JP2004107397A - 硬化性組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも架橋可能な加水分解性シリル基を有するビニル系重合体(a)と、アミノ基を有し、かつ2個のアルコキシ基がケイ素原子に結合したシラン化合物(c)と、グリシジル基を含有し、かつ2個のアルコキシ基がケイ素原子に結合したシラン化合物(d)とからなり、任意に架橋可能な加水分解性シリル基を有するポリエーテル系重合体及び/または層状珪酸塩を含む硬化性組成物。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、大気中の湿気と反応してゴム状に硬化する硬化性組成物に関し、特に、シーリング材や弾性接着剤として有用な硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、末端に架橋性シリル基を有する有機重合体を用いた湿気硬化型の硬化性組成物が種々提案されている。上記有機重合体としては、ポリオキシプロピレン系あるいはビニル系重合体を用いたものが知られている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、末端に架橋性シリル基を有するビニル系重合体を用いた硬化性組成物が開示されている。ここでは、下記の一般式(1)で示される架橋性シリル基を末端に有するビニル系重合体が用いられている。
【0004】
【化1】
【0005】
式中、R3及びR4は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基、または(R′)3Si−(但し、R′は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個のR′は同一であってもよく、異なってもよい。)で示されるトリオルガノシロキシ基を有し、R3またはR4が2個以上存在する時、それらは同一であってもよく、異なってもよい。Yは水酸基または加水分解性基を示し、Yが2個以上存在する時、これらは同一であってもよく、異なってもよい。aは0,1,2または3を、bは0,1または2を示す。mは0〜19の整数。但し、a+mb≧1であることを満足するものとする。
【0006】
他方、特許文献2には、主鎖が本質的にポリアルキレンオキサイドであり、かつ末端に架橋可能な加水分解性シリル基を含有する重合体100重量部と、アミノ基を有し、かつ2個のアルコキシ基がケイ素原子に結合したシラン化合物0.1〜3重量部と、グリシジル基を含有し、かつ2個のアルコキシ基がケイ素原子に結合したシラン化合物0.1〜3重量部とからなる硬化性組成物が開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−80571号公報
【特許文献2】
特許第3105130号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に開示されている硬化性組成物では、上記のように末端に加水分解性シリル基を有するビニル系重合体に、必要に応じて、縮合触媒、各種充填剤、可塑剤、垂れ防止剤、物性調整剤としてのシランカップリング剤などを配合してもよい旨が記載されている。しかしながら、実施例としては、架橋性シリル基を有するポリ(アクリル酸ブチル)と硬化触媒とを含む組成物、末端にシリル基を有するポリ(アクリル酸ブチル)にジブチル錫ジメトキシドを配合してなる硬化性組成物のみが示されている。
【0009】
この先行技術に記載の硬化性組成物は、大気中の湿気と反応して硬化する。また、シランカップリング剤などの接着剤付与剤を添加することにより、通常の被着体に対して十分な接着性を有する。しかしながら、フッ素鋼板のような難接着性の被着体に対しては、十分な接着力を得ることはできないという問題があった。
【0010】
他方、特許文献2に記載の硬化性組成物では、フッ素鋼板のような難接着性の被着体に対しても十分な接着力が発現する。しかしながら、この先行技術に記載の硬化性組成物では、耐候性が十分でないという問題があった。
【0011】
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、フッ素鋼板などの難接着性の被着体にも十分な接着力を発現し、かつ硬化物の耐候性に優れた硬化性組成物を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本願の第1の発明は、少なくとも架橋可能な加水分解性シリル基を含有するビニル系重合体(a)と、アミノ基を有し、かつ2個のアルコキシ基がケイ素原子に結合したシラン化合物(c)と、グリシジル基を含有し、かつ2個のアルコキシ基がケイ素原子に結合したシラン化合物(d)とからなる硬化性組成物である。
【0013】
第1の発明においては、好ましくは、上記ビニル系重合体(a)100重量部に対し、アミノ基を有し、かつ2個のアルコキシ基がケイ素原子に結合したシラン化合物(c)が、0.1〜10重量部、グリシジル基を含有し、かつ2個のアルコキシ基がケイ素原子に結合したシラン化合物(d)が、0.1〜10重量部の割合で配合される。
【0014】
第1の発明に係る硬化性組成物では、上記ビニル系重合体(a)に加えて、少なくとも架橋可能な加水分解性シリル基を含有するポリエーテル系重合体(b)がさらに配合される。
【0015】
第1の発明に係る硬化性組成物では、好ましくは、層状珪酸塩がさらに配合される。
上記層状珪酸塩は、ビニル系重合体(a)100重量部に対し、あるいはビニル系重合体(a)及びポリエーテル系重合体(b)の合計100重量部に対し、0.1〜100重量部の割合で配合されることが好ましい。
【0016】
本願の第2の発明は、少なくとも末端に架橋可能な加水分解性シリル基を含有するポリエーテル系重合体100重量部、アミノ基を有し、かつ2個のアルコキシ基がケイ素原子に結合したシラン化合物0.1〜3重量部、グリシジル基を含有し、かつ2個のアルコキシ基がケイ素原子に結合したシラン化合物0.1〜3重量部及び層状珪酸塩0.1〜10重量部からなることを特徴とする。
【0017】
本発明に係るシーリング材は、本発明に係る硬化性組成物からなることを特徴とする。
本発明に係る接着剤は、本発明に係る硬化性組成物からなることを特徴とする。
【0018】
以下、本発明の詳細を説明する。
(第1の発明)
第1の発明で用いられる、少なくとも架橋可能な加水分解性シリル基を有するビニル系重合体(a)とは、例えば、1)架橋可能な加水分解性シリル基を有する開始剤を用いて重合を開始する方法、2)架橋可能な加水分解性シリル基を有する連鎖移動剤を用いる方法、3)架橋可能な加水分解性シリル基を有する共重合性モノマーを用いる方法により得ることができる。なお、上記ビニル系重合体は、主鎖及び側鎖にモノマー全体の50%以下の範囲でウレタン結合あるいはシロキサン結合からなる単位を含んでいてもよい。
【0019】
ビニル系重合体(a)を製造する際に用いられるビニルモノマーとしては特に限定されないが、その具体例としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、α−エチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ビニルモノマーに含まれる東亜合成化学工業(株)製のアロニクスM−5700、東亜合成化学工業(株)のマクロモノマーであるAS−6、AN−6、AA−6、AB−6、AK−5、ダイセル化学工業(株)製のPlaccel FA−1、Placcel FM−1、Placcel FM−4、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル類などのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル類とリン酸もしくはリン酸エステル類との縮合生成物たるリン酸エステル基含有ビニル系化合物;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、スチレンスルホン酸、4−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族炭化水素系ビニル系化合物;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸、それらの塩(アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩など)、それらの酸無水物(無水マレイン酸など)またはそれらと炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコールとのジエステルまたはハーフエステルなどの不飽和カルボン酸のエステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ジアリルフタレートなどのビニルエステルやアリル化合物;ビニルピリジン、アミノエチルビニルエーテルなどのアミノ基含有ビニル系化合物;イタコン酸ジアミド、クロトン酸アミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸ジアミド、N−ビニルピロリドンなどのアミド基含有ビニル系化合物;2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、メチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、フルオロオレフィンマレイミド、N−ビニルイミダゾール、ビニルスルホン酸などのその他のビニル系化合物が挙げられる。
【0020】
これらのビニル系モノマーは単独で用いてもよく、また2種以上併用してもよい。これらのビニル系モノマーを用いて、例えば、以下のような合成を行なうことにより、重合体が得られる。
【0021】
(1)特開昭54−36395号公報に記載されているように、アリル基を有する(メタ)アクリル基エステル系共重合体をVIII族遷移金属の存在下で、下記の一般式(2)で表わされるヒドロシリコン化合物と反応させる方法。
【0022】
【化2】
【0023】
式中、Rは1価の炭化水素基及びハロゲン化された1価の炭化水素基の中から選ばれた基、aは0、1または2をそれぞれ示し、Xは、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基及びケトキシメート基より選ばれた基または原子を示す。
【0024】
(2)特開昭57−179210号公報に記載されているように、ビニルモノマーを、アルコキシシリル基を含有するアルキル(メタ)アクリレート及びメルカプト基を含有する連鎖移動剤の存在下で共重合させる方法。
【0025】
(3)特開昭59−78222号公報に記載されているように、ビニルモノマーを、2官能ラジカル重合性化合物及び連鎖移動剤としてのアルコキシシリル基を含有するメルカプタンの存在下で共重合させる方法。
【0026】
(4)特開昭60−23405号公報に記載されているように、ビニルモノマーを、重合開始剤としてアルコキシシリル基を含有するアゾビスニトリル化合物を使用して重合する方法。
【0027】
(5)特開平11−130931号公報に記載されているように、リビングラジカル重合法により、ビニル系重合体を製造する方法。
これらの重合体の中でも、主鎖が(メタ)アクリル酸とアルキル基の炭素数が1〜12のアルキル(メタ)アクリレートからなる(メタ)アクリレート系共重合体が、柔軟性の点から好ましく、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸とアルキル基の炭素数が2〜8のアルキル(メタ)アクリレートからなる共重合体である。また、架橋可能な加水分解性シリル基としては、メトキシシリル基及びエトキシシリル基などのアルコキシシリル基が反応後有害な副生成物を生成しないので好適である。
【0028】
ビニル系重合体(a)の分子量は特に限定されないが、数平均分子量が好ましくは1万〜15万であって、分子量分布Mw/Mnが3.0以下のビニル系重合体(a)が、作業性と硬化物の伸びとのバランスに優れている点で好ましい。
【0029】
なお、加水分解性シリル基は、下記の一般式(3)で表される。
【0030】
【化3】
【0031】
(式中、R2は1価の炭化水素基、Yは加水分解性基、bは0,1,2の整数を意味する。Yとしてはアルコキシ基。)
第1の発明では、上記ビニル系重合体(a)に加えて、少なくとも末端に架橋可能な加水分解性シリル基を含有するポリエーテル系重合体(b)が配合されてもよい。ポリエーテル系重合体(b)を添加することにより、硬化物の耐水性を高めたり、シーリング材を構成した場合のゴム弾性を高めることができる。
【0032】
上記重合体(a)及び(b)を併用する場合、その配合割合は、ビニル系重合体(a)100重量部に対し、ポリエーテル系重合体(b)0.1〜200重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜100重量部である。
【0033】
ポリエーテル系重合体(b)の配合割合が0.1重量部未満では、接着性改善効果が小さくなることがあり、200重量部を越えると、耐候性が低くなることがあり、かつ接着性向上効果がそれ程高くならないからである。
【0034】
ポリエーテル系重合体(b)とは、主鎖が本質的にポリエーテルであり、かつ末端に架橋可能な加水分解性シリル基を含有する重合体(b)であって、主催が本質的に、一般式〔−(R−O)n−、式中のRは炭素数1〜4であるアルキレン基を示す。〕で表される化学的に結合された繰り返し単位を含み、かつ末端に架橋可能な加水分解性シリル基を含有する重合体をさす。また、ポリエーテル系重合体(b)は、主鎖がポリエーテルと(メタ)アクリル酸エステルとからなる共重合体であってもよい。
【0035】
上記重合体(b)は、例えば、末端にアリル基を有するポリエーテルをVIII族遷移金属の存在化で下記化学式(4)により表されるヒドロシラン化合物を反応させることによって合成される。
【0036】
【化4】
【0037】
(式中R1は1価の炭化水素基及びハロゲン化された1価の炭化水素基から選択される基、aは0、1または2の整数、Xはハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基及びケトキシメート基より選択される原子または基を意味する。)上記重合体(b)の主鎖であるポリエーテルとしては、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド等が挙げられるが、硬化性組成物の硬化物が耐水性に優れ、かつシーリング材としての弾性を確保できるという点でポリプロピレンオキサイドが好ましい。
【0038】
上記架橋可能な加水分解性シリル基としては、反応後有害な副生成物を生成しない物が好ましく、例えば、メトキシシリル基、エトキシシリル基等のアルコキシシリル基が挙げられる。
【0039】
ポリエーテル系重合体(b)の数平均分子量が小さくなると、硬化物の伸びが十分でなくなり、目地面に対する追従性が低下し、大きくなると硬化前の粘度が高くなり、配合工程の作業性が悪くなる。従って、好ましくは、数平均分子量は、4000〜30000であり、さらに好ましくは10000〜30000であり、かつ分子量分布は1.6以下が望ましい。
【0040】
上記ポリエーテル系重合体(b)としては、例えば、商品名「MSポリマー」(鐘淵化学工業社製)として、MSポリマーS−203、S−303など、商品名「サイリルポリマー」(鐘淵化学工業社製)として、サイリルSAT−200、SAT−350、SAT−400や、商品名「エクセスター」(旭硝子社製)として、エクセスターESS−3620、ESS−3430、ESS−2420、ESS−2410などが市販されている。
【0041】
第1の発明で用いられるシラン化合物(c)は、アミノ基を有し、かつ2個のアルコキシ基がケイ素原子に結合したものであり、例えば、N−〔(2−アミノエチル)アミノプロピル〕メチルジメトキシシラン、N−〔(3−メチルジメトキシシリル)プロピル〕ジエチレントリアミン、N−〔(3−メチルジメトキシシリル)プロピル〕トリエチレンテトラミン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
【0042】
上記シラン化合物(c)のケイ素原子に結合するアルコキシ基の数は2である。アルコキシ基の数が1では十分な接着性が得られず、また3以上では硬化物が固くなってしまい、十分な引っ張り物性が得られない。
【0043】
上記シラン化合物(c)が少なくなると十分な接着性が得られ難くなり、また多くなると室温硬化性が低下することがあるため、シラン化合物(c)の添加量は、好ましくは、重合体(a)100重量部に対して0.1〜10重量部であり、さらに好ましくは0.1〜5重量部である。
【0044】
第1の発明で用いられるシラン化合物(d)は、グリシジル基を有し、かつ2個のアルコキシ基がケイ素原子に結合したものであり、例えば、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(N−アリル−N−グリシジル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−グリシジル−N,N−ビス〔3−メチルジメトキシシリル)プロピル〕アミン等が挙げられる。
【0045】
上記シラン化合物(d)のケイ素原子に結合するアルコキシ基の数は2である。アルコキシ基の数が1では十分な接着性が得られず、また3以上では硬化物が固くなってしまい、十分な引っ張り物性が得られない。
【0046】
上記シラン化合物(d)が少なくなると、十分な接着性が得られ難くなり、また多くなると硬化性が低下することがあるため、添加量は、好ましくは、重合体(a)100重量部に対して0.1〜10重量部であり、さらに好ましくは0.1〜5重量部である。
【0047】
第1の発明に係る硬化性組成物では、好ましくは、上記のように層状珪酸塩がさらに配合される。
本発明で用いられる層状珪酸塩とは、層間に交換性陽イオンを有する珪酸塩鉱物を意味する。本発明で用いられる層状珪酸塩としては特に限定されず、例えば、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイト等のスメクタイト系粘土鉱物、バーミキュライト、ハロイサイト、膨潤性マイカ等が挙げられる。中でも、モンモリロナイト、膨潤性マイカが好ましい。上記層状珪酸塩は天然物または合成物のいずれであってもよく、これらの1種または2種以上を用い得る。
【0048】
上記層状珪酸塩としては、下記式により定義される形状異方性効果が大きいスメクタイト類や膨潤性マイカを用いることが、硬化性組成物の機械強度向上やガスバリヤ性向上の点からより好ましい。なお、層状珪酸塩の結晶表面(A)及び結晶端面(B)を図1に模式的に示す。
【0049】
形状異方性効果=結晶表面(A)の面積/結晶端面(B)の面積
図2に示すように、上記層状珪酸塩の層間に存在する交換性陽イオンとは、結晶表面上のナトリウム、カルシウム等のイオンであり、これらのイオンは、カチオン性物質とイオン交換性を有するので、カチオン性を有する種々の物質を上記層状珪酸塩の層間に捕捉(インターカレート)することができる。
【0050】
上記層状珪酸塩の陽イオン交換容量としては特に限定されないが、50〜200ミリ等量/100gであるのが好ましい。50ミリ等量/100g未満であると、イオン交換により結晶層間に捕捉(インターカレート)できるカチオン性界面活性剤の量が少なくなるので、層間が十分に非極性化されないことがある。一方、200ミリ等量/100gを超えると、層状珪酸塩の層間の結合力が強固となり、層状珪酸塩の各層を構成している結晶薄片間の距離を増大し難くなることがある。
【0051】
上記層状珪酸塩は、ベース樹脂100重量部に対して、0.1〜100重量部配合され、さらに好ましくは0.5〜50重量部、特に好ましくは1〜10重量部である。0.1重量部未満では硬化物の耐候性向上や難燃化などの作用が発現され難く、10重量部を越えると、硬化性組成物の粘度が高くなり作業性、生産性が低下することがある。
【0052】
なお、ベース樹脂とは、上記ビニル系重合体(a)、あるいは上記ビニル系重合体(a)と必要に応じて添加されるポリエーテル系重合体(b)の合計である。
【0053】
上記層状珪酸塩は、広角X線回折測定法により測定した(001)面の平均層間距離が3nm以上であり、5層以下で存在しているものを含んで分散しているものが好ましい。平均層間距離が3nm以上であり、5層以下で分散していると、硬化性組成物の耐候性、難燃性の性能発現に有利となる。
【0054】
なお、本明細書において、層状珪酸塩の平均層間距離とは、微細薄片状結晶を層とした場合の平均の層間距離であり、X線回折ピーク及び透過型電子顕微鏡撮影により、すなわち、広角X線回折測定法により算出できるものである。3nm以上に層間が開裂し、5層以下で存在しているものを含んで分散している状態は、層状珪酸塩の積層体の一部または全てが分散していることを意味しており、層間の相互作用が弱まっていることによる。
【0055】
さらに、層状珪酸塩の平均層間距離が6nm以上であると、難燃性、機械物性、耐熱性等の機能発現に特に有利である。平均層間距離が6nm以上であると、層状珪酸塩の結晶薄片層が層毎に分離し、層状珪酸塩の相互作用がほとんど無視できるほどに弱まるので、層状珪酸塩を構成する結晶薄片の樹脂中での分散状態が剥離安定化の方向に進行する。すなわち、層状珪酸塩が1枚づつ薄片状に乖離した状態で硬化性組成物中に安定化されて存在することとなる。
【0056】
層状珪酸塩の分散状態としては、ベースとなる樹脂中において層状珪酸塩の薄片状結晶が高度に分散していることが好ましい。より具体的には、層状珪酸塩の10重量%以上が5層以下で存在している状態に分散されていることが好ましく、より好ましくは、層状珪酸塩の20重量%以上が5層以下の状態で存在していることが望ましい。さらに、分散している薄片状結晶の積層数が5層以下であれば、層状珪酸塩の添加による効果が良好に得られるが、3層以下であればより好ましく、単層状に分散していることがさらに望ましい。
【0057】
本発明の層状珪酸塩は、4級アンモニウム塩で処理されてなる層状珪酸塩であることが好ましい。4級アンモニウム塩で処理することにより、層状珪酸塩の上記ビニル系重合体(a)またはビニル系重合体(a)及び(b)からなるベース樹脂中への分散性を向上させることができるからである。また、4級アンモニウム塩は上記有機重合体の架橋反応に対する触媒作用があることが知られており、層状珪酸塩と共に上記ベース樹脂中に分散することにより分散性の向上と共に硬化速度を促進させることも可能となる。
【0058】
上記4級アンモニウム塩としては、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、トリオクチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウム塩、ジ硬化牛脂ジメチルアンモニウム塩、ジステアリルジベンジルアンモニウム塩、N−ポリオキシエチレン−N−ラウリル−N,N−ジメチルアンモニウム塩等が挙げられ、これらの4級アンモニウム塩は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。上記の中でも、良好な分散性が得られることから、炭素数6以上のアルキル鎖またはポリオキシアルキレン鎖を有する4級アルキルアンモニウムイオン塩が好ましい。
【0059】
層状珪酸塩の分散には各種攪拌機を用いることができるが、分散しにくい場合には3本ロール等の高剪断がかかる装置を用いて分散を行うと所望の分散状態を得やすい場合がある。
【0060】
第1の発明に係る硬化性組成物には、上記の成分以外に、硬化触媒、シランカップリング剤、可塑剤、脱水剤、垂れ防止剤、充填剤等が適宜添加されていてもよい。
【0061】
上記硬化触媒は湿気硬化反応を促進する目的で添加される。上記硬化触媒としては、例えば、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネートなどのチタン酸エステル類、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレエート、オクチル酸錫、ナフテン酸錫等の錫カルボン酸塩類、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルの反応物、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合物類、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート等のキレート化合物類、オクチル酸鉛等が挙げられる。上記硬化触媒は1種のみが用いられてもよく、あるいは2種以上併用されてもよい。
【0062】
上記硬化触媒が少なくなると硬化速度が低下し、また多くなると硬化速度が速くなりすぎて作業性が低下するため、添加量は重合体(a)100重量部または重合体(a)及び(b)の合計100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましい。
【0063】
上記シランカップリング剤は、引っ張り物性を調整する目的で添加される。この例としては、1分子中にシラノール基を1個有するシリコン化合物が挙げられ、例えば、トリフェニルシラノール、トリアルキルシラノール、ジアルキルフェニルシラノール、ジフェニルアルキルシラノール等が挙げられる。
【0064】
同様に、加水分解して1分子中にシラノール基を1個有する化合物を生成するシリコン化合物も有効である。例えば、トリフェニルメトキシシラン、トリアルキルメトキシシラン、ジアルキルフェニルメトキシシラン、ジフェニルアルキルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、トリアルキルエトキシシラン等が挙げられる。上記シランカップリング剤は1種のみが用いられてもよく、あるいは2種類以上併用されてもよい。
【0065】
上記可塑剤は硬化後の伸び物性を高めたり、低モジュラス化する目的で添加される。上記可塑剤として、例えば、リン酸トリブチル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル、フタル酸ジオクチル等のフタル酸エステル、グリセリンモノオレイン酸エステル等の脂肪酸一塩基酸、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジオクチル等の脂肪酸二塩基酸エステル等が挙げられる。上記可塑剤は単独または2種類以上併用してもよい。
【0066】
上記脱水剤は保存中における水分除去の目的で添加される。上記脱水剤として、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等のシラン化合物、及びオクタデシルイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、p−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、リシンエステルトリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートオクタン等のイソシアネート化合物が挙げられる。上記脱水剤は単独または2種類以上併用してもよい。
【0067】
上記脱水剤が少なくなると、貯蔵時に増粘しゲル化することから貯蔵安定性が低下し、また多くなると施工後の硬化時間が長くなるため、添加量は重合体(a)100重量部または重合体(a)及び(b)の合計100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましい。
【0068】
上記垂れ防止剤は被着体への塗布時における垂れ防止の目的で添加される。上記垂れ防止剤としては、例えば、水添ヒマシ油誘導体、脂肪酸アマイドワックス、ステアリル酸アルミニウム、ステアリル酸バリウム等が添加されてもよい。上記垂れ防止剤は単独または2種類以上併用しもよい。
【0069】
上記充填剤は硬化物の補強の目的で添加される。上記充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、含水珪酸、無水珪酸、珪酸カルシウム、シリカ、二酸化チタン、クレー、タルク、カーボンブラック、顔料等が挙げられる。上記充填剤は単独または2種類以上併用してもよい。
【0070】
また、第1の発明に係る硬化性組成物では、耐候性を高めるために、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤のような紫外線吸収剤及びヒンダードアミンなどの光安定剤が配合されてもよい。加えて、用途に応じて、顔料や難燃剤等が添加されてもよい。
【0071】
紫外線吸収剤及び光安定剤が配合されている場合、耐候性が高められるが、上述した通り、層状珪酸塩がさらに配合されている場合には、層状珪酸塩自体による紫外線吸収作用による耐候性向上効果だけでなく、層状珪酸塩によって紫外線吸収剤及び光安定剤のブリードアウトが抑制され、より一層耐候性を高めることができる。
【0072】
(第2の発明)
第2の発明における、少なくとも末端に架橋可能な加水分解性シリル基を含有するポリエーテル系重合体とは、第1の発明におけるポリエーテル系重合体(b)と同様である。従って、第1の発明の説明を援用することとする。
【0073】
第2の発明では、上記ポリエーテル系重合体100重量部に対し、第1の発明で用いられたシラン化合物(c)が0.1〜3重量部、シラン化合物(d)が0.1〜3重量部配合されているため、フッ素鋼板などの接着性の被着体に対する接着力が高められる。
【0074】
第2の発明において、シラン化合物(c)の配合割合が上記範囲より少ない場合には、十分な接着性が得られず、多くなると、室温硬化性が低下する。
他方、シラン化合物(d)の配合割合が上記割合より少ない場合には、同様に十分な接着性が得られず、多くなると硬化性が低下する。
【0075】
第2の発明では、さらに、層状珪酸塩が上記重合体100重量部に対し0.1〜10重量部の割合で配合されている。層状珪酸塩の配合割合は0.1重量部未満の場合には、耐候性が十分に高められず、10重量部を超えると、組成物の粘度が高くなり、配合工程における作業性が低下し、かつコストが高くつく。
【0076】
第2の発明に係る硬化性組成物では、上記重合体100重量部に対し、シラン化合物(c)及びシラン化合物(d)がそれぞれ0.1〜3重量部の割合で配合されているため、難接着性の被着体に対する接着力が十分に高められるとともに、層状珪酸塩が上記特定の割合で配合されているため、耐候性が著しく改善される。
【0077】
第2の発明においても、第1の発明と同様に、上記必須成分以外に、硬化触媒、シランカップリング剤、可塑剤、脱水剤、垂れ防止剤及び充填剤等が適宜添加されてもよい。
【0078】
さらに、第2の発明においても、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤のような公知の紫外線吸収剤やヒンダードアミンのような光安定剤が配合されてもよく、それによって耐候性をより一層高めることができる。また、第2の発明においても、層状珪酸塩が上記特定の割合で配合されているため、紫外線吸収剤及び光安定剤のブリードアウトが防止され、それによってより一層耐候性が高められる。
【0079】
なお、第2の発明に係る硬化性組成物においても、用途に応じて顔料や難燃剤などが適宜添加されていてもよい。
【0080】
【発明の実施の形態】
〔第2の発明の実施例及び比較例〕
(実施例1,2及び比較例1〜6)
架橋性シリル基含有モノマーを用いた架橋性シリル基を有するポリ(アクリル酸−n−ブチル)の合成(ビニル系重合体(a))
特開平11−100433号公報に記載の比較合成例1と同様にして行った。
【0081】
トルエン400g、アクリル酸ブチル385g、メタクリル酸メチルジメトキシプロピル15g及びアゾビスイソブチロニトリル6gを1Lフラスコ中で窒素バブリングしながら105℃で7時間重合した。トルエンを留去することにより架橋性シリル基を有するポリ(アクリル酸−n−ブチル)が得られた。この重合体aの粘度は74Pa・s(23℃)であり、数平均分子量はGPC測定(ポリスチレン換算)により8500、分子量分布は2.5であった。また、1H−NMR分析より求めた重合体aの1分子当りの平均の水酸基の個数は1.4であった。
【0082】
表1に示した配合組成に従って、重合体(b)として、旭硝子社製、商品名「エクセスター2410」(分子量17000、分子量分布1.4)を使用し、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製、商品名「TSL834」、化合物(c))、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学社製、商品名「KBM−403」、化合物(d))、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東芝シリコーン、商品名「TSL8350」)、層状珪酸塩(コープケミカル社製、商品名「ソマシフMPE−100」、ポリオキシプロピレンジエチル4級アンモニウム塩で有機処理した潤滑性フッ素雲母)、紫外線吸収剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製、商品名「チヌビン327」)、光安定剤(三共社製、商品名「サノール15770」)、顔料(日本ピグメント社製、商品名「NV−6−2129」)、可塑剤としてジオクチルフタレート、脱水剤としてビニルトリメトキシシラン、硬化触媒としてジブチル錫ジラウレート、炭酸カルシウム及び酸化チタンを大気中の水分の浸入がないように密封された混合撹拌機中で均一に混練撹拌することにより、硬化性組成物を得た。
【0083】
また表1の配合割合は全て重量部である。
上記のようにして得られた各硬化性組成物の引っ張り接着性試験及び耐候性試験を下記の要領で行った。
【0084】
(引っ張り接着性試験)
硬化性組成物を、JIS A5758に準拠して2枚のアルミニウム板またはフッ素鋼板の間に、接着面積50mm×12mm、厚み12mmとなるようにスペーサーを用いて充填し、H型テストサンプルを作製した。しかる後、23℃及び相対湿度60%の恒温恒湿内において2週間養生した後、30℃の恒温室内で2週間養生し、しかる後50mm/分の速度で引っ張り試験を行った。結果を下記の表1に示す。
【0085】
(耐候性試験)
各硬化性組成物を50mm×150mm(厚み1mm)のステンレス板に厚み0.5mmとなるように塗布し硬化養生した後、下記の条件で光照射を300時間行ない、表面状態を目視観察により評価した。
【0086】
・光照射条件
試験装置:岩崎電気社製アイスーパーUVテスター「SUV−F11型」
UV強度:100mW/cm2
限定波長:295nm〜450nm
ブラックパネル温度:63℃
照射距離:235mm(光源と試料間)
また、接着剤に顔料(NV−6−2129、日本ピグメント社製)を下記の表1に示す割合で配合した。1mm厚のアルミニウム板上に、硬化性組成物を厚み0.1mm厚に塗布し、20℃及び相対湿度55%の相対湿度で14時間養生し、耐候性試験片を得た。この試験片を、サンシャインウエザロメーターで4000時間照射し、照射前後の表面を観察した。観察は、クラックの有無及び色彩について行い、照射前後の色差(ΔE)として耐候性を評価した。ΔEが小さいほど耐候性に優れていることを示す。
【0087】
【表1】
【0088】
【発明の効果】
第1の発明に係る硬化性組成物では、少なくとも架橋可能な加水分解性シリル基を含有するビニル系重合体(a)と、アミノ基を有し、かつ2個のアルコキシ基がケイ素原子に結合したシラン化合物(c)と、グリシジル基を含有し、かつ2個のアルコキシ基がケイ素原子に結合したシラン化合物(d)とからなるため、室温にて大気中の水分と反応してゴム状の硬化物を与える。この硬化物は、アルミニウムからなる被着体だけでなく、フッ素鋼板などの難接着性の被着体に対しても高い接着性を発現する。加えて、硬化物自体が十分なゴム弾性を有する。また、上記ビニル系重合体(a)は、主鎖が本質的にポリオキシアルキレン重合体からなるポリエーテル系重合体(b)に比べて、耐候性に優れた硬化物を与える。従って、硬化物の耐候性も高められる。
【0089】
上記硬化性組成物を密封容器に保存した場合、硬化は進行せず、容器から取り出し、大気中に放置することにより硬化が進行するため、建造物、自動車、船舶、土木工事などの弾性シーリング剤として好適な硬化性組成物を提供することができる。さらに、注型ゴム、型取り部材、塗料あるいは接着剤としても第1の発明に係る硬化性組成物を好適に用いることができる。
【0090】
第1の発明において、ビニル系重合体(a)100重量部に対し、シラン化合物(c)及びシラン化合物(d)が、それぞれ、0.1〜3重量部の割合で配合されている場合には、硬化物の接着力がより一層高められる。
【0091】
第1の発明において、ビニル系重合体(a)に加えて、ポリエーテル系重合体(b)が配合されている場合には、硬化物のゴム弾性や耐水性を高めることができる。
【0092】
第1の発明において、層状珪酸塩がさらに配合されている場合には、層状珪酸塩の作用により、硬化物の耐候性が効果的に高められる。
層状珪酸塩が、ビニル系重合体(a)100重量部、あるいはビニル系重合体(a),(b)の合計100重量部に対し、0.1〜10重量部の割合で配合されている場合には、硬化性組成物の耐候性を確実に高めることができるとともに、配合工程の作業性の低下やコストの上昇を抑制することができる。
【0093】
第1の発明の硬化性組成物が、紫外線吸収剤及び光安定剤を含んでいる場合には、それによって耐候性が高められ、特に層状珪酸塩が併用されている場合には、硬化物の耐候性をより一層高めることができる。
【0094】
第2の発明に係る硬化性組成物は、重合体(b)100重量部に対し、シラン化合物(c)及びシラン化合物(d)を0.1〜3重量部配合されており、かつ層状珪酸塩が0.1〜10重量部の割合で配合されているため、フッ素鋼板などの難接着性の被着体に対する接着力が十分に高められるだけでなく、層状珪酸塩の配合により硬化物の耐候性が効果的に高められる。
【0095】
第2の発明においても、紫外線吸収剤及び光安定剤が配合されている場合には、層状珪酸塩の作用によりこれらのブリードアウトが抑制され、耐候性がより一層高められる。従って、第1の発明と同様に、各種弾性シーリング剤や接着剤等に好適な硬化性組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】層状珪酸塩の薄片状結晶の結晶表面(A)及び結晶端面(B)を説明するための模式図。
【図2】層状珪酸塩の層間を模式的に示す図。
Claims (6)
- 少なくとも架橋可能な加水分解性シリル基を含有するビニル系重合体(a)と、アミノ基を有し、かつ2個のアルコキシ基がケイ素原子に結合したシラン化合物(c)と、グリシジル基を含有し、かつ2個のアルコキシ基がケイ素原子に結合したシラン化合物(d)とからなることを特徴とする硬化性組成物。
- ビニル系重合体(a)に加えて、少なくとも架橋可能な加水分解性シリル基を含有するポリエーテル系重合体(b)をさらに含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
- 層状珪酸塩がさらに配合されている請求項1または2に記載の硬化性組成物。
- 少なくとも末端に架橋可能な加水分解性シリル基を含有するポリエーテル系重合体100重量部、アミノ基を有し、かつ2個のアルコキシ基がケイ素原子に結合したシラン化合物0.1〜10重量部、グリシジル基を含有し、かつ2個のアルコキシ基がケイ素原子に結合したシラン化合物0.1〜10重量部及び層状珪酸塩0.1〜10重量部からなることを特徴とする硬化性組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性組成物からなることを特徴とするシーリング材。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性組成物からなることを特徴とする接着剤。
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