JP3871822B2 - 生分解性を有する発泡性樹脂組成物 - Google Patents

生分解性を有する発泡性樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生分解性を有し、乳酸を主たる原料とする包装材料として用いられる発泡体用樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
軽量性、緩衝性、成形加工性を生かしたプラスチック発泡体が包装、梱包材として多量に用いられており、その素材はポリスチレン(PS)、ポリオレフィンといった石油を原料とする化学製品が主として使用されており、該発泡体は使用後の処分が困難で、焼却すれば燃焼カロリーが高く焼却炉を傷め、また埋め立てても分解しないうえに容積が大きいために処分場のスペースを占有してしまうといった大きな社会問題となっている。
【0003】
また、処分されずに投棄された発泡体が及ぼす、河川、海洋等の汚染など自然態系への影響も無視できなくなっている。そこで生態系の中で分解し地球環境への影響が少ない生分解性樹脂が開発された。例えば、微生物の体内で合成されるポリヒドロキシブチレート系樹脂、脂肪族グリコールと脂肪族ジカルボン酸からなるポリエステルまたはカプロラクトンを主成分とするポリエステル系樹脂が提案されているが、前者は微生物が作り出すため純度が低い上、極めて生産性が悪く利用が制限される。
【0004】
そして後者は、原料が石油、天然ガスといった安価で多量に入手できるものであるから生産性は良好であるが、結晶性樹脂である上にガラス転移点が低いため生分解性発泡樹脂としては実用性に乏しい。更に、原料を石油、天然ガスに依存しているため、分解すると地球上に存在する炭酸ガス系に新たに炭酸ガスが加算され炭酸ガスの抑制効果に寄与しない。また、長期的に見た場合、原料ソースが有限であるため、やがて入手困難となり、真の意味での地球環境保全に資し得ない。
【0005】
更に、生分解性の素材としてグリコール酸や乳酸などもグリコリドやラクチドの開環重合によりポリマーが得られ、縫合糸等の医療用繊維として利用されているが、繊維形成要件として樹脂に結晶性を持たせているため、そのままでは発泡体として包装用途に大量に使用されるには至っていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、生分解性を有しながら生産性に優れる発泡性樹脂組成物、即ち、微生物による分解が可能で、使用後処分するに際しても地球環境への負荷が少なく、高い生産性を有し、実用に耐えうる発泡性樹脂組成物を提供することにある。本発明者等は、高い発泡性を有する生分解性樹脂としての必要不可欠な条件、即ちベースポリマー、高分子量化するためや発泡させるための添加剤等について、詳細に亘り鋭意検討を重ねた結果、実用上十分な生産性を有する生分解性発泡樹脂組成物を見出し、すでに発明提案(特願平9−314479)を行った。しかし、該発明で得られる発泡性樹脂組成物は溶融粘度が安定せず、発泡倍率も変動し、安定した発泡体が常に得られるものではなかった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等はかかる課題を解決すべく使用するポリ乳酸の末端基数、イソシアネート化合物の添加量及び官能基数との関係等について詳細に検討した結果、未反応のイソシアネート化合物に多価アルコールを或る関係式を満たす条件で反応させることにより、極めて安定した溶融粘度をもつ樹脂組成物を得ることを見出し本発明に到達したものである。
【0008】
即ち本発明は、L体とD体のモル比が95/5〜60/40、又は40/60〜5/95であるポリ乳酸にイソシアネート基≧2.0当量/モルのポリイソシアネート化合物を該ポリ乳酸に対して0.6〜3重量%、及びグリセリン、エリスリトール及びペンタエリスリトールの群から選ばれた少なくとも1種の多価アルコールを該ポリ乳酸に対して下記の式を満足するように配合し、反応させたことを特徴とする生分解性を有する樹脂組成物。
(0.5xn−100EMi)Mc/10NMi≦W≦(0.5xn−100EMi)Mc/NMi
(ここでE:ポリ乳酸の末端カルボキシル基数(当量/gr)
x:イソシアネート化合物添加量(重量%)
n:イソシアネート化合物の官能基数(当量/モル)
Mi:イソシアネート化合物の分子量(gr)
W:多価アルコールの添加量(重量%)
N:多価アルコールの官能基数(当量/モル)
Mc:多価アルコールの分子量(gr)))
【0009】
【発明の実施の形態】
まず、基本条件の一つであるベースポリマーは生分解性を有し、自然界の炭酸ガス増加を最小限に抑制し、且つ、実用に適する生産性、コストを満足するとうもろこし等穀物の澱粉を出発物質とする乳酸を原料としたポリ乳酸系樹脂が好ましい。しかし、通常繊維用として使用されるものは結晶性が必要であるため、光学異性体のL体をほぼ100%使用している。これに対し発泡体を形成するためには少なくとも結晶性はできる限り小さくする必要がある。その理由は、結晶性樹脂は発泡剤を含浸する工程で結晶化が進行し、発泡時に樹脂が延びるのを阻害するからである。
【0010】
従って、本発明で言うポリ乳酸とは、実質的に非晶性のポリ乳酸樹脂であることが必要で、L体とD体のモル比が95/5〜60/40又は40/60〜5/95の範囲の乳酸を用いなければならない。L体とD体のモル比が95/5を越えるもの、或いは5/95未満のものは結晶性が高く、発泡倍率が上がらなかったり、発泡が不均一になり使用できない。好ましくはL体とD体のモル比は90/10〜70/30、又は30/70〜10/90の範囲が良い。
【0011】
一方、発泡体のうちビーズ発泡用に使用される樹脂は、貯蔵中に予め含浸させた発泡剤の揮散を少なくする工夫が必要である。そのためにはガラス転移点の高い樹脂を選定することであり、ポリ乳酸は上記の範囲のL体/D体共重合物であるかぎりガラス転移点は50℃以上となり、他の生分解性樹脂に比して際立って高いので非常に好都合である。乳酸以外のヒドロキシ酸または脂肪族グリコールと脂肪族ジカルボン酸との共重合物はガラス転移点が低下するので好ましくない。勿論、発泡シートのような製造方法(溶融押し出し発泡法)に於いても発泡剤の揮散を減少させるためにはガラス転移点は高い方が有利である。
【0012】
本発明に使用するベースポリマーとしてのポリ乳酸は高分子量のものが好ましく、溶融粘度はJISK7201(荷重2.16kgf)に基づき測定したメルトインデックス値(MI)1〜10のもの、更に好ましくは1〜5のものを使用する。MIが1未満のポリ乳酸は通常用いられる公知の方法では製造は難しく、MIが10を越えるポリ乳酸は低発泡倍率の発泡体しか得られない。
【0013】
その理由は明らかでないが、以下に述べるポリイソシアネート化合物と多価アルコールを直鎖状ポリ乳酸と反応させて同程度の高粘度樹脂を得たとき、低溶融粘度(低分子量)ポリ乳酸反応させた場合と高溶融粘度(高分子量)ポリ乳酸を反応させた場合とでは、低溶融粘度(低分子量)ポリ乳酸を用いたほうが反応(分岐)密度が高くなって架橋構造を取り、それが発泡を阻害すると推定される。
【0014】
高溶融粘度(高分子量)のポリ乳酸を得る手段として、通常の反応釜での高真空下、攪拌効率の良好な状態での溶融重合、二軸混練反応機による溶融重合、高真空下での薄膜重合法、溶融重合と固相重合の組み合わせにより高溶融粘度(高分子量)を得ることは可能であるが、高粘度であるため反応サイクル低下による生産性の低下、樹脂の熱分解による品質低下に十分注意することが必要である。これらの方法により溶融粘度がJIS K 7201(荷重2.16kgf)に準拠したメルトインデックス値(MI)で1〜10の範囲のポリ乳酸を得ることができる。
【0015】
しかし、本発明に使用するポリ乳酸のみでは、発泡剤等を含浸、発泡処理を行っても得られる発泡体は発泡倍率が低く実用に耐えるものではない。高発泡倍率が得られる樹脂を得るには更に高溶融粘度(高分子量)が必要であり、溶融重合のみでは限界があり困難である。
【0016】
本発明者等は鋭意検討の結果、ポリ乳酸にイソシアネート基≧2.0当量/モルのポリイソシアネート化合物を該ポリ乳酸に対して0.6〜3重量%さらに好ましくは0.7〜2重量%及び多価アルコールの所定量を溶融状態で混合、反応させることにより溶融粘度が安定して高粘度の樹脂組成物を得ることが出来た。ポリイソシアネート化合物が0.6重量%未満ではポリ乳酸樹脂組成物の溶融粘度があまり上昇せず、たとえ多価アルコールを添加しても、高溶融粘度の樹脂組成物は得られず、したがって高発泡倍率の発泡体も得られない結果となる。また、ポリイソシアネート化合物の添加量が3重量%を越えると、併用する多価アルコールとの反応により分岐、架橋構造が大となり、発泡性は逆に阻害される。
【0017】
使用されるポリイソシアネート化合物としては、芳香族、脂環族、脂肪族系のポリイソシアネートがあり、例えば、芳香族ポリイソシアネートとしてはトリレン、ジフェニルメタン、ナフチレン、トリジン、キシレン、トリフェニルメタンを骨格とするポリイソシアネート化合物、脂環族ポリイソシアネートとしてはイソホロン、水素化ジフェニルメタンを骨格とするポリイソシアネート化合物、脂肪族ポリイソシアネートとしてはヘキサメチレン、リジンを骨格とするポリイソシアネート化合物があり、いずれも使用可能であるが、汎用性、取扱い性、耐候性等からトリレン、ジフェニルメタン、特にジフェニルメタンのポリイソシアネートが好ましく使用される。
【0018】
また、併用される多価アルコールは、アルコール化合物としてグリセリン、エリスリトール、ペンタエリスリトールが好ましく使用されるが、特にグリセリン、エリスリトールが融点、ポリ乳酸に対する相溶性等を考慮して好ましく使用される。
【0019】
使用する多価アルコールの添加量W(重量%)は
(0.5xn−100EMi)Mc/10NMi≦W≦(0.5xn−100EMi)Mc/NMi
を満足することが必要であり、更に好ましくは
(0.5xn−100EMi)Mc/2NMi≦W≦(0.5xn−100EMi)Mc/NMi
である。
ここでE:ポリ乳酸の末端カルボキシル基数(当量/gr)
x:イソシアネート化合物添加量(重量%)
n:イソシアネート化合物の官能基数(当量/モル)
Mi:イソシアネート化合物の分子量(gr)
W:多価アルコールの添加量(重量%)
N:多価アルコールの官能基数(当量/モル)
Mc:多価アルコールの分子量(gr)
である。
【0020】
ポリ乳酸とポリイソシアネート化合物及び多価アルコールを溶融状態で混合、反応させ分子量化させる方法は通常の公知の方法が可能である。例えば、ペレット化したポリ乳酸にポリイソシアネート化合物及び多価アルコールを添加混合し単軸または二軸混練機等で溶融混合する方法、予めポリ乳酸を単軸または二軸混練機等で溶融した後ポリイソシアネート化合物及び多価アルコールを添加する方法、単軸または二軸混練機等で溶融重合によりポリ乳酸を製造し又は製造中にポリイソシアネート化合物及び多価アルコールを添加する方法等により目的物であるポリ乳酸樹脂組成物を得ることができる。
【0021】
ポリ乳酸にイソシアネート化合物及び多価アルコールを添加、混練、反応させるに際して、その添加順序が非常に重要となる。まず、ポリ乳酸とイソシアネート化合物を十分混練、反応させた後多価アルコールを添加しなければならない。その理由は、イソシアネート化合物及び多価アルコールを同時に或いは予め混合した後に添加すると、混合中に両者が反応しゲルの生成が起こり、樹脂組成物の発泡性は不十分となるからである。
【0022】
ポリ乳酸にイソシアネート化合物及び多価アルコールを添加、混練、反応させる温度は任意であるが、樹脂温度で160〜220℃が一般的であり、また、混練時間としては1〜20分である。
【0023】
かくして得られた樹脂組成物はその溶融粘度が非常に安定しており、繰り返し同一条件で生産しても偏差は小さく、該樹脂組成物から得られる発泡体の発泡倍率は安定して高倍率であった。
【0024】
一方、均一で微細な発泡セルを形成させるためには発泡核剤を配合することが好ましい。用いる発泡核剤としては、固体状の粒子状物、例えば、タルク、シリカ、カオリン、ゼオライト、マイカ、アルミナ等の無機粒子、炭酸又は重炭酸塩、カルボン酸のアルカリ金属塩等の塩が好適に用いられる。この中でタルクは本発明の樹脂組成物に対して特に好ましく用いられる。
【0025】
核剤は、通常粒子径0.5〜30μm程度のものが樹脂に対する分散状態が良く、安定した気泡が得られるので好ましい。添加する量は樹脂組成物に対して通常0.1重量%以上用いるのが好ましく、多くても30重量%までに留めておくのが良い。更に好ましくは0.5〜5重量%である。0.1重量%未満では気泡に大小が出来、不均一な発泡体となってしまう恐れがある。一方、添加量が30重量%を越えると、発泡効果に限度がある上に、機械物性の低下、比重の増大による重量増のため軽量であることの利点が損なわれてしまう。
【0026】
また、その他添加剤についても、目的に応じ、適宜添加することができ、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、可塑剤等がある。但し、難燃剤は塩素、臭素等のハロゲン化物であることが多く、生分解や焼却処分時の有害物質発生という観点から最小限に留めておくのが良い。
【0027】
こうして得られた樹脂組成物はペレットまたはビーズ状粒子とした後、発泡剤及び発泡助剤を含浸させる。含浸された粒子は通常加熱により第1次の発泡(予備発泡)で発泡倍率20〜50倍の発泡粒子とし、次いでこれらを金型に充填し更び加熱して2次発泡させ、所望の成形体を成形する。
【0028】
発泡剤及び発泡助剤を含浸させるペレットまたはビーズは成形体の大きさ、形状等に応じて適宜選択することができるが、発泡スチレンの場合は通常、直径0.5〜2mmの大きさのものが用いられる。精密な成形体の場合は直径0.5〜1mmの粒子が一般的である。
【0029】
ここで用いる発泡剤及び発泡助剤としては、プロパン、n−ブタン、iso−ブタン、n−ペンタン、iso−ペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、ヘキサン等の炭化水素類、塩化メチル、塩化メチレン、ジクロロジフルオロメタン等のハロゲン化炭化水素類、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル等のエーテル類が発泡剤として、また、炭素数1〜4のアルコール、ケトン類、エーテル、ベンゼン、トルエン等が発泡助剤として用いられる。
【0030】
発泡剤と発泡助剤との組み合わせは、使用する樹脂により適宜選択する必要があるが、本発明のポリ乳酸樹脂組成物の場合、発泡剤としてブタン、ペンタンまたはそれら混合物が好ましく用いられる。また、これと組み合わせる発泡助剤としては炭素数1〜4の一価のアルコールが好適である。その他の組み合わせも種々あり、目的や経済性に鑑みて選択することができる。
【0031】
発泡剤と発泡助剤との使用比率は、発泡剤/発泡助剤=1/2〜10/1が可能であるが、発泡剤と発泡助剤との組み合わせによってこの比率は変わり、1/1〜5/1が一般的である。発泡剤及び発泡助剤の含浸量(率)は目的とする発泡倍率、ペレット又はビーズ状粒子の保存期間によって異なるが、発泡剤として通常5〜15重量%が適用される。また、発泡剤の含浸量(率)は発泡倍率に応じて選択することができる。一般に、低発泡品は含浸量(率)を低く、高発泡品は含浸量(率)を高くすれば良い。
【0032】
発泡剤と発泡助剤を含浸させたペレット又はビーズ粒子は、予備発泡させた後所望の金型にいれ、更に加熱して発泡を進め、セル同志を融着させて強固な成形体を成形する。ポリスチレン(PS)発泡体の成形法と基本的には同一である。即ち、予備発泡、発泡成形共に熱容量の大きい水蒸気が好ましく用いられる。熱風による発泡も可能であるが、熱容量が小さいため発泡効率は良くない。従って、高発泡品には好適とはいえない。
【0033】
【実施例】
以下に実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明する。なお、評価は下記の方法で行った。
(評価方法)
(1)MI(ポリ乳酸)JIS K 7210に準拠した方法で測定。測定条件;測定温度190℃、オリフィス径2mm、荷重2.16kgf。
(ポリ乳酸樹脂組成物)JIS K 7210に準拠した方法で測定。測定条件;測定温度190℃、オリフィス径2mm、荷重21.6kgf。
(2)ポリ乳酸樹脂組成物の溶融粘度の変動率(%):同一条件で混練した樹脂組成物を10サンプルを採取し、各々の溶融粘度(MI値)を測定して、平均値及び標準偏差を求め、下式により変動率(%)を算出した。
変動率(%)=(標準偏差/平均値)×100
(3)発泡倍率(倍):メスシリンダーを用いて、発泡前の発泡剤含浸ペレットの体積及び予備発泡粒子の体積を測定し、次式により発泡倍率(倍)を算出した。
発泡倍率(倍)=予備発泡粒子の体積/発泡前の発泡剤含浸ペレットの体積
(4)生分解性:予備発泡粒子をコンポストに1カ月間入れ、外観状態で次のように評価した。
◎:原形をとどめない状態まで分解
○:元の状態はとどめているがぼろぼろに分解
△:変化は認められるが変化はわずか
×:全く変化なし
【0034】
製造例
直鎖状ポリ乳酸:市販のL−ラクチド、D−ラクチドをぞれぞれ酢酸エチルを用いて再結晶して精製した。精製したL−ラクチド、D−ラクチド及び触媒としてオクチル酸スズを所定量攪拌付オートクレーブに仕込み、減圧脱気した後窒素ガス雰囲気下で所定温度、所定時間重合反応を行い表1の結果を得た。
【0035】
【表1】
Figure 0003871822
【0036】
実施例1〜11、比較例1〜5
タンデム型二軸混練機(第1段、第2段ともに直径30mmφ二軸混練機)を使用し、第1段として二軸混練機にてP1〜11のポリ乳酸にイソシアネート基2.7〜2.8当量/モル、分子量342〜355のイソシアネート化合物(「ミリオネートMR−200」日本ポリウレタン工業(株)製)1.0重量%、タルク(「LMP100」富士タルク工業(株)製)1.0重量%を表2の組成になるようにシリンダー温度180℃で混練し、引き続き第2段として二軸混練機でグリセリンを表2の組成になるようにシリンダー温度190℃で混練しそれぞれの樹脂組成物を得た。各条件で10サンプルづつ採取し、以後の評価を実施した。
【0037】
これら樹脂組成物のMIを測定し、各条件サンプルのMI平均値、標準偏差、変動率を求めた後、各々のサンプルについて回転式の反応容器に樹脂組成物2000部、発泡剤としてイソペンタン1200部、メタノール240部を仕込み、密封した後、反応容器の回転数10回/分、昇温速20℃/時間の割合で昇温し、70℃に1時間保持した。その後、室温まで冷却し発泡剤含浸樹脂組成物を取りだし、風乾後、重量を測定し、含浸率を求めた。次いで得られた該樹脂組成物を水蒸気(92℃、1分)で予備発泡させ、発泡倍率および生分解性を測定、評価し結果を表2に示した。なお、各々の評価の対照として市販の発泡スチレン「リューパール55KSY−3171」(大日本インキ工業(株)製)を用い評価結果を併記した。
【0038】
【表2】
Figure 0003871822
【0039】
【表3】
Figure 0003871822
【0040】
評価結果
L体とD体のモル比との関係において、ポリ乳酸のMIが同一水準(例えばMI=3.3〜3.9)の樹脂を使用し、グリセリンを本発明の添加範囲(例えば0.05%)で添加すると、樹脂組成物のMI値はL/D比が100/0〜0/100の範囲のいずれでも0.30以下となり溶融粘度は大幅に上昇した。また、各々の変動率もグリセリン無添加(比較例2)に比して小さく均一性に優れていることが分かる。一方、グリセリンの添加量については本発明の範囲内である0.01%〜0.06%、更に好ましくは0.03%〜0.06%が比較例2、3に比してMI値、変動率ともに小さく、発泡倍率も高く、安定していた。
【0041】
実施例1〜18、比較例6〜8
P3のポリ乳酸にイソシアネート基が平均1.8当量/モル、平均2.0当量/モル(「ミリオネートMT」日本ポリウレタン工業(株)製)、平均2.3当量/モル(「ミリオネートMT」/「ミリオネートMR−200」日本ポリウレタン工業(株)製)、平均2.7当量/モル〜2.8当量/モル(「ミリオネートMR−200」日本ポリウレタン工業(株)製)、平均3.0当量/モル(「PAPI20J」三菱化学(株)製)を所定量、グリセリンを所定量及びタルク(「LMP100」富士タルク工業(株)製)1.0重量%を表3に示す組成とし、実施例1〜11、比較例1〜5に示した方法にて混練し、それぞれの樹脂組成物を得た。以下、発泡剤の含浸、発泡テスト及び評価は実施例1〜11、比較例1〜5と同様に行った。結果を表5に示した。
【0042】
【表4】
Figure 0003871822
【0043】
【表5】
Figure 0003871822
【0044】
評価結果
本発明に使用するポリ乳酸は末端カルボキシル基数及び末端アルコール基数が夫々凡そ20×10−6当量gr存在するので、該ポリ乳酸にイソシアネート化合物を0.5重量%未満添加、反応せしめても平均的には未反応の末端基数が存在し、この様な系に多価アルコールを添加しても高分子量化は期待できず、逆にアルコール又は酸分解により分子量低下してしまう。表3に例示したごとくイソシアネート化合物の添加量が0.6〜3.0重量%、好ましくは0.7〜2.0重量%であり、グリセリンの添加量が本発明の範囲内にあるものは、得られる樹脂組成物のMIは低く、且つ、その変動率も小さい。更に該樹脂組成物から得られる発泡体の発泡倍率も高く、安定していた。これに反して本発明によらないものは樹脂組成物のMI、変動率のいずれかが劣るため、高発泡倍率の発泡体を安定して生産できなかった。
【0045】
実施例19〜24、比較例9〜10
P3のポリ乳酸にイソシアネート基が平均2.7当量/モル〜2.8当量/モル(「ミリオネートMR−200」日本ポリウレタン工業(株)製)のイソシアネート化合物1重量%、エリスリトール、ペンタエリスリトールをそれぞれ所定量及びタルク(「LMP100」富士タルク工業(株)製)1.0重量%を表6に示す組成とし、実施例1〜11、比較例1〜5に示した方法にて混練し、それぞれの樹脂組成物を得た。以下、発泡剤の含浸、発泡テスト及び評価は実施例1〜11、比較例1〜5と同様に行った。結果を表7に示した。
【0046】
【表6】
Figure 0003871822
【0047】
【表7】
Figure 0003871822
【0048】
【発明の効果】
以上、本発明の樹脂組成物は生分解性が著しく優れていながら、発泡性、耐熱性、機械物性が従来から用いられてきたポリスチレンと同程度のものであり、地球環境保全に資する樹脂である。

Claims (4)

  1. L体とD体のモル比が95/5〜60/40、又は40/60〜5/95であるポリ乳酸にイソシアネート基≧2.0当量/モルのポリイソシアネート化合物を該ポリ乳酸に対して0.6〜3重量%、及びグリセリン、エリスリトール及びペンタエリスリトールの群から選ばれた少なくとも1種の多価アルコールを該ポリ乳酸に対して下記の式を満足するように配合し、反応させたことを特徴とする生分解性を有する樹脂組成物。
    (0.5xn−100EMi)Mc/10NMi≦W≦(0.5xn−100EMi)Mc/NMi
    (ここでE:ポリ乳酸の末端カルボキシル基数(当量/gr)
    x:イソシアネート化合物添加量(重量%)
    n:イソシアネート化合物の官能基数(当量/モル)
    Mi:イソシアネート化合物の分子量(gr)
    W:多価アルコールの添加量(重量%)
    N:多価アルコールの官能基数(当量/モル)
    Mc:多価アルコールの分子量(gr))
  2. ポリ乳酸のL体とD体のモル比が90/10〜70/30、又は30/70〜10/90である請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. ポリイソシアネート化合物の添加量が0.7〜2.0重量%である請求項1に記載の樹脂組成物。
  4. Wが下式を満足する請求項1に記載の樹脂組成物。
    (0.5xn−100EMi)Mc/2NMi≦W≦(0.5xn−100EMi)Mc/NMi
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