JP5922462B2 - ポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法 - Google Patents

ポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、建築物の壁、床、屋根等の断熱材や畳芯材等に使用されるポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法に関する。
ポリスチレン系樹脂押出発泡板(以下、単に押出発泡板又は発泡板ともいう。)は、優れた断熱性及び機械的強度を有することから、板状に成形された押出発泡板が断熱材をはじめとする建築用材料として広く使用されている。このような押出発泡板は、一般に、押出機中でポリスチレン系樹脂を加熱溶融して溶融物とし、該溶融物に発泡剤を圧入し混練して得られる発泡性樹脂溶融物を、押出機先端に付設されたフラットダイなどから低圧域に押出発泡し、賦形装置(ガイダー)などを通して板状に賦形することにより製造されている。
前記のようなポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造に使用される物理発泡剤としては、従来、ポリスチレン系樹脂に対して難透過性である、ジクロロジフルオロメタン等の塩化フッ化炭化水素(以下、CFCという)、水素原子含有塩化フッ化炭化水素(以下、HCFCという)などのフロン類が使用されてきた。
しかし、前記CFCやHCFCは、オゾン層を破壊するおそれが大きいことから、近年、オゾン層破壊係数が0(ゼロ)であり、分子中に塩素原子を持たないフッ化炭化水素(以下、HFCという)が発泡剤として使用されている。
しかし、このHFCは地球温暖化係数が大きいため、地球環境保護という観点からは、課題を残すものである。そこで、オゾン破壊係数が0(ゼロ)であるとともに、地球温暖化係数も小さい、環境にやさしい発泡剤として、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタンなどの脂肪族炭化水素やシクロペンタンなどの脂環式炭化水素(以下、これらをHCという)が用いられるようになってきている。
また、前記CFC、HCFCは、ポリスチレン系樹脂に対する透過速度が遅いことから、該CFC、HCFCを発泡剤として用いて製造された発泡板の寸法は経時とともに徐々に変化してしまう。この問題を解決するために、ポリスチレン系樹脂に対して透過性の高い、塩化メチルなどのハロゲン化炭化水素を発泡剤として併用し、押出発泡板の寸法を早期に安定させることが行なわれてきた。しかし、前記塩化メチルなどのハロゲン化炭化水素は、分子中に塩素原子を含むことから腐食性を有し、押出機の老朽化を促進するおそれがある。更に、可燃性のガスであることから製造時に静電着火するおそれがあるので、工業的な生産性の観点からは課題を残す発泡剤であった。
このような背景から、環境にやさしく、製造時の生産性が良好な発泡剤を使用してポリスチレン系樹脂押出発泡板を製造することが望まれている。
例えば、特許文献1には、発泡剤として環境上好ましくないフロン類や塩化アルキル等のハロゲン系化合物の代わりに、イソブタン、シクロペンタン、二酸化炭素等の発泡剤を用いて、質量平均分子量(Mw)が100,000≦Mw≦180,000のポリスチレン系樹脂に、Mwが195,000≦Mw≦350,000のポリスチレン系樹脂を5質量%以上混合する技術が開示されている。
また、特許文献2には、超高分子量成分を含むポリスチレン樹脂を使用し、発泡剤として二酸化炭素と、イソブタンと、他の物理発泡剤とを併用して押出発泡させることにより、高発泡倍率(低見掛け密度)で大きな断面積を有し、厚みの厚いポリスチレン系樹脂押出発泡板を得る技術が開示されている。
特開2005−23249号公報 特開2006−321985号公報
しかし、特許文献1に記載の方法は、さらに低い見掛け密度(高い発泡倍率)のポリスチレン系樹脂押出発泡板を安定して得るためには課題を残すものであった。具体的には、低い見掛け密度の押出発泡板を得るために、発泡剤であるイソブタンなどの炭化水素の添加量を増加させると、押出発泡板の難燃性が低下したり、押出発泡板の製造時に静電着火しやすくなるという問題があった。一方、発泡剤である二酸化炭素の添加量を増加させると、二酸化炭素はポリスチレン系樹脂に対する相溶性が低いことから、押出機出口内部で発泡が始まり(以下、内部発泡ということがある)、得られる押出発泡板の外観が悪くなるという問題があった。
また、特許文献2に記載の方法は、超高分子量成分の熱分解を抑えるために熱安定剤等を添加する必要があるなど、生産性において未だ課題を残すものであった。
そこで、本発明者等は、従来よりも見掛け密度の低い(高発泡倍率の)ポリスチレン系樹脂押出発泡板を安定して得るために、物理発泡剤として高い発泡能力を有する水を用いることにより見掛け密度を低くすることを試みた。しかしながら、物理発泡剤として水を添加すると、見掛け密度が低い押出発泡板を得ることはできるが、得られる押出発泡板の表面に発泡性樹脂溶融物から水が分離することに起因する、局所的に大きく凹んだ部分(以下、スポット孔ということがある)が発生し、ポリスチレン系樹脂押出発泡板の外観が悪くなるという新たな問題が生じた。
また、発泡剤として二酸化炭素を用いた場合には、二酸化炭素の樹脂への可塑化効果が小さいことから、樹脂溶融物がせん断発熱し易く、高い独立気泡率の発泡板を得ることができる製造条件が狭くなるので製造が容易でないという、製造上の課題も残していた。
本発明は、前記従来の問題点に鑑み、炭素数3〜5の飽和炭化水素と二酸化炭素と水とを組合わせた、環境にやさしい物理発泡剤を使用することにより、建材用途に使用可能な、見掛け密度が低く、外観の良好なポリスチレン系樹脂押出発泡板を安定して得ることができる製造方法を提供することを、その課題とするものである。
本発明によれば、以下に示すポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法が提供される。
[1] ポリスチレン系樹脂(I)と物理発泡剤とを含有する発泡性樹脂溶融物を押出発泡して得られる、ポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法において、
該ポリスチレン系樹脂(I)が、絶対質量平均分子量1.0×10以上2.9×10未満のポリスチレン系樹脂(PSL):30〜60重量%と、絶対質量平均分子量2.9×10以上4.5×10以下のポリスチレン系樹脂(PSM):20〜55重量%と、絶対質量平均分子量4.5×10超9.0×10以下のポリスチレン系樹脂(PSH):3〜30重量%との混合樹脂からなり(但し、PSLとPSMとPSHとの配合割合の合計は100重量%である)、
該ポリスチレン系樹脂(PSH)の絶対Z平均分子量(MzA)とリニア換算Z平均分子量(MzL)との比(MzA/MzL)が1.5以上であり、
該物理発泡剤として、炭素数3〜5の飽和炭化水素と二酸化炭素と水とを用いると共に、該水の配合量がポリスチレン系樹脂(I)1kg当り0.05モル以上であることを特徴とするポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法。
[2] 前記物理発泡剤が、30〜70モル%の炭素数3〜5の飽和炭化水素と、10〜50モル%の二酸化炭素と、10〜50モル%の水とからなる(但し、炭素数3〜5の飽和炭化水素と二酸化炭素と水の配合割合の合計は100モル%である)ことを特徴とする上記[1]に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法。
本発明の製造方法においては、特定の物理発泡剤と特定のポリスチレン系樹脂(I)とを用いるという同一の構成により、下記の二つ種類の効果を得ることができる。
本発明の製造方法による第一の効果は、水を含有する物理発泡剤の分散性を改善することが可能となり、発泡板表面のスポット孔の形成を防ぎ、表面凹凸などの表面荒れのない外観の良好な、見掛け密度が低いポリスチレン系樹脂押出発泡板を安定して得ることが可能となるという効果である。
また、第二の効果は、表面凹凸のない外観の良好な、高い独立気泡率を有するポリスチレン系樹脂押出発泡板が得られる製造条件、特に、押出発泡可能な押出樹脂温度範囲を広げることが可能となり、より容易に目的の押出発泡板を得ることが可能となるという効果である。
〔1〕以下、前記第一の効果が得られる、本発明の第一の態様について説明する。
第一の態様においては、特定の3種類のポリスチレン系樹脂を含有する混合樹脂であるポリスチレン系樹脂(I)と、必要に応じて添加される難燃剤や添加剤とを押出機に供給して加熱溶融させて樹脂溶融物とし、これに、物理発泡剤として炭素数3〜5の飽和炭化水素と二酸化炭素と水とを添加して混練して得られる発泡性樹脂溶融物を、樹脂排出口を有するダイを通して押出発泡し、続いて賦形装置を通して板状に賦形することによってポリスチレン系樹脂押出発泡板が製造される。
なお、本発明の製造方法における第一の効果は、見掛け密度の低い押出発泡板を得る場合において、特に顕著に現れる。即ち、見掛け密度の低い押出発泡板を得ようとすると、発泡剤として水を多く添加する必要があることから、発泡性樹脂溶融物中の水の分散性が低下し、発泡板の表面にスポット孔が形成されやすくなる。しかし、前記構成により、発泡性樹脂溶融物中の水の分散性が改善され、樹脂溶融物から水が分離し難くなることから、スポット孔の形成が効果的に防止される。前記観点から、押出発泡板の見掛け密度は、32kg/m以下であることが好ましく、20kg/m以上32kg/m以下であることがより好ましい。
前記ポリスチレン系樹脂としては、例えばスチレンホモポリマーや、スチレンを主成分とするスチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ポリフェニレンエーテル共重合体、耐衝撃性ポリスチレン等が挙げられる。上記スチレン系共重合体におけるスチレン成分含有量は好ましくは70重量%以上である。
なお、本発明の目的、作用、効果が達成される範囲内において、ポリスチレン系樹脂にその他の重合体を混合してもよい。その他の重合体としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体水添物、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体水添物、スチレン−エチレン共重合体等が挙げられ、これらその他の重合体は、ポリスチレン系樹脂中で50重量%未満となるように、好ましくは30重量%未満となるように、特に好ましくは0〜10重量%となるように、混合することができる。
ポリスチレン系樹脂(I)は、下記(i)〜(iii)の3種類のポリスチレン系樹脂を含有する混合樹脂である。
(i)絶対質量平均分子量(MwA)が1.0×10以上2.9×10未満のポリスチレン系樹脂(PSL)
(ii)絶対質量平均分子量(MwA)が2.9×10以上4.5×10以下のポリスチレン系樹脂(PSM)
(iii)絶対質量平均分子量(MwA)が4.5×10超9.0×10以下のポリスチレン系樹脂(PSH)
前記(i)〜(iii)の3種類のポリスチレン系樹脂を特定量混合した混合樹脂を用いることにより、より見掛け密度の低い押出発泡板を得るために水を多量に含有する物理発泡剤を用いた場合であっても、樹脂溶融物中に水を微分散させことができるので、押出発泡板の表面に形成されるスポット孔や表面凹凸などの発生を防いで、押出発泡板の外観の悪化を防ぎつつ、見掛け密度の低い押出発泡板を安定して得ることが可能となる(第一の効果)。
ポリスチレン系樹脂(i)〜(iii)の配合割合は、ポリスチレン系樹脂(PSL):30〜60重量%、ポリスチレン系樹脂(PSM):20〜55重量%、ポリスチレン系樹脂(PSH):3〜30重量%である(但し、PSLとPSMとPSHとの配合割合の合計は100重量%である)。
なお、ポリスチレン系樹脂(I)としては、前記(i)〜(iii)のポリスチレン系樹脂が予め混合されている混合樹脂を用いてもよく、また、前記(i)〜(iii)のポリスチレン系樹脂を押出機に供給して押出機中で加熱混合して混合樹脂とすることもできる。
次に、ポリスチレン系樹脂PSL、PSM、PSHのそれぞれについて順に詳しく説明する。
ポリスチレン系樹脂(I)には、絶対質量平均分子量(MwA)が4.5×10超9.0×10以下のポリスチレン系樹脂(PSH)が配合される。
ポリスチレン系樹脂(PSH)が配合されることにより、物理発泡剤を多量に樹脂溶融物に添加した場合であっても、発泡性樹脂溶融物が過度に可塑化されることによる、ダイリップ付近での圧力低下を防止して、見掛け密度の低い押出発泡板を得ることが可能となる。また、ポリスチレン系樹脂(PSH)が配合されることにより、押出発泡時の樹脂溶融物の溶融張力を高く維持することが可能となるので、押出発泡時に気泡が破泡し難くなり、見掛け密度が低く(高発泡倍率)、表面外観が美麗なポリスチレン系樹脂押出発泡板を得ることが容易となる。かかる観点から、ポリスチレン系樹脂(PSH)の絶対質量平均分子量(MwA)は、5.0×10〜8.0×10であることが好ましい。
ポリスチレン系樹脂(PSH)の配合割合は、ポリスチレン系樹脂(I)全体の配合割合を100重量%として、3〜30重量%である。
ポリスチレン系樹脂(PSH)の配合量が少なすぎる場合には、樹脂溶融物が発泡剤により可塑化された際に、押出発泡に適するダイ圧を保持することが困難となる。また、押出発泡時に気泡が破泡して、得られる押出発泡板の外観が低下して表面荒れが生じるおそれがある。一方、ポリスチレン系樹脂(PSH)の配合量が多すぎる場合には、樹脂溶融物の流動性が低下して、押出発泡時の押出安定性が低下するおそれがあり、生産コストも高くなる。
前記観点から、ポリスチレン系樹脂(PSH)の配合量の下限は、ポリスチレン系樹脂(I)100重量%中、4重量%であることが好ましく、5重量%がより好ましい。一方、ポリスチレン系樹脂(PSH)の配合量の上限は、ポリスチレン系樹脂(I)100重量%中、25重量%であることが好ましく、20重量%がより好ましい。
ポリスチレン系樹脂(PSH)の絶対Z平均分子量(MzA)は、15×10〜50×10が好ましく、20×10〜40×10がより好ましい。
また、絶対質量平均分子量(MwA)と絶対数平均分子量(MnA)の比(MwA/MnA)は、2〜7が好ましく、3〜6がより好ましい。
前記絶対質量平均分子量(MwA)とは、GPC/RALLS法により求められる平均分子量であり、例えば、GPC仕様高速液体クロマトグラフ((株)ジーエルサイエンス製)を用い、カラムとして、Shodex GPC KF−806、KF−805、KF−803(昭和電工(株)製)を直列に接続したものを使用し、紫外分光光度計UV702((株)ジーエルサイエンス製)の検出器を用いた装置によって測定することができる。また、前記装置を用いることにより、絶対数平均分子量(MnA)、絶対Z平均分子量(MzA)も同様にして測定することができる。
さらに、ポリスチレン系樹脂(PSH)において、絶対Z平均分子量(MzA)とリニア換算Z平均分子量(MzL)との比(MzA/MzL)は、1.5以上であることを要する。該比(MzA/MzL)が前記範囲内であることは、ポリスチレン系樹脂(PSH)中の直鎖に対して多数の分岐を有する構造のポリマーであることを意味する。この分岐構造による分子鎖の絡まりあいにより、アンカー作用を生じ、該比(MzA/MzL)が前記範囲を満足するポリスチレン系樹脂(PSH)は、高い溶融張力を有するにもかかわらず比較的低粘度の溶融物性を有するものとなると考えられる。その結果、良好な押出安定性が発現し、更に押出発泡時には気泡が破泡し難くなり、目的とする低い見掛け密度の押出発泡板を容易に得ることができる。上記観点から、該比(MzA/MzL)は、2.0〜5.0が好ましく、2.2〜4.0が更に好ましい。

なお、前記ポリスチレン系樹脂(PSH)のリニア換算質量平均分子量(MwL)は、3.5×10〜5.0×10が好ましく、3.9×10〜4.5×10がより好ましい。
また、ポリスチレン系樹脂(PSH)のリニア換算Z平均分子量(MzL)は9.0×10〜15×10が好ましく、9.5×10〜14×10がより好ましい。
また、リニア換算質量平均分子量(MwL)とリニア換算数平均分子量(MnL)の比(MwL/MnL)は、3.5〜7.0が好ましく、4.0〜6.0がより好ましい。
前記リニア換算の平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーション・クロマトグラフィー)法により、標準ポリスチレンを用いて作成した標準校正曲線からの換算値により求めたものである。
前記特定の分子量を有するポリスチレン系樹脂(PSH)としては、例えば、分岐構造を有するマクロモノマーを用いて重合することにより得られた、DIC社製EXP1002などの、分子中に特殊な分岐構造が導入されたポリスチレン系樹脂が挙げられる。
なお、ポリスチレン系樹脂(PSH)は、その分岐構造によって高い溶融張力を有するが、前記ポリスチレン系樹脂(i)〜(iii)を混合した場合に、混合樹脂の粘度を極端に上昇させない特性がある。即ち、ポリスチレン系樹脂(PSH)を用いると、押出機中でポリスチレン系樹脂(I)がせん断発熱することなく、押出発泡温度での樹脂溶融物全体の溶融張力を従来よりも高く維持することができるので、物理発泡剤を多量に添加し、混合樹脂溶融物が可塑化された場合であっても、押出発泡時に気泡が破泡し難くなる。
ポリスチレン系樹脂(PSH)の分岐度は、1.3以上であることが好ましい。該分岐度がこの範囲内であると、温度に対する溶融張力の変化が起こり難くなり、押出発泡温度での樹脂溶融物の溶融張力を、従来より高く維持することが可能となる。従って、物理発泡剤を多量に添加して混合樹脂溶融物が可塑化された場合であっても、押出発泡時に気泡が破泡し難くなることから、安定した製品を作ることが容易となる。
前記観点から、ポリスチレン系樹脂(PSH)の分岐度は、1.5以上であることが好ましく、2.0以上が更に好ましく、3.0以上が特に好ましい。なお、その上限は概ね10である。
前記分岐度は、GPC−RALLS法により測定される。例えば、GPC仕様高速液体クロマトグラフ装置((株)ジーエルサイエンス製、カラム:ShodexGPC KF−806,KF−805,KF−803(昭和電工(株)製)を直列に接続)と、屈折検出器(RI(示差屈折率検出器)ShodexRI−101、昭和電工(株)製)、光散乱検出器(RALLS90°光散乱検出器、TDA Model270(Viscotek社製))、及び粘度検出器(Visc差圧粘度検出器)の3つの異なる検出器を組み合せた装置を用いることにより測定することができる。
ポリスチレン系樹脂(PSH)の200℃における溶融張力MT(200)は15cN以上が好ましい。溶融張力が前記範囲内であれば、押出発泡時に気泡が破泡し難く、外観が良好で、見掛け密度が低い押出発泡板をより容易に得ることが可能となる。
かかる観点から、該溶融張力(200℃)は、より好ましくは25cN以上、更に好ましくは30cN以上である。なお、その上限は、概ね60cNである。
また、ポリスチレン系樹脂(PSH)の220℃における溶融張力MT(220)は15cN以上が好ましい。該溶融張力MT(220)は、より好ましくは20cN以上、更に好ましくは25cN以上、30cN以上、特に好ましくは35cN以上である。なお、その上限は、概ね60cNである。
更に、ポリスチレン系樹脂(PSH)は、温度変化による溶融張力の変動が小さいことが好ましい。具体的には、200℃における溶融張力MT(200)に対する220℃における溶融張力MT(220)の比(MT(220)/MT(200))が0.4以上であることが好ましい。該比(MT(220)/MT(200))が前記範囲内であれば、溶融張力の温度に対する変化が緩やかであり、押出発泡時に樹脂温度を高くした場合であっても気泡が破泡し難くなり、より広い温度範囲で、外観が良好で、見掛け密度が低い押出発泡板を安定して得ることが可能となる。かかる観点から、該比(MT(220)/MT(200))は、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.7以上、特に好ましくは0.8以上である。
前記溶融張力(MT)は、ASTM D1238に準じて測定された値であり、例えば、(株)東洋精機製作所製のキャピログラフ1Dによって測定することができる。
前記ポリスチレン系樹脂(I)には、絶対質量平均分子量(MwA)が2.9×10以上4.5×10以下のポリスチレン系樹脂(PSM)が、配合される。
ポリスチレン系樹脂(PSM)を配合することにより、ポリスチレン系樹脂(PSH)と後述のポリスチレン系樹脂(PSL)との樹脂混合物の混練性が向上するので、混合樹脂溶融物中に効率よく水を微分散させることが可能となる。その結果、押出発泡時に発泡性樹脂溶融物中での水の分離が起こり難くなり、押出発泡板の表面におけるスポット孔の発生が防止されると共に、見掛け密度の低い押出発泡板を容易に得ることが可能となる。かかる観点から、ポリスチレン系樹脂(PSM)の絶対質量平均分子量(MwA)は、2.9×10以上4.0×10以下が好ましい。
ポリスチレン系樹脂(PSM)の配合割合は、前記ポリスチレン系樹脂(I)100重量%中、20〜50重量%である。
ポリスチレン系樹脂(PSM)の配合量が少なすぎる場合には、樹脂溶融物中に水が微分散し難くなり、樹脂溶融物中の水が分離して、押出発泡板にスポット孔が形成されるおそれがある。一方、ポリスチレン系樹脂(PSM)の配合量が多すぎる場合には、ポリスチレン樹脂に配合される他成分(PSH、PSL)の配合量が少なくなり、ポリスチレン系樹脂(PSH)による気泡形状の維持効果が低下したり、ポリスチレン系樹脂(PSL)による流動性の向上効果が低下したりするおそれがある。かかる観点から、ポリスチレン系樹脂(PSM)の好ましい配合量は、ポリスチレン系樹脂(I)100重量%中に23〜47重量%であり、さらに好ましくは25〜45重量%である。
また、ポリスチレン系樹脂(PSM)のメルトフローレートは1〜10g/10分(200℃)であることが好ましく、1.2〜8g/10分がより好ましい。前記範囲内であれば、ポリスチレン系樹脂(PSH)とポリスチレン系樹脂(PSL)とを溶融混練させることがより容易になる。
さらに、ポリスチレン系樹脂(I)には、絶対質量平均分子量(MwA)が1.0×10以上2.9×10未満のポリスチレン系樹脂(PSL)が、配合される。
絶対質量平均分子量(MwA)が1.0×10以上2.9×10未満の、低分子量のポリスチレン系樹脂(PSL)を配合することにより、樹脂溶融物の流動性が向上し、押出発泡に適した樹脂溶融物とすることが容易になる。かかる観点から、ポリスチレン系樹脂(PSL)の絶対質量平均分子量(MwA)は1.5×10以上2.8×10以下が好ましい。
ポリスチレン系樹脂(PSL)の配合割合は、ポリスチレン系樹脂(I)100重量%中、30〜60重量%である。
ポリスチレン系樹脂(PSL)の配合量が少なすぎる場合には、樹脂溶融物の流動性が低下することから樹脂溶融物が押出機内でせん断発熱して、押出安定性が低下して、良好な押出発泡体が得られないおそれがある。
一方、ポリスチレン系樹脂(PSL)の配合量が多すぎる場合には、分子量が低いポリスチレン系樹脂の配合量が多くなることに起因して、発泡に適するダイ圧を保持することが困難となり、ダイ内で内部発泡が起きて表面荒れが生じ、良好な押出発泡板が得られないおそれがある。かかる観点から、ポリスチレン系樹脂(PSL)の好ましい配合量は、ポリスチレン系樹脂(I)100重量%中に35〜55重量%である。
なお、ポリスチレン系樹脂(I)として、前記のポリスチレン系樹脂(PSH)と(PSM)と(PSL)とを組み合せることにより、後述の特定の発泡剤組成と相まって、押出発泡に必要なダイ圧の保持と樹脂溶融物の流動性とのバランスを保つことが可能となるので、物理発泡剤量を多くしても樹脂溶融物の可塑化による内部発泡を防止することが容易となる。その結果、外観が良好で、見掛け密度が低い押出発泡板をより容易に得ることができる(第一の効果)。
次に、前記物理発泡剤について説明する。該物理発泡剤としては、炭素数3〜5の飽和炭化水素、二酸化炭素、及び水が用いられる。これらの物理発泡剤を混合して用いることにより環境負荷の低減が可能となると共に、従来よりも見掛け密度が低く、外観の良好な押出発泡板を得ることが可能となる。
該物理発泡剤の好ましい配合割合は、炭素数3〜5の飽和炭化水素が30〜70モル%、二酸化炭素が10〜50モル%、水が10〜50モル%である(但し、これらの配合割合の合計は100モル%である)。次に、炭素数3〜5の飽和炭化水素、二酸化炭素、及び水のそれぞれについて、詳細に説明する。
前記物理発泡剤中の炭素数3〜5の飽和炭化水素としては、炭素数3のプロパン、炭素数4のn−ブタン、イソブタン(2−メチルプロパン)、炭素数5のn−ペンタン、イソペンタン(2−メチルブタン)、ネオペンタン(2,2−ジメチルプロパン)、シクロペンタン等が挙げられる。なお、これらの発泡剤は、単独でまたは2種以上を併用することもできる。これらの中では、特にイソブタンが好ましい。
炭素数3〜5の飽和炭化水素は、ポリスチレン系樹脂に対する透過速度が空気より遅く、空気よりも熱伝導率が低いので、得られる押出発泡板は良好な断熱性を有するものとなる。また、炭素数3〜5の飽和炭化水素は、ポリスチレン系樹脂に対する溶解性が、炭素数3〜5の飽和炭化水素、二酸化炭素、及び水の中では最も高く、ポリスチレン系樹脂を可塑化するため、前記ポリスチレン系樹脂(PSH、PSM、PSL)の配合割合等とも関連して、発泡性樹脂溶融物の溶融粘弾性を発泡適性の良好な範囲に調整することができる。従って、該飽和炭化水素を用いると、低い見掛け密度の押出発泡板を比較的容易に得ることができる。
炭素数3〜5の飽和炭化水素の配合割合は、発泡剤100モル%中、30〜70モル%が好ましい。該飽和炭化水素の配合割合が少なすぎると、断熱性が低下したり、押出安定性が低下するおそれがある。一方、該配合割合が多すぎると発泡板の難燃性が低下したり、発泡板製造時に着火の危険性が増加するおそれがある。かかる観点から、炭素数3〜5の飽和炭化水素の配合量は、物理発泡剤全体の配合割合を100モル%として、30〜60モル%がより好ましい。
前記物理発泡剤中の二酸化炭素は、得られる押出発泡板の難燃性を阻害せずに、見掛け密度をより低くすることができると共に、ポリスチレン系樹脂に対するガス透過性が高いため押出発泡板から早期に逸散するので発泡板の寸法安定性、断熱性能及び難燃性能を早期に安定化させることができる。
但し、二酸化炭素はポリスチレン系樹脂に対する相溶性が低いので、配合量に限界があり、より見掛け密度の低い押出発泡板を得るために必要な量の二酸化炭素を配合することができないという問題がある。
二酸化炭素の好ましい配合割合は、物理発泡剤100モル%中、10〜50モル%が好ましい。二酸化炭素の配合割合が多すぎる場合には、ダイ内で内部発泡が起こり、得られる押出発泡板の外観が悪化するおそれがある。
一方、二酸化炭素の配合割合が少なすぎると、得られる押出発泡板の寸法安定性が低下すると共に、所望される見掛け密度の低い押出発泡板を安定して得ることが困難となる。
前記観点から、二酸化炭素の配合割合は、物理発泡剤の全量を100モル%として、15〜40モル%が更に好ましい。
また、前記物理発泡剤中の水は、分子量が小さく、発泡効率が高いことから、見掛け密度の低い押出発泡板を得ようとした場合、二酸化炭素の注入量が限界を超えることによる不足分を補って、押出発泡板の見掛け密度を低くすることが可能となる。
水の配合量は、ポリスチレン系樹脂(I)1kg当り、0.05モル以上である。また、水の好ましい配合割合は、物理発泡剤100モル%中、10〜50モル%である。なお、水の配合量が少なすぎる場合には、見掛け密度の低減効果(発泡倍率の向上効果)が得られないおそれがある。一方、水の配合量が多すぎる場合には、樹脂溶融物と添加した水とが分離して、得られる押出発泡板の表面にスポット孔が形成されるおそれがある。
かかる観点から、水の配合量は、前記ポリスチレン系樹脂(I)1kg当り、0.1〜0.8モルが好ましい。また、水の配合割合は、物理発泡剤の全量を100モル%として、20〜45モル%が更に好ましい。
本発明の製造方法においては、ポリスチレン系樹脂(I)に難燃剤を添加することにより、得られる押出発泡板を難燃化することが好ましい。該難燃剤としては、臭素系難燃剤が好ましく使用される。
臭素系難燃剤としては、例えば、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2−ブロモエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(アリルエーテル)、テトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール−F−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール−F−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールS−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール−S−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモシクロオクタン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート、トリブロモフェノール、デカブロモジフェニルオキサイド、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、N,2−3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミド、ペンタブロモトルエン、臭素化ポリスチレン、臭素化エポキシ樹脂、ポリスチレンーブタジエン臭素化物、臭素化ビスフェノールエーテル誘導体などが挙げられる。これらの化合物は単独又は2種以上を混合して使用できる。
前記難燃剤の添加量は、ポリスチレン系樹脂(I)100重量部当たり少なくとも2重量部以上であることが好ましい。該添加量の上限は、押出発泡時における気泡の形成を阻害しないと共に機械的物性の低下を抑制するという観点から概ね10重量部である。なお、該添加量は3〜9重量部がより好ましく、3〜8重量部が更に好ましい。
本発明の製造方法においては、さらに、押出発泡板の難燃性をさらに向上させることを目的として、難燃助剤を前記難燃剤と併用して使用することができる。難燃助剤としては、例えば2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、2,3−ジエチル−2,3−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、3,4−ジエチル−3,4−ジフェニルヘキサン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、2,4−ジフェニル−4−エチル−1−ペンテン等のジフェニルアルカンやジフェニルアルケン、ポリ−1,4−ジイソプロピルベンゼン等のポリアルキル化芳香族化合物、トリフェニルホスフェート、クレジルジ2,6−キシレニルホスフェート、三酸化アンチモン、五酸化二アンチモン、硫酸アンモニウム、すず酸亜鉛、シアヌル酸、イソシアヌル酸、トリアリルイソシアヌレート、メラミンシアヌレート、メラミン、メラム、メレム等の窒素含有環状化合物、シリコーン系化合物、酸化ホウ素、ホウ酸亜鉛、硫化亜鉛などの無機化合物、赤リン系、ポリリン酸アンモニウム、フォスファゼン、次亜リン酸塩等のリン系化合物等が挙げられる。これらの化合物は単独又は2種以上を混合して使用できる。
また、押出発泡板中に断熱性向上剤を添加してさらに断熱性を向上することができる。断熱性向上剤としては、例えば、酸化チタン等の金属酸化物、アルミ等の金属、セラミック、カーボンブラック、黒鉛等の微粉末、赤外線遮蔽顔料、ハイドロタルサイトなどが例示される。これらは1種又は2種以上を使用することができる。断熱性向上剤の添加量はポリスチレン系樹脂(I)100重量部に対し、0.5〜5重量部が好ましく、より好ましくは1〜4重量部の範囲で使用される。
また、前記ポリスチレン系樹脂(I)に、必要に応じて、気泡調整剤、顔料、染料等の着色剤、熱安定剤、アゾジカルボジアミド等の従来公知の化学発泡剤、その他充填剤等の各種の添加剤を適宜添加することができる。前記気泡調整剤として、例えば、タルク、カオリン、マイカ、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、クレー、ベントナイト、ケイソウ土等の無機物粉末;などを用いることができる。なかでも難燃性を阻害することがなく気泡径を調整することが容易であるタルクが好適である。特にJIS Z8901(2006)に規定される粒径が0.1〜20μmの大きさのタルクが好ましく、粒径が0.5〜15μmであることがより好ましい。気泡調整剤の添加量は、該気泡調整剤の種類、目的とする気泡径等によって異なるが、タルクを使用する場合はポリスチレン系樹脂(I)100重量部に対し、0.01〜8重量部が好ましく、0.5〜5重量部がさらに好ましく、1〜4重量部が特に好ましい。
なお、気泡調整剤や前記の添加剤は、ポリスチレン系樹脂をベースレジンとするマスターバッチを調製して添加することが添加剤等の分散性の点から好ましい。気泡調製剤のマスターバッチの調製は、例えば、気泡調整剤としてタルクを使用した場合、ポリスチレン系樹脂に対してタルクの含有量が20〜80重量%となるように調製されることが好ましく、30〜70重量%がより好ましい。
なお、本発明の製造方法における第一の態様により得られる押出発泡板の厚みは、10〜100mmが好ましい。さらに、建築用断熱材として使用する観点からは、該厚みは20〜90mmが好ましい。該方法によれば、厚みの厚い押出発泡板を得るために、押出機出口のダイの間隙を広くしても、押出機内部の圧力を十分に保つことが可能であり、良好な押出発泡板が得られる。
また、該押出発泡板の厚み方向の平均気泡径は0.05〜1.0mmが好ましい。該厚み方向平均気泡径が前記範囲内であれば、公知の賦形装置を使用して板状に成形し、目的とする断熱性を得ることが容易となる。かかる観点から、押出発泡板の厚み方向の平均気泡径は、0.06〜0.8mmが好ましく、0.08〜0.5mmがより好ましい。なお、厚み方向の平均気泡径は、例えば、気泡調整剤の添加量により調整することができる。
また、該押出発泡板においては、気泡変形率(厚み方向の平均気泡径/水平方向の平均気泡径)は0.7〜1.2であることが好ましい。該気泡変形率が小さいほど気泡は偏平となり、大きいほど縦長となる傾向がある。前記範囲内であれば、気泡が偏平になりすぎて厚み方向の圧縮強度が低下することがなく、また、厚み方向の平均気泡径が大きくなり厚み方向における気泡数が少なくなって断熱性が低下してしまうことなく、良好な押出発泡板となる。かかる観点から、該気泡変形率は、0.80〜1.15がより好ましく、0.85〜1.10が更に好ましい。
なお、該押出発泡板は、特公平5−49701号公報に記載されるような大気泡と小気泡を混在するものではなく、全体として実質的に均一な大きさの気泡構造を有するものであることが好ましい。全体として実質的に均一な大きさの気泡構造を有する押出発泡板は、機械的物性が均一なものとなる。
また、該押出発泡板においては、独立気泡率は80%以上であることが好ましい。本発明により押出発泡時の破泡が防止されることから、独立気泡率の高い発泡板を得ることが容易となる。独立気泡率が高いほど断熱性能が向上することから、押出発泡板の独立気泡率は、85%以上がより好ましく、90%以上が更に好ましい。
該押出発泡板においては、熱伝導率が0.040W/(m・K)以下であることが好ましい。上記範囲の熱伝導率を有する押出発泡板は建材用の断熱板として好適なものとなる。かかる観点から、押出発泡板の熱伝導率は、0.035W/m・K以下がより好ましく、0.028W/(m・K)以下が更に好ましい。また、その下限は、概ね0.022W/(m・K)である。
尚、該熱伝導率は、JIS A 1412(1994)記載の平板熱流計法(熱流計2枚方式、平均温度20℃、高温面35℃、低温面5℃)にて測定された値である。
〔2〕以下、ポリスチレン系樹脂押出発泡板の第二の効果が得られる、本発明の第二の態様について詳細に説明する。
第二の態様においても、特定の3種類のポリスチレン系樹脂を含有する混合樹脂からなるポリスチレン系樹脂(I)と、必要に応じて添加される難燃剤や添加剤とを押出機に供給して加熱溶融させて樹脂溶融物とし、これに、物理発泡剤として炭素数3〜5の飽和炭化水素と二酸化炭素と水とを添加して混練して得られる発泡性樹脂溶融物を、樹脂排出口を有するダイを通して押出発泡し、賦形装置を通して板状に賦形することによってポリスチレン系樹脂押出発泡板が製造される。該ダイや賦形装置等の装置や押出発泡板の製造方法については従来公知の知見を用いることができる。
なお、本発明方法における第二の効果は、見掛け密度が比較的高い押出発泡板を得る場合において特に顕著に現れ、表面凹凸のない、独立気泡率の高い押出発泡板を得ることができる製造条件、特に押出樹脂温度範囲を広げることが可能となり、従来よりも容易に押出発泡板を得ることが可能となる。なお、第二の効果は、物理発泡剤を多量に添加しないことにより、樹脂の可塑化効果が少ない場合に、特に顕著に現れ、押出発泡板の見掛け密度が35kg/m超である場合に発現しやすく、35kg/m超50kg/mの場合により発現しやすい。
本発明の製造方法において、第二の効果を得る場合、前記ポリスチレン系樹脂(I)として、前記〔1〕と同様のものが使用される。
ポリスチレン系樹脂(I)は、下記(i)〜(iii)の3種類のポリスチレン系樹脂を含有する混合樹脂である。
(i)絶対質量平均分子量(MwA)が1.0×10以上2.9×10未満のポリスチレン系樹脂(PSL)
(ii)絶対質量平均分子量(MwA)が2.9×10以上4.5×10以下のポリスチレン系樹脂(PSM)
(iii)絶対質量平均分子量(MwA)が4.5×10超9.0×10以下のポリスチレン系樹脂(PSH)
前記(i)〜(iii)の3種類のポリスチレン系樹脂を特定量混合した混合樹脂を用いることにより、押出発泡に適正な押出樹脂温度の温度範囲を広げることが可能となり、より容易に目的の押出発泡板を得ることが可能となる。
ポリスチレン系樹脂(i)〜(iii)の配合割合は、ポリスチレン系樹脂(PSL):30〜60重量%、ポリスチレン系樹脂(PSM):20〜55重量%、ポリスチレン系樹脂(PSH):3〜30重量%である(但し、PSLとPSMとPSHとの配合割合の合計は100重量%である)。
なお、前記〔1〕と同様に、前記(i)〜(iii)のポリスチレン系樹脂が予め混合されている混合樹脂を用いてもよく、また、前記(i)〜(iii)のポリスチレン系樹脂を押出機に別々に供給して押出機中で加熱混合して混合樹脂とすることもできる。
次に、ポリスチレン系樹脂PSL、PSM、PSHのそれぞれについて順に詳しく説明する。
ポリスチレン系樹脂(I)には、絶対質量平均分子量(MwA)が4.5×10超9.0×10以下のポリスチレン系樹脂(PSH)が、配合される。
ポリスチレン系樹脂(PSH)が配合されることにより、押出発泡時の樹脂溶融物の溶融張力を高く維持することができ、押出発泡時に気泡が破泡し難くなることから、独立気泡率が高く、外観が美麗なポリスチレン系樹脂押出発泡板を得ることが容易となる。かかる観点から、ポリスチレン系樹脂(PSH)の絶対質量平均分子量(MwA)は、5.0×10〜8.0×10が好ましい。
ポリスチレン系樹脂(PSH)の配合割合は、ポリスチレン系樹脂(I)全体の配合割合を100重量%として、3〜30重量%である。
ポリスチレン系樹脂(PSH)の配合量が少なすぎる場合には、比較的高い押出樹脂温度条件で押出発泡を行なった場合に、生成した気泡が破泡し易くなり、独立気泡構造を維持することが困難となる。その結果、幅広い製造条件で、高い独立気泡率の発泡板を得ることが困難となる。一方、ポリスチレン系樹脂(PSH)の配合量が多すぎる場合には、樹脂溶融物の流動性が低下して、押出発泡時の押出安定性が低下するおそれがある。
前記観点から、ポリスチレン系樹脂(PSH)の配合量の下限は、ポリスチレン系樹脂(I)100重量%中、4重量%であることが好ましく、5重量%がより好ましく、8重量%が更に好ましい。一方、ポリスチレン系樹脂(PSH)の配合量の上限は、ポリスチレン系樹脂(I)100重量%中、25重量%であることが好ましく、生産コストの観点からは20重量%がより好ましく、15重量%が更に好ましい。
該ポリスチレン系樹脂(PSH)の絶対Z平均分子量(MzA)は、15×10〜50×10が好ましく、20×10〜40×10がより好ましい。
また、絶対質量平均分子量(MwA)と絶対数平均分子量(MnA)の比(MwA/MnA)は、2〜7が好ましく、3〜6がより好ましい。
前記絶対質量平均分子量(MwA)、絶対数平均分子量(MnA)、絶対Z平均分子量(MzA)は、前記〔1〕と同様にして測定することができる。
さらに、ポリスチレン系樹脂(PSH)において、絶対Z平均分子量(MzA)とリニア換算Z平均分子量(MzL)との比(MzA/MzL)は、1.5以上であることが好ましい。該比(MzA/MzL)が前記範囲内であることは、ポリスチレン系樹脂(PSH)中の直鎖に対して多数の分岐を有する構造のポリマーであることを意味する。この分岐構造による分子鎖の絡まりあいにより、アンカー作用を生じ、該比(MzA/MzL)が前記範囲を満足するポリスチレン系樹脂(PSH)は高い溶融張力を有していると考えられる。その結果、比較的高い発泡樹脂温度条件であっても、押出発泡時に気泡が破泡し難くなることから、独立気泡率が高く、外観が美麗な押出発泡板を比較的広い発泡樹脂温度条件で安定して生産することができる。上記観点から、該比(MzA/MzL)は、2.0〜5.0がより好ましく、2.2〜4.0が更に好ましい。
なお、ポリスチレン系樹脂(PSH)のリニア換算質量平均分子量(MwL)は、3.5×10〜5.0×10が好ましく、3.9×10〜4.5×10がより好ましい。
また、該ポリスチレン系樹脂(PSH)のリニア換算Z平均分子量(MzL)は9.0×10〜15×10が好ましく、9.5×10〜14×10がより好ましい。
また、リニア換算質量平均分子量(MwL)とリニア換算数平均分子量(MnL)の比(MwL/MnL)は、3.5〜7.0が好ましく、4.0〜6.0がより好ましい。
前記リニア換算の各種平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーション・クロマトグラフィー)法により、標準ポリスチレンを用いて作成した標準校正曲線からの換算値により求めたものである。
前記特定の分子量を有するポリスチレン系樹脂(PSH)としては、例えば、分岐構造を有するマクロモノマーを用いて重合することにより得られた、DIC社製EXP1002などの、分子中に特殊な分岐構造が導入されたポリスチレン系樹脂を挙げられる。
なお、ポリスチレン系樹脂(PSH)は、その分岐構造によって高い溶融張力を有するが、前記ポリスチレン系樹脂(i)〜(iii)を混合した場合に、混合樹脂の粘度を極端には上昇させない特性がある。従って、特定量のポリスチレン系樹脂(PSH)を配合すると、ポリスチレン系樹脂(I)の樹脂溶融物の粘度上昇によるせん断発熱を生じさせることなく、樹脂溶融物全体の溶融張力を高くすることができるので、押出発泡時に気泡が破泡し難くなり、より広い温度条件範囲で押出発泡が可能となる。
ポリスチレン系樹脂(PSH)の分岐度は、1.3以上であることが好ましい。該分岐度がこの範囲内であると、温度に対する溶融張力の変化が起こり難くなり、押出発泡温度での樹脂溶融物の溶融張力を、従来よりも高く維持することが可能となる。従って、発泡樹脂温度を高くして製造しようとする場合であっても、押出発泡時に気泡が破泡し難くなることから、従来よりも幅広い温度条件下で安定した製品を作ることができる。
前記観点から、ポリスチレン系樹脂(PSH)の分岐度は、1.5以上であることが好ましく、2.0以上が更に好ましく、3.0以上が特に好ましい。なお、その上限は概ね10である。
前記分岐度は、前記〔1〕と同様にして測定することができる。
ポリスチレン系樹脂(PSH)の200℃における溶融張力MT(200)は15cN以上が好ましい。溶融張力が前記範囲内であれば、押出発泡時に気泡が破泡し難く、気泡膜強度に優れる気泡の形成が可能となり、広い押出発泡温度範囲で、外観が良好で、独立気泡率が高い押出発泡板を安定して生産することが可能となる。
かかる観点から、該溶融張力MT(200℃)は、より好ましくは25cN以上、更に好ましくは30cN以上である。なお、その上限は、概ね60cNである。
また、ポリスチレン系樹脂(PSH)の220℃における溶融張力MT(220)は15cN以上が好ましい。該溶融張力MT(220)は、より好ましくは20cN以上、更に好ましくは25cN以上、30cN以上、特に好ましくは35cN以上である。なお、その上限は、概ね60cNである。
更に、ポリスチレン系樹脂(PSH)は、温度変化による溶融張力の変動が小さいことが好ましい。具体的には、200℃における溶融張力MT(200)に対する220℃における溶融張力MT(220)の比(MT(220)/MT(200))が0.4以上であることが好ましい。該比(MT(220)/MT(200))が前記範囲内であれば、押出発泡時に押出樹脂温度を高くした場合であっても、溶融張力が維持されて気泡が破泡し難くなり、より広い温度範囲で、外観が良好で独立気泡率が高い押出発泡板をより容易に得ることが可能となる。かかる観点から、該比(MT(220)/MT(200))は、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.7以上、特に好ましくは0.8以上である。
前記溶融張力(MT)は、ASTM D1238に準じて測定された値であり、例えば、(株)東洋精機製作所製のキャピログラフ1Dによって測定することができる。
ポリスチレン系樹脂(I)には、絶対質量平均分子量(MwA)が2.9×10以上4.5×10以下のポリスチレン系樹脂(PSM)が、ポリスチレン系樹脂(I)100重量%中、20〜50重量%配合される。
ポリスチレン系樹脂(PSM)を配合することにより、ポリスチレン系樹脂(PSH)と後述のポリスチレン系樹脂(PSL)との樹脂混合物の混練性を向上させて、押出発泡に適する樹脂溶融物とすることが可能となる。その結果、前記ポリスチレン系樹脂(PSH)の気泡形状の保持効果と相俟って高品質の押出発泡体を、広い押出樹脂温度範囲で製造することが可能になる。
従って、ポリスチレン系樹脂(PSH)と(PSL)との混練性を向上させるという観点から、ポリスチレン系樹脂(PSM)の絶対質量平均分子量(MwA)は、2.9×10以上4.0×10以下が好ましい。
ポリスチレン系樹脂(PSM)の配合割合は、前記ポリスチレン系樹脂(I)100重量%中、20〜50重量%である。
ポリスチレン系樹脂(PSM)の配合量が少なすぎる場合には、ポリスチレン系樹脂(PSH)とポリスチレン系樹脂(PSL)との混合樹脂の混練が不十分となることから、押出発泡時に押出安定性が低下して、良好な発泡板が得られなくなるおそれがある。
一方、ポリスチレン系樹脂(PSM)の配合量が多すぎる場合には、ポリスチレン系樹脂に配合される他成分(PSH、PSL)の配合量が少なくなり、ポリスチレン系樹脂(PSH)による気泡形状の保持効果が低下したり、後述するポリスチレン系樹脂(PSL)による流動性の向上効果が低下して、せん断発熱により樹脂溶融物が可塑化してダイ圧が低下し、発泡剤が分離して発泡板表面が悪化したりするおそれがある。
かかる観点から、ポリスチレン系樹脂(PSM)の好ましい配合量は、ポリスチレン系樹脂(I)100重量%中に30〜45重量%である。
また、ポリスチレン系樹脂(PSM)のメルトフローレート(200℃)は、1〜10g/10分であることが好ましく、1.2〜8g/10分がより好ましい。前記範囲内であれば、ポリスチレン系樹脂(PSH)とポリスチレン系樹脂(PSL)とを溶融混練させることがより容易になる。
さらに、前記ポリスチレン系樹脂(I)には、絶対質量平均分子量(MwA)が1.0×10以上2.9×10未満のポリスチレン系樹脂(PSL)が、配合される。
絶対質量平均分子量(MwA)が1.0×10以上2.9×10未満の、低分子量のポリスチレン系樹脂(PSL)を配合することにより、樹脂溶融物の流動性が向上し、押出発泡に適した樹脂溶融物とすることができる。
ポリスチレン系樹脂(PSL)の配合割合は、ポリスチレン系樹脂(I)100重量%中、30〜60重量%である。
ポリスチレン系樹脂(PSL)の配合量が少なすぎる場合には、樹脂溶融物の流動性が低下することから樹脂溶融物が押出機内でせん断発熱して、良好な押出発泡体が得られないおそれがある。
一方、ポリスチレン系樹脂(PSL)の配合量が多すぎる場合には、分子量が低いポリスチレン系樹脂の配合量が多くなることに起因して、発泡に適するダイ圧を保持することが困難となり、ダイ内で内部発泡が起きて表面状態が良好な押出発泡板が得られないおそれがある。
かかる観点から、ポリスチレン系樹脂(PSL)の絶対質量平均分子量(Mw)は1.5×10以上2.8×10以下が好ましい。また、ポリスチレン系樹脂(PSL)の好ましい配合量は、ポリスチレン系樹脂(I)100重量%中に35〜55重量%である。
ポリスチレン系樹脂(I)として、前記のポリスチレン系樹脂(PSH)と(PSM)と(PSL)とを組み合せることにより、後述の発泡剤組成と相まって、押出発泡に必要なダイ圧の保持と樹脂溶融物の流動性のバランスを保つことが可能となるので、押出発泡が可能な温度範囲をより広げることができる。その結果、外観が良好で、独立気泡率が高い押出発泡板を安定して製造することができる(第二の効果)。
次に、物理発泡剤について説明する。
該物理発泡剤としては、炭素数3〜5の飽和炭化水素、二酸化炭素、及び水が用いられる。これらの混合物理発泡剤を併用することにより環境負荷の低減が可能となると共に、独立気泡率の高い押出発泡板の製造が容易となる。
該物理発泡剤の好ましい配合割合は、炭素数3〜5の飽和炭化水素が30〜70モル%、二酸化炭素が10〜50モル%、水が10〜50モル%である(但し、これらの配合割合の合計は100モル%である)。次に、炭素数3〜5の飽和炭化水素、二酸化炭素、及び水のそれぞれについて、詳細に説明する。
前記物理発泡剤中の炭素数3〜5の飽和炭化水素としては、炭素数3のプロパン、炭素数4のn−ブタン、イソブタン(2−メチルプロパン)、炭素数5のn−ペンタン、イソペンタン(2−メチルブタン)、ネオペンタン(2,2−ジメチルプロパン)、シクロペンタン等が挙げられる。なお、これらの発泡剤は、単独でまたは2種以上を併用することもできる。特に、これらの中では、イソブタンが好ましい。
炭素数3〜5の飽和炭化水素は、ポリスチレン系樹脂に対する透過速度が空気より遅く、空気よりも熱伝導率が低いので、得られる押出発泡板は良好な断熱性を有するものとなる。また、炭素数3〜5の飽和炭化水素は、ポリスチレン系樹脂に対する溶解性が炭素数3〜5の飽和炭化水素、二酸化炭素、及び水の中では最も高く、ポリスチレン系樹脂を可塑化するため、前記ポリスチレン系樹脂(PSH、PSM、PSL)の配合割合等とも関連して、発泡性樹脂溶融物の溶融粘弾性が発泡適性の良好な範囲に調整される。従って、該飽和炭化水素を用いると、押出発泡板を安定して製造することができる。
炭素数3〜5の飽和炭化水素の配合割合は、発泡剤100モル%中、30〜70モル%が好ましい。該飽和炭化水素の配合割合が少なすぎると、断熱性が低下したり、押出安定性が低下するおそれがある。一方、該配合割合が多すぎると発泡板の難燃性が低下したり、発泡板製造時に着火の危険性が増加するおそれがある。かかる観点から、炭素数3〜5の飽和炭化水素の配合量は、物理発泡剤の全量を100モル%として、30〜60モル%がより好ましい。
前記物理発泡剤中の二酸化炭素は、環境に優しい発泡剤であり、得られる押出発泡板の難燃性を阻害せずに、見掛け密度を低下させることができると共に、ポリスチレン系樹脂に対するガス透過性が高いため押出発泡板から早期に逸散するので発泡板の寸法安定性、断熱性能及び難燃性能を早期に安定化させることができる。
但し、二酸化炭素はポリスチレン系樹脂に対する相溶性が低いので、配合量に限界がある上に、ポリスチレン系樹脂への可塑化効果が小さいことから、樹脂溶融物がせん断発熱し易くなる。せん断発熱を抑えるためには、押出発泡樹脂温度を低くしなければならないので、高い独立気泡率を有する押出発泡板が得られる製造温度条件(押出発泡温度条件)が狭くなってしまう。
二酸化炭素の配合割合は、物理発泡剤100モル%中、10〜50モル%が好ましい。二酸化炭素の配合割合が多すぎる場合には、ダイ内で内部発泡が起こり、得られる押出発泡板の外観が悪化するおそれがある。一方、二酸化炭素の配合割合が少なすぎると、得られる押出発泡板の寸法安定性が低下すると共に、所期の目的である、環境にやさしい発泡剤を使用するということが困難となる。
前記観点から、二酸化炭素の配合割合は、物理発泡剤の全量を100モル%として、10〜50モル%が好ましく、15〜40モル%がより好ましい。
前記物理発泡剤中の水は、分子量が小さく、発泡効率が高いことから、二酸化炭素の配合量が限界を超えることによる不足分を補って、発泡剤として働くものである。さらに、水は蒸発熱が高いことから、水が気化する際に周りの熱を奪うという冷却効果に優れるものである。上記効果によって、従来よりも高い樹脂温度で押出発泡を行なったとしても、押出発泡時には上記冷却効果によって、独立気泡率の高い押出発泡板を得ることが可能となる。なお、上記効果を奏するためには、発泡剤として用いる水が、樹脂溶融物中に微分散していることが望ましい。樹脂溶融物中に水を微分散させるためには、前記特定の配合割合からなるポリスチレン系樹脂(I)が用いられる。
水の配合量は、ポリスチレン系樹脂(I)1kg当り、0.05モル/kg以上である。また、水の好ましい配合割合は、物理発泡剤100モル%中、10〜50モル%である。水の配合量が少なすぎる場合には、冷却効果が得られないおそれがある。一方、水の配合量が多すぎる場合には、樹脂溶融物と添加した水とが分離して、得られる押出発泡板の表面にスポット孔が形成されるおそれがある。
かかる観点から、水の配合量は、ポリスチレン系樹脂(I)1kg当り0.06〜0.8モルが好ましく、0.06〜0.5モルがより好ましい。また、水の配合割合は、物理発泡剤の全量を100モル%として、10〜50モル%が好ましく、20〜45モル%がより好ましい。
ポリスチレン系樹脂(PSH)を特定割合で含有するポリスチレン系樹脂(I)を用いることにより、押出発泡時の気泡形状保持性を向上させると共に、発泡剤として水を用いることによる冷却効果によって、幅広い温度範囲で、高い独立気泡率の押出発泡板を得ることが可能となる。また、ポリスチレン系樹脂PSLとPSMとPSHが特定割合で配合されたポリスチレン系樹脂(I)を用いることにより、水が樹脂溶融物中で微分散して、より冷却効果が得られる。
前記〔1〕と同様に、ポリスチレン系樹脂(I)に難燃剤を添加することにより、得られる押出発泡板を難燃化することが好ましい。また、難燃助剤を難燃剤と併用して使用することができる。さらに、前記〔1〕に列記した各種添加剤を添加することもできる。
なお、本発明の第二の態様により得られる押出発泡板の厚みは、10〜100mmが好ましい。さらに、建築用断熱材として使用する観点からは、該厚みは20〜90mmが好ましい。また、該方法によれば、厚みの厚い押出発泡板を得るために、押出機出口のダイの間隙を広くしても、押出機内部の圧力を十分に保つことが可能であり、良好な押出発泡板が得られる。
また、該押出発泡板の厚み方向の平均気泡径は0.05〜1.0mmが好ましい。該厚み方向平均気泡径が前記範囲内であれば、後述する賦形装置を使用して板状に成形し、目的とする断熱性を得ることが容易となる。かかる観点から、押出発泡板の厚み方向の平均気泡径は、0.06〜0.8mmが好ましく、0.08〜0.5mmがより好ましい。なお、厚み方向の平均気泡径は、例えば、気泡調整剤の添加量により調整することができる。
また、該押出発泡板においては、気泡変形率(厚み方向の平均気泡径/水平方向の平均気泡径)は0.7〜1.2であることが好ましい。該気泡変形率が小さいほど気泡は偏平となり、大きいほど縦長となる。前記範囲内であれば、気泡が偏平になりすぎて厚み方向の圧縮強度が低下することがなく、また、厚み方向の平均気泡径が大きくなり厚み方向における気泡数が少なくなって断熱性が低下してしまうことなく、良好な押出発泡板となる。かかる観点から、該気泡変形率は、0.80〜1.15がより好ましく、0.85〜1.10が更に好ましい。
なお、該押出発泡板は、特公平5−49701号公報に記載されるような大気泡と小気泡を混在するものではなく、全体として実質的に均一な大きさの気泡構造を有するものであることが好ましい。全体として実質的に均一な大きさの気泡構造を有する押出発泡板は、機械的物性が均一なものとなる。
また、該押出発泡板においては、独立気泡率は92%以上であることが好ましい。独立気泡率が高いほど断熱性能を高く維持することがより容易となる。特に、JIS A9511:2006RのA種押出方ポリスチレンフォーム保温材の3種で規定される熱伝導率を満足させるためには、押出発泡板の独立気泡率は、93重量%以上がより好ましく、94重量%以上がさらに好ましい。
該押出発泡板においては、熱伝導率が0.040W/(m・K)以下であることが好ましい。上記範囲の熱伝導率を有する押出発泡板は建材用の断熱板として好適なものとなる。かかる観点から、0.035W/m・K以下がより好ましく、0.028W/(m・K)以下が更に好ましい。また、その下限は、概ね0.022W/(m・K)である
尚、該熱伝導率は、JIS A 1412−2(1999)記載の平板熱流計法(熱流計2枚方式、平均温度20℃、高温面35℃、低温面5℃)にて測定された値である。
〔1〕次に、具体的な実施例を挙げて、本発明の製造方法と、それにより得られる第一の効果について更に詳細に説明する。
実施例1
ポリスチレン系樹脂(I)の原料樹脂としては、表1に示すものを用いた。
製造装置としては、口径65mmの押出機(以下、「第一押出機」という。)と口径90mmの押出機(以下、「第二押出機」という。)を直列に連結されたタンデム方式の押出機の第二押出機の出口に、幅80mm、間隙2mm(長方形横断面)の樹脂排出口を備えたダイが取付けられ、該ダイの先端に、ポリテトラフルオロエチレン樹脂製の板が上下に50mmの間隔をあけて平行に設けられた賦形装置が取付けられた装置を使用した。
表1に示す配合のポリスチレン系樹脂(I)と、該ポリスチレン系樹脂(I)100重量部に対して、気泡調整剤としてタルク(松村産業株式会社製ハイフィラー#12)1.5重量部、ステアリン酸亜鉛0.05重量部、難燃剤としてヘキサブロモシクロドデカン3重量部を、前記第一押出機に供給し設定温度220℃で加熱し、溶融混練し、第一押出機の先端付近で、表2に示す配合および配合量の物理発泡剤をそれぞれ圧入して発泡性樹脂溶融物とし、続いて該発泡性樹脂溶融物を第二押出機に搬送し、第二押出機にて徐々に冷却して表2に示す発泡樹脂温度(第二押出機とダイとの間で測定)とし、該発泡性樹脂溶融物を表2に示すダイ圧、吐出量でダイリップから押出し、発泡させながら前記賦形装置の通路を通過させ圧縮して通路内に充満させて板状に成形し、押出発泡板(厚み50mm、幅250mm)を製造した。製造条件、得られた押出発泡板の物性を表2に示す。
実施例2
物理発泡剤の水の量を0.5mol/kgに変えた以外は、実施例1と同様にして押出発泡板を得た。得られた押出発泡体の見掛け密度は30kg/mであり、発泡倍率は若干減少していた。製造条件、得られた押出発泡板の物性などを表2に示す。
実施例3
実施例1でのPSHをPS4に変え、表2の発泡条件とした以外は、実施例1と同様にして押出発泡板を得た。PS4の分岐構造が異なることに起因して、押出発泡体の外観に若干表面荒れが見られた。製造条件、得られた押出発泡板の物性などを表2に示す。
実施例4
ポリスチレン系樹脂(I)の配合割合を変え、表3の発泡条件とした以外は、実施例1と同様にして、押出発泡板を得た。製造条件、得られた押出発泡板の物性などを表3に示す。
実施例5
ポリスチレン系樹脂(I)の配合割合を変え、表3の発泡条件とした以外は、実施例1と同様にして押出発泡板を得た。製造条件、得られた押出発泡板の物性などを表3に示す。
実施例6
PSMとしてPS6を使用し、表3の配合、発泡条件とした以外は、実施例1と同様にして押出発泡板を得た。製造条件、得られた押出発泡板の物性などを表3に示す。
実施例7
発泡剤中の水の量を0.25mol/kgに変え、表3の配合、発泡条件とした以外は、実施例1と同様にして押出発泡板を得た。得られた押出発泡板は、実施例1に比べて見掛け密度が若干高くなっている。製造条件、得られた押出発泡板の物性などを表3に示す。
実施例8
PSHの添加量をさらに減少させた以外は、実施例1と同様にして押出発泡体を得た。製造条件、得られた押出発泡板の物性などを表3に示す。
比較例1
PSHの添加量を2重量%に変え、表4の配合、発泡条件とした以外は、実施例1と同様にして押出発泡体を得た。水の分散性は良好であったもの、PSHの添加量が下限を下回ったことにより、樹脂溶融物の溶融張力の向上効果が小さいことから、得られた押出発泡体は表面荒れが顕著にみられ、独立気泡率が低下していた。製造条件、得られた押出発泡板の物性などを表4に示す。
比較例2
PSMの添加量を15重量%に変え、表4の配合、発泡条件とした以外は、実施例1と同様にして押出発泡体を得た。水の分散性が低下することに起因して、押出発泡時に水が凝集し、得られる押出発泡板の表面にはスポット孔が発生した。製造条件、得られた押出発泡板の物性などを表4に示す。
比較例3
PSHの添加量を35%に変え、表4の配合、発泡条件とした以外は、実施例1と同様にして押出発泡体を得た。水の分散性が低下することに起因して、押出発泡時に水が凝集し、得られる押出発泡板の表面にはスポット孔が発生した。製造条件、得られた押出発泡板の物性などを表4に示す。
比較例4
PSLの添加量を25%に変え、表4の配合、発泡条件とした以外は、実施例1と同様にして製造した。PSLの添加量が少なすぎたため、押出機内でせん断発熱が起こり、これがダイ圧の低下を引き起こし、内部発泡状態となって、良好な押出発泡板を得ることはできなかった。製造条件、得られた押出発泡板の物性などを表4に示す。
比較例5
PSLの添加量を70%に変え、表4の配合、発泡条件とした以外は、実施例1と同様にして製造した。PSLの添加量が多すぎたため、樹脂溶融物の粘度が低くなりすぎたことによるダイ圧の低下が起こり、内部発泡状態となって、良好な押出発泡板を得ることはできなかった。製造条件、得られた押出発泡板の物性などを表4に示す。
比較例6
PSMの添加量を60重量%に変え、表4の配合、発泡条件とした以外は、実施例1と同様にして製造した。PSMの添加量が多すぎたため、樹脂溶融物の粘度が高くなりすぎたことにより押出機内でせん断発熱が起こり、これがダイ圧の低下を引き起こし、良好な押出発泡板を得ることはできなかった。製造条件、得られた押出発泡板の物性などを表4に示す。
比較例7
PSMとしてPS5を用い、表4の配合、発泡条件とした以外は、実施例1と同様にして押出発泡体を得た。PS5の分子量が低すぎるため、高分子量であるPSHとの混練性が悪く、樹脂溶融物の粘度が低くなりすぎて、ダイ圧の低下が起こり、内部発泡状態となって、押出発泡板の表面に表面荒れが生じた。製造条件、得られた押出発泡板の物性などを表4に示す。
比較例8
PSMを用いず、表5の配合、発泡条件とした以外は、実施例1と同様にして押出発泡板を製造した。水の分散性が低下することに起因して、押出発泡時に水が凝集して、得られる押出発泡板の表面にはスポット孔が発生した。製造条件、得られた押出発泡板の物性などを表5に示す。
比較例9
PSHを用いず、表5の配合、発泡条件とした以外は、実施例1と同様にして押出発泡板を製造した。水の分散性は良好であったが、押出発泡時に気泡が破泡して、得られた押出発泡体は独立気泡率の低下が顕著に見られた。製造条件、得られた押出発泡板の物性などを表5に示す。
比較例10
PSMを用いず、表5の配合、発泡条件とした以外は、実施例1と同様にして押出発泡板を製造した。PSLの添加量が多すぎたため、樹脂溶融物の粘度が低くなりすぎ、ダイ圧の低下が起こり、内部発泡状態となって、良好な押出発泡板を得ることはできなかった。製造条件、得られた押出発泡板の物性などを表5に示す。
比較例11
物理発泡剤として、水を用いず、表5の発泡条件とした以外は、実施例1と同様にして押出発泡板を製造した。水を用いていないことにより、実施例1と比較して、発泡倍率の向上効果が得られなかった。製造条件、得られた押出発泡板の物性などを表5に示す。
表中の絶対分子量、分岐度、リニア換算分子量、溶融張力、MFR、平均気泡径、独立気泡率、熱伝導率は下記の方法で測定した。
(絶対平均分子量、分岐度)
絶対平均分子量(MwA、MnA、MzA)、分岐度は、GPC/RALLS法により、GPC仕様高速液体クロマトグラフ((株)ジーエルサイエンス製)装置(カラム:ShodexGPC KF−806,KF805,KF803(昭和電工(株)製)を直列に接続)と、屈折検出器(RI(示差屈折率検出器)ShodexRI−101、昭和電工(株)製)、光散乱検出器(RALLS90°光散乱検出器、TDA Model270(Viscotek社製))、及び粘度検出器(Visc差圧粘度検出器)を組み合せた装置を用い、移動相をテトラヒドロフラン(流量1.0mL/min)とし、約1.5mg/cm濃度の試料を200μL注入して測定することにより、絶対分子量、固有粘度を測定した。なお、押出発泡板を構成する樹脂についても、測定試料として押出発泡板から切り出した試験片を使用すること以外は上記と同様にして測定することができる。
前記分岐度は、前記GPC/RALLS−粘度計分析によって求められる絶対質量平均分子量の対数を横軸とし、固有粘度の対数を縦軸としてプロットし、測定試料が分岐構造を有する場合には、該プロットの高分子量側の、線形領域から急激に外れる領域において、固有粘度〔η〕と絶対分子量(Mw)から、Flory−Fox式により回転半径(Rg)を計算した。
Rg=( (〔η〕・Mw)1/3/3.03)
該Rg(M,b)と直鎖であることがわかっている高分子におけるRg(M,l)とからZimm分岐要素(g)を次式により求めた。
=Rg(M,b)/Rg(M,l)
さらに、gを用いて1分子あたりの分岐度( n )を次式により求めた。
=(1/ n ) × l n ( 1 + n )
(リニア換算分子量)
ポリスチレン系樹脂のリニア換算の数平均分子量(MnL)、重量平均分子量(MwL)及びZ平均分子量(MzL)は、いずれもゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法(GPC法)により求めた。具体的には、ポリスチレン樹脂30mgをテトラヒドロフラン(THF)20mLに溶解させた後(ただし、THFへの不溶分が存在する場合には、ろ過により該不溶分を除去した後)、下記に示す分析条件にてGPC法による測定を行い、この測定によって得られたチャートのポリスチレン系樹脂によるピーク開始位置(便宜上、分子量1.9×10位置を採用)を基準にして水平(横軸と平行)にベースラインを引き、標準ポリスチレンを用いて作成した標準較正曲線により、各分子量を計算した。
使用機器:株式会社ジーエルサイエンス製GPC仕様高速液体クロマトグラフ
カラム:昭和電工株式会社製カラム、商品名Shodex GPC KF−806、同KF−805、同KF−803をこの順に直列に連結して使用した。
カラム温度:40℃
溶媒:THF
流速:1.0mL/分
濃度:0.15w/v%
注入量:0.2ml
検出器:株式会社ジーエルサイエンス製紫外可視検出器、商品名UV702型(測定波
長254nm)
分子量分布の計算に用いた較正曲線の分子量範囲:1.9×10〜5.4×10
メルトフトーレイト(MFR)の測定は、JIS K 7210の条件Hに準じて、試験温度200℃、荷重5kgで行なった。
(溶融張力)
溶融張力(MT)は、ASTM D1238に準じて測定し、(株)東洋精機製作所製のキャピログラフ1Dによって測定した。シリンダー径9.55mm、長さ350mmのシリンダーと、ノズル径2.095mm、長さ8.0mmのオリフィスを用い、シリンダー及びオリフィスの設定温度200℃(MT200)、220℃(MT220)とし、試料の必要量を該シリンダー内に入れ、4分間放置してから、ピストン速度を10mm/分として溶融樹脂をオリフィスから紐状に押出して、この紐状物を直径45mmの張力検出用プーリーに掛け、4分で引き取り速度が0m/分から200m/分に達するように一定の増速で引取り速度を増加させながら引取りローラーで紐状物を引取って紐状物が破断した際の直前の張力の極大値を得た。ここで、引取り速度が0m/分から200m/分に達するまでの時間を4分とした理由は、樹脂の熱劣化を抑えるとともに得られる値の再現性を高めるためである。前記操作を異なる試料を使用し、計10回の測定を行い、10回で得られた極大値の最も大きな値から順に3つの値と、極大値の最も小さな値から順に3つの値を除き、残った中間の4つの極大値を相加平均して得られた値を溶融張力(cN)とした。
但し、前記した方法で溶融張力の測定を行い、引取り速度が200m/分に達しても紐状物が切れない場合には、引取り速度を200m/分の一定速度にして得られる溶融張力(cN)の値を採用した。詳しくは、前記測定と同様にして、溶融樹脂をオリフィスから紐状に押出して、この紐状物を張力検出用プーリーに掛け、4分間で0m/分から200m/分に達するように一定の増速で引取り速度を増加させながら引取りローラーを回転させ、回転速度が200m/分になるまで待つ。回転速度が200m/分に到達してから溶融張力のデータの取り込みを開始し、30秒後にデータの取り込みを終了する。この30秒の間に得られた縦軸にメルトテンションを、横軸に時間を取ったテンション荷重曲線から得られたテンション最大値(Tmax)とテンション最小値(Tmin)の平均値(Tave)を本明細書における溶融張力とした。
ここで、前記Tmaxとは、前記テンション荷重曲線において、検出されたピーク(山)値の合計値を検出された個数で除した値であり、前記Tminとは、前記テンション荷重曲線において、検出されたディップ(谷)値の合計値を検出された個数で除した値である。
尚、当然のことながら前記測定において溶融樹脂をオリフィスから紐状に押出す際には該紐状物に、できるだけ気泡が入らないようにする。また、押出発泡板から測定試料を調整する場合、押出発泡板を真空オーブンにて加熱し脱泡したものを試料とした。
(平均気泡径)
本明細書における平均気泡径の測定方法は次の通りである。押出発泡板厚み方向の平均気泡径(D:mm)及び押出発泡板幅方向の平均気泡径(D:mm)は押出発泡板の幅方向垂直断面(押出発泡板の押出方向と直交する垂直断面)を、押出発泡板押出方向の平均気泡径(D:mm)は押出発泡板の押出方向垂直断面(押出発泡板の押出方向に平行に、幅方向の中央部で二等分した垂直断面)の顕微鏡拡大写真を得た。次いで、該拡大写真上において測定しようとする方向に直線を引き、その直線と交差する気泡の数を計数し、直線の長さ(当然のことながら、この長さは拡大写真上の直線の長さではなく、写真の拡大率を考慮した直線の長さを指す。)を計数された気泡の数で割ることによって、各々の方向における平均気泡径を求めた。
平均気泡径の測定方法について詳述すると、厚み方向の平均気泡径(D:mm)の測定は幅方向垂直断面の中央部及び両端部の計3箇所の顕微鏡拡大写真を得、各々の写真上において、厚み方向に押出発泡板の全厚みに亘る直線を引き各々の直線の長さと該直線と交差する気泡の数から各直線上に存在する気泡の平均径(直線の長さ/該直線と交差する気泡の数)を求め、求められた3箇所の平均径の算術平均値を厚み方向の平均気泡径(D:mm)とした。
幅方向の平均気泡径(D:mm)は幅方向垂直断面の、中央部及び両端部の計3箇所の顕微鏡拡大写真を得、各々の写真上において、押出発泡板を厚み方向に二等分する位置に、3mmに拡大率を乗じた長さの直線を幅方向に引き、該直線と該直線と交差する気泡の数から、各直線上に存在する気泡の平均径を式(3mm/(該直線と交差する気泡の数−1))にて求め、求められた3箇所の平均径の算術平均値を幅方向の平均気泡径(D:mm)とした。
押出方向の平均気泡径(D:mm)は、押出発泡板の幅方向を二等分する位置で、押出発泡板を押出方向に切断して得られた押出方向垂直断面の、中央部及び両端部の計3箇所の顕微鏡拡大写真を得、各々の写真上において、押出発泡板を厚み方向に二等分する位置に、3mmに拡大率を乗じた長さの直線を押出方向に引き、該直線と該直線と交差する気泡の数から、各直線上に存在する気泡の平均径を式(3mm/(該直線と交差する気泡の数−1))にて求め、求められた3箇所の平均径の算術平均値を押出方向の平均気泡径(D:mm)とする。また、押出発泡板の水平方向の平均気泡径(D:mm)は、DとDの相加平均値とした。
押出発泡板の独立気泡率は、ASTM−D2856−70の手順Cに従って、東芝ベックマン株式会社の空気比較式比重計930型を使用して測定(押出発泡板から25mm×25mm×20mmのサイズに切断された成形表皮を持たないカットサンプルをサンプルカップ内に収容して測定した。ただし、厚みが薄く厚み方向に20mmのカットサンプルが切り出せない場合には、例えば、25mm×25mm×10mmのサイズのカットサンプルを2枚同時にサンプルカップ内に収容して測定する。)された押出発泡板(カットサンプル)の真の体積Vxを用い、下記(1)式により独立気泡率S(%)を計算し、N=3の平均値で求めた。
S(%)=(Vx−W/ρ)×100/(Va−W/ρ) (1)
(外観評価:表面荒れ)
押出発泡板表面状態の評価は、目視により次の基準で評価を行なった。
◎:発泡状態が極めて良好であり、表面に波うちなどがない板状押出発泡板である。
○:発泡状態は良好であり、良好な板状押出発泡板が安定して得られるが、表面に若干波うちなどが見られる。
×:発泡状態が悪く、表面に凹凸が存在する。
(外観評価:表面のスポット孔)
水の分離に起因する表面のスポット孔の発生を、以下の基準で評価した。
◎ :押出発泡板の表面に5mm以上のスポット孔が見られない。
×:押出発泡体の表面に5mm以上のスポット孔が存在している。

〔2〕次に、具体的な実施例を挙げて、本発明の製造方法と、それにより得られる第二の効果について更に詳細に説明する。
実施例9
ポリスチレン系樹脂(I)としては、表1に示すものを用いた。
製造装置としては、口径65mmの押出機(以下、「第一押出機」という。)と口径90mmの押出機(以下、「第二押出機」という。)を直列に連結されたタンデム方式の押出機の第二押出機の出口に、幅80mm、間隙2mm(長方形横断面)の樹脂排出口を備えたダイが取付けられ、該ダイの先端に、ポリテトラフルオロエチレン樹脂製の板が上下に50mmの間隔をあけて平行に設けられた賦形装置が取付けられた装置を使用した。
表1に示す配合のポリスチレン系樹脂(I)と、該ポリスチレン系樹脂(I)100重量部に対して、気泡調整剤としてタルク(松村産業株式会社製ハイフィラー#12)1.5重量部、ステアリン酸亜鉛0.05重量部、難燃剤としてヘキサブロモシクロドデカン3重量部を、前記第一押出機に供給し設定温度220℃で加熱し、溶融混練し、第一押出機の先端付近で、表に示す配合、量の物理発泡剤を圧入して発泡性樹脂溶融物とし、続いて該発泡性樹脂溶融物を第二押出機に搬送し、第二押出機にて徐々に冷却して表に示す発泡樹脂温度(第二押出機とダイとの間で測定)の発泡性樹脂溶融物とし、該発泡性樹脂溶融物を表に示すダイ圧、吐出量でダイリップから押出し、発泡させ前記賦形装置の通路を通過させ圧縮して通路内に充満させて板状に成形し、押出発泡板(厚み50mm、幅250mm)を製造した。製造条件、得られた押出発泡板の物性を表6に示す。
なお、実施例9により、発泡樹脂温度が従来よりも高い122℃とした場合であっても、良好な押出発泡板が得られることがわかる。即ち、従来よりも幅広い押出発泡温度範囲で製造が可能である。
実施例10
PSLを40重量%、PSMを50重量%、PSHを10重量%とした以外は、実施例9と同様に押出発泡板を製造した。製造条件、得られた押出発泡板の物性を表6に示す
実施例11
PSLを50重量%、PSMを40重量%、PSHを10重量%とした以外は、実施例9と同様に押出発泡板を製造した。製造条件、得られた押出発泡板の物性を表6に示す。
実施例12
PSLを50重量%、PSMを45重量%、PSHを5重量%とした以外は、実施例9と同様に押出発泡板を製造した。製造条件、得られた押出発泡板の物性を表6に示す。
実施例12から、PSHが5重量%配合されていれば、安定して押出発泡板を製造できることが判る。
実施例13
PSMをPS6とした以外は、実施例11と同様に押出発泡板を製造した。製造条件、得られた押出発泡板の物性を表6に示す。
実施例14
発泡剤の水の添加量を少なくし、発泡剤を表の配合割合とした以外は、実施例10と同様に押出発泡板を製造した。樹脂、発泡剤の配合、製造条件及び得られた押出発泡板の物性を表7に示す。
実施例15
発泡剤の水の添加量を多くし、発泡剤を表の配合割合とした以外は、実施例10と同様に押出発泡板を製造した。樹脂、発泡剤の配合、製造条件及び得られた押出発泡板の物性を表7に示す。
実施例16
押出樹脂温度を121℃とした以外は、実施例9と同様に押出発泡板(厚み50mm、幅250mm)を製造した。押出温度が低いことから、若干表面荒れが見られるもの、押出発泡板を得ることは可能であった。樹脂、発泡剤の配合、製造条件及び得られた押出発泡板の物性を表7に示す。
実施例17
押出樹脂温度を120℃とした以外は、実施例9と同様に押出発泡板(厚み50mm、幅250mm)を製造した。樹脂、発泡剤の配合、製造条件及び得られた押出発泡板の物性を表7に示す。
実施例16、17から、押出樹脂温度120〜122℃の範囲で、独立気泡率、熱伝導率に優れる押出発泡体を製造できることが判る。
なお、押出樹脂温度が119℃では、溶融樹脂溶融物の粘度が高くなりすぎるため、ダイ内での樹脂溶融物の流動性が悪化し、発泡板端部の発泡状態や発泡板の表面状態が悪化し、良好な発泡体を得ることが困難であった。
比較例12
PSLを53重量%、PSMを45重量%、PSHを2重量%とした以外は、実施例9と同様に押出発泡板を製造した。樹脂、発泡剤の配合、製造条件及び得られた押出発泡板の物性を表8に示す。
比較例12と実施例9の対比から、PSL及びPSMが適量配合されていれば、物性測定可能な押出発泡板を得ることは可能であった。しかしながら、PSHの配合量が少ないことから、独立気泡率が低くなり、熱伝導率が高くなることが判る。
比較例13
PSLを70重量%、PSMを5重量%、PSHを25重量%とした以外は、実施例9と同様に押出発泡板を製造した。樹脂、発泡剤の配合、製造条件及び得られた押出発泡板の物性を表8に示す。その他の物性が測定できるような押出発泡板を得ることはできなかった。
比較例13と実施例9の対比から、PSL及びPSHが配合されていても、PSMの配合量が少なくなると混練性が低下して押出機内のダイ圧が低下し内部発泡が起きるので、外観が悪化し、良好な押出発泡板を得ることができないことが判る。
比較例14
PSLを40重量%、PSMを25重量%、PSHを35重量%とした以外は、実施例9と同様に押出発泡板(厚み50mm、幅250mm)を製造した。樹脂、発泡剤の配合、製造条件及び得られた押出発泡板の物性を表8に示す。
比較例14と実施例9の対比から、PSL及びPSMが適量配合されていれば、外観が良好で、物性測定可能な押出発泡板を得ることはできる。しかしながら、PSHの配合量が多すぎることによって、実施例9の発泡樹脂温度(122℃)ではせん断発熱が起こり、独立気泡率が低くなり、熱伝導率が高くなることが判る。
比較例15
PSLを25重量%、PSMを45重量%、PSHを30重量%とした以外は、実施例9と同様に押出発泡板(厚み50mm、幅250mm)を製造した。樹脂、発泡剤の配合、製造条件及び得られた押出発泡板の物性を表8に示す。
比較例15と実施例9の対比から、PSM及びPSHが配合されていても、PSLの配合量が少なすぎると、樹脂溶融物がせん断発熱してダイ圧が低下するので、外観が悪化し、良好な押出発泡板を得ることができないことが判る。
比較例16
PSLを70重量%、PSMを20重量%、PSHを10重量%とした以外は、実施例9と同様に押出発泡板(厚み50mm、幅250mm)を製造した。樹脂、発泡剤の配合、製造条件及び得られた押出発泡板の見掛け密度、厚みを表8に示す。
比較例16と実施例9の対比から、PSM及びPSHが配合されていても、PSLの配合量が多すぎるとダイ圧が低下しすぎて内部発泡を起こし、外観が悪化し、良好な押出発泡板を得ることができないことが判る。
比較例17
PSLを30重量%、PSMを60重量%、PSHを10重量%とした以外は、実施例9と同様に押出発泡板(厚み50mm、幅250mm)を製造した。樹脂、発泡剤の配合、製造条件及び得られた押出発泡板の物性を表8に示す。
PSL及びPSHが適量配合されていても、PSMの配合量が多すぎると樹脂溶融物がせん断発熱してダイ圧が低下するので、外観が悪化し、良好な押出発泡板を得ることができないことが判る。
比較例18
PSLとしてPS1を50重量%、PSMとしてPS5を40重量%、PSHを10重量%とした以外は、実施例10と同様に押出発泡板を製造した。樹脂、発泡剤の配合、製造条件及び得られた押出発泡板の物性を表8に示す。
比較例18と実施例10の対比から、PSMの分子量が低くなりすぎると、外観が悪化し、独立気泡率が低い押出発泡板しか得られないことが判る。
比較例19
PSLとしてPS1を50重量%、PSMは配合することなく、PSHを50重量%とした以外は、実施例9と同様に押出発泡板(厚み50mm、幅250mm)を製造した。樹脂、発泡剤の配合、製造条件及び得られた押出発泡板の各種物性を表9に示す。
比較例19と実施例9の対比から、PSMを配合しないと独立気泡率が低くなり、熱伝導率が高くなることが判る。
比較例20
比較例20においては、PSLとしてPS1を50重量%、PSMとしてPS2を50重量%、PSHを配合しない以外は、実施例9と同様に押出発泡板(厚み50mm、幅250mm)を製造した。樹脂、発泡剤の配合、製造条件及び得られた押出発泡板の各種物性を表9に示す。
比較例20と実施例9の対比から、PSHを配合しないと、外観が良好な押出発泡板を得ることはできても、独立気泡率が低くなり、熱伝導率が高くなることが判る。
比較例21
PSL75重量%、PSMは配合することなく、PSHを25重量%とした以外は、実施例1と同様に押出発泡板(厚み50mm、幅250mm)を製造した。配合及び得られた押出発泡板の各種物性を表9に示す。
比較例21と比較例19及び実施例9の対比から、PSMを配合しないでPSLが多すぎると、PSHが十分に配合されていても、混練性が低下してダイ圧が低下し、ダイ内の圧力の保持が困難となるため、押出発泡できなくなることが判る。
比較例22
水を配合しないこと以外は、実施例9と同様に押出発泡板(厚み50mm、幅250mm)を製造した。樹脂、発泡剤の配合、製造条件及び得られた押出発泡板の各種物性を表9に示す。
比較例22と実施例9の対比から、水を配合しないとせん断発熱により外観が悪化し、独立気泡率が低くなり、熱伝導率が高くなることが判る。
比較例23
比較例23においては、発泡樹脂温度を121℃とした以外は、比較例20と同様に押出発泡板(厚み50mm、幅250mm)を製造した。樹脂、発泡剤の配合、製造条件及び得られた押出発泡板の各種物性を表9に示す。
比較例20と比較例23の対比から、発泡樹脂温度を121℃として発泡樹脂温度条件を狭めると、独立気泡率が改善することが判る。
参考例
参考例においては、発泡樹脂温度を120℃とした以外は、比較例20と同様に押出発泡板(厚み50mm、幅250mm)を製造した。樹脂、発泡剤の配合、製造条件及び得られた押出発泡板の各種物性を表9に示す。参考例と比較例20、23との対比から、発泡樹脂温度を120℃として発泡樹脂温度条件をさらに狭めると、良好な独立気泡率を有する押出発泡板が得られるが、発泡樹脂温度条件の制御が難しく、安定して良好な押出発泡板を得るには課題を有する配合である。
表中の絶対分子量、分岐度、リニア換算分子量、溶融張力、MFR、平均気泡径、独立気泡率、熱伝導率は、前記〔1〕と同様の方法で測定した。
(発泡樹脂温度)
発泡樹脂温度は、第二押出機とダイとの間で測定した温度である。該発泡樹脂温度は、実施例16、実施例17、比較例23、参考例以外は、独立気泡率が高く、外観が良好な押出発泡体を得ることができる最高の温度を意味する。なお、発泡可能温度範囲は、独立気泡率が高く、外観が良好な押出発泡体を得ることができる発泡樹脂温度範囲である。具体的には、参考例に示すように、従来の発泡樹脂温度である120℃を基準とし、上記発泡樹脂温度との差として求めることができる。
(外観評価:表面荒れ)
押出発泡板表面状態の評価は、目視により次の基準で評価を行なった。
◎:発泡状態が極めて良好であり、表面に波うちなどがない板状押出発泡板である。
○:発泡状態は良好であり、良好な板状押出発泡板が安定して得られるが、表面に若干波うちなどが見られる。
×:発泡状態が悪く、表面に凹凸が存在する。

Claims (2)

  1. ポリスチレン系樹脂(I)と物理発泡剤とを含有する発泡性樹脂溶融物を押出発泡して得られる、ポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法において、
    該ポリスチレン系樹脂(I)が、絶対質量平均分子量1.0×10以上2.9×10未満のポリスチレン系樹脂(PSL):30〜60重量%と、絶対質量平均分子量2.9×10以上4.5×10以下のポリスチレン系樹脂(PSM):20〜55重量%と、絶対質量平均分子量4.5×10超9.0×10以下のポリスチレン系樹脂(PSH):3〜30重量%との混合樹脂からなり(但し、PSLとPSMとPSHとの配合割合の合計は100重量%である)、
    該ポリスチレン系樹脂(PSH)の絶対Z平均分子量(MzA)とリニア換算Z平均分子量(MzL)との比(MzA/MzL)が1.5以上であり、
    該物理発泡剤として、炭素数3〜5の飽和炭化水素と二酸化炭素と水とを用いると共に、該水の配合量が該ポリスチレン系樹脂(I)1kg当り0.05モル以上であることを特徴とするポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法。
  2. 前記物理発泡剤が、30〜70モル%の炭素数3〜5の飽和炭化水素と、10〜50モル%の二酸化炭素と、10〜50モル%の水とからなる(但し、炭素数3〜5の飽和炭化水素と二酸化炭素と水の配合割合の合計は100モル%である)ことを特徴とする請求項1に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法。
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