JP6211442B2 - ポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法 - Google Patents

ポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法 Download PDF

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本発明は、ポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法に関し、詳しくは、例えば建築物の壁、床、屋根等の断熱材や畳芯材等に使用される難燃性に優れたポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法に関する。
従来、ポリスチレン系樹脂材料に気泡調整剤を加え、押出機で加熱溶融混練後、物理発泡剤を添加して発泡性樹脂溶融物とし、この発泡性樹脂溶融物を高圧域から低圧域に押出すことにより発泡させ、さらに所望により押出機のダイ出口に連結した賦形具などにより板状に賦形することにより、ポリスチレン系樹脂押出発泡体(以下、単に押出発泡体ともいう)を得る方法が知られている。
前記押出発泡体を建築用の断熱材として使用するには、例えばJIS A9511(2006R)記載の押出ポリスチレンフォーム保温板の燃焼性規格を満足するような高い難燃性が要求される。そのために、押出発泡体には難燃剤が添加されており、難燃剤としては、ヘキサブロモシクロドデカン(以下、HBCDという)が広く使用されてきた。
しかし、地球環境保護の観点から、近年は、HBCDよりも環境に優しい難燃剤として臭素化ビスフェノール系難燃剤、臭素化イソシアヌレート系難燃剤や臭素化ブタジエン−スチレン共重合体系難燃剤などのHBCD代替臭素系難燃剤を使用するようになってきている。
一方、前記押出発泡体の製造方法における発泡剤としては、従来、ジクロロジフルオロメタン等の塩化フッ化炭化水素(以下、CFCという)や水素原子含有塩化フッ化炭化水素(以下、HCFCという)が広く使用されていた。これらの発泡剤は、発泡性に優れ、さらに気体としての熱伝導率も低く押出発泡体中にも長期に残存することから、低見掛け密度で断熱性にも優れる押出発泡体を得ることが可能であった。
しかし、発泡剤についても、環境保護の観点からオゾン破壊係数が0(ゼロ)であるとともに、地球温暖化係数も小さい、イソブタンやイソペンタン等の飽和炭化水素が発泡剤として用いられるようになっている。
だが、飽和炭化水素は可燃性であるため、建材用途に要求される低見掛け密度の(発泡倍率の高い)押出発泡体を飽和炭化水素のみで製造すると、難燃剤を添加しても所望の難燃性を達成しにくくなる。そこで、押出発泡体の発泡剤としては、一般に、飽和炭化水素と共に、塩化アルキルやアルキルエーテル、二酸化炭素、水等の押出発泡体から早期に散逸する発泡剤(早期散逸性発泡剤)が併用されている。
これらの早期散逸性発泡剤の中でも、環境面を考慮すると、水を使用することが望まれる。しかしながら、水を含む混合発泡剤を用いた場合、得られる押出発泡体は小さい気泡(小気泡)と大きい気泡(大気泡)が混在する、気泡径の変動係数(Cv)が大きい、所謂双峰分布の気泡構造になってしまうという新たな問題が生じた。
小さすぎる気泡を含む気泡構造の押出発泡体は、機械的強度が低下しやすく、さらに二次加工性も悪くなる。また、小気泡が発生してしまうと、発泡体の見掛け密度を低くすることが難しくなるので、小気泡の発生を抑制して、気泡径が均一な気泡構造の押出発泡体とすることが望ましい。
小気泡の発生を抑制して気泡径の均一な気泡構造を形成する技術として、特許文献1には、ポリマー溶融液における水の溶解度を上げて押出発泡体を製造する技術が開示されている。
特許文献1の方法により、水と二酸化炭素とを含む混合発泡剤を用いると共に、HBCDを難燃剤として用いた場合に、単峰分布の気泡構造の押出発泡体を製造することが可能になった。しかし、この方法では、HBCD代替臭素系難燃剤を使用した場合には、小気泡が発生し、双峰分布の気泡構造となってしまうか、或いは全体的に気泡が微細化してしまい、場合によっては板状の押出発泡体自体を得ることが困難となる場合があった。
このような問題を解消するために、本発明者等は、先に、発泡剤として炭化水素及び水を含む発泡剤を使用し、かつHBCD代替臭素系難燃剤を配合してポリスチレン系樹脂押出発泡体を製造する方法において、気泡径拡大剤として脂肪族ポリエステル系樹脂を用いる方法を提案した(特許文献2)。
この方法は、発泡時に小気泡の発生を抑制し、かつ気泡径を拡大することにより単峰分布の気泡構造で低見掛け密度を有するポリスチレン系樹脂押出発泡体を得ることができるといった利点を有するものである。
特表平8−502786号公報 特開2013−166880号公報
本発明は、発泡剤として炭化水素及び水を含む発泡剤を使用し、かつ難燃剤としてHBCD代替臭素系難燃剤を使用した場合において、気泡径を拡大することができると共に小気泡の発生を抑制することで、見掛け密度が低く、気泡径の変動係数(Cv)をより小さくすることができ、更には水を増量しても良好な発泡体を得ることが可能な、ポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法を提供することを課題とするものである。
本発明によれば、以下に示すポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法が提供される。
<1>ポリスチレン系樹脂と、炭素数3〜5の飽和炭化水素及び水を含む物理発泡剤と、臭素系難燃剤とを混練してなる発泡性樹脂溶融物を押出して独立気泡率85%以上の押出発泡体を製造する方法において、該発泡性樹脂溶融物に、ポリプロピレンカーボネート系樹脂が配合されていることを特徴とするポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
<2>前記ポリプロピレンカーボネート系樹脂の配合量がポリスチレン系樹脂100重量部に対して0.01〜5重量部であることを特徴とする<1>に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
<3>前記ポリスチレン系樹脂100重量部に対する水の配合量が1.5重量部以上であることを特徴とする<1>又は<2>に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
本発明によれば、発泡剤として炭素数3〜5の炭化水素及び水を含む発泡剤を使用し、かつ臭素系難燃剤を用いてポリスチレン系樹脂押出発泡体を製造する際に、前記ポリアルキレンカーボネート系樹脂を配合することにより、押出発泡体の気泡径を拡大するとともに、小気泡の発生を抑制し、気泡径を均一化して押出発泡体の気泡径の変動係数(Cv)を小さくすることが可能となる。さらに、従来よりも発泡剤として水の配合量を増やしたとしても押出発泡成形体の表面状態が良好な高倍率のポリスチレン系樹脂押出発泡体を得ることができる。
以下、本発明のポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法について詳細に説明する。
本発明のポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法においては、ポリスチレン系樹脂、難燃剤及び発泡剤を押出機にて混練してなる発泡性樹脂溶融物を、ダイを通して高圧の押出機内より低圧域に押出して発泡させることにより、ポリスチレン系樹脂押出発泡体(以下、単に押出発泡体、又は発泡体ともいう)が製造される。この際、該ダイの出口に、平行あるいは入口から出口に向かって緩やかに拡大するよう設置された上下2枚のポリテトラフルオロエチレン樹脂等からなる板で構成される装置(以下、ガイダーとも言う)や成形ロール等の成形具を配置し、押出された発泡体を該成形具を通過させることによって、板状に賦形することができる。
本発明におけるポリスチレン系樹脂としては、例えばポリスチレン重合体やスチレンを主成分とする、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−メチルスチレン共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体(MS)、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)等が挙げられる。上記スチレン系共重合体におけるスチレン単位成分含有量は50モル%以上が好ましく、特に好ましくは80モル%以上である。
本発明の目的、作用、効果が達成される範囲内において、上記ポリスチレン系樹脂にはその他の重合体を混合してもよい。その他の重合体としては、ポリエチレン系樹脂(エチレン単独重合体及びエチレン単位成分含有量が50モル%以上のエチレン共重合体)、ポリプロピレン系樹脂(プロピレン単独重合体及びプロピレン単位成分含有量が50モル%以上のプロピレン共重合体)、ポリフェニレンエーテル樹脂などの熱可塑性樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体水添物、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体水添物、スチレン−エチレン共重合体などの熱可塑性エラストマー等が挙げられ、これらの他の重合体は、ポリスチレン系樹脂中で好ましくは30重量%以下となるように、特に好ましくは10重量%以下となるように、目的に応じて混合することができる。
本発明においては、前記発泡性ポリスチレン系樹脂溶融物には、アルキレン鎖の炭素数が2〜6のポリアルキレンカーボネート系樹脂が配合されている。
前記ポリアルキレンカーボネート系樹脂を配合することにより、押出発泡体の小気泡の発生を抑制するとともに、気泡径の大きい押出発泡体を得ることが可能となる。また、気泡径を均一化して押出発泡体の気泡径の変動係数(Cv)を小さくすることが可能となる。
この理由は定かではないが、水のポリスチレン樹脂中への溶解度を向上させるほどの配合量ではなく、極少量の配合でも前記効果が得られていることから、ポリアルキレンカーボネート系樹脂が発泡性ポリスチレン系樹脂溶融物中に微細に分散しやすく、微細に分散したポリアルキレンカーボネート系樹脂が、発泡性ポリスチレン系樹脂溶融物中への水の分散を向上させていることにより小気泡の発生を抑制するとともに気泡径を均一化しているものと推察される。
更には、水をたとえばポリスチレン系樹脂100重量部に対して1.5重量部以上(0.83mol/kg以上)に増量したとしても発泡粒子成形体の表面状態が良好な高倍率のポリスチレン系樹脂押出発泡体を得ることができる。この理由としては、ポリアルキレンカーボネート系樹脂は、発泡性ポリスチレン系樹脂溶融物中への水の分散性を向上させる効果が従来の気泡径拡大剤よりも大きいことによって、従来よりも発泡剤としての水の配合量を多くした場合であっても得られる押出発泡体の表面が良好な発泡体になると考えられる。
本発明で用いるポリアルキレンカーボネート系樹脂とは、アルキレン基およびカーボネート基からなるアルキレンカーボネート構造を有する重合体を意味する。その具体例としては、ポリトリメチレンカーボネート樹脂、ポリエチレンカーボネート樹脂、ポリプロピレンカーボネート樹脂、ポリブテンカーボネート樹脂、ポリイソプロピレンカーボネート樹脂、ポリ(1,2−ジメチルエチレンカーボネート)樹脂、ポリイソブテンカーボネート樹脂、ポリペンテンカーボネート樹脂、ポリ(2,2−ジメチルプロピレンカーボネート)樹脂、ポリシクロペンテンカーボネート樹脂、ポリヘキセンカーボネート樹脂、ポリシクロヘキセンカーボネート樹脂などのアルキレン鎖の炭素数が2〜6のポリアルキレンカーボネート系樹脂が挙げられ、なかでも、ポリプロピレンカーボネート樹脂を用いるのが好ましい。
前記ポリアルキレンカーボネート系樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析による標準ポリスチレン換算値で10,000以上が好ましく、50,000〜400,000がより好ましい。
前記ポリアルキレンカーボネート系樹脂の配合量は、小気泡の発生を抑制し、気泡径の拡大効果を得る観点から、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して0.01重量部以上が好ましく、0.02重量部以上がより好ましく、0.05重量部以上がさらに好ましい。
一方、前記ポリアルキレンカーボネート系樹脂の上限は、押出発泡体の機械的強度を維持する観点から5重量部以下が好ましく、4重量部以下がより好ましく、3重量部以下がさらに好ましい。
本発明においては、炭素数3〜5の飽和炭化水素及び水を含む物理発泡剤が用いられる。前記炭素数3〜5の飽和炭化水素としては、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタンなどが挙げられる。これらの炭素数3〜5の飽和炭化水素の中では、発泡性の点からプロパン、ノルマルブタン、イソブタンあるいはこれらの混合物が好ましい。また、得られる発泡体の断熱性能の点からノルマルブタン、イソブタンあるいはこれらの混合物が好ましく、特に好ましくはイソブタンである。難燃性の観点から、上記飽和炭化水素の配合量は、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して5重量部以下が好ましく、より好ましくは4重量部以下である。一方、低見掛け密度の押出発泡体を得る上で、押出発泡時の安定性や押出直後の発泡体の収縮を防ぐという観点からは、該配合量の下限は1重量部程度である。
本発明における物理発泡剤は、水を含むものであり、水を用いることにより前記飽和炭化水素の添加量を抑えつつ、低見掛け密度の押出発泡体を得ることができる。また、前記したように、本発明においては気泡径拡大剤としてポリアルキレンカーボネート系樹脂を用いたことから、従来よりも水を増量したとしても成形体の表面状態が良好な高倍率のポリスチレン系樹脂押出発泡体を得ることができる。
かかる観点から、水の配合量は、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して0.5重量部以上が好ましく、より好ましくは1.0重量部以上、さらに好ましくは1.5重量部以上である。最も好ましくは1.6重量部以上である。もっとも、水の配合量があまりにも多すぎると、ダイ内で水が分離しやすくなり、発泡体の表面に穴が発生しやくなることから、その上限値は3重量部以下とすることが好ましい。
本発明における物理発泡剤には、有機系物理発泡剤や無機系物理発泡剤などのその他の発泡剤を配合することができる。
前記有機系物理発泡剤としては、例えば、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテルなどのエーテル類、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなどのアルコール類、蟻酸メチル、蟻酸エチルプロピオン酸メチルなどのカルボン酸エステル類、塩化メチル、塩化エチルなどのハロゲン化アルキルなどが挙げられる。また、フッ化炭化水素の中でも、地球温暖化係数の小さい1、3、3、3−テトラフルオロプロペンなどのハイドロフルオロオレフィン等を用いることもできる。前記無機系物理発泡剤としては、例えば二酸化炭素、窒素などが挙げられる。
これら、その他の物理発泡剤は、単独または2種以上混合して使用することができる。
前記その他の物理発泡剤の中では、発泡性、発泡体成形性、押出発泡体の寸法の早期安定性などの点から、塩化メチル、塩化エチル、ジメチルエーテル、メタノール、エタノール、蟻酸メチル、二酸化炭素が好ましく、環境面を考慮すると、二酸化炭素が特に好ましい。
また、前記物理発泡剤に加えて化学発泡剤を添加することもできる。該化学発泡剤としては、例えばアゾ化合物、テトラゾールなどの化学発泡剤などが挙げられる。
本発明における発泡剤の総配合量は、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して、1.5〜10重量部が好ましく、2〜8重量部がより好ましい。
本発明で用いる臭素系難燃剤としては、臭素化ビスフェノール系難燃剤、臭素化イソシアヌレート系難燃剤、臭素化ブタジエン−スチレン共重合体系難燃剤等が挙げられる。臭素系難燃剤は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
本発明において、臭素化ビスフェノール系難燃剤とは下記式(1)で示される、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、又はこれらの誘導体の臭素化物である。
Figure 0006211442

[式中,Zは、CH−C−CH、CH、SOから選ばれる有機基、R,Rは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、−Y−Xで表される有機基(式中,Yは炭素数1〜6のアルキレン基、Xはエポキシ基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、フェニル基である)、およびフェニル基のうちから選ばれるもの、および、これらの原子及び原子団のうち、少なくとも1つの水素原子が臭素原子に置換されている有機基である。尚、R,Rの原子及び原子団は相互に異なる有機基であっても同じものであってもよい。]
臭素化ビスフェノール系難燃剤の具体例としては、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールS−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールS−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールF、テトラブロモビスフェノールF−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールF−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(アリルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ポリカーボネートオリゴマー、テトラブロモビスフェノールA−オリゴマーのエポキシ基付加物等が挙げられる。上記の臭素化ビスフェノ−ル系難燃剤の中でも、特に、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)が、ポリスチレン系樹脂との混練時において分解しにくく、難燃効果も高く発現し易いため好ましい。更に、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)とテトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)とを併用すると、難燃性に優れた押出発泡体となると共に、押出時の熱安定性に優れるので好ましい。
テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)とテトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)とを併用する場合、その混合比は、重量比で90:10〜30:70であることが好ましく、より好ましくは70:30〜40:60である。この重量比の混合難燃剤は、難燃性に優れると共に、熱安定性に優れるものである。
該臭素化イソシアヌレート系難燃剤とは、下記式(2)に示される、イソシアヌル酸又はイソシアヌル酸誘導体の臭素化物である。
Figure 0006211442

[式中、R,R,Rは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、−Y−Xで表される有機基(式中、Yは炭素数1〜6のアルキレン基、Xはエポキシ基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、フェニル基である)、およびフェニル基の中から選択される有機基、および、これらの原子及び原子団のうち、少なくとも1つの水素原子が臭素原子に置換されている有機基である。但し、R,R,Rのうち少なくとも1つは、前記原子及び原子団のうち少なくとも1つの水素原子が臭素原子に置換されている有機基とする。
尚、R,R,Rの原子及び原子団は相互に異なる有機基であっても同じものであってもよい。]
上記臭素化イソシアヌレート系難燃剤の具体例としては、モノ(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート、ジ(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート、モノ(2,3,4−トリブロモブチル)イソシアヌレート、ジ(2,3,4−トリブロモブチル)イソシアヌレート、トリス(2,3,4−トリブロモブチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
前記臭素化ブタジエン−スチレン共重合体系難燃剤としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体又はグラフト共重合体など、従来公知のものがそのまま使用できる。
また、前記共重合体を構成するスチレン系単量体としては、スチレン、臭素化スチレン、塩素化スチレン、2−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−メチルスチレンなどが例示でき、これらの中でも、スチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレン又はこれらの混合物が好ましく、より好ましくはスチレンである。
上記の中でも、ポリスチレン系樹脂との相溶性を考慮すると、ポリスチレン重合体ブロックと臭素化ポリブタジエンブロックとのブロック共重合体であることがより好ましい。
一般に、代表的な臭素化ブタジエン−スチレン共重合体である臭素化ブタジエン−スチレンブロック共重合体は下記一般式(3)で表すことができる。
Figure 0006211442

(式中、X、Y及びZは、正の整数である。)
このようなポリスチレン−臭素化ポリブタジエンブロック共重合体難燃剤は、例えばブタジエン−スチレンブロック共重合体を臭素化することにより製造される。
本発明で好ましく用いられるポリスチレン−臭素化ポリブタジエン共重合体難燃剤としては、Chemtura社のEmerald3000、ICL−IP社のFR122Pなどの市販品が挙げられる。
本発明で用いられる臭素化ブタジエン−スチレン共重合体系難燃剤は、従来公知のものがそのまま使用できる。例えば、特表2009-516019号公報のものを使用することができる。
一般に、難燃剤として使用される臭素化ブタジエン−スチレン共重合体は、ポリブタジエン換算で、重量平均分子量1.0×10〜2.0×10程度、好ましくは2.0×10〜1.0×10、より好ましくは5.0×10〜1.0×10、さらに好ましくは5.0×10〜1.0×10のブタジエンスチレン系重合体を臭素化することにより製造される。ポリスチレン系樹脂中への分散性などを考慮すると、臭素化ブタジエン−スチレン共重合体の重量平均分子量は、ポリスチレン換算で、好ましくは0.9×10〜3.0×10、1.0×10〜2.0×10であることがさらに好ましい。
難燃性付与効果の観点から、臭素化ブタジエン−スチレン共重合体中の臭素含有率は、60重量%以上であることが好ましく、より好ましくは63重量%以上である。なお、上記臭素含有率は、JIS K7392(2009)に基づき求めることができる。
上記臭素系難燃剤の総配合量は、所望の難燃性に応じて適宜決定されるものであるが、JIS A9511(2006R)記載の押出ポリスチレンフォーム保温板の燃焼性規格を満足するポリスチレン系樹脂押出発泡体を得るためには、ポリスチレン100重量部に対して1〜10重量部配合することが好ましく、より好ましくは2〜8重量部、さらに好ましくは2.5〜5重量部である。上記範囲内であれば、難燃剤が発泡性を阻害することなく、良好な表面状態の押出発泡体が得られる。
なお、前記難燃剤には、臭素化ビスフェノール系難燃剤、臭素化イソシアヌレート系難燃剤及び臭素化ブタジエン−スチレン共重合体系難燃剤以外のその他の難燃剤を含むことができる。前記その他の難燃剤の添加量は、臭素系難燃剤の添加量全体に対して20重量%以下が好ましく、10重量%以下がより好ましい。
なお、発泡剤として水を含む物理発泡剤と、前記臭素化ビスフェノール系難燃剤、臭素化ブタジエン−スチレン共重合体系難燃剤、臭素化イソシアヌレート系難燃剤とを併用すると、押出発泡時に小気泡が発生しやすくなる傾向にあるが、本発明においては、反応系にポリアルキレンカーボネート系樹脂を配合させたことから、このような不具合が解消され、気泡径を拡大しつつ、小気泡の発生を抑制し、気泡径を均一化することができる。
該難燃剤のポリスチレン系樹脂への配合方法としては、所定割合の難燃剤をポリスチレン系樹脂と共に押出機上流に設けられている供給部に供給し、押出機中にて混練する方法を採用することができる。その他、押出機途中に設けられた難燃剤供給部より溶融ポリスチレン樹脂中に難燃剤を供給する方法も採用することができる。尚、難燃剤を押出機に供給する場合、難燃剤とポリスチレン系樹脂とをドライブレンドしたものを押出機に供給する方法や、難燃剤マスターバッチや難燃剤溶融混練物を作製し、ポリスチレン系樹脂と共に押出機に供給する方法を採用することができる。
本発明においては、難燃助剤として、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、2,3−ジエチル−2,3−ジフェニルブタンなどのジフェニルアルカンや、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、2,4−ジフェニル−4−エチル−1−ペンテンなどのジフェニルアルケン、ポリ−1,4−ジイソプロピルベンゼンなどのポリアルキルベンゼンを添加することができる。
本発明においては、ヒンダードフェノール系安定剤、リン系安定剤、およびヒンダードアミン系安定剤等の安定剤を添加することができる。安定剤は、加工時に臭素系難燃剤が分解して発生するハロゲンラジカルやハロゲンイオンを補足することにより、ポリスチレン系樹脂の分子量低下や着色を抑制することができるものである。
本発明の製造方法において、発泡性樹脂溶融物には、難燃剤以外に、押出発泡体の平均気泡径を調整するために気泡調整剤を添加することができる。気泡調整剤としては、タルク、カオリン、マイカ、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、クレー、酸化アルミニウム、ベントナイト、ケイソウ土等の無機物、前記化学発泡剤、ポリエチレンワックスなどが例示される。また、本発明において該気泡調整剤は2種以上組合せて用いることもできる。前記各種の気泡調整剤の中で、得られる発泡体の気泡径の調整が容易であるためタルクが好適に用いられ、特に、粒子径の細かい平均粒径(光透過遠心沈降法による50%粒径)が0.5〜10mmのタルクが好ましい。該気泡調整剤の添加量は、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して0.01〜7.5重量部、更に0.1〜5重量部の割合で添加されることが好ましい。
本発明の製造方法において、発泡性樹脂溶融物には、流動パラフィンを添加することができる。該流動パラフィンとしては、具体的には、CmHn(n<2m+2、mは炭素数)で示される分岐構造、環構造を有する脂環式炭化水素化合物又はそれらの混合物が挙げられる。該流動パラフィンの添加量は、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して好ましくは0.3〜2重量部であり、さらに好ましくは0.5〜1.8重量部である。
本発明の製造方法においては、前記気泡調整剤、難燃剤以外にも、本発明の目的、効果を妨げない範囲において、グラファイト、ハイドロタルサイト、カーボンブラック、酸化チタンやアルミニウム等の断熱性向上剤、着色剤、酸化防止剤、充填剤、滑剤等の各種添加剤を適宜添加することができる。尚、前記気泡調整剤、着色剤等の各種添加剤の押出発泡工程における添加方法としては、前記難燃剤の添加方法と同様の添加方法が採用できる。
なお、本発明においては、押出発泡体を加熱溶融して得られる再生ポリスチレン系樹脂を原料樹脂として用いることもできる。このとき、再生ポリスチレン系樹脂のみでリサイクル品である押出発泡体を成形することもできるが、望ましくは、バージン材料であるポリスチレン系樹脂と再生ポリスチレン系樹脂とを混合して原料樹脂とすることが好ましい。
ポリスチレン系樹脂押出発泡体の見掛け密度は、軽量性、コストの観点から、50kg/m以下が好ましい。特に発泡体の見掛け密度を30kg/m以下にしようとした場合、小気泡が発生し易くなり、発泡過程において気泡が成長しにくくなるため、見掛け密度30kg/m以下の押出発泡体を製造しにくくなるが、前記ポリアルキレンカーボネート系樹脂を配合することにより、気泡径が大きく、均一化された押出発泡体を容易に得ることが可能となる。一方、該見掛け密度の下限は、機械的強度の観点から20kg/m以上が好ましく、21kg/m以上がより好ましく、22kg/m以上がさらに好ましい。
本発明により得られるポリスチレン系樹脂押出発泡体を建築用断熱材や、土木用途に使用する場合には、該押出発泡体の厚みは10〜150mmが好ましく、より好ましくは20〜100mmである。
機械的強度と断熱性とのバランスを考慮すると、ポリスチレン系樹脂押出発泡体の厚み方向の平均気泡径(D:mm)は0.1〜1mmであることが好ましく、より好ましくは0.2〜0.9mm、さらに好ましくは0.3〜0.8mmである。上記範囲においては、一般に、厚み方向の平均気泡径が大きいほど、ポリスチレン系樹脂押出発泡体は機械的強度に優れたものとなり、断熱性は低下する傾向にある。一方、平均気泡径が上記の範囲において小さい程、機械的強度は低下し、断熱性は向上する傾向にある。さらに、特に圧縮強さなどの機械的強度に優れた押出発泡体とするためには、小さい気泡が少ないほど好ましく、小気泡の発生が抑制された押出発泡体であることが好ましい。
本明細書における平均気泡径とは、次の測定方法により求められる気泡径を意味する。押出発泡体厚み方向の平均気泡径(D:mm)及び押出発泡体押出方向の平均気泡径(D:mm)は、押出発泡体の押出方向垂直断面(押出発泡体の押出方向に平行に、幅方向の中央部で二等分した垂直断面)に存在する個々の気泡に対して、厚み方向及び押出方向に平行な四辺を有し、かつ気泡に外接する長方形の厚み方向の辺の長さ及び押出方向の辺の長さを計測して、それぞれを各気泡の厚み方向の気泡径、押出方向の気泡径を求め、各々の算術平均値を厚み方向の平均気泡径(D)、押出方向の平均気泡径(D)とする。
一方、押出発泡体幅方向の平均気泡径(D:mm)は、押出発泡体の幅方向垂直断面(押出発泡体の押出方向と直交する垂直断面)に存在する個々の気泡に対して、厚み方向及び幅方向に平行な四辺を有し、かつ気泡に外接する長方形の幅方向の辺の長さを計測して、各気泡の幅方向の気泡径を求め、それらの算術平均値を幅方向の平均気泡径(D)とする。また、押出発泡体の水平方向の平均気泡径(D:mm)は、DとDの相加平均値とする。
更に、本発明で得られる押出発泡体においては、気泡変形率が0.7〜2.0であることが好ましい。気泡変形率とは、上記測定方法により求められたDをDで除すことにより算出される値(D/D)であり、該気泡変形率が1よりも小さいほど気泡は扁平であり、1よりも大きいほど縦長である。上記気泡変形率は、0.8〜1.5であることが好ましく、0.8〜1.3であることがより好ましい。気泡変形率が上記範囲内にあることにより、機械的強度に優れ、かつ更に高い断熱性を有する押出発泡体となる。
本発明により得られる押出発泡体は、前記の通り小さすぎる気泡が少なく、小気泡の発生が抑制されて気泡が均一化されていることから、厚み方向の平均気泡径(D)の変動係数は50%以下であることが好ましく、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは35%以下である。
気泡径の変動係数Cv(%)は、厚み方向の個々の気泡径(DTi)の[標準偏差V(mm)/厚み方向の平均気泡径(D:mm)]×100で求められる値であり、気泡径のバラツキ度合いを表す指標である。なお、気泡径の標準偏差(V)は次式(4)により求められる。
V(mm)={Σ(DTi−D/(n−1)}1/2 (4)
式(4)において、DTiは平均気泡径の測定の際に測定した個々の厚み方向の気泡径の測定値を、Dは厚み方向の気泡径平均値を、nは測定数をそれぞれ表す。
変動係数(Cv)は(4)式により求めた標準偏差(V)を用いて、次式(5)によって求められる。
Cv(%)=(V/D)×100 (5)
本発明で得られる押出発泡体の独立気泡率は85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。独立気泡率が高い程、圧縮強さなどの機械的強度に優れた押出発泡体を得ることができる。独立気泡率S(%)は、ASTM−D2856−70の手順Cに従って、空気比較式比重計(例えば、東芝ベックマン(株)製、空気比較式比重計、型式:930型)を使用して測定された押出発泡体の真の体積Vxを用い、下記式(6)により算出される。
測定試料は、押出発泡体において中央部および幅方向両端部付近の計3箇所からカットサンプルを切り出して各々のカットサンプルについて独立気泡率を測定し、3箇所の独立気泡率の算術平均値を押出発泡体の独立気泡率とする。なお、カットサンプルは押出発泡体から縦25mm×横25mm×厚み20mmの大きさに切断された、押出発泡体表皮を有しないサンプルとし、厚みが薄く厚み方向に20mmのサンプルが切り出せない場合には、例えば縦25mm×横25mm×厚み10mmの大きさに切断された試料(カットサンプル)を2枚重ねて測定する。
S(%)=(Vx−W/ρ)×100/(V−W/ρ) (6)
ただし、Vx:上記空気比較式比重計による測定により求められるカットサンプルの真の体積(cm)(押出発泡体のカットサンプルを構成する樹脂の容積と、カットサンプル内の独立気泡部分の気泡全容積との和に相当する。)
:測定に使用されたカットサンプルの外寸法から算出されたカットサンプルの見かけ上の体積(cm
W:測定に使用されたカットサンプル全重量(g)
ρ:押出発泡体を構成する樹脂の密度(g/cm
以下に、実施例により本発明のポリスチレン系樹脂押出発泡体についてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[装置]
内径65mmの第1押出機と内径90mmの第2押出機とが直列に連結されており、発泡剤注入口が第1押出機の終端付近に設けられており、間隙2mm×幅65mmの幅方向断面が長方形の樹脂排出口(ダイリップ)を備えたフラットダイが第2押出機の出口に連結されており、該フラットダイの樹脂出口には、これと平行するように設置された上下一対のポリテトラフルオロエチレン樹脂からなる板により構成された賦形装置(間隔50mm)が付設されている装置を用いた。
[ポリスチレン系樹脂]
ポリスチレン系樹脂としては、以下に示すポリスチレン系樹脂を用いた。
PS1:PSI〔ポリスチレン、PSジャパン製「GX154(MFR(200℃、5kgf)、1.5g/10分)」〕50重量%とPSII〔ポリスチレン、PSジャパン製「680(MFR(200℃、5kgf)7.0g/10分)」〕50重量%との混合樹脂。
[ポリアルキレンカーボネート系樹脂]
ポリアルキレンカーボネート系樹脂として表1のポリアルキレンカーボネート系樹脂を用いた。
Figure 0006211442
[臭素系難燃剤]
表2に示す難燃剤の難燃剤マスターバッチを、ポリスチレン系樹脂に対する難燃剤としての添加量が表3及び4に示す量となるようにポリスチレン系樹脂に添加した。
Figure 0006211442
[気泡調整剤マスターバッチ]
ポリスチレン樹脂をベースレジンとし、タルク(松村産業(株)製、商品名:ハイフィラー#12)60重量%を含有するタルクマスターバッチを用いた。
実施例1〜14、比較例1〜3
表3及び4に示す配合及び配合量となるようにポリスチレン系樹脂、ポリアルキレンカーボネート系樹脂、難燃剤、さらに気泡調整剤0.2重量部を、前記第1押出機に供給し、220℃まで加熱し、これらを溶融、混練し、発泡剤注入口から表4及び5に示す配合組成、量の発泡剤を溶融物に供給してさらに溶融混練し、得られた発泡性樹脂溶融物を、順に第2押出機に供給して樹脂温度を表4及び5に示すような発泡に適した発泡樹脂温度(押出機とダイとの接合部の位置で測定された発泡性樹脂溶融物の温度)に調整した後、吐出量70kg/hrでダイリップからガイダー内に押出し、ガイダー内を通過させることにより板状に成形(賦形)し、厚み50mmのポリスチレン系樹脂押出発泡体を製造した。
なお、表3及び4中のポリアルキレンカーボネート系樹脂及び難燃剤の配合量[重量部]、発泡剤の配合量[重量部]は、ポリスチレン系樹脂100重量部に対する値である。また、表中の発泡剤の「i−Bu」はイソブタン、「HO」は水、「CO」は二酸化炭素、「EtOH」はエタノール、「DME」はジメチルエーテルを意味する。
実施例1〜14及び比較例1〜3で得られた押出発泡体における、厚み方向の平均気泡径(D)、厚み方向の気泡径の変動係数(Cv)、見掛け密度、独立気泡率及び表面状態の物性を表4及び5に示す。
Figure 0006211442
Figure 0006211442
表3及び4に示す押出発泡体の各種物性の測定方法及び評価方法は下記の通りである。
[厚み方向の平均気泡径]
厚み方向の平均気泡径(D)については、前記方法により測定した。すなわち、厚み方向の平均気泡径(D)は、押出発泡体の押出方向に平行に、幅方向の中央部で二等分した垂直断面のサンプルを得て、拡大倍率50倍の拡大写真を得、写真上において、ナノシステム株式会社製の画像処理ソフトNS2K−proを用いて気泡の厚み方向の気泡径を計測した。それを3サンプルについて計測し、それらの値を算術平均することにより求めた。
[変動係数]
変動係数Cvについては、上記で計測した個々の気泡の厚み方向の気泡径から前記方法により求めた。
[見掛け密度]
JIS K7222(2005)に準拠して見掛け密度を測定した。
[独立気泡率]
押出発泡体の幅方向中央部及び両端部付近から、それぞれ25mm×25mm×20mmのサイズの成形表皮を持たないサンプルを切り出し、前記ASTM−D2856−70の手順Cにより各サンプルの独立気泡率を測定し、それらの測定値を算術平均した値を押出発泡板の独立気泡率とした。
[表面状態]
製造した押出発泡体の表面状態を目視により、以下の基準にて評価した。
◎:表面に凹凸や穴あきが見られず、表面平滑性が特に優れた良好なもの
○:表面に穴あきや凹凸がほとんど見られず、表面が平滑であるもの
△:ダイ内部で内部発泡は生じないが、表面に穴あきや凹凸がみられ、表面が平滑でないもの
×:ダイ内部で内部発泡を起こしてしまい、表面に凹凸や穴あきが見られたもの
実施例1〜6では、ポリアルキレンカーボネート系樹脂を配合することにより、厚み方向平均気泡径が0.27〜0.35mmにまで拡大され、また気泡径の変動係数(Cv)も25〜40%と著しく小さくすることができる。また、得られた実施例2〜5の押出発泡体の表面状態は◎と極めて良好であった。
一方、ポリアルキレンカーボネート系樹脂を添加しなかった比較例1の発泡体は、小気泡が発生しており、気泡径がばらついていたため、所望の見掛け密度が得られなかった。また、厚み方向の平均気泡径が0.23mm、気泡径の変動係数(Cv)が72%となり、発泡体の表面状態が△となり表面状態が良好ではなかった。
また、実施例7は水の量を0.83mol/kgに、実施例8〜10は水の量を0.95mol/kgに増量したものであるが、このように水の量を増やしても、気泡径は0.30〜0.37mmに拡大し、また気泡径の変動係数(Cv)も26〜31%と著しく小さくなっており、しかも、表面状態の良好な低密度の押出発泡体が得られている。
これに対して、ポリアルキレンカーボネート系樹脂を添加せず、かつ水の量を0.95mol/kgに増量した比較例2では、ダイ内部で内部発泡を起こしてしまい、表面に凹凸や穴あきが見られ、所望とする押出発泡体を得ることができなかった。
実施例11は、実施例4において、発泡剤を二酸化炭素(CO)からジメチルエーテル(DME)に変更した例であり、DMEを使用した場合にもポリアルキレンカーボネートの気泡拡大効果が得られ、良好な押出発泡体が得られた。実施例12は、発泡剤をイソブタン、水、二酸化炭素、エタノールの4成分にした例であり、発泡剤にエタノールを含む4成分にした場合にも気泡拡大効果が得られ、良好な押出発泡体が得られた。
実施例13は、実施例3の難燃剤を臭素化ブタジエン−スチレン共重合体系に変更したものである。この場合においても、ポリアルキレンカーボネート系樹脂を添加しない比較例3の発泡体に比べ、気泡径が0.15mmから0.32mmに拡大され、また気泡径の変動係数(Cv)も比較例3の56%から25%と著しく小さくなっている。また、実施例13の押出発泡体の表面状態は◎と極めて良好であったのに対して、比較例3のものは△となり表面状態が良好ではなかった。
実施例14は、使用するポリアルキレンカーボネート系樹脂を変更した例であり、分子量の異なるポリアルキレンカーボネート系樹脂であっても平均気泡径が拡大され、また気泡径の変動係数(Cv)も小さくすることができ、得られた押出発泡体の表面状態は◎と極めて良好であった。

Claims (3)

  1. ポリスチレン系樹脂と、炭素数3〜5の飽和炭化水素及び水を含む物理発泡剤と、臭素系難燃剤とを混練してなる発泡性樹脂溶融物を押出して独立気泡率85%以上の押出発泡体を製造する方法において、該発泡性樹脂溶融物に、ポリプロピレンカーボネート系樹脂が配合されていることを特徴とするポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
  2. 前記ポリプロピレンカーボネート系樹脂の配合量がポリスチレン系樹脂100重量部に対して0.01〜5重量部であることを特徴とする請求項1に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
  3. 前記ポリスチレン系樹脂100重量部に対する水の配合量が1.5重量部以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
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