JP2004292606A - 硬化性組成物、シーリング材及び接着剤 - Google Patents
硬化性組成物、シーリング材及び接着剤 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】雰囲気中の湿気により硬化し、弾力性、透明性及び接着性に優れた硬化物を与えるだけでなく、残留モノマー臭が少なく、作業環境性に優れた硬化性組成物を提供する。
【解決手段】加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体であって、(メタ)アクリル酸エステルモノマーのラジカル重合により得られた(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)と、1級または2級アミノ基を有する化合物(b)とを含み、1級または2級アミノ基を有する化合物(b)により残留モノマーが低減されている硬化性組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体であって、(メタ)アクリル酸エステルモノマーのラジカル重合により得られた(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)と、1級または2級アミノ基を有する化合物(b)とを含み、1級または2級アミノ基を有する化合物(b)により残留モノマーが低減されている硬化性組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、雰囲気中の湿気により架橋し、耐久性に優れた硬化物を与える加水分解性シリル基含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体及び該重合体を用いた硬化性組成物に関し、より詳細には、残留モノマー臭気が少ない、作業環境特性に優れた(メタ)アクリル酸エステル系重合体及び硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルコキシシリル基を有するビニル重合体が、例えば、下記の特許文献1〜3に開示されている。アルコキシシリル基を有するビニル重合体は、雰囲気の湿気により架橋し、耐久性、耐候性、透明性及び接着性に優れた硬化物を与える。従って、アルコキシシリル基含有ビニル重合体は、塗料、コーティング剤、接着剤、感圧接着剤、シーラント、シーリング材などの広い用途に使用されている。
【0003】
上記アルコキシシリル基含有ビニル重合体を含む組成物を、塗布作業が容易なように液状の組成物とし、かつ硬化後の硬化物がゴム弾性を有するように構成するために、上記ビニル重合体として、(メタ)アクリル酸エステル系重合体が好適に用いられている。
【0004】
【特許文献1】
特開昭57−179210号公報
【特許文献2】
特開平4−202585号公報
【特許文献3】
特開平11−43512号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、(メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造に際して、(メタ)アクリル酸エステルモノマーを重合後に、(メタ)アクリル酸エステルモノマーが残留し、全てのモノマーを完全に重合体に転化することは困難であった。
【0006】
通常、減圧下及び加熱下において、揮発性が高い残留(メタ)アクリル酸エステルモノマーを除くことは一応可能であるものの、該モノマーを完全に除去することは困難であった。また、高沸点の(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、より一層完全に除去することが困難であった。硬化性組成物中に上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーが残留していると、臭気が強く残り、作業環境性を著しく損ねる。また、皮膚との接触により、皮膚に刺激を与えることもあった。
【0007】
本発明の目的は、残留(メタ)アクリル酸エステルモノマーによる臭気が著しく低く、良好な作業環境性を与えることを可能とする硬化性組成物、該硬化組成物を用いたシーリング材及び接着剤を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、架橋可能な加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体であって、ラジカル重合により得られた(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)と、1級または2級アミノ基を有する化合物(b)とを含むことを特徴とする硬化性組成物である。
【0009】
好ましくは、前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)は、有機過酸化物を重合開始剤として用いてラジカル重合により得られた(メタ)アクリル酸エステル系重合体である。
【0010】
本発明に係る硬化性組成物のある特定の局面では、組成物中の残留(メタ)アクリル酸エステルモノマー濃度が0.5重量%以下とされている。
本発明に係る硬化性組成物では、好ましくは、前記1級または2級アミノ基を有する化合物(b)の沸点が1気圧で50℃以上、200℃以下である。
【0011】
本発明に係る硬化性組成物の別の特定の局面では、前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)100重量部に対し、前記1級または2級アミノ基を有する化合物(b)が0.1〜20重量部の割合で配合されている。
【0012】
本発明に係る硬化性組成物のさらに他の特定の局面では、加水分解性シリル基を有するポリエーテル系重合体(c)がさらに含まれている。
本発明に係る硬化性組成物のさらに別の特定の局面では、層状珪酸塩がさらに含有される。
【0013】
本発明に係るシーリング材及び接着剤は、本発明に係る硬化性組成物からなることを特徴とする。
以下、本発明の詳細を説明する。
【0014】
((メタ)アクリル酸エステル系重合体(a))
本発明で用いられる(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)は、架橋可能な加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体であり、ラジカル重合により得られたものである限り、特に限定されるものではない。上記加水分解性シリル基としては、例えばアルコキシシリル基を挙げることができる。
【0015】
また、上記(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)の数平均分子量は、凝集力と、接着性及び硬化物の伸びとのバランスに優れているため、数平均分子量が5000〜200000の範囲であることが望ましい。なお、(メタ)アクリルは、アクリル及びメタクリルの双方を含む表現として用いられている。
【0016】
本発明に係るアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)は、少なくともアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含有するモノマー組成を、過酸化物を重合開始剤として用いたフリーラジカル重合法により重合することにより得られたものである。
【0017】
本発明において、上記アルコキシシリル基は、ケイ素原子に1〜3個のアルコキシ基が結合した官能基である。アルコキシ基としては例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基などを挙げることができる。アルコキシ基の結合したアルコキシシリル基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、トリフェノキシシリル基などのトリアルコキシシリル基;ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基などのジメトキシシリル基;メトキシジメトキシシリル基、エトキシジメチルシリル基などのモノアルコキシシリル基を挙げることができる。これらの各アルコキシ基を複数個組み合わせて用いてもよし、異なるアルコキシ基を複数個組み合わせて用いてもよい。
【0018】
また、アルコキシシリル基の導入法としては、アルコキシシリル基を持つ開始剤により重合を開始する方法、アルコキシシリル基を持つ連鎖移動剤を用いる方法、アルコキシシリル基を持つ共重合性モノマーを用いる方法による重合と同時にシリル基を導入する方法があり、(メタ)アクリルモノマーを過酸化物系開始剤を用い重合させながら導入させることができる。
【0019】
アルコキシリル基を導入する為の、連鎖移動剤や共重合性モノマーとしては、例えば、メルカプトメチルトリメチルシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシランなどの連鎖移動性の高い官能基を有するアルコキシシラン;N−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−アリルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロペニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビンルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルジメチルイソペンテニルオキシシラン、ビニルジメチル−2−((2−エトキシエトキシ)エトキシ)シラン、ビニルトリス(1−メチルビニルオキシ)シラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、フェニルビニルジエトキシシラン、ジフェニルビニルエトキシシラン、6−トリエトキシシリル−2−ノルボルネン、オクタ−7−エニルトリメトキシシラン、スチリルエチルトリメトキシシランなどの重合性不飽和基を有するアルコキシシランなどを挙げることができる。
【0020】
本発明において、上記アルコキシシリル基が導入される(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、特に限定されるわけではないが、下記の化合物を挙げることができる。
【0021】
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−3−メチルブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチル2−ヒドロキシエチルフタル酸、2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチル2−ヒドロキシプロピルフタル酸、
【0022】
などを挙げることができる。
【0023】
また、本発明に係る(メタ)アクリル酸エステル系重合体を得るにあたって用いられるモノマーとしは、上記(メタ)アクリル酸エステル系モノマーだけでなく、下記の共重合性モノマーを併用し、共重合してもよい。このような共重合性モノマーとしては、例えば、スチレン、インデン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、ジビニルベンゼンなどのスチレン誘導体;無水マレイン酸、N−ビニルピロリドン、N−ビニルモルフォリン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、安息香酸ビニル、珪皮酸ビニルなどのビニルエステル基を持つ化合物;n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、tert−アミルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、トリチレングリコールメチルビニルエーテル、安息香酸(4−ビニロキシ)ブチル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ブタン−1,4−ジオール−ジビニルエーテル、ヘキサン−1,6−ジオール−ジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−ジビニルエーテル、イソフタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、グルタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、コハク酸ジ(4−ビニロキシ)ブチルトリメチロールプロパントリビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシル、ビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−モノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル3−アミノプロピルビニルエーテル、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルビニルエーテル、ウレタンビニルエーテル、ポリエステルビニルエーテルなどのビニロキシ基を持つ化合物を挙げることができる。
【0024】
アルコキシシリル基を含有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの配合量は、重合性モノマー100重量部に対し、0.01〜20重量部であることが好ましく、さらに好ましくは、0.1〜5重量部である。
【0025】
上記(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)は、好ましくは、有機過酸化物を重合開始剤として用いたフリーラジカル重合法により得られる。有機過酸化物を重合開始剤として用いることにより、硬化物の黄変を抑制することができる。有機過酸化物は、1種のみが用いられてもよく、複数種併用されてもよい。さらに有機過酸化物は、逐次添加されてもよい。
【0026】
上記重合開始剤としての有機過酸化物としては、ベンゾイルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、イソノナノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシドなどのジアシルパーオキサイド類;ジイソプロピルパージカーボネート、ジ−sec−ブチルパージカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパージカーボネート、ジ−1−メチルヘプチルパージカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパージカーボネート、ジシクロヘキシルパージカーボネートなどのパーオキシジカーボネート類;tert−ブチルパーベンゾエート、tert−ブチルパーアセテート、tert−ブチルパー−2−エチルへキサノエート、tert−ブチルパーイソブチレート、tert−ブチルパーピバレート、tert−ブチルジパーアジペート、キュミルパーネオデカノエートなどのパーオキシエステル類;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類;ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジキュミルパーオキサイド、tert−ブチルキュミルパーオキサイド、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどのジアルキルパーオキサイド類;キュメンヒドロキシパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド類などが挙げられる。
【0027】
本発明において、上記(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)の25℃における粘度は、液状組成物としての取り扱いが容易であるため、10〜50万cpsの範囲が好ましく、より好ましくは1000〜10万cpsである。また、凝集力と接着性とのバランスを高めるには、数平均分子量は5000〜10万の範囲が好ましく、より好ましくは、糸引が生じ難いので、8000〜5万の範囲である。
【0028】
(1級または2級アミノ基を有する化合物(b))
本発明において用いられる1級または2級アミノ基を有する化合物(b)は、1分子中に活性水素を有する1級または2級アミノ基を含む化合物であれば特に限定されない。また、1級アミノ基と、2級アミノ基との双方を併せ持つ化合物を用いてもよい。
【0029】
本発明においては、上記化合物(b)は、残留(メタ)アクリル酸エステルモノマーとマイケル付加反応を引き起し、(メタ)アクリロイル基を低減するように作用する。従って、上記化合物(b)としては、マイケル付加反応後も揮発性が低い生成物を与えるものが好ましく、沸点が1気圧で50℃以上、200℃以下である化合物が好ましい。また、マイケル付加反応を引き起こし易い、1級アミノ基を有する化合物が好ましい。さらには、化合物(b)同士の水素結合による凝集が起こり難い、1分子中に1個のアミノ基を有する化合物が好ましい。
【0030】
1級アミノ基を有する化合物としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキルアミン;シクロヘキシルアミン、1−アダマンタンアミン、ベンジルアミン;α,ω−ジアミノプロピレングリコール;α,ω−ジアミノエチレングリコール;アニリン、メチルアニリン、メチレンジフェニルジアミン等の芳香族アミン;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランが挙げられる。
【0031】
また、2級アミノ基を有する化合物としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジオクチルアミン、ジラウリルアミン、ジステアリルアミン、ジフェニルアミン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリンが挙げられる。
【0032】
1級アミキ基及び2級アミノ基の双方を有する化合物としては、ジエチレンテトラミン、N−(3−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン、N−(3−アミノプロピル)−1,3−プロパンジアミン、N−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)エチレンジアミン、N−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)ジエチレンジテトラアミンなどが挙げられる。
【0033】
(硬化性組成物)
本発明に係る硬化性組成物は、上記架橋可能な加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)と、1級または2級アミノ基を有する化合物(b)とを混合することにより得られる。この場合、(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)100重量部に対し、0.1〜20重量部で配合されることが好ましく、より好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ましくは1.0〜5重量部の割合で配合される。化合物(b)の配合割合が0.1重量部未満では、化合物(b)により残留モノマー臭を低減させる効果が損なわれることがあり、20重量部を超えると、残留モノマーを低減させる効果には優れているものの、化合物(b)の過剰配合により接着性や硬化物の伸びが損なわれることがある。
【0034】
(層状珪酸塩)
本発明に係る硬化性組成物では、耐候性を高めるために層状珪酸塩が配合されてもよい。
【0035】
本発明で好ましくは用いられる層状珪酸塩とは、層間に交換性陽イオンを有する珪酸塩鉱物を意味する。本発明で用いられる層状珪酸塩としては特に限定されず、例えば、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイト等のスメクタイト系粘土鉱物、バーミキュライト、ハロイサイト、膨潤性マイカ等が挙げられる。中でも、モンモリロナイト、膨潤性マイカが好ましい。上記層状珪酸塩は天然物または合成物のいずれであってもよく、これらの1種または2種以上を用い得る。
【0036】
上記層状珪酸塩としては、下記式により定義される形状異方性効果が大きいスメクタイト類や膨潤性マイカを用いることが、硬化性組成物の機械強度向上やガスバリヤ性向上の点からより好ましい。なお、層状珪酸塩の結晶表面(A)及び結晶端面(B)を図1に模式的に示す。
【0037】
形状異方性効果=結晶表面(A)の面積/結晶端面(B)の面積
【0038】
図2に示すように、上記層状珪酸塩の層間に存在する交換性陽イオンとは、結晶表面上のナトリウム、カルシウム等のイオンであり、これらのイオンは、カチオン性物質とイオン交換性を有するので、カチオン性を有する種々の物質を上記層状珪酸塩の層間に捕捉(インターカレート)することができる。
【0039】
上記層状珪酸塩の陽イオン交換容量としては特に限定されないが、50〜200ミリ等量/100gであるのが好ましい。50ミリ等量/100g未満であると、イオン交換により結晶層間に捕捉(インターカレート)できるカチオン性界面活性剤の量が少なくなるので、層間が十分に非極性化されないことがある。一方、200ミリ等量/100gを超えると、層状珪酸塩の層間の結合力が強固となり、層状珪酸塩の各層を構成している結晶薄片間の距離を増大し難くなることがある。
【0040】
上記層状珪酸塩は、ベース樹脂100重量部に対して、0.1〜100重量部配合され、さらに好ましくは0.5〜50重量部、特に好ましくは1〜10重量部である。0.1重量部未満では硬化物の耐候性向上や難燃化などの作用が発現され難く、10重量部を越えると、硬化性組成物の粘度が高くなり作業性、生産性が低下することがある。
【0041】
なお、ベース樹脂とは、上記(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)、あるいは上記(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)と必要に応じて添加される後述のポリエーテル系重合体の合計である。
【0042】
上記層状珪酸塩は、広角X線回折測定法により測定した(001)面の平均層間距離が3nm以上であり、5層以下で存在しているものを含んで分散しているものが好ましい。平均層間距離が3nm以上であり、5層以下で分散していると、硬化性組成物の耐候性、難燃性の性能発現に有利となる。
【0043】
なお、本明細書において、層状珪酸塩の平均層間距離とは、微細薄片状結晶を層とした場合の平均の層間距離であり、X線回折ピーク及び透過型電子顕微鏡撮影により、すなわち、広角X線回折測定法により算出できるものである。3nm以上に層間が開裂し、5層以下で存在しているものを含んで分散している状態は、層状珪酸塩の積層体の一部または全てが分散していることを意味しており、層間の相互作用が弱まっていることによる。
【0044】
さらに、層状珪酸塩の平均層間距離が6nm以上であると、難燃性、機械物性、耐熱性等の機能発現に特に有利である。平均層間距離が6nm以上であると、層状珪酸塩の結晶薄片層が層毎に分離し、層状珪酸塩の相互作用がほとんど無視できるほどに弱まるので、層状珪酸塩を構成する結晶薄片の樹脂中での分散状態が剥離安定化の方向に進行する。すなわち、層状珪酸塩が1枚づつ薄片状に乖離した状態で硬化性組成物中に安定化されて存在することとなる。
【0045】
層状珪酸塩の分散状態としては、ベースとなる樹脂中において層状珪酸塩の薄片状結晶が高度に分散していることが好ましい。より具体的には、層状珪酸塩の10重量%以上が5層以下で存在している状態に分散されていることが好ましく、より好ましくは、層状珪酸塩の20重量%以上が5層以下の状態で存在していることが望ましい。さらに、分散している薄片状結晶の積層数が5層以下であれば、層状珪酸塩の添加による効果が良好に得られるが、3層以下であればより好ましく、単層状に分散していることがさらに望ましい。
【0046】
本発明の層状珪酸塩は、4級アンモニウム塩で処理されてなる層状珪酸塩であることが好ましい。4級アンモニウム塩で処理することにより、層状珪酸塩の上記ベース樹脂中への分散性を向上させることができるからである。また、4級アンモニウム塩は上記(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)の架橋反応に対する触媒作用があることが知られており、層状珪酸塩と共に上記ベース樹脂中に分散することにより分散性の向上と共に硬化速度を促進させることも可能となる。
【0047】
上記4級アンモニウム塩としては、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、トリオクチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウム塩、ジ硬化牛脂ジメチルアンモニウム塩、ジステアリルジベンジルアンモニウム塩、N−ポリオキシエチレン−N−ラウリル−N,N−ジメチルアンモニウム塩等が挙げられ、これらの4級アンモニウム塩は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。上記の中でも、良好な分散性が得られることから、炭素数6以上のアルキル鎖またはポリオキシアルキレン鎖を有する4級アルキルアンモニウムイオン塩が好ましい。
【0048】
層状珪酸塩の分散には各種攪拌機を用いることができるが、分散しにくい場合には3本ロール等の高剪断がかかる装置を用いて分散を行うと所望の分散状態を得やすい場合がある。
【0049】
(紫外線吸収剤及び光安定剤)
本発明の硬化性組成物には、耐候性を向上させるために各種紫外線吸収剤や光安定剤を配合することが好ましい。層状珪酸塩との併用により、層状珪酸塩が各種紫外線吸収剤や光安定剤のブリードアウトを抑制するように作用するため、硬化物中にこれらが長期にわたって保持されるためである。
【0050】
上記紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系等の公知の紫外線吸収剤が挙げられ、中でもベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が紫外線吸収性能が高いので好ましい。上記紫外線吸収剤を配合する場合には、上記ベース樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部、より好ましくは、0.5〜10重量部配合されているのが好ましい。0.1重量部よりも少ないと耐候性の向上効果が不十分であることがあり、20重量部を越えると、呈色によりシーリング材としての外観を損なう等の問題を生じる。
【0051】
上記光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系光安定剤が用いられる。ヒンダードアミン系光安定剤は、一般に紫外線吸収剤と併用すると優れた効果を発揮する。上記ヒンダードアミン系光安定剤(以下、光安定剤)の中でも、下記一般式(A)で示される構造を有する基を分子中に有するものが、層状珪酸塩と併用すると特に著しい効果がある。このようヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート、ポリ[{6−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)イミノ}]等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、2種以上併用されてもよい。
【0052】
層状珪酸塩との併用による耐候性効果は、光安定剤のブリードアウト防止効果が主であると考えられる。すなわち層状珪酸塩が組成物中で光安定剤と相互作用し、光安定剤が系から散逸するのを防いでいる為であると考えられる。また、相互作用の中でも層状珪酸塩がブリードアウトを阻害する板のように作用することにより、光安定剤のブリードアウトが抑制されると考えられる。光安定剤の中でも下記一般式(A)で示される構造を有する基を分子中に有するものが特にその効果が著しいのは、N原子に結合したH原子が関与しているものと推察される。
【0053】
【化1】
【0054】
上記光安定剤を配合する場合には、上記ベース樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部、より好ましくは0.5〜10重量部配合されているのが好ましい。0.1重量部よりも少ないと、耐候性の向上効果が不十分であることがあり、20重量部を越えると着色の問題が生じ、シーリング材としての外観を損なうことがある。
【0055】
(ポリエーテル系重合体(c))
本発明に係る硬化性組成物では、主鎖が本質的にポリエーテル系重合体からなり、架橋可能な加水分解性のシリル基を有するポリエーテル系重合体(c)が配合されてもよい。ポリエーテル系重合体(c)としては、主鎖が本質的にポリエーテル重合体からなるもの、主鎖がポリエーテルと(メタ)アクリル酸エステルとからなる重合体等が挙げられる。このポリエーテル系重合体(c)を配合することにより、硬化物の耐水性を高めたり、シーリング材を構成した場合のゴム弾性を高めることができる。上記(メタ)アクリル酸エステル系重合体と、上記ポリエーテル系重合体(c)と併用する場合、その配合割合は、(メタ)アクリル酸エステル系重合体100重量部に対し、ポリエーテル系重合体(c)を0.1〜100重量部の割合で添加することが好ましく、より好ましくは0.5〜100重量部である。
【0056】
ポリエーテル系重合体(c)の配合割合が0.1重量部未満では、接着性改善効果が小さくなることがあり、200重量部を越えると、耐候性が低くなることがあり、かつ接着性向上効果がそれほど高くならないことがある。
【0057】
上記ポリエーテル系重合体(c)とは、主鎖が本質的に、一般式〔−(R−O)n−、式中のRは炭素数1〜4であるアルキレン基を示す。〕で表される化学的に結合された繰り返し単位を含み、かつ末端に架橋可能な加水分解性シリル基を含有する重合体をさす。
【0058】
上記重合体(c)は、例えば、末端にアリル基を有するポリアルキレンオキサイドをVIII族遷移金属の存在化で下記化学式(1)により表されるヒドロシラン化合物を反応させることによって合成される。
【0059】
【化2】
【0060】
(式中R1は1価の炭化水素基及びハロゲン化された1価の炭化水素基から選択される基、aは0、1または2の整数、Xはハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基及びケトキシメート基より選択される原子または基を意味する。)
上記重合体の主鎖であるポリアルキレンオキサイドとしては、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド等が挙げられるが、室温硬化性組成物の硬化物が耐水性に優れ、かつシーリング材としての弾性を確保できるという点でポリプロピレンオキサイドが好ましい。
【0061】
上記架橋可能な加水分解性シリル基としては、反応後有害な副生成物を生成しない物が好ましく、例えば、メトキシシリル基、エトキシシリル基等のアルコキシシリル基が挙げられる。
【0062】
上記ポリエーテル系重合体(c)の数平均分子量が小さくなると、硬化物の伸びが十分でなくなり、目地面に対する追従性が低下し、大きくなると硬化前の粘度が高くなり、配合工程の作業性が悪くなる。従って、好ましくは、数平均分子量は、4000〜30000であり、さらに好ましくは10000〜30000であり、かつ分子量分布は1.6以下が望ましい。
【0063】
上記ポリエーテル系重合体(c)としては、例えば、商品名「MSポリマー」(鐘淵化学工業社製)として、MSポリマーS−203、S−303など、商品名「サイリルポリマー」(鐘淵化学工業社製)として、サイリルSAT−200、SAT−350、SAT−400や、商品名「エクセスター」(旭硝子社製)として、エクセスターESS−3620、ESS−3430、ESS−2420、ESS−2410などが市販されている。
【0064】
(他の成分)
本発明に係る硬化性組成物では、さらに、本発明の目的及び効果を阻害しない限り、硬化触媒、硬化助触媒、粘度調整剤、チキソトロープ剤、物性調整剤、増量剤、補強剤、可塑剤、着色剤、難燃剤、タレ防止剤、酸化防止剤、老化防止剤、溶剤、香料、顔料、染料、脱水剤などを添加してもよい。
【0065】
硬化触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫フタレート、ビス(ジブチル錫ラウリン酸)オキサイド、ジブチル錫ビスアセチルアセトナート、ジブチル錫ビス(モノエステルマレート)、オクチル酸錫、ジブチル錫オクトエート、ジオクチル錫オキサイド等の錫化合物;テトラ−n−ブトキシチタネート、テトライソプロポキシチタネート等のチタネート系化合物;ジブチルアミン−2−エチルヘキソエート等のアミン塩;及び、その他の酸性触媒や塩基性触媒が挙げられる。また、硬化速度を調整するために、硬化速度の比較的速い2価の有機カルボン酸錫を用いてもよく、これらとしては、ステアリン酸錫、スタナスオクトエート、ジオクチル系の錫化合物が挙げられる。
【0066】
粘度調整剤としては、例えば、アルコキシシリル基を有する実質(メタ)アクリル酸エステルをモノマーとする繰り返し単位から成る重合体との相溶性の良い高分子化合物から選ばれ、配合される化合物から適宜選択される。例えば、アクリル系高分子、メタクリル系高分子、ポリビニルアルコール誘導体、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン誘導体、ポリエステル類、ポリエーテル類、ポリイソブテン、ポリオレフィン類、ポリアルキレンオキシド類、ポリウレタン類、ポリアミド類、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、NBR、SBS、SIS、SEBS、水添NBR、水添SBS、水添SIS、水添SEBSなどを挙げることができる。また、これら共重合体、官能基変成体を挙げることができし、これらを適宜組み合わせてもよい。
【0067】
チキソトロープ剤としては、組成物がチキソトロピー性を発現するような物質から適宜選ばれる。例えば、コロイダルシリカ、ポリビニルピロリドン、疎水化炭酸カルシウム、ガラスバルーン、ガラスビーズ等を挙げることができる。チキソトロープ剤の選択については、アルコキシシリル基を有する実質(メタ)アクリル酸エステルをモノマーとする繰り返し単位から成る重合体との親和性の高い表面を有することが望ましい。
【0068】
引っ張り特性等を改善する物性調整剤としては、各種シランカップリング剤として、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N′−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N′−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N′−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ヘキサエチレンジアミン、N,N′−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ヘキサエチレンジアミンなどを挙げられ、これらは単独または2種以上併用してもかまわない。
【0069】
増量剤としては、本発明に係る組成物中に添加してチキソトロープ性を発現しないものが好適に利用でき、例えば、タルク、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水珪素、含水珪素、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、カーボンブラックなどを挙げられ、これらは単独または2種以上併用してもかまわない。
【0070】
可塑剤としては、例えば、リン酸トリブチル、リン酸トリクレジルなどのリン酸エステル類、フタル酸ジオクチルなどのフタル酸エステル類、グリセリンモノオレイル酸エステルなどの脂肪酸−塩基酸エステル類、アジピン酸ジオクチルなどの脂肪酸二塩基酸エステル類、ポリプロピレングリコール類などを挙げられ、これらは単独または2種以上併用してもかまわない。
【0071】
本発明に係る硬化性組成物は、雰囲気中の湿気と反応して硬化し、ゴム弾性を有する硬化物を与える。
本発明に係る硬化性組成物では、上記加水分解性シリル基含有重合体において、残留(メタ)アクリル酸エステル濃度が低いため、不快なモノマー臭気が生じ難く、従って作業環境性を高めることができる。
【0072】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施例を説明することにより、本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0073】
(参考例1、(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)の調製)
撹拌機、冷却器、温度計及び窒素ガス導入口を備えた2Lのセパラブルフラスコに、n−ブチルアクリレート100g、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製、品番:KBM−503)0.5g、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製、品番:KBM−803)0.2g、ラウリルメルカプタン(和光純薬社製)0.1g、及び酢酸エチル100gを投入して、混合した。モノマー混合溶液を窒素ガスを用いて20分間バブリングすることによって溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ系内を窒素ガスで置換し、撹拌しながら環流に達するまでに昇温した。
【0074】
環流した後、重合開始剤として1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.024gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液を、重合系に投入した。1時間後、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.036gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液を投入した。さらに、重合開始後、2、3及び4時間後に、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド0.048g,0.12g,及び0.36gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液をそれぞれ投入した。一回目の重合開始剤投入から7時間後、室温まで冷却し重合を終了させた。数平均分子量約5万(ゲルパーミエションクロマトグラフィーによる、分子量はポリスチレン換算)の(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)の酢酸エチル溶液を得た。なお、酢酸エチルをロータリーエバポレーターにより除去した後の粘度を、B型回転粘度計(東京計器社製)を用いて測定したところ、約30万cps(25℃)であった。
【0075】
(実施例1)
参考例1で得られたアルコキシシリル基含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)の酢酸エチル溶液100gと、ポリプロピレングリコール(和光純薬社製、平均分子量3000)50gとを混合した後、ロータリーエバポレーターを用いて酢酸エチルを除いて、粘調な液状の硬化性組成物を得た(約3万cps、25℃)。このときのブチルアクリレートの残留モノマー量を後述の方法で測定したところ、0.8重量%であった。得られた液状の硬化性組成物にα,ω−ジアミノプロピレングリコール(Texaco Chemical社製、JEFFAMINE D−230)を10gを加えて、室温で6時間放置した後、ブチルアクリレートの残留モノマー量を再度測定したところ、0.1重量%であった。6時間放置された硬化性組成物に、さらに、脂肪酸表面処理炭酸カルシウム20g、重質炭酸カルシウム50g、及び硬化促進剤(ジブチル錫ジラウリレート)3gを加え、密封した攪拌機で均一になるまで混合し、その後、10分間減圧脱泡して白状のペーストの室温硬化性組成物を得た。残留モノマーによる臭気は感じられなかった。
【0076】
得られた硬化性組成物をポリエチレン板上に膜厚が2.5mmとなるように塗工し、しかる後20℃及び相対湿度50%の環境下で7日間養生し、ゴム状のシート皮膜を得た。このシート皮膜のゴム物性を、下記の要領で評価したところ、破断伸びは550%、破断応力は0.21N/mm2であった。
【0077】
(残留モノマーの測定)
島津製作所製、ガスクロマトグラフィー(GC14A)を用い、予め濃度が分かっているモノマー希釈溶液により検量線を作製した後、未知濃度のサンプルをアセトンで定量的に希釈し、その希釈溶液をガスクロマトグラフィーを用いて測定し、残留モノマー量を上記検量線に基づいて定量した。
【0078】
(ゴム物性の評価)
20℃及び相対湿度50%の雰囲気下で7日間養生された上記ゴム状のシート皮膜をJIS K6301に準じ、3号ダンベル形状でクロスヘッド速度500mm/分で引っ張り試験を行い、破断伸び(%)と破断応力(N/mm2)を求めた。
【0079】
(実施例2)
参考例1で得られた、(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)の酢酸エチル溶液100gとポリプロピレングリコール(和光純薬社製、平均分子量3000)50gとを混合した後、ロータリーエバポレーターを用いて酢酸エチルを除いて、粘調な液状の硬化性組成物を得た(粘度は約3万cps、25℃)。このときのブチルアクリレートの残留モノマー量を実施例1と同様にして測定したところ、0.8重量%であった。得られた液状の硬化性組成物にn−オクチルアミン(和光純薬社製)5gを加えて、室温で6時間放置した後、再度ブチルアクリレートの残留モノマー量を測定したところ、0.01重量%であった。6時間放置された硬化性組成物に、脂肪酸表面処理炭酸カルシウム20g、重質炭酸カルシウム50g、及び硬化促進剤(ジブチル錫ジラウリレート)3gを加え、密封した攪拌機で均一になるまで混合し、その後、10分間減圧脱泡して白状のペーストの室温硬化性組成物を得た。残留モノマーによる臭気は感じられなかった。
【0080】
得られた硬化性組成物を、ポリエチレン板上に、膜厚が2.5mmとなるように塗工し、しかる後、20℃及び相対湿度50%の環境下で7日間養生し、ゴム状のシート皮膜を得た。このシート皮膜のゴム物性を、実施例1と同様にして評価したところ、破断伸びは550%、破断応力は0.21N/mm2であった。
【0081】
(比較例1)
参考例1で得られた(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)100gと、ポリプロピレングリコール(和光純薬社製、平均分子量3000)50gとを混合した後、ロータリーエバポレーターを用いて酢酸エチルを除去し、粘調な液状の硬化性組成物を得た。この粘調な液状の硬化性組成物の25℃における粘度は、約3万cpsであった。上記硬化性組成物のブチルアクリレート残留モノマー量は0.8重量%であった。
【0082】
さらに、上記粘調な硬化性組成物に、脂肪酸表面処理炭酸カルシウム20g、重質炭酸カルシウム50g、及び硬化促進剤(ジブチル錫ジラウリレート)3gを加え、密封した攪拌機で均一になるまで混合し、その後、10分間減圧脱泡して白状のペーストの室温硬化性組成物を得た。残留モノマーによる臭気が感じられた。
【0083】
得られた硬化性組成物をポリエチレン板状に、膜厚が2.5mmとなる様に塗工し、その後、20℃及び相対湿度50%の環境下で7日間養生して、ゴム状のシート皮膜を得た。シート皮膜のゴム物性を実施例1と同様にして評価したところ、破断伸びは530%、破断応力は0.20N/mm2であった。
【0084】
(実施例3)
硬化性組成物調製の際に、層状珪酸塩ソマシフMPE−100(ポリオキシプロピレンジエチル4級アンモニウム塩で有機処理した膨潤性フッ素雲母、コープケミカル社製)10g、チヌビン770(ヒンダードアミン系光安定剤、チバスペシャリティーケミカルズ社製)5g、チヌビン327(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、チバスペシャリティーケミカルズ社製)5gを加えたこと以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物を得た。
【0085】
〔層状珪酸塩の平均層間距離の測定〕
実施例3で得られた硬化性組成物における層状珪酸塩の平均層間距離を以下のようにして測定した。
【0086】
X線回折測定装置(リガク社製、RINT1100)により、層状珪酸塩の積層面の回折により得られる回折ピークの2θを測定し、下記のブラックの回折式を用いて層状珪酸塩の(001)面間隔を算出した。以下のdを平均層間距離とし、平均層間距離が3nm以上と良好に分散していた。
【0087】
λ=2dsinθ
なお、式中において、λ(nm)=0.154、d(nm)二層状珪酸塩の面間隔、θ(度)は回折角である。
【0088】
〔層状珪酸塩の分散状態の確認〕
透過型電子顕微鏡(TEM、日本電子社製「JEM−1200EX II」)写真により、硬化物中の層状珪酸塩の分散状態を観察して、5層以下で存在していた。
【0089】
耐候性評価
〔評価〕
上記実施例1及び3で得られた硬化性組成物の下記方法で耐候性を評価した。各配合組成物を50mm×150mm(厚み1mm)のステンレス板に0.5mm厚みで塗布し、20℃×60%RHの雰囲気下で7日間(168時間)放置して養生硬化させた後、下記条件で150時間及び400時間光照射を行い、表面状態を目視で確認し、クラックの無いものを○と判定した。
【0090】
・光照射条件
試験装置:アイスーパーUVテスター(SUV−F11型)、岩崎電気(株)製
照射強度:100mW/cm2
限定波長:295nm〜450nm
ブラックパネル温度:63℃
照射距離:235mm(光源と試料間)
なお、アイスーパーUVテスターによる光照射評価は、材料系や試験条件によっても変動するので一概には言えないが、通常サンシャインウエザオメーターによる評価よりも、10倍程度の過酷な促進効果があるとされている。結果を下記の表1に示す。
【0091】
【表1】
【0092】
【発明の効果】
本発明に係る硬化性組成物は、加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)と、1級または2級アミノ基を有する化合物(b)とを有し、化合物(b)により残留モノマーが低減されるため、モノマー臭が著しく低減されており、かつ作業環境性に優れた硬化性組成物を提供することができる。また、本発明に係る硬化性組成物は、雰囲気中の湿気により速やかに硬化し、弾力性を有する硬化物を与える。従って、本発明により、様々な接着剤やシーリング材などに好適に用いられ、しかも作業環境性に優れた硬化性組成物を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】層状珪酸塩の薄片状結晶の結晶表面(A)及び結晶端面(B)を説明するための模式図。
【図2】層状珪酸塩の層間の交換性陽イオンを説明するための模式図。
【発明の属する技術分野】
本発明は、雰囲気中の湿気により架橋し、耐久性に優れた硬化物を与える加水分解性シリル基含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体及び該重合体を用いた硬化性組成物に関し、より詳細には、残留モノマー臭気が少ない、作業環境特性に優れた(メタ)アクリル酸エステル系重合体及び硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルコキシシリル基を有するビニル重合体が、例えば、下記の特許文献1〜3に開示されている。アルコキシシリル基を有するビニル重合体は、雰囲気の湿気により架橋し、耐久性、耐候性、透明性及び接着性に優れた硬化物を与える。従って、アルコキシシリル基含有ビニル重合体は、塗料、コーティング剤、接着剤、感圧接着剤、シーラント、シーリング材などの広い用途に使用されている。
【0003】
上記アルコキシシリル基含有ビニル重合体を含む組成物を、塗布作業が容易なように液状の組成物とし、かつ硬化後の硬化物がゴム弾性を有するように構成するために、上記ビニル重合体として、(メタ)アクリル酸エステル系重合体が好適に用いられている。
【0004】
【特許文献1】
特開昭57−179210号公報
【特許文献2】
特開平4−202585号公報
【特許文献3】
特開平11−43512号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、(メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造に際して、(メタ)アクリル酸エステルモノマーを重合後に、(メタ)アクリル酸エステルモノマーが残留し、全てのモノマーを完全に重合体に転化することは困難であった。
【0006】
通常、減圧下及び加熱下において、揮発性が高い残留(メタ)アクリル酸エステルモノマーを除くことは一応可能であるものの、該モノマーを完全に除去することは困難であった。また、高沸点の(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、より一層完全に除去することが困難であった。硬化性組成物中に上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーが残留していると、臭気が強く残り、作業環境性を著しく損ねる。また、皮膚との接触により、皮膚に刺激を与えることもあった。
【0007】
本発明の目的は、残留(メタ)アクリル酸エステルモノマーによる臭気が著しく低く、良好な作業環境性を与えることを可能とする硬化性組成物、該硬化組成物を用いたシーリング材及び接着剤を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、架橋可能な加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体であって、ラジカル重合により得られた(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)と、1級または2級アミノ基を有する化合物(b)とを含むことを特徴とする硬化性組成物である。
【0009】
好ましくは、前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)は、有機過酸化物を重合開始剤として用いてラジカル重合により得られた(メタ)アクリル酸エステル系重合体である。
【0010】
本発明に係る硬化性組成物のある特定の局面では、組成物中の残留(メタ)アクリル酸エステルモノマー濃度が0.5重量%以下とされている。
本発明に係る硬化性組成物では、好ましくは、前記1級または2級アミノ基を有する化合物(b)の沸点が1気圧で50℃以上、200℃以下である。
【0011】
本発明に係る硬化性組成物の別の特定の局面では、前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)100重量部に対し、前記1級または2級アミノ基を有する化合物(b)が0.1〜20重量部の割合で配合されている。
【0012】
本発明に係る硬化性組成物のさらに他の特定の局面では、加水分解性シリル基を有するポリエーテル系重合体(c)がさらに含まれている。
本発明に係る硬化性組成物のさらに別の特定の局面では、層状珪酸塩がさらに含有される。
【0013】
本発明に係るシーリング材及び接着剤は、本発明に係る硬化性組成物からなることを特徴とする。
以下、本発明の詳細を説明する。
【0014】
((メタ)アクリル酸エステル系重合体(a))
本発明で用いられる(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)は、架橋可能な加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体であり、ラジカル重合により得られたものである限り、特に限定されるものではない。上記加水分解性シリル基としては、例えばアルコキシシリル基を挙げることができる。
【0015】
また、上記(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)の数平均分子量は、凝集力と、接着性及び硬化物の伸びとのバランスに優れているため、数平均分子量が5000〜200000の範囲であることが望ましい。なお、(メタ)アクリルは、アクリル及びメタクリルの双方を含む表現として用いられている。
【0016】
本発明に係るアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)は、少なくともアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含有するモノマー組成を、過酸化物を重合開始剤として用いたフリーラジカル重合法により重合することにより得られたものである。
【0017】
本発明において、上記アルコキシシリル基は、ケイ素原子に1〜3個のアルコキシ基が結合した官能基である。アルコキシ基としては例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基などを挙げることができる。アルコキシ基の結合したアルコキシシリル基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、トリフェノキシシリル基などのトリアルコキシシリル基;ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基などのジメトキシシリル基;メトキシジメトキシシリル基、エトキシジメチルシリル基などのモノアルコキシシリル基を挙げることができる。これらの各アルコキシ基を複数個組み合わせて用いてもよし、異なるアルコキシ基を複数個組み合わせて用いてもよい。
【0018】
また、アルコキシシリル基の導入法としては、アルコキシシリル基を持つ開始剤により重合を開始する方法、アルコキシシリル基を持つ連鎖移動剤を用いる方法、アルコキシシリル基を持つ共重合性モノマーを用いる方法による重合と同時にシリル基を導入する方法があり、(メタ)アクリルモノマーを過酸化物系開始剤を用い重合させながら導入させることができる。
【0019】
アルコキシリル基を導入する為の、連鎖移動剤や共重合性モノマーとしては、例えば、メルカプトメチルトリメチルシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシランなどの連鎖移動性の高い官能基を有するアルコキシシラン;N−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−アリルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロペニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビンルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルジメチルイソペンテニルオキシシラン、ビニルジメチル−2−((2−エトキシエトキシ)エトキシ)シラン、ビニルトリス(1−メチルビニルオキシ)シラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、フェニルビニルジエトキシシラン、ジフェニルビニルエトキシシラン、6−トリエトキシシリル−2−ノルボルネン、オクタ−7−エニルトリメトキシシラン、スチリルエチルトリメトキシシランなどの重合性不飽和基を有するアルコキシシランなどを挙げることができる。
【0020】
本発明において、上記アルコキシシリル基が導入される(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、特に限定されるわけではないが、下記の化合物を挙げることができる。
【0021】
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−3−メチルブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチル2−ヒドロキシエチルフタル酸、2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチル2−ヒドロキシプロピルフタル酸、
【0022】
などを挙げることができる。
【0023】
また、本発明に係る(メタ)アクリル酸エステル系重合体を得るにあたって用いられるモノマーとしは、上記(メタ)アクリル酸エステル系モノマーだけでなく、下記の共重合性モノマーを併用し、共重合してもよい。このような共重合性モノマーとしては、例えば、スチレン、インデン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、ジビニルベンゼンなどのスチレン誘導体;無水マレイン酸、N−ビニルピロリドン、N−ビニルモルフォリン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、安息香酸ビニル、珪皮酸ビニルなどのビニルエステル基を持つ化合物;n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、tert−アミルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、トリチレングリコールメチルビニルエーテル、安息香酸(4−ビニロキシ)ブチル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ブタン−1,4−ジオール−ジビニルエーテル、ヘキサン−1,6−ジオール−ジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−ジビニルエーテル、イソフタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、グルタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、コハク酸ジ(4−ビニロキシ)ブチルトリメチロールプロパントリビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシル、ビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−モノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル3−アミノプロピルビニルエーテル、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルビニルエーテル、ウレタンビニルエーテル、ポリエステルビニルエーテルなどのビニロキシ基を持つ化合物を挙げることができる。
【0024】
アルコキシシリル基を含有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの配合量は、重合性モノマー100重量部に対し、0.01〜20重量部であることが好ましく、さらに好ましくは、0.1〜5重量部である。
【0025】
上記(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)は、好ましくは、有機過酸化物を重合開始剤として用いたフリーラジカル重合法により得られる。有機過酸化物を重合開始剤として用いることにより、硬化物の黄変を抑制することができる。有機過酸化物は、1種のみが用いられてもよく、複数種併用されてもよい。さらに有機過酸化物は、逐次添加されてもよい。
【0026】
上記重合開始剤としての有機過酸化物としては、ベンゾイルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、イソノナノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシドなどのジアシルパーオキサイド類;ジイソプロピルパージカーボネート、ジ−sec−ブチルパージカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパージカーボネート、ジ−1−メチルヘプチルパージカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパージカーボネート、ジシクロヘキシルパージカーボネートなどのパーオキシジカーボネート類;tert−ブチルパーベンゾエート、tert−ブチルパーアセテート、tert−ブチルパー−2−エチルへキサノエート、tert−ブチルパーイソブチレート、tert−ブチルパーピバレート、tert−ブチルジパーアジペート、キュミルパーネオデカノエートなどのパーオキシエステル類;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類;ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジキュミルパーオキサイド、tert−ブチルキュミルパーオキサイド、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどのジアルキルパーオキサイド類;キュメンヒドロキシパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド類などが挙げられる。
【0027】
本発明において、上記(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)の25℃における粘度は、液状組成物としての取り扱いが容易であるため、10〜50万cpsの範囲が好ましく、より好ましくは1000〜10万cpsである。また、凝集力と接着性とのバランスを高めるには、数平均分子量は5000〜10万の範囲が好ましく、より好ましくは、糸引が生じ難いので、8000〜5万の範囲である。
【0028】
(1級または2級アミノ基を有する化合物(b))
本発明において用いられる1級または2級アミノ基を有する化合物(b)は、1分子中に活性水素を有する1級または2級アミノ基を含む化合物であれば特に限定されない。また、1級アミノ基と、2級アミノ基との双方を併せ持つ化合物を用いてもよい。
【0029】
本発明においては、上記化合物(b)は、残留(メタ)アクリル酸エステルモノマーとマイケル付加反応を引き起し、(メタ)アクリロイル基を低減するように作用する。従って、上記化合物(b)としては、マイケル付加反応後も揮発性が低い生成物を与えるものが好ましく、沸点が1気圧で50℃以上、200℃以下である化合物が好ましい。また、マイケル付加反応を引き起こし易い、1級アミノ基を有する化合物が好ましい。さらには、化合物(b)同士の水素結合による凝集が起こり難い、1分子中に1個のアミノ基を有する化合物が好ましい。
【0030】
1級アミノ基を有する化合物としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキルアミン;シクロヘキシルアミン、1−アダマンタンアミン、ベンジルアミン;α,ω−ジアミノプロピレングリコール;α,ω−ジアミノエチレングリコール;アニリン、メチルアニリン、メチレンジフェニルジアミン等の芳香族アミン;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランが挙げられる。
【0031】
また、2級アミノ基を有する化合物としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジオクチルアミン、ジラウリルアミン、ジステアリルアミン、ジフェニルアミン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリンが挙げられる。
【0032】
1級アミキ基及び2級アミノ基の双方を有する化合物としては、ジエチレンテトラミン、N−(3−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン、N−(3−アミノプロピル)−1,3−プロパンジアミン、N−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)エチレンジアミン、N−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)ジエチレンジテトラアミンなどが挙げられる。
【0033】
(硬化性組成物)
本発明に係る硬化性組成物は、上記架橋可能な加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)と、1級または2級アミノ基を有する化合物(b)とを混合することにより得られる。この場合、(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)100重量部に対し、0.1〜20重量部で配合されることが好ましく、より好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ましくは1.0〜5重量部の割合で配合される。化合物(b)の配合割合が0.1重量部未満では、化合物(b)により残留モノマー臭を低減させる効果が損なわれることがあり、20重量部を超えると、残留モノマーを低減させる効果には優れているものの、化合物(b)の過剰配合により接着性や硬化物の伸びが損なわれることがある。
【0034】
(層状珪酸塩)
本発明に係る硬化性組成物では、耐候性を高めるために層状珪酸塩が配合されてもよい。
【0035】
本発明で好ましくは用いられる層状珪酸塩とは、層間に交換性陽イオンを有する珪酸塩鉱物を意味する。本発明で用いられる層状珪酸塩としては特に限定されず、例えば、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイト等のスメクタイト系粘土鉱物、バーミキュライト、ハロイサイト、膨潤性マイカ等が挙げられる。中でも、モンモリロナイト、膨潤性マイカが好ましい。上記層状珪酸塩は天然物または合成物のいずれであってもよく、これらの1種または2種以上を用い得る。
【0036】
上記層状珪酸塩としては、下記式により定義される形状異方性効果が大きいスメクタイト類や膨潤性マイカを用いることが、硬化性組成物の機械強度向上やガスバリヤ性向上の点からより好ましい。なお、層状珪酸塩の結晶表面(A)及び結晶端面(B)を図1に模式的に示す。
【0037】
形状異方性効果=結晶表面(A)の面積/結晶端面(B)の面積
【0038】
図2に示すように、上記層状珪酸塩の層間に存在する交換性陽イオンとは、結晶表面上のナトリウム、カルシウム等のイオンであり、これらのイオンは、カチオン性物質とイオン交換性を有するので、カチオン性を有する種々の物質を上記層状珪酸塩の層間に捕捉(インターカレート)することができる。
【0039】
上記層状珪酸塩の陽イオン交換容量としては特に限定されないが、50〜200ミリ等量/100gであるのが好ましい。50ミリ等量/100g未満であると、イオン交換により結晶層間に捕捉(インターカレート)できるカチオン性界面活性剤の量が少なくなるので、層間が十分に非極性化されないことがある。一方、200ミリ等量/100gを超えると、層状珪酸塩の層間の結合力が強固となり、層状珪酸塩の各層を構成している結晶薄片間の距離を増大し難くなることがある。
【0040】
上記層状珪酸塩は、ベース樹脂100重量部に対して、0.1〜100重量部配合され、さらに好ましくは0.5〜50重量部、特に好ましくは1〜10重量部である。0.1重量部未満では硬化物の耐候性向上や難燃化などの作用が発現され難く、10重量部を越えると、硬化性組成物の粘度が高くなり作業性、生産性が低下することがある。
【0041】
なお、ベース樹脂とは、上記(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)、あるいは上記(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)と必要に応じて添加される後述のポリエーテル系重合体の合計である。
【0042】
上記層状珪酸塩は、広角X線回折測定法により測定した(001)面の平均層間距離が3nm以上であり、5層以下で存在しているものを含んで分散しているものが好ましい。平均層間距離が3nm以上であり、5層以下で分散していると、硬化性組成物の耐候性、難燃性の性能発現に有利となる。
【0043】
なお、本明細書において、層状珪酸塩の平均層間距離とは、微細薄片状結晶を層とした場合の平均の層間距離であり、X線回折ピーク及び透過型電子顕微鏡撮影により、すなわち、広角X線回折測定法により算出できるものである。3nm以上に層間が開裂し、5層以下で存在しているものを含んで分散している状態は、層状珪酸塩の積層体の一部または全てが分散していることを意味しており、層間の相互作用が弱まっていることによる。
【0044】
さらに、層状珪酸塩の平均層間距離が6nm以上であると、難燃性、機械物性、耐熱性等の機能発現に特に有利である。平均層間距離が6nm以上であると、層状珪酸塩の結晶薄片層が層毎に分離し、層状珪酸塩の相互作用がほとんど無視できるほどに弱まるので、層状珪酸塩を構成する結晶薄片の樹脂中での分散状態が剥離安定化の方向に進行する。すなわち、層状珪酸塩が1枚づつ薄片状に乖離した状態で硬化性組成物中に安定化されて存在することとなる。
【0045】
層状珪酸塩の分散状態としては、ベースとなる樹脂中において層状珪酸塩の薄片状結晶が高度に分散していることが好ましい。より具体的には、層状珪酸塩の10重量%以上が5層以下で存在している状態に分散されていることが好ましく、より好ましくは、層状珪酸塩の20重量%以上が5層以下の状態で存在していることが望ましい。さらに、分散している薄片状結晶の積層数が5層以下であれば、層状珪酸塩の添加による効果が良好に得られるが、3層以下であればより好ましく、単層状に分散していることがさらに望ましい。
【0046】
本発明の層状珪酸塩は、4級アンモニウム塩で処理されてなる層状珪酸塩であることが好ましい。4級アンモニウム塩で処理することにより、層状珪酸塩の上記ベース樹脂中への分散性を向上させることができるからである。また、4級アンモニウム塩は上記(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)の架橋反応に対する触媒作用があることが知られており、層状珪酸塩と共に上記ベース樹脂中に分散することにより分散性の向上と共に硬化速度を促進させることも可能となる。
【0047】
上記4級アンモニウム塩としては、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、トリオクチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウム塩、ジ硬化牛脂ジメチルアンモニウム塩、ジステアリルジベンジルアンモニウム塩、N−ポリオキシエチレン−N−ラウリル−N,N−ジメチルアンモニウム塩等が挙げられ、これらの4級アンモニウム塩は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。上記の中でも、良好な分散性が得られることから、炭素数6以上のアルキル鎖またはポリオキシアルキレン鎖を有する4級アルキルアンモニウムイオン塩が好ましい。
【0048】
層状珪酸塩の分散には各種攪拌機を用いることができるが、分散しにくい場合には3本ロール等の高剪断がかかる装置を用いて分散を行うと所望の分散状態を得やすい場合がある。
【0049】
(紫外線吸収剤及び光安定剤)
本発明の硬化性組成物には、耐候性を向上させるために各種紫外線吸収剤や光安定剤を配合することが好ましい。層状珪酸塩との併用により、層状珪酸塩が各種紫外線吸収剤や光安定剤のブリードアウトを抑制するように作用するため、硬化物中にこれらが長期にわたって保持されるためである。
【0050】
上記紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系等の公知の紫外線吸収剤が挙げられ、中でもベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が紫外線吸収性能が高いので好ましい。上記紫外線吸収剤を配合する場合には、上記ベース樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部、より好ましくは、0.5〜10重量部配合されているのが好ましい。0.1重量部よりも少ないと耐候性の向上効果が不十分であることがあり、20重量部を越えると、呈色によりシーリング材としての外観を損なう等の問題を生じる。
【0051】
上記光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系光安定剤が用いられる。ヒンダードアミン系光安定剤は、一般に紫外線吸収剤と併用すると優れた効果を発揮する。上記ヒンダードアミン系光安定剤(以下、光安定剤)の中でも、下記一般式(A)で示される構造を有する基を分子中に有するものが、層状珪酸塩と併用すると特に著しい効果がある。このようヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート、ポリ[{6−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)イミノ}]等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、2種以上併用されてもよい。
【0052】
層状珪酸塩との併用による耐候性効果は、光安定剤のブリードアウト防止効果が主であると考えられる。すなわち層状珪酸塩が組成物中で光安定剤と相互作用し、光安定剤が系から散逸するのを防いでいる為であると考えられる。また、相互作用の中でも層状珪酸塩がブリードアウトを阻害する板のように作用することにより、光安定剤のブリードアウトが抑制されると考えられる。光安定剤の中でも下記一般式(A)で示される構造を有する基を分子中に有するものが特にその効果が著しいのは、N原子に結合したH原子が関与しているものと推察される。
【0053】
【化1】
【0054】
上記光安定剤を配合する場合には、上記ベース樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部、より好ましくは0.5〜10重量部配合されているのが好ましい。0.1重量部よりも少ないと、耐候性の向上効果が不十分であることがあり、20重量部を越えると着色の問題が生じ、シーリング材としての外観を損なうことがある。
【0055】
(ポリエーテル系重合体(c))
本発明に係る硬化性組成物では、主鎖が本質的にポリエーテル系重合体からなり、架橋可能な加水分解性のシリル基を有するポリエーテル系重合体(c)が配合されてもよい。ポリエーテル系重合体(c)としては、主鎖が本質的にポリエーテル重合体からなるもの、主鎖がポリエーテルと(メタ)アクリル酸エステルとからなる重合体等が挙げられる。このポリエーテル系重合体(c)を配合することにより、硬化物の耐水性を高めたり、シーリング材を構成した場合のゴム弾性を高めることができる。上記(メタ)アクリル酸エステル系重合体と、上記ポリエーテル系重合体(c)と併用する場合、その配合割合は、(メタ)アクリル酸エステル系重合体100重量部に対し、ポリエーテル系重合体(c)を0.1〜100重量部の割合で添加することが好ましく、より好ましくは0.5〜100重量部である。
【0056】
ポリエーテル系重合体(c)の配合割合が0.1重量部未満では、接着性改善効果が小さくなることがあり、200重量部を越えると、耐候性が低くなることがあり、かつ接着性向上効果がそれほど高くならないことがある。
【0057】
上記ポリエーテル系重合体(c)とは、主鎖が本質的に、一般式〔−(R−O)n−、式中のRは炭素数1〜4であるアルキレン基を示す。〕で表される化学的に結合された繰り返し単位を含み、かつ末端に架橋可能な加水分解性シリル基を含有する重合体をさす。
【0058】
上記重合体(c)は、例えば、末端にアリル基を有するポリアルキレンオキサイドをVIII族遷移金属の存在化で下記化学式(1)により表されるヒドロシラン化合物を反応させることによって合成される。
【0059】
【化2】
【0060】
(式中R1は1価の炭化水素基及びハロゲン化された1価の炭化水素基から選択される基、aは0、1または2の整数、Xはハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基及びケトキシメート基より選択される原子または基を意味する。)
上記重合体の主鎖であるポリアルキレンオキサイドとしては、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド等が挙げられるが、室温硬化性組成物の硬化物が耐水性に優れ、かつシーリング材としての弾性を確保できるという点でポリプロピレンオキサイドが好ましい。
【0061】
上記架橋可能な加水分解性シリル基としては、反応後有害な副生成物を生成しない物が好ましく、例えば、メトキシシリル基、エトキシシリル基等のアルコキシシリル基が挙げられる。
【0062】
上記ポリエーテル系重合体(c)の数平均分子量が小さくなると、硬化物の伸びが十分でなくなり、目地面に対する追従性が低下し、大きくなると硬化前の粘度が高くなり、配合工程の作業性が悪くなる。従って、好ましくは、数平均分子量は、4000〜30000であり、さらに好ましくは10000〜30000であり、かつ分子量分布は1.6以下が望ましい。
【0063】
上記ポリエーテル系重合体(c)としては、例えば、商品名「MSポリマー」(鐘淵化学工業社製)として、MSポリマーS−203、S−303など、商品名「サイリルポリマー」(鐘淵化学工業社製)として、サイリルSAT−200、SAT−350、SAT−400や、商品名「エクセスター」(旭硝子社製)として、エクセスターESS−3620、ESS−3430、ESS−2420、ESS−2410などが市販されている。
【0064】
(他の成分)
本発明に係る硬化性組成物では、さらに、本発明の目的及び効果を阻害しない限り、硬化触媒、硬化助触媒、粘度調整剤、チキソトロープ剤、物性調整剤、増量剤、補強剤、可塑剤、着色剤、難燃剤、タレ防止剤、酸化防止剤、老化防止剤、溶剤、香料、顔料、染料、脱水剤などを添加してもよい。
【0065】
硬化触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫フタレート、ビス(ジブチル錫ラウリン酸)オキサイド、ジブチル錫ビスアセチルアセトナート、ジブチル錫ビス(モノエステルマレート)、オクチル酸錫、ジブチル錫オクトエート、ジオクチル錫オキサイド等の錫化合物;テトラ−n−ブトキシチタネート、テトライソプロポキシチタネート等のチタネート系化合物;ジブチルアミン−2−エチルヘキソエート等のアミン塩;及び、その他の酸性触媒や塩基性触媒が挙げられる。また、硬化速度を調整するために、硬化速度の比較的速い2価の有機カルボン酸錫を用いてもよく、これらとしては、ステアリン酸錫、スタナスオクトエート、ジオクチル系の錫化合物が挙げられる。
【0066】
粘度調整剤としては、例えば、アルコキシシリル基を有する実質(メタ)アクリル酸エステルをモノマーとする繰り返し単位から成る重合体との相溶性の良い高分子化合物から選ばれ、配合される化合物から適宜選択される。例えば、アクリル系高分子、メタクリル系高分子、ポリビニルアルコール誘導体、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン誘導体、ポリエステル類、ポリエーテル類、ポリイソブテン、ポリオレフィン類、ポリアルキレンオキシド類、ポリウレタン類、ポリアミド類、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、NBR、SBS、SIS、SEBS、水添NBR、水添SBS、水添SIS、水添SEBSなどを挙げることができる。また、これら共重合体、官能基変成体を挙げることができし、これらを適宜組み合わせてもよい。
【0067】
チキソトロープ剤としては、組成物がチキソトロピー性を発現するような物質から適宜選ばれる。例えば、コロイダルシリカ、ポリビニルピロリドン、疎水化炭酸カルシウム、ガラスバルーン、ガラスビーズ等を挙げることができる。チキソトロープ剤の選択については、アルコキシシリル基を有する実質(メタ)アクリル酸エステルをモノマーとする繰り返し単位から成る重合体との親和性の高い表面を有することが望ましい。
【0068】
引っ張り特性等を改善する物性調整剤としては、各種シランカップリング剤として、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N′−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N′−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N′−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ヘキサエチレンジアミン、N,N′−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ヘキサエチレンジアミンなどを挙げられ、これらは単独または2種以上併用してもかまわない。
【0069】
増量剤としては、本発明に係る組成物中に添加してチキソトロープ性を発現しないものが好適に利用でき、例えば、タルク、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水珪素、含水珪素、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、カーボンブラックなどを挙げられ、これらは単独または2種以上併用してもかまわない。
【0070】
可塑剤としては、例えば、リン酸トリブチル、リン酸トリクレジルなどのリン酸エステル類、フタル酸ジオクチルなどのフタル酸エステル類、グリセリンモノオレイル酸エステルなどの脂肪酸−塩基酸エステル類、アジピン酸ジオクチルなどの脂肪酸二塩基酸エステル類、ポリプロピレングリコール類などを挙げられ、これらは単独または2種以上併用してもかまわない。
【0071】
本発明に係る硬化性組成物は、雰囲気中の湿気と反応して硬化し、ゴム弾性を有する硬化物を与える。
本発明に係る硬化性組成物では、上記加水分解性シリル基含有重合体において、残留(メタ)アクリル酸エステル濃度が低いため、不快なモノマー臭気が生じ難く、従って作業環境性を高めることができる。
【0072】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施例を説明することにより、本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0073】
(参考例1、(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)の調製)
撹拌機、冷却器、温度計及び窒素ガス導入口を備えた2Lのセパラブルフラスコに、n−ブチルアクリレート100g、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製、品番:KBM−503)0.5g、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製、品番:KBM−803)0.2g、ラウリルメルカプタン(和光純薬社製)0.1g、及び酢酸エチル100gを投入して、混合した。モノマー混合溶液を窒素ガスを用いて20分間バブリングすることによって溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ系内を窒素ガスで置換し、撹拌しながら環流に達するまでに昇温した。
【0074】
環流した後、重合開始剤として1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.024gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液を、重合系に投入した。1時間後、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.036gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液を投入した。さらに、重合開始後、2、3及び4時間後に、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド0.048g,0.12g,及び0.36gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液をそれぞれ投入した。一回目の重合開始剤投入から7時間後、室温まで冷却し重合を終了させた。数平均分子量約5万(ゲルパーミエションクロマトグラフィーによる、分子量はポリスチレン換算)の(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)の酢酸エチル溶液を得た。なお、酢酸エチルをロータリーエバポレーターにより除去した後の粘度を、B型回転粘度計(東京計器社製)を用いて測定したところ、約30万cps(25℃)であった。
【0075】
(実施例1)
参考例1で得られたアルコキシシリル基含有(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)の酢酸エチル溶液100gと、ポリプロピレングリコール(和光純薬社製、平均分子量3000)50gとを混合した後、ロータリーエバポレーターを用いて酢酸エチルを除いて、粘調な液状の硬化性組成物を得た(約3万cps、25℃)。このときのブチルアクリレートの残留モノマー量を後述の方法で測定したところ、0.8重量%であった。得られた液状の硬化性組成物にα,ω−ジアミノプロピレングリコール(Texaco Chemical社製、JEFFAMINE D−230)を10gを加えて、室温で6時間放置した後、ブチルアクリレートの残留モノマー量を再度測定したところ、0.1重量%であった。6時間放置された硬化性組成物に、さらに、脂肪酸表面処理炭酸カルシウム20g、重質炭酸カルシウム50g、及び硬化促進剤(ジブチル錫ジラウリレート)3gを加え、密封した攪拌機で均一になるまで混合し、その後、10分間減圧脱泡して白状のペーストの室温硬化性組成物を得た。残留モノマーによる臭気は感じられなかった。
【0076】
得られた硬化性組成物をポリエチレン板上に膜厚が2.5mmとなるように塗工し、しかる後20℃及び相対湿度50%の環境下で7日間養生し、ゴム状のシート皮膜を得た。このシート皮膜のゴム物性を、下記の要領で評価したところ、破断伸びは550%、破断応力は0.21N/mm2であった。
【0077】
(残留モノマーの測定)
島津製作所製、ガスクロマトグラフィー(GC14A)を用い、予め濃度が分かっているモノマー希釈溶液により検量線を作製した後、未知濃度のサンプルをアセトンで定量的に希釈し、その希釈溶液をガスクロマトグラフィーを用いて測定し、残留モノマー量を上記検量線に基づいて定量した。
【0078】
(ゴム物性の評価)
20℃及び相対湿度50%の雰囲気下で7日間養生された上記ゴム状のシート皮膜をJIS K6301に準じ、3号ダンベル形状でクロスヘッド速度500mm/分で引っ張り試験を行い、破断伸び(%)と破断応力(N/mm2)を求めた。
【0079】
(実施例2)
参考例1で得られた、(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)の酢酸エチル溶液100gとポリプロピレングリコール(和光純薬社製、平均分子量3000)50gとを混合した後、ロータリーエバポレーターを用いて酢酸エチルを除いて、粘調な液状の硬化性組成物を得た(粘度は約3万cps、25℃)。このときのブチルアクリレートの残留モノマー量を実施例1と同様にして測定したところ、0.8重量%であった。得られた液状の硬化性組成物にn−オクチルアミン(和光純薬社製)5gを加えて、室温で6時間放置した後、再度ブチルアクリレートの残留モノマー量を測定したところ、0.01重量%であった。6時間放置された硬化性組成物に、脂肪酸表面処理炭酸カルシウム20g、重質炭酸カルシウム50g、及び硬化促進剤(ジブチル錫ジラウリレート)3gを加え、密封した攪拌機で均一になるまで混合し、その後、10分間減圧脱泡して白状のペーストの室温硬化性組成物を得た。残留モノマーによる臭気は感じられなかった。
【0080】
得られた硬化性組成物を、ポリエチレン板上に、膜厚が2.5mmとなるように塗工し、しかる後、20℃及び相対湿度50%の環境下で7日間養生し、ゴム状のシート皮膜を得た。このシート皮膜のゴム物性を、実施例1と同様にして評価したところ、破断伸びは550%、破断応力は0.21N/mm2であった。
【0081】
(比較例1)
参考例1で得られた(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)100gと、ポリプロピレングリコール(和光純薬社製、平均分子量3000)50gとを混合した後、ロータリーエバポレーターを用いて酢酸エチルを除去し、粘調な液状の硬化性組成物を得た。この粘調な液状の硬化性組成物の25℃における粘度は、約3万cpsであった。上記硬化性組成物のブチルアクリレート残留モノマー量は0.8重量%であった。
【0082】
さらに、上記粘調な硬化性組成物に、脂肪酸表面処理炭酸カルシウム20g、重質炭酸カルシウム50g、及び硬化促進剤(ジブチル錫ジラウリレート)3gを加え、密封した攪拌機で均一になるまで混合し、その後、10分間減圧脱泡して白状のペーストの室温硬化性組成物を得た。残留モノマーによる臭気が感じられた。
【0083】
得られた硬化性組成物をポリエチレン板状に、膜厚が2.5mmとなる様に塗工し、その後、20℃及び相対湿度50%の環境下で7日間養生して、ゴム状のシート皮膜を得た。シート皮膜のゴム物性を実施例1と同様にして評価したところ、破断伸びは530%、破断応力は0.20N/mm2であった。
【0084】
(実施例3)
硬化性組成物調製の際に、層状珪酸塩ソマシフMPE−100(ポリオキシプロピレンジエチル4級アンモニウム塩で有機処理した膨潤性フッ素雲母、コープケミカル社製)10g、チヌビン770(ヒンダードアミン系光安定剤、チバスペシャリティーケミカルズ社製)5g、チヌビン327(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、チバスペシャリティーケミカルズ社製)5gを加えたこと以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物を得た。
【0085】
〔層状珪酸塩の平均層間距離の測定〕
実施例3で得られた硬化性組成物における層状珪酸塩の平均層間距離を以下のようにして測定した。
【0086】
X線回折測定装置(リガク社製、RINT1100)により、層状珪酸塩の積層面の回折により得られる回折ピークの2θを測定し、下記のブラックの回折式を用いて層状珪酸塩の(001)面間隔を算出した。以下のdを平均層間距離とし、平均層間距離が3nm以上と良好に分散していた。
【0087】
λ=2dsinθ
なお、式中において、λ(nm)=0.154、d(nm)二層状珪酸塩の面間隔、θ(度)は回折角である。
【0088】
〔層状珪酸塩の分散状態の確認〕
透過型電子顕微鏡(TEM、日本電子社製「JEM−1200EX II」)写真により、硬化物中の層状珪酸塩の分散状態を観察して、5層以下で存在していた。
【0089】
耐候性評価
〔評価〕
上記実施例1及び3で得られた硬化性組成物の下記方法で耐候性を評価した。各配合組成物を50mm×150mm(厚み1mm)のステンレス板に0.5mm厚みで塗布し、20℃×60%RHの雰囲気下で7日間(168時間)放置して養生硬化させた後、下記条件で150時間及び400時間光照射を行い、表面状態を目視で確認し、クラックの無いものを○と判定した。
【0090】
・光照射条件
試験装置:アイスーパーUVテスター(SUV−F11型)、岩崎電気(株)製
照射強度:100mW/cm2
限定波長:295nm〜450nm
ブラックパネル温度:63℃
照射距離:235mm(光源と試料間)
なお、アイスーパーUVテスターによる光照射評価は、材料系や試験条件によっても変動するので一概には言えないが、通常サンシャインウエザオメーターによる評価よりも、10倍程度の過酷な促進効果があるとされている。結果を下記の表1に示す。
【0091】
【表1】
【0092】
【発明の効果】
本発明に係る硬化性組成物は、加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)と、1級または2級アミノ基を有する化合物(b)とを有し、化合物(b)により残留モノマーが低減されるため、モノマー臭が著しく低減されており、かつ作業環境性に優れた硬化性組成物を提供することができる。また、本発明に係る硬化性組成物は、雰囲気中の湿気により速やかに硬化し、弾力性を有する硬化物を与える。従って、本発明により、様々な接着剤やシーリング材などに好適に用いられ、しかも作業環境性に優れた硬化性組成物を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】層状珪酸塩の薄片状結晶の結晶表面(A)及び結晶端面(B)を説明するための模式図。
【図2】層状珪酸塩の層間の交換性陽イオンを説明するための模式図。
Claims (9)
- 架橋可能な加水分解性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体であって、ラジカル重合により得られた(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)と、
1級または2級アミノ基を有する化合物(b)とを含むことを特徴とする硬化性組成物。 - 前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)は、有機過酸化物を重合開始剤として用いてラジカル重合により得られた(メタ)アクリル酸エステル系重合体である請求項1に記載の硬化性組成物。
- 組成物中の残留(メタ)アクリル酸エステルモノマー濃度が0.5重量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の硬化性組成物。
- 前記1級または2級アミノ基を有する化合物(b)の沸点が1気圧で50℃以上、200℃以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性組成物。
- 前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体(a)100重量部に対し、前記1級または2級アミノ基を有する化合物(b)が0.1〜20重量部の割合で配合されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性組成物。
- 加水分解性シリル基を有するポリエーテル系重合体(c)をさらに含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の硬化性組成物。
- 層状珪酸塩をさらに含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性組成物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の硬化性組成物からなることを特徴とするシーリング材。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の硬化性組成物からなることを特徴とする接着剤。
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JP2003086426A JP2004292606A (ja) | 2003-03-26 | 2003-03-26 | 硬化性組成物、シーリング材及び接着剤 |
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CN113508154A (zh) * | 2019-03-01 | 2021-10-15 | 住友精化株式会社 | 粘性组合物 |
-
2003
- 2003-03-26 JP JP2003086426A patent/JP2004292606A/ja not_active Withdrawn
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