JP2016094531A - 熱可塑性樹脂押出発泡断熱板 - Google Patents

熱可塑性樹脂押出発泡断熱板 Download PDF

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Abstract

【課題】発泡断熱板よりも熱伝導率が小さく、より長期断熱性に優れる熱可塑性樹脂押出発泡断熱板を開発する。【解決手段】熱可塑性樹脂押出発泡断熱板は、厚さ10〜150mm、見かけ密度20〜50kg/m3の熱可塑性樹脂押出発泡断熱板であり、該押出発泡断熱板を構成する熱可塑性樹脂がポリスチレン系樹脂と、融解熱量が5J/g未満であるポリエチレンテレフタレート系共重合体(I)との混合物であり、該ポリスチレン系樹脂と該共重合体(I)の重量比率が85:15〜50:50であり、該押出発泡断熱板の気泡膜断面の透過型電子顕微鏡写真において、該気泡膜に沿う方向の長さが5μm以上の筋状の共重合体(I)相が存在し、該気泡膜に沿う方向の長さが5μm以上の筋状の共重合体(I)相の面積の合計が気泡膜断面の全面積の15%以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、熱可塑性樹脂押出発泡断熱板に関し、詳しくは、建築物の壁、床、屋根等の断熱材として好適に使用可能な熱可塑性樹脂押出発泡断熱板に関するものである。
ポリスチレン樹脂押出発泡断熱板(以下、単に発泡断熱板ともいう。)は、優れた断熱性及び機械的強度を有することから、板状に成形されたものが断熱材等として広く使用されている。このような発泡断熱板は、一般に押出機中でポリスチレン樹脂を加熱溶融した後、得られた溶融物に物理発泡剤を圧入、混練して得られる発泡性溶融混練物を、押出機先端に付設されたフラットダイなどから低圧域に押出発泡することにより製造されている。
前記のようなポリスチレン樹脂押出発泡断熱板の製造には、塩化フッ化炭化水素、水素原子含有塩化フッ化炭化水素、フッ化炭化水素などのフロン類が物理発泡剤として使用されてきたが、現在はオゾン層の保護や地球温暖化防止などの観点から、ノルマルブタン、イソブタンなどの炭化水素や、ハイドロフルオロオレフィン(以下、HFOともいう。)を含む発泡剤が使用されるようになってきている。なお、該HFOは、不燃性の発泡剤であり、オゾン破壊係数が0(ゼロ)であるとともに、地球温暖化係数も小さく、得られる発泡断熱板の熱伝導率を下げる特性を有するものである。
なお、これらの炭化水素やハイドロフルオロオレフィンを含む発泡剤は熱伝導率が低いため、気泡中に残存していれば断熱性の向上に寄与するものの、徐々に逸散していくので押出発泡板の熱伝導率も徐々に上昇するという問題があった。この炭化水素等の物理発泡剤の逸散を防止することを目的とする技術が、特許文献1に開示されている。
特許文献1には、発泡断熱板を構成する基材樹脂として、ポリスチレン樹脂と特定のDSC曲線に基づくポリエステル樹脂の融解に伴う吸熱ピーク熱量が5J/g未満の非晶性のポリエステル樹脂との混合物を用いることにより、発泡剤の発泡断熱板からの逸散を効果的に防止して、長期にわたり優れた断熱性を達成できることが開示されている。
特開2013−82805号公報
しかし、近年では、さらなる長期断熱性の向上が求められるようになってきており、それにより長期断熱性がさらに改良された発泡断熱板が求められている。
本発明は、従来の発泡断熱板よりも熱伝導率が小さく、より長期断熱性に優れる熱可塑性樹脂押出発泡断熱板を開発することを課題とするものである。
本発明によれば、以下に示す熱可塑性樹脂押出発泡断熱板が提供される。
[1]厚さ10〜150mm、見かけ密度20〜50kg/mの熱可塑性樹脂押出発泡断熱板において、
該押出発泡断熱板を構成する熱可塑性樹脂がポリスチレン系樹脂と、JIS K7122(1987)に基づく融解熱量が5J/g未満であるポリエチレンテレフタレート系共重合体(I)との混合物であり、
該ポリスチレン系樹脂と該共重合体(I)の重量比率が85:15〜50:50であり、
該押出発泡断熱板の気泡膜断面の透過型電子顕微鏡写真において、該気泡膜に沿う方向の長さが5μm以上の筋状の共重合体(I)相が存在し、該気泡膜に沿う方向の長さが5μm以上の筋状の共重合体(I)相の面積の合計が気泡膜断面の全面積の15%以上であることを特徴とする、熱可塑性樹脂押出発泡断熱板。
[2]前記押出発泡断熱板の気泡膜断面の透過型電子顕微鏡写真において、前記気泡膜に沿う方向の長さが5μm以上の筋状の共重合体(I)相が2以上厚み方向に存在している、前記[1]に記載の熱可塑性樹脂押出発泡断熱板。
[3]前記押出発泡断熱板の気泡膜断面の透過型電子顕微鏡写真において、前記気泡膜の厚み方向に引いた直線上に共重合体(I)相が7以上存在している、前記[1]または[2]に記載の熱可塑性樹脂押出発泡断熱板。
[4] 前記押出発泡断熱板の気泡膜断面の透過型電子顕微鏡写真において、前記気泡膜の平均厚みが1〜3μmである、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂押出発泡断熱板。
本発明の熱可塑性樹脂押出発泡断熱板においては、ポリスチレン系樹脂と特定のポリエチレンテレフタレート系共重合体(I)(以下、単に共重合体(I)ともいう。)を特定量含有する混合物が基材樹脂として用いられ、該押出発泡断熱板の気泡膜断面の透過型電子顕微鏡写真において、該押出発泡断熱板の気泡膜を構成する樹脂中に、気泡膜に沿う方向の長さが5μm以上の筋状の該共重合体(I)相が特定の面積割合で存在することが確認されるモルフォロジーであることにより、気泡中の発泡剤の逸散が抑えられると共に、空気の気泡中への浸入が抑えられる。その結果、本発明の押出発泡断熱板においては、従来の発泡断熱板よりも熱伝導率が低い状態が長期にわたって維持され、長期断熱性が達成される。
図1は、実施例1で得られた発泡断熱板の気泡膜断面写真である。 図2は、実施例2で得られた発泡断熱板の気泡膜断面写真(幅方向(TD方向)断面)である。 図3は、実施例2で得られた発泡断熱板の気泡膜断面写真(押出方向(MD方向)断面)である。 図4は、実施例3で得られた発泡断熱板の気泡膜断面写真である。 図5は、実施例4で得られた発泡断熱板の気泡膜断面写真である。 図6は、実施例5で得られた発泡断熱板の気泡膜断面写真である。 図7は、比較例1で得られた発泡断熱板の気泡膜断面写真である。 図8は、比較例2で得られた発泡断熱板の気泡膜断面写真である。
以下、本発明の熱可塑性樹脂押出発泡断熱板について詳細に説明する。
本発明の熱可塑性樹脂押出発泡断熱板を構成する基材樹脂は、ポリスチレン系樹脂と、特定のポリエチレンテレフタレート系共重合体(I)とからなるものである。
前記ポリスチレン系樹脂としては、例えばポリスチレンやスチレンを主成分とするスチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ポリフェニレンエーテル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレンアクリレート共重合体、スチレン−メチルスチレン共重合体、スチレン−ジメチルスチレン共重合体、スチレン−エチルスチレン共重合体、スチレン−ジエチルスチレン共重合体、ハイインパクトポリスチレン(耐衝撃性ポリスチレン樹脂)等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上の混合物であってもよい。なお、前記スチレン系共重合体におけるスチレン成分含有量は50モル%以上が好ましく、特に好ましくは80モル%以上である。
前記ポリスチレン樹脂の中でも、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ポリフェニレンエーテル共重合体が好ましく、さらにはポリスチレンがより好ましい。
該ポリスチレン系樹脂は、温度200℃、剪断速度100sec−1の条件下における溶融粘度(η2)が800〜2000Pa・sのものが好ましく、850〜1500Pa・sのものがより好ましい。ポリスチレン樹脂の溶融粘度(η2)が、この範囲内であることにより、共重合体(I)との混練性に優れるので、気泡膜断面の透過型電子顕微鏡写真(以下、単に気泡膜断面写真または断面写真ともいう。)において、筋状の共重合体(I)相として観察される相状態を形成することがより容易となる。
なお、ポリスチレン樹脂がその他の成分やリサイクル樹脂などを含有する場合には、それらを含むポリスチレン系樹脂組成物が上記の溶融粘度を有することが好ましい。
該ポリスチレン系樹脂は、200℃における溶融張力が30cN以上のポリスチレン(a)を含有することが好ましい。該ポリスチレン(a)が配合されることにより、前記ポリスチレン系樹脂相を形成するのに好適な溶融粘度を維持しつつ、押出発泡時に気泡が破泡し難くなるので、見かけ密度が低いと共に断熱性に優れる発泡断熱板が得られる。かかる観点から、ポリスチレン(a)の溶融張力は35cN以上であることが好ましく、40cN以上であることがさらに好ましい。なお、ポリスチレン(a)の溶融張力の上限は概ね100cNであり、好ましくは60cNである。該溶融張力(MT)は、ASTM D1238に準じて測定された値であり、例えば、(株)東洋精機製作所製のキャピログラフ1Dによって測定することができる。
また、該ポリスチレン(a)の重量平均分子量(Mw)は20×10〜70×10であることが好ましく、より好ましくは30×10〜60×10であることが好ましく、さらに好ましくは35×10〜55×10である。また、数平均分子量(Mn)は、9×10以上であることが好ましく、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比Mw/Mnは3以上であることが好ましく、より好ましくは4以上である。
さらに、ポリスチレン(a)のZ平均分子量(Mz)は70×10以上が好ましく、80×10以上がより好ましく、100×10以上がさらに好ましい。
本明細書におけるポリスチレン(a)の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及びZ平均分子量(Mz)は、いずれもゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法(GPC法)により求めた値である。具体的には、ポリスチレン系樹脂30mgをテトラヒドロフラン(THF)20mLに溶解させた後(ただし、THFへの不溶分が存在する場合には、ろ過により該不溶分を除去した後)、下記に示す分析条件にてGPC法による測定を行い、この測定によって得られたチャートのポリスチレン系樹脂によるピーク開始位置を基準にして水平(横軸と平行)にベースラインを引き、標準ポリスチレンを用いて作成した標準較正曲線により、各分子量を計算する。
使用機器:株式会社ジーエルサイエンス製GPC仕様高速液体クロマトグラフ
カラム:昭和電工株式会社製カラム、商品名Shodex GPC KF−806、同KF−805、同KF−803をこの順に直列に連結して使用
カラム温度:40℃
溶媒:THF
流速:1.0mL/分
濃度:0.15w/v%
注入量:0.2ml
検出器:株式会社ジーエルサイエンス製紫外可視検出器、商品名UV702型(測定波
長254nm)
分子量分布の計算に用いた較正曲線の分子量範囲:1.9×107〜5.4×103
該特定の溶融張力を有するポリスチレン(a)としては、例えば、分岐構造を有するマクロモノマーを用いて重合することにより得られた、DIC社製HP780などの、分子中に特殊な分岐構造が導入されたポリスチレン系樹脂などが挙げられる。
該ポリスチレン(a)の含有割合はポリスチレン系樹脂100重量%中、40重量%以下であることが好ましく、30重量%以下であることがより好ましい。
本発明の押出発泡断熱板を構成するポリエチレンテレフタレート共重合体(I)(以下、単に共重合体(I)ともいう。)は、JIS K7122(1987)に基づく樹脂の融解に伴う融解熱量(A)(以下、単に融解熱量(A)ともいう)が5J/g未満の共重合体である。ここで、融解熱量が5J/g未満である共重合体(I)とは、共重合体(I)が非晶性又は低結晶性のポリエチレンテレフタレート共重合体であることを意味する。
該共重合体(I)の結晶化度が高く、融解熱量が高すぎる場合には、押出機内にて熱可塑性樹脂を発泡温度まで冷却する前に、ポリエチレンテレフタレート共重合体の結晶化が開始してしまい、目的とする発泡断熱板を得ることが困難となる。かかる観点から、共重合体(I)の融解熱量は、2J/g未満(0も含む。)であることが好ましく、より好ましくは1J/g未満(0も含む。)である。
本願明細書における、前記融解熱量(A)は、JIS K7122(1987)に記載の「一定の熱処理を行った後、融解熱を測定する場合」(試験片の状態調節における加熱速度と冷却速度は、いずれも10℃/分とする。)を採用し、熱流束示差走査熱量測定装置(以下、DSC装置という。)を使用して得られるDSC曲線に基づいて測定される。
なお、前記共重合体(I)は、ジカルボン酸成分単位としてテレフタル酸成分単位、ジオール成分単位としてエチレングリコール成分単位を、主たる成分単位として有するものである。さらに、該共重合体(I)の結晶性を制御するために、その他の成分単位が用いられる。
本発明の押出発泡断熱板を構成する共重合体(I)の、その他のジカルボン酸成分としては、ジカルボン酸或いはそのエステル形成性誘導体が使用できる。エステル形成性誘導体としては、例えば、炭素数1〜4程度のアルキルエステルなどのエステル誘導体、ジアンモニウム塩などの塩、ジクロリドなどの酸ハロゲン化物などを挙げることができる。該共重合体(I)中のジカルボン酸成分単位としては、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、フタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、3,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸又はその酸無水物等の誘導体、またはシュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸又はその誘導体、または1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸が挙げられる。これらのジカルボン酸成分は、単独で使用してもよく2種以上の複合使用でもよい。
該共重合体(I)の、その他のジオール成分としては、脂肪族系および芳香族系ジオール(二価のフェノールを含む)或いはそのエステル形成性誘導体が挙げられる。
該共重合体(I)中の、その他のジオール成分単位として、具体的には、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,6−シクロヘキサンジオール等の脂環式ジオール、ビスフェノールA等の芳香族ジオール、または3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン(以下、スピログリコールという)や(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−5−エチル−5−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン(以下、ジオキサングリコールという)等の環状エーテル骨格を有するジオールを挙げることができる。これらのジオール成分は、単独使用でもよく2種以上の複合使用でもよい。
該共重合体(I)は、前記の中でも、ジオール成分単位として、環状エーテル骨格を有するジオール成分単位を含有することが好ましく、これらの環状エーテル骨格を有するジオール成分の合計量はジオール成分中10モル%以上であることが好ましく、ジオール成分中15〜60モル%であることがより好ましく、20〜50モル%であることがさらに好ましい。また、該共重合体(I)は、ジオール成分単位としては、環状アセタール骨格を有するジオール成分単位を含有することがより好ましい。さらに、環状アセタール骨格を有するジオール成分単位としては、スピログリコールまたはジオキサングリコールが好ましい。
また、該ジオール成分単位として、シクロヘキサンジメタノール成分単位、ネオペンチルグリコール成分単位から選択される一種類以上を含むものも好ましい。なお、シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール成分単位の含有量はジオール成分中25〜40モル%であることが好ましい。
該共重合体(I)の結晶性の程度は、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸の他にイソフタル酸等を使用してそれらジカルボン酸成分単位のモル比を変える方法や、ジオール成分としてエチレングリコールの他にシクロヘキサンジメタノールやスピログリコール等を使用してそれらジオール成分単位のモル比を変える方法等により調整することができる。
該共重合体(I)は、例えば少量の安息香酸,ベンゾイル安息香酸,メトキシポリエチレングリコール等の単官能化合物から誘導される成分単位によって分子末端を封止されていてもよい。また、ピロメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多官能化合物から誘導される成分単位を少量含んでいてもよい。
本発明においては、該共重合体(I)の温度200℃、剪断速度100sec−1の条件下における溶融粘度(η1)が1000〜3000Pa・sであることが好ましい。溶融粘度がこの範囲の共重合体(I)は、ポリスチレン系樹脂との混練性に優れ、気泡膜のポリスチレン系樹脂中に、後述する特定の共重合体(I)相を形成させることができる。さらには、共重合体(I)成分が気泡膜に沿った方向に引き伸ばされた共重合体(I)相を形成することが可能となる。この共重合体(I)相は、得られた押出発泡断熱板の気泡膜断面写真において筋状の相として特定割合存在することが確認されるものである。このようにして、気泡膜中に形成されたモルフォロジーによりガスバリア効果が発現し、発泡断熱板の熱伝導率を長期に亘って低い状態に保つことができる。かかる観点から、該溶融粘度(η1)は1100〜2600Pa・sであることがより好ましく、1200〜2500Pa・sが更に好ましく、1400〜2400が特に好ましい。
更に、得られた押出発泡断熱板の気泡膜断面写真において、該共重合体(I)の筋状の相が特定の面積比率で確認されるようにするには、前記ポリスチレン系樹脂の溶融粘度(η2)に対する前記ポリエチレンテレフタレート共重合体(I)の溶融粘度(η1)の比(η1/η2)が1.0〜3.5であることが好ましく、より好ましくは1.2〜3.0であり、更に好ましくは1.3〜2.5であり、最も好ましくは1.4〜2.4である。比(η1/η2)がこの範囲内であれば、断面写真中の共重合体(I)相が筋状として形成され易くなる。
本発明における熱可塑性樹脂において、前記ポリスチレン系樹脂と前記共重合体(I)の重量比率(ポリスチレン系樹脂:共重合体(I))は、85:15〜50:50である。共重合体(I)の配合量が該範囲内であれば、断面写真中に現れる筋状の共重合体(I)の相を特定割合とすることが可能である。より好ましくは、ポリスチレン樹脂:共重合体(I)は、80:20〜51:49であり、さらに好ましくは75:25〜52:48である。
本発明においては、本来の目的を阻害しない範囲内で、前記熱可塑性樹脂中に、前記ポリスチレン系樹脂及び共重合体(I)以外のその他の樹脂や共重合体、例えばポリオレフィン樹脂、スチレン系エラストマーやポリフェニレンエーテル樹脂などを、配合目的に応じて混合することができる。なお、その配合量の上限は、発泡断熱板を構成する熱可塑性樹脂全体を100重量%として、30重量%であることが好ましく、20重量%であることが更に好ましく、10重量%であることが特に好ましい。
本発明の押出発泡断熱板は、前記の通り、ポリスチレン系樹脂と特定の共重合体(I)とで構成されている。さらに、該押出発泡断熱板の場合、発泡体を構成する気泡膜中でポリスチレン系樹脂が連続相を形成している。
なお、本明細書において、気泡膜の断面写真中に確認される筋状の共重合体(I)相とは、断面写真中で気泡膜に沿う方向(該気泡膜の長手方向、気泡膜の厚み方向と直交する方向)に線状または帯状に共重合体(I)が存在して相をなしていることをいう。
該共重合体(I)相の長さは、5μm以上の長さであれば、所望されるガスバリア効果を発現するのに充分であると考えられる。該共重合体(I)相の長さは好ましくは6μm以上であり、より好ましくは10μm以上であり、さらには該共重合体(I)が共連続相を形成することが特に好ましい。
さらに、本発明においては、該気泡膜断面写真において、該気泡膜断面の全面積に対する、該気泡膜に沿う方向の長さが5μm以上の筋状の共重合体(I)相の面積の合計の面積比率が15%以上であることを要する。該面積比率が該範囲内であることによって、優れたガスバリア性の向上効果が得られるので、押出発泡断熱板の熱伝導率を長期にわたって低く保つことができる。かかる観点から、該面積比率は20%以上であることがより好ましく、30%以上であることがさらに好ましく、40%以上であることが特に好ましい。なお、該面積比率の上限は、概ね55%であり、好ましくは50%である。
また、共重合体(I)相の面積の合計に対する、5μm以上の筋状共重合体(I)相の合計の面積の比率は、40%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることがさらに好ましい。上記範囲であれば、効率的に筋状の共重合体(I)相が形成され、長期断熱性に優れる発泡断熱板となる。
また、該気泡膜断面写真において、該気泡膜に沿う方向の長さが5μm以上の筋状の共重合体(I)相が気泡膜の厚み方向に2以上存在することがより好ましい。該筋状の共重合体(I)相が厚み方向に2以上存在するモルフォロジーにより、気泡中の発泡剤の逸散や空気泡中への空気の浸入が段階的に抑制され、特に、気泡中への空気の浸入が効果的に抑えられる。かかる観点から、該筋状の共重合体(I)相の数は、3以上がより好ましく、更に好ましくは4以上である。
更に、該気泡膜断面写真において、共重合体(I)相が気泡膜厚み方向に引いた直線上に少なくとも7以上存在することが好ましい。このように確認されるモルフォロジーで、共重合体(I)がポリスチレン系樹脂中に存在していれば、該気泡膜中で、空気や発泡剤が厚み方向に通過することが抑制され、大気中の空気の気泡膜中への浸入や発泡剤の逸散を多段的に抑えることができる。
なお、該気泡膜厚み方向に引いた直線上に該共重合体(I)相が7以上存在しているとは、筋状の相に加えて、島状などの、その他の相形態も含む共重合体(I)相の数が7以上存在していることを意味する。共重合体(I)がポリスチレン系樹脂中で微細構造を形成したモルフォロジーは、断面写真中に筋状として現れる態様が好ましいものの、該筋状の相の存在を前提として、島状などとして存在しているものであっても、空気や発泡剤が厚み方向に通過することを抑制することができると考えられる。
前記共重合体(I)相についての測定方法においては、後述する方法により撮影された気泡膜断面の拡大写真において、気泡膜に沿った方向に等間隔に10箇所以上気泡膜厚み方向に直線を引いたときの、該直線上に存在する共重合体(I)部分の数を測定し、その平均値を採用することとする。
また、該押出発泡断熱板の気泡膜断面写真において、筋状の相の厚み方向の平均長さ(厚み)は、60〜300nmであることが好ましい。該厚みが該範囲内であれば、ガスバリア性の優れた向上効果が発揮される。かかる観点から、該厚みは、70〜150nmが好ましく、80〜100nmがさらに好ましい。
本発明の発泡断熱板における気泡膜の平均厚みは、1〜3μmであることが好ましく、1〜2.8μmがより好ましく、更に好ましくは1.2〜2.6μmである。該平均厚みが該範囲内であれば、気泡膜中に、前記筋状の共重合体(I)相を容易に形成することができ、優れたガスバリア性を発揮することができる。
本発明において、前記筋状の共重合体(I)相の長さ、厚み方向の平均長さ(厚み)、相の数、気泡膜厚みの測定は、発泡断熱板から超薄切片を作製し、染色後、透過型電子顕微鏡で気泡膜の断面を撮影し(拡大倍率20000倍)、得られた電子顕微鏡断面写真を用いて測定することとする。
本発明の発泡断熱板の見かけ密度は、20〜50kg/mである。見かけ密度が小さすぎる場合は、発泡断熱板を製造すること自体かなり困難であり、用途によっては機械的強度が不十分な発泡断熱板となる。一方、見かけ密度が大きすぎる場合には、発泡断熱板の厚みを相当厚くしない限り、充分な断熱性を発揮させることが困難であり、また軽量性の点からも好ましくない。かかる観点から、25〜45kg/mであることが好ましい。
該発泡断熱板の厚みは10〜150mmである。厚みが薄すぎる場合には、特に断熱材として使用する場合に要求される断熱性が不十分となる虞がある。一方、押出機の大きさにもよるが、厚みが厚すぎる場合には発泡押出成形が難しくなる虞がある。なお、厚みは15mm〜120mmがより好ましい。
該発泡断熱板の厚み方向平均気泡径は、好ましくは0.05〜2mmであり、より好ましくは0.06〜0.7mmであり、さらに好ましくは0.06〜0.3mmである。厚み方向の平均気泡径が該範囲内にあることにより、前記見かけ密度範囲の構成と相俟って赤外線透過を抑制することができるなどの理由からより一層高い断熱性を有する発泡断熱板となるなどの利点がある。
本明細書における平均気泡径の測定方法は次の通りである。
厚み方向の平均気泡径(DTav)、幅方向の平均気泡径(DWav)は、発泡断熱板の幅方向垂直断面の中央部及び両端部付近の計3箇所において、写真中のセル数が200から500個程度になるように拡大倍率を50倍から200倍程度の範囲で調整した拡大写真を得、各々の写真上において、ナノシステム株式会社製の画像処理ソフトNS2K−proを用いて個々の気泡の厚み方向の気泡径及び幅方向の気泡径を計測し、それらの値を各々算術平均することにより求めることができる。
押出方向の平均気泡径(DLav)は、発泡断熱板の幅方向を二等分する位置で、発泡断熱板を押出方向に切断して得られた押出方向垂直断面の、任意の3箇所の顕微鏡拡大写真を得、各々の写真上において、ナノシステム株式会社製の画像処理ソフトNS2K−proを用いて個々の気泡の押出方向の気泡径を計測し、それらの値を各々算術平均することにより求めることができる。また、発泡断熱板の水平方向の平均気泡径Dは、DWavとDLavの算術平均値とする。
本発明の発泡断熱板においては、気泡変形率が0.7〜2.0であることが好ましい。気泡変形率とは、前記測定方法により求められたDをDで除すことにより算出される値(D/D)であり、該気泡変形率が1よりも小さいほど気泡は扁平であり、1よりも大きいほど縦長である。気泡変形率が小さすぎる場合は、気泡が扁平なので圧縮強度が低下する虞があり、扁平な気泡は球形に戻ろうとする傾向が強いので、発泡断熱板の寸法安定性も低下する虞がある。気泡変形率が大きすぎる場合は、厚み方向における気泡数が少なくなるので、気泡形状による断熱性向上効果が小さくなる。そのような観点から、該気泡変形率は、0.8〜1.5であることが好ましく、0.8〜1.2であることがより好ましい。気泡変形率が該範囲内にあることにより、機械的強度に優れ、かつ更に高い断熱性を有する熱可塑性樹脂押出発泡断熱板となる。
該発泡断熱板の独立気泡率は85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、93%以上であることがさらに好ましい。独立気泡率が高い程、HFO等の物理発泡剤が長く気泡中に留まることが可能となり、高い断熱性能を長期に亘って維持することができる。独立気泡率S(%)は、ASTM−D2856−70の手順Cに従って、空気比較式比重計(例えば、東芝ベックマン(株)製、空気比較式比重計、型式:930型)を使用して測定される。
該発泡断熱板の熱伝導率は、0.0260W/(m・K)以下であることが望ましく、0.0250W/(m・K)以下であることが更に好ましい。該熱伝導率がこの範囲内であれば断熱性に優れる、建材用途に好適な発泡断熱板となる。なお、熱伝導率は、製造直後から変動するが、発泡断熱板の使用時に、所望される範囲内の熱伝導率となっていればよい。
さらに、該発泡断熱板は、長期の断熱性にも優れるため、製造後100日経過後の熱伝導率が、0.0248W/(m・K)以下であることが好ましく、0.0245W/(m・K)以下であることが更に好ましい。
本発明の発泡断熱板は、前記の通り、共重合体(I)が、断面写真において特定の共重合体(I)相が確認されるモルフォロジーで、気泡膜を形成するポリスチレン系樹脂中に存在しているので、製造後の熱伝導率の経時変化を低く保つことができる。
該発泡断熱板中のHFOの残存量は、製造後100日経過後で発泡断熱板1kg当たり0.18モル以上存在することが好ましい。該残存量がこの範囲内であれば、HFOが断熱性向上効果を発揮して、より断熱性に優れる発泡断熱板となる。
一方、HFO残存量の上限は、発泡断熱板の見かけ密度などとも関連するが、概ね0.8モルであり、好ましくは0.7モルである。なお、HFOの残存量は、製造直後から変動するものであるが、発泡断熱板の使用時に、この範囲内のHFO残存量であればよい。
本明細書における発泡断熱板中のHFO残存量は、ガスクロマトグラフを用いて内部標準法により測定される値である。具体的には、発泡断熱板から適量のサンプルを切り出し、このサンプルを適量のトルエンと内部標準物質の入った蓋付き試料ビン中に入れ蓋を閉めた後、充分に撹拌し発泡断熱板中のHFOをトルエン中に溶解させた溶液を測定用試料としてガスクロマトグラフ分析を行って発泡断熱板中のHFO残存量を求める。
本発明の発泡断熱板においては、製造100日後の気泡内の空気分圧が1atm未満であることが好ましい。該発泡断熱板は、前記共重合体(I)が特有の相構造を形成することにより、発泡体の熱伝導率を上昇させる要因となる空気の気泡内への流入を遅延させることができると考えられる。従って、従来の押出発泡体よりも長期間、気泡内の空気分圧が低く保持され、空気の流入量が少なくなるものと推察される。かかる観点から、製造100日後の空気分圧は、0.8atm以下であることがより好ましく、0.7atm以下であることがさらに好ましく、0.65atm未満であることが特に好ましい。
本発明の特徴は、前記したように前記共重合体(I)が、気泡膜を構成するポリスチレン系樹脂中に、前記断面写真に特定の相が特定割合形成されていることが確認されるモルフォロジーで存在していることにある。次に、本発明の発泡断熱板の製造方法について説明する。
本発明の発泡断熱板は、例えば、前記ポリスチレン系樹脂と、該共重合体(I)とを前記特定配合で押出機に供給して樹脂溶融物とし、これに物理発泡剤を圧入して発泡性樹脂溶融物とし、該発泡性樹脂溶融物を押出機出口に付設されたフラットダイを通して押出発泡し、板状に賦形することにより製造することができる。
なお、本発明特有のモルフォロジーを形成させるためには、ポリスチレン系樹脂と共重合体(I)を前述の特定の樹脂、配合とすることを要する。
本発明の発泡断熱板の製造には、前記物理発泡剤として有機物理発泡剤及び/又は無機物理発泡剤を用いることができる。該有機物理発泡剤としては、炭素数3〜5の飽和炭化水素、炭素数1〜5の脂肪族アルコール、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)、エーテル類、塩化アルキル類が挙げられる。また、該無機物理発泡剤としては、水、二酸化炭素、窒素などが挙げられる。これらの発泡剤は、単独、又は2種以上を混合して使用することができる。
前記炭素数3〜5の飽和炭化水素としては、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、シクロペンタン、ネオペンタンなどが挙げられる。
前記ハイドロフルオロオレフィン(HFO)としては、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(トランスHFO−1234ze)、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(シスHFO−1234ze)、1,1,1,2−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンなどのフッか不飽和炭化水素や、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンなどの塩化フッ化不飽和炭化水素が挙げられる。本発明においては、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンから選択される少なくとも1種を含有することが、長期断熱性を達成するために好ましい。
前記炭素数1〜5の脂肪族アルコールとしては、例えばメチルアルコール(メタノール)、エチルアルコール(エタノール)、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール(イソブチルアルコール)、tert−ブチルアルコール、アリールアルコール、クロチルアルコール、プロパギルアルコール、n−アミルアルコール,sec−アミルアルコール,イソアミルアルコール、tert−アミルアルコール、ネオペンチルアルコール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール等が挙げられる。これらの中では、エタノールが環境、人体への安全性に優れるため好ましい。
前記エーテル類としては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどが挙げられる。
前記塩化アルキル類としては、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチルなどの蟻酸エステル類、塩化メチル、塩化エチルなどが挙げられる。
前記物理発泡剤の熱可塑性樹脂1kgあたりの合計配合量は、所望する見かけ密度との関連で適宜選択されるが、見かけ密度が20〜50kg/mの発泡断熱板を得るには、概ね0.8〜3モルであり、好ましくは0.6〜2.5モルである。
なお、前記の物理発泡剤の中でも、前記炭素数3〜5の飽和炭化水素と前記ハイドロフルオロオレフィン(HFO)と前記炭素数1〜5の脂肪族アルコールと水が組み合わされた物理発泡剤(A)が好ましく、その配合割合は、炭素数3〜5の飽和炭化水素20〜60モル%、HFO3〜50モル%、炭素数1〜5の脂肪族アルコール3〜40モル%、水5〜50モル%(ただし、HFOと、炭素数1〜5の脂肪族アルコールと、炭素数3〜5の飽和炭化水素と、水との配合割合の合計量は100モル%である)であることが好ましい。
該物理発泡剤(A)において、前記飽和炭化水素の配合割合が前記範囲内であれば、押出安定性を低下させることなく、低見かけ密度であり、長期断熱性にも優れ、さらに多量の難燃剤を添加しなくても、難燃性に優れる発泡断熱板を容易に得ることができる。また、該飽和炭化水素は、ポリスチレン樹脂に対する溶解度が高いので押出安定性を向上させることができ、ポリスチレン樹脂に対するガス透過速度が遅いので、比較的長期にわたって熱伝導率を低く保つことができる。かかる観点から、該飽和炭化水素の配合割合は、25〜60モル%が好ましく、より好ましくは30〜50モル%である。
該飽和炭化水素の熱可塑性樹脂1kgあたりの配合量は0.1〜3モルが好ましく、より好ましくは0.2〜2.5モル、更に好ましくは0.3〜2モルである。この範囲内であれば、安定した押出発泡が可能となり、所望される見かけ密度の発泡断熱板を得ることが容易となる。
前記ハイドロフルオロオレフィンは、オゾン破壊係数がゼロであり、地球温暖化係数が非常に小さく、環境に与える負担が小さい発泡剤である。さらに、気体状態の熱伝導率が低く、燃えにくい特性を有するので、前記飽和炭化水素と併用することによって該飽和炭化水素の使用量を減らすことができ、難燃剤の添加量を低減させることができる。
該物理発泡剤(A)において、該HFOの配合割合が前記範囲内であれば、得られる発泡断熱板の独立気泡率、見かけ密度が低下したり、発泡状態が悪くなったりすることなく、気泡内にHFOを多く残存させることができるので、長期断熱性に優れた発泡断熱板が得られる。かかる観点から、該HFOの配合割合は、5〜40モル%が好ましく、より好ましくは10〜30モル%である。
該HFOの熱可塑性樹脂1kgあたりの配合量は、0.05〜0.5モル/kgであることが好ましい。該配合量がこの範囲内であれば、押出発泡後の発泡断熱板に、HFOが有効量残存して、長期断熱性を有する押出発泡断熱板となる。かかる観点から、該HFOの配合量は0.1〜0.4モル/kgであることがより好ましく、0.15〜0.3モル/kgがさらに好ましい。
前記物理発泡剤(A)において、前記炭素数1〜5の脂肪族アルコールの配合割合が前記範囲内であれば、所望される見かけ密度を得つつ、前記共重合体(I)の存在状態をガスバリア性に優れるものにすることができる。また、該炭素数1〜5の脂肪族アルコールは、ポリスチレン系樹脂よりも共重合体(I)に対して、特異的に可塑性を向上させることができる。その働きにより、熱可塑性樹脂の構成比率においてポリスチレン樹脂が多く存在する場合に、ポリスチレン樹脂に対して共重合体(I)の粘度を相対的に低下させることによって、該共重合体(I)の分散性を向上させることができ、特に、筋状相を形成しやすくすることができる。該炭素数1〜5の脂肪族アルコールの配合割合は、5〜30モル%がより好ましく、更に好ましくは8〜20モル%である。
該炭素数1〜5の脂肪族アルコールの配合量は熱可塑性樹脂1kgあたり0.05〜0.3モルであることが好ましく、0.07〜0.28モルがより好ましく、0.08〜0.25モルが更に好ましく、0.10〜0.23モルが特に好ましい。
更に、前記物理発泡剤(A)において、前記炭素数1〜5の脂肪族アルコールの配合量(b)に対する、前記ハイドロフルオロオレフィンの配合量(a)のモル比(a/b)は0.3〜4であることが好ましい。該モル比がこの範囲内であれば、優れた長期断熱性を有する発泡断熱板を得ることができる。
かかる観点から、該モル比は0.5〜3.5であることがより好ましく、1〜2であることがさらに好ましい。
なお、従来の前記炭化水素や前記HFOを発泡剤として用いた発泡断熱板においては、これらの発泡剤は従来用いられていたフロン類に比べるとポリスチレン樹脂に対する透過速度が相対的に速いことから、発泡後、徐々に発泡剤が逸散してしまい、その結果、フロン類を発泡剤として使用していたときに比べて、発泡断熱板の長期断熱性が低下する傾向にあった。これに対し、本発明の発泡断熱板においては、発泡断熱板を構成する熱可塑性樹脂がポリスチレン樹脂と前記共重合体(I)とからなる上に、押出発泡断熱板の気泡膜断面写真においてポリスチレン系樹脂の連続相中に、特定の共重合体(I)の相が形成されていることが確認されるモルフォロジーで、共重合体(I)がポリスチレン系樹脂中に存在していることにより、物理発泡剤、特にHFOの逸散が効果的に防止され、大気からの気泡内への空気の流入も防止されることにより、長期断熱性が従来の発泡断熱板より優れたものとなる。
なお、前記物理発泡剤(A)においては、さらに、水を物理発泡剤として用いることが好ましい。水を、前記飽和炭化水素と前記HFOと前記脂肪族アルコールに加えて用いることにより、得られる発泡断熱板の発泡倍率をさらに向上させて、見かけ密度を小さくすることが可能となる。水の配合割合は、5〜50モル%であることが好ましい(ただし、HFOと、前記脂肪族アルコールと、前記飽和炭化水素と、水との配合割合の合計量は100モル%である)。
前記水の配合割合が前記範囲内であれば、所望される見かけ密度を得つつ、発泡断熱板の気泡形状の悪化を防止することが容易であり、長期断熱性に優れた発泡断熱板を容易に得ることが可能となる。かかる観点から、該配合割合は、10〜40モル%、より好ましくは15〜35モル%である。
本発明の熱可塑性樹脂押出発泡断熱板は、主に建築用断熱板として使用される場合には、JIS A9511(2006R)5・13・1に規定される、「測定方法A」に記載の押出ポリスチレンフォーム保温板を対象とする燃焼性規格を満足することが好ましい。さらに、該熱可塑性樹脂発泡断熱板は、JIS A9511(2006R)4.2で規定される熱伝導率の規格を満足することが望ましい。なお、これらの規格を満足する熱可塑性樹脂押出発泡断熱板は、前記飽和炭化水素の発泡断熱板中の含有量の調整に加えて、難燃剤を添加することにより達成される。
本発明の熱可塑性樹脂押出発泡断熱板に配合できる難燃剤としては、臭素系難燃剤が好ましく使用される。該臭素系難燃剤としては、臭素化ビスフェノール系難燃剤、臭素化イソシアヌレート系難燃剤または臭素化されたブタジエン−スチレン共重合体系難燃剤などが挙げられる。
本発明において、臭素化ビスフェノール系難燃剤とはビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、又はこれらの誘導体の臭素化物であり、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)とテトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)などが挙げられる。
該臭素化イソシアヌレート系難燃剤とは、イソシアヌル酸又はイソシアヌル酸誘導体の臭素化物であり、モノ(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートなどが挙げられる。
該臭素化ブタジエン−スチレン共重合体としては、ブロック共重合体、ランダム共重合体又はグラフト共重合体など、従来公知のものがそのまま使用でき、ポリスチレン−臭素化ポリブタジエン共重合体などが挙げられる。具体的には、Chemtura社のEmerald3000、ICL−IP社のFR122Pなどの市販品が挙げられる。
該臭素系難燃剤の総配合量は、所望の難燃性に応じて適宜決定されるものであるが、JIS A9511(2006R)記載の押出ポリスチレンフォーム保温板の燃焼性規格を満足するポリスチレン系樹脂押出発泡体を得るためには、熱可塑性樹脂100重量部に対して1〜10重量部配合することが好ましく、より好ましくは2〜8重量部である。該範囲内であれば、難燃剤が発泡性を阻害することなく、良好な表面状態の押出発泡体が得られる。
なお、前記難燃剤は、臭素化ビスフェノール系難燃剤、臭素化イソシアヌレート系難燃剤及び臭素化ブタジエン−スチレン共重合体系難燃剤以外のその他の難燃剤を含むことができる。その他の難燃剤の添加量は、臭素系難燃剤の添加量全体に対して20重量%以下が好ましく、10重量%以下がより好ましい。
該難燃剤の熱可塑性樹脂への配合方法としては、所定割合の難燃剤を熱可塑性樹脂と共に押出機上流に設けられている供給部に供給し、押出機中にて混練する方法を採用することができる。その他、押出機途中に設けられた難燃剤供給部より溶融熱可塑性樹脂中に難燃剤を供給する方法も採用することができる。尚、難燃剤を押出機に供給する場合、難燃剤と熱可塑性樹脂を構成するポリスチレン系樹脂とをドライブレンドしたものを押出機に供給する方法や、難燃剤マスターバッチや難燃剤溶融混練物を作製し、熱可塑性樹脂と共に押出機に供給する方法を採用することができる。特に、分散性の点から難燃剤マスターバッチを作製し押出機に供給する方法を採用することが好ましい。
本発明においては、ヒンダードフェノール系安定剤、リン系安定剤、およびヒンダードアミン系安定剤等の安定剤を熱可塑性樹脂に添加することができる。これらの安定剤は、加工時に臭素系難燃剤が分解して発生するハロゲンラジカルやハロゲンイオンを補足するなどにより、ポリスチレン系樹脂の分子量低下や着色を抑制することができるものである。
また、難燃助剤として、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、2,3−ジエチル−2,3−ジフェニルブタンなどのジフェニルアルカンや、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、2,4−ジフェニル−4−エチル−1−ペンテンなどのジフェニルアルケン、ポリ−1,4−ジイソプロピルベンゼンなどのポリアルキルベンゼン、トリフェニルホスフェート、クレジルジ−2,6−キシレニルホスフェート、三酸化アンチモン、五酸化二アンチモン、硫酸アンモニウム、すず酸亜鉛、シアヌル酸、イソシアヌル酸、トリアリルイソシアヌレート、メラミンシアヌレート、メラミン、メラム、メレム等の窒素含有環状化合物、シリコーン系化合物、酸化ホウ素、ホウ酸亜鉛、硫化亜鉛などの無機化合物、赤リン系、ポリリン酸アンモニウム、フォスファゼン、次亜リン酸塩等のリン系化合物等を熱可塑性樹脂に配合することができる。これらの化合物は単独又は2種以上を混合して使用できる。
前記熱可塑性樹脂には、断熱性向上剤を配合してさらに断熱性を向上させることができる。断熱性向上剤としては、例えば、酸化チタン等の金属酸化物、アルミ等の金属、セラミック、カーボンブラック、黒鉛等の微粉末、赤外線遮蔽顔料、ハイドロタルサイトなどが例示される。これらは1種又は2種以上を使用することができる。該断熱性向上剤の添加量は熱可塑性樹脂100重量部に対し、0.5〜5重量部の範囲で使用される。
該熱可塑性樹脂に、必要に応じて、気泡調整剤、顔料,染料等の着色剤、熱安定剤、充填剤等の各種の添加剤を適宜配合することができる。
該気泡調整剤として、例えば、タルク、カオリン、マイカ、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、クレー、ベントナイト、ケイソウ土等の無機物粉末、アゾジカルボジアミド等の従来公知の化学発泡剤などを用いることができる。なかでも難燃性を阻害することがなく気泡径を調整することが容易であるタルクが好適である。気泡調整剤の添加量は、該気泡調整剤の種類、目的とする気泡径等によって異なるが、基材樹脂100重量部に対し、概ね、0.01〜8重量部、更に0.01〜5重量部、特に0.05〜3重量部が好ましい。
気泡調整剤も他の添加剤と同様にマスターバッチを調製して使用することが添加剤の分散性の点から好ましい。気泡調整剤のマスターバッチの調製は、例えば、気泡調整剤としてタルクを使用した場合、マスターバッチの基材樹脂に対してタルクの含有量が20〜80重量%となるように調製されることが好ましく、30〜70重量%となるように調整されることがより好ましい。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例で使用したポリスチレン系樹脂を次に示す。実施例及び比較例においては、下記に示すポリスチレン1、ポリスチレン2、ポリスチレン3を、下記に示す重量比で配合した、樹脂1、樹脂2を用いた。
樹脂1:ポリスチレン1と、ポリスチレン2とを、67:33の重量比で混合したポリスチレン系樹脂。
なお、樹脂1を200℃で溶融混練してペレットとし、このペレットの溶融粘度を測定すると、溶融粘度は(200℃、100s−1)920Pa・sであった。
樹脂2:ポリスチレン1と、ポリスチレン2と、ポリスチレン3とを、67:23:10の重量比で混合したポリスチレン系樹脂。
なお、樹脂2を200℃で溶融混練してペレットとし、このペレットの溶融粘度を測定すると、溶融粘度は(200℃、100s−1)950Pa・sであった。
(1)ポリスチレン1(PS1):PSジャパン社製グレード名679、溶融粘度(温度200℃、せん断速度100s−1)=673Pa・s、溶融張力(200℃)=3cN 、Mn=7.3×10、Mw=20×10、Mz=38×10
(2)ポリスチレン2(PS2):DIC社製グレード名HP780、溶融粘度(温度200℃、せん断速度100s−1)=1946Pa・s、溶融張力(200℃)=45cN、Mn=10×10、Mw=50×10、Mz=190×10
(3)ポリスチレン3(PS3):PSジャパン社製グレード名GX154、溶融粘度(温度200℃、せん断速度100s−1)=1625Pa・s、溶融張力(200℃)=25cN、Mn=10×10、Mw=32×10、Mz=76×10
実施例及び比較例で使用した共重合体(I)を表1に示す。なお、SPET C、SPET Dは、SPET Aを押出機を用いて表1に示す加熱処理条件で処理することにより製造し、PETG Bは、PETG Aを押出機を用いて表1に示す加熱処理条件で処理することにより製造した。
実施例及び比較例で使用したポリスチレン系樹脂を表1に、共重合体(I)を表2に示す。
気泡調整剤
ポリスチレン樹脂をベースレジンとし、タルク(松村産業(株)製、商品名:ハイフィラー#12)60重量%を含有するタルクマスターバッチを用いた。
難燃剤
(i)テトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)(第一工業製薬製SR130、表中「SR130」と記載する)
(ii)テトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)(第一工業製薬製SR720、表中「SR720」と記載する)
を用いた。
物理発泡剤
下記(1)〜(4)を物理発泡剤として用いた。
(1)炭素数3〜5の飽和炭化水素:イソブタン(略称「i−Bu」)
(2)HFO:トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(略称「HFO1234ze」)
(3)炭素数1〜5の脂肪族アルコール:エタノール
(4)水
装置
内径65mmの第1押出機と内径90mmの第2押出機が直列に連結されており、発泡剤注入口が第1押出機の終端付近に設けられており、幅方向断面が長方形(間隙1mm×幅115mm)の樹脂排出口(ダイリップ)を備えたフラットダイが第2押出機の出口に連結されており、更にフラットダイの樹脂出口にはこれと平行するように上下一対のポリテトラフルオロエチレン樹脂からなる板が設置された賦形装置(ガイダー)が付設されている製造装置を用いた。
実施例1〜5、比較例1〜2
表3、表4中に示すそれぞれの配合量となるように樹脂、難燃剤及び気泡調整剤を、前記第1押出機に供給した。次に、これらを220℃まで加熱し、溶融、混練して樹脂溶融物とし、第1押出機の先端付近に設けられた発泡剤注入口から表2、表3中に示す配合組成の物理発泡剤を表中に示す割合で溶融物に供給し、溶融混練して発泡性樹脂溶融物とした。この発泡性樹脂溶融物を続く第2押出機及び第3押出機に移送して樹脂温度を表中に示すような発泡適性温度(表中では押出樹脂温度と表記した。この発泡温度は押出機とダイとの接合部の位置で測定された発泡性樹脂溶融物の温度である。)に調整した後、吐出量70kg/hrでダイリップからガイダー内に押出し、発泡させながら厚み方向に28mmの間隙で平行に配置されたガイダー内を通過させることにより板状に成形(賦形)し、熱可塑性樹脂押出発泡断熱板を製造した。得られた発泡断熱板の物性、評価結果を表3、表4にまとめて示す。
実施例1〜5は、ポリスチレン系樹脂の種類、配合量、発泡剤の種類、配合量、難燃剤の種類、配合量は同一で、共重合体(I)の種類を表3に示すものに替えて、発泡断熱板を製造した例である。
実施例1で得られた発泡断熱板の気泡膜断面写真(MD断面)を図1に示す。図1から、共重合体(I)の相は、気泡膜断面において、厚み方向に、筋状に特定割合で形成されていることが分かる。また、実施例2で得られた発泡断熱板のTD断面の気泡膜断面写真を図2に、実施例2で得られた発泡断熱板のMD断面気泡膜断面写真を図3に示す。図2は押出方向に垂直な側面(TD面)の気泡膜断面写真であり、図3は押出方向に平行な側面(MD面)の気泡膜断面写真である。図2のTD面と図3のMD面において共に、筋状相が現れていることから、本発明において形成される共重合体(I)相は、線状ではなく、層状として形成されていることが分かる。また、実施例3で得られた発泡断熱板の気泡膜断面写真(MD断面)を図4に、実施例4で得られた発泡断熱板の気泡膜断面写真(MD断面)を図5に、実施例5で得られた発泡断熱板の気泡膜断面写真(MD断面)を図6に示す。図1〜3と同様に、共重合体(I)の筋状相が現れていることが確認できる。
比較例1、2は気泡膜を構成するポリスチレン系樹脂中に、実施例と比較すると、断面写真(MD断面)中に現れている長さ5μm以上の共重合体(I)の筋状相が少ない例である。製造後5日後または7日後と100日後の熱伝導率、空気分圧を実施例と対比すると、実施例の発泡断熱板の方が経時変化量(熱伝導率差、空気分圧差)が小さいので、より長期にわたって断熱性を維持できることが分かる。
表中の各物性は次のように測定した。
(溶融粘度)
溶融粘度の測定は、温度200℃、剪断速度100sec−1の条件下において測定するものとし、株式会社東洋精機製作所製のキャピログラフ1Dによって測定される。具体的には、シリンダー径9.55mm、長さ350mmのシリンダーと、ノズル径1.0mm、長さ10.0mmのオリフィスを用い、シリンダー及びオリフィスの設定温度を200℃にし、熱風循環式乾燥機によりガラス転移温度より10℃低い温度で十分に乾燥させた樹脂を該シリンダー内に入れ、4分間放置してから測定し、そこで得られた溶融粘度(Pく、a・s)を採用する。なお、測定の際にオリフィスから押出されるストランドには気泡ができるだけ混入しないようにして測定した。
なお、共重合体(I)の場合、測定前に、80℃の真空オーブンで12時間乾燥を行った。
(見かけ密度)
見かけ密度の測定はJIS K7222:1999に準拠して行った。
(独立気泡率)
本明細書において発泡断熱板の独立気泡率は、前記ASTM−D2856−70の手順Cにより各サンプルの独立気泡率を測定し、それらの測定値を算術平均した値として下記式(1)から求めた。押出発泡断熱板の中央部および幅方向両端部付近の計3箇所からカットサンプルを切り出して各々のカットサンプルを測定試料とし、各々の測定試料について独立気泡率を測定し、3箇所の独立気泡率の算術平均値を採用した。なお、カットサンプルは発泡断熱板から縦25mm×横25mm×厚み20mmの大きさに切断された、発泡断熱板表皮を有しないサンプルとした。
S(%)=(Vx−W/ρ)×100/(VA−W/ρ) (1)
ただし、Vx:前記空気比較式比重計による測定により求められるカットサンプルの真の体積(cm)(発泡断熱板のカットサンプルを構成する樹脂の容積と、カットサンプル内の独立気泡部分の気泡全容積との和に相当する。)
VA:測定に使用されたカットサンプルの外寸法から算出されたカットサンプルの見かけ上の体積(cm
W:測定に使用されたカットサンプル全重量(g)
ρ:発泡断熱板を構成する基材樹脂の密度(g/cm
(厚み方向の平均気泡径)
厚み方向の平均気泡径(DTav)については、前記方法により測定した。厚み方向の平均気泡径(DTav)は、押出発泡体の幅方向垂直断面の中央部及び両端部付近の計三箇所の拡大倍率50倍の拡大写真を得、各々の写真上において、ナノシステム株式会社製の画像処理ソフトNS2K−proを用いて個々の気泡の厚み方向の気泡径及び幅方向の気泡径を計測し、それらの値を各々算術平均することにより求めた。
(発泡断熱板の気泡膜の断面写真)
まず、発泡断熱板の中央部分を適当な大きさに切り出した押出発泡体をエポキシ樹脂中に入れ包埋させた。包埋後、ガラスナイフ等で厚み方向に垂直な面を切り出し、ダイヤモンドナイフ等で断面から厚さ約0.1μmの発泡体の超薄型切片を切り出した。切り出した切片(サンプル)をCuメッシュに載せた状態で2%OsO水溶液数mlと共にシャーレ内に入れ室温で密封し、OsO蒸気に暴露させ、染色を30分間行った。次にサンプルをNaClO水溶液数mlと小スパチュラ1杯分のRuCl結晶を使用直前に混合した液とともにシャーレ内に入れ室温で密封し、発生するRuO蒸気に暴露させて30分間染色した。染色された発泡体の超薄型切片を透過型電子顕微鏡を用いて撮影した。撮影した電子顕微鏡写真において白い部分がポリスチレン樹脂であり、黒い部分が共重合体(I)である。なお、透過型電子顕微鏡としては、日本電子株式会社製透過電子顕微鏡「JEM−1010」を使用した。また、該写真を用いて、相の長さ、厚み方向の平均長さ(厚み)、相数を測定した。なお、本発明において上記測定が行われる気泡膜部は、発泡体断面において気泡膜(セル膜)が3個以上会合する会合部以外の部分である。気泡膜の延伸状態にもよるが、気泡膜部は、一つの気泡膜における膜厚みの最も薄い部分からその1.3倍の膜厚みまでの部分とした。
[撮影条件]
透過型電子顕微鏡:日本電子株式会社製透過電子顕微鏡「JEM−1010」
加速電圧:100kV
染色:四酸化ルテニウム
倍率:20,000倍
(5μm以上の筋状共重合体(I)相の面積比率)
前記方法により観察された画像をナノシステム株式会社製の画像処理ソフトNS2K−proを用いて解析し、筋状連続層の面積の測定を行った。撮影された倍率20000倍の画像の気泡膜に沿った方向に6μm以上の範囲を指定し(厚み方向は膜全体が入るように指定)、その範囲の気泡膜中の5μm以上の長さをもつ黒色に観察される筋状相を以下の画像処理条件で、各々の面積を計測した。
(1)モノクロ変換、(2)平滑化フィルタ(処理回数1回)、(3)NS法二値化(鮮明度5、感度5、ノイズ除去、濃度範囲0〜255)、(4)5μm以上の共重合体(I)相の面積(M)を選択し、面積(M)を算出した。一方、気泡膜断面の総面積(N)を算出し、MをNで除することにより、筋状の共重合体(I)相の面積比率を算出した。同様の操作を、計3点以上の箇所の拡大画像について行い、その平均値を採用した。また、同様にして、共重合体(I)相の全てを選択して、共重合体(I)相の面積を測定した。
(5μm以上の筋状共重合体(I)相の厚み)
前記方法により観察された画像上に、気泡膜に沿った方向の中心及び中心から左右2.5μmの点の計3点に気泡膜厚み方向に線分を引き、各線分と交わる5μm以上の長さの筋状の共重合体(I)相の厚みを測定し、それらの値を算術平均することにより、5μm以上の筋状共重合体(I)相の厚みを求めた。同様の操作を、計3点以上の箇所の拡大画像について行い、その平均値を採用した。
(気泡膜厚み方向に引いた線上における共重合体(I)相の数)
前記方法により観察された画像上に、画像の気泡膜に沿う方向の中心及び中心から左右に等間隔に10点、気泡膜厚み方向に線分を引き、各線分と交わる相の数(気泡膜厚み方向に引いた直線上に該共重合体(I)が存在する数)を計測した。相が気泡膜中で分岐、合流していた場合は、線分と交わった地点で分かれているものは複数の相として計測した。これらの10点の相の数を算術平均することにより、厚み方向の共重合体(I)相の数を求めた。同様の操作を、計3点以上の箇所の拡大画像について行い、その平均値を採用した。
(気泡膜厚み方向における、気泡膜に沿う方向の長さが5μm以上の、筋状の共重合体(I)相の数)
前記方法により観察された画像上に、画像の気泡膜に沿った方向の中心及び中心から長手方向左右2.5μmの点の計3点に、気泡膜厚み方向に線分を引き、該線分と交わる、長さが5μm以上の筋状の相の数を計測した。相がセル膜中で分岐、合流していた場合、線分と交わった点で分かれているものは複数の相として計測した。同様の操作を、計3点以上の箇所の拡大画像について行い、その平均値を採用した。
(気泡膜の厚み)
ナノシステム株式会社製の画像処理ソフトNS2K−proを用いて、撮影された倍率20000倍の画像の中心及び中心から気泡膜に沿った方向の左右2.5μmの点の計3点でセル膜の厚みを測定し、これらの値を算術平均することで、平均厚みとした。同様の操作を、計3点以上の箇所について行い、その平均値を採用した。
(熱伝導率)
熱伝導率は、製造後5日、または100日後の発泡断熱板から縦200mm×横200mm×厚み25mmの表皮が存在しない試験片を切り出し、該試験片についてJIS A1412−2(1999年)記載の平板熱流計法(熱流計2枚方式、高温側38℃、低温側8℃、平均温度23℃)に基づいて測定した。
(HFO残存量)
発泡断熱板のHFO残存量は、製造直後の発泡断熱板を、23℃、湿度50%の雰囲気下に5日、または100日保存した後、ガスクロマトグラフを用いて内部標準法により測定した。具体的には、発泡断熱板から、適量のサンプルを切り出し、このサンプルを適量のトルエンと内部標準物質の入った蓋付き試料ビン中に入れ蓋を閉めた後、充分に撹拌し発泡断熱板中のHFOをトルエン中に溶解させて測定用試料とし、ガスクロマトグラフ分析を行って発泡断熱板中のHFO残存量を求めた。
(空気分圧)
発泡断熱板の気泡内の空気分圧は、製造直後の発泡断熱板を、23℃、湿度50%の雰囲気下に7日、または100日保存した後、次の方法で測定した。
発泡断熱板の中央部より、縦90mm×横25mm×厚み15mmのサンプルを抜き加工により採取した。次に、エタノールを満たした容器中にサンプルを入れ、容器内の空気を排出した。次に、空気が混入しないようにトルエンを容器内に入れ、サンプルをテトラヒドロフランに溶解させ、容器内の空気の体積を測定し、気泡内の空気分圧を求めた。空気分圧が高いほど、気泡内に空気が流入していることを意味する。
(発泡状況の評価)
発泡状況の評価は、次の基準で行った。
◎:発泡状態がきわめて良好である。
○:発泡状態は良好であるが、表面の一部に凹凸が存在する
(燃焼性)
得られた発泡断熱板について、JIS A9511(2006R)5・13・1に準拠して、5・13・1の測定方法Aの燃焼性試験を行った。測定は一の発泡断熱板に対して試験片を5個切り出し、下記基準により評価した。
○:全ての試験片において3秒以内で炎が消え、残塵がなく、かつ燃焼限界線を超えて燃焼しない。
×:5個の試験片の平均燃焼時間が3秒を超える。
(長期断熱性)
実施例1、2、比較例1、2の発泡断熱板について、JIS A1486(2014)に準拠して、試験方法Aの熱抵抗の長期変化促進試験を行った。
発泡断熱板から厚さ10mmの試験片を切り出し、該試験片を表5に示す期間状態調節した後、熱伝導率の測定を行った。結果を表5に示す。切り出された試験片の熱伝導率と発泡断熱板の熱伝導率との関係は、例えば、厚さ28mmの発泡断熱板を厚さ10mmにスライスした場合には、切り出した試験片の製造後182日後の熱伝導率の測定値は発泡断熱板(厚さ28mm)の1430日経過後の熱伝導率の測定値に相当し、スライスした試験片の製造後400日後の測定値は発泡断熱板(厚さ28mm)の3140日経過後の熱伝導率の測定値に相当する。表5から、本発明の発泡断熱板は、長期の断熱性に優れることが分かる。

Claims (4)

  1. 厚さ10〜150mm、見かけ密度20〜50kg/mの熱可塑性樹脂押出発泡断熱板において、
    該押出発泡断熱板を構成する熱可塑性樹脂がポリスチレン系樹脂と、JIS K7122(1987)に基づく融解熱量が5J/g未満であるポリエチレンテレフタレート系共重合体(I)との混合物であり、
    該ポリスチレン系樹脂と該共重合体(I)の重量比率が85:15〜50:50であり、
    該押出発泡断熱板の気泡膜断面の透過型電子顕微鏡写真において、該気泡膜に沿う方向の長さが5μm以上の筋状の共重合体(I)相が存在し、該気泡膜に沿う方向の長さが5μm以上の筋状の共重合体(I)相の面積の合計が気泡膜断面の全面積の15%以上であることを特徴とする、熱可塑性樹脂押出発泡断熱板。
  2. 前記押出発泡断熱板の気泡膜断面の透過型電子顕微鏡写真において、前記気泡膜に沿う方向の長さが5μm以上の筋状の共重合体(I)相が2以上厚み方向に存在している、請求項1に記載の熱可塑性樹脂押出発泡断熱板。
  3. 前記押出発泡断熱板の気泡膜断面の透過型電子顕微鏡写真において、前記気泡膜の厚み方向に引いた直線上に共重合体(I)相が7以上存在している、請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂押出発泡断熱板。
  4. 前記押出発泡断熱板の気泡膜断面の透過型電子顕微鏡写真において、前記気泡膜の平均厚みが1〜3μmである、請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂押出発泡断熱板。

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