JP3438252B2 - 樹脂組成物および人工大理石の製造方法 - Google Patents

樹脂組成物および人工大理石の製造方法

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JP3438252B2
JP3438252B2 JP10223593A JP10223593A JP3438252B2 JP 3438252 B2 JP3438252 B2 JP 3438252B2 JP 10223593 A JP10223593 A JP 10223593A JP 10223593 A JP10223593 A JP 10223593A JP 3438252 B2 JP3438252 B2 JP 3438252B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は人工大理石用として有用
な樹脂組成物、ならびに耐水性および保存安定性に優れ
シンクやバスタブなど耐水性が要求される用途において
有用なる人工大理石を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、アクリル系人工大理石
は、メタクリル酸エステル系単量体を10〜40%予備
重合するか、あるいはメタクリル酸エステル系単量体に
メタクリル酸エステル系重合体を溶解した、所謂樹脂シ
ラップに水酸化アルミニウム等の無機充填材を配合して
混練した後、その混合物を型に注入して硬化せしめる方
法、押し出し成形する方法、或いは樹脂シラップに硬化
剤、無機充填材、酸化マグネシウムのごとき増粘剤を加
え増粘させ加熱加圧成形法等により製造する方法が知ら
れている。特に、加熱加圧成形法は生産性に優れるため
に広く用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記アクリル
系人工大理石は、メタクリル酸エステル系単量体の加熱
硬化時に硬化収縮し易い性質の為に、成形時の脱型不良
や成形品の割れ、反り、変形等を招来するという課題を
有する他、加熱加圧成形法等の量産成形法において増粘
剤として酸価マグネシウムを添加した場合には、組成物
中の水分含有率が高くなり成形時の粘度が安定しないこ
と、増粘中の黄変等の着色が生じ成形物の美観を損なう
こと、および成形物の耐水性が低下すること等の課題を
有するものであった。
【0004】本発明が解決しようとする課題は、硬化収
縮による成形品の割れ、反り、変形を防止でき、特に加
熱加圧成形等の量産成形法において増粘性と成形性とに
優れ、更に成形物の美観と耐水性に優れる樹脂組成物、
および該組成物を加熱加圧成形して美観および耐水性に
優れる人工大理石を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
鋭意検討を重ねた結果、メタクリル酸系の樹脂シラップ
に低収縮化剤、および増粘剤として、架橋重合体微粉末
を配合することにより、上記課題が解決できることを見
いだし、本発明を完成させるに至った。
【0006】すなわち、本発明は、(メタ)クリル酸
エステル系重合体および(メタ)クリル酸エステル系
単量体を必須成分とする樹脂シラップ(A)と、不飽和
ポリエステルをアルカリで中和して得られる水溶性不飽
和ポリエステルを乳化剤として(メタ)アクリル酸エス
テル系単量体を乳化重合して得られる架橋重合体微粉末
(B)とを必須成分とすることを特徴とする樹脂組成
物、および、該樹脂組成物を加熱加圧硬化せしめること
を特徴とする人工大理石の製造方法に関する。
【0007】本発明で用いる(メタ)クリル酸エステ
ル系重合体および(メタ)クリル酸エステル系単量体
を必須成分とする樹脂シラップ(A)は、(メタ)
リル酸エステル系重合体を(メタ)クリル酸エステル
系単量体中に溶解したものであってもよいし、また、
(メタ)クリル酸エステル系単量体を必須とする単量
体成分を10〜40%予備重合したもの、或いはこの予
備重合したものに更に単量体成分を加えて固形分含有量
を整えたものであってもよい。また、樹脂シラップ中の
固形分含有量、即ち(メタ)クリル酸エステル系重合
体の含有量は特に限定されるものではないが、通常95
〜25重量%であることが好ましく、なかでも樹脂シラ
ップ(A)中の固形分含有率低下に伴う低粘度化と、固
形分含有率の上昇に伴う低収縮性向上効果とのバランス
に優れる点から35〜75重量%であることが好まし
い。
【0008】上述した(メタ)クリル酸エステル系重
合体は、例えば(メタ)クリル酸メチル、(メタ)
クリル酸エチル、(メタ)クリル酸プロピル、(メ
タ)クリル酸イソプロピル、(メタ)クリル酸ブチ
ル、(メタ)クリル酸イソブチル、(メタ)クリル
酸シクロヘキシル等の(メタ)クリル酸エステル類の
中から選ばれた1種以上の(メタ)クリル酸エステル
を必須成分とし、必要により上記(メタ)クリル酸エ
ステル類と共重合可能な他の重合性単量体を併用し、該
単量体混液を重合して得られる物が挙げられる。
【0009】該共重合可能な重合性単量体として例え
ば、官能性単量体である、ヒドロキシエチル(メタ)
クリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)クリレー
ト、ヒドロキシブチル(メタ)クリレート等が使用可
能である。更にその他のメタクリル酸エステル類、アク
リル酸エステル類、メタクリル酸、アクリル酸、スチレ
ン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、パラメチル
スチレン、クロロスチレン等の芳香族単量体、酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、塩化ビ
ニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル単量体、ア
クリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリ
ル類等を併用してもよい。
【0010】これらの中でも、特に成形物の耐候性に優
れる点から(メタ)クリル酸エステル類の中から適宜
選択された1種以上の(メタ)クリル酸エステルの重
合体、或いは(メタ)クリル酸エステル類の中から適
宜選択された1種以上の(メタ)クリル酸エステルと
(メタ)クリル酸との共重合体が好ましい。
【0011】樹脂シラップ中の非固形分として用いられ
る上述した(メタ)クリル酸エステル系単量体は、
(メタ)クリル酸エステル系重合体の原料として用い
るものが何れも使用でき、また、上掲したものの他にも
例えば(メタ)クリル酸アミド、炭素数1〜4のアル
キル基を有するマレイン酸エステル及びフマール酸エス
テル等が使用できる。
【0012】本発明に用いられる、架橋重合体微粉末
(B)は、本発明において優れた低収縮性を発現せしめ
る必須の成分であり、また、増粘剤としても優れた増粘
効果を発現せしめるものであり単官能性モノマーと多
官能性モノマーとを乳化重合することによって得られる
ものである。
【0013】これらの中でも乳化剤の存在下、単官能モ
ノマーと多官能モノマーとを乳化重合せしめる所謂乳化
重合は、得られる樹脂粒子が適度な網目架橋構造を有
し、かつ、他の重合法に比べ重合体が高分子量化し易く
なって、樹脂シラップに対する難溶性が高まり優れた低
収縮効果が得られる他、網目架橋骨格内に樹脂シラップ
中の重合性単量体を取り込んで膨潤し易くなり、優れた
増粘性および増粘安定性を示すため好ましい。
【0014】また、架橋重合体微粉末(B)は、乳化重
合して得られる重合体エマルジョンで、その時の粒径が
0.01〜2μm、好ましくは0.05〜0.9μmで
ある。この重合体エマルジョンの乾燥後の二次粒子径が
5〜50μmの範囲にあることが、その粒子表面積が増
大し極めて優れた低収縮性および増粘性を発現すること
から好ましい。
【0015】単官能性モノマーとしては、例えばメチル
(メタ)クリレート、エチル(メタ)クリレート、
ブチル(メタ)クリレートの如き、各種の(メタ)
クリル酸エステル類;スチレン、α−メチルスチレ
ン、ビニルトルエンの如き、各種の芳香族ビニル系単量
体類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック
酸ビニルの如き、各種のビニルエステル類;あるいは、
アクリロニトリル、メタアクリルニトリルの如き、各種
のシアノ基含有ビニル系単量体類をはじめとする、種々
の重合性不飽和単量体類が挙げられる。
【0016】多官能性モノマーとしては、例えばジアリ
ルフタレート、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル系単
量体、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチ
ロールプロパントリメタクリレート等のメタクリル酸エ
ステル類が挙げられる。
【0017】これら単官能性モノマーおよび多官能性モ
ノマーの何れにおいても(メタ)クリル酸エステル類
を必須として用いた場合、成形物に極めて優れた透明性
を付与することができ好ましい。
【0018】また、単官能性モノマーと多官能モノマー
との反応割合は特に限定されるものではないが、通常、
両者の合計に対する多官能モノマーの割合が0.1〜1
0重量%となる範囲が好ましく、なかでも多官能性モノ
マー中の2重結合が樹脂シラップと反応し易くなり、成
形物の透明性が一段と向上する点から0.5〜7重量%
であることが更に好ましい。
【0019】乳化重合によって架橋重合体微粉末(B)
を製造する際の乳化剤としては不飽和ポリエステルを
アルカリで中和して得られる水溶性不飽和ポリエステル
である。得られる架橋重合微粉末の耐水性に優れ、増粘
性および低収縮効果に優れる点から水溶性不飽和ポリエ
ステルである
【0020】水溶性不飽和ポリエステルに用いる不飽和
ポリエステルは、特に限定されるものではないが、例え
ば2価以上のカルボン酸或いはその無水物と、2価以上
のアルコールとを反応して得られるものであり、その骨
格の一部にエチレン性不飽和基を有するものが挙げられ
る。
【0021】2価以上のカルボン酸及び2価以上のカル
ボン酸の酸無水物の例としてはマレイン酸、無水マレイ
ン酸、フマル酸等の不飽和二塩基酸、フタル酸、無水フ
タル酸、イソフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、コ
ハク酸、アジピン酸、シクロヘキサンジアシッド、ヘッ
ト酸等の飽和二塩基酸が挙げられ、2価以上のアルコー
ルの例としてはエチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコー
ル、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘ
キサングリコール、水添ビスフェノールA/エチレンオ
キシドまたはプロピレンオキシド付加物、シクロヘキサ
ンジメタノール、ポリカーボネートジオール等が挙げら
れる。
【0022】2価以上のカルボン酸或いはその無水物
と、2価以上のアルコールとを反応させる際の条件は特
に限定されないが、通常、2価以上のアルコール1モル
に対して2価以上のカルボン酸或いはその無水物を1〜
2モルとなる範囲、中でも不飽和ポリエステルを更にア
ルカリと反応させて乳化剤とした場合の乳化力に優れる
点から1.5〜2モルとなる範囲で反応させる。反応温
度は特に限定されないが、2価以上のカルボン酸が酸無
水物である場合は付加反応であるので反応開始時におい
て80℃以上に加熱する事が好ましい。その後は発熱反
応であるので80〜210℃に成るように温度を調節し
反応を行なう。また、2価以上のカルボン酸が酸無水物
でない場合は、脱水反応であるので120℃以上に加熱
し反応を開始させ、その後は吸熱反応であるので、12
0〜210℃になるように温度を調節し反応を行なうこ
とが好ましい。
【0023】この様にして得られる不飽和ポリエステル
は、その末端にカルボキシ基を有するものであるが、そ
の酸価が20〜300(mgKOH/g)のものが乳化
力が優れる為好ましい。また、この不飽和ポリエステル
の分子量は、通常、400〜9000の範囲、中でも重
合性不飽和単量体への溶解性が優れる点から1000〜
3000の範囲が好ましい。
【0024】次いで、不飽和ポリエステルにアルカリを
反応せしめ、アルカリ塩を形成させて乳化剤である水溶
性不飽和ポリエステルとする。ここで用いるアルカリと
しては、特に限定されず水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属若しくはアル
カリ土類金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウ
ム、炭酸カルシウム等のアルカリ金属若しくはアルカリ
土類金属の炭酸塩、若しくはトリエチルアミン等の有機
アミン及びアンモニア等が挙げられるが、次工程である
乳化重合終了後にアルカリ金属若しくはアルカリ土類金
属若しくはトリエチルアミンの除去工程が不必要である
点からアンモニアが好ましい。
【0025】アルカリの使用量は特に限定されるもので
はなく、pH7.0〜9.5程度に成るように適宜用い
ることが好ましい。
【0026】架橋重合体微粉末(B)を乳化重合によっ
て製造する場合の具体的な方法としては、上述した乳化
剤の存在下、単官能性モノマーおよび多官能性モノマー
を乳化重合し、次いで乾燥する方法が挙げられる。更に
具体的には、例えば上記不飽和ポリエステルに、重合性
不飽和単量体を加え、イオン交換水とアルカリを加え、
pHを上述した範囲になる様に調節した後、60〜10
0℃に加熱し、更に過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウ
ム、水溶性アゾ化合物の如き触媒を添加して重合を行な
い、次いで乾燥する方法が挙げられる。
【0027】重合終了時においては、得られた重合体は
粒径0.01〜2μm、好ましくは0.05〜0.9μ
mのエマルジョンである。このエマルジョンの粘度は1
〜30,000cpsであり、その固形分は通常、10
〜65重量%、好ましくは次工程の乾燥が容易である点
から20〜50重量%であることが好ましい。
【0028】また、この重合時において乳化剤と、単官
能性モノマー及び多官能性モノマーの合計との使用割合
は、特に限定されないが、架橋重合体微粉末として使用
した際の本発明の効果に著しく優れる点から、重量基準
で乳化剤/モノマー成分=1/99〜40/60である
ことが好ましい。
【0029】本発明においては上述した重合に次いで、
重合体を乾燥して粉末とするが、乾燥の方法としては例
えば粉霧乾燥、凝集沈澱法、フリーズドライ法、スラリ
ードライ法等が挙げられる。これらの中でも特に、処理
工程が少なく、二次粒子径を細かくでき、更に該二次粒
子経の粒径分布がシャープになる点から粉霧乾燥するこ
とが好ましい。
【0030】この粉霧乾燥は、具体的には60〜200
℃の温度で、例えば回転円盤型アトマイザー、圧力ノズ
ル型アトマイザー、二流体ノズル型アトマイザーの装置
により乾燥される。
【0031】この様にして得られた粉末の二次粒子径の
平均は小さいものほど低収縮性及び増粘性に優れ、特に
限定されないが5〜50μmであることが好ましい。
【0032】架橋重合体微粉末(B)の使用量として
は、特に限定されるものではないが、使用量が多くなる
ほど低収縮効果及び増粘効果が向上し、また、一方使用
量が少なくなるほど粘度が低減され作業性が良くなる傾
向にあり、これらのバランスに優れる点から前記した樹
脂シラップ(A)100部に対して、5〜45部なる範
囲内が好ましい。
【0033】本発明において、更に成形物の強度を高め
る場合、或いは人工大理石とする場合には無機充填剤
(C)を配合することが好ましい。無機充填剤(C)と
しては特に限定される物ではないが、例えば、炭酸カル
シウム、クレー、アルミナ粉、硅石粉、タルク、硫酸バ
リウム、シリカ粉、ガラス粉、ガラスビーズ、マイカ、
ケイ酸マグネシウム、クリストパライト、水酸化マグネ
シウム、石英粉、溶融シリカ粉、ケイ酸アルミニウム、
水酸化アルミニウム、硅砂、塞水石、大理石屑、砕石等
があげられ、中でも硬化時の深み、半透明性を与える水
酸化アルミニウム、ガラス粉等が好ましい。その添加量
は、樹脂シラップ(A)100重量部に対して、150
〜350重量部が好ましい。
【0034】充填剤として用いられる、前記した水酸化
アルミニウムとしては、たとえば、昭和電工(株)製の
「ハイジライト H−100、H−310もしくはH−
320」;または日本軽金属(株)製の「BW−15
3」などが特に代表的なものであり、その粒径として
は、特に制限こそ無いが、1〜100μmなる範囲内が
適切である。
【0035】本発明に使用する硬化触媒(D)はジクミ
ルパーオキサイド、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ
−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ
−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、t−ブチルパ
ーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテー
トまたはt−アミルパーオキシオクトエートなどの如
き、各種の過酸化物などであり、これらは単独使用でも
2種以上の併用でも良いことは、勿論である。
【0036】当該硬化触媒(D)の使用量としては、樹
脂シラップ(A)100重量部当たり、0.5〜3.0
部なる範囲内が適切である。本発明の樹脂組成物は、前
述した樹脂シラップ(A)、架橋重合体微粉末(B)を
必須成分とし、更に、大理石様とし、生産性向上のため
無機充填剤(C)および硬化触媒(D)を混練すること
により、容易に得ることができる。また、必要によって
は、そのほかにも、ジビニルベンゼン、エチレングリコ
ール・ジ(メタ)アクリレートまたはトリメチロールプ
ロパン・トリ(メタ)アクリレートの如き、各種の多官
能単量体類、ステアリン酸亜鉛またはステアリン酸カル
シウムの如き、各種の離型剤類、着色剤類、ガラス繊
維、アスベスト、アルミナウィスカーまたは有機繊維の
如き、各種の補強材、各種カップリング剤などを用いる
ことが出来る。さらに、分子中にカルボキシル基を有す
るビニル系樹脂を用いる場合には、増粘剤として酸化マ
グネシウム等の金属酸化物を併用することも可能であ
る。
【0037】混練は、通常用いられている混練機、例え
ば、ニーダー、ミキサー、ロールミル、スクリュー型押
し出し機等を用いて、常温または硬化温度未満の加温下
で行うことができる。
【0038】この様にして得られる本発明の樹脂組成物
は特にその用途が限定されるものでなく、極めて広範な
用途において用いることができるが、無機充填剤(C)
を併用する場合には、人工大理石として、アクリル系人
工大理石固有の美観、透明性(質感)を損なうことな
く、従来の注型法等によって得られる成形品と同等以上
の高級な外観性を有するものが得られる。
【0039】即ち、本発明の人工大理石の製造法は、詳
述した無機充填剤(C)を含む樹脂組成物を加熱加圧硬
化せしめることによって得られるものであり、例えば、
混練して得られた樹脂組成物を、(メタ)クリル酸エ
ステル類の透過しないフィルムに包んで、バルク状ある
いはシート状の形状に整えて、常温または硬化温度未満
の加温下で熟成して用いる方法が挙げられる。この場合
25℃〜40℃の範囲で、24時間以上放置した混練物
は、非粘着性の塊(BMC)となる。該非粘着性の配合
物(BMC)を、40〜180℃なる範囲内、好ましく
は、100〜130℃なる範囲内の温度に加温された金
型に入れ、10〜200kg/cm2 なる圧力下で、1
〜60分間程度、加熱加圧成形せしめたのちに製品を取
り出す。また、成形材料の組成内容や成形品形状、大き
さ等の条件の違いにより、適時条件を選択する必要はあ
る。
【0040】
【実施例】次に、本発明を実施例及び比較例により、一
層具体的に説明する。以下において、「部」および
「%」とあるのは、特に断りの無い限り、すべて「重量
部」を意味するものとする。それぞれの実施例は、本発
明の単なる一実施様態を示すのみのものであって、本発
明を、特に、これらのみに限定するものではない。
【0041】参考例1〔(メタ)クリル酸エステル系
重合体(a)の合成〕 撹拌機、温度計、還流コンデンサーを付した5リットル
セパラブルフラスコにイオン交換水2500g、NaN
2 0.213g、ポリアクリル酸(日本純薬社製
「ジュリマーAC−10H」)18.8gを入れ撹拌
し、窒素気流中で60℃まで加熱する。これに、メチル
(メタ)クリレート1250g、連鎖移動剤としてラウ
リルメルカプタン7.5g、重合開始剤としてt−ブチ
ルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)(日本油脂
社製「パーブチルO」)12.5gの混合液を投入す
る。撹拌速度を200rpmにして、温度を80℃に保
つ。3時間後、比重が1.13以上になったのを確認
後、さらに3時間加熱撹拌する。反応中、ブロッキング
等の不都合は生じなかった。冷却後、200メッシュの
濾布で濾過、水洗後乾燥(40℃、10時間その後40
℃で24時間真空乾燥)し、パール状のポリマーを得
た。GPCによる分子量測定の結果Mn=32000で
あった。
【0042】参考例2〔(メタ)クリル酸エステル系
重合体(b)の合成〕 メチルメタクリレート1250gのうち37.5gをメ
タクリル酸に置換した以外は参考例1と同様にしてパー
ル状のポリマーを得た。酸価は19.5(KOHmg/
g)であった。
【0043】 参考例3〔架橋重合体微粉末(B−1)の調製例〕 イソフタル酸の1モルと、1,6−ヘキサンジオールの
2モルとを、窒素気流中、215℃において12時間反
応させ、次いで、無水マレイン酸の2モルを加えて、1
50℃において5時間反応させた処、酸価が150(K
OHmg/g)で、かつ、水酸基価が0(KOHmg/
g)なる不飽和ポリエステルを得た。
【0044】しかるのち、この不飽和ポリエステルの2
0gを、メチルメタアクリレートの300gに溶解せし
めて、2リットルのフラスコに入れた。次いで、攪拌し
ながら、イオン交換水の1,150gと、25%アンモ
ニア水の4gとを投入した処、乳濁液となり、そのpH
は7.8であった。
【0045】しかるのち、窒素気流中、過硫酸アンモニ
アの0.4gと、イオン交換水の50gとからなる触媒
溶液を、4時間に亘って滴下し、さらに2時間の反応を
継続させて、この反応を終了した。
【0046】ここに得られたエマルジョンは、不揮発分
が25.5%なるものであった。次いで、このエマルジ
ョンを、ニロ・アトマイザー社製のスプレー・ドライヤ
ーにより噴霧乾燥せしめた処、コールター・カウンター
TA−II型」[(株)日科機製]にて測定された平
均粒径が18.2μmなる粉末が得られた。
【0047】 参考例 4〔架橋重合体微粉末(B−2)の調製例〕 スチレンの使用量を30g使用し、かつ、メチルメタア
クリレートの使用量を270gに変更した以外は、参考
例1と同様にして、目的とする架橋重合体を得た。当該
部分架橋重合体の平均粒径は21.1μmであり、そし
て、屈折率は1.55であった。
【0048】実施例1 参考例1で得られたポリメチルメタクリレート40部と
メチルメタクリレート60部とを混合溶解したシラップ
100部に対し、トリメチロールプロパントリアクリレ
ート10部、硬化剤トリゴノックス121ー50(化薬
アクゾ製品t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノ
エート50%溶液)2部、水酸化アルミニウム(昭和電
工(株)製のハイジライト H−100/H−310=
3/2)250部を配合し、プラネタリーミキサー
((株)井上製作所製品)を用いて、10分間混練した
後、更に低収縮化剤及び増粘剤として参考例3の架橋重
合体微粉末(B−1)を15部添加して5分間混練を行
った。つぎに、この混練物を24時間、25℃で放置
し、ゴム粘土状の感触を有する樹脂組成物(BMC)を
得た。
【0049】次いで、この混合物850gを、300×
300×8(mm)なるサイズの金型の中に投入し、温
度115℃、圧力100トン、加圧時間5分間の条件下
でプレス成形を行い、300×300×5(mm)の平
板成形板形状の人工大理石を得た。この成形板を用い、
表面質感の評価を行った。
【0050】また、200×200×40(mm)(縦
×横×高さ)の箱型リブ・ボス付き金型を用い、温度1
15℃、圧力100トンでプレス成形して人工大理石と
し、そのときクラックが生じるか否かでクラック性を評
価した。
【0051】さらに、耐水性として煮沸試験を90℃で
100時間行った。それぞれの評価結果を第1表に示
す。
【0052】実施例2 参考例2によって得られた熱可塑性重合体を使用する以
外は、実施例1と同様にしてゴム粘土状の樹脂組成物を
得た。実施例1と同様にして人工大理石とし評価も実施
例1と同様に行った。結果を第1表に示す。
【0053】実施例3 参考例1の重合体40部、参考例4の架橋重合体微粉末
(B−2)15部を使用すること以外、実施例1と同様
に、樹脂組成物を得、同様に人工大理石として評価を行
った。結果を第1表に示す。
【0054】実施例4 参考例2の重合体40部、参考例4の部分架橋重合体微
粉末15部を使用すること以外、実施例1と同様に、樹
脂組成物を得、同様に人工大理石として評価を行った。
結果を第1表に示す。
【0055】比較例1 参考例1の重合体40部をメチルメタクリレート60部
に溶解させ、更に分子量60000のポリメチルメタク
リレートを15部混合溶解すした。それ以外は、実施例
1と同様に配合する。しかし、この樹脂組成物は粘着性
があり、増粘もほとんどせず、プレス用コンパウンドと
しては、用いることはできなかった。
【0056】比較例2 参考例2の重合体40部に対して、メチルメタクリレー
ト60部、酸化マグネシウム1.5部を混合し、他は実
施例1と同様に混合混練した。熟成時間は約3日を用し
非粘着性の樹脂組成物を得ることができた。実施例1と
同様に人工大理石として評価した結果を第1表に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
【発明の効果】本発明の人工大理石用樹脂組成物は、低
収縮性に優れるため成形時のクラックが無く、かつ、加
熱加圧成形法において優れた増粘性、即ちMgO増粘等
に見られる着色(黄変)がない所謂外観特性、及び増粘
後の粘度の安定性、に優れるという効果を奏する他、成
形物の耐水性も向上する。
【0059】また、架橋重合体微粉末(B)を形成する
モノマー成分として(メタ)クリル酸エステル系単量
体を用いた場合には、さらに優れた透明性をも付与する
ことができる。
【0060】更に、本発明によって得られた人工大理石
は、上述した種々の特性を兼備する他、アクリル系人工
大理石固有の美観、透明性(質感)を損なうことなく、
従来の注型法等によって得られる成形品と同等以上の高
級な外観性を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08F 283/01 C08F 283/01 (56)参考文献 特開 平5−32720(JP,A) 特開 平6−298883(JP,A) 特開 平5−147993(JP,A) 特開 平5−124844(JP,A) 特開 平4−296364(JP,A) 特表 平5−502269(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 20/00 - 20/70 C08F 220/00 - 220/70 C04B 26/06 C08L 1/00 - 101/16 C08F 2/24 C08F 283/01 C08F 290/00 - 290/14 C08F 299/00 - 299/08 C08F 2/44

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (メタ)クリル酸エステル系重合体お
    よび(メタ)クリル酸エステル系単量体を必須成分と
    する樹脂シラップ(A)と、不飽和ポリエステルをアル
    カリで中和して得られる水溶性不飽和ポリエステルを乳
    化剤として(メタ)アクリル酸エステル系単量体を乳化
    重合して得られる架橋重合体微粉末(B)とを必須成分
    とすることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記架橋重合体微粉末(B)の二次粒子
    径が、5〜50μmである請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記架橋重合体微粉末(B)の配合割合
    が、樹脂シラップ(A)100重量部に対して5〜45
    重量部である請求項または記載の樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 前記樹脂シラップ(A)中の(メタ)
    クリル酸エステル系重合体の含有率が95〜25重量%
    である請求項1〜の何れか1つに記載の樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 更に、無機充填材(C)および硬化触媒
    (D)を含有する請求項1〜に記載の樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜に記載の樹脂組成物を加熱
    加圧硬化せしめることを特徴とする人工大理石の製造方
    法。
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