JP2004292620A - 硬化性組成物、シーリング材及び接着剤 - Google Patents

硬化性組成物、シーリング材及び接着剤 Download PDF

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Koji Fukui
弘司 福井
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】周囲の湿気により硬化し、ゴム状の硬化物を与え、さらに硬化物の断熱性に優れている硬化性組成物、該硬化性組成物を用いたシーリング材及び接着剤を提供する。
【解決手段】少なくとも架橋可能な加水分解性シリル基を含有する有機重合体(a)と、空隙率が10%以上の充填材(b)または中空微粒子(c)とからなり、必要に応じて、少なくとも架橋可能な加水分解性シリル基を有するポリエーテル系重合体及び/または層状珪酸塩を含む硬化性組成物、並びに該硬化性組成物からなるシーリング材及び接着剤。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、雰囲気の湿気により架橋して、弾性を有しかつ耐久性に優れた硬化物を与える硬化性組成物に関し、例えば、シーリング材、接着剤、塗料、コーティング材、シーラント、プライマーなどに好適であり断熱性能に優れた硬化物を与える硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、アルコキシシリル基を有するビニル系重合体を主成分とする硬化性組成物が種々提案されている。(例えば、下記特許文献1〜3など)。これらの硬化性組成物は、雰囲気の湿気により架橋し、耐久性、耐候性、透明性及び接着性に優れた硬化物を与える。そのため、上記硬化性組成物は、塗料、コーティング剤、接着剤、感圧接着剤、シーラント及びシーリング材などの様々な用途に用いられている。
【0003】
上記アルコキシシリル基を有するビニル系重合体を主成分とする硬化性組成物では、ビニル系重合体自身の熱伝導率は低いものの、該ビニル系重合体を用いて二重サッシ構造のガラス窓などを構成した場合、冬季になると、結露を抑制することが困難なことがあった。すなわち、二重サッシ構造の窓ガラスにおいて、外側の窓枠と内側の窓枠とを連結材で固定するにあたり、該連結材の固定に上記ビニル系重合体からなる接着剤を用いた場合、冬季に結露を確実に抑制することが困難であった。
【0004】
【特許文献1】
特開昭57−179210号公報
【特許文献2】
特開平4−202585号公報
【特許文献3】
特開平11−43512号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、アルコキシシリル基を有するビニル系重合体を用いた従来の硬化性組成物では、硬化物が弾力性に優れているため、二重サッシを構成する際の接着剤として好適に用いることができるが、冬季における結露を確実に抑制することができなかった。
【0006】
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、雰囲気中の湿気により硬化し、ゴム状の硬化物を与えるだけでなく、断熱性に優れた硬化物を与える硬化性組成物、並びに該硬化性組成物を用いたシーリング材及び接着剤を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本願の第1の発明に係る硬化性組成物は、少なくとも架橋可能な加水分解性シリル基を有する有機重合体(a)と、空隙率が10%以上の充填材(b)とからなることを特徴とする。
【0008】
第2の発明に係る硬化性組成物は、少なくとも架橋可能な加水分解性シリル基を含有する有機重合体(a)と、中空微粒子(c)とからなることを特徴とする。
【0009】
第2の発明のある特定の局面では、上記中空微粒子(c)は、中空部の体積の割合が50体積%以上である多孔質中空ポリマー粒子により構成される。
第1,第2の発明(以下、本発明と総称する)において、好ましくは、少なくとも架橋可能な加水分解性シリル基を含有する上記有機重合体(a)として、少なくとも架橋可能な加水分解性シリル基を含有するビニル系重合体(a1)が用いられる。
【0010】
本発明に係る硬化性組成物では、上記ビニル系重合体(a1)に加えて、少なくとも架橋可能な加水分解性シリル基を有するポリエーテル系重合体(d)がさらに配合されていてもよい。
【0011】
また、本発明においては、好ましくは、上記少なくとも架橋可能な加水分解性シリル基を有するビニル系重合体(a1)は、過酸化物を重合開始剤として用いたラジカル重合により合成されたものである。
【0012】
本発明に係る硬化性組成物では、好ましくは、層状珪酸塩がさらに配合される。
本発明に係る硬化性組成物では、好ましくは硬化物の熱伝導度は0.2W/m・K以下であり、従って硬化物が極めて良好な断熱性を有する。
【0013】
本発明のシーリング材及び接着剤は、それぞれ、本発明に係る硬化性組成物からなることを特徴とする。
以下、本発明の詳細を説明する。
【0014】
(有機重合体(a))
本発明で用いられる有機重合体は、シロキサン結合を形成することにより架橋し得る加水分解性シリル基を少なくとも1個有し、このシロキサン結合は例えば、珪素原子に結合した水酸基もしくは加水分解性基により形成される。
【0015】
珪素原子に結合した加水分解性基とは、例えば、ハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、アシルオキシド基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシド基などが好ましい例として挙げられる。
【0016】
上記加水分解性シリル基としては、反応後に有害な副生成物を生成しないので、メトキシシリル基やエトキシシリル基などのアルコキシシリル基が好ましく用いられる。
【0017】
上記シロキサン結合を形成することにより架橋し得る珪素含有基、すなわち架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体の主鎖は特に限定されず、ビニル系重合体(a1)、ポリエーテル系重合体、ポリエステル系重合体、ポリカーボネート系重合体、ポリオレフィン系重合体などが挙げられ、好ましくは、ビニル系重合体及び/またはポリエーテル系重合体からなる。すなわち、主鎖がポリエーテル系重合体部分及びビニル系重合体部分の双方を有していてもよい。
【0018】
本発明で用いられる上記ビニル系重合体(a1)は、主鎖が本質的にビニル系重合体からなり、架橋可能な加水分解性シリル基を有する限り特に制限されるものではない。架橋可能な加水分解性シリル基は、ケイ素の1〜3個のアルコキシ基が結合した官能基、すなわちアルコキシシリル基であることが好ましい。
【0019】
上記アルコキシシリル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基等を挙げることができる。アルコキシ基の結合したアルコキシシリル基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、トリフェノキシシリル基等のトリアルコキシシリル基;ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基等のジメトキシシリル基;メトキシジメトキシシリル基、エトキシジメチルシリル基等のモノアルコキシシリル基を挙げることができる。これらを複数個組み合わせて用いてもよし、異なるアルコキシ基を複数個組み合わせて用いてもよい。
【0020】
上記ビニル系重合体を構成しているビニル重合体部分としては、ビニルモノマーを重合して得られる重合体であれば良く、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルエーテル等を挙げることができる。また、これらビニル重合体部分を有する共重合体であっても良い。好適には、凝集力や接着性とのバランスの良い数平均分子量8000以上のポリ(メタ)アクリレートやその共重合体が良い。ここで、(メタ)アクリルとはメタクリルとアクリルをまとめて示した表現である。
【0021】
ポリ(メタ)アクリレートやその共重合体を得るためのモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−3−メチルブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチル2−ヒドロキシエチルフタル酸、2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチル2−ヒドロキシプロピルフタル酸、
[化合物1]
CH=CH−C(O)O−CHCHO−[C(O)CHCHCHCHCHO]−H
(n=1〜10)
[化合物2]
CH=C(CH)−C(O)O−CHCHO−[C(O)CHCHCHCHCHO]−H
(n=1〜10)
[化合物3]
CH=CH−C(O)O−(CHCHO)−H
(n=1〜12)
[化合物4]
CH=C(CH)−C(O)O−(CHCHO)−H
(n=1〜12)
[化合物5]
CH=CH−C(O)O−[CHCH(CH)O]−H
(n=1〜12)
[化合物6]
CH=C(CH)−C(O)O−[CHCH(CH)O]−H
(n=1〜12)
[化合物7]
CH=C(CH)−C(O)O−(CHCHO)−[CHCH(CH)O]−H
(n=1〜12)
(m=1〜12)
[化合物8]
CH=CH−C(O)O−(CHCHO)−[CHCH(CH)O]−H
(n=1〜12)
(m=1〜12)
[化合物9]
CH=C(CH)−C(O)O−(CHCHO)−(CHCHCHCHO)
(n=1〜12)
(m=1〜12)
[化合物10]
CH=CH−C(O)O−(CHCHO)−(CHCHCHCHO)
(n=1〜12)
(m=1〜12)
[化合物11]
CH=CH−C(O)O−(CHCHO)−CH
(n=1〜10)
[化合物12]
CH=C(CH)−C(O)O−(CHCHO)−CH
(n=1〜30)
[化合物13]
CH=CH−C(O)O−[CHCH(CH)O]−CH
(n=1〜10)
[化合物14]
CH=C(CH)−C(O)O−[CHCH(CH)O]−CH
(n=1〜10)
[化合物15]
CH=C(CH)−C(O)O−(CHCHO)−[CHCH(CH)O]−H
(n=1〜10)
(m=1〜10)
[化合物16]
CH=CH−C(O)O−(CHCHO)−[CHCH(CH)O]−H
(n=1〜10)
(m=1〜10)
[化合物17]
CH=CH−C(O)O−[CHCH(CH)O]−C(O)−CH=CH
(n=1〜20)
[化合物18]
CH=C(CH)−C(O)O−[CHCH(CH)O]−C(O)−C(CH)=CH
(n=1〜20)
[化合物19]
CH=CH−C(O)O−(CHCHO)−C(O)−CH=CH
(n=1〜20)
[化合物20]
CH=C(CH)−C(O)O−(CHCHO)−C(O)−C(CH)=CH
(n=1〜20)
等を挙げることができる。
【0022】
その他のビニルモノマーとして、例えば、スチレン、インデン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン誘導体;例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、安息香酸ビニル、珪皮酸ビニル等のビニルエステル基を持つ化合物;無水マレイン酸、N−ビニルピロリドン、N−ビニルモルフォリン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、tert−アミルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、トリチレングリコールメチルビニルエーテル、安息香酸(4−ビニロキシ)ブチル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ブタン−1,4−ジオール−ジビニルエーテル、ヘキサン−1,6−ジオール−ジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−ジビニルエーテル、イソフタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、グルタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、コハク酸ジ(4−ビニロキシ)ブチルトリメチロールプロパントリビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−モノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル3−アミノプロピルビニルエーテル、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルビニルエーテル、ウレタンビニルエーテル、ポリエステルビニルエーテル等のビニロキシ基を持つ化合物を挙げることができる。
【0023】
ビニル重合体の製法は、公知の方法を用いることができる。例えば、フリーラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法、UVラジカル重合法、リビングアニオン重合法、リビングカチオン重合法、リビングラジカル重合法等を用いることができ、かつモノマーの重合性反応に応じて適宜重合法を選択すればよい。
【0024】
また、架橋可能な加水分解性シリル基の導入法としては、架橋可能な加水分解性シリル基を持つ開始剤による重合を開始する方法、架橋可能な加水分解性シリル基を持つ連鎖移動剤を用いる方法、架橋可能な加水分解性シリル基を持つ共重合性モノマーを用いる方法による重合と同時にシリル基を導入する方法(例えば、特開昭54−123192号公報、特開昭57−179210号公報、特開昭59−78220号公報、特開昭60−23405号公報)や、アルケニル基の持ったビニル重合体を合成し、その後、ヒドロシリル化によってアルコキシシリル基を導入する方法(例えば、特開昭54−40893号公報、特開平11−80571号公報)がある。本発明を構成するビニル系重合体(a1)の製造方法は、ビニル系重合体(a1)が得られる限り何等問題なく、上述の様な公知の製造技術を用いることができる。
【0025】
もっとも、望ましくは、上記ビニル系重合体(a1)としては、過酸化物を重合開始剤として用いたラジカル重合により合成されたものがアゾ化合物を用いた場合に比べて黄変を抑制し得るため好ましく用いられる。過酸化物系重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、イソノナノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシドなどのジアシルパーオキサイド類;ジイソプロピルパージカーボネート、ジ−sec−ブチルパージカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパージカーボネート、ジ−1−メチルヘプチルパージカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパージカーボネート、ジシクロヘキシルパージカーボネートなどのパーオキシジカーボネート類;tert−ブチルパーベンゾエート、tert−ブチルパーアセテート、tert−ブチルパー−2−エチルへキサノエート、tert−ブチルパーイソブチレート、tert−ブチルパーピバレート、tert−ブチルジパーアジペート、キュミルパーネオデカノエートなどのパーオキシエステル類;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類;ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジキュミルパーオキサイド、tert−ブチルキュミルパーオキサイド、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどのジアルキルパーオキサイド類;キュメンヒドロキシパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド類;1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどを挙げることができる。なお、過酸化物は、1種のみが用いられてもよく、複数種併用されてもよい。さらに、過酸化物は、複数回にわたって逐次添加されてもよい。
【0026】
架橋可能な加水分解性シリル基を導入する為の、連鎖移動剤や共重合性モノマーとしては、例えば、メルカプトメチルトリメチルシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシシラン、等の連鎖移動性の高い官能基を有するアルコキシシラン;N−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−アリルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロペニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビンルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルジメチルイソペンテニルオキシシラン、ビニルジメチル−2−((2−エトキシエトキシ)エトキシ)シラン、ビニルトリス(1−メチルビニルオキシ)シラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、フェニルビニルジエトキシシラン、ジフェニルビニルエトキシシラン、6−トリエトキシシリル−2−ノルボルネン、オクタ−7−エニルトリメトキシシラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、等の重合性不飽和基を有するアルコキシシラン等を挙げることができる。
【0027】
上記架橋可能な加水分解性シリル基を導入するための連鎖移動剤や共重合性モノマーの配合量は、ビニル系重合性モノマー100重量部に対し、0.01〜20重量部であることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜5重量部である。
【0028】
(充填材(b)及び中空微粒子(c))
第1の発明においては、空隙率が10%以上の充填材(b)が配合され、それによって硬化性組成物の硬化物の熱伝導性が高められる。空隙率が10%以上の充填材(b)としては、表面及び内部に形成されている空隙の割合が10体積%以上である限り、特に限定されず、このような充填材(b)としては、ガラスバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーンなどの無機質中空粒子、ポリメタクリル酸メチル、アクリロニトリル−塩化ビニリデン共重合体、ポリスチレンもしくはフェノール樹脂などからなる多孔質中空ポリマー粒子、ガラスビーズ、シリカビーズ、合成雲母などの無機質微粒子、ポリアクリル酸エチル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの有機質微粒子などが挙げられる。上記充填材(b)または多孔質中空ポリマー粒子(c)の平均粒子径は、1〜150μmの範囲とすることが望ましい。この範囲外では、応力緩和特性が低くなることがある。
【0029】
第2の発明で用いられる中空微粒子(c)とは、内部にボイドを有する粒子が多孔質の粒子であれば特に限定されず、例えば、中空ポリマー粒子、ガラスバルーン、シラスバルーン、アルミナバルーン、ゼオライトなどを挙げることができる。
【0030】
好ましくは、中空部の体積の割合が50体積%以上である多孔質中空ポリマー粒子が用いられる。上記多孔質中空ポリマー粒子は、内部に中空部を複数個有する内部モルホロジーを呈することが好ましい。上記のような内部モルホロジーを呈することによって中空部と中空部とを粒子内部で仕切る厚いポリマー隔壁がピラーの働きをして十分な圧縮強度を確保できるためである。よって、安定した圧縮強度の中空ポリマー粒子を歩留りよく得ることができる。
【0031】
上記中空ポリマー粒子を製造方法は、重合過程において粒子径の制御が容易で、有効な中空部を内包する粒子を形成しやすい。
上記中空ポリマー粒子の製造方法において、重合用モノマー成分と有機溶剤のSP値の差を2.0MPa0.5未満とし、重合用モノマー成分に占める多官能モノマーの割合を5重量%することが好ましい。重合用モノマーと有機溶剤のSP値を近づけることで、重合中にポリマー成分と有機溶剤が相分離することが抑制され、粒子内部に緻密な複数の中空部を有する中空ポリマー粒子を得ることができる。また、球状の粒子構造を重合後も保持するためには、5重量%以上の架橋性多官能性モノマーを使用することが必要である。多官能性モノマーが少ないと、SP値の差が大きいときには粒子が異形化し、SP値の差が小さいときには粒子内部の中空部が収縮する問題が生じる。従って所定の中空度及び強度を発現するための組成として、混合される重合用モノマー成分と有機溶剤の溶解度パラメータ(SP値)の差が1.0MPa0.5未満の時は、重合用モノマー成分に占める多官能モノマーの割合が少なくとも5重量%以上とし、1.0以上1.5MPa0.5未満の時は、重合用モノマー成分に占める多官能モノマ
ーの割合が少なくとも20重量%以上となるように制御する必要がある。
【0032】
重合用モノマーを構成する単官能性モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、クミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等の極性基含有(メタ)アクリル系モノマー、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン等の芳香族ビニルモノマー、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン含有モノマー、ビニルピリジン、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、イタコン酸、フマル酸、、エチレン、プロピレン等が挙げられ、これらは単独または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0033】
この中で焼成時にすすや灰分を生じにくい性質からアクリル系モノマーの使用が好ましく、より好ましくは、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、(メタ)アクリル酸が挙げられる。
【0034】
上記重合用モノマー成分を構成する多官能性モノマーは、粒子の収縮を抑制し、耐圧縮強度を改善する目的で添加され、特に種類は限定されないが、例えば、以下に示すようなジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート、ジアリル化合物、トリアリル化合物、ビニル化合物が挙げられ、これらは単独または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0035】
ジ(メタ)アクリレートとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1.6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0036】
トリ(メタ)アクリレートとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0037】
ジもしくはトリアリル化合物としては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルフマレート、ジアリルサクシネート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。
【0038】
ジビニル化合物としては、ジビニルベンゼン、ブタジエンが挙げられる。
上記非重合性有機溶剤は、重合用モノマー溶液とのSP値の差が1.5MPa0.5未満となり、且つ重合系の媒体である水等の極性溶媒と相溶しないものから適宜選択され、特に種類は限定されないが、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等が挙げられる。
【0039】
非重合性有機溶剤の添加量は、少なすぎると粒子の空隙率が低くなり、多すぎると空隙率が大きくなりすぎて粒子の強度が低下するため、重合用モノマー成分100重量部に対して1重量部以上400重量部以下の割合で添加されることが好ましく、さらに好ましくは10重量部以上200重量部以下である。
【0040】
また、上記中空ポリマー粒子の製造方法においては、上記モノマー溶液を極性溶媒中で懸濁重合する際に、分散安定剤として、部分ケン化ポリ酢酸ビニル、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドンの少なくとも一つを添加することが好ましい。
【0041】
上記水溶性高分子系分散安定剤を使用することにより、粒子のセラミックに対する混和性が改良され、セラミック組成物の混合・成形時において粒子が破壊されにくくなる。
【0042】
水溶性高分子系分散安定剤の使用量は、多すぎても少なすぎても重合用モノマー溶液の油滴の安定性が十分でなく、重合中に粒子凝集が発生するため、重合用モノマー溶液100重量部に対して0.1重量部以上20重量部以下の割合で使用されるのが好ましく、より好ましくは0.3重量部以上5重量部以下である。
【0043】
上記懸濁重合に用いられる極性溶媒は、上記重合用モノマー溶液と非相溶である必要があり、特に種類は限定されないが、例えば、水、メタノール、エタノール、ジメチルスルフォキシド、ジメチルホルムアミド等が挙げられ、扱いが容易なことから水を使用することが好ましい。
【0044】
上記懸濁重合に用いられる重合開始剤は、上記重合用モノマー溶液と相溶する油溶性のフリーラジカルを発生する化合物、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジブチルパーオキシジカーボネート、αークミルパーオキシネオデカノエート等の有機系過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤、レドックス開始剤等が挙げられる。
【0045】
上記懸濁重合においては、重合用モノマー溶液の油滴以外の場所で重合が生じることによる新粒子の発生を抑制するために、極性溶媒に無機塩や水溶性重合禁止剤が添加されても良い。無機塩は極性溶媒中に溶解して、極性溶媒に対する重合用モノマー成分の溶解度を低下させ、極性溶媒での重合を抑制する働きがあり、例えば、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。また、水溶性重合禁止剤はやはり極性溶媒での重合を抑制する目的で添加され、例えば、亜硫酸ナトリウム、塩化銅、塩化鉄、塩化チタン、ヒドロキノンなどが挙げられる。
【0046】
上記中空ポリマー粒子の製造方法の好ましい例としては、油溶性重合開始剤を用いる場合には、撹拌機、温度計などを備えた容器に極性溶媒として例えば水、水溶性高分子分散安定剤および必要に応じて補助安定剤、pH調整剤、水溶性重合禁止剤などを添加し、重合用モノマー成分または非重合性有機溶剤、あるいはそれらの混合した重合用モノマー溶液に開始剤を予め溶解しておき、これらを初期仕込物に添加し、開始剤が実質的に作用しない温度において所定時間撹拌した後、開始剤が作用する温度以上に昇温するか還元剤を添加し、所定時間撹拌を続けて重合を完結させるという方法をとることができる。重合用モノマー成分および非重合性有機溶剤はそのまま初期仕込物に添加しても良いが、予め分散媒中に微分散したものを添加することが好ましい。あるいはそのまま初期仕込物に添加し、機械的撹拌力の作用により系内で微分散することが好ましい。
【0047】
重合用モノマー成分および非重合性有機溶剤を予め分散媒中に微分散する方法の例としては、ホモミキサー、バイオミキサーなどの機械的分散機あるいは超音波ホモジナイザーなどを用いる方法がある。
【0048】
重合の結果得られる中空ポリマー粒子の粒子径は分散媒中に微分散された重合用モノマー溶液の油滴径に依存するため、分散安定剤の種類や量、あるいは機械的分散機の撹拌力により容易にコントロールできる。
【0049】
反応系の温度設定は、用いる重合用モノマー成分の組成や分子量、開始剤の種類および量などによって異なるが、通常は30℃以上100℃以下の範囲で行なわれる。
【0050】
重合を実施する際あるいは実施した後に各種の添加剤を用いることはなんら差し支えない。このような添加剤としては、pH調整剤、老化防止剤、酸化防止剤、防腐剤などが挙げられる。
【0051】
また、重合が実質的に完結した状態においては、ポリマー粒子の中空部(内孔)には用いた非重合性有機溶剤が内包された状態で残存している。
この内包された溶剤は必要に応じて、得られたポリマー粒子の分散液にスチームあるいは窒素や空気などの気体を吹き込むという方法、系を減圧条件下におく方法などにより除去することができる。さらに上記製造方法により得られた中空ポリマー粒子は乾燥させ、粉体として用途に供することもできる。
【0052】
(充填材(b)及び中空微粒子(c)の配合割合)
第1の発明に係る硬化性組成物及び第2の発明に係る硬化性組成物において、上記充填材(b)または中空微粒子(c)の有機重合体(a)に対する配合割合は、有機重合体(a)及び必要に応じて添加される後述のポリエーテル系重合体(d)の合計100重量部に対し、0.5〜175重量部であることが望ましい。充填材または多孔質中空ポリマー粒子のうち、比重が1よりも小さい充填材もしくは多孔質中空ポリマー粒子では、好ましくは0.7〜10重量部、比重が1前後の場合には好ましくは10〜60重量部である。
【0053】
なお、上記充填材(b)及び中空微粒子(c)の添加量は、体積分率で管理してもよい。すなわち、上記粒子の比重による区分に従えば、指定範囲の重量部数に従って添加してもよいが、比重による区分の異なる複数種を混合して添加する場合には、硬化性組成物を構成する材料の体積分率で10〜50体積%の範囲となるように充填材(b)または中空微粒子(c)を添加することが望ましい。10体積%未満の場合、あるいは50体積%を越える場合には、熱伝導性を低下させる効果や応力を緩和させる効果が十分に得られないことがある。
【0054】
(少なくとも架橋可能な加水分解性のシリル基を有するポリエーテル系重合体(d))
ポリエーテル系重合体(d)を添加することにより、硬化物の耐水性を高めたり、シーリング材を構成した場合のゴム弾性を高めることができる。
【0055】
ビニル系重合体(a1)及びポリエーテル系重合体(d)を併用する場合、その配合割合は、ビニル系重合体(a1)100重量部に対し、ポリエーテル系重合体(d)0.1〜250重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜100重量部である。
【0056】
ポリエーテル系重合体(d)の配合割合が0.1重量部未満では、接着性改善効果が小さくなることがあり、250重量部を越えると、耐候性が低くなることがあり、かつ接着性向上効果がそれ程高くならないからである。
【0057】
ポリエーテル系重合体(d)とは、主鎖が本質的にポリエーテル系重合体であり、かつ末端に架橋可能な加水分解性シリル基を含有する重合体(d)であって、主鎖が本質的に、一般式〔−(R−O)−、式中のRは炭素数1〜4であるアルキレン基を示す。〕で表される化学的に結合された繰り返し単位を含み、かつ末端に架橋可能な加水分解性シリル基を含有する重合体をさす。
【0058】
また、ポリエーテル系重合体(d)は、主鎖がポリエーテルと(メタ)アクリル酸エステルとからなる共重合体であってもよい。
上記重合体(d)は、例えば、末端にアリル基を有するポリアルキレンオキサイドをVIII族遷移金属の存在化で下記化学式(1)により表されるヒドロシラン化合物を反応させることによって合成される。
【0059】
【化1】
Figure 2004292620
【0060】
(式中Rは1価の炭化水素基及びハロゲン化された1価の炭化水素基から選択される基、aは0、1または2の整数、Xはハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基及びケトキシメート基より選択される原子または基を意味する。)
上記重合体(d)の主鎖であるポリアルキレンオキサイドとしては、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド等が挙げられるが、室温硬化性組成物の硬化物が耐水性に優れ、かつシーリング材としての弾性を確保できるという点でポリプロピレンオキサイドが好ましい。
【0061】
上記架橋可能な加水分解性シリル基としては、反応後有害な副生成物を生成しない物が好ましく、例えば、メトキシシリル基、エトキシシリル基等のアルコキシシリル基が挙げられる。
【0062】
ポリエーテル系重合体(d)の数平均分子量が小さくなると、硬化物の伸びが十分でなくなり、目地面に対する追従性が低下し、大きくなると硬化前の粘度が高くなり、配合工程の作業性が悪くなる。従って、好ましくは、数平均分子量は、4000〜100000であり、さらに好ましくは10000〜30000であり、かつ分子量分布は1.6以下が望ましい。
【0063】
上記ポリエーテル系重合体(d)としては、例えば、商品名「MSポリマー」(鐘淵化学工業社製)として、MSポリマーS−203、S−303など、商品名「サイリルポリマー」(鐘淵化学工業社製)として、サイリルSAT−200、SAT−350、SAT−400や、商品名「エクセスター」(旭硝子社製)として、エクセスターESS−3620、ESS−3430、ESS−2420、ESS−2410などが市販されている。
【0064】
(層状珪酸塩)
本発明で好ましくは用いられる層状珪酸塩とは、層間に交換性陽イオンを有する珪酸塩鉱物を意味する。本発明で用いられる層状珪酸塩としては特に限定されず、例えば、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイト等のスメクタイト系粘土鉱物、バーミキュライト、ハロイサイト、膨潤性マイカ等が挙げられる。中でも、モンモリロナイト、膨潤性マイカが好ましい。上記層状珪酸塩は天然物または合成物のいずれであってもよく、これらの1種または2種以上を用い得る。
【0065】
上記層状珪酸塩としては、下記式により定義される形状異方性効果が大きいスメクタイト類や膨潤性マイカを用いることが、硬化性組成物の機械強度向上やガスバリヤ性向上の点からより好ましい。なお、層状珪酸塩の結晶表面(A)及び結晶端面(B)を図1に模式的に示す。
【0066】
形状異方性効果=結晶表面(A)の面積/結晶端面(B)の面積
図2に示すように、上記層状珪酸塩の層間に存在する交換性陽イオンとは、結晶表面上のナトリウム、カルシウム等のイオンであり、これらのイオンは、カチオン性物質とイオン交換性を有するので、カチオン性を有する種々の物質を上記層状珪酸塩の層間に捕捉(インターカレート)することができる。
【0067】
上記層状珪酸塩の陽イオン交換容量としては特に限定されないが、50〜200ミリ等量/100gであるのが好ましい。50ミリ等量/100g未満であると、イオン交換により結晶層間に捕捉(インターカレート)できるカチオン性界面活性剤の量が少なくなるので、層間が十分に非極性化されないことがある。一方、200ミリ等量/100gを超えると、層状珪酸塩の層間の結合力が強固となり、層状珪酸塩の各層を構成している結晶薄片間の距離を増大し難くなることがある。
【0068】
上記層状珪酸塩は、ベース樹脂100重量部に対して、0.1〜100重量部配合され、さらに好ましくは0.5〜50重量部、特に好ましくは1〜10重量部である。0.1重量部未満では硬化物の耐候性向上や難燃化などの作用が発現され難く、10重量部を越えると、硬化性組成物の粘度が高くなり作業性、生産性が低下することがある。
【0069】
なお、ベース樹脂とは、上記有機重合体(a)、あるいは上記ビニル系重合体(a1)と必要に応じて添加されるポリエーテル系重合体(d)の合計である。
上記層状珪酸塩は、広角X線回折測定法により測定した(001)面の平均層間距離が3nm以上であり、5層以下で存在しているものを含んで分散しているものが好ましい。平均層間距離が3nm以上であり、5層以下で分散していると、硬化性組成物の耐候性、難燃性の性能発現に有利となる。
【0070】
なお、本明細書において、層状珪酸塩の平均層間距離とは、微細薄片状結晶を層とした場合の平均の層間距離であり、X線回折ピーク及び透過型電子顕微鏡撮影により、すなわち、広角X線回折測定法により算出できるものである。3nm以上に層間が開裂し、5層以下で存在しているものを含んで分散している状態は、層状珪酸塩の積層体の一部または全てが分散していることを意味しており、層間の相互作用が弱まっていることによる。
【0071】
さらに、層状珪酸塩の平均層間距離が6nm以上であると、難燃性、機械物性、耐熱性等の機能発現に特に有利である。平均層間距離が6nm以上であると、層状珪酸塩の結晶薄片層が層毎に分離し、層状珪酸塩の相互作用がほとんど無視できるほどに弱まるので、層状珪酸塩を構成する結晶薄片の樹脂中での分散状態が剥離安定化の方向に進行する。すなわち、層状珪酸塩が1枚づつ薄片状に乖離した状態で硬化性組成物中に安定化されて存在することとなる。
【0072】
層状珪酸塩の分散状態としては、ベースとなる樹脂中において層状珪酸塩の薄片状結晶が高度に分散していることが好ましい。より具体的には、層状珪酸塩の10重量%以上が5層以下で存在している状態に分散されていることが好ましく、より好ましくは、層状珪酸塩の20重量%以上が5層以下の状態で存在していることが望ましい。さらに、分散している薄片状結晶の積層数が5層以下であれば、層状珪酸塩の添加による効果が良好に得られるが、3層以下であればより好ましく、単層状に分散していることがさらに望ましい。
【0073】
本発明の層状珪酸塩は、4級アンモニウム塩で処理されてなる層状珪酸塩であることが好ましい。4級アンモニウム塩で処理することにより、層状珪酸塩の上記ベース樹脂中への分散性を向上させることができるからである。また、4級アンモニウム塩は上記ポリエーテル系重合体の架橋反応に対する触媒作用があることが知られており、層状珪酸塩と共に上記ベース樹脂中に分散することにより分散性の向上と共に硬化速度を促進させることも可能となる。
【0074】
上記4級アンモニウム塩としては、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、トリオクチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウム塩、ジ硬化牛脂ジメチルアンモニウム塩、ジステアリルジベンジルアンモニウム塩、N−ポリオキシエチレン−N−ラウリル−N,N−ジメチルアンモニウム塩等が挙げられ、これらの4級アンモニウム塩は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。上記の中でも、良好な分散性が得られることから、炭素数6以上のアルキル鎖またはポリオキシアルキレン鎖を有する4級アルキルアンモニウムイオン塩が好ましい。
【0075】
層状珪酸塩の分散には各種攪拌機を用いることができるが、分散しにくい場合には3本ロール等の高剪断がかかる装置を用いて分散を行うと所望の分散状態を得やすい場合がある。
【0076】
(紫外線吸収剤及び光安定剤)
本発明の硬化性組成物には、耐候性を向上させるために各種紫外線吸収剤や光安定剤を配合することが好ましい。層状珪酸塩との併用により、層状珪酸塩が各種紫外線吸収剤や光安定剤のブリードアウトを抑制するように作用するため、硬化物中にこれらが長期にわたって保持されるためである。
【0077】
上記紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系等の公知の紫外線吸収剤が挙げられ、中でもベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が紫外線吸収性能が高いので好ましい。上記紫外線吸収剤を配合する場合には、上記ベース樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部、より好ましくは、0.5〜10重量部配合されているのが好ましい。0.1重量部よりも少ないと耐候性の向上効果が不十分であることがあり、20重量部を越えると、呈色によりシーリング材としての外観を損なう等の問題を生じる。
【0078】
上記光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系光安定剤が用いられる。ヒンダードアミン系光安定剤は、一般に紫外線吸収剤と併用すると優れた効果を発揮する。上記ヒンダードアミン系光安定剤(以下、光安定剤)の中でも、下記一般式(A)で示される構造を有する基を分子中に有するものが、層状珪酸塩と併用すると特に著しい効果がある。このようヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート、ポリ[{6−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)イミノ}]等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、2種以上併用されてもよい。
【0079】
層状珪酸塩との併用による耐候性効果は、光安定剤のブリードアウト防止効果が主であると考えられる。すなわち層状珪酸塩が組成物中で光安定剤と相互作用し、光安定剤が系から散逸するのを防いでいる為であると考えられる。また、相互作用の中でも層状珪酸塩がブリードアウトを阻害する板のように作用することにより、光安定剤のブリードアウトが抑制されると考えられる。光安定剤の中でも下記一般式(A)で示される構造を有する基を分子中に有するものが特にその効果が著しいのは、N原子に結合したH原子が関与しているものと推察される。
【0080】
【化2】
Figure 2004292620
【0081】
上記光安定剤を配合する場合には、上記有機重合体100重量部に対して、0.1〜20重量部、より好ましくは0.5〜10重量部配合されているのが好ましい。0.1重量部よりも少ないと、耐候性の向上効果が不十分であることがあり、20重量部を越えると着色の問題が生じ、シーリング材としての外観を損なうことがある。
【0082】
(その他の添加物)
本発明の硬化性組成物には、本発明の目的より効果を阻害しない限り、有機重合体(a)の硬化促進剤、組成物の粘性特性を調整する粘度調整剤、チキソトロープ剤、引張特性などを改善する物性調整剤、増量剤、補強剤、可塑剤、着色剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、たれ防止剤、老化防止剤、溶剤、香料、顔料、染料、脱水剤などを添加してもよい。
【0083】
有機重合体(a)の硬化促進剤としては、例えば、有機金属化合部を用いることができる。好適に用いることの出来る有機金属化合物として、ゲルマニウム、錫、鉛、硼素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、チタニウム、ジルコニウム等の金属元素と有機基を置換してなる有機金属化合物を挙げることが出来る。例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫フタレート、ビス(ジブチル錫ラウリン酸)オキサイド、ジブチル錫ビスアセチルアセトナート、ジブチル錫ビス(モノエステルマレート)、オクチル酸錫、ジブチル錫オクトエート、ジオクチル錫オキサイド等の錫化合物、テトラ−n−ブトキシチタネート、テトライソプロポキシチタネート等のチタネート系化合物、これらは単独または2種以上を併用して使用することが出来る。
【0084】
粘度調整剤としては、例えば、有機重合体(a)、特にビニル系重合体(a1)との相溶性の良い高分子化合物から選ばれ、配合される化合物から適宜選択される。例えば、アクリル系高分子、メタクリル系高分子、ポリビニルアルコール誘導体、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン誘導体、ポリエステル類、ポリエーテル類、ポリイソブテン、ポリオレフィン類、ポリアルキレンオキシド類、ポリウレタン類、ポリアミド類、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、NBR、SBS、SIS、SEBS、水添NBR、水添SBS、水添SIS、水添SEBS等を挙げることができる。また、これら共重合体、官能基変成体を挙げることができし、これらを適宜組み合わせてもよい。
【0085】
チキソトロープ剤としては、組成物がチキソトロピー性を発現するような物質から適宜選ばれる。例えば、コロイダルシリカ、ポリビニルピロリドン、疎水化炭酸カルシウム、ガラスバルーン、ガラスビーズ等を挙げることができる。チキソトロープ剤の選択については、ビニル系重合体(a1)に対して親和性の高い表面を有するものが望ましい。
【0086】
引っ張り特等を改善する物性調整剤としては、各種シランカップリング剤として、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N’−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ヘキサエチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ヘキサエチレンジアミン等を挙げられ、これらは単独または2種以上併用してもかまわない。
【0087】
増量剤としては、本発明に係る組成物中に添加してチキソトロープ性を発現しないものが好適に利用でき、例えば、タルク、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水珪素、含水珪素、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、カーボンブラック等を挙げられ、これらは単独または2種以上併用してもかまわない。
【0088】
可塑剤としては、例えば、リン酸トリブチル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル類、フタル酸ジオクチル等のフタル酸エステル類、グリセリンモノオレイル酸エステル等の脂肪酸−塩基酸エステル類、アジピン酸ジオクチル等の脂肪酸二塩基酸エステル類、ポリプロピレングリコール類等を挙げられ、これらは単独または2種以上併用してもかまわない。
【0089】
(硬化性組成物の熱伝導度)
本発明に係る硬化性組成物は、硬化物の熱伝導度が0.2W/m・K以下とされていることが望ましい。すなわち、熱伝導度がこのように低いことにより、例えば二重サッシ構造の連結剤の接着に本発明に係る硬化性組成物を用いた場合、上記のように熱伝導度が低いため結露の発生を確実に抑制することができる。
【0090】
本発明に係る硬化性組成物は、従って良好な熱伝導度が求められるシーリング材や接着剤として好適に用いられる。
【0091】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施例を説明することにより、本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0092】
(参考例1、ビニル系重合体(a1)の調製)
撹拌機、冷却器、温度計及び窒素ガス導入口を備えた2Lセパラブルフラスコに、n−ブチルアクリレート100g、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製、品番:KBM−503)1.0g、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製、品番:KBM−803)0.2g、ラウリルメルカプタン(和光純薬社製)0.1g及び酢酸エチル100gを投入して、混合した。
【0093】
このモノマー混合溶液を窒素ガスを用いて20分間バブリングすることによって溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ系内を窒素ガスで置換し、撹拌しながら環流に達するまでに昇温した。環流した後、重合開始剤として1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.024gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液を、重合系に投入した。1時間後、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.036gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液を投入した。さらに、重合開始後、2、3及び4時間後に、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド0.048g,0.12g,及び0.36gを1gの酢酸エチルで希釈した溶液をそれぞれ投入した。一回目の重合開始剤投入から7時間後、室温まで冷却し重合を終了させた。
【0094】
数平均分子量約3万(ゲルパーミエションクロマトグラフィーによる、分子量はポリスチレン換算)のアルコキシシリル基含有アクリル重合体の酢酸エチル溶液を得た。
【0095】
(実施例1)
上記参考例1で得られたアルコキシシリル基含有アクリル重合体の酢酸エチル溶液100gと、可塑剤としてのポリプロピレングリコール(和光純薬社製、分子量3000)30gとを混合した後、ロータリーエバポレターを用いて酢酸エチルを除去し、粘調な硬化性組成物を得た。
【0096】
上記硬化性組成物に、さらに、重質炭酸カルシウム(白石カルシウム社製、商品名:ホワイトンP−30)40gと、処理炭酸カルシウム(白石カルシウム社製、商品名:ビスコライトU)10gと、中空微粒子としてガラスバルーン(PQ Australia Pty. Ltd.社製、商品名:Q−Cell520)5gとを加え、さらに硬化促進剤(和光純薬社製、ジブチル錫ジラウリレート)2gを加え、密封した攪拌機で均一になるまで混合し、しかる後10分間減圧脱泡し、白色ペースト状の硬化性組成物を得た。
上記白色ペースト状の硬化性組成物を、厚さ0.5mmとなるようにポリエチレン板上に塗工し、25℃で7日養生し、硬化皮膜を得た。得られた硬化皮膜の熱伝導率を、ASTEM E1530に準じて測定したところ、0.11W/m・Kであった。
【0097】
さらに、上記白色ペースト状の硬化性組成物を、150mm×30mm×厚み2mmのペンタイト鋼板に、25mm×25mm×厚み300μmとなるように塗布し、150mm×30mm×厚さ8mmのスレート板を貼り合わせた。貼り合わせ後、20℃で7日間養生し、剪断接着力試験片を得た。この剪断接着力試験片を用い、試験速度10mm/分で破壊試験を行い、破壊に至った最大応力をT剥離力とした。T剥離力は0.61N/mmであった。
【0098】
(実施例2)
実施例1で用いたガラスバルーンに代えて、下記の要領で作製した中空ポリマー粒子5gを加えたことを除いては、実施例1と同様にして白色ペースト状の硬化性組成物を得た。
【0099】
中空ポリマー粒子の作製…メチルメタクリレート28重量部、イソブチルメタクリレート12重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート10重量部、溶剤としてのシクロヘキサン50重量部、重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル0.25重量部を混合攪拌し、重合用モノマー溶液を得た。次に、極性溶媒としてのイオン交換水145重量部及び水溶性高分子溶液としての部分懸化ポリ酢酸ビニル20重量%水溶液10重量部を添加し、ホモジナイザーで攪拌し、懸濁液を得た。他方、攪拌機、ジャケット、還流冷却器及び温度計を備えた20リットルの重合器に、イオン交換水145重量部、水溶性重合禁止剤としての亜硫酸ナトリウム0.05重量部を添加し、攪拌した。重合器内を減圧して脱酸素した後、窒素により圧力を大気圧まで戻し、内部を窒素雰囲気とした後、上記懸濁液を重合槽に一括投入したのち、重合槽を60℃まで昇温し、重合を開始した。4時間で重合を終了し、しかる後、1時間の熟成期間をおいた後、重合槽を室温まで冷却した。得られたスラリーをセントルにより脱水し、その後真空乾燥により有機溶剤を除去し、中空ポリマー粒子を得た。
【0100】
上記白色ペースト状の硬化性組成物を用い、実施例1と同様にして硬化被膜を得、得られた硬化被膜の熱伝導率を評価したところ、0.08W/m・Kであった。
また、上記硬化性組成物を用い、実施例1と同様にして剪断接着力試験片を作製し、破壊試験を行った。T剥離力は0.53N/mmであった。
【0101】
(実施例3)
重質炭酸カルシウムの配合割合を70gに変更したこと、中空微粒子としてのガラスバルーンの配合割合を2gに変更したことを除いては、実施例1と同様にして白色ペースト状の硬化性組成物を得、実施例1と同様にして評価した。その結果、硬化被膜の熱伝導度は0.25W/m・Kであった。また、剪断接着力試験では、T剥離力は0.58N/mmであった。
【0102】
(実施例4)
硬化性組成物調整の際に、層状珪酸塩ソマシフMPE−100(ポリオキシプロピレンジエチル4級アンモニウム塩で有機処理した膨潤性フッ素雲母、コープケミカル社製)10g、チヌビン770(ヒンダードアミン系光安定剤、チバスペシャリティーケミカルズ社製)5g、チヌビン327(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、チバスペシャリティーケミカルズ社製)5gを加えたこと以外は実施例1と同様にして硬化性組成物を得た。
【0103】
(層状珪酸塩の平均層間距離の測定)
実施例4で得られた硬化性組成物における層状珪酸塩の平均層間距離を以下のようにして測定した。
【0104】
X線回折測定装置(リガク社製、RINT1100)により、層状珪酸塩の積層面の回折により得られる回折ピークの2θを測定し、下記のブラックの回折式を用いて層状珪酸塩の(001)面間隔を算出した。以下のdを平均層間距離とし、平均層間距離が3nm以上と良好に分散していた。
【0105】
λ=2dsinθ
なお、式中において、λ(nm)=0.154、d(nm)は層状珪酸塩の面間隔、θ(度)は回折角である。
【0106】
(層状珪酸塩の分散状態の確認)
透過型電子顕微鏡(TEM 日本電子社製「JEM−1200EX II」)写真により、硬化物中の層状珪酸塩の分散状態を観察して、5層以下で存在していた。
【0107】
耐候性評価
(評価)
上記実施例1及び4で得られた硬化性組成物の下記方法で耐候性を評価した。各配合組成物を50mm×150mm(厚み1mm)のステンレス板に0.5mm厚みで塗布し、20℃×60%RHの雰囲気下で7日間(168時間)放置して養生硬化させた後、下記条件で、150時間及び400時間光照射を行い、表面状態を目視で確認し、クラックの無いものを〇と判定した。結果を下記の表1に示す。
【0108】
光照射条件
試験装置:アイスーパーUVテスター(SUV−F11型)、岩崎電気株式会社製
照射強度:100mW/cm 限定波長:295nm〜450nm
ブラックパネル温度:63℃ 照射距離:235mm(光源と試料間)
(尚、アイスーパーUVテスターによる光照射評価は、材料系や試験条件によっても変動するので一概には言えないが、通常サンシャインウエザオメーターによる評価よりも、10倍程度の過酷な促進効果があるとされている。)
【0109】
【表1】
Figure 2004292620
【0110】
(比較例)
重質炭酸カルシウムの添加割合を90gとしたこと、中空微粒子としてのガラスバルーンを添加しなかったことを除いては、実施例1と同様にして白色ペースト状の硬化性組成物を得た。
【0111】
この硬化性組成物について、実施例1と同様にして評価したところ、硬化被膜の熱伝導率は0.45W/m・Kであった。また、剪断接着力試験によるT剥離力は0.55N/mmであった。
【0112】
(結露評価)
実施例1〜3及び比較例で得た白色ペースト状の硬化性組成物について、結露試験を行った。800mm×800mm×厚さ8mmの2枚のガラス板を、各硬化性組成物の厚みが2mmとなるようにして各硬化性組成物を用いて貼り合わせ、20℃の温度で7日間養生し、試験片を得た。得られた試験片を用い、JISA 1514に準じ結露試験を行った。但し、本結露試験においては、低温側の温度を5℃、恒温恒湿側の温度は25℃、相対湿度50%の条件で固定し、1時間の結露試験を行った。結果を下記の表2に示す。
【0113】
【表2】
Figure 2004292620
【0114】
【発明の効果】
第1,第2の発明に係る硬化性組成物では、少なくとも架橋可能な加水分解性シリル基を有する有機重合体(a)と、空隙率が10%以上の充填材(b)または中空微粒子(c)とからなるため、接着性に優れ軽量で、硬化物が良好な弾力性を有するだけでなく、硬化物の断熱性に優れた硬化性組成物を提供することができる。
【0115】
従って、本発明に係る硬化性組成物は、建築・建設分野において、結露が生じ易い部分の断熱接着や断熱シーリングに好適なシーリング材や接着剤を提供することが可能となる。

Claims (10)

  1. 少なくとも架橋可能な加水分解性シリル基を有する有機重合体(a)と、空隙率が10%以上の充填材(b)とからなることを特徴とする硬化性組成物。
  2. 少なくとも架橋可能な加水分解性シリル基を含有する有機重合体(a)と、中空微粒子(c)とからなることを特徴とする硬化性組成物。
  3. 前記中空微粒子(c)は、中空部の体積の割合が50体積%以上である多孔質中空ポリマー粒子である請求項2に記載の硬化性組成物。
  4. 前記有機重合体(a)がビニル系重合体(a1)である請求項1〜3のいずれかに記載の室温硬化性組成物。
  5. 少なくとも架橋可能な加水分解性シリル基を有するポリエーテル系重合体(d)がさらに配合されている請求項4に記載の硬化性組成物。
  6. 前記ビニル系重合体(a1)が、過酸化物を重合開始剤として用いたラジカル重合により得られたビニル系重合体であることを特徴とする、請求項4または5に記載の硬化性組成物。
  7. 層状珪酸塩がさらに配合されている請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性組成物。
  8. 上記硬化性組成物の硬化物の熱伝導度が0.2W/m・K以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の硬化性組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の硬化性組成物からなることを特徴とするシーリング材。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載の硬化性組成物からなることを特徴とする接着剤。
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JP2019137770A (ja) * 2018-02-09 2019-08-22 横浜ゴム株式会社 硬化性樹脂組成物
JPWO2019156233A1 (ja) * 2018-02-09 2020-04-23 横浜ゴム株式会社 硬化性樹脂組成物
JPWO2019187701A1 (ja) * 2018-03-26 2020-07-02 横浜ゴム株式会社 硬化性樹脂組成物

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