JP3216586U - 熱可塑性樹脂押出発泡断熱板 - Google Patents

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Abstract

【課題】フッ素化プロペンと無機系輻射抑制剤を含み、断熱性に優れると共に割付断熱工法に使用する断熱材として好適な熱可塑性樹脂押出発泡断熱板を提供する。【解決手段】所定の寸法に裁断されて割付断熱工法に使用される熱可塑性樹脂押出発泡断熱板であって、該発泡断熱板は、板面の長手方向長さが1800mm以上、短手方向長さが900mm以上であることと、該発泡断熱板は、無機系輻射抑制剤及びフッ素化プロペンを含むことと、該発泡断熱板は、板面の中央部の熱伝導率に対する板面の短手方向端部の熱伝導率の比が1.0を超え1.1以下である熱可塑性樹脂押出発泡断熱板とした。【選択図】図1

Description

本考案は、所定の寸法に裁断されて割付断熱工法に使用される断熱材として好適な熱可塑性樹脂押出発泡断熱板に関するものである。
熱可塑性樹脂押出発泡断熱板(以下、単に「発泡断熱板」とも言う)は、優れた断熱性及び機械的強度を有することから、板状に成形されたものが断熱材等として広く使用されている。このような発泡断熱板は、一般に押出機中でポリスチレン系樹脂を加熱溶融して得られる溶融物に発泡剤を混練し、得られた発泡性溶融混練物を、押出機先端に付設されたフラットダイなどから低圧域に押出発泡することにより製造される。
このような断熱材に関して、近年、住宅及び建築物などの省エネルギー化の需要が高まっていることから、従来の断熱材よりもさらに断熱性に優れ、且つ均質な断熱性能を有する断熱材が求められている。
発泡断熱板の断熱性を高める方法の一つとして、発泡断熱板中に黒鉛等の無機系輻射抑制剤を添加する方法が知られている(例えば、特許文献1)。また、他の方法として、熱伝導率の低い発泡剤であるフッ素化されたオレフィン(例えば、ハイドロフルオロオレフィン)を発泡剤として使用する方法が知られている(例えば、特許文献2)。
特開2013−221110号公報 特開2013−194101号公報
一方、近年、現場での断熱材の裁断工程の省略による施工工程の簡略化、また裁断精度を上げることによる断熱性の向上等の観点から、施工寸法となるように工場等において予め所定の寸法に裁断された断熱材を用いて現場での断熱施工を行う、いわゆる割付断熱工法の需要が高まっている。このような割付断熱工法に使用される断熱材は、建築物の大引等の設計に合わせて作成された割付図面に基づいて、断熱材の原板を工場等において裁断することで製造される。
通常、このような断熱材は一つの原板から複数枚製造されるが、裁断後の断熱材間における断熱性能のバラつきは小さいことが好ましいため、原板は均質で板面の全体にわたって断熱性能に優れていることが好ましい。
しかしながら、発泡断熱板の断熱性を高めるために、上記特許文献2に開示されている技術のように発泡剤としてフッ素化プロペンを用いた場合、得られる発泡断熱板は、板面の中央部と端部との間で断熱性能に差が生じやすく、裁断後の断熱材間における断熱性能のバラつきが生じやすいことがわかった。また、この傾向は、フッ素化プロペンを多量に使用した場合や、上記特許文献1に開示された技術のように発泡断熱板中に黒鉛等の無機系輻射抑制剤を添加した場合には、より顕著に現れることがわかった。
本考案は、上述した背景技術が有する課題に鑑み成されたものであって、その目的は、フッ素化プロペンと無機系輻射抑制剤を含み、断熱性に優れると共に割付断熱工法に使用する断熱材として好適な熱可塑性樹脂押出発泡断熱板を提供することにある。
上記した目的を達成するため、本考案は、次の〔1〕〜〔9〕に記載した熱可塑性樹脂押出発泡断熱板とした。
〔1〕所定の寸法に裁断されて割付断熱工法に使用される熱可塑性樹脂押出発泡断熱板であって、
該発泡断熱板は、板面の長手方向長さが1800mm以上、板面の短手方向長さが900mm以上であることと、
該発泡断熱板は、無機系輻射抑制剤及びフッ素化プロペンを含むことと、
該発泡断熱板は、板面の中央部の熱伝導率に対する板面の短手方向端部の熱伝導率の比が1.0を超え1.1以下であることを特徴とする、
熱可塑性樹脂押出発泡断熱板。
〔2〕上記無機系輻射抑制剤の上記発泡断熱板中の含有量が0.5〜10.0重量%であることを特徴とする、
上記〔1〕に記載の熱可塑性樹脂押出発泡断熱板。
〔3〕上記フッ素化プロペンの上記発泡断熱板中の含有量が、該発泡断熱板1kgあたり0.4モルを超え1.2モル以下であることを特徴とする、
上記〔1〕又は〔2〕に記載の熱可塑性樹脂押出発泡断熱板。
〔4〕上記発泡断熱板がさらに炭素数3〜5の飽和炭化水素を含み、上記フッ素化プロペンと前記炭素数3〜5の飽和炭化水素の合計含有量が、該発泡断熱板1kgあたり0.6〜1.2モルであることを特徴とする、
上記〔1〕又は〔2〕に記載の熱可塑性樹脂押出発泡断熱板。
〔5〕上記フッ素化プロペンの上記発泡断熱板中の含有量が、該発泡断熱板1kgあたり0.4モルを超え1.2モル未満であることを特徴とする、
上記〔4〕に記載の熱可塑性樹脂押出発泡断熱板。
〔6〕上記発泡断熱板の中央部の熱伝導率が0.021W/(m・K)以下であることを特徴とする、
上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の熱可塑性樹脂押出発泡断熱板。
〔7〕上記フッ素化プロペンが1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含むことを特徴とする、
上記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の熱可塑性樹脂押出発泡断熱板。
〔8〕上記発泡断熱板の基材樹脂がポリスチレン系樹脂、又はポリスチレン系樹脂とその他の熱可塑性樹脂との混合物であることを特徴とする、
上記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の熱可塑性樹脂押出発泡断熱板。
〔9〕上記発泡断熱板の見掛け密度が20〜40kg/m3であり、厚みが10〜150mmであることを特徴とする、
上記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の熱可塑性樹脂押出発泡断熱板。
上記した本考案に係る熱可塑性樹脂押出発泡断熱板は、黒鉛等の無機系輻射抑制剤とフッ素化プロペンを含んでいるにもかかわらず、該発泡断熱板の板面の中央部の熱伝導率に対する板面の短手方向端部の熱伝導率の比が1.0を超え1.1以下と均質なものであるため、断熱性に優れると共に、裁断位置による断熱性能のバラつきが少なく、割付断熱工法に使用する断熱材として好適な熱可塑性樹脂押出発泡断熱板となる。
実施例1及び実施例2の熱可塑性樹脂押出発泡断熱板を割付断熱工法に使用することを想定して所定の寸法に裁断した状態を示した概念的な斜視図である。
以下、本考案に係る熱可塑性樹脂押出発泡断熱板について、詳細に説明する。
本考案の熱可塑性樹脂押出発泡断熱板(以下、単に「発泡断熱板」とも言う。)は、熱可塑性樹脂を基材樹脂とするものである。熱可塑性樹脂としては、ポリスチレンや、スチレンを主成分とするスチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ポリフェニレンエーテル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−メチルスチレン共重合体、スチレン−ジメチルスチレン共重合体、スチレン−エチルスチレン共重合体、スチレン−ジエチルスチレン共重合体等のポリスチレン系樹脂が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して好ましく使用される。なお、前記ポリスチレン系樹脂におけるスチレン成分含有量は、50モル%以上であることが好ましく、特に80モル%以上であることがより好ましい。
上記熱可塑性樹脂からなる基材樹脂には、本来の目的を阻害しない範囲内でその他の熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。その他の熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体水添物、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体水添物、スチレン−エチレン共重合体等が挙げられる。これらの他の熱可塑性樹脂は50重量%未満となるように、好ましくは30重量%以下となるように、更に好ましくは10重量%以下となるように、目的に応じて上記熱可塑性樹脂からなる基材樹脂に混合することができる。
本考案の発泡断熱板は、割付断熱工法に使用するにあたって所定寸法に裁断する際の加工性を高める観点から、板面の長手方向長さが1800mm以上、板面の短手方向長さが900mm以上である。なお、板面の長手方向長さは概ね2500mm以下、より好ましくは2300mm以下であることが、裁断加工性等の取扱性の観点から好ましい。また、同様の観点から、板面の短手方向長さは概ね1300mm以下であることが好ましく、より好ましくは1100mm以下である。
このような寸法の発泡断熱板は、押出機より押出成形された発泡体を切断することにより得られるが、押出成形された発泡体の押出方向に直交する方向(幅方向)に切断することにより上記長手方向の寸法のものとされ、押出成形された発泡体の幅方向両側端を切断することにより上記短手方向の寸法のものとされる。
なお、割付断熱工法とは、建築物の大引等の設計に合わせて作成された断熱材の割付図面に基づいて、予め施工寸法となるように裁断された断熱材を用いて、施工現場で断熱板を裁断することなく断熱材を施工する施工方法を意味する。
本考案の発泡断熱板の厚さは、10〜150mmであることが好ましい。この範囲の厚さの発泡断熱板は、割付断熱工法に使用される断熱材として好適に使用することができる。また、取扱性や製造の容易性を高める観点から、厚さは15〜120mmであることがより好ましい。
また、軽量性、断熱性、機械的強度のバランスを良好にする観点から、発泡断熱板の見掛け密度は、20〜40kg/cm3であることが好ましく、25〜30kg/cm3であることがより好ましい。発泡断熱板の見掛け密度は、JIS K7222:1999に基づいて測定する。なお、発泡断熱板の見掛け密度は、板面内のバラつきを考慮して発泡断熱板の板面の中央部及び板面の短手方向端部の2箇所の位置において測定された値の算術平均値を採用する。
本考案の発泡断熱板は、黒鉛等の無機系輻射抑制剤を含有する。無機系輻射抑制剤を含有することにより、熱伝導率の低い発泡断熱板となる。
発泡断熱板の気泡構造が良好であると共に、熱伝導率の低い発泡断熱板が安定して得られる観点から、発泡断熱板中の上記無機系輻射抑制剤の含有量は、0.5〜10.0重量%であることが好ましい。なお、複数の無機系輻射抑制剤を使用する場合には、発泡断熱板中の無機系輻射抑制剤の含有量は、複数の無機系輻射抑制剤の合計含有量を上記範囲内のものとすることが好ましい。
上記無機系輻射抑制剤としては、黒鉛、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、アルミニウム、ハイドロタルサイト等の粉末が例示される。これらは1種又は2種以上を使用することができる。これらの中でも、黒鉛を用いることが好ましく、黒鉛と酸化チタンとを併用することがより好ましい。この黒鉛と酸化チタンとを併用した場合、発泡断熱板中の黒鉛と酸化チタンの合計含有量は、0.5〜10.0重量%であることが好ましく、この場合の黒鉛の含有量は、0.5〜8.0重量%であることが好ましく、1〜6重量%であることがより好ましい。
なお、本明細書における上記発泡断熱板中の黒鉛等の無機系輻射抑制剤の含有量は、発泡断熱板を100重量%としたときの、無機系輻射抑制剤の含有量(重量%)である。
また、本考案の発泡断熱板は、フッ素化プロペンを含んでいる。フッ素化プロペンを含むことで、断熱性に優れる発泡断熱板となる。
フッ素化プロペンとしては、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(以下、「HFO−1234ze」とも言う。)や、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(以下、「HFO−1233zd」とも言う。)が挙げられる。HFO−1234zeやHFO−1233zdのフッ素化プロペンは、オゾン層破壊係数がゼロか極めて小さいものであり、地球温暖化係数が非常に小さいものである。さらに該フッ素化プロペンは、気体状態の熱伝導率が低く、燃え難い性質を持っている。従って、フッ素化プロペンを含有する発泡断熱板は、製造時の静電気による着火などの危険性が低減したものとなる。さらに、発泡断熱板の難燃化が比較的容易となることから、難燃剤の添加量を低減することが可能となる。これらの中でも、断熱板の熱伝導率を長期的に低く維持しやすいことから、フッ素化プロペンが1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含むことが好ましく、より好ましくはフッ素化プロペンが1,3,3,3−テトラフルオロプロペンであることが好ましい。
熱伝導率の低い発泡断熱板が得られる観点から、発泡断熱板中の上記フッ素化プロペンの含有量は、発泡断熱板1kgあたり0.3〜1.2モルであることが好ましく、0.4モルを超え1.2モル以下であることがより好ましく、0.4モルを超え1.0モル以下であることが特に好ましい。
また、本考案の発泡断熱板は、さらに炭素数3〜5の飽和炭化水素、例えばプロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタンなどを含んでいることが好ましい。このような発泡断熱板は、製造時の発泡剤として上記したフッ素化プロペンと炭素数3〜5の飽和炭化水素とを含む発泡剤を用いることにより製造されるが、この場合、安定して押出発泡を行うことができ、また断熱性が良好な発泡断熱板を安定して得ることができるために好ましい。かかる観点から、炭素数3〜5の飽和炭化水素は、上記した中でもイソブタンであることが好ましい。
上記炭素数3〜5の飽和炭化水素、特にイソブタンは熱可塑性樹脂に対するガス透過速度が比較的遅いものであり、発泡断熱板に比較的長期間残存することができる。また、該飽和炭化水素は、熱伝導率が空気よりも低いことから、発泡体の気泡内に残存した場合には、発泡断熱板の熱伝導率の低減に寄与することができる。
発泡断熱板が上記したフッ素化プロペンと炭素数3〜5の飽和炭化水素とを含む場合、熱伝導率の低い発泡断熱板が得られる観点から、該発泡断熱板中のフッ素化プロペン及び炭素数3〜5の飽和炭化水素の合計含有量が、発泡断熱板1kgあたり0.6〜1.2モルであることが好ましい。また、この場合、発泡断熱板中のフッ素化プロペンの含有量は、該発泡断熱板1kgあたり0.3〜1.2モルであることが好ましく、0.4モルを超え1.2モル未満であることがより好ましく、0.4モルを超え1.0モル以下であることが特に好ましい。
なお、本明細書における発泡断熱板中の上記フッ素化プロペンや炭素数3〜5の飽和炭化水素の含有量は、ガスクロマトグラフを用いて内部標準法により測定される値である。
具体的には、発泡断熱板から適量のサンプルを切り出し、このサンプルを適量のトルエンと内部標準物質の入った蓋付き試料ビン中に入れ蓋を閉めた後、充分に撹拌しサンプル中のフッ素化プロペンや炭素数3〜5の飽和炭化水素をトルエン中に溶解させた溶液を測定用試料としてガスクロマトグラフ分析を行うことで発泡断熱板中の各発泡剤の含有量を求める。なお、発泡断熱板中のフッ素化プロペンや炭素数3〜5の飽和炭化水素の含有量は、板面内のバラつきを考慮して発泡断熱板の板面の中央部及び板面の短手方向端部の2箇所の位置において測定された値の算術平均値を採用する。また、発泡断熱板の製造後一日経過後以内の該発泡断熱板中の各発泡剤の含有量が、上記含有量の範囲となることが好ましい。
本考案の発泡断熱板は、板面の中央部の熱伝導率に対する板面の短手方向端部の熱伝導率の比が1.0を超え1.1以下である。上記熱伝導率の比が上記値より小さすぎる或いは大きすぎる場合、発泡断熱板の部位により断熱性能が大きく異なるため、このような発泡断熱板を原板として所定寸法の断熱材を複数枚断裁した際に得られる断熱板の断熱性能にバラつきが生じ、所定の寸法に裁断されて割付断熱工法に使用される熱可塑性樹脂押出発泡断熱板として好適に使用できなくなるおそれがある。かかる観点から、板面の中央部の熱伝導率に対する板面の短手方向端部の熱伝導率の比が1.03を超え1.07以下であることが好ましい。
なお、本明細書において発泡断熱板の板面の短手方向端部は、発泡断熱板の幅方向(短手方向)の長さを100%としたときの、発泡断熱板の端部から発泡断熱板の幅方向中心部に向かって25%までの部分である。また、発泡断熱板の板面の中央部は、長手方向中央部分であって、両端に存在することとなる上記発泡断熱板の端部以外の部分である。
また、発泡断熱板の板面の中央部の熱伝導率は、0.021W/(m・K)以下であることが好ましい。また、発泡断熱板の製造後一日経過後以内の熱伝導率の値が、上記熱伝導率の範囲となることが好ましい。
なお、発泡断熱板の板面の中央部の熱伝導率は、発泡断熱板の板面の中央部から縦200mm×横200mm×厚さ25mmの表皮が存在しない試験片を切り出し、該試験片についてJIS A 1412−2(1999年)記載の平板熱流計法(熱流計2枚方式、高温側38℃、低温側8℃、平均温度23℃)に基づいて測定して求める。
また、発泡断熱板の板面の短手方向端部の熱伝導率は、発泡断熱板の板面の両端部の四隅部から縦200mm×横200mm×厚さ25mmの表皮が存在しない試験片を各四隅部から1個ずつ計4個切り出し、該試験片についてJIS A 1412−2(1999年)記載の平板熱流計法(熱流計2枚方式、高温側38℃、低温側8℃、平均温度23℃)に基づいて測定し、これらの算術平均から求める。
なお、発泡断熱板の板面の両端部の四隅部は、板面の中央部の熱伝導率に対する熱伝導率のバラつきが最も生じやすい部分である。そのため、板面の中央部の熱伝導率と、板面の両端部の四隅部の熱伝導率の差が小さいことは、発泡断熱板全体にわたって熱伝導率のバラつきが小さいことを意味する。
本考案の発泡断熱板においては、板面の中央部及び板面の短手方向端部における、押出方向及び厚み方向の平均気泡径がそれぞれ0.05〜0.3mmであることが好ましい。平均気泡径がこの範囲内であれば、断熱性と機械的強度のバランスに優れた発泡断熱板となる。かかる観点から、上記平均気泡径は0.08〜0.3mmであることがより好ましく、0.1〜0.2mmであることが更に好ましい。
また、発泡断熱板の部位による熱伝導率のバラつきをより小さくできる観点から、板面の中央部の気泡変形率に対する板面の短手方向端部の気泡変形率の比が0.8を超え1.2以下であることが好ましい。なお、気泡変形率は、厚み方向(VD)の平均気泡径に対する押出方向(MD)の平均気泡径の比を意味する。
なお、上記発泡断熱板の板面の中央部の平均気泡径は、該部位における押出方向垂直断面の拡大写真を撮影し、ナノシステム株式会社製の画像処理ソフトNS2K−proなどを用いて、拡大写真における厚み方向及び押出方向の気泡の気泡径(フェレ径)を測定し、各方向における気泡径の算術平均値を求めることで測定できる。
また、発泡断熱板の板面の短手方向端部の平均気泡径は、同じく該部位における押出方向垂直断面の拡大写真を撮影し、ナノシステム株式会社製の画像処理ソフトNS2K−proなどを用いて、拡大写真における厚み方向及び押出方向の気泡の気泡径(フェレ径)を測定し、各方向における気泡径の算術平均値を求めることで測定できる。
本考案の発泡断熱板は、独立気泡率が80%以上であることが好ましい。独立気泡率が上記範囲内であれば、発泡剤として使用した上記フッ素化プロペンや炭素数3〜5の飽和炭化水素が該発泡断熱板から早期に逸散しにくく、長期断熱性に優れる発泡体を得やすくなる。かかる観点から、該独立気泡率は85%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましく、93%以上であることが特に好ましい。また、発泡断熱板全体にわたって良好な断熱性能を有する発泡体を得やすくなる観点から、発泡断熱板の板面の中央部の独立気泡率に対する板面の短手方向端部の独立気泡率の比が0.9を超え1.1以下であることが好ましい。
なお、本明細書において上記発泡断熱板の独立気泡率は、次の方法により求められる。
発泡断熱板の板面の中央部および板面の短手方向端部から測定試料(カットサンプル)をそれぞれ切り出し、各々の測定試料について独立気泡率を測定する。この測定は、無作為に選択された板面の中央部或いは板面の短手方向端部の各二箇所において行い、各測定値の算術平均値を板面の中央部或いは板面の短手方向端部の独立気泡率とする。さらに、これらの独立気泡率の算術平均値を発泡断熱板の独立気泡率とする。
測定試料は、縦25mm×横25mm×厚さ20mmの大きさに切断するものとし、表皮を有しない測定試料とする。発泡断熱板の厚さが薄く、厚さ方向に20mmの試料が切り出せない場合には、縦25mm×横25mmの試料を複数枚重ね、厚みが20mmとなるように試料を調製して測定を行う。
独立気泡率は、次の式により求める。

S(%)=(Vx−W/ρ)×100/(VA−W/ρ)

ただし、
Vx:空気比較式比重計(例えば、東芝ベックマン(株)製、空気比較式比重計、型式:930型)による測定により求められるカットサンプルの真の体積(cm3)(発泡断熱板のカットサンプルを構成する樹脂の体積と、カットサンプル内の独立気泡部分の気泡全体積との和に相当する。)
VA:測定に使用されたカットサンプルの外形寸法から算出されたカットサンプルの見掛け上の体積(cm3
W:測定に使用されたカットサンプル全重量(g)
ρ:発泡断熱板を構成する樹脂の密度(g/cm3
本考案の発泡断熱板は、難燃剤を含有していることが好ましい。難燃剤としては、臭素系難燃剤が好ましく、例えば、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2−ブロモエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(アリルエーテル)、テトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールS−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモシクロオクタン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート、トリブロモフェノール、デカブロモジフェニルオキサイド、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、N−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミド、臭素化ポリスチレン、臭素化ビスフェノールエーテル誘導体、臭素化ブタジエン−スチレン系共重合体などが挙げられる。これらの化合物は単独又は2種以上を混合して使用できる。前記の臭素系難燃剤の中でも、その熱安定性が高く、高い難燃効果が得られることから、臭素化ブタジエン−スチレン系共重合体、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートから選択されることが好ましい。なお、これらの難燃剤は単独または2種以上を併用して配合することもできる。
上記したテトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)とテトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)を併用する場合、高い難燃性と熱安定性を両立する観点からは、その比率はテトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)が50〜70重量%、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)が30〜50重量%(但し、テトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)とテトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)の合計は100重量%である。)であることが好ましい。
上記難燃剤含有量は、難燃性を向上させると共に、発泡性の低下および機械的物性の低下を抑制するうえで、基材樹脂100重量部当たり1〜10重量部が好ましく、1.5〜7重量部がより好ましく、2〜5重量部が更に好ましい。
特に、難燃剤として臭素化ブタジエン−スチレン系共重合体を用いると共に、断熱板中の臭素化ブタジエン−スチレン系共重合体の含有量を1〜6重量%とすることで、難燃性が良好で、断熱板全体にわたって熱伝導率のばらつきが小さい断熱板を安定して得ることができる。
さらに、発泡断熱板の難燃性をさらに向上させることを目的として、難燃助剤を上記難燃剤と併用して含有することができる。難燃助剤としては、例えば2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、2,3−ジエチル−2,3−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、3,4−ジエチル−3,4−ジフェニルヘキサン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、2,4−ジフェニル−4−エチル−1−ペンテンなどのジフェニルアルカンやジフェニルアルケン、ポリ−1,4−ジイソプロピルベンゼンなどのポリアルキル化芳香族化合物、トリフェニルホスフェート、クレジルジ2,6−キシレニルホスフェート、三酸化アンチモン、五酸化二アンチモン、硫酸アンモニウム、すず酸亜鉛、シアヌル酸、イソシアヌル酸、トリアリルイソシアヌレート、メラミンシアヌレート、メラミン、メラム、メレムなどの窒素含有環状化合物、シリコーン系化合物、酸化ホウ素、ホウ酸亜鉛、硫化亜鉛などの無機化合物、赤リン系、ポリリン酸アンモニウム、フォスファゼン、次亜リン酸塩などのリン系化合物などが挙げられる。これらの化合物は単独又は2種以上を混合して使用できる。
上記難燃助剤の添加量は基材樹脂100重量部に対し、ジフェニルアルカンやジフェニルアルケンの場合は0.05〜1重量部、好ましくは0.1〜0.5重量部の範囲で含有することができ、ジフェニルアルカンやジフェニルアルケン以外の難燃助剤の場合は0.5〜5重量部、好ましくは1〜4重量部の範囲で含有することができる。
次に、本考案の上記した発泡断熱板の製造方法について説明する。
本考案の発泡断熱板の製造に際しては、例えば、小口径の第一押出機と大口径の第二押出機が直列に連結されたタンデム型の押出機であって、発泡剤注入口が第一押出機の下流側付近に設けられ、第二押出機の出口に静的混合装置を介してフラットダイが連結され、該フラットダイの樹脂出口にはこれと平行するように上下一対のポリテトラフルオロエチレン樹脂からなる板が設置された賦形装置が付設されている押出機が用いられる。
本考案の発泡断熱板の製造は、まず、上記押出機を用い、熱可塑性樹脂からなる基材樹脂、黒鉛等の無機系輻射抑制剤、必要に応じて気泡調整剤、難燃剤、難燃助剤等の添加剤を第一押出機に供給して、加熱、溶融、混練して溶融樹脂とする。次に、第一押出機の下流側で溶融樹脂にフッ素化プロペン、必要に応じて炭素数3〜5の飽和炭化水素などを含む発泡剤を圧入し、得られた発泡性溶融樹脂を第二押出機に搬送する。その後、上記静的混合装置(スタティックミキサー)を通して混合しながら発泡適正温度に調整し、押出機の下流側先端に付設されたフラットダイを通して低圧域に押出発泡させ、前記賦形装置(ガイダー)により板状に賦形することにより発泡体を製造し、該発泡体を押出方向に直交する方向(幅方向)に1800mm以上の長さで切断し、両側端を切り落すことにより900mm以上の幅の本考案の発泡断熱板とする。
本考案の発泡断熱板を製造するに際し、上記第二押出機とフラットダイの連結部分に、連続式の静的混合装置(スタティックミキサー)を取り付けた押出機を用いて製造することに大きな意味がある。押出機が連続式の静的混合装置を備えることで、押出時の樹脂温度が均一化されやすくなる。加えて、押出時の樹脂温度を従来よりも低温に制御しやすくなり、溶融樹脂と発泡剤とを良好に混合させることができる。これにより、従来よりも溶融樹脂が均質化された状態で押出発泡を行うことができるため、得られる発泡体はその気泡構造が全体にわたって均一となり、製造される発泡断熱板の板面の中央部と短手方向端部との間の熱伝導率の差が小さくなるものと考えられる。
なお、上記静的混合装置は、スクリュー等の動的混合装置と比較して樹脂の混練能力には劣るが、分割、転換、反転を繰り返すことにより溶融樹脂の温度分布を均一化できるものと考えられる。
付言すれば、HFO−1234zeやHFO−1233zdなどのフッ素化プロペンは、溶融樹脂から分離しやすい。特に、低見掛け密度(高発泡倍率)の発泡断熱板を得るためにフッ素化プロペンを多量に添加した場合、この傾向が顕著になり、その結果、発泡体表面に局所的に大きく凹んだ箇所(以下、「スポット孔」とも言う。)などが発生して、発泡体の外観が悪化するおそれがあった。また、フッ素化プロペンを多量に使用した場合には、特に、得られる発泡断熱板の短手方向端部の熱伝導率が低下しやすくなり、板面の中央部と短手方向端部との間で熱伝導率にバラつきが生じやすかった。加えて、発泡体の熱伝導率を低下させるために黒鉛等の無機系輻射抑制剤を配合した場合、この傾向がより顕著になっていた。さらに、難燃剤としてポリマータイプの難燃剤である臭素化ブタジエン−スチレン系共重合体を用いた場合には、難燃剤による熱可塑性樹脂に対する可塑効果が低いため、この傾向がより生じやすかった。
これに対し、本考案の発泡断熱板は、溶融樹脂とフッ素化プロペンとが良好に混合された状態であると共に、押出時の溶融樹脂の温度分布が均質化された状態で押出を行うことで、気泡構造が発泡体全体にわたって均一で、発泡断熱板の板面の中央部と短手方向端部との間の熱伝導率の差が小さい発泡断熱板になるものと考えられる。
なお、上記第一押出機に供給される基材樹脂としては、前述した本考案の発泡断熱板を構成する熱可塑性樹脂が用いられる。第一押出機に供給される難燃剤や難燃助剤としては、前述した発泡断熱板が含有すると好ましいとした難燃剤や難燃助剤が用いられ、該難燃剤等は、前述の発泡断熱板の難燃剤含有量等となるように配合することができる。
また、第一押出機に供給される上記気泡調整剤としては、例えば、タルク、カオリン、マイカ、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、クレー、ベントナイト、ケイソウ土等の無機物粉末等を用いることができる。中でも難燃性を阻害することがなく気泡径を調整することが容易であるタルクが好適である。気泡調整剤の添加量は、該気泡調整剤の種類、目的とする気泡径等によって異なるが、基材樹脂100重量部に対し、概ね、0.01〜8重量部、更に0.01〜5重量部、特に0.05〜3重量部が好ましい。
上記気泡調整剤はマスターバッチを調製して使用することが分散性の点から好ましい。気泡調整剤のマスターバッチにおいては、例えば、気泡調整剤としてタルクを使用した場合、基材樹脂に対してタルクの含有量が20〜80重量%となるように調製されることが好ましく、30〜70重量%となるように調整されることがより好ましい。
また、基材樹脂には、前述した黒鉛等の無機系輻射抑制剤の他、着色剤、熱安定剤等の添加剤を適宜配合することができる。
上記第一押出機の下流側で溶融樹脂に圧入される発泡剤として、上記したフッ素化プロペンや炭素数3〜5の飽和炭化水素を含む発泡剤が用いられるが、フッ素化プロペンの配合量等は前述した発泡断熱板中のフッ素化プロペンの含有量の範囲となるように設定される。
また、発泡剤として、さらに炭素数1〜5の脂肪族アルコール、炭素数1〜3のエーテル類、炭素数1〜3の塩化アルキル、水、二酸化炭素等を用いることができる。
上記炭素数1〜5の脂肪族アルコールとしては、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。
炭素数1〜3のエーテル類としては、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル等が挙げられる。
炭素数1〜3の塩化アルキルとしては、塩化メチル,塩化エチル等が挙げられる。
以下、実施例により本考案を具体的に説明する。但し、本考案はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例において使用した原材料は、次の通りである。
(基材樹脂)
・ポリスチレン系樹脂「DIC社製、HP600ANJ」
(無機系輻射抑制剤)
・黒鉛「レジノカラー株式会社製、SBF−T−6525」
・酸化チタン「日弘ビックス株式会社製、PS−ET2813」
(難燃剤)
・臭素化ブタジエン−スチレン系共重合体「ランクセス社製、Emerald Innovation3000 (略称E3000)」
(気泡調整剤)
・タルク「松村産業(株)製、商品名:ハイフィラー#12)」ポリスチレン樹脂をベースレジンとしタルク60重量%を含有するタルクマスターバッチ
(発泡剤)
・1,3,3,3−テトラフルオロプロペン「ハネウェル製、HFO1234ze」
・イソブタン
・エタノール
・水
実施例において使用した製造装置は、次の通りである。
(製造装置)
内径180mmの第1押出機と内径225mmの第2押出機が直列に連結されており、発泡剤注入口が第1押出機の下流側付近に設けられており、更に第二押出機の出口には静的混合装置(スルザー社製、スタティックミキサー)が設けられており、該静的混合装置を介して幅方向断面が長方形(間隙2mm×幅440mm)の樹脂排出口(ダイリップ)を備えたフラットダイが第二押出機の出口に連結されており、更に該フラットダイの樹脂出口にはこれと平行するように上下一対のポリテトラフルオロエチレン樹脂からなる板が設置された賦形装置(ガイダー)が付設されている押出機を用いた。
(実施例1,2)
表1中に実施例1及び実施例2として示すそれぞれの配合量となるように上記ポリスチレン系樹脂、黒鉛、酸化チタン、難燃剤及び気泡調整剤を、上記製造装置の第1押出機に供給した。次に、これらを220℃まで加熱し、溶融、混練して溶融樹脂とした。第1押出機の下流側付近に設けられた発泡剤注入口から表1に実施例1及び実施例2として示す配合組成の上記発泡剤を表中に示す割合で溶融樹脂に圧入した。その後、この発泡性溶融樹脂を第二押出機に移送し、さらに静的混合装置によりさらに溶融混練すると共に、樹脂温度を表1中に示すような発泡適性温度(表1中では押出樹脂温度と表記した。この押出樹脂温度は第二押出機とダイとの接合部の位置で測定された発泡性溶融樹脂の温度である。)に調整した後、表1に示す吐出量及びダイ圧でダイリップからガイダー内に発泡性溶融樹脂を押出した。厚さ方向に55mmの間隙で平行に配置されたガイダー内を発泡性溶融樹脂を発泡させながら通過させることにより発泡体を板状に成形(賦形)し、該押出機より押出成形された発泡体を切断すると共に、発泡体の板面を削り、厚みを調整することにより910mm×1820mm×50mmの発泡断熱板を製造した。なお、発泡体の切断は、押出方向に直交する方向(幅方向)に切断することにより上記長手方向の寸法のものとし、押出成形された発泡体の両側端を切り落すことにより上記短手方向の寸法のものとした。
Figure 0003216586
得られた実施例1及び実施例2の各発泡断熱板について、外観の評価、見掛け密度、気泡構造、熱伝導率、HFO1234ze及びイソブタンの含有量を測定した。
その測定結果を、表2に示す。
なお、外観の評価、見掛け密度、気泡構造、熱伝導率等の測定は、次のように行った。
(外 観)
外観の評価は、下記基準により行った。
◎:発泡断熱板の全体を観察し、発泡状態が良好であり、表面にざらつきやスポット 孔などがない。
○:発泡断熱板の全体を観察し、発泡状態は比較的良好ではあるが、表面にざらつき やスポット孔などがまれに発生している。
(見掛け密度)
前述した方法に基づき、製造後一日経過後の各発泡断熱板の板面の中央部及び板面の短手方向端部の2箇所の位置からそれぞれ測定サンプルを採取して見掛け密度を測定し、その算術平均値を求めた。
(気泡構造)
平均気泡径、気泡変形率、独立気泡率について、前述した方法に基づき、製造後一日経過後の各発泡断熱板の板面の中央部及び板面の短手方向端部の2箇所からそれぞれ測定サンプルを採取し、それぞれの部位の平均気泡径等を求めた。
(熱伝導率)
前述した方法に基づき、製造後一日経過後の各発泡断熱板の熱伝導率を測定した。
具体的には、製造後、JIS K 7100に規定される標準温度状態3級(空気温度23℃)、及び標準湿度状態3級(相対湿度50%)の条件下で保管した、製造後一日経過後の各発泡断熱板の板面の中央部から縦200mm×横200mm×厚さ25mmの表皮が存在しない試験片を切り出し、該試験片についてJIS A 1412−2(1999年)記載の平板熱流計法(熱流計2枚方式、高温側38℃、低温側8℃、平均温度23℃)に基づいて測定し、発泡断熱板の板面の中央部の熱伝導率を求めた。
また、製造後、JIS K 7100に規定される標準温度状態3級(空気温度23℃)、及び標準湿度状態3級(相対湿度50%)の条件下で保管した、製造後一日経過後の各発泡断熱板の板面の両端部の四隅部から縦200mm×横200mm×厚さ25mmの表皮が存在しない試験片を各四隅部から1個ずつ計4個切り出し、該試験片についてJIS A 1412−2(1999年)記載の平板熱流計法(熱流計2枚方式、高温側38℃、低温側8℃、平均温度23℃)に基づいて測定し、これらの算術平均値から発泡断熱板の板面の短手方向端部の熱伝導率を求めた。
(各発泡剤の含有量)
前述した方法に基づいて測定した。
具体的には、まず、JIS K 7100に規定される標準温度状態3級(空気温度23℃)、及び標準湿度状態3級(相対湿度50%)の条件下で保管した、製造後一日経過後の発泡断熱板の板面の中央部及び板面の短手方向端部から15mm×15mm×50mmのサンプルを切り出した。このサンプルをトルエン50ml(シクロペンタン0.02gを含有する)溶液の入った蓋付き試料ビン中に入れ蓋を閉めた後、充分に撹拌し、測定サンプル中のハロゲン化プロペン等をトルエン中に溶解させて測定用試料とした。マイクロシリンジにて測定用試料を2μl採取し、ガスクロマトグラフに注入して測定を行い、クロマトグラムを得た。得られたガスクロマトグラムから、各発泡剤成分のピーク面積を読み取り、ピーク面積と発泡剤成分量との検量線から、板面の中央部及び板面の短手方向端部における断熱板中の各種発泡剤の含有量を算出し、その算術平均値を求めた。
なお、ガスクロマトグラフの条件は以下の通りである。
使用機器:(株)島津製作所製GC−14B
カラム:ステンレス製φ3×3000mm
カラム充填剤:シリコンDC550
カラム温度:40℃
検出器:FID
検出限界:0.01重量%
Figure 0003216586
(実施例3、4)
上記実施例1及び実施例2として製造した発泡断熱板を、製造後、JIS K 7100に規定される標準温度状態3級(空気温度23℃)、及び標準湿度状態3級(相対湿度50%)の条件下で保管した製造後5日経過した発泡断熱板に対し、それぞれ割付断熱工法に使用することを想定して図1に示したように裁断し、それぞれ4枚の断熱板(図1においてA〜D)を得た。
この得られた断熱板A、C(300mm×910mm×50mm)及びB、D(610mm×910mm×50mm)の断熱材について、それぞれ見掛け密度、独立気泡率、熱伝導率(製造後5日経過後)を測定した。
なお、実施例1の発泡断熱板から裁断したA〜Dの断熱材を実施例3、実施例2の発泡断熱板から裁断したA〜Dの断熱材を実施例4とし、それぞれの断熱材について、上記見掛け密度、独立気泡率等を測定した。
その測定結果を、表3、表4に示す。
なお、見掛け密度、独立気泡率、熱伝導率の測定は、次のように行った。
(所定の寸法に切り出した断熱板の見掛け密度)
各断熱材(実施例3、4のA〜D)の中央部付近から測定試料(カットサンプル)をそれぞれ切り出し、各々の測定試料について見掛け密度を測定することで、所定の寸法に切り出した断熱板の見掛け密度を求めた。
(所定の寸法に切り出した断熱板の独立気泡率)
各断熱材(実施例3、4のA〜D)の中央部付近から測定試料(カットサンプル)をそれぞれ切り出し、各々の測定試料について独立気泡率を測定することで、所定の寸法に切り出した断熱板の独立気泡率を求めた。
(所定の寸法に切り出した断熱板の熱伝導率)
製造後5日経過後の各断熱材(実施例3、4のA〜D)の中央部付近から縦200mm×横200mm×厚さ25mmの表皮が存在しない試験片を切り出し、該試験片についてJIS A 1412−2(1999年)記載の平板熱流計法(熱流計2枚方式、高温側38℃、低温側8℃、平均温度23℃)に基づいて熱伝導率を測定することで、所定の寸法に切り出した製造後5日経過後の断熱板のそれぞれの熱伝導率を求めた。
Figure 0003216586
Figure 0003216586
以上、本考案に係る熱可塑性樹脂押出発泡断熱板について説明したが、本考案に係る熱可塑性樹脂押出発泡断熱板は、実用新案登録請求の範囲に記載した本考案の技術的思想としての熱可塑性樹脂押出発泡断熱板の範囲内において、種々の変形及び変更が可能であることは当然である。
本考案の熱可塑性樹脂押出発泡断熱板は、フッ素化プロペンと無機系輻射抑制剤を含み断熱性に優れると共に、板面全体にわたって均質な断熱性能を有するものであるので、割付断熱工法に使用する断熱材として好適に使用することができる。

Claims (9)

  1. 所定の寸法に裁断されて割付断熱工法に使用される熱可塑性樹脂押出発泡断熱板であって、
    該発泡断熱板は、板面の長手方向長さが1800mm以上、短手方向長さが900mm以上であることと、
    該発泡断熱板は、無機系輻射抑制剤及びフッ素化プロペンを含むことと、
    該発泡断熱板は、板面の中央部の熱伝導率に対する板面の短手方向端部の熱伝導率の比が1.0を超え1.1以下であることを特徴とする、
    熱可塑性樹脂押出発泡断熱板。
  2. 上記無機系輻射抑制剤の上記発泡断熱板中の含有量が0.5〜10.0重量%であることを特徴とする、
    請求項1に記載の熱可塑性樹脂押出発泡断熱板。
  3. 上記フッ素化プロペンの上記発泡断熱板中の含有量が、該発泡断熱板1kgあたり0.4モルを超え1.2モル以下であることを特徴とする、
    請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂押出発泡断熱板。
  4. 上記発泡断熱板がさらに炭素数3〜5の飽和炭化水素を含み、上記フッ素化プロペン及び前記炭素数3〜5の飽和炭化水素の合計含有量が、該発泡断熱板1kgあたり0.6〜1.2モルであることを特徴とする、
    請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂押出発泡断熱板。
  5. 上記フッ素化プロペンの上記発泡断熱板中の含有量が、該発泡断熱板1kgあたり0.4モルを超え1.2モル未満であることを特徴とする、
    請求項4に記載の熱可塑性樹脂押出発泡断熱板。
  6. 上記発泡断熱板の中央部の熱伝導率が0.021W/(m・K)以下であることを特徴とする、
    請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂押出発泡断熱板。
  7. 上記フッ素化プロペンが1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含むことを特徴とする、
    請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂押出発泡断熱板。
  8. 上記発泡断熱板の基材樹脂がポリスチレン系樹脂、又はポリスチレン系樹脂とその他の熱可塑性樹脂との混合物であることを特徴とする、
    請求項1〜7のいずれかに記載の熱可塑性樹脂押出発泡断熱板。
  9. 上記発泡断熱板の見掛け密度が20〜40kg/m3であり、厚みが10〜150mmであることを特徴とする、
    請求項1〜8のいずれかに記載の熱可塑性樹脂押出発泡断熱板。
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