JP2014093158A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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真一 鳶島
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Abstract

【課題】電池容量の低下を顕著に抑制することが可能なリチウムイオン二次電池を提供すること。
【解決手段】本発明により提供されるリチウムイオン二次電池は、正負の電極を含む電極体が電池ケース内に収容されており、該電池ケース内に非水電解液が供給されている。この二次電池において、前記電池ケース内に供給される非水電解液は、シルセスキオキサンを0.00001〜0.25mol/Lの濃度で含む。また、前記リチウムイオン二次電池の負極の近傍には、前記シルセスキオキサンおよび/またはその反応生成物が存在している。
【選択図】図2

Description

本発明はリチウムイオン二次電池に関する。詳しくは、車両搭載用電源に適用可能なリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、軽量で高エネルギー密度が得られることから、パソコンや携帯端末等のいわゆるポータブル電源や車両駆動用電源として好ましく用いられている。特に、電気自動車、ハイブリッド自動車等の車両の駆動用高出力電源としての重要性は高い。そのようなリチウムイオン二次電池において、サイクル特性を向上させること等を目的として、環状シロキサンを非水電解液に添加することが特許文献1にて提案されている。また、特許文献2には、電解液の気化や分解を抑制することを目的として、ポリシルセスキオキサン骨格を有するポリシロキサンにイオン伝導性の有機基が結合している化合物を、非水電解液に添加することが提案されている。
特開2009−163939号公報 特開2003−306549号公報
上述のようなリチウムイオン二次電池は、例えば、充電状態で電池を保存したり、充放電を繰り返すと、電池容量が低下する傾向がある。そのようなことから、電池容量の低下をより高度に抑制し得る手段が求められている。そこで、本発明者らは鋭意検討した結果、非水電解液中に所定量のシルセスキオキサンを含ませることにより、電池容量の低下を顕著に抑制し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、上記リチウムイオン二次電池の改良に関するものであり、その目的は、電池容量の低下を顕著に抑制することが可能なリチウムイオン二次電池を提供することである。また、そのような性能を有するリチウムイオン二次電池の製造方法を提供することを他の目的とする。さらに、上記リチウムイオン二次電池に用いられる非水電解液を提供することを他の目的とする。
上記目的を達成するため、本発明により、正負の電極を含む電極体が電池ケース内に収容されており、該電池ケース内に非水電解液が供給されているリチウムイオン二次電池が提供される。この二次電池において、前記電池ケース内に供給される非水電解液は、シルセスキオキサンを0.00001〜0.25mol/Lの濃度で含む。また、前記リチウムイオン二次電池の負極の近傍には、前記シルセスキオキサンおよび/またはその反応生成物が存在している。
かかる構成によると、シルセスキオキサンを含む非水電解液を用いることで、該シルセスキオキサンおよび/またはその反応生成物が、少なくとも負極近傍において、電池容量の低下を抑制するように作用する。そして、非水電解液中のシルセスキオキサン濃度を0.00001mol/L以上とすることにより、シルセスキオキサンが負極に充分に供給され、上記の容量低下抑制作用が充分に発揮される。また、上記濃度を0.25mol/L以下とすることにより、シルセスキオキサンの過剰供給による抵抗上昇を防ぐ。要するに、非水電解液中におけるシルセスキオキサンの濃度を0.00001〜0.25mol/Lの範囲内に選定することにより、電池容量の低下を顕著に抑制することが実現される。
ここで開示されるリチウムイオン二次電池の好適な一態様では、前記シルセスキオキサンは、式(1):[RSiO3/22n(1)(式(1)中、Rは、同じかまたは異なり、いずれも水素原子または炭素原子数1〜12の有機基であり、nは1〜8の整数である。);で表される骨格を含む。また、前記式(1)中のRは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基から選択されることが好ましい。
ここで開示されるリチウムイオン二次電池の好適な一態様では、前記シルセスキオキサンはカゴ構造またはラダー構造を有する。このような構造を有するシルセスキオキサンを用いることで、電池容量の低下抑制が好適に発揮され得る。
また、本発明によると、リチウムイオン二次電池の製造方法が提供される。この製造方法は、正負の電極を備える電極体を用意すること、非水電解液を用意すること、および前記用意した非水電解液を前記電極体に供給すること、を包含する。ここで、前記電極体に供給する非水電解液は、シルセスキオキサンを0.00001〜0.25mol/Lの濃度で含む。このように、非水電解液中におけるシルセスキオキサンの濃度を0.00001〜0.25mol/Lの範囲内に選定することにより、電池容量の低下が顕著に抑制されたリチウムイオン二次電池を製造することができる。
また、本発明によると、リチウムイオン二次電池用非水電解液が提供される。この非水電解液は、シルセスキオキサンを0.00001〜0.25mol/Lの濃度で含む。上記非水電解液をリチウムイオン二次電池に適用することにより、該二次電池の電池容量の低下を顕著に抑制することができる。
ここで開示されるリチウムイオン二次電池は、電池容量の低下が顕著に抑制されている。したがって、この特徴を活かして、ハイブリッド自動車(HV)やプラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)等のような車両の駆動電源として好適に利用され得る。本発明によると、ここで開示されるいずれかのリチウムイオン二次電池(複数の電池が接続された組電池の形態であり得る。)を搭載した車両が提供される。
一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の外形を模式的に示す斜視図である。 図1のII−II線における断面図である。 一実施形態に係る電極体を捲回して作製する状態を模式的に示す斜視図である。 一実施形態に係るリチウムイオン二次電池を備えた車両(自動車)を模式的に示す側面図である。
以下、図面を参照しながら本発明による実施形態を説明する。なお、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。また、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、正極および負極を備えた電極体の構成および製法、セパレータの構成および製法、電池(ケース)の形状等、電池の構築に係る一般的技術等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明し、重複する説明は省略または簡略化することがある。
以下、リチウムイオン二次電池用非水電解液(以下、単に非水電解液ともいう。)に係る好適な実施形態を説明する。ここで開示される非水電解液は、非水溶媒と支持塩とを含み得る。典型例としては、適当な非水溶媒に支持塩を含有させた組成を有する電解液(典型的には、25℃程度の室温において液状を呈する電解質、すなわち電解液)が挙げられる。
上記非水溶媒としては、一般的なリチウムイオン二次電池の電解液と同様、各種のカーボネート類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等を用いることができる。上記カーボネート類とは、環状カーボネートおよび鎖状カーボネートを包含する意味である。また、上記エーテル類とは、環状エーテルおよび鎖状エーテルを包含する意味である。
非水溶媒として使用し得る化合物の具体例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ビニレンカーボネート(VC)、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、ニトロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、これらのフッ素化物(好ましくは、モノフルオロエチレンカーボネート(MFEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)のようなフッ素化カーボネート)等が例示される。これらは、1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
ここに開示される技術における非水溶媒の好適例として、カーボネート類を主体とする非水溶媒が挙げられる。例えば、非水溶媒として1種または2種以上のカーボネート類を含み、それらカーボネート類の合計質量が非水溶媒全体の質量の60質量%以上(より好ましくは75質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であり、実質的に100質量%であってもよい。)を占める非水電解液を好ましく採用し得る。好ましい具体例として、ECとEMCとの混合溶媒や、EC、DMCおよびEMCの混合溶媒等が挙げられる。
上記支持塩としては、例えばLiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCFSO、LiCSO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiI等のリチウム化合物(リチウム塩)の1種または2種以上を用いることができる。なお、支持塩の濃度は特に限定されないが、凡そ0.1〜5mol/L(例えば0.5〜3mol/L、典型的には0.8〜1.5mol/L)の濃度とすることができる。
ここで開示される非水電解液はシルセスキオキサンを含むことを特徴とする。上記非水電解液に含まれるシルセスキオキサンの作用について具体的に説明する。リチウムイオン二次電池では、非水電解液に含まれる成分(例えば支持塩や非水溶媒)の一部が充電の際に分解され、その分解物を含む被膜(Solid Electrolyte Interphase膜;以下「SEI膜」ともいう。)が負極活物質の表面に形成され得る。例えば、充電状態で電池を保存したり、充放電の繰返し等によって、SEI膜の形成が進行する傾向にある。SEI膜が過剰に形成されると、負極の抵抗が高くなって容量低下を引き起こすことがあり得る。また、電池内に存在するリチウムの一部が、例えばLiFやLiO等のリチウム化合物としてSEI膜に取り込まれて固定され得る。このこともまた、SEI膜の過剰な形成によってリチウムイオン二次電池の電池容量が低下する要因となり得る。
しかし、非水電解液にシルセスキオキサンを含ませることにより、上述のような電池容量の低下が抑制される。そのメカニズムを明らかにする必要はないが、以下のことが推察される。すなわち、上記シルセスキオキサンは、少なくとも環状構造を有する。なかには、後述するラダー状シルセスキオキサンのように環が連続した構造を有するものもある。また、後述するカゴ状シルセスキオキサンのようなカゴ構造を有するものもある。さらに、上記環から側鎖が延びた構造を有するものもある。これらは、いずれも立体的な構造を有する。このことは、シルセスキオキサンの構造的特徴の一つとして把握され得る。そして、このように立体的な構造を有するシルセスキオキサンおよび/またはその反応生成物は、その立体効果により、負極表面においてSEI膜の生成を効果的に阻害するように作用していると考えられる。この作用により、SEI膜の過剰な形成に起因する電池性能の低下が抑制され、例えば、充放電の繰返しに対する電池容量の維持性(容量維持率)を向上させる効果が実現される。このような容量低下抑制効果は、鎖状シロキサンのような立体性の低い化合物では得られないことが本発明者らによって確認されている。要するに、シルセスキオキサンに特有の立体構造が電池容量の低下抑制に重要な役割を果たしていると推察される。
そして、上記の電池容量の低下抑制は、非水電解液中におけるシルセスキオキサンの濃度(非水電解液中へのシルセスキオキサンの添加量)が0.00001〜0.25mol/Lの範囲内である場合に、顕著に発揮され得ることが本発明者らの検討によって明らかになった。非水電解液中へのシルセスキオキサンの添加量を0.00001mol/L以上とすることにより、SEI膜の生成を阻害するために充分な量のシルセスキオキサンが負極表面に供給されると考えられる。また、上記添加量を0.25mol/L以下とすることにより、シルセスキオキサンの負極表面への過剰供給を防ぎ、リチウムイオン(Liイオン)のスムーズな移動を確保していると考えられる。その結果、Liイオンの移動阻害に起因する電池容量の低下を効果的に抑制していると考えられる。シルセスキオキサンの添加量は、0.0001mol/L以上(例えば0.001mol/L以上、典型的には0.01mol/L以上)であってもよく、0.02mol/L以上(例えば0.05mol/L以上、典型的には0.1mol/L以上)であってもよい。また、上記添加量は、0.23mol/L以下(例えば0.21mol/L以下、典型的には0.18mol/L以下)であり得る。
また、ここで開示されるシルセスキオキサンは、式(1):
[RSiO3/22n (1)
(式(1)中、Rは、同じかまたは異なり、いずれも水素原子または炭素原子数1〜12の有機基であり、nは1〜8の整数である。);で表される骨格を含むことが好ましい。
上記式(1)中、Rは、炭素原子数1〜10の有機基であることが好ましい。上記有機基の炭素原子数は、1〜8であることがより好ましく、1〜6であることがさらに好ましい。上記有機基の炭素原子数は1〜4(典型的には1、2または3)であることが特に好ましい。
上記有機基としては、例えばアルキル基が挙げられる。アルキル基としては、炭素原子数1〜10(例えば2〜8、典型的には2、3、4)のアルキル基が好ましい。また、アルキル基は、鎖状、環状のいずれであってもよいが、容量低下を抑制する観点から、鎖状アルキル基が好ましい。鎖状アルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよい。鎖状アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−メチル−2−メチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基や、鎖状または分岐状のヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。環状アルキル基としては、シクロヘキシル基、ノルボルナニル基等が挙げられる。アルキル基はまた、トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基や、ベンジル基、フェニルエチル基、ジフェニルメチル基等のアラルキル基、3−ピロリジノプロピル基等の飽和複素環基を有するアルキル基等であってもよい。
また、上記の有機基は、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、ブテニル基、1,3−ブタジエニル基等のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等のアルキニル基;フェニル基や、1以上のアルキル基(例えば炭素原子数1〜6(好適には1〜3、典型的には1または2)のアルキル基)を有していてもよいフェニル基等のアリール基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基等のアリールオキシ基;等であり得る。また上記有機基は、トリメチルシリル基等のトリアルキルシリル基;トリメチルシロキシ基等のトリアルキルシロキシ基;ジメチルシロキシ基等のジアルキルシロキシ基;等の、アルキル基やアルコキシ基を有するシリル基やシロキシ基であってもよい。なかでも、電池容量の低下抑制を好適に発揮する観点から、上記有機基は、アルキル基(好適には炭素原子数1〜10のアルキル基)、アルケニル基(好適には炭素原子数2〜4のアルケニル基)、アルキニル基(好適には炭素原子数2〜4のアルキニル基)、アリール基(好適には炭素原子数6〜8のアリール基)、アルコキシ基(炭素原子数1〜4のアルコキシ基)、アリールオキシ基(好適には炭素原子数6〜8のアリールオキシ基)が好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ビニル基、アリル基、フェニル基、フェノキシ基がより好ましく、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、ビニル基、アリル基、フェニル基、フェノキシ基が特に好ましい。
上記式(1)中のnは1〜8の整数であり得る。容量維持の観点から、nは好ましくは1〜6の整数であり、より好ましくは1〜4の整数である。
シルセスキオキサンの構造は特に限定されず、カゴ構造、ラダー構造、ランダム構造のいずれの構造であってもよい。これらのうち1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物を用いてもよい。なかでも、カゴ構造またはラダー構造を有するシルセスキオキサンが好ましく、カゴ構造を有するシルセスキオキサンが特に好ましい。上記シルセスキオキサンは、取扱い性(例えば、非水電解液に添加する場合の取扱い性)の観点から、室温で液体(粘凋液状を含む)であることが好ましい。該液状のシルセスキオキサンは、非水電解液に添加して用いる場合、非水溶媒に好適に溶解し得る。
カゴ構造を有するシルセスキオキサン(以下、カゴ状シルセスキオキサンともいう。)としては、上記式(1):
[RSiO3/22n (1)
;で表されるカゴ状シルセスキオキサンが好ましい。上記式(1)中のRについては、上述した範囲から好ましく選定することができるので、ここでは説明は繰り返さない。カゴ状シルセスキオキサンを表す式(1)中のnは4〜8の整数であり得る。容量維持の観点から、nは好ましくは4〜6の整数であり、より好ましくは4または5である。
カゴ状シルセスキオキサンは、典型的には、式(2):
Figure 2014093158
;で表されるカゴ状シルセスキオキサンのように、Si−O結合の繰返しによって形成される骨格が、カゴ状の分子構造を有するものを指す。上記式(2)は、ケイ素(Si)原子数が8であるカゴ状シルセスキオキサンを表しており、このシルセスキオキサンは、各Si原子に結合する基(R)が1つであることから、Si原子に結合する基(R1〜8)の総数も8である。すなわち、Si原子数とSi原子に結合する基の数は一致している。R1〜8は、上記式(1)中のRとして例示されている基から選択することができ、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。なお、ここで開示されるカゴ状シルセスキオキサンは、上記式(1)中のn=4のカゴ状シルセスキオキサンに限定されるものではなく、上記式(1)中のnが4〜8の範囲内であるカゴ状シルセスキオキサンであってもよい。
ラダー構造を有するシルセスキオキサン(以下、ラダー状シルセスキオキサンともいう。)は、典型的には、式(3):
Figure 2014093158
;で表されるラダー状シルセスキオキサンのように、Si−O結合の繰返しによって形成される骨格が、ラダー状(はしご状)の分子構造を有するものを指す。上記式(3)は、Si原子数が8であるラダー状シルセスキオキサンを表しており、このシルセスキオキサンは、Si原子に結合する基(R1〜12)の総数が12である。R1〜12は、上記式(1)中のRとして例示されている基から選択することができ、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。なお、ここで開示されるラダー状シルセスキオキサンは、Si原子数が8のラダー状シルセスキオキサンに限定されるものではなく、例えば、Si原子数が4〜16(例えば6〜12、典型的には8または10)の範囲内のラダー状シルセスキオキサンであり得る。同様に、ラダー状シルセスキオキサンを構成する酸素(O)原子数は4〜22(例えば7〜16、典型的には10または12)の範囲であることが好ましく、Si原子に結合する基Rの総数は、8〜20(例えば10〜16、典型的には12または14)の範囲であることが好ましい。
また、非水電解液は、本発明の目的を大きく損なわない限度で、必要に応じて任意の添加剤を含んでもよい。上記添加剤は、例えば、電池の出力性能の向上、保存性の向上(保存中における容量低下の抑制等)、サイクル特性の向上、初期充放電効率の向上等の目的で使用され得る。好ましい添加剤の例として、フルオロリン酸塩(好ましくはジフルオロリン酸塩。例えば、LiPOで表されるジフルオロリン酸リチウム)や、リチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)等が挙げられる。また例えば、過充電対策で用いられ得るシクロヘキシルベンゼン、ビフェニル等の添加剤が使用されていてもよい。
次に、ここで開示される非水電解液を用いて作製されるリチウムイオン二次電池に係る好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充放電可能な電池一般をいい、リチウムイオン二次電池等の蓄電池(すなわち化学電池)のほか、電気二重層キャパシタ等のキャパシタ(すなわち物理電池)を包含する。また、本明細書において「リチウムイオン二次電池」とは、電荷担体イオンとしてLiイオンを利用し、正負極間におけるLiイオンに伴う電荷の移動により充放電が実現される二次電池をいう。その限りにおいて、例えば、Liイオン以外の金属イオン(例えばナトリウムイオン)を電荷担体として併用する二次電池も本明細書における「リチウムイオン二次電池」に包含され得る。
図1および図2に示すように、リチウムイオン二次電池100は、角型箱状の電池ケース10と、電池ケース10内に収容される捲回電極体20とを備える。電池ケース10は上面に開口部12を有している。この開口部12は、捲回電極体20を開口部12から電池ケース10内に収容した後、蓋体14によって封止される。電池ケース10内にはまた、非水電解液25が収容されている。蓋体14には、外部接続用の外部正極端子38と外部負極端子48とが設けられており、それら端子38,48の一部は蓋体14の表面側に突出している。また、外部正極端子38の一部は電池ケース10内部で内部正極端子37に接続されており、外部負極端子48の一部は電池ケース10内部で内部負極端子47に接続されている。
図3に示すように、捲回電極体20は、長尺シート状の正極(正極シート)30と、長尺シート状の負極(負極シート)40とを備える。正極シート30は、長尺状の正極集電体32とその少なくとも一方の表面(典型的には両面)に形成された正極活物質層34とを備える。負極シート40は、長尺状の負極集電体42とその少なくとも一方の表面(典型的には両面)に形成された負極活物質層44とを備える。捲回電極体20はまた、長尺シート状の2枚のセパレータ(セパレータシート)50A,50Bを備える。正極シート30および負極シート40は、2枚のセパレータシート50A,50Bを介して積層されており、正極シート30、セパレータシート50A、負極シート40、セパレータシート50Bの順に積層されている。該積層体は、長尺方向に捲回されることによって捲回体とされ、さらにこの捲回体を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって扁平形状に成形されている。なお、電極体は捲回電極体に限定されない。電池の形状や使用目的に応じて、例えばラミネート型等、適切な形状、構成を適宜採用することができる。
捲回電極体20の幅方向(捲回方向に直交する方向)の中心部には、正極集電体32の表面に形成された正極活物質層34と、負極集電体42の表面に形成された負極活物質層44とが重なり合って密に積層された部分が形成されている。また、正極シート30の幅方向の一方の端部には、正極活物質層34が形成されずに正極集電体32が露出した部分(正極活物質層非形成部36)が設けられている。この正極活物質層非形成部36は、セパレータシート50A,50Bおよび負極シート40からはみ出た状態となっている。すなわち、捲回電極体20の幅方向の一端には、正極集電体32の正極活物質層非形成部36が重なり合った正極集電体積層部35が形成されている。また、捲回電極体20の幅方向の他端にも、上記一端の正極シート30の場合と同様に、負極集電体42の負極活物質層非形成部46が重なり合った負極集電体積層部45が形成されている。なお、セパレータシート50A,50Bは、正極活物質層34および負極活物質層44の積層部分の幅より大きく、捲回電極体20の幅より小さい幅を有する。これを正極活物質層34および負極活物質層44の積層部分に挟むように配することで、正極活物質層34および負極活物質層44が互いに接触して内部短絡が生じることを防いでいる。
次に、リチウムイオン二次電池を構成する各構成要素について説明する。リチウムイオン二次電池の正極(例えば正極シート)を構成する正極集電体としては、導電性の良好な金属からなる導電性部材が好ましく用いられる。そのような導電性部材としては、例えば、アルミニウムまたはアルミニウムを主成分とする合金を用いることができる。正極集電体の形状は、電池の形状等に応じて異なり得るため、特に制限はなく、棒状、板状、シート状、箔状、メッシュ状等の種々の形態であり得る。正極集電体の厚さも特に限定されず、例えば5〜30μmとすることができる。正極活物質層は、正極活物質の他、必要に応じて導電材、結着剤(バインダ)等の添加剤を含有し得る。
正極活物質としては、リチウムイオン二次電池の正極活物質として使用し得ることが知られている各種の材料の1種または2種以上を、特に限定なく使用することができる。例えば、リチウム(Li)と少なくとも1種の遷移金属元素とを構成金属元素として含む層状構造やスピネル構造等のリチウム遷移金属化合物(典型的には酸化物)、ポリアニオン型(例えばオリビン型)のリチウム遷移金属化合物等を、単独で、あるいは適宜組み合わせて用いることができる。より具体的には、例えば以下の化合物を用いることができる。
(1)次の一般式(A1):Li1+αMO;で表される、典型的には層状構造のリチウム遷移金属酸化物。ここで、Mは、Ni,Co,Mn等の遷移金属元素の少なくとも1種を含み、他の金属元素または非金属元素をさらに含み得る。具体例としては、LiNiO、LiNi1/3Co1/3Mn1/3等が挙げられる。
(2)次の一般式(B1):Li1+αMn2−x;で表される、典型的にはスピネル構造のリチウム遷移金属酸化物。ここで、xは0≦x<2であり、典型的には0≦x≦1である。xが0より大きい場合、Mは、Mn以外の任意の金属元素または非金属元素であり得る。Mが遷移金属元素の少なくとも1種を含む組成のものが好ましい。具体例としては、LiMn,LiNi0.5Mn1.5,LiCrMnO等が挙げられる。
(3)次の一般式(C1):Li2+αMO;で表されるリチウム遷移金属酸化物。ここで、Mは、Mn,Fe,Co等の遷移金属元素の少なくとも1種を含み、他の金属元素または非金属元素をさらに含み得る。具体例としては、LiMnO,LiPtO等が挙げられる。
(4)次の一般式(D1):Li1+αMPO;で表されるリチウム遷移金属化合物(リン酸塩)。ここで、Mは、Mn,Fe,Ni,Co等の遷移金属元素の少なくとも1種を含み、他の金属元素または非金属元素をさらに含み得る。具体例としては、LiMnPO,LiFePO等が挙げられる。
(5)次の一般式(E1):Li2+αMPOF;で表されるリチウム遷移金属化合物(リン酸塩)。ここで、Mは、Mn,Ni,Co等の遷移金属元素の少なくとも1種を含み、他の金属元素または非金属元素をさらに含み得る。具体例としては、LiMnPOF等が挙げられる。
(6)Li1+αMOとLi2+αMOとの固溶体。ここで、Li1+αMOは上記(1)に記載の一般式(A1)で表される組成を指し、Li2+αMOは上記(3)に記載の一般式(C1)で表される組成を指す。具体例としては、0.5LiNiMnCoO−0.5LiMnOで表される固溶体が挙げられる。
なお、上記(1)〜(6)中の各組成式におけるαは、0≦α≦0.5であり、典型的には0≦α≦0.3(例えば0≦α≦0.2)が適当である。
ここに開示される技術の好ましい一態様に係るリチウムイオン二次電池は、正極活物質として、層状の結晶構造(典型的には、六方晶系に属する層状岩塩型構造)を有するリチウム遷移金属酸化物を含む。例えば、正極活物質の90質量%以上(例えば、実質的に100質量%)が上記層状リチウム遷移金属酸化物である構成を好ましく採用し得る。
上記層状リチウム遷移金属酸化物は、Ni,CoおよびMnのうちの少なくとも1種を含むことが好ましい。好適例として、リチウムニッケル酸化物、リチウムコバルト酸化物およびリチウムマンガン酸化物が挙げられる。ここで、リチウムニッケル酸化物とは、リチウム(Li)とニッケル(Ni)と酸素とを構成元素として含む酸化物のほか、リチウム、ニッケル、酸素以外に他の少なくとも1種の元素を、原子数換算でニッケルと同程度またはニッケルよりも少ない割合で構成元素として含む酸化物をも包含する意味である。上記LiおよびNi以外の金属元素は、例えば、Co,Mn,W,Cr,Mo,Ti,Zr,Nb,V,Al,Mg,Ca,Na,Fe,Cu,Zn,Si,Ga,In,Sn,La,Ce,BおよびF等から選択される1種または2種以上の元素であり得る。リチウムコバルト酸化物およびリチウムマンガン酸化物についても同様の意味である。なお、このことは、上記式(B1),(C1),(D1),(E1)で表される化合物についても同様である。
このようなNi含有層状リチウム遷移金属酸化物の一好適例として、Ni,CoおよびMnの全てを含む層状リチウム遷移金属酸化物(以下「LiNiCoMn酸化物」ともいう。)が挙げられる。例えば、原子数基準で、Ni,CoおよびMnの合計量を1として、Ni,CoおよびMnの量がいずれも0を超えて0.7以下(より好ましくは0.1を超えて0.6以下、典型的には0.3を超えて0.5以下)であるLiNiCoMn酸化物が好ましい。なかでも特に、Ni,CoおよびMnの量が概ね同程度であるLiNiCoMn酸化物(例えばLiNi1/3Co1/3Mn1/3)が好ましい。
正極活物質の形状としては、通常、平均粒径1〜20μm(例えば2〜10μm)程度の粒子状が好ましい。なお、本明細書中において「平均粒径」とは、特記しない限り、レーザ散乱・回折法に基づく粒度分布測定装置に基づいて測定した粒度分布における積算値50%での粒径、すなわち50%体積平均粒子径を意味するものとする。
導電材としては、カーボン粉末やカーボンファイバー等の導電性粉末材料が好ましく用いられる。カーボン粉末としては、種々のカーボンブラック、例えばアセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、グラファイト粉末が好ましい。また、炭素繊維、金属繊維等の導電性繊維類、銅、ニッケル等の金属粉末類およびポリフェニレン誘導体等の有機導電性材料等を、1種を単独でまたは2種以上の混合物として用いることができる。
結着剤としては、各種のポリマー材料が挙げられる。例えば、水系の組成物(活物質粒子の分散媒として水または水を主成分とする混合溶媒を用いた組成物)を用いて正極活物質層を形成する場合には、水溶性または水分散性のポリマー材料を結着剤として好ましく採用し得る。水溶性または水分散性のポリマー材料としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)等のセルロース系ポリマー;ポリビニルアルコール(PVA);ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂;酢酸ビニル重合体;スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)等のゴム類;が例示される。あるいは、溶剤系の組成物(活物質粒子の分散媒が主として有機溶媒である組成物)を用いて正極活物質層を形成する場合には、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)等のハロゲン化ビニル樹脂;ポリエチレンオキサイド(PEO)等のポリアルキレンオキサイド;等のポリマー材料を用いることができる。このような結着剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、上記で例示したポリマー材料は、結着剤として用いられる他に、正極活物質層形成用組成物の増粘剤その他の添加剤として使用されることもあり得る。
正極活物質層に占める正極活物質の割合は、凡そ50質量%を超え、凡そ70〜97質量%(例えば75〜95質量%)であることが好ましい。また、正極活物質層に占める添加剤の割合は特に限定されないが、導電材の割合は、正極活物質100質量部に対して凡そ1〜20質量部(例えば2〜10質量部、典型的には3〜7質量部)とすることが好ましい。結着剤の割合は、正極活物質100質量部に対して凡そ0.8〜10質量部(例えば1〜7質量部、典型的には2〜5質量部)とすることが好ましい。
上述したような正極の作製方法は特に限定されず、従来の方法を適宜採用することができる。例えば以下の方法によって作製することができる。まず、正極活物質、必要に応じて導電材、結着剤等を適当な溶媒(水系溶媒、非水系溶媒またはこれらの混合溶媒)で混合してペースト状またはスラリー状の正極活物質層形成用組成物を調製する。混合操作は、例えば適当な混練機(プラネタリーミキサー、ホモディスパー、クレアミックス、フィルミックス等)を用いて行うことができる。上記組成物を調製するために用いられる溶媒としては、水系溶媒および非水系溶媒のいずれも使用可能である。水系溶媒は全体として水性を示すものであればよく、水または水を主体とする混合溶媒を好ましく用いることができる。非水系溶媒の好適例としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、メチルエチルケトン、トルエン等が例示される。
こうして調製した上記組成物を正極集電体に塗付し、乾燥により溶媒を揮発させた後、必要に応じて圧縮(プレス)する。正極集電体に上記組成物を塗付する方法としては、従来公知の方法と同様の技法を適宜採用することができる。例えば、スリットコーター、ダイコーター、グラビアコーター、コンマコーター等の適当な塗付装置を使用することにより、正極集電体に該組成物を好適に塗付することができる。また、溶媒を乾燥するにあたっては、自然乾燥、熱風、低湿風、真空、赤外線、遠赤外線および電子線を、単独でまたは組み合わせて用いることにより良好に乾燥し得る。さらに、圧縮方法としては、従来公知のロールプレス法、平板プレス法等の圧縮方法を採用することができる。厚さを調整するにあたり、膜厚測定器で該厚さを測定し、プレス圧を調整して所望の厚さになるまで複数回圧縮してもよい。このようにして正極活物質層が正極集電体上に形成された正極が得られる。
正極集電体上への正極活物質層の単位面積当たりの目付量(正極活物質層形成用組成物の固形分換算の塗付量)は特に限定されるものではないが、充分な導電経路(導電パス)を確保する観点から、正極集電体の片面当たり3mg/cm以上(例えば5mg/cm以上、典型的には6mg/cm以上)であり、45mg/cm以下(例えば28mg/cm以下、典型的には15mg/cm以下)とすることが好ましい。
負極(典型的には負極シート)を構成する負極集電体としては、従来のリチウムイオン二次電池と同様に、導電性の良好な金属からなる導電性部材が好ましく用いられる。そのような導電性部材としては、例えば銅または銅を主成分とする合金を用いることができる。負極集電体の形状は、電池の形状等に応じて異なり得るため特に制限はなく、棒状、板状、シート状、箔状、メッシュ状等の種々の形態であり得る。負極集電体の厚さも特に限定されず、例えば5〜30μm程度とすることができる。
負極活物質層には、電荷担体となるLiイオンを吸蔵および放出可能な負極活物質が含まれる。負極活物質の組成や形状に特に制限はなく、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる物質の1種または2種以上を使用することができる。そのような負極活物質としては、例えばリチウムイオン二次電池で一般的に用いられる炭素材料が挙げられる。上記炭素材料の代表例としては、グラファイトカーボン(黒鉛)、アモルファスカーボン等が挙げられる。少なくとも一部にグラファイト構造(層状構造)を含む粒子状の炭素材料(カーボン粒子)が好ましく用いられる。なかでも天然黒鉛を主成分とする炭素材料の使用が好ましい。上記天然黒鉛は鱗片状の黒鉛を球形化したものであり得る。また、黒鉛の表面にアモルファスカーボンがコートされた炭素質粉末を用いてもよい。その他、負極活物質として、チタン酸リチウム等の酸化物、ケイ素材料、スズ材料等の単体、合金、化合物、上記材料を併用した複合材料を用いることも可能である。負極活物質として金属リチウムを用いてもよい。負極活物質層に占める負極活物質の割合は、凡そ50質量%を超え、凡そ90〜99質量%(例えば95〜99質量%、典型的には97〜99質量%)であることが好ましい。
負極活物質層は、負極活物質の他に、一般的なリチウムイオン二次電池の負極活物質層に配合され得る1種または2種以上の結着剤や増粘剤その他の添加剤を必要に応じて含有することができる。結着剤としては各種のポリマー材料が挙げられる。例えば、水系の組成物または溶剤系の組成物に対して、正極活物質層に含有され得るものを好ましく用いることができる。そのような結着剤は、結着剤として用いられる他に負極活物質層形成用組成物の増粘剤その他の添加剤として使用されることもあり得る。負極活物質層に占めるこれら添加剤の割合は特に限定されないが、凡そ0.8〜10質量%(例えば凡そ1〜5質量%、典型的には1〜3質量%)であることが好ましい。
負極の作製方法は特に限定されず、従来の方法を採用することができる。例えば以下の方法によって作製することができる。まず、負極活物質を結着剤等とともに上記適当な溶媒(水系溶媒、有機溶媒またはこれらの混合溶媒)で混合して、ペースト状またはスラリー状の負極活物質層形成用組成物を調製する。こうして調製した上記組成物を負極集電体に塗付し、乾燥により溶媒を揮発させた後、必要に応じて圧縮(プレス)する。このように該組成物を用いて負極集電体上に負極活物質層を形成することができ、該負極活物質層を備える負極を得ることができる。なお、混合、塗付、乾燥および圧縮方法は、上述の正極の作製と同様の手段を採用することができる。
負極集電体上への負極活物質層の単位面積当たりの目付量(負極活物質層形成用組成物の固形分換算の塗付量)は特に限定されるものではないが、充分な導電経路(伝導パス)を確保する観点から、負極集電体の片面当たり2mg/cm以上(例えば3mg/cm以上、典型的には4mg/cm以上)であり、40mg/cm以下(例えば22mg/cm以下、典型的には10mg/cm以下)とすることが好ましい。
ここで開示される技術におけるリチウムイオン二次電池では、非水電解液から供給されるシルセスキオキサンおよび/またはその反応生成物が負極の近傍に存在している。シルセスキオキサンおよび/またはその反応生成物の存在箇所は、典型的には負極の表面であり、より厳密に言えば、負極活物質粒子の表面であり得る。したがって、シルセスキオキサンおよび/またはその反応生成物は、負極活物質層内にも存在し得る。なお、上記シルセスキオキサンおよび/またはその反応生成物の作用については上述のとおりなので、ここでは説明は繰り返さない。
なお、ここで開示される「シルセスキオキサンおよび/またはその反応生成物」とは、上記のとおり、上記シルセスキオキサンに由来する成分(典型的には析出物)を包含する意味で用いられる。また、シルセスキオキサンおよびその反応生成物の少なくとも一方を含むものとして把握され得る。なお、シルセスキオキサンに由来する析出物(被膜形成)の有無は、例えば電極表面から試料を採取し、ICP(高周波誘導結合プラズマ)発光分析等の公知の分析手段により確認することが可能である。
正極と負極とを隔てるように配置されるセパレータ(セパレータシート)は、正極活物質層と負極活物質層とを絶縁するとともに、電解液の移動を許容する部材であればよい。セパレータの好適例としては、多孔質ポリオレフィン系樹脂で構成されたものが挙げられる。例えば、厚さ5〜30μm程度の合成樹脂製(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、またはこれらを組み合わせた二層以上の構造を有するポリオレフィン製)多孔質セパレータシートを好適に使用し得る。このセパレータシートには耐熱層が設けられていてもよい。なお、液状の電解液に代えて、例えば上記電解液にポリマーが添加されたような固体状(ゲル状)電解質を使用する場合には、該電解質自体がセパレータとして機能し得るため、セパレータが不要になることがあり得る。
次に、リチウムイオン二次電池の製造方法について説明する。この二次電池の製造方法は、正負の電極を備える電極体を用意すること、非水電解液を用意すること、および用意した非水電解液を電極体に供給すること、を包含する。この製造方法は、その他にも、例えば、正極を作製すること、負極を作製すること、上記正極および上記負極を用いてリチウムイオン二次電池を構築すること等の工程を包含し得るが、これらについては、上述の説明および従来から用いられている手法を適宜採用して行うことができるので、ここでは特に説明しない。
ここで開示される製造方法では、電極体に供給する非水電解液は、シルセスキオキサンを0.00001〜0.25mol/Lの濃度で含むことを特徴としている。換言すると、上記所定の濃度のシルセスキオキサンを含む非水電解液を電極体に供給することを特徴とする。これによって、シルセスキオキサンが電極体を構成する負極に供給され、少なくともその一部がシルセスキオキサンおよび/またはその反応生成物として負極近傍(典型的には負極表面)に存在し(例えば、吸着、堆積、析出等により負極に付着し)、該負極表面においてSEI膜の生成を抑制するように作用すると考えられ得る。上記シルセスキオキサンとしては、上述のものを好ましく用いることができ、その非水電解液中における濃度の好適範囲も上述の範囲から選定することができる。なお、上記シルセスキオキサンは、少なくとも負極に供給されればよく、正極等の負極以外の電池構成要素に供給されてもよい。
上述のように、ここで開示される技術におけるリチウムイオン二次電池は、電池容量の低下が顕著に抑制されているので、各種用途の二次電池として利用可能である。例えば、図4に示すように、リチウムイオン二次電池100は、自動車等の車両1に搭載され、車両1を駆動するモータ等の駆動源用の電源として好適に利用することができる。したがって、本発明は、上記リチウムイオン二次電池(典型的には複数直列接続してなる組電池)100を電源として備える車両(典型的には自動車、特にハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)、燃料電池自動車のような電動機を備える自動車)1を提供することができる。
次に、本発明に関する実施例を説明するが、本発明を実施例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明において「部」および「%」は、特に断りがない限り質量基準である。
<例1〜8>
[コインセルの作製]
ステンレス鋼を作用極、金属リチウムを対極とし、これらをセパレータおよび非水電解液とともにステンレス製容器に組み込んで、直径20mm、厚さ3.2mm(2032型)のコインセル(性能評価用のハーフセル)を構築した。セパレータとしては多孔質ポリオレフィンシートを使用した。非水電解液としては、ECとEMCとの3:7(質量比)混合溶媒中に支持塩として約1mol/LのLiPFを含む基本組成の電解液に、式(2):
Figure 2014093158
;で表されるカゴ状シルセスキオキサンであって、上記式(2)中のR1〜8がイソブチル基[−CCH(CH]であるカゴ状シルセスキオキサンを表1に示す添加量で配合したものを使用した。
[50サイクル後容量維持率]
各セルに対して、温度60℃にて、0.5mA/cmの電流密度で、カット電圧−2.0V〜1.5V(E/V vs.(Li/Li))の範囲で50サイクルの充放電を行った。そして、1サイクル目の充電容量(Liイオンをステンレス鋼にLi金属として充電した充電容量)を100%として、50サイクル目の充電容量の維持率(%)を求めた。得られた結果を表1に示す。
Figure 2014093158
<例9〜18>
シルセスキオキサンとして、上記式(2)で表されるカゴ状シルセスキオキサンであって、上記式(2)中のR1〜8が表2に示す基であるカゴ状シルセスキオキサンを用いた他は例6と同様にしてコインセルを構築した。
<例19>
シルセスキオキサンに代えて、式:
SiHOSi(CHOSi(CHOSiH
;で表される鎖状シロキサンを用いた他は例6と同様にしてコインセルを構築した。
各例のセルに対して、上記50サイクル後容量維持率測定試験と同内容の試験を行った。得られた結果を表2に示す。
Figure 2014093158
<例20〜28>
シルセスキオキサンとして、式(3):
Figure 2014093158
;で表されるラダー状シルセスキオキサンであって、上記式(3)中のR1〜12が表3に示す基であるラダー状シルセスキオキサンを用いた他は例6と同様にしてコインセルを構築した。例20〜28に係るセルに対して、上記50サイクル後容量維持率測定試験と同内容の試験を行った。得られた結果を表3に示す。
Figure 2014093158
表1に示されるように、シルセスキオキサンの添加量が0.00001〜0.25mol/Lの非水電解液を用いた例2〜6に係るコインセルでは、シルセスキオキサン非含有の非水電解液を用いた例1や、シルセスキオキサンを0.25mol/Lより多く添加した非水電解液を用いた例7,8と比べて、容量低下が顕著に抑制されていた。また、その効果は、表2に示されるような種々のカゴ状シルセスキオキサンを用いた例9〜18や、表3に示されるようなラダー状シルセスキオキサンを用いた例20〜28においても実現された。一方、鎖状シロキサンを用いた例19では、容量低下抑制作用は認められなかった。これらの結果から、上記容量低下抑制作用はシルセスキオキサンに特有の作用であることが推察される。上記の効果は、シルセスキオキサンの使用により負極(ここでは、対極としての金属リチウム極)上においてSEI膜の形成が抑制され、これにより負極へのLiイオンの吸蔵抵抗が低く維持されたことや、SEI膜に取り込まれて固定されるLiイオンの量が抑制されたことにより得られた効果であると推察される。したがって、これらのセルにおけるシルセスキオキサン添加による電池容量の低下抑制効果は、例えば、一般的な構成のリチウムイオン二次電池(例えば、LiNiCoMn酸化物等のリチウム遷移金属酸化物を正極活物質として含む正極と、炭素材料を負極活物質として含む負極とを備えるリチウムイオン二次電池)においても同様に発揮され得ることが理解される。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。ここで開示される発明には上述の具体例を様々に変形、変更したものが含まれ得る。
1 自動車(車両)
10 電池ケース
12 開口部
14 蓋体
20 捲回電極体
25 非水電解液
30 正極(正極シート)
32 正極集電体
34 正極活物質層
35 正極集電体積層部
36 正極活物質層非形成部
37 内部正極端子
38 外部正極端子
40 負極(負極シート)
42 負極集電体
44 負極活物質層
45 負極集電体積層部
46 負極活物質層非形成部
47 内部負極端子
48 外部負極端子
50A,50B セパレータ(セパレータシート)
100 リチウムイオン二次電池

Claims (7)

  1. 正負の電極を含む電極体が電池ケース内に収容されており、該電池ケース内に非水電解液が供給されているリチウムイオン二次電池であって、
    前記電池ケース内に供給される非水電解液は、シルセスキオキサンを0.00001〜0.25mol/Lの濃度で含み、
    前記リチウムイオン二次電池の負極の近傍には、前記シルセスキオキサンおよび/またはその反応生成物が存在している、リチウムイオン二次電池。
  2. 前記シルセスキオキサンは、式(1):
    [RSiO3/22n (1)
    (式(1)中、Rは、同じかまたは異なり、いずれも水素原子または炭素原子数1〜12の有機基であり、nは1〜8の整数である。);
    で表される骨格を含む、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 前記式(1)中のRは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基またはアリールオキシ基から選択される、請求項2に記載のリチウムイオン二次電池。
  4. 前記シルセスキオキサンはカゴ構造またはラダー構造を有する、請求項1〜3のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池。
  5. 正負の電極を備える電極体を用意すること、
    非水電解液を用意すること、および
    前記用意した非水電解液を前記電極体に供給すること、を包含し、
    ここで、前記電極体に供給する非水電解液は、シルセスキオキサンを0.00001〜0.25mol/Lの濃度で含む、リチウムイオン二次電池の製造方法。
  6. シルセスキオキサンを0.00001〜0.25mol/Lの濃度で含む、リチウムイオン二次電池用非水電解液。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池を搭載した車両。
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JP2016207314A (ja) * 2015-04-16 2016-12-08 株式会社カネカ 非水電解液二次電池及びその組電池

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