JP2004217991A - ニッケル被覆微粒子銅粉およびその製法 - Google Patents

ニッケル被覆微粒子銅粉およびその製法 Download PDF

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Abstract

【課題】インクジェット方式で超微細配線パターンを形成するのに好適な導電インクのフイラーとして,銅粉を使用できるようにする。
【解決手段】最大径の平均が100nm未満で,表面にニッケルコーティングが施された銅の粒子が個々に分散しているニッケル被覆微粒子銅粉である。このニッケル被覆微粒子銅粉は,液中の水酸化銅を還元剤を用いて金属銅粒子に還元するさいに,還元剤としてヒドラジンまたはヒドラジン化合物を使用すること,当該還元剤の使用量を全水酸化銅の還元に必要な理論当量の3倍を超える量とすること,当該還元剤の全量を5分以内で反応系に添加すること,その還元反応を消泡剤の散在下で行うこと,還元反応の前または後もしくは途中に分散剤を添加すること,そして,還元された金属銅微粒子と還元剤が存在する液にニッケルの錯塩水溶液を添加するという処法で得ることができる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,粒径が100nm未満であっても単離した粒子の集合として存在することができ且つ表面にニッケルコーティングが施された微粒子銅粉およびその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線基板の分野で配線の微細化が進んでいるが,それには自ずと限界があることから,近年,インクジェット方式等による新たな超微細配線パターンへの技術開発が行われるようになった。例えばプリンターで採用されているようなインクジェット方式による出力印刷を回路基板に適用し,金や銀等の導電性の超微粒子を分散させたインクの噴射で回路基板を製造しようとするものである(例えば,非特許文献1参照)。
【0003】
金や銀の超微粒子(100nm未満)を導電フイラーとしたインクまたはペーストは高価であり,また銀ではエレクトロマイグレーションが起きるので,安価で且つエレクトロマイグレーションの問題のない銅の微粒子をインクまたはペーストに用いることが望まれている。
【0004】
銅粉の製造技術には各種の方法が知られているが,硫酸銅等の銅塩水溶液から直接的にヒドラジン等の還元剤で金属銅にまで還元する方法(例えば特許文献1参照)や,酸化銅粒子を含む水性媒体中でヒドラジン等の還元剤で金属銅に還元する方法(例えば特許文献2参照)等の湿式法による銅粉の製造法が,粒径制御の点や製造性の点で有利である。また,銅粉の耐酸化性を向上させるため銅粒子の表面にニッケルをコーティングすることも知られている(例えば特許文献3参照)。
【0005】
【非特許文献1】雑誌「日経エレクトロニクス」,2002年6月17日,P67〜69
【特許文献1】特開昭63−186807号公報
【特許文献2】特開昭59−116303号公報
【特許文献3】特開昭53−19561号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
インクジェット方式等による回路基板の製造において,銅粉をフイラーとするインクを噴射させるにはその銅粉は微細で且つ粒径が揃っていて凝集せずに粒子の個々が分散している必要がある。
【0007】
前掲の特許文献1や2の湿式法による銅粉の製法は,粒径制御や製造性の点で乾式法よりも優れているが,粒径を小さくするための反応条件を選ぶと,例えば還元剤を多くするような条件を設定すると,突沸して安定した製造ができなかったり,粒径を小さくすると分散性が悪くなって凝集した二次粒子の生成量が多くなる傾向にある。したがって,超微粒子が個々に分散した銅粉を安定して製造することは困難であり,このために,インクジェット方式等に適用できるような超微粒子の銅粉は市場で入手し難いのが実状である。さらに,微粒子銅粉は表面が活性となって酸化し易い(発火する)ので,空気中で取り扱ことができない。本発明の課題は,このような要望を満たすことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば,最大径の平均が100nm未満,好ましくは50nm未満で,表面にニッケルのコーティング処理が施された銅の粒子が個々に分散しているニッケル被覆微粒子銅粉を提供する。ここで,最大径とは1個の粒子の中での最大となる径をいい,これはSEMなどの電子顕微鏡写真等で測定できる。この微粒子銅粉は空気中での酸化開始温度が100℃より高い。
【0010】
このようなニッケル被覆微粒子銅粉は,硫酸銅等の銅塩水溶液にアルカリを添加して水酸化銅を生成させ,この水酸化銅を還元剤を用いて水性媒体中で金属銅粒子に還元するさいに,還元剤としてヒドラジンまたはヒドラジン化合物を使用すること,当該還元剤の使用量を全水酸化銅の還元に必要な理論当量の3倍を超える量とすること,当該還元剤の全量を5分以内で反応系に添加し終えること,その還元反応を消泡剤存在下で行うこと,その還元反応の前または後もしくは途中に分散剤を添加すること,そして,還元された金属銅微粒子と還元剤が存在する液にニッケルの錯塩水溶液を添加することからなるニッケル被覆微粒子銅粉の製法によって得ることができる。消泡剤としてアルコールを,また,分散剤としてベンゾトリアゾールを使用することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
銅粉をフイラーとする導電インクをインクジェット方式で噴射させることによって,印字ヘッドのノズルを詰まらせることなく,一定の線幅を有し且つ低温で焼結可能な微細配線を実現するには,その銅粉は,先ず100nm未満,好ましくは50nm未満で,その粒径が揃っていること,凝集せずに粒子の個々が分散してこと,耐酸化性を有すること,低コストで製造できることが必要である。
【0012】
本発明者らは,そのような微粒子銅粉を得るべく,種々の試験研究を重ねてきたが,銅塩の水溶液をアルカリで中和して水酸化銅のスラリーとし、これにヒドラジンまたはヒドラジン化合物を添加して銅粒子を析出させる湿式還元法で銅粉を製造するさいに,以下に述べる第1〜4のような処法を採用すると,粒径が100nm未満,好ましくは50nm未満以下の粒子からなる銅粉を得ることができることを見い出した。
【0013】
先ず第1に,水酸化銅のスラリーへの還元剤の添加速度を適切にすることである。特許文献1〜2のように銅粉の湿式還元法は良く知られているが、水酸化銅のスラリーに対する還元剤の添加速度が粒子サイズに与える影響を積極的に述べているものはない。水酸化銅のスラリーに短時間で還元剤を添加し,核発生から粒成長までを短時間で行うことによって一時に大量の核を発生させ、それらが微粒子サイズまで成長した時点で反応を終結させる方法によると,100nm未満の粒子サイズのものを安定して得ることができることがわかった。還元剤の添加時間が長くなると生成する粒子の粒径が増す傾向があり、5分を越えると100nm以上の粒子の割合が無視できなくなる。還元剤の添加時間は、好ましくは2分以内、より好ましくは1分以内、最も好ましくは30秒以内が望ましい。
【0014】
第2に,添加する還元剤の量も還元に要する理論必要量よりも過剰にして、速やかに反応が進むようにする必要があり,理論当量よりも2.5〜5倍の範囲の量を使用するのがよい。2.5 倍未満では少なすぎて良い結果が得られず、5倍以上に増やしても効果が飽和して不経済となる。好ましくは理論当量の3〜5倍、より好ましくは3.5〜4.5倍の還元剤を使用するのが望ましい。
【0015】
しかし,短時間で且つ多量の還元剤を水酸化銅のスラリーに添加すると,反応が一気に進むために,急激な反応による液面上昇が起こり,反応槽から液があふれたり、反応の再現性が確立できなくなり,危険も伴う。
【0016】
第3に,これを回避するための処法として,適切な消泡剤の存在下で反応を行わせることが有益であることがわかった。すなわち,消泡剤の存在下で短時間で且つ多量の還元剤を水酸化銅のスラリーに添加すると,100nm未満の粒径の揃った微粒子銅粉が再現性良く製造できることがわかった。
【0017】
第4に,還元反応の前または後,若しくは途中に適切な分散剤を液に添加すると粒径の揃った微粒子銅粉が得られることがわかった。このような分散剤としてはベンゾトリアゾールが有益である。ベンゾトリアゾール(以下,BTAと略称することがある)は防錆剤として知られているが,BTAが反応液中に存在すると,生成する微粒子銅粉の溶液中での凝集を妨げる作用を示すことがわかった。また,それにより,粒径の揃った超微粒子にできることがわかった。
【0018】
前記の消泡剤として市販品である例えば第一工業製薬のアンチフロスF−244 なども使用できるが,これを使用した場合でも,BTAを反応系に添加すると,BTAは発泡しやすいので,突沸が起こることがある。このような場合には,アルコールを使用するのがよい。生成した泡にアルコールを添加しても,また還元前の水酸化銅のスラリーに予め加えておいても,突沸を防止する効果がある。したがって,BTAを併用する場合には,消泡剤として,アルコールを使用することが好ましい。
【0019】
事実,本発明者らの経験によれば,反応系全体に対する重量比で約10%に相当するイソプロピルアルコール(IPA)を水酸化銅スラリーに加えてから還元剤を投入したところ、ほとんど反応中の発泡が見られなかった。また,得られた微粒子銅粉の粒径制御や不純物混入等への悪影響も認められなかった。使用するアルコールは発泡性の物質を溶かすものであればメタノールやエタノールなども利用可能である。
【0020】
このようにして,液中の水酸化銅を還元剤を用いて金属銅粒子に還元するさいに,(1) 還元剤としてヒドラジンまたはヒドラジン化合物を使用する,(2) 当該還元剤の使用量を全水酸化銅の還元に必要な理論当量の3倍を超える量とする,(3) 好ましくは還元反応を5分以内で終結させる,(4) 還元反応を消泡剤好ましくはアルコールの存在下で行う,(5) 還元反応の前または後,場合によっては途中にベンゾトリアゾールを添加することによって,最大径の平均が100nm未満,好ましくは50nm以下で,表面に耐酸化性処理が施された銅の粒子が個々に分散している微粒子銅粉を得ることができる。
【0021】
一般に,不活性雰囲気中で乾燥させた粒径が数十nm程度の,表面処理なしの微粒子銅粉は,表面の活性度が高いので,大気に曝すと激しく酸化して発熱する。このため,インクジェット方式などのインクにこのような微粒子銅粉をフイラーとして使用するには,なんらかの酸化防止面処理を必要とするが,前記の微粒子銅粉の製造のさいに,還元された金属銅微粒子と還元剤が存在する液にニッケルの錯塩水溶液を添加すれば,耐酸化性の良好な微粒子銅粉にできることがわかった。
【0022】
具体的には,還元された金属銅微粒子と還元剤が存在する液にニッケル錯塩水溶液を添加することにより,生成した微粒子銅粉の粒径を大きく変化させることなく,ニッケルコーティングが施されたニッケル被覆微粒子銅粉を得ることができる。すなわち,最大径の平均が100nm未満で,表面にニッケルコーティングが施された銅粒子が個々に分散しているニッケル被覆微粒子銅粉を得ることができる。この方法では,微粒子銅粉の製造工程とニッケル被覆処理とを同一の反応槽で連続的に行うことができるので,工程が簡略化でき,生産性の点で有利である。
【0023】
このコーティングに使用するニッケルの錯塩水溶液としては,硫酸ニッケル,塩化ニッケルあるいはそれらの水和物等の水溶液を使用することができる。銅粒子に対するニッケルの被覆量については,Ni/Cuの重量比で1/500以上のNi量とすれば,このニッケル被覆微粒子銅粉の酸化開始温度は100℃を超えるようになる。ニッケルの被覆量を,Ni/Cuの重量比で1/5まで高めると酸化開始温度は150℃付近になる。しかし,これ以上のニッケル被覆量としてもその効果が飽和するので,ニッケル被覆量は,Ni/Cuの重量比で1/500〜1/5の範囲とするのがよい。
【0024】
このようにして得られたニッケル被覆微粒子銅粉は,酸化開始温度が100℃より高くて耐酸化性に優れ,しかもインクへの分散性がよいという特徴がある。このため,本発明に従うニッケル被覆微粒子銅粉は導電インクの導電フイラーとして好適に使用でき,インクジェット方式等による超微細配線パターンの形成に役立つ。
【0025】
ここで,酸化開始温度は,試料銅粉を,空気中で昇温速度5℃/minのもとで昇温しながら,示差熱分析(DTA)による温度変化および熱天秤(TG)による重量変化を測定したとき,すなわち,横軸に温度を採ったTG−DTA曲線を記録したとき,その曲線中,発熱ピーク直前の温度であって重量増加が0.5%を示したときの温度とする。図2の例では,酸化開始温度は133℃と計測される。
【0026】
【実施例】
〔実施例1〕
硫酸銅五水和物273g,ベンゾトリアゾール(BTA)2.0gおよび水系消泡剤(第一工業製薬株式会社製の商品名アンチフロスF−244 )1gを,水(HO)1328gに溶解し,溶液Aとする。苛性ソーダ(濃度50%)200gを水(HO)900gに希釈し,溶液Bとする。ヒドラジン一水和物(濃度80%)150gを水1280gで希釈し,溶液Cとする。さらに,硫酸ニッケル六水和物15.77g,クエン酸三ナトリウム二水和物10.14gおよび酒石酸ナトリウム二水和物2.11gを純水150gに溶解し,これを溶液Dとする。
【0027】
溶液Aと溶液Bを攪拌しながら混合し,60℃に温度調整したあと,攪拌を維持しながら、これに溶液Cを30秒以内に全量添加し,約5分程度で反応が終了した。この反応後のスラリー液に溶液Dを全量添加し,1時間反応させた。得られたスラリーを固液分離し,真空乾燥して分散性の良い,粒状のニッケル被覆微粒子銅粉が得られた。電子顕微鏡観察によると,図1に示したように,短軸と長軸がほぼ等しい球形の粒子が個々に分散した状態にあり,任意50個の粒子の最大径の平均は約50nmであった。
【0028】
また,得られた銅粉の諸特性を測定した結果を表1に示した。表1において,SEM径は電子顕微鏡観察による平均径,Ni/Cu(%)はニッケル/銅の重量百分率,酸化開始温度は本文記載のTGーDTAで測定した値を表す。また,本例で得られたニッケル被覆微粒子銅粉のTGーDTA曲線を図2に示した。
【0029】
これらの結果から,本例の銅粉は短径と長径がいずれも50〜60nm付近の微粒子が個々に分散しているNi被覆微粒子からなり,その酸化開始温度も133℃と高いことがわかる。
【0030】
〔実施例2〕
溶液Dに代えて,硫酸ニッケル六水和物0.94g,クエン酸三ナトリウム二水和物0.60gおよび酒石酸ナトリウム二水和物0.13gを純水150gに溶解した溶液Eを使用した以外は,実施例1を繰り返した。得られたニッケル被覆微粒子銅粉の特性を表1に併記した。
【0031】
〔実施例3〕
溶液Dに代えて,硫酸ニッケル六水和物1.58g,クエン酸三ナトリウム二水和物1.01gおよび酒石酸ナトリウム二水和物0.21gを純水150gに溶解した溶液Fを使用した以外は,実施例1を繰り返した。得られたニッケル被覆微粒子銅粉の特性を表1に併記した。
【0032】〔実施例4〕
溶液Dに代えて,硫酸ニッケル六水和物3.15g,クエン酸三ナトリウム二水和物2.03gおよび酒石酸ナトリウム二水和物0.42gを純水150gに溶解した溶液Gを使用した以外は,実施例1を繰り返した。得られたニッケル被覆微粒子銅粉の特性を表1に併記した。
【0033】
〔実施例5〕
溶液Dに代えて,硫酸ニッケル六水和物78.65g,クエン酸三ナトリウム二水和物50.57gおよび酒石酸ナトリウム二水和物10.52gを純水150gに溶解した溶液Hを使用した以外は,実施例1を繰り返した。得られたニッケル被覆微粒子銅粉の特性を表1に併記した。さらに,これら実施例2〜5で得られたニッケル被覆微粒子銅粉の酸化開始温度を,それらのNi/Cu(%)で整理した結果を,図3に示した。図3に見られるように,Ni/Cu(%)の増量に従って酸化開始温度が上昇することがわかる。しかし,Ni/Cuが20%を超えても,その効果は飽和する傾向が見られる。
【0034】
【表1】
Figure 2004217991
【0035】
〔参考例1〕
溶液Aと溶液Bを攪拌しながら混合し,60℃に温度調整したあと,攪拌を維持しながら,これに溶液Cを2分で全量添加し,約5分程度で反応が終了した。得られたスラリーを固液分離し,真空乾燥して分散性の良い,(ニッケル被覆なしの)粒状の微粒子銅粉が得られた。電子顕微鏡観察によると,短軸と長軸がほぼ等しい球形の粒子が個々に分散した状態にあり,任意50個の粒子の最大径の平均は約50nmであった。
【0036】
〔参考例2〕
アンチフロスF−244 をイソプロピルアルコール400gに代えた以外は溶液Aと同じ溶液A−1を準備し,この溶液A−1と溶液Bを攪拌しながら混合し,60℃に温度調整したあと,攪拌を維持しながら、これに溶液Cを30秒以内で全量添加し,約5分程度で反応が終了した。得られたスラリーを固液分離し,真空乾燥して分散性の良い,(ニッケル被覆なしの)粒状の微粒子銅粉が得られた。電子顕微鏡観察によると,短軸と長軸がほぼ等しい球形の粒子が個々に分散した状態にあり,任意50個の粒子の最大径の平均は約50nmであった。
【0037】
〔参考例3〕
BTAをデキストリン1.0gに代えた以外は溶液Aと同じ溶液A−2を準備し,この溶液A−2と溶液Bを攪拌しながら混合し,60℃に温度調整したあと,攪拌を維持しながら,これに溶液Cを30秒以内で全量添加し,約5分程度で反応が終了した。得られたスラリーを固液分離し,真空乾燥して分散性の良い,(ニッケル被覆なしの)粒状の微粒子銅粉が得られた。電子顕微鏡観察によると,短軸と長軸がほぼ等しい球形の粒子が個々に分散した状態にあり,任意50個の粒子の最大径の平均は約30nmであった。
【0038】
〔参考例4〕
溶液Cを60分かけて全量添加し,約1時間で反応を終了した以外は,参考例1を繰り返した。電子顕微鏡観察によると,任意50個の粒子の最大径の平均は約150nmであった。
【0039】
〔参考例5〕
BTAを添加しなかった以外は,溶液Aと同じ溶液A−3を準備し,この溶液A−3と溶液Bを攪拌しながら混合し,60℃に温度調整したあと,攪拌を維持しながら、これに溶液Cを30秒以内で全量添加し,約5分程度で反応が終了した。得られたスラリーを固液分離し,真空乾燥して分散性の良い,(ニッケル被覆なしの)粒状の微粒子銅粉が得られた。電子顕微鏡観察によると,任意50個の粒子の最大径の平均は約100nmの粒子が凝集した状態のものであった。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明によると,径が100nm未満の粒子が個々に分散した耐酸化性の良好なニッケル被覆微粒子銅粉が得られ,このものは酸化開始温度が100℃を超える。したがって,導電インクのフイラーとして本発明のニッケル被覆微粒子銅粉を使用すると,インクジェット方式等による超微細配線パターンを形成するのに好適な導電インクが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従うニッケル被覆微粒子銅粉の例を示す電子顕微鏡(SEM像)写真である。
【図2】本発明に従うニッケル被覆微粒子銅粉のTG−DTA曲線である。
【図3】本発明に従うニッケル被覆微粒子銅粉の酸化開始温度とNi/Cu(%)との関係を示す図である。

Claims (6)

  1. 最大径の平均が100nm未満で,表面にニッケルコーティングが施された銅粒子が個々に分散しているニッケル被覆微粒子銅粉。
  2. ニッケルコーティング量がNi/Cuの重量比で1/500〜1/5である請求項1に記載の微粒子銅粉。
  3. 酸化開始温度が100℃より高い請求項1または2に記載の微粒子銅粉。
  4. 液中の水酸化銅を還元剤を用いて金属銅粒子に還元するさいに,還元剤としてヒドラジンまたはヒドラジン化合物を使用すること,当該還元剤の使用量を全水酸化銅の還元に必要な理論当量の3倍を超える量とすること,当該還元剤の全量を5分以内で反応系に添加すること,その還元反応を消泡剤の存在下で行うこと,還元反応の前または後もしくは途中に分散剤を添加すること,そして,還元された金属銅微粒子と還元剤が存在する液にニッケルの錯塩水溶液を添加することからなるニッケル被覆微粒子銅粉の製法。
  5. 消泡剤がアルコールである請求項4に記載のニッケル被覆微粒子銅粉の製法。
  6. 分散剤がベンゾトリアゾールである請求項4または5に記載のニッケル被覆微粒子銅粉の製法。
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