JP2004184991A - 電子写真感光体、電子写真装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真感光体、電子写真装置及びプロセスカートリッジ Download PDF

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Abstract

【課題】 密着性、耐摩耗性に優れ、硬度、強靭性を有し、電荷輸送性を低下させない最上表面層を具備する電子写真感光体の提供。
【解決手段】 本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体であって、該感光体の表面層が、レゾール型フェノール樹脂のフェノール性水酸基にエポキシ基を付加させて得られたエポキシ変性フェノール樹脂の架橋物と、電荷輸送物質及び導電性微粒子のうち少なくとも一方と、を含んでいる。
【選択図】 図1


Description

本発明は電子写真感光体、該電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
電子写真プロセスは、例えば、導電性支持体上に少なくとも感光層を有する感光体に対する、帯電、露光による潜像形成、トナーによる現像像の形成、紙を主とする被転写材への転写、および転写残トナーの除去(クリーニング)/回収によって構成されている。ここで使用される電子写真感光体には、適用される電子写真プロセスに応じた所要の感度、電気特性、光学特性を備えていることが要求される。更に繰り返し使用される感光体の表面層には帯電、トナー現像、紙への転写、残存トナーのクリーニングという電気的、機械的外力が直接加えられるため、当該表面層には、それらに対する耐性が要求される。具体的には、摺擦による傷や摩耗、放電を伴う帯電方式を利用する場合には、特に高湿下で発生するオゾンやNOxによる化学的な劣化に対する耐性が要求される。更に繰り返し行われる残存トナーのクリーニング時には、感光体表面へのトナー付着や、ブレードクリーニングを行う際のブレードめくれといった問題があるため、表面の滑り性、離型性、耐汚染性といった特性が要求される。
このような要求に応えるために、感光体の表面層の材料として、フッ素系樹脂に代表されるような離型性、滑り性に優れた樹脂や、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、不飽和エステル材料などに代表されるような高硬度の樹脂材料を用いることが広く提案されている。
しかし、先に述べたような種々の特性を満たすような材料はいまだ見いだされていない。例えば、フッ素系樹脂単独では硬度が低く傷の発生を抑えることは困難であるし、更に一般溶剤に難溶であるために成膜が容易ではない。
一方、アルコキシシランの高い反応性を利用した硬化性シリコーン樹脂のような高硬度な材料を感光体に用いた例が報告されているが、これらの樹脂は滑り性や、高湿下での電気特性、あるいは離型性といった面で十分ではなかった。更に、これらの硬化性材料は水酸基との反応性が高いため感光層を塗布する際の溶剤の制約があり、また、特に水分の影響により硬化反応が徐々に進行するため、塗工液の安定も劣っており、感光体の生産性という点においても問題があった。
また、例えば、ジアリルフタレート樹脂のプレポリマーような不飽和結合の開裂を利用して硬化膜を形成する材料は、一般的にラジカル重合性であり、この材料を用いた塗工液は水分に対しては比較的安定なものの、空気中の酸素による重合阻害効果による膜表面での硬化不良、光開始剤を用いた場合に光照射による炭素−炭素結合の切断反応などにより、絶縁抵抗などの電気特性の不安定な硬化物しか得られない。そのため表面自由エネルギ−の上昇による転写効率の低下や吸湿による画像ボケといった問題があった。
一方、感光体の表面層に用いる材料としては、上述の硬度、耐摺擦性や滑り性といった表面的な特性のみならず、最上表面層内部においても電荷の移動を滞らせることがないような電気的特性が求められる。ここで、表面層に電荷を移動させる機能がない場合には、感光層内部に電荷の蓄積を生じ、帯電―露光の電子写真プロセスを繰り返すことで、残留電位の上昇を招き、画像品を落とすことになる。
この点を解決するため、表面層中に電荷輸送物質を含有させる方法が提案されている。例えば、アルコキシシラン類に電荷輸送物質を添加して硬化を行った場合には、電荷輸送物質とシロキサン成分との相溶性が悪い場合が多く、また、ウレタン樹脂のような極性の高いユニットを含む樹脂中に電荷輸送物質を含有させた場合には、電荷輸送物質による電荷の移動度が低減し、満足な電子写真特性を得られないのが実情である。
更に、熱硬化性樹脂の中には、加熱処理を施すだけでは不十分であって、硬化促進剤や重合開始剤といった硬化触媒を添加させなければならない材料が種々見受けられる。しかしこのような硬化触媒が硬化膜中に残留した場合には、微量であっても電荷の移動を阻害したり、或いは硬化膜の電気抵抗が下がると言った弊害を招いたりする可能性がある。一方、硬化触媒を添加した塗料は、常温においても徐々に反応が進行しやすい傾向にあり、結果として塗料安定性が悪くなり、大量に塗料を製造、保管することが困難となる弊害も発生する。
また、電子写真感光体の帯電方式としては放電を伴う方式が主流であるが、中でも、接触帯電方式の中で帯電部材に直流電圧と交流電圧の両方を重畳し、電子写真感光体と帯電部材とのわずかなギャップにおいて放電を伴って帯電を施す手法は、帯電安定性は優れているものの放電エネルギーにより電子写真感光体の表面組成が酸化劣化的に破壊されていくという現象が見られ、表面自由エネルギ−の上昇により転写効率が低下する。更に硬化性樹脂を用いた場合は感光層の磨耗量が少ないため、酸化劣化的に破壊された物質は吸湿による画像ボケといった問題を引き起こすことも有る。
また、一般的に熱可塑性樹脂の感光層上に硬化性樹脂で表面層を設けた場合、フッ素樹脂のように下層の感光層と化学組成が全く異なっていると、表面層との密着性が悪く、電子写真プロセスにて長期わたり使用する際に感光層の一部が剥がれて、画像欠陥となる弊害が生じる。
また、硬化性樹脂の中には架橋密度が上がると、硬度は上がるものの、同時に脆性も増加し、長期に亘る使用中に電子写真感光体の表面粗さが極端に上昇し、画像上に問題を起こすこともあり、硬化性樹脂を表面層に適応する上で満足な材料は得られていないのが実情である。
また、特許文献1等においてはフェノール性水酸基やヒドロキシアルキル基を含有する電荷輸送物質を感光体表面層に含有させる例が開示されてはいるが、これらの感光体においても、未だ近年の高耐久、高生産性、高画質化の要求には応じられてはおらず、機械的強度や残留電位、生産性等の点の全てを十分に満足できていないのが実情である。
また特許文献2には、レゾール型のフェノール樹脂と、金属粒子又は金属酸化物粒子と、を含有している保護層を感光層上に有している電子写真感光体が、低湿環境下における残留電位の上昇が殆どなく、また高温の環境下における画像ボケ、流れのない高品位の画像を与え、また優れた離型性を示し、磨耗や傷の発生に対して優れた耐久性を有することが開示されている。
特開平10−228126号公報 特開2002−82466号公報
本発明の目的は硬化性触媒を加えることなく、耐摩耗性に優れ、傷等が発生しないだけの硬度を有し、なおかつ感光体本来の電荷輸送性を低下させない表面層を有する電子写真感光体を提供することである。更に本発明は、高い生産性で塗布することが出来る表面層を有する電子写真感光体を提供することである。また、本発明は下層との密着性が良く、放電劣化に対して優れた耐性を示す高品位な電子写真感光体を提供することである。また、本発明は上記特性を有する電子写真感光体により構成されるプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することである。
本発明に従って、導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体であって、該感光体の表面層が、レゾール型フェノール樹脂のフェノール性水酸基にエポキシ基を付加させて得られたエポキシ変性フェノール樹脂の架橋物と、電荷輸送物質及び導電性微粒子のうち少なくとも一方と、を含んでいることを特徴とする電子写真感光体が提供される。
また、本発明に従って、上記電子写真感光体と、帯電手段、現像手段及びクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも1つと、を一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジが提供される。
更に、本発明に従って、上記電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段、及び転写手段を有することを特徴とする電子写真装置が提供される。
本発明の表面層を用いることで、密着性、耐摩耗性に優れ、傷等が発生しないだけの硬度、強靭性を有し、なおかつ感光体本来の電荷輸送性を低下させない表面層を具備する電子写真感光体を提供することが可能となった。更に本発明の表面層は、高い生産性で塗布することが可能であり、高耐久、高安定及び高画質である電子写真感光体の大量生産が可能となる。また、本発明によれば、上記特性を有する電子写真感光体により構成されるプロセスカートリジ及び電子写真装置を提供することが可能となった。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有するエポキシ変性フェノール樹脂の架橋物と、電荷輸送物質及び導電性微粒子の少なくとも一方と、を含んでいる表面層を有する電子写真感光体により、上記問題を解決できることを見出すに至った。
本発明に係るエポキシ変性フェノール樹脂は、レゾール型フェノール樹脂のフェノール性水酸基にエポキシ基を付加させて得られるものである。ここでレゾール型フェノール樹脂は、フェノール性水酸基を有する化合物とアルデヒド類とをアルカリ触媒下で付加・縮合反応させて得た化合物であり、ホルムアルデヒドがフェノール環に付加した際に生成するヒドロキシメチル基が反応性架橋基となる。フェノール性水酸基を有する化合物の例としては、例えばフェノール、クレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニルフェノール、レゾルシン、ビスフェノール等が挙げられる。またアルデヒド類の例としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、アセトアルデヒド等が挙げられる。
そしてレゾール型フェノール樹脂のフェノール性水酸基のエポキシ変成化は、アルカリ条件下でのフェノール性水酸基を有する化合物とアルデヒド類とのレゾール化反応時に、反応系内にエポキシ環を有する化合物を混合させ、フェノール性水酸基とエポキシ環が付加反応させるという方法によって行うことができる。このようなレゾール型フェノール樹脂のフェノール性水酸基をエポキシ基で変性した樹脂は、130℃〜170程度の加熱処理を施すことにより、ヒドロキシメチル基同士の縮合反応によりエーテル結合、若しくは更に縮合反応が進み、メチレン結合を形成したり、或いはヒドロキシメチル基とフェノール性水酸基のオルト位やパラ位の水素原子との縮合反応によりメチレン結合を形成したりするが、これらの縮合反応が種々の分子間で起こることにより、架橋密度の高い三次元硬化膜を得ることができる。これらの縮合反応は、本質的に空気中の水分や酸素により阻害されることもなく、また電荷輸送物資を添加した系においても十分に進行する反応である。エポキシ変性フェノール樹脂の加熱処理による架橋反応においては、熱硬化に一般的に用いられるような硬化触媒を特に添加する必要が無いという特徴を有する。従って、本発明に係る化合物を電子写真感光体の表面層に用いる場合には、残留硬化触媒に起因する残留電位の上昇や表面層の抵抗低下といった問題も発生しない。
また、本発明のエポキシ変性レゾール型フェノール樹脂は、レゾール型フェノール樹脂のフェノール性水酸基にエポキシ基を付加させて得られたことを特徴としており、単にフェノール樹脂とエポキシ樹脂のブレンドではない。エポキシ樹脂とフェノール樹脂は主剤−硬化剤の関係にあるため、単にブレンドしただけでは徐々に硬化反応が進み、ポットライフが短くなる。逆に反応が遅いエポキシ樹脂−フェノール樹脂の組合せでブレンドしたものは、加熱による硬化も遅く、十分な硬度を得るには感光体の特性を著しく損なうほどの加熱が必要となるが、本発明に係るエポキシ変性フェノール樹脂によれば、予めエポキシ基とフェノール性水酸基との反応は終わっているため、これらポットライフや熱劣化を招くほどの加熱処理から開放される。
また、本発明に係るエポキシ変性フェノール樹脂は、加熱によって架橋させることができる為、硬化触媒を加える必要が無いことや、ヒドロキシメチル基自体が、イソシアネートやシリコーン樹脂とは異なり、水分に対する安定性も十分にあるため、塗工液の安定性においても優れていることを見出した。
また、本発明に係るエポキシ変性フェノール樹脂に関して、フェノール性水酸基の変性を、例えば下記式(1)や(2)で示されるエポキシ基で行った場合には、各々下記式(3)及び(4)に示したようにエーテル結合を有することとなる。そして更に、エーテル結合に加え、変性した際に使用したエポキシ化合物の骨格内のアルキレン結合、シクロアルキレン結合、エステル結合などのフレキシビリティーの高い結合基の存在により、本発明に係るエポキシ変性フェノール樹脂、或いはその架橋物は、通常の硬化性フェノール樹脂が具備する、優れた膜強度に加えて、膜に対して柔軟性、屈曲性が付与され靭性をも備えたものとなる。更にエポキシ樹脂樹脂の特徴である被着体への密着性の向上を図ることも可能となる。
本発明において、フェノール性水酸基の変性に用いられるエポキシ基を含む化合物の例としては、下記構造式[化5]乃至[化30]で示すエポキシ化合物を挙げることができる。そして特に多官能エポキシ化合物を用いることにより、膜の形成と硬化後の表面層の硬度をより高くすることが可能となる。



これらのエポキシ化合物をレゾール型フェノール樹脂のフェノール性水酸基へ付加させる割合は、硬化後の膜強度や放電劣化に対する耐性に影響を及ぼすため、電子写真感光体の使用環境や求められる耐久寿命等により任意に変えることが可能であるが、レゾール型フェノール樹脂のフェノール性水酸基に対し、3〜70%、好ましくは5〜50%、更に好ましくは7〜25%の割合でエポキシ基を付加させることが可能である。
また、本発明に係るエポキシ変性フェノール樹脂は酸素以外のヘテロ原子を含有しない構造をとることが可能である。この組成のエポキシ変性フェノール樹脂と電荷輸送物質との組合せにおいては、電荷の輸送能が妨げられることが少ないため、特に優れた電子写真特性を得ることができる。
本発明に係る電子写真感光体の最外表面を構成する層、即ち表面層には、電荷の移動を滞り無く起こさせるため、電荷輸送物質及び導電性微粒子から選ばれる少なくとも一方を含有させることが好ましい。電荷輸送物質の構造は、上記のエポキシ変性フェノール樹脂との相溶性に鑑み、ヒドロキシ基で修飾されていることが好ましい。このヒドロキシ基はヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシ基或いはフェノール性水酸基が適している。
ここで、電荷輸送物質を修飾するヒドロキシ基がヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシ基の場合には、溶剤に対する溶解性も併せて向上させることができるため、表面層中における電荷輸送能を高い状態に維持することが可能である。特にこれらのヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシ基のアルキル鎖の炭素原子数は、これらの電荷輸送物質を合成する上での操作性や溶解性から1〜8、更に好ましくは1〜5が好ましい。
また、電荷輸送物質を修飾するヒドロキシ基がフェノール性水酸基の場合は、上述のポリヒドロキシメチル化されたビスフェノール化合物の縮合反応過程において、フェノール性水酸基のオルト位若しくはパラ位の水素原子とも反応可能であるため、架橋反応がビスフェノール化合物及び電荷輸送物質の場合においても起こり、形成される表面層の強度が更に向上するという相乗効果的特性を引き出すことが可能である。
以下に、本発明で用いることができるヒドロキシ基を含有する電荷輸送物質(CTM)の具体例を例示するが、本発明はこれらの化合物のみに限定されるものではない。
本発明に用いることのできる導電性微粒子の例としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、グラファイト、カーボンブラック、インジウムをドープした酸化スズ、アンチモンをドープした酸化スズ及び酸化ジルコニウム等の従来公知の材料より選択することが可能である。これらの導電性粒子は一種類もしくは二種類以上を混合して用いることができる。
表面層の形成用塗料を作製する溶剤としては、本発明に係るエポキシ変性フェノール樹脂、更には電荷輸送物質を良く溶解し、さらにまた、表面層の塗料とが塗布される面を構成する下層、例えば電荷輸送層や電荷発生層等に悪影響を与えない溶剤が好ましい。
従って、溶剤としてはメタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、MEK等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、クロロベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン系炭化水素類等が使用可能であり、更にこれらを混合して用いてもよい。
これらの中でも、フェノール樹脂の形態に最も好適な溶剤は、メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール類である。
従来公知の電荷輸送物質は一般的にアルコール類の溶剤には不溶または難溶であり、本発明のエポキシ変性フェノール樹脂への均一な溶解は困難であるが、電荷輸送物質としてヒドロキシ基を含有する場合にはアルコール類を主成分とする溶剤に可溶であり、電荷輸送層等の下層に対するダメージも少ない。
表面層の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法及びブレードコーティング法等の一般的な塗工方法を用いることができる。
本発明においては、表面層中に、帯電時に発生するオゾンやNOx等の活性物質の付着による表面層の劣化等を防止する目的で、酸化防止剤の添加材を加えてもよい。
次に、本発明に係る電子写真感光体の構成について以下に説明する。
本発明に係る電子写真感光体は、主に積層構造を有することが好ましい。図1aの電子写真感光体は、導電性支持体4の上に電荷発生層3、電荷輸送層2が順に設けており、更に本発明の硬化性電荷輸送型の表面層1を設けている。
また、図1のb、cの様に導電性支持体4と電荷発生層3の間に、結着層5、更には干渉縞防止等を目的とする下引き層6を設けてもよい。
また、図1のdは導電性支持体4の上に電荷発生層3が順に設けており、更に直接電荷発生層3の上に本発明の硬化性電荷輸送型の表面層1を設けている例である。即ち、電荷輸送層が表面層を構成している態様を示している。
感光体の層構成にも依存するが、表面層の膜厚は、感光体の耐久性を向上させ、また表面層を設けたことによる残留電位の上昇を抑える為に、適度な厚さとすることが好ましい。具体的には、例えば図1のa、b、及びcの様に電荷輸送層2の上に表面層1を設ける場合は、0.1μm〜10μmの範囲、特には0.5μm〜7μmの範囲が好ましい。また、図1のdの様に電荷発生層3の上に直接電荷輸送層としての表面層1を設ける場合は、3μm〜40μmの範囲、特には8μm〜20μmの範囲が好ましい。
導電性支持体4としては、支持体自身が導電性を持つもの、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレススチールなどを用いることができ、その他にアルミニウム、アルミニウム合金、酸化インジウム−酸化スズ合金などを真空蒸着によって被膜形成された層を有する前記導電性支持体やプラスチック、導電性微粒子(例えば、カーボンブラック、酸化スズ、酸化チタン、銀粒子など)を適当なバインダーとともにプラスチックや紙に含浸した支持体、導電性バインダーを有するプラスチックなどを用いることができる。
また、導電性支持体と感光層の間には、バリアー機能と接着機能を持つ結着層(接着層)を設けることができる。
結着層は感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体の保護、支持体の欠陥の被覆、支持体からの電荷注入性改良、感光層の電気的破壊に対する保護などのために形成される。結着層にはカゼイン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリアミド、変性ポリアミド、ポリウレタン、ゼラチン、酸化アルミニウムなどによって形成できる。結着層の膜厚は、5μm以下が好ましく、0.1〜3μmがより好ましい。
本発明に用いられる電荷発生物質としては、(1)モノアゾ、ジスアゾ、トリスアゾ等のアゾ系顔料、(2)金属フタロシアニン及び非金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、(3)インジゴ及びチオインジゴ等のインジゴ系顔料、(4)ペリレン酸無水物及びペリレン酸イミド等のペリレン系顔料、(5)アンスラキノン及びピレンキノン等の多環キノン系顔料、(6)スクワリリウム色素、(7)ピリリウム塩及びチアピリリウム塩類、(8)トリフェニルメタン系色素、(9)セレン、セレン−テルル、アモルファスシリコン等の無機物質、(10)キナクリドン顔料、(11)アズレニウム塩顔料、(12)シアニン染料、(13)キサンテン色素、(14)キノンイミン色素、(15)スチリル色素、(16)硫化カドミウム及び(17)酸化亜鉛などが挙げられる。
電荷発生層に用いる結着樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂及び塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独、混合あるいは共重合体ポリマーとして1種または2種以上用いることができる。
電荷発生層用塗料に用いる溶剤は、使用する樹脂や電荷発生物質の溶解性や分散安定性を考慮して選択されるが、有機溶剤としてはアルコール類、スルホキシド類、ケトン類、エーテル類、エステル類、脂肪族ハロゲン化炭化水素類または芳香族化合物などを用いることができる。
電荷発生層3は、前記の電荷発生物質を0.3〜4倍量の結着剤樹脂、および溶剤と共に、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミルなどの方法でよく分散し、塗布、乾燥されて形成される。その厚みは、5μm以下、特には0.01〜1μmの範囲が好ましい。
また、電荷発生層3には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤または公知の電荷発生物質を必要に応じて添加することもできる。
用いられる電荷輸送物質としては各種トリアリールアミン系化合物、各種ヒドラゾン系化合物、各種スチリル系化合物、各種スチルベン系化合物、各種ピラゾリン系化合物、各種オキサゾール系化合物、各種チアゾール系化合物、各種トリアリールメタン系化合物等が挙げられる。
電荷輸送層2を形成するのに用いられる結着剤樹脂としては、アクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリフェニレンオキシド、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、及び不飽和樹脂などから選ばれる樹脂が好ましい。特に好ましい樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリカーボネート樹脂またはジアリルフタレート樹脂が挙げられる。
電荷輸送層2は一般的には前記の電荷輸送物質と結着剤樹脂を溶剤に溶解し,塗布して形成する。電荷輸送物質と結着剤樹脂との混合割合は2:1〜1:2程度である。溶剤としてはアセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、クロロベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素などの塩素系炭化水素類などが用いられる。この溶液を塗布する際には、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法などのコーティング法を用いることができ、乾燥は10℃〜200℃、好ましくは20℃〜150℃の範囲の温度で、5分間〜5時間、好ましくは10分間〜2時間の時間で送風乾燥または静止乾燥下で行うことができる。
電荷輸送層2は、上述の電荷発生層と電気的に接続されており、電界の存在下で電荷発生層から注入された電荷キヤリアを受け取ると共に、これ等の電荷キヤリアを保護層との界面まで輸送する機能を有している。この電荷輸送層は電荷キヤリアを輸送する限界があるので必要以上に膜厚を厚くすることができないが、5〜40μm、特には7〜30μmの範囲が好ましい。
更に、電荷輸送層2中に酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤または公知の電荷輸送物質を必要に応じて添加することもできる。
本発明では更に、この電荷輸送層の上に前記保護層を塗布、硬化させて成膜することで完成される。
本発明の電子写真感光体を用いた電子写真装置の具体例を図2に示す。この装置は、電子写真感光体1の周面上に一次帯電手段3、像露光手段4、現像手段5、転写手段6が配置されている。
画像形成の方法は、まず、一次帯電手段3に電圧を印加し、感光体1表面を帯電し、像露光手段4によって原稿に対応した画像を感光体1表面に像露光し、静電潜像を形成する。次に、現像手段5中のトナーを感光体1に付着させることにより感光体1上の静電潜像を現像(可視増加)する。さらに、感光体1上に形成されたトナー像を供給された紙などの転写材7上に転写手段6によって転写し、転写材に転写されずに感光体1上に残った残トナーをクリーニング手段9等で回収する。近年、クリーナーレスシステムも研究され、残トナーを直接、現像器等で回収することもできる。更に、前露光手段10からの前露光により除電処理がされた後、繰り返し画像形成に使用される。なお、前露光手段は必ずしも必要ではない。
この画像形成装置において、像露光手段4の光源はハロゲン光、蛍光灯、レーザー光、LEDなどを用いることができる。また必要に応じて他の補助プロセスを加えてもよい。
本発明において、上述の感光体1と、1次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9等の構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やプリンター等の電子写真装置本体に対して着脱可能に構成してもよい。例えば1次帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段9の少なくとも1つを感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化し、装置本体のレール12等の案内手段を用いて装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジ11とすることができる。また、像露光手段4は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光を用いる、あるいは、信号化された原稿を、この信号に従って行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動及び液晶シャッターアレイの駆動等により照射される光である。
次に、本発明を実施例により説明する。ただし、本発明の実施の形態はこれらに限定されるものではない。
長さ260.5mm、直径30mmのアルミニウムシリンダー(JIS A3003アルミニウムの合金)を支持体として、この上にポリアミド樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ製)の5質量%メタノール溶液を浸漬法で塗布し、0.5μmの下引き層を設けた。
次に、電荷発生物質として下記構造式[化44]で表される、CuKαのX線回折スペクトルにおける回折角 2θ±0.2゜の9.6、27.2゜に強いピークを有する結晶型であるオキシチタニウムフタロシアニン顔料4部(質量部、以下同様)、
ポリビニルブチラール樹脂BX−1(積水化学(株)製)2部、および、シクロヘキサノン110部を、φ1mmガラスビーズ入りサンドミルで、4.5時間分散した。その後、酢酸エチル130部で希釈し電荷発生層用塗料とした。
上記分散液を先の下引き層上に浸漬法で塗布し、0.18μmの電荷発生層を形成した。
次いで、下記構造式[化45]の電荷輸送物質化合物7.5部、
及び、ビスフェノールZ型ポリカーボネート(商品名:Z−200、三菱ガス化学製)10部を、モノクロロベンゼン60部とジクロロメタン20部に溶解した。この溶液を、前記電荷発生層上に浸漬塗布し、115℃、50分間で熱風乾燥して、20μmの電荷輸送層を形成した。
次いで、表面層の結着樹脂プレポリマー成分として、フェノール・アルデヒドレゾール型フェノール樹脂のフェノール性水酸基数のうち15%に対し、前記例示化合物[化23]のエポキシ化合物を付加させて得られたエポキシ変成フェノール樹脂を10部、及び前記例示化合物No.12で表される水酸基含有電荷輸送物質7部を、溶剤としてのエチルアルコール40部に溶解させて表面層の塗工溶液とし、前記電荷輸送層の上に浸漬塗布し、155℃で1時間熱風乾燥して膜厚3μmの表面層を設けた。ここで、表面層の膜厚は、干渉膜厚計(大塚電子(株)製)を用いて行った。
尚、この表面層の塗工溶液の安定性は良好で温度23℃、湿度50%の環境下で塗工液を20日間循環させておいても、特に液性に大きな変化は見られなかった。
また、JISK 5400に基づいて表面層と下層との密着性評価を行った。その結果、本感光体における表面層と下層の電荷輸送層との密着性に関しては全く問題が無かった。
電子写真特性の評価は、レーザービームプリンター(商品名:LBP−NX:キヤノン(株)製)に取り付けて行った。なお当該レーザービームプリンターは、装着した電子写真感光体の電子写真感度として、暗部電位が−700(V)になるように帯電されるように改造した。そして、暗部電位を−700(V)に設定した感光体に波長780(nm)のレーザー光を照射して−675(V)の電位を−175(V)まで下げるのに必要な光量を測定し電子写真感光体の感度とした。さらに、20μJ/cm2 の光量を照射した場合の電位を残留電位Vrとして測定した。
さらに、同様のレーザービームプリンターを用いて温度30℃/湿度80%の環境において、10,000枚の耐久試験後の削れ量の測定及び出力画像品位の比較を行った。
実施例1において、電荷発生材料を、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°に強いピークを有する結晶型のヒドロキシガリウムフタロシアニンに変えた以外は、全て同様にして電子写真感光体を作製した。
<実施例3〜10>
実施例2において、表面層に用いた樹脂を、それぞれ下記表1に示したエポキシ化合物を用いて得たエポキシ変性レゾール型フェノール樹脂に変えた以外は同様にして電子写真感光体を作製した。
<実施例11〜18>
保護層膜厚、電荷輸送材料、エポキシ変性レゾール型フェノール樹脂のエポキシ変性率から選ばれる少なくとも1つを表1に示したように変えた以外は実施例3と同様にして電子写真感光体を作製した。
<実施例19>
水酸基含有電荷輸送物質を例示化合物No.33に代えた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
<比較例1>
実施例1において、保護層樹脂としてエポキシ変成を施していないノボラック型フェノール樹脂(商品名:CMK−2400、昭和高分子(株)製)に変え、電荷輸送材料12の代わりに電荷輸送材料16を用いた以外は同様にして感光体を作製した。
<比較例2>
実施例1において、保護層樹脂を例示化合物[化14]のエポキシ化合物で変成したレゾール型フェノール樹脂(変性率:30%)とし、電荷輸送材料を含有させなかった以外は同様にして電子写真感光体を作製した。
<比較例3>
実施例2に於いて、下記構造式
で表されるビュレット変性体溶液(固形分67質量%)5部及び電荷輸送物質として前記例示化合物No.16をメチルエチルケトン50部に溶解して塗布液を調製し、電荷輸送層の上にスプレーコート法で塗布し、常温で5分間乾燥した後155℃で60分間加熱し、膜厚3μmの表面層を形成した。この塗工液の混合比は〔例示化合物16のヒドロキシ基の総モル数〕:〔上記化46のイソシアネート基の総モル数〕がおよそ47:53となるように調製した。
<比較例4>
比較例1において、保護層樹脂として、エポキシ変成を施していないノボラック型フェノール樹脂(商品名:CMK−2400、昭和高分子(株)製)7部及び下記エポキシ化合物[化47]3部の単純ブレンド材料に変えた以外は同様にして電子写真感光体を作製した。
<比較例5>
実施例1において、保護層を設けなかった以外は同様にして電子写真感光体を作製した。
<比較例6>
エポキシ変性レゾール型フェノール樹脂を、アルカリレゾール型フェノール樹脂(旭有機材工業社製、HP−8300)に代えた以外は、実施例19と同様にして感光体を作製した。
実施例1〜19及び比較例1〜6の保護層構成を表1にまとめて示した。
実施例1〜19及び比較例1〜6の保護層構成
これらの電子写真感光体及び保護層用の塗料に関して、実施例1で述べたのと同様の試験方法により評価した。保護層と感光層の密着性、保護層塗料の安定性、電子写真感光体としての感度更に、温度30℃/湿度80%の環境におけるレーザービームプリンターによる耐久試験後の画像品位、10000枚あたりの表面層の磨耗量を比較し、評価結果を表2にまとめて示した。
なお、密着性、及び塗料安定性の評価は、下記の基準に従って行った。
密着性:JIS K 5400に規定されている塗膜の付着性評価方法(クロスカット法)(ISO 2409:1992に対応)に基づき評価した結果、
○:膜の剥がれが全く認められなかった。
○△:膜の剥がれ部分の面積は、全体の10%未満であった。
×:膜の剥がれ部分の面積が、全体の10%以上であった。
塗料安定性:
○:20日間の塗料循環試験で、塗料の粘度変化、ゲル化、凝集、沈降、濁りに関して、20日後においても変化が認められなかった。
○△:20日間の塗料循環試験で、塗料の粘度変化、ゲル化、凝集、沈降、濁りに関して、20日後には、若干の変化が認められたものの、保護層塗工性に重大な影響を及ぼさなかった。
×:20日間の塗料循環試験で、塗料の粘度変化、ゲル化、凝集、沈降、濁りに関して、20日後には変化が認められ、それが保護層の塗工性、若しくは塗工後の保護層膜状態に影響を与えた。
実施例1〜19及び比較例1〜6の評価結果
これらの結果より、本発明の樹脂を表面保護層として用いた場合は、電子写真感光体としての著しい感度低下も認められず、電子写真プロセス中における耐久強度を著しく向上させることが可能である。更に、下層の電荷輸送層との密着性も十分に保つことが可能である。また、本発明の樹脂を用いて表面保護層用塗料を調合した場合、その塗料安定性も十分にあり、連続生産においても何ら支障をきたさない事が分かった。
<実施例20>
実施例2において表面層の塗料を以下のようにして作製した以外は同様にして感光体を作製した。
(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシランで表面処理した平均粒径0.02μmのアンチモン含有酸化スズ微粒子(商品名:T−1、三菱マテリアル(株)製)25部にエタノール100部を加えてサンドミル装置で96時間分散した分散液に、実施例2で用いたエポキシ変性フェノール樹脂を15部溶解させて、表面層用塗料とした。この塗料を用い、電荷輸送層の上に浸漬塗布後、155℃で1時間加熱処理して、厚さ3μmの表面層を設けた。
<実施例21>
実施例20において、表面層の膜厚を1μmにした以外は同様にして感光体を作製した。
<実施例22>
実施例20において、表面層の膜厚を6μmにした以外は同様にして感光体を作製した。
<実施例23〜32>
実施例20において、表面層に用いた樹脂を、それぞれ表3に示したエポキシ化合物を用いて得たエポキシ変成レゾール型フェノール樹脂に変え、更に保護層膜厚、エポキシ変性率も表3に示したように変えた以外は同様にして電子写真感光体を作製した。
<実施例33>
実施例20において表面層の塗料を以下のようにして作製した以外は同様にして感光体を作製した。
即ち、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシランで表面処理した。平均粒径0.02μmのアンチモン含有酸化スズ微粒子(商品名:T−1、三菱マテリアル(株)製)25部にエタノール100部を加えてサンドミル装置で96時間分散した液に四フッ化エチレン樹脂粒子(PTFE粒子、商品名:ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製)を8部添加して更に1時間分散処理を行った後、実施例20で用いたエポキシ変性フェノール樹脂を15部溶解させて、表面層用塗料とした。この塗料を用い、電荷輸送層の上に浸漬塗布後、155℃で1時間加熱処理して、厚さ3μmの表面層を設けた。
<実施例34〜45>
実施例33において、表面層に用いた樹脂を、それぞれ表3に示したエポキシ化合物を用いて得たエポキシ変成レゾール型フェノール樹脂に変え、更に保護層膜厚、エポキシ変成率も表3に示したように変えた以外は同様にして電子写真感光体を作製した。
<比較例7>
実施例20において、保護層を以下の様にして設けた以外は同様にして感光体を作製した。
(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシランで表面処理した。平均粒径0.02μmのアンチモン含有酸化スズ微粒子(商品名:T−1、三菱マテリアル(株)製)25部にメチルエチルケトン100部を加えてサンドミル装置で96時間分散した分散液に、下記構造式
で表されるビュレット変性体溶液(固形分67質量%)7.2部及び、ノボラック型フェノール樹脂(商品名:CMK−2400、昭和高分子(株)製)10部を溶解して塗布液を調製し、電荷輸送層の上にスプレーコート法で塗布し、常温で5分間乾燥した後155℃で60分間加熱し、膜厚3μmの表面層を形成した。
<比較例8>
実施例20において、保護層樹脂として、エポキシ変成を施していないフェノール樹脂(商品名:CMK−2400、昭和高分子(株)製)7部及び下記エポキシ化合物[化49]3部の単純ブレンド材料に変えた以外は同様にして電子写真感光体を作製した。
<比較例9>
実施例20において、保護層樹脂として、アルカリレゾール型フェノール樹脂(旭有機材工業社製、HP−8300)を用いた以外は同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例20〜45及び比較例7〜9の保護層構成
これらの電子写真感光体及び保護層用の塗料に関して、実施例1で述べたのと同様の試験方法により評価し、保護層と感光層の密着性、保護層塗料の安定性、電子写真感光体としての感度、残量電位(Vr)、更に、温度30℃/湿度80%の環境でレーザービームプリンターによる耐久試験後の画像品位、10000枚あたりの表面層の磨耗量を比較し、評価結果を表4にまとめて示した。
なお、密着性及び塗膜安定性の評価基準は、前記したのと同様である。
実施例20〜45及び比較例7〜9の評価結果
これらの結果より、本発明の樹脂を表面保護層として用いた場合は、電子写真感光体としての著しい感度低下も認められず、電子写真プロセス中における耐久強度を著しく向上させることが可能である。更に、下層の電荷輸送層との密着性も十分に保つことが可能である。また、本発明の樹脂を用いて表面保護層用塗料を調合した場合、その塗料安定性も十分にあり、連続生産においても何ら支障をきたさない事が分かった。
本発明によれば、密着性、耐摩耗性に優れ、硬度、強靭性を有し、電荷輸送性を低下させない最上表面層を具備する電子写真感光体が提供される。これらの特性を有する電子写真感光体を用いて構成されるプロセスカートリジ及び電子写真装置を提供することが可能となり、産業上の利用価値は極めて大きい。
本発明の電子写真感光体の概要を示す断面図である。 本発明に用いる電子写真装置の一例の概略構成図である。
符号の説明
1 電子写真感光体
2 軸
3 一次帯電手段
4 像露光手段
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 像定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光手段
11 プロセスカートリッジ
12 レール

Claims (7)

  1. 導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体であって、該感光体の表面層が、レゾール型フェノール樹脂のフェノール性水酸基にエポキシ基を付加させて得られたエポキシ変性フェノール樹脂の架橋物と、電荷輸送物質及び導電性微粒子のうち少なくとも一方と、を含んでいることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記エポキシ変性フェノール樹脂が、分子内にエポキシ基を少なくとも2つ有する化合物を前記レゾール型フェノール樹脂のフェノール性水酸基に付加させたものである請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記エポキシ変性フェノール樹脂が、酸素以外のヘテロ原子を含有しないことを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記エポキシ変性フェノール樹脂が、分子内に下記構造式(1)若しくは(2)
    で示される環状エポキシ基を有する化合物を前記レゾール型フェノール樹脂のフェノール性水酸基に付加させたものである請求項1〜3の何れかに記載の電子写真感光体。
  5. 前記電荷輸送物質が水酸基を含有するものである請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真感光体。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段及びクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも1つと、を一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体と、帯電手段と、該電子写真感光体に静電潜像を形成する露光手段と、該静電潜像を現像しトナー像とする為の現像手段と、該トナー像を被転写材に転写する為の転写手段と、を有することを特徴とする電子写真装置。
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