JP2004292613A - 硬化性組成物の製造方法、硬化性組成物、シーリング材及び接着剤 - Google Patents

硬化性組成物の製造方法、硬化性組成物、シーリング材及び接着剤 Download PDF

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JP2004292613A
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Koji Fukui
弘司 福井
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Abstract

【課題】架橋可能な加水分解性シリル基含有ビニル系重合体を用いて構成されており、塗布作業性などを改善し得る硬化性組成物を比較的小さなスペースで効率良く生産することを可能とする方法を提供する。
【解決手段】架橋可能な加水分解性シリル基を含有するビニル系重合体(a)と、ビニル系重合体(a)とは数平均分子量が異なるビニル系重合体(b)とからなる硬化性組成物の製造方法であって、重合体(a),(b)のうち一方の重合体を得るためのモノマー組成物を重合し、残留モノマーが10重量%以下となった時点以降に、他方の重合体を得るためのモノマー組成物を同じ反応器に投入し、しかる後該他方のモノマー組成物を重合する、硬化性組成物の製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、湿気により硬化する硬化性組成物の製造方法に関し、より詳細には、架橋可能な加水分解性シリル基を含有するビニル系重合体を用いた硬化性組成物の製造方法、該硬化性組成物、並びに該硬化性組成物からなるシーリング材及び接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、アルコキシシリル基を有するビニル重合体は、雰囲気中の湿気により架橋し、耐久性、耐候性、透明性及び接着性に優れた硬化物を与えることが知られている(例えば、下記の特許文献1、特許文献2、特許文献3)。そのため、上記ビニル重合体を有する硬化性組成物は、塗料、コーティング剤、接着剤、感圧接着剤、シーラント及びシーリング材などの用途に広く用いられている。
【0003】
他方、硬化物の物性を確保するために、分子量の大きなアルコキシシリル基を有するビニル系重合体を用いる場合には、組成物を液状とするために、希釈剤または粘度を低減させる化合物を添加すればよいと考えられる。例えば、下記の特許文献4では、アルコキシシリル基含有有機重合体、硬化触媒及び溶剤からなる組成物が開示されており、溶剤の添加により作業性が高められるとされている。また、下記の特許文献5には、液状のアルコールを希釈剤として添加することにより貯蔵安定性が高められた硬化性組成物が開示されている。さらに、下記の特許文献6では、粘度を低減させるために、プロピレングリコールなどの高分子可塑剤を添加する方法が開示されている。
【0004】
しかしながら、特許文献4〜6に記載の各種方法を用いた場合、組成物の粘度を低減し、作業性を高めることはできるものの、アルコールなどの溶剤を用いた場合、揮発性溶剤による作業環境の悪化や、人体に有害な影響を与えるおそれがあるという問題があった。また、プロピレングリコールのような高分子可塑剤を用いた場合には、硬化物から高分子可塑剤がブリードアウトし、表面が汚れたり、本来の性能を発現できないことがあった。
【0005】
【特許文献1】
特開昭57−179210号公報
【特許文献2】
特開平4−202585号公報
【特許文献3】
特開平11−43512号公報
【特許文献4】
特開昭57−172949号公報
【特許文献5】
特開昭55−116753号公報
【特許文献6】
特開昭55−31874号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
他方、分子量が低い、液状の(メタ)アクリル酸エステル系重合体を粘度調整剤として用いれば、上記アルコキシシリル基含有ビニル系重合体を用いた硬化性組成物が硬化した後も、液状成分をブリードアウトし難くし得ると考えられる。しかしながら、液状の(メタ)アクリル酸エステル系重合体と、アルコキシシリル基含有ビニル系重合体とを、得るのに同じ反応器を用いた場合には、一方の重合体を得た後に、重合体溶液を抜き出し、他方の重合体を得るためのモノマー組成物を投入し、重合した後、前述した最初に抜き出された重合体溶液を再度投入しなければならなかった。すなわち、目的とする硬化性組成物を得るまでに、作業が煩雑であり、かつ長時間を要するという問題がある。
【0007】
他方、アルコキシシリル基含有ビニル系重合体と、上記液状の(メタ)アクリル酸エステル系重合体を別々の反応器で製造する方法を用いれば、目的とする硬化性組成物を得るまでの時間を短縮することができる。しかしながら、広い作業スペースを必要とすることとなる。
【0008】
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、少なくとも架橋可能な加水分解性シリル基を含有するビニル系重合体と、該ビニル系重合体とは異なるビニル系重合体とを含み、塗布や充填等の作業性に優れた硬化性組成物の製造方法であって、広い作業スペースを必要とすることなく比較的短時間で該硬化性組成物を得ることを可能とする硬化性組成物の製造方法、並びに該硬化性組成物、硬化性組成物を用いて構成されたシーリング材及び接着剤を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも架橋可能な加水分解性シリル基を含有するビニル系重合体(a)と、ビニル系重合体(a)とは数平均分子量が異なるビニル系重合体(b)とからなる硬化性組成物の製造方法であって、前記ビニル系重合体(a)またはビニル系重合体(b)の一方の重合体を得るためのモノマー組成物を重合し、残留モノマーが10重量%以下になった時点以降において、他方の重合体を得るためのモノマー組成物を反応器に投入し、他方のモノマー組成物を重合することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る製造方法のある特定の局面では、前記ビニル系重合体(b)の数平均分子量が、ビニル系重合体(a)の数平均分子量が小さい。
本発明に係る製造方法の他の特定の局面では、ビニル系重合体(b)が、架橋可能な加水分解性シリル基、水酸基、アミノ基、酸アミド基、カルボキシル基、ニトリル基、イソシアネート基、エポキシ基、フルオロアルキル基、ウレタン結合、尿素結合、イミド結合及びシロキサン結合から選択された少なくとも1種のセグメントを有する重合体である。
【0011】
本発明に係る製造方法のさらに他の特定の局面では、上記ビニル系重合体(a)及び(b)の双方が(メタ)アクリル酸エステル系重合体により構成される。
本発明に係る製造方法のさらに別の特定の局面では、上記重合が、有機過酸化物を開始剤として用いたラジカル重合により行われる。
【0012】
本発明に係る硬化性組成物は、本発明の製造方法に従って得られた硬化性組成物である。
本発明に係る硬化性組成物のある特定の局面では、架橋可能な加水分解性シリル基を有するポリエーテル系重合体(c)がさらに配合されている。
【0013】
本発明に係る硬化性組成物の他の特定の局面では、層状珪酸塩がさらに配合されている。
本発明に係るシーリング材及び接着剤は、それぞれ、本発明に係る硬化性組成物からなることを特徴とする。
【0014】
(ビニル系重合体(a))
本発明で用いられる少なくとも架橋可能な加水分解性シリル基を有するビニル系重合体(a)は、特に制限されるものではない。上記加水分解性シリル基は、珪素原子に1〜3個のシリル基が結合した官能基であり、シリル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基等を挙げることができる。アルコキシ基の結合したアルコキシシリル基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、トリフェノキシシリル基等のトリアルコキシシリル基;ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基等のジメトキシシリル基;メトキシジメトキシシリル基、エトキシジメチルシリル基等の単官能の加水分解性シリル基を挙げることができる。これらを複数個組み合わせて用いてもよし、異なる加水分解性シリル基を複数個組み合わせて用いてもよい。
【0015】
上記ビニル系重合体(a)を構成しているビニル重合体部分としては、ビニルモノマーを重合して得られる重合体であれば良く、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルエーテル等を挙げることができる。また、これらビニル重合体部分を有する共重合体であっても良い。好適には、凝集力や接着性とのバランスの良い数平均分子量10000以上のポリ(メタ)アクリレートやその共重合体が良い。ここで、(メタ)アクリルとはメタクリルとアクリルをまとめて示した表現である。
【0016】
ポリ(メタ)アクリレートやその共重合体を得るためのモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2ーブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシー3ーメチルブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシー3ーフェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチル2−ヒドロキシエチルフタル酸、2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチル2−ヒドロキシプロピルフタル酸、
Figure 2004292613
Figure 2004292613
Figure 2004292613
等を挙げることができる。
【0017】
その他のビニルモノマーとして、例えば、スチレン、インデン、αーメチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン誘導体;例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、安息香酸ビニル、珪皮酸ビニル等のビニルエステル基を持つ化合物;無水マレイン酸、N−ビニルピロリドン、N−ビニルモルフォリン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、tert−アミルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、トリチレングリコールメチルビニルエーテル、安息香酸(4−ビニロキシ)ブチル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ブタン−1,4−ジオール−ジビニルエーテル、ヘキサン−1,6−ジオール−ジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−ジビニルエーテル、イソフタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、グルタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、コハク酸ジ(4−ビニロキシ)ブチルトリメチロールプロパントリビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−モノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル3−アミノプロピルビニルエーテル、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルビニルエーテル、ウレタンビニルエーテル、ポリエステルビニルエーテル等のビニロキシ基を持つ化合物を挙げることができる。
【0018】
ビニル重合体の製法は、公知の方法を用いることができる。例えば、ラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法、UVラジカル重合法、リビングアニオン重合法、リビングカチオン重合法、リビングラジカル重合法等を用いることができ、かつモノマーの重合性反応に応じて適宜重合法を選択すればよい。
【0019】
また、架橋可能な加水分解性シリル基の導入法としては、架橋可能な加水分解性シリル基を持つ開始剤による重合を開始する方法、架橋可能な加水分解性シリル基を持つ連鎖移動剤を用いる方法、架橋可能な加水分解性シリル基を持つ共重合性モノマーを用いる方法による重合と同時にシリル基を導入する方法(例えば、特開昭54−123192号公報、特開昭57−179210号公報、特開昭59−78220号公報、特開昭60−23405号公報)や、アルケニル基の持ったビニル重合体を合成し、その後、ヒドロシリル化によってアルコキシシリル基を導入する方法(例えば、特開昭54−40893号公報、特開平11−80571号公報)がある。本発明を構成するビニル系重合体(a)の製造方法は、ビニル系重合体(a)が得られる限り何等問題なく、上述の様な公知の製造技術を用いることができる。
【0020】
架橋可能な加水分解性シリル基を導入する為の、連鎖移動剤や共重合性モノマーとしては、例えば、メルカプトメチルトリメチルシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、等の連鎖移動性の高い官能基を有するアルコキシシラン;N−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−アリルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロペニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビンルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルジメチルイソペンテニルオキシシラン、ビニルジメチル−2−((2−エトキシエトキシ)エトキシ)シラン、ビニルトリス(1−メチルビニルオキシ)シラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、フェニルビニルジエトキシシラン、ジフェニルビニルエトキシシラン、6−トリエトキシシリル−2−ノルボルネン、オクタ−7−エニルトリメトキシシラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、等の重合性不飽和基を有するアルコキシシラン等を挙げることができる。
【0021】
上記加水分解性シリル基を導入するための連鎖移動剤や共重合性モノマーの配合量は、ビニル系の重合性モノマー100重量部に対し、0.01〜20重量部であることが好ましく、さらに好ましくは、0.1〜5重量部である。
【0022】
本発明においては、硬化物の黄変が生じ難いため、上記ビニル系重合体(a)としては、過酸化物を重合開始剤として用いたラジカル重合法により得られたものが好ましく用いられる。重合開始剤として用いられる過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、イソノナノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシドなどのジアシルパーオキサイド類;ジイソプロピルパージカーボネート、ジ−sec−ブチルパージカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパージカーボネート、ジ−1−メチルヘプチルパージカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパージカーボネート、ジシクロヘキシルパージカーボネートなどのパーオキシジカーボネート類;tert−ブチルパーベンゾエート、tert−ブチルパーアセテート、tert−ブチルパー−2−エチルへキサノエート、tert−ブチルパーイソブチレート、tert−ブチルパーピバレート、tert−ブチルジパーアジペート、キュミルパーネオデカノエートなどのパーオキシエステル類;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類;ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジキュミルパーオキサイド、tert−ブチルキュミルパーオキサイド、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどのジアルキルパーオキサイド類;キュメンヒドロキシパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド類;などが挙げられる。
【0023】
上記過酸化物は1種のみが用いられてもよく、複数種併用されてよい。さらに、過酸化物は、一度に添加されてもよく、複数回に渡って逐次添加されてもよい。
【0024】
(ビニル系重合体(b))
本発明の硬化性組成物の製造方法では、上記ビニル系重合体(a)に加えて、ビニル系重合体(a)とは数平均分子量が異なるビニル系重合体(b)が重合される。
【0025】
ビニル系重合体(b)としては、好ましくは、数平均分子量が、ビニル系重合体(a)よりも小さいビニル系重合体が生成し、それによって、硬化性組成物の粘度を低減し、硬化性組成物の塗布作業性を改善したりすることができる。このようなビニル系重合体(b)の数平均分子量範囲としては、50000〜2000が好ましく、より好ましくは、30000〜3000が挙げられる。なお、ビニル系重合体(a)の数平均分子量は、硬化性組成物の目的とする用途に応じて適宜選ばれるが、通常、100000〜6000の範囲が好ましく、50000〜7000の範囲とすることがより望ましい。
【0026】
ビニル系重合体(b)の数平均分子量が2000未満では、硬化後の凝集力が著しく低くなることがあり、50000を越えると、硬化性組成物の塗布作業性などを改善する効果が十分に得られないことがある。
【0027】
上記ビニル系重合体(b)は、架橋可能な加水分解性シリル基を有していてもよく、有しておらずともよい。
ビニル系重合体(b)は、好ましくは、架橋可能な加水分解性シリル基、水酸基、アミノ基、酸アミド基、カルボキシル基、ニトリル基、イソシアネート基、エポキシ基、フルオロアルキル基、ウレタン結合、尿素結合、イミド結合及びシロキサン結合から選択された少なくとも1種のセグメントを有する重合体である。なお、セグメントは、上記のように官能基と結合を含む総称として用いることとする。
【0028】
また、ビニル系重合体(b)は、ビニル系重合体(a)と同様の方法で得ることができる。従って、ビニル系重合体(b)の製造方法等については、ビニル系重合体(a)の説明を援用することとする。
【0029】
もっとも、ビニル系重合体(b)は、上記のように数平均分子量がビニル系重合体(a)と異なるものであるため、ビニル系重合体(b)を得るためのモノマー組成物では、ビニル系重合体(a)を得るためのモノマー組成物に対して、連鎖移動剤の量を変更する方法、上記セグメントをビニル系重合体(b)に導入しない場合には、ビニル系重合体(a)を得るためのモノマーのうち上記セグメントを有しないモノマーのみを用いる方法、上記セグメントを導入する場合には、導入したいセグメントを有する共重合性モノマーを添加する方法などが適宜採用される。
【0030】
上記導入されるセグメントが水酸基の場合には、ビニル系重合体(a)を得るのに用いられているモノマーとして例示されているモノマーであって、かつ水酸基を含有するモノマーをモノマー組成に添加すればよい。
【0031】
また、導入すべきセグメントがアミノ基の場合には、N−ビニルモルフォリン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の単量体をモノマー組成物に配合すればよい。
【0032】
導入すべきセグメントが酸アミド基の場合には、(メタ)アクリルアミドウレタン結合、各種ウレタン(メタ)アクリルオリゴマー尿素結合、イソシアン酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチルと2級アミンの反応物をモノマー組成物に配合すればよい。
【0033】
導入すべきセグメントがイミド結合の場合には、N−(2−(メタ)アクリロイルオキシ)エチルマレイミド、N−(2−(メタ)アクリロイルオキシ)エチルフタルイミドをモノマー組成物に添加すればよい。
【0034】
導入すべきセグメントがカルボキシル基の場合には、(メタ)アクリル酸などを、ニトリル基の場合には、(メタ)アクリロニトリルなどを、イソシアネート基の場合には、イソシアン酸2−(メタ)アクリロイルオキシエチルなどを、エポキシ基の場合には、グリシジル(メタ)アクリレートなどをモノマー組成物にそれぞれ添加すればよい。
【0035】
さらに、導入すべきセグメントがフルオロアルキル基の場合には、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3,3ペンタフルオロプロピルメタクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチルメタクリレート、3−(パーフルオロブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート、2−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート、2−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチルメタクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチルメタクリレート、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチルメタクリレート、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、1H,1H,3H−テトラフルオロプロピルメタクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルメタクリレート、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニルメタクリレート、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチルメタクリレート、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート、パーフルオロオクチルエチルアクリレートをモノマー組成物に添加すればよい。
【0036】
さらに、導入すべきセグメントがシロキサン結合の場合には、α,ω−ジビニルジメチルシロキサン(チッソ社製、サイラプレーンFM2231,FM2241,FM2242;信越化学社製、X−22−164B,X−22−164C)、α,ω−ジビニルジメチルジフェニルシロキサン(チッソ社製、サイラプレーンFP2231,FP2241,FP2242;東芝シリコーン、TSL9646,TSL9686)、α−(3−メタクリロイルオキシ)プロピルポリジメチルシロキサン(チッソ社製、サイラプレーンFM0711,FM0721,FM0725;信越化学社製、X−22−174D;トーレ・シリコーン社製BX16−192)、3−メタクリロイルオキシプロピルトリス(トリメチルシリルオキシ)シラン(信越化学社製、X−22−5002)、3−メタクリロイルオキシプロピルペンタメチルジシロキサン(東芝シリコーン社製、TSL9705)、ビス(3−メタクリロイルオキシプロピル)テトラメチルジシロキサン(東芝シリコーン社製、TSL9706)などをモノマー組成物に添加すればよい。
【0037】
(重合方法)
本発明に係る硬化性組成物の製造方法では、上記ビニル系重合体(a)またはビニル系重合体(b)の一方の重合体を得るためのモノマー組成物を重合し、残留モノマーが10重量%以下となった時点以降に、他方の重合体を得るためのモノマー組成物が反応器中に投入される。残留モノマーが10重量%以下となった時点については、予め試験を行ない、重合過程において重合体溶液を抜き出し、添加率を求めることにより、10重量%以下となる時点を把握することができ、以降この条件に従って他方の重合体を反応器に投入すればよい。
【0038】
重合方法については、上述したように、様々な重合方法を用いることができるが、好ましくは、有機過酸化物を重合開始剤として用いたラジカル重合が用いられる。有機過酸化物を重合開始剤として用いることにより、硬化性組成物の黄変を抑制することができ、硬化物の外観性を高めることができる。
【0039】
(ビニル系重合体(a)とビニル系重合体(b)との配合割合)
本発明に係る硬化性組成物は、上記製造方法に従って得られるが、ビニル系重合体(b)の配合割合は、ビニル系重合体(a)100重量部に対し、300〜10重量部、より好ましくは200〜50重量部の範囲とすることが望ましい。10重量部未満では、塗布作業性などを向上させる効果が十分に得られないことがあり、300重量部を越えると、接着強度及び耐久性に優れた硬化物が得られないことがある。
【0040】
(ポリエーテル系重合体(c))
本発明に係る硬化性組成物では、好ましくは、架橋可能な加水分解性シリル基を有するポリエーテル系重合体(c)がさらに配合される。
【0041】
ポリエーテル系重合体(c)としては、主鎖が本質的にポリエーテル重合体からなるもの、主鎖がポリエーテルと(メタ)アクリル酸エステルとからなる重合体等が挙げられる。この有機重合体を配合することにより、硬化物の耐水性を高めたり、シーリング材を構成した場合のゴム弾性を高めることができる。上記ポリエーテル系重合体(c)の配合割合は、ビニル系重合体(a)100重量部に対し、ポリエーテル系重合体(c)を0.1〜100重量部の割合で添加することが好ましく、より好ましくは0.5〜100重量部である。
【0042】
ポリエーテル系重合体(c)の配合割合が0.1重量部未満では、接着性改善効果が小さくなることがあり、200重量部を越えると、耐候性が低くなることがあり、かつ接着性向上効果がそれほど高くならないことがある。
【0043】
上記ポリエーテル系重合体(c)とは、主鎖が本質的に、一般式〔−(R−O)−、式中のRは炭素数1〜4であるアルキレン基を示す。〕で表される化学的に結合された繰り返し単位を含み、かつ末端に架橋可能な加水分解性シリル基を含有する重合体をさす。
【0044】
上記ポリエーテル系重合体(c)は、例えば、末端にアリル基を有するポリアルキレンオキサイドをVIII族遷移金属の存在化で下記化学式(1)により表されるヒドロシラン化合物を反応させることによって合成される。
【0045】
【化1】
Figure 2004292613
【0046】
(式中Rは1価の炭化水素基及びハロゲン化された1価の炭化水素基から選択される基、aは0、1または2の整数、Xはハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基及びケトキシメート基より選択される原子または基を意味する。)
上記重合体の主鎖であるポリアルキレンオキサイドとしては、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド等が挙げられるが、室温硬化性組成物の硬化物が耐水性に優れ、かつシーリング材としての弾性を確保できるという点でポリプロピレンオキサイドが好ましい。
【0047】
上記架橋可能な加水分解性シリル基としては、反応後有害な副生成物を生成しない物が好ましく、例えば、メトキシシリル基、エトキシシリル基等のアルコキシシリル基が挙げられる。
【0048】
ポリエーテル系重合体(c)の数平均分子量が小さくなると、硬化物の伸びが十分でなくなり、目地面に対する追従性が低下し、大きくなると硬化前の粘度が高くなり、配合工程の作業性が悪くなる。従って、好ましくは、数平均分子量は、4000〜30000であり、さらに好ましくは10000〜30000であり、かつ分子量分布は1.6以下が望ましい。
【0049】
上記ポリエーテル系重合体(c)としては、例えば、商品名「MSポリマー」(鐘淵化学工業社製)として、MSポリマーS−203、S−303など、商品名「サイリルポリマー」(鐘淵化学工業社製)として、サイリルSAT−200、SAT−350、SAT−400や、商品名「エクセスター」(旭硝子社製)として、エクセスターESS−3620、ESS−3430、ESS−2420、ESS−2410などが市販されている。
【0050】
(層状珪酸塩)
本発明で好ましくは用いられる層状珪酸塩とは、層間に交換性陽イオンを有する珪酸塩鉱物を意味する。本発明で用いられる層状珪酸塩としては特に限定されず、例えば、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイト等のスメクタイト系粘土鉱物、バーミキュライト、ハロイサイト、膨潤性マイカ等が挙げられる。中でも、モンモリロナイト、膨潤性マイカが好ましい。上記層状珪酸塩は天然物または合成物のいずれであってもよく、これらの1種または2種以上を用い得る。
【0051】
上記層状珪酸塩としては、下記式により定義される形状異方性効果が大きいスメクタイト類や膨潤性マイカを用いることが、硬化性組成物の機械強度向上やガスバリヤ性向上の点からより好ましい。なお、層状珪酸塩の結晶表面(A)及び結晶端面(B)を図1に模式的に示す。
【0052】
形状異方性効果=結晶表面(A)の面積/結晶端面(B)の面積
図2に示すように、上記層状珪酸塩の層間に存在する交換性陽イオンとは、結晶表面上のナトリウム、カルシウム等のイオンであり、これらのイオンは、カチオン性物質とイオン交換性を有するので、カチオン性を有する種々の物質を上記層状珪酸塩の層間に捕捉(インターカレート)することができる。
【0053】
上記層状珪酸塩の陽イオン交換容量としては特に限定されないが、50〜200ミリ等量/100gであるのが好ましい。50ミリ等量/100g未満であると、イオン交換により結晶層間に捕捉(インターカレート)できるカチオン性界面活性剤の量が少なくなるので、層間が十分に非極性化されないことがある。一方、200ミリ等量/100gを超えると、層状珪酸塩の層間の結合力が強固となり、層状珪酸塩の各層を構成している結晶薄片間の距離を増大し難くなることがある。
【0054】
上記層状珪酸塩は、ベース樹脂100重量部に対して、0.1〜100重量部配合される。さらに好ましくは、0.5〜50重量部、特に好ましくは、1〜10重量部である。0.1重量部未満では硬化物の耐候性向上や難燃化などの作用が発現され難く、10重量部を越えると、硬化性組成物の粘度が高くなり作業性、生産性が低下することがある。
【0055】
なお、上記ベース樹脂とは、上記ビニル系重合体(a),(b)の合計、または、必要に応じて添加されるポリエーテル系重合体(c)をも含む合計である。
上記層状珪酸塩は、広角X線回折測定法により測定した(001)面の平均層間距離が3nm以上であり、5層以下で存在しているものを含んで分散しているものが好ましい。平均層間距離が3nm以上であり、5層以下で分散していると、硬化性組成物の耐候性、難燃性の性能発現に有利となる。
【0056】
なお、本明細書において、層状珪酸塩の平均層間距離とは、微細薄片状結晶を層とした場合の平均の層間距離であり、X線回折ピーク及び透過型電子顕微鏡撮影により、すなわち、広角X線回折測定法により算出できるものである。3nm以上に層間が開裂し、5層以下で存在しているものを含んで分散している状態は、層状珪酸塩の積層体の一部または全てが分散していることを意味しており、層間の相互作用が弱まっていることによる。
【0057】
さらに、層状珪酸塩の平均層間距離が6nm以上であると、難燃性、機械物性、耐熱性等の機能発現に特に有利である。平均層間距離が6nm以上であると、層状珪酸塩の結晶薄片層が層毎に分離し、層状珪酸塩の相互作用がほとんど無視できるほどに弱まるので、層状珪酸塩を構成する結晶薄片の樹脂中での分散状態が剥離安定化の方向に進行する。すなわち、層状珪酸塩が1枚づつ薄片状に乖離した状態で硬化性組成物中に安定化されて存在することとなる。
【0058】
層状珪酸塩の分散状態としては、ベースとなる樹脂中において層状珪酸塩の薄片状結晶が高度に分散していることが好ましい。より具体的には、層状珪酸塩の10重量%以上が5層以下で存在している状態に分散されていることが好ましく、より好ましくは、層状珪酸塩の20重量%以上が5層以下の状態で存在していることが望ましい。さらに、分散している薄片状結晶の積層数が5層以下であれば、層状珪酸塩の添加による効果が良好に得られるが、3層以下であればより好ましく、単層状に分散していることがさらに望ましい。
【0059】
本発明の層状珪酸塩は、4級アンモニウム塩で処理されてなる層状珪酸塩であることが好ましい。4級アンモニウム塩で処理することにより、層状珪酸塩の上記ベース樹脂中への分散性を向上させることができるからである。また、4級アンモニウム塩は上記ビニル系重合体の架橋反応に対する触媒作用があることが知られており、層状珪酸塩と共に上記ベース樹脂中に分散することにより分散性の向上と共に硬化速度を促進させることも可能となる。
【0060】
上記4級アンモニウム塩としては、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、トリオクチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウム塩、ジ硬化牛脂ジメチルアンモニウム塩、ジステアリルジベンジルアンモニウム塩、N−ポリオキシエチレン−N−ラウリル−N,N−ジメチルアンモニウム塩等が挙げられ、これらの4級アンモニウム塩は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。上記の中でも、良好な分散性が得られることから、炭素数6以上のアルキル鎖またはポリオキシアルキレン鎖を有する4級アルキルアンモニウムイオン塩が好ましい。
【0061】
層状珪酸塩の分散には各種攪拌機を用いることができるが、分散しにくい場合には3本ロール等の高剪断がかかる装置を用いて分散を行うと所望の分散状態を得やすい場合がある。
【0062】
(紫外線吸収剤及び光安定剤)
本発明の硬化性組成物には、耐候性を向上させるために各種紫外線吸収剤や光安定剤を配合することが好ましい。層状珪酸塩との併用により、層状珪酸塩が各種紫外線吸収剤や光安定剤のブリードアウトを抑制するように作用するため、硬化物中にこれらが長期にわたって保持されるためである。
【0063】
上記紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系等の公知の紫外線吸収剤が挙げられ、中でもベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が紫外線吸収性能が高いので好ましい。上記紫外線吸収剤を配合する場合には、上記ベース樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部、より好ましくは、0.5〜10重量部配合されているのが好ましい。0.1重量部よりも少ないと耐候性の向上効果が不十分であることがあり、20重量部を越えると、呈色によりシーリング材としての外観を損なう等の問題を生じる。
【0064】
上記光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系光安定剤が用いられる。ヒンダードアミン系光安定剤は、一般に紫外線吸収剤と併用すると優れた効果を発揮する。上記ヒンダードアミン系光安定剤(以下、光安定剤)の中でも、下記一般式(A)で示される構造を有する基を分子中に有するものが、層状珪酸塩と併用すると特に著しい効果がある。このようヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート、ポリ[{6−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)イミノ}]等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、2種以上併用されてもよい。
【0065】
層状珪酸塩との併用による耐候性効果は、光安定剤のブリードアウト防止効果が主であると考えられる。すなわち層状珪酸塩が組成物中で光安定剤と相互作用し、光安定剤が系から散逸するのを防いでいる為であると考えられる。また、相互作用の中でも層状珪酸塩がブリードアウトを阻害する板のように作用することにより、光安定剤のブリードアウトが抑制されると考えられる。光安定剤の中でも下記一般式(A)で示される構造を有する基を分子中に有するものが特にその効果が著しいのは、N原子に結合したH原子が関与しているものと推察される。
【0066】
【化2】
Figure 2004292613
【0067】
上記光安定剤を配合する場合には、上記有機重合体100重量部に対して、0.1〜20重量部、より好ましくは0.5〜10重量部配合されているのが好ましい。0.1重量部よりも少ないと、耐候性の向上効果が不十分であることがあり、20重量部を越えると着色の問題が生じ、シーリング材としての外観を損なうことがある。
【0068】
(その他の添加物)
本発明の硬化性組成物には、本発明の目的より効果を阻害しない限り、ビニル系重合体(a)の硬化促進剤、組成物の粘性特性を調整する粘度調整剤、チキソトロープ剤、引張特性などを改善する物性調整剤、増量剤、補強剤、可塑剤、着色剤、難燃剤、酸化防止剤、たれ防止剤、老化防止剤、溶剤、香料、顔料、染料、脱水剤などを添加してもよい。
【0069】
ビニル系重合体(a)の硬化促進剤としては、例えば、有機金属化合部を用いることができる。好適に用いることの出来る有機金属化合物として、ゲルマニウム、錫、鉛、硼素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、チタニウム、ジルコニウム等の金属元素と有機基を置換してなる有機金属化合物を挙げることが出来る。例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫フタレート、ビス(ジブチル錫ラウリン酸)オキサイド、ジブチル錫ビスアセチルアセトナート、ジブチル錫ビス(モノエステルマレート)、オクチル酸錫、ジブチル錫オクトエート、ジオクチル錫オキサイド等の錫化合物、テトラ−n−ブトキシチタネート、テトライソプロポキシチタネート等のチタネート系化合物、これらは単独または2種以上を併用して使用することが出来る。
【0070】
粘度調整剤としては、例えば、ビニル系重合体(a)との相溶性の良い高分子化合物から選ばれ、配合される化合物から適宜選択される。例えば、アクリル系高分子、メタクリル系高分子、ポリビニルアルコール誘導体、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン誘導体、ポリエステル類、ポリエーテル類、ポリイソブテン、ポリオレフィン類、ポリアルキレンオキシド類、ポリウレタン類、ポリアミド類、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、NBR、SBS、SIS、SEBS、水添NBR、水添SBS、水添SIS、水添SEBS等を挙げることができる。また、これら共重合体、官能基変成体を挙げることができし、これらを適宜組み合わせてもよい。
【0071】
チキソトロープ剤としては、組成物がチキソトロピー性を発現するような物質から適宜選ばれる。例えば、コロイダルシリカ、ポリビニルピロリドン、疎水化炭酸カルシウム、ガラスバルーン、ガラスビーズ等を挙げることができる。チキソトロープ剤の選択については、ビニル系重合体(a)親和性の高い表面を有することが望ましい。
【0072】
引っ張り特等を改善する物性調整剤としては、各種シランカップリング剤として、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N’−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ヘキサエチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ヘキサエチレンジアミン等を挙げられ、これらは単独または2種以上併用してもかまわない。
【0073】
増量剤としては、本発明に係る組成物中に添加してチキソトロープ性を発現しないものが好適に利用でき、例えば、タルク、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水珪素、含水珪素、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、カーボンブラック等を挙げられ、これらは単独または2種以上併用してもかまわない。
【0074】
可塑剤としては、例えば、リン酸トリブチル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル類、フタル酸ジオクチル等のフタル酸エステル類、グリセリンモノオレイル酸エステル等の脂肪酸−塩基酸エステル類、アジピン酸ジオクチル等の脂肪酸二塩基酸エステル類、ポリプロピレングリコール類等を挙げられ、これらは単独または2種以上併用してもかまわない。
【0075】
(接着剤及びシーリング材)
本発明に係る硬化性組成物は、シーリング材または接着剤として好適に用いられる。本発明に係る硬化性組成物は、後述する実施例から明らかなように、雰囲気中の湿気により速やかに硬化し、柔軟性を有する硬化物を与え、良好な接着強度を発現する。さらに、本発明では、上記ビニル系重合体(b)の数平均分子量がビニル系重合体(a)と異なるため、ビニル系重合体(b)の添加により塗布作業性などの硬化性組成物の特性を容易に制御することができる。例えば、ビニル系重合体(b)の数平均分子量をビニル系重合体(a)の数平均分子量よりも小さくすることにより、硬化性組成物の粘度を低め、塗布作業性を効果的に高めることができる。
【0076】
従って、本発明によれば、作業性に優れたシーリング材や接着剤などを提供することができる。
【0077】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例及び比較例を以下において説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0078】
(実施例1)
撹拌機、冷却器、温度計及び窒素ガス導入口を備えた1Lセパラブルフラスコに、n−ブチルアクリレート(日本触媒製)100g、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製KBM−503)0.5g、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製KBM−803)0.3g、ラウリルメルカプタン(和光純薬社製)0.3g及び酢酸エチル100gを投入して、混合した。モノマー混合溶液を窒素ガスを用いて20分間バブリングすることによって溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ系内を窒素ガスで置換し、撹拌しながら環流に達するまでに昇温した。
【0079】
環流した後、重合開始剤として1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.024gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液を、重合系に投入した。1時間後、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.036gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液を投入した。さらに、重合開始後、2時間後に、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド0.04gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液を投入した。
【0080】
一回目の重合開始剤投入から3時間後、セパラブルフラスコから重合体溶液の一部を抜き出し、NMRを測定した。なお、この時のNMR測定よりその結果、n−ブチルアクリレートのn−ブチルメチル基のピークと残留2重結合のピーク面積比より求めたn−ブチルアクリレートの転化率は91%であった。
【0081】
上記重合体溶液の一部を抜き出した直後に、n−ブチルアクリレート(日本触媒製)100gとラウリルメルカプタン(和光純薬社製)5gの混合液を、セパラブルフラスコに投入した。再び反応系が還流した後、重合開始剤として1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.02gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液を、重合系に投入した。1時間後に、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.04gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液を投入した。さらに、2回目の重合開始後、2、3及び4時間後に、それぞれ、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド0.05g,0.2g,及び0.4gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液を投入した。最後の重合開始剤投入から2時間経過した後に、室温まで冷却し、重合を終了させた。
【0082】
一回目の重合開始剤投入から重合終了までの全重合時間は10時間であった。
得られた硬化性組成物のゲルパーミエションクロマトグラフィーにより測定した分子量分布は、溶出時間21.850分(ポリスチレン換算分子量50600)と26.862分(ポリスチレン換算分子量8300)にピークトップを持つ二峰性の分布を示した。
【0083】
得られた硬化性組成物に、更に、脂肪酸表面処理炭酸カルシウム20g、重質炭酸カルシウム50g及び硬化促進剤(ジブチル錫ジラウリレート)3gを加え、密封した攪拌機で均一になるまで混合し、その後、10分間減圧脱泡し、白色のペースト状とした。得られたペーストをポリエチレン板上に、膜厚が2.5mmとなる様に塗工し、その後、20℃、相対湿度50%の環境下で7日間養生して、ゴム状のシート皮膜を得た。シート皮膜のゴム物性を以下の要領で測定したところ、破断伸びは620%、破断応力は0.24N/mmであった。
【0084】
(ゴム物性の評価)
20℃及び相対湿度50%の雰囲気下で7日間養生させた上記ゴム状のシート皮膜を、JIS K 6301に準じ、3号ダンベル形状でクロスヘッド速度500mm/分で引っ張り試験を行い、破断伸び(%)及び破断応力(N/mm)を評価した。
【0085】
(実施例2)
実施例1において一回目の重合の後に添加したn−ブチルアクリレート100g及びラウリルメルカプタン5gの混合液の代わりに、n−ブチルアクリレート95gとアクリル酸(和光純薬社製)5gとラウリルメルカプタン5gとの混合液を用いたことを除いては、実施例1と同様にして硬化性組成物を得た。
【0086】
得られた硬化性組成物の分子量分布は、溶出時間24.620分(ポリスチレン換算分子量24400)にピークトップを持つ分布を示した。この場合、1段目に生成した重合体の分布のピークと2段目に生成した重合体の分布のピークが近かった為、実施例1の様に2峰性ではなく、台形状に近い分布となったと考えられる。
【0087】
得られた硬化性組成物に、更に、脂肪酸表面処理炭酸カルシウム20g、重質炭酸カルシウム50g及び硬化促進剤(ジブチル錫ジラウリレート)3gを加え、密封した攪拌機で均一になるまで混合し、その後、10分間減圧脱泡し、白色のペースト状にした。得られたペーストを用いて実施例1と同様にしてシート皮膜のゴム物性を評価した。破断伸びは1500%、破断応力は0.2N/mmであった。
【0088】
(比較例1)
撹拌機、冷却器、温度計及び窒素ガス導入口を備えた1Lセパラブルフラスコに、n−ブチルアクリレート(日本触媒製)100g、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製KBM−503)0.5g、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製KBM−803)0.3g、ラウリルメルカプタン(和光純薬社製)0.3g及び酢酸エチル100gを投入して、混合した。モノマー混合溶液を窒素ガスを用いて20分間バブリングすることによって溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ系内を窒素ガスで置換し、撹拌しながら環流に達するまでに昇温した。
【0089】
環流した後、重合開始剤として1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.024gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液を、重合系に投入した。1時間後、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.036gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液を投入した。
【0090】
さらに、重合開始後、2、3及び4時間後に、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド0.048g,0.12g,及び0.36gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液を投入した。一回目の重合開始剤投入から7時間後、室温まで冷却し、重合を終了させた。
【0091】
次いで、フラスコから重合体溶液を抜き、フラスコを洗浄した後、撹拌機、冷却器、温度計及び窒素ガス導入口を備えて、n−ブチルアクリレート(日本触媒製)100g、ラウリルメルカプタン(和光純薬社製)5g及び酢酸エチル100gを投入した。モノマー混合溶液を窒素ガスを用いて20分間バブリングすることによって溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ系内を窒素ガスで置換し、撹拌しながら環流に達するまでに昇温した。環流した後、重合開始剤として1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.024gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液を、重合系に投入した。1時間後、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.036gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液を投入した。さらに、重合開始後、2、3及び4時間後、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド0.048g,0.12g,及び0.36gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液を投入した。二回目の重合開始剤投入から7時間後、室温まで冷却し重合を終了させた。
【0092】
一回目の重合で得られた重合体と二回目の重合で得られた重合体を混合することにより、実施例1と同様の硬化性組成物を得た。この組成物を得るのに延べ15時間以上要した。
【0093】
更に、上記組成物に、脂肪酸表面処理炭酸カルシウム13g、重質炭酸カルシウム26g、硬化促進剤(ジブチル錫ジラウリレート)2gを加え、密封した攪拌機で均一になるまで混合し、その後、10分間減圧脱泡して白色ペースト状の硬化性組成物を得た。得られた硬化性組成物を用い、実施例1と同様にしてシート皮膜のゴム物性を評価した。破断伸びは630%、破断応力は0.2N/mmであった。
【0094】
(実施例3)
硬化性組成物調製の際に、層状珪酸塩ソマシフMPE−100(ポリオキシプロピレンジエチル4級アンモニウム塩で有機処理した膨潤性フッ素雲母、コープケミカル社製)10g、チヌビン770(ヒンダードアミン系光安定剤、チバスペシャリティーケミカルズ社製)5g、チヌビン327(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、チバスペシャリティーケミカルズ社製)5gを加えたこと以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物を得た。
【0095】
〔層状珪酸塩の平均層間距離の測定〕
実施例3で得られた硬化性組成物における層状珪酸塩の平均層間距離を以下のようにして測定した。
【0096】
X線回折測定装置(リガク社製、RINT1100)により、層状珪酸塩の積層面の回折により得られる回折ピークの2θを測定し、下記のブラックの回折式を用いて層状珪酸塩の(001)面間隔を算出した。以下のdを平均層間距離とし、平均層間距離が3nm以上と良好に分散していた。
【0097】
λ=2dsinθ
なお、式中において、λ(nm)=0.154、d(nm)二層状珪酸塩の面間隔、θ(度)は回折角である。
【0098】
〔層状珪酸塩の分散状態の確認〕
透過型電子顕微鏡(TEM、日本電子社製「JEM−1200EX II」)写真により、硬化物中の層状珪酸塩の分散状態を観察して、5層以下で存在していた。
【0099】
耐候性評価
〔評価〕
上記実施例1及び3で得られた硬化性組成物の下記方法で耐候性を評価した。各配合組成物を50mm×150mm(厚み1mm)のステンレス板に0.5mm厚みで塗布し、20℃×60%RHの雰囲気下で7日間(168時間)放置して養生硬化させた後、下記条件で150時間及び400時間光照射を行い、表面状態を目視で確認し、クラックの無いものを○と判定した。
【0100】
・光照射条件
試験装置:アイスーパーUVテスター(SUV−F11型)、岩崎電気(株)製
照射強度:100mW/cm
限定波長:295nm〜450nm
ブラックパネル温度:63℃
照射距離:235mm(光源と試料間)
なお、アイスーパーUVテスターによる光照射評価は、材料系や試験条件によっても変動するので一概には言えないが、通常サンシャインウエザオメーターによる評価よりも、10倍程度の過酷な促進効果があるとされている。結果を下記の表1に示す。
【0101】
【表1】
Figure 2004292613
【0102】
【発明の効果】
本発明に係る硬化性組成物の製造方法では、少なくとも架橋可能な加水分解性シリル基を有するビニル系重合体(a)及びビニル系重合体(a)とは数平均分子量が異なるビニル系重合体(b)からなる組成物を製造するに際し、一方の重合体を得るためのモノマー組成物を重合し、残留モノマーが10重量%以下となった時点以降に、他方の重合体を得るためのモノマー組成物が同じ反応器に投入され、該他方のモノマー組成物を用いた重合が引き続いて行われる。従って、上記硬化性組成物を得るにあたり、同一の反応器を用いてビニル系重合体(a),(b)が順に重合されるため、製造に際しての作業スペースの低減を計ることができると共に、双方の重合体を別々に得る場合に比べて、製造時間を大幅に短縮することができる。
【0103】
よって、本発明によれば、雰囲気中の湿気により硬化し、弾力性及び十分な接着強度を有する硬化物を与え、かつ塗布作業性などに優れた硬化性組成物を小さなスペースで効率良く生産することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】層状珪酸塩の薄片状結晶の結晶表面(A)及び結晶端面(B)を説明するための模式図。
【図2】層状珪酸塩の層間の交換性陽イオンを説明するための模式図。

Claims (10)

  1. 少なくとも架橋可能な加水分解性シリル基を含有するビニル系重合体(a)と、ビニル系重合体(a)とは数平均分子量が異なるビニル系重合体(b)とからなる硬化性組成物の製造方法であって、
    前記ビニル系重合体(a)またはビニル系重合体(b)の一方の重合体を得るためのモノマー組成物を重合し、残留モノマーが10重量%以下になった時点以降において、他方の重合体を得るためのモノマー組成物を反応器に投入し、他方のモノマー組成物を重合することを特徴とする硬化性組成物の製造方法。
  2. 前記ビニル系重合体(b)の数平均分子量が、ビニル系重合体(a)の数平均分子量よりも小さい請求項1に記載の硬化性組成物の製造方法。
  3. ビニル系重合体(b)が、架橋可能な加水分解性シリル基、水酸基、アミノ基、酸アミド基、カルボキシル基、ニトリル基、イソシアネート基、エポキシ基、フルオロアルキル基、ウレタン結合、尿素結合、イミド結合及びシロキサン結合から選択された少なくとも1種のセグメントを有する重合体である、請求項1または2に記載の硬化性組成物の製造方法。
  4. ビニル系重合体(a)及び(b)が、(メタ)アクリル酸エステル系重合体である、請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性組成物の製造方法。
  5. 有機過酸化物を用いたラジカル重合法により前記重合が行われる、請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性組成物の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法により得られたことを特徴とする硬化性組成物。
  7. 架橋可能な加水分解性シリル基を有するポリエーテル系重合体(c)がさらに配合されている、請求項6に記載の硬化性組成物。
  8. 層状珪酸塩がさらに配合されている、請求項6または7に記載の硬化性組成物。
  9. 請求項6〜8のいずれかに記載の硬化性組成物からなることを特徴とするシーリング材。
  10. 請求項6〜8のいずれかに記載の硬化性組成物からなることを特徴とする接着剤。
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CN102092986A (zh) * 2010-11-25 2011-06-15 广东龙湖科技有限公司 一种聚苯乙烯保温板粘结砂浆的添加剂
CN113528053A (zh) * 2016-03-02 2021-10-22 积水化学工业株式会社 粘合带、电子设备部件固定用粘合带和光学用透明粘合带

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