JP4807834B2 - 発泡性ポリ乳酸樹脂粒子、ポリ乳酸発泡粒子、及びポリ乳酸発泡粒子成形体 - Google Patents
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Description
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、用いるポリ乳酸系樹脂の結晶性が高いため、発泡粒子を型内成形する際に141〜161℃の高温のスチームを用いなければならないことから、高圧に耐えうる特殊な成形機が必要であるという問題があった。しかも、型内成形に必要なスチームの供給量も多大なるものであった。さらに発泡粒子を成形する際に高温のスチームを用いることから、結晶性が高いとはいえ、結晶化していない部分がスチームで加熱分解してしまい、得られた型内発泡成形体は収縮し、その表面に凹凸が発生してしまうものであった。
すなわち、本発明によれば、以下に示す発泡性ポリ乳酸樹脂粒子、ポリ乳酸発泡粒子、及びポリ乳酸発泡粒子成形体が提供される。
〔1〕 乳酸成分単位を50モル%以上含むポリ乳酸を基材樹脂とする樹脂粒子であって、ポリオレフィンワックスの配合量が前記基材樹脂100重量部に対して0.0001〜1重量部、発泡剤の含有量が1〜30重量%であり、該ポリオレフィンワックスがポリエチレンワックスであることを特徴とする発泡性ポリ乳酸樹脂粒子。
〔2〕 該ポリオレフィンワックスの融点が80〜125℃であることを特徴とする前記〔1〕に記載の発泡性ポリ乳酸樹脂粒子。
〔3〕 該ポリオレフィンワックスの結晶化度が70%以上であることを特徴とする前記〔1〕または〔2〕に記載の発泡性ポリ乳酸樹脂粒子。
〔4〕 該ポリオレフィンワックスの数平均分子量が500〜6000であることを特徴とする前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の発泡性ポリ乳酸樹脂粒子。
〔5〕 該ポリオレフィンワックスの分子量分布指数が1.0〜3.0であることを特徴とする前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の発泡性ポリ乳酸樹脂粒子。
〔6〕 乳酸成分単位を50モル%以上含むポリ乳酸を基材樹脂とする発泡粒子であって、前記基材樹脂中にポリオレフィンワックスを含有し、該ポリオレフィンワックスがポリエチレンワックスであり、発泡粒子全体の平均気泡径が10〜500μmであることを特徴とするポリ乳酸発泡粒子。
〔7〕 該ポリ乳酸発泡粒子断面において、発泡粒子表層部の平均気泡径が発泡粒子全体の平均気泡径よりも大きいことを特徴とする前記〔6〕に記載のポリ乳酸発泡粒子。
〔8〕 前記〔6〕または〔7〕に記載のポリ乳酸発泡粒子を型内成形して得られることを特徴とするポリ乳酸発泡粒子成形体。
本発明の請求項2に係わる発明の発泡性ポリ乳酸樹脂粒子は、特定のポリエチレンワックスが配合されているので、加熱発泡させることにより、微細な気泡のポリ乳酸発泡粒子を容易に安定して得ることができるものである。
本発明の請求項3、4に係わる発明の発泡性ポリ乳酸樹脂粒子は、特定の結晶化度や数平均分子量を有するポリエチレンワックスが配合されているので、加熱発泡時の発泡性に特に優れるものである。
本発明の請求項5に係わる発明の発泡性ポリ乳酸樹脂粒子は、特定の分子量分布指数を有するポリエチレンワックスが配合されているので、加熱発泡時の発泡性、及び微細気泡形成効果に特に優れるものである。
本発明の請求項6に係わる発明のポリ乳酸発泡粒子は、ポリエチレンワックスを含有し、特定の平均気泡径を有するので、型内成形時の発泡粒子相互の融着性に優れ、外観、寸法安定性、機械的物性に優れる発泡粒子成形体を成形できるものである。
本発明の請求項7に係わる発明のポリ乳酸発泡粒子は、発泡粒子表層部の平均気泡径が発泡粒子全体の平均気泡径よりも大きいので、型内成形時の発泡粒子相互の融着性において特に優れるものである。
本発明の請求項8に係わる発明のポリ乳酸発泡粒子成形体は、前記ポリ乳酸発泡粒子を成形することにより得られたものであり、発泡粒子相互の融着性に優れ、外観、寸法安定性、機械的物性に優れるものである。
本発明の発泡性ポリ乳酸樹脂粒子(以下、単に発泡性樹脂粒子ともいう。)は、乳酸成分単位を50モル%以上含むポリ乳酸を基材樹脂とする発泡性樹脂粒子である。
(試験片の状態調節およびDSC曲線の測定条件)
試験片をDSC装置の容器に入れ、200℃まで加熱溶融させ、その温度に10分間保った後、110℃まで2℃/分の冷却速度にて冷却し、その温度に120分間保った後、40℃まで2℃/分の冷却速度にて冷却する熱処理後、再度、2℃/分の加熱速度にて吸熱ピーク終了時より約30℃高い温度まで加熱溶融させる際にDSC曲線を得る。尚、ポリ乳酸の吸熱量は、該DSC曲線の吸熱ピークの低温側のベースラインから吸熱ピークが離れる点を点aとし、吸熱ピークが高温側のベースラインへ戻る点を点bとして、点aと点bとを結ぶ直線と、DSC曲線に囲まれる部分の面積から求められる値とする。また、ベースラインはできるだけ直線になるように装置を調節することとし、どうしてもベースラインが湾曲してしまう場合は、吸熱ピークの低温側の湾曲したベースラインをその曲線の湾曲状態を維持して高温側へ延長する作図により明らかになる、該湾曲した低温側のベースラインから吸熱ピークが離れる点を点a、吸熱ピークの高温側の湾曲したベースラインをその曲線の湾曲状態を維持して低温側へ延長する作図により明らかになる、該湾曲した高温側ベースラインへ吸熱ピークが戻る点を点bとする。
なお、上記吸熱量の測定において、試験片の前記熱処理条件を採用する理由は、ポリ乳酸試験片の結晶化を極力進ませて、完全に結晶化した状態、或いは、それに近い状態に調整されたものとするためである。更に、DSC曲線の測定条件として2℃/分の加熱速度を採用する理由は、上記吸熱量の測定において発熱ピークが現れる場合、発熱ピークと吸熱ピークとをなるべく分離し、正確な吸熱量を熱流束示差走査熱量測定にて求める際に、2℃/分の加熱速度が好適であるという発明者の知見に基づく。
なお、本発明においては、ポリエチレンワックスが選択される。
GPCのカラム温度を135℃に設定し、移動相としてo−ジクロロベンゼンを1.0ml/分の流速でカラムに流し、検出器には示差屈折計を用いる。
測定試料のポリオレフィンワックスをo−ジクロロベンゼンに140℃で溶解させ、濃度0.1重量%の溶液を調製し、該溶液をGPCに注入する。
得られた溶出曲線を標準ポリスチレンから得られた3次近似式で較正しポリオレフィンワックスの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)を求める。また、得られたMwをMnで除して、分子量分布指数を求める。
具体的には、1〜2mgのポリオレフィンワックスをDSC装置のサンプル容器に入れて−30℃まで冷却し、その温度に10分間保った後、160℃まで10℃/分の昇温速度にて加熱し、DSC曲線を得る。DSC曲線の吸熱ピークのピーク温度をポリオレフィンワックスの融点とする。尚、DSC曲線上に複数の吸熱ピークが現れる場合には、最も吸熱量の大きい吸熱ピークのピーク温度をポリオレフィンワックスの融点とする。
具体的には、1〜2mgのポリオレフィンワックスをDSC装置のサンプル容器に入れ、−30℃まで冷却し、その温度に10分間保った後、160℃まで10℃/分の昇温速度にて加熱し、DSC曲線を得る。該DSC曲線において低温側のベースラインから吸熱ピークが離れる点を点aとし、吸熱ピークが高温側のベースラインへ戻る点を点bとして、点aと点bとを結ぶ直線と、DSC曲線に囲まれる部分の面積から融解熱量ΔHm(J/g)を求め、完全結晶ポリオレフィンワックスの融解熱量ΔH°(J/g)に対する比率として下記(1)式により結晶化度を求める。完全結晶ポリオレフィンワックスの融解熱量ΔH°(J/g)は、文献値(高分子学会編「高分子データハンドブック・基礎編」培風館(1986)など)を利用することができる。なお、本発明においては、ポリオレフィンワックスがポリエチレンの場合にはΔH°の値として292J/g、ポリオレフィンワックスがポリプロピレンの場合にはΔH°の値として165J/gを用いた。
ΔHm:ポリオレフィンワックスの融解熱量(J/g)
ΔH°:完全結晶ポリオレフィンワックスの融解熱量(J/g)
また発泡性樹脂粒子には、難燃剤、帯電防止剤、耐候剤、増粘剤、タルクや炭酸カルシウムなどの無機フィラー等の添加剤を本発明の目的、効果が達成できる範囲内で添加しても良い。
まず、ポリ乳酸からなる前記基材樹脂を用いて樹脂粒子を作成する。具体的には、基材樹脂及び所定量のポリオレフィンワックスを押出機に投入して、該樹脂が十分溶融する温度以上に加熱して溶融混練した後、細孔が形成されたダイよりストランド状に押し出し、直ちに該ストランド状の押出物を水中に導入し冷却した後、適当な長さに切断する、又はストランドを適宜長さに切断後または切断と同時に冷却することによって、樹脂粒子を作成する。あるいは基材樹脂を押出機に投入して、該樹脂が十分溶融する温度以上に加熱して溶融混練した後、細孔が形成されたダイより水中に押し出し、該押出物を水中でカッターにより切断することによっても、樹脂粒子を得ることができる。あるいは基材樹脂を押出機に投入して、該樹脂が十分溶融する温度以上に加熱して溶融混練した後、板状または塊状に押し出し、該押出物を冷却プレス等により冷却した後、該冷却樹脂を破砕したり、格子状に破断したりすることによっても、樹脂粒子を得ることができる。
このような気泡の混入や樹脂の劣化を抑制するために、ベント口付き押出機を使用して、真空吸引して基材樹脂から水分を除去する方法も採用できる。
また、押出温度は基材樹脂の分子量低下が起きないように樹脂温度が200℃を超えない条件とすることが好ましい。
先ず、物理発泡剤を含有している樹脂粒子(約10g)の重量w1(g)を秤量する。但し、物理発泡剤を含有している樹脂粒子の表面に水分が付着している場合には、該樹脂粒子(20〜30g)に乾燥エアを5分間吹きかけて表面の水分を除去した後、上記重量w1(g)を秤量する。次に物理発泡剤を含有している該樹脂粒子をデシケーターに入れ、23℃で1.5kPa以下に減圧して恒量に到達するまで(概ね48時間以上)保持して物理発泡剤を除去し、物理発泡剤を除去した樹脂粒子の重量w2(g)を秤量する。樹脂粒子の重量測定は0.0001gの位まで秤量する。物理発泡剤の除去前後の樹脂粒子の重量変化より、下記(2)式により、物理発泡剤の含有量を求める。
w1:物理発泡剤を含有している樹脂粒子の重量(g)
w2:物理発泡剤を除去した樹脂粒子の重量(g)
本発明の発泡粒子は、乳酸成分単位を50モル%以上含むポリ乳酸を基材樹脂とする。該ポリ乳酸としては、前記発泡性樹脂粒子を構成するポリ乳酸と同様のものが挙げられ、該ポリ乳酸からなる基材樹脂としては、前記発泡性樹脂粒子を構成するポリ乳酸と同様のものが挙げられる。
尚、平均気泡径はポリオレフィンワックスの含有量、即ち、発泡粒子を得るために使用される樹脂粒子のポリオレフィンワックスの配合量により調整される。
発泡粒子を略二分割し断面を走査型電子顕微鏡にて観察写真を撮影する。得られた観察写真において、発泡粒子断面の中心を通るように直線を引き、直線上に存在する全ての気泡の個数を求め、直線の長さを気泡数により除して気泡径を求める。この操作を10個以上の発泡粒子について行ない、得られた各発泡粒子の気泡径の算術平均値を発泡粒子全体の平均気泡径とする。尚、上記気泡数の測定において、直線と一部でも交わる気泡は気泡1個として数えることとする。
発泡粒子表層部の平均気泡径は、前記観察写真において、発泡粒子断面の中心を通るように直線を引き、直線上に存在し、且つ発泡粒子表面から300μm内側までの範囲に気泡全体が存在する気泡の個数を求め、更に直線上の該気泡に掛かっている線分の長さを求め、線分の長さを該気泡数により除して気泡径を求める。この操作を10個以上の発泡粒子について行ない、得られた各発泡粒子表層部の気泡径の算術平均値を発泡粒子表層部の平均気泡径とする。尚、上記表層部の気泡数の測定において、発泡粒子表面から300μm内側までの範囲に気泡全体が存在する気泡の個数が0の場合には、発泡粒子断面の中心を通る直線上の最も外側に存在する気泡を対象として、直線上の該気泡に掛かっている線分の長さを表層部の気泡径とし、この操作を10個以上の発泡粒子について行ない、得られた各発泡粒子表層部の気泡径の算術平均値を発泡粒子表層部の平均気泡径とする。
1Lのメスシリンダーを用意し、発泡粒子をメスシリンダーの1Lの標線まで充填し、充填された発泡粒子の重量(g)を0.1gの位まで秤量する。得られた1Lあたりの発泡粒子の重量WP(g)より、下記(3)式より求める。また、発泡粒子の見掛け密度は、発泡粒子を水没させてその水位上昇分から発泡粒子の体積を求めて、水没させた発泡粒子の重量を該発泡粒子の体積にて除することにより求められる値である。
発泡粒子の嵩密度(kg/m3)
={WP(g)×0.001(kg/g)}/{1(L)×0.001(m3/L)}
・・・(3)
尚、得られた発泡粒子は高温、高湿条件下を避けて加水分解しないような条件下で保存することが好ましい。
上記可塑剤とは、発泡性樹脂粒子に含有させることによりポリ乳酸系樹脂のガラス転移温度を低下させる機能を有するものをいう。具体的には、使用する可塑剤の種類と量にもよるが、ガラス転移温度を0.5〜20℃低下させるものが好ましく、1〜15℃低下させるものがより好ましい。
該グリセリン脂肪酸エステルは、炭素数8〜16の飽和脂肪酸を有するジアセチルモノアシルグリセロールを75質量%以上含有するグリセリン脂肪酸エステルである。不飽和脂肪酸から構成される脂肪酸モノグリセライド、飽和脂肪酸から構成される脂肪酸ジグリセライドや脂肪酸トリグリセライドは、ポリ乳酸との相溶性に劣る為に本発明の効果が得られない虞れがある。好ましいグリセリン脂肪酸エステルとしては、炭素数8のカプリル酸、炭素数10のカプリン酸、炭素数12のラウリン酸、炭素数14のミリスチン酸、炭素数16のパルミチン酸から選ばれる少なくとも1種の飽和脂肪酸から構成される脂肪酸モノグリセライド及び/又はそのアセチル化物を75質量%以上含有するグリセリン脂肪酸エステルが挙げられる。さらに好ましく用いられるものとしては、ポリ乳酸への相溶性が特に良好な炭素数8〜12の飽和脂肪酸モノグリセライドのアセチル化物が挙げられ、例えば、グリセリンジアセトモノカブリレート、グリセリンジアセトモノカブレート、グリセリンジアセチルモノラウレート及びその類似のものが挙げられる。また、グリセリントリアセテート、グリセリントリブチレート、グリセリントリプロピオネート、及びその類似物も用いられる。これらの中でもグリセロールジアセトモノカプリレートが好ましく用いられ、具体的には、理研ビタミン(株)社製「商品名リケマールPL−019」が市販されている。
R(OR’)nOOC−R”−COO(R’O)mR (1)
(1)式において、Rはアルキル基を示し、R’はアルキレン基を示し、R”はアルキレン基を含む2価の有機基を示し、m及びnは各々独立に1〜500を示す。
(1)式のRで表されるアルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2−エチルへキシル、ノニル、デシル、イソデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル等の炭素数1〜20のものが挙げられる。
また、R’で表されるアルキレンとしては、例えばエチレン、1,2−プロピレン、1,2−ブチレン、1,4−ブチレン等の炭素数2〜8のものが挙げられる。
前記グリコールエステル誘導体としては、トリエチレングリコールジアセテートの他、その類似のものが利用できる。
前記クエン酸誘導体としては、アセチルクエン酸トリブチルの他、その類似のものが利用できる。
前記アジピン酸誘導体としては、ジメチルアジペート、ジエチルアジペート、ジブチルアジペート、ジオクチルアジペートの他、その類似のものが挙げられる。
Ro−COO−((CHR1)l(CHR2)m−O)n((CHR3)l’(CHR4)m’−O)n’−R5 (2)
(式中、Roはロジン類残基、R1、R2、R3、R4は水素原子またはメチル基、R5は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アシル基、l、l’は0〜6の整数、m、m’は0〜6の整数(ただし、1≦l+m≦6、1≦l’+m’ ≦6)、n、n’は0〜7の整数(ただし、1≦n+n’ ≦7)を表す。)
Th−OOC−R (3)
(式中、Thはテトラヒドロフルフリルアルコール残基、Rはアルキル基、アルケニル基、アリール基、少なくとも1つの水素が水酸基により置換されたアリール基、ロジン残基、一般式(4):−COOThまたは一般式(5):−X−(COOY)n(Xはアリール基、少なくとも1つの水素が水酸基により置換されたアリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基または少なくとも1つの水素がアシル化水酸基に置換されていても良いアルキレン基もしくはアルケニレン基、Yはアルキル基またはテトラヒドロフルフリルアルコール残基、nは1〜4の整数を表す)で表される置換基を表す。)
1)ポリ乳酸系樹脂と所望の添加剤を溶融混練して樹脂粒子を作製する樹脂粒子作製工程、2)樹脂粒子に発泡剤を含浸させる発泡剤含浸工程、3)発泡剤を含浸した樹脂粒子を発泡させる発泡工程、また、4)上記1)と2)を合わせたポリ乳酸系樹脂、所望の添加剤及び発泡剤を、押出機を用いて溶融混練して発泡剤を含浸した樹脂粒子を作製する発泡性樹脂粒子作製工程。
また前記2)の発泡剤含浸工程の中で、或いはその前やその後に可塑剤を樹脂粒子の少なくとも表層に含有させる方法が挙げられる。
また4)の発泡工程において、ポリ乳酸系樹脂、発泡剤、可塑剤を添加したポリ乳酸系樹脂組成物を、押出機を用いて溶融混練して発泡剤を含浸した樹脂粒子を作製する方法が挙げられる。
具体的には、密閉容器内において発泡剤の存在下で樹脂粒子と共に可塑剤を水性媒体中分散媒に分散させ、水性媒体中を温度調整しつつ攪拌して、樹脂粒子内に発泡剤を含浸させ、同時に可塑剤を含浸させる。この方法によれば、発泡粒子の少なくとも表層に可塑剤を均一に含ませることができ、さらには均一な気泡形状の発泡粒子を得ることができる。
この方法の場合、該可塑剤は、発泡剤含浸工程で用いる水性媒体中に分散させることが容易なことから、液体が好ましい。
発泡粒子成形体の見掛け密度(kg/m3)
={WM(g)×0.001(kg/g)}/{VM(L)×0.001(m3/L)}
・・・(4)
成形型に充填される、内部圧力が高められた発泡粒子を約1L分取り出して60秒以内に相対湿度50%、23℃の大気圧下の恒温恒湿室に移動し、その恒温恒湿室内の秤に乗せ、該発泡粒子の重量を秤量する。このときの重量をW1(g)とする。次に該発泡粒子を相対湿度50%、23℃の大気圧下の恒温恒湿室内にて48時間放置する。上記48時間後の該発泡粒子の重量を恒温恒湿室内にて測定し、このときの重量をW2(g)とする。W1とW2を用いて下記(4)式により、発泡粒子内の内部圧力を求める。尚、W1及びW2のいずれの重量も0.01gまで読み取るものとする。
={(W1−W2)×0.001}/(MW×0.001)×R×296
/{(W2×0.001)×(1/D)×0.6}×0.000001
・・・(4)
W1:内部圧力が高められた発泡粒子の重量(g)
W2:48時間放置後の発泡粒子の重量(g)
MW:内部圧力を高めるために使用したガスの分子量(g/mol)
D:発泡粒子の嵩密度(kg/m3)
R:気体定数 8.31J/K・mol
結晶性ポリ乳酸(三井化学(株)製、商品名:レイシアH100)20重量部と非結晶性ポリ乳酸(三井化学(株)製、商品名:レイシアH280)80重量部、及び発泡核剤としてポリエチレンワックス(P−1:東洋ペトロライト(株)製、商品名:ポリワックス1000、数平均分子量2200、分子量分布指数1.2、融点110℃、結晶化度89%)0.01重量部をブレンドし、このブレンド物を押出機にて溶融混練した後、ストランド状に押出し、次いでこのストランドを約25℃の水中で急冷固化させた後に切断して、直径約1.2mm、長さ約1.4mm、1個当たりの平均重量が約2mgの円柱状の樹脂粒子を得た。
得られた発泡粒子成形体を40℃で12時間乾燥させた後、各種物性の評価を行った。
カラム:ポリマーラボラトリーズ社製:PLgel20μm MIXED−A、30cm
カラム温度:135℃
カラム注入量:0.5ml
表1に示すポリオレフィンワックスを用い、表2(実施例2〜5)、表3(実施例6〜10)、表4(実施例11〜14)に示すポリ乳酸の組成で発泡性樹脂粒子を製造した以外は、実施例1と同様に発泡粒子成形体を得た。得られた樹脂粒子の二酸化炭素含有量,発泡粒子の見掛け密度等を表2、表3、表4に示す。
表5に示した通り、発泡核剤としてポリオレフィンワックスを添加しなかったことを除き、実施例1と同様に発泡粒子成形体を得た。得られた発泡粒子及び発泡粒子成形体の諸物性を表5に併せて示す。
表5に示した通り、発泡核剤としてポリオレフィンワックスの代わりにタルク(日本タルク(株)製,商品名:シムゴン)を0.1部添加して用いたことを除き、実施例1と同様に発泡粒子成形体を得た。得られた発泡粒子及び発泡粒子成形体の諸物性を表5に併せて示す。
表5に示した通り、発泡核剤としてポリオレフィンワックスの代わりにステアリン酸カルシウムを0.1部添加して用いたことを除き、実施例1と同様に発泡粒子成形体を得た。得られた発泡粒子及び発泡粒子成形体の諸物性を表5に併せて示す。
表5に示した通り、発泡核剤としてポリオレフィンワックスの代わりにエチレンビスアマイド(花王(株)製,商品名:花王ワックスEB−FF)を0.1部添加して用いたことを除き、実施例1と同様に発泡粒子成形体を得た。得られた発泡粒子及び発泡粒子成形体の諸物性を表5に併せて示す。
◎:収縮や変形がなく、表面が平滑である。
○:角部に僅かながら収縮が認められるが,表面は平滑である。
△:端部や角部に収縮が認められ、表面に平滑でない部分が認められる。
×:著しい変形や収縮が認められる。
Claims (8)
- 乳酸成分単位を50モル%以上含むポリ乳酸を基材樹脂とする樹脂粒子であって、ポリオレフィンワックスの配合量が前記基材樹脂100重量部に対して0.0001〜1重量部、発泡剤の含有量が1〜30重量%であり、該ポリオレフィンワックスがポリエチレンワックスであることを特徴とする発泡性ポリ乳酸樹脂粒子。
- 該ポリオレフィンワックスの融点が80〜125℃であることを特徴とする請求項1に記載の発泡性ポリ乳酸樹脂粒子。
- 該ポリオレフィンワックスの結晶化度が70%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の発泡性ポリ乳酸樹脂粒子。
- 該ポリオレフィンワックスの数平均分子量が500〜6000であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の発泡性ポリ乳酸樹脂粒子。
- 該ポリオレフィンワックスの分子量分布指数が1.0〜3.0であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の発泡性ポリ乳酸樹脂粒子。
- 乳酸成分単位を50モル%以上含むポリ乳酸を基材樹脂とする発泡粒子であって、前記基材樹脂中にポリオレフィンワックスを含有し、該ポリオレフィンワックスがポリエチレンワックスであり、発泡粒子全体の平均気泡径が10〜500μmであることを特徴とするポリ乳酸発泡粒子。
- 該ポリ乳酸発泡粒子断面において、発泡粒子表層部の平均気泡径が発泡粒子全体の平均気泡径よりも大きいことを特徴とする請求項6に記載のポリ乳酸発泡粒子。
- 請求項6または7に記載のポリ乳酸発泡粒子を型内成形して得られることを特徴とするポリ乳酸発泡粒子成形体。
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