JP2004175613A - 人造大理石用の樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】柄材含有の人造大理石成形品の製造で、柄材の添加量を極力少なくして、耐衝撃強度の低下を抑制し、高級感や自然感を与え、また独特の意匠性を表現した、商品価値の高い人造大理石成形品を得ることができる人造大理石用の樹脂組成物を提供する。
【解決手段】熱硬化性樹脂に充填剤、柄材、内部離型剤、硬化剤などの添加物を配合して得られる樹脂組成物で、これを注型用金型に注入して成形硬化させることにより人造大理石を製造するのに用いる人造大理石用の樹脂組成物である。これにおいて、柄材を除いた人造大理石用の樹脂組成物の比重に比べて比重が高い高比重の柄材を添加配合する。
【選択図】 なし
【解決手段】熱硬化性樹脂に充填剤、柄材、内部離型剤、硬化剤などの添加物を配合して得られる樹脂組成物で、これを注型用金型に注入して成形硬化させることにより人造大理石を製造するのに用いる人造大理石用の樹脂組成物である。これにおいて、柄材を除いた人造大理石用の樹脂組成物の比重に比べて比重が高い高比重の柄材を添加配合する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、家具の部材や建材として用いられる人造大理石成形品を製造するのに使用する材料である人造大理石用の樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、熱硬化性樹脂と、充填剤、柄材、補強材、内部離型剤、硬化剤などの添加物を配合した人造大理石用の樹脂組成物を所望の注型用金型に注入し、加熱硬化させることによって人造大理石成形品を形成することが知られている。人造大理石を製造するための原料となる熱硬化性樹脂としては、従来よりポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂などが用いられてきた。これらを活用した人造大理石成形品は、洗面カウンター、キッチンカウンター、浴槽、洗面ボール、トイレカウンターなどに広く利用されている。
【0003】
そして人造大理石用の樹脂組成物を硬化成形して得られる人造大理石成形品に高級感や自然感を与え、また独特の意匠性を表現するために、色や形、粒度の異なる各種の柄材をその人造大理石用の樹脂組成物に添加し、これを成形することによって柄材含有の人造大理石成形品を製造することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−219719号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の柄材含有の人造大理石成形品を得る場合、柄材の添加量を増やしたり、柄材の大きさを大きくしたりすると、人造大理石成形品の耐衝撃強度を低下させるおそれがあり、この為に、柄材をシランカップリング剤などで表面処理したり、柄材を構成する柄材用の樹脂組成物を人造大理石を成形する人造大理石用の樹脂組成物と同じもので構成したりして耐衝撃強度の低下を防ぐことが行われているが、十分な効果を得るには至っていない。
【0006】
そこで柄材の添加配合量をできるだけ少なくして、耐衝撃強度を低下させないで高級感や自然感を与え、また独特の意匠性を表現する方法の出現が望まれる状況にあった。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、柄材含有の人造大理石成形品の製造で、柄材の添加量を極力少なくして、耐衝撃強度の低下を抑制し、高級感や自然感を与え、また独特の意匠性を表現した、商品価値の高い人造大理石成形品を得ることができる人造大理石用の樹脂組成物を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の請求項1の人造大理石用の樹脂組成物は、熱硬化性樹脂に充填剤、柄材、内部離型剤、硬化剤などの添加物を配合して得られる樹脂組成物で、これを注型用金型に注入して成形硬化させることにより人造大理石を製造するのに用いる人造大理石用の樹脂組成物であって、柄材を除いた人造大理石用の樹脂組成物の比重に比べて比重が高い高比重の柄材を添加配合したことを特徴とする。注型用金型に注入して成形するとき、比重差により比重の重い柄材が沈降して注型用金型の下面側に集まるように成形されるものであって、柄材が集まる箇所は柄材が多くある外観となると共に柄材の少ないことで強度低下が少なくなる。従って、柄材の添加量を極力少なくして、耐衝撃強度の低下を抑制し、高級感や自然感を与え、また独特の意匠性を表現した、商品価値の高い人造大理石成形品を得ることができる。
【0009】
また本発明の請求項2の人造大理石用の樹脂組成物は、請求項1において、高比重の柄材の比重が1.8以上であることを特徴とする。
【0010】
また本発明の請求項3の人造大理石用の樹脂組成物は、請求項1または請求項2において、高比重の柄材がその柄材を構成する柄材用の樹脂組成物の充填剤の比重が2.5以上のもので構成されていることを特徴とする。
【0011】
また本発明の請求項4の人造大理石用の樹脂組成物は、請求項1乃至請求項3のいずれかにおいて、柄材を除いた人造大理石用の樹脂組成物を構成する充填剤の比重が2.5以下のものであることを特徴とする。
【0012】
また本発明の請求項5の人造大理石用の樹脂組成物は、請求項1乃至請求項4のいずれかにおいて、高比重の柄材用の樹脂組成物及び柄材を除いた人造大理石用の樹脂組成物を構成する熱硬化性樹脂と充填剤の配合比が100/50〜100/300であることを特徴とする。
【0013】
また本発明の請求項6の人造大理石用の樹脂組成物は、請求項1乃至請求項5のいずれかにおいて、高比重の柄材用の樹脂組成物及び柄材を除いた人造大理石用の樹脂組成物を構成する熱硬化性樹脂が、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、熱硬化型アクリル樹脂のうちの1種類、あるいは、2種類以上の混合物であることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明の人造大理石用の樹脂組成物は、
熱硬化性樹脂に充填剤、柄材、内部離型剤、硬化剤などの添加物を配合して得られる樹脂組成物で、これを注型用金型に注入して成形硬化させることにより人造大理石を製造するのに用いる人造大理石用の樹脂組成物であって、柄材を除いた人造大理石用の樹脂組成物の比重に比べて比重が高い高比重の柄材を添加配合したものを用いるものである。
【0015】
柄材の比重は、およそそれを構成する樹脂の比重と充填剤の比重および樹脂と充填剤の配合比率によって決まってくる。本発明での高比重の柄材とは、柄材を除いた人造大理石用に樹脂組成物の比重に比べて高いということで、即ち両者に比重差をつけるということである、柄材を高比重化してこれを未配合の人造大理石用の樹脂組成物に添加配合して、最終の人造大理石用の樹脂組成物としたものを注型用金型に注入して硬化成形することになるが、この段階で添加配合した柄材がその比重差によって沈降現象を起こして分離傾向になり、注型用金型の下面側(製品の表面側)に多く分布するようになる。このような状態で硬化成形されるため、従来の柄材の添加量を大幅に減らすことが可能になる。即ち、図1に示すように少量の柄材の添加量で従来と同様の柄表現が可能になる。
【0016】
また図1のように人造大理石成形品の厚み方向に柄材分布の密な領域1と柄材分布が疎な領域2に分れる形態となる。従来のように柄材添加量が多い形態(図2のように全体に柄材が密に分散した状態3となっている。)と本発明の柄材添加量が少ない形態(図1の形態)では、柄材添加量の少ない本発明の形態(図1)の方が耐衝撃強度が高く、更に、柄材分布が疎な部分は密な部分に比べ耐衝撃強度が高いため、本発明の形態(図1)は耐衝撃強度が非常に優れたものとなる。
【0017】
また本発明では、その柄材の比重を1.8以上とするものである。これは、本発明の柄材を除いた人造大理石用の樹脂組成物の樹脂と充填剤の配合比率(重量比)を100/50〜100/300とする範囲で、充填剤の比重を2.5以下とした場合、およそ最大比重が1.8以下になるためである。そのためには、同様に本発明の柄材用の樹脂組成物の樹脂と充填剤の配合比率(重量比)を100/50〜100/300とする範囲で、充填剤の比重を2.5以上とすることによって比重差を与え、柄材を除いた人造大理石用の樹脂組成物の比重より高い比重の柄材を得ることができるのである。
【0018】
また、本発明では、柄材用の樹脂組成物および柄材を除いた人造大理石用の樹脂組成物を構成する熱硬化性樹脂は、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、熱硬化型アクリル樹脂の単独あるいは、これらの2種類以上の混合系で用いることができる。
【0019】
ポリエステル樹脂としては、熱硬化性のものとして無水マレイン酸のような不飽和二塩基酸および無水フタル酸のような飽和二塩基酸とグリコール類とを縮合反応させて合成され、分子内に不飽和結合とエステル結合を有するものである。また通常、この樹脂には架橋剤としてスチレンモノマー、アクリルモノマー等が配合されていて、いわゆる、不飽和ポリエステル樹脂と称されるものを用いるが、その形態を特に限定されるものではない。
【0020】
ビニルエステル樹脂としては、ビスフェノール型ビニルエステル樹脂あるいはノボラック型ビニルエステル樹脂あるいはその両方を混合しても用いることができる。ここで、ビスフェノール型ビニルエステル樹脂は、ビスフェノール型エポキシ樹脂と酸との付加反応物であって、いずれも両末端のみに反応性不飽和基を有するものである。また、ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールS型、ビスフェノールF型等の各種のものを用いることができる。また通常、このビニルエステル樹脂には架橋剤としてスチレンモノマー、アクリルモノマー等が配合されているものであるが、その形態を特に限定されるものではない。
【0021】
熱硬化型アクリル樹脂としては、通常熱硬化型として、メチルメタアクリレートモノマーあるいは、多官能のアクリルモノマーあるいはプレポリマー、あるいはポリマーのそれぞれ2種以上の混合物で構成されたアクリルシロップと称されるものを用いるが、その形態は特に限定されるものではない。
【0022】
また、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂の2種類以上の混合系とする場合は、樹脂それぞれの特性および充填剤との相互作用あるいは、目的とする製品品質に合った最適配合が求められるが、その配合量は特に限定されるものではない。
【0023】
充填剤は、高比重の柄材用の樹脂組成物の充填剤として比重2.5以上の充填剤即ち、酸化チタン(比重4.1)、硫酸バリウム(比重4.3)、酸化マグネシウム(比重3.65)などを用いる。材料名を特に限定するものではない。
【0024】
また、柄材を除いた人造大理石用の樹脂組成物の充填剤は比重2.5以下の充填剤即ち、水酸化アルミニウム(比重2.4)、溶融シリカ(比重2.2)などを用いる。これもその材料名を特に限定するものではない。
【0025】
また、高比重の柄材用の樹脂組成物の充填剤は、比重2.5以上の充填剤を単独または2種以上の混合物として用いることができるし、人造大理石用の樹脂組成物の充填剤も、比重2.5以下の充填剤を単独または2種以上の混合物として用いることができる。これも特に限定するものではない。
【0026】
また、本発明では、高比重の柄材用の樹脂組成物および柄材を除いた人造大理石用の樹脂組成物を構成する熱硬化性樹脂と充填剤の配合比(重量比)を100/50〜100/300とするが、50重量部以下では、製品の耐衝撃強度は優れるが特に耐熱性を十分に発揮できないおそれがあり、また300重量部以上では、耐熱性は優れるが耐衝撃強度が大きく低下するおそれがあるからである。
【0027】
充填剤の粒径は、小さいほど人造大理石の耐衝撃強度を向上することができるが、人造大理石用の樹脂組成物の粘度を急激に上昇させて製造が困難となる傾向になり、また一方、充填剤の粒径が大きくなると、人造大理石用の樹脂組成物の粘度は低下して製造での問題はなくなるが、人造大理石製品の耐衝撃強度が低下してしまう傾向になる。従って、充填剤の平均粒径の範囲を1μm〜50μmの範囲とすることが好ましい。
【0028】
また、充填剤の表面にあらかじめシランカップリング処理を施したものを用いると、その充填剤と樹脂との密着性を向上できて、人造大理石製品の耐衝撃強度を向上させることができる。また、高比重の柄材用の樹脂組成物および柄材を除いた人造大理石用の樹脂組成物にはそれぞれ硬化剤を配合する。
【0029】
硬化剤としては、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートやt−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等を用いることができる。この硬化剤の配合割合は、例えばビニルエステル樹脂の場合、
樹脂と架橋剤との総量100重量部に対して0.5〜5重量部とするのが好ましい。硬化剤の配合量が0.5重量部未満では硬化反応が完結せず未反応物が残留する傾向があり、また5重量部を越えると樹脂組成物のポットライフが極端に短くなる傾向があって成形の途中でゲル化が起こって成形性が悪くなるおそれが発生する。
【0030】
また、高比重の柄材用の樹脂組成物および柄材を除いた人造大理石用の樹脂組成物には、上記配合物以外に、紫外線吸収剤、減粘剤、離型剤、ガラス繊維、着色剤等を配合することもできる。
【0031】
こうして目的とする配合割合の高比重の柄材用の樹脂組成物および柄材を除いた人造大理石用の樹脂組成物はそれぞれ、攪拌機等によリ混合攪拌して調整し、更に、この樹脂組成物を20〜50Torr程度の減圧下で真空脱泡の処理をし、減圧状態から開放して注型用金型に注入する。注入後、加熱用配管内に加熱媒体を通して注型用金型を加熱する。加熱することにより、これらの樹脂組成物中の上記熱硬化性樹脂中の反応性不飽和基と、同じく樹脂中の重合性モノマーの反応性不蝕和基との共重合反応を進行させて人造大理石用の樹脂組成物の硬化成形を行うことができる。
【0032】
柄材用として硬化成形された成形品は、その後クラッシャー等の粉砕機にかけられ、粉砕、分級され、またその後、シランカップリング剤等で表面処理されたりして、目的とする柄材へと加工されて用いられることになる。
【0033】
このようにして得られた本発明の人造大理石成形品は、柄材の添加量を極力少なくして、高級感や自然感を与え、また独特の意匠性を表現した、耐衝撃強度の高い性能を持ったもので、さらに商品価値を高めることが可能となるものである。このような人造大理石成形品は、洗面カウンター、キッチンカウンター、浴槽、洗面ボール、あるいはトイレカウンター、床材や壁面部材、家具の表面材等への商品化が容易となるものである。
【0034】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって詳述する。
(実施例1)
熱硬化性樹脂として、ビニルエステル樹脂{武田薬品(株)製プロミネートP−311}を用い、充填剤として硫酸バリウム{化学式=BaSO4、比重=4.3、堺化学工業(株)製B−54;平均粒径1.2μm}を、そのビニルエステル樹脂100重量部に対して、200重量部配合した。更に、着色剤として黒色のトナーを1.0重量部、硬化剤{日本油脂(株)製パーキュアWO}を3.0重量部添加し、攪拌機で混合して、柄材用の樹脂組成物を調製した。この柄材用の樹脂組成物を、20Torrの減圧下で40分間真空脱泡処理し、これを注型用金型内に注入して金型を90℃で80分加熱して硬化させた。得られた成形硬化物をクラッシャーで粉砕した後に、分級操作によって、粒径2.8mm(6.5メッシュ)の黒色の柄材を得た。
【0035】
次に、熱硬化性樹脂として、同様のビニルエステル樹脂{武田薬品(株)製プロミネートP−311}を用い、この樹脂分100重量部に対して、充填剤として水酸化アルミニウム{化学式=A1(OH)3、比重=2.4、住友化学(株)製CW−308B;平均粒径8μm}を200重量部、上記柄材を10重量部、更に、着色剤として白色のトナーを0.2重量部、硬化剤{日本油脂(株)製パーキュアWO}を3.0重量部添加し、攪拌機で混合して、人造大理石用の樹脂組成物を調製した。この人造大理石用の樹脂組成物を、20Torrの減圧下で50分間真空脱泡処理し、これを平板形状で13mm厚みに設定された注型用金型内に注入充填し、金型温度を90℃で120分加熱して硬化させ、グラニット調のの人造大理石成形品を得た。
(実施例2)
熱硬化性樹脂として、アクリルシロップ樹脂{日本フェロー(株)製AC−02}を用い、充填剤として硫酸バリウム{化学式=BaSO4、比重=4.3、堺化学工業(株)型BMH;平均粒径2.5μm}を、そのアクリルシロップ樹脂100重量部に対して、200重量部配合した。更に、着色剤として黒色のトナーを1.5重量部、硬化剤{化薬アクゾ(株)型パーカドックス16}を2.0重量部添加し、攪拌機で混合して、柄材用の樹脂組成物を調製した。この柄材用の樹脂組成物を、20Torrの減圧下で40分間真空脱泡処理し、これを注型用金型内に注入して金型を90℃で85分加熱して硬化させた。得られた成形硬化物をクラッシャーで粉砕した後に、分級操作によって、粒径2.0mm(8.6メッシュ)の黒色の柄材を得た。
【0036】
次に、熱硬化性樹脂として、同様のアクリルシロツブ樹脂{日本フェロー(株)製AC−02}を用い、この樹脂分100重量部に対して、充填剤として、シリカ{化学式=SiO2、比重=2.2、龍森(株)製CRYSTALITE M−3K;平均粒径20μm}を、同様樹脂分100重量部に対して115重量部、上記柄材を12重量部、更に、青色剤として白色のトナーを0.25重量部、硬化剤{化薬アクゾ(株)製パーカドックス16}を2.0重量部添加して、20Torrの減圧下で50分間真空脱泡処理し、これを平板形状で13mm厚みに設定された注型用金型内に注入充填し、金型温度を90℃で120分加熱して硬化させ、グラニット調の人造大理石成形品を得た。
(実施例3)
熱硬化性樹脂として、ポリエステル樹脂{武田薬品(株)製ポリマール5450}を用い、充填剤として、硫酸バリウム{化学式=BaSO4、比重=4.3、堺化学工業(株)製BMH−1;平均粒径3.5μm}をポリエステル樹脂100重量部に対して、200重量部を配合し、更に、着色剤として黒色のトナーを2.0重量部、硬化剤{日本油脂(株)製パーキュアWO}を2.5重量部添加し、攪拌機で混合して、柄材用の樹脂組成物を調製した。この柄材用の樹脂組成物を、20Torrの減圧下で40分間真空脱泡処理し、これを注型用金型内に注入して金型を90℃で75分加熱して硬化させた。得られた成形硬化物をクラッシャーで粉砕した後に、分級操作によって、粒径2.36mm(7.5メッシュ)の黒色の柄材を得た。
【0037】
次に、熱硬化性樹脂として、同様のポリエステル樹脂{武田薬品(株)製ポリマール5450}を用い、この樹脂分100重量部に対して、充填剤として水酸化アルミニウム{化学式=Al(OH)3、比重=2.4、日本軽金属(株)製BW−103;平均粒径8μm}を150重量部、上記柄材を15重量部、更に、着色剤として白色のトナーを0.2重量部、硬化剤{日本油脂(株)製パーキュアHO}を2.0重量部添加し、攪拌機で混合して、人造大理石用の樹脂組成物を調製した。この人造大理石用の樹脂組成物を、20Torrの減圧下で50分間真空脱泡処理し、これを平板形状で13mm厚みに設定された注型用金型内に注入充填し、金型温度を90℃で100分加熱して硬化させ、グラニット調の人造大理石成形品を得た。
(実施例4)
熱硬化性樹脂として、ビニルエステル樹脂{昭和高分子(株)製リポキシR−804}と、ポリエステル樹脂{武田薬品(株)ポリマール5250}を85/15の配合比で混合したものを用い、充填剤として、酸化チタン{化学式=TiO2、比重=4.1、堺化学工業(株)製R−25;平均粒径0.20μm}を、その混合樹脂100重量部に対して250重量部を配合した。更に、着色剤として黒色のトナーを2.0重量部、硬化剤{日本油脂(株)製パーキュアWO}を3.0重量部添加し、攪拌機で混合して柄材用の樹脂組成物を調製した。この柄材用の樹脂組成物を、20Torrの減圧下で40分間真空脱泡処理し、これを注型用金型内に注入して金型を90℃で75分加熱して硬化させた。得られた成形硬化物をクラッシャーで粉砕した後に、分級操作によって、粒径2.80mm(6.5メッシュ)の黒色の柄材を得た。
【0038】
次に、熱硬化性樹脂として、上記同様の混合樹脂を用い、この混合樹脂分100重量部に対して、充填剤として水酸化アルミニウム{化学式=Al(OH)3、比重=2.4、日本軽金属(株)製BW−103;平均粒径8μm}とガラスパウダー{化学式=SiO2、比重=2.2、日本フリット(株)製GF−2−30A;平均粒径30μm}を、それぞれ100重量部、50重量部、それに上記柄材を15重量部、更に、着色剤として白色のトナーを0.25重量部、硬化剤{日本油脂(株)製パーキュアHO}を2.5重量部添加し、攪拌機で混合して、人造大理石用の樹脂組成物を調製した。この人造大理石用の樹脂組成物を、20Torrの減圧下で50分間真空脱泡処理し、これを平板形状で13mm厚みに設定された注型用金型内に注入充填し、金型温度を90℃で100分加熱して硬化させ、グラニット調の人造大理石成形品を得た。
(実施例5)
熱硬化性樹脂として、ビニルエステル樹脂{昭和高分子(株)製リポキシR−804}と、アクリルシロップ樹脂{三井化学(株)XE924−1}を95/5の配合比で混合したものを用い、充填剤として、酸化チタン{化学式=TiO2、比重=4.1、堺化学工業(株)製SR−1;平均粒径0.25μm}と硫酸バリウム{化学式=BaSO4、比重=4.3、堺化学工業(株)製BMH−D;平均粒径3.5μm}を、その混合樹脂100重量部に対して、それぞれ150重量部、150重量部を配合した。更に、着色剤として黒色のトナーを2.0重量部、硬化剤{日本油脂(株)製パーキュァWO}を3.0重量部添加し、攪拌機で混合して、柄材用の樹脂組成物を調製した。この柄材用の樹脂組成物を、20Torrの減圧下で40分間真空脱泡処理し、これを注型用金型内に注入して金型を90℃で85分加熱して硬化させた。得られた成形硬化物をクラッシャーで粉砕した後に、分級操作によって、粒径3.35mm(5.5メッシュ)の黒色の柄材を得た。
【0039】
次に、熱硬化性樹脂として、上記同様の混合樹脂を用い、この混合樹脂分100重量部に対して、充填剤として水酸化アルミニウム{化学式=Al(OH)3、比重=2.4、住友化学(株)製CW−316;平均粒径15μm}と、ガラスパウダー{化学式=SiO2、比重=2.2、日本フリット(株)製GF−2−30A;平均粒径30μm}を、それぞれ100重量部、40重量部、それに上記柄材を13重量部、更に、着色剤として白色のトナーを0.25重量部、硬化剤{日本油脂(株)製パーキュアHO}を3.0重量部添加し、攪拌機で混合して、人造大理石用の樹脂組成物を調製した。この人造大理石用の樹脂組成物を、20Torrの減圧下で50分間真空脱泡処理し、これを平板形状で13mm厚みに設定された注型用金型内に注入充填し、金型温度を90℃で100分加熱して硬化させ、グラニット調の人造大理石成形品を得た。
【0040】
また実施例1〜実施例5の柄材の成形品(A)および別途、実施例1〜実施例5の人造大理石用の樹脂組成物で柄材の添加配合を除いた樹脂組成物をそれぞれ実施例1〜実施例5の人造大理石成形と同一成形硬化条件で成形して成形品(B)を得て、それらの比重を測定を測定した。その結果を下記の表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【発明の効果】
本発明は熱硬化性樹脂に充填剤、柄材、内部離型剤、硬化剤などの添加物を配合して得られる樹脂組成物で、これを注型用金型に注入して成形硬化させることにより人造大理石を製造するのに用いる人造大理石用の樹脂組成物であって、柄材を除いた人造大理石用の樹脂組成物の比重に比べて比重が高い高比重の柄材を添加配合したので、人造大理石用の樹脂組成物を注型用金型に注入して成形するとき、比重差により比重の重い柄材が沈降して注型用金型の下面側に集まるように成形されるものであって、柄材が集まる箇所は柄材が多くある外観となると共に柄材の少ないことで強度低下が少なくなるものであり、従って、柄材の添加量を極力少なくして、耐衝撃強度の低下を抑制し、高級感や自然感を与え、また独特の意匠性を表現した、商品価値の高い人造大理石成形品を得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の人造大理石成形品の断面図である。
【図2】従来例の人造大理石成形品の断面図である。
【符号の説明】
1 柄材の密な領域
2 柄材の疎な領域
【発明の属する技術分野】
本発明は、家具の部材や建材として用いられる人造大理石成形品を製造するのに使用する材料である人造大理石用の樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、熱硬化性樹脂と、充填剤、柄材、補強材、内部離型剤、硬化剤などの添加物を配合した人造大理石用の樹脂組成物を所望の注型用金型に注入し、加熱硬化させることによって人造大理石成形品を形成することが知られている。人造大理石を製造するための原料となる熱硬化性樹脂としては、従来よりポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂などが用いられてきた。これらを活用した人造大理石成形品は、洗面カウンター、キッチンカウンター、浴槽、洗面ボール、トイレカウンターなどに広く利用されている。
【0003】
そして人造大理石用の樹脂組成物を硬化成形して得られる人造大理石成形品に高級感や自然感を与え、また独特の意匠性を表現するために、色や形、粒度の異なる各種の柄材をその人造大理石用の樹脂組成物に添加し、これを成形することによって柄材含有の人造大理石成形品を製造することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−219719号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の柄材含有の人造大理石成形品を得る場合、柄材の添加量を増やしたり、柄材の大きさを大きくしたりすると、人造大理石成形品の耐衝撃強度を低下させるおそれがあり、この為に、柄材をシランカップリング剤などで表面処理したり、柄材を構成する柄材用の樹脂組成物を人造大理石を成形する人造大理石用の樹脂組成物と同じもので構成したりして耐衝撃強度の低下を防ぐことが行われているが、十分な効果を得るには至っていない。
【0006】
そこで柄材の添加配合量をできるだけ少なくして、耐衝撃強度を低下させないで高級感や自然感を与え、また独特の意匠性を表現する方法の出現が望まれる状況にあった。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、柄材含有の人造大理石成形品の製造で、柄材の添加量を極力少なくして、耐衝撃強度の低下を抑制し、高級感や自然感を与え、また独特の意匠性を表現した、商品価値の高い人造大理石成形品を得ることができる人造大理石用の樹脂組成物を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の請求項1の人造大理石用の樹脂組成物は、熱硬化性樹脂に充填剤、柄材、内部離型剤、硬化剤などの添加物を配合して得られる樹脂組成物で、これを注型用金型に注入して成形硬化させることにより人造大理石を製造するのに用いる人造大理石用の樹脂組成物であって、柄材を除いた人造大理石用の樹脂組成物の比重に比べて比重が高い高比重の柄材を添加配合したことを特徴とする。注型用金型に注入して成形するとき、比重差により比重の重い柄材が沈降して注型用金型の下面側に集まるように成形されるものであって、柄材が集まる箇所は柄材が多くある外観となると共に柄材の少ないことで強度低下が少なくなる。従って、柄材の添加量を極力少なくして、耐衝撃強度の低下を抑制し、高級感や自然感を与え、また独特の意匠性を表現した、商品価値の高い人造大理石成形品を得ることができる。
【0009】
また本発明の請求項2の人造大理石用の樹脂組成物は、請求項1において、高比重の柄材の比重が1.8以上であることを特徴とする。
【0010】
また本発明の請求項3の人造大理石用の樹脂組成物は、請求項1または請求項2において、高比重の柄材がその柄材を構成する柄材用の樹脂組成物の充填剤の比重が2.5以上のもので構成されていることを特徴とする。
【0011】
また本発明の請求項4の人造大理石用の樹脂組成物は、請求項1乃至請求項3のいずれかにおいて、柄材を除いた人造大理石用の樹脂組成物を構成する充填剤の比重が2.5以下のものであることを特徴とする。
【0012】
また本発明の請求項5の人造大理石用の樹脂組成物は、請求項1乃至請求項4のいずれかにおいて、高比重の柄材用の樹脂組成物及び柄材を除いた人造大理石用の樹脂組成物を構成する熱硬化性樹脂と充填剤の配合比が100/50〜100/300であることを特徴とする。
【0013】
また本発明の請求項6の人造大理石用の樹脂組成物は、請求項1乃至請求項5のいずれかにおいて、高比重の柄材用の樹脂組成物及び柄材を除いた人造大理石用の樹脂組成物を構成する熱硬化性樹脂が、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、熱硬化型アクリル樹脂のうちの1種類、あるいは、2種類以上の混合物であることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明の人造大理石用の樹脂組成物は、
熱硬化性樹脂に充填剤、柄材、内部離型剤、硬化剤などの添加物を配合して得られる樹脂組成物で、これを注型用金型に注入して成形硬化させることにより人造大理石を製造するのに用いる人造大理石用の樹脂組成物であって、柄材を除いた人造大理石用の樹脂組成物の比重に比べて比重が高い高比重の柄材を添加配合したものを用いるものである。
【0015】
柄材の比重は、およそそれを構成する樹脂の比重と充填剤の比重および樹脂と充填剤の配合比率によって決まってくる。本発明での高比重の柄材とは、柄材を除いた人造大理石用に樹脂組成物の比重に比べて高いということで、即ち両者に比重差をつけるということである、柄材を高比重化してこれを未配合の人造大理石用の樹脂組成物に添加配合して、最終の人造大理石用の樹脂組成物としたものを注型用金型に注入して硬化成形することになるが、この段階で添加配合した柄材がその比重差によって沈降現象を起こして分離傾向になり、注型用金型の下面側(製品の表面側)に多く分布するようになる。このような状態で硬化成形されるため、従来の柄材の添加量を大幅に減らすことが可能になる。即ち、図1に示すように少量の柄材の添加量で従来と同様の柄表現が可能になる。
【0016】
また図1のように人造大理石成形品の厚み方向に柄材分布の密な領域1と柄材分布が疎な領域2に分れる形態となる。従来のように柄材添加量が多い形態(図2のように全体に柄材が密に分散した状態3となっている。)と本発明の柄材添加量が少ない形態(図1の形態)では、柄材添加量の少ない本発明の形態(図1)の方が耐衝撃強度が高く、更に、柄材分布が疎な部分は密な部分に比べ耐衝撃強度が高いため、本発明の形態(図1)は耐衝撃強度が非常に優れたものとなる。
【0017】
また本発明では、その柄材の比重を1.8以上とするものである。これは、本発明の柄材を除いた人造大理石用の樹脂組成物の樹脂と充填剤の配合比率(重量比)を100/50〜100/300とする範囲で、充填剤の比重を2.5以下とした場合、およそ最大比重が1.8以下になるためである。そのためには、同様に本発明の柄材用の樹脂組成物の樹脂と充填剤の配合比率(重量比)を100/50〜100/300とする範囲で、充填剤の比重を2.5以上とすることによって比重差を与え、柄材を除いた人造大理石用の樹脂組成物の比重より高い比重の柄材を得ることができるのである。
【0018】
また、本発明では、柄材用の樹脂組成物および柄材を除いた人造大理石用の樹脂組成物を構成する熱硬化性樹脂は、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、熱硬化型アクリル樹脂の単独あるいは、これらの2種類以上の混合系で用いることができる。
【0019】
ポリエステル樹脂としては、熱硬化性のものとして無水マレイン酸のような不飽和二塩基酸および無水フタル酸のような飽和二塩基酸とグリコール類とを縮合反応させて合成され、分子内に不飽和結合とエステル結合を有するものである。また通常、この樹脂には架橋剤としてスチレンモノマー、アクリルモノマー等が配合されていて、いわゆる、不飽和ポリエステル樹脂と称されるものを用いるが、その形態を特に限定されるものではない。
【0020】
ビニルエステル樹脂としては、ビスフェノール型ビニルエステル樹脂あるいはノボラック型ビニルエステル樹脂あるいはその両方を混合しても用いることができる。ここで、ビスフェノール型ビニルエステル樹脂は、ビスフェノール型エポキシ樹脂と酸との付加反応物であって、いずれも両末端のみに反応性不飽和基を有するものである。また、ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールS型、ビスフェノールF型等の各種のものを用いることができる。また通常、このビニルエステル樹脂には架橋剤としてスチレンモノマー、アクリルモノマー等が配合されているものであるが、その形態を特に限定されるものではない。
【0021】
熱硬化型アクリル樹脂としては、通常熱硬化型として、メチルメタアクリレートモノマーあるいは、多官能のアクリルモノマーあるいはプレポリマー、あるいはポリマーのそれぞれ2種以上の混合物で構成されたアクリルシロップと称されるものを用いるが、その形態は特に限定されるものではない。
【0022】
また、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂の2種類以上の混合系とする場合は、樹脂それぞれの特性および充填剤との相互作用あるいは、目的とする製品品質に合った最適配合が求められるが、その配合量は特に限定されるものではない。
【0023】
充填剤は、高比重の柄材用の樹脂組成物の充填剤として比重2.5以上の充填剤即ち、酸化チタン(比重4.1)、硫酸バリウム(比重4.3)、酸化マグネシウム(比重3.65)などを用いる。材料名を特に限定するものではない。
【0024】
また、柄材を除いた人造大理石用の樹脂組成物の充填剤は比重2.5以下の充填剤即ち、水酸化アルミニウム(比重2.4)、溶融シリカ(比重2.2)などを用いる。これもその材料名を特に限定するものではない。
【0025】
また、高比重の柄材用の樹脂組成物の充填剤は、比重2.5以上の充填剤を単独または2種以上の混合物として用いることができるし、人造大理石用の樹脂組成物の充填剤も、比重2.5以下の充填剤を単独または2種以上の混合物として用いることができる。これも特に限定するものではない。
【0026】
また、本発明では、高比重の柄材用の樹脂組成物および柄材を除いた人造大理石用の樹脂組成物を構成する熱硬化性樹脂と充填剤の配合比(重量比)を100/50〜100/300とするが、50重量部以下では、製品の耐衝撃強度は優れるが特に耐熱性を十分に発揮できないおそれがあり、また300重量部以上では、耐熱性は優れるが耐衝撃強度が大きく低下するおそれがあるからである。
【0027】
充填剤の粒径は、小さいほど人造大理石の耐衝撃強度を向上することができるが、人造大理石用の樹脂組成物の粘度を急激に上昇させて製造が困難となる傾向になり、また一方、充填剤の粒径が大きくなると、人造大理石用の樹脂組成物の粘度は低下して製造での問題はなくなるが、人造大理石製品の耐衝撃強度が低下してしまう傾向になる。従って、充填剤の平均粒径の範囲を1μm〜50μmの範囲とすることが好ましい。
【0028】
また、充填剤の表面にあらかじめシランカップリング処理を施したものを用いると、その充填剤と樹脂との密着性を向上できて、人造大理石製品の耐衝撃強度を向上させることができる。また、高比重の柄材用の樹脂組成物および柄材を除いた人造大理石用の樹脂組成物にはそれぞれ硬化剤を配合する。
【0029】
硬化剤としては、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートやt−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等を用いることができる。この硬化剤の配合割合は、例えばビニルエステル樹脂の場合、
樹脂と架橋剤との総量100重量部に対して0.5〜5重量部とするのが好ましい。硬化剤の配合量が0.5重量部未満では硬化反応が完結せず未反応物が残留する傾向があり、また5重量部を越えると樹脂組成物のポットライフが極端に短くなる傾向があって成形の途中でゲル化が起こって成形性が悪くなるおそれが発生する。
【0030】
また、高比重の柄材用の樹脂組成物および柄材を除いた人造大理石用の樹脂組成物には、上記配合物以外に、紫外線吸収剤、減粘剤、離型剤、ガラス繊維、着色剤等を配合することもできる。
【0031】
こうして目的とする配合割合の高比重の柄材用の樹脂組成物および柄材を除いた人造大理石用の樹脂組成物はそれぞれ、攪拌機等によリ混合攪拌して調整し、更に、この樹脂組成物を20〜50Torr程度の減圧下で真空脱泡の処理をし、減圧状態から開放して注型用金型に注入する。注入後、加熱用配管内に加熱媒体を通して注型用金型を加熱する。加熱することにより、これらの樹脂組成物中の上記熱硬化性樹脂中の反応性不飽和基と、同じく樹脂中の重合性モノマーの反応性不蝕和基との共重合反応を進行させて人造大理石用の樹脂組成物の硬化成形を行うことができる。
【0032】
柄材用として硬化成形された成形品は、その後クラッシャー等の粉砕機にかけられ、粉砕、分級され、またその後、シランカップリング剤等で表面処理されたりして、目的とする柄材へと加工されて用いられることになる。
【0033】
このようにして得られた本発明の人造大理石成形品は、柄材の添加量を極力少なくして、高級感や自然感を与え、また独特の意匠性を表現した、耐衝撃強度の高い性能を持ったもので、さらに商品価値を高めることが可能となるものである。このような人造大理石成形品は、洗面カウンター、キッチンカウンター、浴槽、洗面ボール、あるいはトイレカウンター、床材や壁面部材、家具の表面材等への商品化が容易となるものである。
【0034】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって詳述する。
(実施例1)
熱硬化性樹脂として、ビニルエステル樹脂{武田薬品(株)製プロミネートP−311}を用い、充填剤として硫酸バリウム{化学式=BaSO4、比重=4.3、堺化学工業(株)製B−54;平均粒径1.2μm}を、そのビニルエステル樹脂100重量部に対して、200重量部配合した。更に、着色剤として黒色のトナーを1.0重量部、硬化剤{日本油脂(株)製パーキュアWO}を3.0重量部添加し、攪拌機で混合して、柄材用の樹脂組成物を調製した。この柄材用の樹脂組成物を、20Torrの減圧下で40分間真空脱泡処理し、これを注型用金型内に注入して金型を90℃で80分加熱して硬化させた。得られた成形硬化物をクラッシャーで粉砕した後に、分級操作によって、粒径2.8mm(6.5メッシュ)の黒色の柄材を得た。
【0035】
次に、熱硬化性樹脂として、同様のビニルエステル樹脂{武田薬品(株)製プロミネートP−311}を用い、この樹脂分100重量部に対して、充填剤として水酸化アルミニウム{化学式=A1(OH)3、比重=2.4、住友化学(株)製CW−308B;平均粒径8μm}を200重量部、上記柄材を10重量部、更に、着色剤として白色のトナーを0.2重量部、硬化剤{日本油脂(株)製パーキュアWO}を3.0重量部添加し、攪拌機で混合して、人造大理石用の樹脂組成物を調製した。この人造大理石用の樹脂組成物を、20Torrの減圧下で50分間真空脱泡処理し、これを平板形状で13mm厚みに設定された注型用金型内に注入充填し、金型温度を90℃で120分加熱して硬化させ、グラニット調のの人造大理石成形品を得た。
(実施例2)
熱硬化性樹脂として、アクリルシロップ樹脂{日本フェロー(株)製AC−02}を用い、充填剤として硫酸バリウム{化学式=BaSO4、比重=4.3、堺化学工業(株)型BMH;平均粒径2.5μm}を、そのアクリルシロップ樹脂100重量部に対して、200重量部配合した。更に、着色剤として黒色のトナーを1.5重量部、硬化剤{化薬アクゾ(株)型パーカドックス16}を2.0重量部添加し、攪拌機で混合して、柄材用の樹脂組成物を調製した。この柄材用の樹脂組成物を、20Torrの減圧下で40分間真空脱泡処理し、これを注型用金型内に注入して金型を90℃で85分加熱して硬化させた。得られた成形硬化物をクラッシャーで粉砕した後に、分級操作によって、粒径2.0mm(8.6メッシュ)の黒色の柄材を得た。
【0036】
次に、熱硬化性樹脂として、同様のアクリルシロツブ樹脂{日本フェロー(株)製AC−02}を用い、この樹脂分100重量部に対して、充填剤として、シリカ{化学式=SiO2、比重=2.2、龍森(株)製CRYSTALITE M−3K;平均粒径20μm}を、同様樹脂分100重量部に対して115重量部、上記柄材を12重量部、更に、青色剤として白色のトナーを0.25重量部、硬化剤{化薬アクゾ(株)製パーカドックス16}を2.0重量部添加して、20Torrの減圧下で50分間真空脱泡処理し、これを平板形状で13mm厚みに設定された注型用金型内に注入充填し、金型温度を90℃で120分加熱して硬化させ、グラニット調の人造大理石成形品を得た。
(実施例3)
熱硬化性樹脂として、ポリエステル樹脂{武田薬品(株)製ポリマール5450}を用い、充填剤として、硫酸バリウム{化学式=BaSO4、比重=4.3、堺化学工業(株)製BMH−1;平均粒径3.5μm}をポリエステル樹脂100重量部に対して、200重量部を配合し、更に、着色剤として黒色のトナーを2.0重量部、硬化剤{日本油脂(株)製パーキュアWO}を2.5重量部添加し、攪拌機で混合して、柄材用の樹脂組成物を調製した。この柄材用の樹脂組成物を、20Torrの減圧下で40分間真空脱泡処理し、これを注型用金型内に注入して金型を90℃で75分加熱して硬化させた。得られた成形硬化物をクラッシャーで粉砕した後に、分級操作によって、粒径2.36mm(7.5メッシュ)の黒色の柄材を得た。
【0037】
次に、熱硬化性樹脂として、同様のポリエステル樹脂{武田薬品(株)製ポリマール5450}を用い、この樹脂分100重量部に対して、充填剤として水酸化アルミニウム{化学式=Al(OH)3、比重=2.4、日本軽金属(株)製BW−103;平均粒径8μm}を150重量部、上記柄材を15重量部、更に、着色剤として白色のトナーを0.2重量部、硬化剤{日本油脂(株)製パーキュアHO}を2.0重量部添加し、攪拌機で混合して、人造大理石用の樹脂組成物を調製した。この人造大理石用の樹脂組成物を、20Torrの減圧下で50分間真空脱泡処理し、これを平板形状で13mm厚みに設定された注型用金型内に注入充填し、金型温度を90℃で100分加熱して硬化させ、グラニット調の人造大理石成形品を得た。
(実施例4)
熱硬化性樹脂として、ビニルエステル樹脂{昭和高分子(株)製リポキシR−804}と、ポリエステル樹脂{武田薬品(株)ポリマール5250}を85/15の配合比で混合したものを用い、充填剤として、酸化チタン{化学式=TiO2、比重=4.1、堺化学工業(株)製R−25;平均粒径0.20μm}を、その混合樹脂100重量部に対して250重量部を配合した。更に、着色剤として黒色のトナーを2.0重量部、硬化剤{日本油脂(株)製パーキュアWO}を3.0重量部添加し、攪拌機で混合して柄材用の樹脂組成物を調製した。この柄材用の樹脂組成物を、20Torrの減圧下で40分間真空脱泡処理し、これを注型用金型内に注入して金型を90℃で75分加熱して硬化させた。得られた成形硬化物をクラッシャーで粉砕した後に、分級操作によって、粒径2.80mm(6.5メッシュ)の黒色の柄材を得た。
【0038】
次に、熱硬化性樹脂として、上記同様の混合樹脂を用い、この混合樹脂分100重量部に対して、充填剤として水酸化アルミニウム{化学式=Al(OH)3、比重=2.4、日本軽金属(株)製BW−103;平均粒径8μm}とガラスパウダー{化学式=SiO2、比重=2.2、日本フリット(株)製GF−2−30A;平均粒径30μm}を、それぞれ100重量部、50重量部、それに上記柄材を15重量部、更に、着色剤として白色のトナーを0.25重量部、硬化剤{日本油脂(株)製パーキュアHO}を2.5重量部添加し、攪拌機で混合して、人造大理石用の樹脂組成物を調製した。この人造大理石用の樹脂組成物を、20Torrの減圧下で50分間真空脱泡処理し、これを平板形状で13mm厚みに設定された注型用金型内に注入充填し、金型温度を90℃で100分加熱して硬化させ、グラニット調の人造大理石成形品を得た。
(実施例5)
熱硬化性樹脂として、ビニルエステル樹脂{昭和高分子(株)製リポキシR−804}と、アクリルシロップ樹脂{三井化学(株)XE924−1}を95/5の配合比で混合したものを用い、充填剤として、酸化チタン{化学式=TiO2、比重=4.1、堺化学工業(株)製SR−1;平均粒径0.25μm}と硫酸バリウム{化学式=BaSO4、比重=4.3、堺化学工業(株)製BMH−D;平均粒径3.5μm}を、その混合樹脂100重量部に対して、それぞれ150重量部、150重量部を配合した。更に、着色剤として黒色のトナーを2.0重量部、硬化剤{日本油脂(株)製パーキュァWO}を3.0重量部添加し、攪拌機で混合して、柄材用の樹脂組成物を調製した。この柄材用の樹脂組成物を、20Torrの減圧下で40分間真空脱泡処理し、これを注型用金型内に注入して金型を90℃で85分加熱して硬化させた。得られた成形硬化物をクラッシャーで粉砕した後に、分級操作によって、粒径3.35mm(5.5メッシュ)の黒色の柄材を得た。
【0039】
次に、熱硬化性樹脂として、上記同様の混合樹脂を用い、この混合樹脂分100重量部に対して、充填剤として水酸化アルミニウム{化学式=Al(OH)3、比重=2.4、住友化学(株)製CW−316;平均粒径15μm}と、ガラスパウダー{化学式=SiO2、比重=2.2、日本フリット(株)製GF−2−30A;平均粒径30μm}を、それぞれ100重量部、40重量部、それに上記柄材を13重量部、更に、着色剤として白色のトナーを0.25重量部、硬化剤{日本油脂(株)製パーキュアHO}を3.0重量部添加し、攪拌機で混合して、人造大理石用の樹脂組成物を調製した。この人造大理石用の樹脂組成物を、20Torrの減圧下で50分間真空脱泡処理し、これを平板形状で13mm厚みに設定された注型用金型内に注入充填し、金型温度を90℃で100分加熱して硬化させ、グラニット調の人造大理石成形品を得た。
【0040】
また実施例1〜実施例5の柄材の成形品(A)および別途、実施例1〜実施例5の人造大理石用の樹脂組成物で柄材の添加配合を除いた樹脂組成物をそれぞれ実施例1〜実施例5の人造大理石成形と同一成形硬化条件で成形して成形品(B)を得て、それらの比重を測定を測定した。その結果を下記の表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【発明の効果】
本発明は熱硬化性樹脂に充填剤、柄材、内部離型剤、硬化剤などの添加物を配合して得られる樹脂組成物で、これを注型用金型に注入して成形硬化させることにより人造大理石を製造するのに用いる人造大理石用の樹脂組成物であって、柄材を除いた人造大理石用の樹脂組成物の比重に比べて比重が高い高比重の柄材を添加配合したので、人造大理石用の樹脂組成物を注型用金型に注入して成形するとき、比重差により比重の重い柄材が沈降して注型用金型の下面側に集まるように成形されるものであって、柄材が集まる箇所は柄材が多くある外観となると共に柄材の少ないことで強度低下が少なくなるものであり、従って、柄材の添加量を極力少なくして、耐衝撃強度の低下を抑制し、高級感や自然感を与え、また独特の意匠性を表現した、商品価値の高い人造大理石成形品を得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の人造大理石成形品の断面図である。
【図2】従来例の人造大理石成形品の断面図である。
【符号の説明】
1 柄材の密な領域
2 柄材の疎な領域
Claims (6)
- 熱硬化性樹脂に充填剤、柄材、内部離型剤、硬化剤などの添加物を配合して得られる樹脂組成物で、これを注型用金型に注入して成形硬化させることにより人造大理石を製造するのに用いる人造大理石用の樹脂組成物であって、柄材を除いた人造大理石用の樹脂組成物の比重に比べて比重が高い高比重の柄材を添加配合したことを特徴とする人造大理石用の樹脂組成物。
- 高比重の柄材の比重が1.8以上であることを特徴とする請求項1記載の人造大理石用の樹脂組成物。
- 高比重の柄材がその柄材を構成する柄材用の樹脂組成物の充填剤の比重が2.5以上のもので構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の人造大理石用の樹脂組成物。
- 柄材を除いた人造大理石用の樹脂組成物を構成する充填剤の比重が2.5以下のものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の人造大理石用の樹脂組成物。
- 高比重の柄材用の樹脂組成物及び柄材を除いた人造大理石用の樹脂組成物を構成する熱硬化性樹脂と充填剤の配合比が100/50〜100/300であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の人造大理石用の樹脂組成物。
- 高比重の柄材用の樹脂組成物及び柄材を除いた人造大理石用の樹脂組成物を構成する熱硬化性樹脂が、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、熱硬化型アクリル樹脂のうちの1種類、あるいは、2種類以上の混合物であることを特徴とする人造大理石用の樹脂組成物。
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