記載の硬化性組成物。
  4. 層状珪酸塩がさらに配合されている、請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性組成物。
  5. 有機重合体の主鎖が、本質的にビニル系重合体(a1)及び/またはポリエーテル系重合体(a2)からなる請求項1〜4に記載の硬化性組成物。
  6. 上記有機重合体(a)が、有機過酸化物を重合開始剤としてラジカル重合により得られた有機重合体である、請求項1〜5のいずれかに記載の硬化性組成物。
  7. エネルギーが与えられることにより気体を発生する気体発生剤(b)及び/またはエネルギーが与えられることにより発泡する粒子状物質(c)を含むプライマー組成物。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性組成物からなることを特徴とするシーリング材。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性組成物からなることを特徴とする接着剤。
  10. 少なくとも2つの被着体が、請求項8に記載のシーリング材及び/または請求項9に記載の接着剤を介して貼り合わされてなる接着構造体。
  11. 少なくとも2つの被着体が、貼り合わされる際に、被着体の表面に請求項7に記載のプライマー組成物が塗布され、接着剤を介して貼り合わされてなる接着構造体。
  12. 少なくとも2つの被着体が、貼り合わされる際に、被着体の表面に請求項7に記載のプライマー組成物が塗布され、請求項8に記載のシーリング材及び/または請求項9に記載の接着剤を介して貼り合わされてなる接着構造体。
  13. 請求項10〜12に記載の接着構造体に、エネルギーを与えることにより、被着体間の接着力を低下させる接着構造体の剥離方法。
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