JP2004234260A - 安全運転診断方法および省燃費運転診断方法、ならびに装置、安全運転診断プログラムおよび省燃費運転診断プログラム - Google Patents

安全運転診断方法および省燃費運転診断方法、ならびに装置、安全運転診断プログラムおよび省燃費運転診断プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】ドライバに合致した格付けや帳票を自動作成することによって安全指導員の負担軽減をはかる。
【解決手段】運行車両10に、物理データを採取し、労務データを入力できる車載端末11を搭載し、通信回線4を介して交通安全、燃費診断サーバ30(安全運転診断装置、省燃費運転診断装置)に転送する。そしてその安全運転・省燃費運転診断サーバ30を安全指導員がアクセスすることにより、対象となるドライバのある期間の物理データ、労務データを取り込み、診断項目毎に統計処理して安全運転、省燃費の傾向を示す帳票が自動生成される。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、安全運転診断方法および省燃費運転診断方法、ならびに装置、安全運転診断プログラムおよび省燃費運転診断プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
車両に装着され、車両走行時における車両の挙動を採取して蓄積する装置に、デジタルタコグラフと、ドライブレコーダがある。
【0003】
前者のデジタルタコグラフは、車両速度、車両位置、走行距離等に関する車両の走行物理データを採取し、フラッシュメモリ(CF)等、装置に着脱自在のメモリに蓄積し、オフラインで安全運転指導、燃費指導を行うために用いられる。
ここでいう安全運転指導は、前記したメモリをパソコン等に取り込んで、物理データや労務データに一意に応じた格付けを行い、また、運転に対するコメント等のメッセージを付加した帳票を作成し、ドライバへ提示することによって実現される(非特許文献1参照)。
【0004】
後者のドライブレコーダもまた、車両走行時における物理データを採取して内蔵のメモリに蓄積するものであるが、これは交通事故等不測の事態が発生した場合の事故状況分析に用いられる(非特許文献2参照)。
【0005】
【非特許文献1】
矢崎総業株式会社HP、型式認証第1号デジタルタコグラフ、[2003年1月24日検索]、インターネット、<http://www.wbs.ne.jp/bt/yazaki−keiso/NewPages/Fdigi.htm>
【非特許文献2】
日本自動車研究所、自動車研究(第23巻、第9号、pp41−46)、新井勇司ら、「ドライブレコーダによる事故解析」
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記したように従来のデジタルタコグラフによる安全運転指導、あるいは省燃費運転指導は、安全運転指導員が、得られる物理データと労務データに主観的な格付けを行って帳票を作成し、その帳票に基づいて行うものであった。そのために安全運転指導員にかかる負担は大きく、また、安全運転指導員が持つスキルによってはその格付けにばらつきがあった。
更に、安全運転診断のための元データは着脱自在のメモリに記録され、オフラインでそのデータが取り込まれるため改竄の危険性があり、正しい診断結果が得られないことがあった。また、安全運転指導員が安全運転指導を行うために必要な帳票を作成する際、物理データや労務データ等の検索、編集が困難な環境にあった。
【0007】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、ドライバに合致した格付けや帳票を自動作成可能な、安全運転診断方法および省燃費運転診断方法、ならびに装置、安全運転診断ブログラムおよび省燃費運転診断プログラムを提供することを目的とする。
また、安全運転指導員が、一元管理される物理データと労務データを参照して安全運転指導、あるいは省燃費指導を行う際に参照等されるコンテンツを容易に作成可能な環境を構築することで、安全運転指導員の負担軽減をはかった、安全運転診断方法および省燃費運転診断方法、ならびに装置、安全運転診断ブログラムおよび省燃費運転診断プログラムを提供することも目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記した課題を解決するため、通信網を介して取得される物理データと労務データを管理し、物理データを統計的に分析して、労務データと関連付けてドライバに合致した格付けや帳票を提供することとした。また、安全運転指導員が、管理してある物理データと労務データを参照し、安全運転指導を行う際に容易にコンテンツを提供できるようにするため、車両から物理データを採取できるようにし、かつ、労務データを入力できる車載端末(カーナビゲーション装置で代用可)を搭載し、通信回線(無線)を介して安全運転・省燃費運転診断サーバ(安全運転診断装置、省燃費運転診断装置)に転送することとした。こうすることで、後記するように、安全運転・省燃費運転診断サーバに安全指導員がアクセスすることにより、例えば、対象となるドライバのある期間の物理データ、労務データを取り込み、診断項目毎に統計処理して安全運転、省燃費運転の傾向を示す帳票が自動生成される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、適宜図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態は、自動生成された帳票を用いて安全運転の啓蒙と燃費の向上を目指すものであり、従来オフラインで実行されていた安全指導員による安全診断、省燃費運転診断のための労力が軽減される。また、データの採取から帳票作成まで一貫してオンラインで実行されるためデータ改竄の可能性が減少し、正確な安全運転診断、省燃費運転診断が実現できる。
なお、ここで、「物理データ」とは、車両の挙動に関するデータで所定時間毎に記録され、所定時間単位で発信される、車両速度(車両速度情報)、車両現在位置(位置情報)、走行距離等の走行データと、車両がある設定された状態になった場合に発生するデータで、発生時に時刻、車両位置と併せて記録、発信される、急加速、急減速、アイドリング等の状態データをいう。また、「労務データ」とは、車両端末に設置される操作パネル押下により発生するデータで、発生時に時刻、車両位置と併せて記録され、発信される始業、終業、荷積み、荷卸し、休憩等、ドライバが入力するイベントデータをいう。また、ドライバが入力しきれない労務データや燃費データ等、労務管理者(青ナンバ車の運行管理者→道路運送法等)が管理端末を操作することによって入力されるデータ、および安全運転管理者(白ナンバ車の安全運転管理者→道路交通法)が入力するコメント等の付加データも含まれる。
【0010】
また、「診断項目」とは、走行時間のうち、法定速度を超過して走行した時間の割り合いである速度違反時間割合[%]、急加速/急減速状態データの初速度と終速度との差分により推定される加速度、走行時間1h当たりに発生した所定値以上の加速/減速回数の平均値である急加速/急減速回数[回/h]、初速が所定値以上である減速回数の平均値であるヒヤリハット回数[回/h]、最大加速度/減速度[G]、走行時間1h当たりに発生した加速/減速回数[回/h]の分布、加減速傾向分布、安全運転点数、省燃費運転点数、指導コメント等をいう。
【0011】
図1は、本発明の安全運転診断方法および省燃費運転診断方法を実現するビジネスモデル、ならびにその利用主体との関係を説明するために引用した図である。
図1において、1は運送業者、2はデータ収集事業者、3は安全運転指導事業者である。運送業者1は、各運行車両10に、図2に示される車載端末11を搭載する。また、データ収集事業者2は、車載端末11を介して各運行車両10の物理データを採取し、また、ドライバが後述する操作パネルを操作することにより、あるいは労務管理者や安全運転管理者が端末のキーボードを操作することによって入力される労務データを取り込む。
【0012】
すなわち、運送業者1の運行車両10に設置された車載端末11により自動的に収集された物理データ、及びドライバが入力する労務データは、通信網4を介してデータ収集事業者2に設置されたデータ収集サーバ20に収集される。また、ドライバが入力しきれない、労務データや燃費データは、労務管理者が、設置された管理端末12を操作することにより、通信回線5経由でデータ収集事業者2に設置されたデータ収集サーバ20に送信される。
ここでデータ収集事業者2は、日々におけるドライバ各人毎の労務状況、運行状況を示す日報を自動作成し、通信回線5を介して管理端末12に送り、労務管理者に提示する。一方で、データ収集サーバ20に蓄積された、物理データ、労務データ、燃費データを、そのまま、もしくは一部加工して、通信網6を介して安全運転指導事業者3に設置される安全運転・省燃費運転診断サーバ30へ転送する。
【0013】
安全運転・省燃費運転診断サーバ30は、収集された物理データ、労務データに基づき、診断項目毎に統計処理して安全運転診断コンテンツを生成し、あるいは省燃費運転診断コンテンツを生成する。
そして、安全指導員のアクセスを受けて帳票として出力し、当該帳票に基づき安全指導員による安全運転の啓蒙と燃費の向上を目指す指導が運送業者1に在籍するドライバに対して行われる。
【0014】
なお、本実施形態では、データ収集事業者2と安全運転指導事業者3が独立して存在し、データ収集サーバ20と安全運転・省燃費運転診断サーバ30をそれぞれ設置しているが、両者が独立して存在することは必須でなく、安全運転、省燃費運転診断サービス事業者として一体となっていても良い。その場合、データ収集サーバ20と安全運転・省燃費運転診断サーバ30は、LAN(Local Area
Network)等により接続される。
また、通信網4、5、6についてもそれぞれ別体で存在するものとして説明したが、これも必須ではなく、インターネットによるネットワークを用い通信網を共有しても構わない。
【0015】
図10に日々帳票出力のための動作シーケンスが、図11にドライバ比較帳票出力のための動作シーケンスが示されている。ここでは、いずれも、データ収集サーバ20、安全運転・省燃費運転診断サーバ30、および安全運転管理者間の関係が示されている。
図10において、まず、安全運転管理者のアクセスに従い、安全運転・省燃費運転診断サーバ30は、契約法人(運送業者1)の一覧を出力する。安全運転管理者が自身の端末に表示される法人一覧(法人一覧表示)の中から法人を選択することにより、安全運転・省燃費運転診断サーバ30は、データ収集サーバ20からその法人のドライバ一覧情報(ドライバ一覧情報)を取得して安全運転管理者へ転送し(S1〜S15)、安全運転管理者からドライバの選択情報を取得する(S16)。安全運転・省燃費運転診断サーバ30は、選択されたドライバと所属法人の情報をデータ収集サーバ20に送信する(S17)。
【0016】
次に、安全運転・省燃費運転診断サーバ30は、データ収集サーバ20からそのドライバの走行日一覧情報を取得して(S18)、ドライバ走行日カレンダに加工して安全運転管理者へ転送する。安全運転管理者が持つ端末にはドライバ走行日カレンダ表示がなされる(S19)。図12に、安全運転管理者が持つ端末に表示されるドライバ走行日カレンダの一例が示されている。この図12は、日々帳票出力のための情報入力GUI(Graphical User Interface)画面を示した図であり、他に、入力パラメータ、運送会社、属性付きドライバ一覧、出力すべき帳票種別が示されている。この図12において、帳票種別の欄にある「ドライバ日々帳票」は、図10の日々帳票出力処理の動作シーケンスに対応する表示である。また、同じく帳票欄にある「ドライバ比較…」は、図11の動作シーケンスに対応する表示である。
【0017】
説明を図10に戻す。安全運転管理者は前記したGUI画面を用いて出発年月日の選択を行う(S20)。このことにより、安全運転・省燃費運転診断サーバ30は、日々帳票(表示)作成のために必要な該当データの存在の有無をチェックして日々帳票の作成を行う(S101、S102)。
一方、該当データが存在しない場合は、データ収集サーバ20に対して出発年月日を指定して該当ドライバの日毎データを入手すると共に、データの蓄積を行い(S103)、後述する物理データTBL(テーブル)、労務データTBL、燃費データTBLを構築した後(S104)、日々帳票表示作成を行う。作成された日々帳票は、安全運転管理者が自身の端末で閲覧が可能となる他に、プリンタによる帳票印刷も可能である。
【0018】
図11は、ドライバ比較帳票の出力処理を示したものであり、図10に示す日々帳票出力処理との差異は、ドライバを複数人指定すること(S26)と、走行日カレンダ表示の後、安全指導前後の期間を指定することである(S30;前記期間選択、S31;後期期間選択)。それらデータに基づき該当データの存在の有無をチェックして以降の処理(S111〜S114)は図10に示す日々帳票出力処理(S101〜S104)と同様である。
日々帳票の一例が図20、図21に、ドライバ比較帳票の一例が図22〜図26に示されている。
【0019】
ここで、図2、図3を用いて運行車両に設置される設備の概略について説明する。
図2に示す運行車両10には、車搭端末11を核に、運行車両10の走行位置と速度、方位が得られるGPSユニット(受信機)13/114(Global Positioning System)、車速が得られる車速パルスセンサ(物理データを得る車両センサ14)が接続されている。更に、始業ボタン、終業ボタン、荷卸、荷積みボタン、休憩ボタン、高速道路走行ボタン、高速道路解除ボタンが割り付けられ、これらボタンを押下することにより労務データが入力される操作パネル113、そして、これらの物理データ(GPS受信機(ユニット)13による位置情報、車速パルスセンサによる車両速度情報)、労務データをデータ収集サーバ20へ送信する無線通信のためのパケット通信ユニット115、CFメモリカード等が接続されている。ここで、車両の加速度が得られる加速度センサ等を車両センサ14として接続しても良い。ちなみに本実施形態では、加速度は、車両速度情報から計算により求めることとしている。
なお、図2は、車載端末11が搭載された例を示したが、無線通信機能を持つカーナビゲーション装置でも代用が可能である。
【0020】
図3に、車載端末11の内部構成がブロック展開され示されている。図3中、図2に示す符号と同一符号が付されたブロックは図2に示すそれと同じとする。車載端末11は、CPU111を制御中枢とし、メモリ112、操作パネル113、パケット通信ユニット115、I/O回路116が接続されている。パケット通信ユニット115により、CPU111の制御の下、GPS受信機13と車両センサ14で取り込まれる物理データと、操作パネル113を介して入力され取り込まれた労務データが無線通信網4を介してデータ収集サーバ20へ送信される。
【0021】
I/O回路116には、GPS(ユニット)受信機114、車両センサ14、液晶モニタ等で構成されるディスプレイ117が接続される。
I/O回路116は、GPSセンサ13、GPS受信機114によって計測される運行車両の現在位置(位置情報)を取り込みCPU111へ供給する他、車両センサ14を介して計測される運行車両の車両速度情報をCPU111へ供給する(車両センサ14として加速度センサ等を備えるようにしても良い)。また、CPU111により処理された結果は、I/O回路116を介してディスプレイ117に表示される。
なお、操作パネル113には、始業ボタン、終業ボタン、荷卸、荷積みボタン、休憩ボタン、高速道路走行ボタン、高速道路解除ボタンが割り付けられ、ドライバがこれらボタンを適宜押下することにより労務データとして入力されるものとする。
【0022】
図4は、本発明の安全運転診断装置および省燃費運転診断装置が実装される安全運転・省燃費運転診断サーバ30の内部構成を機能展開して示したブロック図である。
安全運転・省燃費運転診断サーバ30は、通信制御部31と、安全運転診断コンテンツ生成部32と、帳票出力部33と、省燃費運転診断コンテンツ生成部34と、車両DB(Data Base)35で構成される。
【0023】
通信制御部31は、データ収集事業者2が設置するデータ収集サーバ20と運送業者1に設置された管理端末12との接続インタフェースを司り、これらが仮にインターネット等のネットワークを用いて接続されていた場合、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)が実装され、同プロトコルを実践することになる。
安全運転診断コンテンツ生成部32は、車載端末11から通信網4を介して取得される車両走行時における物理データと、ドライバもしくは運行管理者、あるいは安全運転管理者によって入力され取り込まれる労務データのうち少なくとも一つを用い、診断項目毎に統計処理して安全運転診断コンテンツを生成する機能を持ち、ここでは、速度違反情報TBL作成部321と、加速度統計情報TBL作成部322と、急ハンドル回数・最大ハンドル加速度算出部323と、加速度標準偏差・歪度算出部324と、休憩法令違反情報処理部325を含む。なお、加速度は、車両速度情報の初速度(前回値、m−1番目のデータ)と終速度(今回値、m番目のデータ)の差(ΔV)と計測時間差(Δt)により計算される。
【0024】
速度違反情報TBL作成部321は、車載端末11から通信網4を介して定時間間隔で取得される車両位置情報と車両速度情報を用い、位置情報を地図上にマッピングし、図示せぬ速度規制情報データベースから現在位置における速度規制情報を取り込み、当該速度規制情報と車両速度情報との比較により、走行時間内における速度規制を超過して走行した時間の割り合いを算出した値を物理データTBL354内の速度違反情報TBL(3541、図5参照)に書き込む機能を持つ。
また、加速度統計情報TBL作成部322は、車載端末11から通信網4を介して定時間間隔で取得される車両速度情報の初速度と終速度との差分に応じて決定される急加減速(加速度と同じ計算方法により計算される)が発生する回数をカウントし、走行単位時間当りに発生した急加減速の回数の平均値、およびその最大加速度を算出して物理データTBL354内の加速度統計情報TBL(3542)に書き込む機能を持つ。
なお、初速度が所定値以上(例えば30km/hとか40km/hとか…)である前記減速回数をヒヤリハット回数として定義し、そのときの最大ヒヤリハット加速度も診断項目の一つとして使用する。
【0025】
急ハンドル回数・最大ハンドル加速度算出部323は、車載端末11から通信網4を介して取得される急ハンドル状態により車両の遠心力の分布を求め、当該遠心力分布による遠心力の標準偏差を算出する機能を持つ。
また、加速度標準偏差・歪度算出部324は、車載端末11から通信網4を介して定時間間隔で取得される加速度情報により運行車両10の加速度の分布を求め、加速度分布による加速度の標準偏差と、加減速分布の偏りを算出する機能を持つ。詳細は後述する。
【0026】
休憩法令違反情報処理部325は、車載端末11から通信網4を介して取得される運行車両における走行開始後の走行中断時刻と走行開始時刻を取り込み、その差分により連続運転時間を算出し、連続運転時間内における作業開始時刻と休憩時刻との差分により休憩時間を算出して、連続運転時間内における休憩時間と、休憩法令で規定された休憩時間との照合を行うことにより認定される法令違反の有無、およびその回数を算出する機能を持つ。
前記した、速度違反情報TBL作成部321、加速度統計情報TBL作成部322、急ハンドル回数・最大ハンドル加速度算出部323、加速度標準偏差・歪度算出部324、休憩法令違反情報処理部325のそれぞれで算出された値は、それぞれの診断項目として安全運転診断コンテンツ生成部32へ供給され、安全運転診断コンテンツ生成部32で統計処理され、帳票出力部33により安全運転診断コンテンツとして帳票出力される。
【0027】
安全運転診断コンテンツ生成部32は、また、安全運転指導員のアクセスに基づき、生成された診断項目毎のコンテンツに対して、あるドライバの運転傾向に関する評価データを付加し、そのドライバに対して安全運転指導を行うために必要な安全診断コンテンツを、帳票出力部33を介して帳票出力する機能を持つ。このとき、安全運転診断コンテンツ生成部32は、各診断項目を総合的に判断して安全運転の度合いを点数化し、帳票に反映させる。
また、診断項目毎に、複数ドライバの運転傾向を示す相対比較のための評価データを帳票出力する機能も併せ持つ。
【0028】
一方、省燃費運転診断コンテンツ生成部34は、車載端末11から通信網4を介して取得される車両走行における物理データと、ドライバもしくは運行管理者によって入力され、取り込まれる労務データとを統計処理して省燃費運転診断コンテンツを生成する機能を持ち、アイドリング集計処理部341を備える。
アイドリング集計処理部341は、車載端末11から通信網4を介して取得される、エンジンONで位置情報に変化のないアイドリング状態が所定時間経過したときに、その回数と時間をアイドリングヒストグラム(3561、図5参照)に書き込む機能を持ち、省燃費運転診断コンテンツ生成のための診断項目として使用される。省燃費運転診断コンテンツ生成部34は、他に、加速度平均値、平均速度、走行距離、そして、運送業者1の労務管理者によって入力される実燃料消費率を取り込み、アイドリング集計処理部341によって算出される回数と時間データと共に統計処理して省燃費運転診断コンテンツを生成する。
【0029】
図5〜図9に、車両DB35のテーブル(TBL)構造の一例が示されている。本発明実施形態において使用されるテーブルは、ドライバデータTBL351を核に、走行軌跡時系列TBL352、加速ヒストグラムTBL353、物理データTBL354、労務データTBL355、燃費データTBL356で構成される。
【0030】
ドライバデータTBL351は、運転者、車種、車重、車両番号、運転出発日、運転出発時刻等の書誌事項の他、走行軌跡時系列TBL352、加速ヒストグラムTBL353、物理データTBL354、労務データTBL355、燃費データTBL356の各データフィールドを持つ。
走行軌跡時系列TBL352は、番号、日付、時刻、緯度、経度、種別、最高速度、積算距離、初速度、終速度、平均速度、加速度分散、横Gのデータフィールドから構成される。ここで、種別データフィールドにある定周期走行とは、n分間隔のデータ(n=1、2、15)、最高速度とは、過去n分間内での最高速度(単位はkm/h)、平均速度とは、過去n分間内での平均速度(単位はkm/h)、加速度標準分散とは、過去n分間内で加速度の分散(単位は(km/h/sec))、横Gとは、急横Gがあったときの横方向の加速度(右方向が+、単位はkm/h)、初速度、終速度とは、急加減速時に記録される、急加減速の初速度と終速度(単位はkm/h)をいう。なお、本実施形態では、車両センサ14として、横Gセンサは設けていないので、表中、横Gの欄は空欄である。ちなみに横Gは、車両の基本諸元データと、走行軌跡および車両速度情報から計算により求めることができる(例えば車両進行方向に直角な方向に作用する横力としても計算可能)。
【0031】
なお、図6に、走行軌跡時系列TBL352の種別のコード(始業、終業、休憩、高速、高速解除、走行、荷積み、荷卸し/運転自動検出、電源OFF、アイドリング開始、アイドリング終了、定周期走行、急加速、急減速、急ハンドル)と、そのときの記録情報(最高速度、積算距離、初速度、終速度、平均速度、加速度標準偏差、横G)がマトリックス表現されている。
ここで、○が付された項目が操作パネル113のボタン押下により、あるいは自動収集されるデータ項目であって、日付、時刻、緯度、経度、種別の各データに関しては種別コードに依存せず必須とする。この図6は、例えば、定周期走行時(安定して走行しているとき)は、最高速度、平均速度、加速度標準偏差が走行軌跡時系列TBL352に記録され、急加速時や急減速時は、積算距離、初速度、終速度が走行軌跡時系列TBL352に記録されることを示している。なお、アイドリング開始時には積算走行距離が記録されるが、このアイドリング開始時は、アイドリング判定によりアイドリングが行われていると判定された後に決定される。また、図6において、横Gの記録は、横Gセンサを備える車両を用いた実施形態や横Gを計算により求める実施形態において行われるものである。
【0032】
加速ヒストグラムTBL353は、加速度、縦加速回数(前後方向の加速回数)、横加速回数の各データフィールドを持ち、ここでは、加速度の分布を20分割(−10〜+10)したときのそれぞれの、縦加速回数と横加速回数が示される。ここでは、急加減速の閾値を11km/h/sec(0.3G)とし、閾値以上のものが記憶される。ここでの回数は、1秒を計測時間(Δt=1sec)としたときの回数である。
物理データTBL354は、走行時間、運行時間、走行距離、平均速度、高速道走行時間、一般道走行時間、高速道走行距離、一般道走行距離、高速道平均速度、一般道平均速度の各データフィールドから成り、それぞれに書き込まれる一次データから、速度違反情報TBL(3541)、加速度統計情報TBL(3542)の二次データが作成され、割り付けられる。速度違反情報TBL(3541)のデータ項目は図7に、加速度統計情報TBL(3542)のデータ項目は図8にその一例が示されている。これらデータ項目の詳細はそれぞれのテーブル作成ロジックと共に後述する。
【0033】
労務データTBLL355は、運行時間と、連続運転時間最大と、休憩法令違反情報をデータ項目として持つ。休憩法令違反情報の作成の仕方については後述する。
また、燃費データTBL356は、アイドリング時間合計、アイドリング回数、縦加速度平均値、平均速度、走行距離、実燃料消費率の一次データおよび、これら一次データから作成される二次データのアイドリングヒストグラムTBL(3561)から成り、このアイドリングヒストグラムTBL(3561)のデータ項目は図9にその一例が示されている。データ項目の詳細は、テーブル作成ロジックと共に後述する。
【0034】
以下、安全運転診断項目毎に、詳細説明を行うが、事前に、物理データ、労務データ、燃費データの一例について説明する。
物理データとしては、車の速度、位置、縦方向の加速度、横方向の加速度の時系列、アイドリングの状態、走行距離がある(ちなみに、横方向の加速度を得ない実施形態であれば横方向の加速度は空欄であり、横方向の加速度を得る実施形態であれば、表のように横加速度の時系列が書き込まれる)。また、労務データとしては、車の出発、走行の終了、休憩の状態、荷積み、荷卸の状況、高速道路の走行の状態がある。更に、燃費データとしては、車に給油した燃料の量、燃料を給油したときの走行距離、日、時間がある。
以下、これらの物理、労務、燃費データから、本発明の安全運転診断プログラムおよび省燃費運転診断プログラム(以下、単にプログラムという)によって生成される2次的なデータ、すなわち、速度違反情報、加速度統計情報、急ハンドル回数・最大ハンドル加速度、加速度標準偏差・歪度、休憩法令違情報、アイドリングヒストグラムについて詳細に説明する。
【0035】
図13は、図5に示す速度違反情報TBL(3541)作成のためのプログラム構造をPAD(Problem Analysis Diagram)表現した図であり、図7にその速度違反情報TBL(3541)のデータ構造が示されている。以下、このプログラム構造を図4等を参照しつつ、図13に沿って説明する。
速度違反情報TBL作成部321は、まず、プログラムに割り付けられる「速度違反回数カウンタ(高速道/一般道)」に0を、「速度違反距離」にも0を設定する(D131)。次に、走行軌跡時系列TBL352から車両位置情報と車両速度情報を取り込んで位置情報を地図上にマッピング(マップマッチング)する(D132)。
【0036】
そして、走行軌跡時系列TBL352の種別コード「定周期」に対してのみマップマッチングにより得られる現在位置に相当する道路の速度規制情報を取得しする(D134)。ここでは、図示せぬ地図データベースから取得することとするが、速度規制情報を、一般道40km、高速道80kmと固定しても良い。一方、「定周期」のデータで、かつ、高速道路走行中の場合に速度規制速度を80km/hとする(D136)。つまり、道路に応じて(速度規制に応じて)、速度規制速度を変更する。
また、取得された速度規制情報(α)と定周期のデータでの平均速度(β)との比較を行い(D137)、α>βの場合であって、かつ、高速道路走行の場合は(S138)、高速道速度違反回数カウンタを1だけカウントアップすると共に、高速道速度違反距離に、平均速度×n分/60を加える(D139)。α>βの場合であって、かつ、一般道走行の場合は、一般道速度違反距離に、平均速度×n分/60を加える(D140)。以上の手順を全「定周期」データ分だけ繰り返す(D133)。
【0037】
そして、速度違反情報TBL(3541)内での一般道最高速度、高速道最高速度を求め、走行時間内における速度規制を超過して走行した時間の割り合いを算出し、それぞれ、一般道速度違反距離割合、一般道速度違反時間割合、高速道速度違反距離割合、高速道速度違反時間割合、速度違反距離割合、速度違反時間割合として速度違反情報TBL(3541)を作成し、物理データTBL354に書き込む(D142)。
【0038】
図14、図15に加速度統計情報TBL(3542)作成のためのプログラム構造をPAD表現した図が、図8に加速度統計情報TBL(3542)のデータ構造がそれぞれ示されている。
ここでは、定時間間隔で取得される車両速度情報の初速度と終速度との差分に応じて決定される急加減速が発生する回数をカウントし、走行単位時間当りに発生した急加減速の回数の平均値、およびその最大急加減速度を算出している。
【0039】
具体的に、図14(a)において、加速度統計情報TBL作成部322は、プログラムに割り当てられる全加速回数カウンタ(fG〜hG)を0(回)に、最大急加速を0(G)に設定する(D151)。なお、f<g<hである(つまり、加速減速ともfは穏やかhは急)。
次に、走行軌跡時系列TBL352から初速と終速を取り込み、その差分(終速−初速)を計算し、その差分がレベル1(akm/h/sec〜bkm/h/sec)の範囲にあった場合(D153)、急加速回数カウンタ(fG〜gG)を+1カウントアップする(D154)。否の場合であって、更に、差分がレベル2(ckm/h/sec〜dkm/h/sec)の範囲にあった場合(D155)、急加速回数カウンタ(gG〜hG)を+1カウントアップし(D156)、否の場合、更に、その差分がレベル3(ekm/h/sec以内)にあれば(D157)、急加速回数(hG以上)を+1だけカウントアップする(D158)。以上の動作(D153〜D158)は、種別コードが「急加速」となっている全データ分繰り返される(D152)。
そして、その差分(終速−初速)が最大急加速度×3.6×9.8以上であった場合に(D159)、最大急加速度を、(初速−終速)/(3.6×9.8)とする(D160)。
【0040】
加速度標準偏差閾値越回数の算出方法について図14(b)のPAD表現を用いて説明する。
まず、加速度統計情報TBL作成部322は、プログラムに割り当てられた加速度標準偏差閾値越回数カウンタを0に設定する(D161)。そして、加速度分散の平方根を算出したものが加速度標準偏差閾値以上の場合(D163)、加速度標準閾値越回数カウンタを+1カウントアップする(D164)。以上の動作(D163、D164)は、走行軌跡時系列TBL352の種別コードにある全「定周期」データ分だけ繰り返される(D162)。
前記のように算出された加速度統計情報は、図8(a)に示されるように、レベル毎に、急加速回数として、物理データTBL354内の加速度統計情報TBL(3542)に書き込まれる。また、図8(b)に示されるように、必要に応じて時間頻度、あるいは距離頻度として、時間頻度、距離頻度の回数TBL(3543)として作成することも可能である。
【0041】
図15は、急減速回数、ヒヤリハット回数、最大急加速度、最大ヒヤリハット加速度作成のための手順をPAD表現した図である。ここでは、初速が、例えば30km/h(=j)等所定値以上である減速回数をヒヤリハット回数として定義し、そのときの最大ヒヤリハット加速度を算出している。
まず、加速度統計情報TBL作成部322は、プログラムに割り当てられる全減速回数カウンタ(fG〜hG)、ヒヤリハット回数カウンタを0に、最大急減速、最大ヒヤリハット加速度を共に0に設定する(D171)。
【0042】
次に、走行軌跡時系列TBL352から初速(m−1番目のデータ)と終速(m番目のデータ)を取り込み、その差分(終速−初速)を計算し、その差分がレベル1(akm/h/sec〜bkm/h/sec)の範囲にあった場合(D174)、急加速回数カウンタ(fG〜gG)を+1カウントアップする(D175)。否の場合であって、更に、差分がレベル2(ckm/h/sec〜dkm/h/sec)の範囲にあった場合(D176)、急加速回数カウンタ(gG〜hG)を+1カウントアップし(D177)、否の場合、更に、その差分がレベル3(ekm/h/sec以内)にあれば(D178)、急加速回数(hG以上)を+1だけカウントアップする(D179)。そして、その差分(初速−終速)が最大急加速度×3.6×9.8以上であった場合に(D180)、最大急加速度を、(初速−終速)/(3.6×9.8)とする(D181)。以上の動作(D174〜D181)は、種別コードが「急減速」となっている全データ分、初速がjkm/h以下の場合(D173)に繰り返される(D172)。
【0043】
前記のように算出された加速度統計情報は、図8(a)に示されるように、レベル毎に、急減速回数として、物理データTBL354内の加速度統計情報TBL(3542)に書き込まれる。また、図8(b)に示されるように、必要に応じて時間頻度、あるいは距離頻度として、図示せぬ時間頻度、距離頻度の回数TBL(3543)として作成することも可能である。
【0044】
一方、D173において、初速がjkm/h以下の場合、初速と終速の差分がレベル1(akm/h/sec〜bkm/h/sec)の範囲にあった場合(D182)、ヒヤリハット回数カウンタ(fG〜gG)を+1カウントアップする(D183)。否の場合であって、更に、差分がレベル2(ckm/h/sec〜dkm/h/sec)の範囲にあった場合(D184)、ヒヤリハット回数カウンタ(gG〜hG)を+1カウントアップし(D185)、否の場合、更に、その差分がレベル3(ekm/h/sec以内)にあれば(D186)、ヒヤリハット回数(hG以上)を+1だけカウントアップする(D187)。
そして、その差分(初速−終速)が最大ヒヤリハット加速度×3.6×9.8以上であった場合に(D188)、最大ヒヤリハット加速度を、(初速−終速)/(3.6×9.8)とする(D189)。以上の動作(D182〜D188)は、種別コードが「急減速」となっている全データ分、初速がjkm/h以下の場合(D173)に繰り返される(D172)。
【0045】
前記のように算出された加速度統計情報は、図8(a)に示されるように、レベル毎に、ヒヤリハット回数として、物理データTBL354内の加速度統計情報TBL(3542)に書き込まれる。また、図8(b)に示されるように、必要に応じて時間頻度、あるいは距離頻度として、時間頻度、距離頻度の回数TBL(3543)として作成することも可能である。
【0046】
図16は、急ハンドル回数、最大ハンドル加速度の算出方法についてPAD表現した図である。なお、この急ハンドル等の実施形態は、例えば舵角センサおよび横Gセンサを備える車両(舵角[操舵速度]および横G[横力]を演算する機能を備える車両)で実行するものである。
まず、急ハンドル回数、最大ハンドル加速度算出部323は、プログラムに割り当てられる全急ハンドル回数カウンタを0に、最大右ハンドル加速度を0、最大左ハンドル加速度を共に0に設定する(D191)。
次に、走行軌跡時系列TBL352から横Gを取り込み、その横Gがレベル1(akm/h/sec〜bkm/h/sec)の範囲にあった場合(D194)、急右ハンドル回数カウンタ(fG〜gG)を+1カウントアップする(D195)。否の場合であって、更に、その横Gがレベル2(ckm/h/sec〜dkm/h/sec)の範囲にあった場合(D196)、急右ハンドル回数カウンタ(gG〜hG)を+1カウントアップし(D197)、否の場合、更に、その横Gがレベル3(ekm/h/sec以内)にあれば(D198)、急右ハンドル回数カウンタ(hG以上)を+1だけカウントアップする(D199)。そして、その横Gが最大急右ハンドル加速度×3.6×9.8以上であった場合に(D200)、最大急右ハンドル加速度を、横G/(3.6×9.8)とする(D201)。
以上の動作(D194〜D201)は、種別コードが「急ハンドル」となっている全データ分、横Gが0以上の場合(D193)に繰り返される(D192)。
【0047】
前記のように算出された加速度統計情報は、図8(a)に示されるように、レベル毎に、最大急右ハンドル回数として、また、最大急右ハンドル加速度として物理データTBL354内の加速度統計情報TBL(3542)に書き込まれる。また、図8(b)に示されるように、必要に応じて時間頻度、あるいは距離頻度として、時間頻度、距離頻度の回数TBL(3543)として作成することも可能である。
【0048】
一方、D193において、横Gが0以下(G≦0)の場合、その横Gがレベル1(akm/h/sec〜bkm/h/sec)の範囲にあった場合(D202)、急左ハンドル回数カウンタ(fG〜gG)を+1カウントアップする(D203)。否の場合であって、更に、その横Gがレベル2(ckm/h/sec〜dkm/h/sec)の範囲にあった場合(D204)、急左ハンドル回数カウンタ(gG〜hG)を+1カウントアップし(D205)、否の場合、更に、その横Gがレベル3(ekm/h/sec以内)にあれば(D206)、急左ハンドル回数カウンタ(hG以上)を+1だけカウントアップする(D207)。そして、その横Gが最大急左ハンドル加速度×3.6×9.8以上であった場合に(D208)、最大急左ハンドル加速度を、横G/(3.6×9.8)とする(D209)。
以上の動作(D202〜D209)は、種別コードが「急ハンドル」となっている全データ分、横Gが0以上の場合(D193)に繰り返される(D192)。
【0049】
前記のように算出された加速度統計情報は、図8(a)に示されるように、レベル毎に、最大急左ハンドル回数として、また、最大急左ハンドル加速度として物理データTBL354内の加速度統計情報TBL(3542)に書き込まれる。また、図8(b)に示されるように、必要に応じて時間頻度、あるいは距離頻度として、時間頻度、距離頻度の回数TBL(3543)として作成することも可能である。
【0050】
図17(a)は、加速度標準偏差、加速度歪度、加速度平均値の算出方法をPAD表現して示した図である。
ここでは、車両の加速度の分布を求め、加速度分布による加速度の標準偏差と、加減速分布の偏り(加速度歪度)が算出される。
【0051】
具体的に、加速度標準偏差・歪度算出部324は、加速度ヒストグラムTBL353、走行軌跡時系列TBL352からデータを読み出し、加速度別の加速回数メモリ(プログラムに割り付けられる)をセットする(D211)。そして、その加速回数メモリから縦加速度平均値Apを算出する。
縦加速度平均値Apは、以下の演算式(1)を計算することによって求められる(D212)。但し、ここで、a>0である。
Ap=ΣaA(a)/(N×3.6×9.8)…(1)
次に、加速回数メモリから縦加速度標準偏差σを以下の演算式(2)を計算することにより求める(D213)。
σ=√(Σ(a−Aa)A(a)/(N×3.6×9.8))…(2)
【0052】
そして、加速回数メモリから縦加速度歪度Sを、以下の演算式(3)を計算することにより求める(D214)。
S=Σ(a−Aa)A(a)/(N×3.6×9.8×σ)…(3)
更に、加速回数メモリから横加速度標準偏差σvを以下の演算式(4)を計算することにより求める(D215)。
σv=√(Σ(a−Av)C(a)/(M×3.6×9.6)…(4)
なお、ここで、A(a)は縦加速度aの加速回数メモリ、C(a)は横加速度aの加速回数メモリ、aは最大縦減速度から最大縦加速度までの値(単位はkm/h/sec)、Nは縦加速度総回数ΣA(a)、Mは横加速度総回数ΣC(a)、Aaは縦加速度平均値ΣaA(a)/N、Avは横加速度平均値ΣaC(a)/Mである。
なお、急ハンドル回数・最大ハンドル加速度算出部323は、車載端末11から通信網4を介して取得される急ハンドル状態により車両の遠心力の分布を求め、当該遠心力分布による遠心力の標準偏差を算出する機能を持つが、ここで算出される遠心力の標準偏差は、前記した演算式(2)を用いることとする。ちなみに遠心力の標準偏差からは、ドライバが急ハンドルを切りやすい等の、ドライバの運転特性を読み取ることができるので、この遠心力の標準偏差に沿って、ドライバに安全運転指導を行うことができる。
【0053】
図17(b)に、加速度別加速回数メモリのセットの仕方がPAD表現により示されている。
ここでは、まず、加速度aの最大値と最小値を求める(D216:単位はkm/h/sec)。そして、A(a)のメモリを最大値から最小値の範囲に渡ってクリアする(D217)。次に、A(a)、C(a)に縦加速度回数を加速度ヒストグラムTBL353から取り込んでセットする(D219)。これは、走行軌跡時系列TBL352を参照して種別コードに急加減速の状態コードが設定されていた場合に、そのときの加速度をチェックし、その加速度が20分割(急加速閾値−11km/h/sec〜急減速閾値+11km/h/sec)されたどこに含まれるかを判定することにより実現される。プログラム上は、急減速閾値+1〜急加速閾値−1の範囲に渡り、種別コードが「急加速」、「急減速」となっている加速度全てについてA(a)を+1カウントアップしながら繰り返し行う(D220、D221)。
走行軌跡時系列TBL352の種別コードに「急ハンドル」が設定されていた場合も同様、その加速度の全てに対してC(横G)を+1カウントアップしながら(D223)繰り返す(D222)。
【0054】
次に、加速度の標準偏差について他の計算方法について説明する。
【0055】
【数1】
Figure 2004234260
【0056】
また、加速度時系列でなく、予め加減速についてそれぞれ定めた閾値以上の加速減速の加速度(急加減速)を記憶している場合の、加速度の標準偏差の求め方について述べる。この場合の計算方法の一例を数式2に示す。
【0057】
【数2】
Figure 2004234260
【0058】
数式2は、最小二乗により経験的に求めた近似式とする。ここでの式中にある重み係数A(1),A(2),A(3),A(4)は、予め採取した(初速と終速から計算した)1秒毎の加速度から求めておく(以下同じ)。具体的には、予め1秒毎の加速度を採取(計算)しておき、その値により数式1で求めた加速度分散の真値,加速度時系列データから加速減速についてそれぞれ定めた閾値以上の値を取り出してそれぞれ急加速データ,急減速データとし、このデータから急加減速頻度,急加速平均,急減速平均,急加速2乗平均,急減速2乗平均の値を計算し、最小二乗法によりこれら重み係数A(1),A(2),A(3),A(4)を予め求めておく。また重み係数A(1),A(2),A(3),A(4)は、ニューラルネットワークを用いて関数近似を行って求めても良い。
【0059】
次に、加速度の歪度についての他の計算方法について説明する。この計算を数式3に示す。
【0060】
【数3】
Figure 2004234260
【0061】
ここで、加速度標準偏差とは数式1で計算した値である。また、加速度の時系列でなく、予め定めた加速減速の閾値以上の加速度を記憶している場合の、加速度の歪度の求め方について述べる。
【0062】
この場合の計算方法の一例を数式4に示す。
【0063】
【数4】
Figure 2004234260
【0064】
数式4は、最小二乗により経験的に求めた近似式とする。ここでの式中にある重み係数B(0),B(1),B(2),B(3),B(4),B(5)は、予め採取した1秒毎の加速度から求めておく。具体的には、予め1秒毎の加速度を採取し、その値により数式3で求めた加速度分散の真値、加速度時系列から閾値以上の値を取り出し、急加減速頻度,急加速平均,急減速平均,急加速2乗平均,急減速2乗平均,急加速3乗平均,急減速3乗平均の値を計算し、最小二乗法により重み係数B(0),B(1),B(2),B(3),B(4),B(5)を予め求めておく。また重み係数B(0),B(1),B(2),B(3),B(4),B(5)は、ニューラルネットを用いて関数近似を行って求めても良い。
【0065】
図18は、休憩法令違反情報処理をPAD表現した図である。法令では、4時間の連続運転毎30分の休憩が義務付けられている。
そこで、走行車両10における走行開始後の走行中断時刻と走行開始時刻を取り込み、その差分により連続運転時間を算出し、連続運転時間内における作業開始時刻と休憩時刻との差分により休憩時間を算出して、連続運転時間内における休憩時間と、休憩法令で規定された休憩時間との照合を行うことにより認定される法令違反の有無を判定する。なお、法令違反があった場合、その日数(回数)カウントして診断項目として用いても良い。
【0066】
具体的には、図18(a)は、連続運転時間を算出する方法を示している。休憩法令違反情報処理部325は、まず、連続運転時間最大を0に設定する(D231)。そして、走行軌跡時系列TBL352に記録されている始業のコード検索を行い、運行車両の走行開始を検出したときに、荷積み、荷卸し、休憩、終業等、走行開始後から次の走行開始後の走行中断まで(D234)、走行開始後の走行中断時刻を検出する(D235)。
そして、連続運転時間を、走行開始後の走行中断時刻と走行開始時刻の差分とし(D236)、連続運転時間最大としてメモリにセットする(D237)。前記の動作(D233〜D237)は、走行軌跡時系列TBL352に始業コードが設定されている全てのデータ分について繰り返される。
【0067】
図18(b)に休憩法令違反設定のための処理が示されている。ここで、休憩法令違反情報処理部325は、始業から終業に渡って、T=t+4時間30分を計算し、Tが終業を越えた場合には終業時刻とする(D239)。そして、時刻tからT内における休憩時間を集計し(D240)、その休憩時間の集計値が30分以下の場合に法令違反と設定する(D241、D242)。
休憩時間の集計処理は図18(c)に示されている。すなわち、休憩法令違反情報処理部325は、時刻t〜Tの範囲で(D243)、走行軌跡時系列TBL352に休憩コードが記録されていることを検索し(D244)、休憩時間を走行開始時刻と休憩時刻の差分を、休憩から次の走行(走行、運転自動検出コード)まで累算する(D245、D246)。
【0068】
図19は、アイドリング時間合計、アイドリング回数、アイドリングヒストグラムの集計方法についてPAD表現した図である。図9にアイドリングヒストグラムTBL(3561)のデータ構造が示されている。
ここでは、エンジンONで位置情報に変化のないアイドリング状態が所定時間経過したときに、その回数と時間が計測され設定される。
【0069】
具体的に、アイドリング集計処理部341は、まず、プログラムに割り付けられる全アイドリングヒストグラム回数メモリを0に設定し、また、アイドリング時間合計値を0にセットする(D251)。そして、走行軌跡時系列TBL352を参照することにより、アイドリング開始が検出された場合(D253)、次のアイドリング終了まで(D254)、アイドリング時間をアイドリング終了時刻とアイドリング開始時刻の差分として求め(D255)、かつ、アイドリング時間からアイドリングヒストグラム回数メモリを+1カウントアップする(D256)。
そして、アイドリング集計処理部341は、アイドリング回数をアイドリングヒストグラム回数メモリの総和としてセットする(D257)。
省燃費運転診断コンテンツ生成部34による省燃費運転診断は、他に、加速度統計情報TBL作成部322に記録された縦加速度平均値と、物理データTBL354に記録された平均速度、および走行距離と、運送業者1の労務管理者が管理端末12を操作することにより入力される実燃料消費率とを統計処理することにより行われる。ちなみに、本実施形態の車載端末11は、エンジンONの状態で機能して、車両速度情報および位置情報を送信するようになっている。このため、ドライバがイグニッションスイッチによりエンジンを停止すれば、アイドリングの時間は計測されなくなる。
【0070】
次に、安全運転診断の評価、およびその度合いの計算方法について述べる。安全運転診断の度合いは、交通事故を起こす確率に逆比例するように設定される。これは、予めドライバの事故歴(一年辺り何回事故を起こしたかの回数。以下、事故頻度と呼ぶ)が得られる場合はその情報と、加速度標準偏差、加速度歪度のペアの情報を集めておき、事故頻度を加速度標準偏差と、加速度歪度の値とで説明するための関係式を求める。
これにより、加速度標準偏差と加速度歪度を計測すれば、事故の頻度を推定することが可能になる。ここで加速度標準偏差は、走行地域の影響を受けやすい物理量であるが、ドライバの性格もある程度反映した量であるため、この物理量をも含める。この関係の一例として次の、数式5による方法がある。
【0071】
【数5】
Figure 2004234260
【0072】
ここで、この式中にある重み係数C(0),C(1),C(2)は、予め集めておいたドライバの事故歴、加速度標準偏差、加速度歪度のペアの情報から、事故歴データを事故頻度と見なして、最小二乗で求めておく。また数式5の事故頻度の逆数を安全運転の度合いとする。またここで、最小二乗でなくとも、ニューラルネットを使用して、事故頻度を出力、加速度標準偏差、加速度歪度を入力とした関数近似を行って求めても良い。また、事故歴が得られ難い場合には、事故に至る可能性の高いと考えられる急減速を事故頻度の代わりのデータとして用いて加速度標準偏差、加速度歪度をもとに前記(数式5)により同様に事故頻度を推定する。
【0073】
次に、安全運転の度合いの精度を向上させる方法について述べる。この精度は、数式5の最小二乗またはニューラルネットによる学習により決定される。このため、被験者のデータ数が多くなるにつれ、精度が向上することになる。このため図1の安全運転・省燃費運転診断サーバ30に蓄えられた加速度の歪度と標準偏差の値の群を用いて再学習を行えば良い。
【0074】
また、これらの学習データが全く無い場合には簡便な方法として、事前に複数の被験者の走行データの加速度時系列データを分析して得られた閾値を用いて、一例として以下のように設定する。加速度標準偏差がxkm/h/sec以上でかつ、加速度歪度の絶対値がy以上のときには、安全運転の度合いを0とする。またそれ以外のときには、安全運転の度合いを1と簡易的にする。
【0075】
最後に、警告画面とそのメッセージ内容について述べる。ドライバの運転の加速度の分布を元に、ドライバの性格を診断して評価を行った安全運転の度合いが、予め設定された閾値以上の場合警告を与えることにする。ここで閾値の値は1つ以上でも良い。本実施形態では5段階のレベルを用意し、各レベルの境界となる4つの閾値を用意する。そして安全なレベルから順にA,B,C,D,Eと名前を付けることにする。
また、加速度の加速側,減速側の分布の偏りを求めるため、加速度の歪度を求めておき、この加速度の歪度の値が減速側に大きな値を持つ場合には、そのドライバを、加速がゆったりで、減速が急であると判定し、加速側に大きな値をもつ場合には、そのドライバを、加速が急で減速がゆったりしていると判定する。例えば、加速度の歪度が−y以下の場合、y以上の場合、それ以外の場合の3通りに分ける。この加速度の歪度が−y以下の場合、y以上の場合、それ以外の場合の3通りに分けた組み合わせと、安全なレベルの組み合わせにより、診断メッセージを用意する。
【0076】
ここで、加速度歪度が−yの場合には、加速度分布の減速の裾野が加速より広いことを意味するため、「ブレーキがきつめです」のメッセージを入れる。また加速度歪度がy以上の場合には、加速度分布の加速の裾野が減速より広いことを意味するため、「アクセルがきつめです」のメッセージを入れる。
さらに、加速度歪度が−yを超え、y未満の場合には、加速度の分布が左右対称に近いことを意味するため、アクセルがきつい、ブレーキがきついのメッセージは入れない。また、安全レベルがAの場合には「安全な運転をしています」、Bの場合には「安全運転に気をつけています」、Cの場合には「普通の運転をしています」、Dの場合には「やや荒っぽい運転をしています」、Eの場合には「荒っぽい運転をしています」のメッセージを入れる。また、安全レベルが2つしか設定されない場合のメッセージは、レベルAとEのみの表示とする。
【0077】
すなわち安全運転の度合いが閾値より安全サイド(値が大きい場合)にある場合はレベルAのメッセージ群の中から歪度の値に応じてメッセージを出す。一方、閾値より危険サイド(値が小さい場合)にある場合はレベルEのメッセージ群の中から歪度の値に応じてメッセージを出す。
なお、この診断メッセージは、安全運転サービスセンタの管理者が変更できるようにする。
【0078】
次に、安全レベルをA〜Eの5段階に分けた場合における閾値の決め方について説明する。この閾値は予め、ドライバの被験者を集めておき、主観的な安全のレベル分けをしておく。そして各々の安全レベルにおける、安全運転の度合いの平均値を求める。この各安全レベル毎の平均値の中間値を、各安全レベルの閾値とする。例えば、レベルAの安全運転の度合いが100、レベルBの安全運転の度合いが80とする。この場合レベルAとBの閾値は90となる。
【0079】
また安全のレベルが2つである場合の閾値の決め方について説明する。ここで、安全の度合いが交通事故頻度に基づいて計算している場合には、平均的なドライバの交通事故の頻度の逆数とする。また、安全の度合いが急減速の回数に基づいて計算している場合には、平均的なドライバの急減速の頻度の逆数とする。ここでの平均的なドライバは、日本全国のドライバの平均を使用するか、または安全運転・省燃費運転診断サーバ30に蓄えられているドライバの平均値とする。
【0080】
ここで、本発明により作成される帳票の一例について、図20〜図26を参照しながら説明する。
図20に示す日々帳票によれば、各診断項目を総合的に判断して指導のコメントが付されると共に、安全、省燃費運転度合いが点数化され表現される(A)。また、走行日の各診断項目値が記され、前月の平均値と比較することで運転の改善の度合いが把握できる(B)。
更に、1運行(始業〜終業)の走行経路が示される。ここでは、作業場所の他に、危険な運転を行った場所をマークすることで、これらが多発する地域を特定し、指導に役立たせることができる(C)。また、速度変化グラフも表示される。速度違反、速度ムラのある運転の時間帯をマークすることで、これらが発生しやすい時間帯を把握し、指導に役立てることができる(D)。
【0081】
図21に示す帳票は、月次帳票であり(ドライバの1ヶ月の月平均評価と1週間の走行情報の履歴)、各診断項目のうち、特に重要な項目について帳票を作成し、ドライバの月平均での安全運転、省燃費の傾向を報告するために用いられる。
ここでは、1ヶ月間における各診断項目の値の変化がグラフ表示されている。ここで、通常でない運転と思われる場合、図20に示す日々帳票により詳細を確認することができる(E)。また、1ヶ月間の各診断項目値の平均値が記録される。また、前月の値を表示することにより、その傾向を明示することができる(F)。
【0082】
なお、診断項目とは、運転者、走行日時、運行時間[h]、ハンドル時間[h]、最大連続ハンドル時間[h]、走行時間[h]、アイドリング時間[h]、休憩時間[h]、作業時間[h]、走行距離[km]、安全運転点数、省燃費運転点数、指導コメント、速度[km/h]、平均速度[km/h]、瞬間最高速度[km/h]、速度違反時間割合[%]、加速度、急加減速回数[回/h]、ヒヤリハット回数[回/h]、最大加減速度[G]、加減速分布[回/h]、加減速傾向分布をいう。
【0083】
図22に示すドライバ比較データは、走行距離、走行時間についてA氏、B氏、C氏、D氏各ドライバを対比して示したものであり、1運行当りの平均運行時間および走行距離は、安全運転診断の前後でほぼ同様である。図23に示すドライバ比較データは、速度に関する評価が示されており、B氏とD氏は、指導の前後で速度違反の割り合いが減少していることが確認できる。
【0084】
図24に示すドライバ比較データは、安全指導前後における急加減速に関する評価が示されている。ここでは、A氏とB氏には若干急加減速の傾向が見受けられ、C氏とD氏は、指導の結果、急減速の傾向が減少していることが確認できる。また、図25に示すドライバ比較データは、安全指導前後における運転傾向に関する評価が示されている。ここでは、原点に近いほど安定した速度(定速度)で無駄な加速がない(アクセルワークが安定した)ドライバであることを示している。D氏は、安全指導により、加速、アクセルワーク共に改善が認められる。補足すると、図25において、データが上方にあるほどドライバは急加速しやすい傾向にあり、データが下方にあるほどドライバは急減速しやすい傾向にある。
また、図26に示すドライバ比較データは、指導前後における燃費に関する評価(アイドリング時間、燃費)が示されている。ここでは、運行車両として冷凍車が例示されているため、アイドリング回数についてはその特殊事情(冷凍機を動かす関係上アイドリングストップをできない)により改善は見られないが、通常の車両では指導による改善が見られた。また、燃費については、全員改善が行われている。
【0085】
なお、図22〜図26に示すドライバ比較データは、法人データとしても活用できる。すなわち、A氏を社内Aグループ、B氏を社内Bグループとし、比較することで、安全運転、省燃費運転に関して社内で競争意識を持たせ、活動を活性化することができる。勿論、グループとグループ内個人を並べて比較する帳票も作成可能である。このことにより、安全運転管理者は最小限の労力で各種帳票を入手でき、効率的な指導が可能となる。勿論、会社(企業)を1つのグループとみなしてデータを取り扱うようにし、会社同士の比較を行うことができるようにしても良い。
【0086】
以上説明のように本実施形態は、車両から取得される物理データや労務データを一元管理してその統計的性質を分析することにより、ドライバに合致した格付けや帳票を自動作成するものであり、また、安全指導員が、前記した一元管理されるデータを参照して安全運転指導、あるいは省燃費運転指導を行う際に、そのコンテンツを容易に作成でき、安全指導員の負担軽減をはかるものである。
なお、図4に示す安全運転診断コンテンツ生成部32、帳票出力部33、省燃費運転診断コンテンツ生成部34、速度違反情報TBL作成部321、加速度統計情報TBL作成部322、急ハンドル回数・最大ハンドル加速度算出部323、加速度標準偏差・歪度算出部324、休憩法令違反情報処理部325、アイドリング集計処理部341のそれぞれで実行される手順をコンピュータ読取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより本発明の安全運転、省燃費運転診断装置が実現されるものとする。ここでいうコンピュータシステムとは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものである。
【0087】
また、本発明を実施するに際して、加速度センサは必須のセンサではなく、加速度を車両速度情報や車両位置情報(位置情報)に基づいて計算により算出するようにしても良い。また、横G(横加速度)については、横Gを用いないでも安全運転診断、省燃費運転診断を行うことができる。もちろん、横Gを用いて安全運転診断や省燃費運転診断を行っても良い。また、横Gは、専用のセンサを用いて計測することとしても良いし、例えば位置情報、車両速度情報等から計算により求めることとしても良い。また、車両速度を測定する車速パルスセンサは一例であり、本発明が車速パルスを生成するセンサに限定されることはない。また、速度規制の情報に、社内的な速度規制を加味するようにしても良い。
更に、運行車両10に搭載される通信ユニット115はパケットに制限されず、携帯電話を用い、通常のモデムを使用して無線通信を行っても同様の効果が得られる。また、本実施形態では、車両にGPSセンサ13と車両センサ14(車速)を設け、運行車両10の現在位置と車速を計測することとしたが、GPSセンサ13が持つ性能によっては車両センサ14を不要とすることが可能である。このように、運行車両10に搭載するハードウェア(車載端末11を含む)を簡易な構成としながらも安全運転診断、省燃費運転診断を実現するものである。ちなみに、車両速度を測定する車速パルスセンサとGPSセンサ13は、広く普及しているので、このような安全運転診断等を行うに際して、利用者やサービス提供者に対する金銭的な負担が低減される。
【0088】
【発明の効果】
以上説明のように本発明によれば、ドライバに合致した格付けや帳票を自動作成することができる。また、安全指導員が、管理(一元管理)されるデータを参照して安全運転指導、あるいは燃費指導を行う際に、そのコンテンツを容易に作成できるため、そのためにかかる安全指導員の負担軽減をはかることができる。
また、安全運転診断の結果通知を適宜行い、あるいは安全指導により、ドライバの安全運転啓蒙につながり、交通事故の低減が見込まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の安全運転診断方法および省燃費運転診断方法を実現するビジネスモデル、ならびにその利用主体との関係を明するために引用した図である。
【図2】本発明で使用される運行車両に搭載される車載端末の構成を説明するために引用した図である。
【図3】図1、図2に示す車載端末の内部構成を示すブロック図である。
【図4】図1に示す安全運転・省燃費運転診断サーバの内部構成を機能展開して示したブロック図である。
【図5】本発明実施形態で使用される車両DBの各種テーブルのデータ構造を説明するために引用した図である。
【図6】本発明実施形態で使用される走行軌跡時系列TBLの種別コードと記録情報との関係をマトリクス表現した図である。
【図7】本発明実施形態で使用される速度違反情報TBLのデータ構造を説明するために引用した図である。
【図8】本発明実施形態で使用される加速度統計情報TBLのデータ構造を説明するために引用した図である。
【図9】本発明実施形態で使用されるアイドリングヒストグラムTBLのデータ構造を説明するために引用した図である。
【図10】本発明実施形態の動作を説明するために引用した動作シーケンス図である。
【図11】本発明実施形態の動作を説明するために引用した動作シーケンス図である。
【図12】本発明実施形態で用いられる帳票出力のためのGUI画面の一例を示す図である。
【図13】本発明の安全運転診断プログラムの一部構造をPAD表現して示した図である。
【図14】本発明の安全運転診断プログラムの一部構造をPAD表現して示した図である。
【図15】本発明の安全運転診断プログラムの一部構造をPAD表現して示した図である。
【図16】本発明の安全運転診断プログラムの一部構造をPAD表現して示した図である。
【図17】本発明の安全運転診断プログラムの一部構造をPAD表現して示した図である。
【図18】本発明の安全運転診断プログラムの一部構造をPAD表現して示した図である。
【図19】本発明の省燃費運転診断プログラムの一部構造をPAD表現して示した図である。
【図20】本発明の安全運転診断装置により出力される帳票のフォーマットの一例を示す図である。
【図21】本発明の安全運転診断装置により出力される帳票のフォーマットの一例を示す図である。
【図22】本発明の安全運転診断装置により出力される帳票のフォーマットの一例を示す図である。
【図23】本発明の安全運転診断装置により出力される帳票のフォーマットの一例を示す図である。
【図24】本発明の安全運転診断装置により出力される帳票のフォーマットの一例を示す図である。
【図25】本発明の安全運転診断装置により出力される帳票のフォーマットの一例を示す図である。
【図26】本発明の省燃費運転診断装置により出力される帳票のフォーマットの一例を示す図である。
【符号の説明】
1…運送業者、2…データ収集事業者、3…安全運転指導事業者、4、5、6…通信網、10…運行車両、11…車載端末、12…管理端末、20…データ収集サーバ、30…安全運転・省燃費運転診断サーバ(安全運転診断装置、省燃費運転診断装置)、31…通信制御部、32…安全運転診断コンテンツ生成部、33…帳票出力部、34…省燃費運転診断コンテンツ生成部、35…車両DB

Claims (16)

  1. ドライバの車両運転状況に対して安全運転診断を行う安全運転診断方法であって、
    車載端末もしくはカーナビゲーション装置から通信網を介して取得される車両走行物理データと、少なくとも前記ドライバによって入力され取り込まれる労務データのうち、少なくとも一つを用い、診断項目毎に統計処理して安全診断コンテンツを生成すること、
    を特徴とする安全運転診断方法。
  2. 前記診断項目毎に、あるドライバもしくは前記トライバが属するグループの運転傾向に関する評価データを付加し、前記ドライバもしくは前記トライバが属するグループの少なくとも一方に対して安全運転指導を行うために必要な前記安全診断コンテンツを帳票出力することを特徴とする請求項1に記載の安全運転診断方法。
  3. 前記各診断項目を総合的に判断して安全運転の度合いを点数化し、前記帳票に反映させることを特徴とする請求項2に記載の安全運転診断方法。
  4. 前記診断項目毎に、複数ドライバの運転傾向を示す相対比較のための評価データを帳票出力することを特徴とする請求項1に記載の安全運転診断方法。
  5. 前記車載端末もしくはカーナビゲーション装置から通信網を介して定時間間隔で取得される前記走行物理データとしての車両位置情報と車両速度情報を用いて前記車両位置情報を地図上にマッピングし、前記車両位置における速度規制情報を取り込み、当該速度規制情報と前記車両速度情報との比較により、走行時間内における速度規制を超過して走行した時間の割り合いを算出した値を前記診断項目の一つとして使用することを特徴とする請求項1に記載の安全運転診断方法。
  6. 前記車載端末もしくはカーナビゲーション装置から通信網を介して取得される前記走行物理データとしての車両速度情報に応じて決定される急加減速が発生する回数をカウントし、走行単位時間当りに発生した前記急加減速の回数の平均値、およびその最大加速度を前記診断項目の一つとして使用することを特徴とする請求項1に記載の安全運転診断方法。
  7. 車両速度が所定値以上である前記減速回数をヒヤリハット回数として定義し、当該ヒヤリハット回数と、そのときの最大ヒヤリハット加速度を前記診断項目の一つとして使用することを特徴とする請求項6に記載の安全運転診断方法。
  8. 前記車載端末もしくはカーナビゲーション装置から通信網を介して取得される前記走行物理データとしての加速度情報から前記車両の加速度分布を求め、前記加速度分布による加速度の標準偏差と、加減速分布の偏りを前記診断項目の一つとして使用することを特徴とする請求項1に記載の安全運転診断方法。
  9. 前記車載端末もしくはカーナビゲーション装置から通信網を介して取得される前記走行物理データとしての急ハンドル状態により車両の遠心力の分布を求め、当該遠心力分布による遠心力の標準偏差を前記診断項目の一つとして使用することを特徴とする請求項1に記載の安全運転診断方法。
  10. 車載端末もしくはカーナビゲーション装置から通信網を介して取得される前記労務データとしての前記車両における走行開始後の走行中断時刻と走行開始時刻を取り込み、その差分により連続運転時間を算出し、前記連続運転時間内における作業開始時刻と休憩時刻との差分により休憩時間を算出して、前記連続運転時間内における休憩時間と、休憩法令で規定された休憩時間との照合を行うことにより認定される法令違反の有無を前記診断項目の一つとして使用することを特徴とする請求項1に記載の安全運転診断方法。
  11. ドライバの車両運転状況に対して省燃費運転診断を行う省燃費運転診断方法であって、
    車載端末もしくはカーナビゲーション装置から通信網を介して取得される車両走行物理データと、少なくとも前記ドライバによって入力され、取り込まれる労務データとを統計処理して省燃費運転診断コンテンツを生成すること、
    を特徴とする省燃費運転診断方法。
  12. 車載端末もしくはカーナビゲーション装置から通信網を介して取得される、エンジンONで車両位置情報に変化のないアイドリング状態が所定時間経過したときに、その回数と時間を、前記省燃費運転診断コンテンツ生成のための診断項目として使用することを特徴とする請求項11に記載の省燃費運転診断方法。
  13. 車載端末もしくはカーナビゲーション装置とは通信網を介して接続される安全運転診断装置であって、
    車載端末もしくはカーナビゲーション装置から通信網を介して取得される車両走行物理データと、少なくとも前記ドライバによって入力され取り込まれる労務データのうち少なくとも一つを用い、診断項目毎に統計処理して安全運転診断コンテンツを生成出力する安全運転診断コンテンツ生成手段、
    を備えたことを特徴とする安全運転診断装置。
  14. 車載端末もしくはカーナビゲーション装置とは通信網を介して接続される省燃費運転診断装置であって、
    車載端末もしくはカーナビゲーション装置から通信網を介して取得される車両走行物理データと、少なくとも前記ドライバによって入力され取り込まれる労務データを統計処理して省燃費運転診断コンテンツを生成出力する省燃費運転診断コンテンツ生成出力手段、
    を備えたことを特徴とする省燃費運転診断装置。
  15. ドライバの車両運転状況に対して安全運転診断を行う安全運転診断装置に用いられる安全運転診断プログラムであって、
    車載端末もしくはカーナビゲーション装置から通信網を介して取得される車両走行物理データと、少なくとも前記ドライバによって入力され取り込まれる労務データを取り込むステップと、
    前記取り込まれた物理データ、労務データの少なくとも一つを用い、診断項目毎に統計処理して安全運転診断コンテンツを生成出力するステップと、
    をコンピュータに実行させる安全運転診断プログラム。
  16. ドライバの車両運転状況に対して省燃費運転診断を行う省燃費運転診断装置に用いられる省燃費運転診断プログラムであって、
    車載端末もしくはカーナビゲーション装置から通信網を介して取得される車両走行物理データと、少なくとも前記ドライバによって入力され取り込まれる労務データを取り込むステップと、
    前記取り込まれた物理データと労務データを統計処理して省燃費運転診断コンテンツを生成出力するステップと、
    をコンピュータに実行させる省燃費運転診断プログラム。
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