JP6368257B2 - Abs樹脂発泡体、及びその製造方法 - Google Patents
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Description
前記ABS樹脂に、測定温度200℃、引取速度10m/minの測定条件下における溶融張力が100〜400mNで、かつ、測定温度200℃における限界引取速度が15〜30m/minのものを使用した点に特徴がある。
前記ABS樹脂に、測定温度200℃、引取速度10m/minの測定条件下における溶融張力が100〜400mNで、かつ、測定温度200℃における限界引取速度が15〜30m/minのものを使用した点に特徴がある。
本発明のABS樹脂発泡体の製造方法について以下に説明する。まず材料となるABS樹脂および発泡剤を押出成形機に投入した後、前記材料をスクリュー内で加熱混練し、更に混練した材料をダイ孔から押し出して発泡成形を行う。その後、ダイ孔から押し出された高温状態の成形体を冷却賦形して所定形状のABS樹脂発泡体を作製する。
本発明で使用するABS樹脂には、測定温度200℃、引取速度10m/minの測定条件下における溶融張力が100〜400mNのものを選択する。これは、溶融張力が100mNよりも小さいと、溶融樹脂が垂れ易くなって発泡後にセルが潰れ易くなるためであり、また溶融張力が400mNよりも大きいと、溶融樹脂が膨らみ難くなって発泡性が悪化するためである。
本発明で使用する発泡剤は、化学発泡剤でも物理発泡剤でも問題ないが、特に良好な発泡性を得るために化学発泡剤を選択するのが好ましい。また化学発泡剤を使用する場合には、無機系発泡剤(重曹を主成分とするもの等)や有機系発泡剤(アゾ系化合物を主成分とするもの等)から最適なものを自由に選択できる。
本発明では、発泡剤以外にも必要に応じて滑剤や加工助剤、可塑剤、改質剤や着色剤等の添加剤を使用することができ、特にABS樹脂の成形性を向上させるために滑剤(外滑剤や内滑剤)を使用するのが好ましい。
次に、本発明の効果の実証試験について以下に説明する。まず本試験では、上記製造条件を満たすABS樹脂発泡体と、条件を満たさないABS樹脂発泡体の発泡性の比較を行うために、下記実施例1〜3および比較例1のサンプルを作製した。なお溶融張力および限界引取速度は、東洋精機製作所製のキャピログラフ(測定温度条件:融解温度以上、引取速度範囲:2〜200m/min)を用いて測定した。
この実施例1では、主材料に、測定温度200℃、引取速度10m/minの測定条件下における溶融張力が180mNで、かつ、測定温度200℃における限界引取速度が26m/minのABS樹脂を使用すると共に、発泡剤に化学発泡剤を使用し、更に添加剤としてASレジン、ステアリン酸リチウム(外滑剤)、エチレンビスアマイド(内滑剤)及びアクリル系加工助剤を使用した。そして、これらの材料を押出成形機により加熱混練、押出発泡してABS樹脂発泡体を作製した。その結果、得られた発泡体に「ス」は見られなかった。
この実施例2では、主材料に、測定温度200℃、引取速度10m/minの測定条件下における溶融張力が120mNで、かつ、測定温度200℃における限界引取速度が28m/minのABS樹脂を使用すると共に、発泡剤に化学発泡剤を使用し、更に添加剤として滑剤を使用した。そして、これらの材料を押出成形機により加熱混練、押出発泡してABS樹脂発泡体を作製した。その結果、得られた発泡体に「ス」は見られなかった。
この実施例3では、主材料に、測定温度200℃、引取速度10m/minの測定条件下における溶融張力が260mNで、かつ、測定温度200℃における限界引取速度が21m/minのABS樹脂を使用すると共に、発泡剤に化学発泡剤を使用し、更に添加剤として滑剤を使用した。そして、これらの材料を押出成形機により加熱混練、押出発泡してABS樹脂発泡体を作製した。その結果、得られた発泡体に「ス」は見られなかった。
この比較例1では、主材料に、測定温度200℃、引取速度10m/minの測定条件下における溶融張力が130mNで、かつ、測定温度200℃における限界引取速度が14m/minのABS樹脂を使用すると共に、発泡剤に化学発泡剤を使用し、更に添加剤として滑剤を使用した。そして、これらの材料を押出成形機により加熱混練、押出発泡してABS樹脂発泡体を作製した。その結果、得られた発泡体に「ス」が生じていた。
上記実施例1〜3及び比較例1の各ABS樹脂発泡体について、発泡体の外観及び断面を視認することにより発泡性の比較を行った。その結果、比較例1の発泡体は、内部に大きな空洞が生じて外観不良となっているのに対し、実施例1〜3の発泡体は、内部に大きな空洞がなく外観も良好であった。なお、図1のグラフは、実施例1〜3及び比較例1で使用したABS樹脂の溶融張力および限界引取速度の試験結果をまとめたものである。
Claims (6)
- 押出成形機に投入したABS樹脂および発泡剤を加熱混練して押出発泡成形するABS樹脂発泡体の製造方法において、
前記ABS樹脂に、測定温度200℃、引取速度10m/minの測定条件下における溶融張力が100〜400mNで、かつ、測定温度200℃における限界引取速度が15〜30m/minのものを使用することを特徴とするABS樹脂発泡体の製造方法。 - ABS樹脂に、測定温度200℃における限界引取速度が20〜30m/minのものを使用することを特徴とする請求項1記載のABS樹脂発泡体の製造方法。
- 押出発泡成形の発泡倍率を2〜4倍とすることを特徴とする請求項1または2に記載のABS樹脂発泡体の製造方法。
- 押出成形機を用いて加熱混練したABS樹脂および発泡剤を押出発泡成形して成るABS樹脂発泡体において、
前記ABS樹脂に、測定温度200℃、引取速度10m/minの測定条件下における溶融張力が100〜400mNで、かつ、測定温度200℃における限界引取速度が15〜30m/minのものが使用されていることを特徴とするABS樹脂発泡体。 - ABS樹脂の測定温度200℃における限界引取速度が20〜30m/minであることを特徴とする請求項4記載のABS樹脂発泡体。
- 発泡倍率2〜4倍の範囲で押出発泡成形されていることを特徴とする請求項4または5に記載のABS樹脂発泡体。
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