JP2004220872A - 無発塵除電除塵システム - Google Patents

無発塵除電除塵システム Download PDF

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Akira Mizuno
彰 水野
Akio Sugita
章夫 杉田
Masanori Suzuki
政典 鈴木
Tomokatsu Sato
朋且 佐藤
Toshihiko Hino
利彦 日野
Haruyuki Mine
治幸 鋒
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Abstract

【課題】オゾンや電磁ノイズ、及び発塵等の発生を起こすことなく、防爆施設や装置での使用が可能で、帯電体に付着した塵埃を確実に除去することができる無発塵除電除塵システムを提供する。
【解決手段】間欠高速噴流発生装置Dは、ガス搬送路2bに設けられ、内部には、電磁弁2cを備えている。この装置Dは、ガス搬送路2bから送られてくるイオン搬送ガスを、電磁弁2cを開閉させることにより、下流側であるチャンバ1内へ高速気流として間欠的に噴出し、ガス搬送路2bは、チャンバ1の側端部(図中、右側側端部)に設けられたガス搬送路接続部2aを介して、間欠高速噴流発生装置Dから噴出される前記イオン搬送ガスをチャンバ1へ供給する。この間欠高速噴流が、チャンバ1の吹出部9から帯電体Sの表面へ吹き付けられ、帯電体Sの表面及び表面に付着した塵埃を除電・除塵する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、清浄環境で生産等する半導体や液晶ディスプレイ等の製品に発生する静電気の除電、およびこの静電気により製品に付着する塵埃を除去するための無発塵除電除塵システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、半導体や液晶ディスプレイ(以下、LCD)等を製造するクリーンルームでは、静電気の発生が問題となっている。半導体製造のクリーンルームの場合は、低湿度環境であることや、ウエハ及び半導体素子を運搬するプラスチック容器が帯電しやすいこと等が静電気の発生の原因となっている。この静電気は、ウエハ表面上に塵埃を付着させたり、ウエハ上のICや半導体素子を破壊してしまい、製品の歩留りを低下させている。
【0003】
また、LCDの場合は、処理工程で異なる材質等と接触し、摩擦帯電による静電気が発生する。特に、このLCDに使用するガラス基板は、大面積で絶縁性が高く静電気が発生しやすいため、大量の静電気による塵埃付着や静電破壊が製品の歩留りに影響を与えている。
【0004】
そこで、従来より、このようなクリーンルーム等の生産環境における静電気あるいは製品に静電気力で付着した塵埃を除去する装置として、イオン化気流により帯電体の電荷を中和しながら、高速気流で塵埃を除去する除電除塵システムが用いられている。この除電除塵システムは、正または負の電極に正または負の高電圧をそれぞれ印加することによりコロナ放電を発生させ、上記電極先端の周囲の空気を正と負とにイオン化し、このイオンを気流によって搬送して帯電体上の電荷を逆極性のイオンで中和するものである。
【0005】
しかしながら、上述した従来のコロナ放電を利用した除電除塵システムでは、次のような問題が発生していた。
(1)イオン発生電極からの発塵
コロナ放電を起こさせるたびに電極が摩耗し、その摩耗した電極材が飛散する。また、空気中の微量ガス成分がコロナ放電により粒子化してイオン発生電極上に析出し、これがある程度の大きさになると再飛散する。このような発塵により製品が汚染され、歩留りが低下する。
(2)オゾンの発生
空気をコロナ放電によりイオン化しているため、空気中の窒素や水蒸気がイオン化する以外に、酸素がオゾンとなる反応も起こる。このオゾンの酸化作用により、シリコンウエハの表面が酸化されたり、空気中の微量の不純物と反応して2次粒子が発生する原因となる。
(3)電磁ノイズの発生
放電時に放電極から発生する不規則な電磁波が、半導体素子を内蔵した精密機器やコンピュータなどの誤動作を引き起こす原因となる。
(4)イオン化源としてコロナ放電を使用していたため、防爆施設等の可燃性蒸気がある場所では、このような除電除塵システムは使用できないという問題があった。
【0006】
また、近年、イオン発生装置として軟X線を照射して、空気をイオン化する装置が知られているが、このようなイオン発生装置においては、この装置の周囲を遮蔽構造とする必要があるため、設置が困難であった。また、このようなイオン発生装置は、イオン化源と電気ケーブルとの接続部やイオン化源の制御装置が防爆仕様ではなかったため、防爆施設等では使用できないという問題があった。
【0007】
そこで、本出願人は、上記問題点を解決すべく、特許文献1に開示される除電除塵システムを提案したものである。この除電除塵システムによれば、チャンバ内に設けられたイオンを発生させるイオン化源を軟X線の発生部あるいは密封放射線同位元素で構成したり、低エネルギー電子線、紫外線の発生部で構成することによって、イオン搬送ガスとして空気もしくは非反応性ガスのいずれかを用いた場合であっても、オゾンや電磁ノイズ、及び発塵等の発生を防ぐことができるものである。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−176691号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来技術においては、除電除塵システムのチャンバから噴出される高速気流によって、帯電体の表面の静電気を除電し、その静電気によって表面に付着した塵埃を除去するのであるが、この従来の除電除塵システムにおいては、高速気流を連続的に吹き付けるように構成されている。
【0010】
この場合、帯電体Sの表面には、流速の遅い薄い空気の膜が形成され、気流の高速部分はその膜上を流れるようになってしまう。したがって、イオン化された気流が、帯電体に十分に吹き付けられなくなり、帯電体表面の除電が十分に行われなくなってしまうと同時に、除電が不十分であるために帯電体表面には依然として塵埃が貼り付いたままで、こうした塵埃の除去が十分にできないこととなっていた。
【0011】
さらに、上記従来の除電除塵システムにおいて、帯電体上の塵埃が除電・除塵されたとしても、帯電体から剥離した塵埃を回収する手段が設けられていなかったため、こうした塵埃は、帯電体周囲の清浄環境内へと飛散し、再び帯電体等に付着することとなってしまっていた。
【0012】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は、オゾンや電磁ノイズ、及び発塵等を発生させることなく、防爆施設や装置での使用が可能で、帯電体に付着した塵埃を確実に除去することができる無発塵除電除塵システムを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、チャンバ内に供給されたイオン搬送ガスの一部を内部に設けられたイオン化源によってイオン化するイオン化部と、前記イオン化部において発生したイオンを気流として帯電体に向かって供給する吹出部と、前記チャンバの外部に前記イオン化源とケーブルを介して接続され、このケーブルを介して前記イオン化源によるイオン発生を制御する制御装置とを有する無発塵除電除塵システムにおいて、前記イオン化部には、前記イオン搬送ガスを前記チャンバ内に供給するガス搬送路が設けられ、このガス搬送路には、前記チャンバ内に間欠的な高速噴流を供給する間欠高速噴流発生装置が設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明を方法の観点から捉えたものであり、イオン搬送ガスをチャンバ内に供給し、このイオン搬送ガスの一部を前記チャンバに内蔵されたイオン化源によってイオン化し、前記チャンバの外部に設けられた制御装置によってイオン化源によるイオン発生を制御する無発塵除電除塵方法において、前記チャンバの上流側のガス搬送路に設けられた間欠高速噴流発生装置によって、前記チャンバ内に間欠的な高速噴流を供給し、前記チャンバの前記吹出部から帯電体に向かって前記間欠的な高速噴流を吹き付けることを特徴とする。
【0015】
以上のような請求項1及び請求項5記載の発明では、チャンバ内に吹き付けるイオン化気流を間欠的な高速噴流とする装置を設けることにより、次のような効果を奏する。すなわち、一定速度の気流を吹き付けるだけでは、帯電体表面に流速の遅い薄い空気の膜ができ、気流の高速部分はその上を流れてしまうため、その膜内の粒子を除去することが困難であるが、間欠的な噴流はその膜の生成を抑えることができ、除塵効果を高めることができるのである。
【0016】
請求項2記載の発明は、チャンバ内に供給されたイオン搬送ガスの一部を内部に設けられたイオン化源によってイオン化するイオン化部と、前記イオン化部において発生したイオンを気流として帯電体に向かって供給する吹出部と、前記チャンバの外部に前記イオン化源とケーブルを介して接続され、このケーブルを介して前記イオン化源によるイオン発生を制御する制御装置とを有する無発塵除電除塵システムにおいて、前記チャンバ外部には、流体から氷粒子またはドライアイス粒子を生成する粒子発生装置が設けられ、前記イオン化部と前記吹出部の間には、荷電粒子発生部が設けられ、この荷電粒子発生部には、前記粒子発生装置から前記氷粒子またはドライアイス粒子が供給されることを特徴とする。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項2に記載の発明を方法の観点から捉えたものであり、イオン搬送ガスをチャンバ内に供給し、このイオン搬送ガスの一部を前記チャンバに内蔵されたイオン化源によってイオン化し、前記チャンバの外部に設けられた制御装置によってイオン化源によるイオン発生を制御する無発塵除電除塵方法において、前記イオン化部と前記吹出部の間に設けられた荷電粒子発生部には、前記チャンバ外部に設けられ、流体から氷粒子またはドライアイス粒子を生成する粒子発生装置から、前記氷粒子またはドライアイス粒子が供給され、前記荷電粒子発生部において、前記イオン化部から送られてくるイオン搬送ガスと前記氷粒子またはドライアイス粒子が混合されることによって、荷電粒子が発生し、この荷電粒子が前記チャンバの前記吹出部から帯電体に向かって吹き付けることを特徴とする。
【0018】
以上のような請求項2および請求項6記載の発明においては、帯電した氷粒子やドライアイス粒子は、ガスに比べその密度が著しく大きいため、ガスと該粒子を同じ速度で比較した場合、該粒子の運動量は著しく大きくなる。そして、そのような運動量の大きい粒子が帯電体上の塵埃に衝突した際、その塵埃に対する除塵効果は飛躍的に高まることとなる。すなわち、一定速度の気流を吹き付けるだけでは、帯電体表面に流速の遅い薄い空気の膜ができてしまい、その膜内の塵埃を除去することが困難であるが、本発明においては、たとえ一定速度の気流を吹き付けたとしても、氷粒子やドライアイス粒子がその慣性力で薄い膜内を通って帯電体表面上の塵埃に衝突し除去するため、除電・除塵効率が高いのである。
【0019】
請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記チャンバと前記帯電体の周囲には、前記チャンバと帯電体とを囲む塵埃飛散防止チャンバと、前記塵埃飛散防止チャンバ内に飛散する塵埃を回収する集塵装置とを備えた塵埃飛散防止装置が設けらていることを特徴とする。
【0020】
請求項7記載の発明は、請求項3に記載の発明を方法の観点から捉えたものであり、前記チャンバと前記帯電体の周囲に設けられた塵埃飛散防止チャンバによって前記チャンバと帯電体とを囲み、前記塵埃飛散防止チャンバの外部に設けられた集塵装置によって、前記塵埃飛散防止チャンバ内に飛散する前記間欠的な高速噴流によって前記帯電体から剥離した塵埃を回収することを特徴とする。
【0021】
以上のような請求項3及び7記載の発明では、集塵装置を有する塵埃飛散防止チャンバを設けることによって、高速気流により帯電体から剥離した塵埃が、清浄環境内へ飛散するのを防止することができる。
【0022】
請求項4記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記塵埃飛散防止装置には、前記塵埃飛散防止チャンバ内の風量を調節し、チャンバ内の圧力を調節する風量調節部が設けられていることを特徴とする。
【0023】
請求項8記載の発明は、請求項4に記載の発明を方法の観点から捉えたものであり、前記集塵装置と連結して設けられた前記風量調節部によって、前記塵埃飛散防止チャンバ内の風量を調節し、チャンバ内の圧力を調節することを特徴とする。
【0024】
以上のような請求項4及び8に記載の発明では、風量調節部によって、例えば、塵埃飛散防止チャンバ内を負圧にすることで、請求項2の発明に加えて、剥離した塵埃が清浄環境内へ飛散するのをさらに効果的に防止することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施の形態(以下、実施形態という)を図面を参照して説明する。なお、本実施形態における無発塵除電除塵システムは、半導体等の製造工程においてクリーンルーム内に固定設置され、ターンテーブルやコンベアで搬送されてきた半導体やLCD等の帯電体に、イオン化気流を吹き付けることにより除電・除塵する態様を想定しているが、本発明は、そのような固定式のものに限られず、イオン化気流を吹き付けるハンドガン式にも適用可能である。また、除電除塵対象も上記半導体やLCDに限られず、例えば、人工臓器や医療用容器等、クリーンルーム内で除電・除塵を行う対象物であれば、すべて本発明を用いることが可能である。
【0026】
[1.第1実施形態]
[1−1.構成]
図1は、本実施形態による無発塵除電除塵システムの構成を示す模式図である。同図において、1は円柱状のイオン化チャンバ(以下、チャンバという)であり、アルミ、ステンレス等の金属、塩化ビニル等の樹脂から構成されている。また、このチャンバ1は、大別してイオン化部、遮蔽部及び吹出部から構成され、チャンバ1の内部にはイオン化源4が配設され、このイオン化源4が高電圧ケーブル6を介して、イオン発生を制御する制御装置5に接続されている。さらに、チャンバ1には、チューブ状のガス搬送路2b及びガス搬送路接続部2aを介して外部に設けられた間欠高速噴流発生装置Dが接続されている。
【0027】
(間欠高速噴流発生装置の構成)
図1に示すように、間欠高速噴流発生装置Dは、ガス搬送路2bに設けられ、内部には、電磁弁2cとフィルタ2dとを備えている。そして、この装置Dは、ガス搬送路2bから送られてくるクリーンルーム内等の空気、又は高純度Nガス等の非反応性ガス(以下、イオン搬送ガスという)を、電磁弁2cを開閉させることにより、下流側であるチャンバ1内へ高速気流として間欠的に噴出するように構成されている。さらに、ガス搬送路2bは、チャンバ1の側端部(図中、右側側端部)に設けられたガス搬送路接続部2aを介して、間欠高速噴流発生装置Dから噴出される前記イオン搬送ガスをチャンバ1へ供給するようになっている。なお、ここで「高純度Nガス」とは、負イオンを形成する程度の酸素や水蒸気を含み、且つ、その酸素濃度はオゾンを発生しない程度(5%程度以下)であるNガスをいう。また、イオン搬送ガスは、帯電した製品に塵埃を付着させないためのもの、あるいはクリーンルーム内を循環するものであるため、この間欠高速噴流発生装置Dにおいて、フィルタ2dを通過させることによって清浄にして送り出している。
【0028】
(イオン化部の構成)
イオン化部は、内部にイオン化源4を有し、このイオン化源4は、チャンバ1外部に設けられ、イオン化源4によるイオン発生を制御する制御装置5と接続され、このイオン化源4と制御装置5とを併せてイオン発生装置3が形成されている。このイオン化源4は、軟X線発生装置の発生部、低エネルギー電子線発生装置の発生部、密封放射性同位元素または紫外線発生装置の発生部等からなり、チャンバ1内を流れるイオン搬送ガスをイオン化するように構成されている。また、この制御装置5は、その構成については後述するが、チャンバ1の外部に配置され高電圧ケーブル6によってイオン化源4と接続されている。ただし、イオン化源4が、軟X線発生装置の発生部、低エネルギー電子線発生装置の発生部、または紫外線発生装置の発生部である場合、これらの制御装置5内にある高圧電源と一体になったものもあり、このような場合には高電圧ケーブル6は低電圧ケーブルとなる。また、イオン化源4が密封放射性同位元素の場合は、制御装置5と高電圧ケーブル6は必要としない。
【0029】
まず、イオン化源4について説明する。軟X線は、3〜9.5keV程度のエネルギーを有する微弱X線であり、2mm厚さ程度の塩化ビニル板で容易に遮蔽することができるものである。また、低エネルギー電子線は、例えばウシオ電機株式会社製の超小型電子ビーム照射管チューブ等により数10kVの低い動作電圧で取り出された電子ビーム(ソフトエレクトロン)であり、空気中では5cm程度の到達距離しかなく、その領域の空気あるいはガスをイオン化する。なお、低エネルギー電子線は、酸素を含む気体中ではオゾンを発生すると同時に軟X線も発生するため、遮蔽が必要となる。そのため、イオン化源として低エネルギー電子線を用いる場合には、イオン搬送ガスとして、高純度Nガス等のようにオゾンが発生しない程度の酸素を含む非反応性ガスを用いることが望ましい。
【0030】
さらに、密封放射性同位元素は、放射性同位元素をカプセル等に封入したものであり、放射性同位元素としては、α線を発生するアメリシウム241又はβ線を発生するニッケル63等がある。アメリシウム241から発生するα線のエネルギーは5.4MeV程度であり、電離作用は大きいが空気中での到達距離は数cm程度であって、紙1枚で容易に遮蔽することができる。また、ニッケル63から発生するβ線のエネルギーは57keV程度であり、樹脂板で容易に遮蔽することができる。また、紫外線発生装置から発生する紫外線は400nm以下の短波長であり、30w程度の出力である。
【0031】
イオン化源4が、軟X線の発生部又は密封放射性同位元素である場合は、チャンバ1に供給するイオン搬送ガスとして空気及び非反応性ガスのいずれを用いてもよいが、イオン化源4が低エネルギー電子線の発生部又は紫外線の発生部である場合は、高純度Nガス等のようにオゾンが発生しない程度の酸素を含む非反応性ガスを用いることが望ましい。
【0032】
次に、制御装置5の構成、制御装置5と高電圧ケーブル6との接続部の構成、上記イオン化源4と高電圧ケーブル6との接続部の構成について説明する。
【0033】
制御装置5は、防爆機能を有する気密チャンバ5aから構成されている。また、制御装置5の内部には、上記イオン化源4から軟X線、低エネルギー電子線もしくは紫外線を発生させるための制御部である制御基板5bと、冷却された空気等を循環させる循環ファン5cと、装置内部を一定温度に制御する冷却装置5dとが設けられている。さらに、前記制御基板5bには電源ケーブル5eが接続され、外部に設けられた防爆コンセント(図示せず)に接続できるように構成されている。なお、本実施形態においては、上記冷却装置5dは、例えば、アルミ製の放熱板にペルチェ素子(熱電冷凍素子)を取り付けて構成されている。
【0034】
上記制御装置5と高電圧ケーブル6との接続部は、以下に述べるように防爆仕様となっている。すなわち、図2に示すように、高電圧ケーブル6の先端部にはプラグ6aが取り付けられ、制御装置5の側壁に配設されたコンセント7aと着脱可能に接続できるように構成されている。また、前記プラグ6aは3芯構造とされ、所定の長さLを有する電極支持部6bの先端に電極6cが取り付けられている。また、前記プラグ6aの基部6dの外側には、内壁にネジ部6eが形成された袋ナット6fが回転可能に取り付けられている。
【0035】
一方、制御装置5の側壁に配設されたコンセント7aには、前記プラグ6aに形成された電極支持部6bと係合する挿入穴7bが設けられ、その最奥部に前記プラグ側の電極6cと接続される電極7cが設けられている。また、コンセント7aのフランジ部7dには、その外周面にネジ部7eが形成され、前記プラグ6aに取り付けられた袋ナット6fのネジ部6eと係合するように構成されている。
【0036】
なお、挿入穴7bの長さは、プラグ側の電極支持部6bに対応してLとされ、この長さLは、両電極の着脱をプラグ6aの電極支持部6bとコンセント7aの挿入穴7bで構成される気密性を有する空間で行うことができるような長さに設定されている。また、プラグ6aとコンセント7aの接続部の気密性を保持するために、電極支持部6bの基端部にOリング等のパッキン6gを設けても良い。
【0037】
一方、イオン化源4と高電圧ケーブル6との接続部は、電気絶縁性を有する塩化ビニル、ポリプロピレン、アクリル等の樹脂製のパイプをチャンバ1の側面に貫通配置し、そのパイプの内部に、エポキシ樹脂等の絶縁性樹脂を埋め込むことにより構成されている。
【0038】
(遮蔽部の構成)
チャンバ1には、前記イオン化部の下流側に遮蔽部が設けられている。この遮蔽部は、遮蔽部が、直径が3φ程度の細孔8cが多数設けられた2枚のパンチング板8a、8bにより構成され、これら2枚のパンチング板8a、8bは、互いに3mm程度離して、且つ細孔8cが重ならないようにずらして設置されている。すなわち、イオン化源4が軟X線の発生部、低エネルギー電子線の発生部又は密封放射性同位元素である場合、直進する軟X線、電子線又は放射性同位元素からの放射線(α線又はβ線)がパンチング板8a、8bに当たるように構成され、それらが外部に漏れないように遮蔽される構成となっている。なお、イオン化源4が紫外線の発生部である場合は、この遮蔽部は不要である。
【0039】
(吹出部の構成)
チャンバ1の遮蔽部の下流側に、イオン化気流を噴出させるための吹出部9が設けられ、帯電体Sの近傍に向けられており、間欠高速噴流発生装置Dから送られるイオン搬送ガスをイオン発生装置3においてイオン化した正負のイオン気流を、帯電体Sに対して供給するように構成されている。この吹出部9は、その直径がチャンバ1の直径の半分以下であるため、イオン化部から遮蔽部を通過してきたイオンは、この吹出部9に集中し、さらに速度を増すこととなる。
【0040】
なお、この吹出部9の構成としては、図3に示すように、イオン化気流を噴出させるためのノズル20を設けて構成してもよい。このノズル20としては、例えば、SILVENT社製のノズル216、フラットノズル920、エアーカーテン302−306、エアーナイフ392−396等が用いられる。そして、このノズル20は、所望の形状・大きさを有するものに変更可能であり、例えば、開口度を調整することができるノズルを使用することにより、イオン化気流を円錐状に広角で広げたり、エアカーテン状に広げる等の操作により、除電対象に合わせてイオン化気流をコントロールしたり、イオン化気流の噴出角度、位置および速度を容易に変更することができるように構成されている。
【0041】
吹出部9の構成としては、さらに、次のような構成を採用することも可能である。すなわち、図4に示すように、吹出部9に伸縮自在なフレキシブルホース30が取り付け、その先端にノズル31が取り付ける構成である。このノズル31は、上記ノズル20と同様な構成を有するものである。一方、フレキシブルホース30は、除電・除塵対象に応じて、その長さ、位置を適宜変更可能となるように構成されている。なお、このフレキシブルホース30は、ビニールチューブ等と異なり、設定した形を保持できる構造になっている。
【0042】
[1−2.作用効果]
以上のような構成を有する本実施形態の無発塵除電除塵システムは以下のように作用する。すなわち、図1において、まず、クリーンルーム内等の空気、又は高純度Nガス等の非反応性ガスであるイオン搬送ガスが、ガス搬送路2bを通って間欠高速噴流発生装置Dへ供給される。このガスは、間欠高速噴流発生装置D内において、電磁弁2cの開閉動作に伴って下流側のガス搬送路へ高速気流となって噴出され、ガス搬送路接続部2aを介してチャンバ1に供給されることとなる。
【0043】
次に、このチャンバ内に供給されたイオン搬送ガスは、チャンバ1内に内蔵されたイオン化源4によって軟X線、低エネルギー電子線、紫外線又は放射性同位元素からの放射線等が照射されることにより、正負イオン化する。
【0044】
なお、上記のイオン化源4によるイオン発生は制御装置5によって制御されるのであるが、この制御装置5内は、ペルチェ素子(熱電冷却素子)等からなる冷却装置5dを配設されているため、制御装置内に設置された電源及び制御基板からの発熱を吸収して、装置内を一定温度に制御されている。また、イオン発生をイオン化源4に指示する制御装置5からの信号は、この制御装置5とイオン化源4とを接続する高電圧ケーブル6を介して伝送されるのであるが、この高電圧ケーブル6と制御装置5の接続部は、図2に示したような防爆構造となっている。
【0045】
上記のようにイオン化された高速気流のイオン搬送ガスは、イオン化部の下流側に設けられた遮蔽部のパンチング板8a、8bの細孔8cを通過する。この際、イオン化源4が軟X線の発生部、低エネルギー電子線の発生部又は密封放射性同位元素である場合、直進する軟X線、電子線又は放射性同位元素からの放射線(α線又はβ線)がパンチング板8a、8bに当たり、それらは外部に漏れないように遮蔽される。そして、遮蔽部を通過したイオン搬送ガスは、チャンバ1よりも小内径の吹出部9に集中することで、さらに高速化し、帯電体Sに向かって間欠的に気流が吹き付けられる。
【0046】
ここで、高速気流を連続的に吹き付ける場合には、帯電体Sの表面に薄い空気の膜が形成され、イオン化気流が十分に吹き付けられなくなってしまう。しかし、本実施形態においては、帯電体Sに対して間欠的な気流が吹き付けられるため、帯電体S表面にそのような空気膜が形成されることはなく、常に十分な気流が吹き付けられる。そして、この帯電体Sの表面に吹き付けられるイオン化した気流によって、帯電体Sの表面及び帯電体S上に付着した塵埃の静電荷は、逆極性のイオンで中和されることで除電され、前記塵埃は静電気による吸着力を除去されると共に、高速気流によって表面から引き剥がされることとなる。
【0047】
なお、この吹出部9に、図3及び図4に示すようなノズル20またはフレキシブルホース30及びノズル31が設けられている場合には、帯電体Sの形状、大きさに応じてノズルの開口度やホースの位置を調節して、帯電体Sの除電・除塵を行うのに最適な速度、位置から気流を吹き付けるようにする。
【0048】
以上のように作用する本実施形態の無発塵除電除塵システムでは、以下のような効果を奏する。すなわち、帯電体Sに対して、間欠高速噴流発生装置Dを用いて、間欠的な高速噴流を吹き付けた場合には、その薄膜の生成を抑えることができるため、帯電体S上に付着した塵埃の除塵効率をさらに高めることができる。また、帯電体Sの表面及び帯電体S上に付着した塵埃の静電荷は、逆極性のイオンで中和されることによって除電され、前記塵埃は静電気による吸着力を除去され、同時に高速気流で引き剥がされることとなるため、帯電体Sの表面及びそこに付着した塵埃を、帯電体Sを再汚染及び酸化させることなく除電・除塵することができる。
【0049】
一方、イオン化源4が軟X線の発生部又は密封放射性同位元素である場合、イオン搬送ガスとして空気もしくは非反応性ガスのいずれを用いてもオゾンが発生することがない。また、電極材の飛散や空気中の不純物の堆積及び再飛散のような発塵がなく、かつ、電磁ノイズの発生も起こらない。また、イオン化源4が低エネルギー電子線、紫外線の発生部である場合は、イオン搬送ガスとして高純度Nガス等のようにオゾンが発生しない程度の酸素を含む非反応性ガスを使用することにより、イオン化に当たってオゾンの発生がなく、発塵及び電磁ノイズの発生も起こらない。
【0050】
さらに、軟X線、低エネルギー電子線及び密封放射性同位元素からの放射線(α線等)は、薄い塩化ビニル板等で十分遮蔽することができ、反射はほとんどないため、図1に示すような簡単な構造で遮蔽することができる。また、チャンバ1のイオン化部の下流側周辺を遮蔽構造とすることができるので、チャンバ型イオン搬送式イオン化装置の設置時に別途遮蔽を施す必要がなく、簡易な構成とすることができるので、この無発塵除電除塵システムの応用範囲が広くなると共に、除電除塵システム内に人体の一部が立ち入ることがあっても被爆する危険がなく安全であり、かつ除電除塵システムを操作する者にとって作業が容易である。
【0051】
また、この制御装置5内には、ペルチェ素子(熱電冷却素子)等からなる冷却装置5dが配設されているため、制御装置内に設置された電源及び制御基板からの発熱を吸収して、装置内を一定温度に制御することができるので、制御装置5を気密構造とすることが可能となる。その結果、装置内に設置された電源及び制御基板による有機溶剤等の可燃物への着火は防止される。また、高電圧ケーブル6と制御装置5の接続部は、図2に示したような防爆構造となっているため、電極の着脱をプラグ6aの電極支持部6bとコンセント7aの挿入穴7bで気密性を有する空間で行うことができるので、プラグ着脱時の放電による有機溶剤等の可燃物への着火を防止することができる。同様に、イオン化源4と高電圧ケーブル6の接続部も、上述したような防爆構造となっているため、この接続部での有機溶剤等の可燃物への着火も防止することができる。
【0052】
[2.第2実施形態]
本実施形態における無発塵除電除塵システムは、図5にその全体構成を示すように、イオン化チャンバ10のイオン化部及び遮蔽部と吹出部との間に、荷電粒子発生部を設けたものである。この荷電粒子発生部には、チューブ状の粒子搬送路11a及び粒子搬送路接続部11bを介して、チャンバ10外部に設けられた粒子発生装置Pと接続されている。なお、本実施形態において、イオン化部に接続された気流発生装置D’は、内部に電磁弁を設けておらず、チャンバ10に連続的な気流を供給するように構成されており、上記第1実施形態における間欠高速噴流発生装置Dと異なるものである。一方、その他のイオン化源4、制御装置5、高電圧ケーブル6、及び遮蔽部のパンチング板8a,8bの構成に関しては、上記第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0053】
図6に、粒子発生装置Pの詳細を示す。粒子発生装置Pは、内部に流量制御機構を備えている。具体的には、円筒状のガスパイプ12bと、その中心にこの流路においてガス流量を調節する絞り弁のオリフィス12aが設けられている。このガスパイプ12bは、断熱効果を有する素材からなり、直径が約4mmで、その両端を粒子搬送路11aに接続されている。オリフィス12aは、中心に直径0.5mm程度の小孔12cを有している。
【0054】
この粒子発生装置Pでは、粒子搬送路11aによって、下流側から矢印方向に送られてきたガスを、オリフィス12aの小孔12cに高速で通過させ、断熱膨張により急冷させることによって、氷粒子あるいはドライアイス粒子を生成し、チャンバ10方向に送り出すものである。このようにして生成された氷粒子あるいはドライアイス粒子は、粒子搬送路11aから粒子搬送路接続部11bを通過して、チャンバ10の荷電粒子発生部に供給される。なお、粒子発生装置を通過させる流体としては、液化炭酸ガス(LCO)の他、常温高湿度のクリーンルーム内等の空気等であってもよい。
【0055】
荷電粒子発生部に前記粒子が供給されると、この粒子は、イオン化部から遮蔽部のパンチング板8a,8bを通過してきたイオン化気流と混合し、帯電する。そして、この帯電した粒子が吹出部9から噴出し、帯電体Sの表面に吹き付けられることとなる。これにより、帯電体Sの表面及び帯電体S上に付着した塵埃の静電荷は、逆極性のイオンで中和されることで除電され、前記塵埃は静電気による吸着力を除去されると共に、粒子の衝突によって帯電体S表面から引き剥がされることとなる。そして、衝突後、粒子は、短時間で気化してしまうこととなる。
【0056】
以上のように構成・作用からなる本実施形態における無発塵除電除塵システムでは、荷電粒子を高速気流に乗せて帯電体Sに吹き付けることができることにより、以下のような効果を奏する。すなわち、一定速度の気流を吹き付けるだけでは、帯電体表面に流速の遅い薄い空気の膜ができてしまい、その膜内の塵埃を除去することが困難であるが、本実施形態のように、帯電した氷粒子やドライアイス粒子は、ガスに比べその密度が著しく大きいため、ガスと該粒子を同じ速度で比較した場合、該粒子の運動量は著しく大きくなる。そして、そのような運動量の大きい粒子が帯電体S上の塵埃に衝突した際、氷粒子やドライアイス粒子がその慣性力で薄い膜内を通って帯電体表面上の塵埃に衝突するため、たとえ一定速度の気流を吹き付けたとしても、除塵効果は飛躍的に高まることとなるのである。
【0057】
なお、本実施形態における粒子発生装置Pの構成は、上記のようなオリフィスを有する構成に限られることなく、例えば、専ら氷粒子を生成するのであれば、上記制御装置5で示したような、ペルチェ素子によって急冷させるような構成とすることも可能である。また、本実施形態に係るチャンバ10においても、上記第1実施形態で示した、ノズル20、フレキシブルホース30及びノズル31を吹出部9の構成変更として用いることは、言うまでもなく可能である。
【0058】
[3.第3実施形態]
本実施形態は、上記第1及び第2実施形態における無発塵除電除塵システムの構成を変更した変形例である。なお、本実施形態においては、説明の便宜上、第1実施形態におけるチャンバ1を用いて説明するが、上記第2実施形態のチャンバ10においても、本実施形態の構成が適用可能であることは、言うまでもない。
【0059】
図7に示すように、本実施形態における無発塵除電除塵システムには、上記実施形態におけるチャンバ1及び帯電体Sの周囲を囲むように、塵埃飛散防止チャンバ51と、集塵装置52と、塵埃送りファン53と、塵埃回収ダクト54とからなる塵埃飛散防止装置50が設けられている。これらの装置は、塵埃飛散防止チャンバ51下部に設けられた塵埃回収孔55から、上部に設けられた清浄空気排出口56までを、回収ダクト54を介して、塵埃送りファン53、集塵装置52の順に上流方向から下流方向に向かって連結されている。
【0060】
塵埃飛散防止チャンバ51は、帯電体Sから剥離した塵埃が清浄空気内へ飛散しないように、チャンバ1及び帯電体Sの周囲を囲うものであり、その下部には、塵埃回収孔55が設けられている。塵埃送りファン53は、この塵埃回収孔55から回収ダクト54を介して搬送される塵埃を、ファンの回転によって下流側である集塵装置52方向に送るように構成されている。集塵装置52は、フィルタを備え、塵埃送りファン53から送られてくる気流から塵埃を回収し、清浄な気流として下流側である清浄空気排出口56へ送るように構成されている。
【0061】
以上のような本実施形態によれば、吹出部9から噴出する間欠高速気流によって、帯電体Sから引き離した塵埃が、塵埃送りファン53の作用によって生じる気流に乗って、塵埃回収孔55から回収ダクト54を通じて、集塵装置52のフィルタによって除去され、清浄な空気となって、清浄空気排出口56から排出される。したがって、帯電体Sから剥離した塵埃が清浄環境内への飛散するのを効果的に防止することができる。
【0062】
[4.第4実施形態]
本実施形態は、図8に示すように、上記第3実施形態における無発塵除電除塵システムの塵埃飛散防止装置50の構成に変更を加えた変形例である。なお、本実施形態においては、説明の便宜上、第1実施形態におけるチャンバ1を用いて説明するが、上記第2実施形態のチャンバ10においても、本実施形態の構成が適用可能であることは、言うまでもない。
【0063】
本実施形態における無発塵除電除塵システムは、図8に示すように、塵埃飛散防止装置60は、上記第2の実施形態における塵埃飛散防止装置50と同様の構成からなる、塵埃飛散防止チャンバ61と、集塵装置62と、塵埃送りファン63と、塵埃回収ダクト64とを備えつつ、さらに、次のような装置を備えたものである。すなわち、チャンバ61内部を負圧とすべく、回収ダクト64内の上流である塵埃回収孔65側と、下流である清浄空気排出口66側とを流れる空気の風量を調節する風量調節用ダンパ67を、集塵装置62とチャンバ61に設けられた清浄空気排出口66との間に設けたものである。なお、この風量調節用ダンパ67と集塵装置62との間に設けられた排気口68は、チャンバ型イオン搬送式イオン化装置からの気流に相当する以上の風量を排気し、チャンバ61内を負圧に保つためのものである。
【0064】
この風量調節用ダンパ67を備えた本実施形態の無発塵除電除塵システムは、以下のように作用する。すなわち、帯電体Sから剥離した塵埃は、塵埃送りファン63の吸気によって生じる気流に乗って、塵埃回収孔65から回収ダクト64を介して、集塵装置62のフィルタで除去され、清浄空気流のみが清浄空気排出口66へ向かう。その際、風量調節用ダンパ67に設けられたバルブを作動させ、チャンバ61から塵埃送りファン63に吸気される空気量より、清浄空気排出口66から排出される空気量を少量にすることによって、チャンバ61内を負圧にする。
【0065】
このような作用により、負圧となった塵埃飛散防止チャンバ61内の空気は、清浄空気排出口66から塵埃回収孔65方向へ流れるようになる。そのため、帯電体Sから剥離した塵埃は、チャンバ1から噴出する間欠高速噴流にかかわらず、より効率的に塵埃回収孔65の方面へ吸引されていくこととなる。これにより、帯電体Sから剥離した塵埃が、チャンバ1から清浄環境内へ飛散することを防止することができるようになり、上記第2実施形態に加えてさらに効率よく、塵埃の回収を図ることができるようになる。。
【0066】
[5.他の実施形態]
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、以下に示すような各種態様も可能である。すなわち、具体的な各部材の形状、あるいは取付位置及び方法は適宜変更可能である。例えば、遮蔽部の形状は、図1に示すようなパンチング板8a,8bに限らず、直進する軟X線、低エネルギー電子線又は放射性同位元素からの放射線等が外部に漏れず、かつ、発生する正負のイオンが搬送され得る形状であればどのようなものでもよい。
【0067】
また、本発明の第1実施形態においては、間欠高速噴流発生装置Dの間欠噴出機構を電磁弁を用いて行うこととしているが、イオン搬送ガスを間欠的に噴出することができる機構であれば、如何なるものであっても構わない。さらに、間欠高速噴流発生装置Dから噴出される気流の速度、あるいは間隔は、特に限定されるものではなく、除電・除塵対象に応じて適宜変更可能である。また、当該装置を所望の噴出速度や間隔に適宜変更できるように構成してもよい。
【0068】
さらに、本発明の第2実施形態において、第1実施形態の間欠高速噴流発生装置Dを気流発生装置D’に代えて用いることも可能である。このように構成することによって、上記実施形態に加えて、塵埃除去をさらに効率よく行えるようになることは言うまでもない。
【0069】
上記第3及び第4実施形態における塵埃飛散防止チャンバの塵埃回収孔および清浄空気排出口の配置、大きさおよび形状も適宜変更可能なものである。例えば、塵埃回収孔を塵埃飛散防止チャンバの左右に2つ設けたり、除塵対象付近にノズル設ける等、除塵対象から剥離した塵埃を効率的に回収しうる構成であれば構わない。
【0070】
また、イオン化源4は、軟X線、低エネルギー電子線、紫外線の発生部、あるいは放射性同位元素に限らず、イオン化によりオゾンの発生、発塵及び電磁ノイズの発生のないものであれば、他の電磁波又はビーム等を使用することができる。
【0071】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、オゾンや電磁ノイズ、及び発塵等の発生を起こすことなく、防爆施設や装置での使用が可能で、帯電体に付着した塵埃を確実に除去することができる無発塵除電除塵システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における無発塵除電除塵システムの全体構成を示す模式図。
【図2】本発明の第1実施形態における無発塵除電除塵システムの制御装置の構成を示す模式図。
【図3】本発明の第1実施形態における無発塵除電除塵システムの吹出部の変形例を示す模式図。
【図4】本発明の第1実施形態における無発塵除電除塵システムの吹出部の変形例を示す模式図。
【図5】本発明の第2実施形態における無発塵除電除塵システムの全体構成を示す模式図。
【図6】本発明の第2実施形態における無発塵除電除塵システムの粒子発生装置の構成を示す模式図。
【図7】本発明の第3実施形態を適用した実施例を示す模式図。
【図8】本発明の第4実施形態を適用した実施例を示す模式図。
【符号の説明】
1,10…イオン化チャンバ
2a…ガス搬送路接続部
2b…ガス搬送路
2c…電磁弁
2d…フィルタ
3…イオン発生装置
4…イオン化源
5…制御装置
5a…気密チャンバ
5b…制御基板
5c…循環ファン
5d…冷却装置
5e…電源ケーブル
6…高電圧ケーブル
6a…プラグ
6b…電極支持部
6c…電極
6d…基部
6e…ネジ部
6f…袋ナット
6g…パッキン
7a…コンセント
7b…挿入穴
7c…電極
7d…フランジ部
7e…ネジ部
8a、8b…パンチング板
8c…細孔
9…吹出部
11a…粒子搬送路
11b…粒子搬送路接続部
12a…オリフィス
12b…ガスパイプ
12c…小孔
20…ノズル
30…フレキシブルホース
31…ノズル
50,60…塵埃飛散防止装置
51,61…塵埃飛散防止チャンバ
52,62…集塵装置
53,63…塵埃送りファン
54,64…塵埃回収ダクト
55,65…塵埃回収孔
56,66…清浄空気排出口
67…風量調節用ダンパ
68…排気口
73…電極
D…間欠高速噴流発生装置
P…粒子発生装置
S…帯電体

Claims (8)

  1. チャンバ内に供給されたイオン搬送ガスの一部を内部に設けられたイオン化源によってイオン化するイオン化部と、前記イオン化部において発生したイオンを気流として帯電体に向かって供給する吹出部と、前記チャンバの外部に前記イオン化源とケーブルを介して接続され、このケーブルを介して前記イオン化源によるイオン発生を制御する制御装置とを有する無発塵除電除塵システムにおいて、
    前記イオン化部には、前記イオン搬送ガスを前記チャンバ内に供給するガス搬送路が設けられ、
    このガス搬送路には、前記チャンバ内に間欠的な高速噴流を供給する間欠高速噴流発生装置が設けられていることを特徴とする無発塵除電除塵システム。
  2. チャンバ内に供給されたイオン搬送ガスの一部を内部に設けられたイオン化源によってイオン化するイオン化部と、前記イオン化部において発生したイオンを気流として帯電体に向かって供給する吹出部と、前記チャンバの外部に前記イオン化源とケーブルを介して接続され、このケーブルを介して前記イオン化源によるイオン発生を制御する制御装置とを有する無発塵除電除塵システムにおいて、
    前記チャンバ外部には、流体から氷粒子またはドライアイス粒子を生成する粒子発生装置が設けられ、
    前記イオン化部と前記吹出部の間には、荷電粒子発生部が設けられ、
    この荷電粒子発生部には、前記粒子発生装置から前記氷粒子またはドライアイス粒子が供給されることを特徴とする無発塵除電除塵システム。
  3. 前記チャンバと前記帯電体の周囲には、前記チャンバと帯電体とを囲む塵埃飛散防止チャンバと、前記塵埃飛散防止チャンバ内に飛散する塵埃を塵埃回収ダクトを介して回収する集塵装置とを備えた塵埃飛散防止装置が設けらていることを特徴とする請求項1または2に記載の無発塵除電除塵システム。
  4. 前記塵埃飛散防止装置には、前記塵埃飛散防止チャンバ内の風量を調節し、チャンバ内の圧力を調節する風量調節部が設けられていることを特徴とする請求項3記載の無発塵除電除塵システム。
  5. イオン搬送ガスをチャンバ内に供給し、このイオン搬送ガスの一部を前記チャンバに内蔵されたイオン化源によってイオン化し、前記チャンバの外部に設けられた制御装置によってイオン化源によるイオン発生を制御する無発塵除電除塵方法において、
    前記イオン化部と接続したガス搬送路に設けられた間欠高速噴流発生装置によって、前記チャンバ内に間欠的な高速噴流を供給し、
    前記チャンバの前記吹出部から帯電体に向かって前記間欠的な高速噴流を吹き付けることを特徴とする無発塵除電除塵方法。
  6. イオン搬送ガスをチャンバ内に供給し、このイオン搬送ガスの一部を前記チャンバに内蔵されたイオン化源によってイオン化し、前記チャンバの外部に設けられた制御装置によってイオン化源によるイオン発生を制御する無発塵除電除塵方法において、
    前記イオン化部と前記吹出部の間に設けられた荷電粒子発生部には、前記チャンバ外部に設けられ、流体から氷粒子またはドライアイス粒子を生成する粒子発生装置から、前記氷粒子またはドライアイス粒子が供給され、
    前記荷電粒子発生部において、前記イオン化部から送られてくるイオン搬送ガスと前記氷粒子またはドライアイス粒子が混合されることによって、荷電粒子が発生し、
    この荷電粒子が前記チャンバの前記吹出部から帯電体に向かって吹き付けることを特徴とする無発塵除電除塵方法。
  7. 前記チャンバと前記帯電体の周囲に設けられた塵埃飛散防止チャンバによって前記チャンバと帯電体とを囲み、前記塵埃飛散防止チャンバの外部に設けられた集塵装置によって、前記塵埃飛散防止チャンバ内に飛散する前記間欠的な高速噴流によって前記帯電体から剥離した塵埃を回収することを特徴とする請求項5または6に記載の無発塵除電除塵方法。
  8. 前記集塵装置と連結して設けられた前記風量調節部によって、前記塵埃飛散防止チャンバ内の風量を調節し、チャンバ内の圧力を調節することを特徴とする請求項7記載の無発塵除電除塵方法。
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