JP2012177052A - ポリスチレン系樹脂押出発泡板 - Google Patents

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Abstract


【課題】 本発明は、オゾン破壊係数が0で、地球温暖化係数も小さい炭化水素系の発泡剤を、従来より多量に用いて製造された押出発泡板であって、難燃性に優れ、長期に亘って熱伝導率が小さいポリスチレン系樹脂押出発泡板を提供することを、その課題とするものである。

【解決手段】 本発明のポリスチレン系樹脂押出発泡板は、特定のa)の群から選択される物理発泡剤と、特定のb)の群から選択される物理発泡剤と、必要に応じて使用される特定のc)の群から選択される物理発泡剤とからなる混合物理発泡剤と、難燃剤と、ポリスチレン系樹脂とから構成される発泡性溶融樹脂混合物を押出発泡することによって得られる厚み10mm以上、見掛け密度25〜60kg/mであって、
該発泡板製造1週間後の該発泡板中の特定のa)の群から選択される物理発泡剤の合計残存量が3.5重量%超であると共に、該発泡板製造4週間後の該発泡板中の特定のa)の群から選択される物理発泡剤の合計残存量が3.0〜4.5重量%であり、
該発泡板の厚み方向の平均気泡径が0.05〜0.20mmであると共に、気泡変形率(厚み方向の平均気泡径/水平方向の平均気泡径)が0.7〜1.2である。
【選択図】 なし

Description

本発明は建築物の壁、床、屋根等の断熱材や畳芯材等に使用されるポリスチレン系樹脂押出発泡板に関する。
ポリスチレン樹脂押出発泡体は、優れた断熱性及び機械的強度を有することから、板状に成形されたポリスチレン系樹脂押出発泡板(以下、単に押出発泡板又は発泡板という。)が断熱材を初めとする建築用材料として広く使用されている。このような押出発泡板は、一般に押出機中でポリスチレン樹脂を加熱溶融したのち、該溶融物に発泡剤を圧入し混練して得られる発泡性溶融樹脂を、押出機先端に付設されたフラットダイなどから低圧域に押出発泡し、賦形装置(ガイダー)を通して板状に賦形することにより製造されている。
前記のようなポリスチレン樹脂押出発泡板の製造に使用される物理発泡剤としては、従来、ジクロロジフルオロメタン等の塩化フッ化炭化水素(以下、CFCという)が広く使用されてきた。しかし、CFCはオゾン層を破壊する危険性が大きいことから、オゾン破壊係数の小さい水素原子含有塩化フッ化炭化水素(以下、HCFCという)がCFCに替わって用いられるようになった。しかしながら、HCFCもオゾン破壊係数が0(ゼロ)でないことから、オゾン層を破壊する危険性が全くないわけではない。そこで近年、オゾン層破壊係数が0(ゼロ)であり、分子中に塩素原子を持たないフッ化炭化水素(以下、HFCという)が発泡剤として検討されるようになった。
ところがこのHFCは地球温暖化係数が大きいため、地球環境保護の観点からは未だ改善の余地を残す発泡剤である。このためオゾン破壊係数が0(ゼロ)であるとともに、地球温暖化係数も小さい、環境にやさしい発泡剤を使用して、ポリスチレン系樹脂押出発泡板を製造することが望まれている。
このような条件を満たす物理発泡剤として、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、シクロペンタンやイソペンタンなどの脂肪族炭化水素や脂環式炭化水素(以下、これらをHCという)がある。
前記HCの中でも、イソブタンは、ポリスチレン系樹脂の押出発泡に好適なものであり、ポリスチレンに対する透過速度が空気より極めて遅いことから、イソブタンを使用した押出発泡板は長期にわたって製造時の断熱性を維持することが可能である。
しかし、イソブタンは気体状態における熱伝導率が空気に比べ低いものの、これまで用いられてきたCFC、HCFC、HFCと比べると、気体状態における熱伝導率が大きく、HFC等と同等の断熱性を得ることが困難である。更に、それ自身の燃焼性が高いため、得られた押出発泡板に難燃性を付与することも簡単ではない。
前記のような課題を解決するため、押出発泡板中に残る炭化水素を特定量に制限しつつ、特定の気泡径、気泡形状にすることにより、断熱性と難燃性を両立する検討がなされている(特許文献1、2)。しかし、更に断熱性能を要求される場合においては、HCを増量しなければならず、難燃性を確保することが困難になるという問題が新たに生じてしまう。
特開2003−25407 特開2004−59595
本発明は、従来のポリスチレン系樹脂押出発泡板の欠点に鑑み、オゾン破壊係数が0で、地球温暖化係数も小さい炭化水素系の発泡剤を、従来より多量に用いて製造された押出発泡板であって、難燃性に優れ、長期に亘って熱伝導率が小さいポリスチレン系樹脂押出発泡板を提供することを、その課題とするものである。
本発明によれば、以下に示すポリスチレン系樹脂押出発泡板が提供される。
[1]下記a)の群から選択される物理発泡剤と、下記b)の群から選択される物理発泡剤と、必要に応じて使用される下記c)の群から選択される物理発泡剤とからなる混合物理発泡剤と、難燃剤と、ポリスチレン系樹脂とから構成される発泡性溶融樹脂混合物を押出発泡することによって得られる厚み10mm以上、見掛け密度25〜60kg/mのポリスチレン系樹脂押出発泡板であって、
該発泡板製造1週間後の該発泡板中の下記a)の群から選択される物理発泡剤の合計残存量が3.5重量%超であると共に、該発泡板製造4週間後の該発泡板中の下記a)の群から選択される物理発泡剤の合計残存量が3.0〜4.5重量%であり、
該発泡板の厚み方向の平均気泡径が0.05〜0.20mmであると共に、気泡変形率(厚み方向の平均気泡径/水平方向の平均気泡径)が0.7〜1.2であることを特徴とするポリスチレン系樹脂押出発泡板。
a)炭素数3〜6の飽和炭化水素から選ばれる1又は2以上の物理発泡剤
b)塩化アルキル、ギ酸アルキル、アルキルエーテル、二酸化炭素から選ばれる1又は2以上の物理発泡剤
c)水、窒素、炭素数1〜5のアルコールから選ばれる1又は2以上の物理発泡剤
[2]前記混合物理発泡剤中の前記a)の群から選択される物理発泡剤の合計モル数の割合が、50〜90モル%(ただし、前記a)の群から選択される物理発泡剤の合計モル数と、前記b)の群から選択される物理発泡剤の合計モル数との合計モル数を100モル%とする)であることを特徴とする前記1に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡板。
[3]前記a)の群から選択される物理発泡剤がイソブタン50〜100モル%とその他の炭素数3〜6の飽和炭化水素0〜50モル%(0も含む)からなり(ただし、両者の合計を100モル%とする)、前記b)の群から選択される物理発泡剤が蟻酸メチルを含むことを特徴とする前記1または2に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡板。
[4]前記難燃剤が2,3−ジブロモ−2−アルキルプロピル構造を有す臭素系難燃剤30〜80重量%とその他の難燃剤(ただし、ヘキサブロモシクロドデカンを除く)20〜70重量%との複合難燃剤(ただし、両者の合計は100重量%)であり、該複合難燃剤の配合量がポリスチレン系樹脂100重量部に対して3重量部以上であることを特徴とする前記1に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡板。
本発明のポリスチレン系樹脂押出発泡板は、特定の厚み、見かけ密度を有し、発泡剤としてCFCやHCFCを用いることなく、飽和炭化水素等の特定の物理発泡剤を用いて製造されたものである。従って、本発明の押出発泡板から放出される発泡剤は、オゾン破壊係数が0であり、地球温暖化係数も小さいので、地球環境に対して優しいものである。又、イソブタンに代表される飽和炭化水素のように、ポリスチレンに対する透過速度が空気より極めて遅い飽和炭化水素を発泡板中に多く残存させたことにより、本発明の押出発泡板は長期にわたって製造時の断熱性が維持され、優れた断熱性を示すものである。
また、本発明の押出発泡板は、厚み方向の平均気泡径が0.05〜0.18mmであると共に、気泡変形率が0.7〜1.2であるという特定の気泡構造を有することから、寸法安定性や圧縮強度に優れ、前記イソブタンに代表される飽和炭化水素を発泡板中に多く残存させることと特定の気泡構造が組合わされることにより、特に優れた長期に亘る断熱性を発現すると共に上記気泡構造と残存発泡剤量の調整、並びに難燃剤処方により良好な難燃性を示すものである。
以下、本発明のポリスチレン系樹脂押出発泡板及びその製造方法について詳細に説明する。
本発明のポリスチレン系樹脂押出発泡板は、ポリスチレン系樹脂と難燃剤と必要に応じて添加される添加剤を押出機に供給して加熱溶融させ、これに特定の混合物理発泡剤を圧入し、更に混練して得られる発泡性溶融樹脂混合物を押出発泡し、更に賦形することによって得られる押出発泡板である。
本発明の発泡板は、所定の混合物理発泡剤を使用して得られるもので、該発泡板において所定量の飽和炭化水素系物理発泡剤(以下、単に炭化水素系発泡剤ともいう。)を、従来の発泡板よりも多く含有させることと、特定の気泡構造の発泡板とすること、これらを組合わせることにより、CFCやHCFC発泡剤を用いることなく長期に亘り優れた断熱性を達成できるものであり、難燃性においても良好なものである。
本発明の押出発泡体の基材樹脂を構成するポリスチレン系樹脂としては、例えばスチレンホモポリマーやスチレンを主成分とするスチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ポニフェニレンエーテル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレンアクリレート共重合体、スチレン−メチルスチレン共重合体、スチレン−ジメチルスチレン共重合体、スチレン−エチルスチレン共重合体、スチレン−ジエチルスチレン共重合体、ハイインパクトポリスチレン等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して使用される。なお、上記スチレン系共重合体におけるスチレン成分含有量は50モル%以上が好ましく、特に好ましくは80モル%以上である。
前記ポリスチレン系樹脂の中でも、スチレンホモポリマー、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ポニフェニレンエーテル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−メチルスチレン共重合体が好ましく、なかでも、スチレン単独重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体が好適である。
本発明において用いられるポリスチレン系樹脂は、メルトフローレイト(MFR)が0.5〜30g/10分(但し、JIS K7210(1976)のA法の試験条件8により測定されるMFR)の範囲のものを用いることが好ましく、更に1〜10g/10分のものを用いると、押出発泡板を製造する際の押出成形性に優れると共に、得られる押出発泡板が機械的強度に優れるものとなるのでより好ましい。該ポリスチレン樹脂としては、MFRの異なる2種以上のものを混ぜることもできる。
本発明では、本発明の目的を阻害しない範囲内で、ポリスチレン系樹脂に、ポリオレフィン樹脂やスチレン系エラストマーやポリフェニレンエーテル樹脂のような他の(共)重合体を更に混合して使用することもできるが、そのような他の(共)重合体の使用量は、ポリスチレン系樹脂100重量部当たり、50重量部を上限とすることが好ましく、0〜30重量部がより好ましく、0〜10重量部が更に好ましい。
本発明の押出発泡板は、下記a)の群から選択される物理発泡剤と、下記b)の群から選択される物理発泡剤と、必要に応じて使用される下記c)の群から選択される物理発泡剤とを含有する混合物理発泡剤を用いて製造されるものである。
a)炭素数3〜6の飽和炭化水素から選ばれる1又は2以上の物理発泡剤
b)塩化アルキル、ギ酸アルキル、アルキルエーテル、二酸化炭素から選ばれる1又は2以上の物理発泡剤
c)水、窒素、炭素数1〜5のアルコールから選ばれる1又は2以上の物理発泡剤
なお、該混合物理発泡剤は、クロロフルオロカーボン等のCFCやフルオロカーボン等のHFCを含まないものである。従って、本発明の押出発泡板中に含まれる発泡剤は、オゾン破壊係数が0であると共に、地球温暖化係数も小さく、地球環境に優しいものである。
前記a)群に属する炭素数3〜6の飽和炭化水素(以下、単にa)発泡剤ともいう。)としては、炭素数3のプロパン、炭素数4のn−ブタン、イソブタン(2−メチルプロパン)、炭素数5のn−ペンタン、イソペンタン(2−メチルブタン)、ネオペンタン(2,2−ジメチルプロパン)、シクロペンタン等、炭素数6のn−ヘキサン、イソヘキサン(2−メチルペンタン)、3−メチルペンタン、ネオヘキサン(2,2−ジメチルブタン)、 2,3−ジメチルブタン等が挙げられる。これらの中ではイソブタンが好ましい。イソブタンは、ポリスチレン系樹脂に対する透過速度が空気より極めて遅いので、得られる押出発泡板は長期にわたって製造時の断熱性が維持され易い。具体的には、押出発泡板製造後、室温で5年間放置してもイソブタンは僅かに発泡板から抜け出すだけで大きな減少は見られない。これにより、本発明の押出発泡板は長期間にわたって高い断熱性が維持される。なお、イソブタンに他の発泡剤を混合して用いることもできる。
上記理由から、前記a)発泡剤の好ましい配合としては、イソブタン50〜100モル%に対して、その他のa)発泡剤が0〜50モル%(0も含む)であり、より好ましくはイソブタン70〜100モル%に対して、その他のa)発泡剤が0〜30(0も含む)である。
前記b)群に属する物理発泡剤(以下、単にb)発泡剤ともいう。)は、塩化アルキル、ギ酸アルキル、アルキルエーテル、及び二酸化炭素から選ばれるものであり、該塩化アルキルとしては、塩化メチル、塩化エチル等が挙げられ、塩化メチルが好適に使用される。ギ酸アルキルとしては、ギ酸メチル、ギ酸エチル等が挙げられ、ギ酸メチルが好適に使用される。アルキルエーテルとしては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等が挙げられ、ジメチルエーテルが好適に使用される。これらの発泡剤は比較的発泡力に富むことから、得られる押出発泡板の見掛け密度を低下させることができると共に、ポリスチレン系樹脂に対するガス透過性が高いため押出発泡板から早期に逸散するので発泡板の断熱性能及び難燃性能を早期に安定化させることができる。上記b)発泡剤としては、特にポリスチレン系樹脂の可塑性を適度に高めることができ、発泡成形加工性を高め、得られる発泡板の機械的物性を高めることができる発泡剤として、蟻酸アルキルを含むことが好ましい。上記b)発泡剤は、混合して用いることもできる。
前記c)群に属する物理発泡剤(以下、単にc)発泡剤ともいう。)は、水、窒素、及び炭素数1〜5のアルコールから選ばれものであり、該アルコールとしては、炭素数1のメチルアルコール(メタノール)、炭素数2のエチルアルコール(エタノール)、炭素数3のノルマルプロピルアルコール(1−プロパノール)、イソプロピルアルコール(2−プロパノール)、炭素数4のn−ブチルアルコール(1−ブタノール)、イソブチルアルコール(2−メチル−1−プロパノール)、sec−ブチルアルコール(2−ブタノール)、tert−ブチルアルコール(2−メチル−2−プロパノール)など、炭素数のn−アミルアルコール(1−ペンタノール)、sec−アミルアルコール(2−ペンタノール)、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソアミルアルコール(3−メチル−1−ブタノール)、tert−アミルアルコール(2−メチル−2−ブタノール)、3−メチル−2−ブタノール、ネオペンチルアルコール(2,2−ジメチル−1−プロパノール)等が挙げられる。これらのアルコールの中では、メチルアルコールやエチルアルコールが好適に使用される。c)発泡剤は他の発泡剤の発泡力を補強することができることから、得られる押出発泡板の見掛け密度を低下させることができると共に、ポリスチレン系樹脂に対するガス透過性が高いため押出発泡板から早期に逸散するので発泡板の断熱性能及び難燃性能を早期に安定化させることができる。なお、これらの発泡剤は、混合して用いることもできる。
本発明においては、前記a)の群から選択される物理発泡剤と前記b)の群から選択される物理発泡剤とからなる混合物理発泡剤が用いられ、必要に応じて前記c)等から選択される物理発泡剤とからなる物理発泡剤が添加される。前記の通り、a)発泡剤としてはイソブタンが好ましく、該イソブタンにより製造時の断熱性が長期間に亘って維持され、前記b)発泡剤としては、ギ酸メチル、或いはギ酸メチルと二酸化炭素が好ましく、これらを前記イソブタン等のa)発泡剤と併用することにより、前記のとおり、優れた機械的物性を示す良好な発泡板を得ることができる。特に、イソブタン等のa)発泡剤とギ酸メチルと二酸化炭素とを併用した場合には、a)発泡剤を多く使用する場合であっても、発泡板製造時の着火のリスクを低減することができる。なお、b)発泡剤としてギ酸アルキルが選択される場合は、c)として水やアルコールを選択することは、避けるべきである。
本発明の押出発泡板の所期の目的を達成する上で、前記a)発泡剤と、b)発泡剤との配合割合は、a)発泡剤とb)発泡剤との合計100モル%に対して、a)発泡剤が50〜90モル%であることが好ましく、より好ましくは50〜80モル%、更に好ましくは50〜70モル%である。
前記c)発泡剤等は必要に応じて添加されるものであり、例えば、発泡板の見掛け密度低減や着火などの製造時の危険性を低減するために用いられる。その配合割合は、a)発泡剤とb)発泡剤とc)発泡剤の合計モル数を100モル%とすると、c)発泡剤の合計モル数は、50モル以下、更に25モル%以下、特に15モル%以下が好ましい。
なお、前記a)発泡剤、b)発泡剤及びc)発泡剤の他、その他の発泡剤として、本発明の目的を阻害しない範囲内でオゾン破壊係数が0で、地球温暖化係数が小さいトランス−1,3,3,3−テトラフルオロオレフィン、シス−1,3,3,3−テトラフルオロオレフィンなどのハイドロフルオロオレフィンを使用することもできる。
本発明においては、押出発泡板製造1週間後において、該発泡板中の前記a)の群から選択される物理発泡剤の合計残存量が3.5重量%超であることを要する。該合計残存量が3.5重量%超であることは、建材用の断熱材として要求される高断熱性のものを得る上で必要である。かかる観点から、該合計残存量は3.6重量%以上が好ましく、より好ましくは3.7重量%以上である。
なお、該合計残存量の上限は4.5重量%であり、好ましくは4.3重量%である。該合計残存量が多すぎると、難燃性の確保が困難になる虞がある。
更に、押出発泡板製造4週間後において、該発泡板中の前記a)の群から選択される物理発泡剤の合計残存量が3.0〜4.5重量%であることを要する。該合計残存量が3.0重量%未満では、建材用の断熱材として要求される高断熱性を得ることができない虞がある。具体的には、0.030W/m・K以下の押出発泡板を得ることができない虞がある。一方、4.5重量%を超える場合には、建築材料として要求される難燃性を得ることができない虞がある。具体的には、酸素指数が24以上の燃焼性規格を満足することができない虞がある。以上のことを考慮すると、該合計残存量は、3.3〜4.3重量%、更に3.6〜4.3重量%が好ましい。
上記のとおり、本発明の発泡板は、押出発泡板製造1週間後と4週間後における前記a)の群から選択される物理発泡剤の合計残存量が特定の値を満足するものである。よって、本発明の発泡板は、長期に亘る断熱性において優れているものである。
本明細書における発泡剤の残存量は、ガスクロマトグラフを用いて測定する。具体的には、押出発泡板の中央部から切り出したサンプルをトルエンの入った蓋付きの試料ビンの中に入れ、蓋を閉めた後、十分に攪拌し該押出発泡板中の発泡剤をトルエンに溶解させたものを測定試料とし、該試料についてガスクロマトグラフィー分析を行なうことより発泡板に含有される物理発泡剤の残存量を求める。
ガスクロマトグラフ分析の測定条件は以下の通りである。
カラム:
製造者:信和化工株式会社
担体 :Chromosorb W、メッシュ60〜80、AW−DMCS処理品
液相 :Silicone DC550(液相量20%)
カラム寸法:カラム長さ4.1m、カラム内径3.2mm
カラム素材:ガラス
充填カラム空焼条件:220℃、40時間
カラム温度:40℃
注入口温度:200℃
キャリヤーガス:窒素
キャリヤーガス速度:3.5ml/min
検出器:FID
検出器温度:200℃
定量:内標準法
本発明の押出発泡板の厚みは、高い断熱性能が要求されるため、10mm以上であることを要し、15mm以上であることが好ましく、20mm以上であることがより好ましい。該厚みが薄すぎると、高い断熱性能が得られない虞がある。尚、本発明の押出発泡板の厚みの上限は特に限定されないが、製造し易さの観点から200mm以下が好ましく、150mm以下がより好ましく、120mm以下が更に好ましい。また、本発明の押出発泡板の幅は、施工性等の観点から、300〜1500mm、更に600〜1200mmであることが好ましい。
本発明の押出発泡板の見掛け密度は25〜60kg/mである。該見掛け密度が25kg/m未満の場合には、そのような見掛け密度の押出発泡板を製造すること自体がかなり困難なものである上に、得られる押出発泡板の機械的物性においても従来の発泡断熱板と比較して不充分なものとなるので、使用できる用途が限定される。また、押出発泡板の見掛け密度が低下すると気泡構造の制御が難しくなり、断熱性や難燃性を悪化させる虞がある。一方、見掛け密度が60kg/mを超える場合は、厚みを必要以上に厚くしない限り、充分な断熱性を発揮させることが難しく、また、軽量性の点において不充分なものとなる虞がある。かかる観点から、本発明の押出発泡板の見掛け密度は33〜60kg/mが好ましい。該見掛け密度が33〜60kg/mの押出発泡板には、高い断熱性能を付与し易い上、難燃性を付与するために臭素系難燃剤を使用する場合、比較的少量の使用で高い難燃性能を付与することができるという利点がある。
また、本発明の押出発泡板においては、厚み方向の平均気泡径が0.05〜0.20mmである。該厚み方向平均気泡径が0.05mm未満の場合は、製造時にダイリップを通して押出された発泡途上にある軟化状態の発泡体を、後述する賦形装置を使用しても板状に形成することができなくなる虞がある。一方、該厚み方向平均気泡径が0.20mmを超える場合には、目的とする断熱性を得ることができない虞がある。そのような観点から、本発明の押出発泡板の厚み方向の平均気泡径は、0.08〜0.18mmが好ましく、0.07〜0.15mmがより好ましい。
また、本発明の押出発泡板においては、気泡変形率(厚み方向の平均気泡径/水平方向の平均気泡径)が0.7〜1.2である。該気泡変形率とは、後述する測定方法により求められたDをDで除すことにより算出された値(D/D)をいい、該気泡変形率が小さいほど気泡は偏平であり、大きいほど縦長である。気泡変形率が0.7未満の場合は、気泡が偏平なので厚み方向の圧縮強度が低下する虞があり、偏平な気泡は円形に戻ろうとする傾向が強いので、押出発泡板の寸法安定性も低下する虞がある。気泡変形率が1.2を超えると、Dが大きくなり厚み方向における気泡数が少なくなる傾向にあり、縦長の気泡が多数並ぶことになるため、目的とする高い断熱性が得られない虞がある。そのような観点から、上記気泡変形率は、0.80〜1.15であることが好ましく、0.85〜1.10であることがより好ましく、0.90〜1.05であることが更に好ましい。
なお、本発明の押出発泡板は、特公平5−49701号公報に記載されるような大気泡と小気泡を混在するものではなく、全体として実質的に均一な大きさの気泡構造のものであることが好ましい。全体的として実質的に均一な大きさの気泡構造のものの方が機械的物性の均一性に優れる。
本明細書における平均気泡径の測定方法は次の通りである。押出発泡板厚み方向の平均気泡径(D:mm)及び押出発泡板幅方向の平均気泡径(D:mm)は押出発泡板の幅方向垂直断面(押出発泡板の押出方向と直交する垂直断面)を、押出発泡板押出方向の平均気泡径(D:mm)は押出発泡板の押出方向垂直断面(押出発泡板の押出方向に平行に、幅方向の中央部で二等分した垂直断面)の顕微鏡拡大写真を得る。次いで、該拡大写真上において測定しようとする方向に直線を引き、その直線と交差する気泡の数を計数し、直線の長さ(当然のことながら、この長さは拡大写真上の直線の長さではなく、写真の拡大率を考慮した直線の長さを指す。)を計数された気泡の数で割ることによって、各々の方向における平均気泡径を求める。
平均気泡径の測定方法について詳述すると、厚み方向の平均気泡径(D:mm)の測定は幅方向垂直断面の中央部及び両端部の計3箇所の顕微鏡拡大写真を得、各々の写真上において、厚み方向に押出発泡板の全厚みに亘る直線を引き各々の直線の長さと該直線と交差する気泡の数から各直線上に存在する気泡の平均径(直線の長さ/該直線と交差する気泡の数)を求め、求められた3箇所の平均径の算術平均値を厚み方向の平均気泡径(D:mm)とする。
幅方向の平均気泡径(D:mm)は幅方向垂直断面の、中央部及び両端部の計3箇所の顕微鏡拡大写真を得、各々の写真上において、押出発泡板を厚み方向に二等分する位置に、3mmに拡大率を乗じた長さの直線を幅方向に引き、該直線と該直線と交差する気泡の数から、各直線上に存在する気泡の平均径を式(3mm/(該直線と交差する気泡の数−1))にて求め、求められた3箇所の平均径の算術平均値を幅方向の平均気泡径(D:mm)とする。
押出方向の平均気泡径(D:mm)は、押出発泡板の幅方向を二等分する位置で、押出発泡板を押出方向に切断して得られた押出方向垂直断面の、中央部及び両端部の計3箇所の顕微鏡拡大写真を得、各々の写真上において、押出発泡板を厚み方向に二等分する位置に、3mmに拡大率を乗じた長さの直線を押出方向に引き、該直線と該直線と交差する気泡の数から、各直線上に存在する気泡の平均径を式(3mm/(該直線と交差する気泡の数−1))にて求め、求められた3箇所の平均径の算術平均値を押出方向の平均気泡径(D:mm)とする。また、押出発泡板の水平方向の平均気泡径(D:mm)は、DとDの相加平均値とする。
また、本発明の押出発泡板においては、独立気泡率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。独立気泡率が高いほど断熱性能を高く維持できる。発泡板の独立気泡率は、ASTM−D2856−70の手順Cに従って、東芝ベックマン株式会社の空気比較式比重計930型を使用して測定(押出発泡板から25mm×25mm×20mmのサイズに切断された成形表皮を持たないカットサンプルをサンプルカップ内に収容して測定する。ただし、厚みが薄く厚み方向に20mmのカットサンプルが切り出せない場合には、例えば、25mm×25mm×10mmのサイズのカットサンプルを2枚同時にサンプルカップ内に収容して測定すればよい。)された押出発泡板(カットサンプル)の真の体積Vxを用い、下記(1)式により独立気泡率S(%)を計算し、N=3の平均値で求める。
S(%)=(Vx−W/ρ)×100/(Va−W/ρ) (1)
本発明の押出発泡板においては、熱伝導率が0.030W/(m・K)以下、更に0.027W/m・K以下であることが好ましい。かかる熱伝導率を有する押出発泡体は建材用の断熱板として好適なものである。尚、該熱伝導率は、JIS A 1412(1994)記載の平板熱流計法(熱流計2枚方式、平均温度20℃、高温面35℃、低温面5℃)にて測定された値である。
本発明の押出発泡板においては、JIS K7201−2:2007(試験片の形:II
、点火方法:A法上端表面点火)にて測定される酸素指数が24以上であることが好ましい。従って、本発明押出発泡板は、着火した場合であっても、火が燃え広がる可能性が小さいので、建材用の押出ポリスチレンフォーム保温板として要求される安全性を備えるものである。
優れた難燃性を示すポリスチレン系樹脂押出発泡板は、後記特定量の難燃剤を添加することにより達成される。ポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造において使用できる難燃剤としては、ヘキサブロモシクロドデカンを除く臭素系難燃剤が好ましく使用される。臭素系難燃剤としては、例えば、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2−ブロモエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(アリルエーテル)、テトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールS−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモシクロオクタン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート、トリブロモフェノール、デカブロモジフェニルオキサイド、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、N,2−3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミド、ペンタブロモトルエン、臭素化ポリスチレン、ポリスチレンーブタジエン臭素化物、臭素化ビスフェノールエーテル誘導体などが挙げられる。これらの化合物は単独又は2種以上を混合して使用できる。
上記の臭素系難燃剤の中でも、その熱安定性が高く、高い難燃効果が得られることから、テトラブロモシクロオクタン、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート、スチレンーブタジエン臭素化物、ペンタブロモトルエン、臭素化ポリスチレンが好ましく、テトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)がより好ましい。また、2,3−ジブロモ−2−アルキルプロピル構造を有す臭素系難燃剤とその他の難燃剤(ヘキサブロモシクロドデカンを除く)との複合難燃剤を用いることが熱安定性の面で特に好ましい。上記の2,3−ジブロモ−2−アルキルプロピル構造を有す臭素系難燃剤としては、テトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール−S−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール−F−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)などが挙げられ、それらの中でもテトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)が好ましい。
前記複合難燃剤の配合割合は、2,3−ジブロモ−2−アルキルプロピル構造を有す臭素系難燃剤30〜80重量%とその他の難燃剤(ヘキサブロモシクロドデカンを除く)20〜70重量%(ただし、両者の合計は100重量%)、更に2,3−ジブロモ−2−アルキルプロピル構造を有す臭素系難燃剤50〜70重量%とその他の難燃剤(ヘキサブロモシクロドデカンを除く)30〜50重量%(ただし、両者の合計は100重量%)が、難燃性に優れることから好ましい。
ポリスチレン系樹脂押出発泡板中における難燃剤の含有量は、基材樹脂100重量部当たり少なくとも3重量部以上含有することが好ましい。該難燃剤の含有量が3重量部以上であれば、本発明のように可燃性の物理発泡剤を多く含有する押出発泡体であっても、難燃性に優れるものが得られる。一方、該含有量が3重量部未満の場合には、難燃性が不十分となる虞がある。含有量の上限は、押出発泡時における気泡の形成を阻害しないと共に機械的物性の低下を抑制するという観点から概ね10重量部である。なお、難燃剤の含有量は4〜10重量部がより好ましく、4〜8重量部が更に好ましい。
さらに、本発明おいては、押出発泡板の難燃性をさらに向上させることを目的として、難燃助剤を前記臭素系難燃剤と併用して使用することができる。難燃助剤としては、例えば2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、2,3−ジエチル−2,3−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、3,4−ジエチル−3,4−ジフェニルヘキサン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、2,4−ジフェニル−4−エチル−1−ペンテン等のジフェニルアルカンやジフェニルアルケン、ポリ−1,4−ジイソプロピルベンゼン等のポリアルキル化芳香族化合物、トリフェニルホスフェート、クレジルジ2,6−キシレニルホスフェート、三酸化アンチモン、五酸化二アンチモン、硫酸アンモニウム、すず酸亜鉛、シアヌル酸、イソシアヌル酸、トリアリルイソシアヌレート、メラミンシアヌレート、メラミン、メラム、メレム等の窒素含有環状化合物、シリコーン系化合物、酸化ホウ素、ホウ酸亜鉛、硫化亜鉛などの無機化合物、赤リン系、ポリリン酸アンモニウム、フォスファゼン、次亜リン酸塩等のリン系化合物等が挙げられる。これらの化合物は単独又は2種以上を混合して使用できる。
本発明においては、押出発泡板中に断熱性向上剤を添加してさらに断熱性を向上することができる。断熱性向上剤としては、例えば、酸化チタン等の金属酸化物、アルミ等の金属、セラミック、カーボンブラック、黒鉛等の微粉末、赤外線遮蔽顔料、ハイドロタルサイトなどが例示される。これらは1種又は2種以上を使用することができる。断熱性向上剤の添加量は基材樹脂100重量部に対し、0.5〜5重量部が好ましく、より好ましくは1〜4重量部の範囲で使用される。
また、本発明においては押出発泡板を構成する基材樹脂に、必要に応じて、気泡調整剤、顔料、染料等の着色剤、熱安定剤、その他充填剤等の各種の添加剤を適宜添加することができる。前記気泡調整剤として、例えば、タルク、カオリン、マイカ、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、クレー、ベントナイト、ケイソウ土等の無機物粉末;アゾジカルボジアミド等の従来公知の化学発泡剤などを用いることができる。なかでも難燃性を阻害することがなく気泡径を調整することが容易であるタルクが好適である。特にJIS Z8901(2006)に規定される粒径が0.1〜20μmの大きさの細かいタルクが好ましく、0.5〜15μmの大きさのものが好ましい。気泡調整剤の添加量は、該調整剤の種類、目的とする気泡径等によって異なるが、タルクを使用する場合は基材樹脂100重量部に対し、0.01〜8重量部が好ましく、0.5〜5重量部がさらに好ましく、1〜4重量部が特に好ましい。
気泡調整剤も他の添加剤と同様にポリスチレン系樹脂をベースレジンとするマスターバッチを調製して使用することが添加剤の分散性の点から好ましい。気泡調製剤のマスターバッチの調製は、例えば、気泡調整剤としてタルクを使用した場合、基材樹脂に対してタルクの含有量が20〜80重量%となるように調製されることが好ましく、30〜70重量%となるように調整されることがより好ましい。
次に、具体的な実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。
実施例1、2、比較例1、2
ポリスチレン系樹脂としては、表1、2に示すものを用いた。
製造装置としては、口径65mmの押出機(以下、「第一押出機」という。)と口径90mmの押出機(以下、「第二押出機」という。)を直列に連結したタンデム方式の押出機の第二押出機の出口に、幅115mm、間隙1.5mm(長方形横断面)の樹脂排出口を備えたダイを取付け、該ダイの先端に、上下左右の4面がポリテトラフルオロエチレン樹脂製の壁で囲まれると共に、上下面の間隔が入口から出口に向かって一旦拡大してから縮小する通路を有する賦形装置が取付けられた装置を使用した。
表2に示す配合のポリスチレン系樹脂100重量部に対して、気泡調整剤としてタルクマスターバッチ(上記ポリスチレン系樹脂69重量%と、タルク(松村産業株式会社製ハイフィラー#12)30重量%と、ステアリン酸亜鉛1重量%とからなるマスターバッチ)を5重量部、難燃剤としてテトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)(第一工業製薬製 SR130)3重量部とテトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)(第一工業製薬製 SR720)2重量部との複合難燃剤を混合した原料を、前記第一押出機に供給し設定温度220℃で加熱し、溶融混練し、第一押出機の先端付近で、表2に示す配合、量の混合物理発泡剤を圧入して発泡性溶融樹脂混合物とし、続いて該発泡性溶融樹脂混合物を第二押出機に搬送し、第二押出機とダイとの間で測定される該発泡性溶融樹脂混合物の温度が表1に示す温度(表1では発泡温度と表示)となるように第二押出機にて徐々に冷却した。次いで、ダイの設定温度を120℃とし、ダイリップの設定温度を100℃とし、発泡性溶融樹脂混合物を表1に示す吐出量でダイリップから押出した。この際、ダイ内の該発泡性溶融樹脂混合物の圧力は50〜70kgf/cmを示した。
次に、ダイリップから押出された発泡途上の前記発泡性溶融樹脂混合物を、発泡させながら前記賦形装置の通路を通過させることにより、発泡させながら圧縮して通路内に充満させて板状に形成し、実質的に均一な大きさの気泡構造の押出発泡板を製造した。
なお、得られる押出発泡板の幅(W:mm)と前記通路における最も断面積が小さくなる部分の通路の幅(b:mm)との関係W/b、押出発泡板の厚さ(T:mm)と前記通路における最も断面積が小さくなる部分の通路の高さ(h:mm)との関係T/hは、表1に示すように構成した。
得られた押出発泡板の見掛け密度、厚み、独立気泡率、厚み方向平均気泡径、気泡変形率、熱伝導率、酸素指数、発泡剤残存量などを表3に示す。
実施例3
発泡剤の塩化メチルを水と二酸化炭素に、タルクマスターバッチの添加量を2.5重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして実質的に均一な大きさの気泡構造の押出発泡板を製造した。ダイ内の発泡性溶融樹脂混合物の圧力は50〜70kgf/cmを示した。
実施例4
難燃剤をテトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)(第一工業製薬製 SR130)5重量部に変更した以外は、実施例3と同様にして実質的に均一な大きさの気泡構造の押出発泡板を製造した。ダイ内の発泡性溶融樹脂混合物の圧力は50〜70kgf/cmを示した。
実施例5、6
発泡剤を表2に示した組成に変更した以外は、実施例1と同様にして実質的に均一な大きさの気泡構造の押出発泡板を製造した。ダイ内の発泡性溶融樹脂混合物の圧力は50〜70kgf/cmを示した。
実施例、比較例で得られた押出発泡板の見掛け密度、厚み、独立気泡率、厚み方向平均気泡径、気泡変形率、熱伝導率、酸素指数、発泡剤残存量などを表3に示す。
表3における見掛け密度は、JIS K7222(1985)に基づいて測定された値である。
表3における厚みは、幅方向を4等分する位置の3箇所で測定し、それらを相加平均した値である。
表3における厚み方向平均気泡径及び気泡変形率は、前記の方法で測定された値である。
表3における独立気泡率は、押出発泡板から25mm×25mm×20mmのサイズに切断された、成形表皮が切り取られたカットサンプルを使用して前記の方法で測定された値である。
表3における熱伝導率は、製造後4週間経過した押出発泡板を用いて、縦20cm、横20cm、押出発泡板厚みの試験片を切り出し、各試験片について、英弘精機株式会社製の熱伝導率測定装置「オートΛ HC−73型」を使用して、前記方法に基づいて測定した値である。
表3における酸素指数は、製造後4週間経過した押出発泡板を用いて、試験片を切り出し、各試験片について、前記方法に基づいて測定した値である。
表3における発泡剤残存量(発泡板1kg当たりの発泡剤の含有量)は、株式会社島津製作所製、島津ガスクロマトグラフGC−14Bを使用し、シクロペンタンを内標準物質として、前記方法に基づいて測定した値である。

Claims (4)

  1. 下記a)の群から選択される物理発泡剤と、下記b)の群から選択される物理発泡剤と、必要に応じて使用される下記c)の群から選択される物理発泡剤とからなる混合物理発泡剤と、難燃剤と、ポリスチレン系樹脂とから構成される発泡性溶融樹脂混合物を押出発泡することによって得られる厚み10mm以上、見掛け密度25〜60kg/mのポリスチレン系樹脂押出発泡板であって、
    該発泡板製造1週間後の該発泡板中の下記a)の群から選択される物理発泡剤の合計残存量が3.5重量%超であると共に、該発泡板製造4週間後の該発泡板中の下記a)の群から選択される物理発泡剤の合計残存量が3.0〜4.5重量%であり、
    該発泡板の厚み方向の平均気泡径が0.05〜0.20mmであると共に、気泡変形率(厚み方向の平均気泡径/水平方向の平均気泡径)が0.7〜1.2であることを特徴とするポリスチレン系樹脂押出発泡板。
    a)炭素数3〜6の飽和炭化水素から選ばれる1又は2以上の物理発泡剤
    b)塩化アルキル、ギ酸アルキル、アルキルエーテル、二酸化炭素から選ばれる1又は2以上の物理発泡剤
    c)水、窒素、炭素数1〜5のアルコールから選ばれる1又は2以上の物理発泡剤
  2. 前記混合物理発泡剤中の前記a)の群から選択される物理発泡剤の合計モル数の割合が、50〜90モル%(ただし、前記a)の群から選択される物理発泡剤の合計モル数と、前記b)の群から選択される物理発泡剤の合計モル数との合計モル数を100モル%とする)であることを特徴とする請求項1に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡板。
  3. 前記a)の群から選択される物理発泡剤がイソブタン50〜100モル%とその他の炭素数3〜6の飽和炭化水素0〜50モル%(0も含む)からなり(ただし、両者の合計を100モル%とする)、前記b)の群から選択される物理発泡剤が蟻酸メチルを含むことを特徴とする請求項1または2に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡板。
  4. 前記難燃剤が2,3−ジブロモ−2−アルキルプロピル構造を有す臭素系難燃剤30〜80重量%とその他の難燃剤(ただし、ヘキサブロモシクロドデカンを除く)20〜70重量%との複合難燃剤(ただし、両者の合計は100重量%)であり、該複合難燃剤の配合量がポリスチレン系樹脂100重量部に対して3重量部以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡板。
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