JP2004225009A - ケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルおよびその用途 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル及びその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
表示装置などに使用される反射防止処理した表面などの透明基材は指紋などの汚れが付着しやすく、透明性や反射性を損なうため、表面に撥水・撥油性の塗膜を形成させる方法で防汚性を改善する試みがなされている。このような防汚層を得る方法としてフッ素及びケイ素を含む化合物を使用することが試みられているが(特許文献1)、該化合物は塗料用組成物とする場合に溶剤溶解性が低く、また、その被膜の撥水撥油性、防汚性、耐久性などに関し改善の余地があった。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−191668
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、優れた撥水撥油性、防汚性、低屈折率、耐久性等の特性を有する化合物及び該化合物を有する表面処理剤、防汚剤、撥水撥油剤、反射防止剤、離型材、接着剤などを提供することを目的とする
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下のケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル及び該ポリエーテルを含む表面処理剤、防汚剤、撥水撥油剤、反射防止剤、離型材、接着剤に関する。
項1. 一般式(I)、(II)または(III)で示されるケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル:
【0006】
【化5】
【0007】
[式中、
Raの各々は、同一であっても異なっていてもよく、Rbの各々は、同一であっても異なっていてもよく、Ra及びRbの一方は、水素原子を示し、他方はCH2Rf基を示し{ここで、Rfは、炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のフルオロアルキル基又はフルオロアルキルエーテル基を示す。}、Rc及びRdの一方は、水素原子を示し、他方は炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のアルキル基又はアルキルエーテル基を示す、
(但し、−(CHRaCHRbO)a1−(CHRcCHRdO)a2−は、−CHRaCHRbO−に対応する少なくとも1種のフッ素系エポキシ化合物(必須成分)と−CHRcCHRdO−に対応する少なくとも1種の非フッ素系エポキシ化合物(任意成分)の反応により得られるものであればよく、両方のエポキシ化合物を使用する場合には、その順序は問わない)
R1は、炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のフルオロアルキル基又はフルオロアルキルエーテル基、又は炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のアルキル基又はアルキルエーテル基を示す。
【0008】
a1は2以上の整数を表す。
【0009】
a2は0以上の整数を表す。
【0010】
OR2は、O−C(O)N(H)またはO−C(O)を表し、R2Oは、N(H)C(O)−OまたはC(O)−Oを表す。
【0011】
R3は、水酸基又は加水分解可能な置換基を表す。
【0012】
R4は、水素または1価の炭化水素基を表す。
【0013】
lは、0または1を表す。
【0014】
mは、同一又は異なり0または1以上の整数を表す。
【0015】
nは、同一又は異なり1、2又は3を表す。
【0016】
bは、2,3または4を示す。
【0017】
R5は、フッ素原子で置換されていてもよいb価の炭化水素基を示す。]
項2. 一般式(IA):
【0018】
【化6】
【0019】
[式中、Ra、Rb、Rc、Rd、R1、R3、R4、m、n、a1及びa2は前記に定義される通りである。]
で表され、平均分子量が3×102〜1×105である項1記載のポリエーテル。
項3. 一般式(IIA):
【0020】
【化7】
【0021】
[式中、Ra、Rb、Rc、Rd、R1、R3、R4、m、n、a1及びa2は前記に定義される通りである。]
で表され、平均分子量が5×102〜1×105である請求第1項記載のポリエーテル。
項4. 一般式(IIIA):
【0022】
【化8】
【0023】
[式中、Ra、Rb、Rc、Rd、R1、R3、R4、m、n、a1及びa2は前記に定義される通りである。]
で表され、平均分子量が5×102〜1×105である項1記載のポリエーテル。
項5. 平均分子量が5×102〜1×105である項1〜4のいずれかに記載のポリエーテルを含む表面処理組成物。
項6. 項1〜5のいずれかに記載のポリエーテルを、必要に応じてシランカップリング剤の存在下に変性させて得ることができるケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル。
項7. (1)項1〜6のいずれかに記載のポリエーテル、(2)少なくとも1種の含フッ素有機溶剤、および/または、(3)少なくとも1種の非フッ素系有機溶剤を含有してなることを特徴とする表面処理組成物。
項8. 基材の表面に、項1〜6のいずれかに記載のケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルまたはその誘導体の層を形成したことを特徴とする防汚性基材。
項9. 平均分子量が5×102〜1×105である項1〜6のいずれかに記載のポリエーテルまたはその誘導体を含む塗料組成物またはシーラント組成物。
項10. ガラスの表面に、項1〜6のいずれかに記載のポリエーテルまたはその誘導体の層を形成したことを特徴とする撥水撥油性ガラス。
項11. 項1〜6のいずれかに記載のポリエーテルまたはその誘導体を含み、該ポリエーテルの平均分子量が5×102〜1×105である反射防止膜用組成物。
項12. 項1〜6のいずれかに記載のポリエーテルまたはその誘導体を含み、該ポリエーテルの平均分子量が5×102〜1×105である離型材組成物。
項13. 項1〜6のいずれかに記載のポリエーテルまたはその誘導体を含む接着剤組成物。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明のケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルに関し、Ra及びRbの一方は、水素原子を示し、他方はCH2Rf基を示す。好ましくは、Raが水素原子であり、RbがCH2Rf基である。
【0025】
本発明のケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルに関し、
Raの各々は、同一であっても異なっていてもよく、Rbの各々は、同一であっても異なっていてもよく、Ra及びRbの一方は、水素原子を示し、他方はCH2Rf基を示し{ここで、Rfは、炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のフルオロアルキル基又はフルオロアルキルエーテル基を示す。}、Rc及びRdの一方は、水素原子を示し、他方は炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のアルキル基又はアルキルエーテル基を示す、
(但し、−(CHRaCHRbO)a1−(CHRcCHRdO)a2−は、−CHRaCHRbO−に対応する少なくとも1種のフッ素系エポキシ化合物(必須成分)と−CHRcCHRdO−に対応する少なくとも1種の非フッ素系エポキシ化合物(任意成分)の反応により得られるものであればよく、両方のエポキシ化合物を使用する場合には、その順序は問わない)
なお、「Raの各々は、同一であっても異なっていてもよく、Rbの各々は、同一であっても異なっていてもよい」とは、−CHRaCHRbO−に対応する2種以上のフッ素系エポキシ化合物を使用した場合、2種以上のRaは各々異なり、2種以上のRbは各々異なることを意味する。なお、−CHRaCHRbO−に対応する1種のフッ素系エポキシ化合物を使用した場合、全てのRaは同一になり、全てのRbは同一になる。
【0026】
同様に、a2が2以上の場合、Rcの各々は、同一であっても異なっていてもよく、Rdの各々は、同一であっても異なっていてもよい。この意味は、−CHRcCHRdO−に対応する2種以上のフッ素系エポキシ化合物を使用した場合、2種以上のRcは各々異なり、2種以上のRdは各々異なることを意味する。なお、−CHRcCHRdO−に対応する1種のフッ素系エポキシ化合物を使用した場合、全てのRcは同一になり、全てのRdは同一になる。
【0027】
Rf,R1で表される炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のフルオロアルキル基としては、直鎖または分岐鎖のパーフルオロアルキル基(CpF2p+1(pは1〜16の整数))、直鎖または分岐鎖のポリフルオロアルキル基(CpHqFr(pは1〜16の整数、q≧1,r≧1,q+r=2p+1))が例示される。
【0028】
フルオロアルキル基の具体例として、CF3−、CHF2−、CClF2−、C2F5−、CHF2CF2−、CClF2CF2−、(CF3)2CF−、CF3CF2CF2−、(CHF2)2CF−、(CF3)(CHF2)CF−、(CF3)2CFCF2CF2−、(CF3)2CF(CF2CF2)2−、F(CF2)2−、F(CF2)4−、F(CF2)6−、F(CF2)8−、F(CF2)10−、F(CF2)12−、F(CF2)14−、F(CF2)16−等が挙げられる。
【0029】
Rf,R1で表される炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のフルオロアルキルエーテル基としては、−O(炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖の前記フルオロアルキル基)が例示される。
【0030】
R1,Rc,Rdで表される炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシ留、ペンタデシル、ヘキサデシルなどの直鎖または分岐鎖のアルキル基が例示される。
【0031】
R1,Rc,Rdで表される炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のアルキルエーテル基としては、−O(炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖の前記アルキル基)が例示される。
【0032】
R2は、C(O)N(H)またはC(O)を表し、OR2が、O−C(O)N(H)またはO−C(O)を表し、R2Oが、N(H)C(O)−OまたはC(O)−Oを表す向きである。
【0033】
R2がC(O)N(H)の場合、その向きは、(R2−O)または(O−R2)がウレタン構造を表すものであり、(R2−O)ではNHCO,(O−R2)ではCONHである。
【0034】
R3で表される加水分解可能な置換基としては、加水分解されてSi−O−Si結合を形性可能な基であれば特に限定されないが、例えばハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、好ましくは塩素)、C1〜C6アルコキシ(メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシなど)、アリールオキシ(フェノキシ、ナフトキシなど)、アラルキルオキシ(ベンジルオキシ、フェネチルオキシなど)、アシルオキシ(アセトキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、バレリルオキシ、ピバロイルオキシ、ベンゾイルオキシなど)を例示できる。好ましくは、塩素、メトキシ及びエトキシ である。
【0035】
R4で表される1価の炭化水素基としては、C1〜C6アルキル(メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなど)、アリール(フェニル、ナフチルなど)、アラルキル(ベンジル、フェネチルなど)が挙げられ、好ましくはメチル、エチル、n−プロピルまたはイソプロピルである。
【0036】
R5は、フッ素原子で置換されていてもよいb価(b=2〜4)の炭化水素基を示す。
2価の炭化水素基としては、C2〜C6の直鎖または分岐鎖のアルキレン基(−CH2CH2−、−CH(CH3)CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2−など)、アリーレン基(フェニレン基、ナフチレン基)が例示され、これらはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ネオペンチルグリコール等のグリコール類或いはジヒドロキシベンゼンなどのジヒドロシキアリール基から2つのOH基を除いた部分に相当する;
3価の炭化水素基としては、C3〜C6の直鎖または分岐鎖の脂肪族若しくは芳香族基(例えばCH2CHCH2、C6H3)が例示され、これらはトリオール(グリセリンなど)、トリヒドロキシベンゼンなどの3個以上(好ましくは3個)のOH基を有する化合物から当該3個の水酸基を除いた部分に相当する;
4価の炭化水素基としては、C4〜C6の直鎖または分岐鎖の脂肪族若しくは芳香族基(例えばC(CH2)4)が例示され、これらはテトラオール(例えばC(CH2OH)4など)、テトラヒドロキシベンゼンなどの4個以上(好ましくは3個)のOH基を有する化合物から当該4個の水酸基を除いた部分に相当する;
a1は2以上の整数、好ましくは2〜20の整数、より好ましくは5〜10の整数を表す。
【0037】
a2は0以上の整数、好ましくは0〜20の整数、より好ましくは0を表す。
【0038】
a2が0でないとき、a1/a2≧1が好ましく、より好ましくはa1/a2≧2である。
【0039】
R3は、水酸基又は加水分解可能な置換基を表し、好ましくはメトキシまたはエトキシを表す。
【0040】
R4は、1価の炭化水素基を表し、好ましくはメチルまたはエチルを表す。
【0041】
lは、0または1、好ましくは1である。
【0042】
mは、0以上の整数、好ましくは0〜6,より好ましくは0〜4の整数を示す。
【0043】
nは、1、2又は3、好ましくは3を表す。
【0044】
bは、2,3または4、好ましくは2または3,より好ましくは2を示す。
【0045】
−(CHRaCHRbO)a1−(CHRcCHRdO)a2−は、−CHRaCHRbO−に対応する少なくとも1種のフッ素系エポキシ化合物(必須成分)と−CHRcCHRdO−に対応する少なくとも1種の非フッ素系エポキシ化合物(任意成分)の反応により得られるものであればよく、必須成分と任意成分の両方のエポキシ化合物を使用する場合には、その順序は問わない。すなわち、ブロック共重合タイプ、ランダム共重合タイプのいずれの形式でフッ素系エポキシ化合物と非フッ素系エポキシ化合物を重合させてもよい。
【0046】
本発明の一般式(I)〜(III)の化合物は、以下の反応工程式Iに従い製造することが可能である:
【0047】
【化9】
【0048】
(式中、Ra、Rb、Rc、Rd、R1、R2、R3、R4、R5、m、n、a1及びa2は前記に定義される通りである。R2aは、イソシアナート基、活性化されていてもよいカルボキシル基,エステル基、酸無水物基、脱離基或いはOHである。OR2bは、同一又は異なってOHまたは脱離基である。但し、R2aとOR2bが反応してウレタン、エステルまたはエーテル結合を形成するものである。)
反応してウレタン、エステルまたはエーテル結合を形成するR2aとOR2bの組み合わせとしては、以下のものが例示される。
【0049】
【表1】
【0050】
上記反応工程式Iにおいて、原料となる化合物(1)、(2)、(3)、(4)は、公知化合物であるか、公知化合物から常法に従い容易に合成可能である。
【0051】
R2aがイソシアナート基、R2bが両方ともHの場合、原料化合物{(1)と(2)、(3)または(4)}を溶媒の存在下または非存在下に、0℃から80℃程度の温度下に10分から10時間程度混合することにより、容易にウレタン結合を有する(R2=NHCO,l=1)目的化合物を得ることができる。
【0052】
R2aが活性化されたカルボキシル基とは、カルボニルジイミダゾール、クロロアセトニトリル等の活性化剤と反応したカルボキシル基(−CO−イミダゾールまたは−CO−CH2CNなど)、エステル(例えばC1〜C4アルキルエステル、ベンジルエステル、フェニルエステルなど)等が例示され、酸無水物基としては、対称酸無水物並びにクロロ炭酸エチル、クロロ蟻酸エチルなどと反応した非対称の酸無水物が例示される。R2aがカルボキシル基を有する場合、縮合剤(例えばDCC,WSC等のカルボジイミド類、カルボニルジイミダゾール)を使用してもよい。
【0053】
このエステル形成反応は、必要に応じて縮合剤或いは塩基(トリエチルアミンなど)或いは、HOBt、N−ヒドロキシコハク酸イミドなどの補助剤の存在下に、2つの原料化合物を化学量論量使用し、室温から100℃程度或いは溶媒の還流する温度下に1〜24時間程度反応させることにより有利に進行し、容易にエステル結合を有する(R2=CO,l=1)目的化合物を得ることができる。
【0054】
エーテル結合は、通常強塩基(水素化ナトリウム、ブチルリチウムなど)の存在下に脱離基を脱離させて形成する。脱離基としては、ハロゲン(塩素、臭素、ヨウ素)、p−トルエンスルホニルオキシ、メタンスルホニルオキシ等が挙げられる。反応は、約1当量から過剰量の塩基の存在下に2つの原料化合物を等モル程度使用し、0℃から100℃程度或いは溶媒の還流する程度の温度下に1〜24時間反応させることで有利に進行し、容易にエーテル結合を有する(l=0)目的化合物を得ることができる。
【0055】
また、SiH基を有するシランカップリング剤を、酸、アルカリなどの触媒存在下で0℃から80℃程度の温度下に10分から10時間程度混合することにより、容易にSi−O−C結合を有する(m=0,l=0)目的化合物を得ることができる。
【0056】
本発明のケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルの誘導体として、該ポリエーテル同士あるいは該ポリエーテルと他のシランカップリング剤との変性物が例示される。また、シランカップリング剤の代わりにアミノ基、グリシジル基、メルカプト基、カルボキシル基などを有する変性シリコーンオイルで処理して誘導体としてもよい。
【0057】
他のシランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシランなどが挙げられる。好ましくは、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランなどが使用でき、さらに、イソシアネート基を有するシランカップリング剤も使用できる。イソシアネート基含有シランカップリング剤としては、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシランが例示できる。
【0058】
本発明のケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルは、表面処理組成物、防汚性基材、塗料組成物またはシーラント組成物、撥水撥油性ガラス、反射防止膜用組成物、離型材組成物、接着剤組成物として有用である。
【0059】
上記ケイ素含有有機含フッ素ポリマーを含む表面処理組成物は、ガラス基材又は樹脂基材の表面に、上記ケイ素含有有機含フッ素ポリマーを塗布することによりコーティング層を形成することができる。上記塗布方法としては、例えば、スプレー塗装、スピン塗装、浸漬塗装、ロールコート塗装、グラビアコート塗装、カーテンフロー塗装等を挙げることができる。また、塗布する際には溶剤で希釈する方が塗布し易い。このような溶剤としては特に限定されず、含フッ素有機溶剤、および/または、非フッ素系有機溶剤が挙げられる。含フッ素有機溶媒としては、例えば、パーフルオロペンタン、パーフルオロヘキサン、パーフルオロヘプタン、パーフルオロオクタン、パーフルオロメチルシクロヘキサン、パーフルオロ−1,3−ジメチルシクロヘキサン、パーフルオロ−1,2−ビス(トリフルオロメチル)ヘキサフルオロシクロブタン、パーフルオロ−2−ブチルテトラヒドロフラン、CFC−113、HCFC−141b、ジクロロペンタフルオロプロパン(HCFC225)、メチルパーフルオロイソブチルエーテル、メチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロイソブチルエーテル、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,2−トリフルオロエチルエーテル、パーフルオロジブチルエーテル、ヘキサフルオロテトラクロロブタン、メタ−キシレンヘキサフロライド等を挙げることができる。また、非フッ素系有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、コハク酸ジエチル、アジピン酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル等のエステル系溶剤、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン系溶剤、n−ヘプタン、n−ヘキサン、n−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、メチルペンタン、2−エチルペンタン、イソパラフィン系炭化水素、流動パラフィン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ミネラルスピリット、ミネラルターペン、トルエン、ベンゼン、キシレン等の炭化水素系溶剤を挙げることができる。
【0060】
上記ケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルを含む表面処理組成物には、溶剤の他にシリカ、アルミナ、酸化チタン、カーボン、セメント等の微粉末充填剤、チタン、アルミニウム、ケイ素等のアルコキシド、その他の低分子量ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素樹脂の微粉末等を、硬度調整剤又は増量剤等として添加することができる。また、通常の架橋剤を更に加えて、硬度調整を行うこともできる。
【0061】
本発明の表面処理組成物を適用する基材としては、ガラス製品、樹脂製品、金属製品、セラミック製品、紙製品、皮革製品、繊維、プラスチックが挙げられ、例えば、以下に掲げる基材などの汚染されやすい部分を表面処理することができる:扇風機の羽根、電子レンジの扉、冷蔵庫の表面等の家電製品;コピー機のコンタクトガラス、OHP本体のミラー、OHPシート、キーボード、電話機、事務机等の事務関連用品;グラス、食器棚の扉、鏡、窓ガラス、電灯の傘、シャンデリア等の家庭用品;ショーウインド、電話ボックス、水槽のガラス等の建築材料;車両ガラス、車体の塗装面等の車両部品;メガネフレーム、水中メガネのガラス、ゴーグル、ヘルメット、時計の文字盤のカバーガラス等の装身具;パチンコ台のガラス、トランプ、麻雀パイ等の遊具;家具、ピアノ等の塗装面;ネクタイピン、ネックレス、ピアス等の装飾品;水道蛇口、金管楽器、木管楽器、ゴルフクラブ、扉の取っ手、ダンベル、刃物等の金属又はメッキ製品;碍子、タイル、衛生陶器、食器、屋根瓦等のセラミック材料;墓石、碁石、大理石等の石材;壁紙、ふすま紙、書籍、ポスター、写真等の紙製品;財布、靴、鞄、時計バンド、野球用グローブ等の皮革製品;綿、麻、羊毛、絹などの動植物性天然繊維、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニールアルコール、ポリアクリルニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレンなどの合成繊維、レーヨン、アセテートなどの半合成繊維、或いはこれらの混合繊維。
【0062】
本発明の表面処理組成物を各種基材に適用することにより、防汚性基材を得ることが可能である。撥水撥油層の厚みは特に限定されるものではないが、好ましくは0.001〜0.03μmである。0.001μm未満であると汚染防止効果が乏しくなり、0.03μmを超えると層が厚すぎて使用に障害が生じるので好ましくない。
【0063】
本発明では、上記のケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルを、シーラントや塗料に添加配合したり、シーラントや塗料の硬化剤の一部または全部として配合して塗料組成物またはシーラント組成物を得ることができる。シーラントや塗料を構成するポリマーの種類は、何ら限定されないが、未反応のオイル成分がシーラントや塗膜の表面またはその周辺に移行し、汚れが付着しやすいという問題をもつシリコーン系ポリマーを挙げることができる。
【0064】
一方、ブリードアウトして汚れ付着の原因となる低分子ポリマー成分を抑制することができることから、シーラントや塗料を構成するポリマーとしては、リビング重合方法等により得られる分子量分布の狭い単分散ポリマーが好ましい。
【0065】
本発明における単分散ポリマーとは、ポリマーの重量平均分子量をM1 、数平均分子量をM2 と表したとき、M1 /M2 =1.1〜1.3となるポリマーである。数値が小さい程、ポリマーの分子量分布が狭くなり、低分子ポリマー成分のブリードアウトが少なくなるため、より好ましい。
【0066】
シーラントを構成するシリコーン系ポリマーとしては、アセトキシ型、脱オキシム型、脱アルコール型、または脱アミン型等の縮合硬化型のポリシロキサンを挙げることができる。これらのポリシロキサンは、メチル等のアルキル基、フェニル等のアリール基、またはメチルフェニル等のアルキル基とアリール基を同時に含有するものが例示できる。アルキル基やアリール基は塩素やフッ素等のハロゲンで置換されていてもよく、例えばクロロフェニル基やパーフルオロアルキル基を含有するものでもよい。
【0067】
塗料を構成するシリコーン系ポリマーとしては、メチルシリコーン等のアルキル基含有シリコーン、フェニルシリコーン等のアリール基含有シリコーン、フェニルメチルシリコーン等のアリール基とアルキル基を併有するシリコーン、または、シリコーンアルキッド、シリコーンフェノール、シリコーンメラミン、シリコーンエポキシ、シリコーンポリエステル、シリコーンアクリル、シリコーンウレタン等の変性シリコーンを挙げることができる。
【0068】
本発明のケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルを含む表面処理組成物をガラスに適用すると、ケイ素部分でガラスと強固に結合するために、耐磨耗性などの耐久性が大きい撥水撥油性ガラスを得ることが可能になる。
【0069】
撥水撥油層の厚みは、特に限定されるものではないが、好ましくは0.001〜0.03μmである。
【0070】
本発明の反射防止膜用組成物は、ケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルの他に溶剤、加水分解性のシリル基の加水分解、縮合用触媒を含むことができる。該組成物を適用する基材としては、ガラス、プラスチックを例示することができる。ケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルのシリル基を加水分解することにより容易に架橋して密着性に優れた塗膜となり、しかもその塗膜は屈折率が非常に低いため、反射防止効果の高いものである。溶剤としては、前記した溶剤を使用でき、該触媒としてはブチルアミン、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、t−ブチルアミン、エチレンジアミン、トリエチルアミン、イソホロンジアミン、イミダゾール、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラートのごとき塩基性化合物;テトラプロピルチタネート、オクチル酸錫、オクチル酸鉛、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸カルシウム、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレート等含金属化合物;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、p−トルエンスルホン酸、トリクロル酢酸、リン酸、モノアルキルリン酸、ジアルキルリン酸、βーヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのリン酸エステル、モノアルキル亜リン酸、ジアルキル亜リン酸等酸性化合物などが挙げられるが、特にジブチル錫ジアセテートジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジマレート等の錫化合物が望ましい。この触媒の使用量は組成物100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部の範囲である。反射防止膜用組成物のガラス、プラスチック等の基材への適用方法としては、表面処理組成物と同様に行うことができる。
【0071】
本発明の反射防止組成物は、硝子または透明なプラスチック等の基材の表面に塗工することにより、該基材の表面反射を低下し、視認性の向上及び可視光線エネルギーの有効活用化に有用な、反射防止膜を形成できる。本発明の反射防止用組成物はテレビのブラウン管、絵の前面硝子、ショーケース、硝子板、眼鏡レンズ等に塗布され、生成する薄膜は太陽光、照明光の反射によるギラツキや眩しさ、あるいは周囲の景観が映ることにより、透明性、視認性が損なわれることを防止するのに有効である。
【0072】
本発明の離型材組成物は、ケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルの他に溶剤、テトラアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシラン、モノアルキルトリアルコキシシランなどのシラン類、含フッ素(メタ)アクリル酸エステル類、含フッ素オレフィン類などの不飽和結合を有する重合可能な化合物、必要に応じて硬化触媒を有し得る。
【0073】
本発明の接着剤は、ケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルの他に、必要に応じて各種の樹脂(例えばエポキシ樹脂、スチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、オルガノポリシロキサン樹脂など)、また、接着性が損なわれない範囲において充填剤(例えば微粉末シリカ、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、ケイソウ土、、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン等の金属酸化物、及びこれらの表面をシラン等で疎水化処理したもの、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛等の金属炭酸塩、アスベスト、ガラス繊維、微紛マイカ、溶融シリカ粉末など)、ポリエチレングリコールあるいはその誘導対等のチクソトロフィー性付与剤、顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、酸化アンチモン、塩化パラフィン等の難燃剤、窒化ホウ素、酸化アルミニウム等の熱伝導性改良剤、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基等の反応性有機基を有する有機ケイ素化合物、シランカップリング剤等の接着性付与剤、可塑剤、タレ防止剤、坊汚剤、防腐剤、殺菌剤、防カビ剤等を配合することができる。
【0074】
【発明の効果】
本発明のケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルまたはその誘導体は、優れた撥水撥油性、防汚性、低屈折率、耐久性等の特性を有しており、該ポリエーテルを配合することにより、表面処理剤、防汚剤、撥水撥油剤、反射防止剤、離型材、接着剤などを得ることができる。
【0075】
【実施例】
本発明を説明するために以下の実施例を用いて具体的に説明する。これらの実施例は、本発明の例示であり、本発明を限定するものではない。
【0076】
各実施例でのガスクロマトグラフィー分析では特記しない限り、DB5キャピラリーカラム(30.0m×530μm×3.00μm)を用いた。
合成例1
攪拌機、滴下ロート、ジムロート及び温度計を取り付けた100ml四つ口フラスコ中に、C4F9CH2CH2OH 5.28g(0.02モル)と三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体 0.14g(1ミリモル)を仕込み、窒素ガスを30ml/分の流量で流しながら30分間攪拌を行った。
内温を60℃として、F(CF2)8CH2CH(O)CH2 47.61g(0.1モル)を30分かけて滴下した。
滴下終了後、反応温度を80℃に上昇させ、6時間攪拌反応させた。反応液のガスクロマトグラフィー分析を行い、原料のF(CF2)8CH2CH(O)CH2 が消失していることを確認した。反応液を室温に戻し、HCFC225 160gと飽和炭酸水素ナトリウム溶液 約100mlを加え、分液ロートを用いて洗浄後、有機層を分離回収した。有機層を水約100mlで振とう洗浄した。有機層をMgSO4で脱水後、有機層を濾別しエバポレーターにて溶媒を留去して、室温で白色固体の含フッ素ポリエーテル化合物(A)51.44gを得た。
1H−NMRならびに19F−NMRスペクトル分析により下記構造式に対応するシグナルを解析したところ、片末端基がC4F9CH2CH2O−のアルコキシ化された含フッ素エポキシ開環重合体であることを確認した。
【0077】
【0078】
【化10】
【0079】
2H+3HX=6.2、2H+2HX=4.3より、平均重合度X=7.3で、平均分子量3739.8であった。
合成例2
攪拌機、滴下ロート、ジムロート及び温度計を取り付けた100ml四つ口フラスコ中に、氷酢酸 1.2g(0.02モル)と三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体 0.14g(1ミリモル)を仕込み、窒素ガスを30ml/分の流量で流しながら30分間攪拌を行った。
内温を60℃として、F(CF2)8CH2CH(O)CH2 47.61g(0.1モル)を30分かけて滴下した。
滴下終了後、反応温度を80℃に上昇させ、7時間攪拌反応させた。反応液のガスクロマトグラフィー分析を行い、原料のF(CF2)8CH2CH(O)CH2 が消失していることを確認した。反応液を室温に戻し、HCFC225 160gと飽和炭酸水素ナトリウム溶液 約100mlを加え、分液ロートを用いて洗浄後、有機層を分離回収した。有機層を水約100mlで振とう洗浄した。有機層をMgSO4で脱水後、有機層を濾別しエバポレーターにて溶媒を留去して、粘性液体47.5gを得た。
1H−NMRスペクトル分析により下記構造式に対応するシグナルを解析したところ、片末端基がアセチル化された含フッ素エポキシ開環重合体であることを確認した。
【0080】
【0081】
【化11】
【0082】
aプロトン1個当たりのシグナル強度と、c+dのプロトン1個当たりのシグナル強度との比を計算して求めると、平均重合度X=6.0で、平均分子量2897.7であった。
合成例3
合成例2で得られた粘性液体47.5gをHCFC225 143gに溶解し、20w% KOH/メタノール溶液 26.4gを加え、35℃で3時間攪拌した後、水100mlで3回洗浄を行った。有機層をMgSO4で脱水後、有機層を濾別しエバポレーターにて溶媒を留去して、室温で白色固体の含フッ素ポリエーテル化合物(B)42.98gを得た。
【0083】
【化12】
【0084】
合成例4
攪拌機、滴下ロート、ジムロート及び温度計を取り付けた100ml四つ口フラスコ中に、ネオペンチルグリコール 2.08g(0.02モル)、ジクロロメタン 47gと三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体 0.14g(1ミリモル)を仕込み、窒素ガスを30ml/分の流量で流しながら30分間攪拌を行った。
内温を60℃として、F(CF2)8CH2CH(O)CH2 47.61g(0.1モル)を30分かけて滴下した。
滴下終了後、反応温度を40℃に上昇させ、6時間攪拌反応させた。反応液のガスクロマトグラフィー分析を行い、原料のF(CF2)8CH2CH(O)CH2 が消失していることを確認した。反応液を室温に戻し、HCFC225 160gと飽和炭酸水素ナトリウム溶液 約100mlを加え、分液ロートを用いて洗浄後、有機層を分離回収した。有機層を水約100mlで振とう洗浄した。有機層をMgSO4で脱水後、有機層を濾別しエバポレーターにて溶媒を留去し、室温で白色固体の含フッ素ポリエーテル化合物(C)47.71gを得た。
1H−NMRならびに19F−NMRスペクトル分析により下記構造式に対応するシグナルを解析したところ、含フッ素エポキシ開環重合体であることを確認した。
【0085】
【0086】
【化13】
【0087】
aのプロトン1個当たりのシグナル強度と、eのプロトン1個当たりのシグナル強度との比を計算して求めると、平均重合度X+Y=7.4で、平均分子量3627.4であった。
合成例5
以下の相違点を除いて、合成例1に記載の如く実施する:
合成例5においては、F(CF2)8CH2CH(O)CH2の代わりにF(CF2)4CH2CH(O)CH2 27.61g(0.1モル)を用いる。室温で粘性液体の含フッ素ポリエーテル化合物(D)27.5gを得た。
1H−NMRならびに19F−NMRスペクトル分析により下記構造式で表される、片末端基がC4F9CH2CH2O−のアルコキシ化された含フッ素エポキシ開環重合体であることを確認した。平均重合度X=5.3で、平均分子量1727.5であった。
【0088】
【化14】
【0089】
合成例6、7
以下の相違点を除いて、合成例2、3に記載の如く実施する:
合成例6、7においては、F(CF2)8CH2CH(O)CH2の代わりにF(CF2)4CH2CH(O)CH2 27.61g(0.1モル)を用いる。室温で粘性液体の含フッ素ポリエーテル化合物(E)24.8gを得た。
1H−NMRならびに19F−NMRスペクトル分析により下記構造式で表される、含フッ素エポキシ開環重合体であることを確認した。平均重合度X=5.5で、平均分子量1518.5であった。
【0090】
【化15】
【0091】
合成例8
以下の相違点を除いて、合成例4に記載の如く実施する:
合成例8においては、F(CF2)8CH2CH(O)CH2の代わりにF(CF2)4CH2CH(O)CH2 27.61g(0.1モル)を用いる。室温で粘性液体の含フッ素ポリエーテル化合物(F)27.7gを得た。
1H−NMRならびに19F−NMRスペクトル分析により下記構造式で表される、含フッ素エポキシ開環重合体であることを確認した。平均重合度X+Y=7.2で、平均分子量2092.0であった。
【0092】
【化16】
【0093】
合成例9
攪拌機、滴下ロート、ジムロート及び温度計を取り付けた100ml四つ口フラスコ中に、合成例1にて合成した含フッ素ポリエーテル化合物(A) 5g(1.34ミリモル)、メタ−キシレンヘキサフロライド 15.8gとジブチルスズジラウレート一滴を仕込み、窒素ガスを30ml/分の流量で流しながら窒素置換を行った。γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー社製;Y−5187)0.274g(1.34ミリモル)を滴下した。滴下終了後、反応温度を75℃に上昇させ、4時間攪拌反応させた。赤外吸収スペクトルより、2270cm−1の−N=C=Oの吸収が完全に消失し、1720cm−1に新たにウレタン結合由来の−C=Oの吸収が生じた。減圧下揮発分を留去することによって、下式のケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルを得た。
【0094】
【化17】
【0095】
合成例10
原料として合成例3にて合成した含フッ素ポリエーテル化合物(B) 5g(1.75ミリモル)と、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン 0.718g(3.50ミリモル)を用いた以外は、合成例9と同様にして合成を行い、下式のケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルを得た。
【0096】
【化18】
【0097】
合成例11
原料として合成例4にて合成した含フッ素ポリエーテル化合物(C) 5g(1.38ミリモル)と、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン 0.565g(2.76ミリモル)を用いた以外は、合成例9と同様にして合成を行い、下式のケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルを得た。
【0098】
【化19】
【0099】
(X+Y=7.4)
合成例12
原料として合成例5にて合成した含フッ素ポリエーテル化合物(D) 5g(2.89ミリモル)と、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン 0.593g(2.89ミリモル)を用いた以外は、合成例9と同様にして合成を行い、下式のケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルを得た。
【0100】
【化20】
【0101】
合成例13
原料として合成例7にて合成した含フッ素ポリエーテル化合物(E) 5g(2.89ミリモル)と、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン 0.593g(2.89ミリモル)を用いた以外は、合成例9と同様にして合成を行い、下式のケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルを得た。
【0102】
【化21】
【0103】
合成例14
原料として合成例8にて合成した含フッ素ポリエーテル化合物(F) 5g(2.89ミリモル)と、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン 0.593g(2.89ミリモル)を用いた以外は、合成例9と同様にして合成を行い、下式のケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルを得た。
【0104】
【化22】
【0105】
(X+Y=7.2)
実施例1〜6及び比較例1〜6
合成例1、3、4、5、7、8で得たもの、合成例9、10、11、12、13、14で得たものを、C4F9OCH3の0.1重量%溶液となした処理液をそれぞれ調製した。基材となるスライドグラス(岩城硝子製MicroSlideGlass, Pre−Cleaned 76×26mm, 厚さ1mm)を使用前に水洗し、その後にアセトンを用いて充分に洗浄した。このようにして準備したスライドグラスを処理液に30秒間浸漬し、引き上げた後60分間室温にて風乾した後、100℃で30分間加熱した。ついで30分間C4F9OCH3中で超音波洗浄を行って過剰の処理剤分子を除去し、さらに、試料の表面をC4F9OCH3を染ませたキムワイプ(十條キンバリー社製)を用いて中位の強さで3往復拭き取り、風乾し、対水接触角と対ヘキサデカン接触角を測定した。接触角測定には、接触角計(協和界面科学社製CA−A型)を使用し、25℃にて測定した。5点の平均値をその測定値とした。
評価結果を表2に示した。
比較例7
未処理のスライドグラスを使用する以外は実施例1〜6及び比較例1〜6に記載の方法と同様に実験を行った。
【0106】
【表2】
【0107】
実施例7
合成例13と同様の方法でえられた化合物10g、特開平5−209031号の実施例中の化合物A−1の90gをアセトン100gと酢酸エチル100gの混合溶剤に溶解させ、これに4gの蟻酸と20gのエタノールとの混合液を攪拌しながら加えた。次に水酸化テトラメチルアンモニウムの10%メタノール溶液1.25gと30gのエタノールとの混合液を攪拌しながら、徐々に加えた。この溶液をガラス板状に塗布し、130℃で15分硬化させ塗膜を形成させた。塗膜の性能評価を実施した。結果を表3に示す。
比較例8
合成例13と同様の方法でえられた化合物を特開平2000−191668号の合成例3と同様の方法でえられた化合物に変えた以外は、実施例7と同様に実験をおこなおうとしたが、均一な塗料用溶液がえられず、塗膜を形成することができなかった。
【0108】
【表3】
【0109】
なお、実施例及び比較例中の各物性値は下記の方法に従って測定した。
〔外観と光沢〕A:色彩鮮やかで光沢がある B:多少不鮮明で光沢が低い C:著しく不鮮明で光沢がない
〔耐摩耗性〕太さ#0000のスチールウールの束を荷重500gをかけながら硬化被膜を15往復こすり、その後被膜についた傷の程度を調べ、下記のように4ランクに分けて評価した。 A:全く傷がつかない B:10本以内の傷がつくC:10本以上の傷がつくが、なお光沢を保持している D:無数の傷で光沢を失う
〔表面硬度〕塗料用鉛筆引かき試験機を用いて、JIS K5401に準じて測定した。
〔耐候性〕JIS B7753の規定に従い、カーボンアークサンシャインウェザーメーター試験を行った。判定は2000時間後の試験体の表面を試験前のものと比較観察することで下した。
〔耐汚染性〕赤色の油性マジック(サクラペンタッチ(商品名))により50mm×50mmの面積を塗りつぶし、24時間後にこれをエタノールでふき取り、インクの残存状態を目視で観察する。A:完全に除去された B:わずかに残ったC:明瞭に残存が確認できた D:著しく残った
【発明の属する技術分野】
本発明は、ケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル及びその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
表示装置などに使用される反射防止処理した表面などの透明基材は指紋などの汚れが付着しやすく、透明性や反射性を損なうため、表面に撥水・撥油性の塗膜を形成させる方法で防汚性を改善する試みがなされている。このような防汚層を得る方法としてフッ素及びケイ素を含む化合物を使用することが試みられているが(特許文献1)、該化合物は塗料用組成物とする場合に溶剤溶解性が低く、また、その被膜の撥水撥油性、防汚性、耐久性などに関し改善の余地があった。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−191668
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、優れた撥水撥油性、防汚性、低屈折率、耐久性等の特性を有する化合物及び該化合物を有する表面処理剤、防汚剤、撥水撥油剤、反射防止剤、離型材、接着剤などを提供することを目的とする
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下のケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル及び該ポリエーテルを含む表面処理剤、防汚剤、撥水撥油剤、反射防止剤、離型材、接着剤に関する。
項1. 一般式(I)、(II)または(III)で示されるケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル:
【0006】
【化5】
【0007】
[式中、
Raの各々は、同一であっても異なっていてもよく、Rbの各々は、同一であっても異なっていてもよく、Ra及びRbの一方は、水素原子を示し、他方はCH2Rf基を示し{ここで、Rfは、炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のフルオロアルキル基又はフルオロアルキルエーテル基を示す。}、Rc及びRdの一方は、水素原子を示し、他方は炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のアルキル基又はアルキルエーテル基を示す、
(但し、−(CHRaCHRbO)a1−(CHRcCHRdO)a2−は、−CHRaCHRbO−に対応する少なくとも1種のフッ素系エポキシ化合物(必須成分)と−CHRcCHRdO−に対応する少なくとも1種の非フッ素系エポキシ化合物(任意成分)の反応により得られるものであればよく、両方のエポキシ化合物を使用する場合には、その順序は問わない)
R1は、炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のフルオロアルキル基又はフルオロアルキルエーテル基、又は炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のアルキル基又はアルキルエーテル基を示す。
【0008】
a1は2以上の整数を表す。
【0009】
a2は0以上の整数を表す。
【0010】
OR2は、O−C(O)N(H)またはO−C(O)を表し、R2Oは、N(H)C(O)−OまたはC(O)−Oを表す。
【0011】
R3は、水酸基又は加水分解可能な置換基を表す。
【0012】
R4は、水素または1価の炭化水素基を表す。
【0013】
lは、0または1を表す。
【0014】
mは、同一又は異なり0または1以上の整数を表す。
【0015】
nは、同一又は異なり1、2又は3を表す。
【0016】
bは、2,3または4を示す。
【0017】
R5は、フッ素原子で置換されていてもよいb価の炭化水素基を示す。]
項2. 一般式(IA):
【0018】
【化6】
【0019】
[式中、Ra、Rb、Rc、Rd、R1、R3、R4、m、n、a1及びa2は前記に定義される通りである。]
で表され、平均分子量が3×102〜1×105である項1記載のポリエーテル。
項3. 一般式(IIA):
【0020】
【化7】
【0021】
[式中、Ra、Rb、Rc、Rd、R1、R3、R4、m、n、a1及びa2は前記に定義される通りである。]
で表され、平均分子量が5×102〜1×105である請求第1項記載のポリエーテル。
項4. 一般式(IIIA):
【0022】
【化8】
【0023】
[式中、Ra、Rb、Rc、Rd、R1、R3、R4、m、n、a1及びa2は前記に定義される通りである。]
で表され、平均分子量が5×102〜1×105である項1記載のポリエーテル。
項5. 平均分子量が5×102〜1×105である項1〜4のいずれかに記載のポリエーテルを含む表面処理組成物。
項6. 項1〜5のいずれかに記載のポリエーテルを、必要に応じてシランカップリング剤の存在下に変性させて得ることができるケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル。
項7. (1)項1〜6のいずれかに記載のポリエーテル、(2)少なくとも1種の含フッ素有機溶剤、および/または、(3)少なくとも1種の非フッ素系有機溶剤を含有してなることを特徴とする表面処理組成物。
項8. 基材の表面に、項1〜6のいずれかに記載のケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルまたはその誘導体の層を形成したことを特徴とする防汚性基材。
項9. 平均分子量が5×102〜1×105である項1〜6のいずれかに記載のポリエーテルまたはその誘導体を含む塗料組成物またはシーラント組成物。
項10. ガラスの表面に、項1〜6のいずれかに記載のポリエーテルまたはその誘導体の層を形成したことを特徴とする撥水撥油性ガラス。
項11. 項1〜6のいずれかに記載のポリエーテルまたはその誘導体を含み、該ポリエーテルの平均分子量が5×102〜1×105である反射防止膜用組成物。
項12. 項1〜6のいずれかに記載のポリエーテルまたはその誘導体を含み、該ポリエーテルの平均分子量が5×102〜1×105である離型材組成物。
項13. 項1〜6のいずれかに記載のポリエーテルまたはその誘導体を含む接着剤組成物。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明のケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルに関し、Ra及びRbの一方は、水素原子を示し、他方はCH2Rf基を示す。好ましくは、Raが水素原子であり、RbがCH2Rf基である。
【0025】
本発明のケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルに関し、
Raの各々は、同一であっても異なっていてもよく、Rbの各々は、同一であっても異なっていてもよく、Ra及びRbの一方は、水素原子を示し、他方はCH2Rf基を示し{ここで、Rfは、炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のフルオロアルキル基又はフルオロアルキルエーテル基を示す。}、Rc及びRdの一方は、水素原子を示し、他方は炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のアルキル基又はアルキルエーテル基を示す、
(但し、−(CHRaCHRbO)a1−(CHRcCHRdO)a2−は、−CHRaCHRbO−に対応する少なくとも1種のフッ素系エポキシ化合物(必須成分)と−CHRcCHRdO−に対応する少なくとも1種の非フッ素系エポキシ化合物(任意成分)の反応により得られるものであればよく、両方のエポキシ化合物を使用する場合には、その順序は問わない)
なお、「Raの各々は、同一であっても異なっていてもよく、Rbの各々は、同一であっても異なっていてもよい」とは、−CHRaCHRbO−に対応する2種以上のフッ素系エポキシ化合物を使用した場合、2種以上のRaは各々異なり、2種以上のRbは各々異なることを意味する。なお、−CHRaCHRbO−に対応する1種のフッ素系エポキシ化合物を使用した場合、全てのRaは同一になり、全てのRbは同一になる。
【0026】
同様に、a2が2以上の場合、Rcの各々は、同一であっても異なっていてもよく、Rdの各々は、同一であっても異なっていてもよい。この意味は、−CHRcCHRdO−に対応する2種以上のフッ素系エポキシ化合物を使用した場合、2種以上のRcは各々異なり、2種以上のRdは各々異なることを意味する。なお、−CHRcCHRdO−に対応する1種のフッ素系エポキシ化合物を使用した場合、全てのRcは同一になり、全てのRdは同一になる。
【0027】
Rf,R1で表される炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のフルオロアルキル基としては、直鎖または分岐鎖のパーフルオロアルキル基(CpF2p+1(pは1〜16の整数))、直鎖または分岐鎖のポリフルオロアルキル基(CpHqFr(pは1〜16の整数、q≧1,r≧1,q+r=2p+1))が例示される。
【0028】
フルオロアルキル基の具体例として、CF3−、CHF2−、CClF2−、C2F5−、CHF2CF2−、CClF2CF2−、(CF3)2CF−、CF3CF2CF2−、(CHF2)2CF−、(CF3)(CHF2)CF−、(CF3)2CFCF2CF2−、(CF3)2CF(CF2CF2)2−、F(CF2)2−、F(CF2)4−、F(CF2)6−、F(CF2)8−、F(CF2)10−、F(CF2)12−、F(CF2)14−、F(CF2)16−等が挙げられる。
【0029】
Rf,R1で表される炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のフルオロアルキルエーテル基としては、−O(炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖の前記フルオロアルキル基)が例示される。
【0030】
R1,Rc,Rdで表される炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシ留、ペンタデシル、ヘキサデシルなどの直鎖または分岐鎖のアルキル基が例示される。
【0031】
R1,Rc,Rdで表される炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のアルキルエーテル基としては、−O(炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖の前記アルキル基)が例示される。
【0032】
R2は、C(O)N(H)またはC(O)を表し、OR2が、O−C(O)N(H)またはO−C(O)を表し、R2Oが、N(H)C(O)−OまたはC(O)−Oを表す向きである。
【0033】
R2がC(O)N(H)の場合、その向きは、(R2−O)または(O−R2)がウレタン構造を表すものであり、(R2−O)ではNHCO,(O−R2)ではCONHである。
【0034】
R3で表される加水分解可能な置換基としては、加水分解されてSi−O−Si結合を形性可能な基であれば特に限定されないが、例えばハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、好ましくは塩素)、C1〜C6アルコキシ(メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシなど)、アリールオキシ(フェノキシ、ナフトキシなど)、アラルキルオキシ(ベンジルオキシ、フェネチルオキシなど)、アシルオキシ(アセトキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、バレリルオキシ、ピバロイルオキシ、ベンゾイルオキシなど)を例示できる。好ましくは、塩素、メトキシ及びエトキシ である。
【0035】
R4で表される1価の炭化水素基としては、C1〜C6アルキル(メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなど)、アリール(フェニル、ナフチルなど)、アラルキル(ベンジル、フェネチルなど)が挙げられ、好ましくはメチル、エチル、n−プロピルまたはイソプロピルである。
【0036】
R5は、フッ素原子で置換されていてもよいb価(b=2〜4)の炭化水素基を示す。
2価の炭化水素基としては、C2〜C6の直鎖または分岐鎖のアルキレン基(−CH2CH2−、−CH(CH3)CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2−など)、アリーレン基(フェニレン基、ナフチレン基)が例示され、これらはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ネオペンチルグリコール等のグリコール類或いはジヒドロキシベンゼンなどのジヒドロシキアリール基から2つのOH基を除いた部分に相当する;
3価の炭化水素基としては、C3〜C6の直鎖または分岐鎖の脂肪族若しくは芳香族基(例えばCH2CHCH2、C6H3)が例示され、これらはトリオール(グリセリンなど)、トリヒドロキシベンゼンなどの3個以上(好ましくは3個)のOH基を有する化合物から当該3個の水酸基を除いた部分に相当する;
4価の炭化水素基としては、C4〜C6の直鎖または分岐鎖の脂肪族若しくは芳香族基(例えばC(CH2)4)が例示され、これらはテトラオール(例えばC(CH2OH)4など)、テトラヒドロキシベンゼンなどの4個以上(好ましくは3個)のOH基を有する化合物から当該4個の水酸基を除いた部分に相当する;
a1は2以上の整数、好ましくは2〜20の整数、より好ましくは5〜10の整数を表す。
【0037】
a2は0以上の整数、好ましくは0〜20の整数、より好ましくは0を表す。
【0038】
a2が0でないとき、a1/a2≧1が好ましく、より好ましくはa1/a2≧2である。
【0039】
R3は、水酸基又は加水分解可能な置換基を表し、好ましくはメトキシまたはエトキシを表す。
【0040】
R4は、1価の炭化水素基を表し、好ましくはメチルまたはエチルを表す。
【0041】
lは、0または1、好ましくは1である。
【0042】
mは、0以上の整数、好ましくは0〜6,より好ましくは0〜4の整数を示す。
【0043】
nは、1、2又は3、好ましくは3を表す。
【0044】
bは、2,3または4、好ましくは2または3,より好ましくは2を示す。
【0045】
−(CHRaCHRbO)a1−(CHRcCHRdO)a2−は、−CHRaCHRbO−に対応する少なくとも1種のフッ素系エポキシ化合物(必須成分)と−CHRcCHRdO−に対応する少なくとも1種の非フッ素系エポキシ化合物(任意成分)の反応により得られるものであればよく、必須成分と任意成分の両方のエポキシ化合物を使用する場合には、その順序は問わない。すなわち、ブロック共重合タイプ、ランダム共重合タイプのいずれの形式でフッ素系エポキシ化合物と非フッ素系エポキシ化合物を重合させてもよい。
【0046】
本発明の一般式(I)〜(III)の化合物は、以下の反応工程式Iに従い製造することが可能である:
【0047】
【化9】
【0048】
(式中、Ra、Rb、Rc、Rd、R1、R2、R3、R4、R5、m、n、a1及びa2は前記に定義される通りである。R2aは、イソシアナート基、活性化されていてもよいカルボキシル基,エステル基、酸無水物基、脱離基或いはOHである。OR2bは、同一又は異なってOHまたは脱離基である。但し、R2aとOR2bが反応してウレタン、エステルまたはエーテル結合を形成するものである。)
反応してウレタン、エステルまたはエーテル結合を形成するR2aとOR2bの組み合わせとしては、以下のものが例示される。
【0049】
【表1】
【0050】
上記反応工程式Iにおいて、原料となる化合物(1)、(2)、(3)、(4)は、公知化合物であるか、公知化合物から常法に従い容易に合成可能である。
【0051】
R2aがイソシアナート基、R2bが両方ともHの場合、原料化合物{(1)と(2)、(3)または(4)}を溶媒の存在下または非存在下に、0℃から80℃程度の温度下に10分から10時間程度混合することにより、容易にウレタン結合を有する(R2=NHCO,l=1)目的化合物を得ることができる。
【0052】
R2aが活性化されたカルボキシル基とは、カルボニルジイミダゾール、クロロアセトニトリル等の活性化剤と反応したカルボキシル基(−CO−イミダゾールまたは−CO−CH2CNなど)、エステル(例えばC1〜C4アルキルエステル、ベンジルエステル、フェニルエステルなど)等が例示され、酸無水物基としては、対称酸無水物並びにクロロ炭酸エチル、クロロ蟻酸エチルなどと反応した非対称の酸無水物が例示される。R2aがカルボキシル基を有する場合、縮合剤(例えばDCC,WSC等のカルボジイミド類、カルボニルジイミダゾール)を使用してもよい。
【0053】
このエステル形成反応は、必要に応じて縮合剤或いは塩基(トリエチルアミンなど)或いは、HOBt、N−ヒドロキシコハク酸イミドなどの補助剤の存在下に、2つの原料化合物を化学量論量使用し、室温から100℃程度或いは溶媒の還流する温度下に1〜24時間程度反応させることにより有利に進行し、容易にエステル結合を有する(R2=CO,l=1)目的化合物を得ることができる。
【0054】
エーテル結合は、通常強塩基(水素化ナトリウム、ブチルリチウムなど)の存在下に脱離基を脱離させて形成する。脱離基としては、ハロゲン(塩素、臭素、ヨウ素)、p−トルエンスルホニルオキシ、メタンスルホニルオキシ等が挙げられる。反応は、約1当量から過剰量の塩基の存在下に2つの原料化合物を等モル程度使用し、0℃から100℃程度或いは溶媒の還流する程度の温度下に1〜24時間反応させることで有利に進行し、容易にエーテル結合を有する(l=0)目的化合物を得ることができる。
【0055】
また、SiH基を有するシランカップリング剤を、酸、アルカリなどの触媒存在下で0℃から80℃程度の温度下に10分から10時間程度混合することにより、容易にSi−O−C結合を有する(m=0,l=0)目的化合物を得ることができる。
【0056】
本発明のケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルの誘導体として、該ポリエーテル同士あるいは該ポリエーテルと他のシランカップリング剤との変性物が例示される。また、シランカップリング剤の代わりにアミノ基、グリシジル基、メルカプト基、カルボキシル基などを有する変性シリコーンオイルで処理して誘導体としてもよい。
【0057】
他のシランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシランなどが挙げられる。好ましくは、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランなどが使用でき、さらに、イソシアネート基を有するシランカップリング剤も使用できる。イソシアネート基含有シランカップリング剤としては、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシランが例示できる。
【0058】
本発明のケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルは、表面処理組成物、防汚性基材、塗料組成物またはシーラント組成物、撥水撥油性ガラス、反射防止膜用組成物、離型材組成物、接着剤組成物として有用である。
【0059】
上記ケイ素含有有機含フッ素ポリマーを含む表面処理組成物は、ガラス基材又は樹脂基材の表面に、上記ケイ素含有有機含フッ素ポリマーを塗布することによりコーティング層を形成することができる。上記塗布方法としては、例えば、スプレー塗装、スピン塗装、浸漬塗装、ロールコート塗装、グラビアコート塗装、カーテンフロー塗装等を挙げることができる。また、塗布する際には溶剤で希釈する方が塗布し易い。このような溶剤としては特に限定されず、含フッ素有機溶剤、および/または、非フッ素系有機溶剤が挙げられる。含フッ素有機溶媒としては、例えば、パーフルオロペンタン、パーフルオロヘキサン、パーフルオロヘプタン、パーフルオロオクタン、パーフルオロメチルシクロヘキサン、パーフルオロ−1,3−ジメチルシクロヘキサン、パーフルオロ−1,2−ビス(トリフルオロメチル)ヘキサフルオロシクロブタン、パーフルオロ−2−ブチルテトラヒドロフラン、CFC−113、HCFC−141b、ジクロロペンタフルオロプロパン(HCFC225)、メチルパーフルオロイソブチルエーテル、メチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロイソブチルエーテル、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−2,2,2−トリフルオロエチルエーテル、パーフルオロジブチルエーテル、ヘキサフルオロテトラクロロブタン、メタ−キシレンヘキサフロライド等を挙げることができる。また、非フッ素系有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、コハク酸ジエチル、アジピン酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル等のエステル系溶剤、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン系溶剤、n−ヘプタン、n−ヘキサン、n−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、メチルペンタン、2−エチルペンタン、イソパラフィン系炭化水素、流動パラフィン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ミネラルスピリット、ミネラルターペン、トルエン、ベンゼン、キシレン等の炭化水素系溶剤を挙げることができる。
【0060】
上記ケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルを含む表面処理組成物には、溶剤の他にシリカ、アルミナ、酸化チタン、カーボン、セメント等の微粉末充填剤、チタン、アルミニウム、ケイ素等のアルコキシド、その他の低分子量ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素樹脂の微粉末等を、硬度調整剤又は増量剤等として添加することができる。また、通常の架橋剤を更に加えて、硬度調整を行うこともできる。
【0061】
本発明の表面処理組成物を適用する基材としては、ガラス製品、樹脂製品、金属製品、セラミック製品、紙製品、皮革製品、繊維、プラスチックが挙げられ、例えば、以下に掲げる基材などの汚染されやすい部分を表面処理することができる:扇風機の羽根、電子レンジの扉、冷蔵庫の表面等の家電製品;コピー機のコンタクトガラス、OHP本体のミラー、OHPシート、キーボード、電話機、事務机等の事務関連用品;グラス、食器棚の扉、鏡、窓ガラス、電灯の傘、シャンデリア等の家庭用品;ショーウインド、電話ボックス、水槽のガラス等の建築材料;車両ガラス、車体の塗装面等の車両部品;メガネフレーム、水中メガネのガラス、ゴーグル、ヘルメット、時計の文字盤のカバーガラス等の装身具;パチンコ台のガラス、トランプ、麻雀パイ等の遊具;家具、ピアノ等の塗装面;ネクタイピン、ネックレス、ピアス等の装飾品;水道蛇口、金管楽器、木管楽器、ゴルフクラブ、扉の取っ手、ダンベル、刃物等の金属又はメッキ製品;碍子、タイル、衛生陶器、食器、屋根瓦等のセラミック材料;墓石、碁石、大理石等の石材;壁紙、ふすま紙、書籍、ポスター、写真等の紙製品;財布、靴、鞄、時計バンド、野球用グローブ等の皮革製品;綿、麻、羊毛、絹などの動植物性天然繊維、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニールアルコール、ポリアクリルニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレンなどの合成繊維、レーヨン、アセテートなどの半合成繊維、或いはこれらの混合繊維。
【0062】
本発明の表面処理組成物を各種基材に適用することにより、防汚性基材を得ることが可能である。撥水撥油層の厚みは特に限定されるものではないが、好ましくは0.001〜0.03μmである。0.001μm未満であると汚染防止効果が乏しくなり、0.03μmを超えると層が厚すぎて使用に障害が生じるので好ましくない。
【0063】
本発明では、上記のケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルを、シーラントや塗料に添加配合したり、シーラントや塗料の硬化剤の一部または全部として配合して塗料組成物またはシーラント組成物を得ることができる。シーラントや塗料を構成するポリマーの種類は、何ら限定されないが、未反応のオイル成分がシーラントや塗膜の表面またはその周辺に移行し、汚れが付着しやすいという問題をもつシリコーン系ポリマーを挙げることができる。
【0064】
一方、ブリードアウトして汚れ付着の原因となる低分子ポリマー成分を抑制することができることから、シーラントや塗料を構成するポリマーとしては、リビング重合方法等により得られる分子量分布の狭い単分散ポリマーが好ましい。
【0065】
本発明における単分散ポリマーとは、ポリマーの重量平均分子量をM1 、数平均分子量をM2 と表したとき、M1 /M2 =1.1〜1.3となるポリマーである。数値が小さい程、ポリマーの分子量分布が狭くなり、低分子ポリマー成分のブリードアウトが少なくなるため、より好ましい。
【0066】
シーラントを構成するシリコーン系ポリマーとしては、アセトキシ型、脱オキシム型、脱アルコール型、または脱アミン型等の縮合硬化型のポリシロキサンを挙げることができる。これらのポリシロキサンは、メチル等のアルキル基、フェニル等のアリール基、またはメチルフェニル等のアルキル基とアリール基を同時に含有するものが例示できる。アルキル基やアリール基は塩素やフッ素等のハロゲンで置換されていてもよく、例えばクロロフェニル基やパーフルオロアルキル基を含有するものでもよい。
【0067】
塗料を構成するシリコーン系ポリマーとしては、メチルシリコーン等のアルキル基含有シリコーン、フェニルシリコーン等のアリール基含有シリコーン、フェニルメチルシリコーン等のアリール基とアルキル基を併有するシリコーン、または、シリコーンアルキッド、シリコーンフェノール、シリコーンメラミン、シリコーンエポキシ、シリコーンポリエステル、シリコーンアクリル、シリコーンウレタン等の変性シリコーンを挙げることができる。
【0068】
本発明のケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルを含む表面処理組成物をガラスに適用すると、ケイ素部分でガラスと強固に結合するために、耐磨耗性などの耐久性が大きい撥水撥油性ガラスを得ることが可能になる。
【0069】
撥水撥油層の厚みは、特に限定されるものではないが、好ましくは0.001〜0.03μmである。
【0070】
本発明の反射防止膜用組成物は、ケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルの他に溶剤、加水分解性のシリル基の加水分解、縮合用触媒を含むことができる。該組成物を適用する基材としては、ガラス、プラスチックを例示することができる。ケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルのシリル基を加水分解することにより容易に架橋して密着性に優れた塗膜となり、しかもその塗膜は屈折率が非常に低いため、反射防止効果の高いものである。溶剤としては、前記した溶剤を使用でき、該触媒としてはブチルアミン、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、t−ブチルアミン、エチレンジアミン、トリエチルアミン、イソホロンジアミン、イミダゾール、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラートのごとき塩基性化合物;テトラプロピルチタネート、オクチル酸錫、オクチル酸鉛、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸カルシウム、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレート等含金属化合物;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、p−トルエンスルホン酸、トリクロル酢酸、リン酸、モノアルキルリン酸、ジアルキルリン酸、βーヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのリン酸エステル、モノアルキル亜リン酸、ジアルキル亜リン酸等酸性化合物などが挙げられるが、特にジブチル錫ジアセテートジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジマレート等の錫化合物が望ましい。この触媒の使用量は組成物100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部の範囲である。反射防止膜用組成物のガラス、プラスチック等の基材への適用方法としては、表面処理組成物と同様に行うことができる。
【0071】
本発明の反射防止組成物は、硝子または透明なプラスチック等の基材の表面に塗工することにより、該基材の表面反射を低下し、視認性の向上及び可視光線エネルギーの有効活用化に有用な、反射防止膜を形成できる。本発明の反射防止用組成物はテレビのブラウン管、絵の前面硝子、ショーケース、硝子板、眼鏡レンズ等に塗布され、生成する薄膜は太陽光、照明光の反射によるギラツキや眩しさ、あるいは周囲の景観が映ることにより、透明性、視認性が損なわれることを防止するのに有効である。
【0072】
本発明の離型材組成物は、ケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルの他に溶剤、テトラアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシラン、モノアルキルトリアルコキシシランなどのシラン類、含フッ素(メタ)アクリル酸エステル類、含フッ素オレフィン類などの不飽和結合を有する重合可能な化合物、必要に応じて硬化触媒を有し得る。
【0073】
本発明の接着剤は、ケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルの他に、必要に応じて各種の樹脂(例えばエポキシ樹脂、スチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、オルガノポリシロキサン樹脂など)、また、接着性が損なわれない範囲において充填剤(例えば微粉末シリカ、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、ケイソウ土、、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン等の金属酸化物、及びこれらの表面をシラン等で疎水化処理したもの、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛等の金属炭酸塩、アスベスト、ガラス繊維、微紛マイカ、溶融シリカ粉末など)、ポリエチレングリコールあるいはその誘導対等のチクソトロフィー性付与剤、顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、酸化アンチモン、塩化パラフィン等の難燃剤、窒化ホウ素、酸化アルミニウム等の熱伝導性改良剤、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基等の反応性有機基を有する有機ケイ素化合物、シランカップリング剤等の接着性付与剤、可塑剤、タレ防止剤、坊汚剤、防腐剤、殺菌剤、防カビ剤等を配合することができる。
【0074】
【発明の効果】
本発明のケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルまたはその誘導体は、優れた撥水撥油性、防汚性、低屈折率、耐久性等の特性を有しており、該ポリエーテルを配合することにより、表面処理剤、防汚剤、撥水撥油剤、反射防止剤、離型材、接着剤などを得ることができる。
【0075】
【実施例】
本発明を説明するために以下の実施例を用いて具体的に説明する。これらの実施例は、本発明の例示であり、本発明を限定するものではない。
【0076】
各実施例でのガスクロマトグラフィー分析では特記しない限り、DB5キャピラリーカラム(30.0m×530μm×3.00μm)を用いた。
合成例1
攪拌機、滴下ロート、ジムロート及び温度計を取り付けた100ml四つ口フラスコ中に、C4F9CH2CH2OH 5.28g(0.02モル)と三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体 0.14g(1ミリモル)を仕込み、窒素ガスを30ml/分の流量で流しながら30分間攪拌を行った。
内温を60℃として、F(CF2)8CH2CH(O)CH2 47.61g(0.1モル)を30分かけて滴下した。
滴下終了後、反応温度を80℃に上昇させ、6時間攪拌反応させた。反応液のガスクロマトグラフィー分析を行い、原料のF(CF2)8CH2CH(O)CH2 が消失していることを確認した。反応液を室温に戻し、HCFC225 160gと飽和炭酸水素ナトリウム溶液 約100mlを加え、分液ロートを用いて洗浄後、有機層を分離回収した。有機層を水約100mlで振とう洗浄した。有機層をMgSO4で脱水後、有機層を濾別しエバポレーターにて溶媒を留去して、室温で白色固体の含フッ素ポリエーテル化合物(A)51.44gを得た。
1H−NMRならびに19F−NMRスペクトル分析により下記構造式に対応するシグナルを解析したところ、片末端基がC4F9CH2CH2O−のアルコキシ化された含フッ素エポキシ開環重合体であることを確認した。
【0077】
【0078】
【化10】
【0079】
2H+3HX=6.2、2H+2HX=4.3より、平均重合度X=7.3で、平均分子量3739.8であった。
合成例2
攪拌機、滴下ロート、ジムロート及び温度計を取り付けた100ml四つ口フラスコ中に、氷酢酸 1.2g(0.02モル)と三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体 0.14g(1ミリモル)を仕込み、窒素ガスを30ml/分の流量で流しながら30分間攪拌を行った。
内温を60℃として、F(CF2)8CH2CH(O)CH2 47.61g(0.1モル)を30分かけて滴下した。
滴下終了後、反応温度を80℃に上昇させ、7時間攪拌反応させた。反応液のガスクロマトグラフィー分析を行い、原料のF(CF2)8CH2CH(O)CH2 が消失していることを確認した。反応液を室温に戻し、HCFC225 160gと飽和炭酸水素ナトリウム溶液 約100mlを加え、分液ロートを用いて洗浄後、有機層を分離回収した。有機層を水約100mlで振とう洗浄した。有機層をMgSO4で脱水後、有機層を濾別しエバポレーターにて溶媒を留去して、粘性液体47.5gを得た。
1H−NMRスペクトル分析により下記構造式に対応するシグナルを解析したところ、片末端基がアセチル化された含フッ素エポキシ開環重合体であることを確認した。
【0080】
【0081】
【化11】
【0082】
aプロトン1個当たりのシグナル強度と、c+dのプロトン1個当たりのシグナル強度との比を計算して求めると、平均重合度X=6.0で、平均分子量2897.7であった。
合成例3
合成例2で得られた粘性液体47.5gをHCFC225 143gに溶解し、20w% KOH/メタノール溶液 26.4gを加え、35℃で3時間攪拌した後、水100mlで3回洗浄を行った。有機層をMgSO4で脱水後、有機層を濾別しエバポレーターにて溶媒を留去して、室温で白色固体の含フッ素ポリエーテル化合物(B)42.98gを得た。
【0083】
【化12】
【0084】
合成例4
攪拌機、滴下ロート、ジムロート及び温度計を取り付けた100ml四つ口フラスコ中に、ネオペンチルグリコール 2.08g(0.02モル)、ジクロロメタン 47gと三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体 0.14g(1ミリモル)を仕込み、窒素ガスを30ml/分の流量で流しながら30分間攪拌を行った。
内温を60℃として、F(CF2)8CH2CH(O)CH2 47.61g(0.1モル)を30分かけて滴下した。
滴下終了後、反応温度を40℃に上昇させ、6時間攪拌反応させた。反応液のガスクロマトグラフィー分析を行い、原料のF(CF2)8CH2CH(O)CH2 が消失していることを確認した。反応液を室温に戻し、HCFC225 160gと飽和炭酸水素ナトリウム溶液 約100mlを加え、分液ロートを用いて洗浄後、有機層を分離回収した。有機層を水約100mlで振とう洗浄した。有機層をMgSO4で脱水後、有機層を濾別しエバポレーターにて溶媒を留去し、室温で白色固体の含フッ素ポリエーテル化合物(C)47.71gを得た。
1H−NMRならびに19F−NMRスペクトル分析により下記構造式に対応するシグナルを解析したところ、含フッ素エポキシ開環重合体であることを確認した。
【0085】
【0086】
【化13】
【0087】
aのプロトン1個当たりのシグナル強度と、eのプロトン1個当たりのシグナル強度との比を計算して求めると、平均重合度X+Y=7.4で、平均分子量3627.4であった。
合成例5
以下の相違点を除いて、合成例1に記載の如く実施する:
合成例5においては、F(CF2)8CH2CH(O)CH2の代わりにF(CF2)4CH2CH(O)CH2 27.61g(0.1モル)を用いる。室温で粘性液体の含フッ素ポリエーテル化合物(D)27.5gを得た。
1H−NMRならびに19F−NMRスペクトル分析により下記構造式で表される、片末端基がC4F9CH2CH2O−のアルコキシ化された含フッ素エポキシ開環重合体であることを確認した。平均重合度X=5.3で、平均分子量1727.5であった。
【0088】
【化14】
【0089】
合成例6、7
以下の相違点を除いて、合成例2、3に記載の如く実施する:
合成例6、7においては、F(CF2)8CH2CH(O)CH2の代わりにF(CF2)4CH2CH(O)CH2 27.61g(0.1モル)を用いる。室温で粘性液体の含フッ素ポリエーテル化合物(E)24.8gを得た。
1H−NMRならびに19F−NMRスペクトル分析により下記構造式で表される、含フッ素エポキシ開環重合体であることを確認した。平均重合度X=5.5で、平均分子量1518.5であった。
【0090】
【化15】
【0091】
合成例8
以下の相違点を除いて、合成例4に記載の如く実施する:
合成例8においては、F(CF2)8CH2CH(O)CH2の代わりにF(CF2)4CH2CH(O)CH2 27.61g(0.1モル)を用いる。室温で粘性液体の含フッ素ポリエーテル化合物(F)27.7gを得た。
1H−NMRならびに19F−NMRスペクトル分析により下記構造式で表される、含フッ素エポキシ開環重合体であることを確認した。平均重合度X+Y=7.2で、平均分子量2092.0であった。
【0092】
【化16】
【0093】
合成例9
攪拌機、滴下ロート、ジムロート及び温度計を取り付けた100ml四つ口フラスコ中に、合成例1にて合成した含フッ素ポリエーテル化合物(A) 5g(1.34ミリモル)、メタ−キシレンヘキサフロライド 15.8gとジブチルスズジラウレート一滴を仕込み、窒素ガスを30ml/分の流量で流しながら窒素置換を行った。γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー社製;Y−5187)0.274g(1.34ミリモル)を滴下した。滴下終了後、反応温度を75℃に上昇させ、4時間攪拌反応させた。赤外吸収スペクトルより、2270cm−1の−N=C=Oの吸収が完全に消失し、1720cm−1に新たにウレタン結合由来の−C=Oの吸収が生じた。減圧下揮発分を留去することによって、下式のケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルを得た。
【0094】
【化17】
【0095】
合成例10
原料として合成例3にて合成した含フッ素ポリエーテル化合物(B) 5g(1.75ミリモル)と、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン 0.718g(3.50ミリモル)を用いた以外は、合成例9と同様にして合成を行い、下式のケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルを得た。
【0096】
【化18】
【0097】
合成例11
原料として合成例4にて合成した含フッ素ポリエーテル化合物(C) 5g(1.38ミリモル)と、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン 0.565g(2.76ミリモル)を用いた以外は、合成例9と同様にして合成を行い、下式のケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルを得た。
【0098】
【化19】
【0099】
(X+Y=7.4)
合成例12
原料として合成例5にて合成した含フッ素ポリエーテル化合物(D) 5g(2.89ミリモル)と、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン 0.593g(2.89ミリモル)を用いた以外は、合成例9と同様にして合成を行い、下式のケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルを得た。
【0100】
【化20】
【0101】
合成例13
原料として合成例7にて合成した含フッ素ポリエーテル化合物(E) 5g(2.89ミリモル)と、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン 0.593g(2.89ミリモル)を用いた以外は、合成例9と同様にして合成を行い、下式のケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルを得た。
【0102】
【化21】
【0103】
合成例14
原料として合成例8にて合成した含フッ素ポリエーテル化合物(F) 5g(2.89ミリモル)と、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン 0.593g(2.89ミリモル)を用いた以外は、合成例9と同様にして合成を行い、下式のケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルを得た。
【0104】
【化22】
【0105】
(X+Y=7.2)
実施例1〜6及び比較例1〜6
合成例1、3、4、5、7、8で得たもの、合成例9、10、11、12、13、14で得たものを、C4F9OCH3の0.1重量%溶液となした処理液をそれぞれ調製した。基材となるスライドグラス(岩城硝子製MicroSlideGlass, Pre−Cleaned 76×26mm, 厚さ1mm)を使用前に水洗し、その後にアセトンを用いて充分に洗浄した。このようにして準備したスライドグラスを処理液に30秒間浸漬し、引き上げた後60分間室温にて風乾した後、100℃で30分間加熱した。ついで30分間C4F9OCH3中で超音波洗浄を行って過剰の処理剤分子を除去し、さらに、試料の表面をC4F9OCH3を染ませたキムワイプ(十條キンバリー社製)を用いて中位の強さで3往復拭き取り、風乾し、対水接触角と対ヘキサデカン接触角を測定した。接触角測定には、接触角計(協和界面科学社製CA−A型)を使用し、25℃にて測定した。5点の平均値をその測定値とした。
評価結果を表2に示した。
比較例7
未処理のスライドグラスを使用する以外は実施例1〜6及び比較例1〜6に記載の方法と同様に実験を行った。
【0106】
【表2】
【0107】
実施例7
合成例13と同様の方法でえられた化合物10g、特開平5−209031号の実施例中の化合物A−1の90gをアセトン100gと酢酸エチル100gの混合溶剤に溶解させ、これに4gの蟻酸と20gのエタノールとの混合液を攪拌しながら加えた。次に水酸化テトラメチルアンモニウムの10%メタノール溶液1.25gと30gのエタノールとの混合液を攪拌しながら、徐々に加えた。この溶液をガラス板状に塗布し、130℃で15分硬化させ塗膜を形成させた。塗膜の性能評価を実施した。結果を表3に示す。
比較例8
合成例13と同様の方法でえられた化合物を特開平2000−191668号の合成例3と同様の方法でえられた化合物に変えた以外は、実施例7と同様に実験をおこなおうとしたが、均一な塗料用溶液がえられず、塗膜を形成することができなかった。
【0108】
【表3】
【0109】
なお、実施例及び比較例中の各物性値は下記の方法に従って測定した。
〔外観と光沢〕A:色彩鮮やかで光沢がある B:多少不鮮明で光沢が低い C:著しく不鮮明で光沢がない
〔耐摩耗性〕太さ#0000のスチールウールの束を荷重500gをかけながら硬化被膜を15往復こすり、その後被膜についた傷の程度を調べ、下記のように4ランクに分けて評価した。 A:全く傷がつかない B:10本以内の傷がつくC:10本以上の傷がつくが、なお光沢を保持している D:無数の傷で光沢を失う
〔表面硬度〕塗料用鉛筆引かき試験機を用いて、JIS K5401に準じて測定した。
〔耐候性〕JIS B7753の規定に従い、カーボンアークサンシャインウェザーメーター試験を行った。判定は2000時間後の試験体の表面を試験前のものと比較観察することで下した。
〔耐汚染性〕赤色の油性マジック(サクラペンタッチ(商品名))により50mm×50mmの面積を塗りつぶし、24時間後にこれをエタノールでふき取り、インクの残存状態を目視で観察する。A:完全に除去された B:わずかに残ったC:明瞭に残存が確認できた D:著しく残った
Claims (13)
- 一般式(I)、(II)または(III)で示されるケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル:
Raの各々は、同一であっても異なっていてもよく、Rbの各々は、同一であっても異なっていてもよく、Ra及びRbの一方は、水素原子を示し、他方はCH2Rf基を示し{ここで、Rfは、炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のフルオロアルキル基又はフルオロアルキルエーテル基を示す。}、Rc及びRdの一方は、水素原子を示し、他方は炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のアルキル基又はアルキルエーテル基を示す、
(但し、−(CHRaCHRbO)a1−(CHRcCHRdO)a2−は、−CHRaCHRbO−に対応する少なくとも1種のフッ素系エポキシ化合物(必須成分)と−CHRcCHRdO−に対応する少なくとも1種の非フッ素系エポキシ化合物(任意成分)の反応により得られるものであればよく、両方のエポキシ化合物を使用する場合には、その順序は問わない)
R1は、炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のフルオロアルキル基又はフルオロアルキルエーテル基、又は炭素数1〜16の直鎖或いは分岐鎖のアルキル基又はアルキルエーテル基を示す。
a1は2以上の整数を表す。
a2は0以上の整数を表す。
OR2は、O−C(O)N(H)またはO−C(O)を表し、R2Oは、N(H)C(O)−OまたはC(O)−Oを表す。
R3は、水酸基又は加水分解可能な置換基を表す。
R4は、水素または1価の炭化水素基を表す。
lは、0または1を表す。
mは、同一又は異なり0または1以上の整数を表す。
nは、同一又は異なり1、2又は3を表す。
bは、2,3または4を示す。
R5は、フッ素原子で置換されていてもよいb価の炭化水素基を示す。] - 平均分子量が5×102〜1×105である請求項1〜4のいずれかに記載のポリエーテルを含む表面処理組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のポリエーテルを、必要に応じてシランカップリング剤の存在下に変性させて得ることができるケイ素含有有機含フッ素ポリエーテル。
- (1)請求項1〜6のいずれかに記載のポリエーテル、(2)少なくとも1種の含フッ素有機溶剤、および/または、(3)少なくとも1種の非フッ素系有機溶剤を含有してなることを特徴とする表面処理組成物。
- 基材の表面に、請求項1〜6のいずれかに記載のケイ素含有有機含フッ素ポリエーテルまたはその誘導体の層を形成したことを特徴とする防汚性基材。
- 平均分子量が5×102〜1×105である請求項1〜6のいずれかに記載のポリエーテルまたはその誘導体を含む塗料組成物またはシーラント組成物。
- ガラスの表面に、請求項1〜6のいずれかに記載のポリエーテルまたはその誘導体の層を形成したことを特徴とする撥水撥油性ガラス。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のポリエーテルまたはその誘導体を含み、該ポリエーテルの平均分子量が5×102〜1×105である反射防止膜用組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のポリエーテルまたはその誘導体を含み、該ポリエーテルの平均分子量が5×102〜1×105である離型材組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のポリエーテルまたはその誘導体を含む接着剤組成物。
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