JP2012046765A - 撥水撥油防汚性複合膜形成溶液とそれを用いた撥水撥油防汚性複合膜の製造方法とそれを用いた撥水撥油防汚性複合膜 - Google Patents
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Abstract
耗性に乏しいという課題があった。また、処理液にクロロシラン系界面活性剤を用いた方法では、製膜時に塩酸が発生するため、製造は特別な脱塩酸設備を備えた隔離された場所で行わなければならないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
有機含フッ素エーテル基または有機含フッ素ポリエーテル基を含むフッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を含む第1の物質とフッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を含み且つ前記第1の物質とは異なる第2の物質と(AO)3Si(OSi(OA)2)pOA(pは0または整数、Aはアルキル基、OAはClまたはNCOでも良い。)で表される第3の物質とシラノール縮合触媒とを有機溶媒で希釈した溶液であり、前記第2の物質の分子長が前記第1の物質の分子長より短い撥水撥油防汚性複合膜形成溶液を提供する。
【選択図】図1
Description
この様な溶液を用いれば、表面に高耐久な撥水撥油防汚性被膜を塩酸の発生を伴わずに形成する上で都合がよい。
この様な溶液を用いれば、前記第2の物質と前記第3の物質のみの混合溶液に比べて、大幅に耐摩耗性を向上でき都合がよい。
この様な溶液を用いれば、複合膜の作製時間を短縮できて都合がよい。
この様な溶液を用いれば、複合膜の作製時間をさらに短縮できて都合がよい。
この様な溶液は基材に損傷を与えることがないので、基材選択の自由度を向上する上で都合がよい。
この様な複合膜の製造方法は、複合膜の撥水撥油防汚耐久性を向上する上で都合がよい。
この様な複合膜の製造方法は、複合膜の撥水撥油防汚耐久性をさらに向上する上で都合がよい。
この様な複合膜の製造方法は、基材耐熱性に制約されるが、複合膜の撥水撥油防汚耐久性をさらに向上する上で都合がよい。
この様な複合膜の製造方法は、水滴滑落性能を向上する上で都合がよい。
この様な方法で作製した撥水撥油防汚性複合膜は、極めて高い耐摩耗性を備えている。
また、第1の物質が側鎖にフッ化炭素基と炭化水素基を持つ有機含フッ素エーテル基または有機含フッ素ポリエーテル基を主成分とする長鎖物質であると、被膜の耐久性を向上する上で都合がよい。
また、複合膜がさらにメチルシリル基を含んでいると、撥水撥油防汚性複合膜に付着した水滴の滑落性を小さくできて好都合である。
またこのとき、第1の物質と第2の物質と第1の物質の分子混合比を、1:10:10〜1:0:0にしておくと、撥水撥油防汚性複合膜に付着した水滴の滑落性を制御する上で好都合である。
さらに、少なくとも第1の物質として有機含フッ素エーテル基または有機含フッ素ポリエーテル基およびアルコキシシリル基を含む長鎖物質を用いると、撥水撥油防汚性複合膜の耐摩耗性を向上できて好都合である。
第2の物質としてCF3−(CF2)o−(CH2)2−Si(OA)3(添え字のoは整数、Aはアルキル基、OAはClまたはNCOでも良い。)を用い、アルコキシシリルキ基を主成分とする物質(3)として(AO)3Si(OSi(OA)2)pOA(pは0または整数、Aはアルキル基、OAはClまたはNCOでも良い。)を用いると、水滴転落角と耐摩耗性を同時に制御できて好都合である。
第2の物質としてCF3−(CF2)o−(CH2)2−Si(OA)3(添え字のoは整数、Aはアルキル基。)を用い、アルコキシシリルキ基を主成分とする物質(3)として(AO)3Si(OSi(OA)2)pOA(Pは0または整数、Aはアルキル基。)を用いても、水滴転落角と耐摩耗性を同時に制御できて好都合である。
さらにまた、シラノール縮合触媒の代わりに、ケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物、あるいはTiO2等の金属酸化物を用いると、処理時間を短縮できて都合がよい。
また、シラノール縮合触媒にケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物および/あるいはTiO2等の金属酸化物を混合して用いると、さらに処理時間を短縮できて都合がよい。
さらに、有機溶媒としてフッ化炭素系有機溶媒や含塩素フッ化炭素系有機溶媒を用いると、前記式(化2および3)に示した物質を均一に溶解する上で都合がよい。
また、複合膜形成前にあらかじめシリカ膜を形成しておくと、被膜密度と耐水性を同時に向上できて都合がよい。 また、複合膜形成後、250〜450℃で加熱すると、被膜の耐候性を向上できて好都合である。
また、複合膜形成後、さらにメチルシリル基を含んだ物質を溶かした溶液で処理すると水滴転落角を小さくできて都合がよい。
液を有機溶媒を用いて洗浄除去またはふき取り除去する工程とにより、表面に高耐久性の撥水撥油防汚性被膜が形成されたガラス板であって、前記被膜が、フッ化炭素基と炭化水素基を主成分とする長鎖物質とフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする短鎖物質とシロキサン基を主成分とする物質を含む複合膜であることを特徴とする撥水撥油防汚性ガラス板を製造して提供するものである。
なお、以下の実施例においては、とくに記載していない限り分子組成比はモル比を意味する。また、特に記載のない%は重量%を意味する。なお、本願発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
なお、本プロセスでは、被膜形成材料としてアルコキシシラン系の薬剤のみを用いているため塩酸が発生することはなかった。
参考として、実施例1に於いて、フッ化炭素基と炭化水素基を主成分とし且つアルコキシシリル基を含む長鎖物質(1)である有機含フッ素エーテル基または有機含フッ素ポリエーテル基およびアルコキシシリル基を含む長鎖物質を含めず、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする短鎖物質(2)がCF3−(CF2)7−(CH2)2−Si(OCH3)3であり、アルコキシシリルキ基を主成分とする物質(3)がSi(OCH3)4であり、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする短鎖物質(2)とアルコキシシリルキ基を主成分とする物質(3)の濃度をそれぞれ0.01と0.003M/Lとし、他の条件は実施例1と全て同条件で試作した場合、初期水滴接触角は109度となった。また、耐摩耗試験における水滴接触角変化の結果を図2に比較して示す。
さらに、実施例1に於いて、フッ化炭素基と炭化水素基を主成分とし且つアルコキシシリル基を含む長鎖物質(1)である有機含フッ素エーテル基または有機含フッ素ポリエーテル基およびアルコキシシリル基を含む長鎖物質とアルコキシシリルキ基を主成分とする物質(3)を含めず、フッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を主成分とする短鎖物質(2)がCF3−(CF2)7−(CH2)2−Si(OCH3)3であり、他の条件は実施例1と全て同条件で試作した場合、初期水滴接触角は112度となった。また、被膜の耐摩耗試験における水滴接触角変化の結果を図2に比較して示す。
また、メトキシ基の代わりにエトキシ基、あるいは反応は異なるがClやNCO基でもほぼ同様に製膜できた。
また、摩耗試験結果は、実施例1に比べてさらに10倍程度改善されていた。
この場合、当然有機含フッ素エーテル基または有機含フッ素ポリエーテル基を主成分とする長鎖物質とシロキサン基を主成分とする物質を含む膜厚が略5nmの複合膜が前記ガラス板表面に形成できた。
また、摩耗試験では、実施例1とほぼ同様の結果を得た。
この場合、当然有機含フッ素エーテル基または有機含フッ素ポリエーテル基を主成分とする長鎖物質とフッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする短鎖物質を含む膜厚が略4nmの複合膜が前記ガラス板表面に形成できた。
また、摩耗試験では、実施例1と比べて多少劣化が早かったが、ほぼ同様の結果を得た。
この場合、当然有機含フッ素エーテル基または有機含フッ素ポリエーテル基を主成分とする長鎖長鎖物質(1)で膜厚が略3nmの被膜が前記ガラス板表面に形成できた。
具体的には、実施例1に置いて上述のシラノール縮合触媒濃度を半分にして、上述のケチミン化合物(例えば、S340)を等モル混合した場合(1:1)、反応時間を20分まで短縮できた。
(2)SiH(OCH3)3
(3)SiH2(OCH3)2
(4)(CH3O)3Si(OSi(OCH3)2)mOCH3
(5)Si(OC2H5)3
(6)SiH(OC2H5)3
(7)SiH2(OC2H5)2
(8)(H5C2O)3Si(OSi(OC2H5)2)mOC2H5
ここで、mは、1〜6整数を表す。
また、本発明の撥水撥油防汚性ガラスでは、耐摩耗性も非常に高いので、ワイパーブレードでこすられるウインドシールド用ガラス板としても適用可能である。
2 有機含フッ素エーテル基または有機含フッ素ポリエーテル基を主成分とする長鎖物質
3 フッ化炭素基と炭化水素基とシリル基を主成分とする短鎖物質
4 シロキサン基を主成分とする物質
5 撥水撥油防汚性の複合膜
6 シリカ
7 メチルシリル基
Claims (13)
- 少なくとも有機含フッ素エーテル基または有機含フッ素ポリエーテル基を含むフッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を含む第1の物質とフッ化炭素基と炭化水素基とアルコキシシリル基を含み且つ前記第1の物質とは異なる第2の物質と(AO)3Si(OSi(OA)2)pOA(pは0または整数、Aはアルキル基、OAはClまたはNCOでも良い。)で表される第3の物質とシラノール縮合触媒とを有機溶媒で希釈した溶液であり、前記第2の物質の分子長が前記第1の物質の分子長より短いことを特徴とする撥水撥油防汚性複合膜形成溶液。
- 前記第1の物質と前記第2の物質と前記第3の物質の分子混合比を、1:10:10乃至1:0.1:0.1にしておくことを特徴とする請求項1に記載の撥水撥油防汚性複合膜形成溶液。
- 少なくとも前記第2の物質としてCF3−(CF2)o−(CH2)2−Si(OA)3(添え字のoは整数、Aはアルキル基。)を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の撥水撥油防汚性複合膜形成溶液。
- シラノール縮合触媒の代わりに、ケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物、あるいはTiO2等の金属酸化物を用いることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の撥水撥油防汚性複合膜形成溶液。
- シラノール縮合触媒にケチミン化合物、又は有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物および/あるいはTiO2等の金属酸化物を混合して用いることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の撥水撥油防汚性複合膜形成溶液。
- 有機溶媒としてフッ化炭素系有機溶媒を用いることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の撥水撥油防汚性複合膜形成溶液。
- 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の溶液に基材表面を接触させて反応させ撥水撥油防汚性の複合膜を形成する工程を含むことを特徴とする撥水撥油防汚性複合膜の製造方法。
- 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の溶液に基材表面を接触させて反応させ被膜を形成する工程と、前記基材表面の余分な溶液を有機溶媒を用いて洗浄除去またはふき取り除去する工程を含むことを特徴とする撥水撥油防汚性複合膜の製造方法。
- 複合膜形成後、250〜450℃で加熱することを特徴とする請求項9または10に記載の撥水撥油防汚性複合膜の製造方法。
- 複合膜形成後、さらにメチルシリル基を含んだ物質を溶かした溶液に接触させる工程を含むことを特徴とする請求項9または10に記載の撥水撥油防汚性複合膜の製造方法。
- 請求項9乃至12のいずれか一項に記載の撥水撥油防汚性複合膜の製造方法を用いて作成した撥水撥油防汚性複合膜。
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