JP6381223B2 - ポリスチレン系樹脂発泡体 - Google Patents
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Description
HBCDは、汎用性があり、比較的少量の添加で難燃効果が得られる優れた難燃剤である。
しかし、HBCDに対しては化審法やREACHによる規制の動きがあり、規制対象物質に指定された場合を想定し、HBCD難燃剤を使用しない難燃剤代替発泡体製造技術の開発が求められている。
たとえば、特許文献1には、難燃剤としてテトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)等のハロゲン化芳香族アルキルアリールエーテル類のハロゲン化物を使用することが開示されている。
しかし、テトラブロモビスフェノールA−(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)は発泡体に高い難燃性を付与することができるものの発泡体を回収してリペレット化する工程においてポリスチレン系樹脂を分解させやすく、この回収原料を製品の一部として使用する場合、発泡させる為に必要な圧力を保持することができない、或いは押出条件が安定しない等の問題が生じることがあった。
しかし、臭素化イソシアヌレートやテトラブロモビスフェノールA−(2,3−ジブロモプロピルエーテル)は、HBCDまたはテトラブロモビスフェノールA−(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)に比べ、ポリスチレン系樹脂発泡体への難燃性付与効果が劣るため、添加量を増やした上で、更にジフェニルアルカン等の難燃助剤を添加することが必要となる。
さらに、この臭素化ブタジエン系重合体を多量に添加すると押出時(押出発泡時、リペレット時)等に発泡体や再生原料ペレットに黒点の発生や変色が生じ、外観に優れるとともに再生原料として再利用可能な発泡体とすることはできなかった。もっともこの臭素化ブタジエン系重合体の多量添加による黒点の発生や着色現象等の不具合はその添加量を少量とするにより軽減できるものの、この場合には、上記したJIS A9511(2006R)の難燃規格をクリアするような高度な難燃性を有し、かつ酸素指数が高い発泡体を得ることが困難となるといった新たな問題が生じる。
<2>臭素化ブタジエン系重合体とテトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)との配合比が重量比で75:25〜25:75であることを特徴とする<1>に記載のポリスチレン系樹脂発泡体。
<3>難燃助剤の配合量が臭素化ブタジエン系重合体とテトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)との合計100重量部に対して1〜20重量部であることを特徴とする<1>又は<2>に記載のポリスチレン系樹脂発泡体。
<4>難燃助剤がポリ−1,4−ジイソプロピルベンゼンであることを特徴とする<1>から<3>のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂発泡体。
<5>臭素化ブタジエン系重合体が臭素化ブタジエン−スチレン共重合体であることを特徴とする<1>から<4>のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂発泡体
<6>臭素化ブタジエン系重合体の配合量がポリスチレン系樹脂100重量部に対して0.5重量部以上1.5重量部以下であることを特徴とする<1>から<5>のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂発泡体。
(a)多量に添加することにより、JIS A9511の難燃規格をクリアするポリスチレン系樹脂発泡体を得ることは可能ではあるが、多量添加すると、押出発泡時に黒点の発生や変色が生じ、外観に優れる発泡体とすることが難しい。
(b)多量添加された発泡体又は発泡体製造時の端材などを溶融して再生原料とする際に黒点や変色が生じ、良好な再生原料を得ることが難しい。
(c)少量の添加により、黒点の発生や変色は抑制できるものの高度の難燃性を有する発泡体を得ることができない。
本発明はかかる知見に基づいてなされたものである。
(ポリスチレン系樹脂)
ポリスチレン系樹脂発泡体を構成するポリスチレン系樹脂としては、例えばポリスチレンや、ゴム変性ポリスチレン(HIPS)、スチレンを主成分とするスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ポリフェニレンエーテル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−メチルスチレン共重合体、スチレン−ジメチルスチレン共重合体、スチレン−エチルスチレン共重合体、スチレン−ジエチルスチレン共重合体等やこれら2種以上の混合物が挙げられる。上記スチレン系共重合体におけるスチレン単位成分含有量は50モル%以上が好ましく、特に好ましくは80モル%以上である。なお、ポリスチレン系樹脂には、ジビニルベンゼンや多分岐状マクロモノマーなどの多官能性モノマー単位成分が含まれていてもよい。これらのポリスチレン系樹脂の中でも、発泡性の観点からポリスチレンが好ましい。
本発明においては、難燃剤として、臭素化ブタジエン系重合体とテトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)が用いられる。
本発明で用いる臭素化ブタジエン系重合体それ自体は従来公知のものであり、たとえば特許文献3や4で開示されるものがそのまま使用できる。
一般に、難燃剤として使用される臭素化ブタジエン系重合体は、ポリブタジエン換算で、重量平均分子量1.0×103〜2.0×105程度、好ましくは2.0×103〜1.0×105、より好ましくは5.0×103〜1.0×105、さらに好ましくは5.0×104〜1.0×105のブタジエン系重合体を臭素化することにより製造される。
また、スチレン系単量体としては、スチレン、臭素化スチレン、塩素化スチレン、2−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−メチルスチレンなどが例示でき、これこれらの中でも、スチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレン又はこれらの混合物が好ましく、より好ましくはスチレンである。
本発明で好ましく用いられる臭素化ブタジエン−スチレンブロック共重合体としては、Chemtura社のEmerald3000、ICL−IP社のFR122Pなどの市販品を挙げられる。
本発明においては、難燃剤として、上記臭素化ブタジエン系重合体とともにテトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)を用いる。このテトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)はそれ自体ではポリスチレン系樹脂発泡体への難燃性付与効果に劣るものであるが、これに上記臭素化ブタジエン系重合体難燃剤とポリアルキルベンゼン難燃助剤とを組み合わせることにより、ポリスチレン系樹脂発泡体の難燃性が顕著に向上する。また、このテトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)はポリスチレン系樹脂発泡体やその製造時の端材などを溶融して再生原料にリペレット化する際の熱安定性に寄与する効果も併せ持つ。
上記臭素化ブタジエン系重合体とテトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)からなる複合難燃剤の配合割合は、特に制限はないが重量比で75:25〜25:75、好ましくは70:30〜40:60である。
配合割合が前記の範囲内である場合には、後記する難燃助剤との相互作用により安定的に黒点や変色のない発泡体が得られ、かつ高度の難燃性を付与することが可能となる。また、臭素化ブタジエン系重合体中に熱安定剤が適度に分散するようになるためか、ポリスチレン系樹脂発泡体を製造するや再生原料を製造する際に、効果的に黒点の発生を抑制することができる。
本発明では、上記した理由により、従来、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して少なくとも3重量部以上添加しなければ高度な難燃性を付与できないとされていた臭素化ブタジエン系共重合体の添加量を3重量部未満とした場合、好ましくは2重量部以下、1.5重量部以下とした場合であっても、高度な難燃性を有するポリスチレン系樹脂発泡体を得ることが可能である。また、臭素化ブタジエン系重合体の配合量の下限は、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して0.2重量部であることが好ましく、より好ましくは0.5重量部である。
本発明の所期の目的を達成する範囲において、発泡体に配合される難燃剤には、臭素化ブタジエン共重合体及びテトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)以外のその他の難燃剤を含んでもよい。その他の難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールS−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)に代表される臭素化ビスフェノール系化合物、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート、モノ(2,3,4−トリブロモブチル)イソシアヌレート、ジ(2,3,4−トリブロモブチル)イソシアヌレートに代表される臭素化イソシアヌレート系化合物等が挙げられる。その配合量は、臭素化ブタジエン共重合体及びテトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)の合計100重量部に対して20重量部以下とすることが好ましく、15重量部以下とすることがより好ましく、10重量部以下とすることがさらに好ましい。
本発明においては、上記特有な組み合わせの複合難燃剤とともに難燃助剤としてポリアルキルベンゼンが用いられる。
ポリアルキルベンゼンとしては、具体的にはポリ−1,4−ジイソプロピルベンゼンが例示される。
該難燃助剤は上記複合難燃剤100重量部に対して、1〜20重量部配合されることが好ましく、3〜15重量部配合されることがより好ましい。
本発明においては、前記難燃剤には、押出時に難燃剤の分解を抑制する熱安定剤を配合することが好ましい。
熱安定剤としては、エポキシ樹脂系安定剤、ホスファイト系安定剤、フェノール系安定剤及びヒンダードアミン系安定剤から選ばれる一種以上のものが挙げられる。
これらの熱安定剤の総配合量は、臭素化ブタジエン系重合体とテトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)との合計100重量部に対して、1〜35重量部とすることが好ましく、より好ましくは2〜25重量部である。
これらは、単独または2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、押出安定性、難燃性の点から、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が好ましい。
本発明に係るポリスチレン系樹脂発泡体の見掛け密度は、優れた断熱性と機械的強度の観点から、好ましくは20〜60kg/m3、更に好ましくは22〜50kg/m3である。また、ポリスチレン系樹脂発泡体の厚みは、10〜150mm、更に20〜100mmであることが好ましい。発泡体の幅は、具体的には600mm〜1500mmが好ましい。また、厚み方向の平均気泡径は、より高い断熱性を有する発泡体とする上で1.0mm以下、更に0.75mm以下、特に0.5mm以下であることが好ましい。該気泡径が小さすぎる場合は、厚みが厚く、低見掛け密度の板状の押出発泡体を得ること自体が難しい。かかる観点から、厚み方向の平均気泡径は0.05mm以上、更に0.06mm以上、特に0.07mm以上であることが好ましい。
上記厚み方向の平均気泡径の測定方法は次のとおりである。まず、押出発泡体を幅方向に3等分し、分割した各測定用サンプルの幅方向中央部付近の幅方向垂直断面(押出発泡体の押出方向と直交する垂直断面)の顕微鏡拡大写真を得る。次いで、該拡大写真上において発泡体の厚み方向に沿って押出発泡体の全厚みに亘る直線を引き、その直線と交差する気泡の数を計数し、直線の長さ(当然のことながら、この長さは拡大写真上の直線の長さではなく、写真の拡大率を考慮した直線の長さを指す。)を計数された気泡の数で割ることによって、各直線上に存在する気泡の平均径Tn(直線の長さ/該直線と交差する気泡の数)を求め、求められた3箇所の平均径Tnの算術平均値を厚み方向の平均気泡径T(mm)とする。なお、押出発泡体の全厚みが1枚の顕微鏡拡大写真に納まらない場合には、数枚に分けて撮影すればよい。
本発明のポリスチレン系樹脂発泡体は、種々の方法によって製造することができるが、ポリスチレン系樹脂と、上記複合難燃剤、難燃助剤および好ましくは熱安定剤と発泡剤を混練して得られる発泡性溶融樹脂組成物を押出発泡する方法が好ましく採用される。
押出機に供給されるポリスチレン系樹脂としては、前記発泡体の項で説明したものと同様なポリスチレンやスチレンを主成分とするスチレン−アクリル酸共重合体等が用いられる。
熱安定剤の効果を高めるためには、臭素化ブタジエン系重合体とテトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)からなる複合難燃剤と、熱安定剤とを含む混合物を押出機やミキサー等に投入し、これらを溶融混合することにより作製される難燃剤溶融混合物として押出機に投入することが好ましい。
溶融混練時の温度は、臭素化ポリブタジエン系重合体及び臭素化ビスフェノール系化合物からの臭素の遊離を効果的に抑制するためには溶融混合時の樹脂温度は低いほど好ましく、概ね190℃以下、好ましくは185℃以下とする。
また、難燃剤溶融混合物は、計量性、取扱の容易性等からカットするなどしてペレット状にしておくことが好ましい。
発泡剤は特に限定されないが、炭素数3〜5の飽和炭化水素と以下に示す他の発泡剤とを含有する複合発泡剤を用いることが、背景技術に記載した観点から好ましい。
前記炭素数3〜5の飽和炭化水素としては、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、シクロペンタン、ネオペンタンなどが挙げられる。
上記の飽和炭化水素は、単独又は2種以上混合して使用することができる。
前記飽和炭化水素の中では、発泡性の点からプロパン、n−ブタン、i−ブタンあるいはこれらの混合物が好ましい。また、発泡体の断熱性能の点からn−ブタン、i−ブタンあるいはこれらの混合物が好ましく、特に好ましくはi−ブタンである。
前記飽和炭化水素以外の有機物理発泡剤としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチルなどの蟻酸エステル類、塩化メチル、塩化エチルなどの塩化アルキル類などが挙げられる。また、オゾン破壊係数が0、かつ地球温暖化係数の小さいトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンなどのフッ化不飽和炭化水素、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンなどの塩化フッ化不飽和炭化水素を用いることもできる。
上記の他の発泡剤は、単独又は2種以上混合して使用することができる。
前記他の発泡剤の中では、発泡性、発泡体成形性などの点からは、塩化メチル、塩化エチル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、メタノール、エタノール、水、二酸化炭素が好ましい。
発泡性溶融樹脂組成物には、発泡体の平均気泡径を調整するために気泡調整剤を添加することができる。気泡調整剤としては、タルク、カオリン、マイカ、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、クレー、酸化アルミニウム、ベントナイト、ケイソウ土等の無機物が例示される。また、本発明において該気泡調整剤は2種以上組合せて用いることもできる。
本発明の発泡体は、前記特有な難燃剤と難燃助剤を含むことから、押出時加工時の熱安定性に優れ、その再生原料(再生ポリスチレン系樹脂組成物)は回収時における分子量低下、黄変の程度、黒点の発生が少ないものとすることができる。
従って、該回収発泡体をリサイクル原料として用いることにより、前記発泡体を低コストで製造することができる。
内径65mmの第1押出機と内径90mmの第2押出機が直列に連結されており、発泡剤注入口が第1押出機の終端付近に設けられており、横断面が長方形の樹脂排出口(ダイリップ)を備えたフラットダイが第2押出機の出口に連結され、第2押出機の樹脂出口にはこれと平行するように設置された上下一対のポリテトラフルオロエチレン樹脂からなる板により構成された賦形装置(ガイダー)が付設された装置を用いた。
PS1:ポリスチレン(重量平分子量27万)
難燃剤としては、下記表1に示すものを用いた。なお、表中の臭素含有量は、JIS K7392:2009に準じて測定された値である。
熱安定剤としては、以下の(1)〜(3)を、(1)50重量%、(2)25重量%、(3)25重量%の割合で混合したものを用いた。
(1)ノボラック型エポキシ系安定剤:DIC製、商品名「EPICLON N680」
(2)リン系安定剤:ADEKA製、商品名「PEP36」(ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト)
(3)ヒンダードフェノール系安定剤:BASF製、商品名「Irganox1010」(ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート])
タルク(松村産業製、ハイフィラー#12)
(ポリスチレン系樹脂発泡体の製造)
前記第1押出機に、表3に示す配合量となるように上記した、ポリスチレン系樹脂(PS1)、難燃剤A、難燃剤B、難燃助剤C、熱安定剤及び気泡調整剤(タルク)を供給し、第1押出機内で220℃まで加熱して、これらを混練し、第1押出機の先端付近に設けられた物理発泡剤注入口から、表3に示す配合組成の物理発泡剤の所要量を供給した。
なお、上記難燃剤A、難燃助剤Cと熱安定剤は、これらを二軸押出機(内径20mm、L/D=48)に供給し、溶融混練部の最高温度190℃、押出時の樹脂温度175℃となるように温度を調整して、吐出10kg/hrでストランド状に押出し、ペレット状にカットすることにより作製した難燃剤溶融混練物1として、前記押出機に供給した。
難燃剤および難燃助剤を表3に記載の割合に代えた以外は実施例1と同様にして実施例2〜3のポリスチレン系樹脂発泡体を製造した。実施例2〜3で得られたポリスチレン系樹脂発泡体の、見掛け密度、厚み、独立気泡率、難燃性、黒点の発生状況、および再生樹脂の黒点の発生状況を表3に示す。
難燃剤Aを配合せず、難燃剤Bと難燃助剤Cの割合を表3に記載の割合に代えた以外は実施例1と同様にして比較例1のポリスチレン系樹脂発泡体を製造した。
難燃剤Bと難燃剤Cを配合せず、難燃剤Aの割合を表3に記載の割合に代えた以外は実施例1と同様にして比較例2のポリスチレン系樹脂発泡体を製造した。
難燃助剤Cを配合しない以外は実施例1と同様にして比較例3のポリスチレン系樹脂発泡体を製造した。
難燃剤Aの割合を表3に記載の割合に代えた以外は比較例2と同様にして比較例4のポリスチレン系樹脂発泡体を製造した。
比較例4において、難燃剤Bを配合し、難燃剤Aと難燃剤Bの割合を表3に記載の割合に代えた以外は比較例4と同様にして比較例5のポリスチレン系樹脂発泡体を製造した。
難燃剤Bを配合せず、難燃剤Aと難燃助剤Cの割合を表3に記載の割合に代えた以外は実施例1と同様にして比較例6のポリスチレン系樹脂発泡体を製造した。
発泡体の見掛け密度は、次のようにして求めた。得られた発泡体の幅方向の中央部、両端部付近から50×50×20mmの直方体の試料を各々切り出して重量を測定し、該重量を体積で割算することにより夫々の試料の見掛け密度を求め、それらの算術平均値を当該見掛け密度とした。
発泡体の幅方向中央部付近において、等間隔に5点の厚みを測定し、それらの測定値の算術平均値を発泡体の厚み(mm)とした。
発泡体の独立気泡率は、次のようにして求めた。まず、発泡体を幅方向に5等分し、それらの中央部付近から25mm×25mm×20mmのサイズに成形表皮を持たないカットサンプル(計5個)を切り出した。次に、ASTM−D2856−70の手順Cに従って、各カットサンプルの真の体積Vxを測定し、下記(1)式により独立気泡率S(%)を計算し、それら計算値の算術平均値を発泡体の独立気泡率とした。なお、測定装置として東芝ベックマン株式会社の空気比較式比重計930型を使用した。
ただし、Vx:上記空気比較式比重計による測定により求められるカットサンプルの真の体積(cm3)(発泡体のカットサンプルを構成する樹脂組成物の容積と、カットサンプル内の独立気泡部分の気泡全容積との和に相当する。)
Va:測定に使用されたカットサンプルの外形寸法から算出されたカットサンプルの見掛け上の体積(cm3)
W:測定に使用されたカットサンプル全重量(g)
ρ:発泡体を構成する樹脂組成物の密度(g/cm3)
前記方法により、発泡体から各部位の厚み方向の平均気泡径を測定し、それらの測定値の算術平均値を発泡体の平均気泡径(mm)とした。
製造直後の発泡体を気温23℃、相対湿度50%の部屋に移し、その部屋で4週間放置した後、発泡体の中央部から約1gの測定用試験片を切り出し、ガスクロマトグラフ分析を行って、発泡体中に残存する発泡剤(イソブタン)の量を求めた。
<ガスクロマトグラフ分析の測定条件>
カラム:信和加工株式会社製
担体:chromosorb W、60〜80メッシュ、AW−DMCS処理品
液相:Silicone DC550(液相量20%)
カラム寸法:カラム長さ4.1m、カラム内径3.2mm
カラム素材:ガラス
カラム温度:40℃
注入口温度:200℃
キャリヤーガス:窒素
キャリヤーガス速度:50ml/min.
検出器:FID
検出器温度:200℃
定量:内部標準法
製造直後の発泡体を気温23℃、相対湿度50%の部屋に移し、その部屋で4週間放置した後、発泡体から試験片を切り出し、JIS K7201−2:2007に準拠して測定し、難燃性を評価した。点火器の熱源の種類は、液化石油ガス(LPG)を使用し、点火手順はA法を使用し、試験片を試験機内の所定の位置に自立させて行った。試験場所の温度は23℃、湿度50%で行った。
製造直後の発泡体を気温23℃、相対湿度50%の部屋に移し、その部屋で4週間放置した後、発泡体から試験片を無作為に5個切り出して(N=5)、JIS A9511(2006R)の5.13.1「測定方法A」に基づいて燃焼性を測定し、5個の試験片の平均燃焼時間により、発泡体の難燃性を評価した。
発泡体を押出方向に対して垂直に切断した断面5箇所において目視にて観察した。
○:0〜1個
△:2〜5個
×:6個以上
該発泡体を粉砕した後、内径90mm、L/D=50の単軸押出機に供給して表1に記された最高温度220℃、または230℃で混練し、その溶融樹脂を吐出量50kg/hrでストランド状に押出し、ペレット状にカットすることによりポリスチレン系樹脂組成物のペレットを作製した。油圧プレス機と180℃に加熱された1mm厚さで100×100の形状の金型を用い、樹脂プレートを作製を行い、プレートに含まれる黒点の数を目視にて計測した。
○:0〜1個
△:2〜5個
×:6個以上
再生回数1回目で得られたペレット(最高温度220℃のもの)を更に内径90mm、L/D=50の単軸押出機に供給して表1に記された最高温度220℃、または230℃で混練し、その溶融樹脂を吐出量50kg/hrでストランド状に押出し、ペレット状にカットすることによりポリスチレン系樹脂組成物のペレットを作製。油圧プレス機と180℃に加熱された1mm厚さで100×100の形状の金型を用い、樹脂プレートの作製を行い、プレートに含まれる黒点の数を目視にて計測した。
○:0〜1個
△:2〜5個
×:6個以上
上記難燃剤や難燃助剤をそれぞれ単独で用いた場合あるいはこれらの成分を単に2種類組み合わせた場合の上記比較例1〜6の発泡体にはこのような複合効果がみられないことから、本発明の奏する複合効果は、上記難燃剤A、難燃剤B及び難燃助剤Cの三者を巧みに組み合わせ使用したことによって初めて発現したものであり、従来の技術常識では想定できない極めて顕著なものであるといえる。
Claims (6)
- 難燃剤を含有するポリスチレン系樹脂発泡体であって、該難燃剤が、臭素化ブタジエン系重合体とテトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)からなり、さらに難燃助剤として、ポリアルキルベンゼンを含み、臭素化ブタジエン系重合体の配合量がポリスチレン系樹脂100重量部に対して0.5重量部以上2重量部未満であることを特徴とするポリスチレン系樹脂発泡体。
- 臭素化ブタジエン系重合体とテトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)との配合比が重量比で75:25〜25:75であることを特徴とする請求項1に記載のポリスチレン系樹脂発泡体。
- 難燃助剤の配合量が臭素化ブタジエン系重合体とテトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)との合計100重量部に対して1〜20重量部であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリスチレン系樹脂発泡体。
- 難燃助剤がポリ−1,4−ジイソプロピルベンゼンであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂発泡体。
- 臭素化ブタジエン系重合体が臭素化ブタジエン−スチレン共重合体であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂発泡体。
- 臭素化ブタジエン系重合体の配合量がポリスチレン系樹脂100重量部に対して0.5重量部以上1.5重量部以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂発泡体。
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JP2014030075A JP6381223B2 (ja) | 2014-02-19 | 2014-02-19 | ポリスチレン系樹脂発泡体 |
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