JP2004292236A - 層状珪酸塩、硬化性組成物、シーリング材及び接着剤 - Google Patents
層状珪酸塩、硬化性組成物、シーリング材及び接着剤 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】合成樹脂等の分散媒体に分散され、分散媒体の耐候性を向上させる層状珪酸塩の提供。更に、大気中の湿気等と反応して硬化する硬化性組成物であってシーリング材、接着剤等に好適に用いることのできる耐候性に優れた硬化物を得ることのできる硬化性組成物、並びにこの硬化性組成物からなるシーリング材及び接着剤の提供。
【解決手段】光安定化効果を有する官能基を有する化合物で修飾してなる層状珪酸塩。架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体に、上記層状珪酸塩が分散された硬化性組成物。上記硬化性組成物を含むシーリング材。上記硬化性組成物を含む接着剤。
【選択図】 なし
【解決手段】光安定化効果を有する官能基を有する化合物で修飾してなる層状珪酸塩。架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体に、上記層状珪酸塩が分散された硬化性組成物。上記硬化性組成物を含むシーリング材。上記硬化性組成物を含む接着剤。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光安定化効果を有する層状珪酸塩に関し、さらに詳細には、硬化後の硬化物が耐候性に優れた硬化性組成物、並びに該硬化性組成物を用いたシーリング材及び接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
反応性シリル基を有する有機重合体をベースとした耐候性に優れたシーリング材組成物が、下記の特許文献1に開示されている。この先行技術に記載のシーリング材組成物では、反応性シリル基を有する有機重合体100重量部に対し、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びヒンダードフェノール系酸化防止剤がそれぞれ、0.3〜3重量部の割合で配合されている。
【0003】
しかしながら、上記シーリング材組成物を硬化させることにより得られたシーリング材の耐候性は、開示された実施例によれば、サンシャインウエザロメーターによる促進暴露試験で2000時間程度が限界であった。従って、上記シーリング材を、屋根構造体や外壁構造体などの屋外に露出する部分に用いるには更に耐候性の改善が望まれるものであった。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−287186号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、光安定化効果を有する層状珪酸塩、耐候性に優れた硬化物を得ることを可能とする硬化性組成物、並びに該硬化性組成物を用いたシーリング材及び接着剤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明は、光安定化効果を有する官能基を有する化合物で修飾してなる層状珪酸塩を提供する。
【0007】
また、請求項2記載の発明は、上記化合物が、水酸基と化学結合性又は化学親和性を有する官能基を有し、前記層状珪酸塩の結晶側面の水酸基と化学結合または親和結合にて結合されていることを特徴とする請求項1記載の層状珪酸塩を提供する。
【0008】
請求項3記載の発明は、上記化合物の水酸基と化学結合性又は化学親和性を有する官能基が、アルコキシ基、アルコキシシリル基、エポキシ基、カルボキシル基、水酸基、無水マレイン酸基、イソシアネート基、又はアルデヒド基のいずれかであることを特徴とする請求項2記載の層状珪酸塩を提供する。
【0009】
請求項4記載の発明は、光安定化効果を有する官能基が、ベンゾトリアゾール基、ベンゾフェノン基、ベンゾエート基、ピペリジル基のいずれかであることを特徴とする請求項1〜3いずれか一項に記載の層状珪酸塩を提供する。
【0010】
請求項5記載の発明は、有機重合体と、請求項1〜4いずれか一項に記載の層状珪酸塩とを含むことを特徴とする硬化性組成物を提供する。
【0011】
請求項6記載の発明は、架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体と、請求項1〜4いずれか一項に記載の層状珪酸塩とを含むことを特徴とする硬化性組成物を提供する。
【0012】
請求項7記載の発明は、架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体と、光安定剤と、請求項1〜4いずれか一項に記載の層状珪酸塩とを含むことを特徴とする硬化性組成物を提供する。
【0013】
請求項8記載の発明は、請求項6〜7いずれか一項に記載の硬化性組成物を含むことを特徴とするシーリング材を提供する。
【0014】
請求項9記載の発明は、請求項6〜7いずれか一項に記載の硬化性組成物を含むことを特徴とする接着剤を提供する。
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】
本発明でいう光安定化効果とは、主に紫外光領域、可視光領域の放射線曝露による劣化を妨げ、劣化による物性の低下、外観の変化等を遅らせる効果をいう。層状珪酸塩が分散される媒体に対する効果をいう。上記媒体とは有機、無機であってもよいが、特に架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体であってシーリング材、接着剤等用の硬化性組成物に用いられる重合体に対する光安定化効果あることが好ましい。
【0017】
本発明でいう光安定化効果を有する官能基とは、媒体の光劣化に対する光安定化効果を有する官能基をいう。特に限定されるものではないが、ベンゾトリアゾール基、ベンゾフェノン基、ベンゾエート基、ピペリジル基等が光安定化力が比較的強いため好ましく用いられる。
【0018】
本発明でいう光安定化効果を有する官能基を有する化合物とは、光安定化効果を有する官能基を有する化合物、オリゴマー、ポリマー等の化学物質をいう。
【0019】
本発明でいう化合物で修飾するとは、化合物の分子中に含まれる官能基と層状珪酸塩の水酸基とが化学結合性又は化学親和性により結合していることであり、結合の形態は特に限定されず、例えば、共有結合、イオン結合、配位結合等の比較的強い結合のみならず親和力による比較的弱い結合等が含まれる。強固に結合させる場合には化学結合により修飾することが好ましい。
【0020】
本発明で用いられる層状珪酸塩とは、層間に交換性陽イオンを有する珪酸塩鉱物を意味し、通常厚さが約1nm、平均アスペクト比がおよそ20〜200程度の微細な薄片状結晶がイオン結合により凝集してなるものである。
本発明で用いられる層状珪酸塩としては特に限定されず、例えば、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイト等のスメクタイト系粘土鉱物、バーミキュライト、ハロイサイト、膨潤性マイカ等が挙げられる。なかでも、モンモリロナイト、膨潤性マイカが好ましい。上記層状珪酸塩は天然物または合成物のいずれであってもよく、これらの1種または2種以上を用い得る。
【0021】
上記層状珪酸塩としては、下記式により定義される形状異方性効果が大きいスメクタイト類や膨潤性マイカを用いることが、硬化性組成物の耐候性効果上及び機械強度向上やガスバリヤ性向上の点からもより好ましい。なお層状珪酸塩の結晶表面(A)及び結晶側面(B)を図1に模式的に示す。
形状異方性効果=結晶表面(A)の面積/結晶側面(B)の面積
【0022】
上記層状珪酸塩の層間に存在する交換性陽イオンとは、結晶表面上のナトリウム、カルシウム等のイオンであり、これらのイオンは、カチオン性物質とイオン交換性を有するので、カチオン性を有する種々の物質を上記層状珪酸塩の層間に捕捉(インターカレート)することができる。
【0023】
上記層状珪酸塩の陽イオン交換容量としては特に限定されないが、50〜200ミリ当量/100gであるのが好ましい。50ミリ当量/100g未満であると、イオン交換により結晶層間に捕捉(インターカレート)できるカチオン性界面活性剤の量が少なくなるので、層間が十分に非極性化されないことがある。一方、200ミリ当量/100gを超えると、層状珪酸塩の層間の結合力が強固となり、結晶薄片が剥離し難くなることがある。
【0024】
上記層状珪酸塩は、広角X線回折測定法により測定した(001)面の平均層間距離が3nm以上であり、5層以下で存在しているものを含んで分散しているものが好ましい。平均層間距離が3nm以上であり、5層以下で分散していると、硬化性組成物の耐候性、難燃性の性能発現に有利となる。
【0025】
なお、本明細書において、層状珪酸塩の平均層間距離とは、微細薄片状結晶を層とした場合の平均の層間距離であり、X線回折ピーク及び透過型電子顕微鏡撮影により、すなわち、広角X線回折測定法により算出できるものである。3nm以上に層間が開裂し、5層以下で存在しているものを含んで分散している状態は、層状珪酸塩の積層体の一部または全てが分散していることを意味しており、層間の相互作用が弱まっていることによる。
【0026】
さらに、上記層状珪酸塩の平均層間距離が6nm以上であると、難燃性、機械物性、耐熱性等の機能発現に特に有利である。平均層間距離が6nm以上であると、層状珪酸塩の結晶薄片層が層毎に分離し、層状珪酸塩の相互作用がほとんど無視できるほどに弱まるので、層状珪酸塩を構成する結晶薄片の硬化性組成物中での分散状態が剥離安定化の方向に進行する。すなわち、層状珪酸塩が1枚ずつ薄片状に乖離した状態で硬化性組成物中に安定化されて存在することとなる。
【0027】
上記層状珪酸塩の分散状態としては、上記有機重合体中で、層状珪酸塩の10重量%以上が5層以下で存在している状態に分散されていることが好ましく、より好ましくは、層状珪酸塩の20重量%以上が5層以下の状態で存在していることが望ましい。さらに、分散している薄片状結晶の積層数が5層以下であれば、層状珪酸塩の添加による効果が良好に得られるが、3層以下であればより好ましく、単層状に分散していることがさらに望ましい。
【0028】
このため、本発明の層状珪酸塩は、層状珪酸塩の層間に存在する上記交換性陽イオンを、カチオン系界面活性剤によってカチオン交換して有機処理化した有機化層状珪酸塩を用いることが好ましい。
【0029】
カチオン系界面活性剤については、特に限定されるものではないが、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩等が挙げられ、好ましくは炭素数8以上のアルキル鎖を有する4級アンモニウム塩が用いられる。炭素数が8以上のアルキル鎖を含有しない場合には,アルキルアンモニウムイオンの親水性が強く、層状珪酸塩の層間を十分に非極性化することが困難となる。
【0030】
上記4級アンモニウム塩としては、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニム塩、トリオクチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウム塩(以下、DSDMと略記する場合がある)、ジ硬化牛脂ジメチルアンモニウム塩、ジステアリルジベンジルアンモニウム塩等が挙げられる。
【0031】
上記4級ホスホニウム塩としては、例えば、ドデシルトリフェニルホスホニウム塩(DTPB)、メチルトリフェニルホスホニウム塩、ラウリルトリフェニルホスホニウム塩、ステアリルトリメチルホスホニウム塩、ジステアリルジメチルホスホニウム塩、ジステアリルジベンジルホスホニウム塩等が挙げられる。
【0032】
本発明において層状珪酸塩を化合物で修飾するとは、層状珪酸塩の結晶側面又は上面ないし下面にある化学結合性部分あるいは化学親和性を有しうる部分と、上記化合物の化学結合性もしくは化学親和性を有する官能基とが化学的に結合されることをいう。
【0033】
本発明の層状珪酸塩は前記化合物が、水酸基と化学結合性又は化学親和性を有する官能基を有することにより、前記層状珪酸塩の結晶薄片の側面の水酸基と化学結合または親和結合にて結合されている層状珪酸塩であることが好ましい。
【0034】
上記有機化層状珪酸塩の結晶側面の水酸基との化学結合性もしくは化学親和性を有する官能基は特に限定されないが、少なくとも水酸基との化学親和性を有する官能基である必要があり、アルコキシ基、アルコキシシリル基、エポキシ基、カルボキシル基、水酸基、無水マレイン酸基、イソシアネート基及びアルデヒド基のいずれかが比較的反応性が高いため好ましく用いられる。化合物中に複数の上記官能基を含んでいてもよい。
【0035】
層状珪酸塩の水酸基に対し化学結合性又は化学親和性を有する官能基を有する化合物としては、例えば、上記二つの官能基をともに有する化合物としては、シラン化合物、チタネート化合物、グリシジル化合物、カルボン酸類、アルコール類等が挙げられる。中でも、アルコキシシリル基を有する化合物が反応性が高いため好ましい。
【0036】
アルコキシシリル基を含有する化合物として、例えば、シランカップリング剤が挙げられ、アルコキシシリル基を有するシランカップリング剤は一般式(1)にて表すことが出来る。
【0037】
【化1】
【0038】
一般式(1)中、R1〜R4のうち少なくとも一つは、光安定化効果を有する官能基である、ベンゾトリアゾール基、ベンゾフェノン基、ベンゾエート基、ピペリジル基が光安定化効果が比較的強いため好ましく用いられる。
【0039】
上記化合物としては、2H−ベンゾトリアゾール−2−イル−トリメトキシシラン、2H−ベンゾトリアゾール−2−イル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、2H−ベンゾトリアゾール−2−イル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、(2−ヒドロキシ−4−ベンゾフェニル)トリメトキシシラン、(2−ヒドロキシ−4−ベンゾフェニル)トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、2−ヒドロキシ−4−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルトリメトキシシラン、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いても良いし、2種以上併用しても良い。
【0040】
これらの化合物は該当するアルキルアルコキシシランの一部を、光安定化効果を有する官能基で置換することにより製造することができる。
【0041】
本発明における層状珪酸塩は、耐候性を向上させる目的で有機重合体に添加して使用することが可能である。
上記有機重合体としては特に限定されず、架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも一個有する有機重合体、各種オレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル等のビニル系樹脂、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリサルファイド系樹脂、ポリエステル系樹脂樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂、フッソ系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、ゴム、エラストマー等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上が併用されてもよい。
【0042】
次に本発明における架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体につき説明する。
【0043】
本発明における架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体とは、シロキサン結合を形成することにより架橋し得る加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体であって、このシロキサン結合は例えば、珪素原子に結合した水酸基もしくは加水分解性基により形成される。
【0044】
珪素原子に結合した加水分解性基とは、例えば、水素、ハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、メルカプト基、アミノオキシ基、アルケニルオキシド基などが挙げられる。
上記加水分解性シリル基としては、メトキシシリル基やエトキシシリル基などのアルコキシシリル基が、反応後に有害な副生成物を生成しない点で、好ましく用いられる。
【0045】
上記シロキサン結合を形成することにより架橋し得る珪素含有基、すなわち架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体の主鎖は特に限定されず、ポリエーテル系重合体、ビニル系重合体、ポリエステル系重合体、ポリカーボネート系重合体、ポリオレフィン系重合体などが挙げられる。好ましくは、ポリエーテル系重合体及び/またはビニル系重合体からなるものであり、主鎖がポリエーテル系重合体部分及びビニル系重合体部分の双方を有していてもよい。
【0046】
以下、主鎖が本質的にポリエーテル系重合体からなる有機重合体(a)及び主鎖が本質的にビニル系重合体からなる有機重合体(b)を説明する。
【0047】
(主鎖がポリエーテル系重合体からなる有機重合体(a))
主鎖が本質的にポリエーテル系重合体からなり、加水分解性シリル基を有する有機重合体(a)の主鎖構造としては、例えばポリオキシエチレン重合体、ポリオキシプロピレン重合体、ポリオキシブチレン重合体が挙げられる。
【0048】
中でも、硬化性組成物の硬化物の耐水性が良く、かつシーリング材として用いた際に、より高い弾性を確保し得るという点で、ポリオキシプロピレン重合体が好ましい。
【0049】
上記有機重合体(a)の分子量が小さすぎると、硬化物の伸びが十分でなくなり、シーリング材として用いた際に、例えば、目地面に対する追従性が低下することがある。逆に、分子量が大きすぎると、硬化前の粘度が高くなりすぎて、各種添加剤を配合してシーリング材を調製する配合工程の作業性が低下することがある。
【0050】
そのため、数平均分子量が好ましくは1万〜3万であって、分子量分布Mw/Mn(重量平均分子量/数平均分子量)が1.6以下の有機重合体(a)が、作業性と硬化物の伸びとのバランスに優れているため好ましい。
【0051】
上記有機重合体(a)は、一般に変成シリコーンポリマーと呼ばれ、例えば、商品名「MSポリマー」(鐘淵化学工業社製)として、MSポリマーS−203、S−303など、商品名「サイリルポリマー」(鐘淵化学工業社製)として、サイリルSAT−200、SAT−350、SAT−400や、商品名「エクセスター」(旭硝子社製)として、エクセスターESS−3620、ESS−3430、ESS−2420、ESS−2410などが市販されている。
【0052】
(主鎖がビニル系重合体からなる有機重合体(b))
主鎖が本質的にビニル系重合体からなり、加水分解性シリル基を有する上記有機重合体(b)は、例えば、ビニルモノマーと加水分解性シリル基含有モノマーとを共重合することにより得られるが、主鎖または 鎖の一部として全体の50%以下の範囲でウレタン結合あるいはシロキサン結合からなる単位を含んでいてもよい。
【0053】
本発明で用いられる有機重合体(b)は、例えば以下のような方法により得られる。
【0054】
(1)特開昭54−36395号公報に記載されているように、炭素―炭素二重結合を有するビニル系樹脂と、下記の一般式(2)で表わされるヒドロシラン化合物とを第八族遷移金属の存在下で反応させる方法。
【0055】
【化2】
【0056】
式中R1は炭素数1〜10までのアルキル基、アリール基、アラルキル基より選ばれる1価の炭化水素基、Xはハロゲン、アルコキシ、アシロキシ、アミノキシ、フェノキシ、チオアルコキシ、アミノ基より選ばれる基、aは0〜2までの整数である。
【0057】
(2)特開昭57−179210号公報に記載されているように、ビニルモノマーを、アルコキシシリル基を含有するアルキル(メタ)アクリレート及びメルカプト基を含有する連鎖移動剤の存在下で共重合させる方法。
【0058】
(3)特開昭59−78222号公報に記載されているように、ビニルモノマーを、2官能ラジカル重合性化合物及び連鎖移動剤としてのアルコキシシリル基を含有するメルカプタンの存在下で共重合させる方法。
【0059】
(4)特開昭60−23405号公報に記載されているように、ビニルモノマーを、重合開始剤としてアルコキシシリル基を含有するアゾビスニトリル化合物を使用して重合する方法。
【0060】
(5)特開平11−130931号公報に記載されているように、リビングラジカル重合法により、ビニル系重合体を製造する方法。
【0061】
有機重合体(b)を製造する際に用いられるビニルモノマーとしては特に限定されないが、その具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−3−メチルブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチル2−ヒドロキシエチルフタル酸、2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチル2−ヒドロキシプロピルフタル酸、メチルジメトキシプロピル(メタ)アクリレート、
【0062】
【0063】
スチレン、インデン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、ジビニルベンゼンなどのスチレン誘導体;無水マレイン酸、N−ビニルピロリドン、N−ビニルモルフォリン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、安息香酸ビニル、珪皮酸ビニルなどのビニルエステル基を持つ化合物;n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、tert−アミルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、トリチレングリコールメチルビニルエーテル、安息香酸(4−ビニロキシ)ブチル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ブタン−1,4−ジオール−ジビニルエーテル、ヘキサン−1,6−ジオール−ジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−ジビニルエーテル、イソフタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、グルタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、コハク酸ジ(4−ビニロキシ)ブチルトリメチロールプロパントリビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシル、ビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−モノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル3−アミノプロピルビニルエーテル、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルビニルエーテル、ウレタンビニルエーテル、ポリエステルビニルエーテルなどのビニロキシ基を持つ化合物を挙げることができる。
【0064】
上記加水分解性シリル基を導入するための連鎖移動剤や共重合性モノマーの配合量は、ビニル系の重合性モノマー100重量部に対し、0.01〜20重量部であることが好ましく、さらに好ましくは、0.1〜5重量部である。
【0065】
本発明においては、アゾ系開始剤のものに比べ、硬化物の黄変が生じ難いため、上記ビニル系重合体(b)としては、過酸化物を重合開始剤として用いたラジカル重合法により得られたものが好ましく用いられる。重合開始剤として用いられる過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、イソノナノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシドなどのジアシルパーオキサイド類;ジイソプロピルパージカーボネート、ジ−sec−ブチルパージカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパージカーボネート、ジ−1−メチルヘプチルパージカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパージカーボネート、ジシクロヘキシルパージカーボネートなどのパーオキシジカーボネート類;tert−ブチルパーベンゾエート、tert−ブチルパーアセテート、tert−ブチルパー−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーイソブチレート、tert−ブチルパーピバレート、tert−ブチルパーアジペート、キュミルパーネオデカノエートなどのパーオキシエステル類;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類;ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジキュミルパーオキサイド、tert−ブチルキュミルパーオキサイド、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどのジアルキルパーオキサイド類;キュメンヒドロキシパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド類;などが挙げられる。上記過酸化物は1種のみが用いられてもよく、複数種併用されてもよい。さらに過酸化物は一度に添加されてもよく、複数回に渡って逐次添加されてもよい。
【0066】
具体的な商品としては、ビニルモノマーに含まれる東亜合成化学工業(株)製のアロニクスM−5700、東亜合成化学工業(株)のマクロモノマーであるAS−6、AN−6、AA−6、AB−6、AK−5、ダイセル化学工業(株)製のPlaccel FA−1、Placcel FM−1、Placcel FM−4などが挙げられる。
【0067】
これらの重合体の中でも、主鎖がアクリル酸とアルキル基の炭素数が1〜12のアルキル(メタ)アクリレートからなる(メタ)アクリレート系共重合体が、柔軟性の点から好ましく、さらに好ましくはアクリル酸とアルキル基の炭素数が2〜8のアルキル(メタ)アクリレートからなる共重合体である。また、架橋可能な加水分解性シリル基としては、メトキシシリル基及びエトキシシリル基などのアルコキシシリル基が反応後有害な副生成物を生成しないので好適である。
【0068】
有機重合体(b)の分子量は特に限定されないが、数平均分子量が好ましくは5000〜20万、さらに好ましくは1万〜6万であって、分子量分布Mw/Mnが1.6以下の有機重合体(b)が、作業性と硬化物の伸びとのバランスに優れているため好ましい。
【0069】
(有機重合体(a)及び有機重合体(b)の併用)
架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する、主鎖が本質的にポリエーテル系重合体からなる有機重合体(a)と、架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有し、主鎖が本質的にビニル系重合体からなる有機重合体(b)の双方を本発明において併用してもよい。有機重合体(a)及び(b)を併用することにより、硬化性組成物の硬化物の耐水性を高めたり、シーリング材を構成した場合のゴム弾性を高めることができる。
【0070】
有機重合体(a)及び(b)を併用する場合、その配合割合は、有機重合体(b)100重量部に対し、有機重合体(a)0.1〜200重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜100重量部である。
【0071】
有機重合体(a)の配合割合が0.1重量部未満では、接着性改善効果が小さくなることがあり、200重量部を越えると、耐候性が低くなることがあり、かつ接着性向上効果がそれ程高くならないからである。
【0072】
更に、上記主鎖がポリエーテル系とアクリル系からなる重合体の市販品としては、例えば鐘淵化学社製の商品名MSポリマーとしては、「MSX−908」、「MSX−911」、「MSX−943」等が挙げられ、同社製の商品名サイリルポリマーとしては、「サイリルMA−430」、「サイリルMA−447」等が挙げられる。
【0073】
架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体の硬化物の耐候性を付与するために光安定剤、紫外線吸収剤等が添加されるが、これらの比較的低分子量の添加剤は、長期間経過することにより材料表面にブリードアウトし、系からの散逸が徐々に生じ濃度が低下する。ここで光安定化効果を有する化合物を層状珪酸塩と化学結合もしくは親和結合させると、光安定効果を有する官能基が層状珪酸塩に固定され、層状珪酸塩はその大きさからブリードアウトしにくいため、系からの散逸が起こらず長期にわたっての耐候性を材料に付与することが可能となる。
【0074】
本発明における硬化性組成物は、架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体と、上記光安定化効果を有する官能基を有する化合物で修飾してなる層状珪酸塩とを含む。層状珪酸塩に結合した化合物中の光安定化効果を有する官能基が層状珪酸塩の分散された媒体の上記有機重合体に対し光安定化の作用を及ぼすため、硬化性組成物の硬化物が高い耐候性を有する。
【0075】
本発明の硬化組成物においては光安定硬化を有する官能基を有する化合物が層状珪酸塩と結合しており層状珪酸塩はその大きさから実質上ブリードアウトすることがない。したがって硬化物の光安定効果が長期持続するため高い耐候性を有する。
【0076】
上記本発明の層状珪酸塩は架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体100重量部に対し、0.1〜100重量部含まれていることが好ましい。0.1重量部未満では硬化物の耐候性向上や難燃化などの作用が発現され難く、100重量部を越えると、硬化性組成物の粘度が高くなり作業性、生産性が低下することがある。さらに好ましくは、0.5〜50重量部である。
【0077】
層状珪酸塩の分散には各種攪拌機を用いることができるが、分散しにくい場合には3本ロール等の高剪断がかかる装置を用いて分散を行うと所望の分散状態を得やすい場合がある。
【0078】
本発明の層状珪酸塩は、上述した光安定化効果を付与するものであるが、同時に、上記化合物によって、層状珪酸塩の結晶表面の水酸基を効率的に処理することが可能となるため層状珪酸塩の各結晶薄片をデラミネートしやすくなる。すなわち未処理の層状珪酸塩はその結晶側面にある水酸基のために水素結合しておりひきはがすのが困難であった。このため本発明により結晶側面(B)の水酸基を化学的に処理することにより層状珪酸塩の各結晶薄片が、分散しやすくなったのである。即ち、結晶薄片を引き剥がす(デラミネート)ための応力は、上記化学物質が層状結晶表面(A)上に存在する場合に比較してはるかに小さくて済む。
【0079】
本発明の硬化性組成物には、更に耐候性を向上させるためにさらに光安定剤や紫外線吸収剤が配合されていることが好ましい。層状珪酸塩と併用されることにより光安定剤や紫外線吸収剤が硬化性組成物内に長期にわたって保持されるため一層有効である。
【0080】
上記光安定剤、紫外線吸収剤は、上記有機重合体100重量部に対して、0.1〜20重量部配合されるのが好ましい。0.1重量部よりも少ないと耐候性の向上効果が不充分になることがあり、20重量部を越えるとシーリング材として重要な外観を損なうことがある。
【0081】
上記光安定剤としては特に限定されず、ヒンダードアミン系光安定剤が好ましく用いられる。ヒンダードアミン系光安定剤は一般に紫外線吸収剤と併用すると優れた効果がある。
【0082】
上記ヒンダードアミン系光安定剤(以下HALSともいう)としては例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート、ポリ[{6−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)イミノ}]等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、2種以上併用されてもよい。
【0083】
上記紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール基、ベンゾフェノン基を含む紫外線吸収剤が挙げられ、中でもベンゾトリアゾール基を含む紫外線吸収剤が紫外線吸収性能が高いという点で好ましい。
【0084】
ベンゾトリアゾール基を含むものには、2−〔5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール―2―イル〕―4―メチル―6―(tert−ブチル)フェノール、2,4―ジ―tert―ブチル―6―(5―クロロベンゾトリアゾール―2―イル)フェノールが例示される。ベンゾフェノン基を含むものには、2―ヒドロキシ―4―n―オクトキシベンゾフェノン、4,4′―ジメトキシ―2―ヒドロキシベンゾフェノンが例示される。ベンゾエート基を含むものには2,4―ジ―tert―ブチルフェニル―3,5―ジ―tert―ブチル―4―ヒドロキシベンゾエートが例示される。
【0085】
上記層状珪酸塩との併用による耐候性効果は、HALSのブリード防止効果が主であると考えられる。即ち層状珪酸塩が硬化物等の層状珪酸塩の分散媒体中でHALSと相互作用し、HALSが系から散逸するのを防いでいる為であると考えられる。
【0086】
また、この効果は紫外線吸収剤や光安定剤と併用することにより、それぞれを単独で配合するよりも顕著な効果を発揮することができる。
【0087】
無機物に比較してポリマー中では分子が遙に拡散しやすいため、本発明の硬化性組成物の硬化物中では別添された光安定剤、紫外線吸収剤等が含まれる場合においてもそれらが拡散する際には、層状珪酸塩を迂回しながら硬化物中を拡散する。このため硬化物表面で経時的に起こる紫外線吸収剤および光安定剤のブリードアウト等による硬化物からの消費が、層状珪酸塩の結晶薄片の邪魔板効果または層状珪酸塩への吸着効果により遅延するためと考えられる。また更に層状珪酸塩に結合された化合物との親和性等の相互作用により拡散移動が阻害ないし遅延されるとも考えられる。層状珪酸塩の結晶薄片の分散割合が高い程、効率的に光安定剤、紫外線吸収剤等のブリードを阻止あるいは遅延させることができる。この結果、高い耐候性が得られる。したがって本発明による硬化性組成物を用いたシーリング材、接着剤はより高い耐候性を有する。
【0088】
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて他の添加剤が配合されてもよい。
他の添加剤としては、可塑剤、1分子中にアミノ基及びアルコキシシリル基を有する化合物、シラノール縮合触媒、脱水剤、チキソトロープ剤、硬化性組成物の粘土を調整する粘土調整剤、引張り特性などを改善する物性調整剤、着色剤、難燃剤、酸化防止剤、充填剤及びタレ防止剤、アミン系触媒、エポキシ硬化剤などが挙げられ、さらに必要に応じて、老化防止剤、顔料、香料、溶剤等が配合され得る。
【0089】
上記可塑剤は、シーリング材等の硬化物の伸びを高めたり、低モジュラス化するため使用される。可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ブチルベンジルフタレートなどのフタル酸エステル類、アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル、セバシン酸ジブチルなどの脂肪族二塩基酸エステル類、ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステルなどのグリコールエステル類、オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチルなどの脂肪族エステル類、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニルなどのリン酸エステル類、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油などのエポキシ可塑剤類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類、塩素化パラフィン、ポリブタジエン、イソパラフィンなどが挙げられ、これらは単独で用いられても、2種以上が併用されても良い。特に、数平均分子量500〜3万のポリプロピレングリコールが、安全性や耐ブリードアウト等の安全性の点から好ましい。
【0090】
上記可塑剤の配合量としては、上記有機重合体100重量部に対して、80重量部以下が好ましい。80重量部より多いと、塗装性に問題を生じる場合があるからである。
【0091】
上記1分子中にアミノ基及びアルコキシシリル基を有する化合物は、特に上記有機重合体が配合される硬化性組成物に対して接着性付与剤として添加されるものであり、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N’−ビス−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(メチルジメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(メチルジメトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミン、N,N−ビス−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N−ビス−〔3−(メチルジメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N−ビス−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N−ビス−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミン、N,N−ビス−〔3−(メチルジメトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミン、N,N−ビス−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミン、N,N−ビス−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕アミン、N,N−ビス−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕アミン、N,N−ビス−〔3−(メチルジメトキシシリル)プロピル〕アミン等が挙げられる。これらは単独で用いられても、2種以上が併用されても良い。
【0092】
上記シラノール縮合触媒は、上記有機重合体が配合される硬化性組成物に対して湿気硬化反応を促進するために使用されるものであり、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫フタレート、ビス(ジブチル錫ラウリン酸)オキサイド、ジブチル錫ビスアセチルアセトナート、ジブチル錫ビス(モノエステルマレート)、オクチル酸錫、ジブチル錫オクトエート、ジオクチル錫オキサイド等の錫化合物;テトラ−n−ブトキシチタネート、テトライソプロポキシチタネート等のチタネート系化合物;ジブチルアミン−2−エチルヘキソエート等のアミン塩;及び、その他の酸性触媒や塩基性触媒が挙げられる。これらは単独で用いられても、2種以上が併用されても良い。
【0093】
また、硬化速度をさらに速めるためには、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどのジアリールジアルコキシシランを用いることができる。
【0094】
上記脱水剤は、上記有機重合体が配合される本発明の硬化性組成物の保存時における侵入水分を除去するために使用されるものであり、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメチルシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のシラン化合物類、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル等の加水分解性エステル化合物類が挙げられ、これらは単独で用いられても、2種以上が併用されても良い。
【0095】
上記充填剤は、硬化物の補強を目的として使用されるものであり、例えば、炭酸カルシウム、表面処理炭酸カルシウム、酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、含水ケイ酸、無水ケイ酸、微粉末シリカ、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、雲母粉末、クレー、タルク、カーボンブラック、有機及び無機バルーン、ゴム粉末、ウォラストナイト、炭素繊維、また、接着耐久性を付与するためのセメントなどが挙げられ、これらは単独で用いられても、2種以上が併用されても良い。
【0096】
上記タレ防止剤は、例えば、水添ひまし油、脂肪酸ビスアマイド、ヒュームドシリカ等が挙げられる。
【0097】
上記溶剤としては、引火点が40℃以上の合成イソパラフィン系溶剤等が挙げられる。
【0098】
(作用)
本発明の層状珪酸塩は層状珪酸塩と光安定化効果を有する官能基を有する上記化合物とが、上記化合物の有する化学結合性又は親和性を有する官能基で化学結合または親和結合にて結合されているので、層状珪酸塩が分散された合成樹脂等の媒体に対し光安定化効果を有する。又光安定化効果を有する官能基を有する化合物が層状珪酸塩に結合しており、層状珪酸塩はその大きさのため合成樹脂等の媒体からブリードアウトすることがない。したがって光安定化効果が長期持続するため媒体の耐候性が向上する。
【0099】
更に上記光安定化効果を有する官能基を有する化合物が結合された層状珪酸塩とは別に添加された光安定剤及び又は紫外線吸収剤は、層状珪酸塩のじゃま板効果あるいは吸着作用により、硬化物からのブリードアウトが抑制される。また本発明の層状珪酸塩の光安定効果を有する官能基と後添加した光安定剤とも相互作用することによりブリードアウトを阻止している。この結果、高い耐候性が得られる。したがって本発明による硬化性組成物を用いたシーリング材、接着剤はより高い耐候性を有する。
【0100】
【発明の実施の形態】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、文中の「部」は特に断らない限り「重量部」を示す。
【0101】
〔修飾層状珪酸塩の調整〕
(1)修飾層状珪酸塩A:有機変性マイカ(コープケミカル社製、「ソマシフMEE−100」)500gをヘンシェルミキサー中で撹拝しながら、(2−ヒドロキシ−4−ベンゾフェニル)トリメトキシシランの2wt%トルエン溶液100gを3分間かけて滴下した。滴下終了後、さらに10分間の攪拌を行った。該処理粉末を70℃に温調した減圧乾燥機中に保持し、8hr脱溶剤処理を行い得られた粉末を、修飾層状珪酸塩Aとした。
【0102】
(2)修飾層状珪酸塩B:上記修飾層状珪酸塩Aの調製方法において、(2−ヒドロキシ−4−ベンゾフェニル)トリメトキシシランの代わりに、2H−ベンゾトリアゾール−2−イル−トリメトキシシランを用いて、同様にして修飾層状珪酸塩Bを調製した。
【0103】
(3)修飾層状珪酸塩C:上記修飾層状珪酸塩Aの調製方法において、(2−ヒドロキシ−4−ベンゾフェニル)トリメトキシシランの代わりに、2、2、6、6―テトラメチル−4−ピペリジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランを用いて、同様にして修飾層状珪酸塩Cを調製した。
【0104】
〔硬化性組成物の調製〕
(実施例1)
シロキサン結合を形成することにより架橋し得る珪素含有基を少なくとも1個有する有機重合体として、変成シリコーンポリマー(鐘淵化学工業社製、数平均分子量20,000 「MSX−943」、充填剤として炭酸カルシウム(白石工業社製、「白艶華CC−R」)及び酸化チタン、可塑剤としてポリプロピレングリコール(三井化学社製、「ジオール3000」 数平均分子量3000)、脱水剤としてビニルトリメトキシシラン(チッソ社製、「サイラエースS210」)、接着性付与剤としてN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、「KBM−603」)、シラノール縮合触媒としてジブチル錫ジラウレート、光安定剤としてビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート及びメチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケートの混合物(チバスペシャリティーケミカルズ社製、「チヌビン765」)、紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製、「チヌビン327」)、及び修飾層状珪酸塩Aを表1に示す通り配合し、外部から湿気が入らないように密封された混合攪拌機で減圧下で均一に混合して硬化性組成物を得た。尚、炭酸カルシウム及び酸化チタンについては予め110℃で減圧したものを使用した。
【0105】
(実施例2〜5及び比較例1〜2)
表1に基き配合し実施例1と同様にして硬化性組成物を調整した。
【0106】
〔層状珪酸塩の平均層間距離の確認〕
得られた硬化性組成物における層状珪酸塩の平均層間距離を以下のようにして測定した。
X線回折測定装置(リガク社製、RINT1100)により、層状珪酸塩の積層面の回折により得られる回折ピークの2θを測定し、下記のブラックの回折式を用いて層状珪酸塩の(001)面間隔を算出した。以下のdを平均層間距離とする。
λ=2dsinθ(λ=0.154(nm)、d:層状珪酸塩の面間隔(nm)、θ:回折角)
平均層間距離が3nm以上の場合を○と判定した。
【0107】
〔層状珪酸塩の分散状態の確認〕
透過型電子顕微鏡(TEM 日本電子社製「JEM−1200EX II」)写真により、硬化物中の層状珪酸塩の分散状態を観察して、5層以下で存在しているものを○と判定した。
【0108】
〔評価〕
上記実施例1〜5及び比較例1〜2で得た硬化性組成物を以下の方法でシーリング材として評価し、その結果を表1に示した。
(1)耐候性
各配合組成物を50mm×150mm(厚み1mm)のステンレス板に0.5mm厚みで塗布し、20℃×60%RHの雰囲気下で7日間(168時間)放置して養生硬化させた後、下記条件で、1500時間及び2000時間光照射を行い、表面状態を目視で確認し、クラックの無いものを○と判定した。
【0109】
光照射条件
試験装置:アイスーパーUVテスター(SUV−F11型)、岩崎電気(株)製
照射強度:100mW/cm2 限定波長:295nm〜450nm
ブラックパネル温度:63℃ 照射距離:235mm(光源と試料間)
(尚、アイスーパーUVテスターによる光照射評価は材料や試験条件により変動するので一概には言えないが、通常、サンシャインウェザロメーターによる評価よりも十倍程度過酷な促進効果があるとされている。)
【0110】
【表1】
【0111】
【発明の効果】
本発明の層状珪酸塩は、光安定化効果を有する化合物で修飾されているので、層状珪酸塩が分散された合成樹脂等の媒体に対し光安定化効果を有する。又光安定化効果を有する官能基を有する化合物が珪酸塩に結合しており、珪酸塩はその大きさのため合成樹脂等の媒体からブリードアウトすることがない。したがって光安定化効果が長期持続するため媒体の耐候性が向上する。
【0112】
本発明の硬化性組成物は、有機重合体(中でも架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体)と、上記層状珪酸塩とを含むので、上記有機重合体の硬化物の耐候性が長期にわたり持続し結果として高い耐候性を有する。
【0113】
本発明の硬化性組成物は、上記有機重合体に対してその結晶側面の水酸基が水酸基との化学結合性もしくは化学親和性を有する官能基と光安定化効果を有する官能基をともに分子中に有する化合物にて結合された層状珪酸塩が配合されてなるので、長期にわたって耐候性を発揮し得る。
【0114】
本発明のシーリング材は、有機重合体、中でも架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体と、上記層状珪酸塩とを含む硬化性組成物を含むので、硬化後高い耐候性を有し屋外に露出する部分に用いるシーリング材として、目地部等に好適に使用され得る。
本発明の接着剤は、有機重合体、中でも架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体と、上記層状珪酸塩とを含む硬化性組成物を含むので、耐候性に優れた硬化物を提供し得る。従って、外部に露出した部分等も耐候性に優れている接着体を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】層状珪酸塩の結晶薄片の結晶表面(A)及び結晶側面(B)を説明するための模式的斜視図。
【符号の説明】
1:層状珪酸塩
A:層状珪酸塩結晶表面
B:層状珪酸塩結晶側面
【発明の属する技術分野】
本発明は、光安定化効果を有する層状珪酸塩に関し、さらに詳細には、硬化後の硬化物が耐候性に優れた硬化性組成物、並びに該硬化性組成物を用いたシーリング材及び接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
反応性シリル基を有する有機重合体をベースとした耐候性に優れたシーリング材組成物が、下記の特許文献1に開示されている。この先行技術に記載のシーリング材組成物では、反応性シリル基を有する有機重合体100重量部に対し、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びヒンダードフェノール系酸化防止剤がそれぞれ、0.3〜3重量部の割合で配合されている。
【0003】
しかしながら、上記シーリング材組成物を硬化させることにより得られたシーリング材の耐候性は、開示された実施例によれば、サンシャインウエザロメーターによる促進暴露試験で2000時間程度が限界であった。従って、上記シーリング材を、屋根構造体や外壁構造体などの屋外に露出する部分に用いるには更に耐候性の改善が望まれるものであった。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−287186号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、光安定化効果を有する層状珪酸塩、耐候性に優れた硬化物を得ることを可能とする硬化性組成物、並びに該硬化性組成物を用いたシーリング材及び接着剤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明は、光安定化効果を有する官能基を有する化合物で修飾してなる層状珪酸塩を提供する。
【0007】
また、請求項2記載の発明は、上記化合物が、水酸基と化学結合性又は化学親和性を有する官能基を有し、前記層状珪酸塩の結晶側面の水酸基と化学結合または親和結合にて結合されていることを特徴とする請求項1記載の層状珪酸塩を提供する。
【0008】
請求項3記載の発明は、上記化合物の水酸基と化学結合性又は化学親和性を有する官能基が、アルコキシ基、アルコキシシリル基、エポキシ基、カルボキシル基、水酸基、無水マレイン酸基、イソシアネート基、又はアルデヒド基のいずれかであることを特徴とする請求項2記載の層状珪酸塩を提供する。
【0009】
請求項4記載の発明は、光安定化効果を有する官能基が、ベンゾトリアゾール基、ベンゾフェノン基、ベンゾエート基、ピペリジル基のいずれかであることを特徴とする請求項1〜3いずれか一項に記載の層状珪酸塩を提供する。
【0010】
請求項5記載の発明は、有機重合体と、請求項1〜4いずれか一項に記載の層状珪酸塩とを含むことを特徴とする硬化性組成物を提供する。
【0011】
請求項6記載の発明は、架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体と、請求項1〜4いずれか一項に記載の層状珪酸塩とを含むことを特徴とする硬化性組成物を提供する。
【0012】
請求項7記載の発明は、架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体と、光安定剤と、請求項1〜4いずれか一項に記載の層状珪酸塩とを含むことを特徴とする硬化性組成物を提供する。
【0013】
請求項8記載の発明は、請求項6〜7いずれか一項に記載の硬化性組成物を含むことを特徴とするシーリング材を提供する。
【0014】
請求項9記載の発明は、請求項6〜7いずれか一項に記載の硬化性組成物を含むことを特徴とする接着剤を提供する。
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】
本発明でいう光安定化効果とは、主に紫外光領域、可視光領域の放射線曝露による劣化を妨げ、劣化による物性の低下、外観の変化等を遅らせる効果をいう。層状珪酸塩が分散される媒体に対する効果をいう。上記媒体とは有機、無機であってもよいが、特に架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体であってシーリング材、接着剤等用の硬化性組成物に用いられる重合体に対する光安定化効果あることが好ましい。
【0017】
本発明でいう光安定化効果を有する官能基とは、媒体の光劣化に対する光安定化効果を有する官能基をいう。特に限定されるものではないが、ベンゾトリアゾール基、ベンゾフェノン基、ベンゾエート基、ピペリジル基等が光安定化力が比較的強いため好ましく用いられる。
【0018】
本発明でいう光安定化効果を有する官能基を有する化合物とは、光安定化効果を有する官能基を有する化合物、オリゴマー、ポリマー等の化学物質をいう。
【0019】
本発明でいう化合物で修飾するとは、化合物の分子中に含まれる官能基と層状珪酸塩の水酸基とが化学結合性又は化学親和性により結合していることであり、結合の形態は特に限定されず、例えば、共有結合、イオン結合、配位結合等の比較的強い結合のみならず親和力による比較的弱い結合等が含まれる。強固に結合させる場合には化学結合により修飾することが好ましい。
【0020】
本発明で用いられる層状珪酸塩とは、層間に交換性陽イオンを有する珪酸塩鉱物を意味し、通常厚さが約1nm、平均アスペクト比がおよそ20〜200程度の微細な薄片状結晶がイオン結合により凝集してなるものである。
本発明で用いられる層状珪酸塩としては特に限定されず、例えば、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイト等のスメクタイト系粘土鉱物、バーミキュライト、ハロイサイト、膨潤性マイカ等が挙げられる。なかでも、モンモリロナイト、膨潤性マイカが好ましい。上記層状珪酸塩は天然物または合成物のいずれであってもよく、これらの1種または2種以上を用い得る。
【0021】
上記層状珪酸塩としては、下記式により定義される形状異方性効果が大きいスメクタイト類や膨潤性マイカを用いることが、硬化性組成物の耐候性効果上及び機械強度向上やガスバリヤ性向上の点からもより好ましい。なお層状珪酸塩の結晶表面(A)及び結晶側面(B)を図1に模式的に示す。
形状異方性効果=結晶表面(A)の面積/結晶側面(B)の面積
【0022】
上記層状珪酸塩の層間に存在する交換性陽イオンとは、結晶表面上のナトリウム、カルシウム等のイオンであり、これらのイオンは、カチオン性物質とイオン交換性を有するので、カチオン性を有する種々の物質を上記層状珪酸塩の層間に捕捉(インターカレート)することができる。
【0023】
上記層状珪酸塩の陽イオン交換容量としては特に限定されないが、50〜200ミリ当量/100gであるのが好ましい。50ミリ当量/100g未満であると、イオン交換により結晶層間に捕捉(インターカレート)できるカチオン性界面活性剤の量が少なくなるので、層間が十分に非極性化されないことがある。一方、200ミリ当量/100gを超えると、層状珪酸塩の層間の結合力が強固となり、結晶薄片が剥離し難くなることがある。
【0024】
上記層状珪酸塩は、広角X線回折測定法により測定した(001)面の平均層間距離が3nm以上であり、5層以下で存在しているものを含んで分散しているものが好ましい。平均層間距離が3nm以上であり、5層以下で分散していると、硬化性組成物の耐候性、難燃性の性能発現に有利となる。
【0025】
なお、本明細書において、層状珪酸塩の平均層間距離とは、微細薄片状結晶を層とした場合の平均の層間距離であり、X線回折ピーク及び透過型電子顕微鏡撮影により、すなわち、広角X線回折測定法により算出できるものである。3nm以上に層間が開裂し、5層以下で存在しているものを含んで分散している状態は、層状珪酸塩の積層体の一部または全てが分散していることを意味しており、層間の相互作用が弱まっていることによる。
【0026】
さらに、上記層状珪酸塩の平均層間距離が6nm以上であると、難燃性、機械物性、耐熱性等の機能発現に特に有利である。平均層間距離が6nm以上であると、層状珪酸塩の結晶薄片層が層毎に分離し、層状珪酸塩の相互作用がほとんど無視できるほどに弱まるので、層状珪酸塩を構成する結晶薄片の硬化性組成物中での分散状態が剥離安定化の方向に進行する。すなわち、層状珪酸塩が1枚ずつ薄片状に乖離した状態で硬化性組成物中に安定化されて存在することとなる。
【0027】
上記層状珪酸塩の分散状態としては、上記有機重合体中で、層状珪酸塩の10重量%以上が5層以下で存在している状態に分散されていることが好ましく、より好ましくは、層状珪酸塩の20重量%以上が5層以下の状態で存在していることが望ましい。さらに、分散している薄片状結晶の積層数が5層以下であれば、層状珪酸塩の添加による効果が良好に得られるが、3層以下であればより好ましく、単層状に分散していることがさらに望ましい。
【0028】
このため、本発明の層状珪酸塩は、層状珪酸塩の層間に存在する上記交換性陽イオンを、カチオン系界面活性剤によってカチオン交換して有機処理化した有機化層状珪酸塩を用いることが好ましい。
【0029】
カチオン系界面活性剤については、特に限定されるものではないが、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩等が挙げられ、好ましくは炭素数8以上のアルキル鎖を有する4級アンモニウム塩が用いられる。炭素数が8以上のアルキル鎖を含有しない場合には,アルキルアンモニウムイオンの親水性が強く、層状珪酸塩の層間を十分に非極性化することが困難となる。
【0030】
上記4級アンモニウム塩としては、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニム塩、トリオクチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウム塩(以下、DSDMと略記する場合がある)、ジ硬化牛脂ジメチルアンモニウム塩、ジステアリルジベンジルアンモニウム塩等が挙げられる。
【0031】
上記4級ホスホニウム塩としては、例えば、ドデシルトリフェニルホスホニウム塩(DTPB)、メチルトリフェニルホスホニウム塩、ラウリルトリフェニルホスホニウム塩、ステアリルトリメチルホスホニウム塩、ジステアリルジメチルホスホニウム塩、ジステアリルジベンジルホスホニウム塩等が挙げられる。
【0032】
本発明において層状珪酸塩を化合物で修飾するとは、層状珪酸塩の結晶側面又は上面ないし下面にある化学結合性部分あるいは化学親和性を有しうる部分と、上記化合物の化学結合性もしくは化学親和性を有する官能基とが化学的に結合されることをいう。
【0033】
本発明の層状珪酸塩は前記化合物が、水酸基と化学結合性又は化学親和性を有する官能基を有することにより、前記層状珪酸塩の結晶薄片の側面の水酸基と化学結合または親和結合にて結合されている層状珪酸塩であることが好ましい。
【0034】
上記有機化層状珪酸塩の結晶側面の水酸基との化学結合性もしくは化学親和性を有する官能基は特に限定されないが、少なくとも水酸基との化学親和性を有する官能基である必要があり、アルコキシ基、アルコキシシリル基、エポキシ基、カルボキシル基、水酸基、無水マレイン酸基、イソシアネート基及びアルデヒド基のいずれかが比較的反応性が高いため好ましく用いられる。化合物中に複数の上記官能基を含んでいてもよい。
【0035】
層状珪酸塩の水酸基に対し化学結合性又は化学親和性を有する官能基を有する化合物としては、例えば、上記二つの官能基をともに有する化合物としては、シラン化合物、チタネート化合物、グリシジル化合物、カルボン酸類、アルコール類等が挙げられる。中でも、アルコキシシリル基を有する化合物が反応性が高いため好ましい。
【0036】
アルコキシシリル基を含有する化合物として、例えば、シランカップリング剤が挙げられ、アルコキシシリル基を有するシランカップリング剤は一般式(1)にて表すことが出来る。
【0037】
【化1】
【0038】
一般式(1)中、R1〜R4のうち少なくとも一つは、光安定化効果を有する官能基である、ベンゾトリアゾール基、ベンゾフェノン基、ベンゾエート基、ピペリジル基が光安定化効果が比較的強いため好ましく用いられる。
【0039】
上記化合物としては、2H−ベンゾトリアゾール−2−イル−トリメトキシシラン、2H−ベンゾトリアゾール−2−イル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、2H−ベンゾトリアゾール−2−イル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、(2−ヒドロキシ−4−ベンゾフェニル)トリメトキシシラン、(2−ヒドロキシ−4−ベンゾフェニル)トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、2−ヒドロキシ−4−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルトリメトキシシラン、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらの化合物は単独で用いても良いし、2種以上併用しても良い。
【0040】
これらの化合物は該当するアルキルアルコキシシランの一部を、光安定化効果を有する官能基で置換することにより製造することができる。
【0041】
本発明における層状珪酸塩は、耐候性を向上させる目的で有機重合体に添加して使用することが可能である。
上記有機重合体としては特に限定されず、架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも一個有する有機重合体、各種オレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル等のビニル系樹脂、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリサルファイド系樹脂、ポリエステル系樹脂樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂、フッソ系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、ゴム、エラストマー等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上が併用されてもよい。
【0042】
次に本発明における架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体につき説明する。
【0043】
本発明における架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体とは、シロキサン結合を形成することにより架橋し得る加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体であって、このシロキサン結合は例えば、珪素原子に結合した水酸基もしくは加水分解性基により形成される。
【0044】
珪素原子に結合した加水分解性基とは、例えば、水素、ハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、メルカプト基、アミノオキシ基、アルケニルオキシド基などが挙げられる。
上記加水分解性シリル基としては、メトキシシリル基やエトキシシリル基などのアルコキシシリル基が、反応後に有害な副生成物を生成しない点で、好ましく用いられる。
【0045】
上記シロキサン結合を形成することにより架橋し得る珪素含有基、すなわち架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体の主鎖は特に限定されず、ポリエーテル系重合体、ビニル系重合体、ポリエステル系重合体、ポリカーボネート系重合体、ポリオレフィン系重合体などが挙げられる。好ましくは、ポリエーテル系重合体及び/またはビニル系重合体からなるものであり、主鎖がポリエーテル系重合体部分及びビニル系重合体部分の双方を有していてもよい。
【0046】
以下、主鎖が本質的にポリエーテル系重合体からなる有機重合体(a)及び主鎖が本質的にビニル系重合体からなる有機重合体(b)を説明する。
【0047】
(主鎖がポリエーテル系重合体からなる有機重合体(a))
主鎖が本質的にポリエーテル系重合体からなり、加水分解性シリル基を有する有機重合体(a)の主鎖構造としては、例えばポリオキシエチレン重合体、ポリオキシプロピレン重合体、ポリオキシブチレン重合体が挙げられる。
【0048】
中でも、硬化性組成物の硬化物の耐水性が良く、かつシーリング材として用いた際に、より高い弾性を確保し得るという点で、ポリオキシプロピレン重合体が好ましい。
【0049】
上記有機重合体(a)の分子量が小さすぎると、硬化物の伸びが十分でなくなり、シーリング材として用いた際に、例えば、目地面に対する追従性が低下することがある。逆に、分子量が大きすぎると、硬化前の粘度が高くなりすぎて、各種添加剤を配合してシーリング材を調製する配合工程の作業性が低下することがある。
【0050】
そのため、数平均分子量が好ましくは1万〜3万であって、分子量分布Mw/Mn(重量平均分子量/数平均分子量)が1.6以下の有機重合体(a)が、作業性と硬化物の伸びとのバランスに優れているため好ましい。
【0051】
上記有機重合体(a)は、一般に変成シリコーンポリマーと呼ばれ、例えば、商品名「MSポリマー」(鐘淵化学工業社製)として、MSポリマーS−203、S−303など、商品名「サイリルポリマー」(鐘淵化学工業社製)として、サイリルSAT−200、SAT−350、SAT−400や、商品名「エクセスター」(旭硝子社製)として、エクセスターESS−3620、ESS−3430、ESS−2420、ESS−2410などが市販されている。
【0052】
(主鎖がビニル系重合体からなる有機重合体(b))
主鎖が本質的にビニル系重合体からなり、加水分解性シリル基を有する上記有機重合体(b)は、例えば、ビニルモノマーと加水分解性シリル基含有モノマーとを共重合することにより得られるが、主鎖または 鎖の一部として全体の50%以下の範囲でウレタン結合あるいはシロキサン結合からなる単位を含んでいてもよい。
【0053】
本発明で用いられる有機重合体(b)は、例えば以下のような方法により得られる。
【0054】
(1)特開昭54−36395号公報に記載されているように、炭素―炭素二重結合を有するビニル系樹脂と、下記の一般式(2)で表わされるヒドロシラン化合物とを第八族遷移金属の存在下で反応させる方法。
【0055】
【化2】
【0056】
式中R1は炭素数1〜10までのアルキル基、アリール基、アラルキル基より選ばれる1価の炭化水素基、Xはハロゲン、アルコキシ、アシロキシ、アミノキシ、フェノキシ、チオアルコキシ、アミノ基より選ばれる基、aは0〜2までの整数である。
【0057】
(2)特開昭57−179210号公報に記載されているように、ビニルモノマーを、アルコキシシリル基を含有するアルキル(メタ)アクリレート及びメルカプト基を含有する連鎖移動剤の存在下で共重合させる方法。
【0058】
(3)特開昭59−78222号公報に記載されているように、ビニルモノマーを、2官能ラジカル重合性化合物及び連鎖移動剤としてのアルコキシシリル基を含有するメルカプタンの存在下で共重合させる方法。
【0059】
(4)特開昭60−23405号公報に記載されているように、ビニルモノマーを、重合開始剤としてアルコキシシリル基を含有するアゾビスニトリル化合物を使用して重合する方法。
【0060】
(5)特開平11−130931号公報に記載されているように、リビングラジカル重合法により、ビニル系重合体を製造する方法。
【0061】
有機重合体(b)を製造する際に用いられるビニルモノマーとしては特に限定されないが、その具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−3−メチルブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチル2−ヒドロキシエチルフタル酸、2−[(メタ)アクリロイルオキシ]エチル2−ヒドロキシプロピルフタル酸、メチルジメトキシプロピル(メタ)アクリレート、
【0062】
【0063】
スチレン、インデン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、ジビニルベンゼンなどのスチレン誘導体;無水マレイン酸、N−ビニルピロリドン、N−ビニルモルフォリン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、安息香酸ビニル、珪皮酸ビニルなどのビニルエステル基を持つ化合物;n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、tert−アミルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、トリチレングリコールメチルビニルエーテル、安息香酸(4−ビニロキシ)ブチル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ブタン−1,4−ジオール−ジビニルエーテル、ヘキサン−1,6−ジオール−ジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−ジビニルエーテル、イソフタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、グルタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、コハク酸ジ(4−ビニロキシ)ブチルトリメチロールプロパントリビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシル、ビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−モノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル3−アミノプロピルビニルエーテル、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルビニルエーテル、ウレタンビニルエーテル、ポリエステルビニルエーテルなどのビニロキシ基を持つ化合物を挙げることができる。
【0064】
上記加水分解性シリル基を導入するための連鎖移動剤や共重合性モノマーの配合量は、ビニル系の重合性モノマー100重量部に対し、0.01〜20重量部であることが好ましく、さらに好ましくは、0.1〜5重量部である。
【0065】
本発明においては、アゾ系開始剤のものに比べ、硬化物の黄変が生じ難いため、上記ビニル系重合体(b)としては、過酸化物を重合開始剤として用いたラジカル重合法により得られたものが好ましく用いられる。重合開始剤として用いられる過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、イソノナノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシドなどのジアシルパーオキサイド類;ジイソプロピルパージカーボネート、ジ−sec−ブチルパージカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパージカーボネート、ジ−1−メチルヘプチルパージカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパージカーボネート、ジシクロヘキシルパージカーボネートなどのパーオキシジカーボネート類;tert−ブチルパーベンゾエート、tert−ブチルパーアセテート、tert−ブチルパー−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーイソブチレート、tert−ブチルパーピバレート、tert−ブチルパーアジペート、キュミルパーネオデカノエートなどのパーオキシエステル類;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類;ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジキュミルパーオキサイド、tert−ブチルキュミルパーオキサイド、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどのジアルキルパーオキサイド類;キュメンヒドロキシパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド類;などが挙げられる。上記過酸化物は1種のみが用いられてもよく、複数種併用されてもよい。さらに過酸化物は一度に添加されてもよく、複数回に渡って逐次添加されてもよい。
【0066】
具体的な商品としては、ビニルモノマーに含まれる東亜合成化学工業(株)製のアロニクスM−5700、東亜合成化学工業(株)のマクロモノマーであるAS−6、AN−6、AA−6、AB−6、AK−5、ダイセル化学工業(株)製のPlaccel FA−1、Placcel FM−1、Placcel FM−4などが挙げられる。
【0067】
これらの重合体の中でも、主鎖がアクリル酸とアルキル基の炭素数が1〜12のアルキル(メタ)アクリレートからなる(メタ)アクリレート系共重合体が、柔軟性の点から好ましく、さらに好ましくはアクリル酸とアルキル基の炭素数が2〜8のアルキル(メタ)アクリレートからなる共重合体である。また、架橋可能な加水分解性シリル基としては、メトキシシリル基及びエトキシシリル基などのアルコキシシリル基が反応後有害な副生成物を生成しないので好適である。
【0068】
有機重合体(b)の分子量は特に限定されないが、数平均分子量が好ましくは5000〜20万、さらに好ましくは1万〜6万であって、分子量分布Mw/Mnが1.6以下の有機重合体(b)が、作業性と硬化物の伸びとのバランスに優れているため好ましい。
【0069】
(有機重合体(a)及び有機重合体(b)の併用)
架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する、主鎖が本質的にポリエーテル系重合体からなる有機重合体(a)と、架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有し、主鎖が本質的にビニル系重合体からなる有機重合体(b)の双方を本発明において併用してもよい。有機重合体(a)及び(b)を併用することにより、硬化性組成物の硬化物の耐水性を高めたり、シーリング材を構成した場合のゴム弾性を高めることができる。
【0070】
有機重合体(a)及び(b)を併用する場合、その配合割合は、有機重合体(b)100重量部に対し、有機重合体(a)0.1〜200重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜100重量部である。
【0071】
有機重合体(a)の配合割合が0.1重量部未満では、接着性改善効果が小さくなることがあり、200重量部を越えると、耐候性が低くなることがあり、かつ接着性向上効果がそれ程高くならないからである。
【0072】
更に、上記主鎖がポリエーテル系とアクリル系からなる重合体の市販品としては、例えば鐘淵化学社製の商品名MSポリマーとしては、「MSX−908」、「MSX−911」、「MSX−943」等が挙げられ、同社製の商品名サイリルポリマーとしては、「サイリルMA−430」、「サイリルMA−447」等が挙げられる。
【0073】
架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体の硬化物の耐候性を付与するために光安定剤、紫外線吸収剤等が添加されるが、これらの比較的低分子量の添加剤は、長期間経過することにより材料表面にブリードアウトし、系からの散逸が徐々に生じ濃度が低下する。ここで光安定化効果を有する化合物を層状珪酸塩と化学結合もしくは親和結合させると、光安定効果を有する官能基が層状珪酸塩に固定され、層状珪酸塩はその大きさからブリードアウトしにくいため、系からの散逸が起こらず長期にわたっての耐候性を材料に付与することが可能となる。
【0074】
本発明における硬化性組成物は、架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体と、上記光安定化効果を有する官能基を有する化合物で修飾してなる層状珪酸塩とを含む。層状珪酸塩に結合した化合物中の光安定化効果を有する官能基が層状珪酸塩の分散された媒体の上記有機重合体に対し光安定化の作用を及ぼすため、硬化性組成物の硬化物が高い耐候性を有する。
【0075】
本発明の硬化組成物においては光安定硬化を有する官能基を有する化合物が層状珪酸塩と結合しており層状珪酸塩はその大きさから実質上ブリードアウトすることがない。したがって硬化物の光安定効果が長期持続するため高い耐候性を有する。
【0076】
上記本発明の層状珪酸塩は架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体100重量部に対し、0.1〜100重量部含まれていることが好ましい。0.1重量部未満では硬化物の耐候性向上や難燃化などの作用が発現され難く、100重量部を越えると、硬化性組成物の粘度が高くなり作業性、生産性が低下することがある。さらに好ましくは、0.5〜50重量部である。
【0077】
層状珪酸塩の分散には各種攪拌機を用いることができるが、分散しにくい場合には3本ロール等の高剪断がかかる装置を用いて分散を行うと所望の分散状態を得やすい場合がある。
【0078】
本発明の層状珪酸塩は、上述した光安定化効果を付与するものであるが、同時に、上記化合物によって、層状珪酸塩の結晶表面の水酸基を効率的に処理することが可能となるため層状珪酸塩の各結晶薄片をデラミネートしやすくなる。すなわち未処理の層状珪酸塩はその結晶側面にある水酸基のために水素結合しておりひきはがすのが困難であった。このため本発明により結晶側面(B)の水酸基を化学的に処理することにより層状珪酸塩の各結晶薄片が、分散しやすくなったのである。即ち、結晶薄片を引き剥がす(デラミネート)ための応力は、上記化学物質が層状結晶表面(A)上に存在する場合に比較してはるかに小さくて済む。
【0079】
本発明の硬化性組成物には、更に耐候性を向上させるためにさらに光安定剤や紫外線吸収剤が配合されていることが好ましい。層状珪酸塩と併用されることにより光安定剤や紫外線吸収剤が硬化性組成物内に長期にわたって保持されるため一層有効である。
【0080】
上記光安定剤、紫外線吸収剤は、上記有機重合体100重量部に対して、0.1〜20重量部配合されるのが好ましい。0.1重量部よりも少ないと耐候性の向上効果が不充分になることがあり、20重量部を越えるとシーリング材として重要な外観を損なうことがある。
【0081】
上記光安定剤としては特に限定されず、ヒンダードアミン系光安定剤が好ましく用いられる。ヒンダードアミン系光安定剤は一般に紫外線吸収剤と併用すると優れた効果がある。
【0082】
上記ヒンダードアミン系光安定剤(以下HALSともいう)としては例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート、ポリ[{6−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)イミノ}]等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、2種以上併用されてもよい。
【0083】
上記紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール基、ベンゾフェノン基を含む紫外線吸収剤が挙げられ、中でもベンゾトリアゾール基を含む紫外線吸収剤が紫外線吸収性能が高いという点で好ましい。
【0084】
ベンゾトリアゾール基を含むものには、2−〔5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール―2―イル〕―4―メチル―6―(tert−ブチル)フェノール、2,4―ジ―tert―ブチル―6―(5―クロロベンゾトリアゾール―2―イル)フェノールが例示される。ベンゾフェノン基を含むものには、2―ヒドロキシ―4―n―オクトキシベンゾフェノン、4,4′―ジメトキシ―2―ヒドロキシベンゾフェノンが例示される。ベンゾエート基を含むものには2,4―ジ―tert―ブチルフェニル―3,5―ジ―tert―ブチル―4―ヒドロキシベンゾエートが例示される。
【0085】
上記層状珪酸塩との併用による耐候性効果は、HALSのブリード防止効果が主であると考えられる。即ち層状珪酸塩が硬化物等の層状珪酸塩の分散媒体中でHALSと相互作用し、HALSが系から散逸するのを防いでいる為であると考えられる。
【0086】
また、この効果は紫外線吸収剤や光安定剤と併用することにより、それぞれを単独で配合するよりも顕著な効果を発揮することができる。
【0087】
無機物に比較してポリマー中では分子が遙に拡散しやすいため、本発明の硬化性組成物の硬化物中では別添された光安定剤、紫外線吸収剤等が含まれる場合においてもそれらが拡散する際には、層状珪酸塩を迂回しながら硬化物中を拡散する。このため硬化物表面で経時的に起こる紫外線吸収剤および光安定剤のブリードアウト等による硬化物からの消費が、層状珪酸塩の結晶薄片の邪魔板効果または層状珪酸塩への吸着効果により遅延するためと考えられる。また更に層状珪酸塩に結合された化合物との親和性等の相互作用により拡散移動が阻害ないし遅延されるとも考えられる。層状珪酸塩の結晶薄片の分散割合が高い程、効率的に光安定剤、紫外線吸収剤等のブリードを阻止あるいは遅延させることができる。この結果、高い耐候性が得られる。したがって本発明による硬化性組成物を用いたシーリング材、接着剤はより高い耐候性を有する。
【0088】
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて他の添加剤が配合されてもよい。
他の添加剤としては、可塑剤、1分子中にアミノ基及びアルコキシシリル基を有する化合物、シラノール縮合触媒、脱水剤、チキソトロープ剤、硬化性組成物の粘土を調整する粘土調整剤、引張り特性などを改善する物性調整剤、着色剤、難燃剤、酸化防止剤、充填剤及びタレ防止剤、アミン系触媒、エポキシ硬化剤などが挙げられ、さらに必要に応じて、老化防止剤、顔料、香料、溶剤等が配合され得る。
【0089】
上記可塑剤は、シーリング材等の硬化物の伸びを高めたり、低モジュラス化するため使用される。可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ブチルベンジルフタレートなどのフタル酸エステル類、アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル、セバシン酸ジブチルなどの脂肪族二塩基酸エステル類、ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステルなどのグリコールエステル類、オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチルなどの脂肪族エステル類、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニルなどのリン酸エステル類、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油などのエポキシ可塑剤類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類、塩素化パラフィン、ポリブタジエン、イソパラフィンなどが挙げられ、これらは単独で用いられても、2種以上が併用されても良い。特に、数平均分子量500〜3万のポリプロピレングリコールが、安全性や耐ブリードアウト等の安全性の点から好ましい。
【0090】
上記可塑剤の配合量としては、上記有機重合体100重量部に対して、80重量部以下が好ましい。80重量部より多いと、塗装性に問題を生じる場合があるからである。
【0091】
上記1分子中にアミノ基及びアルコキシシリル基を有する化合物は、特に上記有機重合体が配合される硬化性組成物に対して接着性付与剤として添加されるものであり、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N’−ビス−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(メチルジメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス−〔3−(メチルジメトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミン、N,N−ビス−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N−ビス−〔3−(メチルジメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N−ビス−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N−ビス−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミン、N,N−ビス−〔3−(メチルジメトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミン、N,N−ビス−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミン、N,N−ビス−〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕アミン、N,N−ビス−〔3−(トリエトキシシリル)プロピル〕アミン、N,N−ビス−〔3−(メチルジメトキシシリル)プロピル〕アミン等が挙げられる。これらは単独で用いられても、2種以上が併用されても良い。
【0092】
上記シラノール縮合触媒は、上記有機重合体が配合される硬化性組成物に対して湿気硬化反応を促進するために使用されるものであり、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫フタレート、ビス(ジブチル錫ラウリン酸)オキサイド、ジブチル錫ビスアセチルアセトナート、ジブチル錫ビス(モノエステルマレート)、オクチル酸錫、ジブチル錫オクトエート、ジオクチル錫オキサイド等の錫化合物;テトラ−n−ブトキシチタネート、テトライソプロポキシチタネート等のチタネート系化合物;ジブチルアミン−2−エチルヘキソエート等のアミン塩;及び、その他の酸性触媒や塩基性触媒が挙げられる。これらは単独で用いられても、2種以上が併用されても良い。
【0093】
また、硬化速度をさらに速めるためには、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどのジアリールジアルコキシシランを用いることができる。
【0094】
上記脱水剤は、上記有機重合体が配合される本発明の硬化性組成物の保存時における侵入水分を除去するために使用されるものであり、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメチルシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のシラン化合物類、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル等の加水分解性エステル化合物類が挙げられ、これらは単独で用いられても、2種以上が併用されても良い。
【0095】
上記充填剤は、硬化物の補強を目的として使用されるものであり、例えば、炭酸カルシウム、表面処理炭酸カルシウム、酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、含水ケイ酸、無水ケイ酸、微粉末シリカ、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、雲母粉末、クレー、タルク、カーボンブラック、有機及び無機バルーン、ゴム粉末、ウォラストナイト、炭素繊維、また、接着耐久性を付与するためのセメントなどが挙げられ、これらは単独で用いられても、2種以上が併用されても良い。
【0096】
上記タレ防止剤は、例えば、水添ひまし油、脂肪酸ビスアマイド、ヒュームドシリカ等が挙げられる。
【0097】
上記溶剤としては、引火点が40℃以上の合成イソパラフィン系溶剤等が挙げられる。
【0098】
(作用)
本発明の層状珪酸塩は層状珪酸塩と光安定化効果を有する官能基を有する上記化合物とが、上記化合物の有する化学結合性又は親和性を有する官能基で化学結合または親和結合にて結合されているので、層状珪酸塩が分散された合成樹脂等の媒体に対し光安定化効果を有する。又光安定化効果を有する官能基を有する化合物が層状珪酸塩に結合しており、層状珪酸塩はその大きさのため合成樹脂等の媒体からブリードアウトすることがない。したがって光安定化効果が長期持続するため媒体の耐候性が向上する。
【0099】
更に上記光安定化効果を有する官能基を有する化合物が結合された層状珪酸塩とは別に添加された光安定剤及び又は紫外線吸収剤は、層状珪酸塩のじゃま板効果あるいは吸着作用により、硬化物からのブリードアウトが抑制される。また本発明の層状珪酸塩の光安定効果を有する官能基と後添加した光安定剤とも相互作用することによりブリードアウトを阻止している。この結果、高い耐候性が得られる。したがって本発明による硬化性組成物を用いたシーリング材、接着剤はより高い耐候性を有する。
【0100】
【発明の実施の形態】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、文中の「部」は特に断らない限り「重量部」を示す。
【0101】
〔修飾層状珪酸塩の調整〕
(1)修飾層状珪酸塩A:有機変性マイカ(コープケミカル社製、「ソマシフMEE−100」)500gをヘンシェルミキサー中で撹拝しながら、(2−ヒドロキシ−4−ベンゾフェニル)トリメトキシシランの2wt%トルエン溶液100gを3分間かけて滴下した。滴下終了後、さらに10分間の攪拌を行った。該処理粉末を70℃に温調した減圧乾燥機中に保持し、8hr脱溶剤処理を行い得られた粉末を、修飾層状珪酸塩Aとした。
【0102】
(2)修飾層状珪酸塩B:上記修飾層状珪酸塩Aの調製方法において、(2−ヒドロキシ−4−ベンゾフェニル)トリメトキシシランの代わりに、2H−ベンゾトリアゾール−2−イル−トリメトキシシランを用いて、同様にして修飾層状珪酸塩Bを調製した。
【0103】
(3)修飾層状珪酸塩C:上記修飾層状珪酸塩Aの調製方法において、(2−ヒドロキシ−4−ベンゾフェニル)トリメトキシシランの代わりに、2、2、6、6―テトラメチル−4−ピペリジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランを用いて、同様にして修飾層状珪酸塩Cを調製した。
【0104】
〔硬化性組成物の調製〕
(実施例1)
シロキサン結合を形成することにより架橋し得る珪素含有基を少なくとも1個有する有機重合体として、変成シリコーンポリマー(鐘淵化学工業社製、数平均分子量20,000 「MSX−943」、充填剤として炭酸カルシウム(白石工業社製、「白艶華CC−R」)及び酸化チタン、可塑剤としてポリプロピレングリコール(三井化学社製、「ジオール3000」 数平均分子量3000)、脱水剤としてビニルトリメトキシシラン(チッソ社製、「サイラエースS210」)、接着性付与剤としてN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、「KBM−603」)、シラノール縮合触媒としてジブチル錫ジラウレート、光安定剤としてビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート及びメチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケートの混合物(チバスペシャリティーケミカルズ社製、「チヌビン765」)、紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製、「チヌビン327」)、及び修飾層状珪酸塩Aを表1に示す通り配合し、外部から湿気が入らないように密封された混合攪拌機で減圧下で均一に混合して硬化性組成物を得た。尚、炭酸カルシウム及び酸化チタンについては予め110℃で減圧したものを使用した。
【0105】
(実施例2〜5及び比較例1〜2)
表1に基き配合し実施例1と同様にして硬化性組成物を調整した。
【0106】
〔層状珪酸塩の平均層間距離の確認〕
得られた硬化性組成物における層状珪酸塩の平均層間距離を以下のようにして測定した。
X線回折測定装置(リガク社製、RINT1100)により、層状珪酸塩の積層面の回折により得られる回折ピークの2θを測定し、下記のブラックの回折式を用いて層状珪酸塩の(001)面間隔を算出した。以下のdを平均層間距離とする。
λ=2dsinθ(λ=0.154(nm)、d:層状珪酸塩の面間隔(nm)、θ:回折角)
平均層間距離が3nm以上の場合を○と判定した。
【0107】
〔層状珪酸塩の分散状態の確認〕
透過型電子顕微鏡(TEM 日本電子社製「JEM−1200EX II」)写真により、硬化物中の層状珪酸塩の分散状態を観察して、5層以下で存在しているものを○と判定した。
【0108】
〔評価〕
上記実施例1〜5及び比較例1〜2で得た硬化性組成物を以下の方法でシーリング材として評価し、その結果を表1に示した。
(1)耐候性
各配合組成物を50mm×150mm(厚み1mm)のステンレス板に0.5mm厚みで塗布し、20℃×60%RHの雰囲気下で7日間(168時間)放置して養生硬化させた後、下記条件で、1500時間及び2000時間光照射を行い、表面状態を目視で確認し、クラックの無いものを○と判定した。
【0109】
光照射条件
試験装置:アイスーパーUVテスター(SUV−F11型)、岩崎電気(株)製
照射強度:100mW/cm2 限定波長:295nm〜450nm
ブラックパネル温度:63℃ 照射距離:235mm(光源と試料間)
(尚、アイスーパーUVテスターによる光照射評価は材料や試験条件により変動するので一概には言えないが、通常、サンシャインウェザロメーターによる評価よりも十倍程度過酷な促進効果があるとされている。)
【0110】
【表1】
【0111】
【発明の効果】
本発明の層状珪酸塩は、光安定化効果を有する化合物で修飾されているので、層状珪酸塩が分散された合成樹脂等の媒体に対し光安定化効果を有する。又光安定化効果を有する官能基を有する化合物が珪酸塩に結合しており、珪酸塩はその大きさのため合成樹脂等の媒体からブリードアウトすることがない。したがって光安定化効果が長期持続するため媒体の耐候性が向上する。
【0112】
本発明の硬化性組成物は、有機重合体(中でも架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体)と、上記層状珪酸塩とを含むので、上記有機重合体の硬化物の耐候性が長期にわたり持続し結果として高い耐候性を有する。
【0113】
本発明の硬化性組成物は、上記有機重合体に対してその結晶側面の水酸基が水酸基との化学結合性もしくは化学親和性を有する官能基と光安定化効果を有する官能基をともに分子中に有する化合物にて結合された層状珪酸塩が配合されてなるので、長期にわたって耐候性を発揮し得る。
【0114】
本発明のシーリング材は、有機重合体、中でも架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体と、上記層状珪酸塩とを含む硬化性組成物を含むので、硬化後高い耐候性を有し屋外に露出する部分に用いるシーリング材として、目地部等に好適に使用され得る。
本発明の接着剤は、有機重合体、中でも架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体と、上記層状珪酸塩とを含む硬化性組成物を含むので、耐候性に優れた硬化物を提供し得る。従って、外部に露出した部分等も耐候性に優れている接着体を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】層状珪酸塩の結晶薄片の結晶表面(A)及び結晶側面(B)を説明するための模式的斜視図。
【符号の説明】
1:層状珪酸塩
A:層状珪酸塩結晶表面
B:層状珪酸塩結晶側面
Claims (9)
- 光安定化効果を有する官能基を有する化合物で修飾してなる層状珪酸塩。
- 前記化合物が、水酸基と化学結合性又は化学親和性を有する官能基を有し、前記層状珪酸塩の結晶側面の水酸基と化学結合または親和結合にて結合されていることを特徴とする請求項1記載の層状珪酸塩。
- 前記化合物の、水酸基と化学結合性又は化学親和性を有する官能基が、アルコキシ基、アルコキシシリル基、エポキシ基、カルボキシル基、水酸基、無水マレイン酸基、イソシアネート基、又はアルデヒド基のいずれかであることを特徴とする請求項2記載の層状珪酸塩。
- 光安定化効果を有する官能基が、ベンゾトリアゾール基、ベンゾフェノン基、ベンゾエート基、ピペリジル基のいずれかであることを特徴とする請求項1〜3いずれか一項に記載の層状珪酸塩。
- 有機重合体と請求項1〜4いずれか一項に記載の層状珪酸塩とを含むことを特徴とする硬化性組成物。
- 架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体と、請求項1〜4いずれか一項に記載の層状珪酸塩とを含むことを特徴とする硬化性組成物。
- 架橋可能な加水分解性シリル基を少なくとも1個有する有機重合体と、光安定剤と、請求項1〜4いずれか一項に記載の層状珪酸塩とを含むことを特徴とする硬化性組成物。
- 請求項6〜7いずれか一項に記載の硬化性組成物を含むことを特徴とするシーリング材。
- 請求項6〜7いずれか一項に記載の硬化性組成物を含むことを特徴とする接着剤。
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JP2007039675A (ja) * | 2005-07-07 | 2007-02-15 | Adeka Corp | 樹脂添加剤 |
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2003
- 2003-03-26 JP JP2003086435A patent/JP2004292236A/ja not_active Withdrawn
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A761 | Written withdrawal of application |
Effective date: 20081210 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 |