JP2004206295A - 電子ペンを利用した採点システム及び入力記号認識システム、採点処理プログラム、並びに入力記号認識プログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】採点システムによれば、受験者などが解答を記入した解答用紙に対して、採点者が電子ペンにより、マル、バツなどの採点記号を記入して採点を行う。解答用紙上に描かれた採点記号のストロークは採点データとして取得され、採点システムに入力される。採点システムでは、採点データから採点記号及び訂正記号に対応するストロークを抽出し、個々の採点記号及び訂正記号の特徴を示す記号情報を参照することにより当該ストロークを認識する。認識結果としては当該ストロークに対応する採点記号又は訂正記号が特定される。そうして得られた認識結果に基づいて、採点結果が特定され出力される。よって、採点者は解答用紙上に電子ペンで採点記号などを記入するだけで、採点結果のデータが生成され、その後の集計や分析などに使用できる。
【選択図】 図7
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子ペンを使用し、試験の答案などを採点する採点システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
学校、予備校、塾などにおいては、学生を対象に模擬試験が行われる。学生は答案用紙に解答を記入し、答案用紙は回収され、採点者が赤ペンなどで採点結果を答案用紙に記入する。一般的に、採点結果は問題ごとに、マル「○」、バツ「×」、サンカク「△」などの採点記号として答案用紙に記入される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
学校や塾などで行われるテストを効果的に指導に役立てていくためには、「どの学生がどの問題を間違えたか」、「その問題の正解率はどのくらいか」など、問題ごとの細かな結果を記録・集計・分析する必要がある。しかし、記述式の問題では、採点と採点結果のデータ化とが別作業となるため、これまでは採点結果をもう一度マークシートに写し直すなどの煩雑な作業が必要であった。このため、採点結果の集計、分析などに手間と時間を要するとともに、採点結果の写し間違いなどのミスが発生する可能性もあった。これは、特に全国的に行われる模擬試験など、受験者数や科目が多い場合に大きな問題となっていた。
【0004】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、電子ペンを使用することにより、模擬試験などの採点結果を効率的かつ正確に取得し、集計などの処理を行うことが可能な採点システムを提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の1つの観点では、電子ペンを利用した採点システムにおいて、前記電子ペンを利用して解答用紙に入力された採点データを受け取るデータ入力手段と、前記採点データから、採点記号及び訂正記号に対応するストロークを抽出するストローク抽出手段と、個々の採点記号及び訂正記号の特徴を示す記号情報を記憶する記号情報記憶部と、前記記号情報を参照して、抽出されたストロークに対応する記号を認識し、認識結果を生成する認識手段と、前記認識結果に基づいて、採点結果を出力する制御手段と、を備える。
【0006】
上記の採点システムによれば、受験者などが解答を記入した解答用紙に対して、採点者が電子ペンにより、マル、バツなどの採点記号を記入して採点を行う。解答用紙上に描かれた採点記号のストロークは採点データとして取得され、採点システムに入力される。採点システムでは、採点データから採点記号及び訂正記号に対応するストロークを抽出し、個々の採点記号及び訂正記号の特徴を示す記号情報を参照することにより当該ストロークを認識する。認識結果としては当該ストロークに対応する採点記号又は訂正記号が特定される。そうして得られた認識結果に基づいて、採点結果が特定され出力される。よって、採点者は解答用紙上に電子ペンで採点記号などを記入するだけで、採点結果のデータが生成され、その後の集計や分析などに使用できる。
【0007】
上記の採点システムの一態様では、前記採点記号及び前記訂正記号は、前記電子ペンにより1ストロークで入力可能な形状を有する。これにより、1つの採点記号又は訂正記号は必ず1ストロークで表現されることになり、複数のストロークと採点記号又は訂正記号との対応関係を分析する必要がなくなる。
【0008】
上記の採点システムの他の一態様では、前記制御手段は、前記ストローク抽出手段を制御して、前記解答用紙内の1つの解答欄を通る全てのストロークを抽出する手段と、抽出されたストロークのうち、始点が当該解答欄内に含まれるストロークを選別する選別手段と、選別されたストロークが1つである場合には当該ストロークの認識結果を採点結果として出力し、選別されたストロークが複数である場合には入力時刻が最も新しいストロークの認識結果を採点結果として出力する出力手段と、を備える。
【0009】
この態様によれば、解答用紙内の1つの解答欄について、記入された全てのストロークを抽出し、そのうち最も新しいストロークの認識結果を採点結果とする。解答欄内に記入されたストロークが1つである場合はそれが採点記号であると判定してよいが、解答欄内に記入されたストロークが複数ある場合は、最後に入力されたものを正しい採点結果であると判定する。こうして、1つの解答欄に複数のストロークが記入された場合でも、正しい採点結果を得ることができる。
【0010】
上記の採点システムの他の一態様では、前記出力手段は、選別されたストロークのうち、訂正記号に対応するストロークを前記採点結果としない。これにより、訂正記号が誤って採点結果として出力されることが防止できる。
【0011】
本発明の他の一態様では、前記制御手段は、前記ストローク抽出手段を制御して、前記解答用紙内の1つの解答欄を通る全てのストロークを抽出する手段と、抽出されたストロークのうち、始点が当該解答欄内に含まれるストロークを選別する手段と、選別されたストロークが1つである場合には当該ストロークの認識結果を採点結果として出力し、選別されたストロークが複数である場合には、訂正記号と認識されたストローク及び訂正記号と認識されたストロークと重なるストローク以外のストロークのうち、入力時刻が最も新しいストロークの認識結果を採点結果として出力する出力手段と、を備える。
【0012】
この態様によれば、解答用紙内の1つの解答欄について、記入された全てのストロークを抽出する。解答欄内に記入されたストロークが1つである場合はそれが採点記号であると判定する。また、解答欄内に記入されたストロークが複数ある場合は、まず、訂正記号のストロークと重なっているストロークを全て無効化し、残ったストロークを採点結果とする。また、残ったストロークが複数ある場合には最後に入力されたものを正しい採点結果であるとする。こうして、1つの解答欄に複数のストロークが記入された場合でも、正しい採点結果を得ることができる。特に、訂正記号と重なるストロークを無効化するので、訂正結果を正しく認識することが可能となる。
【0013】
上記の採点システムの他の一態様では、前記認識手段は、前記選別されたストロークについて、入力時刻が新しいものから順に認識処理を実行する。通常、訂正などを考えた場合、時間的に最後に入力されたストロークが正しい採点記号である可能性が高い。よって、時間的に古いストロークを認識した上でそれを訂正対象として除外するよりは、入力時刻の新しい方から認識処理を行うことにより、無駄に採点記号の認識処理を実行することがなくなり、処理の効率化が図れる。
【0014】
本発明の他の観点では、採点処理プログラムは、コンピュータ上で実行されることにより、電子ペンを利用して解答用紙に入力された採点データを受け取るデータ入力手段、前記採点データから、採点記号及び訂正記号に対応するストロークを抽出するストローク抽出手段、個々の採点記号及び訂正記号の特徴を示す記号情報を記憶する記号情報記憶手段、前記記号情報を参照して、抽出されたストロークに対応する記号を認識し、認識結果を生成する認識手段、前記認識結果に基づいて、採点結果を出力する制御手段として前記コンピュータを機能させる。
【0015】
上記の採点処理プログラムをコンピュータ上で実行することにより、上記の採点システムを実現することができる。
【0016】
本発明の他の観点では、電子ペンを利用して入力された記号を認識する入力記号認識システムにおいて、前記電子ペンを利用して電子ペン用帳票に入力された入力データを受け取るデータ入力手段と、前記入力データから、入力記号に対応するストロークを抽出するストローク抽出手段と、個々の入力記号の特徴を示す記号情報を記憶する記号情報記憶部と、前記記号情報を参照して、抽出されたストロークに対応する入力記号を認識し、認識結果を生成する認識手段と、を備える。
【0017】
上記の入力記号認識システムによれば、利用者が、電子ペン用帳票に必要に応じて電子ペンにより、マル、バツなどの記号を記入する。電子ペン用帳票上に描かれた記号のストロークは入力データとして取得され、入力記号認識システムに入力される。入力記号認識システムは、入力データから入力記号に対応するストロークを抽出し、個々の入力記号の特徴を示す記号情報を参照することにより当該ストロークを認識する。認識結果としては当該ストロークに対応する入力記号が得られる。
【0018】
本発明の他の観点では、入力記号認識プログラムは、コンピュータ上で実行されることにより、前記電子ペンを利用して電子ペン用帳票に入力された入力データを受け取るデータ入力手段、前記入力データから、入力記号に対応するストロークを抽出するストローク抽出手段、個々の入力記号の特徴を示す記号情報を記憶する記号情報記憶手段、前記記号情報を参照して、抽出されたストロークに対応する入力記号を認識し、認識結果を生成する認識手段として前記コンピュータを機能させる。
【0019】
上記の入力記号認識プログラムをコンピュータ上で実行することにより、上記の入力記号認識システムを実現することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。まず始めに、本発明の採点システムにおいて入力デバイスとして使用される電子ペンの概要について説明する。
【0021】
[電子ペン]
図1は電子ペンの使用形態を模式的に示す図であり、図2は電子ペンの構造を示す機能ブロック図である。図1に示すように、電子ペン10は、ドットパターンが印刷された専用ペーパー20と組み合わせて使用される。電子ペン10は、通常のインクペンと同様のペン先部17を備えており、利用者は通常のインクペンと同様に専用ペーパー20上に文字などを書くことになる。
【0022】
図2に示すように、電子ペン10は、その内部にプロセッサ11、メモリ12、Bluetoothトランシーバ13、バッテリー14、赤外線LED15、カメラ16及び圧力センサ18を備える。また、電子ペン10は通常のインクペンと同様の構成要素としてインクカートリッジ(図示せず)などを有する。
【0023】
電子ペン10は、ペン先部17により専用ペーパー20上に描かれたインクの軌跡をデータ化するのではなく、専用ペーパー20上で電子ペン10が移動した軌跡座標をデータ化する。赤外線LED15が専用ぺーパー20上のペン先部17近傍を照明しつつ、カメラ16が専用ペーパー20に印刷されているドットパターンを読み取り、データ化する。つまり、電子ペン10は専用ペーパー20上で利用者が電子ペン10を移動させることにより生じるストロークを画像データ又はベクトルデータとして取得することができる。
【0024】
圧力センサ18は、利用者が電子ペン10により専用ペーパー上に文字などを書く際にペン先部17に与えられる圧力、即ち筆圧を検出し、プロセッサ11へ供給する。プロセッサ11は、圧力センサ18から与えられる筆圧データに基づいて、赤外線LED15及びカメラ16のスイッチオン/オフの切換を行う。即ち、利用者が電子ペン10で専用ペーパー20上に文字などを書くと、ペン先部17には筆圧がかかる。よって、所定値以上の筆圧が検出されたときに、利用者が記述を開始したと判定して、赤外線LED15及びカメラ16を作動する。
【0025】
カメラ16は専用ペーパー20上のドットパターンを読み取り、そのパターンデータをプロセッサ11に供給する。プロセッサ11は、供給されたドットパターンから、専用ペーパー20上でのX/Y座標を算出する。
【0026】
プロセッサ11は、利用者の記述が行われる間に、筆圧の配列データ及びX/Y座標データを取得し、タイムスタンプ(時間情報)と関連付けてメモリ12に記憶していく。よって、メモリ12内には利用者の記述内容に対応するデータが時系列で記憶されていく。メモリ12の容量は例えば1Mバイト程度とすることができる。
【0027】
利用者により送信指示がなされるまでは、取得された全てのデータはメモリ12内に保持される。そして、利用者が送信指示を行うと、Bluetoothトランシーバ13により、電子ペン10と所定距離内にある受付端末25へメモリ12内のデータが送信される。基本的には、一度送信指示がなされると、電子ペン10はメモリ12内に記憶していた全てのデータを受付端末25へ送信するため、メモリ12内はクリアされる。よって、送信後にもう一度同じ情報を受付端末25へ送信したい場合には、利用者は専用ペーパー20上に再度記述を行う必要がある。なお、この場合、利用者は専用ペーパー20上にインクペンで書かれた文字などをなぞればよいことになる。
【0028】
電子ペン10自体は、送信ボタンなどの機能ボタンを備えておらず、送信指示その他の指示は、利用者が専用ペーパー20上の所定位置に設けられた専用ボックスを電子ペン10でチェックすることにより実行される。専用ボックスの位置座標には、予め送信指示が対応付けられており、プロセッサ11は専用ボックスの位置座標を受信すると、Bluetoothトランシーバ13にメモリ12内のデータを供給し、受付端末25への送信を行わせる。なお、電子ペン10はディスプレイやボタンなどを持たないが、データの送信完了を電子ペンの振動により示すことができる。
【0029】
バッテリー14は電子ペン10内の各要素に電源供給するためのものであり、例えば電子ペンのキャップ(図示せず)により電子ペン10自体の電源のオン/オフを行うことができる。
【0030】
このように、電子ペン10は利用者が専用ペーパー20上に記述した文字などに対応する座標データ及び筆圧データを取得して近傍の受付端末25へ送信する機能を有するが、電子ペン10のペン先部17は通常のインクペンとなっているため、専用ペーパー20上に記述した内容はオリジナルの原本として残るという特徴がある。即ち、紙の原本に対して記述するのと同時に、その内容を座標データなどの形態でリアルタイムに電子化することができる。
【0031】
なお、電子ペン10の標準機能によれば、電子ペン10により得られるデータは、原則として座標データ又はベクトルデータの形態であり、テキストデータではない。但し、電子ペン10は標準機能として、専用ペーパー20上に設けられた専用エリアに記述することにより、英数字に限りテキスト化する機能は備えている。なお、受付端末25などにおいて、電子ペン10から送信された座標データやベクトルデータから、文字認識アプリケーションを利用してテキストデータを得ることはもちろん可能である。
【0032】
また、電子ペン10内には、ペン自体及びその所有者に関するプロパティ情報(ペン情報及びペン所有者情報)を保持することができ、アプリケーションから参照することができる。ペン情報としては、バッテリーレベル、ペンID、ペン製造者番号、ペンソフトウェアのバージョン、サブスクリプションプロバイダのIDなどを保持できる。また、ペン所有者情報としては、国籍、言語、タイムゾーン、emailアドレス、空きメモリ容量、名前、住所、ファックス/電話番号、携帯電話番号などを保持することができる。
【0033】
なお、上記の例では、電子ペン10から受付端末25へのデータ送信をBluetoothの無線伝送により行う例を挙げているが、その代わりに例えばケーブルを使用した有線によるデータ伝送や、電子ペン10と受付端末25の一部に設けられた端子などの接触によるデータ伝送など、各種の方法で電子ペン10から受付端末25へのデータ伝送を行うことが可能である。
【0034】
次に、電子ペンにより利用者が記述した内容のX/Yデータを取得する方法について説明する。前述のように専用ペーパー20には、所定のドットパターンが印刷されている。電子ペン10のカメラ16は、利用者が専用ペーパー20上に記述したインクの軌跡を読み取るのではなく、専用ペーパー20上のドットパターンを読み取る。実際、図1に示すように、赤外線LED15による照明領域及びカメラ16の撮影領域(照明領域内に位置する)は、ペン先部17が専用ペーパー20に接触する位置とはずれている。
【0035】
ドットパターンはカーボンを含む専用インキなどで印刷されており、カメラ16はその専用インキによるパターンのみを認識することができる。専用インキ以外のインキ(カーボンを含まない)により、専用ペーパー上に罫線や枠などを印刷しても、電子ペンはそれらを認識することはない。よって、専用ペーパーを利用して各種申請書などの帳票を作成する際は、専用インキ以外のインキで入力枠や罫線、注意書きなどを印刷する。
【0036】
ドットパターンは、図3に例示するように、各ドットの位置がデータに対応付けされている。図3の例では、ドットの位置を格子の基準位置(縦線及び横線の交差点)から上下左右にシフトすることにより、0〜3の2ビット情報を表示した例である。このようにして表現された情報の組み合わせにより、専用ペーパー上の位置座標が決定される。図4(a)に例示するように、縦横2mmの範囲内に36個のドットが格子状に配置され、これらのドットにより示されるデータの配列(図4(b))が、その専用ペーパー上の位置座標と対応付けされている。よって、電子ペン10のカメラ16が図4(a)に示すようなドットパターンを撮影すると、プロセッサ11はカメラ16から入力されるドットパターンのデータに基づいて図4(b)に示すデータ配列を取得し、それに対応する専用ペーパー上の位置座標(即ち、そのドットパターンがその専用ペーパー上のどの位置にあるのか)をリアルタイムで算出する。なお、ドットパターンを認識する最小単位は2mm×2mmであり、カメラ16は毎秒100回程度の撮影を行う。
【0037】
次に、専用ペーパーについて説明する。専用ペーパーの構造の一例を図5に示す。図示のように、専用ペーパー20は、台紙30上にドットパターン32が印刷され、その上に罫線などの図案34が印刷されている。台紙30は通常は紙であり、ドットパターン32は前述のようにカーボンを含んだ専用インキにより印刷される。また、通常のインキなどにより図案34が印刷される。ドットパターンと図案とは同時に印刷してもよいし、いずれかを先に印刷してもよい。
【0038】
図案34の例を図6に示す。図6は、ある申込書36の例であり、複数の記入欄38や送信ボックス39が印刷されている。図6には明確に図示されていないが、実際にはドットパターンが申込書36の全面に印刷されており、その上に記入欄38や送信ボックス39が通常のインキにより印刷されている。利用者は、ドットパターンを意識することなく、従来からある申込書と同様に、電子ペン10を使用して必要事項を申込書36の各記入欄38に記入すればよい。
【0039】
専用ペーパー20上の領域は大きく2種類の領域に分けることができる。1つは記入エリアであり、電子ペン10による記述内容をそのまま情報として取り扱うエリアである。図6の例では複数の記入欄38がこれに該当する。もう1つは機能エレメントであり、対応するエリア内を電子ペン10でチェックした際に、予めそのエリアに対して定義されているアクション、指示などを実行するようになっている。図6の例における送信ボックス39がこれに該当する。
【0040】
送信ボックス39は前述したように電子ペン10内に記憶されているデータを近傍の受付端末25へ送信するための指示を行う際に使用される。利用者が送信ボックス39内に電子ペン10でチェックを入れると、電子ペン10が送信ボックス内のドットパターンを読み取る。当該パターンは送信指示に対応付けられており、電子ペン10内のプロセッサ11はBluetoothトランシーバ13にメモリ12内の記憶データの送信命令を発する。
【0041】
ドットパターンの割り当ては、通常、アプリケーション(用紙の種類)毎に行われる。即ち、ある申込書内のドットパターンは1枚の用紙の中で重複することはないが、同一の申込書には全て同じドットパターンが印刷されている。よって、利用者が電子ペン10で必要事項を入力すると、その入力事項がその申込書のどの項目に対するものであるかを、申込書上の座標データから特定することができる。
【0042】
このように、ドットパターンを印刷した専用ペーパー上に所定の図案を印刷することにより、専用ペーパーを利用した各種申請書が作成できる。利用者は電子ペン10を使用して通常の要領で必要事項を記入すれば、その電子データが自動的に取得される。
【0043】
上記の例では、ドットパターンは専用ペーパー上にカーボンを含むインキにより印刷されているが、プリンタ及びカーボンを含むインクを使用してドットパターンを通常の紙上にプリントすることも可能である。さらに、専用ペーパー上の図案も印刷ではなく、プリンタにより形成することも可能である。ドットパターンをプリンタにより紙上に形成する場合には、1枚1枚に異なるドットパターンを形成することが可能である。よって、形成されたドットパターンの違いにより、それらの用紙1枚1枚を識別し、区別することが可能となる。
【0044】
なお、本明細書においては、「印刷」の語は、通常の印刷のみならず、プリンタによるプリントも含む概念とする。
【0045】
次に、電子ペンにより取得したデータの送信処理について説明する。前述のように、電子ペン10の通信機能はBluetoothによるものであり、専用ペーパー20に入力したデータを取り扱うサービスサーバ(特定の申込書であれば、その申込先のサーバということになる)に対して電子ペン10から直接的にデータを送信することはできない。よって、電子ペン10により取得したデータは、受付端末25からサービスサーバへ送信される。
【0046】
その際の処理を図2を参照して説明する。電子ペン10が取得したデータは、主として利用者が入力した事項のデータであるが、通常はそのデータの送信先であるサービスサーバがどこであるかの情報は含まれていない。その代わりに、その専用ペーパーに関するアプリケーションやサービスを特定する情報が専用ペーパー上のドットパターンに含まれており、利用者の入力作業中に専用ペーパーからその情報が取得されている。よって、電子ペン10から入力データを受け取った受付端末25は、まず、問い合わせサーバ26に対して、その専用ペーパーに対して入力されたデータをどのサービスサーバ27へ送信すべきかの問い合わせを行う。問い合わせサーバ26は、専用ペーパー毎に、対応するサービスサーバの情報を有しており、受付端末25からの問い合わせに応じて、当該専用ペーパーに関するサービスなどを行うサービスサーバ27の情報(URLなど)を受付端末25へ回答する。それから、受付端末25は、電子ペンから取得した入力データをそのサービスサーバ27へ送信することになる。
【0047】
なお、上記の例では端末装置25、問い合わせサーバ26及びサービスサーバ27が別個に構成されているが、これらの幾つか又は全てを1つの装置として構成することも可能である。
【0048】
[採点システム]
次に、本発明の実施形態に係る採点システムについて説明する。この採点システムでは、模擬試験などで受験者が解答を記入した解答用紙を用いて採点者が採点を行う。図7に採点システムの概略構成を示す。
【0049】
解答用紙4は、上述の専用帳票として作成され、試験を受ける受験者は筆記具として電子ペンではなく、通常の鉛筆やペンを使用して問題に対する解答を解答用紙4に記入する。模擬試験後、解答用紙4は回収され、採点者に配布される。採点者は、電子ペン10を使用して採点作業を行う。採点者が使用する電子ペン10には、例えばインクユニット内に赤インクが充填されるので、採点結果は解答用紙4上に赤ペンで記入されることになる。
【0050】
採点者が解答用紙4上に、電子ペン10を用いてマル(○)、バツ(×)などの採点記号を記入すると、電子ペン10は記入された採点記号に対応するストロークデータ(以下、「採点データ」とも呼ぶ。)を取得し、電子ペン10内のメモリ12に一時的に記憶した後、採点データを端末装置25へ送信する。端末装置25は、例えばパーソナルコンピュータや携帯電話、PDAなどの装置とすることができ、電子ペン10から採点データを受信し、ネットワーク2を通じて処理サーバ3へ送信する。
【0051】
処理サーバ3は、採点結果認識処理や採点結果の集計・分析処理などを行うサーバである。処理サーバ3は、端末装置25から採点データを受信すると、採点結果認識処理を実行して採点結果を得る。また、処理サーバ3は必要に応じて採点結果の集計処理や分析処理も実行する。
【0052】
実際的なシステムの構成としては、学校や塾の先生などの採点者が電子ペン10及び端末装置25を使用して採点を行い、学校や塾にある処理サーバ3へ採点データを送信するように構成することができる。また、その代わりに、処理サーバ3を学校や学習塾以外の企業などが運営し、取得した採点結果や集計結果などを学校や学習塾へ提供する構成とすることもできる。
【0053】
図8に、処理サーバ3の機能構成を示す。図示のように、処理サーバ3はストローク抽出部50と、文字認識部51と、記号情報記憶部52と、採点結果記憶部53と、採点結果集計処理部54とを備える。なお、これら各構成要素は、実際には、予め用意されたプログラムを処理サーバ3内のCPUなどが実行することにより実現される。
【0054】
ストローク抽出部50は、端末装置25から受信した採点データ(採点者が記入した採点記号のストロークデータを含んでいる)から、各採点記号のストロークデータを抽出し、文字認識部51へ送る。文字認識部51は、記号情報記憶部52内に予め記憶されている記号情報を参照して、ストローク抽出部50が抽出したストロークデータが採点記号又は訂正記号のいずれに該当するかを認識する。
【0055】
具体的には、記号情報記憶部52は各採点記号及び訂正記号のストロークデータの特徴を記号情報として記憶している。文字認識部51が得た判定結果は、そのストロークデータがどの採点記号(マル、バツなど)のいずれであるかを示す情報であり、採点結果記憶部53に一時的に記憶された後、採点結果集計処理部54へ送られる。採点結果集計処理部54は、所定単位、例えば所定数の受験生の解答についての採点結果を問題毎に集計し、必要な分析などを行って集計データを出力する。集計データは、学校や学習塾などで生徒の成績分析などのために使用される。
【0056】
次に、採点記号について説明する。採点記号を決定する際には考慮すべき点がある。第1の点は、採点者が使用する採点記号の形には採点者毎に個人差があるということである。通常、マル「○」やサンカク「△」は1ストロークで記入されるが、バツについては、「×」や「レ」などを使用する場合があり、「×」の場合には2ストロークとなる。採点記号に1ストロークの記号と2ストロークの記号が混在していると、1つの採点記号がどのストロークで構成されるか判別する必要が生じるが、これを自動判別することは難しい。そこで、本実施形態では、採点記号は全て1ストロークの記号とした。これにより、1つのストロークは1つの採点記号に対応していることになり、採点記号に対応するストロークデータを判別する必要がなくなる。
【0057】
第2の点は採点記号の記入間違いを訂正する必要があることである。採点者としては、一旦記入した採点記号が誤りであった(例えば、本来は解答が不正解であり「×」を記入すべき解答欄に「○」を記入してしまったなど)ということがありうるので、それを正しい採点記号に訂正可能とする必要がある。そこで、本実施形態では、一旦記入した採点記号を訂正するための訂正記号を採用する。
【0058】
上記の点を考慮して決定された採点記号の例を図9に示す。なお、図9(a)〜(d)に示す各採点記号上の矢印は電子ペン10の軌跡の方向を便宜上示したものであり、実際に記入されるマルの採点記号には矢印は含まれない。図9(a)は解答が正解であった場合に記入されるマルの記入例である。マルの採点記号の特徴としては、例えばストロークが一筆書きであること、略円形であること、ストロークの始点と終点が近接していることなどの所定の条件が記号情報として記憶される。図9(b)はサンカクの記入例である。サンカクの採点記号の特徴としては、例えばストロークが一筆書きであること、ストロークの折れ曲がり点が2つあること、ストロークの始点と終点が近接していることなどの条件が記号情報として記憶される。図9(c)はバツの採点記号の記入例であり、バツの採点記号の特徴としては、例えばストロークが左から右方向へ移動すること(始点が終点よりも左に存在すること)、ストロークが所定角度範囲内の右上がりであること、などが記号情報として記憶される。
【0059】
また、図9(d)は訂正記号を示す記入例である。訂正とは、採点者が一度記入した採点記号が誤りであった場合に、その採点記号を取り消すために記入される記号である。例えば、ある解答に対して採点者がマルを記入したが、本当はバツであった場合には、採点者は先に記入したマルの採点記号上に訂正記号を記入する。訂正記号の特徴としては、例えばストロークが右から左方向へ移動すること(始点が終点より右に存在すること)などが記号情報として記憶される。文字認識部51は、ストローク抽出部50が抽出したストロークデータの特徴を分析し、記号情報記憶部52に記憶されている記号情報を参照してそのストロークがいずれの採点記号又は訂正記号に該当するかを判定する。
【0060】
このように、本実施形態では、各採点記号が必ず1つのストロークにより構成されることとし、1つのストロークが必ず1つの採点記号を構成するものとして、ストロークと採点記号との対応関係を自動判別する必要を排除している。また、採点者が誤って記入した採点記号を訂正するための訂正記号を設けている。訂正記号は、取り消しの対象となる採点記号と交わるように記入することが採点作業上のルールとされる。
【0061】
また、採点記号については、第3の点として、解答欄に記入した採点記号が複数の解答欄に跨ってしまう場合があることを考慮すべきである。通常、解答用紙上には複数の解答欄が隣接して設けられるので、ある解答欄に対して採点者が記入した採点記号が隣接する解答欄にも跨ってしまう場合がある。この問題は、採点者が解答欄内に収まるように採点記号を記入することを義務づければ解消するのであるが、実際には採点者が短時間に多数の解答用紙の採点を行うので、小さな解答欄に素早く正確に採点記号を記入することは難しい。
【0062】
そこで、本実施形態では、採点記号は採点の対象となる解答欄内から描き始めることをルールとする。これにより、例えばある採点記号に対応するストロークの開始点が採点の対象となる解答欄内にあれば、ストロークの途中が解答欄外にはみ出ていたり、隣の解答欄に記入された採点記号と重なっていたとしても、各解答欄で対象となる採点記号を特定することができる。
【0063】
次に、解答欄に記入された採点記号の例について説明する。図10は解答用紙の一部分に対して採点者が記入した採点記号の例を示す。また、図10に示す採点記号の記入例を時間的に並べたものを図11に示す。図10の例では、図11に示すように、まず記入欄4(1)▲1▼に採点記号「○」が記入されている。これを電子ペン10により取得したデータをストロークデータD1とする。次に、同一の記入欄4(1)▲1▼に対して訂正記号がストロークデータD2としてが記入され、さらに同一の記入欄4(1)▲1▼に「△」がストロークデータD3として記入されている。
【0064】
その後、記入欄4(2)▲1▼に採点記号「△」が記入され(ストロークデータD4)、記入欄4(3)▲1▼に採点記号「○」が記入され(ストロークデータD5)、記入欄4(4)▲1▼に採点記号「×」が記入される。よって、その時点で電子ペン10内のメモリ12にはこれらのデータD1〜D6が記憶された状態となっている。また、前述のように、電子ペン10はデータをタイムスタンプとともにメモリ内に記憶していくので、これらストロークデータD1〜D6にはそれぞれの記入時刻を示すタイムスタンプが付属している。よって、これらストロークデータD1〜D6を採点データとして受信した処理サーバ3は、各ストロークデータのタイムスタンプを参照することにより、各ストロークデータの入力順序を認識することができる。
【0065】
[採点結果認識処理]
次に、採点結果認識処理について説明する。採点結果認識処理は、解答欄に対して採点者が電子ペン10を使用して記入した採点記号を認識し、認識結果を採点結果として出力する処理であり、実際には処理サーバ3内のCPUなどが予め用意されたプログラムを実行し、図8に示すストローク抽出部50、文字認識部51などとして機能することにより実現される。なお、以下に説明する採点結果認識処理は、解答用紙4上の1つの解答欄毎に実行されるものである。
【0066】
(第1実施例)
まず、採点結果認識処理の第1実施例について説明する。第1実施例は、基本的に、処理対象となる解答欄に対して最後に記入されたストロークを有効とする。ただし、解答用紙上では複数の採点記号のうちどれが最後に描いたものかを判別することができないので、前述の1ストロークの訂正記号を記入することにより訂正を行う。なお、訂正記号も電子ペンにより記入されるためストロークの認識が行われるが、訂正記号として無視される。
【0067】
図12は、採点結果認識処理の第1実施例のフローチャートである。
【0068】
最初に、処理サーバ3のCPUなどはストローク抽出部50として機能し、処理の対象となっている解答欄を通過する全てのストロークを抽出する(ステップS2)。ストロークが抽出されない場合(ステップS4;No)には、処理サーバ3は処理対象となる解答欄内に記入がないと判断し、処理を終了する。一方、ストロークが抽出された場合(ステップS4;Yes)、処理サーバ3は、抽出されたストロークのうち、始点がその解答欄内に含まれるストロークのみを選別する(ステップS6)。これは、前述のように、採点記号を記入する際は、対象となる解答欄内にストロークの始点が位置するように採点記号を記入することがルール付けられているからである。よって、そのようなストロークが存在しない場合は、処理は終了する(ステップS8;No)。
【0069】
一方、処理対象となる解答欄内に始点が存在するストロークが選別された場合(ステップS8;Yes)、そのようなストロークが複数存在するか否かを判定する。処理対象となる解答欄内から始点が始まるストロークが1つのみの場合(ステップS10;No)、そのストロークが採点記号を示すことになる。これは、前述のように、1つの採点記号は必ず1つのストロークで表現されることが決められているからである。よって、文字認識部がそのストロークを文字認識し(ステップS12)、認識結果が採点記号であれば、その採点記号を採点結果として出力する(ステップS14)。
【0070】
一方、始点が解答欄内に存在するストロークが複数ある場合(ステップS10;Yes)、処理サーバ3はそれらのストロークのタイムスタンプを参照し、時間軸上で新しいストロークから順に文字認識処理を行う(ステップS18)。そして、まずそのストロークの認識結果が訂正記号であるか否かを判定する(ステップS20)。認識結果が訂正記号である場合(ステップS20;Yes)、次のストローク、つまりそれより時間的に古いストロークが存在するか否かを判定し(ステップS24)、存在する場合にはステップS18へ戻ってそのストロークの文字認識を実行する。ステップS20でストロークの認識結果が訂正記号でないと判断されると、その認識結果が保存され(ステップS22)、その認識結果を採点結果として出力する(ステップS26)。
こうして、ステップS18〜S24により、処理対象となる解答欄内に存在する複数のストロークから訂正記号を除外し、かつ、時間的に最後に記入されたストロークに対応する採点記号を認識結果として出力する。
【0071】
なお、訂正記号より新しいストロークが存在しない場合は(ステップS24;No)、その解答欄には採点結果が存在しない(例えば、採点不要の解答欄に採点者が誤って採点記号の記入したなど)と判定して、処理を終了する。
【0072】
(第2実施例)
次に、採点結果認識処理の第2実施例について説明する。第2実施例では、訂正記号にが訂正の対象とする採点記号をストロークの重なりにより判別する。即ち、検出された訂正記号のストロークと重なる(交わる)採点記号を、当該訂正記号により訂正されたものとして無効化する。
【0073】
さらに、第2実施例では、時間軸上で最後に記入されたストロークから順に文字認識を行う。通常、採点記号の訂正が行われる場合には、訂正記号の記入後に記入された採点記号が有効となり、訂正記号がそれ自身より時間的に後に記入されたストロークを訂正することはありえない。よって、時間的に古いストロークから順に文字認識処理を行った後で、その認識結果を訂正記号により無効化するより、時間的に新しいストロークから認識処理を行うほうが、訂正により取り消されるストロークの認識処理を無駄に行うことがなくなり、処理の効率化が図れる。
【0074】
図13に第2実施例による採点結果認識処理のフローチャートを示す。なお、図13に示す採点結果認識処理のうち、ステップS26〜S38、即ち、処理対象となる解答欄内にストロークが1つのみ存在する場合の処理は、図12に示す第1実施例の場合と同様であるので、説明は省略する。
【0075】
さて、ステップS34において、処理対象となる解答欄内に複数のストロークが存在する場合(ステップS34;Yes)、文字認識部51は時間軸上で新しいストロークから順に1つずつストロークの文字認識を行う(ステップS42)。そして、認識された記号が訂正記号であるか否かを判定する(ステップS44)。訂正記号である場合(ステップS44;Yes)、その訂正記号のストロークと重なっているストロークを無効化する(ステップS52)。先に述べたように、訂正記号と重なっているストロークは訂正の対象となる採点記号のストロークであるので、これを無効化し、その後の文字認識処理の対象から除外する。これにより、訂正により取り消されたストロークを無駄に文字認識することがなくなり、処理の効率化が図れる。
【0076】
一方、認識されたストロークが訂正記号でない場合(ステップS44;No)、そのストロークは採点記号であるので、採点結果として保存する(ステップS46)。そして、次のストローク、つまり、時間的に古いストロークが存在するか否かを判定し(ステップS48)、存在する場合にはステップS42へ戻って同様の処理を繰り返す。こうして、次のストロークが存在しなくなった状態では(ステップS48;No)、通常は1つの認識結果のみが保存されているので、その認識結果を採点結果として出力する(ステップS50)。ただし、採点者が訂正記号の記入を忘れた場合には、複数の採点記号の認識結果が得られ、保存されていることになる。その場合には、時間的に新しく記入された認識結果を採点結果として出力する(ステップS50)。
【0077】
このように、第2実施例では、訂正記号とストロークが重なっている採点記号を無効化するので、訂正を正しく検出することができる。また、時間的に新しく記入されたストロークから順に文字認識処理を行うので、訂正により取り消された採点記号のストロークを文字認識することが防止され、処理の効率化が図れる。
【0078】
また、訂正記号と重なる採点記号を無効化する方法を採用するため、採点記号の記入と訂正記号の記入とが時間的にどのような関係にあっても、正しく訂正を認識することができる。例えば、異なる採点記号を2つ記入した後に一方を訂正する場合でも、訂正記号と重なる方の採点記号が無効化されるので、採点者は訂正記号の記入順序を気にする必要はない。
【0079】
なお、上記の第2実施例では、訂正記号のストロークも採点記号と同様に認識されるので、訂正記号もその始点が解答欄内に存在することが要件となる。
【0080】
[変形例]
上記の第2実施例では、ステップS42で時間的に新しいストロークから順に文字認識処理を行っているが、時間的に古いストロークから文字認識処理を行うようにすることもできる。その場合でも、訂正記号を文字認識し、訂正記号と重なる採点記号を無効化することにより、訂正を正しく判定することができる。
【0081】
また、図9に示した採点記号や訂正記号は単なる例であり、1ストロークで記入できる記号であれば、他の記号や形状を採点記号として使用しても構わない。
【0082】
また、上記の実施形態では、本発明を模擬試験などの採点システムに適用しているが、本発明を各種申請書などの帳票に対する入力記号の認識処理に適用することもできる。即ち、各種申請書などの電子ペン用帳票に対して利用者が所定の記号を入力し、必要に応じて入力した記号の訂正などを行った場合に、本発明の方法により、訂正の有無を考慮した上で正しい入力記号を認識することができる。
【0083】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、電子ペンを利用して採点者が記入した採点結果を自動的にデータとして取得することができる。よって、採点結果の集計や分析を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子ペンの使用形態を模式的に示す図である。
【図2】電子ペンの構造を示す機能ブロック図である
【図3】専用ペーパーに印刷されたドットパターンによる情報の表現方法を説明する図である。
【図4】ドットパターン及びそれに対応する情報の例を示す。
【図5】専用ペーパーにより構成される帳票の構造を示す。
【図6】電子ペン用帳票の例を示す。
【図7】本発明による採点システムの概略構成を示す図である。
【図8】図7に示す採点システムの処理サーバの機能ブロックを示す図である。
【図9】採点記号の例を示す。
【図10】解答用紙への採点例を示す。
【図11】採点者による採点中に電子ペンが取得するストロークデータを示す。
【図12】本発明による採点結果認識処理の第1実施例のフローチャートである。
【図13】本発明による採点結果認識処理の第2実施例のフローチャートである。
【符号の説明】
2 ネットワーク
3 処理サーバ
4 解答用紙
10 電子ペン
11 プロセッサ
12 メモリ
13 トランシーバ
14 バッテリー
25 受付端末
50 ストローク抽出部
51 文字認識部
52 記号情報記憶部
53 採点結果記憶部
54 採点結果集計処理部
Claims (9)
- 電子ペンを利用した採点システムにおいて、
前記電子ペンを利用して解答用紙に入力された採点データを受け取るデータ入力手段と、
前記採点データから、採点記号及び訂正記号に対応するストロークを抽出するストローク抽出手段と、
個々の採点記号及び訂正記号の特徴を示す記号情報を記憶する記号情報記憶部と、
前記記号情報を参照して、抽出されたストロークに対応する記号を認識し、認識結果を生成する認識手段と、
前記認識結果に基づいて、採点結果を出力する制御手段と、を備えることを特徴とする採点システム。 - 前記採点記号及び前記訂正記号は、前記電子ペンにより1ストロークで入力可能な形状を有することを特徴とする請求項1に記載の採点システム。
- 前記制御手段は、
前記ストローク抽出手段を制御して、前記解答用紙内の1つの解答欄を通る全てのストロークを抽出する手段と、
抽出されたストロークのうち、始点が当該解答欄内に含まれるストロークを選別する選別手段と、
選別されたストロークが1つである場合には当該ストロークの認識結果を採点結果として出力し、選別されたストロークが複数である場合には入力時刻が最も新しいストロークの認識結果を採点結果として出力する出力手段と、を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の採点システム。 - 前記出力手段は、選別されたストロークのうち、訂正記号に対応するストロークを前記採点結果としないことを特徴とする請求項3に記載の採点システム。
- 前記制御手段は、
前記ストローク抽出手段を制御して、前記解答用紙内の1つの解答欄を通る全てのストロークを抽出する手段と、
抽出されたストロークのうち、始点が当該解答欄内に含まれるストロークを選別する手段と、
選別されたストロークが1つである場合には当該ストロークの認識結果を採点結果として出力し、選別されたストロークが複数である場合には、訂正記号と認識されたストローク及び訂正記号と認識されたストロークと重なるストローク以外のストロークのうち、入力時刻が最も新しいストロークの認識結果を採点結果として出力する出力手段と、を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の採点システム。 - 前記認識手段は、前記選別されたストロークについて、入力時刻が新しいものから順に認識処理を実行することを特徴とする請求項5に記載の採点システム。
- コンピュータ上で実行されることにより、
電子ペンを利用して解答用紙に入力された採点データを受け取るデータ入力手段、
前記採点データから、採点記号及び訂正記号に対応するストロークを抽出するストローク抽出手段、
個々の採点記号及び訂正記号の特徴を示す記号情報を記憶する記号情報記憶手段、
前記記号情報を参照して、抽出されたストロークに対応する記号を認識し、認識結果を生成する認識手段、
前記認識結果に基づいて、採点結果を出力する制御手段として前記コンピュータを機能させることをことを特徴とする採点処理プログラム。 - 電子ペンを利用して入力された記号を認識する入力記号認識システムにおいて、
前記電子ペンを利用して電子ペン用帳票に入力された入力データを受け取るデータ入力手段と、
前記入力データから、入力記号に対応するストロークを抽出するストローク抽出手段と、
個々の入力記号の特徴を示す記号情報を記憶する記号情報記憶部と、
前記記号情報を参照して、抽出されたストロークに対応する入力記号を認識し、認識結果を生成する認識手段と、を備えることを特徴とする入力記号認識システム。 - コンピュータ上で実行されることにより、
前記電子ペンを利用して電子ペン用帳票に入力された入力データを受け取るデータ入力手段、
前記入力データから、入力記号に対応するストロークを抽出するストローク抽出手段、
個々の入力記号の特徴を示す記号情報を記憶する記号情報記憶手段、
前記記号情報を参照して、抽出されたストロークに対応する入力記号を認識し、認識結果を生成する認識手段として前記コンピュータを機能させることをことを特徴とする入力記号認識プログラム。
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JP4112967B2 (ja) | 2008-07-02 |
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