JP3561410B2 - (メタ)アクリル系プレミックス、(メタ)アクリル系smc又はbmc、及び(メタ)アクリル系人工大理石の製造方法 - Google Patents

(メタ)アクリル系プレミックス、(メタ)アクリル系smc又はbmc、及び(メタ)アクリル系人工大理石の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形加工性に優れ、成形外観、寸法安定性、耐熱水性等の良好な(メタ)アクリル系人工大理石の原料として有用な(メタ)アクリル系プレミックス、高温成形に適し、成形加工性に優れ、増粘性が良好な、(メタ)アクリル系人工大理石の原料として特に有用な(メタ)アクリル系SMC又はBMC、及び、生産性が高く、成形外観、寸法安定性、耐熱水性等の良好な(メタ)アクリル系人工大理石の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
(メタ)アクリル系樹脂に水酸化アルミニウム等の無機充填剤を配合した(メタ)アクリル系人工大理石は、優れた成形外観、柔らかな手触り及び耐候性等の各種の卓越した機能特性を有しており、キッチンカウンター等のカウンター類、洗面化粧台、防水パン、その他建築用途に広く使用されている。
これらは一般に、(メタ)アクリル系シラップに無機充填剤を分散させたいわゆるプレミックスを成形型内に充填し、これを比較的低温で硬化重合させる方法で製造されている。
しかし、この(メタ)アクリル系シラップは沸点が低いため、硬化温度を低くせざるを得ず、これに起因して成形時間に長時間を要するため生産性が低く、また、プレミックスの型内への充填性に問題があるために、成形品の形状が制限されるという欠点を有する。
【0003】
これらの欠点を改良するため、樹脂シラップを増粘剤で増粘させて得られるシート・モールディング・コンパウンド(以下、SMCと示す)又はバルク・モールディング・コンパウンド(以下、BMCと示す)を100℃以上の高温で加熱加圧成形することによって、アクリル系人工大理石を製造する検討が従来よりなされている。
【0004】
例えば、特開平6−313019号公報には、メチルメタクリレートを主成分とする(メタ)アクリル系シラップに水酸化アルミニウムを配合した(メタ)アクリル系BMCを115℃の高温で加熱加圧成形して人工大理石を製造する方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような方法で(メタ)アクリル系人工大理石を製造しようとすると、メチルメタクリレートの沸点(100℃)以上で成形するため、金型内でメチルメタクリレートの蒸気が発生し、成形物表面がメチルメタクリレート蒸気で侵され、侵された部分の光沢が低下し、光沢ムラが生じるという不具合が発生しやすい。
また、ここに開示されているアクリル系SMC又はBMCを用いて人工大理石を製造しようとすると、重合時の収縮によって、成形物表面にヒケが発生したり、成形品寸法が金型よりも非常に小さくなり、成形品寸法公差からはずれるという不具合が発生しやすい。このような傾向は、さらに生産速度を上げるために硬化温度を高くした場合に特に顕著となる。
さらに、特開平6−313019号公報に開示されているような(メタ)アクリル系人工大理石は、耐熱水性に劣る傾向にあり、特に高度な耐熱水性が要求されるバスタブ用の用途には、使用が困難である。また、ここに記載されている(メタ)アクリル系SMC又はBMCは、増粘させるために長時間(24時間以上)の熟成が必要であり、生産性が低いという問題点を有する。
【0006】
一方、特開平6−219800号公報には、高沸点モノマーを使用した(メタ)アクリル系バインダー樹脂5〜15重量%と、天然石粒子85〜95重量%とからなる建築材料用の平板上の人工石が開示されている。しかしながら、ここに開示されている組成物は、無機充填剤量が多いために、いわゆる大理石調の深みのある高級な質感や柔らかみのある触感等が無い。また、無機充填剤量が多いために材料の流動性が悪く、複雑な形状の成形品が得にくい。
【0007】
本発明の目的は、成形加工性に優れ、光沢ムラのない成形外観が得られる、寸法安定性、耐熱水性等の良好な(メタ)アクリル系人工大理石の原料として有用な(メタ)アクリル系プレミックス、高温成形に適し、成形加工性に優れ、増粘性が良好な、(メタ)アクリル系人工大理石の原料として特に有用な(メタ)アクリル系SMC又はBMC、及び、生産性が高く、成形外観、寸法安定性、耐熱水性等の良好な(メタ)アクリル系人工大理石の製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題について検討した結果、(メタ)アクリル系樹脂組成物として特定構造のエステル基を有する(メタ)アクリレートを含有させることによって、成形品の線収縮率が低く、寸法安定性、耐熱水性等が良好であり、光沢ムラのない成形外観が得られる、成形加工性に優れた(メタ)アクリル系人工大理石の原料として有用な(メタ)アクリル系プレミックスを見いだし、さらに、この(メタ)アクリル系プレミックスに増粘剤を含有させることによって、高温成形に適し、成形加工性に優れた、(メタ)アクリル系人工大理石の原料として特に有用な(メタ)アクリル系SMC又はBMCを見いだし、及び、生産性が高く、成形外観、寸法安定性、耐熱水性等に優れた(メタ)アクリル系人工大理石の製造方法を見いだし、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は、ビシクロ環を持つエステル基を有する(メタ)アクリレート、又はこれを含有する単量体混合物(a)及び(メタ)アクリル系重合体(b)を含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物(A)100重量部、無機充填剤(B)1〜500重量部、及び、硬化剤(C)0.01〜20重量部を含有することを特徴とする(メタ)アクリル系プレミックスに関するものであり、該(メタ)アクリル系プレミックスと、増粘剤とを含有してなることを特徴とする(メタ)アクリル系SMC又はBMCに関するものであり、該(メタ)アクリル系SMC又はBMCを100〜150℃の範囲で加熱加圧硬化することを特徴とする(メタ)アクリル系人工大理石の製造方法に関するものであり、該(メタ)アクリル系SMC又はBMCを加熱加圧硬化することによって得られる、線収縮率が0.9%以下の(メタ)アクリル系人工大理石の製造方法に関するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の(メタ)アクリル系プレミックスは、ビシクロ環を持つエステル基を有する(メタ)アクリレート、又はこれを含有する単量体混合物(a)及び(メタ)アクリル系重合体(b)を含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物(A)、無機充填剤(B)、及び、硬化剤(C)から構成される。
【0011】
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物(A)を構成する(a)成分として使用する、ビシクロ環を持つエステル基を有する(メタ)アクリレート、又はこれを含有する(メタ)アクリル系単量体混合物は、本発明の(メタ)アクリル系プレミックスに優れた成形加工性を付与し、成形品に光沢ムラのない成形外観、優れた寸法安定性、優れた耐熱水性を付与するための成分である。
【0012】
(a)成分として使用される、ビシクロ環を持つエステル基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、ノルボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ビシクロ[3.3.1]ノニル−9−(メタ)アクリレート、ビシクロ[3.2.1]オクチル−2−(メタ)アクリレート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは必要に応じて単独で使用しても良いし、2種以上を併用して使用しても良い。特に、コストの面からは、イソボルニル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0013】
ビシクロ環を持つエステル基を有する(メタ)アクリレートは、本発明で用いる(メタ)アクリル系樹脂組成物(A)中に、5〜90重量%の範囲内で含有させることが好ましい。この範囲内で含有させれば、得られる成形品の光沢ムラがなくなる傾向にあり、また、得られる成形品の線収縮率が低くなり寸法安定性が良好になる傾向にあり、かつ、成形品の耐熱水性が良好となる傾向にある。
ビシクロ環を持つエステル基を有する(メタ)アクリレートの使用量の下限値は、10重量%以上がより好ましく、15重量%以上がさらに好ましく、20重量%以上が特に好ましい。また、上限値は、85重量%以下がより好ましく、80重量%以下がさらに好ましく、75重量%以下が特に好ましい。
【0014】
また、(a)成分として使用されるその他の単量体としては、単官能単量体及び多官能単量体が挙げられる。
【0015】
単官能単量体としては、具体例として、例えば、メチルメタクリレート、炭素数2〜20のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5・2・1・02,6]デカニル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸金属塩、フマル酸、フマル酸エステル、マレイン酸、マレイン酸エステル、芳香族ビニル、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニル、無水マレイン酸等の単官能性単量体が挙げられる。
【0016】
これらは、必要に応じて単独あるいは二種以上を併用して使用することができるが、中でも(メタ)アクリル系単官能性単量体が、得られる成形品の成形外観が良好となる傾向にあり好ましい。
【0017】
特に、メチルメタクリレートを使用することは、得られる成形品に大理石特有の深みを付与することができ、成形外観が良好となる傾向にあるので好ましい。この場合、メチルメタクリレートの使用量は、特に制限されないが、(メタ)アクリル系樹脂組成物(A)中に、50重量%以下の範囲内で使用することが好ましい。この範囲内で使用すると、得られる成形品の光沢ムラがなくなる傾向にある。より好ましくは40重量%以下の範囲内であり、特に好ましくは35重量%以下の範囲内である。
【0018】
また、多官能性単量体を含有させると、得られる成形品に優れた強度、耐溶剤性、耐熱性、寸法安定性等を付与される傾向にあるので好ましい。
【0019】
多官能性単量体としては、具体例として、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、1,1−ジメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、及び、(メタ)アクリル酸と多価アルコール[ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等]との多価エステル、ジビニルベンゼン、トリアリールイソシアヌレート、アリール(メタ)アクリレート等の多官能性単量体が挙げられる。
【0020】
これらは、必要に応じて単独で使用しても良いし、あるいは二種以上を併用して使用することができる。
【0021】
特に、多官能性単量体としてネオペンチルグリコールジメタクリレート及び/又は1,3−ブチレングリコールジメタクリレートを使用することは、きわめて表面光沢の優れた成形品が得られ、かつ成形品の耐熱水性が良好となる傾向にあるので好ましい。この場合、ネオペンチルグリコールジメタクリレート及び/又は1,3−ブチレングリコールジメタクリレートと他の多官能性単量体を併用しても良い。
【0022】
これら多官能性単量体の使用量は特に限定されないが、上記の効果を有効に得るためには、本発明の(メタ)アクリル系プレミックスを構成する(A)成分中に1〜50重量%の範囲で使用することが好ましい。より好ましくは3〜40重量%の範囲であり、特に好ましくは5〜30重量%の範囲である。
【0023】
本発明の(メタ)アクリル系樹脂組成物(A)の(b)成分として使用する(メタ)アクリル系重合体は、(メタ)アクリル系単量体を主成分として重合してなる重合体である。
【0024】
この(メタ)アクリル系重合体(b)を得るために使用される重合用単量体としては、例えば、先の(a)成分で例示した各種単量体をそのまま適用することができる。それら各種単量体は、必要に応じて、単独で使用して単独重合体を得ても良いし、二種以上を併用して共重合体を得ても良いし、さらに必要に応じて多官能性単量体を共重合させて架橋重合体を得ても良い。
【0025】
(b)成分は、架橋重合体でも非架橋重合体でも良く、必要に応じて適宜選択することができるが、得られる(メタ)アクリル系プレミックスの流動性や成形品の機械的強度を考慮に入れると、その重量平均分子量は、15,000〜300,000の範囲、より好ましくは、25,000〜250,000の範囲である。(b)成分の重量平均分子量の下限値は25,000以上がより好ましく、上限値は250,000以下がより好ましい。
【0026】
(b)成分は、溶液重合法、塊状重合法、乳化重合法、懸濁重合法等の公知の重合法により製造することができる。
【0027】
本発明の(メタ)アクリル系プレミックスを得るには、(メタ)アクリル系樹脂組成物(A)は、(a)成分と(b)成分の使用量を適宜選択して用いればよく、特に限定されるものではない。
【0028】
本発明の(メタ)アクリル系プレミックスの作業性、及びこの(メタ)アクリル系プレミックスを(メタ)アクリル系人工大理石の原料として使用した場合の機械的強度等の物性を考慮に入れると、(a)成分の使用量は、(メタ)アクリル系樹脂組成物(A)中に、10〜90重量%の範囲内が好ましい。
(a)成分の使用量の下限値は、15重量%以上がより好ましく、20重量%以上が特に好ましい。また、(a)成分の使用量の上限値は、85重量%以下がより好ましく、80重量%以下が特に好ましい。
【0029】
また、本発明の(メタ)アクリル系プレミックスの作業性、及び、この(メタ)アクリル系プレミックスを(メタ)アクリル系人工大理石の原料として使用した場合の機械的強度等の物性を考慮に入れると、(b)成分の使用量は、(メタ)アクリル系樹脂組成物(A)中に、10〜90重量%の範囲内が好ましい。
(b)成分の使用量の下限値は15重量%以上がより好ましく、20重量%以上が特に好ましい。また、(b)成分の使用量の上限値は85重量%以下がより好ましく、80重量%以下が特に好ましい。
【0030】
なお、本発明において、(メタ)アクリル系樹脂組成物(A)は、(a)成分中に(b)成分を溶解したものでも良いし、(a)成分を部分重合することによって(a)成分中にその重合体である(b)成分を生成したものでも良いし、あるいは、この部分重合したものにさらに(a)成分を添加したもの、又は部分重合したものにさらに(b)成分を添加したものでも良い。
【0031】
本発明の(メタ)アクリル系プレミックスを構成する(B)成分である無機充填剤は、得られる成形品の耐熱性、線収縮率を低くし、大理石調の深みのある質感を付与するために用いる。
【0032】
本発明において、無機充填剤(B)は、特に限定されないが、具体例として、例えば、水酸化アルミニウム、シリカ、溶融シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、リン酸カルシウム、タルク、マイカ、クレー、ガラスパウダー等が挙げられる。
【0033】
特に、本発明の(メタ)アクリル系プレミックスを人工大理石用成形材料として使用する場合には、これらのうち、特に、水酸化アルミニウム、シリカ、溶融シリカ、炭酸カルシウム、ガラスパウダーが好ましい。
【0034】
本発明において、(B)成分の使用量は、(メタ)アクリル系樹脂組成物(A)100重量部に対して、1〜500重量部の範囲内である。
この使用量を1重量部以上とすることによって、得られる成形品の耐熱水性が良好となるとともに線収縮率が低くなる傾向にある。またこの使用量を500重量部以下とすることによって、成形品に大理石調の深みのある良好な質感が付与される傾向にある。
(B)成分の使用量の下限値は50重量部以上がより好ましく、100重量部以上が特に好ましい。また、(B)成分の使用量の上限値は350重量部以下がより好ましく、250重量部以下が特に好ましい。
【0035】
本発明の(メタ)アクリル系プレミックスを構成する(C)成分である硬化剤は、特に限定されるものではなく、例えば、有機過酸化物、アゾ化合物等のラジカル重合開始剤を使用できる。
【0036】
具体例としては、例えば、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(化薬アクゾ(株)製、商品名パーカドックス16、10時間半減期温度=44℃)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂(株)製、商品名パーブチルO、10時間半減期温度=72℃)、ベンゾイルパーオキサイド(化薬アクゾ(株)製、商品名カドックスB−CH50、10時間半減期温度=72℃)、t−ブチルパーオキシイソブチレート(日本油脂(株)製、商品名パーブチルIB、10時間半減期温度=77℃)、ジ−t−ブチルパーオキシ−2−メチルシクロヘキサン(日本油脂(株)製、商品名パーヘキサMC、10時間半減期温度=83℃)、1,1−ビス(t−アミルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(化薬アクゾ(株)製、商品名KD−2、10時間半減期温度=86℃)、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート(化薬アクゾ(株)製、商品名KD−78、10時間半減期温度=86℃)、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(日本油脂(株)製、商品名パーヘキサTMH、10時間半減期温度=87℃)、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン(日本油脂(株)製、商品名パーヘキサHC、10時間半減期温度=87℃)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(日本油脂(株)製、商品名パーヘキサ3M、10時間半減期温度=90℃)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(日本油脂(株)製、商品名パーヘキサC、10時間半減期温度=91℃)、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン(日本油脂(株)製、商品名パーテトラA、10時間半減期温度=95℃)、t−アミルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート(化薬アクゾ(株)製、商品名カヤエステルAN、10時間半減期温度=95℃)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン(日本油脂(株)製、商品名パーヘキサCD、10時間半減期温度=95℃)、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルカーボネート(日本油脂(株)製、商品名パーヘキシルI、10時間半減期温度=95℃)、ジエチレングリコール−ビス(t−ブチルパーオキシカーボネート)(化薬アクゾ(株)製、商品名カヤレンO−50、10時間半減期温度=97℃)、1,6−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニルオキシ)ヘキサン(化薬アクゾ(株)製、商品名カヤレン6−70、10時間半減期温度=97℃)、t−ブチルパーオキシラウレート(日本油脂(株)製、商品名パーブチルL、10時間半減期温度=98℃)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート(日本油脂(株)製、商品名パーブチルE、10時間半減期温度=99℃)、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(日本油脂(株)製、商品名パーブチルI、10時間半減期温度=99℃)、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート(日本油脂(株)製、商品名パーヘキシルZ、10時間半減期温度=99℃)、t−アミルパーオキシベンゾエート(化薬アクゾ(株)製、商品名KD−1、10時間半減期温度=100℃)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン(日本油脂(株)製、商品名パーヘキサ25Z、10時間半減期温度=100℃)、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート(化薬アクゾ(株)製、商品名トリゴノックス42、10時間半減期温度=100℃)、t−ブチルパーオキシアセテート(日本油脂(株)製、商品名パーブチルA−50、10時間半減期温度=102℃)、t−ブチルパーオキシベンゾエート(日本油脂(株)製、商品名パーブチルZ、10時間半減期温度=104℃)、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン(日本油脂(株)製、商品名パーヘキサ22、10時間半減期温度=103℃)、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート(日本油脂(株)製、商品名パーヘキサV、10時間半減期温度=105℃)、ジクミルパーオキサイド(日本油脂(株)製、商品名パークミルD、10時間半減期温度=116℃)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(日本油脂(株)製、商品名パーヘキサ25B、10時間半減期温度=118℃)、t−ブチルクミルパーオキサイド(日本油脂(株)製、商品名パーブチルC、10時間半減期温度=120℃)、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(化薬アクゾ(株)製、商品名パーカドックス14、10時間半減期温度=121℃)、ジブチルパーオキサイド(日本油脂(株)製、商品名パーブチルD、10時間半減期温度=124℃)、ラウロイルパーオキサイド(日本油脂(株)製、パーロイルL、61.6℃)、t−ブチルヒドロパーオキサイド(日本油脂(株)製、パーブチルH、166.5℃)等の有機過酸化物;
2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業(株)製、商品名V−65、10時間半減期温度=51℃)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業(株)製、商品名V−60、10時間半減期温度=65℃)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カーボニトリル)(和光純薬工業(株)製、商品名V−40、10時間半減期温度=88℃)等のアゾ化合物が挙げられる。
これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても用いても良い。
【0037】
特に、これらのうち、10時間半減期温度が75℃以上である硬化剤を使用すると、(メタ)アクリル系プレミックスの保存安定性が良好となり、得られる成形品の透明性も高くなる傾向にあるため好ましい。
また、硬化時間を短縮できるという点では、(C)成分は10時間半減期温度が125℃以下である硬化剤を使用することが好ましい。
(C)成分の10時間半減期温度の下限値は80℃以上がより好ましく、85重量%以上が特に好ましい。また、(C)成分の10時間半減期温度の上限値は120℃以下がより好ましく、115℃以下が特に好ましい。
【0038】
(C)成分の使用量は、(メタ)アクリル系樹脂組成物(A)100重量部に対して、0.01〜20重量部の範囲内である。この使用量を0.01重量部以上とすることによって、(メタ)アクリル系プレミックスの硬化性が十分となる傾向にあり、20重量部以下とすることによって、(メタ)アクリル系プレミックスの保存安定性が良好となる傾向にある。(C)成分の使用量の下限値は0.1重量部以上がより好ましく、また、上限値は10重量部がより好ましい。
【0039】
また、本発明の(メタ)アクリル系プレミックスは、(A)〜(C)成分の他に、さらに無機充填剤含有樹脂粒子(D)を配合することができる。
この(D)成分を本発明の(メタ)アクリル系プレミックスに配合して成形を行うことにより、石目模様を有する御影石調人工大理石を得ることができる。
【0040】
無機充填剤含有樹脂粒子(D)の使用量は特に限定はされないが、本発明の(メタ)アクリル系プレミックス100重量部に対して0.1〜200重量部の範囲であることが好ましい。これは、無機充填剤含有樹脂粒子(D)の使用量を0.1重量部以上とすることによって、意匠性の良い石目模様が得られる傾向にあり、200重量部以下とすることによって、アクリル系プレミックスの製造時における混練性が良好となる傾向にあるためである。
無機充填剤含有樹脂粒子(D)の使用量の下限値は、1重量%以上がより好ましく、上限値は100重量%以下がより好ましい。
【0041】
無機充填剤含有樹脂粒子(D)を構成する樹脂は、メチルメタクリレートに溶解しない樹脂ならば特に限定されるものではなく、例えば、架橋(メタ)アクリル樹脂、架橋ポリエステル樹脂、架橋スチレン樹脂などを挙げることができる。本発明の構成成分である(メタ)アクリル系樹脂組成物(A)との親和性が高く、光沢ムラのない美しい外観をした成形品が得られることから、架橋(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
この架橋(メタ)アクリル樹脂は、非架橋(メタ)アクリル系重合体を含有するものでも良い。
【0042】
無機充填剤含有樹脂粒子(D)を構成する無機充填剤の使用量は、無機充填剤含有樹脂粒子を構成する樹脂100重量部に対して1〜500重量部の範囲であることが好ましい。無機充填剤の使用量を1重量部以上とすると、得られる成形品の耐熱性等が良好となり、また、無機充填剤の使用量を500重量部以下とすると成形品に大理石調の深みのある良好な質感を付与することが可能となる傾向にある。
【0043】
この無機充填剤としては、具体例として、例えば、水酸化アルミニウム、シリカ、溶融シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、リン酸カルシウム、タルク、クレー、ガラスパウダー等の無機充填剤が挙げられ、必要に応じて適宜使用することができる。
特に、御影石調人工大理石用を製造する場合には、無機充填剤として、水酸化アルミニウム、シリカ、溶融シリカ、炭酸カルシウム、ガラスパウダーを用いると、その効果がでるので好ましい。
【0044】
無機充填剤含有樹脂粒子(D)の製造方法は特に限定されないが、例えば、熱プレス法、注型法などによって重合硬化して得られる無機充填剤入りの樹脂成型物を粉砕し、ふるいにより分級する方法が挙げられる。例えば、(メタ)アクリル系人工大理石を粉砕し、分級することにより得られる無機充填剤含有樹脂粒子の使用が好ましい。
本発明において無機充填剤含有樹脂粒子(D)は、一種、あるいは色や粒子径の異なる2種以上を混合して使用することができる。
また、無機充填剤含有樹脂粒子(D)の粒子径は、成形品の肉厚以下であれば特に限定されない。
【0045】
本発明のアクリル系プレミックスは、さらに増粘剤(E)を必要に応じて適宜含有させることによって、アクリル系SMC又はBMCとして使用することができる。
(メタ)アクリル系SMC又はBMCとする場合に使用する増粘剤(E)は、特に限定されるものではなく、必要に応じて適宜選択することができ、例えば、先に述べた無機充填剤含有樹脂粒子(D)を増粘剤として使用することもでき、酸化マグネシウム粉末や重合体粉末等を使用することもできる。
【0046】
本発明において、増粘剤(E)の使用量は特に限定されないが、本発明の(メタ)アクリル系プレミックスの構成成分である(メタ)アクリル系樹脂組成物(A)100重量部に対して、0.1〜100重量部の範囲内であることが好ましい。
この増粘剤(E)の使用量が0.1重量部以上であると、高い増粘効果が発現される傾向にあり、また、この使用量が100重量部以下であると、アクリル系プレミックス中での増粘剤(E)の分散性が良好になり、かつ、コスト的に有利になる傾向にあるためである。この増粘剤(E)の使用量の下限値は1重量部以上がより好ましく、また、上限値は80重量部以下がより好ましい。
【0047】
特に、得られる成形品の耐水性を向上させるには、増粘剤(E)として、重合体粉末を用いることが好ましい。
ここでいう重合体粉末は、非架橋重合体粉末でも架橋重合体粉末であっても良いが、非架橋重合体粉末であることが好ましい。これは、重合体粉末が非架橋重合体粉末であることによって、十分な増粘効果が短時間で得られ、この重合体粉末を含む(メタ)アクリル系SMC又はBMCを御影石調人工大理石の製造に使用する際には、石目模様の鮮明性が良くなり、また、石目の模様ムラがなくなる傾向にあるためである。
このような傾向は、非架橋重合体粉末が(メタ)アクリル系プレミックス中で膨潤した後、すみやかにその一部または全部が、室温においても溶解することに起因すると考えられる。
【0048】
なお、本発明において、非架橋重合体粉末とは、少なくとも表層部が非架橋重合体から構成されている重合体粉末のことである。
【0049】
重合体粉末を構成する重合体としては、種々のものを必要に応じて適宜選択して使用でき、特に限定されるものではないが、本発明の(メタ)アクリル系人工大理石を得る場合には、成形品の外観等の点から、(メタ)アクリル系重合体であることが好ましい。
【0050】
重合体粉末の構成成分としては、具体例として、例えば、炭素数1〜20のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5・2・1・02,6]デカニル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸金属塩、フマル酸、フマル酸エステル、マレイン酸、マレイン酸エステル、芳香族ビニル、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニル、無水マレイン酸等の単官能性単量体;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、1,1−ジメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、及び、(メタ)アクリル酸と多価アルコール[ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等]の多価アルコールとの多価エステル、ジビニルベンゼン、トリアリールイソシアヌレート、アリール(メタ)アクリレート等の多官能性単量体;などが挙げられる。
【0051】
これらは、必要に応じて単独で重合しても良いし、二種以上を併用して共重合しても良いが、本発明の(メタ)アクリル系プレミックスを構成する単量体成分との親和性を考慮に入れると、(メタ)アクリル系単量体が好ましい。
【0052】
また、特に、増粘剤(E)として、嵩密度が0.1〜0.7g/mlの範囲であり、アマニ油に対する吸油量が60〜200ml/100gの範囲であり、メチルメタクリレートに対する膨潤度が16倍以上である非架橋重合体粉末を使用する場合には、本発明の(メタ)アクリル系プレミックスを用いて、ハンドリング性や生産性に優れた(メタ)アクリル系SMC又はBMCが得られ、また、成形外観の良好な成形品が得られる傾向にある。
【0053】
これは、重合体粉末の嵩密度を0.1g/ml以上とすることによって、重合体粉末が飛散しにくくなり、その製造時における歩留まりが良好となり、重合体粉末を(メタ)アクリル系プレミックスに添加、混合する際の粉立ちが減少し、(メタ)アクリル系SMC又はBMCの製造作業性が良好となる傾向にあるためであり、また、嵩密度を0.7g/ml以下とすることによって、少量の重合体粉末の使用で、(メタ)アクリル系プレミックスに対して十分な増粘効果を得ることが可能となる傾向にあり、さらにその増粘時間が短時間で済むため、(メタ)アクリル系SMC又はBMCの生産性が向上し、コスト的にも有利になる傾向にあるためである。
この嵩密度の下限値は0.15g/ml以上がより好ましく、0.2g/ml以上が特に好ましい。また、この嵩密度の上限値は0.65g/ml以下がより好ましく、0.6g/ml以下が特に好ましい。
【0054】
また、重合体粉末のアマニ油に対する吸油量は、60ml/100g以上とすることによって、少量の重合体粉末の使用で(メタ)アクリル系プレミックスに対して十分な増粘効果を得ることが可能となる傾向にあり、さらに増粘が短時間で済むため、(メタ)アクリル系SMC又はBMCの生産性が向上し、コスト的にも有利になる傾向にあるためであり、200ml/100g以下とすることによって、重合体粉末の(メタ)アクリル系プレミックスに対する分散性が良好となる傾向にあるために、(メタ)アクリル系SMC又はBMCを製造する際の混練性が良好になる傾向にあるため好ましい。この吸油量の下限値は70ml/100g以上がより好ましく、80ml/100g以上が特に好ましい。また、この吸油量の上限値は180mg/100g以下がより好ましく、140mg/100g以下が特に好ましい。
【0055】
さらに、重合体粉末のメチルメタクリレートに対する膨潤度を16倍以上とすることによって、(メタ)アクリル系プレミックスを増粘させる効果が十分なものとなる傾向にある。この膨潤度は、より好ましくは20倍以上である。
【0056】
本発明で増粘剤(E)として使用される重合体粉末の重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、本発明の(メタ)アクリル系SMC又はBMCを、十分な増粘効果が短時間で得られ、かつ石目模様の鮮明性が良い、石目の模様ムラがない御影石調人工大理石の製造に使用する際には、重合体粉末の重量平均分子量は10万〜200万の範囲であることが好ましい。
この重量平均分子量の下限値は30万以上がより好ましく、40万以上が特に好ましい。また、重量平均分子量の上限値は150万以下がより好ましく、100万以下が特に好ましい。
【0057】
また、本発明で増粘剤(E)として使用される重合体粉末の比表面積は、特に限定されるものではないが、1〜100m/gの範囲であることが好ましい。これは、重合体粉末の比表面積を1m/g以上とすることによって、少量の重合体粉末の使用で十分な増粘効果が得られ、増粘が短時間で可能となるために、生産性が向上し、さらに、この重合体粉末を含む(メタ)アクリル系SMC又はBMCを御影石調人工大理石の製造に使用する際には、石目模様の鮮明性が良くなり、石目の模様ムラがなくなる傾向にあり、また、100m/g以下とすることによって、重合体粉末の(メタ)アクリル系プレミックスに対する分散性が良好となるために、(メタ)アクリル系SMC又はBMCを製造する際の混練性が良好となる傾向にあるためである。この比表面積の下限値は3m以上がより好ましく、5m以上が特に好ましい。
【0058】
また、重合体粉末の平均粒子径は、特に限定されるものではないが、1〜250μmの範囲であることが好ましい。これは、平均粒子径を1μm以上とすることによって、重合体粉末の粉立ちが減少し、重合体粒子の取扱い性が良好となる傾向にあり、250μm以下とすることによって、得られる成形品の外観、特に光沢と表面平滑性が良好となる傾向にあるためである。
この平均粒子径の下限値は5μm以上がより好ましく、10μm以上が特に好ましい。また、平均粒子径の上限値は150μm以下がより好ましく、70μm以下が特に好ましい。
【0059】
本発明で増粘剤(E)として使用される重合体粉末は、一次粒子同士が凝集した二次凝集体であることが好ましい。これは、重合体粉末が二次凝集体の形状を有する場合には、本発明の(a)成分の吸収速度が速く、増粘性が極めて良好となる傾向にあるためである。
【0060】
また、この場合においては、重合体粉末の一次粒子の平均粒子径は0.03〜1μmの範囲であることが好ましい。これは、一次粒子の平均粒子径を0.03μm以上とすることによって、二次凝集体である重合体粉末製造時の歩留まりが良好となる傾向にあり、1μm以下とすることによって、少量の重合体粉末の使用で十分な増粘効果が得られ、増粘が短時間で可能となるために、成形品の生産性が向上し、さらに、増粘剤(E)としてこの重合体粉末を含む(メタ)アクリル系SMC又はBMCを御影石調人工大理石の製造に使用する際には、石目模様の鮮明性が良くなり、石目の模様ムラがなくなる傾向にあるためである。
さらにこの重合体粉末は、0.07〜0.7μmの範囲がより好ましい。この一次粒子の平均粒子径の下限値は0.07μm以上がより好ましく、また、上限値は0.7μm以下がより好ましい。
【0061】
さらに本発明で増粘剤(E)として用いることができる重合体粉末は、それらを形成する重合体の化学的組成、構造、分子量等が互いに異なったコア相とシェル相から構成された、いわゆるコア/シェル構造を有する重合体粉末であってもよい。この場合、コア相は非架橋重合体であっても架橋性重合体であっても良いが、シェル相は非架橋重合体であることが好ましい。
【0062】
重合体粉末のコア相及びシェル相の構成成分としては、例えば、先に重合体粉末の構成成分の例として列挙した各種成分等が挙げられる。これらは、必要に応じて単独で重合しても良いし、二種以上を併用して共重合しても良いが、本発明の(メタ)アクリル系プレミックスを構成する単量体成分との親和性が高まる点から、シェル相はメチルメタクリレートを主成分として用いることが好ましい。
【0063】
また、本発明で増粘剤(E)として用いることができる重合体粉末は、無機充填剤を含有していても良いが、増粘効果をより高いものにするためには、無機充填剤を含有しない方が好ましい。
【0064】
この重合体粉末の製造方法は特に限定されるものではなく、例えば、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、分散重合等の公知の方法でよい。
このうち、乳化重合で得られたエマルションに噴霧乾燥、フリーズドライ、塩/酸沈殿等の処理を行って重合体粉末を得る方法が、製造効率が良好であり好ましい。
【0065】
本発明の(メタ)アクリル系プレミックスには、その他に、必要に応じて、ガラス繊維、炭素繊維等の強化繊維、着色剤、低収縮剤、重合禁止剤、内部離型剤等の各種添加剤を適宜選択して添加することができる。
【0066】
本発明の(メタ)アクリル系プレミックスを得るための構成成分の混合方法は、高粘度の物質を効率よく混合できる方法であれば特に限定されない。例えば、ニーダー、ミキサー、ロール、押出機等を使用することができる。
【0067】
また、本発明の(メタ)アクリル系プレミックスを増粘させて(メタ)アクリル系SMC又はBMCを得る際にも、上記公知の各種混合装置を使用することができる。特に、増粘剤として前記特定の嵩密度と吸油量と膨潤度を有する非架橋重合体を用いた場合は、本発明のアクリル系SMC又はBMCは短時間でべたつきのないレベルまで増粘し熟成が不要であるため、各種構成成分を均一混合すると同時に増粘させて押し出し、所定の形状に賦型することによって、(メタ)アクリル系SMC又はBMCを連続的に製造することもできる。
【0068】
本発明の(メタ)アクリル系プレミックスは、そのまま注型法により加熱硬化又はレドックス硬化させることもでき、また、上記の増粘剤(E)を添加して(メタ)アクリル系SMC又はBMCとした後に加熱加圧硬化させることもできるが、生産性の面からは、(メタ)アクリル系SMC又はBMCとした後に加熱加圧硬化させる方法が好ましい。
本発明の人工大理石の製造方法は、(メタ)アクリル系プレミックスを(メタ)アクリル系SMC又はBMCとした後に加熱加圧硬化させればよく、成形方法としては、圧縮成形法、射出成形法、トランスファー成形法、押出成形法等公知の方法で行うことができる。
【0069】
この場合、加熱温度は特に限定されないが、100〜150℃の範囲が好ましい。これは、加熱温度を100℃以上にすると、水蒸気による加熱が可能となるため、加熱コストが安くなり、かつ硬化時間を短縮することができ、生産性が高くなる傾向にあるからである。一方、加熱温度を150℃以下にすると、得られる成形品の線収縮率が低くなり、寸法安定性が良好となる傾向にあるためである。 加熱温度の下限値は105℃以上がより好ましく、110℃以上が特に好ましい。また、加熱温度の上限値は145℃以下がより好ましく、140℃以下が特に好ましい。
また、上記の加熱温度範囲内で、上金型と下金型に温度差を設けて加熱しても良い。
【0070】
上記製造時の加圧圧力は1〜20MPaの範囲が好ましい。これは、加圧圧力を1MPa以上とすることによって、(メタ)アクリル系SMC又はBMCの金型内への充填性が良好となる傾向にあり、20MPa以下とすることによって、白化のない良好な成形外観が得られる傾向にあるためである。
加圧圧力の下限値は2MPa以上がより好ましく、また、上限値は15MPa以下がより好ましい。
【0071】
なお、本発明の人工大理石の製造方法において、成形時間は成形品の厚みによって適宜選択すればよい。
本発明の(メタ)アクリル系BMC又はSMCを加熱加圧硬化させることによって得られる人工大理石は、成形外観や寸法安定性に優れており、線収縮率が0.9%以下のものを得ることができる。
【0072】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明する。例中の部および%は、線収縮率(%)以外は全て重量基準である。
【0073】
・重合体粉末の物性
平均粒子径:レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LA−910、堀場製作所製)を用いて測定した。
嵩密度:JIS R 6126−1970に基づいて測定した。
吸油量:JIS K 5101−1991に基づいて測定し、パテ状塊がアマニ油の最後の一滴で急激に柔らかくなる直前を終点とした。
比表面積:表面積計SA−6201(堀場製作所製)を用いて、窒素吸着法で測定した。
重量平均分子量:GPC法による測定値(ポリスチレン換算)
膨潤度:100mlのメスシリンダーに重合体粉末を投入し、数回軽くたたいて5ml詰めた後、10℃以下に冷却したメチルメタクリレートを全量が100mlとなるように投入し、全体が均一になるように素早く撹拌する。その後、メスシリンダーを25℃の恒温槽で1時間保持し、膨潤後の重合体粉末層の体積を求めて、膨潤前の体積(5ml)との比によって示した。
・成形品の線収縮率の測定
成形品の実寸法(Lmm)を測定し、金型寸法(Lmm)に対してどれくらい収縮したかを次式により求めた。
線収縮率(%)={(L−L)/L}×100(%)
・成形品の耐熱水性
成形した板を98℃の熱水中に120時間浸漬し、浸漬前の板と色変化(白色度、黄変度、色差)を比較した。
【0074】
(1)重合体粉末(P−1)の製造例
冷却管、温度計、撹拌機、滴下装置、窒素導入管を備えた反応装置に、純水925部、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸ナトリウム(花王(株)製、商品名ペレックスSS−H)5部、過硫酸カリウム1部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら70℃に加熱した。これに、メチルメタクリレート500部及びジアルキルスルホコハク酸ナトリウム(花王(株)製、商品名ペレックスOT−P)5部からなる混合物を3時間かけて滴下した後、1時間保持し、さらに80℃に昇温して1時間保持して乳化重合を終了し、ポリマーの一次粒子径が0.08μmのエマルションを得た。
得られたエマルションを大川原化工機社製L−8型噴霧乾燥装置を用いて入口温度/出口温度=150℃/90℃で噴霧乾燥処理し、二次凝集体粒子の平均粒子径が30μmの非架橋重合体粉末(P−1)を得た。得られた(P−1)の嵩密度は0.40g/mlであり、アマニ油に対する吸油量は、100ml/100gであり、メチルメタクリレートに対する膨潤度は20倍以上であり、比表面積は51m/gであり、重量平均分子量は60万であった。
【0075】
(2)重合体粉末(P−2)の製造例
冷却管、温度計、撹拌機、滴下装置、窒素導入管を備えた反応装置に、純水925部、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸ナトリウム(花王(株)製、商品名ペレックスSS−H)5部、過硫酸カリウム1部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら70℃に加熱した。これに、メチルメタクリレート149.85部、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート0.15部及びジアルキルスルホコハク酸ナトリウム(花王(株)製、商品名ペレックスOT−P)5部からなる混合物を1.5時間かけて滴下した後、1時間保持し、続いてメチルメタクリレート350部を3.5時間かけて滴下した後、1時間保持し、さらに80℃に昇温後、1時間保持して乳化重合を終了し、ポリマーの一次粒子径が0.10μmのエマルションを得た。
得られたエマルションを重合体粉末(P−1)と同様の方法で噴霧乾燥処理し、二次凝集体粒子の平均粒子径が20μmで、コア相が架橋重合体、シェル相が非架橋重合体であるコア/シェル構造を有する重合体粉末(P−2)を得た。得られた(P−2)の嵩密度は0.38g/mlであり、アマニ油に対する吸油量は、100ml/100gであり、メチルメタクリレートに対する膨潤度は20倍以上であり、比表面積は51m/gであり、シェル相の重量平均分子量は60万であった。
【0076】
(3)重合体粉末(P−3)の製造例
過硫酸カリウムの仕込量が0.25部、滴下する単量体がメチルメタクリレート497.5部、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート2.5部及びジアルキルスルホコハク酸ナトリウム5部からなる混合物である以外は、重合体粉末(P−1)の製造例と同様な方法で乳化重合を行い、ポリマーの一次粒子径が0.18μmのエマルションを得た。得られたエマルションを製造例(1)と同様の方法で噴霧乾燥を行い、二次凝集体粒子の平均粒子径が18μmの架橋重合体粉末(P−3)を得た。得られた(P−3)の嵩密度は0.38g/mlであり、アマニ油に対する吸油量は、95ml/100gであり、メチルメタクリレートに対する膨潤度は20倍以上であり、比表面積は24m/gであった。
【0077】
(4)(メタ)アクリル系樹脂組成物中のポリメチルメタクリレート(B−1)の製造例
冷却管、温度計、撹拌機、窒素導入管を備えた反応装置に、純水800部、ポリビニルアルコール(けん化度88%、重合度1000)1部を溶解させた後、メチルメタクリレート400部、ノルマルドデシルメルカプタン2部、アゾビスイソブチロニトリル2部を溶解させた単量体溶液を投入し、窒素雰囲気下、400rpmで撹拌しながら1時間で80℃に昇温し、そのまま2時間加熱した。その後、90℃に昇温し2時間加熱後、さらに120℃に加熱して残存モノマーを水と共に留去してスラリーを得て、懸濁重合を終了した。得られたスラリーを濾過、洗浄した後、50℃の熱風乾燥機で乾燥し、一次粒子の平均粒子径が93μmのポリメチルメタクリレート(B−1)を得た。得られた(B−1)の嵩密度は0.70g/mlであり、アマニ油に対する吸油量は、45ml/100gであり、メチルメタクリレートに対する膨潤度は1.2であり、比表面積は0.07m/gであり、重量平均分子量は4万であった。
【0078】
(5)無機充填剤含有樹脂粒子の製造例
メチルメタクリレート69部、エチレングリコールジメタクリレート2部からなる(メタ)アクリル系単量体に、上記製造例(4)で得たポリメチルメタクリレート(B−1)29部を溶解させた(メタ)アクリル系樹脂組成物100部に、硬化剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエート(日本油脂(株)製、商品名パーブチルZ、10時間半減期温度=104℃)2.0部、内部離型剤としてステアリン酸亜鉛0.5部、着色剤として白色無機顔料又は黒色無機顔料0.25部を添加した後に、無機充填剤として水酸化アルミニウム(昭和電工(株)製、商品名ハイジライトH−310)200部を添加し、さらに増粘剤として上記製造例(1)で得た重合体粉末(P−1)30部を添加し、ニーダーで10分間混練して(メタ)アクリル系BMCを得た。
次にこの(メタ)アクリル系BMCを200mm角の平型成形用金型に充填し、金型温度130℃、圧力9.8MPaの条件で10分間加熱加圧硬化させ、厚さ10mmの白色又は黒色の(メタ)アクリル系人工大理石を得た。得られた(メタ)アクリル系人工大理石をクラッシャーで粉砕し、平均粒子径が350μmの白色又は黒色の無機充填剤含有樹脂粒子を得た。
【0079】
[実施例1]
イソボルニルメタクリレート(三菱レイヨン(株)製、商品名アクリエステルIBX)25部、メチルメタクリレート(三菱レイヨン(株)製、商品名アクリエステルM)23部、ネオペンチルグリコールジメタクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名NKエステルNPG)25部、及びエチレングリコールジメタクリレート(三菱レイヨン(株)製、アクリエステルED)2部からなる単量体混合物(a)に、(b)成分として製造例(1)で得たポリメチルメタクリレート(B−1)25部を溶解させた(メタ)アクリル系樹脂組成物100部に、硬化剤として1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(日本油脂(株)製、商品名パーヘキサ3M、10時間半減期温度=90℃)2.0部、内部離型剤としてステアリン酸亜鉛0.5部を添加した後に、無機充填剤として水酸化アルミニウム(昭和電工(株)製、商品名ハイジライトH−310)195部を添加し、さらに増粘剤として上記製造例(1)で得た重合体粉末(P−1)25部を添加し、ニーダーで10分間混練して(メタ)アクリル系BMCを得た。
得られた(メタ)アクリル系BMCは、混練直後でもべたつきがなく取り扱い性が極めて良好であり、深み感(透明感)もよく発現した。
次に、この得られた(メタ)アクリル系BMCを成形用金型に充填し、上金型温度140℃、下金型温度125℃、圧力9.8MPaの条件で10分間加熱加圧硬化させ、厚さ10mm、200mm角の(メタ)アクリル系人工大理石成形品を得た。
得られた成形品の表面には光沢ムラが全くなく、光沢が極めて高く、成形外観が極めて良好であった。成形品の熱水浸漬後の色変化は極めて小さく、耐熱水性が極めて良好であった。また、成形品の線収縮率は0.78%と低かった。
【0080】
[実施例2]
イソボルニルメタクリレートが19部、メチルメタクリレートが29部である以外は、実施例1と同様な方法で、(メタ)アクリル系BMCを得た。得られたBMC評価結果は表2に示す。
次に、実施例1と同様な方法で(メタ)アクリル系人工大理石を得た。得られた成形品の評価結果は表2に示す。
【0081】
[実施例3]
イソボルニルメタクリレートが15部、メチルメタクリレートが33部である以外は、実施例1と同様な方法で、(メタ)アクリル系BMCを得た。得られたBMCの評価結果は表2に示す。
次に、実施例1と同様な方法で(メタ)アクリル系人工大理石を得た。得られた成形品の評価結果は表2に示す。
【0082】
[実施例4]
イソボルニルメタクリレートが9部、メチルメタクリレートが39部である以外は、実施例1と同様な方法で、(メタ)アクリル系BMCを得た。得られたBMCの評価結果は表2に示す。
次に、実施例1と同様な方法で(メタ)アクリル系人工大理石を得た。得られた成形品の評価結果は表2に示す。
【0083】
[実施例5]
重合体粉末として(P−2)を用いる以外は実施例1と同様な方法で、(メタ)アクリル系BMCを得た。得られたBMCの評価結果は表2に示す。
次に、実施例1と同様な方法で(メタ)アクリル系人工大理石を得た。得られた成形品の評価結果は表2に示す。
【0084】
[実施例6]
重合体粉末として(P−3)を用いる以外は実施例1と同様な方法で、(メタ)アクリル系BMCを得た。得られたBMCの評価結果は表2に示す。
次に、実施例1と同様な方法で(メタ)アクリル系人工大理石を得た。得られた成形品の評価結果は表2に示す。
【0085】
[実施例7]
イソボルニルメタクリレートの代わりにイソボルニルアクリレート(共栄社化学(株)製、商品名ライトアクリレートIB−XA)を用いる以外は実施例1と同様な方法で、(メタ)アクリル系BMCを得た。得られた評価結果は表2に示す。
次に、実施例1と同様な方法で(メタ)アクリル系人工大理石を得た。得られた成形品の評価結果は表2に示す。
【0086】
[実施例8]
イソボルニルメタクリレート25部、メチルメタクリレート23部、ネオペンチルグリコールジメタクリレート15部、エチレングリコールジメタクリレート2%部からなる(メタ)アクリル系単量体(a)成分に、(b)成分として製造例(1)で得たポリメチルメタクリレート(B−1)35部を溶解させた(メタ)アクリル系樹脂組成物100部に、硬化剤として1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン2.0部、内部離型剤としてステアリン酸亜鉛0.5部を添加した後に、無機充填剤として水酸化アルミニウム170部と、上記製造例(5)で得た黒色と白色の無機充填剤含有樹脂粒子合わせて70部を添加し、さらに増粘剤として上記製造例(1)で得た重合体粉末(P−1)25部を添加し、ニーダーで10分間混練した。得られた石目調の(メタ)アクリル系BMCは、混練直後でもべたつきがなく取り扱い性が極めて良好であった。
次に、実施例1と同様な方法で御影石調の(メタ)アクリル系人工大理石成形品を得た。得られた成形品の評価結果は表2に示す。
【0087】
[比較例1]
(メタ)アクリル系樹脂組成物が、メチルメタクリレート48部、ネオペンチルグリコールジメタクリレート25部、エチレングリコールジメタクリレート2部及び上記製造例(1)で得たポリメチルメタクリレート(B−1)25部からなる混合物とし、硬化剤がt−ブチルパーオキシベンゾエート(日本油脂(株)製、商品名パーブチルZ、10時間半減期温度=104℃)とする以外は、実施例1と同様な方法で、(メタ)アクリル系BMCを得た。得られたBMCの評価結果は表2に示す。
次に、実施例1と同様な方法で(メタ)アクリル系人工大理石を得た。得られた成形品には光沢ムラがあり、成形外観が悪かった。また、成形品の線収縮率は0.93%と高かった。
【0088】
[比較例2]
イソボルニルメタクリレートの代わりにスチレンを用い、硬化剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエートを用いる以外は実施例1と同様な方法で、(メタ)アクリル系BMCを得た。得られたBMCの評価結果は表2に示す。
次に、実施例1と同様な方法で(メタ)アクリル系人工大理石を得た。得られた成形品は光沢ムラがひどく、また光沢が低く、非常に成形外観が悪かった。また、成形品の線収縮率は0.91%と高かった。
【0089】
[比較例3〜4]
硬化剤として、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業(株)製、商品名V−65、10時間半減期温度=51℃)10部を用い、その他の組成は表1に示す組成としたこと以外は、実施例1と同様の方法で成形品を得た。
得られた成形品は、透明性が極めて低く、大理石特有の深み感が全くなかった。
得られた成形品の評価結果は、表2に示す。
【0090】
【表1】
Figure 0003561410
【0091】
評価結果
【表2】
Figure 0003561410
【0092】
表中の略号は、以下の通りである。
プレミックスの増粘性
A:混練後、直ちに増粘し、べたつきのない取扱性が良好なプレミック スが得られた。
B:混練後、室温で熟成して必要な粘度まで増粘させるのに24時間以 上要した。
C:混練後、室温で24時間以上熟成させたが、増粘しなかった。
【0093】
成形品の深み感(透明性)
○:透明性が高く、大理石特有の深み感がある。
△:透明性が低く、大理石特有の深み感があまりない。
×:透明性が極めて低く、大理石特有の深み感が全くない。
【0094】
成形品の光沢ムラ
◎:光沢ムラが全くなく、光沢が極めて高い。
○:光沢ムラがなく、光沢が高い。
△:光沢ムラがあり、光沢が低い。
×:光沢ムラがひどく、光沢が極めて低い。
【0095】
成形品の耐熱水性
◎:色変化が極めて小さかった。
○+:色変化がかなり小さかった。
○:色変化が小さかった。
×:色変化が大きかった。
【0096】
【発明の効果】
以上の実施例からも明らかなように、(メタ)アクリル系樹脂組成物として特定構造のエステル基を有する(メタ)アクリレートを使用することによって、光沢ムラのない成形外観を有する、寸法安定性・耐熱水性が良好な、成形加工性に優れた(メタ)アクリル系人工大理石の原料として有用な(メタ)アクリル系プレミックスを得ることが可能になり、さらに、この(メタ)アクリル系プレミックスに増粘剤を含有させることによって、高温成形に適し、成形加工性に優れた、(メタ)アクリル系人工大理石の原料として特に有用な(メタ)アクリル系SMC又はBMCを得ることが可能になり、さらに、これを用いて得られる(メタ)アクリル系人工大理石は、生産性が高く、成形外観、寸法安定性、耐熱水性に優れており、工業上非常に有益なものである。

Claims (8)

  1. ビシクロ環を持つエステル基を有する(メタ)アクリレート、又はこれを含有する単量体混合物(a)及び(メタ)アクリル系重合体(b)を含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物(A)100重量部、無機充填剤(B)1〜500重量部、及び、硬化剤(C)0.01〜20重量部を含有することを特徴とする(メタ)アクリル系プレミックス。
  2. (C)成分が、75℃以上の10時間半減期温度を持つラジカル重合開始剤を含有する請求項1記載の(メタ)アクリル系プレミックス。
  3. ビシクロ環を持つエステル基を有する(メタ)アクリレートが、イソボルニル(メタ)アクリレートであることを特徴とする請求項1又は2記載の(メタ)アクリル系プレミックス。
  4. 無機充填剤含有樹脂粒子(D)をさらに含有することを特徴とする、請求項1、2又は3記載の(メタ)アクリル系プレミックス。
  5. 請求項1、2又は3記載の(メタ)アクリル系プレミックスと、増粘剤(E)とを含有することを特徴とする(メタ)アクリル系SMC又はBMC。
  6. 増粘剤(E)が重合体粉末であることを特徴とする、請求項5記載の(メタ)アクリル系SMC又はBMC。
  7. 請求項5記載の(メタ)アクリル系SMC又はBMCを100〜150℃の範囲で加熱加圧硬化することを特徴とする、(メタ)アクリル系人工大理石の製造方法。
  8. 請求項5記載の(メタ)アクリル系SMC又はBMCを加熱加圧硬化することを特徴とする、線収縮率が0.9%以下の(メタ)アクリル系人工大理石の製造方法。
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