JP3724313B2 - 人造大理石の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、家具の部材や建材として用いられる人造大理石の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、樹脂に充填材、補強材、内部離型剤、硬化剤等の添加物を配合した樹脂組成物を所望の形状を有する注型金型に注入し、加熱硬化させることによって人造大理石を形成することが知られていた。
【0003】
このような人造大理石を製造するための原料となる樹脂としては、従来からポリエステル系、アクリル系、ビニルエステル系などが用いられてきた。
【0004】
これらを活用した人造大理石の成形品は、洗面カウンター、キッチンカウンター、浴槽、洗面ボール等に利用されている。
【0005】
通常、人造大理石の耐衝撃強度(靱性)を向上するためには、補強材として、ガラス繊維の配合量を増大することが行なわれている。しかし、ガラス繊維の配合量を増大させると、人造大理石に形成される柄や模様の流れが著しく阻害されたり、混合分散性が不均一になったり、製品の透明感が低下したり、製品面にガラス繊維の毛羽立ちが発生したりして、均一な製品が得られず、そのため、製品強度の向上には限界があった。
【0006】
そのため、このような問題を解消するために、人造大理石の裏面に木製の補強板を設けたり、FRP(繊維強化プラスチック)による補強層を設けたりして、製品の厚みを厚くすることが行なわれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のようにして人造大理石の裏面を補強するためには、加工の手間がかかると共にコストアップにも繋がるものであった。また、製品に補強板等の厚みが加わるため、製品の薄型化が困難となり、それに伴って製品の重量が大きくなって、製品の運搬や施工における負担が大きくなるものであった。また、補強板等を設けることにより製品の透明性が損なわれ、外観も悪化するものであった。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、人造大理石の耐衝撃強度を向上することができて、人造大理石から形成される製品に補強板等を設ける必要をなくし、製品の薄型化・軽量化を達成することができると共に、透明性を高めて外観を向上することができる人造大理石の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る人造大理石の製造方法は、樹脂成分及び充填材を含有する樹脂組成物を成形硬化させて得られる人造大理石の製造方法において、充填材として水酸化アルミニウムとガラスパウダーとを用い、この二種の充填材として、粒径分布の最大ピークが10〜15μmの範囲にあり、二番目に大きいピークが1〜2μmの範囲にある水酸化アルミニウムと、粒径分布の最大ピークが4〜8μmの範囲にあるガラスパウダーとを併用することを特徴とするものである。
【0012】
また請求項2に記載の発明は、請求項1の構成に加えて、水酸化アルミニウム100質量部に対して、ガラスパウダーを1〜50質量部用いることを特徴とするものである。
【0013】
また請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の構成に加えて、樹脂組成物中における充填材の配合量を、樹脂成分100質量部に対して180〜300質量部とすることを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
人造大理石の製造に用いられる樹脂組成物は、樹脂成分、充填材、補強材、内部離型剤、硬化剤等を含有する。
【0016】
樹脂成分は、熱硬化性樹脂に必要に応じて架橋剤が配合されたものであり、熱硬化性樹脂としては、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂のうちのいずれか一種、あるいは二種以上を併用することができる。
【0017】
ビニルエステル樹脂としてはビスフェノール型ビニルエステル樹脂又はノボラック型ビニルエステル樹脂のうちの、いずれか一方又は双方を用いることができる。
【0018】
ここで、ビスフェノール型ビニルエステル樹脂とは、ビスフェノール型エポキシ樹脂と酸との付加反応物であり、またノボラック型エポキシ樹脂はノボラック型エポキシ樹脂と酸との付加反応物であって、いずれも両末端のみに反応性付加反応物を有する。
【0019】
ビスフェノール型ビニルエステル樹脂を得るためのビスフェノール型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールS型、ビスフェノールF型等の各種のものを用いることができる。
【0020】
またエポキシ樹脂に付加させる酸としては通常、不飽和一塩基酸を使用するものであり、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸、ヒドロキシエチルメタクリレート・マレート、ヒドロキシエチルアクリレート・マレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート・マレート、ヒドロキシプロピルアクリレート・マレート、ジシクロペンタジエン・マレート等を用いることができる。
【0021】
また通常、ビニルエステル樹脂には、架橋剤としてスチレンモノマー、アクリルモノマー等が配合されているが、特にこのような形態に限定されるものではない。
【0022】
アクリル樹脂としては、通常、メチルメタアクリレートモノマー、多官能のアクリルモノマー、あるいはこれらのプレポリマー、あるいはこれらのポリマーのうち、二種以上のものを含有する通常アクリルシロップ樹脂と称される熱硬化型のものを用いることができるが、特にこのような形態に限定されるものではない。
【0023】
またポリエステル樹脂としては、無水マレイン酸のような不飽和二塩基酸及び無水フタル酸のような飽和二塩基酸とグリコール類とを縮合反応させて合成され、分子内に不飽和結合とエステル結合とを有する熱硬化型のものを用いることができる。また通常、このポリエステル樹脂としては、架橋剤としてスチレンモノマー、アクリルモノマー等が配合されている不飽和ポリエステル樹脂と称されるものが用いられるが、特にこのような形態に限定されるものではない。
【0024】
また熱硬化性樹脂として、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂のうちの二種以上の混合型とする場合は、それぞれの樹脂の有する特性、充填材として使用するアルミナの特性及び目的とする製品の物性等に適合した適宜の割合で配合されるものであり、その配合比は特に限定されるものではない。
【0025】
硬化剤としては、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサエートや、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等を用いることができる。この硬化剤の配合割合は、例えば熱硬化性樹脂としてビニルエステル樹脂を用いている場合は、熱硬化性樹脂及び必要に応じて配合される架橋剤からなる樹脂成分の総量100質量部に対して、0.5〜5質量部とすることが好ましい。
【0026】
また、本発明においては、充填材としては水酸化アルミニウムとガラスパウダーとの複合型にして、その粒径分布を均一にしたものが用いられる。
【0027】
通常、上市されている水酸化アルミニウムの粒度は平均粒径で示されるが、その分布は図1に示すように、大きく二つのピークを有する分布となっている。水酸化アルミニウムは通常大きな結晶粒径を有するものが生成され、これを破砕することによって細かくさせて所定の粒度(平均粒径)を有するものが得られる。しかし、細かい分級作業を行なわない限り、得られる水酸化アルミニウム粒子中には、粒径が非常に細かい粒子と、所定の粒度に近い粒子とが混在したものとなる。その結果、水酸化アルミニウムの粒径分布は、所定の粒度に近い粒径付近に最大のピークが存在し、この最大のピークよりも小さい粒径の領域に最大のピークよりも小さいピークが存在することとなる。
【0028】
一方、ガラスパウダーの粒径分布についても同様に、平均粒径に近い領域に最大のピークが存在すると共に、この最大のピークよりも小さい粒径の領域に最大のピークよりも小さいピークが存在する。
【0029】
また、水酸化アルミニウムとガラスパウダーとは、ガラスパウダーの方が硬度が高いものであり、水酸化アルミニウムのモース硬度が3であるのに対してガラスパウダーのモース硬度が7である。
【0030】
本発明では、この水酸化アルミニウムとガラスパウダーのうちの、一方の粒径分布の最大のピークと、最大ピークよりも小さい粒径の領域における二番目のピークとの間の領域に、他方の粒径分布の最大ピークが存在するように粒径が調節された水酸化アルミニウムとガラスパウダーとを併用して樹脂組成物を調製するものである。
【0033】
更に、水酸化アルミニウムの粒径分布の最大のピークと、最大ピークよりも小さい粒径の領域における二番目のピークとの間の領域に、粒径分布の最大ピークを有するガラスパウダーを用いることが好ましい。例えば、水酸化アルミニウム粒子として、平均粒径が10μmであり、粒径分布が10〜15μmの範囲に最大のピークが存在し、二番目のピークが、1〜2μmの範囲に存在するものを用いる。それに対してガラスパウダーとしては、平均粒径が5μmであり、粒径分布が4〜8μmの範囲に最大のピークが存在し、二番目のピークが、0.5〜1.0μmの範囲に存在するものを用いる。
【0034】
このような水酸化アルミニウムとガラスパウダーとを併用すると、水酸化アルミニウムの粒径分布の最大ピークと二番目のピークとの間の、粒径の分布が少ない領域に、ガラスパウダーの粒径分布の最大ピークが存在することとなる。この場合、水酸化アルミニウムとガラスパウダーとから構成される充填材の粒径分布は、分離したピークの形成が抑制されて、充填材全体の粒径が、広い粒径の範囲に亘って分布することとなる。
【0035】
この結果、充填材の粒径分布が分離したピークを有することによる耐衝撃強度のばらつきの発生を抑制することができる。すなわち、このような充填材を含む樹脂組成物を用いて多数の人造大理石を製造し、得られる人造大理石の耐衝撃強度を測定した場合、耐衝撃強度の分布の標準偏差の値を小さくして、人造大理石ごとに耐衝撃強度の違いが発生することを抑制することができ、均一な品質を有する人造大理石を得ることができるものである。また更に、水酸化アルミニウム粒径分布の分離したピークの間を、硬度の高いガラスパウダーの粒径分布のピークが占めることにより、樹脂組成物にて形成される人造大理石の耐衝撃強度が飛躍的に向上するものである。
【0036】
ここで、水酸化アルミニウムとガラスパウダーとの配合比は、特に限定するものではないが、水酸化アルミニウム100質量部に対して、ガラスパウダーの配合量を1〜50質量部の範囲とすると、切削性や加工性が良好な人造大理石を得ることができる。ガラスパウダーの配合量が多くなると、得られる人造大理石の耐衝撃性は更に向上するが、人造大理石の硬度が高くなって切削性が低下するため、水酸化アルミニウムとガラスパウダーとの配合比は、所望の性質を有する人造大理石を得るために、適宜設計することが好ましい。
【0037】
上記のような充填材の配合量は、熱硬化性樹脂及び必要に応じて配合される架橋剤からなる樹脂成分の総量100質量部に対して、180〜300質量部とすることが好ましい。配合量がこの範囲に満たないと、得られる人造大理石の耐衝撃強度は向上することができるが、充分な耐熱性が得られないおそれがあり、またこの範囲を超えると充分な耐熱性は得られるものの、耐衝撃強度を充分に向上することができなくなるおそれがある。
【0038】
また、充填材全体の平均粒径が、50μm以下のものを用いることが好ましく、この場合、人造大理石の靱性を向上して耐衝撃強度を効果的に向上することができる。一方、充填材全体の平均粒径が小さすぎると、樹脂組成物中における充填材の分散性が低下して充填材の凝集が生じるおそれがあるため、充填材の平均粒径の下限は3μmとすることが好ましい。
【0039】
また充填材の表面に予めシランカップリング剤処理を施しておくと、樹脂組成物中において充填材と樹脂成分との密着性を向上することができ、更に充填材の分散性も向上することができて、得られる人造大理石の耐衝撃強度を更に向上することができるものである。シランカップリング剤としては、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン等を用いることができる。
【0040】
また、樹脂組成物には必要に応じて、紫外線吸収剤、減粘剤、離型剤、ガラス繊維、着色剤等を配合することもできる。
【0041】
減粘剤としては例えばBKY製の品番「W996」を、離型剤としては例えば中京油脂製の商品名「セパール」を、ガラス繊維としては例えば日本板硝子製の品番「RES03X−BM」を用いることができる。
【0042】
また紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾエート系、サリレート系、シアノアクリレート系、シュウ酸アニリド系、ベンゾフェノン系等のものを使用することができる。
【0043】
樹脂組成物は、樹脂成分に充填材を配合し、更に硬化剤及びその他の各種の添加剤を所定の割合で配合し、攪拌機等により撹拌混合することによって調製される。
【0044】
樹脂組成物から人造大理石を製造するにあたっては、まず樹脂組成物を4.0〜66.5hPaの減圧下で5〜30分間攪拌することにより脱泡する。このようにて脱泡された樹脂組成物を、減圧状態から開圧し、所定の金型内へ注入して、この金型を50〜110℃の温度で30〜120分間加熱することにより、樹脂組成物中の熱硬化性樹脂の重合反応を進行させて、硬化成形を行う。
【0045】
このようにして製造される人造大理石は、優れた耐衝撃強度を有することとなり、人造大理石の裏面に木製の補強板やFRP補強層等を形成して強度を補うような必要がなく、高い耐衝撃性(靱性)を発揮することができる。更にこの人造大理石にて形成される製品の軽量化を図ると共に、外観、特に透明性に優れた人造大理石を得ることができるものである。
【0046】
この人造大理石は例えば板状に成形してキッチンカウンターの天板等に使用することができる。
【0047】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって詳述する。
【0048】
(実施例1)
樹脂成分として、ビニルエステル樹脂(武田薬品工業株式会社製;商品名「プロミネートP−311」)を用いた。
【0049】
充填材としては、図1の実線に示す粒径分布を有する平均粒径10μm、最大ピーク10〜15μm、二番目のピーク1〜2μmの水酸化アルミニウム100質量部に対して、平均粒径5μm、最大ピーク4〜8μm、二番目のピーク0.5〜1.0μmのガラスパウダー25質量部の割合で配合したものを樹脂成分100質量部に対して200質量部用いた。
【0050】
硬化剤としては、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂株式会社製;商品名「パーキュアWO」)を樹脂成分100質量部に対して3.0質量部用いた。
【0051】
これらの各成分を配合し、攪拌機により撹拌混合して樹脂組成物を調製した。
【0052】
この樹脂組成物を、26.7hPaの減圧下で、30分間真空脱泡処理した。更にこの樹脂組成物を、厚み11mmの平板が成形できるキャビティを備える金型内に注入し、金型温度90℃で70分間加熱して、平板状の人造大理石を成形した。
【0053】
(実施例2)
樹脂成分として、アクリルシロップ樹脂(日本フェロー株式会社製;商品名「AC−02」)を用いた。
【0054】
充填材としては、実施例1の場合と同様のものを、樹脂成分100質量部に対して180質量部用いた。
【0055】
硬化剤としては、化薬アクゾ株式会社製の商品名「パーカドックス16」を、樹脂成分100質量部に対して4.5質量部用いた。
【0056】
これらの各成分を配合し、攪拌機により撹拌混合して樹脂組成物を調製した。
【0057】
この樹脂組成物を、26.7hPaの減圧下で、30分間真空脱泡処理した。更にこの樹脂組成物を、厚み11mmの平板が成形できるキャビティを備える金型内に注入し、金型温度90℃で50分間加熱して、平板状の人造大理石を成形した。
【0058】
(実施例3)
樹脂成分として、ポリエステル樹脂(武田薬品工業株式会社製;商品名「ポリマール5250」)を用いた。
【0059】
充填材としては、実施例1の場合と同様のものを、樹脂成分100質量部に対して210質量部用いた。
【0060】
硬化剤としては、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(日本油脂株式会社製;商品名「パーキュアHO」)を、樹脂成分100質量部に対して3.2質量部用いた。
【0061】
これらの各成分を配合し、攪拌機により撹拌混合して樹脂組成物を調製した。
【0062】
この樹脂組成物を、26.7hPaの減圧下で、30分間真空脱泡処理した。更にこの樹脂組成物を、厚み11mmの平板が成形できるキャビティを備える金型内に注入し、金型温度90℃で80分間加熱して、平板状の人造大理石を成形した。
【0063】
(実施例4)
樹脂成分として、ビニルエステル樹脂(昭和高分子株式会社製;商品名「リポキシR−804」)60質量部と、ポリエステル樹脂(武田薬品工業株式会社製;商品名「ポリマール5250」)40質量部とを混合したものを用いた。
【0064】
充填材としては、実施例1の場合と同様のものを、樹脂成分100質量部に対して200質量部用いた。
【0065】
硬化剤としては、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(日本油脂株式会社製;商品名「パーキュアHO」)を、樹脂成分100質量部に対して2.8質量部用いた。
【0066】
これらの各成分を配合し、攪拌機により撹拌混合して樹脂組成物を調製した。
【0067】
この樹脂組成物を、26.7hPaの減圧下で、30分間真空脱泡処理した。更にこの樹脂組成物を、厚み11mmの平板が成形できるキャビティを備える金型内に注入し、金型温度90℃で80分間加熱して、平板状の人造大理石を成形した。
【0068】
(実施例5)
樹脂成分として、ビニルエステル樹脂(昭和高分子株式会社製;商品名「リポキシR−804」)65質量部と、アクリルシロップ樹脂(三井化学株式会社製;商品名「XE924−1」)35質量部とを混合したものを用いた。
【0069】
充填材としては、実施例1の場合と同様のものを、樹脂成分100質量部に対して180質量部用いた。
【0070】
硬化剤としては、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂株式会社製;商品名「パーキュアWO」)を樹脂成分100質量部に対して4.0質量部用いた。
【0071】
これらの各成分を配合し、攪拌機により撹拌混合して樹脂組成物を調製した。
【0072】
この樹脂組成物を、26.7hPaの減圧下で、30分間真空脱泡処理した。更にこの樹脂組成物を、厚み11mmの平板が成形できるキャビティを備える金型内に注入し、金型温度90℃で80分間加熱して、平板状の人造大理石を成形した。
【0073】
(実施例6)
樹脂成分として、ビニルエステル樹脂(武田薬品工業株式会社製;商品名「プロミネートP−311」)60質量部と、アクリルシロップ樹脂(三井化学株式会社製;商品名「XE924−1」)10質量部と、ポリエステル樹脂(武田薬品工業株式会社製;商品名「ポリマール5250」)30質量部とを混合したものを用いた。
【0074】
充填材としては、実施例1の場合と同様のものを、樹脂成分100質量部に対して180質量部用いた。
【0075】
硬化剤としては、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂株式会社製;商品名「パーキュアWO」)を樹脂成分100質量部に対して3.4質量部用いた。
【0076】
これらの各成分を配合し、攪拌機により撹拌混合して樹脂組成物を調製した。
【0077】
この樹脂組成物を、26.7hPaの減圧下で、30分間真空脱泡処理した。更にこの樹脂組成物を、厚み11mmの平板が成形できるキャビティを備える金型内に注入し、金型温度90℃で80分間加熱して、平板状の人造大理石を成形した。
【0078】
(比較例1〜6)
充填材として、水酸化アルミニウムのみを用いた以外は、それぞれ実施例1〜6と同様にして、人造大理石を成形した。
【0079】
(比較例7〜12)
水酸化ナトリウムとして図2の実線に示す粒径分布を有する平均粒径10μmの水酸化アルミニウムを用い、ガラスパウダーとして図2の破線に示す粒径分布を有する平均粒径9.5μmのガラスパウダーを配合したものを用いた以外は、それぞれ実施例1乃至6と同様にして、人造大理石を成形した。
【0080】
(評価試験)
以上の各実施例及び各比較例にて得られた人造大理石につき、シャルピー衝撃強度を測定した結果を表1に示す。
【0081】
【表1】
【0082】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1に係る人造大理石の製造方法は、樹脂成分及び充填材を含有する樹脂組成物を成形硬化させて得られる人造大理石の製造方法において、充填材として水酸化アルミニウムとガラスパウダーとを用い、この二種の充填材として、粒径分布の最大ピークが10〜15μmの範囲にあり、二番目に大きいピークが1〜2μmの範囲にある水酸化アルミニウムと、粒径分布の最大ピークが4〜8μmの範囲にあるガラスパウダーとを併用するため、優れた耐衝撃強度を有する人造大理石を製造することができ、人造大理石の裏面に木製の補強板やFRP補強層等を形成して強度を補うような必要がなく、高い耐衝撃性を発揮することができるものであり、この人造大理石にて形成される製品の軽量化を図ると共に、外観、特に透明性を向上することができるものである。
【0085】
また請求項2に記載の発明は、請求項1の構成に加えて、水酸化アルミニウム100質量部に対して、ガラスパウダーを1〜50質量部用いるため、切削性や加工性が共に良好な人造大理石を得ることができるものである。
【0086】
また請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の構成に加えて、樹脂組成物中における充填材の配合量を、樹脂成分100質量部に対して180〜300質量部とするため、耐衝撃強度と耐熱性がバランス良く向上された人造大理石を得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明における充填材の粒径分布の一例を示すグラフである。
【図2】 比較例において用いられた水酸化アルミニウムとガラスパウダーの粒径分布の一例を示すグラフである。
Claims (3)
- 樹脂成分及び充填材を含有する樹脂組成物を成形硬化させて得られる人造大理石の製造方法において、充填材として水酸化アルミニウムとガラスパウダーとを用い、この二種の充填材として、粒径分布の最大ピークが10〜15μmの範囲にあり、二番目に大きいピークが1〜2μmの範囲にある水酸化アルミニウムと、粒径分布の最大ピークが4〜8μmの範囲にあるガラスパウダーとを併用することを特徴とする人造大理石の製造方法。
- 水酸化アルミニウム100質量部に対して、ガラスパウダーを1〜50質量部用いることを特徴とする請求項1に記載の人造大理石の製造方法。
- 樹脂組成物中における充填材の配合量を、樹脂成分100質量部に対して180〜300質量部とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の人造大理石の製造方法。
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