JP2014101496A - 接着性組成物およびその接着方法、並びに接着後の剥離方法 - Google Patents

接着性組成物およびその接着方法、並びに接着後の剥離方法 Download PDF

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Abstract

【課題】半導体デバイス製造時、特にシリコン貫通電極(TSV)加工時にシリコン基板を、サポ−ト基板に接着させ、次に剥離させる際、接着及び剥離は迅速な接着作業で行え、且つ研磨等の機械的処理に耐える接着力を提供する。
【解決手段】重合性基を有するかご型シルセスキオキサン、重合開始剤及び紫外線吸収発泡剤を含有する接着性組成物を用い接着し、その後、剥離する。重合性基が、アクリロイル基、メタクリロイル基およびビニル基からなる群より選ばれる。紫外線吸収発泡体がジケトン化合物又はジアゾニウム塩であり、シリコン基板とガラス基板とを接着させる。接着させるには波長300〜900nmの光を照射して、接着性組成物を硬化させ基板同士を接着させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、接着性組成物およびその接着方法、並びに接着後の剥離方法に関する。特に、集積回路(Integrated Circuit 以下、ICと呼ぶことがある)パターンが形成された半導体デバイス製造用の接着性組成物およびその接着方法、および接着後の剥離方法に関し、さらに半導体チップを厚み方向に積層させて半導体デバイスの高集積化をはかる3次元実装技術に有用な接着性組成物およびその接着方法、および接着後の剥離方法に関する。特に好ましくは、積層する半導体チップ間を電気的に接続するためのシリコン貫通電極(Through Silicon Via、以下、TSVと呼ぶことがある)を用いた半導体デバイスの製造において、半導体チップが形成されたシリコン基板を研磨する際にシリコン基板を支持するためにガラス基板と貼り合わせる、接着性組成物およびその接着方法、並びに接着後の剥離方法に関する。
半導体デバイスにおいて、ICパタ−ンを微細化することで、小型化、多機能化および高速化等の高性能化がなされてきた。しかしながら、ICパタ−ンの微細化は技術的限界が懸念されており、2次元配置の半導体チップを厚み方向へ積層させ3次元配置とし、半導体チップを3次元実装することで、微細化によらずに半導体デバイスの高集積化をはかる3次元実装技術が注目されており、例えば、非特許文献1に3次元Large Scale Integration(以下、LSIと呼ぶことがある)実装のためのTSV技術の研究開発動向が報告されている。
3次元実装において、LSI等の集積度の高い半導体デバイスからなる複数の半導体チップを金属細線のワイヤボンディングによって電気的に接続させて1つの半導体デバイスとしてパッケ−ジングする、System in Package(以下、SiPと呼ぶことがある)と呼ばれる3次元実装技術が実用化されている。しかしながら、SiPによる半導体チップの3次元実装において、半導体チップの外側にワイヤボンディングを行うためのスペ−スが必要となる。スペ−スを必要とすることは、半導体チップの小型化に不利である。当該スペ−スをなくして、さらに集積度を高める技術として、半導体チップ内を縦方向に貫通したシリコン貫通電極(TSV)を用いた3次元実装技術がある。
TSVを用いた3次元実装技術において、半導体チップを積層させた半導体デバイスにTSVを得るための基板加工は、例えば、ICパタ−ンが形成されたシリコン基板に穴溝を掘る工程、次いでシリコン基板の裏面を薄く研磨し、穴溝が貫通した貫通孔を得る工程、その後、貫通孔を得たシリコン基板を貼り合わせ積層した半導体デバイスを得る工程を有する。その後、貫通孔にTSVを形成する。
このうち、シリコン基板の裏面を薄く研磨し貫通孔を得る工程では、ICパタ−ンが形成されたシリコン基板を、サポ−ト基板とよばれる支持体上に接着剤で貼りつけた状態で研磨する必要がある。サポ−ト基板には、通常、入手しやすく安価なことよりガラス基板が用いられる。裏面を研磨し薄くなったシリコン基板を、サポ−ト基板より取り外し積層させて、貫通孔にTSVを加工して半導体チップが3次元実装される。このようして、ICパタ−ンを形成した半導体チップを積層させた半導体デバイスが得られる。
前記工程で用いられる接着剤に要求される特性としては、シリコン基板とサポ−ト基板を良好に接着させること、耐熱性があること、およびシリコン基板を研磨し穴溝加工部を貫通孔として、シリコン基板からサポ−ト基板を剥離させた後に、シリコン基板側に接着剤の付着した接着残渣がないこと、またはあったとしても容易に除去できることが挙げられる。この際、シリコン基板からサポ−ト基板を剥離させる剥離方法は、簡便であることが好ましい。
特許文献1〜4に、TSV形成に使用可能な接着剤が開示されている。
例えば、特許文献1には、特定の熱可塑性組成物を溶媒に分散または溶解させたものであり、アクティブウエハをキャリアウエハまたは基板に接合して、その後の処理や取り扱い中にアクティブウエハまたはその活性部位を保護するのに有用である、接合用組成物(接着剤)の使用方法が開示される。接合用組成物は接合層を形成し、当該接合層は、耐薬品性および耐熱性を有し、製造工程の適切な段階でウエハをスライドさせて離間させることができるように軟化させることができるとされる。離間(剥離)時には接合用組成物を高温で軟化させたまま、機械的な力で2枚の基板を剥離させ、最後にシリコン基板に付着した接着残渣を溶剤で洗浄している。
また、特許文献2には、マレイミド基を有するモノマ−を含んでいる単量体組成物を共重合してなるポリマ−を主成分とする接着剤組成物であって、熱重合禁止剤をさらに含んでいることを特徴とする接着剤組成物が開示されており、剥離時に2枚の基板を有機溶剤へ浸漬させ、剥離すると同時に接着剤を溶解させている。
また、特許文献3には、逆に装着されたデバイスウエハをキャリヤ−基板から分離する方法および装置が開示されている。本方法は、ウエハであるシリコン基板の外周部分のみに接着剤を使用し、シリコン基板の内側は接着力を発現しない樹脂を用い支持して、接着残渣が内側には発生しないようにしている。
また、特許文献4には、高い接着力を有する一方で容易に剥離でき、かつ、耐熱性にも優れる接着剤組成物およびそれを用いた接着テ−プを提供することを目的として、重合性ポリマ−と光重合開始剤とを含有する光硬化型接着剤からなる接着成分とテトラゾ−ル化合物またはその塩とからなる接着剤組成物、当該接着剤組成物を用いた接着テ−プが開示されている。本接着テ−プは、光を照射することにより、テトラゾ−ル化合物またはその塩から気体(窒素)が発生し、発生した気体により柔らかい接着剤成分の全体が発泡して表面に凹凸が形成されることにより剥離応力が発生し、また被着体との接着面積が減少して剥離する。
特表2010−531385号公報 特開2010−24435号公報 特開2012−4522号公報 特開2012−67317号広報
吉永孝司、Science & Technology Trends,April,2010,p.23〜p.34 J.Strating、Tetrahedron Letters、No.5、1969、p.125〜p.128 Hidemitsu Uno、Tetrahedron Letters、46、2005、p.1981〜p.1983 Hiroko Yamada、Chem.Eur.J.、2005、11、p.6212〜p.6220
半導体デバイス製造時、特にシリコン貫通電極(TSV)加工時に、シリコン基板をサポート基板に接着し、所定の加工後に剥離させた場合に、シリコン基板上に接着残渣が残り、接着残渣を除去する必要の生じることがあった。接着剤には、接着が迅速に行え、接着後の基板研磨等の機械的処理に耐える接着力および耐熱性、所定の加工後には容易に剥離可能なことが要求される。
本発明は、上記要求を満たす接着性組成物およびその接着方法、および接着後の剥離方法を提供することを目的とする。
本発明は以下の発明1〜9を含む。
[発明1]
重合性基を有するかご型シルセスキオキサン、重合開始剤および紫外線吸収発泡剤を含有する接着性組成物。
[発明2]
重合性基が、アクリロイル基、メタクリロイル基およびビニル基からなる群より選ばれる少なくとも一種の基を含む重合性基である、発明1の接着性組成物。
[発明3]
紫外線吸収発泡剤が、ジケトン化合物またはジアゾニウム塩である、発明1または発明2の接着性組成物。
[発明4]
発明1〜3の接着性組成物を基板間に挟み、その接着性組成物に光を照射して接着性組成物を硬化させ基板同士を接着させる、接着方法。
[発明5]
基板同士を接着させることが、シリコン基板とガラス基板を接着させることである、発明4の接着方法。
[発明6]
接着するために十分な時間、波長300nm以上、900nm以下の光を照射して接着性組成物を硬化させ基板同士を接着させる、発明4または発明5の接着方法。
[発明7]
60℃以上、200℃以下に加熱して基板同士を接着させる、発明4または発明5の接着方法。
[発明8]
ガラス基板に光重合性基を有するアルコキシシランの加水分解縮合物を接着面に塗布する工程を含む、発明4〜7の接着方法。
[発明9]
発明1〜3の接着性組成物を用い接着されたシリコン基板とガラス基板に、波長200nm以上、420nm以下の光を照射して紫外線吸収発泡剤を発砲させて剥離する、シリコン基板とガラス基板の剥離方法。
本発明の接着性組成物による接着は、接着性組成物に、光を照射して硬化させることで行え、基板等の接着を迅速に行うことができる。例えば、ガラス基板とシリコン基板の間に接着性組成物を配置させた後、ガラス基板側より光を照射し接着性組成物を硬化させることで、ガラス基板とシリコン基板を接着させる。
本発明の接着性組成物により接着された接着物は、紫外線を照射することで、接着性組成物中の紫外線吸収発泡剤が紫外線の作用で化学変化して気体を発生し、接着性組成物中で発泡することで、接着物を分離させることができる。例えば、接着物がシリコン基板とガラス基板であれば、紫外線照射により離間(剥離)させることが可能であり、剥離後に接着残渣は、少なくとも目視ではシリコン基板上に確認されない、即ち、残らないという効果がある。
ガラス基板とシリコン基板の接着および剥離工程の説明図であり、(A)が接着前の概略図であり、(B)が接着後の概略図であり、(C)が剥離後の概略図である。
本発明の接着性組成物およびその使用方法、接着後の剥離方法は、光照射または加熱によって迅速な接着を行うことができ、接着後の基板は研磨等に耐える接着力および耐熱性を有し、さらに不要時には、光照射によって容易に剥離することができるので、例えば、半導体デバイス製造用途に適し、好ましくは半導体デバイス製造用の接着性組成物およびその接着方法、および接着後の剥離方法に採用される。さらに好ましくは、シリコン貫通電極(TSV)を有する半導体デバイス製造用の接着性組成物およびその使用方法、接着後の剥離方法に採用される。尚、本発明において、紫外線吸収発泡剤とは、波長200nm以上、380nm以下の近紫外線または380nm以上、420nm以下の紫外線近傍領域の光を照射すると、吸収した光の作用により、気体を発生して、発泡する発泡剤を指す。以下、特に断らない限りは、波長200nm以上、420nm以下の光を、単に紫外線と呼ぶ。本発明の接着性組成物およびその使用方法、接着後の剥離方法について、以下に説明する。
図1に示すように、シリコン基板Gとガラス基板Gを接着させ、剥離させる際に、接着性組成物として、重合性基を有するかご型シルセスキオキサン、重合開始剤および発泡剤を含有する接着性組成物を用いて、ガラス基板G上に塗布層1が形成されたガラス基板Gを用いれば、シリコン基板Gとガラス基板Gを光または熱で迅速に接着させ、紫外線の照射によって、シリコン基板上に接着残渣を残さずに剥離させることができる。また、本発明の接着性組成物は、耐熱性に優れるかご型シルセスキオキサンを用いているため、耐熱性に優れる。
1.接着性組成物
本発明の接着性組成物は、重合性基を有するかご型シルセスキオキサン、重合開始剤および紫外線吸収発泡剤を含む。
本発明の接着性組成物において、重合性基を有するかご型シルセスキオキサンにおける重合性基は、アクリロイル基、メタクリロイル基およびビニル基からなる群より選ばれる少なくとも一つの重合性基であることが好ましく、当該重合性基を有するかご型シルセスキオキサンは従来知られているヒドロシリル化反応によって得ることができる。
本発明の接着性組成物は、重合性基を有するかご型シルセスキオキサンを重合硬化させ接着物を接着するためのラジカルを発生する重合開始剤、接着後に紫外線の作用により、がご型シルセスキオキサンの重合物中で気体を発生し発泡し接着を解除する紫外線吸収発泡剤を含む。
本発明の接着性組成物において使用する重合開始剤には、波長300nm以上、900nm以下の光の照射によってラジカルを発生する光ラジカル重合開始剤を用いることが好ましい。または60℃以上、200℃以下の加熱によってラジカルを発生する熱ラジカル重合開始剤であることが好ましい。光ラジカル重合開始剤、熱ラジカル重合開始剤は、いずれを用いてもよい。
本発明の接着性組成物において使用する紫外線吸収発泡剤は、波長200nm以上、420nm以下の光を照射することで、光の作用により気体を発生し発泡する発泡剤を用いることが好ましい。
以下、本発明の接着性組成物の要素について、それぞれ説明する。
1−1.重合性基を有するかご型シルセスキオキサン
本発明の接着性組成物が含有する、重合基を有するかご型シルセスキオキサンは、以下の一般式で表わされるシロキサン化合物であることが好ましい。
Figure 2014101496
8個のA中、重合性基は1個以上、8個以下である。重合性基は、アクリロイル基、メタクリロイル基またはビニル基であり、残部Aは重合性基を含まない基である。即ち、残部Aは、光照射、例えば、波長300nm以上、900nm以下の光の照射、または加熱、例えば、60℃以上、200℃以下に加熱することによって、ラジカルを発生する重合開始剤に対して不活性な基であり、例えば、二重結合を含まないアルキル基またはアリ−ル基等が挙げられる。
1−2.重合開始剤
本発明の接着性組成物に用いる重合開始剤には、光照射によってラジカルを発生する光ラジカル重合開始剤、または加熱することでラジカルを発生する熱ラジカル重合開始剤を用いることが好ましく、かご型シルセスキオキサンの有する重合性基の種類によって、光ラジカル重合開始剤または熱ラジカル重合開始剤のいずれを使うかを適宜選択することができ、光照射によって接着物を接着する場合は、光ラジカル重合開始剤を用い、加熱して接着物を接着する場合は、熱ラジカル重合開始剤を用いる。
光ラジカル重合開始剤には、分子内の結合が高エネルギ−線の吸収によって開裂してラジカルを生成する分子内開裂型と、3級アミンやエ−テル等の水素供与体を併用することによってラジカルを生成する水素引き抜き型があり、本発明においてはいずれを使用してもよい。例えば、分子内開裂型である2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロン−1−オン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、商品名Darocur1173)は、光照射(特に紫外線領域の光)によって、炭素−炭素結合が開裂することでラジカルを生成する。また、水素引き抜き型としては、ベンゾフェノン、オルソベンゾイン安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、カンファ−キノン等が、水素供与体との2分子反応によって、ラジカルを生成する。これらのラジカルの作用によって、アクリロイル基、メタクリロイル基またはビニル基の二重結合が開裂して重合する。
特にカンファ−キノンは、光の吸収波長が470nm付近に存在しており、本発明の紫外線吸収発泡剤が吸収する波長領域(200nm以上、420nm以下)から外れていることから、本発明の接着性組成物に含まれる重合開始剤として用いるに特に好ましい光ラジカル重合開始剤である。尚、カンファ−キノンを用いる際は、接着を速めるための重合促進剤として、アミン系化合物を併用することが好ましく、例えば、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレ−トが例示できる。
本発明の接着性組成物が含む重合開始剤として光ラジカル重合開始剤は、光を吸収することでラジカルを発生する化合物であれば特に限定されず、市販の光ラジカル重合開始剤を用いることができる。例えば、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製の光ラジカル重合開始剤Darocurシリ−ズから、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(商品名、Darocur1173)、DarocurTPOまたはIrgacureシリ−ズから、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(商品名Irgacure127)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名、Irgacure184)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(商品名、Irgacure2959)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(商品名、Irgacure369、Irgacure379、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(Irgacure379EG)、オキシフェニル酢酸と2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸と2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物(商品名、Irgacure754)、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(商品名、Irgacure907)、Irgacure1700、Irgacure1800、Irgacure1850、Irgacure1870、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(商品名、Irgacure819)、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロ−ル−1−イル)−フェニル)チタニウム(商品名、Irgacure784)またはIrgacure4265を使用することができる。
本発明の接着性組成物に含む光ラジカル重合開始剤に、波長300nm以上、900nm以下の光の吸収効率を向上させる目的で増感剤を添加してもよい。
例えば、光ラジカル重合開始剤に、有機ホウ素化合物である昭和電工株式会社製、商品名、P3B、BP3B、N3B、またはMN3Bと特定の感光色素とを増感剤として加えることで、ラジカルの発生を促進できる。この際の感光色素としては、近赤外吸収色素である、昭和電工株式会社製、商品名、IRTまたはIR13Fが例示できる。
他に、増感剤として、アントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセンまたは2−イソプロピルチオキサントンが例示され、市販の増感剤として、日本化薬株式会社製、商品名、KAYACURE DETX−S、昭和電工株式会社製、商品名、IRT、IR13Fを例示することができる。
熱ラジカル重合開始剤は、分子内の結合が加熱によって開裂してラジカルを生成する化合物であり、アゾ化合物であるアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、または有機過酸化物である過酸化ベンゾイル(BPO)を例示することができる。
また、和光純薬工業株式会社より市販される水溶性アゾ重合開始剤である、商品名、VA−044、VA−046B、V−50、VA−057、VA−060、V−061、VA−067、VA−080またはVA−086、油溶性アゾ重合開始剤である、商品名、V−70、V−65、V−601、V−59、V−40、VF−096、V−30、VAm−110またはVAm−111、高分子アゾ重合開始剤である商品名、VPS−1001、VPE−0201、VPE−0401またはVPE−0601を例示することができる。
また、有機過酸化物としては、日油株式会社製より市販されるジ−t−ブチルパ−オキサイド(商品名、パ−ブチルD)、ジクミルパ−オキサイド(商品名、パ−クミルD)、またはジクミルパ−オキサイド(商品名、パ−クミルD−40)を例示することができる。特にジクミルパ−オキサイドは、ラジカル発生時に二酸化炭素等の気体を副生しないことから、熱ラジカル重合開始剤として特に好ましく使用される。
1−3.紫外線吸収発泡剤
本発明の接着性組成物には、気体を発生する紫外線吸収発泡剤を用いる。当該紫外線吸収発泡剤は、波長200nm以上、420nm以下の光である紫外線を吸収し、紫外線の作用によって化学変化し、気体を発生する化合物であり、例えばジケトン骨格を有する有機化合物、またはジアゾニウム塩(−N )が挙げられる。
ジケトン骨格を有する有機化合物には、以下に示す化学構造(2)であるアントラセンジケトン、化学構造(3)であるペンタセンジケトンを含む。これらの化合物は、非特許文献2、3、4において、合成方法が開示されている既知の化合物である。
Figure 2014101496
Figure 2014101496
ジアゾニウム塩には、4−ジアゾジフェニルアミンスルファ−トまたはp−モルホリノベンゼンジアゾニウムテトラフルオロほう酸塩が例示できる。
1−4.その他、添加剤
本発明の接着性組成物に、シリコン基板と接着性組成物の接着力を向上させる等、接着力を制御する目的で、極性基を有する化合物を添加しても良い。例えば、メタクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、ペンタエリスリト−ルトリアクリレ−ト(大阪有機化学工業株式会社製、商品名、ビスコ−ト♯300)、エポキシアクリレ−ト(大阪有機化学工業株式会社製、商品名、ビスコ−ト♯540)、トリ(2−アクリロイルオキシエチル)ホスフェート(大阪有機化学工業株式会社製、商品名ビスコート3PA)、またはビス(2−メタクリロイルオキシエチル)リン酸エステル(日本化薬株式会社製、商品名KAYAMER PM−2)、またはペンタエリスリト−ルテトラキス−3−メルカプトブチレ−ト(昭和電工株式会社製、商品名、カレンズMTPE1)等の極性基を有する化合物を添加することで、より強固な接着が可能になる。
当該化合物は、重合性基を有するかご型シルセスキオキサン、重合開始剤、紫外線吸収発泡剤の3種類からなる接着性組成物の全質量に対して、1質量%以上、50質量%以下で添加することができる。1質量%より少ないと接着力を向上させる効果がなく、50質量%を超えて加える必要はなく、重合性基を有するかご型シルセスキオキサン、重合開始剤、紫外線吸収発泡剤の作用を阻害する虞がある。
1−5.接着性組成物の組成比
本発明の接着性組成物の組成比は、重合性基を有するかご型シルセスキオキサン、重合開始剤、紫外線吸収発泡剤を含有しており、質量比で表して、重合性基を有するかご型シルセスキオキサン、重合開始剤および紫外線吸収発泡剤が、かご型シルセスキオキサン:重合開始剤:紫外線吸収発泡剤=50%〜98%:0.1%〜10%:1%〜49.9%の範囲内であることが好ましい。この範囲外では接着力が弱い、発泡し過ぎる等の不具合を生じやすい。さらに本発明の接着性組成物中に添加剤を加える場合は、接着性組成物から添加剤を除いた成分である、かご型シルセスキオキサン、重合開始剤、発泡剤の3種類からなる接着性組成物の全質量比に対して、添加剤の添加量を1%以上、50%以下にすることが好ましい。
2.接着方法
本発明の接着性組成物を用いた接着方法について説明する。特に、3次元実装技術におけるTSVのための貫通孔加工における、シリコン基板とサポ−ト基板の接着方法について説明する。
本発明は、上記接着性組成物で基板同士を接着させる、接着方法である。当該接着方法をTSVによる3次元実装技術における貫通孔加工用いる場合、接着させる基板同士はICパタ−ン加工のためのシリコン基板と、シリコン基板を研磨する際の支えのためのサポ−ト基板として安価なガラス基板であることが好ましく、これら基板間に配置された接着性組成物に光を照射する、または加熱することで、重合開始剤を化学変化させてラジカルとし重合開始し接着性組成物を重合硬化させ、基板同士を接着させる。この際、接着性組成物との接着強度を向上させるために、ガラス基板の接着面に重合性基を有するアルコキシシランの加水分解縮合物を予め塗布してあることが好ましい。
以下、図1を用いて、TSVによる半導体チップの3次元実装技術における、本発明の接着性組成物を用いた接着方法を説明するが、本発明の接着性組成物を用いた接着方法の実施形態は図1に限定されるものではない。
図1は、ガラス基板とシリコン基板の接着および剥離工程の説明図であり、(A)が接着前の概略図であり、(B)が接着後の概略図であり、(C)が剥離後の概略図である。
即ち、TSVによる半導体チップの3次元実装技術における、本発明の接着性組成物を用いた接着方法の好ましい実施形態は、図1の(A)に示すように、重合性基を有するアルコキシシランの加水分解縮合物をあらかじめ片面に塗布し塗布層1としたサポ−ト基板としてのガラス基板Gの塗布面と、本発明の接着性組成物層2を有するシリコン基板Sを重ね合わせ、図1の(B)に示す積層状態とした後、接着性組成物層2に、光を照射する、または塗布層1および接着性組成物2を加熱することで、ガラス基板Gとシリコン基板Sを接着する。尚、接着において、ガラス基板Gとおよびシリコン基板Sの表面は清浄であることが好ましい。
2−1.重合性基を有するアルコキシシランの加水分解縮合物
前述の重合性基を有するアルコキシシランの加水分解縮合物とは、以下の一般式(1)または一般式(2)で表わされるアルコキシシランを、各々少なくとも1種類以上用い、加水分解縮合して得られる縮合物である。
一般式(1):(RSi(OR4−x
(式(1)中、Rはそれぞれ独立にメチル基またはフェニル基であり、Rはそれぞれ独立にメチル基またはエチル基であり、xは0〜3の整数である。)
一般式(2):(RSi(OR4−x
(式(2)中、Rは重合性基であり、Rはそれぞれ独立にメチル基またはエチル基であり、Rは、それぞれ独立に、アクリロイル基、メタクリロイル基およびビニル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基であり、xは1〜3の整数である。)
例えば、式(1)で表わされるアルコキシシランとしてのフェニルトリメトキシシラン(R=フェニル基、R=メチル基、x=1)とジメチルジエトキシシラン(R=メチル基、R=エチル基、x=2)、および式(2)で表わされるアルコキシシランとしての3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレ−ト(R=プロピルメタクリレ−ト基、R=メチル基、x=1)から得られる加水分解縮合物は、以下に示した部分構造を有しているものと考えられる。尚、図中の波線は、その先も結合が連続していることを意味する。
Figure 2014101496
2−2.サポ−ト基板
TSVによる3次元実装技術において、シリコン基板Sと貼り合わせるためのサポート基板には、ガラス基板または石英基板を用いる。当該ガラス基板の硝種には、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、溶融石英ガラスまたは合成石英ガラスが挙げられる。半導体チップを浸す可能性のあるアルカリ分を含まないこと、および半導体製造における使用実績から、無アルカリガラス、溶融石英ガラスまたは合成石英ガラスを用いることが好ましく、経済性を考慮すると低価格であることより無アルカリガラスを用いることがより好ましい。また、アルカリ分を含むソーダライムガラスを使用する場合は、アルカリ分の溶出を妨げるアルカリバリア膜をガラス表面に予め形成しておくことが好ましい。アルカリバリア膜は、緻密でピンホールがなければよく、真空蒸着、スパッタリング、熱分解成膜またはゾルゲル法等により、ガラス表面に形成することができる。この際のアルカリバリア膜は、ガラス基板と密着性がよいことより、コロイダルシリカ等を焼成させてなるシリカ膜を用いることが好ましい。
2−3.予備接着工程[予めガラス基板に塗布層形成]
TSVによる3次元実装技術においては、図1に示すように、本発明の接着剤組成物により接着する際に、サポ−ト基板、例えば、ガラス基板Gに、重合性基を有するアルコキシシランの加水分解縮合物を有機溶剤に溶解させたキャスト溶液を予め塗布した、塗布層1を形成することが好ましく、さらに、塗布後、加熱して塗布層1から有機溶剤を除去し、そのまま当該縮合物を加熱硬化させることで、ガラス基板の表面に塗布層1を形成することが好ましい。
その際の重合性基は、接着性組成物層2中に含まれる重合性基と同一、もしくは類似の重合性基であることが好ましい。例えば、その後のガラス基板Gとシリコン基板Sの接着に使用する、接着性組成物中2に重合性基としてメタクリロイル基が含まれる場合、ガラス基板に予め塗布し塗布層1に用いる、重合性基を有する前記アルコキシシランの加水分解縮合物には、メタクリロイル基またはアクリロイル基を含むことが好ましい。このように重合性基に同一、もしくは類似の重合性基を用いることで、予め重合性基を有する前記アルコキシシランの加水分解縮合物を塗布してなるガラス基板上の塗布層1と本発明の接着性組成物を塗布してなるシリコン基板の接着性組成物層2との接着界面に化学結合を形成させ、より強固に接着させることが可能となる。前記塗布層1は、多数のシラノ−ル基(−SiOH)を有しており、ガラス表面と極めて強固に接着し、接着性組成物層2と化学結合する。具体的には、ガラス基板表面のシラノ−ル基(−SiOH)に、重合性基を有するアルコキシシランの加水分解縮合物のシラノ−ル基が結合し強い接着が得られる。
塗布層1を形成する際、ガラス基板Gの表面を親水化した後、前記キャスト溶液をガラス基板Gに塗布することが好ましい。尚、ガラス基板G表面を親水化する方法はどのような方法を用いてもよいが、例えば、セリアによるガラス基板G表面の湿式研磨、紫外光(UV)照射、オゾンまたは酸素プラズマ接触によるガラス基板G表面の有機物を分解させる乾式処理、濃硫酸と30質量%濃度の過酸化水素水を質量比で3:1で混合させた溶液でガラス基板G表面を清浄化するピラニア処理が挙げられ、親水化処理ができれば、いずれの方法を用いてもよい。
ガラス基板Gに塗布層1を形成する際に、キャスト液に用いる有機溶剤としては、加水分解縮合物を溶解させることができる有機溶剤であれば、特に限定はされない。例えばプロピレングリコ−ルメチルエ−テルアセテ−ト(Propylene Glycol Methyl Ether Acetate;以下、PGMEAと略することがある。)、プロピレングリコ−ルモノメチルエ−テル(Propylene Glycol Monomethyl Ether;以下、PGMEと略することがある。)等が挙げられる。塗布の方法としては、ガラス基板G上に平坦な薄膜が形成できる方法であればよく、スピンコ−ト法、ディップコ−ト法、バ−コ−ト法、ロ−ルコ−ト法またはスリットコ−ト法が挙げられる。これらの方法の中で、半導体製造プロセスで一般的に使用され、塗布面に良好な平坦性が得られるスピンコ−ト法を用いることが好ましい。塗布層1の厚みは特に限定されないが、スピンコ−ト法で成膜する場合、0.5μm〜3μmの膜が形成しやすく好ましい。
尚、キャスト溶液中に重合開始剤を添加することもできる。この場合、接着時の光の照射または加熱によって、塗布層1と接着性組成物層2の間で、より広範囲で化学結合の形成が行われ、強固な接着が期待でき、重合開始剤を添加することが好ましい。
2−4.接着工程
ガラス基板Gまたはシリコン基板Sに、本発明の接着性組成物を塗布し接着性組成物層2を設ける際の塗布方法には、スピンコ−ト法、ロ−ルコ−ト法、スリットコ−ト法、スクリ−ン印刷法またはインクジェット法が挙げられる。また、ディスペンサ−等を用いて、シリコン基板Sの中央部分に接着性組成物を配置した状態で、シリコン基板Sとガラス基板Gと貼り合わせ接着性組成物を基板全体に押し広げて、接着性組成物層2としてもよい。
接着においては、図1に示すように、シリコン基板Sとガラス基板Gの間に接着性組成物層2を配し、例えば、波長300nm以上、900nm以下の光を照射する、または60℃以上、200℃以下に加熱すればよい。
例えば、間に接着性組成物層2を配置したシリコン基板Sとガラス基板Gを、波長300nm以上、900nm以下の光の照射によって接着させる場合、接着性組成物層2の反対側であるガラス基板Gの裏面側より、光を照射させることで接着を行う。光の波長は、接着性組成物層2に含まれる光ラジカル重合開始剤の吸収波長、または増感剤を添加している場合は増感剤の吸収波長を含む光を選択することが好ましい。例えば、光ラジカル重合開始剤に、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、商品名、Darocur1173)を用いた場合、照射する光としては、波長300nm以上、420nm以下の光が好ましく、これらの波長域の光源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、中圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンフラッシュランプまたは紫外発光ダイオ−ド(LED)が挙げられる。Darocur1173を用いた場合、その使用量や、接着性組成物層の厚みにもよるが、接着するために十分な時間は、通常、10秒以上である。Darocur1173の場合、光の吸収波長が、本発明の接着性組成物中の紫外線吸収発泡剤と重複する場合があり、その場合、光の照射時間を不必要に長くすると、接着工程において、紫外線吸収発泡剤が発泡してしまう虞がある。したがって、このような光ラジカル開始剤を用いる場合、光の照射時間は、出来る限り短時間であることが好ましく、具体的には照射時間を300秒以下、好ましくは120秒以下、特に好ましくは20秒以下にすることが好ましい。
例えば、光ラジカル重合開始剤に、カンファ−キノンを用いた場合は、カンファ−キノンの吸収波長である470nmを含んだ光が好ましく、これらの波長域の光源としては、青色LEDやハロゲンランプ等が挙げられる。カンファ−キノンを用いた場合、その使用量や、接着性組成物層の厚みにもよるが、接着するために十分な時間は、通常、10秒以上である。特に青色LEDのように照射する波長帯の狭い光源を用いると、紫外線吸収発泡剤が発泡する紫外光と波長帯が異なってくるため、接着工程において、紫外線発泡剤が発泡する虞が低くなり、本発明の光ラジカル重合開始剤としては、特に好ましい。しかしながら照射時間を不必要に長くする必要はなく、具体的には600秒より長くすることはなく、好ましくは300秒以下である。
例えば、間に接着性組成物層2を配置したシリコン基板Sとガラス基板Gを、60℃以上、200℃以下に加熱して接着させる場合は、ホットプレ−ト等を用いて加熱すればよい。加熱温度は、接着性組成物層2に含まれる熱ラジカル重合開始剤の分解温度を考慮して選択することが好ましく、例えば、熱ラジカル重合開始剤に、パ−クミルDを用いた場合、加熱温度を150℃以上、180℃以下にするのが好ましい。60℃を下回ると、接着に長時間を要し、200℃を上回ると、熱ラジカル重合開始剤の分解が早いために、取り扱いが難しくなる。加熱温度が、60℃より低い、または200℃より高ければ、良好に接着させることが困難となる。
接着性組成物層2は、前述の光照射または加熱によって、接着性組成物層2に含まれる重合開始剤が化学変化して重合反応が開始進行し、接着性組成物層2が硬化することで、シリコン基板Sとガラス基板Gとが接着する。このように本発明の接着性組成物による接着方法を用いれば、光照射または加熱によって単時間で接着を完成させることができる。例えば、TSV作製時にシリコン基板Sとサポ−ト基板としてのガラス基板Gを迅速に接着させることが可能となる。
3.剥離方法
本発明の接着性組成物およびそれを用いた接着方法による接着部位は、波長200nm以上、420nm以下の紫外線を照射することで発泡し、迅速に剥離することができる。本剥離は、接着性組成物に含まれる紫外線吸収発泡剤の作用による。
本発明の剥離方法は、本発明の接着性組成物を用いて、シリコン基板Sとガラス基板Gを接着させた後、接着性組成物層2に紫外線を照射して、シリコン基板Sとガラス基板Gを剥離する剥離方法である。本発明の接着性組成物は紫外線吸収発泡剤を含んでおり、紫外線の照射により接着性組成物層2中の紫外線吸収発泡剤が発泡することにより、シリコン基板Sとガラス基板Gが剥離する。用いる紫外線の波長は、200nm以上、420nm以下が扱いやすく、当該波長の光を用いることが好ましい。これらの波長域の光源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、中圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンフラッシュランプまたは紫外発光ダイオ−ド(LED)が挙げられる。剥離するために十分な照射時間は、紫外線吸収発泡剤の種類にもよるが、通常、30秒以上であり、特に好ましくは120秒以上である。照射時間を600秒より、不必要に長くすることはなく、600秒以下であることが好ましい。
具体的には、図1の(C)に示すように、紫外線を照射することで、硬化した接着性組成物層2中の紫外線吸収発泡剤が発泡することで、シリコン基板Sと接着性組成物層2の間で剥がれて、シリコン基板Sとガラス基板Gが自発的に剥離する。その際、シリコン基板S側には接着性組成物の残渣が残らない、目視ではシリコン基板上に確認されない。このことは、ガラス基板Gと塗布層1との接着力、および塗布層1と接着性組成物層2の結合が、接着性組成物層2とシリコン基板Sの接着力より強いことによる。表面にシラノ−ル基を多数有するガラス基板Gに比べ、シリコン基板S表面はシラノ−ル基がないか少ない。
また、接着性組成物層2によって接着した2枚の基板を、ホットプレ−ト等で加熱した状態で、紫外線を照射することもできる。加熱することで、接着性組成物層2より発泡が生じやすくなり、剥離が容易になる。加熱温度は、60℃以上、200℃以下が好ましい。
また、接着性組成物層2によって接着した2枚の基板を、液体中に浸漬させた状態で、紫外線を照射することもできる。この場合、剥離界面に液体が浸透していくため、剥離が容易になる。基板を浸漬させる液体としては、水やイソプロパノ−ル、ブタノ−ル等のアルコ−ル、PGMEA、PGME、酢酸ブチル等が挙げられるが、限定されるものではない。さらに剥離を促進するために、液体を加熱することや、液体中に界面活性剤を添加すること、若しくは超音波を併用してもよい。
上記の理由により、剥離は接着性組成物層2とシリコン基板Sの間で選択的に生じ、接着性組成物層2の残渣はシリコン基板S側に目視では確認されない。本発明の接着性組成物をTSVの製造に用いた場合、シリコン基板S側で接着剤の残渣が確認されないことにより、従来の接着剤を用いた場合には必要であった接着残渣除去のための洗浄工程を省略する、あるいは簡易化できる可能性がある。
また、本発明の接着性組成物は、接着後の基板研磨等の機械的処理に耐える接着力および耐熱性を有し、所定の加工後には容易に剥離可能である。
4.本発明の接着性組成物の積層半導体への応用
本発明の接着性組成物はTSVによる半導体チップの3次元実装技術に有用であり、本発明の接着性組成物によるTSVによる3次元実装技術は、次世代のマイクロプロセッサ−等のロジック半導体、Dynamic Random Access Memory(DRAM)等の揮発性メモリ−、フラッシュメモリ−、またはMicro Electro Mechanical Systems(MEMS)への応用が考えられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[実施例]
本実施例において、本発明の範疇にあり組成物の異なる実施例1〜8の接着性組成物を調製した。実施例1〜8の接着性組成物は、重合性基を有するかご型シルセスキオキサン、重合開始剤および紫外線吸収発泡剤を含む。
調製後、図1に示すように、実施例1〜8の接着性組成物をシリコン基板Sと無アルカリガラス基板Gの間に配置し接着性組成物層2とし、光照射または加熱により重合開始剤を反応させ重合性基を有するかご型シルセスキオキサンを重合し重合物として接着性組成物層2を硬化させることで、シリコン基板Sと無アルカリガラス基板Gを接着した。次いで紫外線の照射によって接着性組成物層2中の紫外線吸収発泡剤を発泡させて、シリコン基板Sと無アルカリガラス基板Gを剥離させた。剥離後の状況を確認し、接着性組成物の評価を行った。
1.接着性組成物
本発明で使用した実施例1〜8の接着性組成物を表1に示す。実施例1〜5、は、光照射で接着する接着性組成物であり、実施例6〜8は、熱で接着する接着性組成物である。
Figure 2014101496
実施例1〜8において、重合性かご型シルセスオキオキサンは合成し、他、重合開始剤、硬化助剤、重合促進剤、紫外線吸収発泡剤は市販のものを用いた。
重合性基を有するかご型シルセスキオキサンには、メタクリロイル基を有するかご型シルセスキオキサン(以下、メタクリレ−トかご型シルセスキオキサンと呼ぶことがある)を合成し使用した。
重合開始剤には、実施例1、2、5の接着性組成物においては、青色レ−ザ−ダイオ−ド(以下、LEDと呼ぶことがある。)よりの波長470nmのブル−レイの照射に反応する光ラジカル重合開始剤であるカンファ−キノンを用い、実施例3、4の接着性組成物においては、高圧水銀ランプよりの波長365nmの紫外線に反応する1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、商品名、Irgacure2959)を用いた。実施例6、7、8においては、熱ラジカル重合開始剤であるジクミルパ−オキシド(日油株式会社製、商品名、パ−クミルD)を用いた。
尚、実施例1〜4、6、7において、硬化助剤としてシリコン基板Sと無アルカリガラス基板Gの接着強度を上げるために、ペンタエリスリト−ルトリアクリレ−ト(大阪有機化学工業株式会社製、商品名 ビスコ−ト♯300)を加えた。実施例1、2、5において、カンファ−キノンの重合促進剤として、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレ−ト(東京化成工業株式会社製)を添加した。
紫外線吸収発泡剤として、実施例1、3、5、6、8においては、アントラセンジケトン、実施例2、4、7においては、4−ジアゾジフェニルアミンスルファ−ト(東京化成工業株式会社製)を用いた。
2.重合性かご型シルセスキオキサン
重合性かご型シルセスキオキサンの合成について説明する。
2−1.メタクリレ−トかご型シルセスキオキサンの合成
以下の反応により、メタクリロイル基を有するかご型シルセスキオキサン(以下、メタクリレ−トかご型シルセスキオキサンと呼ぶことがある)を合成した。
Figure 2014101496
200mlナスフラスコ内に、オクタ(ジメチルシリル)オクタシルセスキオキサン(米国ハイブリッドプラスチックス社製、商品名、SH1310)10.26g、メタクリル酸アリル10.81g(東京化成株式会社製)、トルエン100ml、白金触媒として1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン白金(0)錯体のキシレン溶液(白金濃度、2質量%)(アルドリッチ株式会社製)30mgを採取した後、室温(20℃)で終夜(24hr)撹拌した。その後、エバポレ−タ−でトルエンと未反応のメタクリル酸アリルを除去し、重合性かご型シルセスキオキサンを薄黄色の液体として、17.6gを得た。
3.シリコン基板Sと無アルカリガラス基板Gの接着
3−1.塗布層の形成
図1に示すように、シリコン基板Sと無アルカリガラス基板Gを接着する際、実施例1〜8の接着性組成物を用いて接着性組成物層2を設ける前に、無アルカリガラス基板Gに、重合性基を有するアルコキシシランの加水分解縮合物を含む塗布層1を設けた。塗布層1を設けることで、無アルカリガラス基板Gと接着性組成物層2の接着強度が増す。
3−1−1.重合性基を有するアルコキシシランの加水分解縮合物
重合基を有するアルコキシシランの加水分解縮合物を合成した。続いて、それをプロピレングリコ−ルメチルエ−テルアセテ−ト(PGMEA)へ溶解させ、キャスト溶液を調製した後、ガラス基板Gに無アルカリガラスを用いその表面を塗布し塗布層1とした。
具体的には、ジムロ−トと撹拌翼を具備した2Lフラスコ内にフェニルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名 KBM−103)140.40g、ジメチルジエトキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名 KBE−22)131.14g、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレ−ト(東京化成株式会社製)48.56g、イソプロピルアルコ−ル213.32g、水160.96g、酢酸0.10gを採取した後、オイルバスにて90℃まで昇温した状態で、撹拌速度200rpmにて6時間撹拌し反応させた。静置し室温(20℃)にした後、イソプロピルエ−テル400ml、水400mlを加えて、分液ロ−トにて有機層を分取した。硫酸マグネシウムを用いて脱水した後、エバポレ−タ−にて有機溶媒を留去して、無色透明の固形物170.68gを得た。このようにして重合性基を有するアルコキシシランの加水分解縮合物を得た。次いで、当該縮合物をPGMEAへ溶解させ、縮合物濃度33質量%のキャスト溶液とした。
3−1−2.無アルカリガラス基板への塗布
直径100ミリ、厚み1.1ミリの無アルカリガラス基板G(コ−ニング株式会社製、品番 7059)の表面を酸化セリウムの微粒子(アルドリッチ株式会社製)で研磨した。続いて上記キャスト液を、スピンコ−タ−を用いて、無アルカリガラス基板G表面に1000rpmで10秒間、スピンコ−トした。次いで、200℃のホットプレ−ト上にて約20分間加熱乾燥させて、無アルカリガラス基板Gの表面に、図1に示す塗布層1を形成した。触針式表面形状測定器(米国Veeco製、形式 Dektak8)を用いて塗布層1の厚みを測定したところ、0.7μmであった。
3−2.接着性組成物層の形成
前述の重合性基を有するかご型シルセスキオキサンとしての、メタクリレ−トかご型シルセスキオキサンに、所定の重合開始剤および紫外線吸収発泡剤を加えて、実施例1〜8の接着性組成物を調製した。以下、詳細に示す。
3−2−1.接着性組成物の調製
次いで、上記メタクリロイル基を有するかご型シルセスキオキサンを用いて、所定の重合開始剤、紫外線吸収発泡剤、硬化剤および重合促進剤を表1の質量比になるように加え、実施例1〜8の接着性組成物を調製した。
<接着性組成物層の形成>
図1の(A)に示すように、直径100ミリのシリコン基板S上に前記接着性組成物0.6gをスピンコ−タ−で塗布し接着性組成物層2を形成した。次いで、図1の(B)に示すように、塗布層1と接着性組成物層2が接触するように、このシリコン基板Sを、無アルカリガラス基板Gと重ね合わせ、接着性組成物層2とした。
3−3.接着
重合開始剤に光ラジカル重合開始剤を用いた接着性組成物の場合、無アルカリガラス基板G側より接着性組成物層2に光を照射して、接着性組成物層2を硬化させて、シリコン基板S富むアルカリガラス基板Gを接着した。
光ラジカル重合開始剤であるカンファ−キノンを用いた実施例1、2、5の接着性組成物を用い接着性組成物層2を形成した場合、青色光照射機(オプトコ−ド株式会社製、商品名、LED470)から発振した波長470nmのブル−レイを、無アルカリガラス基板Gを通して接着性組成物層2に1分間照射して、メタクリレ−トかご型シルセスキオキサンを重合硬化させて、シリコン基板Sと無アルカリガラス基板Gの基板を接着した。
1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、商品名、Irgacure2959)を用いた実施例3、4の接着性組成物を用い接着性組成物層2を形成した場合、紫外線照射機(HOYA−SCHOTT製、商品名、UV LIGHT SOURCE EX250)により波長365nmの紫外線を無アルカリガラス基板Gを通して接着性組成物層2に20秒間照射して、メタクリレ−トかご型シルセスキオキサンを重合硬化させて、シリコン基板Sと無アルカリガラス基板Gの基板を接着した。
重合開始剤に熱ラジカル重合開始剤を用いた接着性組成物の場合、加熱することで接着性組成物層2を硬化させて、シリコン基板S富むアルカリガラス基板Gを接着した。
熱ラジカル重合開始剤であるジクミルパ−オキシド(日油株式会社製、商品名、パ−クミルD)を用いた実施例6〜8の接着性組成物を用い接着性組成物層2を形成した場合、170℃に加熱したホットプレ−ト上で30秒間加熱して、ジクミルパ−オキシドを開裂させてメタクリレ−トかご型シルセスキオキサンを重合硬化させて、シリコン基板Sと無アルカリガラス基板Gの基板を接着した。
4.シリコン基板Sと無アルカリガラス基板Gの剥離並びに剥離後の状態評価
4−1.シリコン基板Sと無アルカリガラス基板Gの剥離
実施例1〜8の接着性組成物による接着性組成物層2を硬化させて接着したシリコン基板Sと無アルカリガラス基板Gを剥離させるために、無アルカリガラス基板Gから見て、接着性組成物層2の反対側より、紫外線を、紫外線照射機(HOYA−SCHOTT製、商品名、UV LIGHT SOURCE EX250)を用いて、5分間照射し、実施例1、3、5、6、8の接着性組成物を用いた場合は紫外線吸収発泡剤であるアントラセンジケトンが発泡し、実施例2、4、7の接着性組成物を用いた場合は、4−ジアゾジフェニルアミンスルファ−ト(東京化成工業株式会社製)が発泡し、シリコン基板Sと無アルカリガラス基板Gが剥離した。
尚、実施例3、4の接着性組成物を用いた接着性組成物層2には、紫外線照射機(HOYA−SCHOTT製、商品名、UV LIGHT SOURCE EX250)より同出力で波長365nm紫外線した場合において、硬化時の20秒間の照射では、光重合開始剤である1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、商品名、Irgacure2959)が反応、メタクリレ−トかご型シルセスキオキサンが重合し接着性組成物層2が硬化し、シリコン基板Sと無アルカリガラス基板Gが接着し、接着後の剥離時における5分間の照射では、接着性組成物層2に含まれるアントラセンジケトンまたは4−ジアゾジフェニルアミンスルファ−ト(東京化成工業株式会社製)が分解し、接着性組成物層2が発泡し、シリコン基板Sと無アルカリガラス基板Gが剥離した。
4−2.剥離後の状態評価
実施例1〜8ともに、シリコン基板Sと無アルカリガラス基板Gは自発的に剥離した。剥離はシリコン基板Sと接着性組成物層2の間で起こり、接着性組成物層2の残渣はガラス基板Gのみに付着しており、目視で確認したところ、シリコン基板Sへの残留付着は認められなかった。このことは、剥離は接着性組成物層2とシリコン基板Sの間で選択的に生じたことによる。
このようにして、本発明の接着性組成物を用い光照射または加熱により接着したシリコン基板Sと無アルカリガラス基板が、紫外線の照射によって、シリコン基板Sに接着残渣を残すことなく、好ましい状態に剥離することを確認した。
[比較例]
実施例1〜8と同様の手順で、表2の比較例1、2および3に示す組成の接着性組成物を調製した。実施例1〜8と異なり、比較例1、2の接着性組成物については、発泡剤を用いない。
Figure 2014101496
比較例1、2:紫外線吸収発泡剤を用いない。
実施例1〜8と同様に、図1の(A)に示すように、直径100ミリのシリコン基板S上に比較例1、2の接着性組成物0.6gをスピンコ−タ−で塗布し接着性組成物層2を形成した。次いで、図1の(B)に示すように、このシリコン基板Sを、無アルカリガラス基板Gと重ね合わせ、接着性組成物層2とした。
実施例1と同様に、光重合性基を有するアルコキシシランの加水分解縮合物からなる塗布層1を設けた後、光ラジカル重合開始剤であるカンファ−キノンを用いた比較例1の接着性組成物を用い接着性組成物層2を形成した場合、青色光照射機(オプトコ−ド株式会社製、商品名、LED470)から発振した波長470nmのブル−レイを、無アルカリガラス基板Gを通して接着性組成物層2に1分間照射して、メタクリレ−トかご型シルセスキオキサンを重合硬化させて、シリコン基板Sと無アルカリガラス基板Gの基板を接着した。
熱ラジカル重合開始剤であるジクミルパ−オキシド(日油株式会社製商品名、パ−クミルD)を用いた比較例2の接着性組成物を用い接着性組成物層2を形成した場合、170℃に加熱したホットプレ−ト上で30秒間加熱して、ジクミルパ−オキシドを開裂させてメタクリレ−トかご型シルセスキオキサンを重合硬化させて、シリコン基板Sと無アルカリガラス基板Gの基板を接着した。
比較例1、2におけるシリコン基板Sと無アルカリガラス基板Gは強固の接着しており、シリコン基板Sと無アルカリガラス基板Gを剥離させることは困難であった。接着性組成物中に紫外線吸収発泡剤を添加しない場合、剥離に発泡の作用を用いることができないことがわかった。
[参考例]
参考例1においては、表3に示すように、実施例3と同じ組成の接着性組成物を調製した後、実施例と同様に、シリコン基板Sと無アルカリガラス基板Gを接着する際、実施例3(照射時間20秒間)と異なり、接着時の紫外光照射を400秒間で行った。
具体的には、光ラジカル重合開始剤としてIrgacure2959、および紫外線吸収発泡剤としてアントラセンジキノンを含む、接着性組成物を用いた実施例3と同様の接着性組成物を用いて接着性組成物層2を形成し、紫外線照射機(HOYA−SCHOTT製、商品名、UV LIGHT SOURCE EX250)により波長365nmの紫外線を、無アルカリガラス基板Gを通して接着性組成物層2に400秒間照射して、メタクリレ−トかご型シルセスキオキサンを重合させた。
また、参考例2、3においては、無アルカリガラス基板Gに塗布層1を設けないでことを除いては実施例1〜8と同様に、シリコン基板Sと無アルカリガラス基板Gを接着した。表3に示すように、参考例2は実施例1で用いたのと同じ接着性組成物を用い、参考例3は実施例5で用いたのと同じ接着性組成物を用いた。
参考例4、5においては、無アルカリガラス基板Gを研磨しないことを除いては、実施例1〜8と同様に、シリコン基板Sと無アルカリガラス基板Gを接着した。表3に示すように、参考例4は実施例1で用いたのと同じ接着性組成物を用い、参考例5は実施例5で用いたのと同じ接着性組成物を用いた。
尚、参考例2〜5においては、具体的には、以下の手順でシリコン基板Sと無アルカリガラス基板Gを接着し、剥離した。
<接着>
参考例2、4においては、光ラジカル重合開始剤であるカンファ−キノンを用い、青色光照射機(オプトコ−ド株式会社製、商品名、LED470)から発振した波長470nmのブル−レイを、無アルカリガラス基板Gを通して接着性組成物層2に1分間照射して、メタクリレ−トかご型シルセスキオキサンを重合硬化させて、シリコン基板Sと無アルカリガラス基板Gの基板を接着した。参考例3、5においては、熱ラジカル重合開始剤であるジクミルパ−オキシド(日油株式会社製商品名、パ−クミルD)を用い、170℃に加熱したホットプレ−ト上で30秒間加熱して、ジクミルパ−オキシドを開裂させてメタクリレ−トかご型シルセスキオキサンを重合硬化させて、シリコン基板Sと無アルカリガラス基板Gの基板を接着した。
<剥離>
接着したシリコン基板Sと無アルカリガラス基板Gを剥離するために、無アルカリガラス基板Gから見て、接着性組成物層2の反対側より、波長365nmの紫外線を、紫外線照射機(HOYA−SCHOTT製、商品名、UV LIGHT SOURCE EX250)を用いて、5分間照射した。紫外線吸収発泡剤であるアントラセンジケトンが接着性組成物層2内で発泡し、シリコン基板Sと無アルカリガラス基板Gが剥離した。
参考例1〜5で用いた接着性組成物の組成を表3に示す。
Figure 2014101496
参考例1:接着時の光照射時間を400秒間で行う。
参考例2、3:無アルカリガラス基板Gに塗布層1を設けない。
参考例4、5:無アルカリガラス基板Gを研磨しない。
<評価>
参考例1においては、硬化時に、接着性組成物層2内で紫外線吸収発泡剤であるアントラセンジケトンが発泡した。実施例3では、硬化時に接着性組成物層2への波長365nmの紫外線の照射は20秒間であった。これは、参考例1では、硬化時に紫外線を400秒間照射し、過剰に照射し過ぎたことによる。
参考例2、3においては、シリコン基板Sと無アルカリガラス基板Gは自発的に剥離した。しかしながら、目視で確認したところ、接着残渣がシリコン基板Sと無アルカリガラス基板Gともに僅かに付着していた。無アルカリガラス基板Gに塗布層1を形成し、接着剤組成物の塗布接着および剥離を行った場合、剥離後の接着残渣は目視で確認できなく、本発明において、塗布層1を形成することが好ましい。
参考例4、5においては、シリコン基板Sと無アルカリガラス基板Gは自発的に剥離した。しかしながら、目視で確認したところ、接着残渣がシリコン基板Sと無アルカリガラス基板Gともに僅かに付着していた。無アルカリガラス基板Gをセリア研磨し、接着剤組成物の塗布接着および剥離を行った場合、剥離後の接着残渣は目視で確認できなく、本発明において、無アルカリガラス基板Gは前もってセリア研磨を行うことが好ましい。
G ガラス基板
S シリコン基板
1 塗布層
2 接着性組成物層(接着性組成物)

Claims (9)

  1. 重合性基を有するかご型シルセスキオキサン、重合開始剤および紫外線吸収発泡剤を含む、接着性組成物。
  2. 重合性基が、アクリロイル基、メタクリロイル基およびビニル基からなる群より選ばれる少なくとも一種の基を含む重合性基である、請求項1に記載の接着性組成物。
  3. 紫外線吸収発泡剤が、ジケトン化合物またはジアゾニウム塩である、請求項1または請求項2に記載の接着性組成物。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の接着性組成物を基板間に挟み、その接着性組成物に光を照射して接着性組成物を硬化させ基板同士を接着させる、接着方法。
  5. 基板同士を接着させることが、シリコン基板とガラス基板を接着させることである、請求項4に記載の接着方法。
  6. 接着するために十分な時間、波長300nm以上、900nm以下の光を照射して接着性組成物を硬化させ基板同士を接着させる、請求項4または請求項5に記載の接着方法。
  7. 60℃以上、200℃以下に加熱して基板同士を接着させる、請求項4または請求項5に記載の接着方法。
  8. ガラス基板に光重合性基を有するアルコキシシランの加水分解縮合物を接着面に塗布する工程を含む、請求項4乃至請求項7のいずれか1項に記載の接着方法。
  9. 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の接着性組成物を用い接着されたシリコン基板とガラス基板に、波長200nm以上、420nm以下の紫外線を照射して紫外線吸収発泡剤を発砲させて剥離する、シリコン基板とガラス基板の剥離方法。
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