JP2004217923A - 生分解性発泡ビーズ及びその製造方法、並びに生分解性発泡成形物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 生分解性ポリエステルを主成分とする予備発泡ビーズを(1)45℃〜90℃の温度で処理した後、(2)0.105Mpa〜1.0MPaの圧力下に保持することを特徴とする、生分解性発泡ビーズの製造方法。
【選択図】 なし
Description
(1)45℃〜90℃の温度で処理した後、
(2)0.105MPa〜1.0MPaの圧力下に保持する
ことを特徴とする、生分解性発泡ビーズの製造方法に関する。
本発明において生分解性ポリエステル組成物は、生分解性ポリエステルを含む組成物を意味する。ここで、生分解性ポリエステルは、通常の使用条件では分解しないが、JIS K−6953の条件下で6ヶ月後には60%以上分解するポリエステルをいう。ここで、60%以上分解とは、ポリエステルが100%分解したときに発生するCO2の理論量に対して、実際に発生したCO2の量が60%以上であることを意味する。本発明においては、このようなポリエステルであれば、任意のポリエステルを使用することができ、例えば、ポリ乳酸樹脂などが挙げられる。特に生産性、コストなどを考慮すると、とうもろこし又は芋類などのでんぷんを出発物質とする乳酸を原料とするポリ乳酸樹脂を好ましく使用することができる。
適宜各種添加剤、ポリマーを含む生分解性ポリエステル組成物を、混練等の公知の方法により、ペレット又はビーズ状粒子とする。なお、生分解性ポリエステル組成物が、ヒドロキシカルボン酸、脂肪族ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート共重合物、セルロースアセテートようなポリマーを含む場合、生分解性ポリエステルを構成するモノマーとポリマーとを用いて、通常の反応釜での高真空下、攪拌効率の良好な状態での溶融重合、二軸混練反応機による溶融重合、溶融重合と固相重合との組み合わせなどを実施することができる。更に、上記のような増粘剤などの各種添加剤を添加して、高粘性、分岐ポリマーを得ることも可能である。
本発明においては、上記のようにして得られる発泡性ビーズを予備発泡させて、発泡セルが形成させたものを予備発泡ビーズとして、使用することができる。予備発泡は、一般に水蒸気加熱により行われるが、このほか、熱風、高周波によって発泡させる方法も使用することができる。
本発明の方法においては、予備発泡ビーズを、工程(1)に付した後、工程(2)に付すことにより、生分解性発泡ビーズが得られる。
本発明の方法により得られる生分解性発泡ビーズを成形することにより、高発泡倍率を有しながら、成形性、寸法安定性に優れた生分解性発泡成形物を得ることができる。
(1)溶液粘度:
フェノール/テトラクロロエタン(60/40)混合液に試料0.5gを溶解して50mlとし、自動キャピラリー粘度計 model SS-600-L1(柴山科学)を使用し、25℃での相対粘度(ηr)を測定した。
試料10mgを採取し、DSC(Differential Scanning Calorimeter、Perkin Elmer製)の吸熱ピークより求めた。測定条件は窒素フロー中で、25℃から200℃まで10℃/分の速度で昇温して測定した。
発泡倍率(倍)=所定の発泡ビーズの体積(cm3)/所定の発泡ビーズの重量(g)
具体的には、所定の発泡ビーズを2000cm3のポリ容器に最密に充填し、重量(g)を測定して算出した。
発泡剤及び発泡助剤を含浸前のペレットの重量(g)、及びペレットに発泡剤及び発泡助剤を含浸させた発泡性ビーズの重量(g)を測定した。
含浸率(%)=
〔(発泡性ビーズの重量(g)/ペレットの重量(g))−1〕×100
成形物の寸法変化率で評価した。
発泡成形機に縦300×横300×厚み30mmの金型を設置し、本発明の生分解性発泡ビーズ又は比較例の発泡ビーズを充填し、スチーム圧0.1MPaで処理し、成形加工した。得られた成形物を、25℃、相対湿度65%の条件下に4日静置した後に、成形物の体積を測定し、その変化率として寸法変化率を求め、評価を行った。
寸法変化率(%)=
|〔(25℃、相対湿度65%で4日処理後の成形物体積/金型の体積)−1〕×100|
評価:寸法変化率が2.5%以下 寸法安定性良好 (○)
寸法変化率が2.5超、4.5%以下 寸法安定性やや良好(△)
寸法変化率が4.5%超 寸法安定性不良 (×)
寸法安定性を測定後、成形物を60℃、相対湿度80%の条件下で1日処理し、処理後の成形物の体積を測定し、その変化率として高温寸法変化率を求め、評価を行った。
高温寸法変化率(%)=
|〔(60℃、相対湿度80%で1日処理後成形物体積/金型の体積)−1〕×100|
評価:高温寸法変化率が5%以下 高温寸法安定性良好 (○)
高温寸法変化率が5%超、10%以下 高温寸法安定性やや良好(△)
高温寸法変化率が10%超 高温寸法安定性不良 (×)
成形物の表面ヒケ状態で評価した。
上記(5)と同様の方法で得られた成形物を、25℃、相対湿度65%の条件下に4日静置した後に、成形物の表面のヒケ状態を目視で観察し、評価を行った。
評価:表面が水平で凹状のないもの 成形性(○)
表面にごく僅かに凹状が1ヶ所認められるもの 成形性(△)
表面に凹状が認められるもの(凹状が、複数ヶ所認められるもの、
ごく僅かとはいえない凹状が1ヶ所認められるものを含む。)
成形性(×)
JIS K−6953の条件により評価した。
上記(5)と同様の方法で得られた成形物につき、縦150×横150×厚み30mmを切り出して、試料としてJIS K−6953の条件に付し、6ヶ月後の分解状態を目視で観察し、評価を行った。
評価:60%以上の分解と認められるもの 生分解性(○)
60%未満の分解と認められるもの 生分解性(×)
JIS K−7221に準じて測定した。
JIS K−7220に準じて測定した。
寸法安定性、成形性、生分解性、発泡倍率の評価に基いて総合評価を行った。
工程(1)処理後発泡倍率が45倍以上のもの
−寸法安定性、高温寸法安定性、成形性、生分解性がいずれも○のもの
総合評価(○)
−寸法安定性、高温寸法安定性、成形性、生分解性が一つでも×のもの
総合評価(×)
−寸法安定性、高温寸法安定性、成形性、生分解性について×はないが、
△が一つでもあるもの 総合評価(△)
工程(1)処理後発泡倍率が45倍未満のもの
−寸法安定性、高温寸法安定性、成形性、生分解性の評価に関わらず
総合評価(×)
表1に示す組成の精製L−ラクチド及び精製D−ラクチドと、触媒としてオクチル酸スズ(金属スズとして20ppm)とを攪拌機付きオートクレーブに仕込み、減圧脱気した後、N2雰囲気下で、表1に示す重合条件で開環重合させた。反応終了後、オートクレーブよりポリ乳酸を取り出し、相対粘度(ηr)を測定したところ、表1に示すように、ηrは3.3〜3.4であった。
次いで、各ポリ乳酸に、イソシアネート化合物(ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート:イソシアネート基2.7〜2.8当量/モル、日本ポリウレタン工業(株)製、商品名ミリオネートMR−200)及びタルク(富士タルク工業(株)製、商品名LMP−100)を、各ポリ乳酸の重量を基準として、2重量%及び3重量%で加え、二軸混練機(PCM−30,池貝鉄工(株))にてシリンダー温度180℃で混練し、ペレット状の樹脂組成物を得た(ペレットの大きさ:直径1.2mm)。
上記の発泡性ビーズを水蒸気(94℃、1分)で処理し、予備発泡ビーズを得た。予備発泡直後に、予備発泡ビーズの体積・重量を測定し、発泡倍率を算出した。結果を、予備発泡倍率として、表2に示す。
実施例1〜6の成形物では、発泡倍率、成形物の寸法安定性(寸法変化率)、高温寸法安定性(高温寸法変化率)、成形性(表面ヒケ)、生分解性のいずれもが良好であった。比較例1の成形物では、工程(1)が省略されているため、発泡ビーズが高発泡化しておらず、高温寸法安定性にも劣っていた。また比較例2の成形物は、成形性、寸法安定性の点で劣っていた。比較例3の成形物では、工程(1)での処理温度が低いため、処理を行っても発泡ビーズの高発泡化は認められず、寸法安定性にも劣っていた。比較例4の成形物では、寸法安定性は良好であるが、比較例3同様高発泡化は認められなかった。比較例5の成形物では、工程(1)での処理温度が高すぎたため、処理後の発泡ビーズが収縮気味となり、成形物の寸法安定性(寸法変化率)は大幅に悪化し、表面ヒケも著しかった。比較例6のPS成形物では、寸法安定性(寸法変化率)及び成形性(表面ヒケ状態)は良好であったが、生分解性が全く認められなかった。また比較例1及び3の成形物では、実施例2の成形物に比べて、かさ密度が大きく、曲げ物性、圧縮物性も高かったことから、軽量性、柔軟性に劣ることが示された。
工程(1)の処理を、表4に示す気体の種類と処理時間に変更した以外は、実施例2と同様の操作を行い、実施例7〜11の成形物を得た。得られた成形物の寸法安定性(寸法変化率)、高温寸法安定性(高温寸法変化率)、成形性(表面ヒケ)及び生分解性を評価した。結果を表4に示す。
工程(1)の処理を、空気、炭酸ガス、窒素、ヘリウム、アルゴン中で行った実施例7〜11は、実施例2と同様、いずれも寸法変安定性(寸法変化率)、高温寸法安定性、成形性(表面ヒケ)、生分解性が良好であった。
工程(2)の処理を、表5に示す空気の圧力及び加圧時間に変更した以外は、実施例2と同様な操作を行い、それぞれ実施例12〜17、比較例7〜8の成形物を得た。得られた成形物の寸法安定性(変化率)、高温寸法安定性(高温寸法変化率)、成形性(表面ヒケ状態)及び生分解性を評価した。結果を表5に示す。
実施例12〜17は、いずれも寸法安定性(寸法変化率)、成形性(表面ヒケ)のバランスがよく、特に、圧力が0.15MPa〜0.7MPaの範囲の実施例2、14〜16は、いずれも極めて良好な結果を示した。一方、空気中、加圧処理しない比較例2、空気圧の低い比較例7及び空気圧の高い比較例8においては、寸法安定性(変化率)及び成形性(表面ヒケ)は、いずれも不良であった。
Claims (12)
- 生分解性ポリエステルを主成分とする予備発泡ビーズを、
(1)45℃〜90℃の温度で処理した後、
(2)0.105MPa〜1.0MPaの圧力下に保持する;
ことを特徴とする、生分解性発泡ビーズの製造方法。 - 生分解性ポリエステルが、ポリ乳酸樹脂である、請求項1に記載の生分解性発泡ビーズの製造方法。
- 工程(1)を、50℃〜80℃の温度で行なう、請求項1又は2に記載の生分解性発泡ビーズの製造方法。
- 工程(1)を、空気、窒素、炭酸ガス及び水蒸気からなる群より選択される1種以上の気体中で行なう、請求項1〜3のいずれか1項に記載の生分解性発泡ビーズの製造方法。
- 工程(1)を、空気と水蒸気の混合ガス中で行なう、請求項4に記載の生分解性発泡ビーズの製造方法。
- 工程(2)を、空気、窒素、炭酸ガス、ヘリウム及びアルゴンからなる群より選択される1種以上の気体中で行なう、請求項1〜5のいずれか1項に記載の生分解性発泡ビーズの製造方法。
- 工程(2)を、空気中で行なう、請求項6に記載の生分解性発泡ビーズの製造方法。
- 工程(2)を、0.15MPa〜0.7MPaの圧力下で行なう、請求項1〜7のいずれか1項に記載の生分解性発泡ビーズの製造方法。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法により製造された、生分解性発泡ビーズ。
- 請求項9記載の生分解性発泡ビーズを成形してなる生分解性発泡成形物。
- 0.02g/cm3以下のかさ密度、0〜4.5%の寸法変化率(25℃、相対湿度65%、4日後)を有する、生分解性ポリエステルを主成分とする生分解性発泡成形物。
- さらに、0〜10%の高温寸法変化率(60℃、相対湿度80%、1日後)を有する、請求項11記載の生分解性ポリエステルを主成分とする生分解性発泡成形物。
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