JP2008214422A - ポリ乳酸系発泡成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明が解決しようとする課題は、ポリ乳酸系発泡成形体の製造方法において、従来の型内成形性を向上させた上で、生産性を向上すること。
【解決手段】 炭化水素系発泡剤を含有するポリ乳酸系発泡粒子に、二酸化炭素により0.1MPa以上、2.0MPa未満の圧力で、0.5分間以上、10分間未満の時間保持することで内圧を付与した後、二酸化炭素により内圧が付与されたポリ乳酸系発泡粒子を型内成形することを特徴とするポリ乳酸系発泡成形体の製造方法に従って、ポリ乳酸系発泡成形体を作製すること。
【選択図】 なし
【解決手段】 炭化水素系発泡剤を含有するポリ乳酸系発泡粒子に、二酸化炭素により0.1MPa以上、2.0MPa未満の圧力で、0.5分間以上、10分間未満の時間保持することで内圧を付与した後、二酸化炭素により内圧が付与されたポリ乳酸系発泡粒子を型内成形することを特徴とするポリ乳酸系発泡成形体の製造方法に従って、ポリ乳酸系発泡成形体を作製すること。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ポリ乳酸系発泡成形体の製造方法に関する。
化石資源を原料とする発泡ポリスチレン、発泡ポリオレフィンの代替として、特許文献1において、ポリ乳酸を主たる原料とする発泡成形体が提案されている。この発泡成形体は、非石油資源である澱粉を出発原料としており、近年の石油事情、環境保全の見地から見て非常に望ましいものであると言える。当該発泡成形体は、発泡ポリスチレンと同等の機械物性、2次加工性を有しており、通常の梱包用緩衝材として十分使用できるものであった。しかしながら、特許文献1の発泡成形体は、従来の発泡ポリスチレンに比べ、深箱や複雑な成形体への型内成形が難いという問題があった。
発泡粒子の型内成形性を改善させる技術として、例えば特許文献2にポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子に無機気体を圧入して、発泡粒子に内圧を付与する方法が開示されている。内圧が付与された発泡粒子は、成形時の2次発泡力が向上し、得られる成形体の形状安定性等が改善される傾向にある。しかしながら、特許文献2では、内圧付与の時間が少なくとも1時間必要であり、生産性に欠ける問題がある。また、発泡粒子内圧を付与するために使用される容器の容積が極めて大きなものになる、また、通常の大きさの容器を使用する場合、容器の数が増える等、経済上の不利益が生じるものである。
上記の技術は、ポリ乳酸系発泡粒子でも実施されており、例えば、特許文献3に開示されている。該特許文献においても、内圧付与時間は1時間以上必要としており、生産性に欠ける問題がある。
また、特許文献4では、二酸化炭素を用いて、ポリ乳酸系発泡粒子に内圧を付与する技術が記載されている。しかしながら、二酸化炭素を付与する条件には触れておらず、成形時には5−70%圧縮しないと成形体が得られないことより、十分な内圧付与が行われていないことがわかる。
以上のように、ポリ乳酸系発泡成形体の製造においては、型内成形性を向上しようとすると、従来の方法では内圧付与時間が1時間以上必要であり、生産性が低くなるのが現状である。そこで、成形性を向上しても、内圧付与時間が短時間で完了し、生産性が低下しない技術が望まれている。
国際公開第99/21915号パンフレット
特開平7−178747号公報
特開2004−217923号公報
特開2003−64213号公報
本発明が解決しようとする課題は、ポリ乳酸系発泡成形体の製造方法において、従来の型内成形性を向上させた上で、生産性を向上することである。
本発明者らは、上述の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、炭化水素系発泡剤を含有するポリ乳酸系発泡粒子に特定の条件下で二酸化炭素を付与した後、型内成形を行うことで、内圧付与時間が短くても2次発泡力が高く、即ち成形性よくポリ乳酸系発泡成形体を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第一は、炭化水素系発泡剤を含有するポリ乳酸系発泡粒子に、二酸化炭素により0.1MPa以上、2.0MPa未満の圧力で、0.5分間以上、10分間未満の時間保持することで内圧を付与した後、二酸化炭素により内圧が付与されたポリ乳酸系発泡粒子を型内成形することを特徴とするポリ乳酸系発泡成形体の製造方法に関する。好ましい実施態様は、炭化水素系発泡剤が炭素数3−6の脂肪族炭化水素である上記記載のポリ乳酸系発泡成形体の製造方法に関する。より好ましくは、ポリ乳酸系発泡粒子が、ポリ乳酸系樹脂を主成分としており、該ポリ乳酸系樹脂をゲル化処理したものである上記記載のポリ乳酸系発泡成形体の製造方法、に関する。
本発明の製造方法によれば、ポリ乳酸系発泡成形体の製造方法において、従来の型内成形性を向上させた上で、生産性を向上する製造方法を提供することができる。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。本発明のポリ乳酸系発泡成形体の製造方法は、炭化水素系発泡剤を含有するポリ乳酸系発泡粒子に、特定の条件で二酸化炭素により内圧を付与した後、型内成形することを特徴とする。
本発明におけるポリ乳酸系発泡粒子とは、基材樹脂がポリ乳酸系樹脂であり、該基材樹脂に発泡剤を含浸してポリ乳酸系発泡性樹脂粒子とした後、発泡して得られる粒子である。前記ポリ乳酸系樹脂は、特に限定はないが、結晶性の高い樹脂は発泡、成形が結晶化により困難になる傾向があるため、乳酸成分の異性体比率が5%以上、好ましくは8%以上であるポリ乳酸を主成分としたものである。本発明の効果を阻害しない範囲においては、ポリ乳酸系樹脂に他の樹脂を添加して基材樹脂とする事ができる。該基材樹脂中にはポリ乳酸系樹脂が50重量%以上含まれることが好ましく、より好ましくは70重量%以上、更に好ましくは90重量%以上である。前記他の樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂等が挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種用いることができる。また、前記ポリエステル系樹脂としては、脂肪族ポリエステル成分単位を少なくとも35モル%以上含む生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂が挙げられ、この場合の脂肪族ポリエステル系樹脂としては、ヒドロキシ酸重縮合物、ポリカプロラクトン等のラクトンの開環重合物、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)等の脂肪族多価アルコールと脂肪族カルボン酸との重縮合物が挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種用いることができる。
なお前記ポリ乳酸系樹脂は、一部モノマーが乳酸と交換可能な脂肪族ヒドロキシカルボン酸、脂肪族多価カルボン酸、脂肪族多価アルコール等で置き換わってもよく、エポキシ化大豆油やエポキシ化亜麻仁で一部架橋されていてもよい。
前記脂肪族ヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸等が挙げられ、少なくとも1種含有される。また、前記脂肪族多価カルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、無水コハク酸、無水アジピン酸、トリメシン酸、プロパントリカルボン酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられ、少なくとも1種含有される。また、前記脂肪族多価アルコールとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリット等が挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種含有される。
前記ポリ乳酸系樹脂の溶融粘度は、JIS K 7210(荷重2.16kg)に準拠したメルトインデックス(MI)値で0.1〜10g/10分の高分子量のポリ乳酸系樹脂であることが好ましい。MI値がこの範囲にあれば、生産性に優れ、発泡倍率の高い発泡成形体を得やすい傾向にあり、本発明の目的・効果を発現しやすい。
本発明においては、ポリ乳酸系発泡粒子の基材樹脂であるポリ乳酸系樹脂をゲル化処理することが、発泡性、成形性の観点から好ましい。ゲル化処理によりポリ乳酸系樹脂を発泡に適する前記溶融粘度領域まで増粘させることができる。このためのゲル化処理には、従来公知の各種の方法、例えば、ポリイソシアネート化合物、過酸化物、酸無水物、エポキシ化合物等、一般的な架橋剤を少なくとも1種選択して用いる方法、電子線架橋方法、シラン架橋方法等が包含されるが、架橋剤を用いる方法が好ましい。
前記ポリイソシアネート化合物としては、芳香族、脂環族、脂肪族系のポリイソシアネート化合物が使用可能であり、芳香族ポリイソシアネートとしては、トリレン、ジフェニルメタン、ナフチレン、トリフェニルメタンを骨格とするポリイソシアネート化合物が挙げられる。また、脂環族ポリイソシアネートとしては、イソホロン、水酸化ジフェニルメタンを骨格とするポリイソシアネート化合物が挙げられ、脂肪族ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレン、リジンを骨格とするポリイソシアネート化合物が挙げられる。
前記過酸化物としては、ベンゾイルパーオキサイド、ビス(ブチルパーオキシ)トリメチルシクロヘキサン、ビス(ブチルパーオキシ)シクロドデカン、ブチルビス(ブチルパーオキシ)バレレート、ジクミルパーオキサイド、ブチルパーオキシベンゾエート、ジブチルパーオキサイド、ビス(ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキシン、ブチルパーオキシクメン等の有機化酸化物が挙げられる。
前記酸無水物としては、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、エチレン−無水マレイン酸共重合体、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。
前記エポキシ化合物としては、グリシジルメタクリレート−メチルメタクリレート共重合体、グリシジルメタクリレート−スチレン共重合体、グリシジルメタクリレート−スチレン−ブチルアクリレート共重合体、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ヤシ脂肪酸グリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等の各種グリシジルエーテル及び各種グリシジルエステル等が挙げられる。
これら架橋剤のうち、ポリイソシアネート化合物を用いることが好ましい。その理由は、ポリイソシアネート化合物を用いれば、混練時の架橋増粘によるトルクアップが少なく、混練後に水分の存在下で加熱することで尿素結合、ウレタン結合、アロファネート結合などによる後増粘が可能だからである。ポリイソシアネート化合物の中でも、汎用性、取り扱い性、耐候性等の観点からトリレン、ジフェニルメタン骨格とするポリイソシアネート化合物が好ましく、その中でもジフェニルメタンのポリイソシアネートを使用することがより好ましい。
前記架橋剤の添加量は、任意に選定することが可能であるが、ポリ乳酸系樹脂100重量部に対して0.1重量部〜6.0重量部であることが好ましく、より好ましくは0.2重量部〜5.0重量部、更に好ましくは0.5重量部〜4.0重量部である。添加量が0.1重量部〜6.0重量部であれば、ポリ乳酸系樹脂の溶融粘度を発泡に適した領域まで上昇させることができる。
前記ポリ乳酸系樹脂中には、例えば、黒、灰色、茶色、青色、緑色等の着色顔料又は染料を添加してもよい。着色した基材樹脂を用いれば着色された発泡粒子及び発泡成形体を得ることができる。着色剤としては、有機系、無機系の顔料、染料などが挙げられる。このような顔料及び染料としては、従来公知の各種のものを用いることができる。また、気泡調整剤として、例えばタルク、炭酸カルシウム、ホウ砂、ほう酸亜鉛、水酸化アルミニウム、ステアリン酸カルシウム等の無機物を予め添加することができる。基材樹脂であるポリ乳酸系樹脂に着色顔料、染料又は無機物等の添加剤を添加する場合は、添加剤をそのまま基材樹脂に練り込むこともできるが、通常は分散性等を考慮して添加剤のマスターバッチを作り、それと基材樹脂とを混練することが好ましい。着色顔料又は染料の添加量は着色の色によっても異なるが、通常、ポリ乳酸系樹脂100重量部に対して0.001重量部〜5重量部が好ましく、0.02重量部〜3重量部とすることがより好ましい。前記ポリ乳酸系樹脂中には、本発明の効果を損なわない程度であれば、その他、難燃剤、帯電防止剤、耐候剤などの添加剤を添加しても良い。
本発明の発泡剤としては、従来公知のもの、プロパン、イソブタン、ノルマルブタン、イソヘキサン、ノルマルヘキサン、シクロブタン、シクロヘキサン、イソペンタン、ノルマルペンタン、シクロペンタン等の炭化水素系発泡剤や、塩化メチル、塩化メチレン、ジクロロジフルオロメタン等のハロゲン化炭化水素系発泡剤、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル等のエーテル系発泡剤、窒素、二酸化炭素、アルゴン、空気等の無機系発泡剤が挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。それらの内、ポリ乳酸系樹脂に対するガス散逸が少なく、発泡性粒子輸送が可能であり、所望の発泡性が得られる点から、炭化水素系発泡剤が好ましく、中でも炭素数3−6の炭化水素系発泡剤がより好ましい。
本発明のポリ乳酸系発泡成形体の製造方法では、以下のように、まずポリ乳酸系発泡性粒子を製造し、次いで該発泡性粒子を発泡させポリ乳酸系発泡粒子を得た後、二酸化炭素をポリ乳酸系発泡粒子に付与し、型内成形してポリ乳酸系発泡成形体を得る。
<ポリ乳酸系発泡粒子製造工程>
本発明で用いるポリ乳酸系発泡粒子を製造する方法としては、従来公知の方法が採用できる(例えば、国際公開第99/021915号パンフレット)。
本発明で用いるポリ乳酸系発泡粒子を製造する方法としては、従来公知の方法が採用できる(例えば、国際公開第99/021915号パンフレット)。
(ポリ乳酸系樹脂粒子作製)
本発明において、ポリ乳酸系樹脂粒子をまず作製するが、該粒子は従来公知の方法で作ることができ、例えば、ポリ乳酸系樹脂と架橋剤、必要に応じてその他添加剤を押出機で溶融混練した後、水中カッターやストランドカッター等で押出カットすることで得ることができる。ポリ乳酸系樹脂粒子の1個当りの重量は、0.05〜10mgが好ましく、より好ましくは0.1〜4mgである。粒子重量が前記範囲であれば、樹脂粒子の生産性が良好であり、型内成形時の充填性が良好になる傾向である。
本発明において、ポリ乳酸系樹脂粒子をまず作製するが、該粒子は従来公知の方法で作ることができ、例えば、ポリ乳酸系樹脂と架橋剤、必要に応じてその他添加剤を押出機で溶融混練した後、水中カッターやストランドカッター等で押出カットすることで得ることができる。ポリ乳酸系樹脂粒子の1個当りの重量は、0.05〜10mgが好ましく、より好ましくは0.1〜4mgである。粒子重量が前記範囲であれば、樹脂粒子の生産性が良好であり、型内成形時の充填性が良好になる傾向である。
(ポリ乳酸系樹脂粒子への発泡剤含浸)
次に前記ポリ乳酸系樹脂粒子に発泡剤を含浸させ、ポリ乳酸系発泡性粒子を得る。ポリ乳酸系樹脂粒子に発泡剤を含浸する方法としては、所望の発泡性が得られる発泡剤の存在下で、十分な圧力がかかる条件さえそろっていれば特に限定されるものではない。例えば、密閉容器内に水性媒体または非水性媒体を入れて、これに樹脂粒子と発泡剤を添加して、適度な温度、時間で攪拌することにより樹脂粒子に発泡剤を含浸させることが可能である。水性媒体で含浸を行う場合には、加水分解反応を受けやすいポリエステル系樹脂組成物であることを考慮し、含浸助剤種の選択基準など加水分解を抑制する工夫や短時間で含浸を終了させることが好ましい。
次に前記ポリ乳酸系樹脂粒子に発泡剤を含浸させ、ポリ乳酸系発泡性粒子を得る。ポリ乳酸系樹脂粒子に発泡剤を含浸する方法としては、所望の発泡性が得られる発泡剤の存在下で、十分な圧力がかかる条件さえそろっていれば特に限定されるものではない。例えば、密閉容器内に水性媒体または非水性媒体を入れて、これに樹脂粒子と発泡剤を添加して、適度な温度、時間で攪拌することにより樹脂粒子に発泡剤を含浸させることが可能である。水性媒体で含浸を行う場合には、加水分解反応を受けやすいポリエステル系樹脂組成物であることを考慮し、含浸助剤種の選択基準など加水分解を抑制する工夫や短時間で含浸を終了させることが好ましい。
発泡剤の含浸量としては、発泡剤の種類や所望の発泡倍率により調整すれば良いが、例えば、発泡倍率30倍以上の発泡粒子を得るためには、発泡性粒子を構成する基材樹脂100重量部に対して、4重量部以上が好ましい。但し、10重量部を越えると、残留する発泡剤の量が増えることで、60℃を越えるような高温高湿条件下での寸法安定性が悪化する場合がある。
なお、発泡剤の含浸では、安定した含浸性、発泡性を得るために含浸助剤、分散剤などを使用しても良い。含浸助剤としては、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類に代表されるプロトン系溶剤,アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類,酢酸エチル、酢酸ブチル、ノルマルプロピルアセテートなどのエステル類,トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、などに代表される非プロトン系溶剤、などが挙げられるが、水性媒体で含浸する場合はポリ乳酸系樹脂の加水分解を助長しない、非プロトン系溶剤を用いることが好ましい。
前記分散剤としては、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤等が挙げられる。
また、発泡剤の含浸を水性媒体で行う場合には、樹脂中への水の浸透を抑制する目的で、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、炭酸カリウム等1価の金属塩、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム等の2価の金属塩、硫酸アルミニウム等の3価の金属塩等の水溶性塩類などを添加することが好ましい。
上記において、ポリ乳酸系発泡性粒子を得る際に、押出機を用いることができ、その場合、ポリ乳酸系樹脂と架橋剤、必要に応じてその他添加剤を押出機へ投入し、その後発泡剤を加え溶融混練した後、混練物を押出し、押出された混練物をカットして発泡性粒子を得ることができる。
(ポリ乳酸系発泡性粒子の発泡)
次に、前記のようにして得られるポリ乳酸系発泡性粒子を発泡させてポリ乳酸系発泡粒子を得る。このような方法としては、例えば、発泡ポリスチレン用の予備発泡機を用いて、ポリ乳酸系発泡性粒子を蒸気や熱風、高周波等によって予備発泡する方法(A)が挙げられ、最も簡便である。また、他の方法として、樹脂粒子を密閉容器内において発泡剤の存在下で分散媒に分散させるとともに、その内容物を加熱して樹脂粒子を軟化させてその粒子内に発泡剤を含浸させ、次いで容器の一端を開放し、容器内圧力を発泡剤の蒸気圧以上の圧力に保持しながら粒子と分散媒とを同時に容器内よりも低圧の雰囲気(通常は大気圧下)に放出して発泡させる発泡方法(B)、基材樹脂と架橋剤、その他添加剤を押出機で溶融させると共に、発泡剤と混練して発泡性溶融混練物とし、次いでストランド状に押出して発泡させると共に、冷却後適当な長さに切断するか又はストランドを適当な長さに切断後冷却することによって発泡粒子を製造する方法(C)が挙げられるが、発泡性粒子輸送が可能であるという点から方法(A)が好ましい。
次に、前記のようにして得られるポリ乳酸系発泡性粒子を発泡させてポリ乳酸系発泡粒子を得る。このような方法としては、例えば、発泡ポリスチレン用の予備発泡機を用いて、ポリ乳酸系発泡性粒子を蒸気や熱風、高周波等によって予備発泡する方法(A)が挙げられ、最も簡便である。また、他の方法として、樹脂粒子を密閉容器内において発泡剤の存在下で分散媒に分散させるとともに、その内容物を加熱して樹脂粒子を軟化させてその粒子内に発泡剤を含浸させ、次いで容器の一端を開放し、容器内圧力を発泡剤の蒸気圧以上の圧力に保持しながら粒子と分散媒とを同時に容器内よりも低圧の雰囲気(通常は大気圧下)に放出して発泡させる発泡方法(B)、基材樹脂と架橋剤、その他添加剤を押出機で溶融させると共に、発泡剤と混練して発泡性溶融混練物とし、次いでストランド状に押出して発泡させると共に、冷却後適当な長さに切断するか又はストランドを適当な長さに切断後冷却することによって発泡粒子を製造する方法(C)が挙げられるが、発泡性粒子輸送が可能であるという点から方法(A)が好ましい。
<ポリ乳酸系発泡成形体の製造工程>
本工程では、上記で得られたポリ乳酸系発泡粒子を型内成形することでポリ乳酸系発泡成形体を得る。
本工程では、上記で得られたポリ乳酸系発泡粒子を型内成形することでポリ乳酸系発泡成形体を得る。
(内圧付与)
これまで、発泡粒子の型内成形性を改善するために、発泡粒子に空気等で内圧を付与する方法は公知化されている。しかしながら、従来技術では基材樹脂の種類に関わらず60分以上の長時間加圧しないと内圧が充分に付与されず、生産性に乏しい問題があった(特開平7−178747号公報)。それに対して本発明では、上記で得られたポリ乳酸系発泡粒子に対して、二酸化炭素で内圧を付与することで、短時間でも二酸化炭素付与を完了でき、発泡粒子の2次発泡力を従来よりも向上できている。これは、ポリ乳酸系樹脂と二酸化炭素の親和性が高く、短時間で樹脂中に浸透するからと推定している。また、従来技術では、内圧付与時に発泡粒子のセル膜を損傷すること多いが、本発明においては、セル膜損傷が少ない傾向にある。
これまで、発泡粒子の型内成形性を改善するために、発泡粒子に空気等で内圧を付与する方法は公知化されている。しかしながら、従来技術では基材樹脂の種類に関わらず60分以上の長時間加圧しないと内圧が充分に付与されず、生産性に乏しい問題があった(特開平7−178747号公報)。それに対して本発明では、上記で得られたポリ乳酸系発泡粒子に対して、二酸化炭素で内圧を付与することで、短時間でも二酸化炭素付与を完了でき、発泡粒子の2次発泡力を従来よりも向上できている。これは、ポリ乳酸系樹脂と二酸化炭素の親和性が高く、短時間で樹脂中に浸透するからと推定している。また、従来技術では、内圧付与時に発泡粒子のセル膜を損傷すること多いが、本発明においては、セル膜損傷が少ない傾向にある。
二酸化炭素を付与する際は、上記のポリ乳酸系発泡粒子を密閉容器内に充填し、二酸化炭素を封入して密閉容器内圧力を適当な値に調節し、適当な時間保持することで内圧付与を行った。その後、容器内の圧力を開放し、二酸化炭素含有ポリ乳酸系発泡粒子を得た。外密閉容器は、耐圧性が保証される容器であれば形状、大きさ問わず使用することができる。また、成形機の発泡粒子貯蔵タンクを耐圧タンクとして、連続的に二酸化炭素付与と型内成形を行うことができる。
二酸化炭素をポリ乳酸系発泡粒子に付与する条件としては、必要な加圧条件下で短時間実施することが好ましい。具体的に二酸化炭素による加圧条件は、0.1≦圧力(MPa)<2.0が好ましく、より好ましくは0.2≦圧力(MPa)<1.0である。また、発泡粒子に所定圧力で二酸化炭素を付与する処理時間は、処理する温度又は二酸化炭素が保有する湿度等によるが、0.5≦処理時間(min)<10が好ましく、より好ましくは1≦処理時間(min)<5である。この範囲であれば、成形性、即ち発泡粒子の2次発泡力を従来技術以上に維持した上で、生産性を向上することができる。なお、二酸化炭素による加圧条件は、高いほど発泡成形体中の発泡粒子の内圧と2次発泡力が上がるが、2.0MPa以上になるとその効果が出にくくなり、設備面を含めたコストが上がるために、2.0MPa未満が好ましい。また二酸化炭素付与処理時間は、長いほど発泡成形体中の発泡粒子の内圧と2次発泡力が上がるが、10分間以上になるとその効果が出にくくなり、生産性の利点が減るために、10分間未満が好ましい。従って、上記条件を両方満たせば、従来の型内成形性を向上させた上で、生産性を向上することができる。
(型内成形)
上記の二酸化炭素が付与された二酸化炭素含有ポリ乳酸系発泡粒子を所望の型内に所定量充填し、蒸気などで適当な条件で加熱して2次発泡させ、型内で発泡粒子同士を融着させてポリ乳酸系発泡成形体を得る。この型内成形では、従来の発泡ポリスチレンや発泡ポリオレフィン等の成形機を用いることができる。
上記の二酸化炭素が付与された二酸化炭素含有ポリ乳酸系発泡粒子を所望の型内に所定量充填し、蒸気などで適当な条件で加熱して2次発泡させ、型内で発泡粒子同士を融着させてポリ乳酸系発泡成形体を得る。この型内成形では、従来の発泡ポリスチレンや発泡ポリオレフィン等の成形機を用いることができる。
以上のようにして得られたポリ乳酸系発泡成形体は、従来の成形性を落とすことなく高生産性で得られ、深箱や複雑な成形体を作製することができる。また、機械物性に優れ、発泡性粒子輸送が可能であるという利点をも有したものである。
本発明のポリ乳酸系発泡成形体は種々の用途に使用することができる。例えば、精密機器、電化製品、電子機器、電子部品などの緩衝材、食品類、酒類、薬品類などの包装材、展示パネル、マネキン、デコレーション等の美粧材、食品、機械部品、電子部品などの通い箱、断熱材、建築材、玩具、アイスクリーム、冷凍食品等の保温材などに使用することができる。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。尚、評価は下記の方法で行った。実施例において「部」や「%」は重量基準である。
<評価方法>
(1)発泡性粒子の発泡剤含浸率:
含浸率は含浸前後の樹脂粒子重量から以下の式で求められる。
含浸率(%)=100×(含浸後重量−含浸前重量)/含浸前重量
(2)発泡粒子の発泡倍率の測定方法:
内容積2000cm3のポリエチレン製カップに発泡粒子を擦切り一杯量り取り、重量を測定し、カップ重量を差引いて発泡粒子の重量を求める。発泡粒子の重量と見かけ体積(2000cm3)から下記の式により求められる。
発泡倍率=見かけ体積(2000cm3)/発泡粒子の重量
(3)発泡粒子の内圧:
内圧付与処理終了後の発泡粒子の重量を測定した後、該粒子から内圧付与処理によって、拡散浸透した空気を追い出し、粒子の重量を測定し、変化量から理想気体の状態方程式に基づいて求めた。
(4)発泡粒子の2次発泡力:
発泡粒子30cm3(見かけ体積)を100℃の蒸し器に10秒間投入し、発泡(2次発泡)させる。2次発泡させた発泡粒子の見かけ体積を測定し、下記の式により発泡粒子の2次発泡力とした。
2次発泡力=2次発泡後の見かけ体積/見かけ体積(30cm3)
<評価方法>
(1)発泡性粒子の発泡剤含浸率:
含浸率は含浸前後の樹脂粒子重量から以下の式で求められる。
含浸率(%)=100×(含浸後重量−含浸前重量)/含浸前重量
(2)発泡粒子の発泡倍率の測定方法:
内容積2000cm3のポリエチレン製カップに発泡粒子を擦切り一杯量り取り、重量を測定し、カップ重量を差引いて発泡粒子の重量を求める。発泡粒子の重量と見かけ体積(2000cm3)から下記の式により求められる。
発泡倍率=見かけ体積(2000cm3)/発泡粒子の重量
(3)発泡粒子の内圧:
内圧付与処理終了後の発泡粒子の重量を測定した後、該粒子から内圧付与処理によって、拡散浸透した空気を追い出し、粒子の重量を測定し、変化量から理想気体の状態方程式に基づいて求めた。
(4)発泡粒子の2次発泡力:
発泡粒子30cm3(見かけ体積)を100℃の蒸し器に10秒間投入し、発泡(2次発泡)させる。2次発泡させた発泡粒子の見かけ体積を測定し、下記の式により発泡粒子の2次発泡力とした。
2次発泡力=2次発泡後の見かけ体積/見かけ体積(30cm3)
(実施例1)
まず、D体比率10%、MI値3.7g/10分のポリ乳酸100重量部とポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン(株)製、商品名:MR−200)3.0重量部を、二軸押出機(東芝機械製、TEM35B)を用いて、シリンダー温度185℃で溶融混練し、水中カッターを用いて約1mmφ(約1.5mg)のビーズ状のポリ乳酸系樹脂粒子を得た。
まず、D体比率10%、MI値3.7g/10分のポリ乳酸100重量部とポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン(株)製、商品名:MR−200)3.0重量部を、二軸押出機(東芝機械製、TEM35B)を用いて、シリンダー温度185℃で溶融混練し、水中カッターを用いて約1mmφ(約1.5mg)のビーズ状のポリ乳酸系樹脂粒子を得た。
得られたポリ乳酸系樹脂粒子100重量部に対して、水100重量部、発泡剤として脱臭ブタン(ノルマルブタン/イソブタン重量比=7/3)12重量部、含浸助剤として食塩10重量部、分散剤としてポリオキシエチレンオレイルエーテル0.3重量部を耐圧容器に仕込み、90℃で90分間保持した。十分に冷却後取出し、乾燥して、ポリ乳酸系発泡性粒子を得た。該ポリ乳酸系発泡性粒子の含浸率は5.7%であった。
得られたポリ乳酸系発泡性粒子を予備発泡機(ダイセン工業製、BHP−300)に約1.5kg投入し、90℃の蒸気下に40〜60秒間保持した。得られた発泡粒子を風乾した後、篩を使用し融着粒子を分別した。該ポリ乳酸系発泡粒子の発泡倍率は35倍であった。
得られたポリ乳酸系発泡粒子を密閉容器内に充填し、表1に従って、二酸化炭素を封入して密閉容器内圧力を0.3MPaで1分間保持することで内圧付与を行った。その後、容器内の圧力を開放し、二酸化炭素含有ポリ乳酸系発泡粒子を得た。得られた発泡粒子の内圧と2次発泡力を評価した。評価結果は表1の通りであった。
発泡成形機(ダイセン工業製、KR−57)に300×450×20mmの金型を設置し、上記で得られた発泡粒子を圧縮率0%で充填し、スチーム圧0.1MPaで10〜20秒処理し型内成形を実施し、発泡成形体を得た。
(実施例2)
ポリ乳酸系発泡粒子を作製する際に、ポリ乳酸系発泡粒子を充填し、二酸化炭素を封入した後の密閉容器内圧力を0.3MPaで保持する時間を3分間に変えた以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を得た。その際、発泡成形体中の発泡粒子の内圧と2次発泡力を評価した結果は表1の通りであった。
ポリ乳酸系発泡粒子を作製する際に、ポリ乳酸系発泡粒子を充填し、二酸化炭素を封入した後の密閉容器内圧力を0.3MPaで保持する時間を3分間に変えた以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を得た。その際、発泡成形体中の発泡粒子の内圧と2次発泡力を評価した結果は表1の通りであった。
(実施例3)
ポリ乳酸系発泡粒子を作製する際に、ポリ乳酸系発泡粒子を充填し、二酸化炭素を封入した後の密閉容器内圧力を0.3MPaで保持する時間を5分間に変えた以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を得た。その際、発泡成形体中の発泡粒子の内圧と2次発泡力を評価した結果は表1,2の通りであった。
ポリ乳酸系発泡粒子を作製する際に、ポリ乳酸系発泡粒子を充填し、二酸化炭素を封入した後の密閉容器内圧力を0.3MPaで保持する時間を5分間に変えた以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を得た。その際、発泡成形体中の発泡粒子の内圧と2次発泡力を評価した結果は表1,2の通りであった。
(実施例4)
ポリ乳酸系発泡粒子を作製する際に、ポリ乳酸系発泡粒子を充填し、二酸化炭素を封入した後の密閉容器内圧力を0.3MPaで保持する時間を10分間に変えた以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を得た。その際、発泡成形体中の発泡粒子の内圧と2次発泡力を評価した結果は表1の通りであった。
ポリ乳酸系発泡粒子を作製する際に、ポリ乳酸系発泡粒子を充填し、二酸化炭素を封入した後の密閉容器内圧力を0.3MPaで保持する時間を10分間に変えた以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を得た。その際、発泡成形体中の発泡粒子の内圧と2次発泡力を評価した結果は表1の通りであった。
(比較例1)
ポリ乳酸系発泡粒子を作製する際に、密閉容器に気体を封入しなかった以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を得た。その際、発泡成形体中の発泡粒子の内圧と2次発泡力を評価した結果は表1の通りであった。
ポリ乳酸系発泡粒子を作製する際に、密閉容器に気体を封入しなかった以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を得た。その際、発泡成形体中の発泡粒子の内圧と2次発泡力を評価した結果は表1の通りであった。
(比較例2)
ポリ乳酸系発泡粒子を作製する際に、密閉容器に封入する気体をエアーとし、エアー封入後の密閉容器内圧力を0.3MPaで保持する時間を3分間に変えた以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を得た。その際、発泡成形体中の発泡粒子の内圧と2次発泡力を評価した結果は表1〜4の通りであった。
ポリ乳酸系発泡粒子を作製する際に、密閉容器に封入する気体をエアーとし、エアー封入後の密閉容器内圧力を0.3MPaで保持する時間を3分間に変えた以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を得た。その際、発泡成形体中の発泡粒子の内圧と2次発泡力を評価した結果は表1〜4の通りであった。
(比較例3)
ポリ乳酸系発泡粒子を作製する際に、密閉容器に封入する気体をエアーとし、エアー封入後の密閉容器内圧力を0.3MPaで保持する時間を60分間に変えた以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を得た。その際、発泡成形体中の発泡粒子の内圧と2次発泡力を評価した結果は表1〜4の通りであった。
ポリ乳酸系発泡粒子を作製する際に、密閉容器に封入する気体をエアーとし、エアー封入後の密閉容器内圧力を0.3MPaで保持する時間を60分間に変えた以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を得た。その際、発泡成形体中の発泡粒子の内圧と2次発泡力を評価した結果は表1〜4の通りであった。
(比較例4)
ポリ乳酸系発泡性粒子を作製する際に、発泡剤として二酸化炭素を使用し、またポリ乳酸系発泡粒子を作製する際に、ポリ乳酸系発泡粒子を充填し、二酸化炭素を封入した後の密閉容器内圧力を0.3MPaで保持する時間を3分間に変えた以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を得た。その際、発泡成形体中の発泡粒子の内圧と2次発泡力を評価した結果は表1の通りであった。
ポリ乳酸系発泡性粒子を作製する際に、発泡剤として二酸化炭素を使用し、またポリ乳酸系発泡粒子を作製する際に、ポリ乳酸系発泡粒子を充填し、二酸化炭素を封入した後の密閉容器内圧力を0.3MPaで保持する時間を3分間に変えた以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を得た。その際、発泡成形体中の発泡粒子の内圧と2次発泡力を評価した結果は表1の通りであった。
実施例1〜4、及び比較例1〜4より、2.0を越える2次発泡力を得ようとすると、内圧付与がエアーによる場合、同じ発泡剤であっても付与時間を60分間以上の長い時間が必要であるが、本発明に従えば1分間でも同等の2次発泡力が得られた。しかも、内圧付与圧力が0.3MPaであれば、それを1分間以上維持すれば従来技術同等以上の2次発泡力が得られた。一方、発泡剤として二酸化炭素を用いた比較例4では、得られた発泡粒子に二酸化炭素で内圧付与を行っても、内圧付与は十分でなく、2次発泡力は低いものであった。
(実施例5)
ポリ乳酸系発泡粒子を作製する際に、ポリ乳酸系発泡粒子を充填し、二酸化炭素を封入した後の密閉容器内圧力を0.1MPaに変え、さらにその保持時間を3分間に変えた以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を得た。その際、発泡成形体中の発泡粒子の内圧と2次発泡力を評価した結果は表2の通りであった。
ポリ乳酸系発泡粒子を作製する際に、ポリ乳酸系発泡粒子を充填し、二酸化炭素を封入した後の密閉容器内圧力を0.1MPaに変え、さらにその保持時間を3分間に変えた以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を得た。その際、発泡成形体中の発泡粒子の内圧と2次発泡力を評価した結果は表2の通りであった。
(実施例6)
ポリ乳酸系発泡粒子を作製する際に、ポリ乳酸系発泡粒子を充填し、二酸化炭素を封入した後の密閉容器内圧力を0.5MPaに変え、さらにその保持時間を3分間に変えた以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を得た。その際、発泡成形体中の発泡粒子の内圧と2次発泡力を評価した結果は表2の通りであった。
ポリ乳酸系発泡粒子を作製する際に、ポリ乳酸系発泡粒子を充填し、二酸化炭素を封入した後の密閉容器内圧力を0.5MPaに変え、さらにその保持時間を3分間に変えた以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を得た。その際、発泡成形体中の発泡粒子の内圧と2次発泡力を評価した結果は表2の通りであった。
(実施例7)
ポリ乳酸系発泡粒子を作製する際に、ポリ乳酸系発泡粒子を充填し、二酸化炭素を封入した後の密閉容器内圧力を1.0MPaに変え、さらにその保持時間を3分間に変えた以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を得た。その際、発泡成形体中の発泡粒子の内圧と2次発泡力を評価した結果は表2の通りであった。
ポリ乳酸系発泡粒子を作製する際に、ポリ乳酸系発泡粒子を充填し、二酸化炭素を封入した後の密閉容器内圧力を1.0MPaに変え、さらにその保持時間を3分間に変えた以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を得た。その際、発泡成形体中の発泡粒子の内圧と2次発泡力を評価した結果は表2の通りであった。
実施例3、5〜7及び比較例2、3より、内圧付与が二酸化炭素による場合、3分間という短い時間でも0.1MPa以上の圧力を維持すれば、エアー付与以上の効果が得られた。また、二酸化炭素付与では内圧付与圧力は、高いほど2次発泡力が上がった。
(実施例8)
ポリ乳酸系発泡粒子を作製する際に、熟成後のポリ乳酸系発泡粒子を充填し、二酸化炭素を封入した後の密閉容器内圧力を0.5MPaに変えた以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を得た。その際、発泡成形体中の発泡粒子の内圧と2次発泡力を評価した結果は表3の通りであった。
ポリ乳酸系発泡粒子を作製する際に、熟成後のポリ乳酸系発泡粒子を充填し、二酸化炭素を封入した後の密閉容器内圧力を0.5MPaに変えた以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を得た。その際、発泡成形体中の発泡粒子の内圧と2次発泡力を評価した結果は表3の通りであった。
実施例1、8及び比較例2、3より、内圧付与が二酸化炭素による場合、1分間という短い時間でも0.3MPa以上の圧力を維持すれば、エアー付与(従来技術)以上の効果が得られた。
(実施例9)
ポリ乳酸系発泡粒子を作製する際に、熟成後のポリ乳酸系発泡粒子を充填し、二酸化炭素を封入した後の密閉容器内圧力を0.5MPaに変え、さらにその保持時間を5分間に変えた以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を得た。その際、発泡成形体中の発泡粒子の内圧と2次発泡力を評価した結果は表4の通りであった。
ポリ乳酸系発泡粒子を作製する際に、熟成後のポリ乳酸系発泡粒子を充填し、二酸化炭素を封入した後の密閉容器内圧力を0.5MPaに変え、さらにその保持時間を5分間に変えた以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を得た。その際、発泡成形体中の発泡粒子の内圧と2次発泡力を評価した結果は表4の通りであった。
(実施例10)
ポリ乳酸系発泡粒子を作製する際に、熟成後のポリ乳酸系発泡粒子を充填し、二酸化炭素を封入した後の密閉容器内圧力を0.5MPaに変え、さらにその保持時間を10分間に変えた以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を得た。その際、発泡成形体中の発泡粒子の内圧と2次発泡力を評価した結果は表4の通りであった。
ポリ乳酸系発泡粒子を作製する際に、熟成後のポリ乳酸系発泡粒子を充填し、二酸化炭素を封入した後の密閉容器内圧力を0.5MPaに変え、さらにその保持時間を10分間に変えた以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を得た。その際、発泡成形体中の発泡粒子の内圧と2次発泡力を評価した結果は表4の通りであった。
実施例6、8〜10及び比較例2、3内圧付与圧力が0.5MPaであれば、それを1分間以上維持すれば従来技術を越える2次発泡力が得られた。
Claims (3)
- 炭化水素系発泡剤を含有するポリ乳酸系発泡粒子に、二酸化炭素により0.1MPa以上、2.0MPa未満の圧力で、0.5分間以上、10分間未満の時間保持することで内圧を付与した後、二酸化炭素により内圧が付与されたポリ乳酸系発泡粒子を型内成形することを特徴とするポリ乳酸系発泡成形体の製造方法。
- 炭化水素系発泡剤が炭素数3−6の脂肪族炭化水素である請求項1記載のポリ乳酸系発泡成形体の製造方法。
- ポリ乳酸系発泡粒子が、ポリ乳酸系樹脂を主成分としており、該ポリ乳酸系樹脂をゲル化処理したものである請求項1又は2記載のポリ乳酸系発泡成形体の製造方法。
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