JP2016031868A - 全固体二次電池、電池用電極シート、電池用電極シートの製造方法、固体電解質組成物、固体電解質組成物の製造方法、および全固体二次電池の製造方法 - Google Patents

全固体二次電池、電池用電極シート、電池用電極シートの製造方法、固体電解質組成物、固体電解質組成物の製造方法、および全固体二次電池の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2016031868A
JP2016031868A JP2014154349A JP2014154349A JP2016031868A JP 2016031868 A JP2016031868 A JP 2016031868A JP 2014154349 A JP2014154349 A JP 2014154349A JP 2014154349 A JP2014154349 A JP 2014154349A JP 2016031868 A JP2016031868 A JP 2016031868A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
solid electrolyte
polymer
carbon atoms
secondary battery
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014154349A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6265546B2 (ja
Inventor
雅臣 牧野
Masaomi Makino
雅臣 牧野
宏顕 望月
Hiroaki Mochizuki
宏顕 望月
目黒 克彦
Katsuhiko Meguro
克彦 目黒
智則 三村
Tomonori Mimura
智則 三村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2014154349A priority Critical patent/JP6265546B2/ja
Publication of JP2016031868A publication Critical patent/JP2016031868A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6265546B2 publication Critical patent/JP6265546B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Conductive Materials (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

【課題】イオン伝導度の低下を抑制しつつ、耐湿性及び経時安定性に優れた全固体二次電池、電池用電極シート、電池用電極シートの製造方法、固体電解質組成物、固体電解質組成物の製造方法及び全固体二次電池の製造方法を提供する。【解決手段】正極活物質層、無機固体電解質層及び負極活物質層をこの順に有する全固体二次電池であって、正極活物質層、無機固体電解質層及び負極活物質層の少なくとも1層が、(A)1種または2種以上のかご状シルセスキオキサン化合物を重合して、かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体、及び(B)周期律表第一族もしくは第二族に属する金属を含み、かつイオン伝導性を有する無機固体電解質を含有する全固体二次電池、電池用電極シート、電池用電極シートの製造方法、固体電解質組成物、固体電解質組成物の製造方法及び全固体二次電池の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、全固体二次電池、電池用電極シート、電池用電極シートの製造方法、固体電解質組成物、固体電解質組成物の製造方法、および全固体二次電池の製造方法に関する。
現在、電気自動車や家庭用蓄電池などに用いられる中・大型蓄電池として、軽量でエネルギー密度が大きいリチウムイオン電池が使用されている。リチウムイオン電池は電解液に有機電解液を用いているため、液漏れや発火の危険性があり、この点について種々改良がなされてきた。近年、安全性や信頼性の確保の観点から、可燃性の有機電解液を不燃性の無機固体電解質に置き換えた全固体二次電池の研究が行われている。無機固体電解質には、硫化物系固体電解質と酸化物系固体電解質がある。硫化物系固体電解質では、室温で有機電解液と同等の10−3S/cm台のイオン伝導度が実現されている。
全固体二次電池は無機電解質を電極で挟んだ構造をとる。電極は、粉末状の活物質、固体電解質(SE)、導電助剤などの混合物からなる電極活物質にバインダーおよび溶媒を添加してスラリーを調製し、このスラリーを集電体の表面に塗工して膜形状にすることにより得られる。無機電解質層は、SE粉末にバインダーを添加して塗膜形状のSE層を作製する方法で調製できる。バインダーには、イオン伝導を阻害せず、かつ電極活物質粒子との結着性や集電体との密着性が良好であることが要求される。さらに可撓性に優れたバインダーを用いれば、シート状に作製された電極やSE層をロール状に巻取ることができるので、量産性に優れる。
全固体二次電池の電極は、粉末状固体電解質及び粉末状電極活物質を混合および成型して作製することができる。しかし、粉末の混合物を原料とするため、イオン伝導パスおよび電子伝導パスの欠陥が多く発生し、電池性能が低下する問題があった。加えて、充放電サイクルの繰り返しにより電極全体が膨張収縮して、粒子間の接触が悪くなって粒界抵抗が発生し、充放電特性が低下する問題があった。
可撓性を保持したまま、電極活物質粒子との結着性や集電体との密着性が良好なバインダーとして、例えば、特許文献1には、シリコーン構造の一部が極性基で置換されたシリコーン樹脂が提案されている。
一方、無機固体電解質は、空気中の水分と反応してイオン伝導度が低下するという問題があり、イオン伝導を阻害することなく、無機電解質粒子の表面を疎水化し、空気中の水分の浸入を良好に抑制することができるバインダーが求められる。例えば、特許文献2には、正極および負極と、正極および負極に挟まれて位置する硫化物固体電解質と、硫化物固体電解質を被覆する液状物質(絶縁性の油)とを備える全固体電池が提案されている。この全固体電池によれば、硫化物固体電解質を用いて導電率を確保しながら、大気中の水分との反応による硫化水素の発生を防止することができるとされている。
特開2013−45683号公報 特開2009−117168号公報
全固体二次電池に対して求められる昨今益々高まる高性能化の要求を考慮すると、これらの要求に応え、それを満足する技術の開発が求められる。
そこで本発明は、無機電解質が有するイオン伝導を阻害することなく無機電解質粒子の表面を疎水化して、一層性能が向上された全固体二次電池、電池用電極シート、電池用電極シートの製造方法、固体電解質組成物、固体電解質組成物の製造方法、および全固体二次電池の製造方法を課題とする。
本発明の課題は、以下の手段によって達成された。
<1>正極活物質層、無機固体電解質層および負極活物質層をこの順に有する全固体二次電池であって、正極活物質層、無機固体電解質層および負極活物質層の少なくとも1層が、(A)下記組成式(1)で表される1種または2種以上のかご状シルセスキオキサン化合物を重合して、かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体、および(B)周期律表第一族もしくは第二族に属する金属を含み、かつイオン伝導性を有する無機固体電解質を含有する全固体二次電池。
Figure 2016031868
組成式(1)中、Rは水素原子または1価の有機基を表す。複数のRは互いに同一であっても異なってもよい。ただし、ただ1つのRが重合性基を有する基である。αは8〜16の整数を表す。
<2>(A)かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体が、下記式(Q−1)〜(Q−7)のいずれかで表されるかご状シルセスキオキサン化合物から選択される1種または2種以上を重合した重合体である<1>に記載の全固体二次電池。
Figure 2016031868
式(Q−1)〜(Q−7)中、Rは水素原子または1価の有機基を表す。ただし、Rのうちただ1つは重合性基を有する基を表す。
<3>重合性基を有する基以外の1価の有機基が、フッ素原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルアミノ基、シリル基、アルキル基、アリール基、または極性基が置換していてもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基またはヘテロアリール基である<1>または<2>に記載の全固体二次電池。
<4>重合性基が、エポキシ基、オキセタニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基またはアリル基である<1>〜<3>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
<5>重合性基を有する基以外の1価の有機基のうち少なくとも1つが、下記極性基のいずれかを有する基である<1>〜<4>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
(極性基)
カルボキシ基、スルホ基、ホスフェート基、ヒドロキシ基、CON(R、シアノ基、N(R、メルカプト基
ここで、Rは水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。
<6>(A)かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体の主鎖構造が、途中ヘテロ原子で分断されていてもよい炭化水素基である<1>〜<5>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
<7>(A)かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体が、下記式(2)または式(3)で表される繰り返し単位を有する<1>〜<6>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
Figure 2016031868
式(2)および式(3)中、R、R、RおよびRは各々独立に、水素原子またはアルキル基を表す。ここで、RおよびRは互いに結合して環を形成してもよい。R11は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜20のフッ素化アルキル基または炭素数6〜12のフッ素化アリール基を表す。Lは単結合、*−COOR−、*−CONHR−、*−C−R−または*−Si(R)(R)−R−を表す。ここで、Rは炭素数1〜10の2価の有機基を表し、RおよびRは各々独立に、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。*は重合体の主鎖の炭素原子に結合する結合手を示す。Lは単結合または途中へテロ原子で分断されていてもよいアルキレン基を表す。
<8>(A)かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体が、下記式(2A)または式(3A)で表される<1>〜<6>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
Figure 2016031868
式(2A)および式(3A)中、R11は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜20のフッ素化アルキル基または炭素数6〜12のフッ素化アリール基を表す。R21、R22およびR24は各々独立に、水素原子またはメチル基を表す。Lは単結合、*−COOR−、*−CONHR−、*−C−R−または*−Si(R)(R)−R−を表す。ここで、Rは炭素数1〜10の2価の有機基を表し、RおよびRは各々独立に、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。Lは単結合または途中へテロ原子で分断されていてもよいアルキレン基を表す。Lは単結合、*−COO−、*−CONH−、*−C−または*−Si(R)(R)−を表す。ここで、RおよびRは各々独立に、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。*は重合体の主鎖の炭素原子に結合する結合手を示す。Lは単結合または途中へテロ原子で分断されていてもよいアルキレン基を表す。R23は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜20のフッ素化アルキル基または炭素数6〜12のフッ素化アリール基を表す。R25は下記(A群)から選択される置換基を有する1価の有機基を表す。
(A群)水素原子、カルボキシ基、スルホ基、ホスフェート基、ヒドロキシ基、CON(R、シアノ基、N(R、メルカプト基
ここで、Rは、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。
nx、nyおよびnzは繰り返し単位のモル%を表し、nxは1〜100、nyは0〜80、nzは0〜50の数であり、nx+ny+nz=100を満たす。
<9>(A)かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体の重量平均分子量が、1,000〜500,000である<1>〜<8>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
<10>正極活物質層、負極活物質層および無機固体電解質層の少なくとも1つの層が、さらに(C)リチウム塩を含有する<1>〜<9>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
<11>(B)における無機固体電解質が、酸化物系の無機固体電解質である<1>〜<10>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
<12>(A)かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体、(B)周期律表第一族もしくは第二族に属する金属を含み、かつイオン伝導性を有する無機固体電解質を含有する固体電解質組成物。
<13>(B)における無機固体電解質の粒子の表面が、(A)かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体によって被覆されてなる<12>に記載の固体電解質組成物。
<14>無機固体電解質100質量部に対して、(A)かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体を0.01質量部以上20質量部以下含有する<12>または<13>に記載の固体電解質組成物。
<15>(A)かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体と、(B)周期律表第一族もしくは第二族に属する金属を含み、かつイオン伝導性を有する無機固体電解質の粒子とを、炭化水素溶媒またはハロゲン化炭化水素溶媒中で混合して混合物を得る工程と、
混合物を乾燥させることにより、(B)における無機固体電解質の粒子表面に、(A)かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体を被覆する工程と、を有する固体電解質組成物の製造方法。
<16> <12>〜<14>のいずれか1つに記載の固体電解質組成物が、集電体上に製膜されてなる電池用電極シート。
<17> <12>〜<14>のいずれか1つに記載の固体電解質組成物を、集電体上に製膜する電池用電極シートの製造方法。
<18> <17>に記載の電池用電極シートの製造方法を経由して全固体二次電池を製造する全固体二次電池の製造方法。
本発明の全固体二次電池は、正極活物質層、無機固体電解質層、および負極活物質層の少なくとも1つの層に、かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体を用いることにより、耐湿性と経時安定性に優れ、かつ優れたイオン伝導度を実現することができる。
このような効果を実現することができた理由として以下のことが推定される。かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体は、シロキサンの持つ疎水効果により水分子を透過しにくい上、適度な空隙を有しているので、Liイオンは透過するが、Liイオンより分子サイズが大きい水分子は透過しにくい性質を有するためと推定される。
本発明の固体電解質組成物の製造方法、電池用電極シートの製造方法および全固体二次電池の製造方法によれば、上記の、固体電解質組成物、電池用電極シートおよび全固体二次電池を好適に製造することができる。
本発明の好ましい実施形態に係る全固体リチウムイオン二次電池を模式化して示す断面図である。 実施例で利用した試験装置を模式的に示す断面図である。
本発明の全固体二次電池は、正極活物質層、無機固体電解質層および負極活物質層をこの順に有する全固体二次電池であって、その少なくとも1つの層が、(A)かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体(以下、単に「重合体」と称することもある。)と(B)周期律表第一族もしくは第二族に属する金属を含み、イオン伝導性を有する無機固体電解質を含有する。
以下、図面を参照してその好ましい実施形態について説明する。なお、本明細書において、「固体電解質組成物」とは、無機化合物の固体電解質を含む組成物を意味する。
図1は、本発明の好ましい実施形態に係る全固体二次電池(リチウムイオン二次電池)を模式化して示す断面図である。本実施形態の全固体二次電池10は、負極側からみて、負極集電体1、負極活物質層2、無機固体電解質層3、正極活物質層4、および正極集電体5を、この順で有する。各層はそれぞれ接触しており、積層した構造をとっている。このような構造を採用することで、充電時には、負極側に電子(e)が供給され、そこにリチウムイオン(Li)が蓄積される。一方、放電時には、負極に蓄積されたリチウムイオン(Li)が正極側に戻され、作動部位6に電子が供給される。図示した例では、作動部位6に電球を採用しており、放電によりこれが点灯する。
正極活物質層4、負極活物質層2の厚さは、目的とする電池容量に応じて定めることができる。一般的な素子の寸法を考慮すると、1μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましい。上限としては、1000μm以下が好ましく、400μm以下がより好ましい。
一方、無機固体電解質層3は正負極の短絡を防止しつつ、できる限り薄いことが望ましい。さらに、本発明の効果が顕著に発現することが好ましく、具体的には、1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。上限としては、1000μm以下が好ましく、400μm以下がより好ましい。このような厚さとすることで、正負極が短絡することなく、かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体による作用効果を得ることができる。
図1では、上記のとおり、集電体、活物質層、および固体電解質層からなる積層体を「全固体二次電池」と称しているが、製品化する際には、この積層体を二次電池用電極シートとして、筐体(ケース)に収納して全固体二次電池(例えばコイン電池、ラミネート電池など)としてもよい。
<固体電解質組成物>
本発明の固体電解質組成物は、(A)かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体、および(B)周期律表第一族もしくは第二族に属する金属を含み、かつイオン伝導性を有する無機固体電解質を含有する。(A)および(B)の詳細については後述する。
本発明の固体電解質組成物は、上記負極活物質層、正極活物質層、無機固体電解質層の構成材料として用いることが好ましく、無機固体電解質層、正極活物質層、および負極活物質層の全ての構成材料として用いることがより好ましい。
特に、本発明における(A)かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体は、電解質が無機固体電解質であることによって、電解液や有機固体電解質とは異なり、無機固体電解質の粒子表面と直接、吸着、イオンもしくは電子的相互作用などの相互作用をすることができ、効果的な被覆が可能となり、無機固体電解質の酸化還元による劣化を抑制することが可能である。
(無機固体電解質)
無機固体電解質とは、無機化合物からなる固体電解質を言う。本明細書において、固体電解質というときには、その内部においてイオンを移動させることができる固体状の電解質のことを意味する。この観点から、後述する電解質塩(支持電解質)との区別するため、無機固体電解質をイオン伝導性無機固体電解質と呼ぶことがある。無機固体電解質のイオン伝導度は特に限定されないが、リチウムイオンにおいて、1×10−6S/cm以上が好ましく、1×10−5S/cm以上がより好ましく、1×10−4S/cm以上がさらに好ましく、1×10−3S/cm以上が特に好ましい。上限は特に制限されるものではないが、1S/cm以下が現実的である。イオン伝導度の測定方法は、特に断らない限り、後述する実施例で測定した非加圧条件によるものとする。
無機固体電解質は、高分子化合物や錯塩などの有機化合物は含まないことから、有機固体電解質、例えばPEO(ポリエチレンオキサイド)などに代表される高分子電解質、LiTFSI(リチウムビストリフルオロメタンスルホンイミド)などに代表される有機電解質塩は明確に区別される。また、無機固体電解質は定常状態で非解離性の固体であるため、液中でも、カチオンおよびアニオンに解離または遊離しない。この点で、電解液やポリマー中でカチオンおよびアニオンが解離または遊離する無機電解質塩〔LiPF、LiBF、LiFSI(リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド)、LiClなど〕とも明確に区別される。無機固体電解質は周期律表第一族もしくは第二族に属する金属を含み、この金属イオン(好ましくはリチウムイオン)の伝導性を有する一方で、電子伝導性を有さないものが一般的である。
本発明においては、正極活物質層、無機固体電解質層および負極活物質層の少なくとも1層に、無機固体電解質を含有する。含有させる無機固体電解質は、全固体二次電池に適用される固体電解質材料を適宜選定して用いることができる。無機固体電解質は(i)硫化物系無機固体電解質と(ii)酸化物系無機固体電解質が代表例として挙げられる。
(i)硫化物系無機固体電解質
硫化物系固体電解質は、硫黄原子(S)を含有し、かつ、周期律表第一族もしくは第二族に属する金属を含み、イオン伝導性を有し、かつ、電気絶縁性を有するものが好ましい。例えば下記式(4)で示される組成を満たすリチウムイオン伝導性無機固体電解質が挙げられる。
Li 式(4)
式(4)中、Mは、B、Zn、Si、Cu、GaおよびGeから選択される元素を表す。a〜dは各元素の組成比を表し、a:b:c:dは、それぞれ1〜12:0〜0.2:1:2〜9を満たす。
式(4)において、Li、M、PおよびSの組成比は、好ましくはbが0である。より好ましくはbが0で、かつa、cおよびdの比(a:c:d)がa:c:d=1〜9:1:3〜7である。さらに好ましくはbが0で、かつa:c:d=1.5〜4:1:3.25〜4.5である。各元素の組成比は、後述するように、硫化物系固体電解質を製造する際の原料化合物の配合量を調整することにより制御できる。
硫化物系固体電解質は、非結晶(ガラス)であっても結晶化(ガラスセラミックス化)していてもよく、一部のみが結晶化していてもよい。
Li−P−S系ガラスおよびLi−P−S系ガラスセラミックスにおける、LiSとPとの比率は、LiS:Pのモル比で、好ましくは65:35〜85:15、より好ましくは68:32〜75:25である。LiSとPとの比率をこの範囲にすることにより、リチウムイオン伝導度を高くすることができる。リチウムイオン伝導度は、1×10−4S/cm以上が好ましく、1×10−3S/cm以上がより好ましい。
このような化合物としては、例えばLiSと、第13族〜第15族の元素の硫化物とを含有する原料組成物を用いてなるものを挙げることができる。具体的には、例えば、LiS−P、LiS−GeS、LiS−GeS−ZnS、LiS−Ga、LiS−GeS−Ga、LiS−GeS−P、LiS−GeS−Sb、LiS−GeS−Al、LiS−SiS、LiS−Al、LiS−SiS−Al、LiS−SiS−P、LiS−SiS−LiI、LiS−SiS−LiSiO、LiS−SiS−LiPO、Li10GeP12などが挙げられる。その中でも、LiS−P、LiS−GeS−Ga、LiSGeS−P、LiS−SiS−P、LiS−SiS−LiSiO、LiS−SiS−LiPOからなる結晶質および/または非晶質の原料組成物が高いリチウムイオン伝導性を有するので好ましい。このような原料組成物を用いて硫化物固体電解質材料を合成する方法としては、例えば非晶質化法を挙げることができる。非晶質化法としては、例えば、メカニカルミリング法および溶融急冷法を挙げることができ、なかでもメカニカルミリング法が好ましい。常温での処理が可能になり、製造工程を簡略化することができるからである。
(ii)酸化物系無機固体電解質
酸化物系固体電解質は、酸素原子(O)を含有し、かつ、周期律表第一族もしくは第二族に属する金属を含み、イオン伝導性を有し、かつ、電気絶縁性を有するものが好ましい。
具体的な化合物例としては、例えば、LiLaTiO〔x=0.3〜0.7、y=0.3〜0.7〕(LLT)、LiLaZr12(LLZ)、LISICON(Lithium super ionic conductor)型結晶構造を有するLi3.5Zn0.25GeO、NASICON(Natrium super ionic conductor)型結晶構造を有するLiTi12、Li1+x+y(Al,Ga)(Ti,Ge)2−xSi3−y12(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1)、ガーネット型結晶構造を有するLiLaZr12等が挙げられる。またLi、PおよびOを含むリン化合物も好ましい。例えば、リン酸リチウム(LiPO)、リン酸リチウムの酸素の一部を窒素で置換したLiPON、LiPOD(Dは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Ru、Ag、Ta、W、Pt、Au等から選ばれた少なくとも1種)等が挙げられる。また、LiAON(Aは、Si、B、Ge、Al、C、Ga等から選ばれた少なくとも1種)等も好ましく用いることができる。
その中でも、Li1+x+y(Al,Ga)(Ti,Ge)2−xSi3−y12(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1)は、高いリチウムイオン伝導性を有し、化学的に安定で取り扱いが容易であり、好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
リチウムイオン伝導性の酸化物系無機固体電解質としてのイオン伝導度は、1×10−6S/cm以上が好ましく、1×10−5S/cm以上がより好ましく、5×10−5S/cm以上が特に好ましい。
無機固体電解質は、加水分解によるイオン伝導度の低下や、通電時の水の電気分解を抑制するためには吸湿しないことが好ましい。硫化物系無機固体電解質は、特に雰囲気中の水分と極めて反応しやすく、分解して硫化水素を発生しやすい。本発明におけるかご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体は、固体電解質の耐水性を向上させることができるため、このような硫化物系無機固体電解質を使用した場合、水による分解を効果的に抑制し、硫化水素の発生量を低下させることが可能となる。
本発明においては、酸化物系の無機固体電解質を用いることが好ましい。酸化物系の無機固体電解質は総じてより硬度が高いため、全固体二次電池において界面抵抗の上昇を生じやすい。本発明におけるかご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体を使用することにより、界面抵抗の上昇が効果的に抑制される。特に、酸化物系の無機固体電解質と、本発明のかご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体とが作用し、より好適な吸着状態を形成することが想定される。この観点からも、酸化物系の無機固体電解質を用いることが特に好ましい。
無機固体電解質は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
無機固体電解質の平均粒子サイズは特に限定されないが、0.01μm以上が好ましく、0.1μm以上がより好ましい。上限としては、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましい。
本明細書において粒子の平均粒径は、以下のようにして測定した値である。
測定対象となる粒子を水(水に不安定な物質の場合はヘプタン)に含有させ、1質量%の分散液を調製する。この分散液試料を用い、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置〔例えば、LA−920(HORIBA社製)〕を用いて、粒子の体積平均粒径を測定する。
無機固体電解質の固体電解質組成物中での濃度は、電池性能と界面抵抗の低減および維持効果の両立を考慮したとき、固形成分100質量%において、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上が特に好ましい。上限としては、同様の観点から、99.9質量%以下が好ましく、99.5質量%以下がより好ましく、99質量%以下が特に好ましい。ただし、後述する正極活物質または負極活物質とともに用いるときには、その総和が上記の濃度範囲であることが好ましい。
<かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体>
本発明では、全固体二次電池を作製するために使用する固体電解質組成物に、かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体を含有する。固体電解質組成物中では、かご状構造を1分子内に2つ以上有する。
本発明におけるかご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体は、下記組成式(1)で表される1種又は2種以上のかご状シルセスキオキサン化合物から構成されるため、このような重合体を用いた膜は、よりイオン伝導性、耐熱性および耐湿性に優れる。これは、カゴ構造の分子サイズが金属イオンは通過するが、水分子は通過しない、サイズ排除効果が生じるためと、疎水的なシロキサン結合により水分子が反発する表面エネルギー効果によるものと推測される。
<かご状シルセスキオキサン化合物>
まず、本発明におけるかご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体を得るための、モノマー構造について述べる。ここで、「シルセスキオキサン」とは、3官能性シランを加水分解することで得られる(RSiO1.5)nの構造を持つネットワーク型ポリマーまたは多面体クラスターである。各ケイ素原子が3個の酸素原子と結合し、各酸素原子が2個のケイ素原子と結合している。ケイ素原子数に対する酸素原子数が1.5であることから、1.5個(sesqui)の酸素を有する意味で、Sil−sesquioxaneと称される。
本発明において、かご状構造とは、立体モデル構造として見るとき、少なくとも1つの環の環平面上もしくは環平面内に、少なくとも1つの別の環が位置し、これらの環同士は、2つ以上の連結基(−O−または−O−Si(R)−など)を介して結合しており、分子全体として、立体的に、内部空間を有する「かご」のような構造である。このかご状構造は、共有結合した原子で形成された複数の環によって容積(環で取り囲まれた分子内空間の容積)が定まり、容積内に位置する点は環を通過せずには容積から離れることができないような構造となっている。
本発明では、下記組成式(1)で表されるかご状シルセスキオキサン化合物が用いられる。
Figure 2016031868
組成式(1)中、Rは水素原子または1価の有機基を表す。複数のRは互いに同一であっても異なってもよい。ただし、ただ1つのRは、重合性を有する基である。αは8〜16の整数を表す。αは8、10、12、14または16の整数がより好ましい。得られる膜がより優れたイオン伝導性および耐湿性を示す点で、aは8、10、12が好ましく、更に合成容易性の観点では、8がより好ましい。
本発明では、かご状シルセスキオキサン化合物を1種もしくは2種以上併用してもよい。なお、複数種(2種以上)のかご状シルセスキオキサン化合物を使用する場合は、同じかご形状の化合物を2種使用してもよいし、異なるかご形状の化合物をそれぞれ1種ずつ使用してもよい。また、基本骨格が同じかご状シルセスキオキサン化合物であって、ケイ素原子に結合する基が異なるものの混合物であってもよい。
かご状シルセスキオキサン化合物を用いて得られる重合体膜は、よりイオン伝導性に優れ、耐熱性、耐湿性などを示す。これは、組成式(1)におけるαにより、カゴ構造の分子サイズが自由に調整でき、αを8〜16の整数とすることで、金属イオンは通過するが、水分子は通過しない、サイズ排除効果が生じ、これに加えて、疎水的なシロキサン結合により水分子が反発する表面エネルギー効果によるものと推定される。
Rにおける1価の有機基は、ケイ素原子に結合可能な基であれば、どのような有機基でも構わない。このような1価の有機基としては、以下の基が挙げられる。
アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20で、例えばメチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル、ペンチル、ヘプチル、1−エチルペンチル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチル、トリフルオロメチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20で、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20で、例えば、エチニル、ブタジイニル、フェニルエチニル等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜30、より好ましくは炭素数3〜20で、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル等)、シクロアルケニル基(好ましくは炭素数5〜30、より好ましくは炭素数5〜20で、例えばシクロペンテニル、シクロヘキセニル等)、アリール基(好ましくは炭素数6〜26、より好ましくは炭素数6〜18で、例えば、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニル等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20で、少なくとも1つの酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有する5または6員環のヘテロ環基がより好ましく、エポキシ基、オキセタニル基を含み、例えば、2−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20で、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ベンジルオキシ等)、アルケニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20で、例えば、ビニルオキシ、アリルオキシ等)、アルキニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20で、例えば、2−プロペニルオキシ、4−ブチニルオキシ等)、シクロアルキルオキシ基(好ましくは炭素数3〜30、より好ましくは炭素数3〜20で、例えば、シクロプロピルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、4−メチルシクロヘキシルオキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜26、より好ましくは炭素数6〜18で、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、3−メチルフェノキシ、4−メトキシフェノキシ等)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20で、例えば、イミダゾリルオキシ、ベンゾイミダゾリルオキシ、チアゾリルオキシ、ベンゾチアゾリルオキシ、トリアジニルオキシ、プリニルオキシ)、
アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20で、例えば、エトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル等)、シクロアルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数4〜30、より好ましくは炭素数4〜20で、例えば、シクロプロピルオキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数6〜20で、例えば、フェニルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル等)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20で、アルキルアミノ基、アルケニルアミノ基、アルキニルアミノ基、シクロアルキルアミノ基、シクロアルケニルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含み、例えば、アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチルアミノ、N−アリルアミノ、N−(2−プロピニル)アミノ、N−シクロヘキシルアミノ、N−シクロヘキセニルアミノ、アニリノ、ピリジルアミノ、イミダゾリルアミノ、ベンゾイミダゾリルアミノ、チアゾリルアミノ、ベンゾチアゾリルアミノ、トリアジニルアミノ等)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20で、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールのスルファモイル基が好ましく、例えば、N,N−ジメチルスルファモイル、N−シクロヘキシルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル等)、アシル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20で、例えば、アセチル、シクロヘキシルカルボニル、ベンゾイル等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20で、例えば、アセチルオキシ、シクロヘキシルカルボニルオキシ、ベンゾイルオキシ等)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールのカルバモイル基が好ましく、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N−シクロヘキシルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、カルバモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールのカルバモイルオキシ基が好ましく、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ等)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、好ましくは炭素数2〜20で、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、イソプロポキシカルボニルアミノ、2−エチルヘキシルオキシカルボニルアミノ等)、
アシルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ、シクロヘキシルカルボニルアミノ、ベンゾイルアミノ等)、スルホンアミド基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20で、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールのスルホンアミド基が好ましく、例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、N−メチルメタンスルホンアミド、N−シクロヘキシルスルホンアミド、N−エチルベンゼンスルホンアミド等)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20で、例えば、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、ベンジルチオ等)、シクロアルキルチオ基(好ましくは炭素数3〜30、より好ましくは炭素数3〜20で、例えば、シクロプロピルチオ、シクロペンチルチオ、シクロヘキシルチオ、4−メチルシクロヘキシルチオ等)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜26、より好ましくは炭素数6〜18で、例えば、フェニルチオ、1−ナフチルチオ、3−メチルフェニルチオ、4−メトキシフェニルチオ等)、アルキル、シクロアルキルもしくはアリールスルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20で、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、シクロヘキシルスルホニル、ベンゼンスルホニル等)、
シリル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、アリール、アルコキシおよびアリールオキシが置換したシリル基が好ましく、例えば、トリエチルシリル、トリフェニルシリル、ジエチルベンジルシリル、ジメチルフェニルシリル等)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20で、アルキル、アリール、アルコキシおよびアリールオキシが置換したシリルオキシ基が好ましく、例えば、トリエチルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシ、ジエチルベンジルシリルオキシ、ジメチルフェニルシリルオキシ等)、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、カルボキシ基、スルホ基、ホスフェート基(リン酸基)、ホスホニル基、ホスホリル基、ホウ酸基が挙げられる。
これらの各基は、さらに上記の基で置換されていてもよい。
なお、アルキル基、アルケニル基等を含む場合、これらは直鎖状でも分岐状でもよく、置換されていても無置換でもよい。また、アリール基、ヘテロ環基等を含むと場合、それらは単環でも縮環でもよく、置換されていても無置換でもよい。1価の有機基は、直鎖状よりも、分岐構造または環構造を有することが特に好ましい。
かご状シルセスキオキサン化合物は1価の有機基のうち、ただ1つ重合性基を有する基を有する。重合性基を有する基は、ケイ素原子に結合する置換基、すなわち、組成式(1)におけるRの1価の有機基のただ1つであり、置換基であるRの1価の有機基が、重合性基そのものであっても、または重合性基を有する基であっても構わない。ここで、重合性基を有する基、すなわち、重合性基が置換した1価の有機基である場合、基の末端に重合性基を有することが好ましい。
本発明におけるシルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体は、重合性基を有してもよい。重合性基を有することにより、加熱工程により架橋させることが可能となる。これにより耐熱性とイオン伝導性に優れたコート層とすることができる。加熱工程は、無機固体電解質の乾燥時でもよいし、組成物を塗膜化した電極シート作製時でもよいし、セル作製後でもよい。
加熱温度は100℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましく、200℃以上が最も好ましい。
重合性基を有する基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基またはヘテロアリール基に重合性基が置換したものが好ましく、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルキレン基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数3〜30のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数4〜12のヘテロアリール基に重合性基が置換したものがより好ましい。
このような重合性基としては、例えば、ラジカル重合によって化学結合を形成しうるエチレン性不飽和基、カチオン重合によって化学結合を形成しうるエポキシ基、オキセタニル基などが挙げられる。
エチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基が好ましい。なお、重合性基を含む基としては、フェニル基にビニル基が置換した、スチリル基が挙げられる。
ラジカル重合によって化学結合を形成する重合性基では、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基が好ましい。
なお、(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基、メタクリロイル基の総称であり、いずれか一方もしくはこれらが混合する場合も包含する。また、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基も同様の意味で使用する。
カチオン重合によって化学結合を形成する重合性基では、エポキシ基が好ましい。
ここで、エポキシ基を含む基としては、−アルキレン基−O−CH−エポキシ基が好ましい。アルキレン基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜3がさらに好ましい。なお、アルキレン基がオキシアルキレン基であるものも好ましい。
本発明におけるかご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体は、無機固体電解質を水や酸化還元から保護する目的から、重合性基を有する基以外に、少なくとも1つのRが疎水的であることが好ましく、例えば、疎水性を高める、もしくは疎水性が高い置換基が導入されていることがより好ましい。
このような基もしくは疎水性の高い置換基を有する基の結合手に水素原子を置換した化合物として求めたLogPが、好ましくは2以上、より好ましくは2.5以上である基が好ましい。上限は特に定めないが、一般に10未満が好ましい。
このような基としては、飽和炭化水素基、フッ素置換飽和炭化水素基等が挙げられる。例えば、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルキレン基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数3〜30のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数4〜12のヘテロアリール基などが挙げられ、これらにフッ素原子が置換した基なども好ましく挙げられる。
ここで、LogPは、分配係数P(Partition Coefficient)の常用対数を意味し、ある化学物質が油(一般的に1−オクタノール)と水の2相系の平衡でどのように分配されるかを定量的な数値として表す物性値であり、次式で表される。
LogP = Log(Coil/Cwater
上記式において、Coilは油相中のモル濃度を表し、Cwaterは水相中のモル濃度を表す。LogPの値が0をはさんでプラスに大きくなると油溶性が増し、マイナスで絶対値が大きくなると水溶性が増す。LogPは化学物質の水溶性と負の相関があり、親疎水性を見積るパラメータとして広く利用されている。その定義から考えて分配実験で実測するのが原則であるが、実験自体は手間がかかるため、構造式からの推算は有効な手段である。
このため、計算によるLogPの推算値のLogPが多用されている。
本明細書では、LogP値は、CambridgeSoft社製ChemDrawProver.12.0により計算された値である。
本発明では、かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体は、無機固体電解質の表面を保護する目的で使用される。例えば、大気との接触による水分の影響から保護することや、活物質または導電助剤との接触による酸化還元の影響から保護することを目的とする。この観点から、本発明におけるかご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体は無機固体電解質の表面に局在化していることが好ましい。また、かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体と無機固体電解質との相互作用を高め、吸着性を向上させるために、極性基が置換基として導入されていることがより好ましい。
ここで、シロキサンそのものは本来疎水的であるが、極性基が無機固体電解質との濡れ性を向上させ吸着し、無機固体電解質表面を保護するので長期間にわたって本発明の効果を維持できる。
Rは、1価の有機基が好ましく、重合性基を含む基以外の1価の有機基としては、以下の基が好ましい。
重合性基を含む基以外の1価の有機基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基またはヘテロアリール基がより好ましく、これらの各基はさらに置換基を有してもよい。このような置換基としては、1価の有機基として例示した基が挙げられる。本発明で必須とする重合性基以外の置換基としては、なかでも、フッ素原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルアミノ基、シリル基、アルキル基、アリール基、または極性基が置換していてもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基またはヘテロアリール基である
ここで、アルキル基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましく、1〜10が特に好ましい。シクロアルキル基の炭素数は、3〜30が好ましく、3〜12がより好ましく、アルケニル基の炭素数は2〜30が好ましく、2〜10がより好ましい。アリールの炭素数は6〜18が好ましく、6〜12がより好ましく、ヘテロアリール基の炭素数4〜12が好ましい。
極性基は、ヘテロ原子を有する基が好ましく、ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子が好ましい。極性基は、基の結合手を水素原子で置換した化合物として求めたLogPが1以下、より好ましくは0以下、さらに好ましくは−0.5以下である。
上記に挙げた基のうち、電子求引性基、電子供与性基、解離性基として分類される基も好ましい。
極性基としては、なかでも、カルボキシ基、スルホ基、ホスフェート基、ヒドロキシ基、CON(R、シアノ基、N(R、メルカプト基が好ましい。ここで、Rは水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。
このうち無機固体電解質への吸着性に優れる点でカルボキシ基が最も好ましい。
のアルキル基としては、炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜6がより好ましく、炭素数1〜3が特に好ましい。Rのアリール基としては、炭素数6〜12が好ましく、炭素数6〜10がより好ましい。
本発明では、複数のRのうち、ただ1つの重合性基を必須とするが、これ以外の1価の有機基としては、複数のRの少なくとも1つが極性基を含む基が好ましい。
本発明では、組成式(1)で表されるかご状シルセスキオキサン化合物は、以下の式(Q−1)〜(Q−7)のいずれかで表される化合物がより好ましい。
Figure 2016031868
式(Q−1)〜(Q−7)中、Rは、組成式(1)におけるRと同義であり、好ましい範囲も同じである。
式(Q−1)〜(Q−7)で表される化合物のうち、式(Q−6)で表される化合物が、特に好ましい。
本発明で使用されるかご状シルセスキオキサン化合物は、シグマアルドリッチ社、Hybrid Plastics社から購入できるものを使用してもよい。また、Polymers,20,67−85(2008)、Journal of Inorganic and Organometallic Polymers,11(3),123−154(2001)、Journal of Organometallic Chemistry,542,141−183(1997)、Journal of Macromolecular Science A.Chemistry,44(7),659−664(2007)、Chem.Rev.,95,1409−1430(1995)、Journal of Inorganic and Organometallic Polymers,11(3),155−164(2001)、Dalton Transactions,36−39(2008)、Macromolecules,37(23), 8517−8522(2004)、Chem.Mater.,8,1250−1259(1996)などに記載された任意の方法で合成してもよい。
また、かご状シルセスキオキサン化合物のただひとつのRに重合性基を導入する合成方法は、特開2006−96735号公報に記載されている。
重合性基を1つ有するかご状シルセスキオキサン化合物として購入可能なもので、ラジカル重合性モノマーとしては、アクリルイソブチルポリシルセスキオキサン(Hybrid Plastics社製、商品番号MA0701)、メタクリルイソブチルポリシルセスキオキサン(Hybrid Plastics社製、商品番号MA0702)、メタクリルシクロヘキシルポリシルセスキオキサン(Hybrid Plastics社製、商品番号MA0703)、メタクリルイソブチルポリシルセスキオキサン(Hybrid Plastics社製、商品番号MA0706)、メタクリロイルエチルポリシルセスキオキサン(Hybrid Plastics社製、商品番号MA0716)、メタクリルエチルポリシルセスキオキサン(Hybrid Plastics社製、商品番号MA0717)、メタクリルイソオクチルポリシルセスキオキサン(Hybrid Plastics社製、商品番号MA0718)、メタクリルイソオクチルポリシルセスキオキサン(Hybrid Plastics社製、商品番号MA0719)、メタクリルフェニルポリシルセスキオキサン(Hybrid Plastics社製、商品番号MA0734)、アリルイソブチルポリシルセスキオキサン(Hybrid Plastics社製、商品番号OL1118)、モノビニルイソブチルポリシルセスキオキサン(Hybrid Plastics社製、商品番号OL1123)、マレイミドシクロヘキシルポリシルセスキオキサン(Hybrid Plastics社製、商品番号IM0607)、マレイミドイソブチルポリシルセスキオキサン(Hybrid Plastics社製、商品番号IM0673)を好適に用いることができる。またカチオン重合性モノマーとしては、エポキシシクロヘキシルイソブチルポリシルセスキオキサン(Hybrid Plastics社製、商品番号EP0402)、グリシジルエチルポリシルセスキオキサン(Hybrid Plastics社製、商品番号EP0417)、グリシジルイソブチルポリシルセスキオキサン(Hybrid Plastics社製、商品番号EP0418)、グリシジルイソオクチルポリシルセスキオキサン(Hybrid Plastics社製、商品番号EP0419)が好適に用いることができる。
<かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体>
本発明では(A)かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体(以下、略して重合体と記載する場合がある)を用いる。上記で説明したかご状シルセスキオキサン化合物のただ1つの置換基Rのみが重合性基をもつ場合、重合反応によってかご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体が得られる。ここで、主鎖とは、ポリマー分子を形成する化学結合のうち最も長い化学結合を示す。重合性基がラジカル重合性基である(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、アリル基の場合、主鎖は炭化水素のみで形成され、カチオン重合性基であるエポキシ基、オキセタニル基の場合、主鎖は酸素原子で分断された炭化水素で形成される。
本発明における(A)かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体は、下記式(2)または式(3)で表される繰り返し単位を有するものが好ましい。
Figure 2016031868
式(2)および式(3)中、R、R、RおよびRは各々独立に、水素原子またはアルキル基を表す。RおよびRは互いに結合して環を形成してもよい。R11は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜20のフッ素化アルキル基または炭素数6〜12のフッ素化アリール基を表す。Lは単結合、*−COOR−、*−CONHR−、*−C−R−または*−Si(R)(R)−R−を表す。ここで、Rは炭素数1〜10の2価の有機基を表し、RおよびRは各々独立に、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。*は重合体の主鎖の炭素原子に結合する結合手を示す。Lは単結合または途中へテロ原子で分断されていてもよいアルキレン基を表す。なお、「−C−」はフェニレン基である。
、R、RおよびRのアルキル基は、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましい。
以下に、重合体の物性値、およびその製造方法を説明する。
重合体の重量平均分子量(M)は特に限定されないが、1.0×10〜50×10が好ましく、3.5×10〜40×10がより好ましく、5.0×10〜35×10が最も好ましい。
重合体の数平均分子量(M)は特に限定されないが、1.0×10〜35×10が好ましく、1.5×10〜20×10がより好ましく、2.5×10〜15×10が最も好ましい。
重合体のZ+1平均分子量(MZ+1)は特に限定されないが、1.5×10〜65×10が好ましく、2.5×10〜50×10がより好ましく、3.5×10〜35×10が最も好ましい。
このような範囲に、重量平均分子量および数平均分子量に設定することにより、有機溶媒に対する溶解性およびフィルターろ過性が向上し、保存時のパーティクルの発生が抑制できる。さらに無機固体電解質の表面にコートされた際に、無機固体電解質が有するイオン伝導性を阻害せず、耐湿性、耐熱性に優れたコート層を形成することができる。
重量平均分子量、数平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatography:ゲル浸透クロマトグラフィー)によってポリスチレン換算の分子量として計測することができる。このとき、GPC装置にHLC−8220(東ソー社製)を使用し、例えば、カラムにG3000HXLおよびG2000HXLを用い、23℃で、流量を1mL/minとし、RI(Refractive Index:示差屈折率)検出器で検出する。
有機溶媒に対する溶解性やフィルターろ過性の観点から、重合体は分子量300万以上の成分を実質的に含まないことが好ましく、200万以上の成分を実質的に含まないことがより好ましく、100万以上の成分を含まないことが最も好ましい。
なお、「実質的に」含むという場合、GPCの測定において、面積%で0.1%以上含有することを意味する。
本発明では、重合体中、かご状シルセスキオキサン化合物由来の構造が、10〜100質量%含まれていることが好ましく、20〜100質量%含まれていることがより好ましい。このような範囲内であれば、本発明におけるかご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体は無機固体電解質のイオン伝導性を阻害せず、耐熱性、耐湿性、機械強度がより向上する。
なお、重合体中、かご状シルセスキオキサン骨格を構成するケイ素原子にはフッ素原子を有する置換基を有することが耐湿性を向上させる上でより好ましい。
本発明における(A)かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体は、下記式(2A)または式(3A)で表される重合体が好ましい。
Figure 2016031868
式(2A)および式(3A)中、R11は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜20のフッ素化アルキル基または炭素数6〜12のフッ素化アリール基を表す。R21、R22およびR24は各々独立に、水素原子またはメチル基を表す。Lは単結合、*−COOR−、*−CONHR−、*−C−R−または*−Si(R)(R)−R−を表す。ここで、Rは炭素数1〜10の2価の有機基を表し、RおよびRは各々独立に、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。Lは単結合または途中へテロ原子で分断されていてもよいアルキレン基を表す。Lは単結合、*−COO−、*−CONH−、*−C−または*−Si(R)(R)−を表す。*は重合体の主鎖の炭素原子に結合する結合手を示す。Lは単結合または途中へテロ原子で分断されていてよいアルキレン基を表す。RおよびRは各々独立に、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。
23は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜20のフッ素化アルキル基または炭素数6〜12のフッ素化アリール基を表す。R23は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜20のフッ素化アルキル基または炭素数6〜12のフッ素化アリール基が好ましい。
25は下記(A群)から選択される置換基を有する1価の有機基を表す。
(A群)水素原子、カルボキシ基、スルホ基、ホスフェート基、ヒドロキシ基、CON(R、シアノ基、N(R、メルカプト基
nx、ny、およびnzは繰り返し単位のモル%を示し、nxは1〜100、nyは0〜80、nzは0〜50の数であり、nx+ny+nz=100を満たす。
式(2A)で表される重合体の場合は、nxは1〜85がより好ましく、1〜55がさらに好ましい。nyは1〜65がより好ましく、1〜63がさらに好ましい。nzは1〜30がより好ましく、1〜15がさらに好ましい。
式(3A)で表される重合体の場合は、nxは1〜85がより好ましく、1〜75がさらに好ましい。nyは1〜30がより好ましく、1〜20がさらに好ましい。nzは1〜10がより好ましく、1〜5がさらに好ましい。
<共重合モノマー>
式(2A)または式(3A)で表される共重合体の共重合モノマーとしては一般に使用されるラジカル重合性モノマー(アクリル系、メタクリル系、スチレン系、アクリロニトリル、アクリルアミド系、メタアクリルアミド系、ビニル系)やカチオン重合性モノマー(エポキシ系、オキセタン系、ビニルエーテル系)、ビニルシラン化合物などを用いることができる。
共重合モノマーの重合性官能基は、かご状シルセスキオキサン化合物の重合性基と同じであることがランダムな共重合が得られる点で好ましい。
共重合モノマーの置換基に各種極性基(カルボン酸、アミン、アルコール)を導入することで、得られるかご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体に極性基を導入することも可能である。
共重合モノマー中の置換基としてR23は疎水性官能基が好ましい。疎水性官能基を有するモノマーを共重合することで、得られるポリマーが疎水化し、固体電解質の耐湿性が向上する。
共重合モノマー中の置換基としてR25は極性官能基が好ましい。極性官能基を有するモノマーを共重合することで、得られるポリマーと固体電解質の密着性が向上し、固体電解質の経時安定性が向上する。
ガラス転移温度は特に限定されないが、−50℃以上350℃以下が好ましく、0℃以上300℃以下がさらに好ましく、50℃以上250℃以下がより好ましい。
本発明における重合体は、かご状シルセスキオキサン骨格を含有するため適度に空隙を有し、固体電解質粒子の周囲を被覆し、この被覆膜の低密度化が可能である。密度の好ましい範囲としては1.1g/cm以下であり、より好ましくは1.05g/cm以下であり、さらに好ましくは1.0g/cm以下である。
<重合体の製造方法>
重合性基の重合反応としてはどのような重合反応でもよいが、例えば、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、開環重合、重縮合、重付加、付加縮合、遷移金属触媒重合、ハイドロシリレーション反応などが挙げられる。このうち、ラジカル重合、カチオン重合がより好ましい。
ハイドロシリレーション反応は、例えば、かご状シルセスキオキサン化合物と、それに加えて、分子内に2個以上のSiH基を含む化合物(例えばビス(ジメチルシリル)エタン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンなど)を有機溶媒(例えばトルエン、キシレンなど)に溶解し、触媒(例えば、Platinum(0)−1,3−divinyl−1,1,3,3−tetramethyl disiloxane complexなど)を添加して20〜200℃で加熱する、などの方法で行うことができる。
重合体の製造方法としては、重合性基を介した重合反応が好ましく、ラジカル重合が最も好ましい。このような製造方法としては、かご状シルセスキオキサン化合物および重合開始剤を溶媒に溶解させ、加熱することにより重合を行う一括重合法、かご状シルセスキオキサン化合物を溶媒に溶解させて加熱し、重合開始剤の溶液を1〜10時間かけて滴下して加える滴下重合法(連続添加)、重合開始剤を複数回分割して加える分割添加重合法(分割添加)などが挙げられる。膜強度および分子量再現性がより改善される点で、分割添加および連続添加が好ましい。
重合反応の反応温度は、通常0℃〜200℃であり、好ましくは40℃〜170℃、さらに好ましくは80℃〜160℃である。
また、酸による重合開始剤の不活性化を抑制するために不活性ガス雰囲気下(例えば、窒素、アルゴン等)で反応させることが好ましい。反応時の酸素濃度は、好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppm以下、特に好ましくは20ppm以下である。
重合時の反応液中のかご状シルセスキオキサン化合物の濃度は、反応液全質量に対して、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましく、10質量%以下が最も好ましい。このような濃度範囲に設定することにより、ゲル化成分などの不純物の生成を抑制することができる。
重合反応に使用する溶媒は、かご状シルセスキオキサン化合物が必要な濃度で溶解可能であり、かつ得られる重合体から形成される膜の特性に悪影響を与えないものであればどのようなものを使用してもよい。以下の記述において、例えば、エステル溶媒とは分子内にエステル基を有する溶媒のことである。
溶媒としては、例えば、特開2008−218639号公報の段落番号0038に記載の溶媒を用いることができる。
これらの中でより好ましい溶媒は、エステル溶媒、エーテル溶媒および芳香族炭化水素溶媒であり、具体的には、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、アニソール、トルエン、キシレン、メシチレン、t−ブチルベンゼンが好ましく、特に好ましくは酢酸エチル、酢酸ブチル、ジフェニルエーテル、アニソール、メシチレン、t−ブチルベンゼンである。これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
反応時に重合開始剤を分解させるのに必要な温度まで反応液を加温できるために、溶媒の沸点は65℃以上であることが好ましい。
これらの溶媒のなかでも、得られる重合体の重合制御がしやすい点から、連鎖移動定数(Cx)が0<Cx≦5.0×10である溶媒を使用することが特に好ましい。
また、溶媒の好ましいSP(溶媒度パラメータ)値としては、得られる重合体の重合制御がし易く、かつ、得られる膜の諸特性がより優れる点から、10〜25(MPa1/2)が好ましく、15〜25(MPa1/2)がより好ましい。
ここで、SP値は、例えば、J. BRANDRUP, E. H. IMMERGUT and E. A. GRULKE著,Polymer Handbook Fourth Edition Volume2,(A John Wiley&Sons, Inc., Publication),p.675〜714(1999)に記載の方法を用いて得られる値である。
かご状シルセスキオキサン化合物の重合反応は、非金属の重合開始剤の存在下で行うことが好ましい。例えば、加熱によって炭素ラジカルや酸素ラジカル等の遊離ラジカルを発生して活性を示す重合開始剤の存在下で重合することができる。
重合開始剤としては、特に、有機過酸化物または有機アゾ系化合物が好ましく用いられる。有機過酸化物および有機アゾ系化合物としては、特開2008−239685号公報の段落番号0033〜0035に記載の化合物を使用することができる。
重合開始剤としては、試薬自体の安全性および重合反応の分子量再現性から、有機アゾ系化合物が好ましく、なかでも重合体中にシアノが取り込まれない、ジメチル 2、2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔例えば、和光純薬工業(株)のV−601〕などのアゾエステル化合物が好ましい。
重合開始剤の10時間半減期温度は、100℃以下が好ましい。10時間半減期温度が100℃以下であれば、重合開始剤を反応終了時に残存しないようにすることが容易である。
重合開始剤は1種のみ、または2種以上を混合して用いてもよい。
重合開始剤の使用量は、かご状シルセスキオキサン化合物1モルに対して、好ましくは0.0001〜2モル、より好ましくは0.003〜1モル、特に好ましくは0.001〜0.5モルである。
以上に述べたような条件で重合体を合成することにより、かご状シルセスキオキサン化合物由来の重合体を好適に得ることができる。なお、得られる重合体において、かご状シルセスキオキサン化合物由来の重合性基が一部残存してもよく、あるいは得られる重合体に重合性基を導入してもよい。重合体中に重合性基を導入する方法として、一般的なアクリルポリマーにおける重合性官能基を側鎖部分に有するポリマーの合成方法を適用することができる。重合性基を有するシルセスキオキサン化合物とメタクリル酸を一度重合し重合性基を消費する。その後、得られた重合体のカルボン酸の部分を一部メタクリル酸グリシジルで変性し、メタクリロイル基を導入する方法が挙げられる。また、重合性基を有するシルセスキオキサン化合物とメタクリル酸2−ヒドロキシエチルを一度重合し重合性基を消費する。その後、得られた重合体のヒドロキシ部分を一部メタクリル酸2−イソシアナトエチルで変性し、メタクリロイル基を導入する方法などが挙げられる。
かご状シルセスキオキサン化合物の重合反応を行った反応液をそのまま無機固体電解質と混合して用いてもよいが、反応終了後、精製処理を実施することが好ましい。精製の方法としては、水洗や適切な溶媒を組み合わせることにより残留単量体やオリゴマー成分を除去する液々抽出法、特定の分子量以下のもののみを抽出除去する限外ろ過、遠心分離処理、カラムクロマトグラフィー等の溶液状態での精製方法や、重合体溶液を貧溶媒へ滴下することで重合体を貧溶媒中に凝固させ、残留単量体等を除去する再沈澱法や、ろ別した重合体スラリーを貧溶媒で洗浄する等の固体状態での精製方法など通常の方法を適用できる。
例えば、重合体が難溶または不溶の溶媒(貧溶媒)を、反応溶液の10倍以下の体積量、好ましくは10〜5倍の体積量で、重合体含有溶液に接触させることにより重合体を固体として析出させる。重合体溶液からの沈殿または再沈殿操作の際に用いる溶媒(沈殿または再沈殿溶媒)としては、重合体の貧溶媒であればよく、重合体の種類に応じて、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ニトロ化合物、エーテル、ケトン、エステル、カーボネート、アルコール、カルボン酸、水、これらの溶媒を含む混合溶媒等の中から適宜選択して使用できる。これらの中でも、沈殿または再沈殿溶媒として、少なくともアルコール(特に、メタノールなど)または水を含む溶媒が好ましい。
シルセスキオキサン化合物の重合体およびその製造工程において、必要以上の重合を抑制するために重合禁止剤を添加してもよい。重合禁止剤の例としては、4−メトキシフェノール、2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール、カテコールなどが挙げられる。
<連鎖移動剤>
かご状シルセスキオキサン化合物の重合において、適宜重合開始剤に加えて連鎖移動剤を加えても良い。連鎖移動剤としてはチオールを用いることができる。連鎖移動剤の置換基に各種極性基(カルボキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基)を導入することで、得られるかご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体に極性基を導入することも可能である。
重合体に極性基としてカルボキシ基を導入する場合、例えば、連鎖移動剤として、メルカプト酢酸、メルカプトこはく酸などが挙げられる。アミノ基を導入する場合は、例えば、2−アミノエタンチオール、2−ジメチルアミノエタンチオールなどが挙げられる。ヒドロキシ基を導入する場合は、例えば、2−メルカプトエタノールが挙げられる。
かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体は極性基を有することが好ましい。シロキサンは本来疎水的であるが、極性基は無機固体電解質との濡れ性を向上させ吸着し、無機固体電解質表面を保護するので本発明の効果がより顕著になる。
式(2A)で表される重合体の具体的態様を表1に示し、式(3A)で表される重合体の具体的態様を表2に示す。本発明はこれに限定されるものではない。
なお、L、L中の連結基は、いずれも*部分の結合手で主鎖の炭素原子に結合する。また、−C−はフェニレンである。
Figure 2016031868
Figure 2016031868
(電解質塩[支持電解質])
本発明の固体電解質組成物には電解質塩(支持電解質)を含有させてもよい。電解質塩としては(C)リチウム塩が好ましい。リチウム塩としては、通常この種の製品に用いられるリチウム塩が好ましく、特に制限はないが、例えば、下記の(L−1)、(L−2)、および(L−3)に挙げるものが好ましい。
(L−1)無機リチウム塩:LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF等の無機フッ化物塩;LiClO、LiBrO、LiIO等の過ハロゲン酸塩;LiAlCl等の無機塩化物塩等。
(L−2)含フッ素有機リチウム塩:LiCFSO等のパーフルオロアルカンスルホン酸塩;LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(FSO、LiN(CFSO)(CSO)等のパーフルオロアルカンスルホニルイミド塩;LiC(CFSO等のパーフルオロアルカンスルホニルメチド塩;Li[PF(CFCFCF)]、Li[PF(CFCFCF]、Li[PF(CFCFCF]、Li[PF(CFCFCFCF)]、Li[PF(CFCFCFCF]、Li[PF(CFCFCFCF]等のフルオロアルキルフッ化リン酸塩等。
(L−3)オキサラトボレート塩:リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロオキサラトボレート等。
これらのなかで、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF、LiClO、Li(RfSO)、LiN(RfSO、LiN(FSOおよびLiN(RfSO)(RfSO)が好ましく、LiPF、LiBF、LiN(RfSO、LiN(FSO、及びLiN(RfSO)(RfSO)などのリチウムイミド塩がさらに好ましい。ここで、Rf、Rfはそれぞれパーフルオロアルキル基を示す。
リチウム塩の含有量は、無機固体電解質100質量部に対して0.1質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましい。上限としては、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
なお、電解液に用いる電解質は、1種を単独で使用しても、2種以上を任意に組み合わせてもよい。
(分散媒体)
本発明に係る固体電解質組成物においては、上記の各成分を分散させる分散媒体を用いてもよい。全固体二次電池を作製する際、固体電解質組成物を均一に塗布して製膜する観点から、固体電解質組成物に分散媒体を加えてペースト状にすることが好ましい。全固体二次電池の固体電解質層を形成する際には、分散媒体は乾燥によって除去される。分散媒体としては、例えば、アルコール溶媒、エーテル溶媒(水酸基含有エーテル溶媒を含む)、アミド溶媒、ケトン溶媒、芳香族溶媒、脂肪族溶媒(炭化水素溶媒またはハロゲン化炭化水素溶媒)、ニトリル溶媒などの水溶性有機溶媒が挙げられる。具体例としては、下記のものが挙げられる。
アルコール溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール、2−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ソルビトール、キシリトール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオールなどが挙げられる。
エーテル溶媒(水酸基含有エーテル溶媒を含む)としては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、シクロヘキシルメチルエーテル、アニソール、テトラヒドロフラン、アルキレングリコールアルキルエーテル(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等)などが挙げられる。
アミド溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−ピロリジノン、ε−カプロラクタム、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロパンアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミドなどが挙げられる。
ケトン溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。
芳香族溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
脂肪族溶媒としては、炭化水素溶媒では、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、オクタン、ペンタン、シクロペンタンなどが挙げられる。ハロゲン化炭化水素溶媒では、クロロホルム、塩化メチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどが挙げられる。
ニトリル溶媒としては、アセトニトリルが挙げられる。
本発明においては、エーテル溶媒、ケトン溶媒、芳香族溶媒、脂肪族溶媒を用いることが好ましく、なかでも炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒が好ましく炭化水素溶媒が最も好ましい。分散媒体は常圧(1気圧)での沸点が50℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがより好ましい。上限は220℃以下であることが好ましく、180℃以下であることがさらに好ましい。分散媒体は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、固体電解質組成物における分散媒体の量は、固体電解質組成物の粘度と乾燥負荷とのバランスで任意の量とすることができる。一般的に、固体電解質組成物中、20〜99質量%が好ましい。
(F)バインダー
固体電解質組成物には本発明におけるかご状シルセスキオキサン化合物の重合体に加えて、任意のバインダーを加えてもよい。バインダーは活物質と固体電解質の結着性を高める。バインダーは、例えば、フッ素系ポリマー(ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンジフルオリド、ポリビニリデンジフルオリドとペンタフルオロプロピレンの共重合物など)、炭化水素系ポリマー(スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、水添ブタジエンゴム、水添スチレンブタジエンゴム)、アクリル系ポリマー(ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチルとポリメタクリル酸の共重合物など)、ウレタン系ポリマー(ジフェニルメタンジイソシアネートとポリエチレングリコールの重縮合物など)、ポリイミド系ポリマー(4,4’−ビフタル酸無水物と3−アミノベンジルアミンの重縮合物など)などを用いることができる。
(正極活物質)
固体電解質組成物には正極活物質を含有させて、正極活物質層を形成する組成物としてもよい。それにより、正極材料用の組成物とすることができる。正極活物質には遷移金属酸化物が好ましく、中でも、遷移元素M(Co、Ni、Fe、Mn、Cu、Vから選択される1種以上の元素)を有することが好ましい。また、混合元素M(リチウム以外の金属周期律表の第1族の元素、第2族の元素、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、Bなど)を混合してもよい。このような遷移金属酸化物は、例えば、下記式(MA)〜(MC)のいずれかで表されるものを含む特定遷移金属酸化物、あるいはその他の遷移金属酸化物としてV、MnO等が挙げられる。正極活物質には、粒子状の正極活性物質を用いてもよい。具体的に、可逆的にリチウムイオンを挿入または放出できる遷移金属酸化物を用いることができるが、上記の特定遷移金属酸化物を用いるのが好ましい。
遷移金属酸化物は、遷移元素Mを含む酸化物等が好適に挙げられる。このとき混合元素M(好ましくはAl)などを混合してもよい。混合量としては、遷移金属の量に対して0〜30mol%が好ましい。Li/Mのモル比が0.3〜2.2になるように混合して合成されたものが、より好ましい。
〔式(MA)で表される遷移金属酸化物(層状岩塩型構造)〕
リチウム含有遷移金属酸化物としては中でも下式で表されるものが好ましい。
Li ・・・ (MA)
式(MA)中、MはMと同義である。aは0〜1.2を表し、0.2〜1.2が好ましく、0.6〜1.1がさらに好ましい。bは1〜3を表し、2が好ましい。Mの一部は混合元素Mで置換されていてもよい。式(MA)で表される遷移金属酸化物は典型的には層状岩塩型構造を有する。
遷移金属酸化物は下記の各式で表されるものが、より好ましい。
(MA−1) LiCoO
(MA−2) LiNiO
(MA−3) LiMnO
(MA−4) LiCoNi1−j
(MA−5) LiNiMn1−j
(MA−6) LiCoNiAl1−j−i
(MA−7) LiCoNiMn1−j−i
式(MA−1)〜(MA−7)中、gはaと同義である。jは0.1〜0.9を表す。iは0〜1を表す。ただし、1−j−iは0以上である。kはbと同義である。
遷移金属化合物の具体例を示すと、LiCoO(コバルト酸リチウム[LCO])、LiNi(ニッケル酸リチウム)LiNi0.85Co0.01Al0.05(ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム[NCA])、LiNi0.33Co0.33Mn0.33(ニッケルマンガンコバルト酸リチウム[NMC])、LiNi0.5Mn0.5(マンガンニッケル酸リチウム)である。
式(MA)で表される遷移金属酸化物は、一部重複するが、表記を変えて示すと、下記で表されるものも好ましい例として挙げられる。
(i)LiNiMnCo(x>0.2,y>0.2,z≧0,x+y+z=1)
好ましい代表例
LiNi1/3Mn1/3Co1/3
LiNi1/2Mn1/2
(ii)LiNiCoAl(x>0.7,y>0.1,0.1>z≧0.05,x+y+z=1)
好ましい代表例
LiNi0.8Co0.15Al0.05
〔式(MB)で表される遷移金属酸化物(スピネル型構造)〕
リチウム含有遷移金属酸化物としては中でも下記式(MB)で表されるものも好ましい。
Li ・・・ (MB)
式(MB)中、MはMと同義である。cは0〜2(0.2〜2が好ましい)を表し、0.6〜1.5が好ましい。dは3〜5を表し、4が好ましい。
式(MB)で表される遷移金属酸化物は下記の各式で表されるものが、より好ましい。
(MB−1) LiMn
(MB−2) LiMnAl2−p
(MB−3) LiMnNi2−p
式(MB−1)〜(MB−3)中、mはcと同義である。nはdと同義である。pは0〜2を表す。
このような遷移金属化合物は、例えば、LiMn、LiMn1.5Ni0.5が挙げられる。
式(MB)で表される遷移金属酸化物はさらに下記で表されるものも好ましい例として挙げられる。
(a) LiCoMnO
(b) LiFeMn
(c) LiCuMn
(d) LiCrMn
(e) LiNiMn
高容量、高出力の観点で上記のうちNiを含む電極が更に好ましい。
〔式(MC)で表される遷移金属酸化物〕
リチウム含有遷移金属酸化物としてはリチウム含有遷移金属リン酸化物を用いることも好ましく、中でも下記式(MC)で表されるものも好ましい。
Li(PO ・・・ (MC)
式(MC)中、eは0〜2(0.2〜2が好ましい)を表し、0.5〜1.5が好ましい。fは1〜5を表し、1〜2が好ましい。
はV、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cuから選択される1種以上の元素を表す。Mは、混合元素Mのほか、Ti、Cr、Zn、Zr、Nb等の他の金属で置換していてもよい。具体例としては、例えば、LiFePO、LiFe(PO等のオリビン型リン酸鉄塩、LiFeP等のピロリン酸鉄類、LiCoPO等のリン酸コバルト類、Li(PO(リン酸バナジウムリチウム)等の単斜晶ナシコン型リン酸バナジウム塩が挙げられる。
なお、Liの組成を表すa、c、g、m、e値は、充放電により変化する値であり、典型的には、Liを含有したときの安定な状態の値で評価される。式(a)〜(e)では特定値としてLiの組成を示しているが、これも同様に電池の動作により変化するものである。
正極活物質の平均粒子サイズは特に限定されないが、0.1μm〜50μmが好ましい。正極活性物質を所定の粒子サイズにするには、通常の粉砕機や分級機を用いればよい。焼成法によって得られた正極活物質は、水、酸性水溶液、アルカリ性水溶液、有機溶媒にて洗浄した後使用してもよい。
正極活物質の濃度は特に限定されないが、固体電解質組成物中、固形成分100質量%において、20〜90質量%が好ましく、40〜80質量%がより好ましい。
上記正極活物質は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(負極活物質)
固体電解質組成物には負極活物質を含有させて、負極活物質層の形成用組成物としてもよい。それにより、負極材料用の組成物とすることができる。負極活物質としては、可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できるものが好ましい。その材料は、特に制限はなく、炭素質材料、酸化錫や酸化ケイ素等の金属酸化物、金属複合酸化物、リチウム単体やリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金、および、SnやSi等のリチウムと合金形成可能な金属等が挙げられる。なかでも炭素質材料又はリチウム複合酸化物が信頼性の点から好ましく用いられる。また、金属複合酸化物としては、リチウムを吸蔵・放出可能であることが好ましい。その材料は、特には制限されないが、構成成分としてチタンおよび/又はリチウムを含有していることが、高電流密度充放電特性の観点で好ましい。
負極活物質として用いられる炭素質材料とは、実質的に炭素からなる材料である。例えば、石油ピッチ、天然黒鉛、気相成長黒鉛等の人造黒鉛、およびPAN系の樹脂やフルフリルアルコール樹脂等の各種の合成樹脂を焼成した炭素質材料を挙げることができる。さらに、PAN系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、脱水PVA系炭素繊維、リグニン炭素繊維、ガラス状炭素繊維、活性炭素繊維等の各種炭素繊維類、メソフェーズ微小球体、グラファイトウィスカー、平板状の黒鉛等を挙げることもできる。
これらの炭素質材料は、黒鉛化の程度により難黒鉛化炭素材料と黒鉛系炭素材料に分けることもできる。また炭素質材料は、特開昭62−22066号公報、特開平2−6856号公報、同3−45473号公報に記載される面間隔や密度、結晶子の大きさを有することが好ましい。炭素質材料は、単一の材料である必要はなく、特開平5−90844号公報に記載の天然黒鉛と人造黒鉛の混合物、特開平6−4516号公報に記載の被覆層を有する黒鉛等を用いることもできる。
負極活物質として適用される金属酸化物及び金属複合酸化物としては、特に非晶質酸化物が好ましく、さらに金属元素と周期律表第16族の元素との反応生成物であるカルコゲナイトも好ましく用いられる。ここでいう非晶質とは、CuKα線を用いたX線回折法で、2θ値で20°〜40°の領域に頂点を有するブロードな散乱帯を有するものを意味し、結晶性の回折線を有してもよい。2θ値で40°以上70°以下に見られる結晶性の回折線のうち最も強い強度が、2θ値で20°以上40°以下に見られるブロードな散乱帯の頂点の回折線強度の100倍以下であるのが好ましく、5倍以下であるのがより好ましく、結晶性の回折線を有さないことが特に好ましい。
上記非晶質酸化物及びカルコゲナイドからなる化合物群のなかでも、半金属元素の非晶質酸化物、及びカルコゲナイドがより好ましく、周期律表第13族〜15族の元素、Al、Ga、Si、Sn、Ge、Pb、Sb、Biの1種単独あるいはそれらの2種以上の組み合わせからなる酸化物、及びカルコゲナイドが特に好ましい。好ましい非晶質酸化物及びカルコゲナイドの具体例としては、例えば、Ga、SiO、GeO、SnO、SnO、PbO、PbO、Pb、Pb、Pb、Sb、Sb、Sb、Bi、Bi、SnSiO、GeS、SnS、SnS、PbS、PbS、Sb、Sb、SnSiSなどが好ましく挙げられる。また、これらは、酸化リチウムとの複合酸化物、例えば、LiSnOであってもよい。
負極活物質の平均粒子サイズは、0.1μm〜60μmが好ましい。所定の粒子サイズにするには、任意の粉砕機や分級機が用いられる。例えば、乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、衛星ボールミル、遊星ボールミル、旋回気流型ジェットミルや篩などが好適に用いられる。粉砕時には水、あるいはメタノール等の有機溶媒を共存させた湿式粉砕も必要に応じて行うことができる。所望の粒径とするためには分級を行うことが好ましい。分級方法としては特に限定はなく、篩、風力分級機などを必要に応じて用いることができる。分級は乾式、湿式ともに用いることができる。
上記焼成法により得られた化合物の化学式は、測定方法として誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法、簡便法として、焼成前後の粉体の質量差から算出できる。
Sn、Si、Geを中心とする非晶質酸化物負極活物質に併せて用いることができる負極活物質としては、リチウムイオン又はリチウム金属を吸蔵・放出できる炭素材料や、リチウム、リチウム合金、リチウムと合金可能な金属が好適に挙げられる。
負極活物質はチタン原子を含有することが好ましい。より具体的にはLiTi12がリチウムイオンの吸蔵放出時の体積変動が小さいことから急速充放電特性に優れ、電極の劣化が抑制されリチウムイオン二次電池の寿命向上が可能となる点で好ましい。特定の負極と更に特定の電解液を組合せることにより、様々な使用条件においても二次電池の安定性が向上する。
負極活物質の濃度は特に限定されないが、固体電解質組成物中、固形成分100質量%において、10〜80質量%であることが好ましく、20〜70質量%であることがより好ましい。
固体電解質組成物に正極活物質または負極活物質を含有させる例を考慮して説明したが、本発明はこれにより限定して解釈されるものではない。上記かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体を含まない組成物として正極活物質ないし負極活物質を含むペーストを調製してもよい。このとき、上記の無機固体電解質を含有させることが好ましい。このような、常用される正極材料または負極材料と組み合わせて、上記本発明の好ましい実施形態に係る固体電解質組成物を用いて無機固体電解質層を形成してもよい。また、正極および負極の活物質層には、適宜必要に応じて導電助剤を含有させてもよい。一般的な電子伝導性材料として、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブなどの炭素繊維や金属粉、金属繊維、ポリフェニレン誘導体などを含ませることができる。
負極活物質は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の固体電解質組成物は、(B)無機固体電解質の粒子の表面が、(A)かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体によって被覆されている。このような固体電解質組成物は、本発明の固体電解質組成物の製造方法により製造することができる。
<固体電解質組成物の製造方法>
本発明の固体電解質組成物の製造方法は、(A)かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体と、(B)周期律表第一族もしくは第二族に属する金属を含み、かつイオン伝導性を有する無機固体電解質の粒子とを、炭化水素系溶媒またはハロゲン化炭化水素系溶媒中で混合する工程と、この混合物を乾燥させることにより、(B)における無機固体電解質の粒子表面に、(A)かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体を被覆する工程と、を有する。
(A)かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体、および(B)無機固体電解質の粒子を混合する工程は任意の混練機で行うことができる。混練機により十分混合、分散させ、固体電解質組成物とする。混合した後、乾燥させることにより、無機固体電解質の粒子表面に、(A)かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体が被覆された状態となる。これにより無機固体電解質の粒子の表面を疎水化することができ、かつ、金属イオンのイオン伝導は良好なものとすることができる。
<集電体(金属箔)>
正極および負極の集電体としては、化学変化を起こさない電子伝導体を使用することが好ましい。正極の集電体としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタンなどの他にアルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたものが好ましく、その中でも、アルミニウム、アルミニウム合金がより好ましい。負極の集電体としては、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタンが好ましく、アルミニウム、銅、銅合金がより好ましい。
集電体の形状としては、通常フィルムシート状のものが使用されるが、ネット、パンチされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の成形体なども用いることができる。集電体の厚みとしては、特に限定されないが、1μm〜500μmが好ましい。また、集電体表面は、表面処理により凹凸を付けることも好ましい。
<電池用電極シートおよびその製造方法>
本発明の電池用電極シートは、集電体上に、本発明の固体電解質組成物が製膜されてなる。例えば、正極用の電極シートを一例にすると、集電体である金属箔上に、正極活物質を含む本発明の固体電解質組成物を市販のコーター、アプリケーター等を使用して塗布することにより正極活物質層を形成する。塗膜を乾燥した後、例えばロールプレスによって圧力を印加することが望ましい。このようにして電池用電極シートを作製することができる。
さらに正極活物質層の上面に無機固体電解質層用組成物を塗布することにより膜形成された電極シートとしてもよいし、またさらに、無機固体電解質層の上に、負極用活物質を含む組成物を塗布し、乾燥した後、ロールプレスしてなる電池用電極用シートとしてもよい。
<全固体二次電池およびその製造方法>
本発明の電池用電極シートの製造方法を経由して全固体二次電池を製造してもよい。上記のようにして製造される正極用電極シート上に、さらに、負極材料となる組成物を塗布することにより負極活物質層を形成する。次に、この負極の活物質の膜の上に集電体(金属箔)を付与する。このようにして全固体二次電池を作製することができる。なお、上記の各組成物の塗布方法はコーター等の任意の方法で行うことができる。このとき、正極活物質層をなす組成物、無機固体電解質層をなす組成物、および負極活物質層をなす組成物のそれぞれの塗布の後に、加熱処理を施すことが好ましい。加熱温度は特に限定されないが、30℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましい。上限は、300℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましい。これにより、全固体二次電池において、各層間の良好な結着性、および非加圧での良好なイオン伝導性を得ることができる。
<全固体二次電池の用途>
本発明に係る全固体二次電池は種々の用途に適用することができる。適用態様は特に限定されないが、例えば、電子機器に搭載する場合、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、コードレスフォン子機、ページャー、ハンディーターミナル、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、電気シェーバー、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、メモリーカードなどが挙げられる。その他民生用として、自動車、電動車両、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、ロードコンディショナー、時計、ストロボ、カメラ、医療機器(ペースメーカー、補聴器、肩もみ機など)などが挙げられる。更に、各種軍需用、宇宙用として用いることができる。また、太陽電池と組み合わせることもできる。
なかでも、高容量かつ高レート放電特性が要求されるアプリケーションに適用されることが好ましい。例えば、今後大容量化が予想される蓄電設備等においては高い信頼性が必須となりさらに電池性能の両立が要求される。また、電気自動車などは高容量の二次電池を搭載し、家庭で日々充電が行われる用途が想定され、過充電時に対して一層の信頼性が求められる。本発明によれば、このような使用形態に好適に対応してその優れた効果を発揮することができる。
全固体二次電池とは、正極、負極、電解質がともに固体で構成された二次電池を言う。換言すれば、電解質としてカーボネート系の溶媒を用いるような電解液型の二次電池とは区別される。このなかで、本発明は無機全固体二次電池を前提とする。全固体二次電池には、電解質としてポリエチレンオキサイド等の高分子化合物を用いる有機(高分子)全固体二次電池と、LLTやLLZ等を用いる無機全固体二次電池とに区分される。なお、無機全固体二次電池に高分子化合物を適用することは妨げられず、正極活物質、負極活物質、無機固体電解質粒子のバインダーとして高分子化合物を適用することができる。
無機固体電解質とは、上述した高分子化合物をイオン伝導媒体とする電解質(高分子電解質)とは区別されるものであり、無機化合物がイオン伝導媒体となるものである。具体例としては、LLTやLLZが挙げられる。無機固体電解質は、それ自体が陽イオン(Liイオン)を放出するものではなく、イオンの輸送機能を示すものである。これに対して、電解液ないし固体電解質層に添加して陽イオン(Liイオン)を放出するイオンの供給源となる材料を電解質と呼ぶことがあるが、上記のイオン輸送材料としての電解質と区別するときにはこれを「電解質塩」または「支持電解質」と呼ぶ。電解質塩としては例えばLiTFSIが挙げられる。
本発明において「組成物」というときには、2種以上の成分が均一に混合された混合物を意味する。ただし、実質的に均一性が維持されていればよく、所望の効果を奏する範囲で、一部において凝集や偏在が生じていてもよい。また、特に固体電解質組成物というときには、基本的に電解質層を形成するための材料となる組成物(典型的にはペースト状)を指し、この組成物を硬化して形成した電解質層はこれに含まれないものとする。
以下に、実施例に基づき本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明がこれにより限定して解釈されるものではない。以下の実施例において「部」および「%」というときには、特に断らない限り質量基準である。
重合体の重量平均分子量および数平均分子量は、CPC測定において標準ポリスチレン(商品名:TSK−GEL、東ソー社製)による換算値として求めた。
装置名:HLC−8220(東ソー社製)
カラム:G3000HXLおよびG2000HXL
温度:23℃
サンプル:テトラヒドロフラン希釈溶液(濃度0.1質量%)、1μL注入
(合成例1)
例示化合物(樹脂A−5)の合成
メタクリレートイソブチルポリシルセスキオキサン(Hybrid Plastics社製 商品番号MA0706)5.0gを酢酸ブチル100mLに加え窒素気流下80℃で加熱溶解させた。これにアゾ系熱ラジカル重合開始剤V−601 0.12gの酢酸ブチル溶液10mLを1時間かけて加え、さらにその後3時間加熱攪拌した。得られたポリマー溶液をメタノール300mLに滴下し、上澄みをデンカンテーションし、残渣を100℃で4時間真空加熱乾燥した。かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体(樹脂A−5)を白色固体として3.5g得た。得られた樹脂をGPCで分析すると、M=80950、M=35400であった。なお、下記表3において、かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体を、シルセスキオキサン化合物と記載した。
(合成例2)
例示化合物(樹脂A−15)の合成
メタクリレートフェニルポリシルセスキオキサン(Hybrid Plastics社製 商品番号MA0734)7.3gと2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート1.2gをジフェニルエーテル120mLに加え窒素気流下80℃で加熱溶解させた。これにアゾ系熱ラジカル重合開始剤V−601(和光純薬工業(株)製) 0.16gのジフェニルエーテル溶液15mLを1時間かけて加え、さらにその後3時間加熱攪拌した。得られたポリマー溶液をメタノール350mLに滴下し、上澄みをデンカンテーションし、残渣を100℃4時間真空加熱乾燥した。目的化合物(樹脂A−15)を白色固体として5.1g得た。得られた樹脂をGPCで分析すると、M=46880、M=23100であった。
(合成例3)
例示化合物(樹脂A−18)の合成
メタクリレートフェニルポリシルセスキオキサンの代わりにメタクリレートイソオクチルポリシルセスキオキサン(Hybrid Plastics社製 商品番号MA0718)を用いたこと以外は合成例2と同様にして目的化合物(樹脂A−18)を白色固体として4.3g得た。得られた樹脂をGPCで分析すると、M=87230、M=33900であった。
(合成例4)
例示化合物(樹脂A−19)の合成
メタクリレートイソオクチルポリシルセスキオキサン(Hybrid Plastics社製 商品番号MA0718)9.1gと2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート1.7g、メタクリル酸0.5gをクロロベンゼン120mLに加え窒素気流下80℃で加熱溶解させた。これにアゾ系熱ラジカル重合開始剤V−601 0.22gのクロロベンゼン溶液15mLを2時間かけて加え、さらにその後5時間加熱攪拌した。得られたポリマー溶液をイソプロパノール550mLに滴下し、上澄みをデンカンテーションし、残渣を100℃4時間真空加熱乾燥した。目的化合物(樹脂A−19)を白色固体として3.9g得た。得られた樹脂をGPCで分析すると、M=13370、M=7800であった。
(合成例5)
例示化合物(樹脂A−20)の合成
メタクリル酸の代わりにジメチルアミノエチルメタクリレートを用いたこと以外は合成例4と同様にして目的化合物(樹脂A−20)を白色固体として4.1g得た
(合成例6)
例示化合物(樹脂A−22)の合成
〔(モノマー体:(ヘプタ−2−(トリフルオロメチル)エチル−モノメタクリル酸プロピル−シルセスキオキサンの合成〕
下記のように、特開2006−96735号公報に記載の方法で合成した。
1Lフラスコに2−(トリフルオロメチル)エチルトリメトキシシラン100g、テトラヒドロフラン500mL、純水10.5gおよび水酸化ナトリウム7.9gを仕込み、マグネチックスターラーで攪拌しながら、室温からテトラヒドロフランが還流する温度までオイルバスにより加熱した。還流開始から5時間撹拌を継続して反応を完結させた。室温で一晩静置した後、再度オイルバスにセットし固体が析出するまで定圧下で加熱濃縮した。析出した生成物をろ取し、テトラヒドロフラン10mLで1回洗浄し、減圧乾燥機にて80℃、3時間乾燥を行い、74gの無色粉末状の固形物(M−1)を得た。
2Lフラスコに上記粉末固形物(M−1)25.0gをトリエチルアミン14.6gおよび乾燥テトラヒドロフラン700mLを仕込んだ。室温で攪拌しながらを溶解させた後、この溶液に(3−(メタクリロイル)プロピル)トリメトキシシラン13.6gを速やかに加え、室温にて14時間攪拌した。得られた反応液は、ロータリーエバポレーターを用いて溶剤を除去し、白色の粘ちょう物を得た。ここにメタノール500mLを加えて、固体成分を析出させた。一晩、室温にて静置し、固体成分を十分析出させた後、濾過によって固−液分離を行った。得られた固体を減圧乾燥(60℃、3時間)して、ヘプタ−2−(トリフルオロメチル)エチル−モノメタクリル酸プロピル−シルセスキオキサンの白色固体を7.3g得た。
(重合体の合成)
ヘプタ−2−(トリフルオロメチル)エチル−モノメタクリル酸プロピル−シルセスキオキサン2.1gと1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート4.2g、メタクリル酸0.6gをクロロベンゼン120mLに加え窒素気流下80℃で加熱溶解させた。これにアゾ系熱ラジカル重合開始剤アゾイソブチロニトリル 0.12gのクロロベンゼン溶液20mLを2時間かけて加え、さらにその後5時間加熱攪拌した。得られたポリマー溶液をイソプロパノール550mLに滴下し、上澄みをデンカンテーションし、残渣を100℃4時間真空加熱乾燥した。目的化合物(樹脂A−22)を白色固体として1.8g得た。得られた樹脂をGPCで分析すると、M=12880、M=5200であった。
(合成例7)
例示化合物(樹脂A−23)の合成
メタクリル酸の代わりにジメチルアミノエチルメタクリレートを用いたこと以外は合成例6と同様にして目的化合物(樹脂A−23)を白色固体として1.1g得た。得られた樹脂をGPCで分析すると、M=47900、M=15300であった。
(合成例8)
例示化合物(樹脂A−26)の合成
グリシジルイソブチルポリシルセスキオキサン(Hybrid Plastics社製、商品番号EP0418)5.0gをm−キシレン80mLに加え、120℃で加熱溶解した。これに熱カチオン重合開始剤サンエイドSI−100L(三新化学工業(株)製)0.22gのm−キシレン20mL溶液を60分かけて滴下した。さらにその後120℃で4時間攪拌した。得られたポリマー溶液をブタノール300mLに滴下して再沈させた。得られた固体をテトラヒドロフラン50mLに溶解し、メタノール50mLとイオン交換水10mLの混合液に滴下して得られた固体を乾燥させ、白色固体の目的物(樹脂A−18)3.6gを得た。得られた樹脂をGPCで分析すると、M=52690、M=21000であった。
(合成例9)
例示化合物(樹脂A−30)の合成
グリシジルイソブチルポリシルセスキオキサン(Hybrid Plastics社製、商品番号EP0418)5.0gと1,2−エポキシ−1H,1H,2H,3H,3H−ヘプタデカフルオロウンデカン2.6gをジフェニルエーテル100mLに加え、120℃で加熱溶解した。これに熱カチオン重合開始剤サンエイドSI−100L(三新化学工業(株)製)0.15gのジフェニルエーテル20mL溶液を60分かけて滴下した。さらにその後120℃で4時間攪拌した。得られたポリマー溶液をメタノール300mLに滴下して再沈させた。得られた固体をテトラヒドロフラン50mLに溶解し、メタノール50mLとイオン交換水10mLの混合液に滴下して、得られた固体を乾燥させ、白色固体の目的物(樹脂A−30)2.5gを得た。得られた樹脂をGPCで分析すると、M=23980、M=11000であった。
(合成例10)
例示化合物(樹脂A−31)の合成
グリシジルイソブチルポリシルセスキオキサン(Hybrid Plastics社製、商品番号EP0418)3.0gと1,2−エポキシ−1H,1H,2H,3H,3H−ヘプタデカフルオロウンデカン2.0g、オキシラン−2−カルボン酸0.2gをジフェニルエーテル80mLに加え、120℃で加熱溶解した。これに熱カチオン重合開始剤サンエイドSI−100L(三新化学工業(株)製)0.11gのジフェニルエーテル20mL溶液を60分かけて滴下した。さらにその後120℃で4時間攪拌した。得られたポリマー溶液をメタノール250mLに滴下して再沈させた。得られた固体をテトラヒドロフラン50mLに溶解し、メタノール50mLとイオン交換水10mLの混合液に滴下して得られた固体を乾燥させ、白色固体の目的物(樹脂A−31)1.2gを得た。得られた樹脂をGPCで分析すると、M=124500、M=35200であった。
(固体電解質組成物の調製)
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを180個投入し、無機固体電解質LLT(豊島製作所製)9.0g、例示化合物(A−5)の30%溶液(ヘプタン溶液)2.7g(固形分0.8g)、LiTFSI(Aldrich社製)0.2gを加え、分散媒として、ヘプタン15.0gを投入した後に、フリッチュ社製遊星ボールミルP−7に容器をセットし、回転数300rpmで2時間混合を続け、固体電解質組成物S−1を得た。他の例示固体電解質組成物も同様の方法で調製した。
Figure 2016031868
<表3の注>
表中数字は質量比(%)
LLT:Li0.33La0.55TiO(平均粒径3.25μm)
LLZ:LiLaZr12(平均粒径5.06μm,(株)豊島製作所製)
LiTFSI〔LiN(CFSO
PDMS:ポリジメチルシリコーン(アルドリッチ社製 粘度1000cSt)
PDMS(末端メタクリル):メタクリル変性ポリジメチルシリコーン(信越シリコーン(株)製X−22−164E)
(二次電池正極用組成物の調製)
プラネタリーミキサー(TKハイビスミックス、PRIMIX社製)に、表4に記載の正極活物質 100質量部、アセチレンブラック5質量部、上記で得られた固体電解質組成物S−1 75質量部、N−メチルピロリドン270質量部を加え、40rpmで1時間撹拌を行った。
(二次電池負極用組成物の調製)
プラネタリーミキサー(TKハイビスミックス、PRIMIX社製)に、表4に記載の負極活物質 100質量部、アセチレンブラック5質量部、上記で得られた固体電解質組成物S−1 75質量部、N−メチルピロリドン270質量部を加え、40rpmで1時間撹拌を行った。
(二次電池用正極の作製)
上記で得られた二次電池正極用組成物を厚み20μmのアルミ箔上に、目的とするクリアランスを有するアプリケーターにより塗布し、80℃で1時間加熱し、さらに110℃で1時間加熱し、塗布溶媒を乾燥させた。その後、ヒートプレス機を用いて、目的とする密度になるように加熱および加圧し、二次電池用正極を得た。
(二次電池用電極シートの作製)
上記で得られた二次電池用正極上に、上記で得られた固体電解質組成物を、目的とするクリアランスを有するアプリケーターにより塗布し、80℃で1時間加熱し、さらに110℃1時間加熱し、乾燥させた。その後、得られた二次電池負極用組成物をさらに塗布し、80℃で1時間加熱後、さらに110℃で1時間加熱し、乾燥させた。負極層上に厚さ20μmの銅箔を合わせ、ヒートプレス機を用いて、目的とする密度になるように加熱および加圧し、二次電池用電極シートを得た。
<耐湿性評価>
作製した直後の電極シートに対して、電極シートを25℃、相対湿度50%の恒温恒湿下で6時間経過した後のイオン伝導度の変化を示す。
A:耐湿試験後にイオン伝導度の減少がみられない
B:耐湿試験後にイオン伝導度が100%未満、80%以上を維持
C:耐湿試験後にイオン伝導度が80%未満、60%以上を維持
D:耐湿試験後にイオン伝導度が60%未満、20%以上を維持
E:耐湿試験後にイオン伝導度が20%未満
<経時安定性評価>
作製した直後の電極シートに対して、電極シートを25℃露点−40℃の恒温恒湿下で2週間経過した後のイオン伝導度の変化を示す。
A:経時安定試験後にイオン伝導度の減少がみられない
B:経時安定試験後にイオン伝導度が100%未満、80%以上を維持
C:経時安定試験後にイオン伝導度が80%未満、60%以上を維持
D:経時安定試験後にイオン伝導度が60%未満、20%以上を維持
E:経時安定試験後にイオン伝導度が20%未満
<イオン伝導度の測定>
上記で得られた電極シートを直径14.5mmの円板状に切り出し、スペーサーとワッシャーを組み込んだステンレス製の2032型コインケースに入れてコイン電池を作製した。コイン電池の外部より、電極間に圧力をかけることができる治具に挟み、各種電気化学的測定に用いた。コイン電池を用いて、30℃の恒温槽中、交流インピーダンス法により求めた。
コイン電池の加圧に用いた試験装置を図2に示す。切り出した電池シート15をコインケース14に収容してコイン電池13を作製した。次に、コイン電池13を上部支持板11および下部支持板12の間に配置し、ネジSによって、コイン電池13を加圧した。電極間の圧力は500kgf/cmとした。
固体電解質シートの耐湿性、経時安定性ならびにイオン伝導度の測定結果を表4に示す。表4において、セル構成において活物質の記載のないものは、上記二次電池用電極シートにおいて、負極活物質層および正極活物質層を省略した電極シートを用いたことを意味する。
Figure 2016031868
<表4の注>
試験No.:cで始まるものが比較例
LMO;LiMn マンガン酸リチウム
LTO:LiTi12 チタン酸リチウム
(商品名「エナマイトLT−106」、石原産業(株)製)
NMC;Li(Ni1/3Mn1/3Co1/3)O
ニッケル、マンガン、コバルト酸リチウム
黒鉛:日本黒鉛工業(株)製の球状化黒鉛粉末
表4からわかるように、本発明におけるかご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体を用いた試験No.101〜118では、耐湿性および経時安定性がいずれも「C」以上であった。また、イオン伝導度も0.07mS/cm以上であった。特に、フッ素原子を有する基を有する試験No.108〜115、117、および118では耐湿性が「B」以上であった。また、極性基であるR25を有する試験No.113、115、および118では、経時安定性が全て「A」であった。一方、ポリジメチルシリコーンおよびメタクリル変性ポリジメチルシリコーンを用いた試験例c11およびc12は、耐湿性およびイオン伝導度を両立させ、さらに経時安定性とも両立させる点で発明より劣っていた。
1 負極集電体
2 負極活物質層
3 無機固体電解質層
4 正極活物質層
5 正極集電体
6 作動部位
10 全固体二次電池
11 上部支持板
12 下部支持板
13 コイン電池
14 コインケース
15 電池シート
S ネジ

Claims (18)

  1. 正極活物質層、無機固体電解質層および負極活物質層をこの順に有する全固体二次電池であって、該正極活物質層、該無機固体電解質層および該負極活物質層の少なくとも1層が、(A)下記組成式(1)で表される1種または2種以上のかご状シルセスキオキサン化合物を重合して、かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体、および(B)周期律表第一族もしくは第二族に属する金属を含み、かつイオン伝導性を有する無機固体電解質を含有する全固体二次電池。
    Figure 2016031868
    組成式(1)中、Rは水素原子または1価の有機基を表す。複数のRは互いに同一であっても異なってもよい。ただし、ただ1つのRが重合性基を有する基である。αは8〜16の整数を表す。
  2. 前記(A)かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体が、下記式(Q−1)〜(Q−7)のいずれかで表されるかご状シルセスキオキサン化合物から選択される1種または2種以上を重合した重合体である請求項1に記載の全固体二次電池。
    Figure 2016031868
    式(Q−1)〜(Q−7)中、Rは水素原子または1価の有機基を表す。ただし、Rのうちただ1つは重合性基を有する基を表す。
  3. 前記重合性基を有する基以外の1価の有機基が、フッ素原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルアミノ基、シリル基、アルキル基、アリール基、または極性基が置換していてもよい、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基またはヘテロアリール基である請求項1または2に記載の全固体二次電池。
  4. 前記重合性基が、エポキシ基、オキセタニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基またはアリル基である請求項1〜3のいずれか1項に記載の全固体二次電池。
  5. 前記重合性基を有する基以外の1価の有機基のうち少なくとも1つが、下記極性基のいずれかを有する基である請求項1〜4のいずれか1項に記載の全固体二次電池。
    (極性基)
    カルボキシ基、スルホ基、ホスフェート基、ヒドロキシ基、CON(R、シアノ基、N(R、メルカプト基
    ここで、Rは水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。
  6. 前記(A)かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体の主鎖構造が、途中ヘテロ原子で分断されていてもよい炭化水素基である請求項1〜5のいずれか1項に記載の全固体二次電池。
  7. 前記(A)かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体が、下記式(2)または式(3)で表される繰り返し単位を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の全固体二次電池。
    Figure 2016031868
    式(2)および式(3)中、R、R、RおよびRは各々独立に、水素原子またはアルキル基を表す。ここで、RおよびRは互いに結合して環を形成してもよい。R11は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜20のフッ素化アルキル基または炭素数6〜12のフッ素化アリール基を表す。Lは単結合、*−COOR−、*−CONHR−、*−C−R−または*−Si(R)(R)−R−を表す。ここで、Rは炭素数1〜10の2価の有機基を表し、RおよびRは各々独立に、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。*は重合体の主鎖の炭素原子に結合する結合手を示す。Lは単結合または途中へテロ原子で分断されていてもよいアルキレン基を表す。
  8. 前記(A)かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体が、下記式(2A)または式(3A)で表される請求項1〜6のいずれか1項に記載の全固体二次電池。
    Figure 2016031868
    式(2A)および式(3A)中、R11は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜20のフッ素化アルキル基または炭素数6〜12のフッ素化アリール基を表す。R21、R22およびR24は各々独立に、水素原子またはメチル基を表す。Lは単結合、*−COOR−、*−CONHR−、*−C−R−または*−Si(R)(R)−R−を表す。ここで、Rは炭素数1〜10の2価の有機基を表し、RおよびRは各々独立に、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。Lは単結合または途中へテロ原子で分断されていてもよいアルキレン基を表す。Lは単結合、*−COO−、*−CONH−、*−C−または*−Si(R)(R)−を表す。ここで、RおよびRは各々独立に、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。*は重合体の主鎖の炭素原子に結合する結合手を示す。Lは単結合または途中へテロ原子で分断されていてもよいアルキレン基を表す。R23は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜20のフッ素化アルキル基または炭素数6〜12のフッ素化アリール基を表す。R25は下記(A群)から選択される置換基を有する1価の有機基を表す。
    (A群)水素原子、カルボキシ基、スルホ基、ホスフェート基、ヒドロキシ基、CON(R、シアノ基、N(R、メルカプト基
    ここで、Rは、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。
    nx、nyおよびnzは繰り返し単位のモル%を表し、nxは1〜100、nyは0〜80、nzは0〜50の数であり、nx+ny+nz=100を満たす。
  9. 前記(A)かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体の重量平均分子量が、1,000〜500,000である請求項1〜8のいずれか1項に記載の全固体二次電池。
  10. 前記正極活物質層、前記負極活物質層および前記無機固体電解質層の少なくとも1つの層が、さらに(C)リチウム塩を含有する請求項1〜9のいずれか1項に記載の全固体二次電池。
  11. 前記(B)における無機固体電解質が、酸化物系の無機固体電解質である請求項1〜10のいずれか1項に記載の全固体二次電池。
  12. (A)かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体、(B)周期律表第一族もしくは第二族に属する金属を含み、かつイオン伝導性を有する無機固体電解質を含有する固体電解質組成物。
  13. 前記(B)における無機固体電解質の粒子の表面が、前記(A)かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体によって被覆されてなる請求項12に記載の固体電解質組成物。
  14. 前記無機固体電解質100質量部に対して、前記(A)かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体を0.01質量部以上20質量部以下含有する請求項12または13に記載の固体電解質組成物。
  15. (A)かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体と、(B)周期律表第一族もしくは第二族に属する金属を含み、かつイオン伝導性を有する無機固体電解質の粒子とを、炭化水素溶媒またはハロゲン化炭化水素溶媒中で混合して混合物を得る工程と、
    前記混合物を乾燥させることにより、前記(B)における無機固体電解質の粒子表面に、前記(A)かご状シルセスキオキサン骨格を側鎖に有する重合体を被覆する工程と、
    を有する固体電解質組成物の製造方法。
  16. 請求項12〜14のいずれか1項に記載の固体電解質組成物が、集電体上に製膜されてなる電池用電極シート。
  17. 請求項12〜14のいずれか1項に記載の固体電解質組成物を、集電体上に製膜する電池用電極シートの製造方法。
  18. 請求項17に記載の電池用電極シートの製造方法を経由して全固体二次電池を製造する全固体二次電池の製造方法。
JP2014154349A 2014-07-29 2014-07-29 全固体二次電池、電池用電極シート、電池用電極シートの製造方法、固体電解質組成物、固体電解質組成物の製造方法、および全固体二次電池の製造方法 Active JP6265546B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014154349A JP6265546B2 (ja) 2014-07-29 2014-07-29 全固体二次電池、電池用電極シート、電池用電極シートの製造方法、固体電解質組成物、固体電解質組成物の製造方法、および全固体二次電池の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014154349A JP6265546B2 (ja) 2014-07-29 2014-07-29 全固体二次電池、電池用電極シート、電池用電極シートの製造方法、固体電解質組成物、固体電解質組成物の製造方法、および全固体二次電池の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016031868A true JP2016031868A (ja) 2016-03-07
JP6265546B2 JP6265546B2 (ja) 2018-01-24

Family

ID=55442134

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014154349A Active JP6265546B2 (ja) 2014-07-29 2014-07-29 全固体二次電池、電池用電極シート、電池用電極シートの製造方法、固体電解質組成物、固体電解質組成物の製造方法、および全固体二次電池の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6265546B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016199723A1 (ja) * 2015-06-09 2016-12-15 富士フイルム株式会社 固体電解質組成物、全固体二次電池用電極シートおよび全固体二次電池ならびに全固体二次電池用電極シートおよび全固体二次電池の製造方法
WO2017010365A1 (ja) * 2015-07-10 2017-01-19 Jnc株式会社 リチウムイオン二次電池用負極活物質およびその製造方法
WO2018003150A1 (ja) * 2016-06-30 2018-01-04 Jnc株式会社 シリコンナノ粒子含有水素ポリシルセスキオキサン、その焼成物、及びそれらの製造方法
WO2019087752A1 (ja) * 2017-10-30 2019-05-09 富士フイルム株式会社 固体電解質組成物、固体電解質含有シート及び全固体二次電池並びに固体電解質含有シート及び全固体二次電池の製造方法
WO2020095996A1 (ja) * 2018-11-08 2020-05-14 ダイキン工業株式会社 被覆粒子、正極、負極、全固体電池、及び、硫化物系全固体電池用コーティング組成物
JP2020119640A (ja) * 2019-01-18 2020-08-06 トヨタ自動車株式会社 集電体
WO2024119286A1 (zh) * 2022-12-05 2024-06-13 宁德时代新能源科技股份有限公司 聚合物、隔离膜及其相关的二次电池和用电装置

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001243983A (ja) * 2000-02-28 2001-09-07 Kyocera Corp 固体電解質電池
JP2006092810A (ja) * 2004-09-21 2006-04-06 Aisin Seiki Co Ltd 電解質材料、電解質膜、触媒ペースト、膜電極接合体及び燃料電池
JP2010033876A (ja) * 2008-07-29 2010-02-12 Idemitsu Kosan Co Ltd ポリマー被覆固体電解質、及びそれを用いた全固体二次電池
JP2012178256A (ja) * 2011-02-25 2012-09-13 Toyota Motor Corp イオン伝導体材料、固体電解質層、電極活物質層および全固体電池
JP2012221824A (ja) * 2011-04-12 2012-11-12 Sony Corp リチウムイオン二次電池、電子機器、電動工具、電動車両および電力貯蔵システム
JP2013008647A (ja) * 2011-06-27 2013-01-10 Kyoto Institute Of Technology 固体導電材料
JP2014093158A (ja) * 2012-11-01 2014-05-19 Toyota Motor Corp リチウムイオン二次電池
JP2014101496A (ja) * 2012-10-25 2014-06-05 Central Glass Co Ltd 接着性組成物およびその接着方法、並びに接着後の剥離方法
US20150244025A1 (en) * 2014-02-26 2015-08-27 Sogang University Research Foundation Solid polymer electrolyte composition and lithium secondary battery including the same

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001243983A (ja) * 2000-02-28 2001-09-07 Kyocera Corp 固体電解質電池
JP2006092810A (ja) * 2004-09-21 2006-04-06 Aisin Seiki Co Ltd 電解質材料、電解質膜、触媒ペースト、膜電極接合体及び燃料電池
JP2010033876A (ja) * 2008-07-29 2010-02-12 Idemitsu Kosan Co Ltd ポリマー被覆固体電解質、及びそれを用いた全固体二次電池
JP2012178256A (ja) * 2011-02-25 2012-09-13 Toyota Motor Corp イオン伝導体材料、固体電解質層、電極活物質層および全固体電池
JP2012221824A (ja) * 2011-04-12 2012-11-12 Sony Corp リチウムイオン二次電池、電子機器、電動工具、電動車両および電力貯蔵システム
JP2013008647A (ja) * 2011-06-27 2013-01-10 Kyoto Institute Of Technology 固体導電材料
JP2014101496A (ja) * 2012-10-25 2014-06-05 Central Glass Co Ltd 接着性組成物およびその接着方法、並びに接着後の剥離方法
JP2014093158A (ja) * 2012-11-01 2014-05-19 Toyota Motor Corp リチウムイオン二次電池
US20150244025A1 (en) * 2014-02-26 2015-08-27 Sogang University Research Foundation Solid polymer electrolyte composition and lithium secondary battery including the same

Cited By (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016199723A1 (ja) * 2015-06-09 2016-12-15 富士フイルム株式会社 固体電解質組成物、全固体二次電池用電極シートおよび全固体二次電池ならびに全固体二次電池用電極シートおよび全固体二次電池の製造方法
US10847784B2 (en) 2015-07-10 2020-11-24 Jnc Corporation Negative electrode active material for lithium ion secondary battery and method for producing same
WO2017010365A1 (ja) * 2015-07-10 2017-01-19 Jnc株式会社 リチウムイオン二次電池用負極活物質およびその製造方法
WO2018003150A1 (ja) * 2016-06-30 2018-01-04 Jnc株式会社 シリコンナノ粒子含有水素ポリシルセスキオキサン、その焼成物、及びそれらの製造方法
JPWO2018003150A1 (ja) * 2016-06-30 2019-04-18 Jnc株式会社 シリコンナノ粒子含有水素ポリシルセスキオキサン、その焼成物、及びそれらの製造方法
US11027978B2 (en) 2016-06-30 2021-06-08 Jnc Corporation Silicon nanoparticle-containing hydrogen polysilsesquioxane, calcined product thereof, production method therefor, active material, negative electrode, and lithium ion battery
WO2019087752A1 (ja) * 2017-10-30 2019-05-09 富士フイルム株式会社 固体電解質組成物、固体電解質含有シート及び全固体二次電池並びに固体電解質含有シート及び全固体二次電池の製造方法
JPWO2019087752A1 (ja) * 2017-10-30 2020-11-12 富士フイルム株式会社 固体電解質組成物、固体電解質含有シート及び全固体二次電池並びに固体電解質含有シート及び全固体二次電池の製造方法
JP7008080B2 (ja) 2017-10-30 2022-02-10 富士フイルム株式会社 固体電解質組成物、固体電解質含有シート及び全固体二次電池並びに固体電解質含有シート及び全固体二次電池の製造方法
WO2020095996A1 (ja) * 2018-11-08 2020-05-14 ダイキン工業株式会社 被覆粒子、正極、負極、全固体電池、及び、硫化物系全固体電池用コーティング組成物
CN112969730A (zh) * 2018-11-08 2021-06-15 大金工业株式会社 被覆颗粒、正极、负极、全固态电池以及硫化物系全固态电池用涂布组合物
JPWO2020095996A1 (ja) * 2018-11-08 2021-10-07 ダイキン工業株式会社 被覆粒子、正極、負極、全固体電池、及び、硫化物系全固体電池用コーティング組成物
CN112969730B (zh) * 2018-11-08 2023-02-28 大金工业株式会社 被覆颗粒、正极、负极、全固态电池以及硫化物系全固态电池用涂布组合物
JP7239846B2 (ja) 2018-11-08 2023-03-15 ダイキン工業株式会社 被覆粒子、正極、負極、全固体電池、及び、硫化物系全固体電池用コーティング組成物
JP2020119640A (ja) * 2019-01-18 2020-08-06 トヨタ自動車株式会社 集電体
WO2024119286A1 (zh) * 2022-12-05 2024-06-13 宁德时代新能源科技股份有限公司 聚合物、隔离膜及其相关的二次电池和用电装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP6265546B2 (ja) 2018-01-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6300288B2 (ja) 全固体二次電池、電池用電極シート、電池用電極シートの製造方法、固体電解質組成物、固体電解質組成物の製造方法、および全固体二次電池の製造方法
JP6265546B2 (ja) 全固体二次電池、電池用電極シート、電池用電極シートの製造方法、固体電解質組成物、固体電解質組成物の製造方法、および全固体二次電池の製造方法
JP6296671B2 (ja) 全固体二次電池、電池用電極シート、電池用電極シートの製造方法、固体電解質組成物、固体電解質組成物の製造方法、および全固体二次電池の製造方法
JP6253155B2 (ja) 固体電解質組成物、これを用いた電池用電極シートおよび全固体二次電池
JP6059743B2 (ja) 固体電解質組成物、これを用いた電池用電極シートおよび全固体二次電池、ならびにそれらの製造方法
JP6096701B2 (ja) 全固体二次電池、これに用いる固体電解質組成物および電池用電極シート、ならびに電池用電極シートの製造方法および全固体二次電池の製造方法
JP6140631B2 (ja) 全固体二次電池、これに用いる固体電解質組成物および電池用電極シート、ならびに全固体二次電池の製造方法
JP6071938B2 (ja) 全固体二次電池、これに用いる固体電解質組成物および電池用電極シート、ならびに電池用電極シートおよび全固体二次電池の製造方法
JP6332882B2 (ja) 全固体二次電池、固体電解質組成物、これを用いた電池用電極シート、電池用電極シートの製造方法および全固体二次電池の製造方法
JP6492181B2 (ja) 全固体二次電池用電極シートおよび全固体二次電池の製造方法
JP2016035912A (ja) 全固体二次電池、固体電解質組成物、これを用いた電池用電極シート、電池用電極シートの製造方法および全固体二次電池の製造方法
JP2016035911A (ja) 全固体二次電池、固体電解質組成物、これを用いた電池用電極シート、電池用電極シートの製造方法および全固体二次電池の製造方法
JP6488183B2 (ja) 全固体二次電池、全固体二次電池用電極シート、および全固体二次電池の製造方法
JP6595715B2 (ja) 固体電解質組成物、全固体二次電池用シートおよび全固体二次電池ならびに全固体二次電池用シートおよび全固体二次電池の製造方法
JP2017147173A (ja) 固体電解質組成物、全固体二次電池用シート及び全固体二次電池、並びに、全固体二次電池用シート及び全固体二次電池の製造方法
JP6587555B2 (ja) 固体電解質組成物、これを用いた全固体二次電池用シートおよび全固体二次電池ならびにこれらの製造方法
JP2018044111A (ja) ポリマー、固体電解質、固体電解質組成物、無機固体電解質組成物、固体電解質含有シート、二次電池、全固体二次電池、固体電解質含有シートの製造方法、無機固体電解質含有シートの製造方法、二次電池の製造方法および全固体二次電池の製造方法
JP2017157300A (ja) 固体電解質組成物、これを用いた全固体二次電池用シートおよび全固体二次電池ならびにこれらの製造方法
KR20230050420A (ko) 무기 고체 전해질 함유 조성물, 전고체 이차 전지용 시트 및 전고체 이차 전지 및, 전고체 이차 전지용 시트 및 전고체 이차 전지의 제조 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160901

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170620

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170621

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20170818

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20170829

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20170908

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170908

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171121

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171218

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6265546

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250