JP2004205557A - 光量調節装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】絞りの動作状態と、絞り開口に対するフィルタの進退とを連動させることができ、絞り開口を通過する光の透過量を細かく調整することができるとともに、最大絞り時において十分な光量が確保できること。
【解決手段】下側絞り羽根3と、上側絞り羽根4は、入射光の光軸に対し近接または離れる方向に移動して光通過光24に形成される絞り開口(開口領域)の大きさを調整する。下側絞り羽根3と、上側絞り羽根4には、それぞれ下側光学フィルタ2と、上側光学フィルタ5が取り付けられており、下側絞り羽根3と、上側絞り羽根4の移動に連動して回動しながら徐々に開口領域方向に進退する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビデオカメラ等の撮像装置の光学系に使用される光量調節装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビデオカメラ等の撮像装置の光学系に使用される、従来の光量調節装置としては、光量調節を行う際に、光の回折による解像度の劣化の低減を考慮し、NDフィルタや絞り羽根を動作させるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。この装置では、被写体の照度が低照度、中照度、高照度と変化するごとに、絞り羽根とNDフィルタをそれぞれ独立に駆動させて光量調節を行っている。また、2枚の絞り羽根にNDフィルタが取り付けられ、そのNDフィルタを光軸の中心から放射方向外側へ向かうにつれて光の透過率が低くなるように構成されたものがある(例えば、特許文献2参照)。さらに、光軸に直交する面上を絞り羽根が互いに離れる方向に移動することにより絞り開口を形成し、1枚の絞り羽根に少なくとも2段階の光の透過率を有するNDフィルタが取り付けられた装置もある(例えば、特許文献3参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−14384号公報
【特許文献2】
特開平8−43878号公報
【特許文献3】
特開2001−272709号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1〜3に開示された装置においては、絞り羽根の最大絞り(最大開口)時でも光路中にNDフィルタの一部分が残るようになっているため、最大絞り時であっても開口を通過する光がNDフィルタの影響を受け、十分な光量を確保することができない。
【0005】
また、特許文献3に開示された装置では、絞り羽根の開閉機構がNDフィルタの移動枠機構と同じ方向(上下方向)に移動するように構成されている。しかも、絞りとNDフィルタが2段階に上下方向へ駆動するようになっているため、装置が上下方向に長くなり大型化を招いている。また、絞り羽根の開閉機構とNDフィルタの移動枠機構とが異なる駆動モータで駆動され、それぞれの駆動モータが装置の前後に配置されていることから、装置が前後方向にも大きくなっている。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、絞りの動作状態と、絞り開口に対するフィルタの進退とを連動させることができ、絞り開口を通過する光の透過量を細かく調整することができるとともに、最大絞り時において十分な光量が確保できる光量調節装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1にかかる光量調節装置は、2枚の絞り羽根を備え、該2枚の絞り羽根が入射光の光軸に対し互いに近接または離れる方向に移動して絞り開口の大きさを変える光量調節装置であって、前記2枚の絞り羽根のうちの少なくとも1枚には、該絞り羽根の移動に連動して前記絞り開口の方向に進退自在な所定の光透過特性を有する光学フィルタを備えたことを特徴とする。
【0008】
この請求項1に記載の発明によれば、絞り羽根の絞り動作と連動して光学フィルタが絞り開口の方向に進退する。絞り羽根を1つの動力源のみで駆動でき、絞り開口の大きさを変化させつつ、この変化する絞り開口に占めるフィルタの割合を変化させることができる。
【0009】
また、請求項2にかかる光量調節装置は、請求項1に記載の発明において、前記光学フィルタは、前記絞り羽根に取り付けられ、前記絞り開口に進退する部分が切欠部とされた駆動羽根と、前記駆動羽根の前記切欠部に設けられ、前記絞り開口に面し所定の光透過特性を有するフィルタ板とからなることを特徴とする。
【0010】
この請求項2に記載の発明によれば、絞り開口に対し進退する駆動羽根と、光の通過部分に設けたフィルタ板により光学フィルタを形成したので、駆動羽根の機構動作の安定化が図れ、かつ、フィルタ板の大きさを必要最小限に抑え、比較的高価なフィルタを安価に用いることができる。
【0011】
また、請求項3にかかる光量調節装置は、請求項1または2に記載の発明において、前記光学フィルタに形成されたカム穴と、移動する前記絞り羽根を保持する保持手段に設けられ、前記光学フィルタを固定位置で軸支する回転軸と、移動する前記絞り羽根に設けられ、前記カム穴に係合する駆動軸とを備え、前記絞り羽根の移動に連動して前記光学フィルタが前記回転軸を中心に回動し、前記絞り開口の方向に進退自在なことを特徴とする。
【0012】
この請求項3に記載の発明によれば、絞り羽根と光学フィルタとを簡単な機構で連動させることができる。また、カム形状を変更するだけで、絞り開口に対する光学フィルタの進退時の移動量を容易に変更できるようになる。
【0013】
また、請求項4にかかる光量調節装置は、請求項1〜3のいずれか一つに記載の発明において、前記光学フィルタは、前記光軸に対し2枚が点対称に配置され、該2枚の光学フィルタは、点対称の状態を保持しながら前記絞り開口の方向に進退自在なことを特徴とする。
【0014】
この請求項4に記載の発明によれば、絞り開口に対し進退する2枚の光学フィルタ、および機構を対称配置によりいずれも簡単に構成できるようになる。
【0015】
また、請求項5にかかる光量調節装置は、請求項1〜3のいずれか一つに記載の発明において、前記光学フィルタは、前記光軸に対し2枚が互いに点対称に配置され、該2枚の光学フィルタは、前記絞り開口の方向に進退する過程で点対称の状態と非点対称の状態とを有することを特徴とする。
【0016】
この請求項5に記載の発明によれば、変化する絞り開口の大きさに対し、絞り開口に進退する光学フィルタが占める割合を変化させることができ、変化する絞り開口の大きさに占める光学フィルタの割合を細かく設定できるようになる。
【0017】
また、請求項6にかかる光量調節装置は、請求項1〜5のいずれか一つに記載の発明において、前記光学フィルタは、前記絞り羽根の移動範囲内で前記進退移動可能な形状であることを特徴とする。
【0018】
この請求項6に記載の発明によれば、各光学フィルタは絞り羽根の移動領域内で移動するため、装置の上下方向の大きさは前記各絞り羽根が移動可能なスペースだけでよく、装置の小型化が図れる。
【0019】
また、請求項7にかかる光量調節装置は、請求項1〜6のいずれか一つに記載の発明において、2枚の前記光学フィルタは、大きさが変わる前記絞り開口の領域内の一部または全部で互いに重なり合うことを特徴とする。
【0020】
この請求項7に記載の発明によれば、変化する絞り開口の大きさに占める光学フィルタの重なり状態を変えて光の透過率をより変化させることができるようになる。特に、中間絞りから最小絞りにかけての状態で光学フィルタを重ね、光の透過率を低くすることにより、シェーディングの発生を抑制できるようになる。
【0021】
また、請求項8にかかる光量調節装置は、請求項1〜7のいずれか一つに記載の発明において、前記光学フィルタは、NDフィルタであることを特徴とする。
【0022】
この請求項8に記載の発明によれば、絞り開口を通過する光の透過率を波長全域に渡りほぼ均一に低減でき、シェーディング抑制を良好におこなえるようになる。
【0023】
また、請求項9にかかる光量調節装置は、請求項1〜7のいずれか一つに記載の発明において、前記光学フィルタは、近赤外カットフィルタ(NIR)であることを特徴とする。
【0024】
この請求項9に記載の発明によれば、絞り開口を通過する光の透過率を赤外波長で容易にカットできるようになる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の光量調節装置の各実施形態を詳細に説明する。本発明の光量調節装置は、光軸に直交する面上を絞り羽根および光学フィルタが移動することにより開口領域(絞り開口)を変化させるものである。また、以下の説明において、各部材の方向を示す場合は、光量調節装置を前方の物体側から見た状態を想定して記載してある。
【0026】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる光量調節装置の構成を示す分解斜視図である。実施の形態1の光量調節装置は、絞りホルダ1と、下側光学フィルタ2と、下側絞り羽根3と、上側絞り羽根4と、上側光学フィルタ5と、駆動モータ28と、駆動手段29とを備えて構成されている。
【0027】
絞りホルダ1の略中央部から上方寄りの位置には、略円形の光通過孔24が形成されている。絞りホルダ1の下方には、駆動モータ28を取り付けるための駆動取付部23が設けられている。駆動取付部23には、略円形の駆動モータ取付部27が形成されている。また、光通過孔24の両側には2つの回転軸(羽根ガイドピン)25a,25bが図中前方(物体側)へ突出形成されている。駆動取付部23の上方の左右両側には、2つの羽根ガイドピン26a,26bが物体側へ突出形成されている。
【0028】
下側光学フィルタ2は、所定の光透過特性を有するNDフィルタにより形成され、略弓状をなし、光通過孔24の径にほぼ一致した内縁部2aを有している。また、この下側光学フィルタ2の略中央部には円弧状に切り欠かれたカム穴6aが形成され、上端部には回転中心穴7が形成されている。
【0029】
下側絞り羽根3は、下方の略右半分が切り欠かれた形状で、上方には光通過孔24の径にほぼ等しい略半円形状の開口形成部8が形成されている。この開口形成部8は、両側部が下方に行くにしたがってはじめは滑らかに円形状をなし、中央部付近は途中から急激にその幅が狭くなり最下淵部8aが下に凸形状になっている。
【0030】
また、下側絞り羽根3の左端には、上下に長い直進ガイド穴9a,9bが形成されている。直進ガイド穴9a,9bは大きさ、形状とも同一であり、直進ガイド穴9bは、直進ガイド穴9aの直下に形成されている。直進ガイド穴9bの下側であり、下側絞り羽根3の下端部には、左右方向に長い回転連結穴10が形成されている。一方、下側絞り羽根3の右端にも上下に長い直進ガイド穴11が形成されている。直進ガイド穴11は、大きさ、形状とも直進ガイド穴9aと同一であるが、下側絞り羽根3の中心線に対し直進ガイド穴9aと線対称の位置にある。直進ガイド穴11の左側には、駆動軸12aが前方(物体側)へ突出形成されている。
【0031】
上側絞り羽根4は、下方の略左半分が切り欠かれた形状で、中心付近に光通過孔24の径にほぼ等しい略半円形状の開口形成部13が形成されている。この開口形成部13は、両側部が上方に行くにしたがってはじめは滑らかに円形状をなし、中央部付近は途中から急激にその幅が狭くなり最上淵部13aが上に凸形状になっている。
【0032】
また、上側絞り羽根4の右端には、上下に長い直進ガイド穴15a,15bが形成されている。直進ガイド穴15a,15bは大きさ、形状とも同一であり、直進ガイド穴15bは直進ガイド穴15aの直下に形成されている。上側絞り羽根4の下端であり、直進ガイド穴15bの下側には、左右方向に長い回転連結穴17が形成されている。一方、上側絞り羽根4の左端にも上下に長い直進ガイド穴14が形成されている。直進ガイド穴14は、大きさ、形状とも直進ガイド穴15aと同一であるが、上側絞り羽根4の中心線に対し直進ガイド穴15aと線対称の位置にある。この直進ガイド穴14の右側には、駆動軸16aが後方(像側)へ突出形成されている。
【0033】
上側光学フィルタ5は、所定の光透過特性を有するNDフィルタにより形成され、略弓状をなし、光通過孔24の径にほぼ一致した内縁部5aを有している。また、この上側光学フィルタ5には、略中央部に円弧状に切り欠かれたカム穴18aと、下端部に回転中心穴19が形成されている。なお、この上側光学フィルタ5は、下側光学フィルタ2と同形状であり、光の透過率も等しい。また、カム穴18aと、回転中心穴19の大きさ、形状、形成される位置についても、カム穴6aと、回転中心穴7と同様である。
【0034】
下側光学フィルタ2と、下側絞り羽根3と、上側絞り羽根4と、上側光学フィルタ5の材質には、光を遮断する薄いフィルムが用いられる。
【0035】
駆動手段29は、中心の回転レバー20と、この回転レバー20から水平に延びるアーム21と、アーム21の左右両先端部にそれぞれ設けられた左側連結ピン22a、右側連結ピン22bとで構成されている。なお、左側連結ピン22a、右側連結ピン22bは、ともに前方(物体側)に突出した形状を有する。
【0036】
この光量調節装置は、図示しない物体側(図の左側)から順に、下側光学フィルタ2,下側絞り羽根3,上側絞り羽根4,上側光学フィルタ5が配置されている。
【0037】
図1を用いて組み立て状態を説明する。下側絞り羽根3に設けられた駆動軸12aに対し、下側光学フィルタ2のカム穴6aを嵌め込む。また、上側絞り羽根4に設けられた駆動軸16aに対し、上側光学フィルタ5のカム穴18aを嵌め込む。次に、絞りホルダ1の回転軸25aに対し、上側光学フィルタ5の回転中心穴19を嵌合させ、さらに上側絞り羽根4の直進ガイド穴14と、下側絞り羽根3の直進ガイド穴9aを嵌め込む。
【0038】
また、絞りホルダ1の回転軸25bに対し、上側絞り羽根4の直進ガイド穴15aと、下側絞り羽根3の直進ガイド穴11を嵌め込み、さらに下側光学フィルタ2の回転中心穴7を嵌合させる。絞りホルダ1の羽根ガイドピン26aに対し、下側絞り羽根3の直進ガイド穴9bを嵌め込む。絞りホルダ1の羽根ガイドピン26bに対し、上側絞り羽根4の直進ガイド穴15bを嵌め込む。これにより、下側光学フィルタ2と上側光学フィルタ5は、絞りホルダ1の光通過孔24の中心(光軸)に対して点対称の位置に配置されている。
【0039】
さらに、駆動取付部23の後方(像側)からこの駆動取付部23に形成された駆動モータ取付部27に駆動モータ28を取り付ける。そして、駆動モータ28の回転軸28aを駆動手段29の回転レバー20に取り付ける。駆動手段29のアーム21の両先端部に設けられた左側連結ピン22aと、右側連結ピン22bを、それぞれ下側絞り羽根3の回転連結穴10と、上側絞り羽根4の回転連結穴17に嵌め込む。左側連結ピン22a、右側連結ピン22bは、それぞれ回転連結穴10、回転連結穴17に対し摺動自在となる。
【0040】
次に、上記構成による絞り動作を説明する。駆動モータ28を駆動(回転)すると、駆動手段29のアーム21が揺動する。このとき、アーム21の左側連結ピン22aと右側連結ピン22bとは互いに上下反対の方向へ移動するので、それにより、下側絞り羽根3と上側絞り羽根4とが互いに上下反対の方向へ移動する。これに伴い、下側絞り羽根3と、上側絞り羽根4にそれぞれ取り付けられている下側光学フィルタ2と、上側光学フィルタ5も上下反対の方向に移動する。
【0041】
このとき、上側光学フィルタ5に形成されたカム穴18a内を上側絞り羽根4の駆動軸16aが摺動し、上側光学フィルタ5が回転中心穴19を中心に回動する。同時に、下側光学フィルタ2に形成されたカム穴6a内を下側絞り羽根3の駆動軸12aが摺動し、下側光学フィルタ2が回転中心穴7を中心に回動する。下側光学フィルタ2と上側光学フィルタ5とは、光通過孔24の中心に対し点対称である状態を保持したまま回動する。このようにして、光量調節装置の光通過孔24部分に形成される絞り開口(以下に説明する開口領域40)の大きさが変化する。
【0042】
図2は、実施の形態1にかかる光量調節装置を示す正面図である。図には、最大絞り状態(絞り開放)が示されている。この最大絞り時には、図1に示した駆動手段29のアーム21の左側連結ピン22aが斜め下方に、右側連結ピン22bが斜め上方に位置する。これに伴い、下側絞り羽根3がその移動範囲における下端に、上側絞り羽根4がその移動範囲における上端にそれぞれ位置する。
【0043】
このとき、下側絞り羽根3の開口形成部8および上側絞り羽根4の開口形成部13は、ともに絞りホルダ1の光通過孔24とほぼ重なり、光通過孔24内に進入しない。また、凸形状になっている、下側絞り羽根3の開口形成部8の最下淵部8aおよび上側絞り羽根4の開口形成部13の最上淵部13aは、ともに絞りホルダ1の光通過孔24の外側に退避している。また、この最大絞り時には、下側光学フィルタ2と、上側光学フィルタ5は、ともに光通過孔24の外側に退避するため、装置の後方に配置される撮像素子(不図示)へ導かれる光は下側光学フィルタ2と、上側光学フィルタ5の影響を受けない。下側絞り羽根3と、上側絞り羽根4の開口形成部8,13によって形成される開口領域40の大きさは、これら下側絞り羽根3と、上側絞り羽根4の移動によって連続的に変化する。また、下側絞り羽根3と、上側絞り羽根4の移動に連動して、この開口領域40内には下側光学フィルタ2と、上側光学フィルタ5が進退する。
【0044】
図3は、実施の形態1の光量調節装置の絞り動作を説明するための動作図である。図3(a)は、図2に示した最大絞り状態から少し絞った状態である。下側絞り羽根3および上側絞り羽根4を移動させ、下側絞り羽根3の開口形成部8の最下淵部8aと、上側絞り羽根4の開口形成部13の最上淵部13aが光通過孔24の縁より幾分内側に位置した状態となる。このとき、下側絞り羽根3および上側絞り羽根4の移動に伴い、駆動軸12a,16aが上下に移動する。下側絞り羽根3の開口形成部8と上側絞り羽根4の開口形成部13とにより形成される開口領域40は、光通過孔24(図2参照)の縁より内側に位置し、横長な楕円形状となる。
【0045】
また、下側光学フィルタ2および上側光学フィルタ5は、それぞれ固定位置にある絞りホルダ1(図1参照)の回転軸25a,25bに係合する回転中心穴7,19に対し、下側絞り羽根3および上側絞り羽根4に設けられた駆動軸12a,16aが上下に移動する。このため、駆動軸12a,16aは係合するカム穴6a,18a内で上下方向に移動し、下側光学フィルタ2および上側光学フィルタ5は、回転中心穴7,19を中心として光通過孔24に向かって回動する。そして、開口形成部8の最下淵部8aを下側光学フィルタ2の一部分が覆い、開口形成部13の最上淵部13aを上側光学フィルタ5の一部分がそれぞれ覆う状態になる。
【0046】
図3(b)は、(a)の状態からさらに下側絞り羽根3および上側絞り羽根4を移動させた中間絞りの状態である。下側絞り羽根3の開口形成部8と上側絞り羽根4の開口形成部13とにより形成される開口領域40が略ひし形の状態となる。この状態では、開口領域40は、完全に光通過孔24の内側に位置する。このとき、下側光学フィルタ2と上側光学フィルタ5は、ともにその一部分が開口形成部8,13によって形成された略ひし形の内側の約1/2を覆い、残る約1/2が光を素通しする状態になる。
【0047】
図3(c)は、(b)の状態からさらに下側絞り羽根3および上側絞り羽根4を移動させた絞り状態である。光通過孔24の領域内で下側絞り羽根3の開口形成部8と上側絞り羽根4の開口形成部13とにより形成される略ひし形の開口領域40がさらに小さな状態となる。この状態では、開口領域40内で下側光学フィルタ2と上側光学フィルタ5とが重なり合い、光の素通し部分がなくなる。ただし、開口領域40内のすべての領域で下側光学フィルタ2と上側光学フィルタ5が重なり合っているわけではないため、開口領域40内に光の透過率が異なる部分が形成されることになる。図示のように、開口領域40の中央部付近が光の透過率が低くなり、その周辺部が光の透過率が高くなる。
【0048】
図3(d)は、最小絞り状態を示す図である。このとき、図1に示した駆動手段29のアーム21の左側連結ピン22aが斜め上方に、右側連結ピン22bが斜め下方に位置する。これに伴い、下側絞り羽根3がその移動範囲における上端に、上側絞り羽根4がその移動範囲における下端にそれぞれ位置する。この状態では、開口領域40は光通過孔24の中心付近に位置し、最も小さな略ひし形となる。この状態では、開口領域40内のすべてで下側光学フィルタ2と上側光学フィルタ5とが重なり合っている。したがって、光の透過率がかなり低くなる。この状態は、撮影しようとする物体の照度が極めて高い場合を想定したもので、撮像素子の結像面においていわゆる「ケラレ」の発生を抑制することができる。
【0049】
以上のように、実施の形態1の光量調節装置では、最大絞り状態において、下側光学フィルタ2および上側光学フィルタ5が光路である光通過孔24に進入することがなく、十分な光量を確保できる。また、この装置では、これら下側光学フィルタ2と上側光学フィルタ5が光軸に対して点対称の関係を保持しながら回動するため、光通過孔24に対しこれら下側光学フィルタ2と上側光学フィルタ5の移動を連続(定量化)でき、光通過孔24を通過する光量の制御を絞り量にあわせて連続的に行えるようになる。
【0050】
また、実施の形態1の光量調節装置では、最小絞り状態に近づくにつれて、下側光学フィルタ2と上側光学フィルタ5が重なる領域の割合を増加させることができる。したがって、特に中間絞りから最小絞り状態にかけて発生するシェーディングの抑制効果を得ることができる。
【0051】
また、実施の形態1の光量調節装置では、2枚の光学フィルタ(下側光学フィルタ2,上側光学フィルタ5)が絞り羽根(下側絞り羽根3,上側絞り羽根4)と連動して駆動するようになっているため、それらを駆動するための動力源が1つの駆動モータのみで足りる。したがって、動力源を配置するためのスペースは最小限でよい。さらに、各光学フィルタの移動領域が各絞り羽根の移動領域内にある。したがって、装置の上下方向は各絞り羽根が移動可能なスペースが確保できればよいため、装置の小型化を達成できる。
【0052】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2にかかる光量調節装置を示す正面図である。図には、上下の光学フィルタを非対称に駆動する光量調節装置の構成例を示した。下側絞り羽根3および上側絞り羽根4の形状は、実施の形態1の構成と同様である。下側光学フィルタ2と上側光学フィルタ5は、同一の形状を上下対称に配置してなる。しかし、下側光学フィルタ2に形成されるカム穴6aと、上側光学フィルタ5に形成されるカム穴18aは、互いにカム形状が異なる。下側光学フィルタ2に形成されるカム穴6aは、略J字状であり、上側光学フィルタ5に形成されるカム穴18aは、略S字状に形成されている。
【0053】
図には、最大絞り状態(絞り開放)が示されている。この状態で、下側光学フィルタ2と上側光学フィルタ5はいずれも光通過孔24の外側に退避しており、装置の後方に配置される撮像素子(不図示)へ導かれる光は下側光学フィルタ2と、上側光学フィルタ5の影響を受けない。
【0054】
図5は、実施の形態2の光量調節装置の絞り動作を説明するための動作図である。図5(a)は、図4に示す最大絞り状態から少し絞った状態である。下側絞り羽根3および上側絞り羽根4を移動させ、下側絞り羽根3の開口形成部8の最下淵部8aと、上側絞り羽根4の開口形成部13の最上淵部13aが光通過孔24の縁より幾分内側に位置した状態となる。このとき、駆動軸12aはカム穴6aの斜め部分に位置するため、下側光学フィルタ2が光通過孔24内に一部入る。一方、駆動軸16aはカム穴18aの上下部分に位置するため、上側光学フィルタ5はまだ光通過孔24に進入せず外部に待避している。
【0055】
図5(b)は、(a)の状態からさらに下側絞り羽根3および上側絞り羽根4を移動させた中間絞り状態である。この状態で、下側光学フィルタ2は下側絞り羽根3の移動量にあわせて光通過孔24内への進入量を増やしていく。そして、上側光学フィルタ5は、駆動軸16aがカム穴18aの円弧部分に位置し、光通過孔24内に進入をはじめる。このとき、下側光学フィルタ2と上側光学フィルタ5は、その一部分が開口形成部8,13によって形成された略ひし形の内側の約1/2を覆い、残る約1/2が光を素通しする状態になる。図に示す状態では、図5(b)に示した中間絞りの状態と比較して、光通過孔24に対する進入の割合は、下側光学フィルタ2側が多く、上側光学フィルタ5が少ないことがわかる。
【0056】
図5(c)は、(b)の状態からさらに下側絞り羽根3および上側絞り羽根4を移動させた絞り状態である。この状態で略ひし形の開口領域40がさらに小さくなり、開口領域40内で下側光学フィルタ2と上側光学フィルタ5とが重なり合い、光の素通し部分がなくなる。ただし、開口領域40内のすべての領域で下側光学フィルタ2と上側光学フィルタ5が重なり合うわけではなく、開口領域40内において上側光学フィルタ5のみの個所を形成し、開口領域40内に光の透過率が異なる部分が形成される。図示のように、開口領域40の斜め右上のひし形部分が光の透過率が低くなり、斜め左下のひし形部分が光の透過率が高くなる。
【0057】
図5(d)は、最小絞り状態を示す図である。この状態では、開口領域40は光通過孔24の中心付近に位置し、最も小さな略ひし形となる。この状態では、開口領域40内のすべてで下側光学フィルタ2と上側光学フィルタ5とが重なり合っているため、開口領域40の大きさに占める光の透過率も最も低くなる。この状態は、撮影しようとする物体の照度が極めて高い場合を想定したもので、撮像素子の結像面においていわゆる「ケラレ」の発生を抑制することができる。
【0058】
このように、実施の形態2の光量調節装置によれば、上側光学フィルタ5と下側光学フィルタ2に形成するカム穴の形状を異なる形状にするだけで、簡単に光通過孔24内に移動する上側光学フィルタ5と下側光学フィルタ2の移動量を互いに異なり、非対称な状態で移動させることができる。下側光学フィルタ2と上側光学フィルタ5との駆動を非対称にすれば、光学フィルタ端面における光の反射を原因として発生するフレアによる悪影響をより低減できるようになる。
【0059】
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施の形態3にかかる光量調節装置の構成を示す分解斜視図である。実施の形態3の光量調節装置は、絞りホルダ1と、下側駆動羽根30と、下側絞り羽根3と、上側絞り羽根4と、上側駆動羽根31と、駆動モータ28と、駆動手段29とを備えて構成されている。
【0060】
絞りホルダ1と、駆動モータ28と、駆動手段29は実施の形態1の装置に用いられるものと同様である。また、下側絞り羽根3と、上側絞り羽根4も駆動軸12b,16bが形成される位置が異なることを除き、実施の形態1の装置に用いられるものと同様の構成である。駆動軸12bは、下側絞り羽根3の直進ガイド穴11の最下部近傍の左側に形成されている。また、駆動軸16bは、上側絞り羽根4の直進ガイド穴14の最上部近傍の右側に形成されている。
【0061】
下側駆動羽根30は、光を遮断する比較的薄いフィルムにより形成されており、その先端部付近のくの字形状を有する内縁部30a部分に略扇形状の光学フィルタ(NDフィルタ)32が取り付けられてなる。また、この下側駆動羽根30には、略S字形状に切り欠かれたカム穴6bと、回転中心穴7が形成されている。
【0062】
上側駆動羽根31は、比較的薄いフィルムにより形成されており、その先端部付近のくの字形状を有する内縁部31a部分に略扇形状の光学フィルタ(NDフィルタ)33を備えている。また、この上側駆動羽根31には、略S字形状に切り欠かれたカム穴18bと、回転中心穴19が形成されている。なお、この上側駆動羽根31は、下側駆動羽根30と同形状である。また、カム穴18bと、回転中心穴19の大きさ、形状、形成される位置についても、カム穴6bと、回転中心穴7と同様である。光学フィルタ32,33の光の透過率は同じである。このように、実施の形態3の構成は、駆動羽根のうち光通過孔24に進退する部分にのみ対応する形状の光学フィルタ(フィルタ板)を設けた構成となっている。
【0063】
図6を用いて組み立て状態を説明する。実施の形態3の光量調節装置は、図示しない物体側(図の左側)から順に、光学フィルタ32を備えた下側駆動羽根30,下側絞り羽根3,上側絞り羽根4,光学フィルタ33を備えた上側駆動羽根31が配置されている。
【0064】
下側絞り羽根3に設けられた駆動軸12bに対し、下側駆動羽根30のカム穴6bを嵌め込む。上側絞り羽根4に設けられた駆動軸16bに対し、上側駆動羽根31のカム穴18bを嵌め込む。次に、絞りホルダ1の回転軸25aに対し、上側駆動羽根31の回転中心穴19を嵌合し、さらに上側絞り羽根4の直進ガイド穴14と、下側絞り羽根3の直進ガイド穴9aを嵌め込む。
【0065】
また、絞りホルダ1の回転軸25bに対し、上側絞り羽根4の直進ガイド穴15aと、下側絞り羽根3の直進ガイド穴11を嵌め込み、さらに下側駆動羽根30の回転中心穴7を嵌合する。絞りホルダ1の羽根ガイドピン26aに対し、下側絞り羽根3の直進ガイド穴9bを嵌め込む。絞りホルダ1の羽根ガイドピン26bに対し、上側絞り羽根4の直進ガイド穴15bを嵌め込む。下側駆動羽根30と上側駆動羽根31は、絞りホルダ1の光通過孔24の中心(光軸)に対して点対称の位置に配置されている。
【0066】
さらに、駆動取付部23の後方(像側)からこの駆動取付部23に形成された駆動モータ取付部27に適宜な方法で駆動モータ28を取り付ける。そして、駆動モータ28の回転軸28aを駆動手段29の回転レバー20に取り付ける。駆動手段29のアーム21の両先端部に設けられた左側連結ピン22aと、右側連結ピン22bを、それぞれ下側絞り羽根3の回転連結穴10と、上側絞り羽根4の回転連結穴17に嵌め込む。左側連結ピン22aと、右側連結ピン22bは、それぞれ回転連結穴10と、回転連結穴17に対し摺動自在になる。
【0067】
次に、上記構成による絞り動作を説明する。駆動モータ28を駆動(回転)すると、駆動手段29のアーム21が揺動する。このとき、アーム21の左側連結ピン22aと右側連結ピン22bとは互いに上下反対の方向へ移動するので、それにより、下側絞り羽根3と上側絞り羽根4とが互いに上下反対の方向に移動する。これに伴い、下側絞り羽根3と、上側絞り羽根4にそれぞれ軸着されている下側駆動羽根30と、上側駆動羽根31は上下反対の方向に移動する。
【0068】
このとき、上側駆動羽根31に形成されたカム穴18b内を上側絞り羽根4の駆動軸16bが摺動し、上側駆動羽根31が回転中心穴19を中心に回動する。同時に、下側駆動羽根30に形成されたカム穴6b内を下側絞り羽根3の駆動軸12bが摺動し、下側駆動羽根30が回転中心穴7を中心に回動する。下側駆動羽根30と上側駆動羽根31とは、光通過孔24の中心に対し点対称である状態を保持したまま回動する。このようにして、光量調節装置の開口領域40の大きさが、後ほど説明する図8に示すように変化する。
【0069】
図7は、実施の形態3にかかる光量調節装置を示す正面図である。図には、最大絞り状態が示されている。この最大絞り時には、図6に示した駆動手段29のアーム21の左側連結ピン22aが斜め下方に、右側連結ピン22bが斜め上方に位置する。これに伴い、下側絞り羽根3がその移動範囲における下端に、上側絞り羽根4がその移動範囲における上端にそれぞれ位置する。
【0070】
このとき、凸形状になっている、下側絞り羽根3の開口形成部8の最下淵部8aおよび上側絞り羽根4の開口形成部13の最上淵部13aは、ともに絞りホルダ1の光通過孔24の外側に退避している。また、この最大絞り時には、下側駆動羽根30と、上側駆動羽根31は、ともに光通過孔24の外側に退避している。同時に、下側駆動羽根30に備えられた光学フィルタ32と、上側駆動羽根31に備えられた光学フィルタ33も、光通過孔24の外側にある。
【0071】
図8は、実施の形態3の光量調節装置の絞り動作を説明するための動作図である。図8(a)は、図7に示した最大絞り状態から少し絞った状態である。下側絞り羽根3および上側絞り羽根4を移動させ、下側絞り羽根3の開口形成部8の最下淵部8aと上側絞り羽根4の開口形成部13の最上淵部13aが光通過孔24の縁より幾分内側に位置した状態となる。また、この状態においては、下側駆動羽根30と上側駆動羽根31、およびこれらに備えられた光学フィルタ32,33は、下側絞り羽根3の開口形成部8と上側絞り羽根4の開口形成部13とにより形成される開口領域40の外側に位置している。下側駆動羽根30と上側駆動羽根31に設けられたカム穴6b,18bは、略S形状であり、この段階でガム穴6b,18bは、下側絞り羽根3および上側絞り羽根4が上下方向に移動する方向に沿った方向にあるため、下側駆動羽根30と上側駆動羽根31は図7に示す位置のままで移動しない。
【0072】
図8(b)は、(a)の状態からさらに下側絞り羽根3および上側絞り羽根4を移動させた中間絞り状態である。下側絞り羽根3の開口形成部8と上側絞り羽根4の開口形成部13とにより形成される開口領域40が略ひし形の状態となる。この状態では、開口領域40は、光通過孔24の内側に位置する。また、この状態では、光学フィルタ32,33の一部が開口領域40内に所定量進入してくる。なお、開口領域40において、2枚の光学フィルタ32と光学フィルタ33との間には、光が素通しとなる略6角形状の空間が形成されている。
【0073】
図8(c)は、(b)の状態からさらに下側絞り羽根3および上側絞り羽根4を移動させた状態である。光通過孔24の領域内で下側絞り羽根3の開口形成部8と上側絞り羽根4の開口形成部13とにより形成される略ひし形の開口領域40がさらに小さな状態となる。そして、この状態では、開口領域40内で下側駆動羽根30の光学フィルタ32と上側駆動羽根31の光学フィルタ33とが重なり合い、光の素通し部分がなくなる。ただ、開口領域40内のすべての領域で2枚の光学フィルタが重なり合っているわけではないため、開口領域40内部に光の透過率が異なる部分が形成されることになる。図示の例では、開口領域40の中央部付近で2枚の光学フィルタが重なり合って光の透過率が最も低くなり、その周辺部(右上および左下部分)では一方の光学フィルタのみ存在し中央部に比して光の透過率は高い。
【0074】
図8(d)は、最小絞り状態を示す図である。この状態では、図6に示した駆動手段29のアーム21の左側連結ピン22aが斜め上方に、右側連結ピン22bが斜め下方に位置する。これに伴い、下側絞り羽根3がその移動範囲における上端に、上側絞り羽根4がその移動範囲における下端にそれぞれ位置する。この状態では、開口領域40は光通過孔24の中心付近に位置する小さい略ひし形となる。この状態では、開口領域40内のすべての領域で光学フィルタ32と光学フィルタ33とが重なり合っているため、開口領域40の大きさに占める光の透過率も最も低くなる。この状態は、撮影しようとする物体の照度が極めて高い場合を想定したもので、撮像素子の結像面においていわゆる「ケラレ」の発生を抑制することができる。
【0075】
以上のように、実施の形態3の光量調節装置では、最大絞り状態において、光学フィルタの一部が光通過孔24に進入せず、十分な光量を確保できる。また、この装置では、それぞれ光学フィルタ32,33を備えた下側駆動羽根30,上側駆動羽根31が光軸に対して点対称の関係を保持しながら回動するため、開口領域40内における光学フィルタ32,33の移動量が定量的になり、開口領域40を通過する光量の制御が容易になる。
【0076】
また、実施の形態3の光量調節装置では、最小絞り状態に近づくにつれて2枚の光学フィルタが重なる領域の割合が増加する。したがって、特に中間絞りから最小絞り状態にかけて発生するシェーディングの抑制効果を奏する。
【0077】
また、実施の形態3の光量調節装置では、光学フィルタを備えた駆動羽根が絞り羽根と連動して駆動するようになっているため、それらを駆動するための動力源が1つの駆動モータのみで足りる。したがって、動力源を配置するためのスペースは最小限でよい。さらに、各光学フィルタを備えた駆動羽根の移動領域が各絞り羽根の移動領域内にある。したがって、装置の上下方向は各絞り羽根が移動可能なスペースが確保できればよいため、装置の小型化を達成できる。なお、実施の形態3においても、実施の形態2で説明したと同様に、下側駆動羽根30と上側駆動羽根31に形成するカム形状を異ならせることにより、光学フィルタ32,33を非対称に駆動できることは云うまでもない。
【0078】
(実施の形態4)
実施の形態4は、1枚の光学フィルタ(赤外カットフィルタ)を備えた光量調節装置の例を示すものである。図9は、本発明の実施の形態4にかかる光量調節装置の構成を示す分解斜視図である。実施の形態4の光量調節装置は、絞りホルダ1と、光学フィルタ34と、下側絞り羽根3と、上側絞り羽根4と、駆動モータ28と、駆動手段29を備えて構成されている。
【0079】
絞りホルダ1と、駆動モータ28と、駆動手段29は、前述した各実施の形態と同様である。下側絞り羽根3は、実施の形態3の装置に用いられるものと同様である。また、上側絞り羽根4も駆動軸が形成されないことを除き、各実施の形態の装置に用いられるものと同様の構成である。
【0080】
光学フィルタ34は、比較的薄いフィルムにより形成されており、NIR(近赤外)カットフィルタの機能を備えている。この光学フィルタ34は、略弓状をなし、光通過孔24の径にほぼ一致した内縁部34aを有している。また、この光学フィルタ34には、略円弧形状に切り欠かれたカム穴6cと、回転中心穴7が形成されている。カム穴6cは、両端位置(図の横方向)の高低差が比較的小さく形成されている。
【0081】
図9を用いて組み立て状態を説明する。実施の形態4の光量調節装置は、図示しない物体側(図の左側)から順に、光学フィルタ34,下側絞り羽根3,上側絞り羽根4が配置される。まず、下側絞り羽根3に設けられた駆動軸12bに対し、光学フィルタ34のカム穴6cを嵌め込む。
【0082】
また、絞りホルダ1の回転軸25aに対し、上側絞り羽根4の直進ガイド穴14と、下側絞り羽根3の直進ガイド穴9aを嵌め込む。また、絞りホルダ1の回転軸25bに対し、上側絞り羽根4の直進ガイド穴15aと、下側絞り羽根3の直進ガイド穴11を嵌め込み、さらに光学フィルタ34の回転中心穴7を嵌合させる。絞りホルダ1の羽根ガイドピン26aに対し、下側絞り羽根3の直進ガイド穴9bを嵌め込む。絞りホルダ1の羽根ガイドピン26bに対し、上側絞り羽根4の直進ガイド穴15bを嵌め込む。
【0083】
さらに、駆動取付部23の後方(像側)からこの駆動取付部23に形成された駆動モータ取付部27に適宜な方法で駆動モータ28を取り付ける。そして、駆動モータ28の回転軸28aを駆動手段29の回転レバー20に取り付ける。駆動手段29のアーム21の両先端部に設けられた左側連結ピン22aと、右側連結ピン22bを、それぞれ下側絞り羽根3の回転連結穴10と、上側絞り羽根4の回転連結穴17に嵌め込む。左側連結ピン22aと、右側連結ピン22bは、それぞれ回転連結穴10と、回転連結穴17に対し摺動自在になる。
【0084】
次に、上記構成による絞り動作を説明する。駆動モータ28を駆動(回転)すると、駆動手段29のアーム21が揺動する。このとき、アーム21の左側連結ピン22aと右側連結ピン22bとは互いに上下反対の方向へ移動するので、それにより、下側絞り羽根3と上側絞り羽根4とが互いに上下反対の方向に移動する。これに伴い、光学フィルタ34も上下方向に移動する。この結果、光学フィルタ34に形成されたカム穴6c内を下側絞り羽根3の駆動軸12bが摺動し、光学フィルタ34が回転中心穴7を中心に回動する。このようにして、実施の形態4の光量調節装置の開口領域40の大きさが、後ほど説明する図11に示すように変化する。
【0085】
図10は、実施の形態4にかかる光量調節装置を示す正面図である。図には、最大絞り状態(絞り開放)が示されている。この最大絞り時には、図9に示した駆動手段29のアーム21の左側連結ピン22aが斜め下方に、右側連結ピン22bが斜め上方に位置する。これに伴い、下側絞り羽根3がその移動範囲における下端に、上側絞り羽根4がその移動範囲における上端にそれぞれ位置する。
【0086】
このとき、凸形状になっている、下側絞り羽根3の開口形成部8の最下淵部8aおよび上側絞り羽根4の開口形成部13の最上淵部13aは、ともに絞りホルダ1の光通過孔24の外側に退避している。また、この最大絞り時には、光学フィルタ34は光通過孔24の外側に退避している。
【0087】
図11は、実施の形態4の光量調節装置の絞り動作を説明するための動作図である。図11(a)は、図10に示した最大絞り状態から少し絞った状態である。下側絞り羽根3および上側絞り羽根4を移動させ、下側絞り羽根3の開口形成部8の最下淵部8a近傍と、上側絞り羽根4の開口形成部13の最上淵部13a近傍が光通過孔24の縁より幾分内側に位置した状態を示す。また、光学フィルタ34は、下側絞り羽根3の開口形成部8と上側絞り羽根4の開口形成部13とにより形成される開口領域40の外側に位置している。すなわち、駆動軸12bは、係合するカム穴6cがほぼ上下方向に向いているため、このカム穴6c内でほぼ上下方向に移動するため、光学フィルタ34は光通過孔24に向かう移動量が少ない状態である。
【0088】
図11(b)は、(a)の状態からさらに下側絞り羽根3および上側絞り羽根4を移動させた中間絞りの状態である。下側絞り羽根3の開口形成部8と上側絞り羽根4の開口形成部13とにより形成される開口領域40が略ひし形の状態となる。この状態では、開口領域40は、光通過孔24の内側に位置する。この状態においても、依然として、光学フィルタ34は、開口領域40の外側に位置している。
【0089】
図11(c)は、(b)の状態からさらに下側絞り羽根3および上側絞り羽根4を移動させた状態である。光通過孔24の領域内で下側絞り羽根3の開口形成部8と上側絞り羽根4の開口形成部13とにより形成される略ひし形(開口領域40)がさらに小さな状態となる。この状態では、カム穴6c内での駆動軸12bの移動により光学フィルタ34の一部(内縁部34a)が開口領域40内に入ってくる。開口領域40のその他の部分は光りが素通しとなる。
【0090】
図11(d)は、最小絞り状態を示している。このとき、図9に示した駆動手段29のアーム21の左側連結ピン22aが斜め上方に、右側連結ピン22bが斜め下方に位置する。これに伴い、下側絞り羽根3がその移動範囲における上端に、上側絞り羽根4がその移動範囲における下端にそれぞれ位置する。この状態では、開口領域40は光通過孔24の中心付近に位置する小さい略ひし形となる。この状態では、開口領域40内のすべての領域を光学フィルタ34が覆うことになる。
【0091】
以上のように、実施の形態4の光量調節装置では、最大絞り状態において、光学フィルタ34の一部が光通過孔24に進入せず、十分な光量を確保できる。また、光学フィルタ34が下側絞り羽根3と連動して駆動するようになっているため、それらを駆動するための動力源が1つの駆動モータのみで足りる。したがって、動力源を配置するためのスペースは最小限でよい。さらに、光学フィルタ34の移動領域が下側絞り羽根3の移動領域内にある。したがって、装置の上下方向は下側絞り羽根3が移動可能なスペースが確保できればよいため、装置の小型化を達成できる。
【0092】
また、光学フィルタとして赤外カットフィルタを用いる場合、最小絞りの付近で光通過孔24部分にこの赤外カットフィルタを進入させれば赤外光を効果的にカットできるようになる。上記構成によればこの赤外カットフィルタを簡単な構成で出し入れできるようになる。
【0093】
以上、本発明の各実施の形態を図面に沿って説明した。上述した各実施の形態では、最大絞りから最小絞りに至る動作を説明し、光学フィルタが光通過孔に進入する構成を説明したが、逆に最小絞りから最大絞りに至る動作は逆の動作でよく説明を割愛した。この場合、光学フィルタは光通過孔に進入した状態から待避する状態に移行する。そして、本発明はこれら各実施の形態に示した事項に限定されず、特許請求の範囲の記載に基づいてその変更、改良等が可能であることは云うまでもない。例えば、各光学フィルタまたは駆動羽根にはカム穴を形成することにより回動可能にしているが、各光学フィルタまたは駆動羽根が回動可能であればカム穴ではなく他の手段を選択してもよい。
【0094】
【発明の効果】
上述のように、本発明の光量調節装置によれば、光学フィルタは絞り羽根と連動して絞り開口に対し進退するため、絞り羽根を駆動するための動力源を用いて光学フィルタを同時に進退させることができるようになる。これにより、変化する絞り開口の大きさに対して光学フィルタが占める割合を連続的に可変できるようになるという効果を奏する。特に、中間絞りから最小絞りにかけて光学フィルタの進退量を適宜設定でき、シェーディングの抑制効果を得ることができるようになる。
【0095】
また、光学フィルタ用の動力源が不要であり、既存の絞り羽根要の動力源を用いて光学フィルタを進退できるため駆動源の設置スペースは増大しない。さらに、前記各光学フィルタの移動領域が前記各絞り羽根の移動領域内であるため、装置の上下方向の大きさを前記各絞り羽根が移動可能なスペース内に納めることができ、小型の装置のまま上記効果を得ることができるようになる。また、最大絞り状態において、光学フィルタの一部が光通過孔に進入せず、十分な光量を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる光量調節装置の構成を示す分解斜視図である。
【図2】実施の形態1の光量調節装置を示す正面図である。
【図3】実施の形態1の光量調節装置の絞り動作を説明するための動作図である。
【図4】本発明の実施の形態2にかかる光量調節装置を示す正面図である。
【図5】実施の形態2の光量調節装置の絞り動作を説明するための動作図である。
【図6】本発明の実施の形態3にかかる光量調節装置の構成を示す分解斜視図である。
【図7】実施の形態3にかかる光量調節装置を示す正面図である。
【図8】実施の形態3の光量調節装置の絞り動作を説明するための動作図である。
【図9】本発明の実施の形態4にかかる光量調節装置の構成を示す分解斜視図である。
【図10】実施の形態4にかかる光量調節装置を示す正面図である。
【図11】実施の形態4の光量調節装置の絞り動作を説明するための動作図である。
【符号の説明】
1 絞りホルダ
2 下側光学フィルタ
3 下側絞り羽根
4 上側絞り羽根
5 上側光学フィルタ
2a,5a,30a,31a,34a 内縁部
6a,6b,6c,18a,18b カム穴
7,19 回転中心穴
8,13 開口形成部
9a,9b,11,14,15a,15b 直進ガイド穴
10,17 回転連結穴
12a,12b,16a,16b 駆動軸
20 回転レバー
21 アーム
22a 左側連結ピン
22b 右側連結ピン
23 駆動取付部
24 光通過孔
25a,25b,28a 回転軸
26a,26b 羽根ガイドピン
27 駆動モータ取付部
28 駆動モータ
29 駆動手段
30 下側駆動羽根
31 上側駆動羽根
32,33,34 光学フィルタ
40 開口領域

Claims (9)

  1. 2枚の絞り羽根を備え、該2枚の絞り羽根が入射光の光軸に対し互いに近接または離れる方向に移動して絞り開口の大きさを変える光量調節装置であって、
    前記2枚の絞り羽根のうちの少なくとも1枚には、該絞り羽根の移動に連動して前記絞り開口の方向に進退自在な所定の光透過特性を有する光学フィルタを備えたことを特徴とする光量調節装置。
  2. 前記光学フィルタは、
    前記絞り羽根に取り付けられ、前記絞り開口に進退する部分が切欠部とされた駆動羽根と、
    前記駆動羽根の前記切欠部に設けられ、前記絞り開口に面し所定の光透過特性を有するフィルタ板と、
    からなることを特徴とする請求項1に記載の光量調節装置。
  3. 前記光学フィルタに形成されたカム穴と、
    移動する前記絞り羽根を保持する保持手段に設けられ、前記光学フィルタを固定位置で軸支する回転軸と、
    移動する前記絞り羽根に設けられ、前記カム穴に係合する駆動軸とを備え、
    前記絞り羽根の移動に連動して前記光学フィルタが前記回転軸を中心に回動し、前記絞り開口の方向に進退自在なことを特徴とする請求項1または2に記載の光量調節装置。
  4. 前記光学フィルタは、前記光軸に対し2枚が点対称に配置され、該2枚の光学フィルタは、点対称の状態を保持しながら前記絞り開口の方向に進退自在なことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の光量調節装置。
  5. 前記光学フィルタは、前記光軸に対し2枚が互いに点対称に配置され、該2枚の光学フィルタは、前記絞り開口の方向に進退する過程で点対称の状態と非点対称の状態とを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の光量調節装置。
  6. 前記光学フィルタは、前記絞り羽根の移動範囲内で前記進退移動可能な形状であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の光量調節装置。
  7. 2枚の前記光学フィルタは、大きさが変わる前記絞り開口の領域内の一部または全部で互いに重なり合うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の光量調節装置。
  8. 前記光学フィルタは、NDフィルタであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の光量調節装置。
  9. 前記光学フィルタは、近赤外カットフィルタ(NIR)であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の光量調節装置。
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