JP4225477B2 - ポリ乳酸系樹脂型内発泡成形体の製造方法及びポリ乳酸系樹脂型内発泡成形体 - Google Patents

ポリ乳酸系樹脂型内発泡成形体の製造方法及びポリ乳酸系樹脂型内発泡成形体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は微生物分解性を有するポリ乳酸系樹脂型内発泡成形体の製造方法及びポリ乳酸系樹脂型内発泡成形体に関する、更に詳しくは耐熱性に優れたポリ乳酸系樹脂型内発泡成形体の製造方法及びポリ乳酸系樹脂型内発泡成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂等の汎用樹脂からなる型内発泡成形体は包装用緩衝材、農産箱、魚箱、自動車部材、建築材料、土木材料等幅広く使用されてきた。しかしながら、これらの汎用樹脂からなる型内発泡成形体は、使用後に自然環境下で放置された場合、土中の微生物により分解されることが殆どないので、環境汚染の問題を引き起こす虞がある。
【0003】
かかる問題を解決するために、土中の微生物により分解される生分解樹脂の開発が行なわれてきた。その一例として、微生物分解性ポリ乳酸系樹脂が挙げられる。該ポリ乳酸系樹脂は、微生物分解性を有する上に人体に対する安全性にも優れているので、例えば外科用の縫合糸として実用化されており、長年にわたる実績を収めている。しかも近年、ポリ乳酸系樹脂の原料である乳酸が、とうもろこし等を原料とする発酵法により、大量かつ安価に製造されるようになったことから、ポリ乳酸系樹脂を原料とする発泡体の開発が行なわれている。
【0004】
その中でも、ポリ乳酸系樹脂からなる発泡粒子成形体は、形状的な制約を比較的受けずに所望の形状にすることができ、軽量性、緩衝性、断熱性などの目的に応じた物性設計も容易であるため実用性のあるものとして特に有望である。ポリ乳酸からなる発泡粒子成形体に関する先行技術としては、特開2002−20525号公報(特許文献1)、特開2000−136261号公報(特許文献2)がある。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、用いるポリ乳酸系樹脂の結晶性が高いため、発泡粒子を型内成形する際に156〜165℃の高温のスチーム(0.45〜0.60MPaG)を用いなければならないことから、高圧に耐えうる特殊な成形機が必要であるという問題があった。しかも、型内成形に必要なスチームの供給量も多大なるものであった。さらに発泡粒子を成形する際に高温のスチームを用いることから、結晶性が高いと言えども結晶化していない部分がスチームで加熱分解してしまい、得られた型内発泡成形体は、収縮し、その表面に凹凸が発生してしまうものである。
また、特許文献2に記載の技術においては、発泡粒子を低温のスチームで成形できるものの、得られた型内発泡成形体は、耐熱性がないことからその使用範囲が限られるものであった。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−20525号公報
【特許文献2】
特開2000−136261号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐熱性が向上するポリ乳酸系樹脂型内発泡成形体の製造方法及び耐熱性が向上したポリ乳酸系樹脂型内発泡成形体を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明者らは鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明によれば、以下に示すポリ乳酸系樹脂型内発泡成形体及びその製造方法が提供される。
〔1〕加熱速度2℃/minでの示差走査熱量測定における吸熱量(Rendo)が10J/g以上のポリ乳酸系樹脂を基材樹脂とし、加熱速度2℃/minでの示差走査熱量測定における発熱量(Bexo)と吸熱量(Bendo)との比(Bexo/Bendo)が0.20を超え、該吸熱量(Bendo)と該発熱量(Bexo)との差(Bendo−Bexo)が0J/g以上15J/g未満である該発泡粒子を用い、該発泡粒子を相互に融着させて型内発泡成形体を得る成形工程と、該成形工程で得られた型内発泡成形体を温度が[Tg+5]〜[Tg+30]℃の雰囲気下に保持する養生工程とを含む型内発泡成形体の製造方法であって、該養生工程により加熱速度2℃/minでの示差走査熱量測定における型内発泡成形体の発熱量(bFexo)と吸熱量(bFendo)との比(bFexo/bFendo)が0〜0.20であり、該吸熱量(bFendo)と該発熱量(bFexo)との差(bFendo−bFexo)が15J/g以上の型内発泡成形体を得ることを特徴とするポリ乳酸系樹脂型内発泡成形体の製造方法(但し、前記Tgは加熱速度10℃/minでの示差走査熱量測定における基材樹脂の中間点ガラス転移温度である)。
〔2〕加熱速度2℃/minでの示差走査熱量測定における吸熱量(Rendo)が10J/g以上であるポリ乳酸系樹脂を基材樹脂とする発泡粒子を相互に融着させて型内発泡成形体を得る成形工程と、該成形工程で得られた加熱速度2℃/minでの示差走査熱量測定における型内発泡成形体の発熱量(aFexo)が5J/g以上である該型内発泡成形体を温度が[Tg+5]〜[Tg+30]℃の雰囲気下に保持する養生工程とを含む型内発泡成形体の製造方法であって、該養生工程により、加熱速度2℃/minでの示差走査熱量測定における該養生工程で得られた型内発泡成形体の発熱量(bFexo)と該発熱量(aFexo)との比(bFexo/aFexo)が0〜0.50である型内発泡成形体を得ることを特徴とするポリ乳酸系樹脂型内発泡成形体の製造方法(但し、前記Tgは加熱速度10℃/minでの示差走査熱量測定における基材樹脂の中間点ガラス転移温度である)。
〔3〕該基材樹脂が、結晶性のポリ乳酸系樹脂と非結晶性のポリ乳酸系樹脂とからなることを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕に記載のポリ乳酸系樹脂型内発泡成形体の製造方法。
〔4〕基材樹脂が、結晶性のポリ乳酸系樹脂と非結晶性のポリ乳酸系樹脂とからなる発泡粒子を相互に融着してなる型内発泡成形体であって、加熱速度2℃/minでの示差走査熱量測定における該型内発泡成形体の発熱量(bFexo)と吸熱量(bFendo)との比(bFexo/bFendo)が0〜0.20であることを特徴とするポリ乳酸系樹脂型内発泡成形体。
〔5〕加熱速度2℃/minでの示差走査熱量測定における該基材樹脂の吸熱量(Rendo)が10J/g以上であることを特徴とする前記〔4〕に記載のポリ乳酸系樹脂型内発泡成形体。
〔6〕該型内発泡成形体の該吸熱量(bFendo)と該発熱量(bFexo)との差(bFendo−bFexo)が15J/g以上であることを特徴とする前記〔4〕に記載のポリ乳酸系樹脂型内発泡成形体。
〔7〕該基材樹脂が、結晶性のポリ乳酸系樹脂(i)10重量部以上90重量部以下と、非結晶性のポリ乳酸系樹脂(ii)10重量部以上90重量部以下とからなる(但し、(i)と(ii)との合計が100重量部である)ことを特徴とする前記〔4〕〜〔6〕いずれかに記載のポリ乳酸系樹脂型内発泡成形体。
を要旨とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のポリ乳酸系樹脂型内発泡成形体(以下、単に型内発泡成形体ともいう。)の製造方法においては、ポリ乳酸系樹脂を基材樹脂とする発泡粒子(以下、単に発泡粒子ともいう)を用いる。前記ポリ乳酸系樹脂とは、乳酸成分単位を50モル%以上含むポリマーを言う。このものには、例えば、(1)乳酸の重合体、(2)乳酸と他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸とのコポリマー、(3)乳酸と脂肪族多価アルコールと脂肪族多価カルボン酸とのコポリマー、(4)乳酸と他の脂肪族多価カルボン酸とのコポリマー、(5)乳酸と多価アルコールとのコポリマー、(6)前記(1)〜(5)の何れかの組み合わせによる混合物等が包含される。尚、上記乳酸の具体例としては、L−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸又はそれらの環状2量体であるL−ラクチド、D−ラクチド、DL−ラクチド又はそれらの混合物を挙げることができる。
【0010】
また、前記他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸等が挙げられる。また、前記脂肪族多価アルコールとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリット等が挙げられる。また、前記脂肪族多価カルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、無水コハク酸、無水アジピン酸、トリメシン酸、プロパントリカルボン酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられる。
【0011】
本発明方法において用いるポリ乳酸系樹脂としては、上述したポリ乳酸系樹脂の中において、加熱速度2℃/minでの示差走査熱量測定における吸熱量(Rendo)が10J/g以上のポリ乳酸系樹脂を使用するが、該融解熱量が10J/g未満の場合は、結晶成分が少なすぎて、所望する耐熱性、剛性等を有する型内発泡成形体が得られない。上記観点から15J/g以上のものが好ましく、20J/g以上のものがより好ましく、25J/g以上のものがさらに好ましい。一方、その上限は結晶成分が多い場合は、結晶化させるために手間と時間がかかる等取り扱いが難しい虞れや結晶化してしまった発泡粒子は、高温のスチームでなければ発泡粒子相互が融着せず、得られた型内発泡成形体の表面は凹凸状となる虞れがある。かかる観点から50J/g以下が好ましく、40J/g以下がより好ましく、特に30J/g未満が好ましい。なお、一般に吸熱量はマイナスの値で表示されるが本明細書でいう吸熱量は絶対値のことをいう。
【0012】
本明細書において、ポリ乳酸系樹脂の示差走査熱量測定における吸熱量(Rendo)は、ポリ乳酸系樹脂についてJIS K7122(1987年)に記載される熱流束示差走査熱量測定によって求められる値とする。但し、ポリ乳酸系樹脂1〜4mgを試験片とし、試験片の状態調節およびDSC曲線の測定は以下の手順にて行う。試験片をDSC装置の容器に入れ、200℃まで加熱溶融させ、その温度に10分間保った後、110℃まで2℃/minの冷却速度にて冷却し、その温度に120分間保った後、40℃まで2℃/minの冷却速度にて冷却する熱処理後、再度、2℃/minの加熱速度にて融解ピーク終了時より約30℃高い温度まで加熱溶融させる際にDSC曲線を得る。尚、ポリ乳酸系樹脂の吸熱量(Rendo)は、図1に示すように、該DSC曲線の吸熱ピークの低温側のベースラインから吸熱ピークが離れる点を点aとし、吸熱ピークが高温側のベースラインへ戻る点を点bとして、点aと点bとを結ぶ直線と、DSC曲線に囲まれる部分の面積から求められる値とする。また、ベースラインはできるだけ直線になるように装置を調節することとし、どうしても図2に示すようにベースラインが湾曲してしまう場合は、吸熱ピークの低温側の湾曲したベースラインをその曲線の湾曲状態を維持して高温側へ延長する作図により明らかになる、該湾曲した低温側のベースラインから吸熱ピークが離れる点を点a、吸熱ピークの高温側の湾曲したベースラインをその曲線の湾曲状態を維持して低温側へ延長する作図により明らかになる、該湾曲した高温側ベースラインへ吸熱ピークが戻る点を点bとする。
なお、上記吸熱量(Rendo)の測定において、試験片の状態調節およびDSC曲線の測定条件として、110℃での120分間の保持、2℃/minの冷却速度および2℃/minの加熱速度を採用する理由は、ポリ乳酸試験片の結晶化を極力進ませて、完全に結晶化した状態、或いは、それに近い状態に調整されたものの吸熱量(Rendo)を該測定にて求めることを目的としている為である。
【0013】
ポリ乳酸系樹脂の製造方法の具体例としては、例えば、乳酸又は乳酸と脂肪族ヒドロキシカルボン酸の混合物を原料として、直接脱水重縮合する方法(例えば、米国特許第5,310,865号に示されている製造方法)、乳酸の環状二量体(ラクチド)を重合する開環重合法(例えば、米国特許2,758,987号に開示されている製造方法)、乳酸と脂肪族ヒドロキシカルボン酸の環状2量体、例えば、ラクチドやグリコリドとε−カプロラクトンを、触媒の存在下、重合する開環重合法(例えば、米国特許4,057,537号に開示されている製造方法)、乳酸と脂肪族二価アルコールと脂肪族二塩基酸の混合物を、直接脱水重縮合する方法(例えば、米国特許第5,428,126号に開示されている製造方法)、乳酸と脂肪族二価アルコールと脂肪族二塩基酸とポリマーを、有機溶媒存在下に縮合する方法(例えば、欧州特許公報第0712880 A2号に開示されている製造方法)、乳酸重合体を触媒の存在下、脱水重縮合反応を行うことによりポリエステル重合体を製造するに際し、少なくとも一部の工程で、固相重合を行う方法、等を挙げることができるが、その製造方法は、特に限定されない。また、少量のグリセリンのような脂肪族多価アルコール、ブタンテトラカルボン酸のような脂肪族多塩基酸、多糖類等のような多価アルコール類を共存させて、共重合させても良く、又ポリイソシアネート化合物等のような結合剤(高分子鎖延長剤)を用いて分子量を上げてもよい。また、ペンタエリスリット等の多価脂肪族アルコールに代表される分岐化剤にて分岐化させたものであってもよい。
【0014】
また、本発明の基材樹脂には、本発明の目的、効果を阻害しない範囲において他の樹脂を添加することができる。ポリ乳酸と他の樹脂との混合樹脂中にはポリ乳酸が50重量%以上、好ましくは70重量%以上、更に好ましくは90重量%以上含まれる。
尚、ポリ乳酸と混合できる他の樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられ、中でも脂肪族エステル成分単位を少なくとも35モル%含む生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂が好ましい。この場合の脂肪族ポリエステル系樹脂には、上記ポリ乳酸系樹脂以外のヒドロキシ酸重縮合物、ポリカプロラクトン等のラクトンの開環重合物、及びポリブチレンサクシネート,ポリブチレンアジペート,ポリブチレンサクシネートアジペート,ポリ(ブチレンアジペート/テレフタレート)等の脂肪族多価アルコールと脂肪族多価カルボン酸との重縮合物等が挙げられる。
【0015】
更に、本発明方法における発泡粒子は、加熱速度2℃/minでの示差走査熱量測定における発熱量(Bexo)と吸熱量(Bendo)との比(Bexo/Bendo)が0.20を超え、吸熱量(Bendo)と発熱量(Bexo)との差(Bendo−Bexo)が0J/g以上15J/g未満である。
該比(Bexo/Bendo)が0.20未満であると結晶化が進んだものとなり加熱する際、高温のスチームを必要とするため金型が開かないように型締め力が高い特殊な成形機を用いなければならない虞やその高温のスチームにより部分的な溶融が発生しそれにより収縮し、表面凹凸のない型内発泡成形体を得る成形範囲が狭くなる虞がある。また型内成形に必要なスチームの供給量も多大なるものであり生産性が悪い虞がある。上記観点から0.25以上が好ましく、0.30以上がより好ましく、通常その上限は1.00である。
【0016】
該差(Bendo−Bexo)は、昇温時に発泡粒子の結晶部分が融解する際に吸収するエネルギーである吸熱量(Bendo)と昇温時に発泡粒子の結晶化していない部分が結晶化することにより放出されるエネルギーである発熱量(Bexo)の差を表し、該差が小さいほど発泡粒子の結晶化が進んでいないことを意味し、該差が大きいほど発泡粒子の結晶化が進んでいることを意味する。差(Bendo−Bexo)が15J/g以上であると、型内成形の際、発泡粒子の二次発泡が悪化し、発泡粒子相互の融着性が悪い型内発泡成形体となる虞がある。これに対し、差(Bendo−Bexo)が前記範囲であれば、成形が容易で、型内発泡成形体の表面平滑性が優れたものとなる。上記観点から好ましくは14J/g以下、より好ましくは13J/g以下である。なお、差(Bendo−Bexo)は0J/gであってもかまわない。差(Bendo−Bexo)の値が小さいほど発泡粒子の型内成形時の加熱温度を低くできるが、あまり低すぎると型内成形時の温度調整が難しく得られる発泡粒子成形体の収縮率が不均一となる虞がある。
【0017】
本発明方法で用いる発泡粒子においては、加熱速度2℃/minでの示差走査熱量測定における吸熱量(Bendo)が10J/g以上が好ましい。この吸熱量(Bendo)が大きいほど発泡粒子の結晶成分が多く、結晶化の程度が高くなりうる能力があり、それにより耐熱性に優れたものとなる可能性があることを意味する。該吸熱量(Bendo)が10J/g未満の場合は結晶成分が少なすぎて、所望する耐熱性、剛性等を有する型内発泡成形体が得られない。上記観点から15J/g以上であることが好ましく、20J/g以上であることがより好ましい。25J/g以上であることが更に好ましい。一方、その上限は、結晶成分が多い場合、型内成形する際、高温のスチームが必要となり特殊な成形機を用いなけらばならない観点から吸熱量(Bendo)が50J/g以下が好ましく、40J/g以下がより好ましく、特に30J/g未満が好ましい。
【0018】
また、本発明方法の発泡粒子においては、発泡粒子の吸熱量(Bendo)にもよるが加熱速度2℃/minでの示差走査熱量測定における発熱量(Bexo)が5J/g以上であることが好ましい。この発熱量(Bexo)が大きいほど、結晶性の発泡粒子であっても、その結晶化が進んでいないことを意味する。該発熱量(Bexo)が5J/g未満の場合は、結晶化が進みすぎており、型内成形する際、発泡粒子相互の融着性を高めるために高温のスチームが必要となる虞れ或いはその高温のスチームにより部分的な溶融が発生しやすくなり収縮し、表面凹凸のない型内発泡成形体を得る成形範囲が狭くなる虞がある。上記観点から8J/g以上が好ましく、10J/g以上であることが更に好ましい。一方、結晶化させるためのエネルギーが多く必要である又は結晶化させるための時間が多く必要である虞れがある観点から50J/g以下が好ましく、40J/g以下がより好ましく、特に30J/g未満が好ましい。
【0019】
尚、本明細書において発泡粒子の発熱量(Bexo)および吸熱量(Bendo)は、JIS K7122−1987に記載される熱流束示差走査熱量測定によって求められる値とする。但し、発泡粒子或いは発泡粒子から切出した発泡体片1〜4mgの試験片とし、該試験片の状態調節およびDSC曲線の測定は以下の手順にて行う。試験片をDSC装置の容器に入れ、熱処理を行わず、2℃/minの加熱速度にて40℃から200℃まで昇温する際のDSC曲線を得る。尚、発泡粒子の発熱量(Bexo)は該DSC曲線の発熱ピークの低温側のベースラインから発熱ピークが離れる点を点cとし、発熱ピークが高温側のベースラインへ戻る点を点dとして、点cと点dとを結ぶ直線と、DSC曲線に囲まれる部分の面積から求められる値とする。また、発泡粒子の吸熱量(Bendo)は、該DSC曲線の吸熱ピークの低温側のベースラインから吸熱ピークが離れる点を点eとし、吸熱ピークが高温側のベースラインへ戻る点を点fとして、点eと点fとを結ぶ直線と、DSC曲線に囲まれる部分の面積から求められる値とする。尚、該DSC曲線におけるベースラインはできるだけ直線になるように装置を調節することとする。また、どうしてもベースラインが湾曲してしまう場合は、発熱ピークの低温側の湾曲したベースラインをその曲線の湾曲状態を維持して高温側へ延長する作図により明らかになる、該湾曲した低温側のベースラインから発熱ピークが離れる点を点c、発熱ピークの高温側の湾曲したベースラインをその曲線の湾曲状態を維持して低温側へ延長する作図により明らかになる、該湾曲した高温側ベースラインへ発熱ピークが戻る点を点dとし、吸熱ピークの低温側の湾曲したベースラインをその曲線の湾曲状態を維持して高温側へ延長する作図により明らかになる、該湾曲した低温側のベースラインから吸熱ピークが離れる点を点e、吸熱ピークの高温側の湾曲したベースラインをその曲線の湾曲状態を維持して低温側へ延長する作図により明らかになる、該湾曲した高温側ベースラインへ吸熱ピークが戻る点を点fとする。
【0020】
例えば、図3に示す場合には、上記の通り定められる点cと点dとを結ぶ直線とDSC曲線に囲まれる部分の面積から発泡粒子の発熱量(Bexo)を求め、上記の通り定められる点eと点fとを結ぶ直線とDSC曲線に囲まれる部分の面積から発泡粒子の吸熱量(Bendo)を求める。また、図4に示すような場合には、上記のように点dと点eを定めることが困難である為、上記の通り定められる点cと点fとを結ぶ直線とDSC曲線との交点を点d(点e)と定めることにより、発泡粒子の発熱量(Bexo)及び吸熱量(Bendo)を求める。また、図5に示すように、吸熱ビークの低温側に小さな発熱ピークが発生するような場合には、発泡粒子の発熱量(Bexo)は、図5中の第1の発熱ピークの面積Aと第2の発熱ピークの面積Bとの和から求められる。即ち、該面積Aは第1の発熱ピークの低温側のベースラインから発熱ピークが離れる点を点cとし、第1の発熱ピークが高温側のベースラインへ戻る点を点dとして、点cと点dとを結ぶ直線とDSC曲線に囲まれる部分の面積Aとする。そして、該面積Bは第2の発熱ピークの低温側のベースラインから第2の発熱ピークが離れる点を点gとし、吸熱ピークが高温側のベースラインへ戻る点を点fとして、点gと点fとを結ぶ直線とDSC曲線との交点を点eと定め、点gと点eとを結ぶ直線とDSC曲線に囲まれる部分の面積Bとする。一方、図5において、発泡粒子の吸熱量(Bendo)は点eと点fとを結ぶ直線とDSC曲線に囲まれる部分の面積から求められる値とする。
なお、上記発熱量(Bexo)および吸熱量(Bendo)の測定において、DSC曲線の測定条件として、2℃/minの加熱速度を採用する理由は、発熱ピークと吸熱ピークとをなるべく分離し、正確な吸熱量(Bendo)および(Bendo−Bexo)を熱流束示差走査熱量測定にて求める際に、2℃/minの加熱速度が好適であるという発明者の知見に基づく。
【0021】
本発明方法においては、前述したように、基材樹脂の発熱量(Rexo)が特定範囲内の基材樹脂を用いる。更に、該基材樹脂とする発泡粒子を、発熱量(Bexo)と吸熱量(Bendo)との比(Bexo/Bendo)と、その差(Bendo−Bexo)が特定範囲となるように調整し、該発泡粒子を用いて型内発泡成形体を得る。これらの、比(Bexo/Bendo)、差(Bendo−Bexo)は、前述したように、基材樹脂の結晶化の度合いに依存するので、基材樹脂を構成するポリ乳酸系樹脂として結晶性のポリ乳酸系樹脂を含むものを使用すると、本発明方法で用いる発泡粒子を好適に構成することができる。詳しくは、(イ)結晶性のポリ乳酸系樹脂のみからなるもの、(ロ)結晶性のポリ乳酸系樹脂と非結晶性のポリ乳酸系樹脂とからなるものが挙げられる。また、(Rendo)の調整方法としては、(ハ)本発明にて特定される基材樹脂の吸熱量(Rendo)を有する結晶性のポリ乳酸系樹脂を選択する方法、(ニ)結晶性の異なる2種以上の結晶性のポリ乳酸系樹脂同士をブレンドする方法、(ホ)1種又は2種以上の結晶性のポリ乳酸系樹脂と、1種又は2種以上の非結晶性のポリ乳酸系樹脂をブレンドする方法等が挙げられる。
【0022】
本発明方法においては、上記(イ)、(ロ)のポリ乳酸系樹脂の中でも、発泡粒子の吸熱量(Bendo)及び発熱量(Bexo)の調整の容易さの点で(ロ)の結晶性のポリ乳酸系樹脂と非結晶性のポリ乳酸系樹脂とからなるものを基材樹脂として使用することが好ましい。かかる基材樹脂は、非晶性のポリ乳酸系樹脂を含有しているため、発泡粒子を型内成形する際、発泡粒子相互の融着性、二次発泡性が向上し、表面平滑性に優れた型内発泡成形体が得られる。
【0023】
さらに、基材樹脂が、結晶性のポリ乳酸系樹脂(i)10重量部以上90重量部以下と、非結晶性のポリ乳酸系樹脂(ii)10重量部以上90重量部以下とからなる(但し、(i)と(ii)との合計が100重量部である)ことが好ましい。
結晶性のポリ乳酸系樹脂(i)の割合が10重量部未満の場合は得られる型内発泡成形体の耐熱性が不十分となる虞があり、結晶性のポリ乳酸系樹脂(i)の割合が90重量部を超える場合は、成形時の発泡粒子相互の融着性を十分にするため高温のスチームが必要となる虞がある。かかる観点から、結晶性のポリ乳酸系樹脂(i)の下限が20重量部以上が好ましく、30重量部以上がより好ましい。一方、その上限は80重量部以下が好ましく、70重量部未満がより好ましい。但し、結晶性のポリ乳酸系樹脂(i)と非結晶性のポリ乳酸系樹脂(ii)との合計が100重量部である。
【0024】
尚、本明細書において結晶性ポリ乳酸とは、前述のポリ乳酸の吸熱量(Rendo)の測定手順により得られるDSC曲線において2J/gを超える吸熱ピークが現れるものとする。該結晶性ポリ乳酸の吸熱量(iendo)は通常20〜80J/gである。また、本明細書において非結晶性ポリ乳酸とは、前述のポリ乳酸の吸熱量(Rendo)の測定手順により得られるDSC曲線において2J/g以下の吸熱ピークが現れるもの或いは吸熱ピークが現れないものである。
【0025】
一方、上記発泡粒子の発熱量(Bexo)は発泡粒子を得るまでの熱履歴によって異なってくる。発泡粒子の発熱量(Bexo)は、発泡粒子を得るために使用される樹脂粒子の急冷条件、該樹脂粒子の発泡剤の含浸条件、該樹脂粒子の発泡条件、或いは発泡粒子の養生条件等により異なってくることから、各条件の制御で発泡粒子の発熱量(Bexo)を調整することができる。詳しくは、該樹脂粒子を急冷することにより発泡粒子の発熱量(Bexo)は大きくなり、該樹脂粒子へ発泡剤を含浸させる際の雰囲気温度をガラス転移温度より高くすること、該樹脂粒子を加熱発泡させる際の加熱時間を長くすることにより発泡粒子の発熱量(Bexo)は小さくなる。また発泡粒子を高温条件で養生することによっても、発泡粒子の発熱量(Bexo)は小さくなる。これらの方法、更に必要に応じてその他の方法を組み合わせることにより発泡粒子の発熱量(Bexo)を調整できる。
したがって、上記発泡粒子についての差(Bendo−Bexo)の調整は、用いるポリ乳酸系樹脂の結晶性及び樹脂粒子作製条件、該樹脂粒子への発泡剤含浸条件、該樹脂粒子の加熱時間条件、発泡粒子の養生条件等により行うことができる。
【0026】
本発明方法で用いる発泡粒子を製造するには、以下に示す製造方法が好適に採用される。
本発明方法で用いる発泡粒子を得るには、先ず上記の通り、結晶性のポリ乳酸系樹脂を含むポリ乳酸系樹脂から構成されている基材樹脂から樹脂粒子を作る。この樹脂粒子は、例えば、基材樹脂を押出機で該樹脂が十分溶融する温度以上に加熱して溶融混練した後、ストランド状に押出し、該ストランド状の押出物を水没させることにより冷却した後、適宜の長さに切断するか又はストランドを適宜長さに切断後または切断と同時に、冷却することによって得ることができる。その他、基材樹脂から樹脂粒子を製造する方法としては、基材樹脂を押出機で該樹脂が十分溶融する温度以上に加熱して溶融混練した後、板状または塊状に押出し、該押出物を冷却プレス等により冷却した後、該冷却樹脂を破砕したり、格子状に破断することによっても得ることができる。尚、上記の樹脂粒子を作る際の冷却は、以降の工程にて得られる発泡粒子の発熱量(Bexo)及び発泡粒子についての差(Bendo−Bexo)の調整の容易さの点から水没させる等による急冷が好ましい。
【0027】
基材樹脂から得られた樹脂粒子の1個当りの重量は、0.05〜10mg、好ましくは0.1〜4mgにするのがよい。該粒子重量が前記範囲より小さくなると、その樹脂粒子の製造が困難になる。一方、該粒子重量が前記範囲より大きくなると、発泡剤の均一な含浸が難しくなり得られる発泡粒子の中心部の密度が大くなる虞がある。また該樹脂粒子の形状は特に制約されず、柱状(ペレット状)の他、球形状、棒状等の各種の形状であることができる。
基材樹脂を上記の通り押出機で溶融混練しストランド状等に押出す工程において、基材樹脂が吸湿性を有するものの場合、基材樹脂を予め乾燥させておくことが好ましい。多量の水分を保有した樹脂を押出機に投入すると、樹脂粒子中に、それを発泡させたときに発泡粒子の気泡の均一性に悪影響を及ぼす気泡が混入したり、押出機で溶融混練する場合に基材樹脂の物性低下が起こりメルトフローレイト(MFR)が極端に大きくなってしまう虞がある。
【0028】
樹脂の劣化を抑制するために、ベント口付き押出し機を使用して、真空吸引して基材樹脂から水分を除去する方法も採用できる。
また、前記押出温度条件の上限温度についても基材樹脂のMFRが極端に大きくならないように条件を設定する。
【0029】
前記基材樹脂は、例えば、黒、灰色、茶色、青色、緑色等の着色顔料又は染料を添加して着色したものであってもよい。着色した基材樹脂より得られた着色樹脂粒子を用いれば、着色された発泡粒子及び成形体を得ることができる。
着色剤としては、有機系、無機系の顔料、染料などが挙げられる。このような、顔料及び染料としては、従来公知の各種のものを用いることができる。
また、基材樹脂には、気泡調整剤として、例えばタルク、炭酸カルシウム、ホウ砂、ほう酸亜鉛、水酸化アルミニウム等の無機物をあらかじめ添加することができる。基材樹脂に着色顔料、染料又は無機物等の添加剤を添加する場合は、添加剤をそのまま基材樹脂に練り込むこともできるが、通常は分散性等を考慮して添加剤のマスターバッチを作り、それと基材樹脂とを混練することが好ましい。着色顔料又は染料の添加量は着色の色によっても異なるが、通常、基材樹脂100重量部に対して0.001〜5重量部とするのが好ましい。また、無機物の添加量は、基材樹脂100重量部に対して0.001〜5重量部、更に0.02〜1重量部とすることが好ましい。無機物を基材樹脂に添加することにより、発泡倍率の向上効果を得ることができる。
【0030】
また、本発明方法では、難燃剤、帯電防止剤、耐候剤、増粘剤等の添加剤の混合も可能である。尚、製品が使用後に廃棄されることを想定すると、顔料及び気泡調整剤等の添加剤の高濃度添加は好ましくない。
【0031】
また、得られた樹脂粒子は高温、高湿条件下を避けて加水分解が進行しないような環境下で保存することが好ましい。
【0032】
次に、樹脂粒子に発泡剤を含浸させる。本発明では、上記発泡粒子を得るに際して用いられる発泡剤としては、従来公知のもの、プロパン、イソブタン、ノルマルブタン、イソヘキサン、ノルマルヘキサン、シクロブタン、シクロヘキサン、イソペンタン、ノルマルペンタン、シクロペンタン、トリクロロフロロメタン、ジクロロジフロロメタン、クロロフロロメタン、トリフロロメタン、1,1,1,2−テトラフロロエタン、1−クロロ−1,1−ジフロロエタン、1,1−ジフロロエタン、1−クロロ−1,2,2,2−テトラフルオロエタン等の有機系物理発泡剤や、窒素、二酸化炭素、アルゴン、空気等の無機系物理発泡剤が挙げられるが、なかでもオゾン層の破壊がなく且つ安価な無機系物理発泡剤が好ましく、特に窒素、空気、二酸化炭素が好ましい。本発明においては、発泡剤の使用量に対して、より小さな見かけ密度の発泡粒子が得られる点から二酸化炭素が更に好ましい。また、二酸化炭素とイソブタンといった、二種以上の発泡剤を使用することもできる。
【0033】
発泡剤として二酸化炭素を含浸させて発泡性粒子とする方法について詳述する。樹脂粒子に対する二酸化炭素の含浸は、樹脂粒子が入れられている密閉容器内に二酸化炭素を通常、0.49〜9.8MPaGの圧力範囲になるように圧入することにより実施される。この場合の樹脂粒子に二酸化炭素を含浸させる方法としては、密閉容器内で樹脂粒子に二酸化炭素を含浸させて発泡性粒子を得る方法や密閉容器内において二酸化炭素の存在下で樹脂粒子を分散媒に分散させるとともに、その内容物を温度調整しつつ攪拌して、その粒子内に二酸化炭素を含浸させる方法等が挙げられる。前記した中でも樹脂粒子を分散媒に分散させ、二酸化炭素を含浸させる方法が均一な気泡形状の発泡粒子が得られる観点から好ましい。
【0034】
特に、発泡剤に二酸化炭素を使用する場合においては、その二酸化炭素の含浸量は、通常、2.5〜30重量%、好ましくは3〜20重量%、更に好ましくは5〜15重量%となるように実施することが好ましい。含浸量が少なすぎる場合は、十分に樹脂粒子を発泡させられない虞があり、一方、含浸量が多すぎる場合は、得られた発泡粒子の型内成形時の膨張性や融着性が不十分となる虞がある。これは、樹脂粒子の結晶化が進行し易くなるためと考えられる。
【0035】
発泡剤の含浸温度は、好ましくは5〜60℃、更に好ましくは5〜40℃である。特に、発泡剤に二酸化炭素を使用する場合の含浸温度は、二酸化炭素の含浸量を(X重量%)とすると、(−2.5X+55)以下の温度であることが更に好ましい。(−2.5X+55)を超えると、特に結晶性の高いポリ乳酸系樹脂では極度な結晶化の進行により発泡倍率の向上が期待できなくなる可能性がある。また、得られた発泡粒子を型内成形する際に、発泡粒子の膨張性、発泡粒子相互の融着性が低下する虞や高温のスチームで成形しなければならずそれにより表面が凹凸状の型内発泡成形体となる虞がある。
尚、該雰囲気温度は密閉容器内に分散媒を使用せず樹脂粒子を入れて二酸化炭素を含浸させる場合は、樹脂粒子雰囲気の気体の温度であり、密閉容器内に分散媒と共に樹脂粒子を入れて二酸化炭素を含浸させる場合は、該分散媒の温度である。
【0036】
また、上記の密閉容器内で分散媒を使用した場合、樹脂粒子への二酸化炭素含浸工程における樹脂粒子雰囲気の二酸化炭素の圧力は、目的とする発泡粒子の発泡倍率によっても変わってくるが、通常は0.49〜9.8MPaGであり、含浸時間は10分間〜24時間である。
【0037】
本明細書の樹脂粒子における二酸化炭素の含浸量(重量%)は次式によって求められる。
【数1】
二酸化炭素の含浸量(重量%)={樹脂粒子に含浸した二酸化炭素の重量(g)×100}/{二酸化炭素含浸前の樹脂粒子の重量(g)+樹脂粒子に含浸した二酸化炭素の重量(g)}
上式における樹脂粒子に含浸した二酸化炭素の重量は二酸化炭素含浸前後の樹脂粒子の重量差から求められ、樹脂粒子の重量測定は0.0001gの位まで計測することとする。
【0038】
次に、前記樹脂粒子に発泡剤を含浸させた発泡性粒子を発泡させる方法について説明する。発泡性粒子を発泡させる方法としては、その樹脂粒子を加熱軟化させて発泡させる方法が好ましく採用できる。即ち、二酸化炭素等の発泡剤が含浸している発泡性粒子を加熱し、これを発泡させる。発泡させるための加熱媒体としては、水蒸気、加熱速度調整した空気や窒素等が挙げられるが、通常は水蒸気が用いられる。発泡性粒子を加熱し発泡させる方法としては、従来公知の方法が採用できるが、通常は密閉容器内に発泡性粒子を充填し水蒸気を導入して発泡させる。尚、密閉容器にはわずかに内部の加熱媒体を排気させる開孔弁が備わっていると、密閉容器内の雰囲気温度を容易に一定に保つことができ、密度が均一な発泡粒子が得られ易いことから好ましい。
【0039】
発泡剤が含浸している発泡性粒子を加熱する際の雰囲気温度、すなわち発泡温度は、通常、基材樹脂の(Tg−30)℃〜(Tg+30)℃、好ましくは(Tg−10)℃〜(Tg+20)℃である。発泡温度が前記範囲より低いと、十分な発泡が起こり難く、また前記範囲より高いと発泡粒子の独立気泡率が低下してしまい良好な成形性を示す発泡粒子が得られにくいといった問題が発生する。発泡剤が二酸化炭素の場合、含浸することにより中間点ガラス転移温度以下においても発泡する。その場合の発泡温度は基材樹脂の(Tg−30)℃〜(Tg+30)℃、好ましくは(Tg−10)℃〜(Tg+20)℃である。尚、前記Tgは中間点ガラス転移温度である。
【0040】
尚、本明細書において中間点ガラス転移温度(Tg)の測定はJIS K 7121(1987年)により熱流束示差走査熱量測定にて得られるDSC曲線の中間点ガラス転移温度として求められる値である。尚、中間点ガラス転移温度を求めるための測定条件は、JIS K7121(1987年)の3.試験片の状態調節(3)記載の『一定の熱処理を行った後、ガラス転移温度を測定する場合』に準拠して試験片をDSC装置の容器に入れ、0℃から200℃まで加熱速度10℃/minにて昇温して加熱溶解させ、直ちに0℃まで冷却速度10℃/minにて冷却する状態調整を行ない、加熱速度10℃/minにて0℃から200℃まで昇温したときに得られるDSC曲線から求められる。
【0041】
尚、得られた発泡粒子は高温、多湿条件下を避けて加水分解しないような条件下で保存することが好ましい。
【0042】
また、上記の操作によって本発明の発泡粒子を得ることができるが、更に該発泡粒子は特開2003−64213号公報等に記載の方法によりゲル化処理をおこなっても構わない。但し、本発明の方法における発泡粒子は、生産性、リサイクル性等の観点からゲル化処理をおこなっていないもの、所謂、無架橋の発泡粒子であることが好ましく本発明は特に無架橋の発泡粒子及びその型内発泡成形体においてより顕著な効果を奏する。本明細書でいう無架橋とは、不溶分の割合が試料の5重量%以下の場合をいうが、その不溶分の割合は、試料の3重量%以下であることが好ましく、0重量%であることが最も好ましい。その不溶分の割合が少ないほど再利用し易い。
【0043】
本明細書における樹脂粒子及び発泡粒子の不溶分の割合は、次のように測定される。樹脂粒子又は発泡粒子約1gを試料とし、試料重量W3を秤量する。次に秤量した試料と100mlのクロロホルムを150mlのフラスコに入れ、大気圧下で10時間、62℃の条件にて加熱環流した後、得られた加熱処理物が十分に熱い50℃以上の状態のうちに200メッシュの金網を有する吸引濾過装置を用いて濾過処理する。得られた金網上の濾過処理物を80℃のオーブン中で30〜40トールの条件下にて8時間乾燥する。この際に得られた乾燥物重量W2を測定する。この重量W2のサンプル重量W3に対する重量比の百分率(W2/W3)×100%を不溶分とする。
型内発泡成形体における不溶分の割合は、型内発泡成形体表面を含まないように縦5mm×横5mm×高さ5mmの直方体を複数切り出し、測定用のサンプルとした以外は発泡粒子の場合と同様にして測定される。
【0044】
本発明方法で用いる発泡粒子の見かけ密度は、0.015〜0.3g/cm3であることが好ましく、0.015〜0.2g/cm3であることが更に好ましい。
密度が前記範囲より大きい場合は、発泡粒子の密度のばらつきが大きくなり易く、型内にて加熱成形する際の発泡粒子の膨張性、融着性、ばらつきに繋がり得られる型内発泡成形体の物性低下の虞がある。一方、前記範囲より小さい場合、発泡倍率が比較的高いために、成形収縮率が大きな型内発泡成形体となる虞がある。
【0045】
本明細書において発泡粒子の見かけ密度は、23℃のエタノールの入ったメスシリンダーを用意し、該メスシリンダーに相対湿度50%、23℃、1atmの条件にて2日放置した500個以上の発泡粒子(発泡粒子群の重量W1)を金網などを使用して沈めて、エタノール水位上昇分より読みとられる発泡粒子群の容積V1(cm3)にてメスシリンダーに入れた発泡粒子群の重量W1(g)を割り算することにより求める(W1/V1)。
【0046】
次に、上記の通り得られた発泡粒子を用いて、型内発泡成形体を成形する方法について説明する。本発明方法においては、発泡粒子を相互に融着させて型内発泡成形体を得る成形工程と、該成形工程で得られた型内発泡成形体を養生させる養生工程とを含む工程により型内発泡成形体を製造する。
【0047】
本発明の成形工程においては、発泡粒子を型内に充填した後に、スチーム、熱風等の加熱媒体により該発泡粒子を加熱して発泡粒子を相互に融着させることが好ましい。このように、加熱成形すると発泡粒子は相互に融着し、一体となった型内発泡成形体となる。この場合の成形用の型としては慣用の金型や特開2000−15708号公報に記載の連続成形装置に使用されているスチールベルトが用いられる。また、加熱手段としては、通常スチームが用いられ、その加熱速度は発泡粒子表面が溶融する温度にできればよい。
【0048】
型内発泡成形体を製造する場合、型内に供する発泡粒子に予め空気、窒素、二酸化炭素等の無機ガスにより気体を付与しておくことが好ましい。又、ブタン等の有機ガスも使用できる。前記した中でも二酸化炭素を用いると内圧付与する時間が少なくて済む観点から好ましい。気体を付与した発泡粒子を成形用発泡粒子として用いることにより、成形の際、発泡粒子相互の隙間が少なくなる等の二次発泡性、金型と同じ形状となり等の成形性、得られる型内発泡成形体の回復性が向上する。該気体は、好ましくは0.3〜4mol/(1000g発泡粒子)、更に好ましくは0.7〜4mol/(1000g発泡粒子)の範囲内で付与する。
尚、本明細書において、発泡粒子内の気体量(mol/1000g発泡粒子)は下記(2)式によって求められる。
【0049】
【数2】
Figure 0004225477
【0050】
前記式中の気体増加量(g)は次のように求める。
成形機に充填される、気体を付与することにより内部圧力が高められた発泡粒子を500個以上取り出して60秒以内に相対湿度50%、23℃の大気圧下の恒温恒湿室に移動し、その恒温恒湿室内の秤に乗せ、該発泡粒子を取り出して120秒後の重量を読み取る。このときの重量をQ(g)とする。次に、該発泡粒子を相対湿度50%、23℃の大気圧下の同恒温恒湿室内にて240時間放置する。発泡粒子内の高い圧力の気体は時間の経過とともに気泡膜を透過して外部に抜け出すため発泡粒子の重量はそれに伴って減少し、240時間後では平衡に達しているため実質的にその重量は安定している。上記240時間後の該発泡粒子の重量を同恒温恒湿室内にて測定し、このときの重量をS(g)とする。上記のいずれの重量も0.0001gまで読み取るものとする。この測定で得られたQ(g)とS(g)の差を(2)式中の気体増加量(g)とする。
【0051】
本発明の方法は、上記成形工程で得られた型内発泡成形体を温度が[Tg+5]〜[Tg+30]℃の雰囲気下に保持する養生工程とを含む。
上記養生工程の温度が[Tg+5]℃未満の場合には、結晶化させるのに長時間必要であることや型内発泡成形体の耐熱性向上の効果がなく、耐熱性に劣った型内発泡成形体となる。上記観点から[Tg+8]℃以上が好ましく、[Tg+10]℃以上がより好ましい。また、[Tg+30]℃よりも高い場合には、型内発泡成形体が変形を起こしてしまい、良好な型内発泡成形体を得ることが困難となる。上記観点から[Tg+25]℃以下が好ましく、[Tg+20]℃以下がより好ましい。
【0052】
また、養生工程での特定の雰囲気下で保持する時間としては耐熱性向上の観点から1時間以上が好ましく、3時間以上が好ましく、特に5時間以上が好ましい。一方、その上限は型内発泡成形体が変形や変色を起こさない観点から通常、36時間以下である。上記観点と生産性のバランスから24時間以下がより好ましく、特に12時間以下が好ましい。
【0053】
また、養生工程での相対湿度は、相対湿度が高いと型内発泡成形体が加水分解を受けやすくなり、機械的物性に劣った型内発泡成形体となる虞があることから40%RH以下が好ましい。上記観点から30%RH以下がより好ましく、20%RH以下がさらに好ましい。一方、その下限は0%RHではその条件とするのに特別な装置が必要となる虞れがあることから5%RH以上が好ましい。
また、養生工程での時間を100%とした場合、上記観点から相対湿度が40RH%を超える時間が50%以下が好ましく、25%以下がより好ましい。
【0054】
養生する際、型内発泡成形体はそのままの形態でも良いが、温度が高いと型内発泡成形体が変形を起こす虞がある。そういった場合、形状を固定する冶具などで型内発泡成形体を固定することが好ましい。
【0055】
ポリオレフィン系樹脂などを基材樹脂とする型内発泡成形体は型内成形した後、型内発泡成形体の水分を除去するため、収縮した型内発泡成形体を回復させるため等の理由により、型内発泡成形体を特定の雰囲気下で温める養生工程が従来から行われてきた。本発明方法においては、従来の養生工程において、基材樹脂の中間点ガラス転移温度を基準として結晶化させることも兼ねるので、工程を増やすことなく効率よく耐熱性が向上した型内発泡成形体が得られる。養生工程での加熱媒体は通常熱風で行なわれる。
【0056】
本発明の方法における養生工程により、加熱速度2℃/minでの示差走査熱量測定における型内発泡成形体の発熱量(bFexo)と吸熱量(bFendo)との比(bFexo/bFendo)が0〜0.20であり、該吸熱量(bFendo)と該発熱量(bFexo)との差(bFendo−bFexo)が15J/g以上の型内発泡成形体を得る(但し、前記Tgは加熱速度10℃/minでの示差走査熱量測定における基材樹脂の中間点ガラス転移温度である)。
かかる構成により結晶化が進み耐熱性に優れた型内発泡成形体が得られる。
【0057】
該比(bFexo/bFendo)が0.20を超えると結晶化が進んでいないもので耐熱性が低いものとなる。上記耐熱性向上の観点から0.15以下が好ましく、0.10以下がより好ましく、0.05以下がさらに好ましく、特に0が好ましい。一方、その下限は比における発熱量(bFexo)が結晶化が完全に促進された場合、0であるので、通常、該比の下限は0である。
また、得られる型内発泡成形体の該吸熱量(bFendo)と該発熱量(bFexo)との差(bFendo−bFexo)は、実用的な耐熱性を向上させる観点から20J/g以上がより好ましく、25J/g以上がさらに好ましい。一方、その上限は基材樹脂の吸熱量によるが50J/g以下が好ましく、40J/g以下がより好ましく、特に30J/g未満が好ましい。
【0058】
本発明の方法において加熱速度2℃/minでの示差走査熱量測定における該型内発泡成形体の発熱量(aFexo)が5J/g以上である該型内発泡成形体を養生し、この養生工程により、加熱速度2℃/minでの示差走査熱量測定における養生工程で得られた型内発泡成形体の発熱量(bFexo)と該発熱量(aFexo)との比(bFexo/aFexo)が0〜0.50である型内発泡成形体を得る。
養生工程前における型内発泡成形体の発熱量(aFexo)と養生工程後における型内発泡成形体の発熱量(bFexo)との比(bFexo/aFexo)が0.50を超える場合、得られる型内発泡成形体は、耐熱性の向上が不十分である。該比の下限は養生工程後に型内発泡成形体の発熱量(bFexo)が0に近いほど結晶化が進みその耐熱性が向上することから0.40以下が好ましく、0.30以下がより好ましく、0.20以下がさらに好ましく、特に0が好ましい。
【0059】
尚、発熱量(bFexo)と吸熱量(bFendo)の測定方法は、型内発泡成形体から採取した試料を用いる以外は前述した発熱量(Bexo)と吸熱量(Bendo)の測定方法と同じである。
【0060】
以下、本発明の型内発泡成形体について説明する。
本発明の型内発泡成形体は、結晶化を促進されてなることが耐熱性の向上の観点から好ましく、前述したように養生工程を行なう方法が工程を増やすことなく効率よく結晶化を高め、耐熱性を向上させる観点から好ましい。
【0061】
本発明の型内発泡成形体は、基材樹脂が結晶性のポリ乳酸系樹脂と非結晶性のポリ乳酸系樹脂とからなる発泡粒子を相互に融着してなり、加熱速度2℃/minでの示差走査熱量測定における該型内発泡成形体の発熱量(bFexo)と吸熱量(bFendo)との比(bFexo/bFendo)が0〜0.20である。
かかる構成の型内発泡成形体は、発泡粒子相互の隙間が少なくなり、表面平滑性に優れ、耐熱性に優れたものある。
ここで、発熱量(bFexo)は型内発泡成形体の結晶化の度合いを意味し、発熱量(bFexo)が小さいほど結晶化が進んでいることを意味することから、比(bFexo/bFendo)が小さいほど結晶化が進んでいることを意味する。比(bFexo/bFendo)が0.20を超える場合は、結晶化が不十分で耐熱性が低い型内発泡成形体である虞がある。上記観点から型内発泡成形体の発熱量(bFexo)が0に近いほど耐熱性に優れたものであることから0.15以下が好ましく、0.10以下がより好ましく、0.05以下がさらに好ましく、特に0が好ましい。
【0062】
本発明の型内発泡成形体は、基材樹脂が、加熱速度2℃/minでの示差走査熱量測定における吸熱量(Rendo)が10J/g以上であるポリ乳酸系樹脂であることが好ましい。該吸熱量(Rendo)が10J/g未満の場合は結晶成分が少なすぎて、所望する耐熱性、剛性等が低いものとなる虞がある。上記観点から15J/g以上がより好ましく、20J/g以上がさらに好ましい。特に25J/g以上が好ましい。一方、結晶成分が多い場合、発泡粒子相互の隙間が多く、表面が凹凸状の型内発泡成形体となる虞れがある。上記観点から50J/g以下が好ましく、40J/g以下がより好ましく、特に30J/g未満が好ましい。
【0063】
本発明における該型内発泡成形体の該吸熱量(bFendo)と該発熱量(bFexo)との差(bFendo−bFexo)が15J/g以上であることが結晶化が促進されていることを表し、90℃の雰囲気下で加熱しても寸法変化率が少ない等の実用的な耐熱性に優れる観点から好ましい。上記観点から20J/g以上のものがより好ましく、25J/g以上がさらに好ましい。一方、その上限は基材樹脂の吸熱量(Rendo)で定まる。結晶成分が多い場合、発泡粒子相互の隙間が多く、表面が凹凸状の型内発泡成形体となる虞れがある。上記観点から50J/g以下が好ましく、40J/g以下がより好ましく、特に30J/g未満が好ましい。
【0064】
本発明の型内発泡成形体は、該基材樹脂が、結晶性のポリ乳酸系樹脂(i)10重量部以上90重量部以下と、非結晶性のポリ乳酸系樹脂(ii)10重量部以上90重量部以下とを含むポリ乳酸系樹脂(但し、(i)と(ii)との合計が100重量部)であることが好ましい。
かかる基材樹脂は、非結晶性のポリ乳酸系樹脂を特定量含有しているため、発泡粒子を型内成形する際、発泡粒子相互の融着性、二次発泡性がより向上し、発泡粒子相互の隙間が少ないためより表面平滑性に優れた型内発泡成形体である。
結晶性のポリ乳酸系樹脂(i)の割合が10重量部未満の場合は得られる型内発泡成形体の耐熱性が不十分となる虞があり、結晶性のポリ乳酸系樹脂(i)の割合が90重量部を超える場合は、成形時の発泡粒子相互の融着性を十分にするため高温のスチームが必要となるため、凹凸状の型内発泡性成形体となる虞がある。かかる観点から、結晶性のポリ乳酸系樹脂(i)の下限が20重量部以上がより好ましく、30重量部以上がさらに好ましい。一方、その上限は80重量部以下がより好ましく、70重量部未満がさらに好ましい。但し、結晶性のポリ乳酸系樹脂(i)と非結晶性のポリ乳酸系樹脂(ii)との合計が100重量部である。
【0065】
本発明の型内発泡成形体の形状は特に制約されず、その形状は、例えば、容器状、板状、筒体状、柱状、シート状、ブロック状等の各種の形状であることができる。また、寸法安定性、表面平滑性において優れたものである。
【0066】
本発明の型内発泡成形体の見かけ密度(g/cm3)は、好ましくは0.01〜0.2g/cm3、更に好ましくは0.015〜0.1g/cm3のものであり、型内発泡成形体の外形寸法から求められる体積VM(cm3)にて型内発泡成形体の重量WM(g)を割り算する(WM/VM)ことにより求められる。
【0067】
本発明の型内発泡成形体は、耐熱性に優れたものである。具体的な耐熱性は90℃の雰囲気下で22時間における加熱寸法変化率の絶対値が4%以内であることが好ましく、3%以内であることがより好ましく、2%以内であることが更に好ましい。該加熱寸法変化率の絶対値が4%を超えると、90℃付近で用いる分野に使用し難いなど使用範囲が狭くなる虞れがある。
【0068】
本発明の型内発泡成形体は、例えば、魚箱、包装材料、自動車の内装材等に好ましく使用され、また生分解性なので、使用後に自然環境下で放置された場合であっても、土中の微生物により分解されるので、環境汚染の問題を引き起こすことがない。
【0069】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳述に説明する。
【0070】
製造例1、3〜6
吸熱量(iendo)が49J/gである結晶性のポリ乳酸(三井化学(株)製、レイシアH−100、)と吸熱量(iiendo)が0J/gである非結晶性のポリ乳酸(三井化学(株)製、レイシアH−280)とを表1に示したブレンド比(重量%)でブレンドし、このブレンド物にタルクが2,000ppmとなるように添加し、両者を押出機にて溶融混練した後、ストランド状に押出した。次いでこのストランドを約25℃の水中で急冷固化させた後に切断して、長さ(L)/直径(D)が1.5、1個当たり約3mgの無架橋の樹脂粒子を得た。
【0071】
製造例2
吸熱量(iendo)が49J/gである結晶性のポリ乳酸(三井化学(株)製、レイシアH−100)と吸熱量(iiendo)が0J/gである非結晶性のポリ乳酸(三井化学(株)製、レイシアH−280)とを表1に示したブレンド比(重量%)でブレンドし、このブレンド物に炭酸カルシウムが1,000ppmとなるように添加し、両者を押出機にて溶融混練した後、ストランド状に押出した。次いでこのストランドを約25℃の水中で急冷固化させた後に切断して、長さ(L)/直径(D)が2、1個当たり約2mgの無架橋の樹脂粒子を得た。
【0072】
得られた樹脂粒子の中間点ガラス転移温度Tg(℃)、融点Tm(℃)及び吸熱量(Rendo)(J/g)を表1に示した。
尚、表1中では中間点ガラス転移温度をTg(℃)、融点をTm(℃)、吸熱量を(Rendo)(J/g)とした。
【0073】
樹脂粒子の中間点ガラス転移温度Tg(℃)は、前述した測定方法により得られた値を採用した。
【0074】
樹脂粒子の融点Tm(℃)は、前述した中間点ガラス転移温度の測定方法により得られたDSC曲線より吸熱ピーク曲線のピーク温度を融点として採用した。
【0075】
表1の吸熱量(Rendo)は、製造例1〜6の樹脂粒子を用いて前述した測定方法により得られた値を採用した。
【0076】
測定装置は株式会社島津製作所製商品名「DSC―50」を用い、解析ソフトは「島津熱分析ワークステーションTA−60WS用部分面積解析プログラムversion1.52」を用いた。
【0077】
前述した測定方法により図1に示したようなDSC曲線が得られた。吸熱量(Rendo)は、該DSC曲線の吸熱ピークの低温側のベースラインから吸熱ピークが離れる点を点aとし、吸熱ピークが高温側のベースラインへ戻る点を点bとして、点aと点bとを結ぶ直線と、DSC曲線に囲まれる部分の面積から求められる値とした。
【0078】
次に、5Lの内容積を有するオートクレーブに上記製造例1〜6の樹脂粒子1000gを投入した。表1の含浸条件の欄に示す温度に調整した後、炭酸ガスを圧力調整弁を介してオートクレーブ内に圧入し、オートクレーブ内のCO2圧力が表1の含浸条件の欄にした圧力になるように調整し、表1に示す時間で保持した。次に、オートクレーブ内の二酸化炭素を抜き出した後、発泡性樹脂粒子を取出した。この発泡性樹脂粒子の二酸化炭素含浸量を表1に示した。
【0079】
この二酸化炭素が含浸した発泡性樹脂粒子を、圧力調整弁の付いた密閉容器内に充填した後、0.05MPaG(65℃)のスチームを5秒間導入して加熱し、膨張発泡した無架橋の発泡粒子を得た。この発泡粒子の発熱量(Bexo)、吸熱量(Bendo)、比(Bexo/Bendo)、差(Bendo−Bexo)及び見かけ密度を表1に示した。なお、製造例2のみ、オートクレーブに水を入れ、3Lの水中にて発泡剤を樹脂粒子に含浸させた。
【0080】
発泡粒子の発熱量(Bexo)と吸熱量(Bendo)は前述した測定方法にて行なった。
測定装置は株式会社島津製作所製商品名「DSC―50」を用い、「解析ソフトは島津熱分析ワークステーションTA−60WS用部分面積解析プログラムversion1.52」を用いた。
【0081】
前述した測定方法により、図3に示したようなDSC曲線が得られた。発泡粒子の発熱量(Bexo)は、該DSC曲線の発熱ピークの低温側のベースラインから発熱ピークが離れる点を点cとし、発熱ピークが高温側のベースラインへ戻る点を点dとして、点cと点dとを結ぶ直線と、DSC曲線に囲まれる部分の面積から求められる値とした。また、発泡粒子の吸熱量(Bendo)は、該DSC曲線の吸熱ピークの低温側のベースラインから吸熱ピークが離れる点を点eとし、吸熱ピークが高温側のベースラインへ戻る点を点fとして、点eと点fとを結ぶ直線と、DSC曲線に囲まれる部分の面積から求められる値とした。
尚、該DSC曲線におけるベースラインはできるだけ直線になるように装置を調節した。
【0082】
見かけ密度は、前述した測定方法にて得られた値を採用した。
【0083】
スチーム温度及びスチーム圧は、0.15MPa(G)〜0.45MPa(G)まで0.01MPa(G)づつスチーム圧(スチーム温度)を変えて、各スチーム圧ごとに成形を実施し、融着率が0.6となる最低の値を採用した。
該融着率の具体的な測定は、まず、得られた型内発泡成形体を、カッターナイフで型内発泡成形体の厚み方向に約3mmの切り込みを入れた後、手で切り込み部から型内成形体を破断した。次に、破断面に存在する発泡粒子の個数(n)と、材料破壊した発泡粒子の個数(b)を測定し、(n)と(b)の比(b/n)の値を融着率とした。
【0084】
【表1】
Figure 0004225477
【0085】
実施例1〜5、比較例1〜3
製造例1の発泡粒子を用いて、次のように型内成形を行った。得られた発泡粒子を密閉容器内に充填し、二酸化炭素にて加圧し、二酸化炭素の含浸量が1.3mol/1000gとなるよう発泡粒子に付与した後、200(mm)×250(mm)×10(mm)の金型に圧縮率50%(圧縮前の発泡粒子の嵩体積(cm)−型締後の金型内容積(cm))×100/型締後の金型内容積(cm)[%]にて充填し、125℃(0.127MPaG)のスチームで加熱成形した。
実施例1〜5で得られた型内発泡成形体は二次発泡に優れ、発泡粒子相互の隙間が少ないものであった。
得られた型内発泡成形体の養生工程前の発熱量と吸熱量をそれぞれ、(aFexo)、(bFendo)とし、比(aFexo)/(bFendo)を表2に示した。
【0086】
得られた型内発泡成形体を表2に示した養生条件で恒温器中で養生した。養生工程後、加熱を止め恒温器中で3時間放置し、23℃まで下げた。この際、相対湿度は30%RH以下であった。この型内発泡成形体から採取した発泡粒子の発熱量(bFexo)、吸熱量(bFendo)、差(bFendo−bFexo)、比(bFexo/bFendo)、見かけ密度(g/cm)、加熱寸法変化率とその評価、外観の評価を表2に示した。
【0087】
得られた型内発泡成形体の中心から試料を採取し、表2の型内発泡成形体の養生工程前と後のそれぞれの発熱量(bFexo)と吸熱量(bFendo)を前述した測定方法にて測定した。
測定装置は株式会社島津製作所製商品名「DSC―50」を用い、「解析ソフトは島津熱分析ワークステーションTA−60WS用部分面積解析プログラムversion1.52」を用いた。
【0088】
前述した測定方法により得られたDSC曲線において、前記した発泡粒子の発熱量(Bexo)と吸熱量(Bendo)を求める方法と同様に直線を引き、直線と吸熱ピーク曲線で囲まれた部分の面積から求められる値を吸熱量(Fendo)として求め、発熱量がある場合は、直線と発熱ピーク曲線で囲まれた部分の面積から求められる値を発熱量(Fexo)として求めた。
なお、養生工程前と後の発熱量をそれぞれ、(aFexo)、(bFexo)とし、養生工程前と後の吸熱量をそれぞれ、(aFendo)、(bFendo)とした。
【0089】
比較例4
製造例5の発泡粒子を用いたこと、内圧付与に空気を用い、空気の含浸量が0.7mol/1000gとなるよう発泡粒子に付与した後、118℃(0.088MPaG)のスチームで行なったこと以外は、実施例1と同様に型内成形した。
得られた型内発泡成形体は、金型から取り出すと太鼓状となり外観が悪いものであった。
得られた型内発泡成形体の養生工程前の発熱量(aFexo)、吸熱量(aFendo)を表2に示した。
【0090】
得られた型内発泡成形体を表2に示した養生条件で恒温器中で養生した。養生工程後、加熱を止め恒温器中で3時間放置し、23℃まで下げた。この型内発泡成形体から採取した発泡粒子の発熱量(bFexo)、吸熱量(bFendo)、差(bFendo−bFexo)、比(bFexo/bFendo)、見かけ密度(g/cm)、加熱寸法変化率とその評価及び外観の評価を表2に示した。
【0091】
比較例5
製造例6の発泡粒子を用いたこと、内圧付与に空気を用い、空気の含浸量が0.5mol/1000gとなるよう発泡粒子に付与した後、159℃(0.500MPaG)のスチームで行なったこと以外は、実施例1と同様に型内成形した。
得られた型内発泡成形体は、凹状に収縮し、表面は凹凸状であった。
得られた型内発泡成形体の養生工程前の発熱量(aFexo)、吸熱量(aFendo)を表2に示した。
【0092】
得られた型内発泡成形体を表2に示した条件で恒温器中で養生した。養生工程後、加熱を止め恒温器中で3時間放置し、23℃まで下げた。この型内発泡成形体から採取した発泡粒子の発熱量(bFexo)、吸熱量(bFendo)、差(bFendo−bFexo)、比(bFexo/bFendo)、見かけ密度(g/cm)、加熱寸法変化とその評価及び外観の評価を表2に示した。
【0093】
実施例6、7、比較例6
製造例2の発泡粒子を用いたこと、内圧付与に空気を用い、空気の含浸量が0.8mol/1000gとなるようにたこと、120℃(0.098MPaG)のスチームを用いたこと以外は、実施例1と同様に型内成形を行った。
実施例6、7、比較例6で得られた型内発泡成形体は二次発泡に優れ、表面が平滑であった。
得られた型内発泡成形体の養生工程前の発熱量(aFexo)、吸熱量(aFendo)を表3に示した。
【0094】
得られた型内発泡成形体を表3に示した条件で恒温器中で養生した。養生工程後、加熱を止め恒温器中で3時間放置し、23℃まで下げた。この型内発泡成形体から採取した発泡粒子の発熱量(bFexo)、吸熱量(bFendo)、差(bFendo−bFexo)、比(bFexo/bFendo)、見かけ密度(g/cm)、加熱寸法変化とその評価及び外観の評価を表3に示した。
比較例6で得られた型内発泡成形体は二次発泡に優れ、表面が平滑性であったが耐熱性が低かった。
【0095】
比較例7
製造例3の発泡粒子を用いて、型内成形を試みた。製造例3の発泡粒子は既に結晶化が進んでいるためか、製造例1、製造例2の発泡粒子と比較して高温のスチーム140℃(0.264MPaG)で成形しなけばならなかった。
得られた型内発泡成形体は、部分的な溶解が見られ、収縮し表面が凹凸状となった。
【0096】
比較例8
製造例4の発泡粒子を用いて、型内成形を試みた。製造例4の発泡粒子は、発熱量(Bexo)が少なく、吸熱量(Bendo)が高いので159℃(0.500MPaG)の高温のスチームで成形しなければならなかった。
得られた型内発泡成形体は、変形が激しく、部分的な収縮により表面が凹凸状となった。
【0097】
比較例7、8で得られた型内発泡成形体は、変形が激しい或いは部分的な収縮により表面が凹凸状となったため、結晶化を促進させる養生工程は行なわなかった。
【0098】
型内発泡成形体の見かけ密度(g/cm)は、前述した測定方法にて得られた値を採用した。
【0099】
耐熱性の評価、外観の評価を以下のように判断した。
【0100】
また、実施例で用いられた型内発泡成形体を脱泡して非発泡樹脂とし、その非発泡樹脂を完全に結晶化させ吸熱量を測定した。具体的には、実施例1の型内発泡成形体を用いて加熱プレスにて脱泡し、非発泡樹脂とした。その非発泡樹脂を用いて前述した樹脂粒子の吸熱量(Rendo)の測定と同じように結晶化を促進した状態調整を行ってDSC曲線を求めた結果、実施例1の吸熱量(Rendo)と同じであった。
【0101】
(耐熱性の評価)
実施例及び比較例で得られた型内発泡成形体から試験片(厚み10mm×150mm×150mm)を切り取り、JIS K6767(1976年)の5.7加熱寸法変化に準拠し試験片をエスペック株式会社(旧称タバイ エスペック株式会社)製、製品名「パーフェクトオーブンオリジナル」形式PH−401の恒温器にて90℃で22時間加熱後、直ちに取り出して23℃、1時間の雰囲気下で放置した。その試験片の寸法変化率を下記(3)式により算出し、以下の基準にて評価した。
【0102】
【数3】
加熱寸法変化率(%)=[(Y−X)/X]×100 (3)
但し、Xは上記加熱寸法安定性の評価にて示した試験片の長さ(mm)であり、加熱前の型内発泡成形体の寸法を表わす。また、YはXに対応する部分の加熱後の長さ(mm)である。
◎:加熱寸法変化率が±2%以下
○:加熱寸法変化率が±2%を超え、±4%未満
×:加熱寸法変化率が±4%以下
【0103】
(外観の評価)
型内発泡成形体の外観を目視により下記の基準にて評価した。
○:表面平滑性に優れる。
×:型内発泡成形体の表面に多数の凹凸が存在している。
【0104】
【表2】
Figure 0004225477
【0105】
【表3】
Figure 0004225477
【0106】
【発明の効果】
本発明のポリ乳酸系樹脂型内発泡成形体の製造方法においては、特定の吸熱量(Rendo)を有するポリ乳酸系樹脂を基材樹脂とし、発熱量(Bexo)と吸熱量(Bendo)との比(Bexo/Bendo)、該吸熱量(Bendo)と該発熱量(Bexo)との差(Bendo−Bexo)が特定の値とする発泡粒子を用い、該発泡粒子を相互に融着させて型内発泡成形体を得る成形工程と、特定の雰囲気下に型内発泡成形体を保持する養生工程とを含み、該養生工程により型内発泡成形体を製造するので、成形工程では低温のスチームで成形することができ、しかも工程を増やすことなく中間点ガラス温度を基準とした雰囲気下の養生工程で結晶化を効率的に促進させるので、耐熱性が向上した型内発泡成形体を得られる。
【0107】
本発明のポリ乳酸系樹脂型内発泡成形体の製造方法においては、特定の吸熱量(Rendo)を有するポリ乳酸系樹脂を基材樹脂とする発泡粒子を相互に融着させて型内発泡成形体を得る成形工程と、発熱量(aFexo)が特定の型内発泡成形体を対象として特定の雰囲気下に保持する養生工程とを含み、養生工程前の型内発泡成形体の発熱量(aFexo)と該養生工程により型内発泡成形体の発熱量(bFexo)との比が特定の値とすることで工程を増やすことなく中間点ガラス温度を基準とした雰囲気下の養生工程で結晶化を効率的に促進させるので、耐熱性が向上した型内発泡成形体を得られる。
【0108】
さらに本発明方法において前記基材樹脂が、結晶性のポリ乳酸系樹脂(i)と、非晶性のポリ乳酸系樹脂(ii)とからなるポリ乳酸系樹脂とする場合、発泡粒子を加熱成形する際における発泡粒子相互の融着性、二次発泡性が向上し、表面平滑性に優れた型内発泡成形体を得ることができる。
【0109】
本発明のポリ乳酸系樹脂型内発泡成形体は、表面平滑性に優れ、耐熱性に優れた乳酸系樹脂型内発泡成形体である。
【0110】
さらに、本発明の型内発泡成形体は、加熱速度2℃/minでの示差走査熱量測定における基材樹脂の吸熱量(Rendo)が10J/g以上であるポリ乳酸系樹脂であると、より耐熱性に優れる。
【0111】
さらに、本発明の型内発泡成形体は、該型内発泡成形体の該吸熱量(bFendo)と該発熱量(bFexo)との差(bFendo−bFexo)が15J/g以上であることから高温の雰囲気下でも加熱寸法変化率が少ない。それにより型内発泡成形体の使用可能範囲が広がるものである。
【0112】
さらに、本発明の型内発泡成形体は、該基材樹脂が、結晶性のポリ乳酸系樹脂と非結晶性のポリ乳酸系樹脂とが特定の割合からなるため、発泡粒子を型内成形する際、発泡粒子相互の融着性、二次発泡性がより向上し、発泡粒子相互の隙間が少ないためより表面平滑性に優れた型内発泡成形体である。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱流束示差走査熱量計により求められる基材樹脂の吸熱量(Rendo)を示すDSC曲線の例示。
【図2】熱流束示差走査熱量計により求められる基材樹脂の吸熱量(Rendo)を示すDSC曲線の例示。
【図3】熱流束示差走査熱量計により求められる発泡粒子の発熱量(Bexo)及び吸熱量(Bendo)を示すDSC曲線の例示。
【図4】熱流束示差走査熱量計により求められる発泡粒子の発熱量(Bexo)及び吸熱量(Bendo)を示すDSC曲線の例示。
【図5】熱流束示差走査熱量計により求められる発泡粒子の発熱量(Bexo)及び吸熱量(Bendo)を示すDSC曲線の例示。

Claims (7)

  1. 加熱速度2℃/minでの示差走査熱量測定における吸熱量(Rendo)が10J/g以上のポリ乳酸系樹脂を基材樹脂とし、加熱速度2℃/minでの示差走査熱量測定における発熱量(Bexo)と吸熱量(Bendo)との比(Bexo/Bendo)が0.20を超え、該吸熱量(Bendo)と該発熱量(Bexo)との差(Bendo−Bexo)が0J/g以上15J/g未満である発泡粒子を用い、該発泡粒子を相互に融着させて型内発泡成形体を得る成形工程と、該成形工程で得られた該型内発泡成形体を温度が[Tg+5]〜[Tg+30]℃の雰囲気下に保持する養生工程とを含む型内発泡成形体の製造方法であって、該養生工程により、加熱速度2℃/minでの示差走査熱量測定における型内発泡成形体の発熱量(bFexo)と吸熱量(bFendo)との比(bFexo/bFendo)が0〜0.20であり、該吸熱量(bFendo)と該発熱量(bFexo)との差(bFendo−bFexo)が15J/g以上の型内発泡成形体を得ることを特徴とするポリ乳酸系樹脂型内発泡成形体の製造方法(但し、前記Tgは加熱速度10℃/minでの示差走査熱量測定における基材樹脂の中間点ガラス転移温度である)。
  2. 加熱速度2℃/minでの示差走査熱量測定における吸熱量(Rendo)が10J/g以上であるポリ乳酸系樹脂を基材樹脂とする発泡粒子を相互に融着させて型内発泡成形体を得る成形工程と、該成形工程で得られた加熱速度2℃/minでの示差走査熱量測定における該型内発泡成形体の発熱量(aFexo)が5J/g以上である該型内発泡成形体を温度が[Tg+5]〜[Tg+30]℃の雰囲気下に保持する養生工程とを含む型内発泡成形体の製造方法であって、該養生工程により、加熱速度2℃/minでの示差走査熱量測定における該養生工程で得られた型内発泡成形体の発熱量(bFexo)と該発熱量(aFexo)との比(bFexo/aFexo)が0〜0.50の型内発泡成形体を得ることを特徴とするポリ乳酸系樹脂型内発泡成形体の製造方法(但し、前記Tgは加熱速度10℃/minでの示差走査熱量測定における基材樹脂の中間点ガラス転移温度である)。
  3. 該基材樹脂が、結晶性のポリ乳酸系樹脂と非結晶性のポリ乳酸系樹脂とからなることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリ乳酸系樹脂型内発泡成形体の製造方法。
  4. 基材樹脂が、結晶性のポリ乳酸系樹脂と非結晶性のポリ乳酸系樹脂とからなる発泡粒子を相互に融着してなる型内発泡成形体であって、加熱速度2℃/minでの示差走査熱量測定における該型内発泡成形体の発熱量(bFexo)と吸熱量(bFendo)との比(bFexo/bFendo)が0〜0.20であることを特徴とするポリ乳酸系樹脂型内発泡成形体。
  5. 加熱速度2℃/minでの示差走査熱量測定における該基材樹脂の吸熱量(Rendo)が10J/g以上であることを特徴とする請求項4に記載のポリ乳酸系樹脂型内発泡成形体。
  6. 該型内発泡成形体の該吸熱量(bFendo)と該発熱量(bFexo)との差(bFendo−bFexo)が15J/g以上であることを特徴とする請求項4に記載のポリ乳酸系樹脂型内発泡成形体。
  7. 該基材樹脂が、結晶性のポリ乳酸系樹脂(i)10重量部以上90重量部以下と、非結晶性のポリ乳酸系樹脂(ii)10重量部以上90重量部以下とからなる(但し、(i)と(ii)との合計が100重量部である)ことを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のポリ乳酸系樹脂型内発泡成形体。
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