JP4245973B2 - 合成樹脂発泡体 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は,熱伝導率が低く断熱性能に優れた合成樹脂発泡体に関する。
【0002】
【従来技術】
従来より,スチレン系樹脂発泡体などの合成樹脂発泡体は,優れた断熱性能を有し,住宅用断熱材や保冷箱等に使用されている。このような断熱材としての合成樹脂発泡体は,近年の環境問題に鑑みて,その使用量を低減させようとする試みがなされている。そのため,より優れた断熱性能を有する合成樹脂発泡体の開発が望まれている。
【0003】
上記断熱材に使用される合成樹脂発泡体を作製する方法としては,例えば押出発泡法,即ちスチレン系樹脂などの合成樹脂を押出機で加熱溶融し,フロン類等の発泡剤を注入し,冷却させ,大気中に押出して合成樹脂発泡体を得る方法と,ビーズ発泡法,即ちスチレン系樹脂やオレフィン系樹脂の発泡粒子を成形機の金型に充填して加熱して発泡粒子同士を融着させて合成樹脂発泡体を得る方法等がある。
【0004】
上記の押出発泡法においては,熱伝導率の低いフロン類を発泡剤として使用している。そのため,製造直後は熱伝導率の低い発泡体が得られるが,フロン類が徐々に合成樹脂発泡体から逸散し,その結果,断熱材としての使用中に徐々に熱伝導率が高くなり断熱性能が低下するという問題がある。また,フロン類はオゾン層破壊や地球温暖化など,地球環境に対する影響が問題視されており,その使用が懸念されている。
【0005】
一方,上記ビーズ発泡法においては,発泡粒子をしばらく大気中に放置(熟成)してから成形が行われ,この熟成中に発泡粒子内に空気が侵入して発泡剤と置換され,空気を多く含む合成樹脂発泡体を得ることができる。したがって,上記ビーズ発泡法で得られる合成樹脂発泡体は,熱伝導率の経時的な変化が小さく,断熱性能が長期に渡って安定している。ところが,空気の熱伝導率は,上記押出発泡法で使用されるフロン類の熱伝導率に比較して高いため,上記ビーズ発泡法で得られる合成樹脂発泡体の熱伝導率は,押出発泡法により得られる合成樹脂発泡体の熱伝導率よりも高くなる傾向がある。
【0006】
そこで,上記ビーズ発泡法で得られる合成樹脂発泡体の熱伝導率を小さくするため,成形後にガスバリア性の高いフィルムで合成樹脂発泡体を被覆したり,発泡粒子の表面をガスバリア性樹脂で被覆し,発泡剤と空気の置換を抑制することで熱伝導率を下げる方法が提案されている(特許文献1及び特許文献2参照)。また,赤外波長5〜30μmに吸収を示し,かつ300Kでの黒体放射に対する厚さ10μmにおける平均吸収率が0.3以上である添加物を合成樹脂に配合することで,放射伝熱を抑制する方法が開示されており,C=C,C−O,O−H,C=O,C−X(ハロゲン),N−H,C≡N,C=N,C=S,S=Oなどの化学構造を有する化合物を具体例に挙げている(特許文献3参照)。
【0007】
また,その他にも,赤外線反射率が40%以上である微粉末が気泡膜中に,気泡膜中に分散されている熱可塑性樹脂発泡体が提案されている(特許文献4参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平7−239087号公報
【特許文献2】
特開平8−67762号号公報
【特許文献3】
特開昭56−50935号公報
【特許文献4】
特開昭63−183941号公報
【0009】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記特許文献1及び特許文献2に記載の方法においても,低熱伝導率の気体が合成樹脂発泡体から逸散することを完全に防止することはできない。そのため,断熱性能の経時的な低下を防ぐことは困難であった。
【0010】
また,上記特許文献3に記載の方法において,上記特定の化学構造を有する化合物は,狭い範囲の特定波長の赤外線を吸収するだけで,放射伝熱に影響する全ての波長域の赤外線を吸収することはできない。そのため,合成樹脂発泡体の断熱性能を向上させる効果は充分なものではなかった。
さらに,上記特許文献4に記載の熱可塑性樹脂発泡体においても,断熱性能を充分に向上させることができないことがあった。
【0011】
本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,熱伝導率が低く,断熱性能に優れた合成樹脂発泡体を提供しようとするものである。
【0012】
【課題の解決手段】
本発明は,密度が10〜100kg/m3で,独立気泡率が60%以上で,平均気泡径が20〜1000μmの合成樹脂発泡体であって,
上記合成樹脂発泡体には,合成樹脂100重量部に対して,0.1〜10重量部のアルミニウム粉が分散されており,
該アルミニウム粉の50%粒子径は,0.1〜40μmであり,
上記アルミニウム粉の10%粒子径に対する90%粒子径の比は,1〜10であることを特徴とする合成樹脂発泡体にある(請求項1)。
【0013】
本発明の合成樹脂発泡体には,100重量部の合成樹脂に対して0.1〜10重量部のアルミニウム粉が分散されている。また,上記アルミニウム粉の50%粒子径は,0.1〜40μmである。
そのため,上記合成樹脂発泡体中に分散されたアルミニウム粉が,上記合成樹脂発泡体の放射伝熱を抑制することができる。それ故,上記合成樹脂発泡体の放射熱伝導率が低くなり,上記合成樹脂発泡体は,断熱性能に優れたものとなる。
【0014】
また,上記合成樹脂発泡体は,上記特定の密度を有している。そのため,優れた断熱性能と強度を兼ね備えたものとなる。
また,上記合成樹脂発泡体は,上記特定の独立気泡径及び平均気泡径を有している。そのため,上記合成樹脂発泡体の気泡膜中にも,上記アルミニウム粉を保持させることができ,上記合成樹脂発泡体の断熱性能を向上させることができる。
【0015】
このように,本発明によれば,熱伝導率が低く,断熱性能に優れた合成樹脂発泡体を提供することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明(請求項1)において,上記合成樹脂発泡体の密度は10〜100kg/m3である。
上記合成樹脂発泡体の密度が10kg/m3未満の場合には,上記合成樹脂発泡体の強度が低下し,断熱材等としての実用に耐えることができないおそれがある。一方,100kg/m3を超える場合には,上記合成樹脂発泡体の断熱性能が低下するおそれがある。より好ましくは10〜50kg/m3,特に好ましくは10〜30kg/m3である。
【0017】
また,上記合成樹脂発泡体の独立気泡率は60%以上である。
独立気泡率が60%未満に場合には,断熱性能が低下するおそれがある。より好ましくは70%以上,さらに好ましくは80%以上である。
【0018】
また,上記合成樹脂発泡体の平均気泡径は20〜1000μmである。
平均気泡径が20μm未満の場合には,上記合成樹脂発泡体の気泡膜が薄くなるため,上記合成樹脂発泡体中に分散させた上記アルミニウム粉により気泡膜が破れてしまうおそれがある。その結果,独立気泡率が低下し断熱性能が低下するおそれがある。一方,1000μmを超える場合には,上記合成樹脂発泡体の強度が低下するおそれがある。より好ましくは30〜500μmである。
上記合成樹脂発泡体の平均気泡径は,タルク,ポリエチレンワックスなどの気泡核剤の添加量や発泡剤の種類や組成を変更すること等により,調整することができる。
【0019】
また,上記合成樹脂発泡体中には,合成樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部のアルミニウム粉が分散されている。
上記アルミニウム粉が0.1重量部未満の場合には,低熱伝導率化の効果を得ることができないおそれがある。一方,10重量部を超える場合には,合成樹脂の発泡工程に悪影響を及ぼしたり,合成樹脂中でアルミニウム粉同士が接触することにより伝熱し,断熱性能が低下するおそれがある。より好ましくは0.3〜6重量部,特に好ましくは0.5〜3重量部である。
【0020】
また,上記アルミニウム粉の50%粒子径は,0.1〜40μmである。
上記アルミニウム粉の50%粒子径が0.1μm未満の場合には,赤外線の波長より小さくなるため赤外線を遮蔽する効果が小さくなり,上記合成樹脂発泡体の低熱伝導率化の効果が得られないおそれがある。また,40μmを超える場合にも,赤外線を遮蔽する効果が小さくなり,上記合成樹脂発泡体の低熱伝導率化の効果が得られないおそれがある。同様の理由により,上記アルミニウム粉の50%粒子径は,0.5〜20μmであることがより好ましい。
【0021】
上記アルミニウム粉の50%粒子径は,例えば次の方法によって測定することができる。
即ち,まず,アルミニウム粉をイソプロピルアルコール中に分散させ,レーザー回折散乱法により粒度分布を測定する。続いて,全粒子の体積に対する累積体積が50%になるときの粒子径を求め,これを50%粒子径として測定することができる。このとき,50%粒子径は,アルミニウム粉の粒子の形状を例えば球形として測定することができる。
【0022】
また,上記合成樹脂としては,ポリスチレン,ゴム変性ポリスチレン,ABS樹脂,AS樹脂,AES樹脂などのスチレン系樹脂,低密度ポリエチレン,高密度ポリエチレン,ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂,ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系樹脂,ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデンなどの塩ビ系樹脂,66ナイロン,6ナイロンなどのポリアミド系樹脂,ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂,ポリカーボネート,変性ポリフェニレンエーテル,シンジオタクチックポリスチレンなどのエンジニアリングプラスチック,ポリ乳酸,ポリブチレンサクシネートなどの生分解性樹脂,フェノール樹脂,硬質ポリウレタン,軟質ポリウレタン,メラミン樹脂,エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂などがある。上記合成樹脂は単独で用いても,2種類以上混合して用いても良い。
【0023】
また,上記アルミニウム粉としては,アルミニウム単独よりなるものを用いることもできるが,アルミニウムを主成分とする金属であればよい。アルミニウムを主成分とする金属としては,例えばアルミニウムとマグネシウム等との合金(アルミニウム合金)等を用いることができる。
【0024】
上記アルミニウム粉は,例えばスタンプミル,乾式ボールミル,湿式ボールミル,アトマイズなどにより粉砕して製造されたものを用いることができる。粉砕の際には,ステアリン酸等の粉砕助剤を用いても良い。また,ミネラルスピリッツのような溶剤を含むペースト状のアルミニウム粉を用いてもよい。
上記アルミニウム粉としては,球状,粒状,板状,鱗片状,薄片状,不定形状,針状などの形状のものを用いることができる。好ましくは薄片状,鱗片状がよい。
【0025】
また,上記合成樹脂発泡体を得る方法としては,例えば次のような方法がある。
まず,押出機,ロール,ミキサーなどを用いてアルミニウム粉と合成樹脂とを混練したり,上記合成樹脂の製造時において重合反応前のモノマーや重合反応中にアルミニウム粉を添加混合するなどにより,合成樹脂中にアルミニウム粉を分散させる。次いで,アルミニウム粉が分散された合成樹脂を,下記の押出発泡法,ドカン発泡法,又はビーズ発泡法等により発泡させて得ることができる。
【0026】
上記押出発泡法においては,上記アルミニウム粉が分散された合成樹脂に,押出機中で発泡剤を加えて溶融混練し,押出機先端のダイから大気中に押し出して発泡させる。
また,上記ドカン発泡法においては,上記アルミニウム粉が分散された合成樹脂を押出機で合成樹脂粒子とし,密閉容器内で水性媒体中に分散させ,この密閉容器内に発泡剤を圧入し,密閉容器の一端を開放し圧力を減少させて発泡させる。
【0027】
また,上記ビーズ発泡法においては,上記アルミニウム粉が分散された合成樹脂を押出機で合成樹脂粒子とし,密閉容器内で水性媒体中に分散させ,密閉容器内に発泡剤を圧入して合成樹脂粒子に発泡剤を含浸させる。そして,密閉容器から発泡剤を含有する合成樹脂粒子を取り出した後,スチーム等により発泡剤を含有する合成樹脂粒子を加熱し,所定の倍率に発泡させる。
【0028】
上記発泡剤としては,窒素,二酸化炭素等の無機ガス,プロパン,n−ブタン,イソブタン,n−ペンタン,イソペンタン,シクロペンタン,n−ヘキサン,シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素,ジメチルエーテル,ジエチルエーテル,フラン等のエーテル類,メチルアルコール,エチルアルコール,プロピルアルコール等のアルコール類,HCFC−141b,HCFC−142,HCFC−124,HFC−152a,HFC−134a等のハロゲン化炭化水素等を用いることができる。これらの発泡剤は単独で用いても,2種以上混合して用いてもよい。
【0029】
また,上記合成樹脂発泡粒子を作製する際には,上記ドカン発泡法又は上記ビーズ発泡法を用いることが好ましい。
この場合には,得られる合成樹脂発泡体の熱伝導率の経時変化を一層小さくすることができる。
また,合成樹脂中にアルミニウム粉を分散させる工程と合成樹脂を発泡させる工程とは別々に行っても,同時に行っても良い。
【0030】
また,上記合成樹脂発泡体には,難燃剤,難燃助剤,気泡核剤,可塑剤,帯電防止剤,酸化防止剤,紫外線吸収剤,光安定剤,導電性フィラー,及び抗菌剤等の添加剤を含有させることができる。また,ゴム成分を含有させることもできる。
【0031】
上記難燃剤としては,例えばヘキサブロモシクロドデカン,テトラブロモビスフェノールA,トリメチルホスフェート,水酸化アルミニウム,三酸化アンチモン等がある。
上記難燃助剤としては,例えば2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン等がある。
【0032】
上記気泡核剤としては,例えばメタクリル酸メチル系共重合体,ポリエチレンワックス,タルク,シリカ,エチレンビスステアリルアミド,シリコーン等がある。
上記可塑剤としては,例えば流動パラフィン,グリセリンジアセトモノラウレート,グリセリントリステアレート,フタル酸ジ−2−エチルヘキシル,アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル等がある。
【0033】
上記帯電防止剤としては,例えばアルキルジエタノールアミン,グリセリン脂肪酸エステル,アルキルスルホン酸ナトリウム等がある。
上記酸化防止剤としては,例えばフェノール系酸化防止剤,リン系酸化防止剤,イオウ系酸化防止剤等がある。
上記紫外線吸収剤としては,例えばベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤等がある。
上記光安定剤としては,例えばヒンダードアミン系光安定剤等がある。
上記導電性フィラーとしては,例えば導電性カーボンブラック,黒鉛粉,銅亜鉛合金粉,銅粉,銀粉,及び金粉等がある。
【0034】
上記抗菌剤としては,例えばIPBC,TBZ,BCM,TPN等の有機系抗菌剤,又は銀系,銅系,亜鉛系,酸化チタン系等の無機系抗菌剤等がある。
また,上記ゴム成分としては,例えばブタジエンゴム,スチレン−ブタジエンゴム,イソプレンゴム,エチレン−プロピレンゴム等がある。
【0035】
次に,上記アルミニウム粉の嵩密度は,0.33g/cm3以下であることが好ましい(請求項2)。
上記アルミニウム粉の嵩密度が0.33kg/m3を超える場合には,上記合成樹脂発泡体の低熱伝導化の効果が得られないおそれがある。より好ましくは,上記アルミニウム粉の嵩密度は,0.30g/cm3以下がよい。
【0036】
上記アルミニウム粉の嵩密度は,例えばJIS Z2504に準じて測定することができる。
具体的には,例えば,以下のようにして測定することができる。
まず,直径が5mm,長さが3.2mmのオリフィスを有する非磁性の金属製漏斗から,内径が30mmで容積が25cm2の非磁性の金属製コップにアルミニウム粉を自由落下させ,アルミニウム粉がコップよりあふれるまで流し込む。このとき,コップの上面と漏斗オリフィス下端との距離は25mmとする。次いで,コップの上に盛り上がったアルミニウム粉を非磁性材料でできた水平なへらを用いて,コップ上端に沿って1回の操作でかき取り,その後コップ内のアルミニウム粉を秤量する。そして,アルミニウム粉の質量をコップの容積で除すことにより,アルミニウム粉の嵩密度を求めることができる。
【0037】
次に,上記アルミニウム粉の比表面積は,0.2m2/cm3以上であることが好ましい(請求項3)。
【0038】
上記アルミニウム粉の比表面積が0.2m2/cm3未満の場合には,赤外線を遮蔽する効果が小さくなり,上記合成樹脂発泡体の低熱伝導化の効果が充分に得られないおそれがある。より好ましくは,上記アルミニウム粉の比表面積は,0.3m2/cm3以上がよい。
上記アルミニウム粉の比表面積は,上記の50%粒子径と同様の方法により測定することができる。
【0039】
次に,上記アルミニウム粉の10%粒子径に対する90%粒子径の比は,1〜10である。
上記アルミニウム粉の10%粒子径に対する90%粒子径の比が10を超える場合には,大きな粒子径のアルミニウム粉の割合が増えるため,合成樹脂の発泡工程に悪影響を及ぼすおそれがある。
より好ましくは,上記アルミニウム粉の10%粒子径に対する90%粒子径の比は,1〜5がよい。
上記アルミニウム粉の10%粒子径に対する90%粒子径の比は,上記の50%粒子径と同様の方法により測定することができる。
【0040】
次に,上記アルミニウム粉の形状は,鱗片状であることが好ましい(請求項4)。
この場合には,上記アルミニウム粉の表面積が大きくなるため,放射伝熱の遮へい効果が高くなる。そのため,この場合には,上記アルミニウム粉の添加量が少量であっても,上記合成樹脂発泡体の低熱伝導率化の効果を充分に得ることができる。
【0041】
ここで上記鱗片状とは,アスペクト比,すなわちアルミニウム粉の短径(又は厚み)に対するアルミニウム粉の長径の比が,10〜1000のものをいう。この範囲にない場合には,上述の放射伝熱の遮へい効果が小さくなるおそれがある。より好ましくは20〜500である。
【0042】
また,上記アルミニウム粉の厚みは,2μm以下であることが好ましい。
上記アルミニウム粉の厚みが2μmを越える場合には,上記アルミニウム粉が,合成樹脂の発泡工程に悪影響を与えるおそれがある。即ち,上記アルミニウム粉の厚みが上記合成樹脂発泡体の気泡膜の厚みよりも大きくなり,気泡膜が破壊されてしまうおそれがある。より好ましくは1μm以下がよく,さらに好ましくは0.5μm以下がよい。
【0043】
上記アルミニウム粉の厚み(μm)は,例えば,アルミニウム粉の密度(g/cm3)及び水面被覆面積(cm2/g)より,以下の式により間接的に求めることができる。
厚み(μm)=10000/密度(g/cm3)/水面被覆面積(cm2/g)なお,アルミニウムの密度は,2.7g/cm3程度であるので,例えば厚みが2μm以下のアルミニウム粉を得るには,水面被覆面積が1850cm2/g以上のアルミニウム粉を用いればよい。
【0044】
次に,上記合成樹脂は,熱可塑性樹脂であることが好ましい(請求項5)。
熱可塑性樹脂以外の樹脂では,上記アルミニウム粉を均一に分散させることが難しくなり,低熱伝導率化の効果が充分に得られないおそれがある。
【0045】
上記熱可塑性樹脂としては,ポリスチレン,ゴム変性ポリスチレン,ABS樹脂,AS樹脂などのスチレン系樹脂,ポリエチレン,ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂,ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系樹脂,ポリ塩化ビニリデンなどの塩ビ系樹脂,66ナイロン,6ナイロンなどのポリアミド系樹脂,ポリ塩化ビニル,ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂,ポリカーボネート,変性ポリフェニレンエーテル,シンジオタクチックポリスチレンなどのエンジニアリングプラスチック,ポリ乳酸,ポリブチレンサクシネートなどの生分解性樹脂などが挙げられる。特に好ましくは,スチレン系樹脂またはオレフィン系樹脂がよい。また,上記熱可塑性樹脂は単独で用いても,2種類以上混合して用いても良い。
【0046】
次に,上記合成樹脂発泡体は,上記合成樹脂100重量部に対し,0.3〜10重量部の難燃剤を含有することが好ましい(請求項6)。
上記難燃剤の含有量が0.3重量部未満の場合には,上記合成樹脂発泡体に対する難燃効果が充分に得られないおそれがある。一方,10重量部を超える場合には,合成樹脂の発泡工程に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0047】
上記難燃剤としては,例えば,ヘキサブロモベンゼン,テトラブロモシクロオクタン,ヘキサブロモシクロドデカン,テトラブロモブタン,ジブロモエチルジブロモシクロヘキサン,ヘキサブロモシクロヘキサン,トリブロモフェノール,トリブロモフェニルアリルエーテル,テトラブロモビスフェノールA,2,2−ビス(4−(2−アリルオキシ)−3,5−ジブロモフェニル)プロパン,エチレンビスブロマイド・2,2−ビス(4−(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン縮合物,2,2−ビス(4−(2,3−ジブロモプロポキシ)−3,5−ジブロモフェニル)プロパン,デカブロモジフェニルエーテル,オクタブロモジフェニルエーテル,パークロロシクロペンタデカン,塩素化ポリエチレンなどのハロゲン系難燃剤,トリメチルホスフェート,トリエチルホスフェート,トリブチルホスフェート,トリオクチルハスフェート,トリブトキシエチルホスフェート,トリフェニルホスフェート,トリクレジルホスフェートなどの非ハロゲンリン系難燃剤,トリス(クロロエチル)ホスフェート,トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート,トリス(クロロプロピル)ホスフェート,トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート,トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートなどの含ハロゲンリン系難燃剤,水酸化アルミニウム,水酸化マグネシウム,炭酸カルシウム,アルミン酸カルシウム,三酸化アンチモン,膨張性黒鉛,赤リンなどの無機系難燃剤などが挙げられる。上記難燃剤は単独で用いても,2種類以上混合して用いても良い。
【0048】
次に,上記合成樹脂発泡体は,熱伝導率が0.038W/m・K以下であることが好ましい(請求項7)。
この場合には,上記合成樹脂発泡体を断熱材として用いるときに,その厚みを小さくすることができる。より好ましくは0.035W/m・K以下がよい。
【0049】
次に,上記合成樹脂発泡体は,表面固有抵抗率が108Ω以上であることが好ましい(請求項8)。
上記合成樹脂発泡体の表面固有抵抗値が108Ω未満の場合には,合成樹脂中でアルミニウム粉同士が接触することにより伝熱し,断熱性能が低下するおそれがある。より好ましくは1010Ω以上がよい。
【0050】
表面固有抵抗値は,例えば上記合成樹脂発泡体を室温23℃,相対湿度50%で24時間以上状態調整した後,高抵抗率計(三菱化学社製 ハイレスタ−UP MCP HT450,プローブ UR100)を用いて,例えば室温23℃,相対湿度50%,印可電圧500Vの条件で測定することができる。
【0051】
【実施例】
(実施例1)
次に,本発明の合成樹脂発泡体の実施例につき,説明する。
本例の合成樹脂発泡体は,密度が10〜100kg/m3で,独立気泡率が50%以上で,平均気泡径が20〜1000μmである。上記合成樹脂発泡体には,合成樹脂100重量部に対して,0.1〜10重量部のアルミニウム粉が分散されている。また,このアルミニウム粉の50%粒子径は,0.1〜40μmである。
【0052】
次に,本例の合成樹脂発泡体の製造方法につき,説明する。
まず,上記合成樹脂としてのポリスチレン(エー・アンド・エム スチレン社製 HH105)100重量部と,アルミニウム粉(東洋アルミニウム社製 PO100,鱗片状アルミニウム粉)3重量部と,分散助剤としての流動パラフィン(松村石油研究所社製 モレスコホワイトP60)1重量部とをミキサーで混合した。
【0053】
その後,φ30mmの単軸押出機を用いて,温度200〜220℃で溶融混合し,溶融した樹脂を押出機先端のダイよりストランド状に押し出した。続いて,直ちに約30℃の水槽に導入して冷却後,ストランドカッターにより,重量が約1mg/個の円柱状のアルミニウム粉を含有する樹脂粒子を作製した。
【0054】
次に,容積が3Lの撹拌装置付き圧力容器を準備し,該圧力容器に,脱イオン水1kgと,ピロリン酸ナトリウム4gと,硫酸マグネシウム8gとを投入し,懸濁剤であるピロリン酸マグネシウムを合成した。次いで,界面活性剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5gと,上記にて作製した樹脂粒子0.5kgを投入し,圧力容器を密閉後,1時間で温度100℃まで加温した。
【0055】
100℃に到達後,発泡剤としてのペンタン(n−ペンタン約80%とイソペンタン約20%との混合物)40gを30分かけて圧力容器内に添加し,そのまま100℃で5時間保持した後,室温まで冷却した。そして,圧力容器から発泡剤の含浸された樹脂粒子を取り出し,硝酸で表面に付着した懸濁剤を溶解させた後,水洗し,遠心分離機で脱水後,気流乾燥機で樹脂粒子表面に付着する水分を乾燥させた。
【0056】
このようにして得られた樹脂粒子100重量部に対して,帯電防止剤であるN,N―ビス(2−ヒドロキシエチル)アルキルアミン0.005重量部を添加し,さらにステアリン酸亜鉛0.1重量部と,グリセリントリステアレート0.05重量部と,グリセリンモノステアレート0.05重量部との混合物で上記樹脂粒子を被覆した。
【0057】
次に,上記樹脂粒子を発泡性ポリスチレン用のスチーム発泡機を用いて,加熱発泡させ,17kg/m3の嵩密度を有する発泡樹脂粒子を得た。
続いて,上記発泡樹脂粒子を室温で24時間熟成させた後,発泡ポリスチレン用成形機(ダイセン工業社製 VS−500型物成形機)を用いて成形を行い,300×200×25mmの板状の合成樹脂発泡体を得た。これを試料E1とする。
【0058】
次に,上記実施例1とは,合成樹脂及びアルミニウム粉の種類や量等を変えて合成樹脂発泡体を作製した実施例2〜実施例10につき,説明する。
【0059】
(実施例2)
実施例1とはアルミニウム粉の量を変えて,5重量部のアルミニウム粉(東洋アルミニウム社製 PO100,鱗片状アルミニウム粉)を用い,また,発泡剤としてペンタン(n−ペンタン約80%とイソペンタン約20%との混合物)40g及びブタン(n−ブタン約70%とイソブタン30%との混合物)30gを用いた点を除いては,実施例1と同様にして合成樹脂発泡体を作製した。これを試料E2とする。
【0060】
(実施例3)
上記実施例1のアルミニウム粉の代わりにアルミニウムペースト(東洋アルミニウム社製 0100MSR,アルミニウム粉の含有量約67%,鱗片状アルミニウム粉)3重量部を用いた点を除いては,実施例1と同様にして合成樹脂発泡体を作製した。これを試料E3とする。
【0061】
(実施例4)
上記実施例1のアルミニウム粉の代わりにアルミニウムペースト(シルバーライン社製 SPARKLE SILVER 7000AR,アルミニウム粉の含有量約65%,鱗片状アルミニウム粉)1.5重量部を用いた点を除いては,実施例1と同様ににして合成樹脂発泡体を作製した。これを試料E4とする。
【0062】
(実施例5)
実施例1とはアルミニウム粉の種類及び量を変えて1.5重量部のアルミニウム粉(ダイヤ工業株式会社製 No.30000,鱗片状アルミニウム粉)を用い,また,分散助材の量を変えて,0.5重量部の流動パラフィン(松村石油研究所社製 モレスコホワイトP60)を用いた点を除いては,実施例1と同様にして合成樹脂発泡体を作製した。これを試料E5とする。
【0063】
(実施例6)
難燃剤として,2,2−ビス(4−(2−アリルオキシ)−3,5−ジブロモフェニル)プロパン(帝人化成社製 ファイアガード3200)を5g(1重量部)用いた点を除いては,実施例1と同様にして合成樹脂発泡体を作製した。これを試料E6とする。
なお,難燃剤は,樹脂粒子を圧力容器に投入後に,該圧力容器に投入した。
【0064】
(実施例7)
難燃剤として,1,2,5,6,9,10−ヘキサブロモシクロドデカン(第一エフアール社製 ピロガードSR104)を3g(0.6重量部)用い,また,難燃助剤としてジクミルパーオキサイド(日本油脂社製 パークミルD)を1.5g用いた点を除いては,実施例1と同様にして合成樹脂発泡体を作製した。これを試料E7とする。
なお,難燃剤及び難燃助剤は,樹脂粒子を圧力容器に投入後に,該圧力容器に投入した。
【0065】
(実施例8)
本例においては,合成樹脂としてポリプロピレンを用いて合成樹脂発泡体を作製した。
具体的には,まず,合成樹脂としてポリプロピレン(日本ポリケム社製 FG3Y)100重量部と,アルミニウム粉(東洋アルミニウム社製 0200N,鱗片状アルミニウム粉)3重量部と,分散助剤として流動パラフィン(松村石油研究所社製 モレスコホワイトP60)1重量部とをミキサーで混合した。その後,φ30mmの単軸押出機で溶融混合し,実施例1と同様に樹脂粒子を作製した。
【0066】
次に,容積が3Lで,底にボールバルブ付きの抜き出し口がある撹拌装置付き圧力容器に,脱イオン水1.2kgと,懸濁剤としての第3リン酸カルシウム20gと,界面活性剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4gと,上記樹脂粒子0.6kgとを投入し,圧力容器を密閉した。続いて,ブタン(n−ブタン70%とイソブタン30%との混合物)150gを圧力容器内に添加し,140℃まで30分で加温した。
【0067】
140℃で10分保持した後,圧力容器内に3MPa圧力の窒素を導入しながら,圧力容器底のバルブを開放し,内容物を大気中に放出させ,18kg/m3の嵩密度を有する発泡樹脂粒子を得た。続いて,硝酸で発泡樹脂粒子の表面に付着した懸濁剤を溶解させた後,水洗し遠心分離機で脱水後,40℃で24時間乾燥した。
ついで,発泡ポリプロピレン用成形機(ダイセン工業社製 EPV−600)を用いて成形を行い,実施例1と同様にして,合成樹脂発泡体を作製した。これを試料E8とする。
【0068】
(実施例9)
本例においては,実施例8と同様に合成樹脂としてポリプロピレンを用いると共に,さらに難燃助剤を添加して合成樹脂発泡体を作製した。
即ち,まず合成樹脂としてポリプロピレン(日本ポリケム社製 FG3Y)100重量部と,アルミニウム粉(東洋アルミニウム社製 0200N,鱗片状アルミニウム粉)3重量部と,分散助剤として流動パラフィン(松村石油研究所社製 モレスコホワイトP60)1重量部と,難燃剤としてトリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート(大八化学社製 CR900)5重量部とをミキサーで混合した後,φ30mmの単軸押出機で溶融混合し,樹脂粒子を作製した。次に,この樹脂粒子を用いて,上記の実施例8と同様にして,圧力容器内で発泡樹脂粒子を作製し,該発泡樹脂粒子を成形機で成形して合成樹脂発泡体を作製した。これを試料E9とする。
【0069】
(実施例10)
本例においては,押出発泡法により合成樹脂発泡体を作製した。
具体的には,まず,合成樹脂としてのポリスチレン(エー・アンド・エム スチレン社製 HH105)100重量部と,アルミニウム粉(東洋アルミニウム社製 0200N,鱗片状アルミニウム粉)3重量部と,分散助剤としての流動パラフィン(松村石油研究所社製 モレスコホワイトP60)1重量部と,気泡核剤としてのタルク0.5重量部と,分散助剤としてステアリン酸亜鉛3重量部とをミキサーで混合した。
【0070】
その後,φ65mmの単軸押出機のホッパーに投入し,押出機の前段部で200〜220℃の温度で溶融混合させ,次いで押出機中段より合成樹脂100重量部に対して,6重量部になるようにブタン(n−ブタン70%とイソブタン30%との混合物)を添加した。押出機後段で120℃まで冷却し,押出機先端部のTダイより溶融樹脂を押し出し,密度が30kg/m3の板状の合成樹脂発泡体を作製した。これを試料E10とする。
【0071】
次に,実施例1〜10で得られた上記試料E1〜試料E10の優れた特性を明らかにするため,以下のようにして比較用の8種類の合成樹脂発泡体(試料C1〜C8)を作製した。
【0072】
(比較例1〜6)
比較例1〜6においては,上記試料E1〜試料E7と同様にポリスチレンを合成樹脂として含有する合成樹脂発泡体(試料C1〜試料C6)を作製した。
試料C1〜試料C3は,アルミニウム粉を用いなかったことを除いては実施例1と同様にして作製した。
また,試料C1〜試料C3は,発泡性ポリスチレン用のスチーム発泡機で発泡する際に,発泡樹脂粒子の嵩密度をそれぞれ調整して作製されたものであり,試料C1〜試料C3は,その密度がそれぞれ17,20,25kg/m3のものである。
【0073】
また,試料C4は,発泡剤としてペンタン(n−ペンタン約80%とイソペンタン約20%との混合物)を60g用い,また可塑剤としてキシレンを10g用いて作製したものである。試料C4の作製においては,密閉した圧力容器内の温度が100℃に到達した時に,まず,キシレンを10分かけて圧力容器内に添加した後,続いてペンタンを30分かけて圧力容器内に添加した。その他は実施例1と同様にして作製した。
【0074】
また,試料C5は,アルミニウム粉の種類を変え,実施例1とは50%粒子径が異なるアルミニウム粉(ナカライテスク社製 試薬 アルミニウム粉)を用いた点を除いては,実施例1と同様にして作製したものである。
【0075】
また,試料C6は,実施例1のアルミニウム粉の代わりに銅粉(キシダ化学社製 試薬 銅粉)を3重量部用いた点を除いては,実施例1と同様にして作製したものである。
【0076】
(比較例7)
比較例7においては,上記試料E8及び試料E9と同様に,ポリプロピレンを合成樹脂として用いて,合成樹脂発泡体(試料C7)を作製した。
試料C7は,アルミニウム粉を用いなかった点を除いては,実施例8と同様にして作製したものである。
(比較例8)
比較例8においては,上記試料E10と同様に,気泡核剤を用いて合成樹脂発泡体(試料C8)を作製した。
試料C8は,アルミニウム粉を用いなかったこと以外は,実施例10と同様にして作製したものである。
【0077】
(実験例)
次に,上記実施例1〜10及び比較例1〜8において得られた合成樹脂発泡体(試料E1〜E10及び試料C1〜C8)について,アルミニウム粉の50%粒子径(μm),アルミニウム粉の10%粒子径に対する90%粒子径の比,アルミニウム粉の比表面積(m2/cm3),アルミニウム粉の嵩密度(kg/m3),平均気泡径(μm),独立気泡率(%),熱伝導率(W/m・K),及び表面固有抵抗値(Ω)を測定し,また燃焼試験を行った。その結果を後述する表1〜表3に示す。
【0078】
各測定方法は,以下に示すとおりである。なお,各試料E1〜E10及びC1〜C8は,その作製後60℃で7日間養生させてから,各種評価に用いた。
また,上記燃焼試験は,難燃剤を含有させた合成樹脂発泡体(試料E6,試料E7及び試料E9)についてのみおこなった。
【0079】
(アルミニウム粉の50%粒子径)
アルミニウム粉をイソプロピルアルコール中に分散させ,レーザー回折散乱法(測定装置:セイシン企業社製 LMS−24)により粒度分布を測定し,全粒子の体積に対する累積体積が50%になる時の粒子径を50%粒子径とした。なお,このとき,測定装置に設定する粒子の形状ファクターは「1(球形)」とした。なお,試料C6については,アルミニウム粉の代わりに銅粉についておこなった。
【0080】
(アルミニウム粉の10%粒子径に対する90%粒子径の比)
レーザー回折散乱法により,50%粒子径と同様にアルミニウム粉の10%粒子径と90%粒子径を測定し,10%粒子径に対する90%粒子径の比,すなわち,90%粒子径/10%粒子径を求めた。なお,試料C6については,アルミニウム粉の代わりに銅粉についておこなった。
【0081】
(アルミニウム粉の比表面積)
アルミニウム粉をイソプロピルアルコール中に分散させ,レーザー回折散乱法により(測定装置:セイシン企業社製 LMS−24),上記の50%粒子径の測定とともに,比表面積を求めた。このとき,測定装置に設定する粒子の形状ファクターは「1(球形)」とした。なお,試料C6については,アルミニウム粉の代わりに銅粉についておこなった。
【0082】
(アルミニウム粉の嵩密度)
JIS Z 2504に準じて測定した。
即ち,直径が5mm,長さが3.2mmのオリフィスを有する非磁性の金属製漏斗から,内径が30mmで容積が25cm2の非磁性の金属製コップにアルミニウム粉を自由落下させ,アルミニウム粉がコップよりあふれるまで流し込んだ。このとき,コップの上面と漏斗オリフィス下端との距離は25mmとした。次いで,コップの上に盛り上がったアルミニウム粉を非磁性材料でできた水平なへらを用いて,コップ上端に沿って1回の操作でかき取った後,コップ内のアルミニウム粉を秤量した。そして,アルミニウム粉の質量をコップの容積で除すことにより,アルミニウム粉の嵩密度を求めた。なお,試料C6については,アルミニウム粉の代わりに銅粉についておこなった。
【0083】
また,試料E3及び試料E4の嵩密度の測定にあたっては,アルミニウムペーストを次の操作により粉体に精製した後,嵩密度の測定をおこなった。
即ち,まず,アルミニウムペーストに重量で約10倍量のn−ヘキサンを加え,n−ヘキサン中にアルミニウム粉を分散させ,次いで遠心分離によりアルミニウム粉を沈殿させ,上澄み液をデカンテーションで除去する操作を3回行った。続いて,デシケータ中で24時間減圧し,n−ヘキサンを除去しアルミニウム粉とした。
【0084】
(平均気泡径)
合成樹脂発泡体をミクロトームでスライスして厚さ20〜30μmの薄片を作成し,薄片を光学顕微鏡で観察して,ランダムに20個の気泡径を測定した値を数平均して求めた。
【0085】
(独立気泡率)
合成樹脂発泡体から30×30×20mm程度の試験体を切り出し,空気比較式比重計(東京サイエンス社製 空気比較式比重計1000型)により求めた試験体容積をV1(cm3)とし,また水置換法により求めた試験体容積V2(cm3)とし,さらに試験体の重量W(g)及び合成樹脂の密度d(g/cm3)を計測し,次の式により独立気泡率を算出した。
独立気泡率(%)=(V1−W/d)/(V2−W/d)×100
【0086】
(熱伝導率)
JIS A 1412−2に規定する熱流計法(HFM法)に準じて測定した。即ち,合成樹脂発泡体から200×200×25mmの寸法の試験体を切り出し,測定装置の加熱板と冷却熱板の間に挟み,試験体温度差30℃,試験体平均温度20℃の条件で測定を行った。
【0087】
(表面固有抵抗値)
合成樹脂発泡体を室温23℃,相対湿度50%で24時間以上状態調整した後,高抵抗率計(三菱化学社製 ハイレスタ−UP MCP HT450,プローブUR100)を用いて,室温23℃,相対湿度50%,印加電圧500Vの条件で表面固有抵抗値を測定した。
【0088】
(燃焼試験)
JIS A 9511に規定の方法に準じて行った。その結果は,JIS A9511の合否判定に準じ,3秒以内に消火し残塵がなく,限界線を越えて燃焼が継続しなかった場合を合格とした。
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】
【表3】
【0092】
また,表1の試料E1〜E7と表2の試料C1〜C6について,合成樹脂発泡体の密度と熱伝導率の関係を図1に示した。
表1,表2及び図1より知られるごとく,合成樹脂にポリスチレンを用いた試料E1〜試料E7と,その比較用の試料C1〜試料C6とを比較すると,試料E1〜試料E7は,試料C1〜試料C6よりも熱伝導率が小さく,断熱性能に優れていることがわかる。
【0093】
また,表3より知られるごとく,合成樹脂にポリプロピレンを用いた試料E8及び試料E9と,その比較用の試料C7とを比較すると,試料E8及び試料E9は,試料C7よりも熱伝導率が小さく,断熱性能に優れていた。
同様に,試料E10と試料C8とを比較すると,試料E10は,試料C8よりも熱伝導率が小さく,断熱性能に優れていた。
【0094】
このように,本発明の実施例にかかる,試料E1〜E10の合成樹脂発泡体は,熱伝導率が低く,断熱性能に優れるものであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実験例にかかる,合成樹脂発泡体(試料E1〜試料E7及び試料C1〜試料C6)の密度と熱伝導率との関係を示す説明図。
Claims (8)
- 密度が10〜100kg/m3で,独立気泡率が60%以上で,平均気泡径が20〜1000μmの合成樹脂発泡体であって,
上記合成樹脂発泡体には,合成樹脂100重量部に対して,0.1〜10重量部のアルミニウム粉が分散されており,
該アルミニウム粉の50%粒子径は,0.1〜40μmであり,
上記アルミニウム粉の10%粒子径に対する90%粒子径の比は,1〜10であることを特徴とする合成樹脂発泡体。 - 請求項1において,上記アルミニウム粉の嵩密度は,0.33g/cm3以下であることを特徴とする合成樹脂発泡体。
- 請求項1または2において,上記アルミニウム粉の比表面積は,0.2m2/cm3以上であることを特徴とする合成樹脂発泡体。
- 請求項1〜3のいずれか一項において,上記アルミニウム粉の形状は,鱗片状であることを特徴とする合成樹脂発泡体。
- 請求項1〜4のいずれか一項において,上記合成樹脂は,熱可塑性樹脂であることを特徴とする合成樹脂発泡体。
- 請求項1〜5のいずれか一項において,上記合成樹脂発泡体は,上記合成樹脂100重量部に対し,0.3〜10重量部の難燃剤を含有することを特徴とする合成樹脂発泡体。
- 請求項1〜6のいずれか一項において,上記合成樹脂発泡体は,熱伝導率が0.038W/m・K以下であることを特徴とする合成樹脂発泡体。
- 請求項1〜7のいずれか一項において,上記合成樹脂発泡体は,表面固有抵抗率が10 8 Ω以上であることを特徴とする合成樹脂発泡体。
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