JP6190208B2 - ポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法 - Google Patents
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<2>前記難燃剤が、臭素化ビスフェノール系難燃剤、臭素化イソシアヌレート系難燃剤、及び臭素化ブタジエン−スチレン共重合体系難燃剤から選択される2以上の臭素系難燃剤であることを特徴とする前記<1>に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
<3>前記ノボラック型エポキシ樹脂の総配合量が、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して0.3〜2重量部であることを特徴とする前記<1>又は<2>に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
本発明のポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法においては、ポリスチレン系樹脂、難燃剤及び発泡剤を押出機にて混練して得られた発泡性樹脂溶融物を、ダイを通して高圧の押出機内より低圧域に押出して発泡させることにより、ポリスチレン系樹脂押出発泡体(以下、単に押出発泡体、又は発泡体ともいう)が製造される。この際、該ダイの出口に、平行あるいは入口から出口に向かって緩やかに拡大するよう設置された上下2枚のポリテトラフルオロエチレン樹脂等からなる板で構成される装置(以下、ガイダーとも言う)や成形ロール等の成形具を配置し、押出された発泡体を該成形具を通過させることによって、板状に賦形することができる。
なお、前記エポキシ樹脂(I)は、製造安定性の観点から、軟化点が130℃以下、好ましくは100℃以下、さらに好ましくは90℃以下のものが好ましい。
前記エポキシ樹脂(I)の総配合量が0.01重量部よりも少ないと小気泡の発生を防止できず気泡径が不均一となるおそれがあり、2重量部より多いと押出発泡体の成形が困難となり表面状態が悪化するおそれがある。
前記有機系物理発泡剤としては、例えば、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテルなどのエーテル類、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなどのアルコール類、蟻酸メチル、蟻酸エチルプロピオン酸メチルなどのカルボン酸エステル類、塩化メチル、塩化エチルなどのハロゲン化アルキルなどが挙げられる。また、フッ化炭化水素の中でも、地球温暖化係数の小さい1,3,3,3−テトラフルオロプロペンなどのハイドロフルオロオレフィン等を用いることもできる。前記無機系物理発泡剤としては、例えば二酸化炭素、窒素などが挙げられる。
これら、その他の物理発泡剤は、単独または2種以上混合して使用することができる。
本発明で好ましく用いられる臭素化ブタジエン−スチレンブロック共重合体系難燃剤としては、Chemtura社のEmerald3000、ICL−IP社のFR122Pなどの市販品が挙げられる。
押出発泡体厚み方向の平均気泡径(DTav:mm)は、押出発泡体の幅方向垂直断面(押出発泡体の押出方向と直交する垂直断面)に存在する個々の気泡に対して、厚み方向に平行な辺を有し、かつ気泡に外接する長方形の厚み方向の辺の長さを計測して、各気泡の厚み方向の気泡径を求め、各々の算術平均値を厚み方向の平均気泡径(DTav)とする。
V(mm)={Σ(DTi−DTav)2/(n−1)}1/2 (4)
変動係数(Cv)は(4)式により求めた標準偏差(V)を用いて、次式(5)によって求められる。
Cv(%)=(V/DTav)×100 (5)
測定試料は、押出発泡体において中央部および幅方向両端部付近の計3箇所からカットサンプルを切り出して各々のカットサンプルについて独立気泡率を測定し、3箇所の独立気泡率の算術平均値を押出発泡体の独立気泡率とする。なお、カットサンプルは押出発泡体から縦25mm×横25mm×厚み20mmの大きさに切断された、押出発泡体表皮を有しないサンプルとし、厚みが薄く厚み方向に20mmのサンプルが切り出せない場合には、例えば縦25mm×横25mm×厚み10mmの大きさに切断された試料(カットサンプル)を2枚重ねて測定する。
ただし、Vx:上記空気比較式比重計による測定により求められるカットサンプルの真の体積(cm3)(押出発泡体のカットサンプルを構成する樹脂の容積と、カットサンプル内の独立気泡部分の気泡全容積との和に相当する。)
VA:測定に使用されたカットサンプルの外寸法から算出されたカットサンプルの見かけ上の体積(cm3)
W:測定に使用されたカットサンプル全重量(g)
ρ:押出発泡体を構成する樹脂の密度(g/cm3)
内径65mmの第1押出機と内径90mmの第2押出機が直列に連結されており、発泡剤注入口が第1押出機の終端付近に設けられており、間隙1mm×幅90mmの幅方向断面が長方形の樹脂排出口(ダイリップ)を備えたフラットダイが第2押出機の出口に連結されており、該フラットダイの樹脂出口には、これと平行するように設置された上下一対のポリテトラフルオロエチレン樹脂からなる板により構成された賦形装置(間隔50mm)が付設されている装置を用いた。
JIS K7210(1999)に基づき、試験温度200℃、荷重5kgの条件で測定した。
測定方法はJIS K7234(1986)に準拠し、環球法にて測定した。
表3に示す難燃剤からなる難燃剤マスターバッチを、ポリスチレン系樹脂に対する難燃剤としての添加量が表4に示す量となるようにポリスチレン系樹脂に添加した。
ポリスチレン樹脂をベースレジンとし、タルク(松村産業(株)製、商品名:ハイフィラー#12)60重量%を含有するタルクマスターバッチを用いた。
表4に示す配合及び配合量となるようにポリスチレン系樹脂、エポキシ樹脂(I)、難燃剤、さらに気泡調整剤マスターバッチ0.2重量部を、前記第1押出機に供給し、220℃まで加熱し、これらを溶融、混練し、発泡剤注入口から表4に示す配合組成、量の発泡剤を溶融物に供給してさらに溶融混練し、得られた発泡性樹脂溶融物を第2押出機に供給して樹脂温度を表4に示すような発泡に適した発泡樹脂温度(押出機とダイとの接合部の位置で測定された発泡性樹脂溶融物の温度)に調整した後、吐出量70kg/hrでダイリップからガイダー内に押出し、ガイダー内を通過させることにより板状に成形(賦形)し、ポリスチレン系樹脂押出発泡体を製造した。
厚み方向の平均気泡径(DTav)については、前記方法により測定した。厚み方向の平均気泡径(DTav)は、押出発泡体の幅方向垂直断面の中央部及び両端部付近の計三箇所の2cm×2cmの範囲を拡大倍率50倍の拡大写真を得、各々の写真上において、ナノシステム株式会社製の画像処理ソフトNS2K−proを用いて個々の気泡の厚み方向の気泡径及び幅方向の気泡径を計測し、それを3サンプルについて測定し、それらの値を算術平均することにより求めた。
変動係数Cvについては、上記で計測した個々の気泡の厚み方向の気泡径から前記方法により求めた。
JIS K7222(2005)に基づき見掛け密度を測定した。
押出発泡体の幅方向中央部及び両端部付近から、それぞれ25mm×25mm×20mmのサイズの成形表皮を持たないサンプルを切り出し、前記ASTM−D2856−70の手順Cにより各サンプルの独立気泡率を測定し、それらの測定値を算術平均した値を押出発泡板の独立気泡率とした。
製造した押出発泡体の表面状態を目視により、以下の基準にて評価した。
◎:表面に凹凸や穴あきが見られず、表面平滑性が特に優れた良好なもの
○:表面に穴あきや凹凸がほとんど見られず、表面が平滑であるもの
×:ダイ内部で内部発泡を起こしてしまい、表面に凹凸や穴あきが見られたもの
厚み方向の圧縮強度の測定は、JIS K7181(2011)に準拠して、次の方法により行なった。スキン面を削り取った試験片(縦5cm×横5cm×厚み4cm)を厚み方向に速度10mm/minで15%圧縮し、応力−歪曲線を得た。得られた応力−歪曲線より10%圧縮時の応力を読み取り、試験片の圧縮面積(25cm2)で割ることにより10%圧縮強度を求めた。但し、目的の歪量に達する前に応力−歪曲線が降伏点を示し、降伏点応力が目的の歪量に対応する応力よりも大きい場合は、目的の歪量の圧縮強度は該降伏点応力に基づき算出することとする。
実施例2においては、実施例1と比較して、ポリスチレン系樹脂100重量部に対してエポキシ樹脂(I)の量を0.5重量部と多く配合することによって、さらに変動係数が低く、厚み方向の平均気泡径が大きな気泡構造の押出発泡体が得られた。
実施例3においては、実施例2よりもさらにエポキシ樹脂(I)の量を多くした実施例であり、実施例1と同様に良好な押出発泡体が得られた。
実施例4においては、低軟化点のエポキシ樹脂を使用した以外は実施例1と同様にして押出発泡体を得た。低軟化点のエポキシ樹脂では、実施例1と比べ、厚み方向の平均気泡径がより大きな気泡構造の押出発泡体が得られた。
実施例5においては、高軟化点のエポキシ樹脂を使用した以外は実施例1と同様にして押出発泡体を得た。
実施例6においては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を使用した以外は実施例1と同様にして押出発泡体を得た。ビスフェノールA型エポキシ樹脂においても良好な気泡構造の押出発泡体を得ることができた。
実施例7においては、難燃剤を臭素化ブタジエン−スチレン共重合体系難燃剤と臭素化イソシアヌレート系難燃剤とした以外は実施例1と同様にして押出発泡体を得た。臭素化スチレン−ブタジエン系共重合体難燃剤を使用した場合であってもエポキシ樹脂(I)を使用することによって、厚み方向の平均気泡径が大きく、変動係数が低い気泡構造の押出発泡体を得ることができた。
実施例8においては、発泡剤の水の量を1.0重量部とした以外は実施例1と同様にして押出発泡体を得た。実施例1と同様に良好な気泡構造の押出発泡体を得ることができた。
実施例9においては、難燃剤を臭素化ビスフェノール系難燃剤とした以外は実施例1と同様にして押出発泡体を得た。臭素化ビスフェノール系難燃剤のみとした場合であっても実施例1と同様に変動係数が低く、厚み方向の平均気泡径が大きな気泡構造の押出発泡体が得られた。
比較例2においては、エポキシ樹脂(I)の量を3.0重量部とした以外は実施例1と同様の条件で押出した。エポキシ樹脂(I)が過剰量であったため、発泡性が低下し、成形が困難となり表面状態が悪化した。
Claims (3)
- ポリスチレン系樹脂と、炭素数3〜5の飽和脂肪族炭化水素及び水を含む物理発泡剤と、難燃剤とを混練してなる発泡性樹脂溶融物を押出して押出発泡体を製造する方法において、該押出発泡体の見掛け密度が20〜30kg/m 3 であり、厚み方向の平均気泡径が0.2mm以上であり、厚み方向の気泡径の変動係数が40%以下であり、該水の配合量が、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して1重量部以上であり、該難燃剤が、臭素化ビスフェノール系難燃剤、臭素化イソシアヌレート系難燃剤、及び臭素化ブタジエン−スチレン共重合体系難燃剤から選択される1又は2以上の臭素系難燃剤であり、かつ、該発泡性樹脂溶融物が、ノボラック型エポキシ樹脂を含み、該ノボラック型エポキシ樹脂がクレゾールノボラック型エポキシ樹脂であり、ノボラック型エポキシ樹脂の総配合量が、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して0.01〜2重量部であることを特徴とするポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
- 前記難燃剤が、臭素化ビスフェノール系難燃剤、臭素化イソシアヌレート系難燃剤、及び臭素化ブタジエン−スチレン共重合体系難燃剤から選択される2以上の臭素系難燃剤であることを特徴とする請求項1に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
- 前記ノボラック型エポキシ樹脂の総配合量が、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して0.3〜2重量部であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
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